JP4578038B2 - アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池等のアルカリ蓄電池及びこのようなアルカリ蓄電池の正極に使用するアルカリ蓄電池用ニッケル極に係り、特に、水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を改善して、高温環境下におけるアルカリ蓄電池の充放電サイクル特性を向上させた点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池に代表されるアルカリ蓄電池においては、その正極として、一般に水酸化ニッケルを活物質に用いたアルカリ蓄電池用ニッケル極が使用されていた。
【0003】
ここで、このようなアルカリ蓄電池用ニッケル極においては、活物質として使用する水酸化ニッケルの導電性が低いため、一般に、芯金となる穿孔鋼鈑等にニッケル粉末を充填させて焼結させた焼結基板に、活物質である水酸化ニッケルを含浸させた焼結式のニッケル極が用いられていた。
【0004】
しかし、このような焼結式のニッケル極の場合、ニッケル粉末における粒子間の結合が弱く、基板における多孔度を高くすると、ニッケル粉末が脱落しやすくなるため、実用上、基板の多孔度を80%程度とするのが限界で、活物質の水酸化ニッケルを多く充填させることができず、容量の大きなアルカリ蓄電池を得ることが困難であった。
【0005】
また、上記の焼結式ニッケル極の場合、穿孔鋼板等の芯金を使用するため、一般に活物質の充填密度が小さく、さらに、焼結により形成されたニッケル粉末の細孔は10μm以下と小さいため、活物質を充填させるにあたっては、煩雑な工程を数サイクルも繰り返す溶液含浸法を用いなければならず、その生産性が悪い等の問題というもあった。
【0006】
このため、水酸化ニッケルからなる活物質粒子にメチルセルロース等の結合剤の水溶液を加えて混練させたペーストを、発泡ニッケル等の多孔度の大きい導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極が用いられるようになった。
【0007】
ここで、このようなペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極の場合、多孔度が95%以上の導電性芯体を用いることができ、導電性芯体に多くの活物質を充填させて、容量の大きなアルカリ蓄電池を得ることができると共に、導電性芯体に対して活物質を簡単に充填させることができ、生産性も向上した。
【0008】
しかし、このようなペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極において、導電性芯体に多くの活物質を充填させるために、多孔度の大きい導電性芯体を用いると、この導電性芯体における集電性が悪くなって、活物質の利用率が低下するという問題があった。
【0009】
このため、近年においては、このようなペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子に、導電剤として、金属コバルト、コバルトの酸化物や水酸化物からなるコバルト化合物を添加し、充電により上記の金属コバルトやコバルト化合物をオキシ水酸化コバルトβ−CoOOHに酸化させ、これにより電極内における導電性を高めて、活物質の利用率を向上させることが行われるようになった。
【0010】
しかし、このように水酸化ニッケルからなる活物質粒子に、導電剤として金属コバルトやコバルト化合物を添加させた場合においても、このペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極をアルカリ蓄電池の正極に用い、高温環境下において充電させると、正極における酸素発生過電圧が低くなり、水酸化ニッケルをオキシ水酸化ニッケルに酸化させる充電反応以外に、副反応として酸素発生反応が起こり、充電特性が低下するという問題があった。
【0011】
また、従来においては、特公昭63−47113号公報(特開昭57−187869号公報)に示されるように、水酸化ニッケルからなる活物質に、金属チタン,酸化チタン,水酸化チタンから選択される少なくとも1種を添加させると共に、リチウムイオンを含むアルカリ電解液を使用し、ニッケル極の利用率を改善させて、アルカリ蓄電池における充放電効率を向上させるようにしたものが提案されている。
【0012】
しかし、このように水酸化ニッケルからなる活物質に金属チタン,酸化チタン,水酸化チタンから選択される少なくとも1種を添加させると共に、リチウムイオンを含むアルカリ電解液を使用したアルカリ蓄電池においては、電極における集電性が悪く、十分な放電容量が得られない等の問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル極及びこのアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0014】
すなわち、この発明においては、上記のようなアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池を、高温環境下において充放電させた場合において、このアルカリ蓄電池の放電容量が低下するのを抑制し、高温環境下における充放電サイクル特性を向上させることを課題とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極においては、上記のような課題を解決するため、水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成すると共に、上記のペースト中にチタン又はその化合物の粉末を添加させ、上記のナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量を0.1〜10質量%の範囲とし、上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子に対して、上記のナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中におけるコバルト元素の量を1〜10質量%の範囲とし、上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に上記の導電層が形成された全体の質量に対して、上記のペースト中に添加されたチタン又はその化合物の粉末中におけるチタン元素の量を0.2〜4.0質量%の範囲とし、上記のチタン又はその化合物の粉末の平均粒径を100μm以下にしたものである。
【0016】
そして、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極のように、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を設けると、このナトリウム含有コバルト酸化物の電気伝導率が金属コバルトやコバルト化合物を用いた場合に比べて高いため、電極内における集電性が高くなって活物質の利用率が向上すると共に、このアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いたアルカリ蓄電池を高温環境下において充放電させた場合において、放電時にこのナトリウム含有コバルト酸化物が水酸化コバルトに還元されにくく、アルカリ蓄電池におけるアルカリ電解液中に溶解するのが抑制される。
【0017】
また、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極のように、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を設けたものに対してチタン又はその化合物の粉末を添加させると、ナトリウム含有コバルト酸化物の一部が水酸化コバルトに還元されたとしても、このチタン又はその化合物の作用により、水酸化コバルトがアルカリ電解液中に溶解して析出する速度が遅くなり、水酸化コバルトが活物質粒子の表面において偏析するのが防止されると共に、水酸化コバルトの一部が活物質粒子の細孔内に拡散するのも抑制され、高温環境下における充放電サイクル特性が向上する。
【0018】
そして、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極において、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成するにあたっては、活物質粒子に対して、金属コバルト粉末や、水酸化コバルト粉末や、一酸化コバルト粉末や、オキシ水酸化コバルト粉末を混合させ、或いは活物質粒子の表面に金属コバルトや、水酸化コバルトや、一酸化コバルトや、オキシ水酸化コバルトの層を形成し、その後、これに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、酸素存在下において50〜200℃の温度で加熱処理することによって形成することができる。
【0019】
ここで、上記のように加熱処理する温度を50〜200℃にするのは、加熱処理する温度が50℃未満の場合には、電気伝導性の低いCoHO2 が析出する一方、加熱処理する温度が200℃を超えた場合には、電気伝導性の低い四酸化三コバルトCo3 O4 が析出し、何れの場合にも導電性の高い導電層が得られなくなるためである。なお、活物質粒子の表面にオキシ水酸化コバルトの粒子を添加させたり、オキシ水酸化コバルトの層を形成した場合には、50℃未満の温度で加熱処理してもCoHO2 が析出することはないが、ナトリウムが含有されにくくなって導電性の高い導電層が得られなくなる。ここで、上記のように加熱処理する時間については特に限定されず、使用する水酸化ナトリウムの濃度や加熱処理する温度等によって適宜変更させるようにし、一般的には0.5〜10時間加熱処理させるようにする。
【0020】
そして、上記のようにして水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成した場合、このナトリウム含有コバルト酸化物の化学的構造は定かではないが、極めて高い電気伝導性を有することから、コバルト酸化物とナトリウムとの単なる混合物ではなく、コバルト酸化物の結晶中にナトリウムが挿入された構造になった層間化合物であると考えられる。
【0021】
また、上記のように水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に、金属コバルトや水酸化コバルトや一酸化コバルトの層を形成するにあたっては、水酸化ニッケル粉末に対して、金属コバルト粉末や水酸化コバルト粉末や一酸化コバルト粉末を加え、これを不活性ガス雰囲気中において、圧縮磨砕粉砕機により乾式混合するメカニカルチャージ法によって形成することができる。
【0022】
また、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に水酸化コバルトの層を形成するにあたっては、硫酸コバルト等のコバルト塩の水溶液に水酸化ニッケル粉末を添加し、これを攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を滴下してpHを11程度にし、その後、これを攪拌しながら所定時間反応させて、水酸化コバルトを水酸化ニッケル粒子の表面に析出させることにより形成することもできる。
【0023】
また、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面にオキシ水酸化コバルトの層を形成するにあたっては、例えば、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に上記のようにして水酸化コバルトの層を形成した後、これを40℃程度に加熱した過酸化水素水と反応させて、水酸化コバルトを酸化することにより形成することができる。
【0024】
そして、上記のように水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成するにあたり、活物質粒子に対する導電層の量が少ないと、アルカリ蓄電池用ニッケル極の導電性を十分に向上させることができなくなる一方、活物質粒子に対する導電層の量が多くなり過ぎると、アルカリ蓄電池用ニッケル極中における水酸化ニッケルの割合が少なくなって、放電容量が減少する。このため、水酸化ニッケルからなる活物質粒子に対する導電層中におけるコバルト元素の量を、1〜10質量%の範囲にすることが好ましい。
【0025】
また、上記のナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層において、このナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量が多くなり過ぎたり、少なくなり過ぎたりすると、何れの場合においても、ナトリウム含有コバルト酸化物が高温での放電時に水酸化コバルトに還元されやすくなる。このため、上記のナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量を、0.1〜10質量%の範囲にすることが好ましい。
【0026】
また、上記のような導電層が形成された活物質粒子の表面に、チタン又はその化合物の粉末を添加させるにあたり、その添加量が少なくなると、高温環境下において充放電サイクル特性が低下するのを十分に抑制することができなくなる一方、その添加量が多くなり過ぎると、アルカリ蓄電池用ニッケル極中における水酸化ニッケルの割合が少なくなって放電容量が減少する。このため、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に上記の導電層が形成された全体の質量に対して、添加させたチタン又はその化合物の粉末中におけるチタン元素の量が0.2〜4.0質量%の範囲になるようにすることが好ましい。
【0027】
ここで、上記のチタンの化合物としては、例えば、TiO2 ,TiO,Ti2 O3 ,Ti(OH)4 ,Ti(OH)2 ,Ti(OH)3 ,TiO2 ・xH2 O等を用いることができる。
【0028】
また、上記のチタンやその化合物の粉末の粒径が大きくなると、導電層が形成された活物質粒子の表面に対して接触するチタンやその化合物の粉末の面積が少なくなって、十分な効果が得られなくたるため、チタンやその化合物の粉末として、平均粒径が100μm以下のものを用いることが好ましい。
【0029】
さらに、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極においては、上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子中に、亜鉛,コバルト,カルシウム,マグネシウム,アルミニウム,マンガン,イットリウム及びイッテルビウムよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を固溶させ、上記の水酸化ニッケルにおけるニッケルとこれらの元素との総量に対するこれらの元素の割合を10原子%以下にすることが好ましい。このようにすると、固溶させたこれらの元素の作用により、アルカリ電解液中におけるカリウムイオン等が活物質である水酸化ニッケルの結晶中にインターカレーションされるのが抑制され、アルカリ電解液のドライアウトによる充放電容量の低下が抑制されるようになる。特に、亜鉛とコバルトとから選択される少なくとも1種を固溶させた場合には、その作用が大きいため、ドライアウトによる充放電容量の低下がさらに抑制されるようになる。
【0030】
また、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記のようにナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された活物質粒子の表面に対して、チタンやその化合物の粉末の他に、イットリウム,イッテルビウム,カルシウム,アルミニウム,エルビウム,ガドリニウム,ツリウム,ルテチウム,亜鉛,ニオブ,タングステン及びタンタルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素又はその化合物の粉末を添加させると、高温環境下における充放電サイクル特性がより一層向上されるようになる。特に、イットリウム,ニオブ,タングステン及びタンタルよりなる群から選択される少なくとも1種の元素又はその化合物の粉末を添加させると、その作用が大きいため、高温環境下における充放電サイクル特性が著しく向上し、その中でも、イットリウムの化合物として、Y2 O3 を添加させると、さらに高温環境下における充放電サイクル特性が向上する。
【0031】
また、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記のような活物質粒子を含むペーストを塗布させる導電性芯体としては、例えば、ニッケル発泡体、フェルト状金属繊維体、パンチングメタル等を用いることができる。
【0032】
また、上記のようなアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用したアルカリ蓄電池において、高温条件での充電特性を向上させて、過充電時における酸素発生を抑制するためには、カリウムとリチウムとナトリウムとを含むアルカリ電解液を用いることが好ましく、特に、水酸化カリウムを4.0〜10.0mol/l、水酸化リチウムを0.1〜2.0mol/l、水酸化ナトリウムを0.2〜4.0mol/lの割合で含むアルカリ電解液を使用することがより好ましい。
【0033】
なお、上記のようなアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用したアルカリ蓄電池としては、負極に水素吸蔵合金電極を用いたニッケル−水素蓄電池、負極にカドミウム電極を用いたニッケル−カドミウム蓄電池、負極に亜鉛電極を用いたニッケルー亜鉛蓄電池等が挙げられる。
【0034】
【実施例】
以下、この発明に係るアルカリ蓄電池用ニッケル極及びこのアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池について実施例を挙げて具体的に説明すると共に、この実施例におけるアルカリ蓄電池においては、高温での充放電サイクル特性が向上することを比較例を挙げて明らかにする。なお、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池は、下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0035】
(実施例1)
実施例1においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、10.5gの硫酸コバルトを溶解させた1リットルの硫酸コバルト水溶液に、活物質である水酸化ニッケルの粉末を100g加えた。そして、これを攪拌しながら10の水酸化ナトリウム水溶液を加え、この溶液のpHを約11に調整しながら1時間攪拌を続けた後、沈殿物を濾取し、この沈殿物を水洗し、真空乾燥させて、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層が形成された粉末を得た。
【0036】
次いで、水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層が形成された粉末と、25%の水酸化ナトリウム水溶液とを1:10の質量比で混合し、これを90℃で5時間加熱処理した後、これを水洗し、60℃で乾燥させて、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た。
【0037】
ここで、このようにして活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成した場合、活物質である水酸化ニッケル粒子に対する導電層中におけるコバルト元素の量は4質量%であった。
【0038】
また、上記のナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中におけるナトリウムの量を調べるため、上記の場合と同様に、水酸化コバルト粉末と25質量%の水酸化ナトリウム水溶液とを1:10の質量比で混合し、これを90℃で5時間加熱処理した後、これを水洗し、60℃で乾燥させてナトリウム含有コバルト酸化物を作製した。そして、このナトリウム含有コバルト酸化物について原子吸光分析によりナトリウムの量を求めたところ、ナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素Naの量は1質量%であり、また酸化還元滴定により求めたコバルトの価数は3.1であった。
【0039】
そして、上記のようにして表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対して、チタン化合物である平均粒径が1μmのTiO2 粉末を100:3.34の質量比で混合させ、この混合物100質量部に対して、結着剤として1質量%のメチルセルロース水溶液を20質量部加え、これを混練してペーストを調製した。次いで、このペーストを導電性芯体である発泡ニッケル(多孔度95%、平均孔径200μm)に充填し、これを乾燥させ、加圧成型して、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。なお、このアルカリ蓄電池用ニッケル極においては、上記のようにナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の質量に対するチタン元素Tiの量が2質量%になっていた。
【0040】
そして、上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する一方、負極に一般に用いられているペースト式カドミウム極を、セパレータにポリアミド不織布を用い、またアルカリ電解液としては、1リットル中にKOHが336.6g、NaOHが20.0g、LiOH・H2 Oが41.9g溶解された水溶液を用いるようにした。ここで、このアルカリ電解液においては、水酸化カリウムの濃度が6.0mol/l、水酸化ナトリウムの濃度が0.5mol/l、水酸化リチウムの濃度が1.0mol/lになっていた。
【0041】
そして、図1に示すようなAAサイズのアルカリ蓄電池を作製した。
【0042】
ここで、このアルカリ蓄電池を作製するにあたっては、図1に示すように、上記の正極1と負極2との間にセパレータ3を介在させ、これらをスパイラル状に巻いて電池缶4内に収容させた後、この電池缶4内に上記のアルカリ電解液を注液して封口し、正極1を正極リード5を介して正極蓋6に接続させると共に、負極2を負極リード7を介して電池缶4に接続させ、電池缶4と正極蓋6とを絶縁パッキン8により電気的に分離させるようにした。
【0043】
また、正極蓋6と正極外部端子9との間にコイルスプリング10を設け、電池の内圧が異常に上昇した場合には、このコイルスプリング10が圧縮されて電池内部のガスが大気中に放出されるようにした。
【0044】
(実施例2)
実施例2においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た。
【0045】
そして、このように表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対して平均粒径が1μmのTi粉末を100:2の質量比で混合させるようにし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0046】
そして、このように作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例2のアルカリ蓄電池を作製した。
【0047】
(実施例3)
実施例3においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た。
【0048】
そして、このように表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子と、平均粒径が1μmのTiO2 粉末と、平均粒径が1μmのTi粉末とを100:1.67:1の質量比で混合させ、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。なお、このアルカリ蓄電池用ニッケル極においても、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の質量に対するチタン元素Tiの量は2質量%になっていた。
【0049】
そして、上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例3のアルカリ蓄電池を作製した。
【0050】
(比較例1)
比較例1においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末を得る一方、この粉末に対してTiO2 粉末を加えないようにした。
【0051】
そして、上記のように表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層だけが形成された水酸化ニッケル粒子100質量部に対して、結着剤として1質量%のメチルセルロース水溶液を20質量部加え、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0052】
そして、上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例1のアルカリ蓄電池を作製した。
【0053】
(比較例2)
比較例2においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、活物質である水酸化ニッケル粉末と、金属コバルト粉末と、平均粒径が1μmのTiO2 粉末とを100:8:3.34の質量比で混合し、この混合物100質量部に対して、結着剤として1質量%のメチルセルロース水溶液を20質量部加えてペーストを調製し、このペーストを導電性芯体である発泡ニッケル(多孔度95%、平均孔径200μm)に充填し、これを乾燥させ、加圧成型して、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0054】
そして、上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例2のアルカリ蓄電池を作製した。
【0055】
(比較例3)
比較例3においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層を形成した後、水酸化ナトリウム水溶液による処理を行わないようにし、表面に水酸化コバルトの層が形成された水酸化ニッケル粒子を用いるようにした。
【0056】
そして、このように表面に水酸化コバルトの層が形成された水酸化ニッケル粒子と平均粒径が1μmのTiO2 粉末とを100:3.34の質量比で混合し、
その後は、上記の実施例1の場合と同様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0057】
そして、上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用し、それ以外は上記の実施例1の場合と同様にして、比較例3のアルカリ蓄電池を作製した。
【0058】
次に、上記のようにして作製した実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池について、それぞれ25℃の温度条件で、充電電流100mAで16時間充電した後、放電電流1000mAで1.0Vまで放電し、これを1サイクルとして5サイクルの充放電を行い、実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量を求めた。
【0059】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量を100とし、実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池における放電容量の相対指数を容量特性として下記の表1に示した。
【0060】
また、上記のように5サイクルの充放電を行った実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池について、それぞれ60℃の高温条件下において、充電電流500mAで2時間充電した後、放電電流500mAで1.0Vまで放電し、これを1サイクルとする充放電サイクル試験を行い、その放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0061】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池におけるサイクル数を100として、実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池におけるサイクル数の相対指数を充放電サイクル特性として下記の表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
この結果から明らかなように、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成すると共にチタン又はその化合物の粉末を添加させた粉末を用いて作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用した実施例1〜3の各アルカリ蓄電池は、比較例1〜3の各アルカリ蓄電池に比べ、高温条件下における充放電サイクル特性が著しく向上していた。
【0064】
(参考例A1、実施例A2〜A3、参考例A4)
参考例A1、実施例A2〜A3、参考例A4においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層を形成した。
【0065】
そして、このように表面に水酸化コバルトの層が形成された水酸化ニッケル粒子を水酸化ナトリウム水溶液により処理して、水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成するにあたり、参考例A1では5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を、実施例A2では10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を、実施例A3では40質量%の水酸化ナトリウム水溶液を、参考例A4では45質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0066】
ここで、上記のようにして水酸化ニッケル粒子の表面に形成したナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中における各ナトリウムの量を調べるため、水酸化コバルト粉末に対して、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液と、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液と、40質量%の水酸化ナトリウム水溶液と、45質量%の水酸化ナトリウム水溶液とをそれぞれ1:10の質量比で混合し、これらを90℃で5時間加熱処理した後、これらを水洗し、60℃で乾燥させて各ナトリウム含有コバルト酸化物を作製した。そして、このように作製した各ナトリウム含有コバルト酸化物について、原子吸光分析によりナトリウム元素Naの量を求めたところ、参考例A1に対応するものでは0.05質量%、実施例A2に対応するものでは0.1質量%、実施例A3に対応するものでは10質量%、参考例A4に対応するものでは12質量%になっていた。
【0067】
そして、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、参考例A1、実施例A2〜A3、参考例A4の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0068】
次に、上記のようにして作製した参考例A1、実施例A2〜A3、参考例A4の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクルの充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0069】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、参考例A1、実施例A2〜A3、参考例A4の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表2に示した。
【0070】
【表2】
【0071】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量が0.1〜10質量%の範囲になった導電層を設けたアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した実施例1及び実施例A2,A3のアルカリ蓄電池は、ナトリウム元素の量が0.05質量%になった導電層を設けたアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した参考例A1のアルカリ蓄電池に比べて、容量特性及び高温条件下における充放電サイクル特性が優れており、またナトリウム元素の量が12質量%になった導電層を設けたアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した参考例A4のアルカリ蓄電池に比べて、容量特性が優れていた。
【0072】
(参考例B1、実施例B2〜B3、参考例B4)
参考例B1、実施例B2〜B3、参考例B4においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、1リットルの硫酸コバルト水溶液中における硫酸コバルトの量を上記の実施例1の場合と変更し、硫酸コバルトの量を、参考例B1では1.31g、実施例B2では2.63g、実施例B3では26.3g、参考例B4では31.6gにし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0073】
ここで、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極において、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面に形成されたナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中におけるコバルト元素Coの割合は、下記の表3に示すように、活物質である水酸化ニッケル粒子に対して、参考例B1のものでは0.5質量%、実施例B2のものでは1.0質量%、実施例B3のものでは10質量%、参考例B4のものでは12質量%になっていた。
【0074】
そして、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、参考例B1、実施例B2〜B3、参考例B4の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0075】
次に、上記のようにして作製した参考例B1、実施例B2〜B3、参考例B4の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0076】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、参考例B1、実施例B2〜B3、参考例B4の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表3に示した。
【0077】
【表3】
【0078】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中におけるコバルト元素の量が活物質である水酸化ニッケル粒子に対して1〜10質量%の範囲になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例1及び実施例B2,B3のアルカリ蓄電池は、コバルト元素の量が0.5質量%になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた参考例B1のアルカリ蓄電池に比べて、容量特性や高温条件下における充放電サイクル特性が優れており、またコバルト元素の量が12質量%になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた参考例B4のアルカリ蓄電池に比べて、容量特性が優れていた。
【0079】
(参考例C1,C2,実施例C3〜C6,参考例C7)
参考例C1,C2,実施例C3〜C6,参考例C7においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成した。
【0080】
そして、このように表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対して、平均粒径が1μmのTiO2粉末を混合させるにあたり、導電層が形成された水酸化ニッケル粒子と平均粒径が1μmのTiO2粉末との質量比を、参考例C1では100:0.017、参考例C2では100:0.08、実施例C3では100:0.33、実施例C4では100:1.67、実施例C5では100:5.00、実施例C6では100:6.67、参考例C7では100:8.34にし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0081】
ここで、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極において、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の質量に対するチタン元素Tiの割合を求めた結果、下記の表4に示すように、参考例C1では0.01質量%、参考例C2では0.05質量%、実施例C3では0.2質量%、実施例C4では1質量%、実施例C5では3質量%、実施例C6では4質量%、参考例C7では5質量%になっていた。
【0082】
そして、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、参考例C1,C2,実施例C3〜C6,参考例C7の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0083】
次に、上記のようにして作製した参考例C1,C2,実施例C3〜C6,参考例C7の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件て5サイクルの充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件ての1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0084】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、参考例C1,C2,実施例C3〜C6,参考例C7の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表4に示した。
【0085】
【表4】
【0086】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の質量に対するチタン元素の割合が0.2〜4.0質量%の範囲になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例1及び実施例C3〜C6のアルカリ蓄電池は、チタン元素の割合が0.01質量%や0.05質量%になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した参考例C1,C2のアルカリ蓄電池に比べて高温条件下における充放電サイクル特性が優れており、またチタン元素の割合が5質量%になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した参考例C7のアルカリ蓄電池に比べて容量特性が優れていた。
【0087】
(実施例D1〜D5、参考例D6)
実施例D1〜D5、参考例D6においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成した。
【0088】
そして、このように表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対して、TiO2 粉末を100:3.34の質量比になるように混合させるにあたり、平均粒径が異なるTiO2 粉末を用いるようにし、下記の表5に示すように、実施例D1では平均粒径が0.1μm、実施例D2では平均粒径が10μm、実施例D3では平均粒径が20μm、実施例D4では平均粒径が50μm、実施例D5では平均粒径が100μm、実施例D6では平均粒径が150μmのTiO2 粉末を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0089】
そして、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例D1〜D5、参考例D6の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0090】
次に、上記のようにして作製した実施例D1〜D5、参考例D6の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0091】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例D1〜D5、参考例D6の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表5に示した。
【0092】
【表5】
【0093】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対して、平均粒径が100μm以下のTiO2 粉末を添加させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例1及び実施例D1〜D5のアルカリ蓄電池は、平均粒径が150μmのTiO2 粉末を添加させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた参考例D6のアルカリ蓄電池に比べて、高温条件下における充放電サイクル特性が優れていた。
【0094】
(実施例E1〜E15)
実施例E1〜E15においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成した。
【0095】
そして、このように表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対して、平均粒径が1μmのTiO2 粉末を3.34質量部加えると共に、実施例E1ではY粉末を1.00質量部、実施例E2ではY(OH)3 粉末を1.57質量部、実施例E3ではY2 O3 粉末を1.27質量部、実施例E4ではYb2 O3 粉末を1.14質量部、実施例E5ではCa(OH)2 粉末を1.84質量部、実施例E6ではAl(OH)3 粉末を2.89質量部、実施例E7ではEr2 O3 粉末を1.14質量部、実施例E8ではGd2 O3 粉末を1.15質量部、実施例E9ではTm2 O3 粉末を1.14質量部、実施例E10ではLu2 O3 粉末を1.14質量部、実施例E11ではZ
nO粉末を1.24質量部、実施例E12ではNb2 O5 粉末を1.43質量部、実施例E13ではWO3 粉末を1.26質量部、実施例E14ではTa2 O5 粉末を1.22質量部、実施例E15ではY2 O3 粉末を0.63質量部とYb2 O3 粉末を0.57質量部の割合で加えるようにした。
【0096】
ここで、上記のように水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末に対してTiO2 粉末と上記の各化合物の粉末とを混合させた場合、導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の質量に対するチタン元素Tiの割合は、実施例1の場合と同じ2質量%であった。
【0097】
また、導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の質量に対して、上記のように加えた各化合物中におけるイットリウムY,イッテルビウムYb,カルシウムCa,アルミニウムAl,エルビウムEr,ガドリニウムGd,ツリウムTm,ルテチウムLu,亜鉛Zn,ニオブNb,タングステンW,タンタルTaの各元素(M1)の割合は、下記の表6に示すように、実施例E1〜E14においては各元素(M1)の量がそれぞれ1質量%であり、また実施例E15においてはイットリウムY及びイッテルビウムYbの各元素の量がそれぞれ0.5質量%で、合計で1質量%になっていた。
【0098】
そして、それ以外については、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製し、このようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用い、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例E1〜E15の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0099】
次に、上記のようにして作製した実施例E1〜E15の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0100】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例E1〜E15の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表6に示した。
【0101】
【表6】
【0102】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対して、TiO2 粉末と一緒に上記のY粉末等を添加させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した実施例E1〜E15の各アルカリ蓄電池は、上記の実施例1のアルカリ蓄電池よりもさらに高温条件下における充放電サイクル特性が向上していた。特に、イットリウム,ニオブ,タングステン及びタンタルから選択される元素を添加させた実施例E1〜E3,E12〜E15のアルカリ蓄電池においては、高温条件下における充放電サイクル特性がより一層向上していた。その中でも、イットリウム化合物のY2 O3 粉末を添加させた実施例E3,E15のアルカリ蓄電池においては、高温条件下における充放電サイクル特性がさらに向上していた。
【0103】
(実施例F1〜F12)
実施例F1〜F12においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたって、167gの硫酸ニッケルに対し、実施例F1では硫酸アルミニウムAl2 (SO4 )3 を9.71g、実施例F2では硫酸マンガンMnSO4 を8.6g、実施例F3では硫酸コバルトCoSO4 を8.8g、実施例F4では硫酸亜鉛ZnSO4 を9.2g、実施例F5では硫酸カルシウムCaSO4 を9.3g、実施例F6では硫酸マグネシウムMgSO4 を6.83g、実施例F7では硫酸イットリウムY2 (SO4 )3 を13.04g、実施例F8では硫酸イッテル
ビウムYb2 (SO4 )3 を17.98g、実施例F9では硫酸マンガンMnSO4 を18.0g、実施例F10では硫酸マンガンMnSO4 を22.2g、実施例F11では硫酸マンガンMnSO4 を4.2gと硫酸コバルトCoSO4 を4.28g、実施例F12では硫酸コバルトCoSO4 を4.28gと硫酸亜鉛ZnSO4 を4.6g加えるようにした。
【0104】
そして、これらを溶解させた5リットルの各水溶液に、5質量%のアンモニア水溶液と10質量%の水酸化ナトリウム水溶液とを同時に滴下し、pHを約11に保持しながら、これらを反応させた後、沈殿物を濾取し、これを水洗し、乾燥させて、水酸化ニッケル中にAl,Mn,Co,Zn,Ca,Mg,Y,Ybの元素(M2)が固溶された水酸化ニッケル粒子を得た。
【0105】
ここで、水酸化ニッケル中におけるニッケルNiと、固溶されたAl,Mn,
Co,Zn,Ca,Mg,Y,Ybの元素(M2)との総量(Ni+M2)に対する各元素(M2)の原子比率は、下記の表7に示すように、実施例F1〜F8では何れも5原子%、実施例F9では10原子%、実施例F10では12原子%、実施例F11ではMnとCoとがそれぞれ2.5原子%で合計で5原子%、実施例F11ではCoとZnとがそれぞれ2.5原子%で合計で5原子%になっていた。
【0106】
そして、上記の各元素(M2)が固溶された各水酸化ニッケル粒子を用いる以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0107】
また、このようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いる以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0108】
次に、上記のようにして作製した実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0109】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表7に示した。
【0110】
【表7】
【0111】
この結果、アルカリ蓄電池用ニッケル極に上記の各元素(M2)が固溶された水酸化ニッケル粒子を用いた実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池は、上記の実施例1のアルカリ蓄電池よりさらに高温条件下における充放電サイクル特性が優れていた。特に、亜鉛やコバルトを固溶させた実施例F3,F4,F12のアルカリ蓄電池においては、高温条件下における充放電サイクル特性がより一層向上していた。但し、M2(本実施例ではMn)の固溶量が12原子%と多くなった実施例F10のアルカリ蓄電池においては容量特性が低下していた。
【0112】
(実施例G1〜G12)
実施例G1〜G12においては、上記の実施例1のアルカリ蓄電池において使用するアルカリ電解液の種類だけを変更し、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例G1〜G12の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0113】
ここで、実施例G1〜G12においては、アルカリ電解液1リットル中に溶解させるKOH,NaOH,LiOH・H2 Oの量を、実施例1の場合と変更し、実施例G1ではKOHを336.6g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを0.42gにし、実施例G2ではKOHを336.6g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを4.19gにし、実施例G3ではKOHを336.6g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを83.8gにし、実施例G4ではKOHを336.6g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを92.0gにし、実施例G5ではKOHを336.6g,NaOHを4.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G6ではKOHを336.6g,NaOHを8.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G7ではKOHを336.6g,NaOHを160.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G8ではKOHを336.6g,NaOHを168.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G9ではKOHを168.3g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G10ではKOHを224.4g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G11ではKOHを561.0g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G12ではKOHを673.2g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにした。そして、この実施例G1〜G12において用いたアルカリ電解液中におけるKOH、NaOH、LiOHの各濃度(mol/l)を下記の表8に示した。
【0114】
次に、上記のようにして作製した実施例G1〜G12の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0115】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例G1〜G12の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表8に示した。
【0116】
【表8】
【0117】
この結果、アルカリ電解液中におけるKOHの濃度が4.0〜10.0mol/l、NaOHの濃度が0.2〜4.0mol/l、LiOHの濃度が0.1〜2.0mol/lの範囲になったアルカリ電解液を用いた実施例1及び実施例G2,G3,G6,G7,G10,G11の各アルカリ蓄電池は、アルカリ電解液中におけるKOH、NaOH、LiOHの各モル濃度が上記の範囲になっていない実施例G1,G4,G5,G8,G9,G12のアルカリ蓄電池より高温条件下における充放電サイクル特性が優れていた。
【0118】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明においては、水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成すると共に、上記のペースト中にチタン又はその化合物の粉末を添加させ、上記のナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量を0.1〜10質量%の範囲とし、上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子に対して、上記のナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中におけるコバルト元素の量を1〜10質量%の範囲とし、上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に上記の導電層が形成された全体の質量に対して、上記のペースト中に添加されたチタン又はその化合物の粉末中におけるチタン元素の量を0.2〜4.0質量%の範囲とし、上記のチタン又はその化合物の粉末の平均粒径を100μm以下にしたため、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層により電極内における集電性が高くなって、活物質の利用率が向上すると共に、高温環境下において充放電させた場合において、その放電時にこのナトリウム含有コバルト酸化物が水酸化コバルトに還元されてアルカリ蓄電池におけるアルカリ電解液中に溶解するのが抑制されるようになった。また、放電時にナトリウム含有コバルト酸化物の一部が水酸化コバルトに還元されたとしても、上記のチタン又はその化合物の作用により、水酸化コバルトがアルカリ電解液中に溶解して析出する速度が遅くなり、水酸化コバルトが活物質粒子の表面において偏析するのが防止されると共に、水酸化コバルトの一部が活物質粒子の細孔内に拡散するのも抑制されるようになった。
【0119】
この結果、このようなアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池においては、十分な電池容量が得られると共に、高温環境下において充放電サイクル特性が著しく向上した。
【0120】
また、このアルカリ蓄電池において、カリウムとリチウムとナトリウムとを含むアルカリ電解液を用い、特に、水酸化カリウムが4.0〜10.0mol/l、水酸化リチウムが0.1〜2.0mol/l、水酸化ナトリウムが0.2〜4.0mol/lの割合で含まれるアルカリ電解液を用いると、高温環境下において充放電サイクル特性がさらに向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例及び比較例において作製したアルカリ蓄電池の概略断面図である。
【符号の説明】
1 正極(ニッケル極)
2 負極
Claims (9)
- 水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル極において、
上記の活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成されると共に、上記のペースト中にチタン又はその化合物の粉末が添加されており、
上記のナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量が0.1〜10質量%の範囲であり、
上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子に対して、上記のナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中におけるコバルト元素の量が1〜10質量%の範囲であり、
上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に上記の導電層が形成された全体の質量に対して、上記のペースト中に添加されたチタン又はその化合物の粉末中におけるチタン元素の量が0.2〜4.0質量%の範囲であり、
上記のチタン又はその化合物の粉末の平均粒径が100μm以下である、
ことを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。 - 請求項1に記載したアルカリ蓄電池用ニッケル極において、前記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子中に、亜鉛,コバルト,カルシウム,マグネシウム,アルミニウム,マンガン,イットリウム及びイッテルビウムよりなる群から選択される少なくとも1種の元素が固溶され、上記の水酸化ニッケルにおけるニッケルとこの元素との総量に対して、この元素の割合が10原子%以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。
- 請求項2に記載したアルカリ蓄電池用ニッケル極において、
前記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子中に、亜鉛とコバルトとから選択される少なくとも1種の元素が固溶されていることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載したアルカリ蓄電池用ニッケル極において、前記のチタン又はその化合物の粉末の他に、イットリウム,イッテルビウム,カルシウム,アルミニウム,エルビウム,ガドリニウム,ツリウム,ルテチウム,亜鉛,ニオブ,タングステン及びタンタルよりなる群から選択される少なくとも1種の元素又はその化合物の粉末が添加されていることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。
- 請求項4に記載したアルカリ蓄電池用ニッケル極において、
前記のチタン又はその化合物の粉末の他に、イットリウム,ニオブ,タングステン及びタンタルよりなる群から選択される少なくとも1種の元素又はその化合物の粉末が添加されていることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。 - 請求項5に記載したアルカリ蓄電池用ニッケル極において、イットリウムの化合物の粉末としてY2 O3 粉末を添加させたことを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたことを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項7に記載したアルカリ蓄電池において、カリウムとリチウムとナトリウムとを含むアルカリ電解液を用いたことを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項8に記載したアルカリ蓄電池において、上記のアルカリ電解液が、水酸化カリウムを4.0〜10.0mol/l、水酸化リチウムを0.1〜2.0mol/l、水酸化ナトリウムを0.2〜4.0mol/lの割合で含むことを特徴とするアルカリ蓄電池。
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