JP2002358957A - アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池 - Google Patents
アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池Info
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Abstract
ーストを導電性芯体に塗布し乾燥させたアルカリ蓄電池
用ニッケル極を正極に使用したアルカリ蓄電池におい
て、高温環境下における充放電サイクル特性を向上させ
る。 【解決手段】 水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含
むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたア
ルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の活物質粒子
の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電
層を形成すると共に、ニオブ又はその化合物の粉末を添
加させるようにし、またこのアルカリ蓄電池用ニッケル
極をアルカリ蓄電池の正極1に用いた。
Description
蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−亜鉛
蓄電池等のアルカリ蓄電池及びこのようなアルカリ蓄電
池の正極に使用するアルカリ蓄電池用ニッケル極に係
り、特に、水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペ
ーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカ
リ蓄電池用ニッケル極を改善して、高温環境下における
アルカリ蓄電池の充放電サイクル特性を向上させた点に
特徴を有するものである。
−カドミウム蓄電池に代表されるアルカリ蓄電池におい
ては、その正極として、一般に水酸化ニッケルを活物質
に用いたアルカリ蓄電池用ニッケル極が使用されてい
た。
ケル極においては、活物質として使用する水酸化ニッケ
ルの導電性が低いため、一般に、芯金となる穿孔鋼鈑等
にニッケル粉末を充填させて焼結させた焼結基板に、活
物質である水酸化ニッケルを含浸させた焼結式のニッケ
ル極が用いられていた。
場合、ニッケル粉末における粒子間の結合が弱く、基板
における多孔度を高くすると、ニッケル粉末が脱落しや
すくなる。このため、実用上、基板の多孔度を80%程
度とするのが限界で、活物質の水酸化ニッケルを多くの
充填させることができず、容量の大きなアルカリ蓄電池
を得ることが困難であった。
孔鋼板等の芯金を使用するため、一般に活物質の充填密
度が小さく、さらに、焼結により形成されたニッケル粉
末の細孔は10μm以下と小さいため、活物質を充填さ
せるにあたっては、煩雑な工程を数サイクルも繰り返す
溶液含浸法を用いなければならず、その生産性が悪い等
の問題というもあった。
粒子にメチルセルロース等の結合剤の水溶液を加えて混
練させたペーストを、発泡ニッケル等の多孔度の大きい
導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたペースト式のア
ルカリ蓄電池用ニッケル極が用いられるようになった。
蓄電池用ニッケル極の場合、多孔度が95%以上の導電
性芯体を用いることができ、導電性芯体に多くの活物質
を充填させて、容量の大きなアルカリ蓄電池を得ること
ができると共に、導電性芯体に対して活物質を簡単に充
填させることができ、生産性も向上した。
蓄電池用ニッケル極において、導電性芯体に多くの活物
質を充填させるために、多孔度の大きい導電性芯体を用
いると、この導電性芯体における集電性が悪くなって、
活物質の利用率が低下するという問題があった。
ースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記
の水酸化ニッケルからなる活物質粒子に、導電剤とし
て、金属コバルト、コバルトの酸化物や水酸化物からな
るコバルト化合物を添加し、充電により上記の金属コバ
ルトやコバルト化合物をオキシ水酸化コバルトβ−Co
OOHに酸化させ、これにより電極内における導電性を
高めて、活物質の利用率を向上させることが行われるよ
うになった。
る活物質粒子に、導電剤として金属コバルトやコバルト
化合物を添加させた場合においても、このペースト式の
アルカリ蓄電池用ニッケル極をアルカリ蓄電池の正極に
用い、高温環境下において充電させると、正極における
酸素発生過電圧が低くなり、水酸化ニッケルをオキシ水
酸化ニッケルに酸化させる充電反応以外に、副反応とし
て酸素発生反応が起こり、充電特性が低下するという問
題があった。
アルカリ蓄電池用ニッケル極において、特開平8−22
2213号公報に示されるように、水酸化ニッケルから
なる活物質粒子の表面に、金属コバルトやコバルト化合
物からなる導電剤を添加させると共にニオブ化合物等を
添加し、このニオブ化合物等により正極における酸素発
生過電圧を高めて、高温での充電特性を向上させるよう
にしたものが提案されている。
る活物質粒子の表面に、金属コバルトやコバルト化合物
からなる導電剤の他にニオブ化合物等を添加したペース
ト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた場合におい
ても、高温環境下において充放電を行うと、放電時にお
ける放電深度が深くなるため、前記のように金属コバル
トやコバルト化合物が酸化されたオキシ水酸化コバルト
が水酸化コバルトに還元され、この水酸化コバルトがア
ルカリ蓄電池におけるアルカリ電解液中に溶解した後、
これが活物質粒子の表面に析出するようになる。
ルカリ電解液中に溶解して析出する場合、その速度が早
いため、高温環境下において充放電を何度も繰り返して
行うと、水酸化コバルトが水酸化ニッケルからなる活物
質粒子の表面に均一に析出されなくなって、水酸化コバ
ルトが活物質粒子の表面において偏析すると共に、水酸
化コバルトの一部が活物質粒子の細孔内に拡散し、これ
によりアルカリ蓄電池用ニッケル極における導電性が次
第に低下し、高温環境下における充放電サイクル特性が
悪くなるという問題があった。
ッケルからなる活物質粒子を含むペーストを導電性芯体
に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電池用ニッケル
極及びこのアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いた
アルカリ蓄電池における上記のような問題を解決するこ
とを課題とするものである。
うなアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカ
リ蓄電池を、高温環境下において充放電させた場合にお
いて、このアルカリ蓄電池の放電容量が低下するのを抑
制し、高温環境下における充放電サイクル特性を向上さ
せることを課題とするものである。
リ蓄電池用ニッケル極においては、上記のような課題を
解決するため、水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含
むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたア
ルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の活物質粒子
の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電
層を形成すると共に、ニオブ又はその化合物の粉末を添
加させるようにしたものである。
用ニッケル極のように、水酸化ニッケルからなる活物質
粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導
電層を設けると、このナトリウム含有コバルト酸化物の
電気伝導率が金属コバルトやコバルト化合物を用いた場
合に比べて高いため、電極内における集電性が高くな
り、活物質の利用率が向上する。
ニッケル極のように、水酸化ニッケルからなる活物質粒
子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電
層を設けると共にニオブ又はその化合物の粉末を添加さ
せると、このアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いたアル
カリ蓄電池を高温環境下において充放電させた場合にお
いても、放電時にこのナトリウム含有コバルト酸化物が
水酸化コバルトに還元されて、アルカリ蓄電池における
アルカリ電解液中に溶解するのが抑制される。また、ナ
トリウム含有コバルト酸化物の一部が水酸化コバルトに
還元されたとしても、上記のニオブ又はその化合物の作
用により、水酸化コバルトがアルカリ電解液中に溶解し
て析出する速度が遅くなり、水酸化コバルトが活物質粒
子の表面において偏析するのが防止されると共に、水酸
化コバルトの一部が活物質粒子の細孔内に拡散するのも
抑制され、高温環境下における充放電サイクル特性が向
上する。
用ニッケル極において、水酸化ニッケルからなる活物質
粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる
導電層を形成するにあたっては、活物質粒子に対して、
金属コバルト粉末や、水酸化コバルト粉末や、一酸化コ
バルト粉末や、オキシ水酸化コバルト粉末を混合させ、
或いは活物質粒子の表面に金属コバルトや、水酸化コバ
ルトや、一酸化コバルトや、オキシ水酸化コバルトの層
を形成し、その後、これに水酸化ナトリウム水溶液を添
加し、酸素存在下において50〜200℃の温度で加熱
処理することによって形成することができる。
50〜200℃にするのは、加熱処理する温度が50℃
未満の場合には、電気伝導性の低いCoHO2 が析出す
る一方、加熱処理する温度が200℃を超えた場合に
は、電気伝導性の低い四酸化三コバルトCo3 O4 が析
出し、何れの場合にも導電性の高い導電層が得られなく
なるためである。なお、活物質粒子の表面にオキシ水酸
化コバルトの粒子を添加させたり、オキシ水酸化コバル
トの層を形成した場合には、50℃未満の温度で加熱処
理してもCoHO2 が析出することはないが、ナトリウ
ムが含有されにくくなって導電性の高い導電層が得られ
なくなる。ここで、上記のように加熱処理する時間につ
いては特に限定されず、使用する水酸化ナトリウムの濃
度や加熱処理する温度等によって適宜変更させるように
し、一般的には0.5〜10時間加熱処理させるように
する。
からなる活物質粒子の表面に、ナトリウム含有コバルト
酸化物からなる導電層を形成した場合、このナトリウム
含有コバルト酸化物の化学的構造は定かではないが、極
めて高い電気伝導性を有することから、コバルト酸化物
とナトリウムとの単なる混合物ではなく、コバルト酸化
物の結晶中にナトリウムが挿入された構造になった層間
化合物であると考えられる。
る活物質粒子の表面に、金属コバルトや水酸化コバルト
や一酸化コバルトの層を形成するにあたっては、水酸化
ニッケル粉末に対して、金属コバルト粉末や水酸化コバ
ルト粉末や一酸化コバルト粉末を加え、これを不活性ガ
ス雰囲気中において、圧縮磨砕粉砕機により乾式混合す
るメカニカルチャージ法によって形成することができ
る。
の表面に水酸化コバルトの層を形成するにあたっては、
硫酸コバルト等のコバルト塩の水溶液に水酸化ニッケル
粉末を添加し、これを撹拌しながら水酸化ナトリウム水
溶液等のアルカリ水溶液を滴下してpHを11程度に
し、その後、これを撹拌しながら所定時間反応させて、
水酸化コバルトを水酸化ニッケル粒子の表面に析出させ
ることにより形成することもできる。
の表面にオキシ水酸化コバルトの層を形成するにあたっ
ては、例えば、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表
面に上記のようにして水酸化コバルトの層を形成した
後、これを40℃程度に加熱した過酸化水素水と反応さ
せて、水酸化コバルトを酸化することにより形成するこ
とができる。
なる活物質粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物
からなる導電層を形成するにあたり、活物質粒子に対す
る導電層の量が少ないと、アルカリ蓄電池用ニッケル極
の導電性を十分に向上させることができなくなる一方、
活物質粒子に対する導電層の量が多くなり過ぎると、ア
ルカリ蓄電池用ニッケル極中における水酸化ニッケルの
割合が少なくなって、放電容量が減少する。このため、
水酸化ニッケルからなる活物質粒子に対する導電層中に
おけるコバルト元素の量を、1〜10重量%の範囲にす
ることが好ましい。
物からなる導電層において、このナトリウム含有コバル
ト酸化物中におけるナトリウム元素の量が多くなり過ぎ
たり、少なくなり過ぎたりすると、何れの場合において
も、ナトリウム含有コバルト酸化物が高温での放電時に
水酸化コバルトに還元されやすくなる。このため、上記
のナトリウム含有コバルト酸化物中におけるナトリウム
元素の量を、0.1〜10重量%の範囲にすることが好
ましい。
物質粒子の表面に、ニオブ又はその化合物の粉末を添加
させるにあたり、その添加量が少なくなると、高温環境
下において充放電サイクル特性が低下するのを十分に抑
制することができなくなる一方、その添加量が多くなり
過ぎると、アルカリ蓄電池用ニッケル極中における水酸
化ニッケルの割合が少なくなって放電容量が減少する。
このため、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面に
上記の導電層が形成された全体の重量に対して、添加さ
せたニオブ又はその化合物の粉末中におけるニオブ元素
の量が0.2〜4.0重量%の範囲になるようにするこ
とが好ましい。
例えば、Nb2 O5 ,Nb2 O3 ,NbO,NbO2 ,
NaNbO3 ,LiNbO3 ,KNbO3 ,Nb2 O5
・xH2 O等を用いることができる。
粒径が大きくなると、導電層が形成された活物質粒子の
表面に対して接触するニオブやその化合物の粉末の面積
が少なくなって、十分な効果が得られなくなるため、ニ
オブやその化合物の粉末として、平均粒径が100μm
以下のものを用いることが好ましい。
用ニッケル極においては、上記の水酸化ニッケルからな
る活物質粒子中に、亜鉛,コバルト,カルシウム,マグ
ネシウム,アルミニウム,マンガン,イットリウム及び
イッテルビウムよりなる群から選択される少なくとも1
種の元素を固溶させ、上記の水酸化ニッケルにおけるニ
ッケルとこれらの元素との総量に対するこれらの元素の
割合を10原子%以下にすることが好ましい。このよう
にすると、固溶させたこれらの元素の作用により、アル
カリ電解液中におけるカリウムイオン等が活物質である
水酸化ニッケルの結晶中にインターカレーションされる
のが抑制され、アルカリ電解液のドライアウトによる充
放電容量の低下が抑制されるようになる。特に、亜鉛,
コバルトから選択される少なくとも1種を固溶させた場
合には、その作用が大きいため、ドライアウトによる充
放電容量の低下がさらに抑制されるようになる。
ニッケル極において、上記のようにナトリウム含有コバ
ルト酸化物からなる導電層が形成された活物質粒子の表
面に対して、ニオブやその化合物の粉末の他に、イット
リウム,イッテルビウム,カルシウム,アルミニウム,
エルビウム,ガドリニウム,ツリウム,ルテチウム及び
亜鉛よりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素又は
その化合物の粉末を添加させると、高温環境下における
充放電サイクル特性がより一層向上されるようになる。
特に、イットリウム又はその化合物を添加させると、そ
の作用が大きいため、高温環境下における充放電サイク
ル特性が著しく向上し、なかでもイットリウムの化合物
としてY2 O3 を用いることがより好ましい。
ニッケル極において、上記のような活物質粒子を含むペ
ーストを塗布させる導電性芯体としては、例えば、ニッ
ケル発泡体、フェルト状金属繊維体、パンチングメタル
等を用いることができる。
ケル極を正極に使用したアルカリ蓄電池において、高温
条件での充電特性を向上させて、過充電時における酸素
発生を抑制するためには、カリウムとリチウムとナトリ
ウムとを含むアルカリ電解液を用いることが好ましく、
特に、水酸化カリウムを4.0〜10.0mol/l、
水酸化リチウムを0.1〜2.0mol/l、水酸化ナ
トリウムを0.2〜4.0mol/lの割合で含むアル
カリ電解液を使用することがより好ましい。
ケル極を正極に使用したアルカリ蓄電池としては、負極
に水素吸蔵合金電極を用いたニッケル−水素蓄電池、負
極にカドミウム電極を用いたニッケル−カドミウム蓄電
池、負極に亜鉛電極を用いたニッケル−亜鉛蓄電池等が
挙げられる。
ケル極及びこのアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用
いたアルカリ蓄電池について実施例を挙げて具体的に説
明すると共に、この実施例におけるアルカリ蓄電池にお
いては、高温での充放電サイクル特性が向上することを
比較例を挙げて明らかにする。なお、この発明における
アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池は、下
記の実施例に示したものに限定されるものではなく、そ
の要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施でき
るものである。
リ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、10.5g
の硫酸コバルトを溶解させた1リットルの硫酸コバルト
水溶液に、活物質である水酸化ニッケルの粉末を100
g加えた。そして、これを撹拌しながら10重量%の水
酸化ナトリウム水溶液を加え、この溶液のpHを約11
に調整しながら1時間撹拌を続けた後、沈殿物を濾取
し、この沈殿物を水洗し、真空乾燥させて、活物質であ
る水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層が形
成された粉末を得た。
化コバルトの層が形成された粉末と、25重量%の水酸
化ナトリウム水溶液とを1:10の重量比で混合し、こ
れを90℃で5時間加熱処理した後、これを水洗し、6
0℃で乾燥させて、活物質である水酸化ニッケル粒子の
表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層が
形成された粉末を得た。
化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物
からなる導電層を形成した場合、活物質である水酸化ニ
ッケル粒子に対する導電層中におけるコバルト元素の量
は4重量%であった。
物からなる導電層中におけるナトリウムの量を調べるた
め、上記の場合と同様に、水酸化コバルト粉末と25重
量%の水酸化ナトリウム水溶液とを1:10の重量比で
混合し、これを90℃で5時間加熱処理した後、これを
水洗し、60℃で乾燥させてナトリウム含有コバルト酸
化物を作製した。そして、このナトリウム含有コバルト
酸化物について原子吸光分析によりナトリウムの量を求
めたところ、ナトリウム含有コバルト酸化物中における
ナトリウム元素Naの量は1重量%であり、また酸化還
元滴定により求めたコバルトの価数は3.1であった。
粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導
電層が形成された粉末に対して、ニオブ化合物である平
均粒径が1μmのNb2 O5 粉末を100:2.9の重
量比で混合させ、この混合物100重量部に対して、結
着剤として1重量%のメチルセルロース水溶液を20重
量部加え、これを混練してペーストを調製した。
発泡ニッケル(多孔度95%、平均孔径200μm)に
充填し、これを乾燥させ、加圧成型して、アルカリ蓄電
池用ニッケル極を作製した。なお、このアルカリ蓄電池
用ニッケル極においては、上記のようにナトリウム含有
コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッ
ケル粒子全体の重量に対するニオブ元素Nbの量が2重
量%になっていた。
リ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する一方、負極に一
般に用いられているペースト式カドミウム極を、セパレ
ータにポリアミド不織布を用い、またアルカリ電解液と
しては、1リットル中にKOHが336.6g、NaO
Hが20.0g、LiOH・H2 Oが41.9g溶解さ
れた水溶液を用いるようにした。ここで、このアルカリ
電解液においては、水酸化カリウムの濃度が6.0mo
l/l、水酸化ナトリウムの濃度が0.5mol/l、
水酸化リチウムの濃度が1.0mol/lになってい
た。
ルカリ蓄電池を作製した。
あたっては、図1に示すように、上記の正極1と負極2
との間にセパレータ3を介在させ、これらをスパイラル
状に巻いて電池缶4内に収容させた後、この電池缶4内
に上記のアルカリ電解液を注液して封口し、正極1を正
極リード5を介して正極蓋6に接続させると共に、負極
2を負極リード7を介して電池缶4に接続させ、電池缶
4と正極蓋6とを絶縁パッキン8により電気的に分離さ
せるようにした。
コイルスプリング10を設け、電池の内圧が異常に上昇
した場合には、このコイルスプリング10が圧縮されて
電池内部のガスが大気中に放出されるようにした。
リ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施
例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル
粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導
電層が形成された粉末を得た後、この粉末に対して平均
粒径が1μmのNb粉末を100:2の重量比で混合さ
せるようにし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同
様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
アルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の
実施例1の場合と同様にして、実施例2のアルカリ蓄電
池を作製した。
リ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施
例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル
粒子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導
電層が形成された粉末を得た。そして、この粉末と、平
均粒径が1μmのNb2 O5 粉末と、平均粒径が1μm
のNb粉末とを100:1.45:1の重量比で混合さ
せ、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にしてア
ルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。なお、このアル
カリ蓄電池用ニッケル極においても、ナトリウム含有コ
バルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケ
ル粒子全体の重量に対するニオブ元素Nbの量は2重量
%になっていた。
アルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の
実施例1の場合と同様にして、実施例3のアルカリ蓄電
池を作製した。
リ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施
例1の場合と同様にして活物質である水酸化ニッケル粒
子の表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電
層が形成された粉末を得た後、この粉末にNb2 O5 粉
末を加えないようにした。そして、上記の粉末100重
量部に対して、結着剤として1重量%のメチルセルロー
ス水溶液を20重量部加え、それ以外は、上記の実施例
1の場合と同様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作
製した。
アルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の
実施例1の場合と同様にして、比較例1のアルカリ蓄電
池を作製した。
リ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、活物質であ
る水酸化ニッケル粉末と、金属コバルト粉末と、平均粒
径が1μmのNb 2 O5 粉末とを100:8.9:2.
9の重量比で混合し、この混合物100重量部に対し
て、結着剤として1重量%のメチルセルロース水溶液を
20重量部加え、その後は、上記の実施例1の場合と同
様にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
アルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の
実施例1の場合と同様にして、比較例2のアルカリ蓄電
池を作製した。
リ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施
例1の場合と同様にして、活物質である水酸化ニッケル
粒子の表面に水酸化コバルトの層が形成された粉末を得
た後、この粉末に対して水酸化ナトリウム水溶液による
処理を行わないようにした。そして、水酸化ニッケル粒
子の表面に水酸化コバルトの層が形成された粉末と平均
粒径が1μmのNb2 O5 粉末とを100:2.9の重
量比で混合し、その後は、上記の実施例1の場合と同様
にしてアルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
アルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記の
実施例1の場合と同様にして、比較例3のアルカリ蓄電
池を作製した。
〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池について、そ
れぞれ25℃の温度条件で、充電電流100mAで16
時間充電した後、放電電流1000mAで1.0Vまで
放電し、これを1サイクルとして5サイクルの充放電を
行い、実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電
池における5サイクル目の放電容量を求めた。
における5サイクル目の放電容量を100とし、実施例
1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池における放
電容量の相対指数を容量特性として下記の表1に示し
た。
行った実施例1〜3及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電
池について、それぞれ60℃の高温条件下において、充
電電流500mAで2時間充電した後、放電電流500
mAで1.0Vまで放電し、これを1サイクルとする充
放電サイクル試験を行い、その放電容量が60℃の高温
条件での1サイクル目の放電容量の80%以下に低下す
るまでのサイクル数を求めた。
におけるサイクル数を100として、実施例1〜3及び
比較例1〜3の各アルカリ蓄電池におけるサイクル数の
相対指数を充放電サイクル特性として下記の表1に示し
た。
る水酸化ニッケル粒子の表面に、ナトリウム含有コバル
ト酸化物からなる導電層を形成すると共にニオブ又はそ
の化合物の粉末を添加させた粉末を用いて作製したアル
カリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用した実施例1〜3
の各アルカリ蓄電池は、比較例1〜3の各アルカリ蓄電
池に比べ、高温条件下における充放電サイクル特性が著
しく向上していた。
おいては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあ
たり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質であ
る水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトの層が形
成された粉末を得た後、この粉末を水酸化ナトリウム水
溶液を用いて処理し、水酸化ニッケル粒子の表面にナト
リウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成するに
あたり、実施例A1では5重量%の水酸化ナトリウム水
溶液を、実施例A2では10重量%の水酸化ナトリウム
水溶液を、実施例A3では40重量%の水酸化ナトリウ
ム水溶液を、実施例A4では45重量%の水酸化ナトリ
ウム水溶液を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合
と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製し
た。
ウム含有コバルト酸化物からなる導電層中における各ナ
トリウムの量を調べるため、水酸化コバルト粉末に対し
て、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液と、10重量%
の水酸化ナトリウム水溶液と、40重量%の水酸化ナト
リウム水溶液と、45重量%の水酸化ナトリウム水溶液
とをそれぞれ1:10の重量比で混合し、これらを90
℃で5時間加熱処理した後、これらを水洗し、60℃で
乾燥させて各ナトリウム含有コバルト酸化物を作製し
た。そして、このように作製した各ナトリウム含有コバ
ルト酸化物について、原子吸光分析によりナトリウム元
素Naの量を求めたところ、実施例A1に対応するもの
では0.05重量%、実施例A2に対応するものでは
0.1重量%、実施例A3に対応するものでは10重量
%、実施例A4に対応するものでは12重量%になって
いた。
各アルカリ蓄電池用ニッケル極を使用する以外は、上記
の実施例1の場合と同様にして、実施例A1〜A4の各
アルカリ蓄電池を作製した。
1〜A4の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例
1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル
の充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を
求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して
行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の
放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求
めた。
における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を10
0とし、実施例A1〜A4の各アルカリ蓄電池における
放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放
電サイクル特性として、下記の表2に示した。
中におけるナトリウム元素の量が0.1〜10重量%の
範囲になった導電層を設けたアルカリ蓄電池用ニッケル
極を使用した実施例1及び実施例A2,A3のアルカリ
蓄電池は、ナトリウム元素の量が上記の範囲外になった
導電層を設けたアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した
実施例A1,A4のアルカリ蓄電池に比べて、容量特性
及び高温条件下における充放電サイクル特性が優れてい
た。
おいては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあ
たり、1リットルの硫酸コバルト水溶液中における硫酸
コバルトの量を上記の実施例1の場合と変更し、硫酸コ
バルトの量を、実施例B1では1.31g、実施例B2
では2.63g、実施例B3では26.3g、実施例B
4では31.6gにし、それ以外は、上記の実施例1の
場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作
製した。
カリ蓄電池用ニッケル極において、活物質である水酸化
ニッケル粒子の表面に形成されたナトリウム含有コバル
ト酸化物からなる導電層中におけるコバルト元素Coの
割合は、下記の表3に示すように、活物質である水酸化
ニッケル粒子に対して、実施例B1のものでは0.5重
量%、実施例B2のものでは1.0重量%、実施例B3
のものでは10重量%、実施例B4のものでは12重量
%になっていた。
カリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記
の実施例1の場合と同様にして、実施例B1〜B4の各
アルカリ蓄電池を作製した。
1〜B4の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例
1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル
充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求
め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行
い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放
電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求め
た。
における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を10
0とし、実施例B1〜B4の各アルカリ蓄電池における
放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放
電サイクル特性として、下記の表3に示した。
からなる導電層中におけるコバルト元素の量が活物質で
ある水酸化ニッケル粒子に対して1〜10重量%の範囲
になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例1
及び実施例B2,B3のアルカリ蓄電池は、コバルト元
素の量が0.5重量%になったアルカリ蓄電池用ニッケ
ル極を用いた実施例B1のアルカリ蓄電池に比べて、容
量特性や高温条件下における充放電サイクル特性が優れ
ており、またコバルト元素の量が12重量%になったア
ルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例B4のアルカ
リ蓄電池に比べて、容量特性が優れていた。
おいては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあ
たり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質であ
る水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト
酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た。
末に対して平均粒径が1μmのNb 2 O5 粉末を混合さ
せるにあたり、導電層が形成された上記の粉末と平均粒
径が1μmのNb2 O5 粉末との重量比を、実施例C1
では100:0.01、実施例C2では100:0.0
7、実施例C3では100:0.29、実施例C4では
100:1.45、実施例C5では100:4.3、実
施例C6では100:5.7、実施例C7では100:
7.2にし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様
にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。
カリ蓄電池用ニッケル極において、ナトリウム含有コバ
ルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニッケル
粒子全体の重量に対するニオブ元素Nbの割合を求めた
結果、下記の表4に示すように、実施例C1では0.0
1重量%、実施例C2では0.05重量%、実施例C3
では0.2重量%、実施例C4では1重量%、実施例C
5では3重量%、実施例C6では4重量%、実施例C7
では5重量%になっていた。
カリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する以外は、上記
の実施例1の場合と同様にして、実施例C1〜C7の各
アルカリ蓄電池を作製した。
1〜C7の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例
1の場合と同様にして、25℃の温度条件て5サイクル
の充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を
求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して
行い、放電容量が60℃の高温条件ての1サイクル目の
放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求
めた。
における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を10
0とし、実施例C1〜C7の各アルカリ蓄電池における
放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放
電サイクル特性として、下記の表4に示した。
からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体の
重量に対するニオブ元素の割合が0.2〜4.0重量%
の範囲になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実
施例1及び実施例C3〜C6のアルカリ蓄電池は、ニオ
ブ元素の割合が0.01重量%や0.05重量%になっ
たアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した実施例C1,
C2のアルカリ蓄電池に比べて高温条件下における充放
電サイクル特性が優れており、またニオブ元素の割合が
5重量%になったアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用し
た実施例C7のアルカリ蓄電池に比べて容量特性が優れ
ていた。
おいては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあ
たり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質であ
る水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバルト
酸化物からなる導電層が形成された粉末を得た。
末に対してNb2 O5 粉末を100:2.9の重量比に
なるように混合させるにあたり、平均粒径が異なるNb
2 O 5 粉末を用いるようにした。ここで、下記の表5に
示すように、実施例D1では平均粒径が0.1μm、実
施例D2では平均粒径が10μm、実施例D3では平均
粒径が20μm、実施例D4では平均粒径が50μm、
実施例D5では平均粒径が100μm、実施例D6では
平均粒径が150μmのNb2 O5 粉末を用い、それ以
外は、上記の実施例1の場合と同様にして、各アルカリ
蓄電池用ニッケル極を作製した。
カリ蓄電池用ニッケル極を正極に用い、それ以外は、上
記の実施例1の場合と同様にして、実施例D1〜D6の
各アルカリ蓄電池を作製した。
1〜D6の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例
1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイクル
充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を求
め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して行
い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の放
電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求め
た。
における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を10
0とし、実施例D1〜D6の各アルカリ蓄電池における
放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充放
電サイクル特性として、下記の表5に示した。
からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対し
て、平均粒径が100μm以下のNb2 O5 粉末を添加
させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いた実施例1及
び実施例D1〜D5のアルカリ蓄電池は、平均粒径が1
50μmのNb2 O5 粉末を添加させたアルカリ蓄電池
用ニッケル極を用いた実施例D6のアルカリ蓄電池に比
べて、高温条件下における充放電サイクル特性が優れて
いた。
2においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製する
にあたり、上記の実施例1の場合と同様にして、活物質
である水酸化ニッケル粒子の表面にナトリウム含有コバ
ルト酸化物からなる導電層を形成した。
ト酸化物の導電層が形成された水酸化ニッケル粒子10
0重量部に対して、平均粒径が1μmのNb2 O5 粉末
を2.9重量部加えると共に、実施例E1ではY2 O3
粉末を1.27重量部、実施例E2ではY粉末を1.0
0重量部、実施例E3ではY(OH)3 粉末を1.57
重量部、実施例E4ではYb2 O3 粉末を1.14重量
部、実施例E5ではCa(OH)2 粉末を1.84重量
部、実施例E6ではAl(OH)3 粉末を2.89重量
部、実施例E7ではEr2 O3 粉末を1.14重量部、
実施例E8ではGd2 O3 粉末を1.15重量部、実施
例E9ではTm2 O3 粉末を1.14重量部、実施例E
10ではLu2 O3 粉末を1.14重量部、実施例E1
1ではZnO粉末を1.24重量部、実施例E12では
Y2 O3 粉末を0.63重量部とYb2 O3 粉末を0.
57重量部の割合で加えるようにした。
有コバルト酸化物からなる導電層が形成された水酸化ニ
ッケル粒子に対してNb2 O5 粉末と上記の各化合物の
粉末とを混合させた場合、導電層が形成された水酸化ニ
ッケル粒子全体の重量に対するニオブ元素Nbの割合
は、実施例1の場合と同じ2重量%であった。
粒子全体の重量に対して、上記のように加えた各化合物
中におけるイットリウムY,イッテルビウムYb,カル
シウムCa,アルミニウムAl,エルビウムEr,ガド
リニウムGd,ツリウムTm,ルテチウムLu,亜鉛Z
nの各元素(M1)の割合は、下記の表6に示すよう
に、実施例E1〜E11においては各元素(M1)の量
がそれぞれ1重量%であり、また実施例E12において
はイットリウムY及びイッテルビウムYbの各元素の量
がそれぞれ0.5重量%で、合計で1重量%になってい
た。
例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル
極を作製し、このようにして作製した各アルカリ蓄電池
用ニッケル極を正極に用い、上記の実施例1の場合と同
様にして、実施例E1〜E12の各アルカリ蓄電池を作
製した。
1〜E12の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施
例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイク
ル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を
求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して
行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の
放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求
めた。
における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を10
0とし、実施例E1〜E12の各アルカリ蓄電池におけ
る放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充
放電サイクル特性として、下記の表6に示した。
からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対し
て、Nb2 O5 粉末と一緒に上記のY2 O3 粉末等を添
加させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を使用した実施例
E1〜E12の各アルカリ蓄電池は、上記の実施例1の
アルカリ蓄電池よりさらに高温条件下における充放電サ
イクル特性が優れており、特に、イットリウム又はその
化合物を添加させた実施例E1,E2,E3,E12の
各アルカリ蓄電池においては、高温条件下における充放
電サイクル特性がさらに向上していた。
1.1〜E1.8においては、アルカリ蓄電池用ニッケ
ル極を作製するにあたり、上記の実施例1の場合と同様
にして、表面にナトリウム含有コバルト酸化物からなる
導電層が形成された水酸化ニッケル粒子を得た後、この
ように導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対し
て、上記の実施例E1の場合と同様に、平均粒径が1μ
mのNb2 O5 粉末とY2 O3 粉末とを混合させるよう
にした。
おいては、上記のように導電層が形成された水酸化ニッ
ケル粒子にNb2 O5 粉末とY2 O3 粉末とを混合させ
るにあたり、これらの添加量を上記の実施例E1の場合
と変更し、導電層が形成された水酸化ニッケル粒子全体
の重量に対するニオブ元素Nbとイットリウム元素Yの
量を、下記の表7に示すように、実施例E1.1ではN
bとYとがそれぞれ0.05重量%で合計量が0.1重
量%、実施例E1.2ではNbとYとがそれぞれ0.1
重量%で合計量が0.2重量%、実施例E1.3ではN
bとYとがそれぞれ0.2重量%で合計量が0.4重量
%、実施例E1.4ではNbとYとがそれぞれ0.3重
量%で合計量が0.6重量%、実施例E1.5ではNb
とYとがそれぞれ0.5重量%で合計量が1重量%、実
施例E1.6ではNbとYとがそれぞれ1重量%で合計
量が2重量%、実施例E1.7ではNbとYとがそれぞ
れ2重量%で合計量が4重量%、実施例E1.8ではN
bとYとがそれぞれ3重量%で合計量が6重量%になる
ようにした。
例1の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル
極を作製し、このようにして作製した各アルカリ蓄電池
用ニッケル極を正極に用い、上記の実施例1の場合と同
様にして、実施例E1.1〜E1.8の各アルカリ蓄電
池を作製した。
1.1〜E1.8の各アルカリ蓄電池についても、上記
の実施例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5
サイクル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電
容量を求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り
返して行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイク
ル目の放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル
数を求めた。
における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を10
0とし、実施例E1.1〜E1.8の各アルカリ蓄電池
における放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性
及び充放電サイクル特性として、下記の表7に示した。
からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対し
てNb2 O5 粉末とY2 O3 粉末とを添加させるにあた
り、導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対するニ
オブ元素とイットリウム元素との合計量が0.1重量%
以下になると、アルカリ蓄電池の高温条件下における充
放電サイクル特性が低下し、またニオブ元素とイットリ
ウム元素との合計量が6重量%以上になると、容量特性
が低下した。
からなる導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対し
てNb2 O5 粉末とY2 O3 粉末とを添加させる場合、
導電層が形成された水酸化ニッケル粒子に対するニオブ
元素Nbとイットリウム元素Yとの合計量を0.2〜4
重量%の範囲にすることが好ましく、ニオブ元素Nbと
イットリウム元素Yとの合計量が1〜2重量%の範囲に
することがより好ましかった。
2においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製する
にあたり、167gの硫酸ニッケルに対して、実施例F
1では硫酸アルミニウムAl 2 (SO4 )3 を9.7
g、実施例F2では硫酸マンガンMnSO4 を8.6
g、実施例F3では硫酸コバルトCoSO4 を8.8
g、実施例F4では硫酸亜鉛ZnSO4 を9.2g、実
施例F5では硫酸カルシウムCaSO4 を7.7g、実
施例F6では硫酸マグネシウムMgSO4 を6.8g、
実施例F7では硫酸イットリウムY2 (SO4 )3 を1
3.2g、実施例F8では硫酸イッテルビウムYb
2 (SO4 )3 を18.0g、実施例F9では硫酸マン
ガンMnSO4 を18.1g、実施例F10では硫酸マ
ンガンMnSO4 を22.2g、実施例F11では硫酸
マンガンMnSO4 を4.2gと硫酸コバルトCoSO
4 を4.3g、実施例F12では硫酸コバルトCoSO
4 を4.4gと硫酸亜鉛ZnSO4 を4.6g加えるよ
うにした。
各水溶液に、5重量%のアンモニア水溶液と10重量%
の水酸化ナトリウム水溶液とを同時に滴下し、pHを約
11に保持しながら、これらを反応させた後、沈殿物を
濾取し、これを水洗し、乾燥させて、水酸化ニッケル中
にAl,Mn,Co,Zn,Ca,Mg,Y,Ybの各
元素(M2)が固溶された水酸化ニッケル粉末を得た。
ルNiと、固溶されたAl,Mn,Co,Zn,Ca,
Mg,Y,Ybの各元素(M2)との総量(Ni+M
2)に対する各元素(M2)の原子比率は、下記の表8
に示すように、実施例F1〜F8では何れも5原子%、
実施例F9では10原子%、実施例F10では12原子
%、実施例F11ではMnとCoとがそれぞれ2.5原
子%、実施例F13ではCoとZnとがそれぞれ2.5
原子%になっていた。
た水酸化ニッケル粉末を用いる以外は、上記の実施例1
の場合と同様にして、各アルカリ蓄電池用ニッケル極を
作製し、このようにして作製した各アルカリ蓄電池用ニ
ッケル極を正極に用い、上記の実施例1の場合と同様に
して、実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池を作製し
た。
1〜F12の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施
例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイク
ル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を
求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して
行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の
放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求
めた。
における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を10
0とし、実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池におけ
る放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充
放電サイクル特性として、下記の表8に示した。
上記の各元素(M2)が固溶された水酸化ニッケル粉末
を用いた実施例F1〜F12の各アルカリ蓄電池は、上
記の実施例1のアルカリ蓄電池よりさらに高温条件下に
おける充放電サイクル特性が優れていた。しかし、M2
(本実施例ではMn)の固溶量が12原子%と多くなっ
た実施例F10のアルカリ蓄電池においては容量特性が
低下していた。
2においては、上記の実施例1のアルカリ蓄電池におい
て使用するアルカリ電解液の種類だけを変更し、それ以
外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例G1
〜G12の各アルカリ蓄電池を作製した。
アルカリ電解液1リットル中に溶解させるKOH,Na
OH,LiOH・H2 Oの量を、実施例1の場合と変更
し、実施例G1ではKOHを336.6g,NaOHを
20.0g,LiOH・H2Oを0.42gにし、実施
例G2ではKOHを336.6g,NaOHを20.0
g,LiOH・H2 Oを4.19gにし、実施例G3で
はKOHを336.6g,NaOHを20.0g,Li
OH・H2 Oを83.8gにし、実施例G4ではKOH
を336.6g,NaOHを20.0g,LiOH・H
2 Oを92.0gにし、実施例G5ではKOHを33
6.6g,NaOHを4.0g,LiOH・H2 Oを4
1.9gにし、実施例G6ではKOHを336.6g,
NaOHを8.0g,LiOH・H2 Oを41.9gに
し、実施例G7ではKOHを336.6g,NaOHを
160.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実
施例G8ではKOHを336.6g,NaOHを16
8.0g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例
G9ではKOHを168.3g,NaOHを20.0
g,LiOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G10
ではKOHを224.4g,NaOHを20.0g,L
iOH・H2 Oを41.9gにし、実施例G11ではK
OHを561.0g,NaOHを20.0g,LiOH
・H2 Oを41.9gにし、実施例G12ではKOHを
673.2g,NaOHを20.0g,LiOH・H2
Oを41.9gにした。そして、この実施例G1〜G1
2において用いたアルカリ電解液中におけるKOH、N
aOH、LiOHの各濃度(mol/l)を下記の表9
に示した。
1〜G12の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施
例1の場合と同様にして、25℃の温度条件で5サイク
ル充放電を繰り返して行い、5サイクル目の放電容量を
求め、その後、60℃の高温条件で充放電を繰り返して
行い、放電容量が60℃の高温条件での1サイクル目の
放電容量の80%以下に低下するまでのサイクル数を求
めた。
における5サイクル目の放電容量及びサイクル数を10
0とし、実施例G1〜G12の各アルカリ蓄電池におけ
る放電容量及びサイクル数の相対指数を容量特性及び充
放電サイクル特性として、下記の表9に示した。
Hの濃度が4.0〜10.0mol/l、NaOHの濃
度が0.2〜4.0mol/l、LiOHの濃度が0.
1〜2.0mol/lの範囲になったアルカリ電解液を
用いた実施例1及び実施例G2,G3,G6,G7,G
10,G11の各アルカリ蓄電池は、アルカリ電解液中
におけるKOH、NaOH、LiOHの各モル濃度が上
記の範囲になっていない実施例G1,G4,G5,G
8,G9,G12のアルカリ蓄電池より高温条件下にお
ける充放電サイクル特性が優れていた。
は、水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含むペースト
を導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたアルカリ蓄電
池用ニッケル極において、上記の活物質粒子の表面に、
ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電層を形成す
ると共にニオブ又はその化合物の粉末を添加させるよう
にしたため、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導
電層により電極内における集電性が高くなって、活物質
の利用率が向上すると共に、高温環境下において充放電
させた場合において、その放電時にこのナトリウム含有
コバルト酸化物が水酸化コバルトに還元されてアルカリ
蓄電池におけるアルカリ電解液中に溶解するのが抑制さ
れるようになった。また、放電時にナトリウム含有コバ
ルト酸化物の一部が水酸化コバルトに還元されたとして
も、上記のニオブ又はその化合物の作用により、水酸化
コバルトがアルカリ電解液中に溶解して析出する速度が
遅くなり、水酸化コバルトが活物質粒子の表面において
偏析するのが防止されると共に、水酸化コバルトの一部
が活物質粒子の細孔内に拡散するのも抑制されるように
なった。
ッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池においては、十
分な電池容量が得られると共に、高温環境下において充
放電サイクル特性が著しく向上した。
ウムとリチウムとナトリウムとを含むアルカリ電解液を
用い、特に、水酸化カリウムが4.0〜10.0mol
/l、水酸化リチウムが0.1〜2.0mol/l、水
酸化ナトリウムが0.2〜4.0mol/lの割合で含
まれるアルカリ電解液を用いると、高温環境下において
充放電サイクル特性がさらに向上した。
アルカリ蓄電池の概略断面図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 水酸化ニッケルからなる活物質粒子を含
むペーストを導電性芯体に塗布し、これを乾燥させたア
ルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の活物質粒子
の表面に、ナトリウム含有コバルト酸化物からなる導電
層が形成されると共に、ニオブ又はその化合物の粉末が
添加されていることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッ
ケル極。 - 【請求項2】 請求項1に記載したアルカリ蓄電池用ニ
ッケル極において、前記のナトリウム含有コバルト酸化
物中におけるナトリウム元素の量が0.1〜10重量%
の範囲であることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケ
ル極。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載したアルカリ蓄電
池用ニッケル極において、水酸化ニッケルからなる活物
質粒子に対して、前記のナトリウム含有コバルト酸化物
からなる導電層中におけるコバルト元素の量が1〜10
重量%の範囲であることを特徴とするアルカリ蓄電池用
ニッケル極。 - 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項に記載したア
ルカリ蓄電池用ニッケル極において、水酸化ニッケルか
らなる活物質粒子の表面に上記の導電層が形成された全
体の重量に対して、添加させたニオブ又はその化合物の
粉末中におけるニオブ元素の量が0.2〜4.0重量%
の範囲であることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケ
ル極。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項に記載したア
ルカリ蓄電池用ニッケル極において、前記のニオブ又は
その化合物の粉末の平均粒径が100μm以下であるこ
とを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。 - 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項に記載したア
ルカリ蓄電池用ニッケル極において、前記の水酸化ニッ
ケルからなる活物質粒子中に、亜鉛,コバルト,カルシ
ウム,マグネシウム,アルミニウム,マンガン,イット
リウム及びイッテルビウムよりなる群から選択される少
なくとも1種の元素が固溶され、上記の水酸化ニッケル
におけるニッケルとこの元素との総量に対して、この元
素の割合が10原子%以下であることを特徴とするアル
カリ蓄電池用ニッケル極。 - 【請求項7】 請求項6に記載したアルカリ蓄電池用ニ
ッケル極において、前記の水酸化ニッケルからなる活物
質粒子中に、亜鉛,コバルトから選択される少なくとも
1種の元素が固溶されていることを特徴とするアルカリ
蓄電池用ニッケル極。 - 【請求項8】 請求項1〜7の何れか1項に記載したア
ルカリ蓄電池用ニッケル極において、前記のニオブ又は
その化合物の粉末の他に、イットリウム,イッテルビウ
ム,カルシウム,アルミニウム,エルビウム,ガドリニ
ウム,ツリウム,ルテチウム及び亜鉛よりなる群から選
ばれた少なくとも1種の元素又はその化合物の粉末が添
加されていることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケ
ル極。 - 【請求項9】 請求項8に記載したアルカリ蓄電池用ニ
ッケル極において、前記のニオブ又はその化合物の粉末
の他に、イットリウム又はその化合物の粉末が添加され
ていることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッケル極。 - 【請求項10】 請求項9に記載したアルカリ蓄電池用
ニッケル極において、前記のニオブ又はその化合物の粉
末の他に、イットリウム化合物としてY2 O 3 の粉末が
添加されていることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッ
ケル極。 - 【請求項11】 請求項1〜9の何れか1項に記載した
アルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたことを特徴
とするアルカリ蓄電池。 - 【請求項12】 請求項10に記載したアルカリ蓄電池
において、カリウムとリチウムとナトリウムとを含むア
ルカリ電解液を用いたことを特徴とするアルカリ蓄電
池。 - 【請求項13】 請求項11に記載のアルカリ蓄電池に
おいて、上記のアルカリ電解液が、水酸化カリウムを
4.0〜10.0mol/l、水酸化リチウムを0.1
〜2.0mol/l、水酸化ナトリウムを0.2〜4.
0mol/lの割合で含むことを特徴とするアルカリ蓄
電池。
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