JP3481068B2 - アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極の製造方法 - Google Patents
アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極の製造方法Info
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ蓄電池の
正極として用いられる非焼結式ニッケル極の製造方法に
係わり、詳しくは、活物質利用率の極めて高いアルカリ
蓄電池用非焼結式ニッケル極を得ることを可能にする製
造方法に関する。
正極として用いられる非焼結式ニッケル極の製造方法に
係わり、詳しくは、活物質利用率の極めて高いアルカリ
蓄電池用非焼結式ニッケル極を得ることを可能にする製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ニッケ
ル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池等のアル
カリ蓄電池の正極としては、ニッケル粉末を穿孔鋼板等
の基板に焼結させて得た焼結基板に活物質(水酸化ニッ
ケル)を含浸させてなる焼結式ニッケル極がよく知られ
ている。
ル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池等のアル
カリ蓄電池の正極としては、ニッケル粉末を穿孔鋼板等
の基板に焼結させて得た焼結基板に活物質(水酸化ニッ
ケル)を含浸させてなる焼結式ニッケル極がよく知られ
ている。
【0003】焼結式ニッケル極において活物質の充填量
を多くするためには、多孔度の大きい焼結基板を用いる
必要がある。しかし、焼結によるニッケル粒子間の結合
は弱いので、焼結基板の多孔度を大きくするとニッケル
粒子が焼結基板から脱落し易くなる。したがって、実用
上は、焼結基板の多孔度を80%より大きくすることが
できず、それゆえ焼結式ニッケル極には、活物質の充填
可能な量が少ないという問題がある。また、一般に、ニ
ッケル粉末の焼結体の孔径は10μm以下と小さいた
め、活物質の焼結基板への充填を、煩雑な含浸工程を数
回繰り返し行う必要がある溶液含浸法により行わなけれ
ばならないという問題もある。
を多くするためには、多孔度の大きい焼結基板を用いる
必要がある。しかし、焼結によるニッケル粒子間の結合
は弱いので、焼結基板の多孔度を大きくするとニッケル
粒子が焼結基板から脱落し易くなる。したがって、実用
上は、焼結基板の多孔度を80%より大きくすることが
できず、それゆえ焼結式ニッケル極には、活物質の充填
可能な量が少ないという問題がある。また、一般に、ニ
ッケル粉末の焼結体の孔径は10μm以下と小さいた
め、活物質の焼結基板への充填を、煩雑な含浸工程を数
回繰り返し行う必要がある溶液含浸法により行わなけれ
ばならないという問題もある。
【0004】このようなことから、近年、非焼結式ニッ
ケル極が提案されている。非焼結式ニッケル極は、活物
質(水酸化ニッケル)と結着剤(メチルセルロース水溶
液など)との混練物(ペースト乃至スラリー)を多孔度
の大きい基板(耐アルカリ性金属でメッキした発泡メタ
ルなど)に充填することにより作製される。非焼結式ニ
ッケル極では、多孔度の大きい基板を用いることができ
るので(多孔度95%以上の基板を用いることができ
る)、活物質の充填量を多くすることができるととも
に、活物質の基板への充填が容易である。
ケル極が提案されている。非焼結式ニッケル極は、活物
質(水酸化ニッケル)と結着剤(メチルセルロース水溶
液など)との混練物(ペースト乃至スラリー)を多孔度
の大きい基板(耐アルカリ性金属でメッキした発泡メタ
ルなど)に充填することにより作製される。非焼結式ニ
ッケル極では、多孔度の大きい基板を用いることができ
るので(多孔度95%以上の基板を用いることができ
る)、活物質の充填量を多くすることができるととも
に、活物質の基板への充填が容易である。
【0005】しかしながら、非焼結式ニッケル極におい
て活物質の充填量を多くするべく多孔度の大きい基板を
用いると、基板の集電能力が悪くなり、活物質利用率が
低下する。
て活物質の充填量を多くするべく多孔度の大きい基板を
用いると、基板の集電能力が悪くなり、活物質利用率が
低下する。
【0006】活物質利用率の高い非焼結式ニッケル極を
得るために、水酸化ニッケル粒子の表面を水酸化コバル
トで被覆する方法が提案されている(特開昭62−23
4867号公報参照)。この方法は、被覆した水酸化コ
バルトがアルカリ電解液に溶けてHCoO2 - を生成
し、これが水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルト
として析出し、析出した水酸化コバルトが充電時に正極
の電位が貴になったときに導電性を有するオキシ水酸化
コバルト(導電層)に変化することにより、活物質粒子
の表面の導電性が高められて、活物質利用率が向上する
ようにしたものである。
得るために、水酸化ニッケル粒子の表面を水酸化コバル
トで被覆する方法が提案されている(特開昭62−23
4867号公報参照)。この方法は、被覆した水酸化コ
バルトがアルカリ電解液に溶けてHCoO2 - を生成
し、これが水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルト
として析出し、析出した水酸化コバルトが充電時に正極
の電位が貴になったときに導電性を有するオキシ水酸化
コバルト(導電層)に変化することにより、活物質粒子
の表面の導電性が高められて、活物質利用率が向上する
ようにしたものである。
【0007】しかしながら、本発明者らが検討した結
果、水酸化ニッケル粒子の表面に導電層としてオキシ水
酸化コバルト層を形成しても、活物質利用率の極めて高
い非焼結式ニッケル極を得るには至らないことが分かっ
た。
果、水酸化ニッケル粒子の表面に導電層としてオキシ水
酸化コバルト層を形成しても、活物質利用率の極めて高
い非焼結式ニッケル極を得るには至らないことが分かっ
た。
【0008】そこで、鋭意研究した結果、本発明者ら
は、水酸化ニッケル粒子などの基体粒子の表面に電導度
が上記のオキシ水酸化コバルトに比べて高い特定の化合
物の層を導電層として形成すれば、活物質粒子間の導電
性がさらに良好となり、活物質利用率が極めて高くなる
ことを見出した。
は、水酸化ニッケル粒子などの基体粒子の表面に電導度
が上記のオキシ水酸化コバルトに比べて高い特定の化合
物の層を導電層として形成すれば、活物質粒子間の導電
性がさらに良好となり、活物質利用率が極めて高くなる
ことを見出した。
【0009】本発明は、斯かる知見に基づきなされたも
のであって、活物質利用率の極めて高いアルカリ蓄電池
用非焼結式ニッケル極を得るための製造方法を提供する
ことを目的とする。
のであって、活物質利用率の極めて高いアルカリ蓄電池
用非焼結式ニッケル極を得るための製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明に係るアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極
の製造方法(本発明方法)は、水酸化ニッケル又は水酸
化ニッケルを主成分とする固溶体からなる基体粒子の表
面に水酸化コバルト層が形成された複合体粒子粉末Pと
結着剤溶液とを含むペーストを導電性を有する多孔性の
芯体に充填して非焼結式ニッケル極Aを作製する工程1
と、非焼結式ニッケル極Aを陽極酸化して、前記水酸化
コバルト層がβ−CoOOH層に変化した複合体粒子粉
末Qを活物質粉末とする非焼結式ニッケル極Bを作製す
る工程2と、非焼結式ニッケル極Bに水酸化ナトリウム
水溶液を添加し、酸素の存在下にて50〜200°Cで
加熱処理して、前記β−CoOOH層がナトリウム含有
コバルト化合物層に変化した複合体粒子粉末Rを活物質
粉末とする非焼結式ニッケル極Cを作製する工程3とを
備える。
めの本発明に係るアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極
の製造方法(本発明方法)は、水酸化ニッケル又は水酸
化ニッケルを主成分とする固溶体からなる基体粒子の表
面に水酸化コバルト層が形成された複合体粒子粉末Pと
結着剤溶液とを含むペーストを導電性を有する多孔性の
芯体に充填して非焼結式ニッケル極Aを作製する工程1
と、非焼結式ニッケル極Aを陽極酸化して、前記水酸化
コバルト層がβ−CoOOH層に変化した複合体粒子粉
末Qを活物質粉末とする非焼結式ニッケル極Bを作製す
る工程2と、非焼結式ニッケル極Bに水酸化ナトリウム
水溶液を添加し、酸素の存在下にて50〜200°Cで
加熱処理して、前記β−CoOOH層がナトリウム含有
コバルト化合物層に変化した複合体粒子粉末Rを活物質
粉末とする非焼結式ニッケル極Cを作製する工程3とを
備える。
【0011】複合体粒子粉末Pは、水酸化ニッケル又は
水酸化ニッケルを主成分とする固溶体からなる基体粒子
の表面に水酸化コバルト層を形成した複合体粒子からな
る粉末である。
水酸化ニッケルを主成分とする固溶体からなる基体粒子
の表面に水酸化コバルト層を形成した複合体粒子からな
る粉末である。
【0012】複合体粒子粉末Pは、例えば、水酸化ニッ
ケル粉末又は水酸化ニッケルを主成分とする固溶体粒子
からなる粉末と金属コバルト粉末又はコバルト化合物粉
末とをアルカリ水溶液中で混合することにより、水酸化
ニッケル又は水酸化ニッケルを主成分とする固溶体から
なる基体粒子の表面に水酸化コバルト層を形成すること
により作製される。この方法により水酸化ニッケル又は
水酸化ニッケルを主成分とする固溶体からなる基体粒子
の表面に水酸化コバルト層が形成されるのは、金属コバ
ルト又はコバルト化合物がアルカリ水溶液に溶けてHC
oO2 - を生成し、生成したHCoO2 - が水酸化ニッ
ケル又は水酸化ニッケルを主成分とする固溶体からなる
基体粒子の表面にCo(OH)2 として析出することに
よる。
ケル粉末又は水酸化ニッケルを主成分とする固溶体粒子
からなる粉末と金属コバルト粉末又はコバルト化合物粉
末とをアルカリ水溶液中で混合することにより、水酸化
ニッケル又は水酸化ニッケルを主成分とする固溶体から
なる基体粒子の表面に水酸化コバルト層を形成すること
により作製される。この方法により水酸化ニッケル又は
水酸化ニッケルを主成分とする固溶体からなる基体粒子
の表面に水酸化コバルト層が形成されるのは、金属コバ
ルト又はコバルト化合物がアルカリ水溶液に溶けてHC
oO2 - を生成し、生成したHCoO2 - が水酸化ニッ
ケル又は水酸化ニッケルを主成分とする固溶体からなる
基体粒子の表面にCo(OH)2 として析出することに
よる。
【0013】水酸化ニッケルを主成分とする固溶体粒子
としては、水酸化ニッケルに、コバルト、亜鉛、カドミ
ウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、ビスマ
ス、アルミニウム及びイットリウムから選ばれた少なく
とも1種の元素が固溶したものが例示される。基体粒子
として斯かる固溶体粒子を使用することにより充放電サ
イクル時の水酸化ニッケルの膨化を抑制することができ
る。コバルト化合物粉末としては、水酸化コバルト粉末
及び酸化コバルト粉末が例示される。アルカリ水溶液と
しては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶
液及び水酸化リチウム水溶液が例示される。
としては、水酸化ニッケルに、コバルト、亜鉛、カドミ
ウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、ビスマ
ス、アルミニウム及びイットリウムから選ばれた少なく
とも1種の元素が固溶したものが例示される。基体粒子
として斯かる固溶体粒子を使用することにより充放電サ
イクル時の水酸化ニッケルの膨化を抑制することができ
る。コバルト化合物粉末としては、水酸化コバルト粉末
及び酸化コバルト粉末が例示される。アルカリ水溶液と
しては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶
液及び水酸化リチウム水溶液が例示される。
【0014】複合体粒子粉末Pとしては、基体粒子の表
面に該基体粒子中の水酸化ニッケルに対して水酸化コバ
ルト層がコバルト原子換算で1〜10重量%形成された
複合体粒子粉末を使用することが好ましい。水酸化コバ
ルト層の比率が過小な場合は、充分な量のβ−CoOO
H層、ひいてはナトリウム含有コバルト化合物層が形成
されず、活物質利用率の極めて高い非焼結式ニッケル極
を得ることが困難になる。一方、その比率が過大な場合
は、活物質たる水酸化ニッケルの極板への充填量が減少
するため、電極容量ひいては電池容量が低下する。工程
1において、基体粒子中の水酸化ニッケルに対して水酸
化コバルト層をコバルト原子換算で1〜10重量%含有
する複合体粒子粉末Pを使用することにより、工程3に
おいて、基体粒子中の水酸化ニッケルに対してナトリウ
ム含有コバルト化合物層をコバルト原子換算で略1〜1
0重量%含有する複合体粒子粉末Rを得ることができ
る。
面に該基体粒子中の水酸化ニッケルに対して水酸化コバ
ルト層がコバルト原子換算で1〜10重量%形成された
複合体粒子粉末を使用することが好ましい。水酸化コバ
ルト層の比率が過小な場合は、充分な量のβ−CoOO
H層、ひいてはナトリウム含有コバルト化合物層が形成
されず、活物質利用率の極めて高い非焼結式ニッケル極
を得ることが困難になる。一方、その比率が過大な場合
は、活物質たる水酸化ニッケルの極板への充填量が減少
するため、電極容量ひいては電池容量が低下する。工程
1において、基体粒子中の水酸化ニッケルに対して水酸
化コバルト層をコバルト原子換算で1〜10重量%含有
する複合体粒子粉末Pを使用することにより、工程3に
おいて、基体粒子中の水酸化ニッケルに対してナトリウ
ム含有コバルト化合物層をコバルト原子換算で略1〜1
0重量%含有する複合体粒子粉末Rを得ることができ
る。
【0015】本発明方法の工程1では、上記の複合体粒
子粉末Pと結着剤溶液とを含むペーストを導電性を有す
る多孔性の芯体に充填することにより、非焼結式ニッケ
ル極Aが作製される。工程1で使用する結着剤溶液とし
ては、メチルセルロース水溶液が、また導電性を有する
多孔性の芯体としては、耐アルカリ性の金属をめっきし
た発泡メタルが、それぞれ例示される。
子粉末Pと結着剤溶液とを含むペーストを導電性を有す
る多孔性の芯体に充填することにより、非焼結式ニッケ
ル極Aが作製される。工程1で使用する結着剤溶液とし
ては、メチルセルロース水溶液が、また導電性を有する
多孔性の芯体としては、耐アルカリ性の金属をめっきし
た発泡メタルが、それぞれ例示される。
【0016】本発明方法の工程2では、工程1で作製し
た非焼結式ニッケル極Aを陽極酸化して、水酸化コバル
ト層がβ−CoOOH層に変化した複合体粒子粉末Qを
活物質粉末とする非焼結式ニッケル極Bが作製される。
工程2における陽極酸化は、例えば、上記の非焼結式ニ
ッケル極Aを陽極とし、金属ニッケル板を陰極とし、酸
化第2水銀電極を参照極とし、水酸化カリウム水溶液な
どを電解液として、充電することにより行われる。
た非焼結式ニッケル極Aを陽極酸化して、水酸化コバル
ト層がβ−CoOOH層に変化した複合体粒子粉末Qを
活物質粉末とする非焼結式ニッケル極Bが作製される。
工程2における陽極酸化は、例えば、上記の非焼結式ニ
ッケル極Aを陽極とし、金属ニッケル板を陰極とし、酸
化第2水銀電極を参照極とし、水酸化カリウム水溶液な
どを電解液として、充電することにより行われる。
【0017】本発明方法の工程3では、工程2で作製し
た非焼結式ニッケル極Bに水酸化ナトリウム水溶液を添
加し、酸素の存在下にて50〜200°Cで加熱処理し
て、上記のβ−CoOOH層がナトリウム含有コバルト
化合物層に変化した複合体粒子粉末Rを活物質粉末とす
る非焼結式ニッケル極Cが作製される。
た非焼結式ニッケル極Bに水酸化ナトリウム水溶液を添
加し、酸素の存在下にて50〜200°Cで加熱処理し
て、上記のβ−CoOOH層がナトリウム含有コバルト
化合物層に変化した複合体粒子粉末Rを活物質粉末とす
る非焼結式ニッケル極Cが作製される。
【0018】β−CoOOH層をナトリウム含有コバル
ト化合物層に変える際の加熱処理温度が50〜200°
Cに規制されるのは、加熱処理温度が50°C未満の場
合は、電導度の極めて高いナトリウム含有コバルト化合
物層が充分に生成しないため、一方加熱処理温度が20
0°Cを超えた場合は、電導度が低い四酸化三コバルト
(Co3 O 4)が生成するため、いずれの場合も活物質
利用率の極めて高い非焼結式ニッケル極を得ることが困
難になるからである。加熱処理時間は、加熱処理時に使
用する水酸化ナトリウム水溶液の量及び濃度、加熱処理
温度などによって異なるが、一般的には0.5〜10時
間である。
ト化合物層に変える際の加熱処理温度が50〜200°
Cに規制されるのは、加熱処理温度が50°C未満の場
合は、電導度の極めて高いナトリウム含有コバルト化合
物層が充分に生成しないため、一方加熱処理温度が20
0°Cを超えた場合は、電導度が低い四酸化三コバルト
(Co3 O 4)が生成するため、いずれの場合も活物質
利用率の極めて高い非焼結式ニッケル極を得ることが困
難になるからである。加熱処理時間は、加熱処理時に使
用する水酸化ナトリウム水溶液の量及び濃度、加熱処理
温度などによって異なるが、一般的には0.5〜10時
間である。
【0019】ナトリウム含有コバルト化合物層のナトリ
ウム含有率は、加熱処理温度及び水酸化ナトリウムの添
加量によって変化するが、ナトリウム含有率が0.1〜
10重量%になるように、加熱処理温度及び水酸化ナト
リウムの添加量を設定することが好ましい。ナトリウム
含有率が上記の範囲を外れると、複合体粒子粉末Rの粒
子表面の導電性が低下して、活物質利用率が低下する。
ウム含有率は、加熱処理温度及び水酸化ナトリウムの添
加量によって変化するが、ナトリウム含有率が0.1〜
10重量%になるように、加熱処理温度及び水酸化ナト
リウムの添加量を設定することが好ましい。ナトリウム
含有率が上記の範囲を外れると、複合体粒子粉末Rの粒
子表面の導電性が低下して、活物質利用率が低下する。
【0020】ナトリウム含有コバルト化合物層の化学構
造は、本発明者らにおいても現在のところ定かでない
が、これが極めて高い電導度を有することから、コバル
ト化合物とナトリウムとの単なる混合物からなるもので
はなく、コバルト化合物の結晶中にナトリウムが取り込
まれた形の特殊な結晶構造を有する化合物からなるので
はないかと推察される。
造は、本発明者らにおいても現在のところ定かでない
が、これが極めて高い電導度を有することから、コバル
ト化合物とナトリウムとの単なる混合物からなるもので
はなく、コバルト化合物の結晶中にナトリウムが取り込
まれた形の特殊な結晶構造を有する化合物からなるので
はないかと推察される。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるも
のではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変
更して実施することが可能なものである。
に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるも
のではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変
更して実施することが可能なものである。
【0022】(製造例1)
(予備工程)硫酸コバルト13.1gを水に溶かした水
溶液1000mlに、水酸化ニッケル100gを投入
し、1モル/リットル濃度の水酸化ナトリウム水溶液を
攪拌しながら滴下して液のpHを11に調整した後、1
時間攪拌混合した。この間、自動温度補償付pHメータ
にて液のpHを監視して、必要に応じて水酸化ナトリウ
ム水溶液を滴下して液のpHを常時ほぼ11に保持し
た。次いで、生成せる沈澱物を濾別し、水洗し、室温
(約25°C)で真空乾燥して、水酸化ニッケル粒子の
表面に水酸化コバルト層が形成された複合体粒子粉末
(複合体粒子粉末Pに相当する)を作製した。
溶液1000mlに、水酸化ニッケル100gを投入
し、1モル/リットル濃度の水酸化ナトリウム水溶液を
攪拌しながら滴下して液のpHを11に調整した後、1
時間攪拌混合した。この間、自動温度補償付pHメータ
にて液のpHを監視して、必要に応じて水酸化ナトリウ
ム水溶液を滴下して液のpHを常時ほぼ11に保持し
た。次いで、生成せる沈澱物を濾別し、水洗し、室温
(約25°C)で真空乾燥して、水酸化ニッケル粒子の
表面に水酸化コバルト層が形成された複合体粒子粉末
(複合体粒子粉末Pに相当する)を作製した。
【0023】(工程1)上記の複合体粒子粉末100重
量部と結着剤としての1重量%メチルセルロース水溶液
20重量部とを混練してペーストを調製し、このペース
トをニッケルめっきした発泡メタル(多孔度95%;平
均孔径10μm)からなる多孔性の基板に充填し、乾燥
し、加圧成形して、非焼結式ニッケル極(非焼結式ニッ
ケル極Aに相当する)を作製した。
量部と結着剤としての1重量%メチルセルロース水溶液
20重量部とを混練してペーストを調製し、このペース
トをニッケルめっきした発泡メタル(多孔度95%;平
均孔径10μm)からなる多孔性の基板に充填し、乾燥
し、加圧成形して、非焼結式ニッケル極(非焼結式ニッ
ケル極Aに相当する)を作製した。
【0024】(工程2)工程1で作製した非焼結式ニッ
ケル極を陽極とし、金属ニッケル板を陰極とし、酸化第
2水銀電極(Hg/HgO)を参照極とし、25重量%
水酸化カリウム水溶液を電解液として、水酸化コバルト
の酸化に必要な電気量の1.5倍の電気量で充電した
後、酸化第2水銀電極(Hg/HgO)に対して0.2
Vまで放電(生成したオキシ水酸化ニッケルを水酸化ニ
ッケルに戻すための放電)して、水酸化コバルト層がβ
−CoOOH層に変化した複合体粒子粉末(複合体粒子
粉末Qに相当する)を活物質粉末とする非焼結式ニッケ
ル極(非焼結式ニッケル極Bに相当する)を作製した。
ケル極を陽極とし、金属ニッケル板を陰極とし、酸化第
2水銀電極(Hg/HgO)を参照極とし、25重量%
水酸化カリウム水溶液を電解液として、水酸化コバルト
の酸化に必要な電気量の1.5倍の電気量で充電した
後、酸化第2水銀電極(Hg/HgO)に対して0.2
Vまで放電(生成したオキシ水酸化ニッケルを水酸化ニ
ッケルに戻すための放電)して、水酸化コバルト層がβ
−CoOOH層に変化した複合体粒子粉末(複合体粒子
粉末Qに相当する)を活物質粉末とする非焼結式ニッケ
ル極(非焼結式ニッケル極Bに相当する)を作製した。
【0025】(工程3)工程2で作製した非焼結式ニッ
ケル極に35重量%水酸化ナトリウム水溶液を重量比
1:10で混合し、空気中にて、80°Cで8時間加熱
処理した後、水洗し、60°Cで乾燥して、β−CoO
OH層がナトリウム含有コバルト化合物層に変化した複
合体粒子粉末(複合体粒子粉末Rに相当する)を活物質
粉末とする非焼結式ニッケル極A1(非焼結式ニッケル
極Cに相当する)を作製した。
ケル極に35重量%水酸化ナトリウム水溶液を重量比
1:10で混合し、空気中にて、80°Cで8時間加熱
処理した後、水洗し、60°Cで乾燥して、β−CoO
OH層がナトリウム含有コバルト化合物層に変化した複
合体粒子粉末(複合体粒子粉末Rに相当する)を活物質
粉末とする非焼結式ニッケル極A1(非焼結式ニッケル
極Cに相当する)を作製した。
【0026】工程3で作製した非焼結式ニッケル極A1
の基体粒子中の水酸化ニッケルに対するナトリウム含有
コバルト化合物層のコバルト原子換算での比率及びナト
リウム含有コバルト化合物層のナトリウム含有率を原子
吸光法により調べたところ、それぞれ5重量%及び1重
量%であった。
の基体粒子中の水酸化ニッケルに対するナトリウム含有
コバルト化合物層のコバルト原子換算での比率及びナト
リウム含有コバルト化合物層のナトリウム含有率を原子
吸光法により調べたところ、それぞれ5重量%及び1重
量%であった。
【0027】(比較製造例1)工程3の操作を省略した
こと以外は製造例1と同様にして、非焼結式ニッケル極
Bを作製した。
こと以外は製造例1と同様にして、非焼結式ニッケル極
Bを作製した。
【0028】〈実験1〉この実験では、製造例1及び比
較製造例1で作製した各非焼結式ニッケル極の活物質利
用率を調べた。
較製造例1で作製した各非焼結式ニッケル極の活物質利
用率を調べた。
【0029】各非焼結式ニッケル極(正極)、従来公知
のペースト式カドミウム極(負極)、ポリアミド不織布
(セパレータ)、30重量%水酸化カリウム水溶液(電
解液)、金属製の電池缶及び電池蓋などを用いて、AA
サイズのアルカリ蓄電池を作製した。なお、電池容量が
正極容量により規定されるようにするために、正極と負
極との電気化学的な容量比を1:1.6とした。
のペースト式カドミウム極(負極)、ポリアミド不織布
(セパレータ)、30重量%水酸化カリウム水溶液(電
解液)、金属製の電池缶及び電池蓋などを用いて、AA
サイズのアルカリ蓄電池を作製した。なお、電池容量が
正極容量により規定されるようにするために、正極と負
極との電気化学的な容量比を1:1.6とした。
【0030】これらの電池について、25°Cにて0.
1Cで160%充電した後、25°Cにて1Cで1.0
Vまで放電する工程を1サイクルとする充放電を10サ
イクル行い、下式で定義される各電池の正極の10サイ
クル目の活物質利用率を求めた。
1Cで160%充電した後、25°Cにて1Cで1.0
Vまで放電する工程を1サイクルとする充放電を10サ
イクル行い、下式で定義される各電池の正極の10サイ
クル目の活物質利用率を求めた。
【0031】活物質利用率(%)={10サイクル目の
放電容量(mAh)/〔水酸化ニッケル量(g)×28
8(mAh/g)〕}×100
放電容量(mAh)/〔水酸化ニッケル量(g)×28
8(mAh/g)〕}×100
【0032】結果を表1に示す。表1中の活物質利用率
は、非焼結式ニッケル極A1の10サイクル目の活物質
利用率を100としたときの指数である。
は、非焼結式ニッケル極A1の10サイクル目の活物質
利用率を100としたときの指数である。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示すように、非焼結式ニッケル極A
1は、非焼結式ニッケル極Bに比べて、10サイクル目
の活物質利用率が格段高い。この事実から、本発明方法
によれば、活物質利用率の極めて高い非焼結式ニッケル
極を得ることができることが分かる。
1は、非焼結式ニッケル極Bに比べて、10サイクル目
の活物質利用率が格段高い。この事実から、本発明方法
によれば、活物質利用率の極めて高い非焼結式ニッケル
極を得ることができることが分かる。
【0035】〈実験2〉この実験では、本発明方法の工
程3における加熱処理温度と活物質利用率の関係を調べ
た。
程3における加熱処理温度と活物質利用率の関係を調べ
た。
【0036】工程3における加熱処理温度を、80°C
に代えて、45°C、50°C、60°C、100°
C、150°C、200°C、220°C又は250°
Cとしたこと以外は製造例1と同様にして、順に、非焼
結式ニッケル極T1,T2,T3,T4,T5,T6,
T7,T8を作製し、これらを使用してアルカリ蓄電池
を作製した。なお、各非焼結式ニッケル極のナトリウム
含有コバルト層のナトリウム含有率は、順に0.01重
量%、1重量%、1重量%、1重量%、1重量%、1重
量%、0.05重量%及び0.02重量%であった。
に代えて、45°C、50°C、60°C、100°
C、150°C、200°C、220°C又は250°
Cとしたこと以外は製造例1と同様にして、順に、非焼
結式ニッケル極T1,T2,T3,T4,T5,T6,
T7,T8を作製し、これらを使用してアルカリ蓄電池
を作製した。なお、各非焼結式ニッケル極のナトリウム
含有コバルト層のナトリウム含有率は、順に0.01重
量%、1重量%、1重量%、1重量%、1重量%、1重
量%、0.05重量%及び0.02重量%であった。
【0037】これらの電池について、実験1で行ったも
のと同じ条件の充放電サイクル試験を行い、各電池の正
極の10サイクル目の活物質利用率を求め、工程3にお
ける加熱処理温度と活物質利用率の関係を調べた。結果
を図1に示す。
のと同じ条件の充放電サイクル試験を行い、各電池の正
極の10サイクル目の活物質利用率を求め、工程3にお
ける加熱処理温度と活物質利用率の関係を調べた。結果
を図1に示す。
【0038】図1は、加熱処理温度と活物質利用率の関
係を、縦軸に活物質利用率を、横軸に加熱処理温度(°
C)をとって示したグラフである。図1には、非焼結式
ニッケル極A1(加熱処理温度:80°C)を用いたア
ルカリ蓄電池の結果も示してあり、縦軸の活物質利用率
は、非焼結式ニッケル極A1の活物質利用率を100と
したときの指数である。
係を、縦軸に活物質利用率を、横軸に加熱処理温度(°
C)をとって示したグラフである。図1には、非焼結式
ニッケル極A1(加熱処理温度:80°C)を用いたア
ルカリ蓄電池の結果も示してあり、縦軸の活物質利用率
は、非焼結式ニッケル極A1の活物質利用率を100と
したときの指数である。
【0039】図1に示すように、加熱処理温度が50〜
200°Cである非焼結式ニッケル極T2〜T6,A1
は、加熱処理温度がこの範囲を外れる非焼結式ニッケル
極T1,T7,T8に比べて、活物質利用率が高い。こ
の事実から、活物質利用率の極めて高い非焼結式ニッケ
ル極を得るためには、工程3における加熱処理温度を5
0〜200°Cとする必要があることが分かる。
200°Cである非焼結式ニッケル極T2〜T6,A1
は、加熱処理温度がこの範囲を外れる非焼結式ニッケル
極T1,T7,T8に比べて、活物質利用率が高い。こ
の事実から、活物質利用率の極めて高い非焼結式ニッケ
ル極を得るためには、工程3における加熱処理温度を5
0〜200°Cとする必要があることが分かる。
【0040】〈実験3〉この実験では、ナトリウム含有
コバルト化合物層のナトリウム含有率と活物質利用率の
関係を調べた。
コバルト化合物層のナトリウム含有率と活物質利用率の
関係を調べた。
【0041】工程3において、35重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液に代えて、5重量%、10重量%、15重量
%、25重量%、40重量%、45重量%又は50重量
%の水酸化ナトリウム水溶液を用いたこと以外は製造例
1と同様にして、ナトリウム含有コバルト化合物層のナ
トリウム含有率が種々異なる非焼結式ニッケル極A,
B,C,D,E,F,Gを作製し、これらを使用してア
ルカリ蓄電池を作製した。各非焼結式ニッケル極のナト
リウム含有コバルト層のナトリウム含有率を原子吸光法
により求めたところ、順に0.05重量%、0.1重量
%、0.5重量%、5重量%、10重量%、12重量%
及び15重量%であった。
ウム水溶液に代えて、5重量%、10重量%、15重量
%、25重量%、40重量%、45重量%又は50重量
%の水酸化ナトリウム水溶液を用いたこと以外は製造例
1と同様にして、ナトリウム含有コバルト化合物層のナ
トリウム含有率が種々異なる非焼結式ニッケル極A,
B,C,D,E,F,Gを作製し、これらを使用してア
ルカリ蓄電池を作製した。各非焼結式ニッケル極のナト
リウム含有コバルト層のナトリウム含有率を原子吸光法
により求めたところ、順に0.05重量%、0.1重量
%、0.5重量%、5重量%、10重量%、12重量%
及び15重量%であった。
【0042】これらの電池について、実験1で行ったも
のと同じ条件の充放電サイクル試験を行い、各電池の正
極の10サイクル目の活物質利用率を求め、ナトリウム
含有率と活物質利用率の関係を調べた。結果を図2に示
す。
のと同じ条件の充放電サイクル試験を行い、各電池の正
極の10サイクル目の活物質利用率を求め、ナトリウム
含有率と活物質利用率の関係を調べた。結果を図2に示
す。
【0043】図2は、ナトリウム含有率と活物質利用率
の関係を、縦軸に活物質利用率を、横軸にナトリウム含
有率をとって示したグラフである。図2には、非焼結式
ニッケル極A1(ナトリウム含有率:1重量%)を用い
たアルカリ蓄電池の結果も示してあり、縦軸の活物質利
用率は、非焼結式ニッケル極A1の活物質利用率を10
0としたときの指数である。
の関係を、縦軸に活物質利用率を、横軸にナトリウム含
有率をとって示したグラフである。図2には、非焼結式
ニッケル極A1(ナトリウム含有率:1重量%)を用い
たアルカリ蓄電池の結果も示してあり、縦軸の活物質利
用率は、非焼結式ニッケル極A1の活物質利用率を10
0としたときの指数である。
【0044】図2に示すように、ナトリウム含有率が
0.1〜10重量%の非焼結式ニッケル極B,C,A
1,D,Eは、ナトリウム含有率がこの範囲を外れる非
焼結式ニッケル極A,F,Gに比べて、活物質利用率が
高い。この事実から、活物質利用率の極めて高い非焼結
式ニッケル極を得るためには、工程3において適宜の濃
度の水酸化ナトリウム水溶液を使用することにより、ナ
トリウム含有コバルト化合物層のナトリウム含有率が
0.1〜10重量%となるようにすることが好ましいこ
とが分かる。
0.1〜10重量%の非焼結式ニッケル極B,C,A
1,D,Eは、ナトリウム含有率がこの範囲を外れる非
焼結式ニッケル極A,F,Gに比べて、活物質利用率が
高い。この事実から、活物質利用率の極めて高い非焼結
式ニッケル極を得るためには、工程3において適宜の濃
度の水酸化ナトリウム水溶液を使用することにより、ナ
トリウム含有コバルト化合物層のナトリウム含有率が
0.1〜10重量%となるようにすることが好ましいこ
とが分かる。
【0045】〈実験4〉この実験では、基体粒子中の水
酸化ニッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバ
ルト原子換算での比率と活物質利用率及び電池容量との
関係を調べた。
酸化ニッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバ
ルト原子換算での比率と活物質利用率及び電池容量との
関係を調べた。
【0046】予備工程において、硫酸コバルト13.1
gを水に溶かした水溶液1000mlに代えて、硫酸コ
バルト1.31g、2.63g、26.3g、31.6
g又は39.5gを水に溶かした水溶液1000mlを
それぞれ使用したこと以外は製造例1と同様にして、非
焼結式ニッケル極a,b,c,d,eを作製し、これら
を使用してアルカリ蓄電池を作製した。各非焼結式ニッ
ケル極の基体粒子中の水酸化ニッケルに対するナトリウ
ム含有コバルト層のコバルト原子換算での比率を原子吸
光法により求めたところ、順に0.5重量%、1重量
%、10重量%、12重量%及び15重量%であった。
いずれの非焼結式ニッケル極も、ナトリウム含有コバル
ト層のナトリウム含有率は1重量%である。
gを水に溶かした水溶液1000mlに代えて、硫酸コ
バルト1.31g、2.63g、26.3g、31.6
g又は39.5gを水に溶かした水溶液1000mlを
それぞれ使用したこと以外は製造例1と同様にして、非
焼結式ニッケル極a,b,c,d,eを作製し、これら
を使用してアルカリ蓄電池を作製した。各非焼結式ニッ
ケル極の基体粒子中の水酸化ニッケルに対するナトリウ
ム含有コバルト層のコバルト原子換算での比率を原子吸
光法により求めたところ、順に0.5重量%、1重量
%、10重量%、12重量%及び15重量%であった。
いずれの非焼結式ニッケル極も、ナトリウム含有コバル
ト層のナトリウム含有率は1重量%である。
【0047】これらの電池について、実験1で行ったも
のと同じ条件の充放電サイクル試験を行い、各電池の1
サイクル目の放電容量(電池容量)及び正極の10サイ
クル目の活物質利用率を求め、基体粒子中の水酸化ニッ
ケルに対するナトリウム含有コバルト層の比率と電池容
量及び活物質利用率の関係を調べた。各電池の容量を図
3に、また各電池の正極の活物質利用率を表2に示す。
図3は、基体粒子中の水酸化ニッケルに対するナトリウ
ム含有コバルト層のコバルト原子換算での比率と電池容
量の関係を、縦軸に電池容量を、横軸に基体粒子中の水
酸化ニッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバ
ルト原子換算での比率(重量%)をとって示したグラフ
である。表2及び図3には、非焼結式ニッケル極A1
(基体粒子中の水酸化ニッケルに対するナトリウム含有
コバルト層のコバルト原子換算での比率:5重量%)を
用いたアルカリ蓄電池の結果も示してあり、表2中の活
物質利用率及び図3の縦軸の電池容量は、それぞれ非焼
結式ニッケル極A1の活物質利用率及び非焼結式ニッケ
ル極A1を用いたアルカリ蓄電池の容量を100とした
ときの指数である。
のと同じ条件の充放電サイクル試験を行い、各電池の1
サイクル目の放電容量(電池容量)及び正極の10サイ
クル目の活物質利用率を求め、基体粒子中の水酸化ニッ
ケルに対するナトリウム含有コバルト層の比率と電池容
量及び活物質利用率の関係を調べた。各電池の容量を図
3に、また各電池の正極の活物質利用率を表2に示す。
図3は、基体粒子中の水酸化ニッケルに対するナトリウ
ム含有コバルト層のコバルト原子換算での比率と電池容
量の関係を、縦軸に電池容量を、横軸に基体粒子中の水
酸化ニッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバ
ルト原子換算での比率(重量%)をとって示したグラフ
である。表2及び図3には、非焼結式ニッケル極A1
(基体粒子中の水酸化ニッケルに対するナトリウム含有
コバルト層のコバルト原子換算での比率:5重量%)を
用いたアルカリ蓄電池の結果も示してあり、表2中の活
物質利用率及び図3の縦軸の電池容量は、それぞれ非焼
結式ニッケル極A1の活物質利用率及び非焼結式ニッケ
ル極A1を用いたアルカリ蓄電池の容量を100とした
ときの指数である。
【0048】
【表2】
【0049】表2に示すように、基体粒子中の水酸化ニ
ッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバルト原
子換算での比率が1重量%以上の非焼結式ニッケル極
b,A1,c,d,eは、その比率が0.5重量%の非
焼結式ニッケル極aに比べて、活物質利用率が高い。こ
の事実から、活物質利用率の極めて高い非焼結式ニッケ
ル極を得るためには、基体粒子中の水酸化ニッケルに対
するナトリウム含有コバルト層のコバルト原子換算での
比率が1重量%以上となるようにすることが好ましいこ
とが分かる。
ッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバルト原
子換算での比率が1重量%以上の非焼結式ニッケル極
b,A1,c,d,eは、その比率が0.5重量%の非
焼結式ニッケル極aに比べて、活物質利用率が高い。こ
の事実から、活物質利用率の極めて高い非焼結式ニッケ
ル極を得るためには、基体粒子中の水酸化ニッケルに対
するナトリウム含有コバルト層のコバルト原子換算での
比率が1重量%以上となるようにすることが好ましいこ
とが分かる。
【0050】また、図3に示すように、基体粒子中の水
酸化ニッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバ
ルト原子換算での比率が10重量%を超える非焼結式ニ
ッケル極d,eを用いたアルカリ蓄電池の容量は極めて
小さい。この事実から、実用可能な程度の容量を有する
アルカリ蓄電池を得るためには、基体粒子中の水酸化ニ
ッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバルト原
子換算での比率が10重量%以下となるようにすること
が好ましいことが分かる。
酸化ニッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバ
ルト原子換算での比率が10重量%を超える非焼結式ニ
ッケル極d,eを用いたアルカリ蓄電池の容量は極めて
小さい。この事実から、実用可能な程度の容量を有する
アルカリ蓄電池を得るためには、基体粒子中の水酸化ニ
ッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバルト原
子換算での比率が10重量%以下となるようにすること
が好ましいことが分かる。
【0051】表2及び図3の結果から、基体粒子中の水
酸化ニッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバ
ルト原子換算での比率が1〜10重量%となるように、
予備工程におけるニッケル原料とコバルト原料との混合
割合を調節することが好ましいことが分かる。
酸化ニッケルに対するナトリウム含有コバルト層のコバ
ルト原子換算での比率が1〜10重量%となるように、
予備工程におけるニッケル原料とコバルト原料との混合
割合を調節することが好ましいことが分かる。
【0052】上記の実施例では、基体粒子として水酸化
ニッケル粒子を使用したが、水酸化ニッケルに、コバル
ト、亜鉛、カドミウム、カルシウム、マンガン、マグネ
シウム、ビスマス、アルミニウム及びイットリウムから
選ばれた少なくとも1種の元素を固溶させた固溶体粒子
を用いた場合にも、本発明方法により活物質利用率の極
めて高い非焼結式ニッケル極が得られることを確認し
た。
ニッケル粒子を使用したが、水酸化ニッケルに、コバル
ト、亜鉛、カドミウム、カルシウム、マンガン、マグネ
シウム、ビスマス、アルミニウム及びイットリウムから
選ばれた少なくとも1種の元素を固溶させた固溶体粒子
を用いた場合にも、本発明方法により活物質利用率の極
めて高い非焼結式ニッケル極が得られることを確認し
た。
【0053】
【発明の効果】本発明方法によれば、活物質利用率の極
めて高いアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極を作製す
ることができる。
めて高いアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極を作製す
ることができる。
【図1】工程3における加熱処理温度と活物質利用率の
関係を示したグラフである。
関係を示したグラフである。
【図2】ナトリウム含有コバルト化合物層のナトリウム
含有率と活物質利用率の関係を示したグラフである。
含有率と活物質利用率の関係を示したグラフである。
【図3】基体粒子中の水酸化ニッケルに対するナトリウ
ム含有コバルト層のコバルト原子換算での比率(重量
%)と電池容量の関係を示したグラフである。
ム含有コバルト層のコバルト原子換算での比率(重量
%)と電池容量の関係を示したグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 前田 礼造
大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
三洋電機株式会社内
(72)発明者 矢野 睦
大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
三洋電機株式会社内
(72)発明者 野上 光造
大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
三洋電機株式会社内
(72)発明者 米津 育郎
大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
三洋電機株式会社内
(72)発明者 西尾 晃治
大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
三洋電機株式会社内
(56)参考文献 特開 平8−203515(JP,A)
特開 平8−148146(JP,A)
特開 昭62−37875(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H01M 4/52
H01M 4/26
H01M 4/32
Claims (4)
- 【請求項1】水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを主成
分とする固溶体からなる基体粒子の表面に水酸化コバル
ト層が形成された複合体粒子粉末Pと結着剤溶液とを含
むペーストを導電性を有する多孔性の芯体に充填して非
焼結式ニッケル極Aを作製する工程1と、非焼結式ニッ
ケル極Aを陽極酸化して、前記水酸化コバルト層がβ−
CoOOH層に変化した複合体粒子粉末Qを活物質粉末
とする非焼結式ニッケル極Bを作製する工程2と、非焼
結式ニッケル極Bに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、
酸素の存在下にて50〜200°Cで加熱処理して、前
記β−CoOOH層がナトリウム含有コバルト化合物層
に変化した複合体粒子粉末Rを活物質粉末とする非焼結
式ニッケル極Cを作製する工程3とを備えるアルカリ蓄
電池用非焼結式ニッケル極の製造方法。 - 【請求項2】前記複合体粒子粉末Pとして、水酸化ニッ
ケルに、コバルト、亜鉛、カドミウム、カルシウム、マ
ンガン、マグネシウム、ビスマス、アルミニウム及びイ
ットリウムから選ばれた少なくとも1種の元素が固溶し
た固溶体からなる基体粒子の表面に水酸化コバルト層が
形成された複合体粒子粉末を使用する請求項1記載のア
ルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極の製造方法。 - 【請求項3】前記複合体粒子粉末Pとして、前記基体粒
子中の水酸化ニッケルに対して前記水酸化コバルト層を
コバルト原子換算で1〜10重量%含有する複合体粒子
粉末を使用する請求項1又は2記載のアルカリ蓄電池用
非焼結式ニッケル極の製造方法。 - 【請求項4】前記ナトリウム含有コバルト化合物層のナ
トリウム含有率が0.1〜10重量%になるように、工
程3における加熱処理時の温度及び水酸化ナトリウムの
添加量を設定する請求項1〜3のいずれかに記載のアル
カリ蓄電池用非焼結式ニッケル極の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03312597A JP3481068B2 (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03312597A JP3481068B2 (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10214619A JPH10214619A (ja) | 1998-08-11 |
JP3481068B2 true JP3481068B2 (ja) | 2003-12-22 |
Family
ID=12377910
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03312597A Expired - Fee Related JP3481068B2 (ja) | 1997-01-30 | 1997-01-30 | アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル極の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3481068B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001035488A (ja) * | 1999-07-26 | 2001-02-09 | Honda Motor Co Ltd | ニッケル水素電池の製造方法 |
JP2001351619A (ja) | 2000-04-04 | 2001-12-21 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | ニッケル正極板およびアルカリ蓄電池 |
-
1997
- 1997-01-30 JP JP03312597A patent/JP3481068B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10214619A (ja) | 1998-08-11 |
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