JP4656763B2 - 重ね板材の一枚取り装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、重ね板材の一枚取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図15ないしは図17を参照するに、パレットP上に板材Wが積載されている場合、この積載された板材Wの最上板が一枚毎に分離された後に、次工程の例えばパンチプレスやレーザ加工機等の板材加工機へ搬入される。なお、パレットP上の板材Wは、既に板材加工機により板材加工されてパレットP上に積載された場合もある。
【0003】
板材Wの表面には錆止めのために防錆油などが塗布されているために、積載された重ね板材Wの最上板から板材Wを容易に一枚毎に分離できないので、前記重ね板材Wの最上板Wと下層板Wとを分離する吸着装置を備えた一枚取り装置により一枚取りが行われて板材加工機へ搬入されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の重ね板材Wの一枚取り装置においては、図18に示されているように1つのパレットP上に複数種類の重ね板材Wの複数の山が積載されている場合は、一枚取りができないので、図15及び図16に示されているように1つのパレットPには1種類の重ね板材Wの1山のみが積載されている状態であった。図16に示されているように小さな板材Wの場合は、板材WがパレットP上で小さな面積しか占有しないために他の面積が無駄であり、板材Wの搬入効率が悪いという問題点があった。
【0005】
また、図17に示されているようにパレットP上に2山の重ね板材Wが積載されても、板材Wの大きさによっては従来の一枚取り装置で吸着することができるが、各山の重ね板材Wの載置場所の基準を決めて積載される必要があり、ランダムに積載できないので、載置状態によっては一枚取りができなかったり、基準に合わせて載置するための時間的な効率が悪いという問題点があった。
【0006】
この発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、パレット上にランダムに積載されている複数の山の重ね板材に対して一枚取りを容易に且つ確実に行い得る重ね板材の一枚取り装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、複数種の大きさ毎に積層した複数の重ね板材(W)の山が積載されているワーク載置台(3)上から重ね板材の一枚取りを行う重ね板材の一枚取り装置であって、前記ワーク載置台(3)の上方位置に備えた昇降フレーム(27)に、分離側ストレッチ(29)をX軸方向へ移動自在に設け、この分離側ストレッチ(29)にY軸方向へ移動自在に備えた分離側ローダ(41)に、前記重ね板材(W)の最上板を吸着して当該最上板の端側をめくり上げるためのメクリ用吸着パッド(61)を上下動自在に備えた分離ユニット本体(53)を、上下動自在に備え、前記昇降フレーム(27)に備えた複数の吸着側ストレッチ(89)をX軸方向へ個別に移動位置決め可能に設け、前記各吸着側ストレッチ(89)に備えた複数の吸着側ローダ(97)をY軸方向へ個別に走行可能に設け、上記各吸着側ローダ(97)に備えた吸着パッド(109)をそれぞれ上下動するための吸着側昇降シリンダ(107)を前記各吸着側ローダ(97)にそれぞれ備えていることを特徴とするものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1ないしは図3を参照するに、本実施の形態に係わる重ね板材の一枚取り装置1は、床上に設けたワーク載置台3の上に複数種類の重ね板材Wからなる複数の山が積載されている。なお、上記のワーク載置台3としては、床に敷設されたレール上を走行自在であっても、また、リフタ装置により昇降自在に設けられても構わない。また、ワーク載置台3の上には複数種類の重ね板材Wからなる複数の山を積載したパレットが載置されても構わない。
【0031】
また、板材搬送装置としての例えばローラコンベア5が、上記のワーク載置台3の図3において上方側(図2において右方側)に隣接する位置に図3において左右方向に延伸されて設けられている。
【0032】
この発明の一枚取り装置1の主要部は、上部フレーム構造体を構成する走行ユニット7と昇降ユニット9、さらに分離ユニット11と吸着ユニット13と制御ユニット15(図7参照)とから構成されている。
【0033】
上記の走行ユニット7としては、本体フレーム17が上記のワーク載置台3及びローラコンベア5の上方に位置するようにして床上に立設されており、本体フレーム17の上部は図1において左右端側にY軸方向に延伸する走行レール19が設けられており、図1において左右方向(Y軸方向と直交するX軸方向)に延伸されたY軸キャレッジ21が上記の走行レール19上をY軸方向に走行するように構成されている。
【0034】
また、昇降ユニット9としては、本実施の形態では4つの昇降シリンダ23がY軸キャレッジ21の下面に吊り下げた状態で取り付けられており、4つの昇降シリンダ23のピストンロッド25の下端にほぼ矩形状を成す昇降フレーム27が取り付けられている。
【0035】
したがって、昇降フレーム27は4つの昇降シリンダ23により同期して昇降駆動されるように構成されている。
【0036】
また、分離ユニット11としては、上記の昇降フレーム27の下方に位置してY軸方向に延伸された分離側ストレッチ29が昇降フレーム27の下面にX軸方向に延伸されたレール31に沿ってX軸方向へ移動自在に設けられている。昇降フレーム27の図2において右側面にはX軸ラック33がX軸方向に延伸されており、一方、分離側ストレッチ29の図3において上側には上記のX軸ラック33に噛合するピニオン35を駆動軸に備えた分離側X軸モータ37が設けられている。
【0037】
図4を参照するに、上記の分離側ストレッチ29の下面にはレール39がY軸方向に延伸されており、このレール39に沿って分離側ローダ41がY軸方向に走行自在に設けられている。また、分離側ストレッチ29の下面には分離側Y軸ラック43が上記のレール39と並行してY軸方向に延伸されており、一方、分離側ローダ41の図4において左側には上記の分離側Y軸ラック43に噛合するピニオン45を駆動軸に備えた分離側Y軸モータ47が設けられている。
【0038】
また、分離側ローダ41の下部にはピストンロッド49が下方に向けて伸縮する分離側昇降シリンダ51が設けられており、前記ピストンロッド49の下端には分離ユニット本体53が取り付けられている。
【0039】
分離ユニット本体53にはワーク載置台3上の重ね板材Wの最上板Wの端縁側をめくるようにして一枚取りするためのメクリ装置55が設けられている。
【0040】
例えば、メクリ装置55としては、メクリ用シリンダ57が図4において左端を分離ユニット本体53の上面に軸承されており、メクリ用シリンダ57のピストンロッド59が図4において左右方向に伸縮自在に設けられており、ピストンロッド59の先端には下端にメクリ用吸着パッド61を備え且つ下方に向けて延伸されたメクリパッド用ロッド63の上端が軸承されており、メクリパッド用ロッド63は図4において左側が分離ユニット本体53に支持された受けローラ65により突き当てられている。つまり、メクリパッド用ロッド63は受けローラ65を滑りながら上下動自在に構成されている。なお、メクリパッド用ロッド63はスプリング67により常時図4において右方向へ付勢されている。
【0041】
また、分離ユニット本体53の図4において左側には下方に向けて延伸された押さえパッド用ロッド69が分離ユニット本体53で昇降可能に設けられている。押さえパッド用ロッド69の下端には押さえ用吸着パッド71が備えられており、押さえパッド用ロッド69の上端はメクリ用シリンダ57の外周部に取り付けられている。しかも、押さえパッド用ロッド69はスプリング73を介して常時下方へ付勢されている。
【0042】
上記構成により、メクリ装置55の作用を説明すると、分離側昇降シリンダ51により分離ユニット本体53が下降して押さえ用吸着パッド71とメクリ用吸着パッド61が重ね板材Wの最上板Wの表面を吸着する。
【0043】
メクリ用シリンダ57のピストンロッド59が縮んでメクリパッド用ロッド63の上端が図4において左側に引っ張られると、メクリパッド用ロッド63が受けローラ65を滑りながら且つスプリング67の付勢力に抗して受けローラ65を図4において左方向へ押圧しながら斜め方向に上昇するので、最上板Wの右端側は図5に示されているように上方へ持ち上げられる。しかし、最上板Wの左側は押さえ用吸着パッド71で押さえられているので最上板Wの右端側がめくり上げられる。
【0044】
なお、このときメクリ用シリンダ57は左側の支軸を中心に僅かに反時計方向に回動するので、押さえ用吸着パッド71も押さえパッド用ロッド69を介してスプリング73の付勢力に抗して僅かに上昇して、この部分の最上板Wも僅かにメクリ上げられて下層板から分離される。
【0045】
また、分離ユニット本体53の図4において右側には、下方向へ伸縮自在なピストンロッド75を備えたM/F用昇降シリンダ77(マグネットフロータ用昇降シリンダ)とピストンロッド79を備えた2枚検用昇降シリンダ81(2枚取り検出器用昇降シリンダ)が設けられている。M/F用昇降シリンダ77のピストンロッド75の下端には最上板Wの下層板材Wの側縁を吸引して前記最上板Wと分離すべく磁力を発生する磁力セパレータとしての例えばM/F83(マグネットフロータ)が設けられており、またM/F83の上端部には上記のメクリ装置55で分離された最上板Wと下層板材Wとの間にエアをブローするエアブロー装置85が設けられている。
【0046】
また、2枚検用昇降シリンダ81のピストンロッド79の下端には上記のメクリ装置55で分離された板材Wが1枚か否かを検出する1枚取り判定装置としての例えば2枚取り検出器87が設けられている。例えば、この2枚取り検出器87は板材Wの厚さを検出して図6に示されているように分離された板材Wの枚数を検出判別するものである。
【0047】
上記の各装置はNC制御されてワーク載置台3上の一枚取りすべき重ね板材Wの端面に位置決めされるものである。
【0048】
なお、本実施の形態の分離ユニット11としてはメクリ装置55、M/F83、エアブロー装置85、2枚取り検出器87がすべて備えられているが、このうちのメクリ装置55は必ず用いるので単独で構成されていても構わず、あるいはM/F83とエアブロー装置85と2枚取り検出器87の3つのうちのいずれか一つあるいは2つの装置が上記のメクリ装置55に加えられた構成であっても構わない。
【0049】
また、吸着ユニット13としては、上記の分離ユニット11のみでは長い板材Wを持ち上げることができないので、吸着ユニット13により板材Wを持ち上げるためにX軸方向に幾つか配置されたものである。
【0050】
上記の昇降フレーム27の下方に位置してY軸方向に延伸された吸着側ストレッチ89が昇降フレーム27の下面にX軸方向に延伸されたレール31に沿ってX軸方向へ移動自在に設けられている。本実施の形態では、図1及び図3において左側に2つの吸着側ストレッチ89が設けられている。
【0051】
上述した分離側ストレッチ29と同様に、各吸着側ストレッチ89にはピニオン91を駆動軸に備えた吸着側X軸モータ93が設けられており、上記のピニオン91が昇降フレーム27の図2において右側面にX軸方向に延伸されたX軸ラック33に噛合しているので、吸着側X軸モータ93によりX軸方向に移動位置決め可能である。
【0052】
図1を参照するに、上記の吸着側ストレッチ89の下面にはレール95がY軸方向に延伸されており、このレール95に沿って吸着側ローダ97がY軸方向に走行自在に設けられている。また、吸着側ストレッチ89の下面には吸着側Y軸ラック99が上記のレール95と並行してY軸方向に延伸されており、一方、吸着側ローダ97の図1において左側には上記の吸着側Y軸ラック99に噛合するピニオン101を駆動軸に備えた吸着側Y軸モータ103が設けられている。
【0053】
また、吸着側ローダ97の下部にはピストンロッド105が下方に向けて伸縮する吸着側昇降シリンダ107が設けられており、前記ピストンロッド105の下端には重ね板材Wの最上板Wを吸着する吸着装置を構成する吸着パッド109が取り付けられている。
【0054】
なお、本実施の形態では、各吸着側ストレッチ89には図2に示されているように3つの吸着ユニット13が設けられている。各吸着ユニット13は独立してY軸方向に移動自在であるので、板材Wを吸着する際にバランスが良くて而も板材Wに穴が空いていない位置に位置決めできる。
【0055】
図7を参照するに、制御ユニット15としての例えば制御装置111は、中央処理装置としてのCPU113に、板材Wの大きさ、形状、穿孔されている穴の位置、板材Wがワーク載置台3のどの位置に載置されているかなどのワーク情報のデータを入力するための入力装置115と表示装置117と、入力されたデータを記憶するメモリ119が接続されている。
【0056】
また、上記のCPU113には、重ね板材Wに対して前工程において板材加工した板材加工機における加工機制御装置111の加工プログラムから板材Wの大きさ、形状、穿孔されている穴の位置、ワーク載置台3上の重ね板材Wの配置などの個々の板材Wのワーク情報や上記のメモリ119に記憶されたワーク情報を受け取り且つ前記ワーク情報を分析するワーク情報分析ユニット121と、このワーク情報分析ユニット121によるワーク情報に基づいて使用すべき走行ユニット7、昇降ユニット9、分離ユニット11、吸着ユニット13の選択と各ユニットの移動位置決めを制御すべく指示を与えるユニット動作指令部123が接続されている。
【0057】
なお、上記のワーク情報分析ユニット121には、例えばパンチ加工された板材Wの加工データから前記板材Wの形状、穴あき状態、質量を算出して、各吸着パッド61,71,109の使用個数を計算し、各吸着パッド61,71,109の直径から吸着できる位置を計算する機能が備えられている。
【0058】
上記構成により、ワーク載置台3には、例えば図8に示されているように4種類の大きさ、形状の重ね板材Wa,Wb,Wc,Wdの山が積載されている。ワーク情報分析ユニット121により前記ワーク載置台3上の各種重ね板材Wのワーク情報が分析されてユニット動作指令部123に送られる。
【0059】
例えば、使用すべき板材Wbの重ね板材Wが一枚取りされるときは、ユニット動作指令部123から指令が与えられて図1において右側の分離ユニット11と、この分離ユニット11の左隣りの吸着ユニット13が選択される。
【0060】
分離側ストレッチ29が分離側X軸モータ37によりX軸方向へ移動して板材Wbの図8において右端側へ位置決めされると共に図2において右側の分離ユニット11が分離側Y軸モータ47によりY軸方向へ移動して板材Wbの図8において上下方向の幅のほぼ中央に位置決めされ、この分離ユニット11の分離側昇降シリンダ51により分離ユニット本体53が下降する。
【0061】
また、吸着側ストレッチ89が吸着側X軸モータ93によりX軸方向へ移動して板材Wbの図8において左端側へ位置決めされると共に図2において右側の吸着ユニット13が吸着側Y軸モータ103によりY軸方向へ移動して板材Wbの図8において上下方向の幅のほぼ中央に位置決めされ、この吸着ユニット13の吸着側昇降シリンダ107のピストンロッド105と共に吸着パッド109が下降する。このとき、上記の分離ユニット11のメクリ装置55のメクリ用吸着パッド61と押さえ用吸着パッド71と吸着ユニット13の吸着パッド109の高さが水平方向でほぼ同じ高さに位置決めされる。
【0062】
次いで、昇降ユニット9の昇降フレーム27が昇降シリンダ23により下降して板材Wbの重ね板材Wの最上板Wが図9に示されているように上記のメクリ用吸着パッド61と押さえ用吸着パッド71と吸着パッド109が吸着される。
【0063】
また、M/F用昇降シリンダ77によりM/F83が最上板Wより下方の下層板材Wの側縁を吸引すべく下降されて位置決めされ、磁力を発生する。次いで、前述した説明のようにメクリ装置55のメクリ用シリンダ57の作動によりメクリ用吸着パッド61が上昇して最上板Wの図8において右端側が図5に示されているようにめくり上げられる。M/F83の上端部のエアブロー装置85から上記のめくり上げられた最上板Wと下層板材Wとの間にエアがブローされるので、最上板Wが下層板材Wから確実に分離される。
【0064】
昇降フレーム27が昇降シリンダにより上昇してメクリ用吸着パッド61と押さえ用吸着パッド71と吸着パッド109により吸着された最上板Wが持ち上げられる。2枚検用昇降シリンダ81により2枚取り検出器87が上記の持ち上げられた最上板Wの端縁に位置決めされて厚さが検出されて板材Wが一枚であるか否かを判別される。
【0065】
次いで、ユニット動作指令部123からの指令により、走行ユニット7のY軸キャレッジ21が図3において上方側のローラコンベア5の位置へ移動される。昇降フレーム27が昇降シリンダ23により下降して板材Wbが上記の各吸着パッド61,71,109から離反されてローラコンベア5の上に載置される。板材Wbはローラコンベア5により次工程へ搬送される。
【0066】
なお、他の板材Wa,Wc,Wdは、上記の板材Wbと同様にして板材Wの長さ(X軸方向の)や幅(Y軸方向の)に応じて必要な数の分離ユニット11と吸着ユニット13が使用される。
【0067】
例えば、板材WのX軸長さが板材Waのように200mm未満のときは1つの分離側ストレッチ29の分離ユニット11のメクリ用吸着パッド61と押さえ用吸着パッド71のみが使用され、板材WbやWcのように200〜600mmのときは図9に示されているように1つの分離側ストレッチ29の分離ユニット11と1つの吸着側ストレッチ89の吸着ユニット13の各吸着パッド61,71,109が使用され、板材Wdのように600〜2400mmのときは図10に示されているように1つの分離側ストレッチ29の分離ユニット11と2つの吸着側ストレッチ89の吸着ユニット13の各吸着パッド61,71,109が使用される。
【0068】
一方、板材WのY軸幅が板材WaやWdのように300mm未満のときは分離側ストレッチ29では1つの分離ユニット11の吸着パッド61,71、吸着側ストレッチ89では1つの吸着ユニット13の吸着パッド109のみが使用され、板材Wbのように300〜600mmのときは分離側ストレッチ29では2つの分離ユニット11の吸着パッド61,71、吸着側ストレッチ89では2つの吸着ユニット13の吸着パッド109が使用され、板材Wcのように600〜1200mmのときは分離側ストレッチ29では3つの分離ユニット11の吸着パッド61,71、吸着側ストレッチ89では3つの吸着ユニット13の吸着パッド109が使用される。1列で使用される各吸着パッド61,71,109は板材Wの幅方向に対して基本的には当分配置となる。
【0069】
なお、板材Wの端縁付近は図9及び図10に示されているようにメクリ用吸着パッド61と吸着パッド109のX軸方向の位置が例えば端縁から50mmのように常に一定の数値とされる。ただし、図11に示されているように所定の位置(端縁から50mm)に穴があるために吸着パッド109で吸着できないときは上記の穴をかわすようにずらして吸着される。
【0070】
また、分離ユニット11のメクリ装置55のメクリ用吸着パッド61も同様に、切欠きや穴をかわすように移動して板材Wが吸着される。
【0071】
また、上記の分離ユニット11と吸着ユニット13は段差が付けられて板材Wを吸着することによって一枚取りし易くできるが、この場合は段差を付けたために最上板Wがメクリ装置55によりめくられて一枚取りされるときに直下の下層板材Wをずらす力が作用する。この作用の影響を解消するために、最上板Wをメクリながら且つ分離側X軸モータ37により分離側ストレッチ29を例えば図5において右方向に同期して移動せしめて直下の下層板がずれないようにすることができる。あるいは、上記の分離側X軸モータ37をサーボオフせしめてメクリ時の最上板Wによる作用力に分離側ストレッチ29のX軸方向の移動を順応させることもできる。
【0072】
また、図8において例えば板材Wcが一枚取りされるとき、M/F83や2枚取り検出器87が板材Wcと板材Wa並びに板材Wbとの間のすき間に下降される必要がある。もし、上記のすき間が取れないときはM/F83や2枚取り検出器87を使わなくても構わない。
【0073】
また、分離ユニット11と吸着ユニット13のうち、吸着ユニット13のみを使用することも可能であり、その方が効率的な場合もある。
【0074】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。
【0075】
例えば、前述した実施の形態においては、上部フレーム構造体としては走行ユニット7と昇降ユニット9を備えられており、昇降ユニット9は昇降フレーム27を昇降せしめるものでパスラインとワーク載置台3との間を移動するが、分離ユニット11、吸着ユニット13の各昇降シリンダ51,107のストロークによっては、昇降ユニット9を設けなくても構わない。この場合、分離側ストレッチ29と吸着側ストレッチ89は、走行ユニット7のY軸キャレッジ21に直接的に取り付けてX軸方向に移動自在に設けることができる。
【0076】
あるいは、上記の上部フレーム構造体としては、走行ユニット7を設けないで単なるX軸方向に延伸した上部フレームに前述した昇降フレーム27を昇降駆動せしめる昇降ユニット9を設けても構わない。
【0077】
あるいは、上記の上部フレーム構造体としては、走行ユニット7と昇降ユニット9が設けられていない単なるX軸方向に延伸した上部フレームであっても構わない。この場合、上記の分離側ストレッチ29と吸着側ストレッチ89は、上記の上部フレームに沿ってX軸方向に移動自在に構成でき、他は前述した実施の形態と同様である。
【0078】
また、前述した実施の形態においては、分離ユニット11が分離側ストレッチ29に沿ってY軸方向に移動自在に設けられ、吸着ユニット13が吸着側ストレッチ89に沿ってY軸方向に移動自在に設けられているが、上記の分離側ストレッチ29に多数の分離ユニット11を設けたり、上記の吸着側ストレッチ89に多数の前記吸着ユニット13を設けても構わない。この場合、制御装置111のユニット動作指令部123は、多数の分離ユニット11と吸着ユニット13を選択的に使用指示を与える機能が備えられている。
【0079】
また、前述した実施の形態においては、ワーク載置台3に隣接した位置に板材搬送装置が設置されているが、上記の板材搬送装置がワーク載置台3の上方を開閉自在なローラコンベアとすることもできる。この場合は、前述した走行ユニット7はなくても構わない。
【0080】
上記の開閉式の板材搬送装置としては、例えば走行パイプローラテーブル125やスラットローラ式コンベア127が採用できる。
【0081】
図12を参照するに、走行パイプローラテーブル125は、テーブルフレーム129が上部にパイプローラ131を設けた門型形状を構成してワーク載置台3の上方を跨設し且つワーク載置台3の上方を開放するように構成されてワーク載置台3の図12において左右のレール133上を図12の紙面に対して垂直方向に走行移動するものである。
【0082】
したがって、ワーク載置台3の板材Wが分離ユニット11と吸着ユニット13により吸着されて一枚取りされるときは、走行パイプローラテーブル125がワーク載置台3の上方を開放し、板材Wが上方へ持ち上げられてから走行パイプローラテーブル125がワーク載置台3の上方へ復帰し、この走行パイプローラテーブル125へ前記板材Wが載置されて搬送される。
【0083】
図13を参照するに、スラットローラ式コンベア127は、コンベアフレーム135に回転自在に支承された複数のスプロケット137にエンドレス状の一対のチェーン139が掛け回され、このチェーン139の適宜範囲に亘って複数のスラットローラ141が回転自在に支承されている。チェーン139は適宜位置に設けられたスラット用モータ143によって走行駆動されるものである。なお、上記のコンベアフレーム135は上述した走行パイプローラテーブル125のテーブルフレーム129と同様にレール145上を走行自在に設けられても構わない。
【0084】
したがって、ワーク載置台3の板材Wが一枚取りされるときは、スラットローラ141がワーク載置台3の上方を開放し、板材Wが上方へ持ち上げられてからスラットローラ141がワーク載置台3の上方へ復帰し、このスラットローラ141へ前記板材Wが載置されて搬送される。
【0085】
また、ワーク載置台3上の重ね板材Wの平面的な配置並びに板材形状を撮像する撮像手段としての例えばCCDカメラ147が、本体フレーム17、上部フレーム構造体、ワーク載置台3のいずれかに設けられても構わない。この場合、上記の制御ユニット15のワーク情報分析ユニット121にはCCDカメラ147からの情報に基づいてワーク情報を分析する機能が備えられる。板材加工機の加工プログラムのデータに頼ることなく上記のCCDカメラ147によるデータに基づいて一枚取りを行うことができるので、上記のデータ系がダウンしても問題が生じないという効果がある。
【0086】
以上のことから、複数種の重ね板材Wがワーク載置台3あるいはパレットのどの位置にあっても、複数種の重ね板材Wのうちから所望の板材Wを一枚取りすることが可能となる。従来のような1パレットに1山の重ね板材Wという制限がなくなるので、板材加工機で多数の山の重ね板材Wに積載されたワーク載置台3あるいはパレットから自由に必要枚数の板材Wを1枚取りできる。また、生産の柔軟性と省人化が促進される。
【0087】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態の説明から理解されるように本発明によれば、複数種の重ね板材がワーク載置台あるいはパレットのどの位置にあっても、複数種の重ね板材のうちから所望の板材を一枚取りできる。従来のような1パレットに1山の重ね板材という制限がなくなるので、板材加工機で多数の山の重ね板材に積載されたワーク載置台あるいはパレットから自由に必要枚数の板材を1枚取りできる。また、生産の柔軟性と省人化を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一枚取り装置の正面図である。
【図2】図1において矢視II−II線の側面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示すもので、分離ユニットの概略的な説明図である。
【図5】メクリ装置により最上板がめくられるときの状態説明図である。
【図6】分離された板材の枚数が2枚取り検出器により検出されるときの状態説明図である。
【図7】制御ユニットの構成ブロック図である。
【図8】ワーク載置台上の重ね板材の配置図である。
【図9】中間の長さの板材が一枚取りされるときの状態説明図である。
【図10】長尺の板材が一枚取りされるときの状態説明図である。
【図11】一枚取りされる板材の部分的な平面図である。
【図12】走行パイプローラテーブルの概略的な説明図である。
【図13】スラットローラ式コンベアの概略的な説明図である。
【図14】CCDカメラにより撮像されるときの概略的な説明図である。
【図15】従来におけるパレット上の重ね板材の配置を示す斜視図である。
【図16】従来におけるパレット上の重ね板材の配置を示す斜視図である。
【図17】従来におけるパレット上の重ね板材の配置を示す斜視図である。
【図18】パレット上に複数種の重ね板材を積載したときの状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 一枚取り装置
3 ワーク載置台
5 ローラコンベア(板材搬送装置)
7 走行ユニット
9 昇降ユニット
11 分離ユニット
13 吸着ユニット
15 制御ユニット
21 Y軸キャレッジ
23 昇降シリンダ
27 昇降フレーム
29 分離側ストレッチ
51 分離側昇降シリンダ
53 分離ユニット本体
55 メクリ装置
57 メクリ用シリンダ
61 メクリ用吸着パッド
71 押さえ用吸着パッド
77 M/F用昇降シリンダ
81 2枚検用昇降シリンダ
83 M/F(磁力セパレータ)
85 エアブロー装置
87 2枚取り検出器(1枚取り判定装置)
89 吸着側ストレッチ
107 吸着側昇降シリンダ
109 吸着パッド
111 制御装置(制御ユニット)
121 ワーク情報分析ユニット
123 ユニット動作指令部
125 走行パイプローラテーブル
127 スラットローラ式コンベア
147 CCDカメラ(撮像手段)

Claims (1)

  1. 複数種の大きさ毎に積層した複数の重ね板材(W)の山が積載されているワーク載置台(3)上から重ね板材の一枚取りを行う重ね板材の一枚取り装置であって、前記ワーク載置台(3)の上方位置に備えた昇降フレーム(27)に、分離側ストレッチ(29)をX軸方向へ移動自在に設け、この分離側ストレッチ(29)にY軸方向へ移動自在に備えた分離側ローダ(41)に、前記重ね板材(W)の最上板を吸着して当該最上板の端側をめくり上げるためのメクリ用吸着パッド(61)を上下動自在に備えた分離ユニット本体(53)を、上下動自在に備え、前記昇降フレーム(27)に備えた複数の吸着側ストレッチ(89)をX軸方向へ個別に移動位置決め可能に設け、前記各吸着側ストレッチ(89)に備えた複数の吸着側ローダ(97)をY軸方向へ個別に走行可能に設け、上記各吸着側ローダ(97)に備えた吸着パッド(109)をそれぞれ上下動するための吸着側昇降シリンダ(107)を前記各吸着側ローダ(97)にそれぞれ備えていることを特徴とする重ね板材の一枚取り装置。
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