JP2001250538A - アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極 - Google Patents

アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極

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JP2001250538A
JP2001250538A JP2000057747A JP2000057747A JP2001250538A JP 2001250538 A JP2001250538 A JP 2001250538A JP 2000057747 A JP2000057747 A JP 2000057747A JP 2000057747 A JP2000057747 A JP 2000057747A JP 2001250538 A JP2001250538 A JP 2001250538A
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Mitsunori Tokuda
光紀 徳田
Takeshi Ogasawara
毅 小笠原
Nobuyuki Higashiyama
信幸 東山
Mutsumi Yano
睦 矢野
Yasuhiko Ito
靖彦 伊藤
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題解決手段】活物質粉末が、水酸化ニッケルを含有
する基体粒子と、当該基体粒子の表面に形成され、水酸
化アルミニウムからなる内層と、当該内層の上に形成さ
れ、コバルト又はコバルト化合物からなる外層とからな
る複合体粒子からなる。 【効果】活物質利用率が高く、しかも放電容量が大きい
アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、アルカリ蓄電池用
非焼結式ニッケル極に係わり、詳しくは、活物質利用率
が高く、しかも放電容量が大きいアルカリ蓄電池用非焼
結式ニッケル極を提供することを目的とした、活物質の
改良に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池な
どの正極として、ニッケル粉末を穿孔鋼板等に焼結させ
て得た焼結基板に活物質(水酸化ニッケル)を含浸させ
てなる焼結式ニッケル極がよく知られている。
【0003】焼結式ニッケル極において活物質の充填量
を多くするためには、多孔度の大きい焼結基板を用いる
必要がある。しかし、焼結によるニッケル粒子間の結合
は弱いので、焼結基板の多孔度を80%より大きくする
ことができず、それゆえ焼結式ニッケル極には、活物質
の充填量が少ないという問題がある。また、一般に、ニ
ッケル粉末の焼結体の孔径は10μm以下と小さいた
め、活物質の焼結基板への充填を、煩雑な含浸工程を数
回繰り返し行う必要がある溶液含浸法により行わなけら
ばならないという問題もある。
【0004】このようなことから、最近、非焼結式ニッ
ケル極が提案されている。非焼結式ニッケル極は、活物
質(水酸化ニッケル)と結着剤(メチルセルロース水溶
液など)との混練物(ペースト)を多孔度の大きい基板
に充填することにより作製される。非焼結式ニッケル極
では、多孔度の大きい基板を用いることができるので
(多孔度95%以上の基板を用いることができる)、活
物質の充填量を多くすることができるとともに、活物質
の基板への充填が容易である。
【0005】しかし、非焼結式ニッケル極において活物
質の充填量を多くするべく多孔度の大きい基板を用いる
と、基板の集電性が悪くなり、活物質利用率が低下す
る。
【0006】そこで、非焼結式ニッケル極の活物質利用
率を高めるべく、水酸化ニッケルを含有する基体粒子の
表面に組成式Co1-x x (OH)2 y 〔式中、Aは
アルミニウムなど、Bは硫酸イオンなど、xは0.05
〜0.5、y={(元素Aの価数)−2}×x÷(イオ
ンBの価数)〕で表されるコバルト水酸化物からなる層
を形成した活物質粒子が提案されている(特開平10−
21901号公報)。
【0007】しかし、上記の活物質粒子を使用しても活
物質利用率を有効に高めることは困難である。上記のコ
バルト水酸化物にAが固溶しているためにコバルトが充
電時に酸化されにくくなり、充分な量の導電性ネットワ
ークが形成されないからである。
【0008】したがって、本発明は、活物質利用率が高
く、しかも放電容量が大きいアルカリ蓄電池用非焼結式
ニッケル極を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルカリ蓄
電池用非焼結式ニッケル極(本発明電極)は、活物質粉
末が複合体粒子からなり、前記複合体粒子が、水酸化ニ
ッケルを含有する基体粒子と、当該基体粒子の表面に形
成され、水酸化アルミニウムからなる内層と、当該内層
の上に形成され、コバルト又はコバルト化合物からなる
外層とからなる。
【0010】本発明電極の活物質粉末は、水酸化ニッケ
ルを含有する基体粒子の表面に、水酸化アルミニウム
(Al(OH)3 )からなる内層とコバルト又はコバル
ト化合物からなる外層との二層が形成された複合体粒子
からなる。内層は、酸素過電圧を増大させて、充電受入
れ性を向上させる。また、外層は、導電性を向上させ
る。その結果、活物質利用率が有効に高められるととも
に、放電容量が増大する。本発明において基体粒子の表
面に上記の各層を別々に形成することとしたのは、特開
平10−21901号公報に開示の発明の如く一層にし
て固溶体の形で形成すると、コバルトが充電時に酸化さ
れにくくなり、充分な量の導電性ネットワークを形成で
きなくなるからである。
【0011】水酸化ニッケルを含有する基体粒子として
は、水酸化ニッケルのみからなる単一成分粒子の外、水
酸化ニッケルに、コバルト、亜鉛、カルシウム、マグネ
シウム、アルミニウム、イットリウム及びイッテルビウ
ムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素Mを固
溶させた固溶体粒子が挙げられる。水酸化ニッケルに、
上記の元素を固溶させることにより、非焼結式ニッケル
極の充電時の膨化が抑制され、活物質利用率が向上す
る。水酸化ニッケル中の元素Mの固溶量は、ニッケルと
元素Mの総量に基づいて、0.5〜5重量%が好まし
い。同固溶量が0.5重量%未満の場合は膨化を有効に
抑制できず、一方同固溶量が5重量%を越えた場合は水
酸化ニッケル量が減少するため放電容量が減少する。
【0012】内層は、例えば、アルミニウム塩の水溶液
(硫酸アルミニウム水溶液など)に、水酸化ニッケル粉
末(基体粒子粉末)を添加し、攪拌しながらアルカリ水
溶液(水酸化ナトリウム水溶液など)を滴下してpHを
9〜12(通常11程度)に調整した後、上記アルカリ
水溶液を適宜滴下することによりpHをほぼ一定に保持
しつつ所定時間攪拌して、水酸化ニッケル粒子の表面に
水酸化アルミニウムを析出させることにより形成するこ
とができる。
【0013】基体粒子中の水酸化ニッケルに対する内層
中のアルミニウムの比率は、0.05〜5重量%が好ま
しく、0.1〜3重量%がより好ましい。同比率が0.
05重量%未満の場合は、酸素過電圧を充分に高めるこ
とができないために活物質利用率を有効に高めることが
困難になる。一方、同比率が5重量%を越えた場合は、
導電性が低下するため、活物質利用率を有効に高めるこ
とが上記と同様困難になる。
【0014】外層は、コバルト又はコバルト化合物から
なる。コバルト化合物としては、一酸化コバルト、水酸
化コバルト、オキシ水酸化コバルト又はナトリウム含有
コバルト化合物が例示される。ナトリウム含有コバルト
化合物の具体例としては、ナトリウム含有水酸化コバル
ト、ナトリウム含有オキシ水酸化コバルト及びこれらの
混合物が挙げられる。
【0015】水酸化コバルトからなる外層は、例えば、
コバルト塩の水溶液(硫酸コバルト水溶液など)に、水
酸化ニッケル粒子(基体粒子)の表面に内層を形成した
複合体粒子からなる粉末を添加し、攪拌しながらアルカ
リ水溶液(水酸化ナトリウム水溶液など)を滴下してp
Hを9〜12(通常11程度)に調整した後、上記アル
カリ水溶液を適宜滴下することによりpHをほぼ一定に
保持しつつ所定時間攪拌して、内層の上に水酸化コバル
トを析出させることにより形成することができる。
【0016】この外、水酸化コバルトからなる外層は、
水酸化ニッケル粒子(基体粒子)の表面に内層を形成し
た複合体粒子からなる粉末と水酸化コバルト粉末とを不
活性ガス中にて圧縮摩砕粉砕機を用いて乾式混合するメ
カニカルチャージ法によっても形成することができる。
このメカニカルチャージ法において、水酸化コバルト粉
末に代えて、一酸化コバルト粉末又はコバルト粉末を用
いれば、それぞれ一酸化コバルトからなる外層及びコバ
ルトからなる外層を形成することができる。
【0017】オキシ水酸化コバルトからなる外層は、例
えば、上記のいずれかの方法により水酸化コバルトから
なる外層を形成した後、この外層を40°C程度に加熱
した過酸化水素水で酸化することにより形成することが
できる。
【0018】ナトリウム含有コバルト化合物からなる外
層は、例えば、内層の上に、コバルト層、水酸化コバル
ト層、一酸化コバルト層、オキシ水酸化コバルト層等の
コバルト化合物層を形成した複合体粒子粉末に、水酸化
ナトリウム水溶液を添加し、酸素存在下にて加熱処理す
ることにより形成することができる。水酸化ナトリウム
水溶液を添加するだけではナトリウム含有コバルト化合
物からなる外層は形成されず、酸素存在下にて加熱処理
することが必要である。加熱処理温度は、50〜200
°Cが好ましい。加熱温度が50°C未満の場合は、導
電率が低いCoHO2 が多く析出し、一方、加熱温度が
200°Cを越えた場合は、導電率が低い四酸化三コバ
ルト(Co3 4 )が多く析出する。なお、コバルト化
合物層がオキシ水酸化コバルトの場合は、50°C未満
で加熱処理してもCoHO2 が析出することはないが、
ナトリウムが挿入されにくくなる。加熱処理時間は、使
用する水酸化ナトリウム水溶液の量、濃度、加熱処理温
度等によって異なる。一般的には、0.5〜10時間で
ある。
【0019】基体粒子と外層の総量に対する外層の比率
は、3〜15重量%が好ましく、5〜10重量%がより
好ましい。同比率が3重量%未満の場合は、活物質粒子
の表面の導電性(電子伝導性)が不十分となり、活物質
利用率を有効に高めることが困難になる。一方、同比率
が15重量%を越えた場合は、活物質(水酸化ニッケ
ル)の充填密度が小さくなり、電極の比容量が減少す
る。
【0020】本発明を適用して好適な非焼結式ニッケル
極としては、導電性芯体に、活物質を含有するペースト
を塗布し、乾燥してなるペースト式ニッケル極が挙げら
れる。上記導電性芯体の具体例としては、ニッケル発泡
体、フェルト状金属繊維多孔体及びパンチングメタルが
挙げられる。この外、本発明は、チューブ状の金属製導
電体の中に活物質を充填するチューブ式ニッケル極、活
物質を網目状の金属製導電体とともに加圧成形するボタ
ン型電池用ニッケル極などに適用しても好適である。
【0021】本発明電極を正極として用いて好適なアル
カリ蓄電池の具体例としては、ニッケル−水素蓄電池
(負極:水素吸蔵合金電極)、ニッケル−カドミウム蓄
電池(負極:カドミウム電極)及びニッケル−亜鉛蓄電
池(負極:亜鉛電極)が挙げられる。
【0022】本発明電極は、活物質粉末が、活物質とし
ての水酸化ニッケルを含有する基体粒子と、酸素過電圧
を高めて充電受け入れ性を向上させる、水酸化アルミニ
ウムからなる内層と、導電性(電子伝導性)を高める、
コバルト又はコバルト化合物からなる外層とからなる複
合体粒子からなるので、活物質利用率が高く、しかも放
電容量が大きい。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるも
のではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変
更して実施することが可能なものである。
【0024】(実験1)本発明電極及び比較電極を作製
し、次いで各電極を正極に用いてアルカリ蓄電池を作製
し、充放電試験を行って活物質利用率及び放電容量を求
めた。
【0025】(実施例1)下記のステップ1〜6の操作
により、本発明電極及びアルカリ蓄電池を作製した。
【0026】ステップ1:硫酸ニッケル167gを水に
溶かした水溶液5リットルに、攪拌しながら1M水酸化
ナトリウム水溶液と10重量%アンモニア水溶液との重
量比1:1の混液を加えて液のpHを11に調整した
後、1時間攪拌を続けて反応させた。反応中、液のpH
が若干低下した時点で上記混液を適宜滴下して液のpH
をほぼ11に保持した。pHの監視は、自動温度補償付
きガラス電極(pHメータ)にて行った。次いで、沈殿
物を、ろ別し、水洗し、真空乾燥し、粉砕して、平均粒
径10μmの水酸化ニッケル粉末(基体粒子粉末)を作
製した。
【0027】ステップ2:硫酸アルミニウム6.34g
を水に溶かした水溶液1リットルに、ステップ1で作製
した水酸化ニッケル粉末100gを入れ、攪拌しながら
1M水酸化ナトリウム水溶液を加えて液のpHを11に
調整した後、1時間攪拌を続けて反応させた。反応中、
液のpHが若干低下した時点で1M水酸化ナトリウム水
溶液を適宜滴下して液のpHを11に保持した。
【0028】次いで、沈殿物を、ろ別し、水洗し、真空
乾燥して、ステップ1で得た水酸化ニッケル粉末の粒子
表面に水酸化アルミニウムからなる内層が形成された複
合体粒子粉末を得た。基体粒子中の水酸化ニッケルに対
する内層中のアルミニウムの比率を原子吸光分析により
アルミニウム量を測定して求めたところ、1重量%であ
った。
【0029】ステップ3:硫酸コバルト13.4gを水
に溶かした水溶液1リットルに、ステップ2で作製した
複合体粒子粉末100gを入れ、攪拌しながら1M水酸
化ナトリウム水溶液を加えて液のpHを11に調整した
後、1時間攪拌を続けて反応させた。反応中、液のpH
が若干低下した時点で1M水酸化ナトリウム水溶液を適
宜滴下して液のpHを11に保持した。
【0030】次いで、沈殿物を、ろ別し、水洗し、真空
乾燥して、ステップ2で作製した複合体粒子粉末の内層
の上に水酸化コバルトからなる外層が形成された複合粒
子粉末を得た。基体粒子(水酸化ニッケル)と外層(水
酸化コバルト)の総量に対する外層の比率を原子吸光分
析によりコバルト量を測定して求めたところ、5重量%
であった。
【0031】ステップ4:ステップ3で得た複合体粒子
粉末と、25重量%水酸化ナトリウム水溶液とを、重量
比1:10で混合し、85°Cで8時間加熱処理した
後、水洗し、65°Cで乾燥して、ステップ2で得た複
合体粒子粉末の内層の上に、ナトリウム含有コバルト化
合物からなる外層が形成された、活物質粉末としての複
合体粒子粉末を作製した。基体粒子(水酸化ニッケル)
と外層(ナトリウム含有コバルト化合物)の総量に対す
る外層の比率を、原子吸光分析によりコバルト量を測定
して求めたところ、5重量%であった。
【0032】ステップ5:ステップ4で得た、活物質粉
末としての複合体粒子粉末100重量部と、結着剤とし
ての1重量%メチルセルロース水溶液20重量部とを混
練してペーストを調製し、このペーストをニッケル発泡
体(多孔度95%、平均孔径200μm)からなる多孔
性基板に充填し、乾燥し、加圧成形して、縦70mm、
横40mm、厚み0.70mmの非焼結式ニッケル極a
(本発明電極)を作製した。以下の実施例及び比較例で
作製した非焼結式ニッケル極の寸法も、全てこれと同じ
である。
【0033】ステップ6:ステップ5で得た本発明電極
a(正極)、この正極の約1.5倍の容量を有する、縦
85mm、横40mm、厚み0.35mmの従来公知の
ペースト式カドミウム極(負極)、ポリアミド不織布
(セパレータ)、30重量%水酸化カリウム水溶液(ア
ルカリ電解液)、金属製の電池缶、金属製の電池蓋など
を用いて、AAサイズのアルカリ蓄電池A(電池容量:
約1000mAh)を作製した。以下の実施例及び比較
例で作製したアルカリ蓄電池も、負極の容量を正極のそ
れの約1.5倍とした。
【0034】(比較例1)ステップ1〜6の操作のうち
ステップ2の操作を実施しなかったこと以外は実施例1
と同様にして、比較電極b及びアルカリ蓄電池Bを作製
した。この比較例で用いた活物質粉末は、基体粒子(水
酸化ニッケル粒子)の表面にナトリウム含有コバルト化
合物からなる層のみを形成した複合体粒子粉末である。
【0035】(比較例2)硫酸アンモニウムと水酸化ナ
トリウム水溶液とでpHを10に調整した水溶液1リッ
トルに水酸化ニッケル粉末100gを投入した。
【0036】この水溶液に、硫酸コバルト13.1g及
び硫酸アルミニウム3.61gを水に溶かした水溶液5
00mlを加え、30重量%水酸化ナトリウム水溶液を
滴下してpHを8〜13に保ちつつ、1時間攪拌を続け
て反応させた後、沈殿物をろ別し、水洗し、真空乾燥
し、粉砕して、水酸化ニッケル粉末の粒子表面をCo0.
8 Al0.2 (OH)2 (SO4)0.1 で被覆した複合体粒
子粉末を作製した。
【0037】次いで、この複合体粒子粉末を次亜塩素酸
水溶液にて化学酸化して、Co0.8Al0.2 (OH)2
(SO4)0.1 をCo0.8 Al0.2 (OOH)に変化させ
た。
【0038】活物質粉末として、水酸化ニッケル粉末の
粒子表面をCo0.8 Al0.2 (OOH)で被覆した上記
複合体粒子粉末を使用したこと以外は実施例1のステッ
プ5及び6と同様にして比較電極c及びアルカリ蓄電池
Cを作製した。
【0039】〈活物質利用率〉各電池について、25°
Cにて100mA(0.1Cに相当)で160%充電し
た後、25°Cにて1A(1Cに相当)で1.0Vまで
放電する充放電を5サイクル行い、各電池に使用した非
焼結式ニッケル極の5サイクル目の、活物質利用率及び
放電容量を求めた。活物質利用率は、下式に基づき算出
した。
【0040】活物質利用率(%)={放電容量(mA
h)/〔水酸化ニッケル量(g)×288(mAh/
g)〕}×100
【0041】結果を表1に示す。表1中の活物質利用率
及び放電容量は、それぞれ本発明電極aの活物質利用率
及び放電容量を100としたときの相対指数である。
【0042】
【表1】
【0043】比較電極bの活物質利用率が低いのは、水
酸化アルミニウムからなる内層を基体粒子の表面に形成
しなかったために、酸素過電圧が小さく、そのため充電
受入れ性が悪かったためと考えられる。また、比較電極
cの活物質利用率が低いのは、コバルト酸化物をアルミ
ニウムとの固溶体の形で使用したために、本来発現され
るべきコバルト酸化物による導電性付与効果が低減した
ためと考えられる。
【0044】(実験2)基体粒子中の水酸化ニッケルに
対する内層中のアルミニウムの比率と活物質利用率及び
放電容量の関係を調べた。
【0045】ステップ2において、硫酸アルミニウム
6.34gを水に溶かした水溶液1リットルに代えて、
硫酸アルミニウム0.19g、0.32g、0.51
g、0.63g、1.90g、3.17g、5.07
g、19.0g、31.7g、38.0g又は50.7
gを水に溶かした水溶液1リットルを用いたこと以外は
実施例1と同様にして非焼結式ニッケル極d1〜d11
及びアルカリ蓄電池D1〜D11を作製した。非焼結式
ニッケル極d1〜d11について、基体粒子中の水酸化
ニッケルに対する内層中のアルミニウムの比率を原子吸
光分析によりアルミニウム量を測定して求めたところ、
順に、0.03重量%、0.05重量%、0.08重量
%、0.1重量%、0.3重量%、0.5重量%、0.
8重量%、3重量%、5重量%、6重量%及び8重量%
であった。
【0046】次いで、実験1で行ったものと同じ条件の
充放電試験を行い、各非焼結式ニッケル極の5サイクル
目の、活物質利用率及び放電容量を求めた。
【0047】結果を表2に示す。表2中の活物質利用率
及び放電容量は、それぞれ基体粒子中の水酸化ニッケル
に対する内層中のアルミニウムの比率が1重量%の非焼
結式ニッケル極aの活物質利用率及び放電容量を100
とした相対指数である。
【0048】
【表2】
【0049】表2より、基体粒子中の水酸化ニッケルに
対する内層中のアルミニウムの比率は、0.05〜5重
量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましいこと
が分かる。同比率が0.03重量%である非焼結式ニッ
ケル極d1の活物質利用率及び放電容量が低いのは、内
層中のアルミニウム量が少ないために、酸素過電圧が小
さいためと考えられる。一方、同比率がそれぞれ6重量
%及び8重量%である非焼結式ニッケル極d10、d1
1の活物質利用率が低いのは、内層中のアルミニウム量
が多過ぎたために導電性が低下したためと考えられる。
【0050】(実験3)基体粒子と外層の総量に対する
外層の比率と活物質利用率及び放電容量の関係を調べ
た。
【0051】ステップ3において、硫酸コバルト13.
4gを水に溶かした水溶液1リットルに代えて、硫酸コ
バルト1.28g、5.21g、7.89g、22.2
g、28.4g、38.2g、45.1g、52.3g
又は63.8gを水に溶かした水溶液1リットルを用い
たこと以外は実施例1と同様にして、非焼結式ニッケル
極e1〜e9及びアルカリ蓄電池E1〜E9を作製し
た。非焼結式ニッケル極e1〜e9について、基体粒子
と外層の総量に対する外層の比率を原子吸光分析により
コバルト量を測定し求めたところ、順に、0.5重量
%、2重量%、3重量%、8重量%、10重量%、13
重量%、15重量%、17重量%、20重量%であっ
た。
【0052】次いで、実験1で行ったものと同じ条件の
充放電試験を行い、各非焼結式ニッケル極の5サイクル
目の、活物質利用率及び放電容量を求めた。
【0053】結果を表3に示す。表3中の活物質利用率
及び放電容量は、それぞれ基体粒子と外層の総量に対す
る外層の比率が5重量%の非焼結式ニッケル極aの活物
質利用率及び放電容量を100とした相対指数である。
【0054】
【表3】
【0055】表3より、基体粒子と外層の総量に対する
外層の比率は、3〜15重量%が好ましく、5〜10重
量%がより好ましいことが分かる。同比率がそれぞれ
0.5重量%及び2重量%である非焼結式ニッケル極e
1、e2の活物質利用率及び放電容量が低いのは、活物
質粒子の表面の導電性が十分に高められなかったためと
考えられる。一方、同比率がそれぞれ17重量%及び2
0重量%である非焼結式ニッケル極e8、e9の放電容
量が低いのは、活物質(水酸化ニッケル)の充填密度が
小さくなったためと考えられる。
【0056】(実験4)水酸化ニッケルに特定の元素M
を固溶せしめる場合の元素Mについて調べた。
【0057】ステップ1において、硫酸ニッケル167
gを水に溶かした水溶液5リットルに代えて、硫酸ニッ
ケル167g並びに表4に示す種類及び量の金属塩を水
に溶かした水溶液5リットルを用いたこと以外は実施例
1と同様にして、非焼結式ニッケル極f1〜f8及びア
ルカリ蓄電池F1〜F8を作製した。各非焼結式ニッケ
ル極についての下式で定義される元素Mの固溶量を表4
に示す。イットリウム及びイッテルビウムの固溶量は発
光分析(ICP)により、これら以外の元素の固溶量は
原子吸光分析により、それぞれ求めた。
【0058】固溶量(重量%)={元素Mの量÷(元素
Mの量+ニッケルの量)}×100
【0059】
【表4】
【0060】次いで、実験1で行ったものと同じ条件の
充放電試験を行い、各非焼結式ニッケル極の5サイクル
目の活物質利用率及び放電容量を求めた。
【0061】結果を表5に示す。表5中の活物質利用率
は、元素Mが固溶していない水酸化ニッケルを基体粒子
として用いた非焼結式ニッケル極aの活物質利用率及び
放電容量を100とした相対指数である。
【0062】
【表5】
【0063】表5より、水酸化ニッケルに、コバルト、
亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、イッ
トリウム及びイッテルビウムよりなる群から選ばれた少
なくとも1種の元素を固溶させることにより、より高い
活物質利用率及びより大きな放電容量が得られることが
分かる。
【0064】
【発明の効果】活物質利用率が高く、しかも放電容量が
大きいアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極が提供され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東山 信幸 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 矢野 睦 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 伊藤 靖彦 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 5H050 AA08 BA11 BA13 BA14 CA03 CA04 CB14 DA02 DA09 EA02 EA12 FA17 FA18 HA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活物質粉末が複合体粒子からなるアルカリ
    蓄電池用非焼結式ニッケル極であって、前記複合体粒子
    が、水酸化ニッケルを含有する基体粒子と、当該基体粒
    子の表面に形成され、水酸化アルミニウムからなる内層
    と、当該内層の上に形成され、コバルト又はコバルト化
    合物からなる外層とからなることを特徴とするアルカリ
    蓄電池用非焼結式ニッケル極。
  2. 【請求項2】前記基体粒子中の水酸化ニッケルに対する
    前記内層中のアルミニウムの比率が、0.05〜5重量
    %である請求項1記載のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッ
    ケル極。
  3. 【請求項3】前記基体粒子中の水酸化ニッケルに対する
    前記内層中のアルミニウムの比率が、0.1〜3重量%
    である請求項1記載のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケ
    ル極。
  4. 【請求項4】前記基体粒子と前記外層の総量に対する前
    記外層の比率が、3〜15重量%である請求項1記載の
    アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極。
  5. 【請求項5】前記基体粒子と前記外層の総量に対する前
    記外層の比率が、5〜10重量%である請求項1記載の
    アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極。
  6. 【請求項6】前記基体粒子が、水酸化ニッケルに、コバ
    ルト、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウ
    ム、イットリウム及びイッテルビウムよりなる群から選
    ばれた少なくとも1種の元素Mが、ニッケルと前記元素
    Mの総量に基づいて、0.5〜5重量%固溶した固溶体
    粒子である請求項1記載のアルカリ蓄電池用非焼結式ニ
    ッケル極。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6991875B2 (en) 2002-08-28 2006-01-31 The Gillette Company Alkaline battery including nickel oxyhydroxide cathode and zinc anode
CN114162880A (zh) * 2021-11-22 2022-03-11 宁夏中色金辉新能源有限公司 锂离子固态电池正极活性材料前驱体及其制备方法和应用

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US6991875B2 (en) 2002-08-28 2006-01-31 The Gillette Company Alkaline battery including nickel oxyhydroxide cathode and zinc anode
CN114162880A (zh) * 2021-11-22 2022-03-11 宁夏中色金辉新能源有限公司 锂离子固态电池正极活性材料前驱体及其制备方法和应用

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