JP4599174B2 - 水性蛍光インク、記録画像形成方法及び記録画像 - Google Patents

水性蛍光インク、記録画像形成方法及び記録画像 Download PDF

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Description

本発明は、第一の色材と第二の色材からなる色材構成で少なくとも一方が蛍光色材を含んでおり、第一の色材と第二の色材が、被記録材上で分離状態を形成するプリント用インク及びこれを用いたプリント画像における蛍光性を向上できるプリント用インク、更には、このインクを用いた記録画像、及び記録画像形成方法に関する。更に、具体的には、被記録材上で、第二色材の定着部の中に複数の微小凝集した第一色材が点在配置する定着部を形成することで、蛍光色材による蛍光性を示す発光エネルギーを吸収する併用色材の光エネルギー吸収性を大幅に低減する、すなわち、蛍光発光部と着色部を分離させることで、蛍光発光低下問題を解決し、蛍光発光性を向上するための新たな着眼点による技術思想に基づく相関技術に関する。更に、選択される蛍光色材に於いて、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクに対して用いられる第2蛍光色材における、蛍光発光特性を向上するための新規な技術思想に基づく相関技術に関する。
旧来、水性インクの色材としては、水溶性色材が用いられてきたため、耐固着性、経時安定性等の信頼性が良好であるばかりでなく、色材の耐凝集性や耐会合性に対しても良好であり、発色性も良好な水性インクが多かった。その反面、総じて、記録画像の耐水性等の堅牢性が思わしくない場合が多かった。特に、蛍光性に関しては、色材の溶解性が良好であるため、良好な蛍光発光が得られているが、濃度を向上させようとすると、濃度消光(色材の含有量が、ある量を超えると、蛍光性が低下する現象)により、高くすることは出来なかった。例えば、米国特許第6,176,908号明細書(特許文献1)では、高分子分散剤と顔料と蛍光染料を併用したインクが提案されている。
しかしながら、上記提案では、蛍光染料を用いているが、インク滴を、被記録材に付与すると、高分子分散剤と顔料と蛍光染料が固着状の集合凝集状態で定着するため(図2)、全体の系で凝集が生じ記録物濃度は向上しているが、蛍光発光を含む発色性は前記濃度消光のため思いのほか良好になっていない。
この対策として、上記提案中に記載のPMU(蛍光強度を表す指標の一つ)に限って述べれば、蛍光強度を測定する印字面積を工夫する方法が考えられるが、通常の使用方法では、対応することは難しい。
また、耐水性を良好にするために、例えば、水溶性基をカルボン酸にした色材を用いる提案がなされている。この提案は、水溶性基であるカルボン酸の解離特性を用いたものであり、インクのpHが、被記録材上で酸性側にシフトすると、色材の水溶解性が低下し、更に凝集することで、耐水性を良好にするものである。
しかしながら、上記提案は、色材の水溶性低下による凝集、会合の発現メカニズムにより耐水性を良好にしているため、色材の発色性が低下してしまうという問題も生じている。特に、蛍光発光性に於いては、色材の凝集、会合により、蛍光性を向上させることは難しかった。
また、上記記載の濃度消光(色材の含有量が、ある量を超えると、蛍光性が低下する現象)を回避し、記録画像の濃度を向上する手段として、複数の色材を組み合わせ、色材の蛍光発光波長域と併用される色材の吸収波長域をなるべく重ならないようにして、記録物の蛍光発光性を向上させる方法が、例えば、WO02/092707号公報(特許文献2)等に提案されている。
上記提案では、ある程度、蛍光強度を向上させ、記録画像の濃度を向上させることは出来るが、やはり、更に蛍光強度、記録画像濃度を向上させるには、不十分であった。また、WO02/092707号公報(特許文献2)では、記録画像の堅牢性は、不十分であり、例えば、記録画像の耐水性、耐光は、改善する必要性が十分に残されている
これに対して近年、記録画像の耐水性、耐光性等の堅牢性向上の為に、カーボンブラック、有機顔料等の水分散色材と水溶解色材を内包した着色樹脂を併用した水性インクを用いる試みがなされている。例えば、特開平8−239610号公報(特許文献3)の水性インクには、水分散色材に樹脂を作用させて水系中に分散させ、且つ発色性のために水溶解色材を乳化剤、樹脂等でエマルジョン化しインク中に用いられている。WO02/092707号公報(特許文献2)には、蛍光色材を含んだ顔料を用いた提案がされている。
これらのインクを被記録材上に付与すると、水及び液媒体が被記録材上で蒸発し、また被記録材中に浸透、拡散することで、水分散色材同士の凝集が生じ、これによって記録画像の堅牢性、例えば、耐水性、耐光性等を良好にすることができる。更に、樹脂等に内包されている水溶解色材は、被記録材に付与されても色材同士の凝集、会合が生じにくく、良好な発色性、特に蛍光発光を提供するものである。しかしながら、インク中に、樹脂、乳化剤等を多く使用するため、インク粘度が高くなりやすく、例えば、記録画像の濃度を向上させるために、インク中に該色材を多く試用すると、記録画像の定着乾燥性が悪化する傾向にある。更に、耐固着性も好ましくなく、常温環境下に放置されると、顔料成分が固まる傾向にあり、例えば、インクジェットヘッドに用いた場合、ヘッドのノズル近傍で、インク中の水、液媒体の蒸発等により、色材の安定な分散が壊れ、色材同士の凝集が生じ、固着、目詰り生じやすい傾向もある。また、熱エネルギーをインクに作用させてインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッドに用いると、ヒーター上に分散された色材が付着しやすく、インク滴の吐出性を大幅に悪化させ、信頼性を損ねやすくなる。
すなわち、上記提案は、記録物の耐水性、耐光性は、水溶解染料に対して良好になっているが、記録物の有する画像の記録濃度を高くすると、記録画像の定着乾燥性、耐固着性が悪くなる傾向にある。また、例えば、インクジェット記録方法に用いようとした場合、目詰まり、吐出不良が生じてしまうという問題を抱える場合もあった。
一方、近年、様々な用途で使用可能なインクが求められており、かかる用途としては、単に美麗な有色画像を形成することに留まらず、例えば、インクに蛍光性を持たすことで、文字、数字、記号、バーコード等の情報を記録媒体に記録し、適当な波長の紫外光を照射することにより蛍光インクを有色発光させて、可視情報以外の情報(例えば、セキュリティ情報)等を付与する技術展開が提案されている。その中でも特に蛍光を発光させてその発光強度を読み取る装置を使用して真贋判定(偽造防止)情報やセキュリティ情報を読み取る方式では、その方式で用いられる基準波長(例えば、254nm)で励起させ(基準励起波長)、蛍光色材を蛍光発色させて判定や、測定に用いられている。
他方、色材の種類からインクを検討すると、色材として染料を用いた場合には所望とする色調を得ることが容易であるが、得られた画像の耐水性が劣る場合があり、逆に、色材として顔料を用いた場合は得られた画像の耐水性は良好となるものの、所望とする色調が得られない場合がある。このような観点から、耐水性及び色調の両方を満足できる画像を与えることのできるインクとして、これらの両方を色材として含むインクが提案されている。例えば、特公昭60−45669号公報(特許文献4)には、水溶性赤色染料(例えば、アシッドレッド52)と、赤色顔料とを記録剤とし、これらを、顔料を液媒体中に分散させるための高分子分散剤とともに含有する記録液が開示されている。
例えば、メーリングシステムとしては、米国では蛍光の赤色印刷を行うことが一般的で、蛍光色素として前記公報にもあるアシッドレッド52(AR52)等の染料が用いられている。このような、アシッドレッド52を蛍光染料として例示し、蛍光染料、顔料及び顔料の分散剤としてのポリマーを含むインクが、米国特許第6,176,908号明細書(特許文献1)に開示されている。尚、この明細書にも記載されるように、形成された「画像の色味」を所望の色調に変える(いわゆる人間の感覚としてとらえた色調を調整する)ために、その色調に合わせた染料を組み合わせることは、この特許文献1の記載よりはるか以前から設計事項として知られている。
なお、米国特許第6,176,908号明細書(特許文献1)に開示された発明は、特公昭60−45669号公報(特許文献4)と同様に、耐水性向上を目的として蛍光染料に顔料を加えたインクジェット用インクに関する発明であるが、可視(目視)による色味という前記周知の目的のために、2種の蛍光染料を組み合わせた系や、更に蛍光強度(PMU値)を向上させるための添加剤を添加した系について記載されている。この蛍光強度(PMU値)を向上する具体例には、顔料部分(ポリマー、テトラエチレングリコールまたはジエチレングリコール)以外には、溶剤としての水、2−ピロリデノン、テトラエチレングリコール及び以下の複数の蛍光色材が記載されている。更に、この複数蛍光色材として、前述したAR52(0.4質量%、0.5質量%〜3.0質量%)に対してAY7、AY73、DY96のいずれかの組み合わせや、ベーシックバイオレット(RHDB)に対してベーシックイエロー(BY40)を加える例示が記載されている。
また、特開平11−80632号公報(特許文献5)には、インビジブル蛍光水性インクであって、3種の蛍光色材(蛍光増白剤、クマリン誘導体系の黄色蛍光染料及びローダミンB,6G系の赤系蛍光染料)を含むインクとこれによるはがき印刷が開示されている。その技術説明は、これら3種の蛍光色材が紫外光によりピーク発光し、更にその発光で順次、他の色材を励起し、最終的に587nmの蛍光発光を行うとされている。しかしながら、この文献には、この励起波長については具体的な記載が全く無く、インクとその記録画像とが同一の蛍光特性を示すという結果を用いて技術説明がなされている。一般に紫外光は水に吸収されるのでインクと記録画像では蛍光の結果は異なるものとなるという事実から判断すると、この文献に記載されている発明は、技術的に信憑性がない。また、WO02/092707号(特許文献2)では、特許文献5の趣旨と同様に、紫外光励起により蛍光発光する複数の蛍光染料(赤系染料、黄系染料、青系染料、黒系染料)を用いて、黒系画像を形成しつつ、所望のカラー発光を得るインクが開示されている。この文献には、前記特許文献3とは異なる技術ポイントとして、相対的に長波長側の吸収スペクトルと短波長側の発光スペクトルとを重ねないように複数の染料を選定することが主たる発明として記載されている。この文献も、複数蛍光色材の関係を十分解析できていないため、目的とする蛍光強度を確実に確保できるものではない。一方、これらに対して、特開2003−113331号公報(特許文献6)は、蛍光特性を溶剤と蛍光色材の関係で向上する発明を開示する。特許文献6は、同色蛍光色材を2種有し(蛍光性をもたない色材を加えた例示も有る)、互いに相溶性のない2種の有機溶媒(グリセリンとノニオン界面活性剤等)とこれらを溶解する純水を備えた記録用インクを開示している。
米国特許第6,176,908号明細書 WO02/092707号明細書 特開平8−239610号公報 特公昭60−45669号公報 特開平11−80632号公報 特開2003−113331号公報
上記の様に、記録画像の、耐水性及び濃度、特に蛍光性を含めた発色性を良好にし、且つ信頼性も良好な水性インクは未だ提案されていない。本発明の目的は、前記問題点を解決するインクを提供することにある。
特に、本発明は、従来、蛍光発光性を阻害する最も大きな要因の一つであった、“使用される、併用される色材の吸収特性(色材が、色を有するための光吸収性)により、蛍光発光性を低下させていた問題”を、従来考えてこなかった新しい着想、発想の元に、被記録材上に形成されるインクの定着状態を解明することで、使用される色材の吸収特性の影響を少なく出来るインクを提案することで、被記録材上で良好な蛍光発光を有する記録画像、記録画像形成方法を提供するものである。
上記目的は、以下の各態様にかかる本発明によって達成することができる。
すなわち、本発明は、中央部に第二の色材を含む第一の色材の第一集中画像を形成し、該第一集中画像の被記録材内の面を含む周囲全体に第二の色材の第二集中画像を形成し得る水性蛍光インクであって、
該第一の色材が水分散色材で、第二の色材が水溶解色材であり、
該水性蛍光インクが、第一色材、第二色材、これらを溶解または分散する液媒体と水を含有し、
少なくとも該第二材が蛍光色材であり、
該第一集中画像が、該第二の色材の定着部の中に、該水性蛍光インク中の複数の第一の色材が微小凝集した第一の色材の微小凝集体を点在配置する定着部を形成することを特徴とする水性蛍光インクである。
また、本発明は、中央部に第二の色材を含む第一の色材の第一集中画像を形成し、該第一集中画像の被記録材内の面を含む周囲全体に第二の色材の第二集中画像を形成した記録画像であって、
該第一の色材が水分散色材で、第二の色材が水溶解色材であり、
少なくとも該第第二材が蛍光色材であり、
該第一集中画像が、該第二の色材の定着部の中に、複数の第一の色材が微小凝集した第一の色材の微小凝集体を点在配置する定着部を形成していることを特徴とする記録画像である。
また、本発明は、第一の色材及び第二の色材を含有する水性蛍光インクをインクジェット法により付与することにより、被記録材上に、中央部に第二の色材を含む第一の色材の第一集中画像を形成し、該第一集中画像の被記録材内の面を含む周囲全体に第二の色材の第二集中画像を形成し、複数ドットで画像を形成する記録画像形成方法であって、
該水性蛍光インクが上記水性蛍光インクであり、
複数ドット間で第一集中画像形成部が隣接しないように水性蛍光インクを付与することを特徴とする記録画像形成方法である。
次に好ましい発明の実施の形態を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
先ず、本発明の水性インクによって、画像堅牢性、特に耐水性を良好にし、記録画像の蛍光発光を含む発色性、画像濃度を含む画像品位を良好にするメカニズムについて説明する。また、以下に説明するメカニズムは、実験データに基づき、各種現象を考察し、試行錯誤を繰り返すことで辿り着いたものであるが、本発明は複雑な相互作用を含んでいるため、全てを網羅するものではない。
本発明者等は、信頼性、安全性等が良好で、耐水性を始とする画像堅牢性、特に耐水性を良好にし、記録画像の蛍光発光を含む発色性、画像濃度をも良好にするインクについて検討及び確認を行ってきた。その結果、中央部に第二の色材を含む第一の色材の第一集中画像を形成し、該集中画像の被記録材内の面を含む周囲全体に第二の色材の第二集中画像を形成し得る水性インクは、記録画像の堅牢性、特に耐水性や品位、蛍光発光を含む発色性、画像濃度を良好にするという事実に辿り着き、本発明に至った。
まず、従来のインクについて説明する。図1に一つのモデルを示す。図1では●で示された部分は色材の定着部であり、インク滴で形成されたドットを示す。図1における上面は、被記録材に付与されたひとつのインク滴から形成された色材の定着部としてのドットを被記録材の記録面の上方からみた平面モデル図である。図1の断面図は被記録材に付与されたインク滴から形成された色材の定着部からなるドットの被記録材内部のモデル図である。
記録画像濃度を高くしようとする場合、インク中の●の色材含有量を増やしたり、インクの被記録材内への浸透を難しくする方法がある。この時、●の色材が耐水性の良好な色材であると、●の色材凝集、会合により、●の色材の水に対する溶解性が低下し、耐水性が良好になる。しかし、これらの状態では、色材は会合、凝集又は集合状態で、被記録材上に定着されている。しかし、会合、凝集または集合状態は、色材が本来している発色性を劣化させるため、インクの被記録材上での発色性が低下してしまう。
これに対し、図2に示したように複数の色材を用いて耐水性を良好にする、または濃度を高くできる色材、発色性の良い色材を用いた場合、複数の色材が混在した状態で被記録材に定着していまい、例えば、耐水性を良好にする色材を用いた場合は、耐水性を向上させることは出来ても、発色性に関しては色材同士が混合状態で定着してしまう。すなわち、色材同士の凝集、会合、集合状態が発生し易くなるため、発色性を良好にし難い。また、画像濃度を高くする目的で、インクの被記録材への浸透性を低下させると、先に説明した場合と同様な混在状態で被記録材上で複数の色材が定着するため、発色性は低下してしまう。特に、蛍光発光を目的として、蛍光色材を用いた場合、色材同士の混在状態に、すなわち、色材同士の凝集、会合、集合状態をつくってしまうため、蛍光発光が大幅に低下してしまう。
なお、図2において、黒の菱型で表されたものが第1の色材であり、白抜きのひし形で表されたものが第2の色材である。図2における上面は、被記録材に付与されたひとつのインク滴から形成された色材の定着部としてのドットを被記録材の記録面の上方からみた平面モデル図である。図2の断面図は被記録材に付与されたインク滴から形成された色材の定着部からなるドットの被記録材内部のモデル図である。
これに対し、図3に本発明の水性インクでのドットの形成状態のモデル図を示す。図3における黒塗り部は少なくとも第1の色材が定着した部分であり、白抜きの部分は第2の色材のみが定着した部分である。図3における上面は、被記録材に付与されたひとつのインク滴から形成された色材の定着部としてのドットを被記録材の記録面の上方からみた平面モデル図である。図3の断面図は被記録材に付与されたひとつのインク滴から形成された色材の定着部からなるドットの被記録材内部のモデル図である。
本発明にかかる水性インクの好ましい態様では、被記録材に付与される前は、水性液媒体(通常は水及び水溶性有機溶剤からなる)、第一の色材及び第二の色材を含んだ状態にあるが、この水性インクを、被記録材に付与すると、インク滴は被記録材上で液媒体の蒸発や被記録材内部への浸透、拡散により、色材が定着する。
この被記録材にインクの色材が定着し、画像を形成して行く過程で、本発明の水性インクでは、第一の色材はインク滴が被記録材に付与された状態で、あるいは僅かに付与された位置から僅かに拡散するのみで、集中画像を形成しているのに対し、第二の色材は、被記録材上及びその内部に於いて、拡散しながら、集中画像を形成する。すなわち、本発明の水性インクは、第一の色材、第二の色材の被記録材上及びその内部への拡散性に差を持たせ、上記図3に示す記録画像を形成するものである。この画像形成により、第一の色材の凝集、会合、集合状態を形成し、耐水性、耐光性等の堅牢性を向上させる。また、第一の色材が、被記録材上、内部で、集合画像を形成する際、色材が集中的に定着するためにインパクトのある画像濃度、濃度の高い記録画像が得られる。
これに対し、第二の色材は、見かけ上、第一の色材を取り囲むように集中画像を形成する。これは、被記録材上で、第二の色材の凝集性、会合性、あるいは集合性が、第一の色材より弱く、また、第一の色材に対して、単分子状態に近い状態で被記録材に定着されることにもなり、それ故、発色性を良好にできると予想している。また、第二の色材の被記録材における広がりは、大きいほど所望とする画像特性が良好な傾向になる。
更に、図3に於いて、水性インクの第一の色材が、水分散色材、第二の色材が水溶解色材であるのが好ましい。第一の色材が水分散色材であると、凝集特性を良好にしやすくなり、画像濃度を高くでき、記録画像全体の濃度を高くすることが出来る。また、耐水性も良好にすることが可能となる。
第二の色材に水溶解色材を用いると、被記録材上及び内部に於いて、主成分である水と共に、水溶解色材が拡散される。この状態は、単分子状態に近い状態で被記録材に定着されやすくなるため、発色性を良好にしやすくなると予想している。
更に、被記録材上に付与されたインク滴の定着画像(例えばドット)が、中心部に主に凝集色材の集中画像を形成し、更にこの集中画像の被記録材内の面を含む周囲全体に拡散色材が定着するため、見かけ上、中心より周辺にかけて濃度が低くなることから、例えば、ドットで画像を形成する場合、ドットが目立ちにくくなり、得られた画像の粒状感を低減させて良好な画像形成をより容易とする。
更に、水性インクが蛍光インクである場合に於いて、主として、第二の色材を含む第一の色材による集中画像部よりも第二の色材による集中画像部の蛍光発光が強くなるようにすると、特に、蛍光発光性が良好になることがわかった。特に、第一の色材に水分散色材、第二の色材に水溶解蛍光色材を用いると、画像濃度が高く、かつ蛍光発光が良好になることがわかった。第二の色材に蛍光色材を使用すると、これが被記録材上で拡散していくため、被記録材上で蛍光色材の会合、凝集が生じ難く、良好な蛍光発光を得ることができる。また、第一の色材は、先に記載した理由により、濃度を向上させることができるため、記録画像の全体の濃度を高くし、且つ蛍光性を良好にした記録物を得ることが可能となる。更に、第一の色材の凝集性により、耐水性も良好にすることが可能となった。
また、上記の理由により、水性インクを使用して第二の色材を含む第一の色材の第一集中画像形成部を隣接しないように複数ドットで画像を形成すると(図4参照)、第二の色材による第二集中画像領域を得ることが容易になるため、非常に良好な記録画像を得ることが可能となることが分かった。なお、図4において、●は第一の色材、白抜き部は第二の色材による集中画像領域を示す。また、図4における上面は、被記録材に付与された2つのインク滴から形成された色材の定着部としての2つのドットを被記録材の記録面の上方からみた平面モデル図である。図4の断面図は被記録材に付与されたインク滴から形成された色材の定着部からなるドットの被記録材内部のモデル図である。aは第一の色材の集中画像領域間の距離を示す。
更に、水性インクを被記録材上に、中央部に第二の色材を含む第一色材の集中画像を形成し、該集中画像の被記録材内の面を含む周囲全体に第二の色材の集中画像を形成する水性インクを用いて形成される記録画像の解像度が、縦の解像度≠横の解像度に成るように記録画像を形成すると、第二の色材の拡散領域を確保することができ、本発明の水性インクの効果を更に良好にすることができることがわかった。
被記録材上に、第二の色材を含む第一の色材の集中画像形成部を隣接しないように、複数のインク滴ドットを付与するとは、例えば、図5のように、インクドット間に、インク滴を付与しない未付与ドット部を存在させるものである。図5は被記録材の記録面を平面図としたモデル図であり、●はインク滴を付与した部分、○はインク滴の未付与部分である。
図5のような記録方法において、●部に中央に第二の色材を含む第一の色材の集中画像を形成し、該集中画像の被記録材内の面を含む周囲全体に第二の色材の集中画像を形成することを特徴とする水性インクを用いると、記録画像は、図6に示すようになり、第二の色材による集中画像が形成しやすくなり、本発明の効果を良好に発現できるようになる。図6において、●は主として第一の色材が定着した集中画像領域であり、その周囲の部分は主として第二の色材が定着している集中画像領域である。
また、上記記録画像形成に於いて、図6の様な画像形成を得るためには、ドット オン ドット になる画像形成は、好ましくない。ドット オン ドットにすると、第二の色材の集中画像形成領域が、第二の色材を含む第一の色材の第一集中画像と第二の色材の集中画像が混在してしまい、好ましくない。
本発明者らは、水分散色材と、水溶解色材と、水分散色材に対して相対的に水溶解色材を多く含有することができる界面活性剤と、水と、を含有する水性インクによれば、本発明の効果を良好に発現出来ることを解明した。このように、水分散色材よりも水溶解色材の方を多く含有することが出来る界面活性剤を用いた場合のモデル図を図7に示す。
図7において、黒塗り部は第一の色材の定着部を、白抜き部は第二の色材の定着部を示す。また、図7における上面は、被記録材に付与されたひとつのインク滴から形成された色材の定着部としてのドットを被記録材の記録面の上方からみた平面モデル図である。図7の断面図は被記録材に付与されたインク滴から形成された色材の定着部からなるドットの被記録材内部のモデル図である。
水分散色材に対して相対的に水溶解色材を多く含有することが出来る界面活性剤をインク中に用いると、インクの界面張力が低下し、被記録材に対し濡れ性が高くなり、内部に浸透、拡散しやすくなる。このとき、界面活性剤は、被記録材のインク滴を付与した付与域の表面を含む近傍を中心に被記録材に配向し、吸着しながら拡散していく。このとき、水分散色材に対して相対的に水溶解色材を多く含有することが出来る界面活性剤を使用していると、水溶解色材は、被記録材において、主成分である水と共に拡散し、広い範囲に第二の色材の定着領域を確保しようとする。すなわち、水溶解色材は、インクの溶剤、界面活性剤と共に、被記録材上及び内部へ拡散、浸透していく。この状態は、被記録材上及び内部において、色材の分離が発生し、図7のようなインクの定着が発生する。
一方、界面活性剤はインク滴が被記録材に付与された近傍を中心に、被記録材において、吸着等により存在するため、水分散色材は、水溶解色材に対して相対的に拡散し難くなり、水分散色材の凝集特性と相まって、更に凝集傾向が加速される。このとき、水分散色材は、局所的に凝集はせず、拡散しながら凝集するため、水分散色材の集中画像領域において、分散性をもった凝集、すなわち、水分散色材の集中領域は、水分散色材の凝集が点在した状態の集合体として形成される。すなわち、図7において第一色材は、被記録材に於いて集中画像を形成する際、集中画像部に於いて、第一の色材の集合体が集合画像部内に複数形成され、その集合体の集合が、集中画像となる。
また、第一の色材の第一集中画像領域に於いて、界面活性剤を併用することにより、第一の色材の単位面積あたりの量が減少し、その減少した分、第二の色材の占める領域が増えるため、見かけ上の画像濃度はほとんど変わらず、発色性を良好にする。特に、第二の色材に蛍光性を持たせた場合は、蛍光発光が良好になる(図7参照)。この状態は、第二色材を含む第一色材の第一集中画像部内が、第一の色材の定着部と第二の色材の定着部で形成され、かつ第一の色材と第二の色材が分離して混合集中画像を形成しているため、第一の色材に記録濃度を向上させる色材、第二の色材に発色性を向上させる色材、特に蛍光色材を用いると、記録画像の濃度と蛍光性を含む発色性が良好に成る。更に、第一の色材の凝集特性により、耐水性も良好にすることが可能となった。
また、第一の色材が図7の様に複数の小さい凝集を形成するが、目視で識別するには、凝集状態が人の目の識別限界を超えて小さいため、複数の凝集が一つの集合体として人の目で認識され、記録画像濃度は、複数の小さい凝集を形成しないものと比べ、遜色ない。更に、ドットにより記録画像を形成する場合、ドットが目立ちにくくなり、良好な品位の記録画像を得ることが可能となる。また、界面活性剤のインク中の含有量を、臨界ミセル濃度以上にすると、インクの被記録材上及びその内部への拡散が良好になり、本発明の効果を良好にする。
また、使用される界面活性剤の動的界面張力と静的界面張力の差が小さい方が好ましい。すなわち、界面活性剤の界面への配向スピードが速いことを意味し、被記録材上及びその内部へのインク液媒体の拡散を早めることが出来、更に、本発明中に水分散色材を用いた場合は、前記界面活性剤が該水分散色材に対してすばやく吸着作用を行い易く、故に、小さな凝集状態の水分散色材に配向吸着するため、被記録材上に、微小凝集の水分散色材を形成することが出来、本発明の効果を更に良好にする。
上記、好ましい界面活性剤と水分散色材の組み合わせの見分け方としては、例えば、所望の水分散色材溶液、例えば、15質量%水分散溶液を、選択された界面活性剤液にスポイトで滴下し(例えば、約0.1g)水分散色材が、選択された界面活性剤液界面に凝集性を有して浮遊状態を形成するものであり、また、前記サンプルを、長期間放置したり、60℃環境下に放置することで水分散色材が溶解せずに、沈降するものである。
図27〜30に、そのイメージを示す。各図は、シャーレ等の容器に界面活性剤溶液を満たし、水分散色材を滴下した際の、滴下直後(左図)と経時後(右図)の状態を模式的に示したものである。
特に好ましいのは、図27であり、滴下直後は水分散色材が界面活性剤液面に浮き状態で分離するが、経時後、底に沈殿状態で分離することを示している。次に好ましいのは、図28であり、滴下直後は水分散色材が界面活性剤溶液の底に沈殿状態で分離し、経時後も、底に沈殿状態で分離することを示している。
一方、図29及び30は、好ましくない組み合わせを示しており、図29では、滴下直後には水分散色材が界面活性剤溶液の底に沈殿状態で分離するが、経時後には、全体に拡散し、溶解状態になっている。また、図30では、滴下直後には水分散色材が界面活性剤液面に浮き状態で分離するが、経時後には、全体に拡散し、溶解状態になっている。
本発明においては、使用されるインク、色材の各種特性を考慮した場合、上記使用される界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤を選択すると弊害が少ない。
極性を有すると、インク中に含有される数々のアニオン、カチオン性の成分と塩を形成しやすくなる場合があり、それ故、界面への配向性が好ましい状態を形成しにくくなる場合が生じ、水分散色材の凝集を良好にし難くくする場合があるからである。
一方、本発明の水性インクには、上述した界面活性剤に加えて常温環境下で固体である水可溶性の結晶性物質(結晶形成用成分)を含んでいることが好ましい。この好ましい態様のインクは、水分散色材、水溶解色材、液媒体(水性媒体)、上記の作用をもつ界面活性剤及び水可溶性の結晶形成用成分が混合され、安定な状態である。かかるインクが放置されると、インク中の水分が、蒸発により減少し、更にインク中の水可溶性の結晶形成成分の濃度が、インク中での飽和濃度に達し、結晶形成用成分が結晶析出をはじめる。更に同時に、水分散色材も飽和濃度に達し、色材分散状態が不安定な凝集しやすい状態になる。
この2種の状態、すなわち、インク中に結晶を析出させた状態と水分散色材が不安定な凝集しやすい状態を同時に発現させると、水分散色材が、インク中に析出した個々の結晶を核として、その回りに集合した、結晶を核とした水分散色材の集合分散体を形成する(図8)。この状態のインクは、インク中に結晶を核とした分散色材の集合体が存在する状態になり、通常の水分散色材を用いたインク状態での水分散色材同士のネットワーク形成(図9)を阻害する。
また、これに加えて、上記の作用を有する界面活性剤の濃度が高まると、水分散色材の凝集性も高まり、水分散色材の集合分散体が形成されやすくなる。結晶を核とした分散色材の集合体は、このネットワークを形成しにくいため、分散色材単独におけるような強固な固着を形成しないため耐固着性、耐目詰り性が良好になる。
更にこの集合体が水可溶性の核を有しているため、例えば、インクジェットヘッドのノズル近傍で目詰りが生じても、吸引加圧等の回復操作を行うと、目詰りを生じているノズル近傍に存在する該結晶を核とした水分散色材の集合体に対して、外と内からの作用により、目詰り状態を容易に回復させることができる。
また、被記録材上では、被記録材に付与されたインクが、蒸発、浸透により水分が減少し、結晶成分を核に回りに集合した水分散色材集合体が、被記録材表相部で発現すると同時に、水分散色材が被記録材を構成するセルロース繊維等と化学的、物理的に強固インターラクションするため、耐水性等の堅牢性が良好になる(図10)。
更に、水分散色材と水溶解色材をインク中で共存させているので、記録画像の発色性、耐固着性が更に良好に成る。この理由としては、おそらく、従来の水分散色材と水溶解色材の共存したインクでは、被記録材に付与されたインクの水分量が減少し、被記録材に定着して行く過程で、水分散色材の凝集ネットワークに水溶解色材も取り込まれてしまい、水分散色材と共に水溶解色材も凝集状態になり、凝集ネットワーク中に水溶解色材は取り込まれ、発色性を良好に発現しにくくなると予想されている(図11)。
しかしながら、本発明では、先に説明した界面活性剤の作用によって水分散色材は局所的に凝集はせず、拡散しながら凝集し、更に、結晶形成用成分から結晶が形成される際の先に説明した作用によって、水分散色材の凝集が点在した状態と、結晶を核とした分散色材の集合体が点在した状態が形成され、結果として水分散色材の局所的な大きな凝集の形成が阻害される。そのため、水分散色材のネットワークが存在せず、水溶解色材がインク中の溶媒部の非集合体部に存在するため、水溶解色材は、良好に発色するためと予想している(図13)。
また、耐固着性を向上させる理由としては、結晶を核としその回りに水分散色材が集まった集合体間のバッファー効果により、集合体を良好に存在させることができ、且つインク中の溶媒中に水分散色材よりも溶解性が高い水溶解色材を存在させることで、2種の色材のインク中での溶解性の差により、良好に、水分散色材が結晶を核とした集合体に集合するのではないかと予想している(図12)。
水溶解色材に、蛍光性を有する色材を用いた場合は、画像の蛍光強度を高くする点で特に効果がある。これは、蛍光色材が単分子状態で、先の水溶解色材のように水分散色材の凝集に取り込まれないために、高い蛍光強度を発現するものと予想している。また、この場合、蛍光色材は、被記録材上で濃度消光を発現する含有量より少ない量、例えば、水系インク組成から水を除いた状態での濃度消光を発現する蛍光色材の含有量より少ない含有量であることが必要である。此処で、濃度消光とは、インク中の蛍光色材の含有量が増大すると、蛍光強度が低下する現象を指す。
更に、本発明のインクは、インクの構成成分として、水性媒体、水分散色材及び結晶形成用成分を少なくとも含有するが、インク中に、結晶形成用成分が溶解する有機溶剤を併用する方が、好ましい効果を出すことができる。
かかる有機溶剤が併用されている本発明のインクによれば、水分散色材が、結晶を核とした集合体を形成しやすくなるばかりか、耐固着性に対しては、有機溶媒を含んだインク中に該集合体を個々に独立して含有させることができ、水分散色材集合体を効果的に発現するためである。特に前記有機溶剤において、グリセリン、トリエチレングリコール等の常温環境下で揮発しにくいものが好ましい。また、該有機溶剤は、水溶解色材をも可溶化するものであれば、記録物の蛍光性を含む発色性を更に良好にする。すなわち、前記水溶解色材の良好な溶解状態が、前記有機溶剤によって確保することが出来るからである。
更に、上記有機溶剤と結晶形成用成分との関係で、インク中に含有する結晶形成成分含有量が、選択されたインク中に使用される有機溶剤含有量に対し、飽和濃度以上である関係であることが特に好ましい。これは、結晶形成用成分から得られる結晶を核とした水分散色材の集合体を作りやすくするためである。よって、結晶形成用成分の有機溶剤中での飽和濃度は、使用される水に対する飽和濃度以下である方が、本発明のメカニズムを発現するには特に好ましい。
また、結晶形成成分のインク中での含有量は、インク中の水に対する飽和濃度以下で、且つインク中に使用される有機溶剤に対する飽和濃度以上である場合は、本発明の効果を更に良好に発現できる。すなわち、インク中では、結晶形成成分は、良好に溶解していて、且つインク中の蒸発成分が蒸発していくと、結晶形成成分の結晶形成が速やかに発現できるからである。
一方、本発明者らは、遊離酸の状態でカルボン酸を主水溶性基とする色材と、遊離酸の状態で主にスルホン酸を水溶性基とする色材と、遊離酸の状態で主にカルボン酸を水溶性基とする色材に対して相対的に遊離酸の状態でスルホン酸を主な水溶性基とする色材を多く含有することができる界面活性剤と、水と、を含有している水性インクを用いると、記録画像の濃度、堅牢性を良好にし、水溶解色材により、発色性、品位を良好にすることができることを解明した。
特に、図3において、第一の色材が遊離酸の状態でカルボン酸を主な水溶性基とする色材、第二の色材が遊離酸の状態でスルホン酸を主な水溶性基とする色材であると、記録画像の濃度、堅牢性、発色性が良好になり、更に、ドットにより記録画像を形成する場合、ドットが目立ちにくく、良好な品位の記録画像を得ることが可能となる。カルボン酸は、スルホン酸より、親水性が弱く、凝集しやすい。更に遊離酸の状態でカルボン酸を主な水溶性基とする色材に対して、相対的に遊離酸の状態でスルホン酸を主な水溶性基とする色材を多く含有することができる界面活性剤を用いると、遊離酸の状態でカルボン酸を主な水溶性基とする色材は、記録画像の濃度、堅牢性を良好にし、遊離酸の状態でスルホン酸を主な水溶性基とする色材により、発色性、品位を良好なものとすることができる。更に、上記の結晶形成用成分を含有させることでこれらの効果を更に向上させることができる。
以下、上記したメカニズムによって優れた効果が得られる本発明のインクの構成成分等について説明する。
本発明の構成成分である第一及び第二の色材は、被記録材上でこれらを分離することができる組み合わせであることが重要である。被記録材上でこれらを分離させる方法としては、被記録材表面のpHに対する色材の溶解性の差を用いる方法、インク中に一方の色材に対して溶解性を低下させる成分を含有させ、インクを被記録材に付与させ、水成分が減少した時に、一方の色材に作用させ溶解性を低下させる方法、揮発性の一方の色材に対し、溶解性を良好にする成分をインク中に含有させ、インクが被記録材に付与された時に、揮発性成分を蒸発させ、色材の溶解性を低下させる方法、等が用いられる。このとき、第一の色材の溶解性/分散性が、第二の色材より低いことが好ましい。
インク中に用いられる色材としては、水分散色材と水溶解色材を用いるのが好ましい。
水分散色材は、色材自身では水に対し、ほとんど分散、溶解せず、界面活性剤や高分子等の水可溶化基を有する化合物で、化学的、物理的な作用により、水に分散する色材や、このような水分散色材に対し、低分子の親水性基を有する化合物や色材表面を酸化処理することでスルホン酸、カルボン酸等の親水性基を化学結合させた色材を指す。
例えば、水分散色材としては、無機顔料として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料で、具体的には、レイヴァン(Raven)7000、レイヴァン5750、レイヴァン5250、レイヴァン5000ULTRA−、レイヴァン3500、レイヴァン2000、レイヴァン1500、レイヴァン1250、レイヴァン1200、レイヴァン1190ULTRA−II、レイヴァン1170、レイヴァン1255(以上コロンビア社製)、ブラックパールズ(Black Pearls)L、リーガル(Regal)400R、リーガル330R、リーガル660R、モウグル(Mogul)L、モナク(Monarch)700、モナク800、モナク880、モナク900、モナク1000、モナク1100、モナク1300、モナク1400、ヴァルカン(Valcan)XC−72R(以上キャボット社製)、カラーブラック(Color Black)FW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック(Special Black)6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等の市販品や、別途新たに調製されたものも使用することができる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機顔料として具体的には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロンエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料、チオインジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、キノフタロンエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等のその他の顔料が例示できる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、有機顔料を、カラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示すと、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、55、74、83、86、93、97、98、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が例示できる。更に、C.I.ピグメントイエロー13、17、55、74、93、97、98、110、128、139、147、150、151、154、155、180、185、C.I.ピグメントレッド122、202、209、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4等を、特開昭46―52950号公報、米国特許5200164号、同5554739号、特開平8―3498号公報、米国特許5571311号の様に、色材の表面に親水基をジアゾニウム基を介して結合させ自己分散型の顔料として水分散させる方法や、次亜塩素酸等で色材表面を酸化させ親水基を反応させ、水に分散させる方法、色材を界面活性剤やポリマーに内包し、エマルジョンやカプセル状態で水に分散さえる方法、特開平05−179183号公報、特開平06−136311号公報、特開平07−053841号公報、特開平10−87768号公報、特開平11−043639号公報、特開平11−236502号公報、特開平11−269418号公報において開示されている、界面活性剤やポリマーなどの分散剤を水分散色材の表面に物理吸着させて水に分散させる方法が挙げられる。
分散剤としては、例えば、ランダムやブロック重合されたスチレンアクリル酸共重合体、スチレンマレイン酸共重合体等の樹脂;ミセル状態やエマルジョン状態を用いて水分散状態を付与できるノニオン界面活性剤やアニオン界面活性剤;あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、或いはランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩;等が挙げられる。中でも、本発明を実施する上で特に好ましい分散剤は、ブロック共重合体である。ブロック共重合体でえられた水分散色材は、個々の水分散色材間にばらつきが少なく、安定なインクを提供しやすいからである。
ブロック共重合体は、AB、BAB、及びABC型等で示される構造を有する。疎水性のブロックと親水性のブロックとを有し、また、分散安定性に貢献する均衡のとれたブロックサイズを有するブロック共重合体は、本発明を実施する上で特に有利である。官能基を疎水性ブロック(顔料が結合するブロック)に組み込むことができ、それによって分散安定性を向上させるための分散剤と顔料との間の特異的相互作用をよりいっそう強化することができる。また、重合体の重量平均分子量は、30,000未満、好ましくは20,000未満、より好ましくは2,000〜10,000の範囲内とすることができる。
また、これらの重合体についての製造方法は、特開平05−179183号公報、特開平06−136311号公報、特開平07−053841号公報、特開平10−87768号公報、特開平11−043639号公報、特開平11−236502号公報、特開平11−269418号公報において開示されている。
ブロック共重合体に用いることができる代表的な疎水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない:ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート(BMAまたはNBMA)、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート(LMA)、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、p−トリルメタクリレート、ソルビルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、p−トリルアクリレートおよびソルビルアクリレートなどである。好ましい疎水モノマーはベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートであり、これらから製造されたホモポリマーおよびコポリマー、例えばメチルメタクリレートとブチルメタクリレートとのコポリマーを用いてブロック共重合体を製造することが好ましい。
また、ブロック共重合体に用いることができる代表的な親水性モノマーとしては、次のモノマーがあるがこれらに限定されるものではない:メタクリル酸(MAA)、アクリル酸、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート、第3−ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミドおよびジメチルアクリルアミド等が挙げられる。メタクリル酸、アクリル酸またはジメチルアミノエチルメタアクリレートのホモポリマーまたはコポリマーを用いてブロック共重合体を製造することが好ましい。
酸を含有するポリマーは直接製造されるかまたは重合後除去されるブロッキング基を有するブロックされたモノマーから製造される。ブロッキング基の除去後に、アクリル酸またはメタクリル酸を生ずるブロックされたモノマーの例としては、トリメチルシリルメタクリレート(TMS−MAA)、トリメチルシリルアクリレート、1−ブトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、2−テトラヒドロピラニルアクリレートおよび2−テトラヒドロピラニルメタクリレートが挙げられる。
インク中での分散性色材としての顔料の含有量は、この範囲に限定されるものではないが、第一の色材と第二の色材が、被記録材上で分離することが本発明に於いて重要であるため、色材の含有量が多すぎると、被記録材上で、水分散色材の凝集状態が、本発明にとって好ましくない状態で定着する。よって、被記録材種、例えば、サイズ剤種、内添量によってインク中の水分散色材の含有量は変わるが、一般的に使用されている被記録材を想定すると、10質量%未満の範囲が好ましく、より好ましくは4質量%未満、更に好ましくは、2.5質量%未満である。これらの顔料の含有量の下限は、所望とする画像濃度に応じて設定できる。
また、水分散色材に、樹脂分散、界面活性剤分散等の、分散剤を物理吸着等の方法で分散させる場合は、樹脂分散樹、界面活性剤等は、1種を単独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができ、好ましい分散剤量はインク全量に対して0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは、1〜6質量%の範囲である。もし、分散剤の含有量がこの範囲よりも高い場合、所望のインク粘度を維持するのが困難となる場合がある。
なお、インク中での水分散色材の含有量が多すぎると、結晶を核とし、前記結晶の回りに水分散色材が集合した集合体を形成する際に、集合できない水分散色材がインク中の存在してしまい、本発明の効果を低減させる場合がある。また、水分散色材は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶解色材は、色材構造中に、遊離酸の状態でスルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、水酸基、アミノ基等の水溶性基を有し、且つ界面活性剤や樹脂等の第二成分の作用無しに水中で安定に存在できるものを指す。本発明のインクの構成成分として使用する蛍光性を示す化合物や蛍光色材としては、励起、発光をする各種化合物、色材を用いることが出来る。例えば、紫外光で励起し、紫外光波長域、可視光波長域、赤外光波長域で発光するもの、可視光で励起し、可視光波長域、赤外光波長域で発光するもの、赤外光で励起し、可視光波長域、赤外光波長域で発光するもの等が挙げられる。また、その構造中に下記の原子団、基本構造を含んでいるものが特に好ましい。
Figure 0004599174
Figure 0004599174
具体的には、アシッドレッド52、アシッドレッド92、アシッドレッド289、アシッドイエロー73等のキサンテン構造を有するもの、ソルベントグリーン7等のピラニン誘導体を有するもの、アシッドイエロー184等のクマリン誘導体を有するもの他、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、ピラゾロン誘導体、ベンジジン誘導体及びジアミノスチルベンジスロホン酸誘導体等の他、以下の表に示す構造の染料及びその水溶化物が挙げられる。また、水溶性蛍光性染料は、本発明の作用効果を最も高く発現させることが出来る。
Figure 0004599174
Figure 0004599174
又、蛍光性を示す化合物として、例えば、一般に使用されている蛍光増白剤等も用いることができる。特に、下記、水溶性蛍光色材Aは、良好な蛍光色材の一つである。
Figure 0004599174
蛍光染料のインク中における含有量は、例えば、インク全質量に対して、0.01〜30質量%、更に、0.05〜20質量%とするのが好ましい。また、記録物(記録画像)に蛍光性を求めた場合は、本発明のインクを被記録材に付与して記録を行った際、濃度消光(インク中での含有量が、ある値を超えると蛍光強度が低下してくるという性質)を発現させない含有量であるのが好ましい。蛍光性の向上を最重要視する場合、3質量%以下の含有量であるのが特に好ましい。しかし、被記録材や蛍光色材の特性によっては、これらに限定されない。
また、上記等の蛍光発光の基本構造を蛍光色材中の構造内に、複数有するもの、例えば連結基を用いて、二量体、三量体等の色材構造になっているものは、蛍光発光性に対し、特に、耐濃度消光に対し、優れた効果を発揮する。
また、本発明を、蛍光特性を用途目的として用いる場合、本発明にとって、更に以下の点を考慮して付加条件することがより好ましい。
ここで、本発明に適用できる「複数の蛍光染料」について説明する。以下に説明する「複数の蛍光色材」は、基準励起波長に対して基準発光の蛍光波長(例えば、580nm〜620nm)領域の蛍光を示す第1の蛍光色材の蛍光強度を、他の蛍光色材(以下、第2色材と呼ぶ)との関係で所望の蛍光強度を格段に向上する技術である。
例えば、従来の技術の欄で挙げた蛍光染料AR52は、紫外光を吸収してしまう水系インク中でも十分な赤の領域の蛍光発光を示すが、記録画像では、紫外線励起による蛍光は弱い。この現象を追求したところ、AR52が赤の蛍光を発光するための励起波長が紫外域だけではなく、可視光領域にも多くあることと被記録媒体中における蛍光染料の定着状態に左右されていることが要因であると判定された。従って、この赤を発光するための励起波長を如何に多く与えるか或いは記録画像としての染料定着状態を蛍光発光に対して有効にするための技術解析が行われた。
また、前述したように第1の色材をAR52とした場合、単独の特性としては、0.01質量%以下に水分を蒸発させたインクでも充分な蛍光強度を示すが、画像を形成する上で記録媒体としての紙や封筒の表面繊維に定着できずに紙内部に無駄に消費されることやインク中の第1,第2色材の量を増やすと逆に蛍光強度が低下する濃度消光といった問題も、夫々考慮すべき事項の1つである。他方、与えられるエネルギーは、基準励起波長に限られることも考慮すべき事項の1つである。他の解析は以下の説明から理解できよう。
依って、本複数蛍光色材は、蛍光強度を従来の技術水準よりも向上するために、少なくとも下記の課題の1つ(好ましくは、下記課題の複数)を解決するものである。
本複数蛍光色材の第1課題は、基準励起波長の付与によって発生する、第2色材の蛍光発光と基準発光波長(以下、1波長または波長幅の基準蛍光波長とする)を得るための第1色材の励起波長との相関に着目して、エネルギー効率を向上することで基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第2課題は、第1の色材が呈する吸収スペクトルと基準励起波長の付与によって発生する第2の色材が発する蛍光発光とに着目してエネルギー高効率化を達成し、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第3課題は、蛍光染料同士の構造分析によって得られた知見(即ち、蛍光染料の会合を合理的に防止することで蛍光染料の添加量を増大できること)により、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第4課題は、前記第3課題に加えて、基準励起波長の付与によって発生する第2の色材が発する蛍光発光と第1色材の基準発光蛍光波長を得るための励起波長特性に関与することに着目して、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第5課題は、複数蛍光色材を有するインク自体における特性として、より安定的に基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第6課題は、形成される画像からの分析によって得られた知見、即ち、画像が形成される記録媒体の種類、特性に大きく左右されずに、基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。
本複数蛍光色材の第7課題は、前記第1課題に加えて、第1の色材の励起特性と第2色材の吸収スペクトルの相関に着目して、エネルギー効率を向上することで基準発光波長の蛍光強度を向上できるプリント用インクを提供することである。なお、本複数蛍光色材の更なる課題や目的は、以下の説明で明らかになろう。
上記課題を達成するための本複数蛍光色材には以下の各態様が含まれる。本複数蛍光色材のうち波長関係を総称すると、第1蛍光色材の基準発光波長(例えば、600nm)を得るための励起波長特性のピーク波長領域(図15参照)及び/または、上記第1蛍光色材の可視光の吸収スペクトル(図19下側)を、第2の蛍光色材の蛍光発光波長域(図16参照)が少なくとも包含することとしてまとめられる。
まず、少なくとも前記第1の課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第1態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を実質的に含むことを特徴とするプリント用インクである。
本複数蛍光色材における第1蛍光色材の蛍光発光の「基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域」とは、このエネルギー変換効率を考慮した実用的な意味を持つものである。即ち、上記第1蛍光色材の「基準蛍光波長を得るための励起波長のスペクトル」において、基準蛍光波長に隣接したピークのうち強度が100以上の領域をピーク領域とし、この領域を与える波長をピーク波長領域とする。
前記基準励起波長は254nmで、前記ピーク波長領域は430nm以上600nm以下であり、前記第2蛍光色材の発光波長域は、前記基準蛍光波長としての600nmを含み、425nm以上600nm以下の発光波長範囲を有していることが好ましい。更に、上記第1の態様においては、前記第1蛍光色材が可視光領域に吸収スペクトルのピーク領域を有し、前記第2蛍光色材の蛍光発光の波長領域に、該吸収スペクトルのピーク領域よりも低波長側の領域が含まれていることが好ましい。
少なくとも前記第2の課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第2態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち、前記第1蛍光色材の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域を包含する波長域にあることを特徴とするプリント用インクである。
上記の第2の態様においては、前記第1蛍光色材の主たる吸収波長域が500nm以上590nm以下で、前記第2蛍光色材の主たる発光波長域は、450nm以上600nm以下の発光波長範囲を有していることが好ましい。一方、上記第1及び第2の態様における前記第2の蛍光色材は、蛍光発光団を複数有する構造の色材であることが好ましい。
少なくとも前記第3の課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第3態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光すると共に前記基準蛍光波長の発光強度を増強するための第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えていることを特徴とするプリント用インクである。この第3の態様においては、前記第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長を得るための励起波長域にあることが好ましい。
少なくとも前記第4課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第4態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えており、該第2蛍光色材の発光波長域が、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域の少なくとも一部と共通する波長域を有することを特徴とするプリント用インクである。上記第3及び第4の態様において、前記第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団は、夫々蛍光増白のための基本構造を備えていることが好ましく、更に、前記第2蛍光色材は、複数のスルホン基を有することが好ましい。
上記第1〜第4の態様において、前記第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団は、2量体であることが好ましい。一方、上記第1〜第4の態様において、前記第2蛍光色材が直接性染料であることが好ましい。
また、前記第3及び第4の態様のプリント用インクは、水系インクであって、前記プリント用水系インクの水分蒸発インク状態及び/またはプリント画像状態における、前記基準励起波長により蛍光発光するインクとしての発光スペクトルが、前記基準蛍光波長の発光を含む第1ピークと、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域にある第2ピークと、を呈するものであることが好ましい。
少なくとも前記第5課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第5態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材と、該基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材と、を含むプリント用水系インクであって、前記プリント用水系インクの水分蒸発インク状態及び/またはプリント画像状態における、前記基準励起波長により蛍光発光するインクとしての発光スペクトルが、前記基準蛍光波長の発光を含む第1ピークと、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域にある第2ピークと、を呈することを特徴とするプリント用インクである。上記第2の態様においては、前記第2蛍光色材が複数の蛍光発光団を有する構造を備えていることが好ましい。
少なくとも前記第6課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第6態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光染料を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光すると共に前記基準蛍光波長の発光強度を増強するための第2蛍光染料と、溶媒と、を含むプリント用インクであって、前記溶媒が、相対的に、前記第1蛍光染料に対して高溶解性であり前記第2蛍光染料に対して低溶解性である第1溶媒と、前記第2蛍光染料に対して高溶解性であり第1溶媒に対して相溶性がある第2溶媒と、を含むことを特徴とするプリント用インクである。
上記第6態様において、前記第1の蛍光染料と前記第2の蛍光染料がともにスルホン基を有することが好ましく、前記第2蛍光染料の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光染料の前記基準蛍光波長を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を実質的に含むことが好ましい。
上記第6態様において、更に、前記第2蛍光染料の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光染料の前記基準蛍光波長を得るための励起波長域のうち、前記第1蛍光染料の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域を除いた波長域にあることが好ましい。
一方、上記第6態様のプリント用インクは、水系インクであって、前記プリント用水系インクの水分蒸発インク状態及び/またはプリント画像状態における、前記基準励起波長により蛍光発光するインクとしての発光スペクトルが、前記基準蛍光波長の発光を含む第1ピークと、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域にある第2ピークと、を呈するものであることが好ましい。
少なくとも前記第7課題を達成し得る本複数蛍光色材のプリント用インクの第7態様は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材を有し、該第2蛍光色材の発光波長域が、少なくとも、前記インク中にある前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域のうち前記基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域を含み、更に、前記第2蛍光色材の吸光スペクトルにおける主たる吸収波長域が前記第1蛍光色材の前記基準蛍光波長の発光を得るための励起波長域よりも低波長側にあることを特徴とするプリント用インクである。上記第7態様において、前記基準励起波長は254nmで、前記第1の蛍光色材のピーク波長領域は430nm以上600nm以下であり、前記第2蛍光色材の吸収波長域は、440nm以下にのみ有しているのが好ましい。
上記本複数蛍光色材の第1〜5及び7態様に対して、前記プリント用インクが、相対的に、前記第1蛍光染料に対して高溶解性であり前記第2蛍光染料に対して低溶解性である第1溶媒と、前記第2蛍光染料に対して高溶解性であり第1溶媒に対して相溶性がある第2溶媒と、前記第2溶媒に対して相溶性が無く且つ前記第2蛍光染料を溶解する第3溶媒と、を有することが更に好ましい。この溶媒条件は、本複数蛍光色材の異なる蛍光色材における蛍光強度を一層向上できる。
上記の各プリント用インクをインクジェット記録に用いることにより、少なくとも蛍光強度において優れた記録画像を提供することができる。かかる効果を発揮する本複数蛍光色材のインクジェット記録方法は、インクを吐出口から吐出して記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが上記各態様のいずれかにかかるプリント用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法である。
本複数蛍光色材は、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材を含むプリント用インクであって、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材との関係を前記各発明に定義するように規定するものである。
本複数蛍光色材にかかる現状でのベストなプリント用インク(後述する)は、記録画像として判定した場合、米国特許第6,176,908号明細書に記載されるPMU値(LM−2C Luminance Meter("LM 2C")で測定)を従来の蛍光インクによる記録画像よりも少なくとも2倍(上記溶媒条件を含めた本複数蛍光色材インクでは3倍)増大させることができた。
以下、図面を使用しながら説明するが、記録画像或いは印字物と説明しない場合は、作成したインクを水分蒸発させ、有機溶剤が色材を分散している蒸発インクにおける測定データである。本複数蛍光色材の各態様にかかるプリント用インクは、基準励起波長の付与により蛍光発光する波長の内、測定または判定に利用される基準蛍光波長の発光をもたらす第1蛍光色材と、前記基準励起波長により蛍光発光する第2蛍光色材と、これらを溶解または分散するための液媒体と、を含有するものである。
本複数蛍光色材の第1及び第2の蛍光色材としては、上記した各態様にかかる構成を満たすものが用いられ、染料、顔料いずれも問わないが、インクの記録媒体上でのにじみ率が大きく、より高い蛍光強度を満足させるためには染料が好ましい。
具体的な染料としては、例えばC.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、17、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、11:1、14、C.I.アシッドイエロー73、184、250、C.I.アシッドレッド51、52、92、94、C.I.ダイレクトイエロー11、24、26、87、100、147、C.I.ダイレクトオレンジ26、29、29:1、46、C.I.ダイレクトレッド1、13、17、239、240、242、254等が挙げられる。
本複数蛍光色材における第1及び第2の蛍光色材の使用量は第1及び第2の蛍光色材の合計量として、インク全量を基準として、0.01質量%以上、15質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上10質量%以下が実用上好ましい。
尚、蛍光色材にもよるが、0.01質量%以下では印字物としての蛍光強度が得られない場合があり、インクジェット方式で使用する場合は15質量%以上では吐出特性に影響を与える場合がある。実用的には、第1の色材は、0.01〜1質量%の範囲から選択することが好ましく、更に、技術的には、励起エネルギー効率を一層向上する意味から第2の蛍光色材が第1の蛍光色材よりも多くインクに含有されていることが好ましい。
また、上記に示した蛍光染料の中には、ある規定濃度以上になると蛍光が弱くなるといった現象を生じるものとして知られた蛍光染料が含まれており、そのような蛍光染料では、強い蛍光強度を発現させることのできる濃度領域がある。その場合には強い蛍光強度を発現させる濃度領域で使用することが好ましい。
蛍光強度を向上させるための手段として、第1及び第2の蛍光色材が以下の(態様1)〜(態様3)の各態様の少なくとも1つを有することが好ましく、この態様に見合った第1及び第2の蛍光色材の組み合わせを上記に示した色材の中から任意に選択することができる。
本複数蛍光色材において、複数蛍光色材の組み合わせの最も好ましい例として、第1の蛍光色材がC.I.アシッドレッド52、第2の蛍光色材が先に説明した水溶性蛍光色材Aである組み合わせが挙げられる。測定用或いは、判定用に使用される基準発光波長を以下の説明では600nmとするが、この波長規定は、580nm以上620nm以下の範囲すべてでもよく、又、この範囲の任意の波長としても良い。
この第1蛍光色材であるAR52の254nmの基準励起波長による蛍光発光は、図14に示すように、550nmから始まり、ピークが600nmで、675nm近辺までの広範囲の蛍光発光領域を持つ。つまり、単体で、ここで定める基準発光波長の600nmを発光するが、上記580nm以上620nm以下の範囲すべてでも発光する。又、第1蛍光色材であるAR52の可視光の吸収スペクトルは、図19の下側グラフで示すように、460nmから始まり、ピークが565nmで、610nmまでである。
この水溶性蛍光色材Aは、2量体蛍光発光団を複数有しているため、会合防止機能を備え、水溶性蛍光色材A自身も添加量の増加に対して蛍光強度を向上できるものである。又、水溶性蛍光色材Aは、スルホン基を有する水難溶解性(98質量%純水に対しての溶解性は2質量%未満である)の直接性染料で、有機溶剤に対しては良溶解性である。この水溶性蛍光色材Aの254nmの基準励起波長による蛍光発光は、図16に示すように、425nmから始まり、ピークが510nmで、650nm近辺までの広範囲の蛍光発光領域を持つ。従って、水溶性蛍光色材Aの添加量を増加するほど、この蛍光発光強度を向上することができ、上記第1蛍光色材への励起エネルギーを増大することができる。又、水溶性蛍光色材Aの可視光の吸収は、図18の下側グラフで示すように380nm(ピーク値)以上440nmまでで、紫外吸収も持つ。従って、水溶性蛍光色材Aの添加量をかなり増加しても化合物自体の蛍光発光特性及び上記第蛍光色材に対する励起波長域の強度、更には上記第1蛍光色材自体の上記蛍光発光特性を低下することがない。
また、インク中に使用する溶剤は、上記第1蛍光色材を高溶解する純水と上記第2蛍光色材を高溶解する有機溶剤とを用いる事が良い。更に好ましくは、液溶媒として界面活性剤を含むことが好ましい。この溶媒関係によって、更に上記第1蛍光色材を単分子化した状態の定着画像を広く形成する特徴と上記第2蛍光色材と第1色材の分散定着状態を均一化する特徴とが十分に発揮され、インクの水分蒸発状態での254nmの励起による蛍光発光特性(図20参照)よりも、記録画像におけるその蛍光発光特性(図21参照)が、レベルアップすることができる。このように、水溶性蛍光色材Aは、本複数蛍光色材の各課題を数多く解決する構造や特性を有する好ましい具体例である。
以下、第1の蛍光色材がC.I.アシッドレッド52、第2の蛍光色材が上記水溶性蛍光色材Aである組み合わせを、基準励起波長(254nm)で得られる第1蛍光色材(AR52)の基準発光波長(ここでは、600nm)を測定基準として、本複数蛍光色材各態様を含めながら説明する。
[態様1]
態様1は、第1蛍光色材の基準発光波長(600nm)を得るための励起波長特性のピーク波長領域(15参照)及び/または、上記第1蛍光色材の可視光の吸収スペクトル(図16下側)を、第2蛍光色材の蛍光発光波長域が少なくとも包含することを特徴とする。この態様1は、波長領域の相対関係を損失に対する完全補完或いは、効率向上の効果を満足するものである。
まず、上記第1蛍光色材としてのC.I.アシッドレッド52(AR52)を水溶液(グリセリン等の有機溶媒及び純水)に所定量(本例では溶液に対して0.3質量%)を溶解した後、60度Cで水分を完全に蒸発させて得られるインク(以下、蒸発インクと呼ぶ)を作成した。この蒸発インクに対して測定器(日本分光株式会社製FP750)で、254nmで励起を行った場合、図14の蛍光発光を生じ、基準発光波長600nmを得るための励起波長をその吸収スペクトルとして表わすと、図15のとおりである。
図15は、265nm近傍にピークを持つピーク領域と、360nm近傍にピークを持つピーク領域を紫外光領域の380nm以下の波長域に有し、可視光領域には1つのピーク領域があることを示している。一般に判定用に用いられる紫外光励起の波長は、254nmか365nmが使用されていることから、エネルギー変換効率を検討したところ、次のことが得られた。
即ち、この縦軸で示される励起強度が100で確実な効果が確認でき、判定に適する強度を有効に示すことが確認された。従って、本複数蛍光色材における第1蛍光色材の蛍光発光の「基準蛍光波長に隣接するピーク領域に相当するピーク波長領域」とは、このエネルギー変換効率を考慮した実用的な意味を持つものである。即ち、上記第1蛍光色材の「基準蛍光波長を得るための励起波長のスペクトル(図15)」において、基準蛍光波長に隣接しているピークを持つスペクトルのうち上記強度が100以上の領域をピーク領域とし、この領域を与える波長がピーク波長領域である。
従って、図15において、AR52の基準蛍光波長を600nmとした場合(基準励起波長:254nm)、このピーク波長領域は430nm以上600nm以下となる。これに対して、図16に示すように、第2蛍光色材としての水溶性蛍光色材Aは、基準励起波長で励起を行った場合、上記ピーク波長領域の430nm以上600nm以下の波長範囲を含み、少なくとも450nmから600nmまでの広範囲の主たる蛍光発光領域を持つ。無論、上記強度を100とした場合も、上記水溶性蛍光色材Aは、その範囲も満足する蛍光発光を行うことが上記各図から理解できる。
図17は、上記第1蛍光色材の励起波長スペクトル(図15)と、第2蛍光色材の蛍光発光の波長スペクトル(図16)とを重ねているもので、水溶性蛍光色材Aの蛍光発光波長特性と、AR52の600nm発光を得るための励起波長との関係を示すグラフである。図17から理解できるように、図14のAR52の最大発光強度を示す波長(600nm)を基準にしても、水溶性蛍光色材Aの最大発光強度を示す波長(510nm)は、発光強度が800以上を示すほど有効である。これらの図を参照することより理解することができるであろう。依って、第1蛍光色材の上記ピーク波長領域を第2蛍光色材の発光領域が包含しているのでエネルギー変換が効率よく行え、上記基準励起波長を与えるだけで上記基準蛍光波長の蛍光強度が、相乗的に向上できる。
次に、損失面として考慮すべき項目は、使用する色材の吸収スペクトルである。図18は、600nmでの蛍光発光を得るためのAR52の励起スペクトル(上側グラフ)と水溶性蛍光色材Aの吸光スペクトル(下側グラフ)を同一波長で上下に対比させたものである。ここで、吸収と励起は数値的な対比はできないが、相対的な関係を見ることができる。一般に、吸収スペクトルは、発光波長域の一部が共通するが、発光波長よりも低波長である。この水溶性蛍光色材Aの吸光スペクトルも、図16に示した蛍光発光波長域の一部が共通しており、440nm以下に吸収スペクトルを持つ。吸収スペクトルも、実用上効果を発揮する範囲は、ピーク近傍であるから、蛍光強度100以上のAR52の主たる励起波長域範囲(425nm以上600nm)に水溶性蛍光色材Aの最大吸収波長(380nm)近傍が存在しないこと、更には、主たる吸収スペクトルの波長域(425nm以下)が存在しないことが好ましい。いずれにしても、この吸収スペクトルは、上記ピーク波長領域に重なる範囲は無いため、上記エネルギー変換には直接影響しないものとなっている。
いずれにしても、この吸収スペクトルは、上記ピーク波長領域に重なる範囲は無いため、上記エネルギー変換には直接影響しないものとなっている。仮に、第1蛍光色材の励起波長域に相当する第2蛍光色材の発光がこの吸収スペクトルで吸収される割合が大きい場合は、蛍光強度の向上に損失があると判断できる。
上記水溶性蛍光色材Aの蛍光発光の波長域がAR52の基準発光波長を得るための有効な励起波長域にあり、水溶性蛍光色材Aから発生した発光が更にAR52の励起に利用され、水溶性蛍光色材Aの吸収スペクトルも効率を下げるものではないので、この第2蛍光色材からの蛍光発光が第1蛍光色材の新たな励起エネルギーとなり、蛍光性を向上することが可能となる。
又、図14及び図16の対比からわかるように、AR52の蛍光発光の波長領域と、水溶性蛍光色材Aの蛍光発光の波長領域とが少なくとも580nm以上620nm以下で重複しており、これによっても基準発光波長による判定に、より有効な関係となっている。
次に、第1蛍光色材が有する吸収スペクトルに対しての本複数蛍光色材の特徴について説明する。図19は、AR52が元々有する吸収スペクトル(下側グラフ)と水溶性蛍光色材Aの蛍光発光のスペクトル(上側グラフ)を同一の波長であわせこんだグラフである。上記水溶性蛍光色材Aの蛍光発光の波長領域に対して、このAR52の吸収スペクトルは、損失エネルギーとして考慮することが好ましい。
AR52の吸収スペクトルは、600nm以下で、560nm近傍にピークを示し、460nmまでの可視光域に主たる吸収を有する。このAR52の吸収スペクトルの有効な範囲は、更に小さく、500nm以上590nm以下である。図14で示したAR52の蛍光発光の範囲(550nm以上)及びそれらの強度を考慮すると、この吸収スペクトルは、500nm以上560nm以下の範囲で吸収効果を発揮しているものと判断される。この吸収スペクトルは可視光域であるため、従来では、AR52の蛍光発光における技術議論からはずされていた。
しかしながら、本複数蛍光色材では異なる蛍光色材を複数用いるため、この吸収スペクトルは、上記2段階的な励起エネルギー変換には、考慮すべきポイントとなった。つまり、この吸収スペクトルを課題認識すると、この吸収スペクトルの範囲を除いた波長域であって、上記基準蛍光波長を得るための励起波長でもある波長域に、第2蛍光色材の蛍光発光があることが解決方法の1つとなる。
図19は、この関係を示すもので、上下のグラフから理解できるように、上記吸収スペクトルにほとんど影響されない430nm以上515nm以下の範囲で、上記蛍光発光が多く得られていることが理解できる。第2蛍光色材である水溶性蛍光色材Aの蛍光発光の波長領域は、AR52の吸収スペクトルのピーク(560nm)及び実質的な吸収領域(500nm以上590nm以下)よりも低波長側に、上記第2蛍光色材の蛍光発光領域(図19においてαで示す領域:430nm以上500nm未満)を含んでいる。この領域は、上記第2蛍光色材の波長領域に夫々の強度を相乗した光エネルギーを発し、第1蛍光色材の励起エネルギーとして利用されるため、全体としての基準発光波長の蛍光強度が増強される。つまり、少なくとも、この領域αが第1の蛍光色材であるAR52の第2の励起波長域と重なっていることから、第1の蛍光色材であるAR52の蛍光強度向上に寄与するからである。
次に、比較例として、上記特許文献1にあるようにAR52に対して、C.I.アシッドイエロー73(AY73)を組み合わせた場合について図23〜26を用いて説明する。図において、紫外光を与える場合はその蒸発インクを用い、吸収は、通常インクで測定した。AY73は、図23に示すように、基準励起波長である254nmで励起を行った場合、略500〜600nmの波長域(ピーク:530nm)に蛍光発光を生じるものである。
図24は、図15で説明したAR52の励起波長スペクトルに対して、図23のAY73の蛍光発光グラフを重ねたものである。この図からわかるように、AY73の蛍光発光は、略500〜600nmの波長域(ピーク:530nm)に蛍光発光を生じるものの、505nmから590nmの範囲、更には510nmから575nmの範囲になるに従って、両端の発光強度は小さく、有効発光強度も波長域が狭くなっている。前述したピーク領域の波長475nm以上600nm以下の範囲と比較すると、AY73の蛍光発光は、前記ピーク波長領域の範囲内に含まれてしまっている。従って、AY73は、AR52を十分に発光させるだけの蛍光発光をしていない。
図25は、600nmでの蛍光発光を得るためのAR52の励起スペクトルとAY73の吸光スペクトルを対比させたものである。AY73の吸光スペクトルは、525nm以下の可視光域全域にあって、490nmにピークを有する。本複数蛍光色材の複数蛍光例として上記水溶性蛍光色材AをAR52とAY73とを含めたインクを想定する場合、AY73の吸光スペクトルは、水溶性蛍光色材Aの上記効果を低減させる方向に作用する。
従って、本複数蛍光色材の複数蛍光例としては、水溶性蛍光色材Aの添加量を所望分だけ増加(後述の[態様2]参照)して、AY73の吸光スペクトルによる損失分を補えば良い。尚、図25で示されるようにAR52の励起波長域(450nm以上600nm以下の範囲)にAY73の最大吸収波長(490nm)が存在している。
又、図26は、図19の下側グラフに示したAR52の吸収スペクトルと、AY73の蛍光発光スペクトルをあわせたものである。図26でわかるように、AY73の蛍光スペクトルは、AR52の吸収スペクトルの実質的な吸収領域(500nm以上590nm以下)に含まれており、この吸収領域よりも低波長側には発光波長を持っていない。依って、AR52及びAY73のみの組み合わせは、上述した本複数蛍光色材のいずれの構成を開示するものではないし、上記本複数蛍光色材の効果を与えるものでもない。
図20乃至図22に戻って、本複数蛍光色材をインク及び記録画像の観点から更に説明する。図20は、AR52と水溶性蛍光色材Aの両方と、純水及び有機溶媒を含む記録用インクを作成した後、前述した蒸発インクとして上記FP―750により、254nmの基準励起波長で励起した測定結果を表示したものである。図21は、この記録用インクを用いて被記録媒体に記録した画像を上記FP―750により、254nmの基準励起波長で励起した測定結果を表示したものである。言い換えれば、図20は本複数蛍光色材の記録用インクの特性を蒸発インクで検証した結果を示すもので、図21は、本複数蛍光色材の記録用インクによる記録画像の特徴を示し、本複数蛍光色材の記録用インクの使用を記録画像から証明するものとなる。
図20及び図21は、共に同じインクを用いているので、相対的な比較において有効であるから、図20及び図21の対比を行うことで、本複数蛍光色材の効果を確認する。図20及び図21のいずれにおいても、グラフは、2つのピークを有し、その波長は、500nm近傍と、590nmである。前述した図14、図16からわかるように、水溶性蛍光色材Aが500nm近傍のピークを与え、AR52が590nmのピークを与えている。図20及び図21の対比から、理想的な溶解状態のAR52と水溶性蛍光色材Aを示す図20に対して、記録画像は、更に蛍光強度が増加し、特に、基準発光波長(600nm或いは、580nm以上620nm以下の全範囲)の蛍光強度を増加している。
これらから、上記各色材が記録画像内では基準励起波長を有効に利用して、第2蛍光色材である水溶性蛍光色材Aの発光及びこの発光による第1蛍光色材の発光が得られていることが証明される。一般に、蛍光色材が会合すると、ピーク波長が長波長側にシフトするが、図20及び図21の比較ではこのようなシフトがない。
従って、上記本複数蛍光色材の会合防止作用や、その他の技術内容が結果として証明されたこととなる。図20は、本複数蛍光色材の記録用インクの特性を蒸発インクで検証した結果を示すもので、図21は、本複数蛍光色材の記録用インクによる記録画像の特徴を示し、本複数蛍光色材の記録用インクの使用を記録画像から証明するものとなる。
更に、AR52と水溶性蛍光色材Aの両方を含む蒸発インクは、図20に示すように2つのピークを有するものであるから、記録用インクにおいても水溶性蛍光色材Aが、AR52の特性をすべて補い、水溶性蛍光色材Aの蛍光発光が、基準発光波長を増強できるだけの特性を発揮することが明らかである。又、上記記録画像においても図21に示すように、2つのピークを有するものであるから、濃度消光が生じ難い蛍光インクを完成し、長期的に蛍光強度を増強しつづける耐久性があることも示している。
なお、本複数蛍光色材における蛍光発光の基準蛍光波長はインク及びそれにより形成される画像の用途によって選択できる。たとえば、AR52における蛍光発光波長(基準蛍光波長)を580、600及び620に変化させた場合のそれぞれの励起スペクトルは図22に示すようになる。
そこで、本複数蛍光色材に従って各基準蛍光波長に隣接するピーク領域であるピーク波長領域をそれぞれ設定することができる。前述したように、580nm以上620nm以下の全範囲を基準発光波長とする場合は、上記第2蛍光色材の基準励起波長による蛍光発光波長は、ほとんどの励起スペクトルのピーク波長領域を満足することが好ましい。ただし、この場合、従来よりも効果を発揮する効果水準からすると、この蛍光発光波長は効果の高い1波長でもよく、好ましくは波長以上或いは、中心波長600nmの前後5nm、或いは10nmの範囲を満足するか、励起スペクトルのうち基準蛍光発光が得やすい波長を満足することでも良い。
例えば、AR52の場合、図22からわかるように、580nm、620nmの励起スペクトルよりも、前述した600nmの励起スペクトルだけのピーク波長領域を満足することのほうが効率的である。上記態様1における効果は、上記第2蛍光色材の添加量が増大できるものであれば、当然その効果は強化できる。
[態様2]
態様2は、従来では認定できていない第2蛍光色材の構造における特徴要件によって、第2蛍光色材の添加量が増加できるインクに関する。つまり、態様1で挙げた波長関係の条件が緩和(励起スペクトルに対して少なくとも一部が共通する波長域を与えていれば良い)され、この励起波長と発光波長とのエネルギー関係を第2蛍光色材の添加量によって、改善できるものでもある。具体的には、色材の会合防止機能を有する基本構造により、第1色材の会合を防止しつつ、第2蛍光色材の添加量を増加できることで、基準発光波長の強度を増強し得るものである。第1及び第2の蛍光色材の少なくとも一方、好ましくは第2の蛍光色材に下記に記載の原子あるいは原子団、下記に記載の蛍光発光団の基本構造を含んでいる第1及び第2の蛍光色材の組み合わせを用いることで第1の蛍光色材における第1の励起波長での蛍光発光の強度を向上させることができる。
特に、色材構造中に、該蛍光発光団を複数有しているものが好ましい。
すなわち、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、従来の蛍光色材に比べ、構造的に大きくなり、更に立体性も強くなるため、従来の蛍光色材の様な規則性のある凝集、会合が生じにくくなるため、インク中の蛍光色材の含有量を従来の色材に比べ多くしても、蛍光強度を低下させにくい。また、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、色材1分子中に蛍光発光団を複数有することにより、単位分子当たりの蛍光発光が強くなるため、蛍光発光強度を強くすることが出来る。また、先に述べたように、従来の蛍光色材に比べ、構造的に大きくなり、立体性も強くなることで、被記録材構成成分に対し色材が吸着しやすくなり、耐水性が良好になる。
また、この蛍光色材が直接性を有していると耐水性が向上でき、蛍光発光の耐久性にも貢献できる。また、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、従来の色材に比べ、規則性のある凝集、会合が生じにくくなるため、例えば、インク中の水分が蒸発しても、色材の凝集が規則性をもちにくくなるため、強固な凝集状態が出来にくくなるため、耐固着性が良好になる。このメカニズムにより、本複数蛍光色材のインクは、蛍光強度、耐水性が良好で、また、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材が、親水基として、水との親和性の強いスルホン酸を用いていると、本複数蛍光色材の効果が更に向上する。
また、好ましい蛍光発光団であって、上記要件を満足し、更に機能的に有効なものとして、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体を挙げることができる。これは、前述した水溶性蛍光色材Aの構造にも含まれている。
従来のような蛍光色材の場合は、インク中でのその濃度を高めても、蛍光強度が増加せずに、逆に蛍光強度が下がるものがある。このような蛍光色材を用いる場合には、適用できる濃度(インク中での含有量)の幅が狭くなったり、蛍光強度を高めるには限界が生じる。これに対して、本複数蛍光色材にかかる第1及び第2の蛍光色材であって、可視光に有色発光をもたらすものの組み合わせでは、蛍光色材の含有量を増加させた場合に、その増加率に応じて蛍光強度を更に高めることが可能となる。
このような本複数蛍光色材蛍光色材に適用できる、蛍光増白機能を発揮できる原子団及び基を備えた蛍光発光団としては、前述したものを挙げることができる。ここで、本複数蛍光色材の蛍光色材は、吸光波長域は、可視光域でも可視光域以外でも良いが、前述した励起波長域を与える蛍光発光を行うものであるので、可視光領域に蛍光発光する色材であることが重要である。上記の構造式に示されるとおり、水溶性蛍光色材Aは、蛍光発光団を複数有するとともに、複数のスルホン基を有する2量体としての構造を有する。
このように蛍光発光団を蛍光色材が含むことで第1蛍光色材の基準励起波長での励起により得られる蛍光強度が増加する理由としては、第1蛍光色材の基準励起波長域での蛍光発光が良好になるからである。特に、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体は蛍光発光領域が広く、好ましい。
[態様3]
態様3は、態様1,2夫々に有効であり、単独でも有効なもので、第1の色材に対して高溶解性であり、第2の色材に対して低溶解性である第1の溶媒と、第2の色材に対して高溶解性である第2の溶媒と、の混合溶媒等の溶媒による蛍光色材の記録時の適正配置化による蛍光強度向上技術である。染料には、染料分子がエネルギー的に安定である状態を保持しようとして、会合という化学現象をおこすものがある。
この会合の現象は2つ以下の環状骨格を有する平面に近い構造の染料分子では、2つの分子が向かい合った状態となり、その分子間でのみエネルギーの補充と損失が行われるため、蛍光染料の場合はその蛍光性を阻害する要因となり得ると考えられる。この状態はインク中だけでなく、紙面上に印字されても維持されるため、会合を防止する手段を講ずることが必要となる。一般的には、会合を起さないようにするために会合防止剤として尿素やナフタレンスルホン酸などを添加することは知られている。しかしながら、それ自身も蛍光性を有して第1の蛍光色材の蛍光強度を増強でき、かつそれ自身が会合防止作用を有するものであれば、蛍光強度の増強と会合防止による蛍光の効率良い発生の両方の効果を得ることが可能となる。
そこで、同一励起波長の励起光を照射した際に、第1の蛍光色材の蛍光強度を増加させることのできる第2の蛍光色材を組み合わせる際に、インクの溶媒として、第1色材に対して高溶解性であり、第2色材に対して低溶解性である第1の溶媒と、第2色材に対して高溶解性である第2の溶媒と、の混合溶媒を用いる。
なお、高溶解性とは目安として3質量%以上の濃度で色材を溶解させることのできるものであり、低溶解性とは目安として3質量%未満の濃度でしか色材を溶解させることができないものである。
例えば、第1の溶媒として水を、第2の溶媒としてグリセリンを選択した場合、水はAR52に対しては高溶解性であり、水溶性蛍光色材Aに対しては低溶解性であり、また、グリセリンは水溶性蛍光色材Aに対して高溶解性である。そこで、水とグリセリンを含む溶媒にAR52及び水溶性蛍光色材Aを含有させたインクを調製すると、インク中では、水溶性蛍光色材Aは、貧溶媒過多な環境下であるため、弱い会合状態で溶解し、AR52と共に安定な系を形成している。
しかし、該インクが記録媒体に付与されると、貧溶媒である水がすばやく浸透拡散する。これに対し、グリセリンは、自身の粘度が高いことも含め、記録媒体において、浸透拡散がゆっくり生じる。このとき、水溶性蛍光色材Aは、貧溶媒である水ではなく、良溶媒であるグリセリンに溶解するため、記録媒体での拡散浸透もグリセリンに伴ってゆっくり生じる。
更に、水溶性蛍光色材Aは、グリセリンが良溶媒であるため、記録媒体の構成成分に対し、単分子状に吸着するため、良好な蛍光発光を生じる。更に、水溶性蛍光色材Aは単分子状に溶解しているため、AR52の会合を阻害する結果も生じる。言い換えれば、水溶性蛍光色材A及びAR52の分子が適度に互いに混合分散した状態で記録媒体に定着され、AR52の蛍光強度を水溶性蛍光色材Aにより増強する効果がより顕著に表れるものと考えられる。この場合、第1の蛍光色材と第2の蛍光色材はともにスルホン基を複数もつものであることが好ましい。
また、上記現象を好ましく発現させるためには、使用される蛍光色材の含有量は、使用される貧溶媒に溶解する含有量以下であるのが好ましい。
一方、会合が起きにくい状態を蛍光色材の分子構造の面から見ると、3つ以上の環状骨格を有する構造を有する蛍光色材が第一もしくは第二の色材の少なくとも一方にあれば、第一の色材と第二の色材の分子が重ならないが、近傍にいる状態となり、先に説明したエネルギーの授受を行いやすくなるため、更に蛍光性を増大させることが可能となる。
このように、本複数蛍光色材で用いられる第2の蛍光色材としては、複数の蛍光発光団を有するものが好ましく、また、蛍光増白のための基本構造を有していることが更に好ましい。更に、第2蛍光色材が有する複数の蛍光発光団は2量体であることが好ましい。
第2の蛍光色素の有する環状骨格の例としては、二重結合または共役二重結合を含んだ環状構造、芳香環構造、シクロ環状構造、または複素環状構造を有する環状骨格等で、前述したとおりである。
更に第1の蛍光色材と第2の蛍光色材が水に可溶な色材の場合、会合を阻害しやすくするために、これら二つの蛍光色材の水可溶化基が同一であるのが好ましく、この可溶化基は、更にはインクのpHによる溶解性の影響を受けないスルホン基であるのが好ましい。本複数蛍光色材においては、調色等のために、第3以降の色材として、上記二つの蛍光色材の他に、蛍光色材及び蛍光を有さない色材を含有してもよい。
次に、上記で説明した染料と共に本複数蛍光色材の蛍光インクを構成する水性液媒体について説明する。本複数蛍光色材で使用する水性液媒体としては、水を主成分とすることが好ましく、又、インク中の水の含有量はインク全質量に対して、10〜95質量%、好ましくは25〜93質量%、より好ましくは40〜90質量%の範囲とすることが望ましい。本複数蛍光色材で使用する水としては、イオン交換水が好ましく用いられる。また、本複数蛍光色材のインクにおいては、水性液媒体として、水を単独で用いてもよいが、水に水溶性有機溶剤を併用させることによって、本複数蛍光色材の効果をより顕著にすることもできる。
本複数蛍光色材で使用できる水溶性有機溶剤としては、前述してある水溶性有機溶剤がしようできるので、ここでは省略する。この水溶性有機溶剤のインク中含有量は、一般的には、インクの全質量に対して合計して50質量%以下、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%の範囲とすることが望ましい。これらの溶剤の中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ピロリドン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオールを用いることが好ましい。また、本複数蛍光色材のインク中に、溶剤と同じような保湿剤として、尿素やエチレン尿素、トリメチロールプロパンを含有させることも好ましい。特に、エチレン尿素、トリメチロールプロパンは本複数蛍光色材に非常に適したものである。これらの含有量は、インク全質量に対し1質量%以上であることが好ましく、また、20質量%以下であることが好ましい。
以上のようにして構成される本複数蛍光色材の蛍光インクは、インクジェット記録で用いられる際に、特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させて液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出するインクジェット記録方法があり、それらのインクジェット記録方法に本複数蛍光色材の蛍光インクは特に好適である。
次に、複数蛍光例及び参考例を挙げて、本複数蛍光色材を更に具体的に説明する。なお、吸収波長領域、最大吸収波長、及び蛍光波長領域は色材の純水希釈液での測定値を使用した。吸収波長は吸光度計を用いて、吸光度が0.5〜0.7の範囲になるように希釈液を作製したとき、色材の吸収ピークとしてベースラインより高い領域を吸収波長領域とし、ピーク値を最大吸収波長とした。また、蛍光波長は吸光度で使用した希釈液を用いて、蛍光強度が測定限界値を超えないように測定条件を設定し、第一及び第二の色材の励起波長を固定して測定した。蛍光発光波長領域は、ベースラインより高い領域とした。
以下の複数蛍光例におけるインクは先に記載した第1〜第6の態様にかかるプリント用インクのいずれかの構成を満たすものである。
複数蛍光例1
下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過することによりインクを調製した。
C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材):0.25質量部
水溶性蛍光色材A(第2の蛍光色材):1質量部
グリセリン:7.5質量部
ジエチレングリコール:5質量部
尿素:5質量部
アセチレノールE100(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物):1質量部
水:80.25質量部。
第1及び第2の蛍光色材の蛍光発光スペクトル及び励起スペクトルは、日本分光(株)社製、蛍光測定機FP−750を用いて測定を行った。測定サンプルは水による影響を排除するため、水分を蒸発させたインクを用いた。
第1及び第2の色材の吸収波長領域は、日立(株)社製吸光度計U−3200を用いて、染料が100000倍希釈になるように純水で希釈して測定を行った。第1の色材の吸収波長領域は450〜620nmで、最大吸収波長は565nmであった。また、第2の色材の吸収波長領域は、300〜450nmで、最大吸収波長は372nmであった。
参考例1
下記の成分を加えて所定の濃度にし、これらを十分に混合撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過することによりインクを調整した。
C.I.アシッドレッド52(第1の蛍光色材):0.25質量部
グリセリン:7.5質量部
ジエチレングリコール:5質量部
尿素:5質量部
アセチレノールE100(川研ファインケミカル製アセチレングリコールEO付加物):1質量部
水:81.25質量部。
(評価)
(1)蛍光強度
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、日本分光(株)社製の蛍光光度計(FP−750)を用いて下記の条件のもと蛍光強度を測定した。その結果を下記の基準に従って評価し、表1に示した。測定の際の条件は、励起波長を254nmとし、最大蛍光波長での蛍光強度を測定し、得られた測定蛍光強度値を、参考例1のインクの蛍光強度値を100として標準化し、下記の基準で評価した。
◎:測定蛍光強度値が150以上である。
○:測定蛍光強度値が110以上150未満である。
△:測定蛍光強度値が110未満である。
(2)発色性
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、印字記録物の濃度測定装置として、マクベスRD−918を用いて測定を行った。
◎:印字物として目視ですぐに判読可能な0.7以上であった
○:印字物として目視で判読可能な0.5以上0.7未満であった。
△:印字物として目視で判読しずらくなる0.3以上0.5未満であった。
×:印字物として目視で判読不可能な0.3未満であった。
(3)堅牢性
記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJS600(キヤノン製)を用いて、キヤノン製インクジェット用普通紙SW−101に50%Dutyのベタパターンを印字し、24時間放置後、水道水に5分間浸漬し、印字濃度の変化をマクベスRD918を用いて、下記基準で評価した。
◎:印字物として目視ですぐに判読可能な濃度変化が50%未満であった。
○:印字物として目視で判読可能な50%以上70%未満であった。
△:印字物として目視で判読不可能な70%以上であった。
Figure 0004599174
複数蛍光例2から6及び参考例2から3は、表2に示す組成に従って各インクを調製した。また、複数蛍光例4の第1と第2の色材の組み合わせによる蛍光、励起、吸収の関係図を図14〜18に、複数蛍光例5の第1と第2の色材の組み合わせによる蛍光、励起、吸収の関係図を図19〜22に、参考例3の第1と第2の色材の組み合わせによる蛍光、励起、吸収の関係図を図23〜26に示す。これらの図の説明は、省略するが、前述した本複数蛍光色材の技術説明や参考例の説明から理解できよう。なお、上記参考例は、従来にある色材の組み合わせを用いているが、溶剤条件を本複数蛍光色材の溶剤条件と合わせているために、参考例としている。
Figure 0004599174
上記各インクに対して254nmの励起波長を照射して、蛍光発光のスペクトルを求めたところ複数蛍光例2〜4のインクにおいては図20及び図21で詳細に説明したように、図20、21及びその比較からわかるように2つの蛍光強度の強いピーク等の効果が認められたが、参考例1〜3のインクではこのような関係は見られなかった。
更に複数蛍光例1、参考例1と同様の方法で蛍光強度等についても評価を行ったところ、以下の表3のように大きな差が見られた。
Figure 0004599174
以上説明したように、本複数蛍光色材によれば、従来技術では達成しえない高い蛍光強度及び、高発色と高堅牢性を持つ蛍光インク、この蛍光インクを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
また、場合によっては、非蛍光性の水溶性色材を併用しても良い。その場合は、例えば、直接性染料、酸性染料、塩基性染料、バット染料等が上げられ、具体的には、例えば、ダイレクトブラック168、ダイレクトブラック154、ダイレクトイエロー142、ダイレクトイエロー86、ダイレクトレッド227、ダイレクトブルー199、ダイレクトイエロー142、ダイレクトブラック195、フードブラック1,2が挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶解色材も単独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、場合によっては、上記水溶解色材の中で、水溶解性が低く、顔料的な挙動を示すものは、水分散色材的使用できる場合もある。
この水溶解色材の使用量については特に制限されないが、一般的にはインクの全質量に対して0.1〜15質量%の範囲が好適で、より好適には0.1〜10質量%であり、更に好適には1〜10質量%である。
また、カルボン酸を水溶性基とする色材としては、具体的には、例えば、ダイレクトブラック195、ダイレクトブラック51等の、直接性の強いジス又はトリスアゾ色材や連結基を介した二量体構造の色材、例えば、下記に示すような、遊離酸の形で一般式(A)〜(C)で示される色材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(1)遊離酸の形で下記一般式(A)で表わされる色材:
Figure 0004599174
[一般式(A)中、Pcは含金属フタロシアニン核、R1、R2及びR3は各々独立に、H、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基又は置換アラルキル基を表す。Lは2価の有機連結基を表す。Xは、夫々独立に、カルボニル基又は下記(2)〜(4)式で示される基を表す。
Figure 0004599174
(上記式(2)〜(4)中の各Zは夫々独立に、NR45、SR6又はOR6を表し、式(3)中のYは、H、Cl、上記Z、SR7又はOR7を表し、式(4)中のEは、Cl又はCNを表す。R4、R5、R6及びR7は各々独立に、H、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基を表し、R4及びR5は、窒素原子と共に5又は6員環を形成する。)Gは、1又は2個のCOSH又はCOOHで置換された無色有機残基を表し、t+qは3又は4である。]
一般式(A)で表される化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 0004599174
(2)遊離酸の形で下記一般式(B)で表わされる色材:
Figure 0004599174
[上記一般式(B)式中、Jは下記式を表す。
Figure 0004599174
一般式(B)中、Ar1及びAr2は、各々独立に、アリール基又は置換アリール基であって、Ar1とAr2の少なくとも1つが独立にCOOHとCOSHから選ばれる置換基を1個以上有する。R1及びR2は独立に、H、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基又は置換アルケニル基を表し、Lは2価の有機連結基を表し、nは0又は1を表す。Xは夫々独立に、カルボニル基、又は下記(2)、(3)又は(4)式で示される基を表す。
Figure 0004599174
(上記式(2)〜(4)中のZは夫々独立に、NR34、SR5又はOR5を表し、式(3)中のYは夫々独立に、H、Cl、上記のZ、SR6又はOR6を表し、式(4)中のEは夫々独立に、Cl又はCNを表す。R3、R4、R5及びR6は夫々独立に、H、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基を表し、R3又はR4は窒素原子と共に5又は6員環を形成する。)又、一般式(B)で表される化合物は、少なくともSO3Hと同数のCOOH又はCOSHから選ばれた基を有する。]
一般式(B)で示される化合物として、具体的には、例えば、以下のようなものが挙げられる。
Figure 0004599174
Figure 0004599174
(3)遊離酸の形で下記一般式(C)で表わされる色材:
Figure 0004599174
[上記一般式(C)中、Ar及びAr1は夫々独立に、アリール基又は置換アリール基を示し、Ar及びAr1の少なくとも1つは、スルホン基、カルボキシル基及びチオカルボキシル基からなる群から選ばれる置換基を有する。J及びJ1は夫々独立に、下記一般式(2)、(3)又は(4)で示される。
Figure 0004599174
(上記式(2)中、R5は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、CN、ウレイド基及びNHCOR6から選択される。該R6は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基及び置換アラルキル基から選択される。式(3)中、Tは、アルキル基を示し、Wは、水素原子、CN、CONR1011、ピリジウム基及びカルボキシル基から選択される。R10及びR11は夫々独立に、水素原子、アルキル及び置換アルキル基から選択される。mは、炭素数2〜8のアルキレン鎖を示し、式(4)中、Bは、水素原子、アルキル基及びカルボキシル基から選択される。
又、式(C)中の、R1、R2、R3及びR4は夫々独立に、水素原子、アルキル及び置換アルキル基から選択され、Lは、2価の有機結合基を示し、nは、0又は1を示し、Xは独立に、カルボニル基又は下記一般式(5)、(6)又は(7)で示される。
Figure 0004599174
(上記式(5)〜(7)中、Zは、OR7、SR7及びNR89から選択され、Yは、水素原子、Cl、CN及びZから選択され、Eは、Cl及びCNから選択される。R7、R8及びR9は夫々独立に、水素原子、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基又は置換アラルキル基を示し、更に、R8又はR9は、これらが結合された窒素原子と共に5又は6員環を形成する場合もある。)
且つ、一般式(C)の化合物がスルホン基をもたない場合は、少なくとも2個のカルボキシル基及びチオカルボキシル基から選ばれる基を有し、一般式(C)の化合物は、スルホン基と少なくともスルホン基と同数のカルボキシル基及びチオカルボキシル基から選ばれる基を有する。]
上記一般式(C)で示される化合物として、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 0004599174
Figure 0004599174
本発明第2色材で使用できる水溶性有機溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1−5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、へキシレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類;チオジグリコール;ビスヒドロキシエチルスルホン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル等の低級アルキルグリコールエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の低級ジアルキルグリコールエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記のごとき水溶性有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。
これらの水溶性有機溶剤のインク中の含有量は、一般的には、インクの全質量に対して合計して50質量%以下、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%の範囲とすることが望ましい。
これらの溶剤の中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ピロリドン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオールを用いることが好ましい。
また、本発明第2色材を有するインク中に、溶剤と同じような保湿剤として、尿素やエチレン尿素、トリメチロールプロパンを含有させることも好ましい。特に、エチレン尿素、トリメチロールプロパンは本発明第2色材に非常に適したものである。これらの含有量は、インク全質量に対し1質量%以上であることが好ましく、また、20質量%以下であることが好ましい。
本発明第2色材を有するインク中には上記成分の他、必要に応じて、インクに所望の性能を与えるための、消泡剤、表面張力調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、蛍光促進剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、防錆剤、防カビ剤及びキレート化剤等の添加剤を配合してもよい。
また、本発明第2色材を有するインクの粘度は、25℃において0.7〜12cPの範囲内にあることが好ましい。インクの粘度が上記範囲外であると、インクジェット記録において正常な吐出をしないことがあったり、又、特に12cPを越えるインクはその粘度抵抗により被記録材への浸透が遅く、定着性の面からは好ましくない。
また、本発明第2色材を有するインクの表面張力は、25℃において20〜60dyne/cmの範囲に調整されることが好ましい。表面張力が20dyne/cm未満では、インクジェット記録において液滴が吐出した後、メニスカスを引き戻そうとする力が弱いか、或は逆にメニスカスが突出した際に、引き戻す力が比較的弱い為、泡を抱き込んだり、オリフィス部が濡れてしまい、ヨレの原因となることがあり好ましくない。上記の様なインクとすることにより、本発明第2蛍光色材で提案されるインクは、普通紙対応型インクジェット記録に用いられるインクとして、特に、インクの保存性に優れ、且つ記録濃度、乾燥定着性、印字品位に優れたインクの提供が可能になる。
特に、使用される蛍光色材、好ましくは、上記第二蛍光色材の色材構造中に、該蛍光発光団を複数有しているものが好ましい。
すなわち、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、従来の蛍光色材に比べ、構造的に大きくなり、更に立体性も強くなるため、従来の蛍光色材の様な規則性のある凝集、会合が生じにくくなるため、インク中の蛍光色材の含有量を従来の色材に比べ多くしても、蛍光強度を低下させにくいことが出来ると予想する。また、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、色材1分子中に蛍光発光団を複数有することにより、単位分子当たりの蛍光発光が強くなるため、蛍光発光強度を強くすることが出来ると予想している。また、先に述べたように、従来の蛍光色材に比べ、構造的に大きくなり、立体性も強くなることで、被記録材構成成分に対し色材が吸着しやすくなり、耐水性が良好に成ると予想している。また、この時、色材に直接性を有していると耐水性ばかりか、蛍光発光に対し、更に向上する。
また、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材は、従来の色材に比べ、規則性のある凝集、会合が生じにくくなるため、例えば、インク中の水分が蒸発しても、色材の凝集が規則性をもちにくくなるため、強固な凝集状態が出来にくくなるため、耐固着性が良好に成ると予想している。
上記メカニズムにより、本発明のインクは、蛍光強度、耐水性が良好に成ると予想しているが、また、蛍光発光団を同一分子構造内に複数有する色材が、親水基として、水との親和性の強いスルホン酸を用いていると、本発明の効果が更に向上する。
また、好ましい蛍光発光団としては、上記要件を満足するものとして、アミノスチルベンジスルホン酸の誘導体が好適である。具体的には、
分散色材などの成分を含有させる液媒体としては、水と水溶性有機溶剤との混合物が好ましい。この水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルフォキサイド、2−ピロリドン等や、結晶性を有する、例えば、尿素、エチレン尿素、εカプロラクトン、スクシンイミド、チオ尿素、ジメチロール尿素及び2-ピロリドン等が上げられ、またこれらの化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びアルキルの少なくとも1種を置換基として付加してもよい。また、好ましくは、環状構造を有しているとインク中での結晶成分の安定性の点から好ましい。結晶形成用成分は1種を単独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、常温環境下で固体形態を示すものが、本発明の結晶成分の析出による発明の効果を良好に発現できる。前記常温環境下とは20℃〜25℃の範囲を示すが、使い勝手を考慮すると、常温環境下で固体形態を示す結晶形成用成分の融点が30℃以上にあるもの、好ましくは60°以上に融点を示すものが好ましく、更に好ましくは、120°以上に融点を有するもが良い。
これらのインク中における含有量は被記録材に種類に応じて選択することができるが、インク全質量に対して、1〜30質量%、更に、2〜20質量%とするのが好ましい。少な過ぎると、本発明の効果が発現できず、また、多すぎると、インクジェット記録に用いた場合、吐出瀬性に悪影響を与える。
又、インク中の水の含有量は、好ましくは、30〜95質量%の範囲から選択する。30質量%より少ないと水溶性の成分の溶解性が確保できない場合があり、またインクの粘度も高くなる。一方、水が95質量%より多いと蒸発成分が多過ぎて、十分な固着特性を満足することができない場合がある。
本発明のインクの構成成分として界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては多種多様なものを使用することができるが、水分散色材に対して相対的に水溶解色材を多く含有することができる界面活性剤や、遊離酸の状態で主にカルボン酸を水溶性基とする色材に対して相対的に遊離酸の状態でスルホン酸を主な水溶性基とする色材を多く含有することができる界面活性剤を目的に応じて選択して用いる。
好ましい界面活性剤は、ノニオン性、又アニオン性を有する界面活性剤である。カチオン性を有すると発色性、信頼性が低下する傾向があるからである。更に、特に好ましくは、ノニオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。ノニオン系界面活性剤は、水溶液状態で、該水溶液からそれ自身が相分離しないものであることが好ましい。水溶液から相分離する状態のノニオン系界面活性剤を使用した場合には、インク化したときにインクが不安定になるので好ましくない。このことは、見かけ上は、水に溶けた状態や均一状に分散しているものを使用することが好ましいことを示しており、特に、水溶液に対してエマルジョン状態になるノニオン系界面活性剤を選択するとよいことがわかった。更に、ノニオン系界面活性剤のインク中の含有量を、水溶液の状態でエマルジョン状態を保持できる添加量以下に選択すると、インクの安定性の低下に対する不安がなくなるので好ましい。
ノニオン系界面活性剤の中でも本発明に好適なものとしては、インクの被記録材への定着性を考慮すると、そのHLBが15以下のものである。一般的に、HLBが15よりも大きくなると、水溶性特性が強くなり、被記録材へのインクの浸透性が良好に出来ないからである
また、本発明に用いられる界面活性剤のなかで、動的界面張力と静的界面張力の差が小さいものは、界面活性剤の界面への配向スピードが速いため、インクの被記録材上及びその内部へのインク液媒体の拡散を早めることが出来る。更に、本発明中に水分散色材を用いた場合は、前記界面活性剤が、該水分散色材に対してすばやく吸着作用を行ない易く、故に、小さな凝集状態の水分散色材に配向吸着するため、被記録材上に、微小凝集の水分散色材を形成することが出来、本発明の効果を良好にする。故に、前記界面張力の差が大きいと、本発明を効果的に発現出来難い。
本発明のインクにおけるノニオン系界面活性剤のインク中における含有量は、具体的には、インク全質量に対して0.5質量%以上、更には、1〜20質量%とすることが好ましい。0.5質量%より少ないと、画像形成に於いて、所望とするインクの浸透性や広がり性が得られない場合があり、又、20質量%より多いと、所望とする印字品位のバランス、例えば、画像濃度、画像の定着性、ヒゲ状の滲みであるフェザリングの発生の防止などの各性能の良好なバランスがとれなくなる場合がある。
以上に挙げた要件を具備するノニオン系界面活性剤の中でも、本発明のインクの構成成分とするの特に好ましいものとしては、下記の一般式(I)で示される化合物及び下記(II)〜(VII)に列挙した化合物が挙げられるが、これらに限定されるのもではない。
Figure 0004599174
[上記一般式(I)において、A及びBは夫々独立に、CnH2n-1(nは1〜10の整数)を表し、X及びYは、それぞれ開環したエチレンオキサイドユニット及び/又は開環したプロピレンオキサイドユニットを表す。]
Figure 0004599174
又、上記一般式(I)で表されるノニオン系界面活性剤の中でも特に好ましいのは、下記の一般式(VIII)で示される化合物である。
Figure 0004599174
インクの安定性の面から、本発明のインクは、更に、インク中に一価アルコールが併用されているものであることが好ましい。一価アルコールは、目詰り等に影響を与えるカビ等の菌などの増殖、発生を防止する。更に、一価アルコールは、被記録材上にインクを付与した場合に、蒸発や、被記録材中への浸透に対して良好な効果があるため、本発明の効果をより良好に発現させるものとして有効である。一価アルコールの本発明のインク中への含有量としては、インク全質量に対して0.1〜20質量%、好ましくは、0.5〜10質量%である。本発明のインク成分として使用することのできる一価アルコールの具体例としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール及びn−ブタノール等が挙げられ、これらは単独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のインクは、必要に応じて、更に、水溶性有機溶剤、界面活性剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー及びpH調整剤等の種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクは、表面張力が40mN/m以下であることが好ましい。先に説明したメカニズムの発現のためには、例えば、液滴が記録後に広がりを有する方が効果を出すのは好ましいからである。又、本発明のインクのpHは、インクの安定性の面から6.5以上であることが好ましい。
更に、本発明のインクは、色材の対イオンとして、複数のアルカリ金属イオンを併用することが好ましい。インクジェット記録に用いた場合、両者が併用されていると、インクの安定性及びインクの吐出性が良好になる。アルカリ金属イオンとしては、Li+、Na+、K+等を挙げることができる。
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適な方法及び装置としては、記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させる方法及び装置が挙げられる。
以上のようにして構成される本発明の水性インクは、通常の文具用のインクとしても用いることができるが、インクジェット記録で用いられる際に特に効果的である。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させて液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出するインクジェット記録方法があるが、特に、熱エネルギーによるインクの発泡現象によりインクを吐出させるタイプのインクジェット記録方法に適用する場合に好適であり、吐出が極めて安定となり、サテライトドットの発生等が生じないという特徴がある。但し、この場合には、熱的な物性値(例えば、比熱、熱膨張係数、熱伝導率等)を調整する場合もある。
更に、本発明のインクは普通紙等に記録した場合の印字記録物のインクの耐水性の問題を解決すると同時に、インクジェット用ヘッドに対するマッチングを良好にする面から、インク自体の物性として25℃における表面張力が30〜40mN/m、粘度が15cP以下、好ましくは10cP以下、より好ましくは5cP以下に調整されることが望ましい。従って、上記物性にインクを調整し、普通紙における問題を解決するためには、本発明のインク中に含有される水分量としては50質量%以上98質量%以下、好ましくは60質量%以上95質量%以下とするのが好適である。
一方、本発明のインクに含有させる結晶形成用成分は、常温環境下で固体で、水可溶性の物質から構成され、この物質自身は、結晶性物質であり、針状、球状等の結晶性を有し、且つ水に添加すると溶解するものをさす。また、該物質を含有する水溶液から、加温等により、水分量を減少させていくと再度結晶を形成するものである。この物質としては、例えば、尿素、エチレン尿素、εカプロラクトン、スクシンイミド、チオ尿素、ジメチロール尿素及び2−ピロリドン等が上げられ、またこれらの化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びアルキルの少なくとも1種を置換基として付加してもよい。また、好ましくは、環状構造を有しているとインク中での結晶成分の安定性の点から好ましい。結晶形成用成分は1種を単独で、あるいは必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。また、常温環境下で固体形態を示すものが、本発明の結晶成分の析出による発明の効果を良好に発現できる。前記、常温環境下とは、20℃〜25℃の範囲を示すが、使い勝手を考慮すると、常温環境下で固体形態を示す結晶形成用成分の融点が30℃以上にあるもの、好ましくは60°以上に融点を示すものが好ましく、更に好ましくは、120°以上に融点を有するもが良い。これらのインク中における含有量は被記録材に種類に応じて選択することができるが、インク全質量に対して、1〜30質量%、更に、2〜20質量%とするのが好ましい。少な過ぎると、本発明の効果が発現できず、また、多すぎると、インクジェット記録に用いた場合、吐出性に悪影響を与える。
本発明は、インクジェット吐出方式のヘッドに用いられ、また、そのインクが収納されているインク収納容器としても、あるいは、その充填用のインキとしても有効である。特に、本発明は、インクジェット記録方式の中でも熱エネルギーをインクに作用させてインク滴を吐出するインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一対応し、インク内の気泡を形成出来るので有効である。
この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介してインクを吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成にも本発明は有効である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通すると吐出孔を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59−123670号公報等)に対しても、本発明は有効である。
更に、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいずれでも良いが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。 又、本発明は、適用される記録装置の構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードである。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。尚、文中、%とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
以下に示す各成分を混合し、十分に攪拌して溶解及び/又は分散させた後、ポアサイズ0.1μmのフロロポアフィルター(商品名:住友電工(株)製)にて加圧濾過し、実施例及び比較例のインクを夫々調製した。
実施例1のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
6.7%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.2%
ジエチレングリコール 10%
トリエチレングリコール 10%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 20モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
純水 残り
実施例2のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.2%
ジエチレングリコール 10%
トリエチレングリコール 10%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 20モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
純水 残り
実施例3のインク組成:
顔料分散体の作成
ベンジルメタクリレート、メタクリル酸及びエトキシエチレングリコールメタクリレートを原料として、定法により、酸価350、数平均分子量5000のABC型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。この50%ポリマー溶液を60g、カーボンブラックを100gおよびイオン交換水を340g混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。ついで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約10,000psi((約70Mpa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理し、分散液を得た。この分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を除去して分散液4とした。得られた分散液4は、その顔料濃度が10%、分散剤濃度3.5%であった。
上記作成の顔料分散体溶液 15%
C.I.Acid Red 289 (水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
グリセリン 8%
トリエチレングリコール 8%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 0モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 1.5%
純水 残り
実施例4のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
10.0%
Cabojet200(水分散色材、水溶性基:スルホン酸基、15wt%水溶液)
3.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.15%
ジエチレングリコール 10%
トリエチレングリコール 10%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散材の凝集状態を形成する) 2%
純水 残り
実施例5のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
6.7%
上記実施例3で作成の顔料分散体溶液 6.7%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
ジエチレングリコール 10%
トリエチレングリコール 10%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
純水 残り
実施例6のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
15.0%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 2%
グリセリン 8%
トリエチレングリコール 8%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
純水 残り
実施例7のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
14.0%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 2%
グリセリン 8%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
純水 残り
実施例8のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
1.3%
C.I.Acid Red 52 (水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 2%
ジエチレングリコール 7%
トリエチレングリコール 7%
エチレン尿素 7%
ニューポールGE600(商品名、三洋化成(株)製、水分散色材の凝集状態を形成する)
1.0%
純水 残り
実施例9のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
10.0%
Cabojet200(水分散色材、水溶性基:スルホン酸基、15wt%水溶液)
3.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 2%
ジエチレングリコール 7%
トリエチレングリコール 7%
エチレン尿素 7%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
純水 残り
実施例10のインク組成:
顔料分散体の作成
ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。このポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水を300gを混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。ついで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約10,000psi(約70Mpa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理し、分散液を得た。この分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去して分散液2とした。得られた分散液2は、その顔料濃度が10%、分散剤濃度が5%であった。
上記作成の顔料分散体溶液 6.7%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.05%
C.I.Acid Red 92(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.6%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 2%
グリセリン 7%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 1.2%
純水 残り
実施例11のインク組成:
顔料分散体の作成
ベンジルメタクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、更に、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50%ポリマー水溶液を作成した。このポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水を220gを混合し、そして機械的に0.5時間撹拌した。ついで、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約10,000psi(約70Mpa)下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理し、分散液を得た。更に、この分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去して分散液1とした。得られた分散液1は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
上記作成の顔料分散体溶液 0.05%
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 2%
グリセリン 7%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 20モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
純水 残り
実施例12のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 2%
グリセリン 7%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
ニューポールGE600 1%
純水 残り
実施例13のインク組成:
IJX266(水分散色材、水溶性基:スルホン酸基、15wt%水溶液)
6.7%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 2%
C.I.Solvent Green 7(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
1%
C.I.Acid Yellow 7(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.05%
グリセリン 7%
ジエチレングリコール 5%
トリエチレングリコール 7%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 0.5%
純水 残り
実施例14のインク組成:
実施例11で作成の顔料分散体溶液 0.05%
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.2%
C.I.Acid Red 289(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.05%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 1%
C.I.Solvent Green 7(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
1%
C.I.Acid Yellow 184(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.5%
グリセリン 7%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 1.5%
純水 残り
実施例15のインク組成:
実施例13で作成の顔料分散体溶液 12.0%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.05%
C.I.Acid Red 289(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.5%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 2%
グリセリン 8%
トリエチレングリコール 8%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 1.2%
純水 残り
実施例16のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
IJX253(水分散色材、水溶性基:スルホン酸基、15wt%水溶液)
0.05%
C.I.Acid Red 52 (水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 1%
C.I.Solvent Green 7(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.05%
グリセリン 7%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
純水 残り
実施例17のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 1.5%
グリセリン 7%
エチレン尿素 9%
イオネットT60C(商品名、三洋化成(株)製、水分散色材の凝集状態を形成する)
2%
純水 残り
実施例18のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 1.5%
グリセリン 7%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
イソプロピルアルコール 2%
純水 残り
実施例19のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 1.5%
グリセリン 7%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
イソプロピルアルコール 2%
トリエタノールアミン 0.1%
純水 残り
実施例20のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
CD380(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基、リーデルデハーン製)
0.1%
グリセリン 7%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
純水 残り
実施例21のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
水溶性蛍光色材A(親水基:スルホン酸基) 1.5%
グリセリン 7%
エチレン尿素 9%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 20モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 2%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 1%
純水 残り
実施例22のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
エチレングリコール 10%
トリエチレングリコール 10%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 0.75%
純水 残り
実施例23のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
16.8%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
エチレングリコール 10%
トリエチレングリコール 10%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 0.75%
純水 残り
実施例24のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
20.0%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
エチレングリコール 10%
トリエチレングリコール 10%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 0.75%
純水 残り
実施例25のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
26.7%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.1%
エチレングリコール 10%
トリエチレングリコール 10%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、水分散色材の凝集状態を形成する) 0.75%
純水 残り
比較例1のインク組成:
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.2%
C.I.Direct Black 154(水溶解色材、親水基:スルホン酸基)
2%
グリセリン 10%
エチレングリコール 5%
純水 残り
比較例2のインク組成:
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.2%
C.I.Direct Black 154(水溶解色材、親水基:スルホン酸基)
2%
グリセリン 10%
エチレングリコール 5%
一般式(VIII)の界面活性剤(エチレンオキサイド 10モル付加物、上記2種の染料を溶解する) 1%
純水 残り
比較例3のインク組成:
Millijet Black 2000(ポリマー修飾された染料)
1.9%
Millijet Blue 18(ポリマー修飾された染料) 3%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、水溶性基:スルホン酸基)
0.4%
Pyranin 120(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
1.4%
C.I.Acid Yellow 7 (水溶解蛍光色材、水溶性基:スルホン酸基)
0.2%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.6%
4メチルモルホリン 2.5%
ポリビニルピロリドン(K−12) 6%
ドデシルベンゼンスルホン酸Na塩 1.1%
トリエタノールアミン 0.1%
純水 残り
比較例4のインク組成:
実施例10で作成の顔料分散体溶液 4.3%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.5%
C.I.Acid Yellow 73(水溶解蛍光色材、親水基:カルボン酸基)
0.5%
2−ピロリドン 8%
トリエチレングリコール 7%
純水 残り
比較例5のインク組成:
実施例10で作成の顔料分散体溶液 20%
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
1%
エチレングリコール 7%
ジエチレングリコール 7%
トリエチレングリコール 7%
2−ピロリドン 8%
純水 残り
比較例6のインク組成:
C.I.Acid Red 52(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
0.5%
C.I.Acid Yellow 7(水溶解蛍光色材、水溶性基:スルホン酸基)
0.5%
グリセリン 7%
エチレングリコール 7%
ジエチレングリコール 7%
純水 残り
比較例7のインク組成:
C.I.Food Black 2(水溶解蛍光色材、親水基:スルホン酸基)
2%
C.I.Acid Yellow 52(水溶解蛍光色材、水溶性基:スルホン酸基)
0.1%
グリセリン 7%
エチレングリコール 7%
ジエチレングリコール 7%
純水 残り
比較例8のインク組成:
Cabojet300(水分散色材、水溶性基:カルボン酸基、15wt%水溶液)
13.4%
C.I.Acid Yellow 52 (水溶解蛍光色材、水溶性基:スルホン酸基)
1%
C.I.Acid Yellow 73(水溶解蛍光色材、親水基:カルボン酸基)
1%
グリセリン 7%
エチレングリコール 7%
ジエチレングリコール 7%
純水 残り
<評価>
(色材の分離評価1)
実施例及び比較例の各インクを、市販のスポイトを用いて、0.5cc、市販の上質紙に、紙面上10cmの高さから滴下し、上質紙上のインク滴変化を下記基準で評価した。
○:紙面上に、中央部に第一集中画像ガ形成され、その周囲全体に第二集中画像がはっきりと形成された。更に、インク滴を滴下した面の裏側部に、第二の集中画像の拡散が認められた。
△:紙面上に、中央部に第一集中画像が形成され、その周囲全体に第二集中画像が第一集中画像の縁に僅かに認められた。しかし、インク滴を滴下した面の裏側部に、第二集中画像の拡散が認められた。
×:紙面上に、中央部に第一の色材の集中画像が形成されたが、その周囲全体に第二の色材の集中画像が認められなかった。また、インク滴を滴下した面の裏側部にも、第二の色材の拡散が認められた。
××:紙面上に、中央部に第一の色材の集中画像が形成されたが、その周囲全体に第二の色材の集中画像が認められなかった。また、インク滴を滴下した面の裏側部にも、第二の色材の拡散が認められなかった。
(色材の分離評価2)
実施例及び比較例の各インクを、市販のインクジェット記録装置のBJS600(商品名、キヤノン(株)製)を用いて、単ドットの画像を印字し、市販の紫外光照射機(商品名:Handy UV Lamp SLUV−4,iuchi製)を用いて、実体顕微鏡で、254nmの励起光を照射しながら、目視で、下記の基準で評価した。
○:紙面上のドット内を観察すると、蛍光発光している部分と蛍光発光していない微小の凝集が多数見られた。また、倍率を落として、ドットの周囲を観察すると、ドットの周囲が蛍光発光して見えた。
△:紙面上のドット内を観察すると、蛍光発光している部分と蛍光発光していない微小の凝集が多数見られた。ただし、蛍光発光が弱く、第一の色材と第二の色材の分離が十分でなかった。
×:紙面上のドット内に、蛍光発光している部分は見られず蛍光発光していない凝集の集合体が見られた。
(蛍光発光の評価1)
上記(色材の分離評価)を行った実施例の評価サンプルに対し、市販の紫外光照射機(商品名:Handy UV Lamp SLUV−4,iuchi製)を用いて、254nmの励起光を照射し、インク滴の評価を目視で、下記基準で行った。
○:インク滴を滴下した市販の上質紙側に於いて、第二の色材の集中画像部が、第一の色材の集中画像部より鮮明な蛍光発光が認められた。更に、インク滴を滴下した面の裏側部に於いては、第二の色材の蛍光発光が認められた。
△:インク滴を滴下した市販の上質紙側に於いて、第二の色材の蛍光発光が認められず、また、第一の色材の集中画像部に於いても、ほとんど蛍光発光は認められなかった。しかし、インク滴を滴下した面の裏側部に於いては、第二の色材の蛍光発光が認められた。
×:インク滴を滴下した市販の上質紙側に於いて、第二の色材の蛍光発光が認められず、また、第一の色材の集中画像部に於いても、ほとんど蛍光発光は認められなかった。更に、インク滴を滴下した面の裏側部に於いても、第二の色材の蛍光発光は認められなかった。
(蛍光発光の評価2)
実施例及び比較例の各インクを、市販のインクジェット記録装置として、BJS600(商品名、キヤノン(株)製)を用いて、100%Dutyのベタ、英数文字を印字し、市販の紫外光照射機(商品名:Handy UV Lamp SLUV−4,iuchi製)を用いて、254nmの励起光を照射し、目視で、下記の基準で評価した。
○:100%Dutyのベタ、英数文字に、蛍光発光が鮮明に認められた。
△:100%Dutyのベタ、英数文字に、蛍光発光が僅かに認められた。
×:100%Dutyのベタ、英数文字に、蛍光発光がほとんど認められなかった。
(蛍光発光の評価3)
実施例及び比較例の各インクを、市販のインクジェット記録装置として、BJS600(商品名、キヤノン(株)製)を用いて、100%Dutyのベタ、50%ベタを印字し、市販の蛍光強度測定器FP−750(商品名:日本蛍光製)を用いて、254nmの励起光を照射し、下記の基準で評価した。
○:可視光領域(400nm〜700nm)での最大蛍光発光強度が、200以上であった。
△:可視光領域(400nm〜700nm)での最大蛍光発光強度が、200未満、100以上であった
×:可視光領域(400nm〜700nm)での最大蛍光発光強度が、100未満であった。
(品位の評価)
実施例及び比較例の各インクを、市販のインクジェット記録装置として、BJS600(商品名、キヤノン(株)製)を用いて、異なった印字密度の画像及び英数文字を、印字用紙として、市販の上質紙に印字し、目視で、下記基準で評価した。
○:英数文字の判読は良好で且つ、異なった印字密度の画像に於いて粒状感が見られず、滑らかな良好な印字品位が得られた。
△:英数文字の判読は良好だが、異なった印字密度の画像に於いて粒状感が見られた。
×:英数文字の判読が良好でなく、異なった印字密度の画像に於いて粒状感が見られた。
(濃度の評価)
実施例及び比較例の各インクを、市販のインクジェット記録装置として、BJS600(商品名、キヤノン(株)製)を用いて、市販の上質紙50%Dutyのベタ画像を印字、1日 常温常湿環境下で、十分に定着させた後、印字記録物の濃度測定装置として、マクベスRD918を用いて、印字記録物濃度を測定した。
○:1.0以上であった
△:0.8以上、1.0未満であった
×:0.8未満であった
(耐水性の評価)
実施例及び比較例の各インクを、市販のインクジェット記録装置として、BJS600(商品名、キヤノン(株)製)で、市販の上質紙に50%Dutyのベタ画像を印字し、24時間放置後、市水に5分間浸漬し、印字濃度の変化を、マクベスRD918を用いて、下記基準で評価した。下記の基準で評価した。
○:濃度変化が20%未満であった。
△:濃度変化が50%未満〜20%以上であった。
×:濃度変化が、50%以上であった
(印字物のコントラスト測定)
実施例1〜9、11、12、14、16〜19及び比較例1〜3、6〜8の各インクを、市販のインクジェット記録装置として、BJS600(商品名、キヤノン(株)製)で、市販の上質紙に50%Dutyのベタ画像を印字し、24時間放置後、反射濃度計CM2002(商品名、ミノルタ(株)製)で反射率を測定したところ、実施例のインクは、400nm〜700nmの波長領全域で十分なコントラストを得ることが出来たが、比較例のインクは、十分でなかった。図31に実施例12と比較例3のインクのコントラストの違いを示す。
(評価結果)
各評価の結果を下表に示す。
Figure 0004599174
(耐固着性の評価)
実施例のインクをシャーレに約100cc入れ、温度25℃、湿度55%の環境下に約1ヶ月放置し、インク中の水分を蒸発させた後、失われた水分を加え、インクの再溶解性を見たところ、水分散色材に自己分散タイプの色材を使用したものは、インクが再溶解したが、高分子分散剤を使用したものは、再溶解性が不十分であった。
以上説明したように、本発明によれば、画像堅牢性と記録画像の発色性、蛍光発色性を共に良好にする水性蛍光インク、蛍光記録画像及び記録方法の提供することができる。また、耐固着性、吐出性等の信頼性も良好であった。
更に、本発明に依れば、得られた記録画像の視認色を、複数色で視認することが出来、特に、蛍光発色に於いて、従来言われていた、発光波長と吸収波長の重なりに依る蛍光強度低下問題を、改善することが出来、良好な蛍光画像を得ることが可能となった。
更に、本発明のインクをインクジェット記録方法に用いた場合、良好な信頼性を得ることが出来た。特に、水分散色材に、自己分散色材を用いたインクに於いては、連続吐出によるノズル回りへのインク付着、及びノズル面に付着したインクを除去するフ゛レート゛面へのインク滴の付着が低減でき、好ましい効果を得ることが出来た。
また、本発明のインクは、(印字物のコントラスト測定)評価に示すように十分なコントラストを得ることが出来ると共に、蛍光発光の評価に示すように、良好な蛍光発光を得ることが出来る水性蛍光インクを提供することが出来た。
図1は従来のインクにより被記録材に形成されたドットの構造を模式的に示す図である。 図2は従来の複数の色材を含むインクにより被記録材に形成されたドットの構造を模式的に示す図である。 図3は本発明のインクにより被記録材に形成されたドットの構造を模式的に示す図である。 図4は本発明のインクにより被記録材に形成されたドットの構造を模式的に示す図である。 図5は本発明のインクで形成された画像におけるインクドットの配置を模式的に説明するための図である。 図6は本発明のインクで形成された画像におけるインクドットの配置を模式的に説明するための図である。 図7は本発明のインクにおける集合体の形成を説明するための図である。 図8は水分散色材の凝集体の形成を説明するための図である。 図9は本発明における水分散色材の集合体が被記録材に付着した際の状態を説明するための図である。 図10は水分散色材と水可溶性色材とを併用した際に水分散色材の凝集体が形成された状態を説明するための図である。 図11は分散色材が結晶を核として集合体を形成しているインク中の溶媒中に水分散色材よりも溶解性が高い水可溶性色材を存在させた状態を示す図である。 図12は分散色材が結晶を核として集合体を形成しているインク中の溶媒中に水分散色材よりも溶解性が高い水可溶性色材を存在させた状態を示す図である。 図13は分散色材と水可溶性色材とを併行した際に本発明にかかる水分散色材の集合体が形成された状態を説明するための図である。 図14はC.I.アシッドレッド52の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。 図15はC.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルを示す図である。 図16は水溶性色材Aの励起波長254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。 図17はC.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルと水溶性色材Aの励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。 図18はC.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルと水溶性色材Aの吸光スペクトルの対比を示す図である。 図19は水溶性色材Aの254nmの蛍光発光スペクトルと、C.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルの対比を示す図である。 図20はC.I.アシッドレッド52と水溶性色材Aの混合インクでの蛍光スペクトルを示す図である。 図21はC.I.アシッドレッド52と水溶性色材Aの混合インクでの印字物における蛍光スペクトルを示す図である。 図22はC.I.アシッドレッド52の580、600及び620nmにおける励起スペクトルを示す図である。 図23はC.I.アシッドイエロー73の励起波長254nmの蛍光発光スペクトルを示す図である。 図24はC.I.アシッドレッド52の蛍光発光波長が600nmの励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の励起波長が254nmの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。 図25はC.I.アシッドレッド52の600nmの蛍光発光における励起スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の吸光スペクトルの対比を示す図である。 図26はC.I.アシッドレッド52の吸収スペクトルとC.I.アシッドイエロー73の254nmの蛍光発光スペクトルの対比を示す図である。 図27は界面活性剤溶液を満たしたシャーレ等の容器に水分散色材を滴下した際の、滴下直後(左図)と経時後(右図)の状態を模式的に示す図である。 図28は界面活性剤溶液を満たしたシャーレ等の容器に水分散色材を滴下した際の、滴下直後(左図)と経時後(右図)の状態を模式的に示す図である。 図29は界面活性剤溶液を満たしたシャーレ等の容器に水分散色材を滴下した際の、滴下直後(左図)と経時後(右図)の状態を模式的に示す図である。 図30は界面活性剤溶液を満たしたシャーレ等の容器に水分散色材を滴下した際の、滴下直後(左図)と経時後(右図)の状態を模式的に示す図である。 図31は実施例12と比較例3のインクのコントラストの違いを示す図である。

Claims (13)

  1. 中央部に第二の色材を含む第一の色材の第一集中画像を形成し、該第一集中画像の被記録材内の面を含む周囲全体に第二の色材の第二集中画像を形成し得る水性蛍光インクであって、
    該第一の色材が水分散色材で、第二の色材が水溶解色材であり、
    該水性蛍光インクが、第一色材、第二色材、これらを溶解または分散する液媒体と水を含有し、
    少なくとも該第二材が蛍光色材であり、
    該第一集中画像が、該第二の色材の定着部の中に、該水性蛍光インク中の複数の第一の色材が微小凝集した第一の色材の微小凝集体を点在配置する定着部を形成することを特徴とする水性蛍光インク。
  2. 第一集中画像部よりも第二の色材による第二集中画像部の蛍光発光が強くなることを特徴とする請求項1に記載の水性蛍光インク。
  3. 水分散色材に対して相対的に水溶解色材を多く溶解または分散することができる界面活性剤を含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の水性蛍光インク。
  4. 界面活性剤がノニオン性である請求項に記載の水性蛍光インク。
  5. 水分散色材が被記録材上で蛍光を発しない色材で、水溶解色材が被記録材上で蛍光を発する色材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水性蛍光インク。
  6. 第二色材の蛍光発光波長帯域が、第一色材の吸収波長帯の内側にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水性蛍光インク。
  7. 中央部に第二の色材を含む第一の色材の第一集中画像を形成し、該第一集中画像の被記録材内の面を含む周囲全体に第二の色材の第二集中画像を形成した記録画像であって、
    該第一の色材が水分散色材で、第二の色材が水溶解色材であり、
    少なくとも該第二材が蛍光色材であり、
    該第一集中画像が、該第二の色材の定着部の中に、複数の第一の色材が微小凝集した第一の色材の微小凝集体を点在配置する定着部を形成していることを特徴とする記録画像。
  8. 第二の色材を含む第一の色材による第一集中画像部よりも第二の色材による第二集中画像部の蛍光発光が強くなることを特徴とする請求項7に記載の記録画像。
  9. 界面活性剤の拡散により第二色材の第二集中画像部が形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の記録画像。
  10. 界面活性剤がノニオン性である請求項に記載の記録画像。
  11. 水分散色材が、被記録材上で蛍光を発しない色材で、水溶解色材が、被記録材上で蛍光を発する色材であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか記載の記録画像。
  12. 第二色材の第二集中画像の蛍光発光波長帯域が、第一色材の第一集中画像の吸収波長帯の内側にあることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の記録画像。
  13. 第一の色材及び第二の色材を含有する水性蛍光インクをインクジェット法により付与することにより、被記録材上に、中央部に第二の色材を含む第一の色材の第一集中画像を形成し、該第一集中画像の被記録材内の面を含む周囲全体に第二の色材の第二集中画像を形成し、複数ドットで画像を形成する記録画像形成方法であって、
    該水性蛍光インクが請求項1〜6のいずれかに記載の水性蛍光インクであり、
    複数ドット間で第一集中画像形成部が隣接しないように水性蛍光インクを付与することを特徴とする記録画像形成方法。
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