JP3692744B2 - 板材の分離・積載装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅張り積層板など、多数枚積み上げられた板材を分離して積載テーブルの上に積載することができる板材の分離・積載装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板等に加工して使用される銅張り積層板は、通常、1m×1m程度の大きさに成形されるので、切断機で所定の大きさに切断する必要がある。そして銅張り積層板を切断機で切断するにあたっては、合計厚みが20mm程度になるように複数枚の銅張り積層板を重ね、これを切断機にセットして行なうようにしている。
【0003】
このように複数枚の銅張り積層板を重ねて切断機にセットするにあたって、銅張り積層板を上下に揃えて重ねる必要があるが、パレットなどの載置台の上に多数枚積み重ねられて搬入される銅張り積層板は、約10mm程度横方向へ位置ずれして積み重ねられており、一旦、銅張り積層板を上下に揃えて積載する必要がある。
【0004】
そこで従来は、パレットなどの載置台の上に多数枚積み重ねられた銅張り積層板から、作業者が数枚ずつ銅張り積層板を取り出して、この数枚の銅張り積層板を積載テーブルの上に移載し、そして積載テーブルの上において銅張り積層板を指で押して、積載テーブルに設けた位置決めピンに銅張り積層板を押し当てることによって、銅張り積層板を上下に揃えるようにし、そしてこの作業を銅張り積層板の合計厚みが20mm程度になるまで繰り返すことによって、複数枚の銅張り積層板を上下に揃えて積載するようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、1m×1m程度の大きさの銅張り積層板は重量が重く、作業者が銅張り積層板を持ち上げて積載テーブルに移載する作業は重労働であり、腰痛等の問題が発生していた。また薄い銅張り積層板は端面が鋭利になっており、作業者が誤って手を滑らせると、手を切るおそれがあるという問題もあった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、銅張り積層板のような板材を分離して積載テーブルの上に積載する作業を機械化することができる板材の分離・積載装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る板材の分離・積載装置は、多数枚積み上げられた板材1のうち上端の板材1をその下の板材1から分離し、この分離した板材1を積載テーブル2の上に移載して積載する板材の分離・積載装置であって、積み上げられた板材1の前方にこの板材1に近接する方向に往復移動自在に配設され、多数枚積み上げられた板材1のうち上端の板材1の持ち上げられた部分の中央部から、この持ち上げられた上端の板材1の下側に移動することによってこの上端の板材1の前端部の全長を持ち上げた状態に保持する複数個のピックアップローラ3と、各ピックアップローラ3との間に持ち上げた板材1の前端部をクランプするクランプ具35と、積み上げられた板材1の位置と積載テーブル2の上方位置との間で往復移動自在に配置され、積み上げられた板材1の位置に移動することによって持ち上げ状態に保持された前端部から板材1の下側に差し込まれてこの板材1を上面に載置して保持し、板材1を保持した状態で積載テーブル2の上方に移動した後、後退しながら板材1を積載テーブル2の上に移載させるローラコンベア4とを具備し、上記の複数個のピックアップローラ3を、ピックアップローラ3が往復移動する方向と同じ向きに自由回転する中央の固定ローラ3aと、固定ローラ3aの両側に配置され上記の多数枚積み上げられた板材1の前端縁と平行な方向で往復移動自在で且つこの移動方向と同じ向きに自由回転するスライドローラ3bとで形成し、上端の板材1の下側に移動した後にスライドローラ3bを固定ローラ3aから離れる方向に移動させて、固定ローラ3aで板材1の中央部を、スライドローラ3bで板材1の側端部をそれぞれ持ち上げ状態に保持するようにすると共に、この持ち上げた状態で、固定ローラ3aとクランプ具35の間、スライドローラ3bとクランプ具35の間に、板材1をクランプするようにして成ることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2の発明は、ローラコンベア4を、ローラコンベア4の往復移動方向と平行な向きに回転自在な複数の移載ローラ5を具備して形成し、ローラコンベア4が持ち上げ状態に保持された前端部から板材1の下側に差し込まれるように移動するときには移載ローラ5を空転させて移載ローラ5上に板材1を載置すると共に、ローラコンベア4が積載テーブル2の上方位置から後退するように移動するときには移動方向と逆方向に移載ローラ5を回転駆動させて移載ローラ5上から積載テーブル2上に板材1を移載するようにして成ることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項3の発明は、ローラコンベア4の移載ローラ5の上端より上方の位置と下方の位置の間で上下動自在に配設され、ローラコンベア4の往復移動方向と直交する方向で走行駆動される横送りコンベアベルト6と、ローラコンベア4の側方に配置される幅方向位置決め板7とを具備し、移載ローラ5の上端より上方に上動させることによってローラコンベア4上に載置された板材1を横送りコンベアベルト6で持ち上げると共に横送りコンベアベルト6を走行駆動させて板材1を幅方向に移動させることによって板材1の側端を幅方向位置決め板7に押し当てるようにして成ることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項5の発明は、積載テーブル2を傾斜させるテーブル傾斜シリンダー8と、積載テーブル2の傾斜の下側の端部に配設される位置決め板9と、積載テーブル2を振動させる振動発生器10とを具備し、積載テーブル2の上に積載された板材1の側端部にエアーを吹き付けるエアーブローノズル11を位置決め板9に設けて成ることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の装置の全体構成を示すものであり、分離装置13と、移載装置14と、積載位置決め装置15とで形成するようにしてある。銅張り積層板など板材1はパレットなど載置台16の上に1m程度の高さに多数枚積み上げて載置されている。載置台16の上の板材1はラフな位置で積み上げられており、上下の各板材1は約10mm程度横方向へ位置ずれしている。
【0013】
分離装置13はこの載置台16の前方に配置されているものであり、複数個(実施形態では3個)のピックアップローラ3を具備して形成してある。図2は分離装置13の一例を示すものであって、載置台16の幅方向の中央部における前方の上方に前後進シリンダー18が固定的に配設してあり、前後進シリンダー18に載置台16側へ突出させて設けたシリンダーロッド19の先端にベース体20が取り付けてある。このベース体20の背面にはシリンダーロッド19と平行にガイドロッド21が突設してあり、固定的に配設したガイドスリーブ22にガイドロッド21をスライド自在に挿通してある。またベース体20には上下動シリンダー23が固定してあり、上下動シリンダー23に下方へ突出させて設けたシリンダーロッド24の先端に移動体25が固定してある。移動体25の上面にはシリンダーロッド24と平行にガイドロッド26が突設してあり、ベース体20に設けたガイドスリーブ27にガイドロッド26をスライド自在に挿通してある。前後進シリンダー18を作動させることによって、ベース体20と移動体25を載置台16の前方位置と載置台16の上方位置との間で水平に往復移動させることができるものであり、また上下動シリンダー23を作動させることによって、移動体25を上下方向に移動させることができるものである。
【0014】
3個のピックアップローラ3は移動体25に設けられるものであり、中央の固定ローラ3aと、固定ローラ3aの両側の一対のスライドローラ3b,3bとで形成するようにしてある。移動体25の下面の中央部には一対のL型のローラ受け28が設けてあり、ローラ受け28間に固定ローラ3aが取り付けてある。固定ローラ3aは移動体25の水平移動方向と同じ向きに自由回転できるようにしてある。移動体25の両側端部にはそれぞれ垂下板29が垂下して設けてあり、各垂下板29の内側面にスライド用シリンダー30が取り付けてある。この各スライド用シリンダー30に設けたシリンダーロッド31の先端にはローラ受け体32が固定してあり、各ローラ受け体32の載置台16側の面にスライドローラ3bが取り付けてある。一対の各スライド用シリンダー30を作動させることによって、各スライドローラ3bを固定ローラ3aの両側に近接配置される状態から固定ローラ3aから離れる方向へ載置台16の前端縁と平行に往復移動させることができるものであり、各スライドローラ3bはこの移動方向と同じ向きに自由回転できるようにしてある。スライドローラ3bは載置台16側へ向けて約10°の角度で取り付けるようにするのがよく、また同方向で丸みを帯びるような形状に形成してある。
【0015】
また、移動体25の下面には、その中央部と両側端の3箇所にクランプ用シリンダー33が取り付けてあり、各クランプ用シリンダー33に下方へ突出させて設けたシリンダーロッド34の先端にはクランプ具35が固定してある。中央部に設けたクランプ具35は固定ローラ3aの上方に位置して設けてあり、両側端に設けたクランプ具35はスライドローラ3bを上記のように移動させた際に側端部に達する位置に対応してその上方に設けてある。
【0016】
上記のように形成される分離装置13によって載置台16の上に多数枚積み上げた板材1から、上端に位置する数枚の板材1を分離する操作を説明する。まず板材1の前端部のうち中央部(図2にイ矢印で示す)において、上端に位置する数枚(3〜30枚)の板材1を持ち上げる。この操作は機械装置で行なうようにしてもよいが、簡単な作業なので、作業者の手で行なうようにしてもよい。このとき、ピックアップローラ3を構成する固定ローラ3aとスライドローラ3b,3bはこの持ち上げた板材1の前方で且つその下側の高さ位置に配置されている。
【0017】
次に、前後進シリンダー18を作動させて固定ローラ3aとスライドローラ3b,3bを前進移動させ、持ち上げた中央部からこの持ち上げた板材1の前端縁の下側に固定ローラ3aとスライドローラ3b,3bを図3(a)のように差し込ませる。そして一対のスライド用シリンダー30を作動させて一対の各スライドローラ3b,3bをそれぞれ固定ローラ3aから離れる方向に移動させ、板材1の各側端部の位置まで各スライドローラ3b,3bを移動させる。このようにして図3(b)に示すように、上端の板材1の中央部を固定ローラ3aで、上端の板材1の各側端部をスライドローラ3b,3bでそれぞれ持ち上げ状態に保持し、この板材1の前端部を全長に亘って持ち上げて下の板材1から分離させた状態に保つことができるものである。
【0018】
そしてこのようにスライドローラ3b,3bを移動させて固定ローラ3aとスライドローラ3b,3bで上端の板材1の前端部の中央部と両側部をそれぞれ持ち上げると、クランプ用シリンダー33が作動して、各クランプ具35が下動され、固定ローラ3aとクランプ具35の間、各スライドローラ3bとクランプ具35の間に、図3(b)に示すように、持ち上げた板材1の前端部をクランプすることができるようにしてある。
【0019】
クランプ具35によるこのクランプは、後述のようにローラコンベア4が上記のように持ち上げた板材1の下側に差し込まれて、ローラコンベア4の上に板材1が載置された後、解除されるようにしてある。またこのようにローラコンベア4の上に板材1が載置された後、前後進シリンダー18を作動させて固定ローラ3aとスライドローラ3b,3bを後退させると共に、上下動シリンダー23を作動させて固定ローラ3aとスライドローラ3b,3bを上動させ、固定ローラ3aとスライドローラ3b,3bを退避させてローラコンベア4による板材1の移載に邪魔にならないようにしてある。
【0020】
移載装置14は上記の分離装置13と積載位置決め装置15との間に配設されるものであり、多数の移載ローラ5,5…を設けたローラコンベア4を具備して形成してある。図4は移載装置14の一例を示すものであり、上下一対のガイドレール38が載置台16の側方位置と積載位置決め装置15の側方位置の間に亘って配設してある。またこのガイドレール38と平行に移動用ベルト39が配設してあり、移動用ベルト39は移動用モータ40によって走行駆動されるようにしてある。
【0021】
ローラコンベア4は、主板41とこの主板41に対向配置される側板42の間に載置台16の前端縁と平行な複数本のローラ軸43を回転自在に取り付けると共に各ローラ軸43に複数個ずつ移載ローラ5を取り付けることによって形成されるものであり、側板42は連結片(図示省略)等で主板41に一体化してある。各移載ローラ5の外周表面にはフェルトが張ってある。各ローラ軸43は一端を側板42の外側に突出させてあり、各ローラ軸43の突出先端にスプロケット44を取り付けて各スプロケット44間にチェーン45が懸架してある。そして側板42等に固定した駆動モータ46の出力軸が一つのローラ軸43に連結してあり、駆動モータ46を回転させることによってチェーン45を介して総てのローラ軸43を同方向に回転駆動させることができるようにしてある。ここで、各移載ローラ5はローラコンベア4の移動方向と同方向に回転自在にしてあるが、各移載ローラ5にはワンウェイクラッチが内蔵してあり、ローラ軸43に対して相対的に移載ローラ5の上側が載置台16と反対側へ移動するような回転の向きには移載ローラ5はローラ軸43に対して空転し、その逆向きにはローラ軸43に対して回転できないようにしてある。従って、駆動モータ46を駆動して各ローラ軸43をその上側が載置台16と反対側へ移動するような向きで回転駆動させると、各ローラ軸43はその上側が載置台16と反対側へ移動するような向きで回転駆動されることになる。
【0022】
また上記の主板41の両端部の内側にはそれぞれ保持用クランプ49が取り付けてある。保持用クランプ49は図5に示すように、上下一対のロータリーアクチュエータ50と、各ロータリーアクチュエータ50の駆動軸51に取着された一対の回動アーム52と、各回動アーム52の先端に取着された一対のポリウレタン製のクランプローラ53とで形成されるものであり、各ロータリーアクチュエータ50を主板41に固定することによって、保持用クランプ49を主板41に取り付けるようにしてある。この保持用クランプ49にあって、各ロータリーアクチュエータ50を作動させて、各回動アーム52を上下方向に回動させることによって、一対のクランプローラ53間に板材1の側端部を挟み込んでクランプできるようにしてある。
【0023】
上記のように形成されるローラコンベア4は、その主板41の外面に設けたスライダー55をガイドレール38にスライド自在に連結することによって配設してあり、スライダー55の一つは接続片56によって移動用ベルト39に固定してある。従って、ローラコンベア4はガイドレール38に沿って移動自在になっており、移動用モータ40を作動させて移動用ベルト39を走行駆動させると、移動用ベルト39の走行方向にローラコンベア4を移動させることができるものであり、ローラコンベア4は載置台16の上方位置と積載テーブル2の上方位置との間で往復移動できるようにしてある。
【0024】
また、上記の分離装置13と積載位置決め装置15との間には複数本の横送りコンベアベルト6が平行に配設してある。各横送りコンベアベルト6はローラコンベア4のローラ軸43の間に位置するように配置されているものであり、図6に示すように、基体59の両端に設けた一対の従動ロール58と基体59の下方に設けた駆動ロール60の間に平ベルト等で形成される送りベルト69を懸架して形成してある。駆動ロール60は連結板等で基体59などに取り付けられているものである。各横送りコンベアベルト6は昇降板61に立設した立ち上がり板62の上端に基体59を固定することによって、昇降板61を介して一体化してある。昇降板61は固定的に配設した昇降シリンダー68の上方へ突出して設けたシリンダーロッド63の上端に取着してある。また昇降板61の下面には下方へ突出してガイドロッド64が設けてあり、昇降シリンダー68に取着した固定板70に設けたガイドスリーブ65にスライド自在に挿通してある。さらに、各横送りコンベア6の駆動ロール60に駆動軸66を通して取り付けてあり、昇降板61等に連結板等で固定したコンベアモータ67の出力軸が駆動軸66に連結してある。各横送りコンベアベルト6は昇降シリンダー68を作動させることによって上下動されるものであり、横送りコンベアベルト6の上端部がローラコンベア4の移載ローラ5の上端より上方に突出する状態と、移載ローラ5より下方に位置する状態との間で上下動されるようにしてある。また、ローラコンベア4の一方の側方の上方位置に、横方向位置決め板7が固定的に配設してある。
【0025】
次に、上記のように形成される移載装置14による板材1の移載の動作を説明する。すなわち、まず既述のように載置台16に多数枚積み上げた板材1のうち、上端の数枚の板材1の前端部を分離装置13のピックアップロール3で持ち上げてクランプし、下の板材1から分離させた後、移動用モータ40を作動させてローラコンベア4を載置台16の方向へ前進移動(イ方向)させ、図7(a)のように持ち上げた板材1の前端部の下側へローラコンベア4の最も載置台16に近い移載ローラ5を差し込ませる。さらにローラコンベア4を前進移動させると、移載ローラ5は矢印方向に空転しながら図8(b)のように上端の板材1の下側に入り込んでいき、図8(c)のように上端の板材1をその下の板材1から完全に分離させてローラコンベア4の各移載ローラ5の上に載せることができる。このように上端の板材1がローラコンベア4の上に載置されると、ローラコンベア4に設けた保持クランプ49が作動し、クランプローラ53で板材1の側端をクランプして、板材1がローラコンベア4上でずれることを防止するようになっている。そしてそしてピックアップロール3による持ち上げとクランプを既述のように解除したのち、ローラコンベア4を後退移動させて横送りコンベアベルト6を配置した元の位置へ復帰させる。
【0026】
横送りコンベアベルト6はローラコンベア4の移載ローラ5よりも低い位置で待機しており、ローラコンベア4が元の位置へ後退して、移載ローラ5間に横送りコンベアベルト6が配置される位置まで復帰すると、まず保持クランプ49が作動してクランプローラ53による板材1の側端のクランプを解除した後、昇降用シリンダー68が作動して横送りコンベアベルト6は上端が移載ローラ5の上端よりも上方へ突出するように上動される。このように横送りコンベアベルト6が移載ローラ5より上方へ上動されると、移載ローラ5の上に載置されている板材1は図6のように横送りコンベアベルト6によって持ち上げられて支持される。そしてこの後、コンベアモータ67が作動して横送りコンベアベルト6の送りベルト69の上端部を幅方向位置決め板7の側へ走行駆動させ、横送りコンベアベルト6上の板材1を幅方向位置決め板7の側へ移動させて、板材1の側端を幅方向位置決め板7に当接させ、板材1の幅方向の位置を幅方向位置決め板7を基準にして仮位置決めする。
【0027】
尚、板材1の幅方向の位置を幅方向位置決め板7を基準にして仮位置決めするにあたって、板材1の一方の側端を押して、板材1の他方の側端を幅方向位置決め板7に押し付けるようにして行なう方式が従来一般的であるが、この方式では板材1の両側の側端を押したり押し付けたりするために、板材1の端面を痛めるおそれがあるが、上記のように横送りコンベアベルト6で板材1を幅方向に送って板材1の側端を幅方向位置決め板7に当接させる方式では、このような問題はなくなる。
【0028】
このように板材1の幅方向の仮の位置決めをしたのち、昇降用シリンダー68を作動させて横送りコンベアベルト6を下動させ、板材1を再びローラコンベア4の移載ローラ5の上に載置させる。そして再度、保持クランプ49が作動し、クランプローラ53で板材1の側端をクランプして、板材1をローラコンベア4の上に位置ずれしないように保持する。
【0029】
次に積載位置決め装置15について説明する。積載位置決め装置15は積載テーブル2を具備して形成されるものである。図8は積載位置決め装置15の一例を示すものであり、積載テーブル2は基板73の上にゴムなどの揺動用クッション材78を介して取り付けてある。基板73はその四隅を支持して所定角度に傾動されるように配設してある。すなわち、基板73の四隅の下面には水平ピン74を設けた受け具75が取り付けてあり、また固定的に配置された4本のテーブル傾斜シリンダー8の上方へ突出して設けた各シリンダーロッド76の上端に連結具77を取着し、各受け具75の水平ピン74に各連結具77を上下方向に回動自在に結合してある。この4本のテーブル傾斜シリンダー8を作動させることによって、積載テーブル2を水平状態にしたり、傾斜状態にしたりすることができるものである。例えば、4本のテーブル傾斜シリンダー8のうち、テーブル傾斜シリンダー8aのシリンダーロッド76を大きく下動させ、テーブル傾斜シリンダー8b,8cのシリンダーロッド76を小さく下動させ、テーブル傾斜シリンダー8dのシリンダーロッド76を小さく上動させることによって、積載テーブル2の載置台16と反対側の端部の一方の角部(図8のイ矢印部分)が最も下になるように、積載テーブル2を傾斜させることができるものである。
【0030】
また、積載テーブル2の載置台16と反対側の端部及び積載テーブル2を傾斜させる際に下側になる端部にそれぞれ位置決め板9が設けてある。位置決め板9は図9に示すように積載テーブル2に上下に開口するように形成したスライド孔80に通して上下動自在に配設してあり、基板73に固定した昇降用シリンダー81に上方に突出させて設けたシリンダーロッド82の上端に位置決め板9を取り付けてある。この昇降用シリンダー81を作動させることによって、積載テーブル2の上面より上方に突出する状態と、上端が積載テーブル2の上面より上方に突出しない状態の間で、位置決め板9を上下駆動させることができるようにしてある。この位置決め板9の内側面には、上下に長いスリット状に開口させてエアーブローノズル11が形成してあり、エアーブローノズル11にエアーブローホース83を接続してある。エアーブローホース83はコンプレッサー等に接続してあって、圧縮空気をエアーブローノズル11から吹き出させるようにしてある。
【0031】
さらに、積載テーブル2の一側端に張出板85が延出して設けてあり、この張出板85の下面に振動モータ86が取り付けてある。この振動モータ86の張出板85より上方に突出して設けた出力軸87には振動発生ウェイト88の端部が固定してある。これらの部材によって振動発生器10が形成されるものであり、振動モータ86を駆動させて振動発生ウェイト88を回転させると、振動発生ウェイト88の遠心力によって振動が発生し、クッション材78上に支持されている積載テーブル2を振動させることができるものである。また積載テーブル2の上面には全面に亘って多数のエア吹き出し孔89が穿設してあり、各エア吹き出し孔89はコンプレッサー等に接続してあって、圧縮空気をエア吹き出し孔89から吹き出させるようにしてある。
【0032】
次に、上記のように形成される積載位置決め装置15による板材1の載置・位置決めの動作を説明する。すなわち、まず既述のようにローラコンベア4の移載ローラ5の上に板材1を載置すると共にこの板材1の幅方向の仮位置決めを行なった後、移動用モータ40を作動させてローラコンベア4を積載位置決め装置15の積載テーブル2の上方位置にまで前進移動させる。このように板材1を載置したローラコンベア4が積載テーブル2の上に達すると、保持クランプ49が作動してクランプローラ53による板材1の側端のクランプが解除されるようにしてある。このとき、積載テーブル2は水平状態にしてあり、また位置決め板9は積載テーブル2の上面から突出した状態にしてある。
【0033】
この後、図10(a)のように移動用モータ40を逆向きに作動させてローラコンベア4を載置台16側へ向けて後進移動させつつ、駆動モータ46を作動させてこの後進移動と同じ周速度で移載ローラ5をその上面部がローラコンベア4の移動方向(ロ方向)と逆方向(ハ方向)に移動するように回転させる。このようにローラコンベア4を後進移動させながら移載ローラ5を逆方向に同速度で同調させて回転させると、図10(b)のように移載ローラ5の上の板材1が積載テーブル2の上に移行しながらローラコンベア4は積載テーブル2から離れる方向に移動していく。そしてさらにローラコンベア4を後進移動させながら移載ローラ5を逆方向に同速度で同調させて回転させることによって、図10(c)のように移載ローラ5上の板材1を完全に積載テーブル2の上に移載させることができるものである。
【0034】
板材1は既述のようにローラコンベア4の移載ローラ5の上で幅方向への仮の位置決めが行なわれているので、大略正確な位置で積載テーブル2に移載されるが、積載テーブル2の上に積載された板材1をさらに正確に位置決めして、板材1を上下に揃える作業がおこなわれる。すなわち先ず、テーブル傾斜シリンダー8を作動させて積載テーブル2を傾斜させる。積載テーブル2のイ部分の角が傾斜の下端になるように積載テーブル2を対角方向に傾斜させるものである。次に、積載テーブル2の上に積載された板材1の端面に向けて各位置決め板9のエアーブローノーズル11からエアーを吹き付ける。このように積載テーブル2の板材1の端面にエアーを吹き付けると、積載テーブル2と板材1の間、及び複数枚の板材1の上下の間に空気が入り、板材1は浮き上がった状態になる。そしてこの状態で、振動発生器10の振動モータ86を作動させて振動発生ウェイト88を回転させることによって、積載テーブル2を振動させる。このように積載テーブル2を振動させると、積載テーブル2上の板材1は積載テーブル2の傾斜に沿って傾斜の下側へ移動し、板材1の隣合う側端縁が各位置決め板9に当接され、各位置決め板9を基準にして積載テーブル2上の複数枚の板材1を揃えることができるものである。ここで、エアーブローノーズル11から吹き付けるエアーによって板材1は浮き上がっているために、板材1同士がこすれ合ったり板材1が積載テーブル2とこすれたりして板材1に傷が付くようなことなく、板材1を積載テーブル2上で容易に移動させて位置決めすることができるものである。
【0035】
このように板材1の位置決めを終えると、振動発生器10による振動発生とエアーブローノーズル11からのエアーの吹き出しを停止させると共に積載テーブル2を水平状態に戻し、上記の操作を積載テーブル2上の板材1の合計厚みが20mm程度の規定厚みになるまで繰り返すことによって、複数枚の板材1を上下に揃えて積載テーブル2の上に積載することができるものである。
【0036】
規定厚みにまで積載テーブル2上に板材1が積載されると、積載テーブル2の上面のエア吹き出し孔89から上方へエアーを吹き出させて積載テーブル2の上に板材1を浮き上がらせ、さらに昇降用シリンダー81を作動させて位置決め板9を下動させることによって積載テーブル2の上面から位置決め板9を引っ込め、積載テーブル2上の板材1を横方向へ移動させて積載テーブル2から取り出すことができるものである。
【0037】
【発明の効果】
上記のように本発明は、積み上げられた板材の前方にこの板材に近接する方向に往復移動自在に配設され、多数枚積み上げられた板材のうち上端の板材の持ち上げられた部分の中央部から、この持ち上げられた上端の板材の下側に移動することによってこの上端の板材の前端部の全長を持ち上げた状態に保持する複数個のピックアップローラと、各ピックアップローラとの間に持ち上げた板材の前端部をクランプするクランプ具と、積み上げられた板材の位置と積載テーブルの上方位置との間で往復移動自在に配置され、積み上げられた板材の位置に移動することによって持ち上げ状態に保持された前端部から板材の下側に差し込まれてこの板材を上面に載置して保持し、板材を保持した状態で積載テーブルの上方に移動した後、後退しながら板材を積載テーブルの上に移載させるローラコンベアとを具備するので、積み上げられた板材から所要枚数の板材をピックアップローラで分離することができると共にこの板材をローラコンベアを介して積載テーブルの上に積載することができるものであり、銅張り積層板のような板材を分離して積載テーブルの上に積載する作業を機械化することができるものである。
【0038】
また、複数個のピックアップローラを、ピックアップローラが往復移動する方向と同じ向きに自由回転する中央の固定ローラと、固定ローラの両側に配置され上記の多数枚積み上げられた板材の前端縁と平行な方向で往復移動自在で且つこの移動方向と同じ向きに自由回転するスライドローラとで形成し、上端の板材の下側に移動した後にスライドローラを固定ローラから離れる方向に移動させて、固定ローラで板材の中央部を、スライドローラで板材の側端部をそれぞれ持ち上げ状態に保持するようにすると共に、この持ち上げた状態で、固定ローラとクランプ具の間、スライドローラとクランプ具の間に、板材をクランプするようにしたので、板材の前端縁を幅方向全長に亘って持ち上げた状態に固定ローラとスライドローラで保持することができるものであり、ローラコンベアへの板材の移載の操作が容易になるものである。
【0039】
また請求項2の発明は、ローラコンベアを、ローラコンベアの往復移動方向と平行な向きに回転自在な複数の移載ローラを具備して形成し、ローラコンベアが持ち上げ状態に保持された前端部から板材の下側に差し込まれるように移動するときには移載ローラを空転させて移載ローラ上に板材を載置すると共に、ローラコンベアが積載テーブルの上方位置から後退するように移動するときには移動方向と逆方向に移載ローラを回転駆動させて移載ローラ上から積載テーブル上に板材を移載するようにしたので、移載ローラの空転によってローラコンベアの上への板材の移載をスムーズに行なわせることができると共に、ローラコンベアの後退と移載ローラの回転駆動によってローラコンベアから積載テーブルへの板材の移載をスムーズに行なわせることができるものである。
【0040】
また請求項3の発明は、ローラコンベアの移載ローラの上端より上方の位置と下方の位置の間で上下動自在に配設され、ローラコンベアの往復移動方向と直交する方向で走行駆動される横送りコンベアベルトと、ローラコンベアの側方に配置される幅方向位置決め板とを具備し、移載ローラの上端より上方に上動されることによってローラコンベア上に載置された板材を横送りコンベアベルトで持ち上げると共に横送りコンベアベルトを走行駆動させて板材を幅方向に移動させることによって板材の側端を幅方向位置決め板に押し当てるようにしたので、ローラコンベアの移載ローラの上で板材を幅方向に仮の位置決めすることができ、大略正確な位置で板材をローラコンベアから積載テーブルに移載することができるものである。
【0041】
また請求項4の発明は、積載テーブルを傾斜させるテーブル傾斜シリンダーと、積載テーブルの傾斜の下側の端部に配設される位置決め板と、積載テーブルを振動させる振動発生器とを具備するので、積載テーブルを傾斜させた状態で積載テーブルを振動させると、積載テーブル上の板材は傾斜に沿って移動して位置決め板に当接するものであり、位置決め板を基準にして積載テーブル上の板材を揃える操作をスムーズに行なうことができるものである。
【0042】
また、積載テーブルの上に積載された板材の側端部にエアーを吹き付けるエアーブローノズルを位置決め板に設けたので、積載テーブルの上の板材を移動させて位置決めを行なうにあたって、エアーブローノズルからエアーを吹き付けることによって板材を浮き上がった状態にすることができ、板材同士がこすれ合ったり板材が積載テーブルとこすれたりして板材に傷が付くようなことなく、板材の位置決めを行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の分離装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図3】同上の分離装置による板材の分離の動作を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ概略図である。
【図4】同上の移載装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図5】同上の移載装置の保持用クランプの一例を示す斜視図である。
【図6】同上の移載装置の横送りコンベアベルトの一例を示す側面図である。
【図7】同上の移載装置による板材の移載の動作を示すものであり、(a),(b),(c)はそれぞれ概略図である。
【図8】同上の積載位置決め装置の一例を示す斜視図である。
【図9】同上の積載位置決め装置の位置決め板の部分の斜視図である。
【図10】同上の積載位置決め装置への積載の動作を示すものであり、(a),(b),(c)はそれぞれ概略図である。
【符号の説明】
1 板材
2 積載テーブル
3 ピックアプロール
3a 固定ロール
3b スライドロール
4 ローラコンベア
5 移載ローラ
6 横送りコンベアベルト
7 幅方向位置決め板
8 テーブル傾斜シリンダー
9 位置決め板
10 振動発生器
11 エアーブローノズル
Claims (4)
- 多数枚積み上げられた板材のうち上端の板材をその下の板材から分離し、この分離した板材を積載テーブルの上に移載して積載する板材の分離・積載装置であって、積み上げられた板材の前方にこの板材に近接する方向に往復移動自在に配設され、多数枚積み上げられた板材のうち上端の板材の持ち上げられた部分の中央部から、この持ち上げられた上端の板材の下側に移動することによってこの上端の板材の前端部の全長を持ち上げた状態に保持する複数個のピックアップローラと、各ピックアップローラとの間に持ち上げた板材の前端部をクランプするクランプ具と、積み上げられた板材の位置と積載テーブルの上方位置との間で往復移動自在に配置され、積み上げられた板材の位置に移動することによって持ち上げ状態に保持された前端部から板材の下側に差し込まれてこの板材を上面に載置して保持し、板材を保持した状態で積載テーブルの上方に移動した後、後退しながら板材を積載テーブルの上に移載させるローラコンベアとを具備し、上記の複数個のピックアップローラを、ピックアップローラが往復移動する方向と同じ向きに自由回転する中央の固定ローラと、固定ローラの両側に配置され上記の多数枚積み上げられた板材の前端縁と平行な方向で往復移動自在で且つこの移動方向と同じ向きに自由回転するスライドローラとで形成し、上端の板材の下側に移動した後にスライドローラを固定ローラから離れる方向に移動させて、固定ローラで板材の中央部を、スライドローラで板材の側端部をそれぞれ持ち上げ状態に保持するようにすると共に、この持ち上げた状態で、固定ローラとクランプ具の間、スライドローラとクランプ具の間に、板材をクランプするようにして成ることを特徴とする板材の分離・積載装置。
- ローラコンベアを、ローラコンベアの往復移動方向と平行な向きに回転自在な複数の移載ローラを具備して形成し、ローラコンベアが持ち上げ状態に保持された前端部から板材の下側に差し込まれるように移動するときには移載ローラを空転させて移載ローラ上に板材を載置すると共に、ローラコンベアが積載テーブルの上方位置から後退するように移動するときには移動方向と逆方向に移載ローラを回転駆動させて移載ローラ上から積載テーブル上に板材を移載するようにして成ることを特徴とする請求項1に記載の板材の分離・積載装置。
- ローラコンベアの移載ローラの上端より上方の位置と下方の位置の間で上下動自在に配設され、ローラコンベアの往復移動方向と直交する方向で走行駆動される横送りコンベアベルトと、ローラコンベアの側方に配置される幅方向位置決め板とを具備し、移載ローラの上端より上方に上動させることによってローラコンベア上に載置された板材を横送りコンベアベルトで持ち上げると共に横送りコンベアベルトを走行駆動させて板材を幅方向に移動させることによって板材の側端を幅方向位置決め板に押し当てるようにして成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の板材の分離・積載装置。
- 積載テーブルを傾斜させるテーブル傾斜シリンダーと、積載テーブルの傾斜の下側の端部に配設される位置決め板と、積載テーブルを振動させる振動発生器とを具備し、積載テーブルの上に積載された板材の側端部にエアーを吹き付けるエアーブローノズルを位置決め板に設けて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の板材の分離・積載装置。
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