JP4458713B2 - アルカリ蓄電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−亜鉛蓄電池等のアルカリ蓄電池及びこのようなアルカリ蓄電池の正極に使用するアルカリ蓄電池用ニッケル極に係り、特に、水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を改善して、高温環境下におけるアルカリ蓄電池の充放電サイクル特性を向上させた点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池に代表されるアルカリ蓄電池においては、その正極として、一般に水酸化ニッケルを活物質に用いたアルカリ蓄電池用ニッケル極が使用されていた。
【0003】
ここで、このようなアルカリ蓄電池用ニッケル極においては、活物質として使用する水酸化ニッケルの導電性が低いため、一般に、芯金となる穿孔鋼鈑等にニッケル粉末を充填させて焼結させた焼結基板に、活物質である水酸化ニッケルを含浸させた焼結式のニッケル極が用いられていた。
【0004】
しかし、このような焼結式のニッケル極の場合、ニッケル粉末における粒子間の結合が弱く、基板における多孔度を高くすると、ニッケル粉末が脱落しやすくなる。このため、実用上、基板の多孔度を80%程度とするのが限界で、活物質の水酸化ニッケルを多くの充填させることができず、容量の大きなアルカリ蓄電池を得ることが困難であった。
【0005】
また、上記の焼結式ニッケル極の場合、穿孔鋼板等の芯金を使用するため、一般に活物質の充填密度が小さく、さらに、焼結により形成されたニッケル粉末の細孔は10μm以下と小さいため、活物質を充填させるにあたっては、煩雑な工程を数サイクルも繰り返す溶液含浸法を用いなければならず、その生産性が悪い等の問題というもあった。
【0006】
このため、水酸化ニッケルからなる活物質粒子にメチルセルロース等の結合剤の水溶液を加えて混練させたペーストを、発泡ニッケル等の多孔度の大きい導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極が用いられるようになった。
【0007】
ここで、このようなペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極の場合、多孔度が95%以上の導電性芯体を用いることができ、導電性芯体に多くの活物質を充填させて、容量の大きなアルカリ蓄電池を得ることができると共に、導電性芯体に対して活物質を簡単に充填させることができ、生産性も向上した。
【0008】
しかし、このようなペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極において、導電性芯体に多くの活物質を充填させるために、多孔度の大きい導電性芯体を用いると、この導電性芯体における集電性が悪くなって、活物質の利用率が低下するという問題があった。
【0009】
このため、近年においては、このようなペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子に、導電剤として、金属コバルト、コバルトの酸化物や水酸化物からなるコバルト化合物を添加し、充電により上記の金属コバルトやコバルト化合物をオキシ水酸化コバルトβ−CoOOHに酸化させ、これにより電極内における導電性を高めて、活物質の利用率を向上させることが行われるようになった。
【0010】
しかし、このように水酸化ニッケルからなる活物質粒子に、導電剤として金属コバルトやコバルト化合物を添加させた場合においても、このペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極をアルカリ蓄電池の正極に用い、高温環境下において充電させると、正極における酸素発生過電圧が低くなり、水酸化ニッケルをオキシ水酸化ニッケルに酸化させる充電反応以外に、副反応として酸素発生反応が起こり、充電特性が低下するという問題があった。
【0011】
このため、最近においては、ペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極において、特開平8−222213号公報に示されるように、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に、金属コバルトやコバルト化合物からなる導電剤を添加させると共にニオブ化合物等を添加し、このニオブ化合物等により正極における酸素発生過電圧を高めて、高温での充電特性を向上させるようにしたものが提案されている。
【0012】
しかし、このように水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に、金属コバルトやコバルト化合物からなる導電剤の他にニオブ化合物等を添加したペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた場合においても、高温環境下において充放電を行うと、放電時における放電深度が深くなるため、前記のように金属コバルトやコバルト化合物が酸化されたオキシ水酸化コバルトが水酸化コバルトに還元され、この水酸化コバルトがアルカリ蓄電池におけるアルカリ電解液中に溶解した後、これが活物質粒子の表面に析出するようになる。
【0013】
そして、上記のように水酸化コバルトがアルカリ電解液中に溶解して析出する場合、その速度が早いため、高温環境下において充放電を何度も繰り返して行うと、水酸化コバルトが水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に均一に析出されなくなって、水酸化コバルトが活物質粒子の表面において偏析すると共に、水酸化コバルトの一部が活物質粒子の細孔内に拡散し、これによりアルカリ蓄電池用ニッケル極における導電性が次第に低下し、高温環境下における充放電サイクル特性が悪くなるという問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル極及びこのアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0015】
すなわち、この発明においては、上記のようなアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池を、高温環境下において充放電させた場合において、このアルカリ蓄電池の放電容量が低下するのを抑制し、高温環境下における充放電サイクル特性を向上させることを課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明におけるアルカリ蓄電池においては、上記のような課題を解決するため、正極と負極と、カリウムとリチウムとナトリウムとを含むアルカリ電解液とを備えたアルカリ蓄電池において、前記正極は水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル極であって、上記の活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成すると共に、ニオブ又はその化合物の粉末を添加させ、上記のナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量を0.1〜10重量%の範囲にした。
【0017】
そして、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極のように、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を設けると、このナトリウム含有コバルト酸化物の電気伝導率が金属コバルトやコバルト化合物を用いた場合に比べて高いため、電極内における集電性が高くなり、活物質の利用率が向上する。
【0018】
また、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極のように、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を設けると共にニオブ又はその化合物の粉末を添加させると、このアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いたアルカリ蓄電池を高温環境下において充放電させた場合においても、放電時にこのナトリウム含有コバルト酸化物が水酸化コバルトに還元されて、アルカリ蓄電池におけるアルカリ電解液中に溶解するのが抑制される。また、ナトリウム含有コバルト酸化物の一部が水酸化コバルトに還元されたとしても、上記のニオブ又はその化合物の作用により、水酸化コバルトがアルカリ電解液中に溶解して析出する速度が遅くなり、水酸化コバルトが活物質粒子の表面において偏析するのが防止されると共に、水酸化コバルトの一部が活物質粒子の細孔内に拡散するのも抑制され、高温環境下における充放電サイクル特性が向上する。
【0019】
そして、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極において、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成するにあたっては、活物質粒子に対して、金属コバルト粉末や、水酸化コバルト粉末や、一酸化コバルト粉末や、オキシ水酸化コバルト粉末を混合させ、或いは活物質粒子の表面に金属コバルトや、水酸化コバルトや、一酸化コバルトや、オキシ水酸化コバルトの層を形成し、その後、これに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、酸素存在下において50〜200℃の温度で加熱処理することによって形成することができる。
【0020】
ここで、上記のように加熱処理する温度を50〜200℃にするのは、加熱処理する温度が50℃未満の場合には、電気伝導性の低いCoHO2 が析出する一方、加熱処理する温度が200℃を超えた場合には、電気伝導性の低い四酸化三コバルトCo3 O4 が析出し、何れの場合にも導電性の高い導電層が得られなくなるためである。なお、活物質粒子の表面にオキシ水酸化コバルトの粒子を添加させたり、オキシ水酸化コバルトの層を形成した場合には、50℃未満の温度で加熱処理してもCoHO2 が析出することはないが、ナトリウムが含有されにくくなって導電性の高い導電層が得られなくなる。ここで、上記のように加熱処理する時間については特に限定されず、使用する水酸化ナトリウムの濃度や加熱処理する温度等によって適宜変更させるようにし、一般的には0.5〜10時間加熱処理させるようにする。
【0021】
そして、上記のようにして水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成した場合、このナトリウム含有コバルト酸化物の化学的構造は定かではないが、極めて高い電気伝導性を有することから、コバルト酸化物とナトリウムとの単なる混合物ではなく、コバルト酸化物の結晶中にナトリウムが挿入された構造になった層間化合物であると考えられる。
【0022】
また、上記のように水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に、金属コバルトや水酸化コバルトや一酸化コバルトの層を形成するにあたっては、水酸化ニッケル粉末に対して、金属コバルト粉末や水酸化コバルト粉末や一酸化コバルト粉末を加え、これを不活性ガス雰囲気中において、圧縮磨砕粉砕機により乾式混合するメカニカルチャージ法によって形成することができる。
【0023】
また、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に水酸化コバルトの層を形成するにあたっては、硫酸コバルト等のコバルト塩の水溶液に水酸化ニッケル粉末を添加し、これを撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を滴下してpHを11程度にし、その後、これを撹拌しながら所定時間反応させて、水酸化コバルトを水酸化ニッケル粒子の表面に析出させることにより形成することもできる。
【0024】
また、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面にオキシ水酸化コバルトの層を形成するにあたっては、例えば、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に上記のようにして水酸化コバルトの層を形成した後、これを40℃程度に加熱した過酸化水素水と反応させて、水酸化コバルトを酸化することにより形成することができる。
【0025】
そして、上記のように水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成するにあたり、活物質粒子に対する導電層の量が少ないと、アルカリ蓄電池用ニッケル極の導電性を十分に向上させることができなくなる一方、活物質粒子に対する導電層の量が多くなり過ぎると、アルカリ蓄電池用ニッケル極中における水酸化ニッケルの割合が少なくなって、放電容量が減少する。このため、水酸化ニッケルからなる活物質粒子に対する導電層中におけるコバルト元素の量を、1〜10重量%の範囲にすることが好ましい。
【0026】
また、上記のナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層において、このナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量が多くなり過ぎたり、少なくなり過ぎたりすると、何れの場合においても、ナトリウム含有コバルト酸化物が高温での放電時に水酸化コバルトに還元されやすくなる。このため、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極においては、上記のようにナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量を、0.1〜10重量%の範囲にした。
【0027】
また、上記のような導電層が形成された活物質粒子の表面に、ニオブ又はその化合物の粉末を添加させるにあたり、その添加量が少なくなると、高温環境下において充放電サイクル特性が低下するのを十分に抑制することができなくなる一方、その添加量が多くなり過ぎると、アルカリ蓄電池用ニッケル極中における水酸化ニッケルの割合が少なくなって放電容量が減少する。このため、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に上記の導電層が形成された全体の重量に対して、添加させたニオブ又はその化合物の粉末中におけるニオブ元素の量が0.2〜4.0重量%の範囲になるようにすることが好ましい。
【0028】
ここで、上記のニオブの化合物としては、例えば、Nb2 O5 ,Nb2 O3 ,NbO,NbO2 ,NaNbO3 ,LiNbO3 ,KNbO3 ,Nb2 O5 ・xH2 O等を用いることができる。
【0029】
また、上記のニオブやその化合物の粉末の粒径が大きくなると、導電層が形成された活物質粒子の表面に対して接触するニオブやその化合物の粉末の面積が少なくなって、十分な効果が得られなくなるため、ニオブやその化合物の粉末として、平均粒径が100μm以下のものを用いることが好ましい。
【0030】
さらに、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極においては、上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子中に、亜鉛,コバルト,カルシウム,マグネシウム,アルミニウム,マンガン,イットリウム及びイッテルビウムよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を固溶させ、上記の水酸化ニッケルにおけるニッケルとこれらの元素との総量に対するこれらの元素の割合を10原子%以下にすることが好ましい。このようにすると、固溶させたこれらの元素の作用により、アルカリ電解液中におけるカリウムイオン等が活物質である水酸化ニッケルの結晶中にインターカレーションされるのが抑制され、アルカリ電解液のドライアウトによる充放電容量の低下が抑制されるようになる。特に、亜鉛,コバルトから選択される少なくとも1種を固溶させた場合には、その作用が大きいため、ドライアウトによる充放電容量の低下がさらに抑制されるようになる。
【0031】
また、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記のようにナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された活物質粒子の表面に対して、ニオブやその化合物の粉末の他に、イットリウム,イッテルビウム,カルシウム,アルミニウム,エルビウム,ガドリニウム,ツリウム,ルテチウム及び亜鉛よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素又はその化合物の粉末を添加させると、高温環境下における充放電サイクル特性がより一層向上されるようになる。特に、イットリウム又はその化合物を添加させると、その作用が大きいため、高温環境下における充放電サイクル特性が著しく向上し、なかでもイットリウムの化合物としてY2 O3 を用いることがより好ましい。
【0032】
また、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記のような活物質粒子を含むペーストを塗布させる導電性芯体としては、例えば、ニッケル発泡体、フェルト状金属繊維体、パンチングメタル等を用いることができる。
【0033】
また、上記のようなアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用したアルカリ蓄電池において、高温条件での充電特性を向上させて、過充電時における酸素発生を抑制するためには、カリウムとリチウムとナトリウムとを含むアルカリ電解液を用いることが好ましく、特に、水酸化カリウムを4.0〜10.0mol/l、水酸化リチウムを0.1〜2.0mol/l、水酸化ナトリウムを0.2〜4.0mol/lの割合で含むアルカリ電解液を使用することがより好ましい。
【0034】
なお、上記のようなアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用したアルカリ蓄電池としては、負極に水素吸蔵合金電極を用いたニッケル−水素蓄電池、負極にカドミウム電極を用いたニッケル−カドミウム蓄電池、負極に亜鉛電極を用いたニッケル−亜鉛蓄電池等が挙げられる。
【0035】
【実施例】
以下、この発明に係るアルカリ蓄電池用ニッケル極及びこのアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池について実施例を挙げて具体的に説明すると共に、この実施例におけるアルカリ蓄電池においては、高温での充放電サイクル特性が向上することを比較例を挙げて明らかにする。なお、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池は、下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0036】
(実施例1)
実施例1においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、10.5gの硫酸コバルトを溶解させた1リットルの硫酸コバルト水溶液に、活物質である水酸化ニッケルの粉末を100g加えた。そして、これを撹拌しながら10重量%の水酸化ナトリウム水溶液を加え、この溶液のpHを約11に調整しながら1時間撹拌を続けた後、沈殿物を濾取し、この沈殿物を水洗し、真空乾燥させて、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層が形成された粉末を得た。
【0037】
次いで、水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層が形成された粉末と、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液とを1:10の重量比で混合し、これを90℃で5時間加熱処理した後、これを水洗し、60℃で乾燥させて、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た。
【0038】
ここで、このようにして活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成した場合、活物質である水酸化ニッケル粒子に対する導電層中におけるコバルト元素の量は4重量%であった。
【0039】
また、上記のナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中におけるナトリウムの量を調べるため、上記の場合と同様に、水酸化コバルト粉末と25重量%の水酸化ナトリウム水溶液とを1:10の重量比で混合し、これを90℃で5時間加熱処理した後、これを水洗し、60℃で乾燥させてナトリウム含有コバルト酸化物を作製した。そして、このナトリウム含有コバルト酸化物について原子吸光分析によりナトリウムの量を求めたところ、ナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素Naの量は1重量%であり、また酸化還元滴定により求めたコバルトの価数は3.1であった。
【0040】
そして、上記のようにして水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末に対して、ニオブ化合物である平均粒径が1μmのNb2 O5 粉末を100:2.9の重量比で混合させ、この混合物100重量部に対して、結着剤として1重量%のメチルセルロース水溶液を20重量部加え、これを混練してペーストを調製した。
【0041】
次いで、このペーストを導電性芯体である発泡ニッケル(多孔度95%、平均孔径200μm)に充填し、これを乾燥させ、加圧成型して、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。なお、このアルカリ蓄電池用ニッケル極においては、上記のようにナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の重量に対するニオブ元素Nbの量が2重量%になっていた。
【0042】
そして、上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する一方、負極に一般に用いられているペースト式カドミウム極を、セパレータにポリアミド不織布を用い、またアルカリ電解液としては、1リットル中にKOHが336.6g、NaOHが20.0g、LiOH・H2 Oが41.9g溶解された水溶液を用いるようにした。ここで、このアルカリ電解液においては、水酸化カリウムの濃度が6.0mol/l、水酸化ナトリウムの濃度が0.5mol/l、水酸化リチウムの濃度が1.0mol/lになっていた。
【0043】
そして、図1に示すようなAAサイズのアルカリ蓄電池を作製した。
【0044】
ここで、このアルカリ蓄電池を作製するにあたっては、図1に示すように、上記の正極1と負極2との間にセパレータ3を介在させ、これらをスパイラル状に巻いて電池缶4内に収容させた後、この電池缶4内に上記のアルカリ電解液を注液して封口し、正極1を正極リード5を介して正極蓋6に接続させると共に、負極2を負極リード7を介して電池缶4に接続させ、電池缶4と正極蓋6とを絶縁パッキン8により電気的に分離させるようにした。
【0045】
また、正極蓋6と正極外部端子9との間にコイルスプリング10を設け、電池の内圧が異常に上昇した場合には、このコイルスプリング10が圧縮されて電池内部のガスが大気中に放出されるようにした。
【0046】
(実施例2)
実施例2においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た後、この粉末に対して平均粒径が1μmのNb粉末を100:2の重量比で混合させるようにし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0047】
そして、正極に上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例2のアルカリ蓄電池を作製した。
【0048】
(実施例3)
実施例3においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た。そして、この粉末と、平均粒径が1μmのNb2 O5 粉末と、平均粒径が1μmのNb粉末とを100:1.45:1の重量比で混合させ、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。なお、このアルカリ蓄電池用ニッケル極においても、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の重量に対するニオブ元素Nbの量は2重量%になっていた。
【0049】
そして、正極に上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例3のアルカリ蓄電池を作製した。
【0050】
(比較例1)
比較例1においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た後、この粉末にNb2 O5 粉末を加えないようにした。そして、上記の粉末100重量部に対して、結着剤として1重量%のメチルセルロース水溶液を20重量部加え、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0051】
そして、正極に上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例1のアルカリ蓄電池を作製した。
【0052】
(比較例2)
比較例2においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、活物質である水酸化ニッケル粉末と、金属コバルト粉末と、平均粒径が1μmのNb2 O5 粉末とを100:8.9:2.9の重量比で混合し、この混合物100重量部に対して、結着剤として1重量%のメチルセルロース水溶液を20重量部加え、その後は、上記の実施例1の場合と同様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0053】
そして、正極に上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例2のアルカリ蓄電池を作製した。
【0054】
(比較例3)
比較例3においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層が形成された粉末を得た後、この粉末に対して水酸化ナトリウム水溶液による処理を行わないようにした。そして、水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層が形成された粉末と平均粒径が1μmのNb2 O5 粉末とを100:2.9の重量比で混合し、その後は、上記の実施例1の場合と同様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0055】
そして、正極に上記のようにして作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例3のアルカリ蓄電池を作製した。
【0056】
次に、上記のようにして作製した実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池について、それぞれ25℃の温度条件で、充電電流100mAで16時間充電した後、放電電流1000mAで1.0Vまで放電し、これを1サイクルとして5サイクルの充放電を行い、実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量を求めた。
【0057】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量を100とし、実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池における放電容量の相対指数を容量特性として下記の表1に示した。
【0058】
また、上記のように5サイクルの充放電を行った実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池について、それぞれ60℃の高温条件下において、充電電流500mAで2時間充電した後、放電電流500mAで1.0Vまで放電し、これを1サイクルとする充放電サイクル試験を行い、その放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0059】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池におけるサイクル数を100として、実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池におけるサイクル数の相対指数を充放電サイクル特性として下記の表1に示した。
【0060】
【表1】
【0061】
この結果から明らかなように、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成すると共にニオブ又はその化合物の粉末を添加させた粉末を用いて作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用した実施例1〜3の各アルカリ蓄電池は、比較例1〜3の各アルカリ蓄電池に比べ、高温条件下における充放電サイクル特性が著しく向上していた。
【0062】
(実施例A1,A2及び比較例a1,a2)
実施例A1,A2及び比較例a1,a2においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層が形成された粉末を得た後、この粉末を水酸化ナトリウム水溶液を用いて処理し、水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成するにあたり、比較例a1では5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、実施例A1では10重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、実施例A2では40重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、比較例a2では45重量%の水酸化ナトリウム水溶液を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0063】
ここで、上記のようにして形成したナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中における各ナトリウムの量を調べるため、水酸化コバルト粉末に対して、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液と、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液と、40重量%の水酸化ナトリウム水溶液と、45重量%の水酸化ナトリウム水溶液とをそれぞれ1:10の重量比で混合し、これらを90℃で5時間加熱処理した後、これらを水洗し、60℃で乾燥させて各ナトリウム含有コバルト酸化物を作製した。そして、このように作製した各ナトリウム含有コバルト酸化物について、原子吸光分析によりナトリウム元素Naの量を求めたところ、比較例a1に対応するものでは0.05重量%、実施例A1に対応するものでは0.1重量%、実施例A2に対応するものでは10重量%、比較例a2に対応するものでは12重量%になっていた。
【0064】
そして、正極に上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例A1,A2及び比較例a1,a2の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0065】
次に、上記のようにして作製した実施例A1,A2及び比較例a1,a2の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクルの充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0066】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例A1,A2及び比較例a1,a2の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表2に示した。
【0067】
【表2】
【0068】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量が0.1〜10重量%の範囲になった導電層を設けたアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した実施例1及び実施例A1,A2のアルカリ蓄電池は、ナトリウム元素の量が上記の範囲外になった導電層を設けたアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した比較例a1,a2のアルカリ蓄電池に比べて、容量特性及び高温条件下における充放電サイクル特性が優れていた。
【0069】
(実施例B1〜B4)
実施例B1〜B4においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、1リットルの硫酸コバルト水溶液中における硫酸コバルトの量を上記の実施例1の場合と変更し、硫酸コバルトの量を、実施例B1では1.31g、実施例B2では2.63g、実施例B3では26.3g、実施例B4では31.6gにし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0070】
ここで、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極において、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面に形成されたナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中におけるコバルト元素Coの割合は、下記の表3に示すように、活物質である水酸化ニッケル粒子に対して、実施例B1のものでは0.5重量%、実施例B2のものでは1.0重量%、実施例B3のものでは10重量%、実施例B4のものでは12重量%になっていた。
【0071】
そして、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例B1〜B4の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0072】
次に、上記のようにして作製した実施例B1〜B4の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0073】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例B1〜B4の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表3に示した。
【0074】
【表3】
【0075】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層中におけるコバルト元素の量が活物質である水酸化ニッケル粒子に対して1〜10重量%の範囲になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例1及び実施例B2,B3のアルカリ蓄電池は、コバルト元素の量が0.5重量%になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例B1のアルカリ蓄電池に比べて、容量特性や高温条件下における充放電サイクル特性が優れており、またコバルト元素の量が12重量%になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例B4のアルカリ蓄電池に比べて、容量特性が優れていた。
【0076】
(実施例C1〜C7)
実施例C1〜C7においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た。
【0077】
そして、このように導電層が形成された粉末に対して平均粒径が1μmのNb2 O5 粉末を混合させるにあたり、導電層が形成された上記の粉末と平均粒径が1μmのNb2 O5 粉末との重量比を、実施例C1では100:0.01、実施例C2では100:0.07、実施例C3では100:0.29、実施例C4では100:1.45、実施例C5では100:4.3、実施例C6では100:5.7、実施例C7では100:7.2にし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0078】
ここで、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極において、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の重量に対するニオブ元素Nbの割合を求めた結果、下記の表4に示すように、実施例C1では0.01重量%、実施例C2では0.05重量%、実施例C3では0.2重量%、実施例C4では1重量%、実施例C5では3重量%、実施例C6では4重量%、実施例C7では5重量%になっていた。
【0079】
そして、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例C1〜C7の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0080】
次に、上記のようにして作製した実施例C1〜C7の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件て5サイクルの充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件ての1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0081】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例C1〜C7の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表4に示した。
【0082】
【表4】
【0083】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の重量に対するニオブ元素の割合が0.2〜4.0重量%の範囲になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例1及び実施例C3〜C6のアルカリ蓄電池は、ニオブ元素の割合が0.01重量%や0.05重量%になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した実施例C1,C2のアルカリ蓄電池に比べて高温条件下における充放電サイクル特性が優れており、またニオブ元素の割合が5重量%になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した実施例C7のアルカリ蓄電池に比べて容量特性が優れていた。
【0084】
(実施例D1〜D6)
実施例D1〜D6においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た。
【0085】
そして、このように導電層が形成された粉末に対してNb2 O5 粉末を100:2.9の重量比になるように混合させるにあたり、平均粒径が異なるNb2 O5 粉末を用いるようにした。ここで、下記の表5に示すように、実施例D1では平均粒径が0.1μm、実施例D2では平均粒径が10μm、実施例D3では平均粒径が20μm、実施例D4では平均粒径が50μm、実施例D5では平均粒径が100μm、実施例D6では平均粒径が150μmのNb2 O5 粉末を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
【0086】
そして、上記のようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例D1〜D6の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0087】
次に、上記のようにして作製した実施例D1〜D6の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0088】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例D1〜D6の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表5に示した。
【0089】
【表5】
【0090】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対して、平均粒径が100μm以下のNb2 O5 粉末を添加させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例1及び実施例D1〜D5のアルカリ蓄電池は、平均粒径が150μmのNb2 O5 粉末を添加させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例D6のアルカリ蓄電池に比べて、高温条件下における充放電サイクル特性が優れていた。
【0091】
(実施例E1〜E12)
実施例E1〜E12においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成した。
【0092】
そして、このようにナトリウム含有コバルト酸化物の導電層が形成された水酸化ニッケル粒子100重量部に対して、平均粒径が1μmのNb2 O5 粉末を2.9重量部加えると共に、実施例E1ではY2 O3 粉末を1.27重量部、実施例E2ではY粉末を1.00重量部、実施例E3ではY(OH)3 粉末を1.57重量部、実施例E4ではYb2 O3 粉末を1.14重量部、実施例E5ではCa(OH)2 粉末を1.84重量部、実施例E6ではAl(OH)3 粉末を2.89重量部、実施例E7ではEr2 O3 粉末を1.14重量部、実施例E8ではGd2 O3 粉末を1.15重量部、実施例E9ではTm2 O3 粉末を1.14重量部、実施例E10ではLu2 O3 粉末を1.14重量部、実施例E11ではZnO粉末を1.24重量部、実施例E12ではY2 O3 粉末を0.63重量部とYb2 O3 粉末を0.57重量部の割合で加えるようにした。
【0093】
ここで、上記のように表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対してNb2 O5 粉末と上記の各化合物の粉末とを混合させた場合、導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の重量に対するニオブ元素Nbの割合は、実施例1の場合と同じ2重量%であった。
【0094】
また、導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の重量に対して、上記のように加えた各化合物中におけるイットリウムY,イッテルビウムYb,カルシウムCa,アルミニウムAl,エルビウムEr,ガドリニウムGd,ツリウムTm,ルテチウムLu,亜鉛Znの各元素(M1)の割合は、下記の表6に示すように、実施例E1〜E11においては各元素(M1)の量がそれぞれ1重量%であり、また実施例E12においてはイットリウムY及びイッテルビウムYbの各元素の量がそれぞれ0.5重量%で、合計で1重量%になっていた。
【0095】
そして、それ以外については、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製し、このようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用い、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例E1〜E12の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0096】
次に、上記のようにして作製した実施例E1〜E12の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0097】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例E1〜E12の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表6に示した。
【0098】
【表6】
【0099】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対して、Nb2 O5 粉末と一緒に上記のY2 O3 粉末等を添加させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した実施例E1〜E12の各アルカリ蓄電池は、上記の実施例1のアルカリ蓄電池よりさらに高温条件下における充放電サイクル特性が優れており、特に、イットリウム又はその化合物を添加させた実施例E1,E2,E3,E12の各アルカリ蓄電池においては、高温条件下における充放電サイクル特性がさらに向上していた。
【0100】
(実施例E1.1〜E1.8)
実施例E1.1〜E1.8においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子を得た後、このように導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対して、上記の実施例E1の場合と同様に、平均粒径が1μmのNb2 O5 粉末とY2 O3 粉末とを混合させるようにした。
【0101】
ここで、この実施例E1.1〜E1.8においては、上記のように導電層が形成された水酸化ニッケル粒子にNb2 O5 粉末とY2 O3 粉末とを混合させるにあたり、これらの添加量を上記の実施例E1の場合と変更し、導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の重量に対するニオブ元素Nbとイットリウム元素Yの量を、下記の表7に示すように、実施例E1.1ではNbとYとがそれぞれ0.05重量%で合計量が0.1重量%、実施例E1.2ではNbとYとがそれぞれ0.1重量%で合計量が0.2重量%、実施例E1.3ではNbとYとがそれぞれ0.2重量%で合計量が0.4重量%、実施例E1.4ではNbとYとがそれぞれ0.3重量%で合計量が0.6重量%、実施例E1.5ではNbとYとがそれぞれ0.5重量%で合計量が1重量%、実施例E1.6ではNbとYとがそれぞれ1重量%で合計量が2重量%、実施例E1.7ではNbとYとがそれぞれ2重量%で合計量が4重量%、実施例E1.8ではNbとYとがそれぞれ3重量%で合計量が6重量%になるようにした。
【0102】
そして、それ以外については、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製し、このようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用い、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例E1.1〜E1.8の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0103】
次に、上記のようにして作製した実施例E1.1〜E1.8の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0104】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例E1.1〜E1.8の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表7に示した。
【0105】
【表7】
【0106】
この結果、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対してNb2 O5 粉末とY2 O3 粉末とを添加させるにあたり、導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対するニオブ元素とイットリウム元素との合計量が0.1重量%以下になると、アルカリ蓄電池の高温条件下における充放電サイクル特性が低下し、またニオブ元素とイットリウム元素との合計量が6重量%以上になると、容量特性が低下した。
【0107】
このため、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対してNb2 O5 粉末とY2 O3 粉末とを添加させる場合、導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対するニオブ元素Nbとイットリウム元素Yとの合計量を0.2〜4重量%の範囲にすることが好ましく、ニオブ元素Nbとイットリウム元素Yとの合計量が1〜2重量%の範囲にすることがより好ましかった。
【0108】
(実施例F1〜F12)
実施例F1〜F12においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、167gの硫酸ニッケルに対して、実施例F1では硫酸アルミニウムAl2 (SO4 )3 を9.7g、実施例F2では硫酸マンガンMnSO4 を8.6g、実施例F3では硫酸コバルトCoSO4 を8.8g、実施例F4では硫酸亜鉛ZnSO4 を9.2g、実施例F5では硫酸カルシウムCaSO4 を7.7g、実施例F6では硫酸マグネシウムMgSO4 を6.8g、実施例F7では硫酸イットリウムY2 (SO4 )3 を13.2g、実施例F8では硫酸イッテルビウムYb2 (SO4 )3 を18.0g、実施例F9では硫酸マンガンMnSO4 を18.1g、実施例F10では硫酸マンガンMnSO4 を22.2g、実施例F11では硫酸マンガンMnSO4 を4.2gと硫酸コバルトCoSO4 を4.3g、実施例F12では硫酸コバルトCoSO4 を4.4gと硫酸亜鉛ZnSO4 を4.6g加えるようにした。
【0109】
そして、これらを溶解させた5リットルの各水溶液に、5重量%のアンモニア水溶液と10重量%の水酸化ナトリウム水溶液とを同時に滴下し、pHを約11に保持しながら、これらを反応させた後、沈殿物を濾取し、これを水洗し、乾燥させて、水酸化ニッケル中にAl,Mn,Co,Zn,Ca,Mg,Y,Ybの各元素(M2)が固溶された水酸化ニッケル粉末を得た。
【0110】
ここで、水酸化ニッケル中におけるニッケルNiと、固溶されたAl,Mn,Co,Zn,Ca,Mg,Y,Ybの各元素(M2)との総量(Ni+M2)に対する各元素(M2)の原子比率は、下記の表8に示すように、実施例F1〜F8では何れも5原子%、実施例F9では10原子%、実施例F10では12原子%、実施例F11ではMnとCoとがそれぞれ2.5原子%、実施例F13ではCoとZnとがそれぞれ2.5原子%になっていた。
【0111】
そして、上記の各元素(M2)が固溶された水酸化ニッケル粉末を用いる以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製し、このようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用い、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0112】
次に、上記のようにして作製した実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0113】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表8に示した。
【0114】
【表8】
【0115】
この結果、アルカリ蓄電池用ニッケル極に上記の各元素(M2)が固溶された水酸化ニッケル粉末を用いた実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池は、上記の実施例1のアルカリ蓄電池よりさらに高温条件下における充放電サイクル特性が優れていた。しかし、M2(本実施例ではMn)の固溶量が12原子%と多くなった実施例F10のアルカリ蓄電池においては容量特性が低下していた。
【0116】
(実施例G1〜G12)
実施例G1〜G12においては、上記の実施例1のアルカリ蓄電池において使用するアルカリ電解液の種類だけを変更し、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例G1〜G12の各アルカリ蓄電池を作製した。
【0117】
ここで、実施例G1〜G12においては、アルカリ電解液1リットル中に溶解させるKOH,NaOH,LiOH・H2 Oの量を、実施例1の場合と変更し、実施例G1ではKOHを336.6g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを0.42gにし、実施例G2ではKOHを336.6g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを4.19gにし、実施例G3ではKOHを336.6g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを83.8gにし、実施例G4ではKOHを336.6g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを92.0gにし、実施例G5ではKOHを336.6g,NaOHを4.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G6ではKOHを336.6g,NaOHを8.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G7ではKOHを336.6g,NaOHを160.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G8ではKOHを336.6g,NaOHを168.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G9ではKOHを168.3g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G10ではKOHを224.4g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G11ではKOHを561.0g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G12ではKOHを673.2g,NaOHを20.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにした。そして、この実施例G1〜G12において用いたアルカリ電解液中におけるKOH、NaOH、LiOHの各濃度(mol/l)を下記の表9に示した。
【0118】
次に、上記のようにして作製した実施例G1〜G12の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求めた。
【0119】
そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を100とし、実施例G1〜G12の各アルカリ蓄電池における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放電サイクル特性として、下記の表9に示した。
【0120】
【表9】
【0121】
この結果、アルカリ電解液中におけるKOHの濃度が4.0〜10.0mol/l、NaOHの濃度が0.2〜4.0mol/l、LiOHの濃度が0.1〜2.0mol/lの範囲になったアルカリ電解液を用いた実施例1及び実施例G2,G3,G6,G7,G10,G11の各アルカリ蓄電池は、アルカリ電解液中におけるKOH、NaOH、LiOHの各モル濃度が上記の範囲になっていない実施例G1,G4,G5,G8,G9,G12のアルカリ蓄電池より高温条件下における充放電サイクル特性が優れていた。
【0122】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明においては、正極と負極と、カリウムとリチウムとナトリウムとを含むアルカリ電解液とを備えたアルカリ蓄電池において、前記正極は水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル極であって、上記の活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成されると共にニオブ又はその化合物の粉末を添加させ、上記のナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量が0.1〜10重量%の範囲にしたため、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層により電極内における集電性が高くなって、活物質の利用率が向上すると共に、高温環境下において充放電させた場合において、その放電時にこのナトリウム含有コバルト酸化物が水酸化コバルトに還元されてアルカリ蓄電池におけるアルカリ電解液中に溶解するのが抑制されるようになった。また、放電時にナトリウム含有コバルト酸化物の一部が水酸化コバルトに還元されたとしても、上記のニオブ又はその化合物の作用により、水酸化コバルトがアルカリ電解液中に溶解して析出する速度が遅くなり、水酸化コバルトが活物質粒子の表面において偏析するのが防止されると共に、水酸化コバルトの一部が活物質粒子の細孔内に拡散するのも抑制されるようになった。
【0123】
この結果、このようなアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池においては、十分な電池容量が得られると共に、高温環境下において充放電サイクル特性が著しく向上した。
【0124】
また、このアルカリ蓄電池において、カリウムとリチウムとナトリウムとを含むアルカリ電解液を用い、特に、水酸化カリウムが4.0〜10.0mol/l、水酸化リチウムが0.1〜2.0mol/l、水酸化ナトリウムが0.2〜4.0mol/lの割合で含まれるアルカリ電解液を用いると、高温環境下において充放電サイクル特性がさらに向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例及び比較例において作製したアルカリ蓄電池の概略断面図である。
【符号の説明】
1 正極(ニッケル極)
2 負極
Claims (10)
- 正極と負極と、カリウムとリチウムとナトリウムとを含むアルカリ電解液とを備えたアルカリ蓄電池において、前記正極は水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル極であって、上記の活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が形成されると共に、ニオブ又はその化合物の粉末が添加され、上記のナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム元素の量が0.1〜10重量%の範囲であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項1に記載したアルカリ蓄電池において、水酸化ニッケルからなる活物質粒子に対して、前記のナトリウム含有コバルト酸化物中におけるコバルト元素の量が1〜10重量%の範囲であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項1又は2に記載したアルカリ蓄電池において、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に上記の導電層が形成された全体の重量に対して、添加させたニオブ又はその化合物の粉末中におけるニオブ元素の量が0.2〜4.0重量%の範囲であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載したアルカリ蓄電池において、前記のニオブ又はその化合物の粉末の平均粒径が100μm以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載したアルカリ蓄電池において、前記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子中に、亜鉛、コバルト、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、イットリウム及びイッテルビウムよりなる群から選択される少なくとも1種の元素が固溶され、上記の水酸化ニッケルにおけるニッケルとこの元素との総量に対して、この元素の割合が10原子%以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項5に記載したアルカリ蓄電池において、前記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子中に、亜鉛、コバルトから選択される少なくとも1種の元素が固溶されていることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項1〜6に記載したアルカリ蓄電池において、前記のニオブ又はその化合物の粉末の他に、イットリウム、イッテルビウム、カルシウム、アルミニウム、エルビウム、ガドリニウム、ツリウム、ルテチウム及び亜鉛よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素又はその化合物の粉末が添加されていることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項7に記載したアルカリ蓄電池において、前記のニオブ又はその化合物の粉末の他に、イットリウム又はその化合物の粉末が添加されていることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項8に記載したアルカリ蓄電池において、前記のニオブ又はその化合物の粉末の他に、イットリウム化合物としてY2O3の粉末が添加されていることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項1〜9の何れか1項に記載したアルカリ蓄電池において、上記のアルカリ電解液が、水酸化カリウムを4.0〜10.0mol/l、水酸化リチウムを0.1〜2.0mol/l、水酸化ナトリウムを0.2〜4.0mol/lの割合で含むことを特徴とするアルカリ蓄電池。
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