JP2002319727A - 利得等化器、利得等化器付コリメータ、及び利得等化器の製造方法 - Google Patents

利得等化器、利得等化器付コリメータ、及び利得等化器の製造方法

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JP2002319727A JP2001123467A JP2001123467A JP2002319727A JP 2002319727 A JP2002319727 A JP 2002319727A JP 2001123467 A JP2001123467 A JP 2001123467A JP 2001123467 A JP2001123467 A JP 2001123467A JP 2002319727 A JP2002319727 A JP 2002319727A
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gain equalizer
gain
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dielectric thin
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Kenji Mori
健次 森
Toshiaki Anzaki
利明 安崎
Takayuki Toyoshima
隆之 豊島
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化による中心波長のズレを小さくして
光増幅器の利得スペクトルを適正に平坦化することがで
き、再現性及び量産性の向上を図った利得等化器を提供
する。 【解決手段】 波長多重光を増幅する光増幅器の利得ス
ペクトルを平坦化する利得等化器31は、透明基体32
と誘電体多層膜フィルタ34とで構成される1組のマイ
ナスフィルタ35を備える。同フィルタ35が、利得ス
ペクトルのピ−ク波長に対応する波長帯域で所望の反射
特性を持つように、誘電体多層膜フィルタ34は、屈折
率差の小さい誘電体薄膜37,38を交互に積層して構
成されている。マイナスフィルタ35が透明基体33と
誘電体多層膜フィルタ34とで構成されるので、温度特
性が良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エルビウム添加光
ファイバ増幅器(EDFA)、半導体光増幅器等の光増
幅器の利得の波長依存性を補償するための利得等化器、
利得等化器付コリメータ、及び利得等化器の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】光通信システムの大容量化を実現するた
めの技術の一つに、波長分割多重(WDM:Wavelength
Division Multiplexing) 伝送方式がある。これは、1
本の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を多重化し
た上で伝送する方式である。一方、希土類添加光ファイ
バを増幅媒体とする光ファイバ増幅器は、異なる波長の
光を一括して増幅することが可能である。WDM伝送方
式により長距離大容量の光通信システムを実現するため
に、波長の異なる複数の光信号が多重された波長多重光
を増幅する光ファイバ増幅器等の光増幅器が必要にな
る。
【0003】光ファイバ増幅器としては、現在、エルビ
ウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)が広い利得帯域
を有するので、数多く開発され、また実用に供されてい
る。ところが、このEDFAは、エルビウムイオンの誘
導放出による発光強度が波長によって異なることから、
その利得に波長依存性が現れる。すなわち、波長多重光
が一括して増幅されると、EDFAから出力される波長
多重光の強度は、波長によって異なることになる。
【0004】したがって、EDFAをWDM伝送方式に
用いる場合、特に多数のEDFAをカスケード接続する
場合には、利得の波長依存性が累積され、問題となる。
つまり、受信器側において、分波器により波長多重光を
各波長毎に分離して、各波長の光信号を各受信器で受信
する際、光の強度が波長によって異なれば、各波長間の
クロストーク劣化や、各受信器の受光レベル設定等に問
題が生じる。
【0005】このため、EDFA等の光増幅器が多段接
続されるWDM伝送方式においては、EDFAの利得の
波長依存性を補償するために、利得等化器(ゲインイコ
ライザ)を使用してその利得を平坦化している。
【0006】こうした利得等化器としては、(1)ファ
イバーブラッググレーティング(FBG)方式、(2)
エタロン方式、(3)マッハツェンダ方式、(4)光フ
ァイバカプラ方式、(5)誘電体多層膜方式等が知られ
ている。これらのうち、一部実用に供されているか或い
は工業的な利用が期待されているものは、(1)FBG
方式と(2)エタロン方式である。
【0007】EDFAによる利得の波長依存性を有する
利得スペクトルは、図25(a)に示すように、双峰
性、つまり2つの波長ピークを有している。このため、
利得等化器は、そのような利得スペクトルに対応する損
失スペクトルを与えてEDFAの利得の波長依存性を補
償する。この損失スペクトルは、複数のピークに分解さ
れ、それぞれのピークに対応した波長帯域に反射特性を
有する複数の光学フィルタ(マイナスフィルタ)#1〜
#3を図25(b)に示すようにWDM伝送系に縦接続
して配置する。これにより、各マイナスフィルタ#1〜
#3の損失スペクトルが合成された合成損失スペクトル
(図25(c)の実線参照)が、図25(a)に示す利
得スペクトルに重ね合わされる。この結果、使用波長域
においてEDFAの利得の波長依存性が解消された利得
スペクトル(図25(d)に示す等化後の利得スペクト
ル)を有する波長多重光が得られる。
【0008】このように、上記損失スペクトルを発生さ
せるために、図25(a)に示すEDFAの利得スペク
トルの特定の波長ピークに対応した波長帯域(以下、反
射帯域という)に反射特性を有する複数のマイナスフィ
ルタが用いられる。これらのマイナスフィルタには、図
26に示すように、次のような特性が要求される。
【0009】(1)上記反射帯域の幅が狭いこと。例え
ば、その幅が100nm以下であること。 (2)反射帯域において所望の透過率(例えば、50〜
80%程度の透過率)を有すること。
【0010】(3)透過帯域(反射帯域以外の波長帯
域)にリップルが少なく、かつ透過帯域の透過率が10
0%に近い値であること。 上記特性(1)と(2)は、EDFAの利得スペクトル
を適正に平坦化するために必要な要件である。また、上
記特性(3)は、その利得スペクトルに損失スペクトル
を重ねる必要のない波長帯域において、波長多重光の強
度を劣化させないために必要な要件である。そして、こ
れらの必要要件は、特にEDFAと利得等化器とを多段
に接続する場合には特に考慮されるべき要件である。
【0011】ところで、上記FBG方式の利得等化器
が、例えば、OPTRONICS(1998)No.
5,p138−143,特開平11−119030号公
報に開示されている。また、上記エタロン方式の利得等
化器が、例えば、特開平2000−082858号公
報、特開平09−289349号公報、及び特開平09
−018416号公報に開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記FBG
方式の利得等化器は、その光学特性に温度依存性を有し
ている。この温度依存性は、コアを構成しているゲルマ
ニウム(Ge)添加石英の屈折率の温度依存性と、温度
変化に対応したファイバの長さ変化による温度依存性と
に起因する。このような温度依存性を有するために、F
BG方式の利得等化器では、温度変化に対応して無視で
きない程度の中心波長のズレが発生する。つまり、その
ズレを何等かの方法で補償しない限り、EDFAの利得
スペクトルを適正に平坦化するのが難しいという問題が
ある。
【0013】また、上記エタロン方式の利得等化器も、
厚さが数mmの比較的厚いエタロン板を使用する場合に
は、その光学特性に温度依存性を有する。これは、温度
変化に対応してエタロン板に体積変化が生じるためであ
る。このような温度依存性を有するために、エタロン方
式の利得等化器でも、温度変化に対応して無視できない
程度の中心波長のズレが発生する虞がある。これによ
り、EDFAの利得スペクトルを適正に平坦化するのが
難しいという問題がある。この問題を解消するために、
上記特開平2000−082858号公報に開示された
従来技術では、前記利得を平坦化するための損失波長特
性とエタロンフィルタによる損失波長特性との差として
残るリップル成分を補償するために、ファイバーグレー
ティング又は誘電体多層膜フィルタを併用している。
【0014】また、エタロン方式の利得等化器では、反
射帯域が狭いマイナスフィルタとするためには、対向す
る半透過膜間のキャビティ層をλ/2の整数倍の寸法に
精度良く設定する必要があるとともに、両半透過膜の平
坦度及び平面度を極めて精度良く形成する必要がある。
したがって、再現性が悪く、量産に適さないという問題
がある。
【0015】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、その目的は、温度変化による中心
波長のズレを小さくして光増幅器の利得スペクトルを適
正に平坦化することができ、再現性及び量産性の向上を
図った利得等化器を提供することにある。また、本発明
の別の目的は、波長分割多重伝送装置への組付けが容易
でかつ光増幅器の利得スペクトルを適正に平坦化可能な
利得等化器付コリメータを提供することにある。また、
本発明の別の目的は、誘電体多層膜フィルタを容易に形
成でき、温度特性、再現性及び量産性に優れた利得等化
器を容易に製造可能な利得等化器の製造方法を提供する
ことにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に係る発明は、波長の異なる複数の光信号
が多重された波長多重光を増幅する光増幅器の利得スペ
クトルを平坦化する利得等化器であって、透明基体と、
同基体の一つの面に形成された誘電体多層膜フィルタと
で構成される少なくとも1組のマイナスフィルタを備
え、同マイナスフィルタが、前記利得スペクトルのピ−
ク波長に対応する波長帯域で所望の反射特性を持つよう
に、前記誘電体多層膜フィルタを、屈折率差の小さい第
1の誘電体薄膜と第2の誘電体薄膜とを交互に積層して
構成したことを要旨とする。
【0017】この構成によれば、マイナスフィルタが透
明基体と誘電体多層膜フィルタとで構成されるので、温
度特性が良い。これは、透明基体と誘電体多層膜フィル
タの厚さが、数十μm〜ほぼ百μm程度と小さいことに
よる。すなわち、所望の反射特性を発生させる機能部分
(透明基体と誘電体多層膜フィルタ)の厚さが上記FB
G方式やエタロン方式等の利得等化器と比較して小さい
ため、温度変化による熱膨張の影響が小さいからであ
る。これとともに、上記FBG方式におけるゲルマニウ
ム添加石英のような屈折率が温度依存性を有する誘電体
を用いていないからである。これにより、温度変化によ
る中心波長のズレが小さくなり、光増幅器の利得スペク
トルを適正に平坦化することができる。
【0018】また、反射特性が誘電体多層膜フィルタの
第1及び第2の誘電体薄膜の屈折率、膜厚及び積層数の
みにより決定される。つまり、上記エタロン方式等の利
得等化器のように、キャビティ層を高精度に設定した
り、両半透過膜の平坦度及び平面度を極めて精度良く形
成する必要がない。このため、再現性及び量産性が向上
する。
【0019】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の
利得等化器において、前記透明基体のうち最も外側にあ
る透明基体とは反対側にある前記誘電体多層膜フィルタ
の表面には、透明な入射媒質が接合されていることを要
旨とする。
【0020】この構成によれば、誘電体多層膜フィルタ
の表面には、透明な入射媒質が接合されているので、誘
電体多層膜フィルタの表面での反射による損失が抑えら
れる。つまり、透過帯域でのリップルが小さくなり、同
帯域での透過損失が小さくなる。
【0021】請求項3に係る発明は、請求項1又は2に
記載の利得等化器において、前記マイナスフィルタとし
て、前記利得スペクトルに含まれる複数の波長ピークに
それぞれ対応する異なる波長帯域で所望の反射特性をそ
れぞれ持つ複数組のマイナスフィルタが設けられている
ことを要旨とする。
【0022】この構成によれば、異なる波長帯域で所望
の反射特性をそれぞれ持つ複数組のマイナスフィルタの
損失スペクトルが合成されることにより、図25(a)
に示すような複雑な形状の利得スペクトルを補償するこ
とができる。
【0023】また、複数組のマイナスフィルタの各損失
スペクトル(反射特性)を適宜変えることにより、種々
の形状の利得スペクトルに対応させることが可能にな
る。さらに、複数組のマイナスフィルタを接合して一体
化することにより、小型の素子(利得等化器)が得られ
る。これにより、波長分割多重装置への配置が容易にな
るとともに、同装置の設計が容易になる。
【0024】請求項4に係る発明に係る発明は、請求項
2又は3に記載の利得等化器において、前記最も外側に
ある透明基体の外面と、前記入射媒質の外面には、それ
ぞれ反射防止膜が形成されていることを要旨とする。
【0025】この構成によれば、透明基体の外面及び入
射媒質の外面での反射による損失が低減される。これに
より、透過帯域で発生するリップルが少なくなり、透過
帯域での透過損失が少なくなる。
【0026】請求項5に係る発明は、請求項1〜4のい
ずれか一項に記載の利得等化器において、前記第1の誘
電体薄膜と第2の誘電体薄膜との屈折率差が0.003
〜0.04の範囲であることを要旨とする。
【0027】この構成によれば、EDFAの利得スペク
トルの特定の波長ピーク、例えば図25(a)に示すE
DFAの利得スペクトルに含まれる2つの波長ピークの
一方に対応した反射帯域の狭い損失スペクトルを得るこ
とができる。例えば、反射帯域の幅を100nm以下に
することができる。
【0028】請求項6に係る発明は、請求項1〜5のい
ずれか一項に記載の利得等化器において、前記マイナス
フィルタの各々において、前記両誘電体薄膜の一方の屈
折率は前記透明基体の屈折率の1.2倍以下であり、か
つその他方の誘電体薄膜の屈折率は前記透明基体の屈折
率の0.8倍以上であることを要旨とする。
【0029】この構成によれば、誘電体多層膜フィルタ
の屈折率を透明基体の屈折率に近い値にしたので、その
界面での反射が起きにくくなる。これにより、透過帯域
のリップルが少なくなり、透過帯域での透過損失が小さ
くなる。
【0030】請求項7に係る発明は、請求項1〜5のい
ずれか一項に記載の利得等化器において、前記マイナス
フィルタの各々において、前記両誘電体薄膜の一方の屈
折率は前記透明基体の屈折率の1.1倍以下であり、か
つその他方の誘電体薄膜の屈折率は前記透明基体の屈折
率の0.9倍以上であることを要旨とする。
【0031】この構成によれば、誘電体多層膜フィルタ
の屈折率が透明基体の屈折率により近い値になるので、
その界面での反射がより一層起きにくくなる。これによ
り、透過帯域のリップルがより少なくなり、透過帯域で
の透過損失がより小さくなる。
【0032】請求項8に係る発明は、請求項2〜7のい
ずれか一項に記載の利得等化器において、前記入射媒質
の屈折率は、前記透明基体の屈折率の0.8〜1.2倍
であることを要旨とする。
【0033】この構成によれば、入射媒質の屈折率を透
明基体の屈折率に近い値にしたので、入射媒質の屈折率
が誘電体多層膜フィルタの屈折率に近い値になる。この
ため、誘電体多層膜フィルタと入射媒質との界面での反
射が起きにくくなる。これにより、透過帯域での透過率
が高くなり、透過帯域での透過損失が小さくなる。
【0034】請求項9に係る発明は、請求項2〜7のい
ずれか一項に記載の利得等化器において、前記入射媒質
の屈折率は、前記透明基体の屈折率の0.9〜1.1倍
であることを要旨とする。
【0035】この構成によれば、入射媒質の屈折率が誘
電体多層膜フィルタの屈折率により近い値になるので、
その界面での反射がより一層起きにくくなる。これによ
り、透過帯域での透過率がより高くなり、透過帯域での
透過損失が小さくなる。
【0036】請求項10に係る発明は、上記請求項1〜
9のいずれか一項に記載の利得等化器を備える利得等化
器付コリメータであって、入射側の単一モード光ファイ
バからの出射光を平行光にする前記透明基体としての入
射側コリメータレンズと、同レンズの一つの面に形成さ
れた前記誘電体多層膜フィルタとで構成される少なくと
も1組の前記マイナスフィルタを備えるとともに、前記
入射側コリメータレンズとは反対側にある前記誘電体多
層膜フィルタの表面には、前記平行光を受光側の単一モ
ード光ファイバに結合する前記入射媒質としての受光側
コリメータレンズが接合されていることを要旨とする。
【0037】この構成によれば、利得等化器がコリメー
タに一体化されているので、他の光学素子を用いること
なく、波長分割多重伝送装置の光増幅器の前後にある光
ファイバ間(入射側及び受光側光ファイバ間)へ組み付
けるだけで、光増幅器の利得スペクトルを補償すること
ができる。
【0038】また、その組み付けは、入射側コリメータ
レンズの光軸を入射側の単一モード光ファイバの軸心に
一致させるとともに、受光側コリメータレンズの光軸を
受光側の単一モード光ファイバの軸心に一致させるだけ
でよいので、同伝送装置への組付が容易である。
【0039】請求項11に係る発明は、請求項10に記
載の利得等化器付コリメータにおいて、前記マイナスフ
ィルタとして、前記利得スペクトルに含まれる複数の波
長ピークにそれぞれ対応する異なる波長帯域で所望の反
射特性をそれぞれ持つ複数組の前記マイナスフィルタを
備え、これら複数組のマイナスフィルタは、前記レンズ
の光軸方向に縦に接続されていることを要旨とする。
【0040】この構成によれば、異なる波長帯域で所望
の反射特性をそれぞれ持つ複数組のマイナスフィルタの
損失スペクトルが合成されることにより、複雑な形状の
利得スペクトルを補償することができる。また、コリメ
ータとしての機能と利得等化器としての機能を合わせ持
つ小型の素子が得られる。
【0041】請求項12に係る発明は、請求項10又は
11に記載の利得等化器付コリメータにおいて、前記各
レンズは、それぞれ屈折率分布型ロッドレンズであるこ
とを要旨とする。
【0042】この構成によれば、ロッドレンズの平坦な
端面に誘電体多層膜フィルタを形成し、同フィルタの表
面を別のロッドレンズの平坦な端面に接合することによ
り、少なくとも1組のマイナスフィルタを備えたコリメ
ータを容易に構成することができる。
【0043】請求項13に係る発明は、上記請求項1〜
9のいずれか一項に記載の利得等化器の製造方法であっ
て、組成のわずかに異なる2種類の金属材料を、物理気
相堆積法或いは化学気相堆積法により、前記透明基体の
一つの面上に交互に堆積させて、前記誘電体多層膜フィ
ルタを形成することを要旨とする。
【0044】この構成によれば、組成のわずかに異なる
2種類の金属材料を、物理気相堆積法或いは化学気相堆
積法により、前記透明基体の一つの面上に交互に堆積さ
せることにより、屈折率差の小さい第1の誘電体薄膜と
第2の誘電体薄膜とを交互に積層した誘電体多層膜フィ
ルタを容易に形成することができる。これにより、温度
特性、再現性及び量産性に優れた利得等化器の製造が容
易になる。
【0045】請求項14に係る発明は、上記請求項1〜
9のいずれか一項に記載の利得等化器の製造方法であっ
て、前記第1及び第2の誘電体薄膜を前記透明基体上に
形成する過程で、これら両誘電体薄膜の少なくとも一方
の屈折率を選択することができるように、1種類以上の
金属材料を、スパッタリング法により前記透明基体上に
堆積させることを要旨とする。
【0046】この構成によれば、第1及び第2の誘電体
薄膜をスパッタリング法により透明基体上に形成する
が、この形成過程で両誘電体薄膜の少なくとも一方の屈
折率を選択することができるので、両薄膜の屈折率差が
所望の値になるように、両薄膜の屈折率を容易に選択す
ることができる。これにより、誘電体多層膜フィルタを
容易に形成することができ、温度特性、再現性及び量産
性に優れた利得等化器の製造が容易になる。
【0047】請求項15に係る発明は、請求項14に記
載の利得等化器の製造方法において、種類の異なる金属
材料がターゲット材料としてそれぞれ取り付けられた2
つの電極を隣接させて配置し、該両電極の一方に供給す
る電力は前記第1及び第2の誘電体薄膜の形成時に一定
として、前記両電極の他方に供給する電力を、前記第1
の誘電体薄膜の形成時と前記第2の誘電体薄膜の形成時
とで異ならせることを要旨とする。
【0048】この構成によれば、両電極の一方に供給す
る電力は前記第1及び第2の誘電体薄膜の形成時に一定
として、その他方に供給する電力を前記第1の誘電体薄
膜の形成時と前記第2の誘電体薄膜の形成時とで異なら
せる。これにより、種類の異なる金属材料の誘電体薄膜
の組成比を適宜調節して、両誘電体薄膜の屈折率差を好
ましい範囲内の値に容易に設定することができる。
【0049】請求項16に係る発明は、請求項14又は
15に記載の利得等化器の製造方法において、ターゲッ
ト材料として、それぞれ高屈折率材料と低屈折率材料で
ある2種類の金属酸化物を用い、これらの金属酸化物を
非反応性スパッタリングにより前記透明基体上に堆積さ
せることを要旨とする。
【0050】この構成によれば、非反応性スパッタリン
グにより、両電極に供給するスパッタ電力を調節するこ
とにより、所望の屈折率をそれぞれ有する第1の誘電体
薄膜と第2の誘電体薄膜とを交互に積層させることがで
きる。
【0051】請求項17に係る発明は、請求項14に記
載の利得等化器の製造方法において、1種類のターゲッ
ト材料を用い、前記第1の誘電体薄膜の形成時と前記第
2の誘電体薄膜の形成時とで反応ガスの種類を異ならせ
ることを要旨とする。
【0052】この構成によれば、一つの電極に1種類の
ターゲット材料を取り付け、第1の誘電体薄膜の形成時
と前記第2の誘電体薄膜の形成時とで反応ガスの種類を
変えるだけで、屈折率差が上記範囲内の値となる第1の
誘電体薄膜と第2の誘電体薄膜とを交互に積層させるこ
とができる。
【0053】また、反応ガスとして混合ガスを用いる場
合、その混合比を適宜変えることにより、両誘電体薄膜
の屈折率差を上記範囲内で適宜変更することができる。
請求項18に係る発明は、請求項14に記載の利得等化
器の製造方法において、1種類のターゲット材料を用い
るとともに1種類の反応ガスを用い、前記第1の誘電体
薄膜の形成時と前記第2の誘電体薄膜の形成時とで前記
反応ガスの供給量を異ならせることを要旨とする。
【0054】この構成によれば、両誘電体薄膜の形成時
に同じ種類の反応ガスを用い、同ガスの供給量を、第1
の誘電体薄膜の形成時と前記第2の誘電体薄膜の形成時
とで異ならせる。これにより、屈折率差が上記範囲内の
値となる第1及び第2の誘電体薄膜を交互に積層させる
ことができる。この場合、その供給量を適宜選択するこ
とにより、屈折率差を上記範囲内で適宜変更することが
できる。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した利得等
化器、利得等化器付コリメータ、利得等化器の製造方
法、及び利得等化器を用いた波長分割多重伝送装置の各
実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態
の説明において、同様の部位には同一の符号を付して重
複した説明を省略する。
【0056】[ 第1実施形態に係る利得等化器]以下に
説明する各実施形態に係る利得等化器は、上記WDM伝
送方式の光通信システムにおいて、波長の異なる複数の
光信号(λ1〜λn)が多重された波長多重光を増幅する
光増幅器の利得スペクトルを平坦化するものである。つ
まり、利得等化器は、上記EDFA等の光増幅器の前後
に配置され、EDFAによる利得の波長依存性を有する
利得スペクトル(図25(a)参照)に対応する損失ス
ペクトルを与えて同利得の波長依存性を補償するもので
ある。ここで、その光通信システムは、例えば単一モー
ド光ファイバを伝送路に用いて1550nm帯(1.5
5μm帯)の光伝送を行う。また、図25(a)は、1
550nm帯でのEDFAの利得スペクトルを示してい
る。そして、屈折率は一般的に波長分散性を有するの
で、以下の説明における「屈折率」の値は、波長を明記
した場合以外は、波長が1550nmの光に対する値と
する。
【0057】まず、第1実施形態に係る利得等化器を図
1に基づいて説明する。同図に示す利得等化器31は、
EDFAの利得スペクトルの特定波長ピーク、例えば図
25(a)に示すEDFAの利得スペクトルに含まれる
2つの波長ピークの一方に対応した波長帯域(以下、反
射帯域という)で所望の反射特性を有するものである。
【0058】すなわち、利得等化器31は、平坦面(一
つの面)32を有する透明基体33と、その平坦面32
に形成された誘電体多層膜フィルタ34とで構成される
1組のマイナスフィルタ35を備えている。ここで、透
明基体33は、ガラス基板である。また、透明基体33
とは反対側にある誘電体多層膜フィルタ34の表面に
は、透明な入射媒質36が接合されている。
【0059】誘電体多層膜フィルタ34は、マイナスフ
ィルタ35が前記反射帯域で所望の反射特性を持つよう
に、相対的に屈折率の高い第1の誘電体薄膜37と、同
誘電体薄膜37よりわずかに屈折率の低い第2の誘電体
薄膜38とが交互に所定の積層数mだけ積層されてい
る。以下の説明で、第1の誘電体薄膜37をHとし、第
2の誘電体薄膜38をLと略称する。
【0060】本実施形態の利得等化器31の構成を、次
のように表すことができる。 「透明基体/(HL)m/入射媒質」 ここで、mは、透明基体33側をHにした2層の薄膜
(HL)を1組としてこの組を多数積層させたときの積
層数である。例えば、「(HL)5」は、(HL)を5
組積層してなる誘電体多層膜フィルタ34を表してい
る。 (HとLとの屈折率差△nについて)上記誘電体多層膜
フィルタ34のHの屈折率(nH)とLの屈折率(nL
との差(屈折率差△n)は、0.003〜0.04の範
囲であることが好ましい。より好ましくは、△nは、
0.008〜0.03の範囲である。
【0061】△nが0.003未満の場合、HとLとの
屈折率差が小さすぎて、上記反射帯域を発現させるのが
困難となる。この場合、HとLの積層数を大幅に増やせ
ば、反射帯域は現れるが、コストが増大するため実用上
好ましくない。
【0062】一方、△nが0.04を越える場合、反射
帯域の幅が100nmより広くなってしまうために、反
射帯域がそれぞれ異なる複数組の上記マイナスフィルタ
35を有する利得等化器を作るのが難しくなる。また、
この場合、反射帯域の透過率が小さくなる(反射率が大
きくなる)ので、反射帯域で光信号の強度を低下させて
しまう。 (誘電体多層膜フィルタ34の屈折率について)誘電体
多層膜フィルタ34の屈折率(平均屈折率nav:nav
(nH+L)/2)は、透明基体33の屈折率(ns)に
近い値であることが望ましい。すなわち、Hの屈折率
(nH)は透明基体33の屈折率(ns)の1.2倍以下
であり、かつLの屈折率(nL)は屈折率(ns)の0.
8倍以上であることが好ましい。より好ましくは、(n
H)は(ns)の1.1倍以下であり、かつ(nL)は
(ns)の0.9倍以上である。ただし、実用に供する
ことができる屈折率(nL)としては、略1.3を下ま
わる物質が存在しないから、略1.3より大きい物質か
ら選択される。
【0063】透明基体33の屈折率(ns)と誘電体多
層膜フィルタ34の平均屈折率(na v)との差が大きい
場合、誘電体多層膜フィルタ34と透明基体33との界
面での反射が起き易くなり、反射による損失が上記透過
帯域のリップルとして現れる。このリップルは、透過帯
域で1%を超える透過損失をもたらすので、好ましくな
い。ここで、「リップル」とは、透過帯域におけるさざ
波状のスペクトルのことである。リップルが存在する
と、透過帯域の透過率が減少するので好ましくない。ま
た、使用波長が可視域の場合には、リップルが存在する
と、透過光が着色することになり好ましくない。 (入射媒質の屈折率について)入射媒質36の屈折率
(nm)は、誘電体多層膜フィルタ34の平均屈折率
(nav)に近い値であることが望ましい。両屈折率の差
が大きい場合、その界面での反射が起き易くなり、その
反射による損失が透過帯域のリップルとして現れる。こ
のリップルも、透過帯域で1%を超える透過損失をもた
らすので、好ましくない。
【0064】上述したように、誘電体多層膜フィルタ3
4の平均屈折率(nav)は透明基体33の屈折率
(ns)に近い値に設定されるので、入射媒質36の屈
折率(nm)は透明基体33の屈折率(ns)と同等にな
るようにすればよい。すなわち、入射媒質36の屈折率
(nm)は、透明基体33の屈折率(ns)の0.8〜
1.2倍にすることが好ましい。より好ましくは、入射
媒質36の屈折率(nm)は、透明基体33の屈折率
(ns)の0.9〜1.1倍である。
【0065】入射媒質36の屈折率(nm)を誘電体多
層膜フィルタ34の平均屈折率(na v)に近い値にする
には、入射媒質36として透明基体33と同じものを用
いればよい。
【0066】以上のように構成された第1実施形態に係
る利得等化器によれば、以下の作用効果を奏する。 (イ)マイナスフィルタ35が、透明基体33と誘電体
多層膜フィルタ34とで構成されるので、温度特性が良
い。これは、透明基体33と誘電体多層膜フィルタ34
の厚さが、数十μm〜ほぼ百μm程度と小さいことによ
る。すなわち、所望の光学特性(反射特性)を発生させ
る機能部分(透明基体33と誘電体多層膜フィルタ3
4)の厚さが上記FBG方式或いはエタロン方式等の利
得等化器と比較して小さいため、温度変化による熱膨張
の影響が小さいからである。これとともに、屈折率が温
度依存性を有する誘電体を用いていないからである。
【0067】したがって、温度変化による中心波長のズ
レを小さくすることができる。この結果、EDFA等の
光増幅器の利得スペクトルを適正に平坦化することがで
きる。
【0068】(ロ)反射特性が誘電体多層膜フィルタ3
4のHとLの屈折率、膜厚及び積層数のみにより決定さ
れる。つまり、上記エタロン方式の利得等化器のよう
に、キャビティ層を高精度に設定したり、両半透過膜の
平坦度及び平面度を極めて精度良く形成する必要がな
い。このため、再現性及び量産性を向上させることがで
きる。
【0069】(ハ)誘電体薄膜HとLを交互に積層した
誘電体多層膜フィルタ34を透明基体33の平坦面32
上に形成した構造であって、HとLとの屈折率差△n
を、0.003〜0.04の範囲内の値、より好ましく
は0.008〜0.03の範囲内の値にしてある。この
ため、EDFAの利得スペクトルの特定の波長ピーク、
例えば図25(a)に示すEDFAの利得スペクトルに
含まれる2つの波長ピークの一方に対応した反射帯域の
狭い損失スペクトルを得ることができる。例えば、反射
帯域の幅を100nm以下にすることができる。
【0070】(ニ)反射帯域の幅を100nm以下にす
ることができるため、反射帯域がそれぞれ異なる複数組
の上記マイナスフィルタ35を組み合せた利得等化器を
作ることが可能になる。
【0071】(ホ)誘電体多層膜フィルタ34の屈折率
(平均屈折率nav)を、透明基体33の屈折率(ns
に近い値にしてある。すなわち、同フィルタ34のHの
屈折率(nH)を透明基体33の屈折率(ns)の1.2
倍以下にしてあるとともに、Lの屈折率(nL)を屈折
率(ns)の0.8倍以上にしてある。より好ましく
は、(nH)を(ns)の1.1倍以下にしてあるととも
に、(nL)を(ns)の0.9倍以上にしてある。
【0072】このため、誘電体多層膜フィルタ34と透
明基体33との界面での反射が起きにくくなる。これに
より、透過帯域のリップルが小さくなり、透過帯域での
透過損失を小さくすることができる。
【0073】()入射媒質36の屈折率(nm)を、
誘電体多層膜フィルタ34の平均屈折率(nav)に近い
値、つまり屈折率(nm)を透明基体33の屈折率
(ns)に近い値或いはそれと同等にしてある。すなわ
ち、屈折率(nm)を屈折率(ns)の0.8〜1.2倍
に、より好ましくは屈折率(nm)を屈折率(ns)の
0.9〜1.1倍にしてある。このため、誘電体多層膜
フィルタ34と入射媒質36との界面での反射が起きに
くくなる。これにより、透過帯域での透過率が高くな
り、透過帯域での透過損失を小さくすることができる。
この結果、EDFA等の光増幅器の利得スペクトルをよ
り一層適正に平坦化することができる。
【0074】[ 第2実施形態に係る利得等化器]次に、
第2実施形態に係る利得等化器を図2に基づいて説明す
る。同図に示す利得等化器31は、上記第1の実施形態
と同様に、1組のマイナスフィルタ35を有している。
この利得等化器31では、透明基体33とは反対側にあ
る誘電体多層膜フィルタ34の表面には、透明基体であ
る入射媒質36が接着剤39で接合されている。ここで
使用される接着剤39は、利得等化器31の光学性能を
損なわない屈折率及び透過率を有するものであればよ
い。
【0075】また、利得等化器31は、上記第1の実施
形態と同様に、透明基体33と入射媒質36の間に誘電
体多層膜フィルタ34を配置した構成、すなわち透明基
体/誘電体多層膜フィルタ/透明基体のサンドイッチ構
造になっている。そして、透明基体33の外面と、入射
媒質36の外面には、反射防止膜40,41がそれぞれ
形成されている。
【0076】以上のように構成された第2実施形態に係
る利得等化器によれば、以下の作用効果を奏する。 (ト)透明基体33とは反対側にある誘電体多層膜フィ
ルタ34の表面と入射媒質36とを、接着剤39を用い
て簡単に接合することができる。
【0077】(チ)透明基体33の外面と、入射媒質3
6の外面に反射防止膜40,41をそれぞれ形成してあ
るので、波長が1550nmの光に対する上記各外面で
の表面反射率を低減することができる。
【0078】[ 第3実施形態に係る利得等化器]次に、
第3実施形態に係る利得等化器を図3に基づいて説明す
る。同図に示す利得等化器31Aは、上記マイナスフィ
ルタ35として、図25(a)の利得スペクトルに含ま
れる3つの波長ピーク(2つの波長ピークとその間の波
長ピーク)にそれぞれ対応する異なる波長帯域で所望の
反射特性をそれぞれ持つ3組のマイナスフィルタ3
1,352,353が設けられている。すなわち、利得
等化器31Aは、上記利得スペクトルに対応する損失ス
ペクトルを与えてEDFAの利得の波長依存性を補償す
るように構成されている。
【0079】マイナスフィルタ351は、透明基体331
と誘電体多層膜フィルタ341とからなり、例えば15
31nmの波長ピークに対応する反射帯域で所望の反射
特性を持つように構成されている。また、マイナスフィ
ルタ352は、透明基体332と誘電体多層膜フィルタ3
2とからなり、例えば1545nmの波長ピークに対
応する反射帯域で所望の反射特性を持つように構成され
ている。そして、マイナスフィルタ353は、透明基体
333と誘電体多層膜フィルタ343とからなり、例えば
1554nmの波長ピークに対応する反射帯域で所望の
反射特性を持つように構成されている。
【0080】これら3組のマイナスフィルタ351〜3
3は、厚さ方向に積層されて互いに接合されている。
すなわち、誘電体多層膜フィルタ341の表面は透明基
体332の平坦面と、誘電体多層膜フィルタ342の表面
は透明基体333の平坦面と、それぞれ接着剤391,3
2により接合されている。また、3つの透明基体331
〜333のうち最も外側にある透明基体331とは反対側
にある誘電体多層膜フィルタ343の表面には、入射媒
質36の平坦面が接着剤393により接合されている。
【0081】以上のように構成された第3実施形態に係
る利得等化器によれば、以下の作用効果を奏する。 (リ)利得等化器31Aは、異なる波長帯域で所望の反
射特性をそれぞれ持つ、つまり異なる損失スペクトル
(反射スペクトル)を持つ3組のマイナスフィルタ35
1〜353を備えている。これら3組のマイナスフィルタ
の損失スペクトルが合成されることにより、図25
(a)に示すような利得スペクトルを補償する損失スペ
クトルを発生させることができる。この損失スペクトル
により、上記利得スペクトルを平坦化してEDFAの利
得の波長依存性を補償することができる。こうして、上
記利得スペクトルを平坦化した利得スペクトル、例えば
図25(d)に示すような等化後の利得スペクトルが得
られる。この結果、広い波長帯域にわたって波長による
強度偏差のない増幅光が得られるので、上記WDM伝送
方式の光通信システムにおいて有利となる。
【0082】(ヌ)3組のマイナスフィルタの各損失ス
ペクトル(反射特性)を適宜変えることにより、種々の
形状の利得スペクトルに対応させることが可能になる [ 一実施形態に係る利得等化器の製造方法]次に、一実
施形態に係る利得等化器の製造方法を図4及び図5に基
づいて説明する。
【0083】上記第1及び第2実施形態の利得等化器3
1を製造するには、図4及び図5に示すスパッタリング
装置42を用いる。このスパッタリング装置42は、真
空ポンプ(不図示)により減圧された雰囲気で調整でき
るようにしたチャンバ43と、上記透明基体33を取り
付ける円筒形のホルダ44とを備える。また、この装置
42は、チャンバ43の壁に取り付けられた一対のカソ
ード45,46と、各カソード45,46のホルダ(カ
ルーセル)44に対向する面に取り付けられた一対のタ
ーゲット(不図示)と、ターゲット近傍に配設された反
応ガス導入口(不図示)とを備える。本例では、一対の
カソード45,46及び一対のターゲットは、互いに隣
接して配置されている。一対のカソード45,46に供
給されるスパッタ電力は、それぞれ独立して制御できる
ようにされている。
【0084】本例の製造方法では、上記スパッタリング
装置42を用いたスパッタリング法により、透明基体3
3上に、上記HとLの薄膜を断続的或いは連続的に交互
に積層して上記誘電体多層膜フィルタ34を形成する。
【0085】この製造方法では、各カソード45,46
には、組成のわずかに異なる金属ターゲット(金属材
料)が取り付けられている。例えば、2つの金属ターゲ
ットの一方のターゲット材料をチタン(Ti)とし、そ
の他方のターゲット材料を、ニオブ(Nb)を10〜2
0質量%含有したチタン−ニオブ合金(Ti−Nb)と
する。カソード45にはTiが、カソード46にはTi
−Nbがそれぞれ貼り付けられている。
【0086】相対的に高屈折率を有する誘電体薄膜
(H)を形成するときには、Tiが貼り付けられている
カソード45にスパッタ電力を供給する。相対的に低屈
折率を有する誘電体薄膜(L)を形成するときには、T
I−Nbが貼り付けられているカソード46にスパッタ
電力を供給する。
【0087】このようにして、2つのカソード45,4
6に交互にスパッタ電力を供給することにより、各ター
ゲット材料は、酸素を反応ガスとした反応性スパッタリ
ングにより、ホルダ44の外側に取り付けられた透明基
体33の表面に、誘電体薄膜として堆積される。
【0088】なお、誘電体薄膜H,Lを交互に積層する
ときの各薄膜の膜厚制御は、通常の直視型光学モニタを
使用して、成膜中の各薄膜の透過率を直接測定しなが
ら、各薄膜の透過率が設計された値となるようにすれば
よい。
【0089】以上のように構成された一実施形態に係る
利得等化器の製造方法によれば、以下の作用効果を奏す
る。 (ル)組成のわずかに異なる2種類の金属材料を適宜選
択することにより、屈折率差△nが上記範囲内の値とな
る誘電体薄膜HとLを、透明基体33上に交互に所望の
数だけ積層することができる。具体的には、チタン−ニ
オブ合金(Ti−Nb)のニオブ(Nb)の含有量を1
0〜20質量%の範囲で適宜選択することにより、誘電
体多層膜フィルタ34のHとLとの屈折率差△nを、
0.003〜0.04の好ましい範囲内で容易に設定す
ることができる。
【0090】これにより、図1及び図2に示す上記利得
等化器31の誘電体多層膜フィルタ34を、透明基体3
3上に容易に形成することができる。また、この製造方
法により、図3に示す利得等化器31Aについても、3
つの透明基体331〜333上に、誘電体多層膜フィルタ
341〜343をそれぞれ容易に形成することができる。
【0091】[ 別の実施形態に係る利得等化器の製造方
法]次に、別の実施形態に係る利得等化器の製造方法を
説明する。この製造方法でも、上記スパッタリング装置
42を用いたスパッタリング法により、透明基体33上
に、上記HとLの薄膜を断続的或いは連続的に交互に積
層して上記誘電体多層膜フィルタ34を形成する。
【0092】この製造方法では、上記一実施形態に係る
製造方法と同様に、上記一対のカソード45,46を隣
接して配置し、両カソード45,46には異なる種類の
金属ターゲット(金属材料)を取り付ける。例えば、カ
ソード45に取り付ける一方のターゲット材料をチタン
(Ti)とし、カソード46に取り付ける他方のターゲ
ット材料を金属シリコン(Si)とする。
【0093】そして、両カソード45,46には、同時
にスパッタ電力を供給して、2つの金属ターゲットを同
時にスパッタする。これにより、酸素を反応ガスとした
反応性スパッタリングにより、高屈折率材料の酸化チタ
ン(TiOx)と低屈折率材料の酸化珪素(SiOy)
との混合物からなる誘電体薄膜が透明基体33上に形成
される。
【0094】そこで、酸素と反応して高屈折率材料のT
iOxになるTiが取り付けられたカソード45には、
HとLのいずれを形成するときにも一定のスパッタ電力
を供給する。一方、酸素と反応して低屈折率材料のSi
OyになるSiが取り付けられたカソード46には、カ
ソード45よりも小さいスパッタ電力を供給し、Hを形
成するときとLを形成するときとでスパッタ電力を加減
する。具体的には、Hを形成するときには、Lを形成す
るときよりもカソード46に供給するスパッタ電力を下
げる。これにより、Siのスパッタレート(スパッタリ
ング率)が、Hを形成するときには、Lを形成するとき
よりも低下する。この結果、Hとして、高屈折率材料の
酸化チタン(TiOx)を主成分とする誘電体薄膜に低
屈折率材料の酸化珪素(SiOy)がより少なく配合さ
れた薄膜が形成される。一方、Lとして、TiOxを主
成分とする誘電体薄膜にSiOyがより多く配合された
薄膜が形成される。
【0095】こうして、HとLを形成する際に、両カソ
ード45,46にスパッタ電力を同時に供給するととも
に、カソード45に供給する同電力は一定にしつつ、カ
ソード46に供給する同電力をHの形成時とLの形成時
とで加減する。このように両カソード45,46に供給
するスパッタ電力を制御することにより、TiOxとS
iOyとの混合物からなる誘電体薄膜の組成比を適宜調
節する。
【0096】これにより、屈折率差△nが上記範囲内の
値となる誘電体薄膜HとLを、透明基体33上に交互に
所望の数だけ積層することができる。以上のように構成
された別の実施形態に係る利得等化器の製造方法によれ
ば、以下の作用効果を奏する。
【0097】(ヲ)隣接して配置した両カソード45,
46のうち、酸素と反応して高屈折率材料になる金属材
料Aが取り付けられたカソードには、常に一定のスパッ
タ電力を供給する。一方、酸素と反応して低屈折率材料
になる金属材料Bが取り付けられたカソードには、Hの
形成時とLの形成時とで加減する。これにより、高屈折
率材料と低屈折率材料との混合物からなる誘電体薄膜の
組成比を適宜調節することができ、屈折率差△nが上記
範囲内の値となる誘電体薄膜HとLを、透明基体33上
に交互に所望の数だけ積層することができる。
【0098】具体的には、酸素と反応して高屈折率材料
の酸化チタン(TiOx)になるチタン(Ti)が取り
付けられたカソード45には、常に一定のスパッタ電力
を供給する。一方、酸素と反応して低屈折率材料の酸化
珪素(SiOy)になる金属シリコン(Si)が取り付
けられたカソード46には、Hの形成時とLの形成時と
で加減する。これにより、酸化チタン(TiOx)と低
屈折率材料の酸化珪素(SiOy)との混合物からなる
誘電体薄膜の組成比を適宜調節して、誘電体多層膜フィ
ルタ34のHとLとの屈折率差△nを0.003〜0.
04の好ましい範囲内の値に容易に設定することができ
る。
【0099】これにより、図1及び図2に示す上記利得
等化器31の誘電体多層膜フィルタ34を、透明基体3
3上に容易に形成することができる。また、この製造方
法により、図3に示す利得等化器31についても、3つ
の透明基体331〜333上に、誘電体多層膜フィルタ3
1〜343をそれぞれ容易に形成することができる。
【0100】[ 更に別の実施形態に係る利得等化器の製
造方法]次に、更に別の実施形態に係る利得等化器の製
造方法を説明する。この製造方法でも、上記スパッタリ
ング装置42を用いたスパッタリング法により、透明基
体33上に、上記HとLの薄膜を断続的或いは連続的に
交互に積層して上記誘電体多層膜フィルタ34を形成す
る。
【0101】この製造方法では、一対のカソード45,
46のうちの一つのみを用い、このカソードに1種類の
金属ターゲットを取り付け、Hの形成時とLの形成時と
で反応ガス種を変えて反応性スパッタリングを行なう。
すなわち、この製造方法では、1種類の金属ターゲット
を用い、Hの形成時とLの形成時とで反応ガス種を変え
ることにより、屈折率の異なる薄膜が得られることを利
用する。
【0102】例えば、金属ターゲットのターゲット材料
として金属シリコン(Si)を用い、反応ガスとして酸
素、窒素、水素、或いは酸素と窒素の混合ガスのいずれ
かを上記チャンバ43に導入すると、以下の屈折率の薄
膜が得られる。
【0103】酸素の場合にはSiOx(屈折率n≒1.
45)の薄膜が、窒素の場合にはSiNy(屈折率n≒
1.8)の薄膜が、水素の場合にはSiHz(屈折率n
≒3.8)の薄膜が、そして、酸素と窒素の混合ガスの
場合にはSiOmNn(1.45<n<1.8の屈折
率)の薄膜がそれぞれ得られる。
【0104】そこで、この製造方法では、例えば、金属
ターゲットのターゲット材料として金属シリコン(S
i)を用い、Hの形成時には反応ガスとして酸素を用
い、Lの形成時には反応ガスとして酸素と窒素の混合ガ
スを用いる。こうした反応性スパッタリングにより、屈
折率差△nが上記範囲内の値となる誘電体薄膜HとL
を、透明基体33上に交互に所望の数だけ積層すること
ができる。
【0105】以上のように構成された更に別の実施形態
に係る利得等化器の製造方法によれば、以下の作用効果
を奏する。 (ワ)一つのカソードに1種類の金属ターゲット(S
i)を取り付け、反応ガスと して酸素、窒素、水素、
或いは酸素と窒素の混合ガスのいずれかを選択し、Hの
形成時とLの形成時とで反応ガス種を変える。これによ
り、屈折率差△nが上記範囲内の値となる誘電体薄膜H
とLを、透明基体33上に交互に所望の数だけ積層する
ことができる。例えば、 Hの形成時には酸素を用い、L
の形成時には酸素と窒素の混合ガスを用いて反応性スパ
ッタリングを行なう。これにより、屈折率差△nが上記
範囲内の値となる誘電体薄膜HとLを、透明基体33上
に交互に積層することができる。
【0106】(カ)混合ガス、例えば酸素と窒素の混合
ガスの混合比を適宜変えることにより、HとLの屈折率
差△nを上記範囲内で適宜変更することができる。 [ 第1実施形態に係る利得等化器付コリメータ]次に、
第1実施形態に係る利得等化器付コリメータを図6に基
づいて説明する。
【0107】この利得等化器付コリメータ50は、ED
FA(エルビウム添加光増幅器)51で増幅され、入射
側の単一モード光ファイバ52から出射される上記波長
多重光を、受光側の単一モード光ファイバ53に結合す
る一対のコリメータレンズ54、55の間に、誘電体多
層膜フィルタ56を配置したものである。この誘電体多
層膜フィルタ56は、図1及び図2に示す上記利得等化
器31の誘電体多層膜フィルタ34と同様に、相対的に
屈折率の高い第1の誘電体薄膜37と、同誘電体薄膜3
7よりわずかに屈折率の低い第2の誘電体薄膜38とを
交互に所定の積層数mだけ積層したものである。なお、
符号57,58は、単一モード光ファイバ52,53を
それぞれ保持するキャピラリである。
【0108】すなわち、この利得等化器付コリメータ5
0は、入射側の単一モード光ファイバ52から出射され
る光を平行光にする上記透明基体33としての入射側コ
リメータレンズ54と、同レンズ54の平坦な端面(一
つの面)に形成された誘電体多層膜フィルタ56とで構
成される1組のマイナスフィルタ59を備えている。こ
のマイナスフィルタ59は、上記利得等化器31のマイ
ナスフィルタ35と同様に、図25(a)に示す利得ス
ペクトルに含まれる複数の波長ピークのうち、特定の波
長ピークに対応する狭い反射帯域で所望の光学性能(反
射率)を持っている。
【0109】また、同コリメータ50は、前記平行光を
受光側の単一モード光ファイバ53に結合する上記入射
媒質36としての受光側コリメータレンズ55を備え、
同レンズ55の平坦な端面は誘電体多層膜フィルタ56
の表面に接着剤60で接合されている。なお、コリメー
タレンズ54,55は、半径方向屈折率分布型ロッドレ
ンズ等の円筒型マイクロレンズで構成されている。
【0110】このように、利得等化器付コリメータ50
は、コリメータレンズ54と誘電体多層膜フィルタ56
とで構成される1組のマイナスフィルタ59と、コリメ
ータレンズ55とで構成される利得等化器61を備えて
いる。
【0111】以上のように構成された第1実施形態に係
る利得等化器付コリメータによれば、以下の作用効果を
奏する。 (ヨ)コリメータ50には利得等化器61が一体化され
ているので、他の光学素子を用いることなく、波長分割
多重伝送装置の光増幅器の前後にある光ファイバ間(入
射側及び受光側光ファイバ間)へ組み付けるだけで、光
増幅器の利得スペクトルを補償することができる。
【0112】また、その組み付けは、入射側コリメータ
レンズの光軸を入射側の単一モード光ファイバの軸心に
一致させるとともに、受光側コリメータレンズの光軸を
受光側の単一モード光ファイバの軸心に一致させるだけ
でよいので、波長分割多重伝送装置への組付が容易であ
る。
【0113】(タ)利得等化器付コリメータ50を波長
分割多重伝送装置に組み付けることにより、EDFA5
1で増幅され、入射側の単一モード光ファイバ52から
出射される上記波長多重光を、EDFA51の利得スペ
クトルを適正に平坦化した上で受光側の単一モード光フ
ァイバ53に結合させることができる。
【0114】[ 第2実施形態に係る利得等化器付コリメ
ータ]次に、第2実施形態に係る利得等化器付コリメー
タを図7に基づいて説明する。この利得等化器付コリメ
ータ50Aには、図3に示す上記第3実施形態に係る利
得等化器31Aと同様に、3組のマイナスフィルタ59
1,592,593を含む利得等化器61Aが設けられて
いる。3組のマイナスフィルタ591,592,59
3は、利得等化器31Aの3組のマイナスフィルタ3
1,352,353と同様に、図25(a)の利得スペ
クトルに含まれる3つの波長ピーク(1531nm、1
545nm、及び1554nmの各波長ピーク)に対応
する波長帯域で所望の反射特性をそれぞれ持っている。
【0115】マイナスフィルタ591は、コリメータレ
ンズ541と、同レンズの平坦な端面に形成された誘電
体多層膜フィルタ561とで構成される。マイナスフィ
ルタ592は、コリメータレンズ542と、同レンズの平
坦な端面に形成された誘電体多層膜フィルタ562とで
構成される。マイナスフィルタ593は、コリメータレ
ンズ543と、同レンズの平坦な端面に形成された誘電
体多層膜フィルタ563とで構成される。
【0116】また、4つのコリメータレンズ541,5
2,543及び55は、各々の光軸が一致するように配
置されている。そして、3組のマイナスフィルタ591
〜593は、各コリメータレンズの光軸方向に縦に接続
(配置)されている。すなわち、誘電体多層膜フィルタ
561とコリメータレンズ542とは、接着剤601で接
合されている。誘電体多層膜フィルタ562とコリメー
タレンズ543とは、接着剤602で接合されている。ま
た、誘電体多層膜フィルタ563とコリメータレンズ5
5とは、接着剤603で接合されている。こうして、利
得等化器31Aの入射媒質36に相当するコリメータレ
ンズ55の平坦面は、3つのコリメータレンズ(透明基
体)541〜543のうち最も外側にあるレンズ541
は反対側にある誘電体多層膜フィルタ563の表面に接
着剤603により接合されている。なお、単一モード光
ファイバ53は、波長多重光λ1〜λnを各波長毎に分離
してn個の光信号を取り出す分波器74に接続されてい
る。
【0117】以上のように構成された第2実施形態に係
る利得等化器付コリメータ50Aによれば、以下の作用
効果を奏する。 (レ)利得等化器付コリメータ50Aには、異なる3つ
の波長帯域で所望の反射特性をそれぞれ持つ、つまり異
なる損失スペクトル(反射スペクトル)を持つ3組のマ
イナスフィルタ591〜593を含む利得等化器61Aが
設けられている。これら3組のマイナスフィルタの損失
スペクトルが合成されることにより、図25(a)に示
すような利得スペクトルを補償する損失スペクトルを発
生させることができる。この損失スペクトルにより、上
記利得スペクトルを平坦化してEDFAの利得の波長依
存性を補償することができる。こうして、上記利得スペ
クトルを平坦化した利得スペクトル、例えば図25
(d)に示すような等化後の利得スペクトルが得られ
る。
【0118】したがって、EDFA51で増幅され、入
射側の単一モード光ファイバ52から出射される上記波
長多重光を、上記透過帯域の光信号の強度を低下させる
ことなく、EDFA51の利得スペクトルを上記反射帯
域で適正に平坦化した上で受光側の単一モード光ファイ
バ53に結合させることができる。この結果、広い波長
帯域にわたって波長による強度偏差のない増幅光が、受
光側の単一モード光ファイバ53側で得られるので、上
記WDM伝送方式の光通信システムにおいて有利とな
る。
【0119】(ソ)3組のマイナスフィルタの各損失ス
ペクトルを変えて、これらの損失スペクトルが合成され
て得られる損失スペクトルを変えることにより、複雑な
形状の利得スペクトルを補償することが可能になる。
【0120】[ 一実施形態に係る利得等化器を用いた波
長分割多重伝送装置]一実施形態に係る利得等化器を用
いた波長分割多重伝送装置を、図8及び図9に基づいて
説明する。この波長分割多重伝送装置70は、図3に示
す上記第3実施形態に係る利得等化器31Aを備えてい
る。
【0121】すなわち、図8に示す波長分割多重伝送装
置70は、異なる波長の光信号λ1〜λnをそれぞれ出
射するn個の光源711,712,…71nと、これらn
個の光信号λ1〜λnを多重化し、この多重された信号光
(波長多重光)を1本の単一モード光ファイバ72に結
合する合波器73とを備える。n個の光源711…71n
は、例えばレーザダイオードアレイで構成される。
【0122】さらに、波長分割多重伝送装置70は、波
長多重光λ1〜λnを一括して増幅する上記EDFA51
と、波長多重光λ1〜λnを各波長毎に分離してn個の光
信号を取り出す分波器74とを備える。また、分波器7
4で分離されたn個の光信号は、n本の単一モード光フ
ァイバをそれぞれ介してn個の受光部751,752,…
75nで受光される。n個の受光部751…75nは、例
えばフォトディテクターアレイで構成される。
【0123】そして、波長分割多重伝送装置70では、
EDFA51の後、すなわちEDFA51と分波器74
との間に、利得等化器31Aを含む利得等化モジュール
76が配置されている。
【0124】この利得等化モジュール76は、図9に示
すように、EDFA51で増幅され、単一モード光ファ
イバ52から出射される上記波長多重光を、平行光にす
るコリメータレンズ77と、この平行光を集光して受光
側の単一モード光ファイバ78に結合するコリメータレ
ンズ79とを備える。両コリメータレンズ77,79間
の平行光路中に利得等化器31Aが配置されている。な
お、符号80,81は、単一モード光ファイバ52,7
8をそれぞれ保持するキャピラリである。
【0125】以上のように構成された一実施形態に係る
利得等化器を用いた波長分割多重伝送装置70によれ
ば、以下の作用効果を奏する。 (ツ)EDFA51で増幅され、入射側の単一モード光
ファイバ52から出射される上記波長多重光を、利得等
化器31Aにより、EDFA51の利得スペクトルを上
記反射帯域で適正に平坦化させた上で、受光側の単一モ
ード光ファイバ53に結合させることができる。この結
果、広い波長帯域にわたって波長による強度偏差のない
増幅光を得ることができ、上記WDM伝送方式の光通信
システムにおいて有利となる。
【0126】[ 実施例1]次に、図1及び図2に示す上
記第1及び第2実施形態に係る利得等化器31の一例と
しての実施例1を、図10及び図24に示す表に基づい
て説明する。 (マイナスフィルタ35の作製)図4及び図5に示すカ
ルーセル式のスパッタリング装置42を用い、上記第1
実施形態に係る製造方法と同様に、一対のカソード4
5,46を互いに近接して配置し、各カソードには、ス
パッタ電力を独立して供給できるようにしておく。
【0127】カソード45,46の一方に取り付ける金
属ターゲットとしてチタン(Ti)を用い、その他方に
取り付ける金属ターゲットとしてボロン添加シリコン
(Si:B)を用いた。放電用ガスとして酸素とアルゴ
ンガスの混合ガスを使用し、カソード45,46に同時
に給電して2つのターゲットを同時に放電させること
で、反応性スパッタリングによる酸化チタン(TiO
2)及び酸化シリコン(SiO2)が混合された誘電体
薄膜を、ホルダ(カルーセル)44に取り付けた上記透
明基体33としてのガラス基板上に堆積させた。同基板
として、100mm×100mm×厚さ1mmのガラス
基板(Schott社製の「BK7」)を用いた。
【0128】ホルダ44の回転速度は200min-1
酸素ガス流量は40cm3/分、アルゴンガス流量は1
0cm3/分、ガス全圧力は0.66Pa(5×10-3
Torr)の条件でスパッタリングを行なった。また、
成膜時のガラス基板の加熱は行なわなかった。
【0129】誘電体多層膜フィルタ34の各誘電体薄膜
HとLの屈折率の設定は、上記条件において、両カソー
ド45,46へのスパッタ電力をそれぞれ調整して両金
属ターゲットの各スパッタレートを制御し、ガラス基板
上に形成される混合誘電体薄膜中のTiO2成分とSi
O2成分の組成比を調整することにより行なった。
【0130】なお、混合誘電体薄膜の形成にあたって、
予め実験成膜を行なうことにより、各カソード45,4
6に供給するスパッタ電力と、得られる誘電体薄膜の屈
折率との関係を決定し、その後、 決定されたスパッタ電
力を各カソードに供給した。
【0131】その実験成膜は、以下のようにして行なっ
た。上記スパッタリング条件で、2つのカソード45,
46への供給電力値として各々5つのレベルを設定し、
各カソードへの供給電力をそれぞれ5つのレベルに変え
て、ガラス基板上に単層の混合誘電体薄膜を10回形成
した。各回で同基板上に形成された単層の混合誘電体薄
膜の屈折率を分光エリプソメータにより測定した。こう
して得られた10回の測定結果から、各カソードへの供
給電力値と得られる混合誘電体薄膜の屈折率との関係を
把握した。
【0132】また、誘電体多層膜フィルタ34の各誘電
体薄膜HとLの膜厚制御は、上記スパッタリング装置4
2に取り付けたガラス基板の透過率を膜形成中でも直接
測定することができる直視型光学モニターによりその透
過率を監視しながら、HとLが所望の膜厚となるように
制御を行なった。
【0133】以上の方法により、以下に示す屈折率のH
とLをガラス基板上に積層できるように、各カソードへ
の供給電力を設定して、スパッタリングを行なった(図
24の実施例1に示すデータを参照)。
【0134】Hの屈折率(nH):1.530(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.519(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.011 また、本実施例では、反射帯域の中心波長λをλ=15
50nmとし、「ガラス基板(透明基体33)/(H
L)100/ガラス基板(入射媒質36)」の構成にする
膜設計にしたがってマイナスフィルタ35を作製した。
なお、ガラス基板(BK7)の屈折率、すなわち上記透
明基体33の屈折率(ns)は、1.493である(図
24参照)。 (ガラス基板との貼り合わせ)次に、上記マイナスフィ
ルタ35の入射媒質36の屈折率(nm)を誘電体多層
膜フィルタ34の平均屈折率(nav)と同等、すなわち
ガラス基板(透明基体33)の屈折率(ns)と同等に
するために、以下の手順で入射媒質36(ガラス基板)
の貼り付けを行なった。
【0135】ガラス基板(透明基体33)に形成された
誘電体多層膜フィルタ34の表面に紫外線硬化接着剤
(n=1.511)を塗布し、透明基体33に用いたガ
ラス基板と同じ種類で同じ形状のガラス基板(BK7)
を貼り付け、誘電体多層膜フィルタ34を同じ2枚のガ
ラス基板で挟み込むような構造にする。この状態で、紫
外線硬化接着剤に紫外線を照射してし、誘電体多層膜フ
ィルタ34の表面に入射媒質としてのガラス基板を接着
した。 (反射防止膜の成膜)上記2枚のガラス基板の外面に、
次のようにして反射防止膜をそれぞれ形成した。両ガラ
ス基板の外面に、電子線加熱真空蒸着法により、TiO
2(64.1nm)/SiO2(60.8nm)/Ti
O2(218.7nm)/SiO2(258.7nm)
を形成した。このようにして形成された反射防止膜によ
り、λ=1550nm±50nmの波長域において、図
3に示す利得等化器31の両側の各表面反射率はそれぞ
れ0.2%以下となった。
【0136】このようにして作製された利得等化器の光
学特性(反射特性)の評価を、LED光源を用いた光ス
ペクトルアナライザにより実施した。本実施例に係る利
得等化器によれば、図10に示す透過スペクトルが得ら
れる。同図から明らかなように、反射帯域がほぼ30n
mであり、反射帯域の透過率の幅がほぼ60%であり、
反射帯域以外の透過帯域での透過率は100%で、透過
帯域でのリップルはごくわずかであった。この利得等化
器は、WDM伝送システムに適用できるレベルである。
このことを、図24では、透過スペクトルの欄に○印を
付けて示してある。
【0137】[ 実施例2]次に、図3に示す上記第3実
施形態に係る利得等化器31Aの一例としての実施例2
を、図11及び図24に基づいて説明する。
【0138】本実施例では、反射帯域の中心波長λが、
それぞれ1545nm、1554nm、1531nmで
ある3組のマイナスフィルタ351,352,353を作
製し、これらを直列に(縦に並べて)貼り合わせて利得
等化器31Aを作製した。
【0139】この利得等化器31Aを作製するために、
実施例1で行なった実験成膜の結果を利用して、実施例
1と同様の方法で以下に示す屈折率のHとLをガラス基
板上に積層できるように、各カソードへの供給電力を設
定して、スパッタリングを行なった(図24の実施例2
に示すデータを参照)。
【0140】Hの屈折率(nH):1.526(λ=1
545nmでの値) Lの屈折率(nL):1.520(λ=1545nmで
の値) 屈折率差△n:0.006 反射帯域の中心波長λをλ=1545nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)125」の構成となる膜設計にしたがっ
てマイナスフィルタa1を作製した。
【0141】このマイナスフィルタa1の光学性能を評
価するために、同フィルタa1の誘電体多層膜フィルタ
の表面に、上記紫外線硬化接着剤を用いてガラス基板を
接着し、その後、実施例1と同様に2つのガラス基板の
外面に反射防止膜を形成した。こうして得られたマイナ
スフィルタをA1とする。このマイナスフィルタA1の
透過スペクトルを実施例1と同様の方法で測定した。そ
の透過スペクトルが、図11の曲線A1で示されてい
る。
【0142】次に、マイナスフィルタa1と同様に、以
下に示す屈折率のHとLをガラス基板上に積層できるよ
うに、各カソードへの供給電力を設定して、スパッタリ
ングを行なった(図24の実施例2に示すデータを参
照)。
【0143】Hの屈折率(nH):1.526(λ=1
554nmでの値) Lの屈折率(nL):1.520(λ=1554nmで
の値) 屈折率差△n:0.006 反射帯域の中心波長λをλ=1554nmとし、「ガラ
ス基板(/(HL)16 5」の構成となる膜設計にしたが
ってマイナスフィルタa2を作製した。
【0144】このマイナスフィルタa2の光学特性を評
価するために、上記フィルタa1を用いてフィルタA1
を作製したのと同じ方法で、同フィルタa2を用いてマ
イナスフィルタA2を作製する。マイナスフィルタA2
の透過スペクトルが、図11の曲線A2で示されてい
る。
【0145】そして、マイナスフィルタa1と同様に、
以下に示す屈折率のHとLをガラス基板(透明基体33
3)上に積層できるように、各カソードへの供給電力を
設定して、スパッタリングを行なった(図24の実施例
2に示すデータを参照)。
【0146】Hの屈折率(nH):1.523(λ=1
531nmでの値) Lの屈折率(nL):1.520(λ=1531nmで
の値) 屈折率差△n:0.003 反射帯域の中心波長λをλ=1531nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)375」の構成となる膜設計にしたがっ
てマイナスフィルタa3を作製した。このマイナスフィ
ルタa2の光学特性を評価するために、上記フィルタa
1を用いてフィルタA1を作製したのと同じ方法で、同
フィルタa3を用いてマイナスフィルタA3を作製す
る。マイナスフィルタA3の透過スペクトルが、図11
の曲線A3で示されている。
【0147】次に、各ガラス基板(図3に示す透明基体
331,332,333)上に、上記マイナスフィルタa
1,a2,a3とそれぞれ同じ屈折率のHとLを積層さ
せて、図3に示す3組のマイナスフィルタ351,3
2,353を作製した。この後、これら3組のマイナス
フィルタ351,352,353及びガラス基板(入射媒
質36)を、図3に示すように接着剤391,392,3
3でそれぞれ貼り合わせて利得等化器31Aを作製し
た。
【0148】こうして作製された利得等化器31Aの反
射スペクトルを測定した。同スペクトルが、図11の合
成損失曲線で示されている。この合成損失曲線で示され
る損失スペクトルは、上記3つのマイナスフィルタA
1,A2,A3の透過スペクトルが合成されたもので、
EDFAの利得スペクトルを打ち消すような(補償す
る)損失スペクトルになることが確認された。
【0149】[ 実施例3]実施例1と同様の方法で、以
下に示す屈折率のHとLをガラス基板上に積層できるよ
うに、各カソードへの供給電力を設定して、スパッタリ
ングを行なった(図24の実施例3に示すデータを参
照)。
【0150】Hの屈折率(nH):1.523(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.520(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.003 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)250」の構成となる膜設計にしたがっ
てマイナスフィルタを作製した。このマイナスフィルタ
の誘電体多層膜フィルタの表面に、紫外線硬化接着剤を
用いてガラス基板を接着し、その後、実施例1と同様に
2つのガラス基板の外面に反射防止膜を形成した。
【0151】作製された利得等化器の光学特性の評価
を、LED光源を使用した光スペクトルアナライザを用
いて実施した。本実施例に係る利得等化器によれば、図
12に示す透過スペクトルが得られる。同図から明らか
なように、反射帯域の幅がほぼ10nmであり、反射帯
域の透過率がほぼ80%であり、透過帯域での透過率は
100%で、透過帯域でのリップルはごくわずかであっ
た。
【0152】本実施例では、屈折率差△nを0.003
と小さくしたので、ほぼ10nmという狭い反射帯域の
反射特性が得られた。反射帯域の透過率はやや高くなっ
たが、積層数を増やせば反射帯域の透過率をさらに低く
することができる。
【0153】[ 実施例4]実施例1と同様の方法で、以
下に示す屈折率のHとLをガラス基板上に積層できるよ
うに、各カソードへの供給電力を設定して、スパッタリ
ングを行なった(図24の実施例4に示すデータを参
照)。
【0154】Hの屈折率(nH):1.558(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.520(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.038 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)30」の構成となる膜設計にしたがって
マイナスフィルタを作製した。このマイナスフィルタの
誘電体多層膜フィルタの表面に、紫外線硬化接着剤を用
いてガラス基板を接着し、その後、実施例1と同様に2
つのガラス基板の外面に反射防止膜を形成した。
【0155】作製された利得等化器の光学特性の評価を
上記と同様に実施した。本実施例に係る利得等化器によ
れば、図13に示す透過スペクトルが得られる。同図か
ら明らかなように、反射帯域の幅がほぼ100nmであ
り、反射帯域の透過率がほぼ60%であり、透過帯域で
の透過率は100%で、透過帯域でのリップルはごくわ
ずかであった。
【0156】本実施例では、屈折率差△nを0.038
と大きくしたので、反射帯域が広くなった。 [ 実施例5]実施例1と同様の方法で、以下に示す屈折
率のHとLをガラス基板上に積層できるように、各カソ
ードへの供給電力を設定して、スパッタリングを行なっ
た(図24の実施例5に示すデータを参照)。
【0157】Hの屈折率(nH):1.765(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.750(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.015 誘電体多層膜フィルタの平均屈折率nav:1.758
(ガラス基板(透明基体)の屈折率(ns=1.49
3)の1.18倍) 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)100」の構成となる膜設計にしたがっ
てマイナスフィルタを作製した。このマイナスフィルタ
の誘電体多層膜フィルタの表面に、紫外線硬化接着剤を
用いてガラス基板を接着し、その後、実施例1と同様に
2つのガラス基板の外面に反射防止膜を形成した。
【0158】作製された利得等化器の光学特性の評価を
上記と同様に実施した。本実施例に係る利得等化器によ
れば、図14に示す透過スペクトルが得られる。同図か
ら明らかなように、反射帯域の幅がほぼ50nmであ
り、反射帯域の透過率がほぼ75%であり、透過帯域全
域にわたってわずかにリップルが発生し、透過帯域での
リップルによる透過損失は約3%になった。
【0159】本実施例では、誘電体多層膜フィルタの平
均屈折率をガラス基板(透明基体)の屈折率(ns)の
約1.2倍と大きくしたので、透過帯域にわずかにリッ
プルが発生した。
【0160】[ 実施例6]透明基体として、屈折率が
1.767のガラス基板(松浪硝子製「SFL−6」)
を用いて、同基板上に、実施例1と同様の方法で以下に
示す屈折率のHとLを積層できるように、各カソードへ
の供給電力を設定して、スパッタリングを行なった(図
24の実施例6に示すデータを参照)。
【0161】Hの屈折率(nH):1.520(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.505(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.015 上記平均屈折率nav:1.513(ガラス基板(透明基
体)の屈折率(ns=1.767)の0.85倍) 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)70」の構成となる膜設計にしたがって
マイナスフィルタを作製した。このマイナスフィルタの
誘電体多層膜フィルタの表面に、紫外線硬化接着剤を用
いて屈折率(n m)が1.767のガラス基板(入射媒
質)を接着し、その後、実施例1と同様に2つのガラス
基板の外面に反射防止膜を形成した。
【0162】作製された利得等化器の光学特性の評価を
上記と同様に実施した。本実施例に係る利得等化器によ
れば、図15に示す透過スペクトルが得られる。同図か
ら明らかなように、反射帯域の幅がほぼ40nmであ
り、反射帯域の透過率がほぼ60%であり、反射帯域の
周辺にわずかにリップルが発生したが、リップルによる
透過損失は問題のない程度であった。
【0163】本実施例では、誘電体多層膜フィルタの平
均屈折率をガラス基板(透明基体)の屈折率(ns)の
約0.85倍と小さくしたので、透過帯域にわずかにリ
ップルが発生した。
【0164】[ 実施例7]透明基体として、屈折率が
1.767のガラス基板(松浪硝子製「SFL−6」)
を用いて、同基板上に、実施例1と同様の方法で以下に
示す屈折率のHとLを積層できるように、各カソードへ
の供給電力を設定して、スパッタリングを行なった(図
24の実施例7に示すデータを参照)。
【0165】Hの屈折率(nH):1.470(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.455(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.015 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)70」の構成となる膜設計にしたがって
マイナスフィルタを作製した。このマイナスフィルタの
誘電体多層膜フィルタの表面に、紫外線硬化接着剤を用
いて屈折率(n m)が1.455の石英ガラス基板(入
射媒質)を接着し、その後、実施例1と同様に2つのガ
ラス基板の外面に反射防止膜を形成した。
【0166】作製された利得等化器の光学特性の評価を
上記と同様に実施した。本実施例に係る利得等化器によ
れば、図16に示す透過スペクトルが得られる。同図か
ら明らかなように、反射帯域の幅がほぼ50nmであ
り、反射帯域の透過率がほぼ70%であり、反射帯域の
周辺にわずかにリップルが発生し、リップルによる透過
損失は約3%であった。
【0167】本実施例では、入射媒質(石英ガラス基
板)の屈折率(nm)をガラス基板(透明基体)の屈折
率(ns)の約0.8倍と小さくしたので、透過帯域に
わずかにリップルが発生した。
【0168】[ 実施例8]透明基体として、実施例1で
用いた屈折率(ns)が1.493のガラス基板(BK
7)を用いて、同基板上に、実施例1と同様の方法で以
下に示す屈折率のHとLを積層できるように、各カソー
ドへの供給電力を設定して、スパッタリングを行なった
(図24の実施例8に示すデータを参照)。
【0169】Hの屈折率(nH):1.535(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.520(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.015 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)70」の構成となる膜設計にしたがって
マイナスフィルタを作製した。このマイナスフィルタの
誘電体多層膜フィルタの表面に、紫外線硬化接着剤を用
いて屈折率(n m)が1.767のガラス基板(松浪硝
子製「SFL−6」)を接着し、その後、実施例1と同
様に2つのガラス基板の外面に反射防止膜を形成した。
【0170】作製された利得等化器の光学特性評価を上
記と同様に実施した。本実施例に係る利得等化器によれ
ば、図17に示す透過スペクトルが得られる。同図から
明らかなように、反射帯域の幅がほぼ40nmであり、
反射帯域の透過率がほぼ60%であり、反射帯域の周辺
にわずかにリップルが発生し、リップルによる透過損失
は約3%であった。
【0171】本実施例では、入射媒質(ガラス基板)の
屈折率(nm)をガラス基板(透明基体)の屈折率
(ns)の約1.2倍と大きくしたので、透過帯域にわ
ずかにリップルが発生した。
【0172】[ 実施例9]本実施例では、誘電体薄膜H
とLを交互に積層して誘電体多層膜フィルタを形成する
とき、入射媒質及び透明基体に近くなるにつれてHとL
の屈折率差△nがより小さくなるようにする。いわゆる
アポダイゼーションの手法を用いた。
【0173】透明基体として、実施例1で用いた屈折率
(ns)が1.493のガラス基板(BK7)を用い
て、同基板上に、実施例1と同様の方法で図18(a)
に示す屈折率のHとLを積層できるように、各カソード
への供給電力を設定して、スパッタリングを行なった
(図24の実施例9に示すデータを参照)。
【0174】Hの屈折率(nH):1.583(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.550(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.033 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)30」の構成となる膜設計にしたがって
マイナスフィルタを作製した。なお、上記屈折率
(nH),(nL)は、それぞれ誘電体多層膜フィルタの
膜厚方向の中央部における屈折率である。
【0175】このマイナスフィルタの誘電体多層膜フィ
ルタの表面に、紫外線硬化接着剤を用いて透明媒質とし
ての上記ガラス基板(BK7)を接着し、その後、実施
例1と同様に2つのガラス基板の外面に反射防止膜を形
成した。
【0176】作製された利得等化器の光学特性の評価を
上記と同様に実施した。本実施例に係る利得等化器によ
れば、図19に示す透過スペクトルが得られる。同図か
ら明らかなように、反射帯域の幅がほぼ100nmであ
り、反射帯域の透過率がほぼ80%であった。屈折率差
△nが大きいにもかかわらず、透過帯域にはリップルは
発生しなかった。
【0177】[ 比較例1]実施例1と同様の方法で、以
下に示す屈折率のHとLをガラス基板上に積層できるよ
うに、各カソードへの供給電力を設定して、スパッタリ
ングを行なった(図24の比較例1に示すデータを参
照)。
【0178】Hの屈折率(nH):1.702(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.505(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.197 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)30」の構成となる膜設計にしたがって
マイナスフィルタを作製した。このマイナスフィルタの
誘電体多層膜フィルタの表面に、紫外線硬化接着剤を用
いてガラス基板を接着し、その後、実施例1と同様に2
つのガラス基板の外面に反射防止膜を形成した。
【0179】作製された利得等化器の光学特性の評価を
上記と同様に実施した。比較例1に係る利得等化器によ
れば、図20に示す透過スペクトルが得られる。同図か
ら明らかなように、反射帯域の幅がほぼ150nmであ
り、反射帯域の透過率がほぼ0%であり、透過帯域には
極めて大きなリップルが発生している。
【0180】本比較例では、HとLの屈折率差△nが約
0.2であり、上記好ましい範囲から外れているので、
反射帯域の幅が大きくなった。このような利得等化器
は、WDM伝送システムに適用できない。このことを、
図24では、透過スペクトルの欄に×印を付けて示して
ある。
【0181】[ 比較例2]実施例1で用いたガラス基板
(屈折率ns=1.493)の上に、実施例1と同様の
方法で、以下に示す屈折率のHとLを積層できるよう
に、各カソードへの供給電力を設定して、スパッタリン
グを行なった(図24の比較例2に示すデータを参
照)。
【0182】Hの屈折率(nH):1.824(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.810(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.014 上記平均屈折率nav:1.817(ガラス基板(透明基
体)の屈折率(ns=1.493)の1.21倍) 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)100」の構成となる膜設計にしたがっ
てマイナスフィルタを作製した。このマイナスフィルタ
の誘電体多層膜フィルタの表面に、紫外線硬化接着剤を
用いてガラス基板を接着し、その後、実施例1と同様に
2つのガラス基板の外面に反射防止膜を形成した。
【0183】作製された利得等化器の光学特性の評価を
上記と同様に実施した。比較例2に係る利得等化器によ
れば、図21に示す透過スペクトルが得られる。同図か
ら明らかなように、反射帯域の幅がほぼ30nmであ
り、反射帯域の透過率がほぼ60%であり、反射帯域の
特性は問題ないレベルである。
【0184】しかし、透過帯域には極めて大きなリップ
ルが発生し、リップルによる透過損失は約5%である。
これは、誘電体多層膜フィルタの屈折率(平均屈折率n
av)が透明基体としてのガラス基板の屈折率(ns)よ
り上記好ましい範囲を超えて大きいため、ガラス基板と
誘電体多層膜フィルタの界面での反射による損失が発生
し、リップルが現れたのである。
【0185】このように、透過帯域での透過損失が大き
い利得等化器は、WDM伝送システムに適用できない。 [ 比較例3]実施例1と同様の方法で、以下に示す屈折
率のHとLを積層できるように、各カソードへの供給電
力を設定して、スパッタリングを行なった(図24の比
較例3に示すデータを参照)。
【0186】Hの屈折率(nH):1.530(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.519(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.011 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)100」の構成となる膜設計にしたがっ
てマイナスフィルタを作製した。
【0187】この後、実施例1のようにマイナスフィル
タの誘電体多層膜フィルタの表面にガラス基板(入射媒
質)を接着せずに、入射媒質を空気(屈折率1.0)と
した。また、透明基体としてのガラス基板の外面には反
射防止膜を形成した。
【0188】作製された利得等化器の光学特性の評価を
上記と同様に実施した。比較例3に係る利得等化器によ
れば、図22に示す透過スペクトルが得られる。同図か
ら明らかなように、反射帯域の幅がほぼ40nmであ
り、反射帯域の透過率がほぼ75%であり、反射帯域の
特性は問題ないレベルである。
【0189】ところが、透過帯域には極めて大きなリッ
プルが発生し、リップルによる透過損失は約10%であ
る。これは、入射媒質の屈折率(1.0)が誘電体多層
膜フィルタの屈折率(平均屈折率nav)より好ましい範
囲を超えて小さいため、誘電体多層膜フィルタの表面で
の反射による損失が発生し、リップルが現れたのであ
る。
【0190】このように、リップルによる透過帯域での
透過損失が大きい利得等化器は、WDM伝送システムに
適用できない。 [ 比較例4]実施例1と同様の方法で、以下に示す屈折
率のHとLを積層できるように、各カソードへの供給電
力を設定して、スパッタリングを行なった(図24の比
較例4に示すデータを参照)。
【0191】Hの屈折率(nH):1.532(λ=1
550nmでの値) Lの屈折率(nL):1.516(λ=1550nmで
の値) 屈折率差△n:0.016 反射帯域の中心波長λをλ=1550nmとし、「ガラ
ス基板/(HL)110」の構成となる膜設計にしたがっ
てマイナスフィルタを作製した。このマイナスフィルタ
の誘電体多層膜フィルタの表面に、紫外線硬化接着剤を
用いて、屈折率(nm)が1.856のガラス基板(オ
ハラ光学製「S−LAH58」)を接着し、その後、実
施例1と同様に2つのガラス基板の外面に反射防止膜を
形成した。
【0192】作製された利得等化器の光学特性の評価を
上記と同様に実施した。比較例4に係る利得等化器によ
れば、図23に示す透過スペクトルが得られる。同図か
ら明らかなように、反射帯域の幅がほぼ30nmであ
り、反射帯域の透過率がほぼ30%であり、反射帯域の
特性は問題ないレベルである。
【0193】しかし、透過帯域には極めて大きなリップ
ルが発生し、リップルによる透過損失は約10%であ
る。これは、入射媒質の屈折率(nm)が透明基体の屈
折率(ns)或いは誘電体多層膜フィルタの屈折率(平
均屈折率nav)の1.24倍であり、好ましい範囲を超
えているため、入射媒質と誘電体多層膜フィルタの界面
での反射による損失が発生し、リップルが現れたのであ
る。
【0194】このように、透過帯域での透過損失が大き
い利得等化器は、WDM伝送システムに適用できない。 [ 変形例]なお、この発明は以下のように変更して具体
化することもできる。
【0195】・上記第1実施形態に係る利得等化器で
は、透明基体33をガラス基板としているが、本発明は
これに限定されない。透明基体33としては、使用され
る波長の光を透過させるもの、すなわち本実施形態では
波長が1550nmの光を透過させるものであればよ
い。例えば、透明基体33としては、ガラス基板以外
に、透明樹脂基板、光を透過させる面が平面である円筒
形レンズ、例えば屈折率分布型ロッドレンズ、導波路等
の光学部品を使用することできる。
【0196】・上記第1実施形態に係る利得等化器で
は、1組のマイナスフィルタ35を有する利得等化器3
1の構成を、「透明基体/(HL)m/入射媒質」とし
ているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、
利得等化器31の構成を、「透明基体/L(HL)m/
入射媒質」、「透明基体/(HL)mH/入射媒質」、
或いは「透明基体/(LH)m/入射媒質」としてもよ
い。ここで、「L(HL)m」は、透明基体33の平坦
面32上にLを一層形成し、このL上に(HL)をm組
積層した誘電体多層膜フィルタ34を表している。ま
た、「(HL)mH」は、(HL)をm組積層した上に
Hを1層形成した誘電体多層膜フィルタ34を表してい
る。そして、そして、「(LH)m」は、透明基体33
側をLにした2層の薄膜(LH)をm組積層してなる誘
電体多層膜フィルタ34を表している。
【0197】・図3に示す上記第3実施形態に係る利得
等化器において、マイナスフィルタの数は3組に限ら
ず、2組或いは4組以上であってもよい。 ・図7に示す上記第2実施形態に係る利得等化器付コリ
メータにおいて、マイナスフィルタの数は3組に限ら
ず、2組或いは4組以上であってもよい。
【0198】・図1〜図3に示す上記第1〜第3実施形
態に係る利得等化器付コリメータでは、透明基体を平行
平面板であるガラス基板で構成してあるが、本発明はこ
れに限定されない。透明基板として、光を透過させる面
が平面であるレンズ、或いは平坦な端面を有する光導波
路を用いてもよい。レンズとしては、例えば、図6及び
図7に示すような屈折率分布型ロッドレンズ、屈折率分
布平板マイクロレンズ等が使用可能である。また、光導
波路としては、例えば、ガラス基板内に複数チャンネル
の導波路が形成された光導波路素子等、各種の光導波路
素子が使用可能である。
【0199】・上記第1〜第3実施形態に係る利得等化
器付コリメータでは、HとLの誘電体薄膜が層間界面を
持つように積層されているが、本発明はこれに限定され
ない。HとLの誘電体薄膜が界面を持たずに屈折率が膜
厚方向に連続的に変化するような誘電体多層膜フィルタ
であってもよい。すなわち、膜厚方向に屈折率が正弦関
数的に変化する誘電体多層膜フィルタでもよい。この場
合、光線光学理論から、その正弦関数は、振幅が△n/
2で、その正弦波の波長が(λ/4)×2となるような
関数であるのがよい。
【0200】・上記別の実施形態に係る利得等化器の製
造方法において、酸素と反応して高屈折率材料のTiO
xになるチタン(Ti)に代えて、同じく酸素と反応し
て高屈折率材料になるニオブ(Nb)やタンタル(T
a)をターゲット材料として用いることもできる。
【0201】・上記別の実施形態に係る利得等化器の製
造方法では、酸素と反応して高屈折率材料のTiOxに
なるTiが取り付けられたカソード45には、HとLの
いずれを形成するときにも一定のスパッタ電力を供給す
る。一方、酸素と反応して低屈折率材料のSiOyにな
るSiが取り付けられたカソード46には、カソード4
5よりも小さいスパッタ電力を供給し、Hを形成すると
きとLを形成するときとでスパッタ電力を加減するよう
にしている。本発明は、これに限定されない。
【0202】すなわち、酸素と反応して高屈折率材料の
TiOxになるTiが取り付けられたカソード45に供
給するスパッタ電力を、Hを形成するときとLを形成す
るときとで加減するようにしてもよい。この場合、Hと
して、低屈折率材料の酸化珪素(SiOy)を主成分と
する誘電体薄膜に高屈折率材料の酸化チタン(TiO
x)がより多く配合された薄膜が形成される。一方、L
として、(SiOy)を主成分とする誘電体薄膜に(T
iOx)がより少なく配合された薄膜が形成される。
【0203】・上記別の実施形態に係る利得等化器の製
造方法において、2つのターゲット材料として、種類の
異なる酸化物、例えば低屈折率材料の酸化珪素(SiO
2)と高屈折率材料の酸化チタン(TiO2)を用いる
ようにしてもよい。この場合、非反応性スパッタリング
により、両カソード45,46に供給するスパッタ電力
を調節することにより、所望の屈折率を有するHとLを
交互に積層させることができる。非反応性スパッタリン
グのうち、イオンビームを用いる方式や、RF(高周
波)を用いる方式のスパッタリングが好適である。
【0204】・上記一実施形態及び別の実施形態に係る
利得等化器の製造方法では、スパッタリング法で誘電体
多層膜フィルタを形成するようにしているが、本発明は
これに限定されない。すなわち、精密に厚さを制御しな
がらHとLの誘電体薄膜を交互に積層することができる
他の方法、物理気相堆積法或いは化学気相堆積法、例え
ばCVD法等により誘電体多層膜フィルタを形成するよ
うにしてもよい。
【0205】・上記更に別の実施形態に係る利得等化器
の製造方法では、金属ターゲットのターゲット材料とし
て金属シリコン(Si)を用いているが、他のターゲッ
ト材料を使用してもよい。
【0206】・上記更に別の実施形態に係る利得等化器
の製造方法において、HとLの形成時に同じ種類の反応
ガスを用い、同ガスの供給量をHの形成時とLの形成時
とで異ならせるようにしてもよい。この場合、その供給
量を適宜選択することにより、屈折率差△nが上記範囲
内の値となる誘電体薄膜HとLを、透明基体33上に交
互に積層することができる。また、その供給量を適宜選
択することにより、屈折率差△nを上記範囲内で適宜変
更することができる。
【0207】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、温度変化による中心波長のズレを小さくす
ることができる。この結果、EDFA等の光増幅器の利
得スペクトルを適正に平坦化することができる。これと
ともに、再現性及び量産性の向上を図ることができる。
【0208】請求項10に係る発明によれば、波長分割
多重伝送装置への組付けが容易でかつ光増幅器の利得ス
ペクトルを適正に平坦化することができる。請求項13
及び請求項14に係る発明によれば、誘電体多層膜フィ
ルタを容易に形成でき、温度特性、再現性及び量産性に
優れた利得等化器を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態に係る利得等化器の概略構成を
示す部分断面図。
【図2】 第2実施形態に係る利得等化器の概略構成を
示す側面図。
【図3】 第3実施形態に係る利得等化器の概略構成を
示す側面図。
【図4】 利得等化器の製造に用いるスパッタリング装
置を示す斜視図。
【図5】 同スパッタリング装置の一部を断面で示した
平面図。
【図6】 第1実施形態に係る利得等化器付コリメータ
を示す概略構成図。
【図7】 第2実施形態に係る利得等化器付コリメータ
を示す概略構成図。
【図8】 一実施形態に係る波長分割多重伝送装置を示
す概略構成図。
【図9】 同伝送装置の利得等化モジュールの概略構成
を示す拡大図。
【図10】 実施例1に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図11】 実施例2に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図12】 実施例3に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図13】 実施例4に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図14】 実施例5に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図15】 実施例6に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図16】 実施例7に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図17】 実施例8に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図18】 実施例9に係る利得等化器の屈折率分布を
示すグラフ。
【図19】 実施例9に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図20】 比較例1に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図21】 比較例2に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図22】 比較例3に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図23】 比較例4に係る利得等化器の透過特性を示
すグラフ。
【図24】 実施例1〜9及び比較例1〜4の各データ
を示す一覧表。
【図25】 (a)EDFAの利得スペクトルを示すグ
ラフ、(b)3組のマイナスフィルタの配置例を示す説
明図、(c)3組のマイナスフィルタの損失スペクトル
及び合成損失スペクトルを示すグラフ、(d)利得等化
後の損失スペクトルを示すグラフ。
【図26】 マイナスフィルタに要求される一般的な特
性を説明するためのグラフ。
【符号の説明】
31,31A,61,61A…利得等化器、33,33
1〜333…透明基体、34,341〜343…誘電体多層
膜フィルタ、35,351〜353…マイナスフィルタ、
50,50A…利得等化器付コリメータ、52…入射側
の単一モード光ファイバ、53…受光側の単一モード光
ファイバ、54,55,541〜543…コリメータレン
ズ、56,561〜563…誘電体多層膜フィルタ、5
9,591〜593…マイナスフィルタ、70…波長分割
多重伝送装置、711〜71n…光源、73…合波器、7
4…分波器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04B 10/02 G02B 6/28 C 10/18 (72)発明者 豊島 隆之 大阪市中央区北浜四丁目7番28号 日本板 硝子 株式会社内 Fターム(参考) 2H048 GA09 GA12 GA33 GA51 GA55 GA60 GA62 5F072 AB09 AK06 KK30 YY17 5K002 AA06 CA10 CA13 DA02 FA02

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長の異なる複数の光信号が多重された
    波長多重光を増幅する光増幅器の利得スペクトルを平坦
    化する利得等化器であって、 透明基体と、同基体の一つの面に形成された誘電体多層
    膜フィルタとで構成される少なくとも1組のマイナスフ
    ィルタを備え、 同マイナスフィルタが、前記利得スペクトルのピ−ク波
    長に対応する波長帯域で所望の反射特性を持つように、
    前記誘電体多層膜フィルタを、屈折率差の小さい第1の
    誘電体薄膜と第2の誘電体薄膜とを交互に積層して構成
    したことを特徴とする利得等化器。
  2. 【請求項2】 前記透明基体のうち最も外側にある透明
    基体とは反対側にある前記誘電体多層膜フィルタの表面
    には、透明な入射媒質が接合されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の利得等化器。
  3. 【請求項3】 前記マイナスフィルタとして、前記利得
    スペクトルに含まれる複数の波長ピークにそれぞれ対応
    する異なる波長帯域で所望の反射特性をそれぞれ持つ複
    数組のマイナスフィルタが設けられていることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の利得等化器。
  4. 【請求項4】 前記最も外側にある透明基体の外面と、
    前記入射媒質の外面には、それぞれ反射防止膜が形成さ
    れていることを特徴とする請求項2又は3に記載の利得
    等化器。
  5. 【請求項5】 前記第1の誘電体薄膜と第2の誘電体薄
    膜との屈折率差が0.003〜0.04の範囲であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の利
    得等化器。
  6. 【請求項6】 前記マイナスフィルタの各々において、
    前記両誘電体薄膜の一方の屈折率は前記透明基体の屈折
    率の1.2倍以下であり、かつその他方の誘電体薄膜の
    屈折率は前記透明基体の屈折率の0.8倍以上であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の利
    得等化器。
  7. 【請求項7】 前記マイナスフィルタの各々において、
    前記両誘電体薄膜の一方の屈折率は前記透明基体の屈折
    率の1.1倍以下であり、かつその他方の誘電体薄膜の
    屈折率は前記透明基体の屈折率の0.9倍以上であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の利
    得等化器。
  8. 【請求項8】 前記入射媒質の屈折率は、前記透明基体
    の屈折率の0.8〜1.2倍であることを特徴とする請
    求項2〜7のいずれか一項に記載の利得等化器。
  9. 【請求項9】 前記入射媒質の屈折率は、前記透明基体
    の屈折率の0.9〜1.1倍であることを特徴とする請
    求項2〜7のいずれか一項に記載の利得等化器。
  10. 【請求項10】 上記請求項1〜9のいずれか一項に記
    載の利得等化器を備える利得等化器付コリメータであっ
    て、 入射側の単一モード光ファイバからの出射光を平行光に
    する前記透明基体としての入射側コリメータレンズと、
    同レンズの一つの面に形成された前記誘電体多層膜フィ
    ルタとで構成される少なくとも1組の前記マイナスフィ
    ルタを備えるとともに、前記入射側コリメータレンズと
    は反対側にある前記誘電体多層膜フィルタの表面には、
    前記平行光を受光側の単一モード光ファイバに結合する
    前記入射媒質としての受光側コリメータレンズが接合さ
    れていることを特徴とする利得等化器付コリメータ。
  11. 【請求項11】 前記マイナスフィルタとして、前記利
    得スペクトルに含まれる複数の波長ピークにそれぞれ対
    応する異なる波長帯域で所望の反射特性をそれぞれ持つ
    複数組の前記マイナスフィルタを備え、これら複数組の
    マイナスフィルタは、前記レンズの光軸方向に縦に接続
    されていることを特徴とする請求項10に記載の利得等
    化器付コリメータ。
  12. 【請求項12】 前記各レンズは、それぞれ屈折率分布
    型ロッドレンズであることを特徴とする請求項10又は
    11に記載の利得等化器付コリメータ。
  13. 【請求項13】 上記請求項1〜9のいずれか一項に記
    載の利得等化器の製造方法であって、 組成のわずかに異なる2種類の金属材料を、物理気相堆
    積法或いは化学気相堆積法により、前記透明基体の一つ
    の面上に交互に堆積させて、前記誘電体多層膜フィルタ
    を形成することを特徴とする利得等化器の製造方法。
  14. 【請求項14】 上記請求項1〜9のいずれか一項に記
    載の利得等化器の製造方法であって、 前記第1及び第2の誘電体薄膜を前記透明基体上に形成
    する過程で、これら両誘電体薄膜の少なくとも一方の屈
    折率を選択することができるように、1種類以上の金属
    材料を、スパッタリング法により前記透明基体上に堆積
    させることを特徴とする利得等化器の製造方法。
  15. 【請求項15】 種類の異なる金属材料がターゲット材
    料としてそれぞれ取り付けられた2つの電極を隣接させ
    て配置し、該両電極の一方に供給する電力は前記第1及
    び第2の誘電体薄膜の形成時に一定として、前記両電極
    の他方に供給する電力を、前記第1の誘電体薄膜の形成
    時と前記第2の誘電体薄膜の形成時とで異ならせること
    を特徴とする請求項14に記載の利得等化器の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 ターゲット材料として、それぞれ高屈
    折率材料と低屈折率材料である2種類の金属酸化物を用
    い、これらの金属酸化物を非反応性スパッタリングによ
    り前記透明基体上に堆積させることを特徴とする請求項
    14又は15に記載の利得等化器の製造方法。
  17. 【請求項17】 1種類のターゲット材料を用い、前記
    第1の誘電体薄膜の形成時と前記第2の誘電体薄膜の形
    成時とで反応ガスの種類を異ならせることを特徴とする
    請求項14に記載の利得等化器の製造方法。
  18. 【請求項18】 1種類のターゲット材料を用いるとと
    もに1種類の反応ガスを用い、前記第1の誘電体薄膜の
    形成時と前記第2の誘電体薄膜の形成時とで前記反応ガ
    スの供給量を異ならせることを特徴とする請求項14に
    記載の利得等化器の製造方法。
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