JP4533150B2 - 複数の蛍光色材を有するプリント用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

複数の蛍光色材を有するプリント用インク及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ全般(インクジェット機器、オフセット印刷機、プロッター、ラインプリンタ等)に適用可能な複数の蛍光色材を備えたプリント用インク及びこれを用いたプリント画像における蛍光性を向上できるプリント用インク、さらには、このインクを用いたインクジェット記録方法に関する。さらに、本発明は、具体的には、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクに対して用いられる第2蛍光色材における、蛍光発光特性を向上するための新規な技術を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な用途で使用可能なインクが求められており、かかる用途としては、単に美麗な有色画像を形成することに留まらず、例えば、インクに蛍光性を持たすことで、文字、数字、記号、バーコード等の情報を記録媒体に記録し、適当な波長の紫外光を照射することにより蛍光インクを有色発光させて、可視情報以外の情報(例えば、セキュリティ情報)等を付与する技術展開が提案されている。その中でも特に蛍光を発光させてその発光強度を読み取る装置を使用して真贋判定(偽造防止)情報やセキュリティ情報を読み取る方式では、その方式で用いられる基準波長(例えば、254nm)で励起させ(基準励起波長)、蛍光色材を蛍光発色させて判定や、測定に用いられている。
【0003】
他方、色材の種類からインクを検討すると、色材として染料を用いた場合には基準とする色調を得ることが容易であるが、得られた画像の耐水性が劣る場合があり、逆に、色材として顔料を用いた場合は得られた画像の耐水性は良好となるものの、基準とする色調が得られない場合がある。このような観点から、耐水性及び色調の両方を満足できる画像を与えることのできるインクとして、これらの両方を色材として含むインクが提案されている。例えば、特公昭60−45669号公報(特許文献1)には、水溶性赤色染料(例えば、アシッドレッド52)と、赤色顔料とを記録剤とし、これらを、顔料を液媒体中に分散させるための高分子分散剤とともに含有する記録液が開示されている。
【0004】
一方、メーリングシステムとしては、米国では蛍光の赤色印刷を行うことが一般的で、蛍光色素として前記公報にもあるアシッドレッド52(AR52)等の染料が用いられている。このような、アシッドレッド52を蛍光染料として例示し、蛍光染料、顔料及び顔料の分散剤としてのポリマーを含むインクが、米国特許第6,176,908号明細書(特許文献2)に開示されている。尚、この明細書にも記載されるように、形成された「画像の色味」の色調に変える(いわゆる人間の感覚としてとらえた色調を調整する)ために、その色調に合わせた染料を組み合わせることは、この特許文献2の記載よりはるか以前から設計事項として知られている。
【0005】
なお、米国特許第6,176,908号明細書(特許文献2)に開示された発明は、特公昭60−45669号公報(特許文献1)と同様に、耐水性向上を目的として蛍光染料に顔料を加えたインクジェット用インクに関する発明であるが、可視(目視)による色味という前記周知の目的のために、2種の蛍光染料を組み合わせた系や、さらに蛍光強度(PMU値)を向上させるための添加剤を添加した系について記載されている。この蛍光強度(PMU値)を向上する具体例には、顔料部分(ポリマー、テトラエチレングリコールまたはジエチレングリコール)を除くと、溶剤としての水、2−ピロリデノン、テトラエチレングリコール及び次に挙げる蛍光色材が記載されている。さらに、この複数蛍光色材として、前述したAR52(0.4質量%、0.5質量%〜3.0質量%)に対してAY7、AY73、DY96のいずれかの組み合わせや、ベーシックバイオレット(RHDB)に対してベーシックイエロー(BY40)を加える例示が記載されている。
【0006】
また、特開平11−80632号公報(特許文献3)には、インビジブル蛍光水性インクであって、3種の蛍光色材(蛍光増白剤、クマリン誘導体系の黄色蛍光染料及びローダミンB,6G系の赤系蛍光染料)を含むインクとこれによるはがき印刷が開示されている。その技術説明は、これら3種の蛍光色材が紫外光によりピーク発光し、さらにその発光で順次、他の色材を励起し、最終的に587nmの蛍光発光を行うとされている。しかしながら、この文献には、この励起波長については具体的な記載が全く無く、インクとその記録画像とが同一の蛍光特性を示すという結果を用いて技術説明がなされている。一般に紫外光は水に吸収されるのでインクと記録画像では蛍光の結果は異なるものとなるという事実から判断すると、この文献に記載されている発明は、技術的に信憑性がない。また、WO02/092707号(特許文献4)では、特許文献3の趣旨と同様に、紫外光励起により蛍光発光する複数の蛍光染料(赤系染料、黄系染料、青系染料、黒系染料)を用いて、黒系画像を形成しつつ、基準発光のカラー発光を得るインクが開示されている。この文献には、前記特許文献3とは異なる技術ポイントとして、相対的に長波長側の吸収スペクトルと短波長側の発光スペクトルとを重ねないように複数の染料を選定することが主たる発明として記載されている。この文献も、複数蛍光色材の関係を十分解析できていないため、目的とする蛍光強度を確実に確保できるものではない。一方、これらに対して、特開2003−113331号公報(特許文献5)は、蛍光特性を溶剤と蛍光色材の関係で向上する発明を開示する。特許文献5は、同色蛍光色材を2種有し(蛍光性をもたない色材を加えた例示も有る)、互いに相溶性のない2種の有機溶媒(グリセリンとノニオン界面活性剤等)とこれらを溶解する純水を備えた記録用インクを開示している。
【0007】
【特許文献1】
特公昭60−45669号公報
【特許文献2】
米国特許第6,176,908号明細書
【特許文献3】
特開平11−80632号公報
【特許文献4】
WO02/092707号明細書
【特許文献5】
特開2003−113331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来における複数の蛍光染料を組み合わせたインクは、基準発光の蛍光波長領域(例えば、580nm〜620nmの全体もしくはこの範囲内の1波長といった蛍光波長)の蛍光強度を向上すべく、特性の一部を捉えて組み合わせを行うものでしかない。つまり、基準励起波長に対して基準発光の蛍光波長(例えば、580nm〜620nm)領域の蛍光を示す第1蛍光色材の蛍光強度を、他の蛍光色材(以下、第2色材と呼ぶ)との関係で少なくとも従来以上に向上できる技術は提供されていない。従って、複数の蛍光染料同士の関係や、インクとしての特性、組成、あるいは、形成された画像の解析自体が、本発明の技術課題となる。また、本発明の主たる目的は、根本的に「蛍光」というものを解析して、蛍光強度を複数の蛍光染料による新規な技術的解明とその方向性を提供することにある。そこで、本願発明者らは「蛍光」という現象、メカニズムを考慮することで基本的な技術追求を行なった。例えば、従来の技術の欄で挙げた蛍光染料AR52は、紫外光を吸収してしまう水系インク中でも十分な赤の領域の蛍光発光を示すが、記録画像では、紫外線励起による蛍光は弱い。この現象を追求したところ、AR52が赤の蛍光を発光するための励起波長が紫外域だけではなく、可視光領域にも多くあることと被記録媒体中における蛍光染料の定着状態に左右されていることが要因であると判定された。従って、この赤を発光するための励起波長を如何に多く与えるか或いは記録画像としての染料定着状態を蛍光発光に対して有効にするための技術解析等が、本発明の主たる課題となった。
【0009】
また、前述したように第1色材をAR52とした場合、単独の特性としては、0.01質量%以下の水分を蒸発させたインクでも充分な蛍光強度を示すが、画像を形成する上で記録媒体としての紙や封筒の表面繊維に定着できずに紙内部に無駄に消費されることやインク中の第1,第2色材の量を増やすと逆に蛍光強度が低下する濃度消光といった問題も、夫々考慮すべき事項の1つである。他方、与えられるエネルギーは、基準励起波長に限られることも考慮すべき事項の1つである。他の解析は以下の説明から理解できよう。
【0010】
依って、本発明は、蛍光強度を従来の技術水準よりも向上するためには少なくとも下記の課題の1つ(好ましくは、下記課題の複数)を解決するものである。
【0011】
本発明の第1課題は、基準励起波長の付与によって発生する、第2色材の蛍光発光と基準発光波長(以下、1波長または波長幅の基準蛍光波長とする)を得るための第1色材の励起波長との相関に着目して、エネルギー効率を向上することで基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0012】
本発明の第2課題は、第1色材が呈する吸収スペクトルと基準励起波長の付与によって発生する第2色材が発する蛍光発光とに着目してエネルギー高効率化を達成し、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0013】
本発明の第3課題は、蛍光染料同士の構造分析によって得られた知見(即ち、蛍光染料の会合を合理的に防止することで蛍光染料の添加量を増大できること)により、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0014】
本発明の第4課題は、前記第3課題に加えて、基準励起波長の付与によって発生する第2色材が発する蛍光発光と第1色材の基準発光蛍光波長を得るための励起波長特性に関与することに着目して、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0015】
本発明の第5課題は、複数蛍光色材を有するインク自体における特性として、より安定的に基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0016】
本発明の第6課題は、形成される画像からの分析によって得られた知見、即ち、画像が形成される記録媒体の種類、特性に大きく左右されずに、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
【0017】
本発明の第7課題は、前記第1課題に加えて、第1色材の励起特性と第2色材の吸収スペクトルの相関に着目して、エネルギー効率を向上することで基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。なお、本発明の更なる課題や目的は、以下の説明で明らかになろう。依って、本発明は、少なくとも上記各課題を解決し、優れた蛍光強度を満足するプリント用インクを提供することをその目的とする。本発明の他の目的は、このプリント用インクを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を達成するための本発明には以下の態様が含まれる。本発明のうち波長関係を総称すると、第1蛍光色材の基準発光波長(例えば、600nm)を得るための励起波長特性のピーク波長領域(後述の図2参照)及び/または、上記第1蛍光色材の可視光の吸収スペクトル(後述の図6下側)を、第2蛍光色材の蛍光発光波長域(後述の図3参照)が少なくとも包含することとしてまとめられる。
【0019】
本発明のプリント用インクの第1態様は、1蛍光色材及び第2蛍光色材を含むプリント用インクであって、
記第1蛍光色材がC.I.アシッドレッド52であり、前記第2蛍光色材が下記化合物(A)またはC.I.ダイレクトイエロー87であることを特徴とするプリント用インクである。
【0020】
【化1】
Figure 0004533150
【0021】
上記のプリント用インクをインクジェット記録に用いることにより、少なくとも蛍光強度において優れた記録画像を提供することができる。かかる効果を発揮する本発明のインクジェット記録方法は、インクを吐出口から吐出して記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが上記態様にかかるプリント用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法である。また、上記態様にかかるプリント用インクにより形成された画像に紫外光を照射し、可視光領域の蛍光発光を得ることで画像の真贋判定を行うことを特徴とする画像判定方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材との関係を前記各発明に定義するように規定するものである。
【0023】
加えて、本発明者らは、上記課題に説明した以外にも蛍光色材を用いて得られる画像からの蛍光強度に集中して、各種蛍光色材の特性やプリント用インクが画像における蛍光強度等について種々の検討を行ってきた。蛍光染料などの蛍光色材の蛍光強度に影響する因子を分析してみると、色材分子の配置が蛍光強度に大きな影響を与えていることが見出された。即ち、AR52ではこれを単独で用いた水系インクを可視光域で見た場合、0.01質量%以下の濃度の溶液では染料が単分子状態で展開しているので十分な蛍光強度を示す一方で、0.2質量%から0.3質量%の水溶液で記録すると、蛍光強度が低下するという現象(濃度消光)が見られた。これは、色材分子ができるだけ単体で、かつなるべく高濃度で存在していると十分な蛍光強度が得られるのに対して、分子が会合、凝集あるいは集合したり、濃度が高くなって分子同士が接近していると、各分子への励起光の照射効率が低下したり、各分子からの蛍光発光が他の分子により阻害されたりして、全体としての蛍光強度が低下した。
【0024】
従って、上記のような濃度消光を生じる蛍光色材を含むインクを被記録材に記録した場合、被記録材の表面及びその内部へインクが拡散、浸透する際に、上記のような蛍光色材分子が単体の状態を維持できず、一層、会合または凝集あるいは集合等が生じて蛍光強度が低下してしまう。この場合、相対的に被記録材内部に浸透して定着した蛍光色材は蛍光強度の増強に寄与しにくくなる。更に、蛍光強度を上げる目的でインク中の蛍光色材の濃度を上げた場合、蛍光色材の被記録材での会合または凝集あるいは集合等が生じやすくなり、インク中の染料濃度を上げた増分に対して蛍光強度を向上することができなくなる場合がある。
【0025】
このような蛍光色材の挙動を考慮して、本発明者らは、被記録材に記録された際に、十分な蛍光強度を発揮し得る単体分子の状態或いはそれに近い状態をどのように達成できるかという点について着目した。そして、鋭意検討し、本発明にかかる第1蛍光色材と第2蛍光色材の組み合わせを用いることでかかる目的を達成できることを見出し、本発明に至った。本発明にかかる第1蛍光色材と第2蛍光色材の組み合わせにおいては、基準発光の蛍光波長における蛍光強度を生じさせる蛍光色材の単分子の状態を溶剤及び/または色材特性により被記録材に記録された際にも維持させるとともに、インク中での濃度を上げた際にも、色材構成により蛍光色材の濃度の上昇に伴って蛍光強度を上げることが可能である。更に、第1蛍光色材と第2蛍光色材のエネルギー的な相互作用によっても蛍光強度の増加を図ることができる。これらの効果は、溶液(インク)の状態のみならず、被記録材にインクを付与して得られた画像においても発揮される。
【0026】
本発明にかかる現状でのベストなプリント用インク(後述する)は、記録画像として判定した場合、米国特許第6,176,908号明細書に記載されるPMU値(LM−2C Luminance Meter("LM 2C")で測定)を従来の蛍光インクによる記録画像よりも少なくとも2倍(上記溶媒条件を含めた本発明インクでは3倍)増大させることができた。
【0027】
以下、図面を使用しながら説明するが、記録画像或いは印字物と説明しない場合は、作成したインクを水分蒸発させ、有機溶剤が各色材を分散している蒸発インクにおける測定データである。本発明の各態様にかかるプリント用インクは、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材と、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材と、これらを溶解または分散するための液媒体と、を含有するものである。
【0028】
本発明の第1及び第2蛍光色材としては、上記した各態様にかかる構成を満たすものが用いられ、染料、顔料いずれも問わないが、インクの記録媒体上でのにじみ率が大きく、より高い蛍光強度を満足させるためには染料が好ましい。
具体的な染料としては、例えばC.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、17、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、11:1、14、C.I.アシッドイエロー73、184、250、C.I.アシッドレッド51、52、92、94、C.I.ダイレクトイエロー11、24、26、87、100、147、C.I.ダイレクトオレンジ26、29、29:1、46、C.I.ダイレクトレッド1、13、17、239、240、242、254等が挙げられる。
【0029】
本発明における第1及び第2蛍光色材の使用量は第1及び第2蛍光色材の合計量として、インク全量を基準として、0.01質量%以上、15質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以上10質量%以下が実用上好ましい。尚、蛍光色材にもよるが、0.01質量%以下では印字物としての蛍光強度が得られない場合があり、インクジェット方式で使用する場合は15質量%以上では吐出特性に影響を与える場合がある。実用的には、第1色材は、0.01〜1質量%の範囲から選択することが好ましく、更に、技術的には、励起エネルギー効率を一層向上する意味から第2蛍光色材が第1蛍光色材よりも多くインクに含有されていることが好ましい。
【0030】
また、上記に示した蛍光染料の中には、ある規定濃度以上になると蛍光が弱くなるといった現象を生じるものとして知られた蛍光染料が含まれており、そのような蛍光染料では、強い蛍光強度を発現させることのできる濃度領域がある。その場合には強い蛍光強度を発現させる濃度領域で使用することが好ましい。
【0031】
蛍光強度を向上させるための手段として、第1及び第2蛍光色材が以下の(態様1)〜(態様3)の各態様の少なくとも1つを有することが好ましく、この態様に見合った第1及び第2蛍光色材の組み合わせを上記に示した色材の中から任意に選択することができる。
本発明において、複数蛍光色材の組み合わせの最も好ましい例として、第1蛍光色材がC.I.アシッドレッド52、第2蛍光色材が下記の化合物(A)である組み合わせが挙げられる。測定用或いは、判定用に使用される基準発光波長を以下の説明では600nmとするが、この波長規定は、580nm以上620nm以下の範囲すべてでもよく、又、この範囲の任意の波長としても良い。
【0032】
この第1蛍光色材であるAR52の254nmの基準励起波長による蛍光発光は、図1に示すように、550nmから始まり、ピークが600nmで、675nm近辺までの広範囲の蛍光発光領域を持つ。つまり、単体で、ここで定める基準発光波長の600nmを発光するが、上記580nm以上620nm以下の範囲すべてでも発光する。又、第1蛍光色材であるAR52の可視光の吸収スペクトルは、図6の下側グラフで示すように、460nmから始まり、ピークが565nmで、610nmまでである。
【0033】
上記化合物(A)の構成は以下のとおりである。
【0034】
【化2】
Figure 0004533150
【0035】
この化合物(A)は、構造上、2量体蛍光発光団を複数有しているため、会合防止機能を備え、化合物(A)自身も添加量の増加に対して蛍光強度を向上できるものである。又、化合物(A)は、スルホン基を有する水難溶解性(98質量%純水に対しての溶解性は2質量%未満である)の直接性染料で、有機溶剤に対しては良溶解性である。この化合物(A)の254nmの基準励起波長による蛍光発光は、図3に示すように、425nmから始まり、ピークが510nmで、650nm近辺までの広範囲の蛍光発光領域を持つ。従って、化合物(A)の添加量を増加するほど、この蛍光発光強度を向上することができ、上記第1蛍光色材への励起エネルギーを増大することができる。又、化合物(A)の可視光の吸収は、図5の下側グラフで示すように380nm(ピーク値)以上440nmまでで、紫外吸収も持つ。従って、化合物(A)の添加量をかなり増加しても化合物自体の蛍光発光特性及び上記第1蛍光色材に対する励起波長域の強度、更には上記第1蛍光色材自体の上記蛍光発光特性を低下することがない。
【0036】
また、インク中に使用する溶剤は、上記第1蛍光色材を高溶解する純水と上記第2蛍光色材を高溶解する有機溶剤とを用いる事が良い。さらに好ましくは、液溶媒として界面活性剤を含むことが好ましい。この溶媒関係によって、さらに上記第1蛍光色材を単分子化した状態の定着画像を広く形成する特徴と上記第2蛍光色材と第1色材の分散定着状態を均一化する特徴とが十分に発揮され、インクの水分蒸発状態での254nmの励起による蛍光発光特性(図7のグラフ参照)よりも、記録画像におけるその蛍光発光特性(図8のグラフ参照)が、レベルアップすることができる。このように、化合物(A)は、本発明の各課題を数多く解決する構造や特性を有する好ましい具体例である。
【0037】
以下、第1蛍光色材がC.I.アシッドレッド52、第2蛍光色材が上記化合物(A)である組み合わせを、基準励起波長(254nm)で得られる第1蛍光色材(AR52)の基準発光波長(ここでは、600nm)を測定基準として、本発明各態様を含めながら説明する。
【0038】
[態様1]
態様1は、第1蛍光色材の基準発光波長(600nm)を得るための励起波長特性のピーク波長領域(図2参照)及び/または、上記第1蛍光色材の可視光の吸収スペクトル(図6下側)を、第2蛍光色材の蛍光発光波長域が少なくとも包含することを特徴とする。
【0039】
この態様1は、波長領域の相対関係を損失に対する完全補完或いは、効率向上の効果を満足するものである。まず、上記第1蛍光色材としてのC.I.アシッドレッド52(AR52)を水溶液(グリセリン等の有機溶媒及び純水)に所定量(本例では溶液に対して0.3質量%)を溶解した後、60度Cで水分を完全に蒸発させて得られるインク(以下、蒸発インクと呼ぶ)を作成した。
【0040】
この蒸発インクに対して測定器(日本分光株式会社製FP750)で、254nmで励起を行った場合、図1の蛍光発光を生じ、基準発光波長600nmを得るための励起波長をその吸収スペクトルとして表すと、図2のとおりである。図2は、265nm近傍にピークを持つピーク領域と、360nm近傍にピークを持つピーク領域を紫外光領域の380nm以下の波長域に有し、可視光領域には1つのピーク領域があることを示している。一般に判定用に用いられる紫外光励起の波長は、254nmか365nmが使用されていることから、エネルギー変換効率を検討したところ、次のことが得られた。即ち、この縦軸で示される励起強度が100で確実な効果が確認でき、判定に適する強度を有効に示すことが確認された。
【0041】
従って、本発明における第1蛍光色材の蛍光発光の「基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域」とは、このエネルギー変換効率を考慮した実用的な意味を持つものである。即ち、上記第1蛍光色材の「基準蛍光波長を得るための励起波長のスペクトル(図2)」において、基準蛍光波長に隣接しているピークを持つスペクトルのうち上記強度が100以上の領域をピーク領域とし、この領域を与える波長がピーク波長領域である。従って、図2において、AR52の基準蛍光波長を600nmとした場合(基準励起波長:254nm)、このピーク波長領域は430nm以上600nm以下となる。
【0042】
これに対して、図3に示すように、第2蛍光色材としての化合物(A)は、基準励起波長で励起を行った場合、上記ピーク波長領域の430nm以上600nm以下の波長範囲を含み、少なくとも450nmから600nmまでの広範囲の主たる蛍光発光領域を持つ。無論、上記強度を100とした場合も、上記化合物(A)は、その範囲も満足する蛍光発光を行うことが上記各図から理解できる。
【0043】
図4は、上記第1蛍光色材の励起波長スペクトル(図2)と、第2蛍光色材の蛍光発光の波長スペクトル(図3)とを重ねているもので、化合物(A)の蛍光発光波長特性と、AR52の600nm発光を得るための励起波長との関係を示すグラフである。図4から理解できるように、図1のAR52の最大発光強度を示す波長(600nm)を基準にしても、化合物(A)の最大発光強度を示す波長(510nm)は、発光強度が800以上を示すほど有効である。これらの図を参照することより理解することができるであろう。依って、第1蛍光色材の上記ピーク波長領域を第2蛍光色材の発光領域が包含しているのでエネルギー変換が効率よく行え、上記基準励起波長を与えるだけで上記基準蛍光波長の蛍光強度が、相乗的に向上できる。
【0044】
次に、損失面として考慮すべき項目は、使用する色材の吸収スペクトルである。図5は、600nmでの蛍光発光を得るためのAR52の励起スペクトル(上側グラフ)と化合物(A)の吸光スペクトル(下側グラフ)を同一波長で上下に対比させたものである。ここで、吸収と励起は数値的な対比はできないが、相対的な関係を見ることができる。一般に、吸収スペクトルは、発光波長域の一部が共通するが、発光波長よりも低波長である。この化合物(A)の吸光スペクトルも、図3に示した蛍光発光波長域の一部が共通しており、440nm以下に吸収スペクトルを持つ。吸収スペクトルも、実用上効果を発揮する範囲は、ピーク近傍であるから、蛍光強度100以上のAR52の主たる励起波長域範囲(425nm以上600nm)に化合物(A)の最大吸収波長(380nm)近傍が存在しないこと、更には、主たる吸収スペクトルの波長域(425nm以下)が存在しないことが好ましい。いずれにしても、この吸収スペクトルは、上記ピーク波長領域に重なる範囲は無いため、上記エネルギー変換には直接影響しないものとなっている。
【0045】
仮に、第1蛍光色材の励起波長域に相当する第2蛍光色材の発光がこの吸収スペクトルで吸収される割合が大きい場合は、蛍光強度の向上に損失があると判断できる。
【0046】
上記化合物(A)の蛍光発光の波長域がAR52の基準発光波長を得るための有効な励起波長域にあり、化合物(A)から発生した発光が更にAR52の励起に利用され、化合物(A)の吸収スペクトルも効率を下げるものではないので、この第2蛍光色材からの蛍光発光が第1蛍光色材の新たな励起エネルギーとなり、蛍光性を向上することが可能となる。
【0047】
又、図1及び図3の対比からわかるように、AR52の蛍光発光の波長領域と、化合物(A)の蛍光発光の波長領域とが少なくとも580nm以上620nm以下で重複しており、これによっても基準発光波長による判定に、より有効な関係となっている。
【0048】
次に、第1蛍光色材が有する吸収スペクトルに対しての本発明の特徴について説明する。図6は、AR52が元々有する吸収スペクトル(下側グラフ)と化合物(A)の蛍光発光のスペクトル(上側グラフ)を同一の波長であわせこんだグラフである。上記化合物(A)の蛍光発光の波長領域に対して、このAR52の吸収スペクトルは、損失エネルギーとして考慮することが好ましい。
【0049】
AR52の吸収スペクトルは、600nm以下で、560nm近傍にピークを示し、460nmまでの可視光域に主たる吸収を有する。このAR52の吸収スペクトルの有効な範囲は、さらに小さく、500nm以上590nm以下である。図1で示したAR52の蛍光発光の範囲(550nm以上)及びそれらの強度を考慮すると、この吸収スペクトルは、500nm以上560nm以下の範囲で吸収効果を発揮しているものと判断される。この吸収スペクトルは可視光域であるため、従来では、AR52の蛍光発光における技術議論からはずされていた。
【0050】
しかしながら、本発明では異なる蛍光色材を複数用いるため、この吸収スペクトルは、上記2段階的な励起エネルギー変換には、考慮すべきポイントとなった。つまり、この吸収スペクトルを課題認識すると、この吸収スペクトルの範囲を除いた波長域であって、上記基準蛍光波長を得るための励起波長でもある波長域に、第2蛍光色材の蛍光発光があることが解決方法の1つとなる。
【0051】
図6は、この関係を示すもので、上下のグラフから理解できるように、上記吸収スペクトルにほとんど影響されない430nm以上515nm以下の範囲で、上記蛍光発光が多く得られていることが理解できる。第2蛍光色材である化合物(A)の蛍光発光の波長領域は、AR52の吸収スペクトルのピーク(560nm)及び実質的な吸収領域(500nm以上590nm以下)よりも低波長側に、上記第2蛍光色材の蛍光発光領域(図6においてαで示す領域:430nm以上500nm未満)を含んでいる。この領域は、上記第2蛍光色材の波長領域に夫々の強度を相乗した光エネルギーを発し、第1蛍光色材の励起エネルギーとして利用されるため、全体としての基準発光波長の蛍光強度が増強される。つまり、少なくとも、この領域αが第1蛍光色材であるAR52の第2の励起波長域と重なっていることから、第1蛍光色材であるAR52の蛍光強度向上に寄与するからである。
【0052】
次に、参考例として、上記特許文献2にあるようにAR52に対して、C.I.アシッドイエロー73(AY73)を組み合わせた場合について図10乃至図13を用いて説明する。図において、紫外光を与える場合はその蒸発インクを用い、吸収は、通常インクで測定した。AY73は、図10に示すように、基準励起波長である254nmで励起を行った場合、略500〜600nmの波長域(ピーク:530nm)に蛍光発光を生じるものである。
【0053】
図11は、図2で説明したAR52の励起波長スペクトルに対して、図10のAY73の蛍光発光グラフを重ねたものである。この図からわかるように、AY73の蛍光発光は、略500〜600nmの波長域(ピーク:530nm)に蛍光発光を生じるものの、505nmから590nmの範囲、更には510nmから575nmの範囲になるに従って、両端の発光強度は小さく、有効発光強度も波長域が狭くなっている。前述したピーク領域の波長475nm以上600nm以下の範囲と比較すると、AY73の蛍光発光は、前記ピーク波長領域の範囲内に含まれてしまっている。従って、AY73は、AR52を十分に発光させるだけの蛍光発光をしていない。
【0054】
図12は、600nmでの蛍光発光を得るためのAR52の励起スペクトルとAY73の吸光スペクトルを対比させたものである。AY73の吸光スペクトルは、525nm以下の可視光域全域にあって、490nmにピークを有する。本発明の実施例として上記化合物(A)をAR52とAY73とを含めたインクを想定する場合、AY73の吸光スペクトルは、化合物(A)の上記効果を低減させる方向に作用する。従って、本発明の実施例としては、化合物(A)の添加量を所望分だけ増加(後述の[態様2]参照)して、AY73の吸光スペクトルによる損失分を補えば良い。尚、図12で示されるようにAR52の励起波長域(450nm以上600nm以下の範囲)にAY73の最大吸収波長(490nm)が存在している。
【0055】
又、図13は、図6の下側グラフに示したAR52の吸収スペクトルと、AY73の蛍光スペクトルをあわせたものである。図13でわかるように、AY73の蛍光スペクトルは、AR52の吸収スペクトルの実質的な吸収領域(500nm以上590nm以下)に含まれており、この吸収領域よりも低波長側には発光波長を持っていない。依って、AR52及びAY73のみの組み合わせは、上述した本発明のいずれの構成を開示するものではないし、上記本発明の効果を与えるものでもない。
【0056】
図7乃至図9に戻って、本発明をインク及び記録画像の観点からさらに説明する。図7は、AR52と化合物(A)の両方と、純水及び有機溶媒を含む記録用インクを作成した後、前述した蒸発インクとして上記FP―750により、254nmの基準励起波長で励起した測定結果を表示したものである。図8は、この記録用インクを用いて被記録媒体に記録した画像を上記FP―750により、254nmの基準励起波長で励起した測定結果を表示したものである。言い換えれば、図7は本発明の記録用インクの特性を蒸発インクで検証した結果を示すもので、図8は、本発明の記録用インクによる記録画像の特徴を示し、本発明の記録用インクの使用を記録画像から証明するものとなる。
【0057】
図7及び図8は、共に同じインクを用いているので、相対的な比較において有効であるから、図7及び図8の対比を行うことで、本発明の効果を確認する。図7及び図8のいずれにおいても、グラフは、2つのピークを有し、その波長は、500nm近傍と、590nmである。前述した図1、図3からわかるように、化合物(A)が500nm近傍のピークを与え、AR52が590nmのピークを与えている。図7及び図8の対比から、理想的な溶解状態のAR52と化合物(A)を示す図7に対して、記録画像は、さらに蛍光強度が増加し、特に、基準発光波長(600nm或いは、580nm以上620nm以下の全範囲)の蛍光強度が増加している。
【0058】
これらから、上記各色材が記録画像内では基準励起波長を有効に利用して、第2蛍光色材である化合物(A)の発光及びこの発光による第1蛍光色材の発光が得られていることが証明される。一般に、蛍光色材が会合すると、ピーク波長が長波長側にシフトするが、図7及び図8の比較ではこのようなシフトがない。従って、上記本発明の会合防止作用や、その他の技術内容が結果として証明されたこととなる。図7は、本発明の記録用インクの特性を蒸発インクで検証した結果を示すもので、図8は、本発明の記録用インクによる記録画像の特徴を示し、本発明の記録用インクの使用を記録画像から証明するものとなる。
【0059】
さらに、AR52と化合物(A)の両方を含む蒸発インクは、図7に示すように2つのピークを有するものであるから、記録用インクにおいても化合物(A)が、AR52の特性をすべて補い、化合物(A)の蛍光発光が、基準発光波長を増強できるだけの特性を発揮することが明らかである。又、上記記録画像においても図8に示すように、2つのピークを有するものであるから、濃度消光が生じ難い蛍光インクを完成し、長期的に蛍光強度を増強しつづける耐久性があることも示している。
【0060】
なお、本発明における蛍光発光の基準蛍光波長はインク及びそれにより形成される画像の用途によって選択できる。たとえば、AR52における蛍光発光波長(基準蛍光波長)を580、600及び620に変化させた場合のそれぞれの励起スペクトルは図9に示すようになる。そこで、本発明に従って各基準蛍光波長に隣接するピーク領域であるピーク波長領域をそれぞれ設定することができる。
【0061】
前述したように、580nm以上620nm以下の全範囲を基準発光波長とする場合は、上記第2蛍光色材の基準励起波長による蛍光発光波長は、ほとんどの励起スペクトルのピーク波長領域を満足することが好ましい。ただし、この場合、従来よりも効果を発揮する効果水準からすると、この蛍光発光波長は効果の高い1波長でもよく、好ましくは波長以上或いは、中心波長600nmの前後5nm、或いは10nmの範囲を満足するか、励起スペクトルのうち基準蛍光発光が得やすい波長を満足することでも良い。例えば、AR52の場合、図9からわかるように、580nm、620nmの励起スペクトルよりも、前述した600nmの励起スペクトルだけのピーク波長領域を満足することのほうが効率的である。上記態様1における効果は、上記第2蛍光色材の添加量が増大できるものであれば、当然その効果は強化できる。
【0062】
[態様2]
態様2は、従来では認定できていない第2蛍光色材の構造における特徴要件によって、第2蛍光色材の添加量が増加できるインクに関する。つまり、態様1で挙げた波長関係の条件が緩和(励起スペクトルに対して少なくとも一部が共通する波長域を与えていれば良い)され、この励起波長と発光波長とのエネルギー関係を第2蛍光色材の添加量によって、改善できるものでもある。具体的には、色材の会合防止機能を有する基本構造により、第1色材の会合を防止しつつ、第2蛍光色材の添加量を増加できることで、基準発光波長の強度を増強し得るものである。第1及び第2蛍光色材の少なくとも一方、好ましくは第2蛍光色材に下記に記載の原子あるいは原子団、下記に記載の蛍光発光団の基本構造を含んでいる第1及び第2蛍光色材の組み合わせを用いることで第1蛍光色材における第1の励起波長での蛍光発光の強度を向上させることができる。
【0063】
特に、色材構造中に、該蛍光発光団を複数有しているものが好ましい。すなわち、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、従来の蛍光色材に比べ、構造的に大きくなり、更に立体性も強くなるため、従来の蛍光色材の様な規則性のある凝集、会合が生じにくくなるため、インク中の蛍光色材の含有量を従来の色材に比べ多くしても、蛍光強度を低下させにくい。また、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、色材1分子中に蛍光発光団を複数有することにより、単位分子当たりの蛍光発光が強くなるため、蛍光発光強度を強くすることが出来る。また、先に述べたように、従来の蛍光色材に比べ、構造的に大きくなり、立体性も強くなることで、被記録材構成成分に対し色材が吸着しやすくなり、耐水性が良好になる。また、この蛍光色材が直接性を有していると耐水性が向上でき、蛍光発光の耐久性にも貢献できる。また、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、従来の色材に比べ、規則性のある凝集、会合が生じにくくなるため、例えば、インク中の水分が蒸発しても、色材の凝集が規則性をもちにくくなるため、強固な凝集状態が出来にくくなるため、耐固着性が良好になる。
【0064】
このメカニズムにより、本発明のインクは、蛍光強度、耐水性が良好で、また、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材が、親水基として、水との親和性の強いスルホン酸を用いていると、本発明の効果が更に向上する。
【0065】
また、好ましい蛍光発光団であって、上記要件を満足し、さらに機能的に有効なものとして、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体を挙げることができる。これは、前述した化合物(A)の構造にも含まれている。
【0066】
従来のような蛍光色材の場合は、インク中でのその濃度を高めても、蛍光強度が増加せずに、逆に蛍光強度が下がるものがある。このような蛍光色材を用いる場合には、適用できる濃度(インク中での含有量)の幅が狭くなったり、蛍光強度を高めるには限界が生じる。これに対して、本発明にかかる第1及び第2蛍光色材であって、可視光に有色発光をもたらすものの組み合わせでは、蛍光色材の含有量を増加させた場合に、その増加率に応じて蛍光強度を更に高めることが可能となる。
【0067】
このような本発明蛍光色材に適用できる、蛍光増白機能を発揮できる原子団及び基を備えた蛍光発光団としては、以下に示すものを挙げることができる。ここで、本発明の蛍光色材は、吸光波長域は、可視光域でも可視光域以外でも良いが、前述した励起波長域を与える蛍光発光を行うものであるので、可視光領域に蛍光発光する色材であることが重要である。
【0068】
【化3】
Figure 0004533150
【0069】
【化4】
Figure 0004533150
【0070】
【化5】
Figure 0004533150
【0071】
(上記式(1)〜(3)中の各Zは夫々独立に、NR12、SR3又はOR3を表し、式(2)中のYは、H、Cl、上記Z、SR4又はOR4を表し、式(3)中のEは、Cl又はCNを表す。R1、R2、R3及びR4は各々独立に、H、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基、水酸基を表し、R1及びR2は、窒素原子と共に5又は6員環を形成してもよい。
【0072】
【化6】
Figure 0004533150
【0073】
(上記式(4)中、R5は、独立に、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、CN、ウレイド基及びNHCOR6から選択される。該R6は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基及び置換アラルキル基から選択される。式(5)中、Tは、アルキル基を示し、Wは、水素原子、CN、CONR78、ピリジウム基及びカルボキシル基から選択される。R7及びR8は夫々独立に、水素原子、アルキル及び置換アルキル基から選択される。mは、炭素数2〜8のアルキレン鎖を示し、式(6)中、Bは、水素原子、アルキル基及びカルボキシル基から選択される。
【0074】
なお、上記式(1)〜(6)における各置換基における具体例は基準発光とする蛍光発光性に応じて選択することができる。
【0075】
上記の構造式に示されるとおり、化合物(A)は、蛍光発光団を複数有するとともに、複数のスルホン基を有する2量体としての構造を有する。
このように蛍光発光団を蛍光色材が含むことで第1蛍光色材の基準励起波長での励起により得られる蛍光強度が増加する理由としては、第1蛍光色材の基準励起波長域での蛍光発光が良好になるからである。特に、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体は蛍光発光領域が広く、好ましい。
【0076】
[態様3]
態様3は、態様1,2夫々に有効であり、単独でも有効なもので、第1色材に対して高溶解性であり、第2色材に対して低溶解性である第1の溶媒と、第2色材に対して高溶解性である第2の溶媒と、の混合溶媒等の溶媒による蛍光色材の記録時の適正配置化による蛍光強度向上技術である。染料には、染料分子がエネルギー的に安定である状態を保持しようとして、会合という化学現象をおこすものがある。この会合の現象は2つ以下の環状骨格を有する平面に近い構造の染料分子では、2つの分子が向かい合った状態となり、その分子間でのみエネルギーの補充と損失が行われるため、蛍光染料の場合はその蛍光性を阻害する要因となり得ると考えられる。この状態はインク中だけでなく、紙面上に印字されても維持されるため、会合を防止する手段を講ずることが必要となる。一般的には、会合を起さないようにするために会合防止剤として尿素やナフタレンスルホン酸などを添加することは知られている。しかしながら、それ自身も蛍光性を有して第1蛍光色材の蛍光強度を増強でき、かつそれ自身が会合防止作用を有するものであれば、蛍光強度の増強と会合防止による蛍光の効率良い発生の両方の効果を得ることが可能となる。
【0077】
そこで、同一励起波長の励起光を照射した際に、第1蛍光色材の蛍光強度を増加させることのできる第2蛍光色材を組み合わせる際に、インクの溶媒として、第1色材に対して高溶解性であり、第2色材に対して低溶解性である第1の溶媒と、第2色材に対して高溶解性である第2の溶媒と、の混合溶媒を用いる。
【0078】
なお、高溶解性とは目安として3質量%以上の濃度で色材を溶解させることのできるものであり、低溶解性とは目安として3質量%未満の濃度でしか色材を溶解させることができないものである。
【0079】
例えば、第1の溶媒として水を、第2の溶媒としてグリセリンを選択した場合、水はAR52に対しては高溶解性であり、化合物(A)に対しては低溶解性であり、また、グリセリンは化合物(A)に対して高溶解性である。そこで、水とグリセリンを含む溶媒にAR52及び化合物(A)を含有させたインクを調製すると、インク中では、化合物(A)は、貧溶媒過多な環境下であるため、弱い会合状態で溶解し、AR52と共に安定な系を形成している。しかし、該インクが記録媒体に付与されると、貧溶媒である水がすばやく浸透拡散する。これに対し、グリセリンは、自身の粘度が高いことも含め、記録媒体において、浸透拡散がゆっくり生じる。このとき、化合物(A)は、貧溶媒である水ではなく、良溶媒であるグリセリンに溶解するため、記録媒体での拡散浸透もグリセリンに伴ってゆっくり生じる。更に、化合物(A)は、グリセリンが良溶媒であるため、記録媒体の構成成分に対し、単分子状に吸着するため、良好な蛍光発光を生じる。更に、化合物(A)は単分子状に溶解しているため、AR52の会合を阻害する結果も生じる。言い換えれば、化合物(A)及びAR52の分子が適度に互いに混合分散した状態で記録媒体に定着され、AR52の蛍光強度を化合物(A)により増強する効果がより顕著に表れるものと考えられる。この場合、第1蛍光色材と第2蛍光色材はともにスルホン基を複数もつものであることが好ましい。
【0080】
また、上記現象を好ましく発現させるためには、使用される蛍光色材の含有量は、使用される貧溶媒に溶解する含有量以下であるのが好ましい。
【0081】
一方、会合が起きにくい状態を蛍光色材の分子構造の面から見ると、3つ以上の環状骨格を有する構造を有する蛍光色材が第一もしくは第二色材の少なくとも一方にあれば、第一色材と第二色材の分子が重ならないが、近傍にいる状態となり、先に説明したエネルギーの授受を行いやすくなるため、さらに蛍光性を増大させることが可能となる。
【0082】
このように、本発明で用いられる第2蛍光色材としては、複数の蛍光発光団を有するものが好ましく、また、蛍光増白のための基本構造を有していることが更に好ましい。更に、第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団は2量体であることが好ましい。
【0083】
2蛍光色の有する環状骨格の例としては、二重結合または共役二重結合を含んだ環状構造、芳香環構造、シクロ環状構造、または複素環状構造を有する環状骨格を挙げることができ、ベンゼン、チオフェン、ピリジン、ピロール、クマリン、インデン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキシゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾセレナゾール、ナフタレン、チオナフテン、キノリン、インドール、ナフテン、フルオレン、ジフェニレンサフファイド、フェナントレン、アントラセン、アフリジン、フェナントリジン、カルバゾール、フルオレン、ナフタセン、フルオラントレン、ピレン、キサンテン、クリセン、トリフェニレン、ペリレン、ピレン、ピセン、キナクリドン、フタロシアニン、などが挙げられる。
【0084】
より好ましい具体例としては、前述で挙げたように、ピレン、クマリン、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イミダゾロン、ピラゾール、ベンジジン、ベンジジンスルホン、ジアミノカルバゾール、ナフタール環、ジアミノスチルベンジルスルホン酸及びこれらの誘導体から選択した少なくとも1つの構造を、前述で挙げた連結基を介して複数有する色材を挙げることができる。
【0085】
さらに第1蛍光色材と第2蛍光色材が水に可溶な色材の場合、会合を阻害しやすくするために、これら二つの蛍光色材の水可溶化基が同一であるのが好ましく、この可溶化基は、さらにはインクのpHによる溶解性の影響を受けないスルホン基であるのが好ましい。
【0086】
本発明においては、調色等のために、第3以降の色材として、上記二つの蛍光色材の他に、蛍光色材及び蛍光を有さない色材を含有してもよい。
【0087】
次に、上記で説明した染料と共に本発明の蛍光インクを構成する水性液媒体について説明する。本発明で使用する水性液媒体としては、水を主成分とすることが好ましく、又、インク中の水の含有量はインク全質量に対して、10〜95質量%、好ましくは25〜93質量%、より好ましくは40〜90質量%の範囲とすることが望ましい。本発明で使用する水としては、イオン交換水が好ましく用いられる。
【0088】
また、本発明のインクにおいては、水性液媒体として、水を単独で用いてもよいが、水に水溶性有機溶剤を併用させることによって、本発明の効果をより顕著にすることもできる。
【0089】
本発明で使用できる水溶性有機溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1−5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、へキシレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類;チオジグリコール;ビスヒドロキシエチルスルホン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル等の低級アルキルグリコールエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の低級ジアルキルグリコールエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記のごとき水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。
【0090】
これらの水溶性有機溶剤のインク中含有量は、一般的には、インクの全質量に対して合計して50質量%以下、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%の範囲とすることが望ましい。
【0091】
これらの溶剤の中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ピロリドン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオールを用いることが好ましい。
【0092】
また、本発明のインク中に、溶剤と同じような保湿剤として、尿素やエチレン尿素、トリメチロールプロパンを含有させることも好ましい。特に、エチレン尿素、トリメチロールプロパンは本発明に非常に適したものである。これらの含有量は、インク全質量に対し1質量%以上であることが好ましく、また、20質量%以下であることが好ましい。
【0093】
本発明のインク中には上記成分の他、必要に応じて、インクに基準発光の性能を与えるための、消泡剤、表面張力調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、蛍光促進剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、防錆剤、防カビ剤及びキレート化剤等の添加剤を配合してもよい。
【0094】
また、本発明のインクの粘度は、25℃において0.7〜12cPの範囲内にあることが好ましい。インクの粘度が上記範囲外であると、インクジェット記録において正常な吐出をしないことがあったり、又、特に12cPを越えるインクはその粘度抵抗により被記録材への浸透が遅く、定着性の面からは好ましくない。
【0095】
また、本発明に用いられるインクの表面張力は、25℃において20〜60dyne/cmの範囲に調整されることが好ましい。表面張力が20dyne/cm未満では、インクジェット記録において液滴が吐出した後、メニスカスを引き戻そうとする力が弱いか、或は逆にメニスカスが突出した際に、引き戻す力が比較的弱い為、泡を抱き込んだり、オリフィス部が濡れてしまい、ヨレの原因となることがあり好ましくない。上記の様なインクとすることにより、本発明で提案されるインクは、普通紙対応型インクジェット記録に用いられるインクとして、特に、インクの保存性に優れ、且つ記録濃度、乾燥定着性、印字品位に優れたインクの提供が可能になる。
【0096】
以上のようにして構成される本発明の蛍光インクは、インクジェット記録で用いられる際に、特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させて液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出するインクジェット記録方法があり、それらのインクジェット記録方法に本発明の蛍光インクは特に好適である。
【0097】
【実施例】
次に、実施例及び参考例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、吸収波長領域、最大吸収波長、及び蛍光波長領域は色材の純水希釈液での測定値を使用した。吸収波長は吸光度計を用いて、吸光度が0.5〜0.7の範囲になるように希釈液を作製したとき、色材の吸収ピークとしてベースラインより高い領域を吸収波長領域とし、ピーク値を最大吸収波長とした。また、蛍光波長は吸光度で使用した希釈液を用いて、蛍光強度が測定限界値を超えないように測定条件を設定し、第一及び第二色材の励起波長を固定して測定した。蛍光発光波長領域は、ベースラインより高い領域とした。
【0098】
以下の実施例におけるインクは先に記載した第1〜第6の態様にかかるプリント用インクのいずれかの構成を満たすものである。
【0099】
実施例1
下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することによりインクを調製した。
C.I.アシッドレッド52(第1蛍光色材):0.25質量部
化合物(A)(第2蛍光色材):1質量部
グリセリン:7.5質量部
ジエチレングリコール:5質量部
尿素:5質量部
アセチレノールE100(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物):1質量部
水:80.25質量部。
【0100】
第1及び第2蛍光色材の蛍光発光スペクトル及び励起スペクトルは、日本分光(株)社製、蛍光測定機FP−750を用いて測定を行った。測定サンプルは水による影響を排除するため、水分を蒸発させたインクを用いた。
【0101】
第1及び第2色材の吸収波長領域は、日立(株)社製吸光度計U−3200を用いて、染料が100000倍希釈になるように純水で希釈して測定を行った。第1色材の吸収波長領域は450〜620nmで、最大吸収波長は565nmであった。また、第2色材の吸収波長領域は、300〜450nmで、最大吸収波長は372nmであった。
【0102】
参考例1
下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過することによりインクを調整した。
C.I.アシッドレッド52(第1蛍光色材):0.25質量部
グリセリン:7.5質量部
ジエチレングリコール:5質量部
尿素:5質量部
アセチレノールE100(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物):1質量部
水:81.25質量部。
【0103】
(評価)
(1)蛍光強度
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、日本分光(株)社製の蛍光光度計(FP−750)を用いて下記の条件のもと蛍光強度を測定した。その結果を下記の基準に従って評価し、表1に示した。測定の際の条件は、励起波長を254nmとし、最大蛍光波長での蛍光強度を測定し、得られた測定蛍光強度値を、参考例1のインクの蛍光強度値を100として標準化し、下記の基準で評価した。
◎:測定蛍光強度値が150以上である。
○:測定蛍光強度値が110以上150未満である。
△:測定蛍光強度値が110未満である。
【0104】
(2)発色性
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、印字記録物の濃度測定装置として、マクベスRD−918を用いて測定を行った。
◎:印字物として目視ですぐに判読可能な0.7以上であった
○:印字物として目視で判読可能な0.5以上0.7未満であった。
△:印字物として目視で判読しずらくなる0.3以上0.5未満であった。
×:印字物として目視で判読不可能な0.3未満であった。
【0105】
(3)堅牢性
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、24時間放置後、水道水に5分間浸漬し、印字濃度の変化をマクベスRD918を用いて、下記基準で評価した。
◎:印字物として目視ですぐに判読可能な濃度変化が50%未満であった。
○:印字物として目視で判読可能な50%以上70%未満であった。
△:印字物として目視で判読不可能な70%以上であった。
【0106】
【表1】
Figure 0004533150
【0107】
実施例2、3、6及び参考例2からは、表2に示す組成に従って各インクを調製した。また、参考例4の第1と第2色材の組み合わせによる蛍光、励起、吸収の関係図を図14から図18に、参考例5の第1と第2色材の組み合わせによる蛍光、励起、吸収の関係図を図19から図22に、参考例3の第1と第2色材の組み合わせによる蛍光、励起、吸収の関係図を図23から図26に示す。これらの図の説明は、省略するが、前述した図1乃至図13内における本発明の技術説明や参考例の説明からこれらの実施例や参考例が理解できよう。なお、上記参考例2及び3は、従来にある色材の組み合わせを用いているが、溶剤条件を本発明の溶剤条件と合わせているために、参考例としている。
【0108】
【表2】
Figure 0004533150
【0109】
上記各インクに対して254nmの励起波長を照射して、蛍光発光のスペクトルを求めたところ実施例2、3、参考例4のインクにおいては図7及び図8で詳細に説明したように、図7、8及びその比較からわかるように2つの蛍光強度の強いピーク等の効果が認められたが、参考例1〜3のインクではこのような図7及び8の関係は見られなかった。
更に実施例1、参考例1と同様の方法で蛍光強度等についても評価を行ったところ、以下の表3のように大きな差が見られた。
【0110】
【表3】
Figure 0004533150
【0111】
以上説明したように、本発明によれば、従来技術では達成しえない高い蛍光強度及び、高発色と高堅牢性を持つ蛍光インク、この蛍光インクを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図1は、C.I.アシッドレッド52の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図2】図2は、C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルを示す図である。
【図3】図3は、化合物(A)の励起波長254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルと化合物(A)の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図5】図5は、C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルと化合物(A)の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図6】図6は、化合物(A)の254nmの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図7】図7は、C.I.アシッドレッド52と化合物(A)の混合インクでの蛍光スペクトルを示す図である。
【図8】図8は、C.I.アシッドレッド52と化合物(A)の混合インクでの印字物における蛍光スペクトルを示す図である。
【図9】図9は、C.I.アシッドレッド52の580、600及び620nmにおける励起スペクトルを示す図である。
【図10】図10は、C.I.アシッドイエロー73の励起波長254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図11】図11は、C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図12】図12は、C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図13】図13は、C.I.アシッドイエロー73の254nmの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図14】図14は、C.I.ベーシックバイオレット10の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図15】図15は、C.I.ベーシックバイオレット10の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルを示す図である。
【図16】図16は、C.I.ベーシックバイオレット10の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルと化合物(A)の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図17】図17は、C.I.ベーシックバイオレット10の600nmの蛍光発光における励起スペクトルと化合物(A)の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図18】図18は、化合物(A)の254nmの蛍光スペクトルと、C.I.ベーシックバイオレット10の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図19】図19は、C.I.ソルベントグリーン7の励起波長254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図20】図20は、C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルとC.I.ソルベントグリーン7の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図21】図21は、C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルとC.I.ソルベントグリーン7の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図22】図22は、C.I.ソルベントグリーン7の254nmの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図23】図23は、C.I.アシッドイエロー184の励起波長254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図24】図24は、C.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー184の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。
【図25】図25は、C.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー184の吸収スペクトルの対比を示す図である。
【図26】図26は、C.I.アシッドイエロー184の254nmの蛍光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。

Claims (7)

  1. 1蛍光色材及び第2蛍光色材を含むプリント用インクであって、
    記第1蛍光色材がC.I.アシッドレッド52であり、前記第2蛍光色材が下記化合物(A)またはC.I.ダイレクトイエロー87であることを特徴とするプリント用インク。
    Figure 0004533150
  2. 前記第2蛍光色材が前記化合物(A)である請求項1に記載のプリント用インク。
  3. 前記第2蛍光色材が前記第1蛍光色材よりも多くインクに含まれている請求項1または2に記載のプリント用インク。
  4. 更に水及びグリセリンを含有する請求項1乃至3のいずれかに記載のプリント用インク。
  5. インクを吐出口から吐出して記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが請求項1乃至のいずれかに記載のプリント用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載のプリント用インクにより形成された画像に紫外光を照射し、可視光領域の蛍光発光を得ることで画像の真贋判定を行うことを特徴とする画像判定方法
  7. 前記紫外光の波長が254nmである請求項6に記載の画像判定方法。
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