WO2018078738A1 - ニッケル亜鉛電池 - Google Patents

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Abstract

Mg及びYの少なくともいずれか一方を含有する水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含む正極と、亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含む負極と、アルカリ金属水酸化物水溶液を含む電解液と、正極と負極とを水酸化物イオン伝導可能に隔離する、層状複水酸化物(LDH)セパレータとを備えた、ニッケル亜鉛電池が提供される。本発明によれば、LDHセパレータを搭載したニッケル亜鉛電池において、放電容量(Ah)効率を向上させることができる。

Description

ニッケル亜鉛電池
 本発明は、ニッケル亜鉛電池に関する。
 ニッケル亜鉛二次電池、空気亜鉛二次電池等の亜鉛二次電池では、充電時に負極ないしその集電体から金属亜鉛がデンドライト状に析出し、不織布等のセパレータの空隙を貫通して正極に到達し、その結果、短絡を引き起こすことが知られている。このような亜鉛デンドライトに起因する短絡は繰り返し充放電寿命の短縮を招く。
 上記問題に対処すべく、水酸化物イオン伝導性を有する層状複水酸化物(LDH)セパレータを用いた電池が提案されている。例えば、特許文献1(国際公開第2013/118561号)には、ニッケル亜鉛二次電池において、亜鉛デンドライトによる短絡の防止を目的として、LDHセパレータを正極及び負極間に設けることが開示されている。また、特許文献2(国際公開第2016/076047号)には、多孔質基材と複合化されたLDHセパレータを備えたセパレータ構造体が開示されており、LDHセパレータがガス不透過性及び/又は水不透過性を有する程の高い緻密性を有することが開示されている。
国際公開第2013/118561号 国際公開第2016/076047号
 上述したようなLDHセパレータを搭載したニッケル亜鉛電池によれば、亜鉛デンドライトによる正負極間の短絡を効果的に防止することができるが、ニッケル亜鉛電池の性能の更なる改善が望まれる。
 本発明者らは、今般、LDHセパレータを搭載したニッケル亜鉛電池において、正極を構成する水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルにMg及びYの少なくともいずれか一方を含有させることで、ニッケル亜鉛電池の放電容量(Ah)効率を向上できるとの知見を得た。
 したがって、本発明の目的は、LDHセパレータを搭載したニッケル亜鉛電池において、放電容量(Ah)効率を向上させることにある。
 本発明の一態様によれば、Mg及びYの少なくともいずれか一方を含有する水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含む正極と、
 亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含む負極と、
 アルカリ金属水酸化物水溶液を含む電解液と、
 前記正極と前記負極とを水酸化物イオン伝導可能に隔離する、層状複水酸化物(LDH)セパレータと、
を備えた、ニッケル亜鉛電池が提供される。
 本発明の好ましい態様によれば、前記ニッケル亜鉛電池は、
 前記正極、前記負極、前記電解液及び前記LDHセパレータを収容する、可撓性フィルムで形成された可撓性袋体と、
 所望により、前記可撓性袋体の内側に液密に結合され、前記正極及び前記電解液(すなわち正極電解液)を収容する正極室と、前記負極及び前記電解液(すなわち負極電解液)を収容する負極室とを液体連通を許容しないように区画する中仕切りシートと、
をさらに備え、前記中仕切りシートが前記LDHセパレータを含むセパレータ構造体を備える。
本発明によるニッケル亜鉛電池の一例を模式的に示す図である。 本発明による組電池における複数個のニッケル亜鉛電池の配置例を模式的に示す図である。 例1で作製したアルミナ製多孔質基材の表面のSEM画像である。 例1において試料の結晶相に対して得られたXRDプロファイルである。 例1において観察された膜試料の表面微構造を示すSEM画像である。 例1において観察された複合材料試料の研磨断面微構造のSEM画像である。 例1の緻密性判定試験Iで使用された緻密性判別測定系の分解斜視図である。 例1の緻密性判定試験Iで使用された緻密性判別測定系の模式断面図である。 例1の緻密性判定試験IIで使用された測定用密閉容器の分解斜視図である。 例1の緻密性判定試験IIで使用された測定系の模式断面図である。 中仕切りシートの各構成部材の位置関係を模式的に示す上面図である。 中仕切りシートの作製手順を示す工程図である。 例2において作製した中仕切りシートの写真である。 ニッケル亜鉛電池セルパックの組み立て手順を示す工程図である。 例2において作製された、外周縁3辺が熱融着接合された可撓性袋体を正極側から撮影した写真である。 例2において作製された、外周縁3辺が熱融着接合された可撓性袋体を負極側から撮影した写真である。 図15Aにおける可撓性袋体の上端部の枠で強調された部分の拡大写真である。 例2において作製されたニッケル亜鉛電池セルパック(上端部の開放部分が熱融着接合されたもの)を撮影した写真である。 例3において作製された正極における、正極におけるY含有量と放電容量(Ah)効率との関係をプロットした図である。 例3において作製された正極におけるMg含有量と放電容量(Ah)効率との関係をプロットした図である。 例3において作製された正極におけるY及びMgの合計含有量と放電容量(Ah)効率との関係をプロットした図である。
 ニッケル亜鉛電池
 図1に、本発明のニッケル亜鉛電池の一態様としてのニッケル亜鉛電池10を模式的に示す。図1に示されるニッケル亜鉛電池10は、正極16と、負極20と、電解液18,22と、層状複水酸化物(LDH)セパレータ28とを備える。正極16は、水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含み、この水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルはMg及びYの少なくともいずれか一方を含有する。負極20は、亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含む。電解液18,22(すなわち正極電解液18及び負極電解液22)は、アルカリ金属水酸化物水溶液を含む。LDHセパレータ28は層状複水酸化物(LDH)を含み、正極と負極とを水酸化物イオン伝導可能に隔離する。前述のとおり、LDHセパレータ28を搭載したニッケル亜鉛電池10によれば、亜鉛デンドライトによる正負極間の短絡を効果的に防止することができる。しかし、この種の従来のニッケル亜鉛電池は電解液中に亜鉛イオンが高濃度に存在すると電池出力が下がることがあった。この点、本発明においては、LDHセパレータ28を搭載したニッケル亜鉛電池10において、正極16を構成する水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルにMg及びYの少なくともいずれか一方を含有させることで、ニッケル亜鉛電池10の放電容量(Ah)効率を向上することができる。
 正極
 正極16は水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含む。例えば、ニッケル亜鉛電池を放電末状態で構成する場合には正極16として水酸化ニッケルを用いればよく、満充電状態で構成する場合には正極16としてオキシ水酸化ニッケルを用いればよい。水酸化ニッケル及びオキシ水酸化ニッケル(以下、水酸化ニッケル等という)は、ニッケル亜鉛電池に一般的に用いられている正極活物質であり、典型的には粒子形態である。
 正極16に含まれる水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルは、Mg及びYの少なくともいずれか一方を含有する。Mg及びYの少なくともいずれか一方は、水酸化ニッケル等に添加されていてもよいし、あるいは固溶されていてもよく、その含有形態は特に限定されない。例えば、Mg及び/又はYは水酸化ニッケル等の結晶格子中に固溶されていてもよいし、あるいは水酸化ニッケル等の結晶粒子の粒界に存在していてもよい。また、Mg及び/又はYは、金属イオン又は金属化合物(例えば、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物及び炭酸化物)の形態で含有されていてもよい。
 本発明の好ましい態様によれば、正極16におけるMg及びYの合計含有量は、正極中のNi量に対して、原子比で、0.005~3.0%であるのが好ましく、より好ましくは0.01~1.0%である。いずれにしても、上記範囲内とすることで、ニッケル亜鉛電池10の放電容量(Ah)効率を更に向上することができる。本態様において、水酸化ニッケル等は、Mg及びYを両方含有するものであってもよいし、Mg及びYのいずれか一方のみを含有するものであってもよい。
 本発明の別の好ましい態様によれば、正極16におけるMgの含有量は、正極中のNi量に対して、原子比で、0.005~0.1%であるのが好ましく、より好ましくは0.01~0.05%である。いずれにしても、上記範囲内とすることで、ニッケル亜鉛電池10の放電容量(Ah)効率を更に向上することができる。本態様において、水酸化ニッケル等は、Mgを単独で含有するものであってもよいし、Yを共に含有するものであってもよい。
 本発明の別の好ましい態様によれば、正極16におけるYの含有量が、正極中のNi量に対して、原子比で、0.1~2.0%であるのが好ましく、より好ましくは0.3~1.0%である。上記範囲内とすることで、ニッケル亜鉛電池10の放電容量(Ah)効率を更に向上することができる。本態様において、水酸化ニッケル等は、Yを単独で含有するものであってもよいし、Mgを共に含有するものであってもよい。
 上述したNi量に対するMg及び/又はYの含有量は、EDS(エネルギー分散型X線分光器)によりNi量、Mg量及びY量を全元素100at%に対するat%として測定し、得られたNi量を100%とした場合の、Mg量及び/又はY量の換算値(%)である。
 また、水酸化ニッケル等はコバルト系成分と混合されたものであってもよく、そのようなコバルト系成分の例としては、金属コバルトやコバルト酸化物(例えば一酸化コバルト)の粒状物が挙げられる。さらに、水酸化ニッケル等の粒子(異種元素が固溶されていてよい)の表面をコバルト化合物で被覆してもよく、そのようなコバルト化合物の例としては、一酸化コバルト、2価のα型水酸化コバルト、2価のβ型水酸化コバルト、2価を超える高次コバルトの化合物、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
 正極16は電解液等をさらに含むことにより正極合材として構成されてもよい。正極合剤は、水酸化ニッケル系化合物粒子、電解液、並びに所望により炭素粒子等の導電材やバインダー等を含むことができる。
 負極
 負極20は亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含む。亜鉛は、負極に適した電気化学的活性を有するものであれば、亜鉛金属、亜鉛化合物及び亜鉛合金のいずれの形態で含まれていてもよい。負極材料の好ましい例としては、酸化亜鉛、亜鉛金属、亜鉛酸カルシウム等が挙げられるが、亜鉛金属及び酸化亜鉛の混合物がより好ましい。負極20はゲル状に構成してもよいし、電解液と混合して負極合材としてもよい。例えば、負極活物質に電解液及び増粘剤を添加することにより容易にゲル化した負極を得ることができる。増粘剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、CMC、アルギン酸等が挙げられるが、ポリアクリル酸が強アルカリに対する耐薬品性に優れているため好ましい。
 亜鉛合金として、無汞化亜鉛合金として知られている水銀及び鉛を含まない亜鉛合金を用いることができる。例えば、インジウムを0.01~0.06質量%、ビスマスを0.005~0.02質量%、アルミニウムを0.0035~0.015質量%を含む亜鉛合金が水素ガス発生の抑制効果があるので好ましい。とりわけ、インジウムやビスマスは放電性能を向上させる点で有利である。亜鉛合金の負極への使用は、アルカリ性電解液中での自己溶解速度を遅くすることで、水素ガス発生を抑制して安全性を向上できる。
 負極材料の形状は特に限定されないが、粉末状とすることが好ましく、それにより表面積が増大して大電流放電に対応可能となる。好ましい負極材料の平均粒径は、亜鉛合金の場合、90~210μmの範囲であり、この範囲内であると表面積が大きいことから大電流放電への対応に適するとともに、電解液及びゲル化剤と均一に混合しやすく、電池組み立て時の取り扱い性も良い。
 集電体
 ニッケル亜鉛電池10は、正極16に接触して設けられる正極集電体(図示せず)と、負極20に接触して設けられる負極集電体(図示せず)とをさらに備えるのが好ましい。この場合、正極集電体と負極集電体が電池容器(例えば後述する可撓性袋体12)の外周縁から互いに異なる位置で延出しているのが好ましい。あるいは、正極16及び負極20が、別途設けられた正極端子及び負極端子に電池容器(例えば後述する可撓性袋体12)内又は外でそれぞれ接続される構成としてもよい。正極集電体の好ましい例としては、発泡ニッケル板等のニッケル製多孔質基板が挙げられる。この場合、例えば、ニッケル製多孔質基板上に水酸化ニッケル等の電極活物質を含むペーストを均一に塗布して乾燥させることにより正極/正極集電体からなる正極板を好ましく作製することができる。その際、乾燥後の正極板(すなわち正極/正極集電体)にプレス処理を施して、電極活物質の脱落防止や電極密度の向上を図ることも好ましい。負極集電体の好ましい例としては、銅パンチングメタルが挙げられる。この場合、例えば、銅パンチングメタル上に、酸化亜鉛粉末及び/又は亜鉛粉末、並びに所望によりバインダー(例えばポリテトラフルオロエチレン粒子)を含む混合物を塗布して負極/負極集電体からなる負極板を好ましく作製することができる。その際、乾燥後の負極板(すなわち負極/負極集電体)にプレス処理を施して、電極活物質の脱落防止や電極密度の向上を図ることも好ましい。
 電解液
 電解液、すなわち正極電解液18及び負極電解液22はアルカリ金属水酸化物水溶液を含む。すなわち、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液が正極電解液18及び負極電解液22として用いられる。アルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等が挙げられるが、水酸化カリウムがより好ましい。亜鉛及び/又は酸化亜鉛の自己溶解を抑制するために、電解液中に酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の亜鉛化合物を添加してもよい。前述のとおり、正極電解液18及び負極電解液22は正極16及び/又は負極20と混合させて正極合材及び/又は負極合材の形態で存在させてもよい。また、電解液の漏洩を防止するために電解液をゲル化してもよい。ゲル化剤としては電解液の溶媒を吸収して膨潤するようなポリマーを用いるのが望ましく、ポリエチレンオキサイド,ポリビニルアルコール,ポリアクリルアミドなどのポリマーやデンプンが用いられる。
 LDHセパレータ
 LDHセパレータ28は層状複水酸化物(LDH)を含むセラミックスセパレータであり、正極16と負極20とを水酸化物イオン伝導可能に隔離する。好ましいLDHセパレータ28はガス不透過性及び/又は水不透過性を有する。換言すれば、LDHセパレータ28はガス不透過性及び/又は水不透過性を有するほどに緻密化されているのが好ましい。なお、本明細書において「ガス不透過性を有する」とは、後述する例1で採用される「緻密性判定試験II」又はそれに準ずる手法ないし構成でガス不透過性を評価した場合に、水中で測定対象物(すなわちLDHセパレータ28及び/又は多孔質基材30)の一面側にヘリウムガスを0.5atmの差圧で接触させても他面側からヘリウムガスに起因する泡の発生がみられないことを意味する。また、本明細書において「水不透過性を有する」とは、後述する例1で採用される「緻密性判定試験I」又はそれに準ずる手法ないし構成で水不透過性を評価した場合に、測定対象物(例えばLDH膜及び/又は多孔質基材)の一面側に接触した水が他面側に透過しないことを意味する。すなわち、LDHセパレータ28がガス不透過性及び/又は水不透過性を有するということは、LDHセパレータ28が気体又は水を通さない程の高度な緻密性を有することを意味し、透水性を有する多孔性フィルムやその他の多孔質材料ではないことを意味する。こうすることで、LDHセパレータ28は、その水酸化物イオン伝導性に起因して水酸化物イオンのみを選択的に通すものとなり、電池用セパレータとしての機能を呈することができる。このため、充電時に生成する亜鉛デンドライトによるセパレータの貫通を物理的に阻止して正負極間の短絡を防止するのに極めて効果的な構成となっている。もっとも、図1Aに示されるようにLDHセパレータ28が多孔質基材30と複合化されてよいのはいうまでもない。いずれにしても、LDHセパレータ28は水酸化物イオン伝導性を有するため、正極電解液18と負極電解液22との間で必要な水酸化物イオンの効率的な移動を可能として正極室15及び負極室19における充放電反応を実現することができる。
 LDHセパレータ28は層状複水酸化物(LDH)を含み、好ましくはLDHで構成される。一般的に知られているように、LDHは、複数の水酸化物基本層と、これら複数の水酸化物基本層間に介在する中間層とから構成される。水酸化物基本層は主として金属元素(典型的には金属イオン)とOH基で構成される。LDHの中間層は、陰イオン及びHOで構成される。陰イオンは1価以上の陰イオン、好ましくは1価又は2価のイオンである。好ましくは、LDH中の陰イオンはOH及び/又はCO 2-を含む。また、LDHはその固有の性質に起因して優れたイオン伝導性を有する。
 一般的に、LDHは、M2+ 1-x3+ (OH)n- x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオンであり、M3+は3価の陽イオンであり、An-はn価の陰イオンであり、nは1以上の整数であり、xは0.1~0.4であり、mは0以上である)の基本組成式で代表されるものとして知られている。上記基本組成式において、M2+は任意の2価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはMg2+、Ca2+及びZn2+が挙げられ、より好ましくはMg2+である。M3+は任意の3価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはAl3+又はCr3+が挙げられ、より好ましくはAl3+である。An-は任意の陰イオンでありうるが、好ましい例としてはOH及びCO 2-が挙げられる。したがって、上記基本組成式において、M2+がMg2+を含み、M3+がAl3+を含み、An-がOH及び/又はCO 2-を含むのが好ましい。nは1以上の整数であるが、好ましくは1又は2である。xは0.1~0.4であるが、好ましくは0.2~0.35である。mは水のモル数を意味する任意の数であり、0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である。もっとも、上記基本組成式は、一般にLDHに関して代表的に例示される「基本組成」の式にすぎず、構成イオンを適宜置き換え可能なものである。例えば、上記基本組成式においてM3+の一部または全部を4価またはそれ以上の価数の陽イオンで置き換えてもよく、その場合は、上記一般式における陰イオンAn-の係数x/nは適宜変更されてよい。
 LDHセパレータ28は、板状、膜状又は層状のいずれの形態であってもよく、膜状又は層状の形態である場合、膜状又は層状のLDHセパレータ28が多孔質基材30と複合化されている、例えば多孔質基材30上又はその中に形成されたものであるのが好ましい。板状の形態であると十分な堅さを確保して亜鉛デンドライトの貫通をより効果的に阻止することができる。一方、板状よりも厚さが薄い膜状又は層状の形態であると亜鉛デンドライトの貫通を阻止するための必要最低限の堅さを確保しながらセパレータの抵抗を有意に低減できるとの利点がある。板状のLDHセパレータ28の好ましい厚さは、0.01~0.5mmであり、より好ましくは0.02~0.2mm、さらに好ましくは0.05~0.1mmである。また、LDHセパレータ28の水酸化物イオン伝導度は高ければ高い方が望ましいが、典型的には10-4~10-1S/mの伝導度を有する。一方、膜状又は層状の形態の場合には、厚さが100μm以下であるのが好ましく、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは25μm以下、最も好ましくは5μm以下である。このように薄いことでLDHセパレータ28の低抵抗化を実現できる。厚さの下限値は用途に応じて異なるため特に限定されないが、セパレータ膜ないし層として望まれるある程度の堅さを確保するためには厚さ1μm以上であるのが好ましく、より好ましくは2μm以上である。
 LDHセパレータ28は多孔質基材30と複合化されているのが好ましい。例えば、LDHセパレータ28の片面又は両面に多孔質基材30を設けてもよい。LDHセパレータ28の片面に多孔質基材30が設けられる場合、多孔質基材30はLDHセパレータ28の負極20側の面に設けてもよいし、LDHセパレータ28の正極16側の面に設けてもよい。多孔質基材30は透水性を有し、それ故正極電解液18及び負極電解液22がLDHセパレータ28に到達可能であることはいうまでもないが、多孔質基材30があることでLDHセパレータ28上により安定に水酸化物イオンを保持することも可能となる。また、多孔質基材30により強度を付与できるため、LDHセパレータ28を薄くして低抵抗化を図ることもできる。また、多孔質基材30上又はその中にLDHの緻密膜ないし緻密層を形成することもできる。LDHセパレータ28の片面に多孔質基材を設ける場合には、多孔質基材を用意して、この多孔質基材にLDHを成膜する手法が考えられる。一方、LDHセパレータ28の両面に多孔質基材を設ける場合には、2枚の多孔質基材の間にLDHの原料粉末を挟んで緻密化を行うことが考えられる。なお、図1Aにおいて多孔質基材30はLDHセパレータ28の片面の全面にわたって設けられているが、LDHセパレータ28の片面の一部(例えば充放電反応に関与する領域)にのみ設ける構成としてもよい。例えば、多孔質基材30上又はその中にLDHを膜状又は層状に形成した場合、その製法に由来して、LDHセパレータ28の片面の全面にわたって多孔質基材30が設けられた構成になるのが典型的である。一方、LDH体を(基材を必要としない)自立した板状に形成した場合には、LDHセパレータ28の片面の一部(例えば充放電反応に関与する領域)にのみ多孔質基材30を後付けしてもよいし、片面の全面にわたって多孔質基材30を後付けしてもよい。
 LDHセパレータ28の一方の側に多孔質基材30が設けられる場合、LDHセパレータ28は多孔質基材30の正極16側及び負極20側のいずれに設けられてもよい。もっとも、LDHセパレータ28は多孔質基材30の負極20側に設けられるのが好ましい。こうすることで、LDHセパレータ28の多孔質基材30からの剥離をより効果的に抑制することができる。すなわち、負極20に由来して亜鉛デンドライトが成長してLDHセパレータ28に到達した場合に、亜鉛デンドライトの成長に伴い発生しうる応力が、LDHセパレータ28を多孔質基材30に押し付ける方向に働くことになり、その結果、LDHセパレータ28が多孔質基材30から剥離しにくくなる。
 多孔質基材30は、セラミックス材料、金属材料、及び高分子材料からなる群から選択される少なくとも1種で構成されるのが好ましく、より好ましくはセラミックス材料及び/又は高分子材料、さらに好ましくは高分子材料である。多孔質基材は、セラミックス材料で構成されるのがより好ましい。この場合、セラミックス材料の好ましい例としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、スピネル、カルシア、コージライト、ゼオライト、ムライト、フェライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素、及びそれらの任意の組合せが挙げられ、より好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びそれらの任意の組合せであり、特に好ましくはアルミナ及びジルコニアであり、最も好ましくはアルミナである。これらの多孔質セラミックスを用いると緻密性に優れたLDHセパレータ28を形成しやすい。金属材料の好ましい例としては、アルミニウム及び亜鉛が挙げられる。高分子材料の好ましい例としては、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、親水化したフッ素樹脂(四フッ素化樹脂:PTFE等)、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。上述した各種の好ましい材料から電池の電解液に対する耐性として耐アルカリ性に優れたものを適宜選択するのが更に好ましい。
 好ましくは、LDHセパレータ28が、複数のLDH板状粒子の集合体で構成され、複数のLDH板状粒子がそれらの板面が多孔質基材30の表面(多孔構造に起因する微細凹凸を無視できる程度に巨視的に観察した場合における多孔質基材の主面)と垂直に又は斜めに交差するような向きに配向している。なお、LDHセパレータ28は多孔質基材30の孔内に少なくとも部分的に組み込まれていてもよく、その場合、多孔質基材30の孔内にもLDH板状粒子は存在しうる。
 LDHセパレータ28、例えば多孔質基材30と複合化されたLDHセパレータ28の製造方法は特に限定されず、既に知られるLDHセパレータの製造方法(例えば特許文献1及び2)を参照することにより作製することができる。
 セルパック
 本発明の好ましい態様によれば、ニッケル亜鉛電池10は、可撓性袋体12と、所望により中仕切りシート14とをさらに備えたセルパックの形態であることができる。可撓性袋体12は、可撓性フィルム12a,12bで形成され、正極16、負極20、電解液18,22及びLDHセパレータ28を収容する。中仕切りシート14は、可撓性袋体12の内側に液密に結合され、正極室15と負極室19とを液体連通を許容しないように区画する。正極室15には、正極16及び正極電解液18が収容される。負極室19には、負極20及び負極電解液22が収容される。所望により設けられる中仕切りシート14はLDHセパレータ28を含むセパレータ構造体26を備える。好ましくは、中仕切りシート14は、開口部24aを備えた可撓性フィルム24をさらに備えるものであることができ、セパレータ構造体26が開口部24aを液密に閉塞する。なお、図1Aにおいては作図便宜上省略されているが、正極16及び負極20にはそれぞれ集電体、配線及び/又は端子が接続されて、ニッケル亜鉛電池10の外部に電気を取り出せるように構成されることはいうまでもない。
 このように、本態様によれば、電池容器等の構成材料として堅い材料ではなく可撓性フィルムを用いることで、正負極間が水酸化物イオン伝導性セパレータで確実に隔離されたニッケル亜鉛電池の単電池(セル)を、取扱い性に優れ、かつ、組電池の組み立てに極めて有利なセルパックの形態で提供できる。すなわち、ニッケル亜鉛電池10は可撓性袋体12内に中仕切りシート14(セパレータ構造体26を含む)、正極16、正極電解液18、負極20及び負極電解液22が全てコンパクトに収容できるため、液漏れが無く、持ち運びもしやすく、それ故、取扱い性に優れる。その上、ニッケル亜鉛電池10は可撓性フィルム12a,12bで形成される可撓性袋体12内に電解液が収容されているため、ニッケル亜鉛電池10全体としてフレキシブル性に富んだ形態を有している。すなわち、正極16、負極20及びセパレータ構造体26はフレキシブル性が無いか又は劣るものの、可撓性フィルム12a,12bのフレキシブル性が電解液の流動性と相まって、ニッケル亜鉛電池10全体として組電池の組み立てに好都合なフレキシブル性を与えることができる。特に、組電池を構成する場合、単電池が硬い材料で構成されていると、複数の単電池を収容する組電池用の電池容器との間で寸法公差が問題となりやすい。すなわち、単電池の寸法精度を高くしないと組電池構成時に電池容器に上手く収容できなくなることが起こりうる。例えば、電池容器に単電池をきつく詰め込んだ場合に過度に応力が発生する一方、電池容器に単電池を緩く組み込んだ場合には無駄な隙間が形成されうる。特に単電池に過度な応力が加わった場合、電池性能への悪影響が懸念される。この点、本発明によるニッケル亜鉛電池10は全体としてフレキシブル性に富んでいるため、図1Bに模式的に示されるように組電池100用の電池容器102に複数個のニッケル亜鉛電池10を収容する際、寸法公差等の設計上の要件をそれ程気にすることなく、複数の(望ましくはできるだけ多くの)ニッケル亜鉛電池10を電池容器に容易に詰め込むことができる。すなわち、ニッケル亜鉛電池の単電池(セル)としての所望の機能がニッケル亜鉛電池10単位で十分に確保されているため、組電池用の電池容器内に複数個のニッケル亜鉛電池10を比較的ラフに詰め込み、互いに直列ないし並列に接続するだけで、所望の性能の組電池を容易に得ることができる。比較的ラフに詰め込んだとしても、ニッケル亜鉛電池10内のフレキシブル性(及びその中の電解液の流動性)により応力が容易に分散され、組電池及びその内部の単電池の構造安定性及び性能安定性が確保されるからである。その上、ニッケル亜鉛電池10内では正極16と負極20がLDHセパレータ28を含む中仕切りシート14で確実に隔離されているため、充放電に伴い負極20から正極16に向かって成長する亜鉛デンドライトをLDHセパレータ28で阻止し、それにより亜鉛デンドライトによる正負極間の短絡を効果的に防止することができる。
 可撓性袋体12は可撓性フィルムで形成される袋状のフレキシブルなパッケージである。可撓性袋体12を構成する可撓性フィルムは樹脂フィルムを含むのが好ましい。樹脂フィルムは水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物に対する耐性を有し、かつ、熱融着による接合が可能なものであるのが好ましく、例えば、PP(ポリプロピレン)フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム等が挙げられる。樹脂フィルムを含む可撓性フィルムとして、市販のラミネートフィルムが使用可能であり、好ましいラミネートフィルムとしては、ベースフィルム(例えばPETフィルムやPPフィルム)及び熱可塑性樹脂層を備えた2層以上の構成の熱ラミネートフィルムが挙げられる。可撓性フィルム(例えばラミネートフィルム)の好ましい厚さは、20~500μmであり、より好ましくは30~300μm、さらに好ましくは50~150μmである。図1Aに示されるように、可撓性袋体12は一対の可撓性フィルム12a,12bからなり、一対の可撓性フィルム12a,12bの外周縁の少なくとも上端部以外の部分が熱融着により封止されるのが好ましい。上記外周縁の少なくとも上端部以外の部分が封止されることで正極電解液18及び負極電解液22を液漏れ無く確実に可撓性袋体12内に保持することができる。可撓性袋体12の上端部も熱融着により封止され、ニッケル亜鉛電池10全体として液密性が確保されるのがより好ましく、その場合は可撓性袋体12に電解液を注入した後に可撓性袋体12の上端部を熱融着により封止すればよい。熱融着による接合ないし封止は市販のヒートシール機等を用いて行えばよい。
 中仕切りシート14は、可撓性袋体12の内側に液密に結合され、正極室15と負極室19とを液体連通を許容しないように区画する略シート状の部材である。中仕切りシート14はセパレータ構造体26を備える。セパレータ構造体26はLDHセパレータ28を含んでおり、それにより正極室15と負極室19の間で水酸化物イオンの伝導を許容するが液体連通を許容しないように構成される。好ましくは、中仕切りシート14は、開口部24aを備えた可撓性フィルム24をさらに備えるものであることができ、セパレータ構造体26が開口部24aを液密に閉塞する。中仕切りシート14も可撓性フィルム24を備えることで、ニッケル亜鉛電池10全体がフレキシブル性により一層富んだ形態となる。すなわち、可撓性フィルム12a,24,12bのフレキシブル性が電解液の流動性と相まって、ニッケル亜鉛電池10全体として組電池の組み立てにより一層好都合なフレキシブル性を与えることができる。中仕切りシート14を構成する可撓性フィルム24は樹脂フィルムを含むのが好ましい。樹脂フィルムは水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物に対する耐性を有し、かつ、熱融着による接合が可能なものであるのが好ましく、例えば、PP(ポリプロピレン)フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム等が挙げられる。樹脂フィルムを含む可撓性フィルムとして、市販のラミネートフィルムが使用可能であり、好ましいラミネートフィルムとしては、ベースフィルム(例えばPETフィルムやPPフィルム)及び熱可塑性樹脂層を備えた2層以上の構成の熱ラミネートフィルムが挙げられる。可撓性フィルム24(例えばラミネートフィルム)の好ましい厚さは、20~500μmであり、より好ましくは30~300μm、さらに好ましくは50~150μmである。熱融着による接合ないし封止は市販のヒートシール機等を用いて行えばよい。
 前述のとおり、可撓性袋体12は一対の可撓性フィルム12a,12bからなり、一対の可撓性フィルム12a,12bの外周縁の少なくとも上端部以外の部分が熱融着により封止されるのが好ましい。この場合、中仕切りシート14を構成する可撓性フィルム24の外周縁の少なくとも上端部以外の部分が、一対の可撓性フィルム12a,12bに挟持された状態で、一対の可撓性フィルム12a,12bと共に熱融着により接合されるのが好ましい。より好ましくは、中仕切りシート14を構成する可撓性フィルム24の外周縁の上端部を含む又は含まない略全域にわたって一対の可撓性フィルム12a,12bに挟持された状態で熱融着により接合される。
 セパレータ構造体26はLDHセパレータ28の外周縁に沿って枠32を備えるのが好ましい。また、中仕切りシート14が可撓性フィルム24を備える場合、中仕切りシート14を構成する可撓性フィルム24とセパレータ構造体26とが枠32を介して液密に接着されるのが好ましい。枠32が樹脂枠であるのが好ましく、中仕切りシート14を構成する可撓性フィルム24と樹脂枠32とが接着剤及び/又は熱融着により接着されるのがより好ましい。接着剤はエポキシ樹脂系接着剤が耐アルカリ性に特に優れる点で好ましい。ホットメルト接着剤を用いてもよい。いずれにしても、可撓性フィルム24と枠32の接合部分では液密性が確保されることが望まれる。枠32を構成する樹脂は水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物に対する耐性を有する樹脂であるのが好ましく、より好ましくはポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、PP樹脂、PE樹脂、又は変性ポリフェニレンエーテルであり、さらに好ましくはABS樹脂、PP樹脂、PE樹脂、又は変性ポリフェニレンエーテルである。
 ニッケル亜鉛電池10は、正極室15に充放電時の正極反応に伴う水分量の増減を許容する容積の正極側余剰空間15aを有し、かつ、負極室19に充放電時の負極反応に伴う水分量の減増を許容する容積の負極側余剰空間19aを有するのが好ましい。特に、ニッケル亜鉛電池10は、可撓性袋体12、中仕切りシート14、正極16、及び負極20が縦に設けられるのが好ましい。この場合、図1Aに示されるように、正極室15がその上方に正極側余剰空間15aを有し、かつ、負極室19がその上方に負極側余剰空間19aを有するのが好ましい。もっとも、ゲル状の電解液を使用した場合には、電解液の減少にも関わらず正極室15及び/又は負極室19の充放電反応部分に電解液を保持可能となるため、正極室15の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)及び/又は負極室19の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)に正極側余剰空間15a及び/又は負極側余剰空間19aを設けることも可能となり、設計の自由度が増加する。
 組電池
 前述のとおり、図1Aに示されるニッケル亜鉛電池10は全体としてフレキシブル性に富んでいるため、図1Bに模式的に示されるように組電池100用の電池容器102に複数個のニッケル亜鉛電池10を収容する際、寸法公差等の設計上の要件をそれ程気にすることなく、複数の(望ましくはできるだけ多くの)ニッケル亜鉛電池10を電池容器に容易に詰め込むことができる。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、電池容器102内に、ニッケル亜鉛電池10が複数個詰め込まれている、組電池100が提供される。なお、図1Bにおいては作図便宜上省略されているが、各ニッケル亜鉛電池10の正極16及び負極20にはそれぞれ集電体、配線及び/又は端子が接続されて各ニッケル亜鉛電池10及び電池容器102の外部に電気を取り出せるように構成されることはいうまでもない。電池容器102内において、複数のニッケル亜鉛電池10は互いに直列接続されてもよいし、互いに並列接続されてもよい。また、図1Bに示されるように電池容器102内はニッケル亜鉛電池10は縦向きに収容されるのが好ましいが、特段の不具合を生じないかぎり横向きに収容されてもよい。
 本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
 例1(参考):多孔質基材付きLDHセパレータの作製及び評価
(1)多孔質基材の作製
 ベーマイト(サソール社製、DISPAL 18N4-80)、メチルセルロース、及びイオン交換水を、(ベーマイト):(メチルセルロース):(イオン交換水)の質量比が10:1:5となるように秤量した後、混練した。得られた混練物を、ハンドプレスを用いた押出成形に付し、5cm×8cmを十分に超える大きさで且つ厚さ0.5cmの板状に成形した。得られた成形体を80℃で12時間乾燥した後、1150℃で3時間焼成して、アルミナ製多孔質基材を得た。こうして得られた多孔質基材を5cm×8cmの大きさに切断加工した。
 得られた多孔質基材について、画像処理を用いた手法により、多孔質基材表面の気孔率を測定したところ、24.6%であった。この気孔率の測定は、1)表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM-6610LV、JEOL社製)を用いて10~20kVの加速電圧で観察して多孔質基材表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得し、2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込み、3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成し、4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とすることにより行った。この気孔率の測定は多孔質基材表面の6μm×6μmの領域について行われた。なお、図2に多孔質基材表面のSEM画像を示す。
 また、多孔質基材の平均気孔径を測定したところ約0.1μmであった。本発明において、平均気孔径の測定は多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像をもとに気孔の最長距離を測長することにより行った。この測定に用いた電子顕微鏡(SEM)画像の倍率は20000倍であり、得られた全ての気孔径をサイズ順に並べて、その平均値から上位15点及び下位15点、合わせて1視野あたり30点で2視野分の平均値を算出して、平均気孔径を得た。測長には、SEMのソフトウェアの測長機能を用いた。
(2)多孔質基材の洗浄
 得られた多孔質基材をアセトン中で5分間超音波洗浄し、エタノール中で2分間超音波洗浄、その後、イオン交換水中で1分間超音波洗浄した。
(3)原料水溶液の作製
 原料として、硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO・6HO、関東化学株式会社製)、硝酸アルミニウム九水和物(Al(NO・9HO、関東化学株式会社製)、及び尿素((NHCO、シグマアルドリッチ製)を用意した。カチオン比(Mg2+/Al3+)が2となり且つ全金属イオンモル濃度(Mg2++Al3+)が0.320mol/Lとなるように、硝酸マグネシウム六水和物と硝酸アルミニウム九水和物を秤量してビーカーに入れ、そこにイオン交換水を加えて全量を600mlとした。得られた溶液を攪拌した後、溶液中に尿素/NO =4の割合で秤量した尿素を加え、更に攪拌して原料水溶液を得た。
(4)水熱処理による成膜
 テフロン(登録商標)製密閉容器(内容量800ml、外側がステンレス製ジャケット)に上記(3)で作製した原料水溶液と上記(2)で洗浄した多孔質基材を共に封入した。このとき、基材はテフロン(登録商標)製密閉容器の底から浮かせて固定し、基材両面に溶液が接するように水平に設置した。その後、水熱温度70℃で168時間(7日間)水熱処理を施すことにより基材表面に層状複水酸化物配向膜(セパレータ層)の形成を行った。所定時間の経過後、基材を密閉容器から取り出し、イオン交換水で洗浄し、70℃で10時間乾燥させて、層状複水酸化物(以下、LDHという)の緻密膜(以下、膜試料という)を基材上に得た。得られた膜試料の厚さは約1.5μmであった。こうして、層状複水酸化物含有複合材料試料(以下、複合材料試料という)を得た。なお、LDH膜は多孔質基材の両面に形成されていたが、セパレータとして形態を複合材料に付与するため、多孔質基材の片面のLDH膜を機械的に削り取った。
(5)各種評価
(5a)膜試料の同定
 X線回折装置(リガク社製 RINT TTR III)にて、電圧:50kV、電流値:300mA、測定範囲:10~70°の測定条件で、膜試料の結晶相を測定したところ、図3に示されるXRDプロファイルが得られた。得られたXRDプロファイルについて、JCPDSカードNO.35-0964に記載される層状複水酸化物(ハイドロタルサイト類化合物)の回折ピークを用いて同定した。その結果、膜試料は層状複水酸化物(LDH、ハイドロタルサイト類化合物)であることが確認された。なお、図3に示されるXRDプロファイルにおいては、膜試料が形成されている多孔質基材を構成するアルミナに起因するピーク(図中で○印が付されたピーク)も併せて観察されている。
(5b)微構造の観察
 膜試料の表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM-6610LV、JEOL社製)を用いて10~20kVの加速電圧で観察した。得られた膜試料の表面微構造のSEM画像(二次電子像)を図4に示す。
 また、複合材料試料の断面をCP研磨によって研磨して研磨断面を形成し、この研磨断面の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10~20kVの加速電圧で観察した。こうして得られた複合材料試料の研磨断面微構造のSEM画像を図5に示す。
(5c)気孔率の測定
 膜試料について、画像処理を用いた手法により、膜の表面の気孔率を測定した。この気孔率の測定は、1)表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM-6610LV、JEOL社製)を用いて10~20kVの加速電圧で観察して膜の表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得し、2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込み、3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成し、4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とすることにより行った。この気孔率の測定は配向膜表面の6μm×6μmの領域について行われた。その結果、膜の表面の気孔率は19.0%であった。また、この膜表面の気孔率を用いて、膜表面から見たときの密度D(以下、表面膜密度という)をD=100%-(膜表面の気孔率)により算出したところ、81.0%であった。
 また、膜試料について、研磨断面の気孔率についても測定した。この研磨断面の気孔率についても測定は、上記(5b)に示される手順に従い膜の厚み方向における断面研磨面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得したこと以外は、上述の膜表面の気孔率と同様にして行った。この気孔率の測定は配向膜断面の膜部分について行われた。こうして膜試料の断面研磨面から算出した気孔率は平均で3.5%(3箇所の断面研磨面の平均値)であり、多孔質基材上でありながら非常に高密度な膜が形成されていることが確認された。
(5d)緻密性判定試験I
 膜試料が水不透過性を有する程の緻密性を有することを確認すべく、緻密性判定試験を以下のとおり行った。まず、図6Aに示されるように、上記(1)において得られた複合材料試料220(1cm×1cm平方に切り出されたもの)の膜試料側に、中央に0.5cm×0.5cm平方の開口部222aを備えたシリコンゴム222を接着し、得られた積層物を2つのアクリル製容器224,226で挟んで接着した。シリコンゴム222側に配置されるアクリル製容器224は底が抜けており、それによりシリコンゴム222はその開口部222aが開放された状態でアクリル製容器224と接着される。一方、複合材料試料220の多孔質基材側に配置されるアクリル製容器226は底を有しており、その容器226内にはイオン交換水228が入っている。この時、イオン交換水にAl及び/又はMgを溶解させておいてもよい。すなわち、組み立て後に上下逆さにすることで、複合材料試料220の多孔質基材側にイオン交換水228が接するように各構成部材が配置される。これらの構成部材等を組み立て後、総重量を測定した。これらの構成部材等を組み立て後、総重量を測定した。なお、容器226には閉栓された通気穴(図示せず)が形成されており、上下逆さにした後に開栓されることはいうまでもない。図6Bに示されるように組み立て体を上下逆さに配置して25℃で1週間保持した後、総重量を再度測定した。このとき、アクリル製容器224の内側側面に水滴が付着している場合には、その水滴を拭き取った。そして、試験前後の総重量の差を算出することにより緻密度を判定した。その結果、25℃で1週間保持した後においても、イオン交換水の重量に変化は見られなかった。このことから、膜試料(すなわち機能膜)は水不透過性を有する程に高い緻密性を有することが確認された。
(5e)緻密性判定試験II
 膜試料がガス不透過性を有する程の緻密性を有することを確認すべく、緻密性判定試験を以下のとおり行った。まず、図7A及び7Bに示されるように、蓋の無いアクリル容器230と、このアクリル容器230の蓋として機能しうる形状及びサイズのアルミナ治具232とを用意した。アクリル容器230にはその中にガスを供給するためのガス供給口230aが形成されている。また、アルミナ治具232には直径5mmの開口部232aが形成されており、この開口部232aの外周に沿って膜試料載置用の窪み232bが形成される。アルミナ治具232の窪み232bにエポキシ接着剤234を塗布し、この窪み232bに複合材料試料236の膜試料236b側を載置してアルミナ治具232に気密かつ液密に接着させた。そして、複合材料試料236が接合されたアルミナ治具232を、アクリル容器230の開放部を完全に塞ぐようにシリコーン接着剤238を用いて気密かつ液密にアクリル容器230の上端に接着させて、測定用密閉容器240を得た。この測定用密閉容器240を水槽242に入れ、アクリル容器230のガス供給口230aを圧力計244及び流量計246に接続して、ヘリウムガスをアクリル容器230内に供給可能に構成した。水槽242に水243を入れて測定用密閉容器240を完全に水没させた。このとき、測定用密閉容器240の内部は気密性及び液密性が十分に確保されており、複合材料試料236の膜試料236b側が測定用密閉容器240の内部空間に露出する一方、複合材料試料236の多孔質基材236a側が水槽242内の水に接触している。この状態で、アクリル容器230内にガス供給口230aを介してヘリウムガスを測定用密閉容器240内に導入した。圧力計244及び流量計246を制御して膜試料236b内外の差圧が0.5atmとなる(すなわちヘリウムガスに接する側に加わる圧力が反対側に加わる水圧よりも0.5atm高くなる)ようにして、複合材料試料236から水中にヘリウムガスの泡が発生するか否かを観察した。その結果、ヘリウムガスに起因する泡の発生は観察されなかった。よって、膜試料236bはガス不透過性を有する程に高い緻密性を有することが確認された。
 例2(参考):ニッケル亜鉛電池セルパックの作製
(1)中仕切りシートの作製
 例1と同様の手順により、多孔質基材付きLDHセパレータとして、アルミナ基材上LDH膜を用意した。図8A及び8Bに示されるように、多孔質基材30付きLDHセパレータ28のLDHセパレータ28側(すなわちLDH膜側)の外周縁に沿って変性ポリフェニレンエーテル樹脂製の枠32を載置した。このとき、枠32は正方形の枠であり、その内周縁には段差が設けられており、この段差に多孔質基材30及びLDHセパレータ28の外周縁を嵌合させた。この枠32上に可撓性フィルム24としてラミネートフィルム(厚さ:50μm、材質:PP樹脂(ベースフィルム)及びPE樹脂(熱可塑性樹脂))を載置した。この可撓性フィルム24は予め中央に開口部24aが形成されており、この開口部24aが枠32内の開放領域に対応するように可撓性フィルム24を配置した。可撓性フィルム24、枠32、及び多孔質基材30付きLDHセパレータ28の接合部分を、ヒートシール機を用いて約200℃で熱融着封止した。こうして作製された中仕切りシートの写真が図9に示される。図9において点線で示される領域Hが熱融着封止が行われた領域であり、この領域における液密性が確保される。
(2)正極板の作製
 亜鉛及びコバルトを固溶体となるように添加した水酸化ニッケル粒子を用意する。この水酸化ニッケル粒子を水酸化コバルトで被覆して正極活物質を得る。得られた正極活物質と、カルボキシメチルセルロースの2%水溶液とを混合してペーストを調製する。正極活物質の多孔度が50%となるように、多孔度が約95%のニッケル金属多孔質基板からなる集電体に上記得られたペーストを均一に塗布して乾燥し、活物質部分が所定の領域にわたって塗工された正極板を得る。
(3)負極板の作製
 銅パンチングメタルからなる集電体上に、酸化亜鉛粉末80重量部、亜鉛粉末20重量部及びポリテトラフルオロエチレン粒子3重量部からなる混合物を塗布して、多孔度約50%で、活物質部分が所定の領域にわたって塗工された負極板を得る。
(4)ニッケル亜鉛電池の作製
 上記得られた中仕切りシート14、正極16及び負極20を用いて図1Aに示されるようなセルパック形態のニッケル亜鉛電池10を以下の手順で組み立てた。まず、1対の可撓性フィルム12a,12bとしてラミネートフィルム(厚さ:50μm、材質:PP樹脂(ベースフィルム)及びPE樹脂(熱可塑性樹脂))を用意した。図10に示されるように、可撓性フィルム12a上に負極20、中仕切りシート14、正極16及び可撓性フィルム12bをこの順に積層した。このとき、中仕切りシート14は多孔質基材30及び枠32が正極16側に位置するように配置した。可撓性フィルム12a,12bの外周縁3辺(上端部以外の辺)と、中仕切りシート14を構成する可撓性フィルム24の外周縁3辺(上端部以外の辺)は重なっており、この可撓性フィルム12a,23,12bの重なり部分(外周縁3辺)を市販のヒートシール機を用いて約200℃で熱融着接合した。こうして熱融着接合により液密に封止された可撓性袋体12を正極16側から撮影した写真を図11に示す。図11において点線で囲まれた外周縁3辺の領域Hが熱融着封止された部分である。この時点では、図11から分かるように、可撓性袋体の上端部は熱融着封止されずに開放されており、正極集電体と負極集電体が互いに異なる位置で可撓性袋体の外周縁から互いに異なる位置で延出している(図中に視認される2本の金属片に相当)。なお、図2において、正極集電体と負極集電体がかなり長めに設けられているが、これは試作上の都合によるものであり、実際には余剰空間が無駄に大きくならないように図2に示される長さよりも短く構成されるのが好ましい。熱融着封止された可撓性袋体を負極側から撮影した写真を図12Aに示す。図12Aにおいて可撓性袋体の上端部の枠で強調された部分(その部分の拡大写真が図12Bに示される)において灰色のラインとして観察されるように、集電体(金属片)の可撓性袋体の上端部と接触されるべき部分には、熱融着による可撓性フィルムと溶着を促進する熱融着用シーラントフィルム(住友電工社製、製品名:タブリード MINUS LEAD、材質:ポリオレフィン樹脂)が配設されており、後に行われる上端部の熱融着接合の際に集電体(金属片)との接触部分において(すなわち異種材料間において)確実に熱融着接合できるようにされる。こうして中仕切りシート14、正極16及び負極20を収容した可撓性袋体12を真空デシケータ中に入れ、真空雰囲気下で、可撓性袋体12内の正極室15及び負極室19の各々に電解液として6mol/LのKOH水溶液を電解液として注液した。この電解液の注入は、可撓性袋体12の上端部の開放部分から行った。最後に、可撓性袋体12の上端部の開放部分を市販のヒートシール機を用いて約200℃で熱融着接合して、ニッケル亜鉛電池10を得た。こうして上端部が熱融着接合されたニッケル亜鉛電池10を撮影した写真を図13に示す。図13において点線で囲まれた外周縁である上端部1辺の領域Hが熱融着接合された部分である。
 例3:Mg及び/又はY含有水酸化ニッケル正極の作製及び評価
 Mg及び/又はY含有水酸化ニッケル正極を各種作製して、各々の正極を用いて電池性能の評価を行った。具体的には以下のとおりである。
(1)正極板の作製
(1a)Mg及び/又はYが固溶した水酸化ニッケルを含む正極板の作製
 所望の割合になるよう、硫酸ニッケル、硫酸マグネシウム及び/又は硫酸イットリウムを含む混合溶液と水酸化ナトリウム水溶液及びアンモニア水溶液を用意し、40~50℃に保持された反応槽内で、pH12~13程度に保持して反応させた。得られた沈殿物を水洗した後、乾燥させることで、マグネシウム及び/又はイットリウムが固溶した水酸化ニッケル粉末を得た。こうして得られた水酸化ニッケル粉末に、水酸化コバルト及びバインダー水溶液を加えてペースト化した。得られたペーストを発泡ニッケルに充填し、乾燥した後、ロールプレスに掛けて所望の容量密度になるよう調整した。こうして、Mg及び/又はYが固溶した水酸化ニッケルを含む正極板を得た。
(1b)Mg及び/又はYを添加した水酸化ニッケルを含む正極板の作製
 市販の水酸化ニッケルに、所望の割合になるように酸化マグネシウム及び/又は酸化イットリウムと、水酸化コバルトと、バインダー水溶液とを加えてペースト化した。得られたペーストを発泡ニッケルに充填し、乾燥した後、ロールプレスに掛けて所望の容量密度になるよう調整した。こうして、Mg及び/又はYを添加した水酸化ニッケルを含む正極板の作製を得た。
(2)評価サンプルの作製
 得られた正極板を所望の形状に加工してリードタブを溶接した。例2と同様にして、負極板及びLDHセパレータを作製し、負極板にも正極板と同様にリードタブを溶接した。例2と同様の手順で、正極板、LDHセパレータ及び負極板を積層してラミネートフィルムからなる可撓性袋体に収容した。電解液を可撓性袋体内に注入して、正極、負極及びLDHセパレータの内部に電解液が十分に浸透するよう真空引き等を行った後、密封した。こうして、セルパック形態のニッケル亜鉛電池を得た。
(4)放電容量(Ah)効率の測定
 得られたニッケル亜鉛電池にエージングを行った後、25mA/cmの電流密度で充放電を行った。放電した容量を充電した容量で除した値を放電容量(Ah)効率とした。結果は、図14~16に示されるとおりであった。これらの図に示されるMg及び/又はYの含有量は、EDS(エネルギー分散型X線分光器)により測定された元素分析値に基づき算出された、Ni量(100at%)に対するMg及び/又はYの割合(at%)である。図14~16に示される結果から、水酸化ニッケルを含む正極にMg及び/又はYを微量含有させることで放電容量(Ah)効率が有意に向上することが分かる。
 

 

Claims (10)

  1.  Mg及びYの少なくともいずれか一方を含有する水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含む正極と、
     亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含む負極と、
     アルカリ金属水酸化物水溶液を含む電解液と、
     前記正極と前記負極とを水酸化物イオン伝導可能に隔離する、層状複水酸化物(LDH)セパレータと、
    を備えた、ニッケル亜鉛電池。
  2.  前記正極におけるMg及びYの合計含有量が、前記正極中のNi量に対して、原子比で、0.005~3.0%である、請求項1に記載のニッケル亜鉛電池。
  3.  前記正極におけるMg及びYの合計含有量が、前記正極中のNi量に対して、原子比で、0.01~1.0%である、請求項2に記載のニッケル亜鉛電池。
  4.  前記正極におけるMgの含有量が、前記正極中のNi量に対して、原子比で、0.005~0.1%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  5.  前記正極におけるMgの含有量が、前記正極中のNi量に対して、原子比で、0.01~0.05%である、請求項4に記載のニッケル亜鉛電池。
  6.  前記正極におけるYの含有量が、前記正極中のNi量に対して、原子比で、0.1~2.0%である、請求項1~5のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  7.  前記正極におけるYの含有量が、前記正極中のNi量に対して、原子比で、0.3~1.0%である、請求項6に記載のニッケル亜鉛電池。
  8.  前記LDHセパレータがガス不透過性及び/又は水不透過性を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  9.  前記LDHセパレータが多孔質基材と複合化されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  10.  前記LDHセパレータが、複数のLDH板状粒子の集合体で構成され、該複数のLDH板状粒子がそれらの板面が前記多孔質基材の表面と垂直に又は斜めに交差するような向きに配向している、請求項9に記載のニッケル亜鉛電池。

     
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