JP4575052B2 - 多層膜マイナスフィルター及び蛍光顕微鏡 - Google Patents

多層膜マイナスフィルター及び蛍光顕微鏡 Download PDF

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Description

本発明は、狭い波長帯域の光を阻止、又は、反射し、それ以外の波長を透過することで、狭い波長帯域の光を分離する多層膜マイナスフィルターとこの多層膜マイナスフィルターを用いた蛍光顕微鏡に関する。
蛍光顕微鏡観察は、医学・歯学・薬学・生物学などの基礎研究をはじめとして、臨床衛生検査や家畜衛生、植物病害などの試験研究に、また化学・薬品・半導体関連などの工業分野にと広く使用されている。最近では、分子生物学におけるゲノム解析などの分野で欠かせない手法であり、重要性を増している。
蛍光顕微鏡は、物体に強力な光(励起光)を照射したときに発せられる蛍光を利用して、物体の構造や、その色調や強度から物質を判定する顕微鏡であり、この蛍光の分離には、光学多層膜フィルターが、従来から広く用いられてきた。蛍光の波長は、励起光の波長よりも長いために、従来の蛍光観察に用いられる光学多層膜フィルターでは、基本的に短い波長の光(励起光)と長い波長の光(蛍光)を分離できればよかった。
これに対して、最近の分子生物学研究においては、生きた細胞の動的挙動を観察するニーズが高くなったことから、蛍光物質の励起や観察に用いる光とは別に、細胞を操作するための光(操作光)を使用したり、細胞に刺激を与え、その反応を見るための光(刺激光)を使用したりすることがある。このような場合には、前記操作光や、刺激光はカットし、他の波長の光は効率よく透過するような光学多層膜フィルター(以下、「マイナスフィルター」と称する)が求められる。また、同様の分野において、蛍光物質の励起に複数の波長の光を用いることで、いくつもの種類の蛍光を同時に観察して、細胞内の相互作用や、複数の観察対象の配置を正確に見たいというニーズもある。
このような場合にも、励起光は阻止しながら、励起光よりも短い波長と長い波長の両方を効率よく透過するようなフィルター(マイナスフィルター)が求められる。これらどちらの場合に使用されるマイナスフィルターにおいても、阻止または反射する光の波長帯域幅は、十分に狭いことが要求される場合が多い。
従来のマイナスフィルターには、次のようなものがある。
特許文献1には、光源から発せられる望ましくない強い輝線から、眼や、その他のセンサーを保護するために、ポリマーによる干渉スタックを含んで成るマイナスフィルターが記載されている。
特許文献2には、光通信システムにおいて用いられる光増幅器の利得スペクトルを平坦化することを目的に、屈折率差の小さい誘電体薄膜を同じ光学膜厚(反射波長をλとしたときλ/4)で交互に積層することで形成した干渉スタックによるマイナスフィルターが記載されている。
特許文献3には、前記特許文献2と同様の目的で、誘電体薄膜を同じ光学膜厚で交互に積層した時の高次反射を利用した干渉スタックによるマイナスフィルターが記載されている。
特開平5−215916号公報 特開2002−319727号公報 特開2003−215332号公報
しかし、これらのマイナスフィルターでは、下記の理由から、蛍光顕微鏡観察に用いるマイナスフィルターとして使用するのに十分な性能を有さない。
特許文献1におけるマイナスフィルターは、ポリマーによる干渉スタックからなるために製造時の厳密な膜厚制御が困難であり、光を透過する帯域における透過率や、光を阻止または反射する波長帯域幅にばらつきが生じやすい。加えて、周囲の温度変化など環境によって、光学特性に経時的な変化が生じやすい。このため光を阻止または反射する帯域幅を十分に狭く設定できたとしても、蛍光顕微鏡観察における、環境変化や、刺激による細胞の動的観察(経時的観察)に用いるにはあまりに不安定であるという問題がある。すなわち、現在の蛍光顕微鏡における高度の要求には応じることができない。
特許文献2におけるマイナスフィルターは、誘電体薄膜の積層からなるために、光学特性の経時的な変化は生じにくく、特許文献1の欠点を解決している。しかし、光を阻止または反射する波長帯域幅を、前記したような現在の蛍光顕微鏡における高度の要求に応じるために必要な幅とするためには、製造時に制御が困難なほど屈折率差を小さく、また、精度よく制御しなくてはならず、実際の製造が困難であるという問題がある。加えて、屈折率差が小さいために、蛍光顕微鏡で用いるのに足りるほどの光の阻止率、もしくは反射率を得ることが実質困難であるという問題がある。結果として、現在の蛍光顕微鏡における高度の要求には応じることができない。
特許文献3におけるマイナスフィルターは、前記第二のマイナスフィルターにおける、屈折率差の大きさという欠点を補うために、反射帯域幅を小さくすることが出来る高次反射を用いるものである。十分な反射帯域幅を得るためには高次の反射(5次反射以上)を用いる必要があり、このために、全体の膜厚がどうしても厚くなってしまい、製造性がわるくなるという問題がある。また、高次の反射を用いるほど、高次反射帯と別の高次反射帯との波長方向の間隔が狭くなり、十分な透過帯域をとることが出来なくなるという問題がある。結果として、特許文献3に記載のマイナスフィルターを用いたとしても、現在の蛍光顕微鏡における高度の要求には、十分に応じることができない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、極めて狭い反射帯域幅、および、反射帯域幅の選択性を有するマイナスフィルターを提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る発明は所定の波長の光反射し、それよりも長い波長の光と短い波長の光とを透過する多層膜マイナスフィルターにおいて、高屈折率層と低屈折率層が交互に繰り返して積層された繰り返し層を有し、前記高屈折率層の光学膜厚の平均値と前記低屈折率層の光学膜厚の平均値との和が、垂直入射光に対する反射波長λ等しく、前記高屈折率層の光学膜厚Hと前記低屈折率層の光学膜厚Lとの比H/Lが0.5より大きく、2未満であるように構成され、前記繰り返し層によって前記反射波長λに形成される反射帯を利用したことを特徴とする。
本発明によれば、極めて狭い反射帯域幅、および、反射帯域幅の選択性を有する多層膜マイナスフィルターを提供することができる。本発明に係るマイナスフィルターを備えた光学素子を蛍光顕微鏡に適用することにより、現在の蛍光顕微鏡における高度の要求に応え、その観察性能を飛躍的に向上させることができる。
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る多層膜マイナスフィルターが適用された光学素子を示す図である。図1に示すように、本発明に係る多層膜マイナスフィルターは、基材1上に高屈折率層21と低屈折率層22が交互に繰り返して積層された交互層2(以下、本明細書においては「繰り返し層」と称する)を備えている。そして、本発明に係る多層膜マイナスフィルターは、詳細は後述するように、繰り返し層2における高屈折率層21の光学膜厚の平均値と低屈折率層22の光学膜厚の平均値との和が、垂直入射光に対する反射波長λに略等しくなるようにしている。更に、繰り返し層2における高屈折率層21の光学膜厚Hと低屈折率層22の光学膜厚LとのH/Lが0.5より大きく、2未満になっている。
特許文献1と特許文献2に記載のマイナスフィルターは、反射しようとする波長をλとしたときに高屈折率層と低屈折率層の繰り返し層部分における高屈折率層と低屈折率層の光学膜厚の和が、約0.5λであり、高屈折率層と低屈折率層の光学膜厚の比率も同等(1:1=0.25λ:0.25λ)の構成を有する薄膜を積層することで反射帯を形成している。特許文献3も、基本的には同等の構成を利用しており、利用する反射帯が、前記λに形成される反射帯の奇数次の高調波成分(λ/mにおいて形成される:mは3以上の奇数)を利用していることのみ特許文献1、特許文献2と異なる.
これに対して、本発明の実施形態に係るマイナスフィルターは、高屈折率層の光学膜厚の平均値と低屈折率層の光学膜厚の平均値との和が、ほぼ反射しようとする波長λに等しい。
また、本発明の実施形態においては、高屈折率層と低屈折率層の光学膜厚は同等ではなく、前記高屈折率層と低屈折率層の光学膜厚の比率をずらすことで発生する反射帯(本質的には2次の高調波成分に相当)を利用するものである。すなわち、本発明の実施形態では、マイナスフィルターを形成するのに利用している従来の反射帯とは本質的に異なった反射帯を利用している。ちなみに、本発明の実施形態に係る高屈折率層と低屈折率層の光学膜厚をずらすことで形成される反射帯は、特許文献1から特許文献3で利用している光学膜厚の比率が1:1となる膜構成においては存在しない(光の入射角が垂直の場合)。
光学多層膜フィルターの設計は、一般に高屈折率層と低屈折率層が交互に繰り返して積層された繰り返し層として、
0.5H 0.6L 0.4H 0.5L (0.5H 0.5L)S 0.5H 0.6L 0.4H 0.5L 0.5H ・・・
のように表記される。この表記は、基材側に積層される層から順に記載される。記号H、Lはそれぞれ高屈折率層、低屈折率層を示し、その前の数字は、設計の基準波長をλとして、その層が前記設計の基準波長λの何倍の光学膜厚を持つかを示す。また、記号Sは括弧内の構成をS回繰り返した構成となっていることを示す。
従来例におけるマイナスフィルターの基本構成は、反射帯の中心波長を設計の基準波長λとしたときに(0.25H 0.25L)Sとなるのに対して、本発明の実施形態におけるマイナスフィルターの基本構成は、反射帯の中心波長を設計の基準波長λとしたときに、たとえば(0.6H 0.4L)Sのように表記できる。(H/Lを1.5とした場合。ここで、Hは高屈折率層の光学膜厚、Lは低屈折率層の光学膜厚である。以下同様)
上記の光学多層膜フィルター膜構成の表記法を用いて、より具体的に本発明の実施形態を示す。
下記の膜構成、(a)、(b)、(c)、(d)における光学多層膜フィルターの分光透過率特性を図2に示す。ここで、基材はBK7光学ガラスで、最終層は空気と接しているものとする。なお、具体例を除く以降の膜設計値では、全て基材はBK7光学ガラスで、最終層は空気と接しているものとする。
(a) (0.5H 0.5L)10 0.5H 0.25L (λ=500nm)
(b) (0.525H 0.475L)10 0.525H 0.238L (λ=500nm)
(c) (0.575H 0.425L)10 0.575H 0.213L (λ=500nm)
(d) (0.65H 0.35L)10 0.65H 0.175L (λ=500nm)
図2から、(a)の高屈折率層Hと高屈折率層Lの膜厚の比率H/Lが1.0の場合では、λ(=500nm)には反射帯自体が存在しない。(b)の高屈折率層Hと低屈折率層Lの膜厚の比率が約1.1の場合では、λに小さく細い反射帯が形成される。(c)の高屈折率層Hと高屈折率層Lの膜厚の比率が約1.35の場合では、λに対して(b)よりも大きく太い(幅の広い)反射帯が形成される。(d)の高屈折率層Hと高屈折率層Lの膜厚の比率が約1.86の場合では、λに対して(c)よりも更に大きく太い反射帯が形成される。
本発明の実施形態に係るマイナスフィルターは、このようにして形成される反射帯を用いたものである。すなわち、本発明におけるマイナスフィルターは、高屈折率層Hと低屈折率層Lの比率を適宜選択することで、その阻止または反射する波長帯域幅を変えることが出来る。この高屈折率層と低屈折率層の光学膜厚の比率をずらすことで発生する反射帯は、赤外カットフィルターなど、従来の光学多層膜フィルターにおいては、「ノイズバンド」として知られており、これを反射帯として積極的に活用し、特にマイナスフィルターとして使用する提案は見当たらない。従って、本発明の実施形態のような構成は、従来例のマイナスフィルターにはないものである。
本発明の実施形態に係るマイナスフィルターで使用する反射帯では、高屈折率層と低屈折率層の比率を一定とした場合でも、同等の膜厚比率を持つ繰り返し層の繰り返し回数を変えることで、光の阻止率もしくは反射率を変えることが出来る。表1に、高屈折率層Hと高屈折率層Lの膜厚の比率を約1.2とした場合に、その繰り返し回数によって光の阻止率もしくは反射率がどのように変わるかを示す。また、このときの分光透過率特性を図3に示す。
図3から、本発明におけるマイナスフィルターでは、必要な阻止率(反射率)を、同等の膜厚比率を持つ繰り返し層の繰り返し回数によって選ぶことができることがわかる。
Figure 0004575052
同じ膜厚比率を持つ高屈折率層Hと高屈折率層Lの繰り返し層では、図3からもわかるように、反射帯の両側にリップルが発生する。マイナスフィルターの用途によっては、このリップルが問題になる。このリップルをおさえるために、繰り返し層の前後に、調整層と呼ばれる繰り返し層と異なる積層部分を形成する、通常の光学多層膜フィルターでよく利用される手法を用いることが出来る。リップルは、前記調整層の積層数を多く設定するほど小さくすることが出来る。なお、極端に言えば、特に繰り返し層部分を設けずとも、高屈折率層と低屈折率層の繰り返し層部分における高屈折率層と低屈折率層の光学膜厚の和の平均が、1×λ程度であり、前記高屈折率層と低屈折率層の繰り返し層部分における高屈折率層の光学膜厚Hと低屈折率層の光学膜厚Lの比率が同等の値であれば、リップルの小さい同等の反射帯を有するマイナスフィルターを得ることができる。
表1にある設計(A)に対して、調整層を設けてリップルを抑制した場合(A−改(1))と、繰り返し層部分を設けず、高屈折率層と低屈折率層の繰り返し層部分における高屈折率層の光学膜厚の平均と低屈折率層の光学膜厚の平均の和が、1×λ程度であり、前記高屈折率層と低屈折率層の繰り返し層部分における高屈折率層の光学膜厚Hと低屈折率層の光学膜厚Lの比率が同等の値(1.2程度)とした場合(A一改(2))に関する分光透過率特性を図4に示す。ここで、これらの膜設計値は、次のとおりである。
A :(0.55H 0.45L)25 0.55H 0.225L
A一改(1):0.508H 0.4716L 0.524H 0.485L 0.527H 0.481L 0.531H 0.474L (0.55H 0.45L)18 0.537H 0.468L 0.517H 0.467L 0.505H 0.46L 0.483H 0.229L
A−改(2):0.493H 0.471L 0.518H 0.484L 0.528H 0.477L 0.535H 0.472L 0.537H 0.464L 0.541H 0.458L 0.539H 0.453L 0.545H 0.451L 0.546H 0.45L 0.553H 0.448L 0.552H 0.446L 0.556H 0.444L 0.552H 0.444L 0.556H 0.444L 0.554H 0.445L 0.557H 0.445L 0.554H 0.446L 0.553H 0.447L 0.548H 0.45L 0.547H 0.454L 0.545H 0.458L 0.544H 0.461L 0.538H 0.465L 0.5274H 0.464L 0.508H 0.454L 0.472H 0.224L
これらはすべて、52層の積層構造を有するフィルターであり、λは543nmである。図4から、上記の方法によって、リップルを小さく出来ることが明らかである.なお、設計AおよびA−改(1)では括弧内(同じ膜厚での繰り返し層部分)において、高屈折率層と低屈折率層の光学膜厚の平均の和が1×λであり、高屈折率層と低屈折率層の光学膜厚の比1.22となっている。また、A−改(2)における高屈折率層膜厚の平均は0.538×λであり、最終層を除く低屈折率層膜厚の平均は、0.456×λとなっている。従って、これらの平均の和は、0.994×λであり、比(H/L)は、約1.18である。
図2から図4までの例示では、高屈折率層の光学膜厚が低屈折率層の光学膜厚よりも大きい場合を示したが、低屈折率層の光学膜厚が高屈折率層の光学膜厚よりも大きくなる場合においても、同様のマイナスフィルターを得ることが出来る.
これら、高屈折率層の光学膜厚が低屈折率層の光学膜厚よりも大きい場合(H/L>1の場合)と、低屈折率層の光学膜厚が高屈折率層の光学膜厚よりも大きくなる場合(H/L<1の場合)について、阻止率(反射率)が99%を超えるように、比率を変えながら設計した例を図5及び図6に示す。なお、図5は、H/L>1の場合であり、図6は、H/L<1の場合である。ここで、それぞれにおける膜設計値は次のとおりである。
(1) (0.525H 0.475L)56 0.525H 0.238L(λ=532nm)
(2) (0.55H 0.45L)27 0.55H 0.225L(λ=532nm)
(3) (0.6H 0.4L)14 0.6H 0.2L(λ=532nm)
(4) (0.65H 0.35L)10 0.65H 0.175L(λ=532nm)
(5) (0.475H 0.525L)56 0.475H 0.2625L(λ=532nm)
(6) (0.45H 0.55L)27 0.45H 0.275L(λ=532nm)
(7) (0.4H 0.6L)14 0.4H 0.3L(λ=532nm)
(8) (0.35H 0.65L)10 0.35H 0.325L(λ=532nm)
上記の例では、H/Lが1.1から1.86までの範囲、および0.53から0.9までの範囲で示しているが、H/Lがより1.0に近づく場合においても、そこに反射帯が形成されて、それをマイナスフィルターとして積極的に使用する場合においては、本発明の趣旨に該当する。また、H/Lが1.86よりも大きくなる場合や0.53よりも小さくなる場合においても、形成される反射帯をマイナスフィルターとして積極的に使用する場合においては、本発明の趣旨に該当する。しかし、H/Lが2以上となる場合や0.5よりも小さくなる場合においては、反射帯の波長方向の幅が従来のマイナスフィルターに比べて狭いとはいえず、反射帯の波長方向の幅はおおきく変動しなくなるために、波長方向の幅を高屈折率層と低屈折率層の光学膜厚比率によって選択できるという特徴も十分に発揮されない。従って、本発明の有用さは、H/Lが0.5より大きく、2未満である場合において、十分に発揮される。
また、H/Lが0.6以上1.6以下程度の範囲では、反射帯の波長方向の幅が可視域で50nm程度以下となり、他の手法では提供が難しい程度の反射帯の波長方向の幅を実現できるため、特に有用となる。この場合に、H/L>1の場合では、高屈折率層の平均的な光学膜厚が0.51λ〜0.62λ、低屈折率層の平均的な光学膜厚が0.38λ〜0.49λで形成された繰り返し層を含むことになり、L/H>1の場合では高屈折率層の平均的な光学膜厚が0.39λ〜0.48λ、低屈折率層の平均的な光学膜厚が0.52λ〜0.62λで形成された繰り返し層を含むことになる。
本発明の実施形態に係るマイナスフィルターは、複数の反射帯を持つこともできる。図7にその例を示す。図7に示すような特性を有するマイナスフィルターの膜設計値は次のとおりである。
(0.55H 0.45L)27 0.55H 0.476L (0.619H 0.501L)27 0.619H 0.251L (λ=488nmとして)
上記の膜設計値は、設計の中心波長(λ)を変更して、次のように表記することも出来る。
(0.489H 0.404L)27 0.489H 0.427L (0.55H 0.45L)27 0.55H 0.225L(λ=543nmとして)
ここで、2通りの表記を記したが、これは2つの反射帯の中心波長λのそれぞれについて光学膜厚の表記をしたものであり、同一のフィルターの設計値である。上記の2通りの表記の内、第1番目の (0.55H 0.45L)27 0.55から、図7のマイナスフィルター設計値における基板側の繰り返し層部分は、高屈折率層と屈折率層の光学膜厚の平均が1×λ(488nm)となっており、その光学膜厚の比率が1.22である。また、第2番目の(0.55H 0.45L)27 0.55から、図7のマイナスフィルター設計値における空気側の繰り返し層部分は、高屈折率層と屈折率層の光学膜厚の平均が1×λ(543nm)となっており、その光学膜厚の比率が1.22である。
図7における複数の反射帯を有するマイナスフィルターは、反射帯の左右にリップルがあるが、これは前述した調整層を設けてリップルを抑制する方法などによって小さくすることが出来る。このリップルを抑制した例は、後述する具体例において記載する。
上記の実施形態では、フィルターに垂直に入射する光に対するマイナスフィルターについて示した。しかし、本発明の実施形態に係るマイナスフィルターは、斜めに入射する光に対しても極めて有用である。なぜならば、斜めに入射した光に対してマイナスフィルターを用いることで、光を単に阻止(カット)するだけでなく、狭い波長域の光を意図した方向に取り出すことが出来るためである。
このように斜め入射光に対してマイナスフィルターが利用される場合には、干渉フィルターの特性としてよく知られているように、その光学特性は短波長側にシフトする。すなわち、斜め入射光に対する本発明の実施形態に係るマイナスフィルターは、垂直入射光に対してλで現れる反射帯がより短波長側にシフトして形成される斜め入射光に対する反射帯を利用する。
斜め入射光に対してマイナスフィルターを利用する場合には、主に光学系の配置のしやすさから、斜め入射の角度は45°が最も利用しやすい。45°の入射角で光がマイナスフィルターに入射する配置に対して、高屈折率層の光学膜厚が低屈折率層の光学膜厚よりも大きい場合(H/L>1の場合)と、低屈折率層の光学膜厚が高屈折率層の光学膜厚よりも大きくなる場合(L/H>1の場合)について、阻止率(反射率)が99%を超えるように、比率を変えながら設計した例を図8と図9に示す。図8は、H/L>1の場合であり、図9は、L/H>1の場合である。ここで、それぞれにおける膜設計値は次のとおりである。
(9) (0.504H 0.496L)56 0.504H 0.248L
(10) (0.529H 0.471L)27 0.529H 0.236L
(11) (0.579H 0.421L)14 0.579H 0.211L
(12) (0.629H 0.371L)10 0.629H 0.186L
(13) (0.454H 0.546L)56 0.454H 0.273L
(14) (0.429H 0.5711))27 0.429H 0.286L
(15) (0.379H 0.621L)14 0.379H 0.311L
(16) (0.329H 0.671L)10 0.329H 0.336L
光の入射角が45°の場合においては、高屈折率層と低屈折率層の膜厚の比率H/Lが1のときではなく、H/Lが0.92程度となる場合に反射帯がなくなる。すなわち、H/Lを0.92からずらすことで本発明の実施形態におけるマイナスフィルターで使用する反射帯を得ることができる。このため、光の入射角が45°の場合においては、前記光の入射が垂直になされる場合とは、マイナスフィルターを得るのに有効な高屈折率層と低屈折率層のそれぞれの光学膜厚が変わる。光の入射角が45°の場合、本発明の実施形態に係るマイナスフィルターを得るのに好適な膜厚範囲は、H/L>0.92の場合には、高屈折率層の平均的な光学膜厚が0.49λ〜0.63λ、低屈折率層の平均的な光学膜厚が0.37λ〜0.51λであり、H/L<0.92の場合には、高屈折率層の平均的な光学膜厚が0.32λ〜0.47λ、低屈折率層の平均的な光学膜厚が0.53λ〜0.68λである。但し、本発明の実施形態におけるマイナスフィルターはこの膜厚範囲に限定されるものではなく、垂直入射の場合について示したのと同様に、よりH/Lが0.92に近づく場合や、より離れる場合についても含む。
本発明の実施形態における斜め入射光用のマイナスフィルターは、狭い反射帯を実現できる以外に、入射光の偏光成分(P、S)による反射帯域幅の違いが少ないという、大きい利点を持つ。この入射光の偏光成分(P、S)による反射帯域幅の違いが少ないという利点により反射帯と透過帯を近接させることが出来る為、本発明の実施形態に係るマイナスフィルターは、斜め入射光に対するマイナスフィルターとして、好適である。
上記において、反射帯域幅の違いが少ないとはいっても、P偏光の光に比べてS偏光の光に対する方が反射帯の反射率を上げることが出来る。このため、本発明の実施形態に係るマイナスフィルターは、光の偏光方向を選択することが出来るレーザを光源として用いて、特にS偏光で光を入射させるとより高い性能を発揮することが出来る。もちろん、レーザを光源とした場合には、本発明の実施形態に係るマイナスフィルターが持つ、他では実現が難しい狭い反射帯域幅という利点が、有用となる。
以上に示した本発明の実施形態における斜め入射光用のマイナスフィルターは、垂直入射の場合に関して説明したものと同様に、複数の反射帯を持つことが出来る。これに関しては、具体例として後に示す。
上記の説明では、本発明の実施形態におけるマイナスフィルターの膜構成上の要点を示した。しかし、本発明の実施形態に係るマイナスフィルターを実現するには、ここまで示した要点のみでなく、別に技術的ブレイクスルーが必要となる。
前述したように、本発明の実施形態におけるマイナスフィルターで使用する反射帯は、これまで「ノイズバンド」として忌み嫌われるものであった。これは、多層膜の製造精度を極めて高くしないと高屈折率層と低屈折率層の比率を意図した値にすることが出来ず、結果として反射帯の大きさを制御できないためである。本発明者は、ここで問題となった多層膜フィルターの製造精度の低さは、膜の屈折率を安定させ、また、膜のおかれる環境によるフィルターの光学特性変化を抑えることが出来るイオンプロセスを採用した誘電体多層膜フィルターにより解決できることを、鋭意研究の結果、見出した。ここでいうイオンプロセスとは、スパッタ、イオンプレーティング、IADなどの製造手法を指す。これらのイオンプロセスと呼ばれる製造手法により得られる多層膜フィルターは、周囲の環境による特性の変化が少ないシフトレスフィルターとなる。ここで「シフトレス」とは、通常に置かれる周囲環境の変化によっておこるフィルターの光学特性のずれが少なく、本発明の実施形態に係るマイナスフィルターにおいては反射帯の位置のずれが±1nm以下程度にあることをいう。また、本発明者は、上記のイオンプロセスにおいて、膜の屈折率や吸収を安定させることができるような前記多層膜マイナスフィルターを構成するに好適な膜材料は、ある程度限定されることも見出した。前記多層膜マイナスフィルターを構成するに特に好適な膜材料は、高屈折率膜材料が、Ta、TiO、Nb若しくはこれらを含む混合物であり、低屈折率膜材料が、SiO若しくはこれを含む混合物である。また、350mm以下の紫外域で高い透過率が必要となる場合には、350nm以下の紫外域で吸収を持つ前記高屈折率材料に代替してHfO、Alもしくはこれを含む混合物も使用することができる。
前記イオンプロセスにより製造されるシフトレスのマイナスフィルターは、膜内部の密度が高いために、使用する基材によっては高い膜応力を生じて、基材に用途によっては無視することの出来ない変形をもたらす。本発明者は、鋭意研究の結果、この変形を減らすには、線膨張係数の低い基材を用いることが有効であることも見出した。具体的には、線膨張係数が0.8×10−6以下のガラスにおいて変形量を実用上問題のない範囲とすることができる。線膨張係数が0.8×10−6以下のガラスの中でも、入手性のよさから、特に石英ガラスは有用である。この基板の変形は、垂直入射光に対して用いる場合には問題にならない場合が多く、斜めで入射する光に対して用いる多層膜フィルターにおいて問題となることが多い。
上記のように、本発明の実施形態におけるマイナスフィルターによれば、従来のマイナスフィルターにはない狭い反射帯域幅を実現できる。また、その反射帯域幅は選択性があり、反射帯域幅を自由に設定することができる。このような本発明の実施形態に係るマイナスフィルターの特性は、従来技術に述べた蛍光顕微鏡を使用した分子生物分野の「蛍光物質の励起に複数の波長の光を用いることで、いくつもの種類の蛍光を同時に観察して、細胞内の相互作用や、複数の観察対象の配置を正確に見たいというニーズ」や、「生きた細胞の動的挙動を観察するために、蛍光物質の励起や観察に用いる光とは別に、細胞を操作するための光(操作光)を使用したり、細胞に刺激を与え、その反応を見るための光(刺激光)を使用したりするニーズ」を満たすことができる。すなわち、本発明におけるマイナスフィルターを用いた蛍光顕微鏡は、蛍光顕微鏡の新たな可能性を開くものである。
また、本発明の実施形態におけるマイナスフィルターを用いた蛍光顕微鏡は、その狭い反射帯域幅により、レーザを光源とした観察において、その特徴を存分に発揮することが出来て、より高い応用を提供することができる。
以下、具体的な設計例を説明する。
(第1の具体例)
(構成)
高屈折率材料としてTa、低屈折率材料としてSiOを使用した45°入射する光に対して用いる多層膜マイナスフィルターであり、下記の膜構成を持つ。ここで、基準波長は0°入射の光に対する反射帯の中心波長となる437.5nmとしている。
0.527H 0.53L 0.534H 0.501L 0.513H 0.484L 0.522H 0.478L 0.523H 0.473L 0.53H 0.467L 0.532H 0.467L 0.537H 0.462L 0.538H 0.463L 0.54H 0.459L 0.54H 0.461L 0.541H 0.459L 0.541H 0.46L 0.542H 0.459L 0.542H 0.46L 0.542H 0.46L 0.541H 0.461L 0.54H 0.463L 0.538H 0.464L 0.536H 0.467L 0.534H 0.469L 0.531H 0.473L 0.528H 0.476L 0.523H 0.482L 0.518H 0.488L 0.511H 0.496L 0.502H 0.504L 0.504H 0.52L 0.508H 0.523L 0.501H 0.260L
上記の全60層の膜構成において、基材から5〜50層目における高屈折率層の光学膜厚の平均は、0.534×λであり、低屈折率層の光学膜厚の平均は0.468×λである。高屈折率層の光学膜厚の平均と、低屈折率層の光学膜厚の平均の和は、1.002×λであり、これらの比H/Lは、1.141となる。
本多層膜マイナスフィルターの裏面はノンコートであり、基材には26mm×38mm×2mmtの両面研磨平行平板合成石英ガラスを使用した。
(作用)
本具体例における多層膜マイナスフィルターの分光透過率特性を図10に示す。ここで、明示してはいないが、垂直入射光に対しては437.5nmにピークを持つ反射帯が形成される。
本具体例における多層膜マイナスフィルターを作成するにあたっては、イオンアシスト蒸着(IAD)を用い、蒸着中の基板加熱温度(設定値)は、300°であった。
膜形成後に基材はフィルター形成面側が凸となるように変形したが、干渉計測定の結果、その変形量はニュートン本数で4〜5本(NR=4〜5)程度であり、変形量は実用上問題のない範囲であった。
本具体例においては、高屈折率材料としてTaを用いたが、同等の屈折率をもち、同等の製造精度を得ることの出来る膜材料を用いるならば、同等の光学特性をえて、下記の効果を得ることが出来る。また、低屈折率材料はSiOを用いたが、これも同等の屈折率をもち、同等の製造制度を得ることの出来る膜材料を用いるならば、同等の光学特性をえて、下記の効果を得ることが出来る。このため、本具体例で使用した材料は、本具体例の効果を限定する要素ではない。これは以降の具体例においても同様である。
また、本具体例では45°入射で波長が405nm付近の光線を反射するマイナスフィルターを示したが、設計の中心波長をずらした同様の膜構成によって、他の波長のみを反射するマイナスフィルターも作成することが出来る。すなわち、同じ膜構成によって反射する波長も自由に選択することができるため、本具体例の反射波長は、本具体例の効果を限定する要素ではない。これも以降の具体例において同様である。
この他にも本具体例で採用した要素で、同等の光学的、機械的性質を持つもので構成することによって同じ効果を得ることが出来る要素があっても、それはやはり本具体例の効果を限定する要素ではない。これもまた、以降の具体例において同様である.
(効果)
45°入射光に対して405nmに反射帯を持つ本具体例のマイナスフィルターは、405nm付近の光のみを反射し、他の波長を持つ光を透過する。これは、レーザ光を光源として利用した共焦点レーザ顕微鏡において、生きた細胞の動的挙動を観察する際の、蛍光物質の励起や観察に用いる光とは別に用いる、細胞に刺激を与え、その反応を見るための光(刺激光=405nmLDレーザ)を観察系に入れるためのミラーに使用することができる。
本具体例のマイナスフィルターは、反射帯の幅が約20nmであり、他では実現できない非常に狭い反射帯を実現している。このため、前記共焦点レーザ顕微鏡において415nm以上に蛍光を発する蛍光体を観察する場合はもちろん、前記共焦点レーザ顕微鏡において395nm以下で蛍光を発する蛍光体を観察する場合(351nm UV Argonレーザ光を光源とする観察や、長い波長のレーザ光を光源とする2光子励起による観察など)に利用できる。その他の405nm近辺の波長を有する光のみ反射(光路を90°曲げ)して他の波長を透過したい場合に利用でき、応用性が高い。
(第2の具体例)
(構成)
高屈折率材料としてTa、低屈折率材料としてSiOを使用した垂直入射する光に対して用いる多層膜マイナスフィルターであり、下記の膜構成を持つ。ここで、基準波長は0°入射の光に対する反射帯の中心波長となる633nmである。
0.516H 0.508L 0.546H 0.507L 0.543H 0.478L 0.514H 0.464L 0.527H 0.474L 0.534H 0.464L 0.531H 0.464L 0.539H 0.463L 0.539H 0.458L 0.539H 0.458L 0.544H 0.457L 0.543H 0.453L 0.545H 0.454L 0.548H 0.453L 0.546H 0.45L 0.549H 0.452L 0.549H 0.449L 0.548H 0.45L 0.551H 0.45L 0.55H 0.448L 0.55H 0.45L 0.551H 0.448L 0.55H 0.448L 0.551H 0.449L 0.551H 0.448L 0.55H 0.449L 0.551H 0.449L 0.55H 0.449L 0.549H 0.45L 0.55H 0.451L 0.548H 0.45L 0.548H 0.453L 0.548H 0.452L 0.545H 0.453L 0.546H 0.456L 0.543H 0.454L 0.541H 0.459L 0.542H 0.46L 0.536H 0.461L 0.537H 0.468L 0.535H 0.467L 0.528H 0.469L 0.526H 0.474L 0.526H 0.472L 0.512H 0.453L 0.471H 0.229L
上記、全92層の膜構成において、基材から15〜76層目における高屈折率層の光学膜厚の平均は、0.547×λであり、低屈折率層の光学膜厚の平均は0.452×λである。高屈折率層の光学膜厚の平均と、低屈折率層の光学膜厚の平均の和は、0.999×λであり、これらの比H/Lは、1.209となる。
本多層膜マイナスフィルターの裏面はノンコートであり、基材にはφ25×2.5mmtの両面研磨平行平板白板ガラスを使用した。
(作用)
本具体例における多層膜マイナスフィルターの分光透過率特性を図11に示す。ここで現れている垂直入射光に対する反射帯のピークは633nmにある。
本具体例における多層膜マイナスフィルターを作成するにあたっては、基板RF印加型のイオンプレーティングを用い、蒸着中の基板加熱温度(設定値)は、250℃であった。
膜形成後に基材はフィルター形成面側が凸となるように、干渉計での測定でNR値が読み取れない程(NR10以上)変形していた。
本具体例のマイナスフィルターは、平行平板白板ガラスの片面に形成したものであるが、設計の基準波長λのみをずらしたマイナスフィルターを、前記平行平板白板ガラスのノンコート面に形成することで、2波長を阻止する2波長カットフィルターを構成することも出来る。加えて言えば、設計の基準波長λのみをずらした本具体例と同じ構成のマイナスフィルターを複数毎の平行平板ガラスに形成し、これらを重ねることで、様々な波長をカットするマルチバンド阻止(=マルチバンド透過)フィルターを作成することができる。これによって、複数の波長を阻止しながらその間の波長を透過させることの出来る光学素子を提供することが出来る。
また、本具体例のマイナスフィルターでは、高屈折率層の光学膜厚の平均と低屈折率層の光学膜厚の平均の比H/Lが1.209の場合を示しているが、この比率を変更して設計を行うことで、本素子帯の幅も自由に選択することが出来る。このように比率を変更した本発明の実施形態に係るマイナスフィルターを複数枚重ねることで、複数の、様々な阻止帯域の幅を持ったマルチバンド阻止(=マルチバンド透過)フィルターを構成することができる。
また、本具体例のマイナスフィルターでは、全92層の構成によって633±4nmで反射率99.9%以上の阻止率を実現しているが、層数を減らすことによって阻止率を下げたり、層数を増やすことによって阻止率を上げたりすることもできる。また、1枚のフィルターでは十分な阻止率が得られない場合には、同じマイナスフィルターを複数枚重ねることによって、同一波長の阻止率を上げることもできる。これらの事実は以降の具体例においても同様であり、それぞれの具体例の効果を限定するものではない。
(効果)
垂直入射光に対して633nm付近に阻止帯(633±4nmで反射率99.9%以上、阻止帯の半値幅約25nm)を持つ本具体例のマイナスフィルターは、633nm付近の波長を持つ光のみ阻止しながら、他の波長の光を透過させることができる。本具体例のマイナスフィルターは、633nmに対応したレーザである633nm Red HeNeレーザの阻止に、特に有効である。
また、本具体例のマイナスフィルターは、前記した設計の基準波長λのみをずらした本具体例と同じ構成のマイナスフィルターを複数毎の平行平板ガラスに形成することによって、複数の波長を阻止しながらその間の波長を透過させることの出来る、これまでに実現が難しかった光学素子を提供する。
(第3具体例)
(構成)
高屈折率材料としてTa、低屈折率材料としてSiOを使用した垂直入射する光に対して用いる多層膜マイナスフィルターであり、下記の膜構成を持つ。ここで、基準波長は0°入射の光に対する反射帯の中心波長となる543nmである。
0.505H 0.526L 0.549H 0.531L 0.545H 0.516L 0.496H 0.456L 0.489H 0.499L 0.521H 0.481L 0.491H 0.486L 0.52H 0.496L 0.512H 0.485L 0.514H 0.49L 0.519H 0.487L 0.51H 0.483L 0.516H 0.486L 0.513H 0.481L 0.517H 0.484L 0.516H 0.48L 0.518H 0.482L 0.518H 0.48L 0.518H 0.479L 0.52H 0.48L 0.519H 0.477L 0.52H 0.48L 0.521H 0.477L 0.52H 0.478L 0.522H 0.477L 0.521H 0.477L 0.522H 0.478L 0.522H 0.477L 0.521H 0.478L 0.522H 0.477L 0.521H 0.478L 0.522H 0.477L 0.521H 0.477L 0.522H 0.478L 0.521H 0.477L 0.522H 0.478L 0.522H 0.477L 0.521H 0.478L 0.522H 0.478L 0.521H 0.478L 0.522H 0.479L 0.52H 0.477L 0.521H 0.48L 0.521H 0.478L 0.519H 0.48L 0.521H 0.48L 0.519H 0.48L 0.518H 0.482L 0.518H 0.481L 0.515H 0.483L 0.518H 0.482L 0.514H 0.484L 0.519H 0.486L 0.513H 0.482L 0.511H 0.489L 0.518H 0.489L 0.496H 0.468L 0.498H 0.499L 0.531H 0.512L 0.538H 0.503L 0.486H 0.45L 0.487H 0.503L 0.52H 0.472L 0.425H 0.217L
上記、全128層の膜構成において、基材から15〜106層目における高屈折率層の光学膜厚の平均は、0.519×λであり、低屈折率層の光学膜厚の平均は0.480×λである。高屈折率層の光学膜厚の平均と、低屈折率層の光学膜厚の平均の和は、0.999×λであり、これらの比H/Lは、1.081となる。
本多層膜マイナスフィルターの裏面はノンコートであり、基材にはφ25×2.5mmtの両面研磨平行平板BK7光学ガラスを使用した。
(作用)
本具体例における多層膜マイナスフィルターの分光透過率特性を図12に示す。ここで現れている垂直入射光に対する反射帯のピークは543nmにある。
本具体例における多層膜マイナスフィルターを作成するにあたっては、イオンアシスト蒸着(IAD)を用い、蒸着中の基板加熱温度(設定値)は、300°であった。
膜形成後に基材はフィルター形成面側が凸となるように、干渉計での測定でNR値が読み取れない程(NR10以上)変形していた。
(効果)
垂直入射光に対して543nm付近に阻止帯(543nmで反射率98%程度、阻止帯の半値幅約10nm)を持つ本具体例のマイナスフィルターは、543nm付近の波長を持つ光のみ阻止しながら、他の波長の光を透過させることができる。また、本具体例のマイナスフィルターは、前記した設計の基準波長λのみをずらした本具体例と同じ構成のマイナスフィルターを複数毎の平行平板ガラスに形成することによって、複数の波長を阻止しながらその間の波長を透過させることの出来る、これまでに実現が難しかった光学素子を提供する。
(第4の具体例)
(構成)
高屈折率材料としてTa、低屈折率材料としてSiOを使用した垂直入射する光に対して用いる多層膜マイナスフィルターであり、下記の膜構成を持つ。ここで、基準波長は0°入射の光に対する反射帯の中心波長となる481nmと548nmの2種類の表記で示した。
(λ=481nmによる表記)
0.497H 0.509L 0.42H 0.521L 0.452H 0.547L 0.456H 0.574L 0.408H 0.59L 0.425H 0.589L 0.418H 0.577L 0.393H 0.594L 0.407H 0.62L 0.392H 0.61L 0.384H 0.594L 0.41H 0.604L 0.391H 0.612L 0.387H 0.6L 0.411H 0.6L 0.395H 0.608L 0.405H 0.584L 0.432H 0.549L 0.433H 0.57L 0.425H 0.597L 0.503H 0.613L 0.579H 0.617L 0.549H 0.615L 0.551H 0.608L 0.509H 0.618L 0.501H 0.613L 0.52H 0.632L 0.538H 0.618L 0.542H 0.637L 0.491H 0.618L 0.483H 0.637L 0.53H 0.624L 0.535H 0.636L 0.509H 0.627L 0.499H 0.632L 0.507H 0.634L 0.517H 0.625L 0.518H 0.635L 0.519H 0.627L 0.508H 0.631L 0.502H 0.628L 0.522H 0.629L 0.524H 0.626L 0.513H 0.621L 0.519H 0.627L 0.526H 0.62L 0.517H 0.614L 0.521H 0.616L 0.545H 0.616L 0.545H 0.608L 0.517H 0.594L 0.525H 0.608L 0.576H 0.594L 0.57H 0.621L 0.564H 0.302L
(λ=548nmによる表記)
0.43H 0.446L 0.364H 0.457L 0.391H 0.479L 0.395H 0.503L 0.353H 0.517L 0.368H 0.516L 0.362H 0.506L 0.34H 0.52L 0.352H 0.544L 0.339H 0.535L 0.333H 0.521L 0.355H 0.529L 0.339H 0.537L 0.335H 0.526L 0.356H 0.525L 0.341H 0.533L 0.351H 0.512L 0.373H 0.481L 0.374H 0.5L 0.368H 0.523L 0.435H 0.537L 0.501H 0.541L 0.475H 0.539L 0.477H 0.533L 0.44H 0.542L 0.433H 0.537L 0.45H 0.554L 0.466H 0.542L 0.469H 0.558L 0.425H 0.541L 0.418H 0.558L 0.459H 0.547L 0.463H 0.558L 0.44H 0.549L 0.432H 0.554L 0.439H 0.556L 0.448H 0.548L 0.448H 0.556L 0.449H 0.55L 0.439H 0.553L 0.434H 0.551L 0.452H 0.552L 0.453H 0.549L 0.444H 0.544L 0.449H 0.549L 0.455H 0.543L 0.448H 0.538L 0.451H 0.54L 0.472H 0.54L 0.471H 0.533L 0.447H 0.521L 0.455H 0.533L 0.498H 0.521L 0.493H 0.544L 0.488H 0.265L
上記、全110層の膜構成において、基材から7〜38層目が481nmにおける反射帯を形成している。前記基材から7〜38層目におけるλ=481nmとしたときの高屈折率層の光学膜厚の平均は、0.409×λであり、低屈折率層の光学膜厚の平均は0.592×λである。(高屈折率層の光学膜厚の平均と、低屈折率層の光学膜厚の平均の和は、1.001×λであり、これらの比H/Lは、0.691となる。)また、上記、全110層の膜構成において、基材から53〜100層目が548nmにおける反射帯を形成している。前記基材から53〜100層目におけるλ=548nmとしたときの高屈折率層の光学膜厚の平均は、0.449×λであり、低屈折率層の光学膜厚の平均は0.548×λである。高屈折率層の光学膜厚の平均と、低屈折率層の光学膜厚の平均の和は、0.997×λであり、これらの比H/Lは、0.819となる。
本多層膜マイナスフィルターの裏面はノンコートであり、基材にはφ15×2mmtの両面研磨平行平板が合成石英ガラスを使用した。
(作用)
本具体例における多層膜マイナスフィルターの分光透過率特性を図13に示す。ここで現れている垂直入射光に対する反射帯のピークは481nmおよび548nmにある。
本具体例における多層膜マイナスフィルターを作成するにあたっては、イオンアシスト蒸着(IAD)を用い、蒸着中の基板加熱温度(設定値)は、300°であった。
膜形成後に基材はフィルター形成面側が凸となるように、干渉計での測定でNR=1程度で変形していた。
(効果)
垂直入射光に対して481nm付近と543nm付近に阻止帯を持つ本具体例のマイナスフィルターは、481nm付近と543nm付近の波長を持つ光のみ阻止しながら、可視波長域内の他の波長の光を透過させることができる。
(第5の具体例)
(構成)
高屈折率材料としてTa、低屈折率材料としてSiOを使用した45°入射する光に対して用いる多層膜マイナスフィルターであり、下記の膜構成を持つ。ここで、基準波長は0°入射の光に対する反射帯の中心波長となる620nmと686nmの2種類の表記で示した。
(λ=620nmによる表記)
0.524H 0.558L 0.559H 0.502L 0.455H 0.466L 0.5H 0.491L 0.526H 0.491L 0.568H 0.474L 0.518H 0.48L 0.495H 0.5L 0.481H 0.447L 0.561H 0.461L 0.584H 0.467L 0.571H 0.445L 0.456H 0.469L 0.475H 0.474L 0.62H 0.439L 0.594H 0.455L 0.574H 0.458L 0.408H 0.489L 0.507H 0.456L 0.604H 0.453L 0.621H 0.472L 0.606H 0.572L 0.593H 0.536L 0.617H 0.452L 0.604H 0.499L 0.612H 0.533L 0.559H 0.532L 0.686H 0.506L 0.549H 0.462L 0.636H 0.527L 0.606H 0.543L 0.526H 0.517L 0.725H 0.477L 0.474H 0.459L 0.331H 0.596L 0.581H 0.654L 0.546H 0.705L 0.649H 0.566L 0.62H 0.668L 0.608H 0.645L 0.567H 0.658L 0.645H 0.605L 0.578H 0.596L 0.413H 0.482L 0.378H 0.534L 0.595H 0.318L 0.448H 0.538L 0.451H 0.54L 0.472H 0.54L 0.471H 0.533L 0.447H 0.521L 0.455H 0.533L 0.498H 0.521L 0.493H 0.544L 0.488H 0.265L
(λ=686nmによる表記)
0.471H 0.504L 0.502H 0.453L.409H 0.421L 0.449H 0.443L 0.473H 0.443L 0.511H 0.429L 0.466H 0.433L 0.445H 0.452L 0.432H 0.403L 0.504H 0.417L 0.525H 0.422L 0.513H 0.402L 0.41H 0.424L 0.427H 0.428L 0.558H 0.396L 0.534H 0.411L 0.516H 0.413L 0.367H 0.442L 0.456H 0.412L 0.543H 0.409L 0.558H 0.426L 0.544H 0.517L 0.533H 0.484L 0.554H 0.408L 0.543H 0.451L 0.55H 0.481L 0.503H 0.48L 0.617H 0.457L 0.494H 0.418L 0.572H 0.477L 0.545H 0.49L 0.473H 0.467L 0.652H 0.431L 0.426H 0.414L 0.298H 0.538L 0.522H 0.591L 0.491H 0.636L 0.584H 0.511L 0.558H 0.604L 0.547H 0.582L 0.51H 0.595L 0.58H 0.546L 0.52H 0.539L 0.372H 0.436L 0.339H 0.483L 0.535H 0.287L 0.448H 0.538L 0.451H 0.54L 0.472H 0.54L 0.471H 0.533L 0.447H 0.521L 0.455H 0.533L 0.498H 0.521L 0.493H 0.544L 0.488H 0.265L
上記、全110層の膜構成において、基材から7〜38層目が45°入射光に対する568nmにおける反射帯(垂直入射では620nmにおける反射帯)を形成している。前記基材から7〜34層目におけるλ=620nmとしたときの高屈折率層の光学膜厚の平均は、0.537×λであり、低屈折率層の光学膜厚の平均は0.468×λである。(高屈折率層の光学膜厚の平均と、低屈折率層の光学膜厚の平均の和は、1.005×λであり、これらの比H/Lは、1.148となる。)また、上記、全110層の膜構成において、基材から43〜74層目が45°入射光に対する633nmにおける反射帯(垂直入射では686nmにおける反射帯)を形成している。前記基材から53〜100層目におけるλ=686nmとしたときの高屈折率層の光学膜厚の平均は、0.52×λであり、低屈折率層の光学膜厚の平均は0.484×λである。高屈折率層の光学膜厚の平均と、低屈折率層の光学膜厚の平均の和は、1.004×λであり、これらの比H/Lは、1.074となる。
本多層膜マイナスフィルターの裏面はノンコートであり、基材にはφ15×2mmtの両面研磨平行平板が合成石英ガラスを使用した。
(作用)
本具体例における多層膜マイナスフィルターの分光透過率特性を図14に示す。図14から、本具体例のマイナスフィルターは45°入射光に対して488nm付近と543nm付近と633nm付近に反射帯を持つ。このうち、543nm付近の反射帯と、633nm付近の反射帯が、本発明におけるマイナスフィルターに相当する。ここで明示していないが、543nm付近の反射帯と633nm付近の反射帯に対応する垂直入射光に対する反射帯のピークは620nmおよび686nmにある。
本具体例における多層膜マイナスフィルターを作成するにあたっては、イオンアシスト蒸着(IAD)を用い、蒸着中の基板加熱温度(設定値)は、300°であった。
膜形成後に基材はフィルター形成面側が凸となるように、干渉計での測定でNR=1〜2程度で変形していた。
この変形量は実用上問題の無い変形量である。
(効果)
本具体例のマイナスフィルターにおける反射帯は、488nmMultiArレーザ、543nmGreenHeNeレーザ、633nmRedHeNeレーザに対応しており、これらのレーザ光を光源として利用した共焦点レーザ顕微鏡において、利用することができる。これによって、蛍光物質の励起にこれら複数の波長の光を同時に用いることが出来るようになり、いくつもの種類の蛍光を同時に観察することで、細胞内の相互作用や複数の観察対象の配置を正確に見たいという要求に応えることが出来る。このような観察を多重染色の同時観察と呼ぶが、この多重染色の同時観察には、本発明のような複数の反射帯(=複数の透過帯)を持つフィルター(多重励起フィルター)が必須である。
本発明の実施形態に係るマイナスフィルターは、これまでに供給されてきた前記多重励起フィルターよりも、反射帯が狭く、透過帯の広いフィルターを供給することが出来るために、前記多重染色の同時観察における観察性能を飛躍的に高めるものである。
本発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
また、例えば各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本発明に係る多層膜マイナスフィルターが適用された光学素子を示す図。 (a)、(b)、(c)、(d)の膜構成における光学多層膜フィルターの分光透過率特性を示す図。 繰り返し層の繰り返し回数によって光の阻止率もしくは反射率の変化を示す分光透過率特性を示す図。 リップルを抑制した場合の分光透過率特性を示す図。 阻止率(反射率)が99%を超えるように、低屈折率層の光学膜厚と高屈折率層の光学膜厚との比率を変えながら設計した場合の分光透過率特性を示す図。 阻止率(反射率)が99%を超えるように、低屈折率層の光学膜厚と高屈折率層の光学膜厚との比率を変えながら設計した場合の分光透過率特性を示す図。 複数の反射帯を持つ場合の分光透過率特性を示す図。 阻止率(反射率)が99%を超えるように、低屈折率層の光学膜厚と高屈折率層の光学膜厚との比率を変えながら設計した場合の分光透過率特性を示す図。 阻止率(反射率)が99%を超えるように、低屈折率層の光学膜厚と高屈折率層の光学膜厚との比率を変えながら設計した場合の分光透過率特性を示す図。 第1の具体例における多層膜マイナスフィルターの分光透過率特性を示す図。 第2の具体例における多層膜マイナスフィルターの分光透過率特性を示す図。 第3の具体例における多層膜マイナスフィルターの分光透過率特性を示す図。 第4の具体例における多層膜マイナスフィルターの分光透過率特性を示す図。 第5の具体例における多層膜マイナスフィルターの分光透過率特性を示す図。
符号の説明
1・・・基材(透明基板)
2・・・繰り返し層
21・・・高屈折率層
22・・・低屈折率層

Claims (12)

  1. 所定の波長の光を反射し、それよりも長い波長の光と短い波長の光とを透過する多層膜マイナスフィルターにおいて、
    高屈折率層と低屈折率層が交互に繰り返して積層された繰り返し層を有し、
    前記高屈折率層の光学膜厚の平均値と前記低屈折率層の光学膜厚の平均値との和が、垂直入射光に対する反射波長λ等しく、前記高屈折率層の光学膜厚Hと前記低屈折率層の光学膜厚LとのH/Lが0.5より大きく、2未満であるように構成され、前記繰り返し層によって前記反射波長λに形成される反射帯を利用したことを特徴とする多層膜マイナスフィルター。
  2. 請求項1に記載の多層膜マイナスフィルターにおいて、前記繰り返し層は、高屈折率層の平均的な光学膜厚が0.51λ〜0.62λ、低屈折率層の平均的な光学膜厚が0.38λ〜0.49λで形成されていることを特徴とする多層膜マイナスフィルター。
  3. 請求項1に記載の多層膜マイナスフィルターにおいて、前記繰り返し層は、高屈折率層の平均的な光学膜厚が0.39λ〜0.48λ、低屈折率層の平均的な光学膜厚が0.52λ〜0.62λで形成されていることを特徴とする多層膜マイナスフィルター。
  4. 請求項1に記載の多層膜マイナスフィルターにおいて、前記反射帯が複数あることを特徴とする多層膜マイナスフィルター。
  5. 所定の波長の光を反射し、それよりも長い波長の光と短い波長の光とを透過する多層膜マイナスフィルターにおいて、
    高屈折率層と低屈折率層が交互に繰り返して積層された繰り返し層を有し、
    前記高屈折率層の光学膜厚の平均値と前記低屈折率層の光学膜厚の平均値との和が、垂直入射光に対する反射波長λ に等しく、前記高屈折率層の光学膜厚Hと前記低屈折率層の光学膜厚Lとの比H/Lが0.5より大きく、2未満であるように構成され、前記繰り返し層によって垂直入射光に対して反射波長λで現れる反射帯がより短波長側にシフトして形成される斜め入射光に対する反射帯を利用することを特徴とする多層膜マイナスフィルター。
  6. 請求項5に記載の多層膜マイナスフィルターにおいて、前記斜め入射光の入射角が45°として用いられ、高屈折率層の平均的な光学膜厚が0.49λ〜0.63λ、低屈折率層の平均的な光学膜厚が0.37λ〜0.51λで形成された繰り返し層を含むことを特徴とする多層膜マイナスフィルター。
  7. 請求項5に記載の多層膜マイナスフィルターにおいて、前記斜め入射光の入射角が45°として用いられ、高屈折率層の平均的な光学膜厚が0.32λ〜0.47λ、低屈折率層の平均的な光学膜厚が0.53λ〜0.68λで形成された繰り返し層を含むことを特徴とする多層膜マイナスフィルター。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の多層膜マイナスフィルターにおいて、前記反射波長がレーザ光源のレーザ光の波長に選択され、レーザ光のみを反射することを特徴とする多層膜マイナスフィルター。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の多層膜マイナスフィルターにおいて、前記多層膜マイナスフィルターは、周囲の環境による特性の変化が少ないシフトレスフィルターであり、前記多層膜マイナスフィルターを構成する高屈折率膜材料が、Ta、TiO、Nb、HfO、Al若しくはこれらを含む混合物からなり、なおかつ低屈折率膜材料が、SiO若しくはこれを含む混合物からなることを特徴とする、多層膜マイナスフィルター。
  10. 請求項9に記載の多層膜マイナスフィルターにおいて、多層膜を形成するための透明基板が、石英ガラス若しくは線膨張係数が0.8×10−6以下のガラスであることを特徴とする多層膜マイナスフィルター。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の多層膜マイナスフィルターを具備することを特徴とする蛍光顕微鏡。
  12. 請求項11に記載の蛍光顕微鏡において、励起光源としてレーザを更に具備することを特徴とする蛍光顕微鏡。
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