JP2004006279A - アルカリ二次電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】活物質利用効率の高いニッケル正極及びそれを使用したアルカリ二次電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ニッケル焼結基板に活物質を充填してなる正極を備えたアルカリ二次電池において、前記ニッケル焼結基板表面にAxNiyCozOδ(A:Na、Kの少なくとも1種、0.01≦x≦0.1、x+y+z=1、0.9≦δ≦1.1、y:z=30:70〜90:10)で示される化合物を含む層が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】ニッケル焼結基板に活物質を充填してなる正極を備えたアルカリ二次電池において、前記ニッケル焼結基板表面にAxNiyCozOδ(A:Na、Kの少なくとも1種、0.01≦x≦0.1、x+y+z=1、0.9≦δ≦1.1、y:z=30:70〜90:10)で示される化合物を含む層が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルカリ二次電池に関し、詳しくはアルカリ二次電池のニッケル正極の活物質利用率の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ヘッドホンステレオ等の小型携帯機器の普及が急速に進展しており、その駆動電源としてニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池に代表されるアルカリ二次電池が広く利用されている。
【0003】
ところで、ニッケル−カドミウム蓄電池等のアルカリ二次電池に用いるニッケル正極としては、非焼結式電極と焼結式電極とがあるが、焼結式電極は非焼結式電極より高率放電に適していることから、高電流密度が必要な分野においては、従来より焼結式正極が用いられている。
【0004】
焼結式正極は、ニッケル焼結基板に、水酸化ニッケルを主体とする正極活物質を充填してなるものであるが、水酸化ニッケルは導電性に乏しいため、放電末期に正極活物質に電子が十分に供給がされなくなり、活物質利用率が低下するという問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、ニッケル焼結基板表面に高導電性のコバルト高次酸化物を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1−3参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平09−231966号公報(第2−4頁)
【特許文献2】
特開2000−285912号公報(第2−4頁)
【特許文献3】
特開2000−106180号公報(第2−4頁)
【0007】
上記文献1の技術では、ニッケル焼結体に不動態酸化物皮膜を形成し、その表面にコバルト・ニッケル混合水酸化物を形成し、過マンガン酸カリウムで酸化処理することにより保存特性を高める被膜が得られるとされる。しかし、この技術で得られるオキシ水酸化コバルトからなる導電ネットワークの導電性は十分ではなく、また、この技術では酸化処理工程と、電気酸化時の電解液や酸化剤を除去する工程とが必要なため、電極製造における工程数が増加するという問題がある。
【0008】
また、上記文献2の技術では、ニッケル焼結基板表面にニッケル・コバルト固溶水酸化物を形成し、アルカリと酸素の共存下、90℃前後で加熱処理し、高温高濃度のニッケル・コバルト酸性混合塩溶液に浸漬する方法により、導電性を高めることができるとされる。しかし、この技術で得られるニッケルとコバルトが固溶した高次酸化物層はそれなりの導電性を示すものの、未だ十分ではない。
【0009】
また、上記文献3の技術では、ニッケル焼結基板表面にニッケル・コバルト固溶酸化物を形成し、アルカリと酸素の共存下、90℃前後で加熱処理した後、高温高濃度のニッケルとコバルトを主体とする酸性混合塩溶液に浸漬してアルカリ処理することにより、基板細孔中にコバルトが共沈している水酸化ニッケルを充填する。この技術によると、電極内の導電性が向上し、重量効率及び充電受け入れ性が向上するとされる。しかし、この技術によっても十分に活物質利用率を高めることができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の事情に鑑みなされたものであって、アルカリ二次電池用ニッケル正極の活物質利用率を向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、ニッケル焼結基板に活物質を充填してなる正極を備えたアルカリ二次電池において、前記ニッケル焼結基板表面にAxNiyCozOδ(A:Na、Kの少なくとも1種、0.01≦x≦0.1、x+y+z=1、0.9≦δ≦1.1、y:z=30:70〜90:10)で示される化合物を含む層が形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記の構成では、AxNiyCozOδ(A:Na、Kの少なくとも1種)がニッケル焼結基板表面に形成されている。この複合金属酸化物は1価のアルカリ金属を含んでいるため、電荷を補うために上記複合金属酸化物中に導電性の高い3価のコバルトが生成する。この3価のコバルトによる導電ネットワークがニッケル焼結基板表面に効率よく形成されるため、放電末期においても正極活物質に十分に電子が供給されるようになり、活物質利用効率が向上する。
【0013】
ここで、上記複合金属酸化物中のA(Na、Kの少なくとも1種)の含有量比(Aのモル数/複合金属酸化物中の金属の全モル数)が0.01未満であると、上記複合金属酸化物中の導電にかかわる3価のコバルト量が減少するため、十分な導電性が得られず、0.1より多い場合には上記複合金属酸化物が不安定化し、容易に分解する。このため、上記複合金属酸化物中の上記Aの含有量(Aのモル数/複合金属酸化物中の金属の全モル数)は、0.01以上且つ0.1以下を満たすことが好ましい。
【0014】
また、前記複合金属酸化物中の0(酸素)の含有量は複合金属酸化物中の金属の全モル数を1.0として0.9以上且つ1.1以下を満たす範囲が望ましい。この範囲外では格子安定性が低下し、前記複合金属酸化物が容易に分解するためである。
【0015】
また、上記複合金属酸化物中のニッケルとコバルトのモル比〔ニッケルのモル数/(ニッケルのモル数+コバルトのモル数)〕が0.3未満又は0.9より多いと、導電性の向上が不十分になる。そのため、〔ニッケルのモル数/(ニッケルのモル数+コバルトのモル数)〕は0.3以上且つ0.9以下であることが好ましい。また、ニッケルのモル数/(ニッケルのモル数+コバルトのモル数)〕が0.65以上且つ0.9以下であると、さらに優れた導電性が得られるため、より好ましい。
【0016】
また、上記複合金属酸化物と正極活物質の含有比(複合金属酸化物質量/正極活物質量)が0.01未満であると十分な導電性の向上が得られず、0.1より多いと電池容量の低下を招く。このため、上記複合金属酸化物と正極活物質の含有比(複合金属酸化物質量/正極活物質量)は、0.01以上且つ0.1以下とすることが好ましい。
【0017】
上記構成において、前記AxNiyCozOδで示される化合物を含む層と、その上に充填された活物質との全体の平均真密度(以下活物質真密度と記載)が3.65g/cm3以下である、とすることができる。
【0018】
活物質真密度が3.65g/cm3より大きいと、焼結体の孔内の活物質充填性にばらつきが生じやすくなり、活物質利用率が低下する。このため、活物質真密度を上記範囲内に規制することが好ましい。より好ましくは3.63g/cm3以下に規制することである。
また、活物質真密度が3.0g/cm3より小さいと、活物質充填量が減少しすぎるため、電池容量が低下する。このため、活物質真密度を3.0g/cm3以上にすることが好ましい。
【0019】
なお、活物質真密度は、前記AxNiyCozOδで示される化合物を含む層を形成する前の焼結基板の体積・質量と、活物質充填後の焼結基板の体積・質量とから、以下の数式1により求めることができる。
【0020】
〔数式1〕
活物質真密度(g/cm3)=(充填後質量−形成前質量)÷(充填後体積−形成前体積)
【0021】
上記複合金属酸化物層がその表面に形成されたニッケル正極を備える電池は、ニッケル焼結基板表面を、ニッケル:コバルト比が、モル比で30:70〜90:10の混合酸性溶液に浸漬する第一工程と、NaOH及び/又はKOHからなるアルカリ水溶液に浸漬する第二工程と、前記アルカリ水溶液と酸素の共存下150℃以上で加熱処理する第三工程と、活物質を充填する第四工程とを備えることを特徴とする製造方法により作製することができる。
【0022】
上記製造方法によると、工程を大きく増加させることなく、効率よく、導電性に優れた上記複合金属酸化物層をニッケル焼結基板上に形成することができる。また、活物質が水酸化ニッケルを主体とする活物質である場合、活物質真密度を3.65g/cm3以下に規制することができる。
【0023】
また、上記製造方法において、混合酸性溶液のニッケル:コバルト比を、モル比で65:35〜90:10に規制することが、導電性の向上の面でより好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、実施例に基づいて説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
【0025】
(実施例1)
まず、図1に基づいて、実施例1に係る電池の全体像を説明する。図1は本発明によるアルカリ二次電池を模式的に示す断面図である。
【0026】
図1の電池は、水酸化ニッケルがニッケル焼結基板に充填された正極1、公知の方法にて作製した負極2、これら両電極を離間するセパレータ3、正極リード4、負極リード5、正極外部端子6、負極缶7などからなる。正極1及び負極2は、電解液が含浸されたセパレータ3を介して渦巻き状に巻き取られた状態で、負極缶7内に収容されており、正極1は正極リード4を介して正極外部端子6に、また負極2は負極リード5を介して負極缶7に接続され、電池内部で生じた化学エネルギーを電気エネルギーとして外部へ取り出し得るようになっている。尚、上記セパレータ3としてはポリアミド製の不織布を用い、セパレータ3に含浸される電解液としては、30質量%KOH水溶液から成るアルカリ電解液を用いた。
【0027】
前記ニッケル焼結基板の表面には、AxNiyCozOδ(A:Na、Kの少なくとも1種、0.01≦x≦0.1、x+y+z=1、0.9≦δ≦1.1、y:z=30:70〜90:10)で示される化合物を含む層が形成されている。
【0028】
(電池の作製)
先ず、ニッケルとコバルトのモル比が70:30、比重が1.2である混合硝酸塩水溶液に、公知の方法で製造された多孔度85%のニッケル焼結基板を10分間浸漬し、乾燥後、9モル/l、80℃のNaOH水溶液に30分間浸漬して、焼結基板の表面にニッケル・コバルト水酸化物層を形成した。この基板を前記NaOH水溶液に濡れたまま200℃の乾燥炉にて60分間加熱処理し、熱処理基板を得た。
【0029】
上記熱処理基板を硝酸ニッケル主体の水溶液に含浸した後、9モル/lのNaOH溶液に浸漬して水酸化ニッケルに転化した。この工程を合計7回繰り返して、上記熱処理基板に水酸化ニッケルを充填し正極板を作製した。このとき、活物質充填密度は2.7g/ccである。
【0030】
正極活物質量が7.5gとなるようにした正極1と、公知の焼結式カドミウム負極2とを、耐アルカリ性を有するポリアミド製のセパレータ3と共に巻回して渦巻状の電極体を作製した後、正極1、負極2に各々リード4、5を溶接した後、この電極体を負極缶7内に挿入した。その後、負極リード5と負極缶7を溶接、正極リード4と正極外部端子6を溶接し、負極缶7内に電解液を注入し、更に負極缶7の封口を行なって、円筒形の公称容量1800mAhである実施例1に係る本発明電池A1を作製した。
【0031】
(分析試料の作製)
基板上に形成した層の結晶構造分析、成分分析(X線回析、原子吸光分析)を行うため、以下のようにしてX線回析〈XRD〉試料及び原子吸光分析試料を作製した。
【0032】
(X線回析〈XRD〉試料の作製)
先ず、ニッケルとコバルトのモル比が70:30、比重が1.2である混合硝酸塩水溶液をニッケル平板に塗布し、乾燥後、9モル/l、80℃のNaOH溶液に30分浸漬して焼結基板の表面にニッケル・コバルト水酸化物層を形成した。この平板を前記NaOH溶液に濡れたまま200℃の乾燥炉にて60分間加熱処理し、水洗してアルカリを除去した後、表面に形成された層をニッケル平板からヘラで脱落させ、乳鉢で粉砕し、実施例1に係るXRD試料A1bを作製した。
【0033】
(原子吸光分析試料の作製)
上記のように作製したXRD試料を塩酸に溶解し、実施例1に係る原子吸光分析試料A1cを作製した。
【0034】
(試験条件)
X線回析は、X線回析装置(RIGAKU RINT2000)により測定し、原子吸光分析は原子吸光分光光度計(セイコー電子工業 SAS−7500)のフレーム分析により測定した。
【0035】
(比較例1)
加熱処理しなかった(25℃の乾燥炉で処理した)こと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る比較電池X1、XRD試料X1bを作製した。
【0036】
(比較例2)
乾燥炉での加熱温度を100℃にしたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例2に係る比較電池X2、XRD試料X2b、原子吸光分析試料X2cを作製した。
【0037】
(実験1)
上記のように作製した本発明電池A1、比較電池X1、X2について、以下の条件で充放電して、放電容量を測定し、その値から正極活物質1g当り容量を算出した。その結果は表1に示す。
【0038】
充電条件:0.2It(360mA)、8時間
放電条件:1It(1800mA)、終止電圧1.0V
【0039】
また、それぞれ作製した試料について、XRD分析、原子吸光分析を行い、XRDチャートは図2〜4に、原子吸光分析結果は下記表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
表1から、200℃の加熱処理により、正極活物質1g当り容量が増加していることから、正極活物質の利用効率が向上していることがわかる。
【0043】
図2に200℃で加熱処理した試料A1bのXRDチャートを示す。図2において、△で示すピークは、MO(M:Ni,Co)に特徴的なピークであることから、200℃で加熱処理した場合、ニッケル焼結基板表面に一酸化物に近いニッケル・コバルト複合金属一酸化物(以下ニッケル・コバルト複合一酸化物と記載)が形成されていることがわかる。また、図3に処理をしなかった試料X1bのXRDチャートを、図4に100℃で加熱処理した試料X2bのXRDチャートを示す。これらの図において×で示すピークは、M(OH)2(M:Ni,Co)に特徴的なピークであることから、100℃で加熱処理した場合、加熱処理していない場合と同様に、ニッケル焼結基板表面に導電性の低いニッケル・コバルト水酸化物が残存していることがわかる。
【0044】
さらに、表2におけるX2cとA1cのNa量を比較すると、A1cのNa量が4.9%と、Na量が0.2%であるX2cよりはるかに多くのナトリウムが残存していることがわかる。
【0045】
ここで、水酸化ナトリウムのみを酸素の存在下200℃で加熱処理した場合、生成する化合物は酸化ナトリウムである。この酸化ナトリウムは水洗によって水酸化ナトリウムとなり、試料から除かれることとなる。
【0046】
しかるに、200℃で加熱処理し、水洗によりアルカリ分を除去した試料A1c中には4.9%と多量のナトリウムが含まれているので、このナトリウムはニッケル・コバルト複合一酸化物の結晶格子中に取り込まれたナトリウムである。このことから、焼結基板表面に形成された化合物は、ナトリウム含有ニッケル・コバルト複合一酸化物であり、このナトリウム含有ニッケル・コバルト複合一酸化物が焼結基板の導電性を向上させ、200℃加熱処理をした電池の活物質1g当り容量を増加させたということがわかる。
【0047】
(実験2)
実験2では、加熱処理温度が正極活物質1g当り容量に与える影響について検討した。
【0048】
25℃〜300℃の種々の温度で加熱したこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製し、実験1と同様に放電容量を測定し、その値から算出した正極活物質1g当り容量と加熱処理温度との相関を図5に示す。
【0049】
図5から、熱処理温度が150℃以上において正極活物質1g当り放電容量が急激に増加していることがわかる。これは、150℃以上で加熱処理した場合、上記実施例1と同様に導電性に優れたナトリウム含有ニッケル・コバルト複合一酸化物が形成されるが、150℃未満であると、上記比較例2と同様に、ニッケル・コバルト複合一酸化物が生成されず、導電性の低いニッケル・コバルト水酸化物が残存するためであると考えられる。従って、電池製造時の熱処理温度は150℃以上であることが好ましい。
【0050】
(実験3)
実験3では、アルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物中のニッケル:コバルトのモル比が正極活物質1g当り容量に与える影響について検討した。
【0051】
ニッケル・コバルト混合硝酸塩水溶液中のモル比を、ニッケル:コバルト0:100〜100:0の種々の条件にしたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製し、実験1と同様に放電容量を測定し、その値から算出した正極活物質1g当り容量と、ニッケル:コバルトのモル比との相関を図6に示す。
【0052】
図6から、アルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物中のニッケル:コバルトのモル比が30:70〜90:10の範囲で正極活物質1g当り容量が増加し、モル比が65:35〜90:10の範囲で特に高い容量を示していることがわかる。
【0053】
このことから、ニッケル:コバルトのモル比が30:70〜90:10の範囲であることが好ましく、65:35〜90:10の範囲であることがさらに好ましい。尚、上記ニッケル:コバルト比率で導電性が良好になる理由としては、アルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物が有する特殊な結晶構造や価数分布に起因する高い導電性が考えられる。
【0054】
(実験4)
実験4では、加熱処理時に共存するアルカリ溶液の種類が正極活物質1g当り容量に与える影響について検討した。
【0055】
(実施例2)
熱処理前に含浸するアルカリ水溶液を9モル/lKOH水溶液にかえ、前記KOH共存下加熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る本発明電池A2及びXRD試料A2bを作製した。
【0056】
(比較例3)
熱処理前に含浸するアルカリ水溶液を5モル/lLiOH水溶液にかえ、前記LiOH共存下加熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る比較電池X3及びXRD試料X3bを作製した。
【0057】
(比較例4)
9モル/lNaOH水溶液に浸漬後、水洗してアルカリを除去後、加熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4に係る比較電池X4及びXRD試料X4bを作製した。
【0058】
本発明電池A1、A2、比較電池X3、X4を実験1と同様に放電容量を測定し、その値から算出した正極活物質1g当り容量を下記表3に示すとともに、XRD試料A1b、A2b、X3b、X4bについてXRD分析を測定した。そのチャートを図2、図7〜9に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
表3から、KOH溶液共存下加熱処理した電池A2はNaOH溶液共存下加熱処理した電池と同様に正極活物質1g当り容量が向上すること、LiOH溶液共存下加熱処理した電池X3及びアルカリを除去した電池X4においては、正極活物質1g当り容量がほとんど向上しないことがわかる。
【0061】
さらに、KOH溶液で処理した場合のXRDチャートである図7は、NaOH溶液で処理した場合のXRDチャートである図2とほぼ同一のピークパターンが得られていることから、KOH溶液共存で加熱処理した場合においても、NaOH溶液共存で加熱処理した場合と同様にアルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物が生成していることがわかる。一方、LiOH溶液共存で加熱処理した場合のXRDチャートである図8中の○で示すピークは、LiMO2(M:Ni、Co)に特徴的なピークであり、アルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物ではない。また、アルカリが共存しない条件で加熱処理した場合のXRDチャートである図9中の□で示すピークは、M3O4(M:Ni、Co)に特徴的なピークであり、アルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物ではないことから、ニッケル焼結基板表面に形成された化合物はそれぞれ、LiMO2(M:Ni、Co)、M3O4(M:Ni、Co)である。
【0062】
これらのことから、NaOHまたはKOH溶液浸漬電池A1、A2においてはアルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物がニッケル焼結基板上に形成され、良好な導電性が得られるが、LiOH溶液浸漬電池X3においては低導電性のLiMO2(M:Ni、Co)、アルカリを除去した電池X4においては低導電性のM3O4(M:Ni、Co)がそれぞれニッケル焼結基板上に形成されるため、導電性が十分に向上せず、正極活物質1g当り容量が向上しないことがわかる。このため、熱処理前に浸漬し、加熱処理時に共存させるアルカリ溶液としては、NaOH溶液またはKOH溶液が好ましい。
【0063】
(実験5)
実験5では、加熱温度が活物質真密度及び活物質利用率に与える影響について検討した。
【0064】
(実施例3)
理論容量を630mAhとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして実施例3に係る本発明電池A3を作製した。
【0065】
(実施例4)
ニッケル−コバルト比を50:50にしたこと以外は、上記実施例3と同様にして実施例4に係る本発明電池A4を作製した。
【0066】
(実施例5)
活物質の充填回数を4回としたこと以外は、上記実施例3と同様にして実施例5に係る本発明電池A5を作製した。
【0067】
(実施例6)
ニッケル−コバルト比を50:50にしたこと以外は、上記実施例5と同様にして実施例6に係る本発明電池A6を作製した。
【0068】
(比較例5)
加熱温度を100℃としたこと以外は、上記実施例3と同様にして比較例5に係る比較電池X5を作製した。
【0069】
(比較例6)
ニッケル−コバルト比を50:50にしたこと以外は、上記比較例5と同様にして比較例6に係る比較電池X6を作製した。
【0070】
(比較例7)
活物質の充填回数を4回としたこと以外は、上記比較例5と同様にして比較例7に係る比較電池X7を作製した。
【0071】
(比較例8)
ニッケル−コバルト比を50:50にしたこと以外は、上記比較例7と同様にして比較例8に係る比較電池X8を作製した。
【0072】
上記で作製した本発明電池A3〜A6及び比較電池X5〜X8について、放電容量及び活物質真密度を測定した。なお、各電池ともに2検体作製した。
【0073】
AxNiyCozOδで示される化合物を含む層を形成する前の焼結基板の体積、活物質充填後の焼結基板の体積をアルキメデス法によって測定し、活物質真密度は以下の数式2により求めた。
【0074】
〔数式2〕
活物質真密度(g/cm3)=(充填後質量−形成前質量)÷(充填後体積−形成前体積)
【0075】
また、活物質利用率は、0.15It(94.5mA)で9時間充電後、0.33It(210mA)で終止電圧1.0Vまで放電して測定した放電容量と、水酸化ニッケルの容量を289mAh/gとして算出した理論容量とから、以下の数式3により求めた。
【0076】
〔数式3〕
活物質利用率(%)=100×放電容量÷理論容量
【0077】
熱処理温度と、活物質真密度及び活物質利用率との関係を下記表4及び図10に示す。
【0078】
【表4】
数値は全て2検体の平均値である。
【0079】
上記表4及び図10から、熱処理温度が100℃であるX5〜X8では、活物質真密度が3.68〜3.72g/cm3と高かったのに対し、熱処理温度が200℃であるA3〜A6では、3.54〜3.63g/cm3と低い活物質真密度であることがわかった。
【0080】
このことは、次のように考えられる。実験1で示したように、熱処理温度によって焼結基板表面に形成される被膜の構造が異なる。この被膜構造の違いに影響を受けて、その被膜上に充填された水酸化ニッケル粒子の形状が変化するので、活物質真密度が変化したものと考えられる。
【0081】
また、3.68〜3.72g/cm3と高い活物質真密度であるX5〜X8では、活物質利用率が82.2〜86.8%と低かったのに対し、活物質真密度が3.54〜3.63g/cm3と低いA3〜A6では、87.2〜94.1%と高い活物質利用率であることがわかった。
【0082】
このことは、活物質真密度が3.65g/cm3以下であると、焼結基板の孔内での活質の充填性が均一化するので、放電特性が向上して、活物質の利用率が87.2%以上に向上したものと考えられる。
【0083】
他方、活物質真密度が3.65g/cm3より大きいと、焼結基板の孔内での活質の充填性が不均一となるので、放電特性が低下して、活物質の利用率が86.8%以下になったものと考えられる。
【0084】
また、含浸回数が7回であるA3、A4では、活物質利用率が87.2〜88.7%と低い活物質利用率であるのに対し、含浸回数が4回であるA5、A6では、活物質利用率が93.2〜94.1%と高いことがわかった。
【0085】
このことは、含浸を繰り返すことによって、水酸化ニッケルの溶解、再析出が起こる結果、結晶構造が変化して、活物質の利用率が88.7%以下に低下したものと考えられる。
【0086】
尚、上記実施の形態では浸漬するアルカリ溶液として、NaOHまたはKOHをそれぞれ単独で使用したが、両者を混合したアルカリ溶液であっても同様の効果が得られる。
【0087】
また、上記実施の形態では円筒型のニッケル−カドミウム蓄電池を作製したが、本発明は円筒型のニッケル−カドミウム蓄電池に限定するものではなく、角型、ボタン型、プレート型等の他の形状の電池や、ニッケル−水素蓄電池等、他のアルカリ二次電池にも適用しうることは当然のことである。
【0088】
また、上記実施の形態では活物質として水酸化ニッケルを用いたが、請求項1に係るアルカリ二次電池、及び請求項3、4に係る製造方法は、これに限定されるものではなく、コバルト、カドミウム、亜鉛等の酸化物、水酸化物であってもよい。
【0089】
また、セパレータとしては、ポリアミド製以外に、ポリオレフィン系の材料を用いることができ、また不織布ではなく、微多孔性膜を用いることもできる。また、アルカリ電解液としては、KOH水溶液以外にNaOH水溶液、KOHとNaOHの混合水溶液、またこれらのアルカリ水溶液にLiOHを添加した水溶液等も好適に使用することができる。
【0090】
また、上記実施の形態では、焼結基板の体積を活物質充填前に測定したが、活物質を充填し、電極となした後であっても、酢酸、アンモニア水溶液、又はこれらの混合溶液等によって電極から活物質及びAxNiyCozOδで示される化合物を含む層を除去すれば、同様に焼結基板体積及び活物質真密度を測定することができる。
【0091】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、本発明は、ニッケル焼結基板表面にアルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物を含む層を形成することにより、正極活物質の利用率を格段に向上させることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、ニッケル正極を用いたアルカリ二次電池を模式的に示す断面図。
【図2】浸漬するアルカリ溶液に9モル/lNaOHを用い、200℃で加熱処理したXRD試料A1bのXRDチャート。
【図3】浸漬するアルカリ溶液に9モル/lNaOHを用い、加熱処理しなかったXRD試料X1bのXRDチャート。
【図4】浸漬するアルカリ溶液に9モル/lNaOHを用い、100℃で加熱処理したXRD試料X2bのXRDチャート。
【図5】熱処理温度と正極活物質1g当り容量との関係を表した図。
【図6】ニッケル:コバルト比率と正極活物質1g当り容量との関係を表した図。
【図7】浸漬するアルカリ溶液に9モル/lKOHを用い、200℃で加熱処理したXRD試料A2bのXRDチャート。
【図8】浸漬するアルカリ溶液に5モル/lLiOHを用い、200℃で加熱処理したXRD試料X3bのXRDチャート。
【図9】9モル/lNaOH溶液に浸漬後、水洗してアルカリを除去し、200℃で加熱処理したXRD試料X4bのXRDチャート。
【図10】活物質真密度と活物質利用率との関係を示したグラフ。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極リード
5 負極リード
6 正極外部端子
7 負極缶
【発明の属する技術分野】
本発明はアルカリ二次電池に関し、詳しくはアルカリ二次電池のニッケル正極の活物質利用率の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ヘッドホンステレオ等の小型携帯機器の普及が急速に進展しており、その駆動電源としてニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池に代表されるアルカリ二次電池が広く利用されている。
【0003】
ところで、ニッケル−カドミウム蓄電池等のアルカリ二次電池に用いるニッケル正極としては、非焼結式電極と焼結式電極とがあるが、焼結式電極は非焼結式電極より高率放電に適していることから、高電流密度が必要な分野においては、従来より焼結式正極が用いられている。
【0004】
焼結式正極は、ニッケル焼結基板に、水酸化ニッケルを主体とする正極活物質を充填してなるものであるが、水酸化ニッケルは導電性に乏しいため、放電末期に正極活物質に電子が十分に供給がされなくなり、活物質利用率が低下するという問題がある。
【0005】
この問題を解決するため、ニッケル焼結基板表面に高導電性のコバルト高次酸化物を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1−3参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平09−231966号公報(第2−4頁)
【特許文献2】
特開2000−285912号公報(第2−4頁)
【特許文献3】
特開2000−106180号公報(第2−4頁)
【0007】
上記文献1の技術では、ニッケル焼結体に不動態酸化物皮膜を形成し、その表面にコバルト・ニッケル混合水酸化物を形成し、過マンガン酸カリウムで酸化処理することにより保存特性を高める被膜が得られるとされる。しかし、この技術で得られるオキシ水酸化コバルトからなる導電ネットワークの導電性は十分ではなく、また、この技術では酸化処理工程と、電気酸化時の電解液や酸化剤を除去する工程とが必要なため、電極製造における工程数が増加するという問題がある。
【0008】
また、上記文献2の技術では、ニッケル焼結基板表面にニッケル・コバルト固溶水酸化物を形成し、アルカリと酸素の共存下、90℃前後で加熱処理し、高温高濃度のニッケル・コバルト酸性混合塩溶液に浸漬する方法により、導電性を高めることができるとされる。しかし、この技術で得られるニッケルとコバルトが固溶した高次酸化物層はそれなりの導電性を示すものの、未だ十分ではない。
【0009】
また、上記文献3の技術では、ニッケル焼結基板表面にニッケル・コバルト固溶酸化物を形成し、アルカリと酸素の共存下、90℃前後で加熱処理した後、高温高濃度のニッケルとコバルトを主体とする酸性混合塩溶液に浸漬してアルカリ処理することにより、基板細孔中にコバルトが共沈している水酸化ニッケルを充填する。この技術によると、電極内の導電性が向上し、重量効率及び充電受け入れ性が向上するとされる。しかし、この技術によっても十分に活物質利用率を高めることができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の事情に鑑みなされたものであって、アルカリ二次電池用ニッケル正極の活物質利用率を向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、ニッケル焼結基板に活物質を充填してなる正極を備えたアルカリ二次電池において、前記ニッケル焼結基板表面にAxNiyCozOδ(A:Na、Kの少なくとも1種、0.01≦x≦0.1、x+y+z=1、0.9≦δ≦1.1、y:z=30:70〜90:10)で示される化合物を含む層が形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記の構成では、AxNiyCozOδ(A:Na、Kの少なくとも1種)がニッケル焼結基板表面に形成されている。この複合金属酸化物は1価のアルカリ金属を含んでいるため、電荷を補うために上記複合金属酸化物中に導電性の高い3価のコバルトが生成する。この3価のコバルトによる導電ネットワークがニッケル焼結基板表面に効率よく形成されるため、放電末期においても正極活物質に十分に電子が供給されるようになり、活物質利用効率が向上する。
【0013】
ここで、上記複合金属酸化物中のA(Na、Kの少なくとも1種)の含有量比(Aのモル数/複合金属酸化物中の金属の全モル数)が0.01未満であると、上記複合金属酸化物中の導電にかかわる3価のコバルト量が減少するため、十分な導電性が得られず、0.1より多い場合には上記複合金属酸化物が不安定化し、容易に分解する。このため、上記複合金属酸化物中の上記Aの含有量(Aのモル数/複合金属酸化物中の金属の全モル数)は、0.01以上且つ0.1以下を満たすことが好ましい。
【0014】
また、前記複合金属酸化物中の0(酸素)の含有量は複合金属酸化物中の金属の全モル数を1.0として0.9以上且つ1.1以下を満たす範囲が望ましい。この範囲外では格子安定性が低下し、前記複合金属酸化物が容易に分解するためである。
【0015】
また、上記複合金属酸化物中のニッケルとコバルトのモル比〔ニッケルのモル数/(ニッケルのモル数+コバルトのモル数)〕が0.3未満又は0.9より多いと、導電性の向上が不十分になる。そのため、〔ニッケルのモル数/(ニッケルのモル数+コバルトのモル数)〕は0.3以上且つ0.9以下であることが好ましい。また、ニッケルのモル数/(ニッケルのモル数+コバルトのモル数)〕が0.65以上且つ0.9以下であると、さらに優れた導電性が得られるため、より好ましい。
【0016】
また、上記複合金属酸化物と正極活物質の含有比(複合金属酸化物質量/正極活物質量)が0.01未満であると十分な導電性の向上が得られず、0.1より多いと電池容量の低下を招く。このため、上記複合金属酸化物と正極活物質の含有比(複合金属酸化物質量/正極活物質量)は、0.01以上且つ0.1以下とすることが好ましい。
【0017】
上記構成において、前記AxNiyCozOδで示される化合物を含む層と、その上に充填された活物質との全体の平均真密度(以下活物質真密度と記載)が3.65g/cm3以下である、とすることができる。
【0018】
活物質真密度が3.65g/cm3より大きいと、焼結体の孔内の活物質充填性にばらつきが生じやすくなり、活物質利用率が低下する。このため、活物質真密度を上記範囲内に規制することが好ましい。より好ましくは3.63g/cm3以下に規制することである。
また、活物質真密度が3.0g/cm3より小さいと、活物質充填量が減少しすぎるため、電池容量が低下する。このため、活物質真密度を3.0g/cm3以上にすることが好ましい。
【0019】
なお、活物質真密度は、前記AxNiyCozOδで示される化合物を含む層を形成する前の焼結基板の体積・質量と、活物質充填後の焼結基板の体積・質量とから、以下の数式1により求めることができる。
【0020】
〔数式1〕
活物質真密度(g/cm3)=(充填後質量−形成前質量)÷(充填後体積−形成前体積)
【0021】
上記複合金属酸化物層がその表面に形成されたニッケル正極を備える電池は、ニッケル焼結基板表面を、ニッケル:コバルト比が、モル比で30:70〜90:10の混合酸性溶液に浸漬する第一工程と、NaOH及び/又はKOHからなるアルカリ水溶液に浸漬する第二工程と、前記アルカリ水溶液と酸素の共存下150℃以上で加熱処理する第三工程と、活物質を充填する第四工程とを備えることを特徴とする製造方法により作製することができる。
【0022】
上記製造方法によると、工程を大きく増加させることなく、効率よく、導電性に優れた上記複合金属酸化物層をニッケル焼結基板上に形成することができる。また、活物質が水酸化ニッケルを主体とする活物質である場合、活物質真密度を3.65g/cm3以下に規制することができる。
【0023】
また、上記製造方法において、混合酸性溶液のニッケル:コバルト比を、モル比で65:35〜90:10に規制することが、導電性の向上の面でより好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、実施例に基づいて説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
【0025】
(実施例1)
まず、図1に基づいて、実施例1に係る電池の全体像を説明する。図1は本発明によるアルカリ二次電池を模式的に示す断面図である。
【0026】
図1の電池は、水酸化ニッケルがニッケル焼結基板に充填された正極1、公知の方法にて作製した負極2、これら両電極を離間するセパレータ3、正極リード4、負極リード5、正極外部端子6、負極缶7などからなる。正極1及び負極2は、電解液が含浸されたセパレータ3を介して渦巻き状に巻き取られた状態で、負極缶7内に収容されており、正極1は正極リード4を介して正極外部端子6に、また負極2は負極リード5を介して負極缶7に接続され、電池内部で生じた化学エネルギーを電気エネルギーとして外部へ取り出し得るようになっている。尚、上記セパレータ3としてはポリアミド製の不織布を用い、セパレータ3に含浸される電解液としては、30質量%KOH水溶液から成るアルカリ電解液を用いた。
【0027】
前記ニッケル焼結基板の表面には、AxNiyCozOδ(A:Na、Kの少なくとも1種、0.01≦x≦0.1、x+y+z=1、0.9≦δ≦1.1、y:z=30:70〜90:10)で示される化合物を含む層が形成されている。
【0028】
(電池の作製)
先ず、ニッケルとコバルトのモル比が70:30、比重が1.2である混合硝酸塩水溶液に、公知の方法で製造された多孔度85%のニッケル焼結基板を10分間浸漬し、乾燥後、9モル/l、80℃のNaOH水溶液に30分間浸漬して、焼結基板の表面にニッケル・コバルト水酸化物層を形成した。この基板を前記NaOH水溶液に濡れたまま200℃の乾燥炉にて60分間加熱処理し、熱処理基板を得た。
【0029】
上記熱処理基板を硝酸ニッケル主体の水溶液に含浸した後、9モル/lのNaOH溶液に浸漬して水酸化ニッケルに転化した。この工程を合計7回繰り返して、上記熱処理基板に水酸化ニッケルを充填し正極板を作製した。このとき、活物質充填密度は2.7g/ccである。
【0030】
正極活物質量が7.5gとなるようにした正極1と、公知の焼結式カドミウム負極2とを、耐アルカリ性を有するポリアミド製のセパレータ3と共に巻回して渦巻状の電極体を作製した後、正極1、負極2に各々リード4、5を溶接した後、この電極体を負極缶7内に挿入した。その後、負極リード5と負極缶7を溶接、正極リード4と正極外部端子6を溶接し、負極缶7内に電解液を注入し、更に負極缶7の封口を行なって、円筒形の公称容量1800mAhである実施例1に係る本発明電池A1を作製した。
【0031】
(分析試料の作製)
基板上に形成した層の結晶構造分析、成分分析(X線回析、原子吸光分析)を行うため、以下のようにしてX線回析〈XRD〉試料及び原子吸光分析試料を作製した。
【0032】
(X線回析〈XRD〉試料の作製)
先ず、ニッケルとコバルトのモル比が70:30、比重が1.2である混合硝酸塩水溶液をニッケル平板に塗布し、乾燥後、9モル/l、80℃のNaOH溶液に30分浸漬して焼結基板の表面にニッケル・コバルト水酸化物層を形成した。この平板を前記NaOH溶液に濡れたまま200℃の乾燥炉にて60分間加熱処理し、水洗してアルカリを除去した後、表面に形成された層をニッケル平板からヘラで脱落させ、乳鉢で粉砕し、実施例1に係るXRD試料A1bを作製した。
【0033】
(原子吸光分析試料の作製)
上記のように作製したXRD試料を塩酸に溶解し、実施例1に係る原子吸光分析試料A1cを作製した。
【0034】
(試験条件)
X線回析は、X線回析装置(RIGAKU RINT2000)により測定し、原子吸光分析は原子吸光分光光度計(セイコー電子工業 SAS−7500)のフレーム分析により測定した。
【0035】
(比較例1)
加熱処理しなかった(25℃の乾燥炉で処理した)こと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る比較電池X1、XRD試料X1bを作製した。
【0036】
(比較例2)
乾燥炉での加熱温度を100℃にしたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例2に係る比較電池X2、XRD試料X2b、原子吸光分析試料X2cを作製した。
【0037】
(実験1)
上記のように作製した本発明電池A1、比較電池X1、X2について、以下の条件で充放電して、放電容量を測定し、その値から正極活物質1g当り容量を算出した。その結果は表1に示す。
【0038】
充電条件:0.2It(360mA)、8時間
放電条件:1It(1800mA)、終止電圧1.0V
【0039】
また、それぞれ作製した試料について、XRD分析、原子吸光分析を行い、XRDチャートは図2〜4に、原子吸光分析結果は下記表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
表1から、200℃の加熱処理により、正極活物質1g当り容量が増加していることから、正極活物質の利用効率が向上していることがわかる。
【0043】
図2に200℃で加熱処理した試料A1bのXRDチャートを示す。図2において、△で示すピークは、MO(M:Ni,Co)に特徴的なピークであることから、200℃で加熱処理した場合、ニッケル焼結基板表面に一酸化物に近いニッケル・コバルト複合金属一酸化物(以下ニッケル・コバルト複合一酸化物と記載)が形成されていることがわかる。また、図3に処理をしなかった試料X1bのXRDチャートを、図4に100℃で加熱処理した試料X2bのXRDチャートを示す。これらの図において×で示すピークは、M(OH)2(M:Ni,Co)に特徴的なピークであることから、100℃で加熱処理した場合、加熱処理していない場合と同様に、ニッケル焼結基板表面に導電性の低いニッケル・コバルト水酸化物が残存していることがわかる。
【0044】
さらに、表2におけるX2cとA1cのNa量を比較すると、A1cのNa量が4.9%と、Na量が0.2%であるX2cよりはるかに多くのナトリウムが残存していることがわかる。
【0045】
ここで、水酸化ナトリウムのみを酸素の存在下200℃で加熱処理した場合、生成する化合物は酸化ナトリウムである。この酸化ナトリウムは水洗によって水酸化ナトリウムとなり、試料から除かれることとなる。
【0046】
しかるに、200℃で加熱処理し、水洗によりアルカリ分を除去した試料A1c中には4.9%と多量のナトリウムが含まれているので、このナトリウムはニッケル・コバルト複合一酸化物の結晶格子中に取り込まれたナトリウムである。このことから、焼結基板表面に形成された化合物は、ナトリウム含有ニッケル・コバルト複合一酸化物であり、このナトリウム含有ニッケル・コバルト複合一酸化物が焼結基板の導電性を向上させ、200℃加熱処理をした電池の活物質1g当り容量を増加させたということがわかる。
【0047】
(実験2)
実験2では、加熱処理温度が正極活物質1g当り容量に与える影響について検討した。
【0048】
25℃〜300℃の種々の温度で加熱したこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製し、実験1と同様に放電容量を測定し、その値から算出した正極活物質1g当り容量と加熱処理温度との相関を図5に示す。
【0049】
図5から、熱処理温度が150℃以上において正極活物質1g当り放電容量が急激に増加していることがわかる。これは、150℃以上で加熱処理した場合、上記実施例1と同様に導電性に優れたナトリウム含有ニッケル・コバルト複合一酸化物が形成されるが、150℃未満であると、上記比較例2と同様に、ニッケル・コバルト複合一酸化物が生成されず、導電性の低いニッケル・コバルト水酸化物が残存するためであると考えられる。従って、電池製造時の熱処理温度は150℃以上であることが好ましい。
【0050】
(実験3)
実験3では、アルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物中のニッケル:コバルトのモル比が正極活物質1g当り容量に与える影響について検討した。
【0051】
ニッケル・コバルト混合硝酸塩水溶液中のモル比を、ニッケル:コバルト0:100〜100:0の種々の条件にしたこと以外は、上記実施例1と同様にして電池を作製し、実験1と同様に放電容量を測定し、その値から算出した正極活物質1g当り容量と、ニッケル:コバルトのモル比との相関を図6に示す。
【0052】
図6から、アルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物中のニッケル:コバルトのモル比が30:70〜90:10の範囲で正極活物質1g当り容量が増加し、モル比が65:35〜90:10の範囲で特に高い容量を示していることがわかる。
【0053】
このことから、ニッケル:コバルトのモル比が30:70〜90:10の範囲であることが好ましく、65:35〜90:10の範囲であることがさらに好ましい。尚、上記ニッケル:コバルト比率で導電性が良好になる理由としては、アルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物が有する特殊な結晶構造や価数分布に起因する高い導電性が考えられる。
【0054】
(実験4)
実験4では、加熱処理時に共存するアルカリ溶液の種類が正極活物質1g当り容量に与える影響について検討した。
【0055】
(実施例2)
熱処理前に含浸するアルカリ水溶液を9モル/lKOH水溶液にかえ、前記KOH共存下加熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る本発明電池A2及びXRD試料A2bを作製した。
【0056】
(比較例3)
熱処理前に含浸するアルカリ水溶液を5モル/lLiOH水溶液にかえ、前記LiOH共存下加熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る比較電池X3及びXRD試料X3bを作製した。
【0057】
(比較例4)
9モル/lNaOH水溶液に浸漬後、水洗してアルカリを除去後、加熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4に係る比較電池X4及びXRD試料X4bを作製した。
【0058】
本発明電池A1、A2、比較電池X3、X4を実験1と同様に放電容量を測定し、その値から算出した正極活物質1g当り容量を下記表3に示すとともに、XRD試料A1b、A2b、X3b、X4bについてXRD分析を測定した。そのチャートを図2、図7〜9に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
表3から、KOH溶液共存下加熱処理した電池A2はNaOH溶液共存下加熱処理した電池と同様に正極活物質1g当り容量が向上すること、LiOH溶液共存下加熱処理した電池X3及びアルカリを除去した電池X4においては、正極活物質1g当り容量がほとんど向上しないことがわかる。
【0061】
さらに、KOH溶液で処理した場合のXRDチャートである図7は、NaOH溶液で処理した場合のXRDチャートである図2とほぼ同一のピークパターンが得られていることから、KOH溶液共存で加熱処理した場合においても、NaOH溶液共存で加熱処理した場合と同様にアルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物が生成していることがわかる。一方、LiOH溶液共存で加熱処理した場合のXRDチャートである図8中の○で示すピークは、LiMO2(M:Ni、Co)に特徴的なピークであり、アルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物ではない。また、アルカリが共存しない条件で加熱処理した場合のXRDチャートである図9中の□で示すピークは、M3O4(M:Ni、Co)に特徴的なピークであり、アルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物ではないことから、ニッケル焼結基板表面に形成された化合物はそれぞれ、LiMO2(M:Ni、Co)、M3O4(M:Ni、Co)である。
【0062】
これらのことから、NaOHまたはKOH溶液浸漬電池A1、A2においてはアルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物がニッケル焼結基板上に形成され、良好な導電性が得られるが、LiOH溶液浸漬電池X3においては低導電性のLiMO2(M:Ni、Co)、アルカリを除去した電池X4においては低導電性のM3O4(M:Ni、Co)がそれぞれニッケル焼結基板上に形成されるため、導電性が十分に向上せず、正極活物質1g当り容量が向上しないことがわかる。このため、熱処理前に浸漬し、加熱処理時に共存させるアルカリ溶液としては、NaOH溶液またはKOH溶液が好ましい。
【0063】
(実験5)
実験5では、加熱温度が活物質真密度及び活物質利用率に与える影響について検討した。
【0064】
(実施例3)
理論容量を630mAhとしたこと以外は、上記実施例1と同様にして実施例3に係る本発明電池A3を作製した。
【0065】
(実施例4)
ニッケル−コバルト比を50:50にしたこと以外は、上記実施例3と同様にして実施例4に係る本発明電池A4を作製した。
【0066】
(実施例5)
活物質の充填回数を4回としたこと以外は、上記実施例3と同様にして実施例5に係る本発明電池A5を作製した。
【0067】
(実施例6)
ニッケル−コバルト比を50:50にしたこと以外は、上記実施例5と同様にして実施例6に係る本発明電池A6を作製した。
【0068】
(比較例5)
加熱温度を100℃としたこと以外は、上記実施例3と同様にして比較例5に係る比較電池X5を作製した。
【0069】
(比較例6)
ニッケル−コバルト比を50:50にしたこと以外は、上記比較例5と同様にして比較例6に係る比較電池X6を作製した。
【0070】
(比較例7)
活物質の充填回数を4回としたこと以外は、上記比較例5と同様にして比較例7に係る比較電池X7を作製した。
【0071】
(比較例8)
ニッケル−コバルト比を50:50にしたこと以外は、上記比較例7と同様にして比較例8に係る比較電池X8を作製した。
【0072】
上記で作製した本発明電池A3〜A6及び比較電池X5〜X8について、放電容量及び活物質真密度を測定した。なお、各電池ともに2検体作製した。
【0073】
AxNiyCozOδで示される化合物を含む層を形成する前の焼結基板の体積、活物質充填後の焼結基板の体積をアルキメデス法によって測定し、活物質真密度は以下の数式2により求めた。
【0074】
〔数式2〕
活物質真密度(g/cm3)=(充填後質量−形成前質量)÷(充填後体積−形成前体積)
【0075】
また、活物質利用率は、0.15It(94.5mA)で9時間充電後、0.33It(210mA)で終止電圧1.0Vまで放電して測定した放電容量と、水酸化ニッケルの容量を289mAh/gとして算出した理論容量とから、以下の数式3により求めた。
【0076】
〔数式3〕
活物質利用率(%)=100×放電容量÷理論容量
【0077】
熱処理温度と、活物質真密度及び活物質利用率との関係を下記表4及び図10に示す。
【0078】
【表4】
数値は全て2検体の平均値である。
【0079】
上記表4及び図10から、熱処理温度が100℃であるX5〜X8では、活物質真密度が3.68〜3.72g/cm3と高かったのに対し、熱処理温度が200℃であるA3〜A6では、3.54〜3.63g/cm3と低い活物質真密度であることがわかった。
【0080】
このことは、次のように考えられる。実験1で示したように、熱処理温度によって焼結基板表面に形成される被膜の構造が異なる。この被膜構造の違いに影響を受けて、その被膜上に充填された水酸化ニッケル粒子の形状が変化するので、活物質真密度が変化したものと考えられる。
【0081】
また、3.68〜3.72g/cm3と高い活物質真密度であるX5〜X8では、活物質利用率が82.2〜86.8%と低かったのに対し、活物質真密度が3.54〜3.63g/cm3と低いA3〜A6では、87.2〜94.1%と高い活物質利用率であることがわかった。
【0082】
このことは、活物質真密度が3.65g/cm3以下であると、焼結基板の孔内での活質の充填性が均一化するので、放電特性が向上して、活物質の利用率が87.2%以上に向上したものと考えられる。
【0083】
他方、活物質真密度が3.65g/cm3より大きいと、焼結基板の孔内での活質の充填性が不均一となるので、放電特性が低下して、活物質の利用率が86.8%以下になったものと考えられる。
【0084】
また、含浸回数が7回であるA3、A4では、活物質利用率が87.2〜88.7%と低い活物質利用率であるのに対し、含浸回数が4回であるA5、A6では、活物質利用率が93.2〜94.1%と高いことがわかった。
【0085】
このことは、含浸を繰り返すことによって、水酸化ニッケルの溶解、再析出が起こる結果、結晶構造が変化して、活物質の利用率が88.7%以下に低下したものと考えられる。
【0086】
尚、上記実施の形態では浸漬するアルカリ溶液として、NaOHまたはKOHをそれぞれ単独で使用したが、両者を混合したアルカリ溶液であっても同様の効果が得られる。
【0087】
また、上記実施の形態では円筒型のニッケル−カドミウム蓄電池を作製したが、本発明は円筒型のニッケル−カドミウム蓄電池に限定するものではなく、角型、ボタン型、プレート型等の他の形状の電池や、ニッケル−水素蓄電池等、他のアルカリ二次電池にも適用しうることは当然のことである。
【0088】
また、上記実施の形態では活物質として水酸化ニッケルを用いたが、請求項1に係るアルカリ二次電池、及び請求項3、4に係る製造方法は、これに限定されるものではなく、コバルト、カドミウム、亜鉛等の酸化物、水酸化物であってもよい。
【0089】
また、セパレータとしては、ポリアミド製以外に、ポリオレフィン系の材料を用いることができ、また不織布ではなく、微多孔性膜を用いることもできる。また、アルカリ電解液としては、KOH水溶液以外にNaOH水溶液、KOHとNaOHの混合水溶液、またこれらのアルカリ水溶液にLiOHを添加した水溶液等も好適に使用することができる。
【0090】
また、上記実施の形態では、焼結基板の体積を活物質充填前に測定したが、活物質を充填し、電極となした後であっても、酢酸、アンモニア水溶液、又はこれらの混合溶液等によって電極から活物質及びAxNiyCozOδで示される化合物を含む層を除去すれば、同様に焼結基板体積及び活物質真密度を測定することができる。
【0091】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、本発明は、ニッケル焼結基板表面にアルカリ金属含有ニッケル・コバルト複合一酸化物を含む層を形成することにより、正極活物質の利用率を格段に向上させることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、ニッケル正極を用いたアルカリ二次電池を模式的に示す断面図。
【図2】浸漬するアルカリ溶液に9モル/lNaOHを用い、200℃で加熱処理したXRD試料A1bのXRDチャート。
【図3】浸漬するアルカリ溶液に9モル/lNaOHを用い、加熱処理しなかったXRD試料X1bのXRDチャート。
【図4】浸漬するアルカリ溶液に9モル/lNaOHを用い、100℃で加熱処理したXRD試料X2bのXRDチャート。
【図5】熱処理温度と正極活物質1g当り容量との関係を表した図。
【図6】ニッケル:コバルト比率と正極活物質1g当り容量との関係を表した図。
【図7】浸漬するアルカリ溶液に9モル/lKOHを用い、200℃で加熱処理したXRD試料A2bのXRDチャート。
【図8】浸漬するアルカリ溶液に5モル/lLiOHを用い、200℃で加熱処理したXRD試料X3bのXRDチャート。
【図9】9モル/lNaOH溶液に浸漬後、水洗してアルカリを除去し、200℃で加熱処理したXRD試料X4bのXRDチャート。
【図10】活物質真密度と活物質利用率との関係を示したグラフ。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極リード
5 負極リード
6 正極外部端子
7 負極缶
Claims (4)
- ニッケル焼結基板に活物質を充填してなる正極を備えたアルカリ二次電池において、
前記ニッケル焼結基板表面にAxNiyCozOδ(A:Na、Kの少なくとも1種、0.01≦x≦0.1、x+y+z=1、0.9≦δ≦1.1、y:z=30:70〜90:10)で示される化合物を含む層が形成されていることを特徴とするアルカリ二次電池。 - 請求項1記載のアルカリ二次電池において、
前記AxNiyCozOδ上に充填された活物質が水酸化ニッケルを主体とする活物質であり、
前記AxNiyCozOδで示される化合物を含む層と、その上に充填された活物質との全体の平均真密度が3.65g/cm3以下であることを特徴とするアルカリ二次電池。 - ニッケル焼結基板表面を、ニッケル:コバルト比が、モル比で30:70〜90:10の混合酸性溶液に浸漬する第一工程と、
NaOH及び/又はKOHからなるアルカリ水溶液に浸漬する第二工程と、
前記アルカリ水溶液と酸素の共存下150℃以上で加熱処理する第三工程と、
活物質を充填する第四工程と、
を備えることを特徴とするアルカリ二次電池の製造方法。 - 請求項3記載のアルカリ二次電池の製造方法において、
前記混合酸性溶液のニッケル:コバルト比が、モル比で65:35〜90:10であることを特徴とするアルカリ二次電池の製造方法。
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WO2012014895A1 (ja) * | 2010-07-30 | 2012-02-02 | 三洋電機株式会社 | 焼結式ニッケル正極及びその製造方法並びにこの焼結式ニッケル正極を用いたアルカリ蓄電池 |
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- 2003-03-26 JP JP2003084749A patent/JP2004006279A/ja active Pending
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