JP4530119B2 - ディジタルδςモジュレータおよびそれを用いたd/aコンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、マルチビット量子化器を用いた場合と同等の精度を有するディジタルΔΣモジュレータおよびそれを用いたD/Aコンバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来の1ビットディジタルΔΣモジュレータを用いたD/Aコンバータを示すブロック構成図であり、図において、1はディジタル入力データのサンプリングレートを高めるインターポレーションフィルタ、2はサンプリングレートが高められたディジタルデータをモジュレーションしてノイズシェーピングする1ビット出力のディジタルΔΣモジュレータである。このディジタルΔΣモジュレータ2は、減算器、積分器、量子化器、および遅延素子から構成されている。3はノイズシェーピングされたディジタルデータをアナログデータに変換する内部D/Aコンバータ、4はアナログデータの帯域外ノイズをカットするローパスフィルタである。
【0003】
次に動作について説明する。
現在、音声帯域のD/Aコンバータの変換方式として、オーバーサンプリングΔΣ変換方式が広く用いられている。1ビットディジタルΔΣモジュレータを用いたD/Aコンバータの基本構成を図11に示した。
インターポレーションフィルタ1では、ディジタル入力データのサンプリングレートを高め、ディジタルΔΣモジュレータ2では、その高められたサンプリングレートでディジタルデータをモジュレーションしてノイズシェーピングする。内部D/Aコンバータ3では、ノイズシェーピングされたディジタルデータをアナログデータに変換し、ローパスフィルタ4では、さらに、アナログデータの帯域外ノイズをカットして出力する。
ここで、ディジタルΔΣモジュレータ2は、減算器、積分器、量子化器、および遅延素子から構成されている。モジュレータの精度を決定する要素には、モジュレータの次数と、量子化器のビット数とがある。モジュレータの次数は、信号経路に積分器がいくつ挿入されているかによって決まる。例えば、2個の積分器がある場合に、2次のモジュレータとなる。
図12(a)は従来の1ビット2次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図であり、図において、11は入力部、12は減算器、13は積分器、14は減算器、15は積分器、16は1ビット量子化器、17は出力部、18は遅延素子である。
図12(b)は従来のマルチビット2次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図であり、図において、19はマルチビット量子化器、その他の構成は、図12(a)と同等である。
一般にモジュレータの次数が高いほど、また、量子化器のビット数が多いほどディジタルΔΣモジュレータは高精度である。同じ次数であれば、マルチビット量子化器を用いた方が高精度になるが、この場合、内部D/Aコンバータ3の単位要素回路のばらつきが避けられず、理論値に比べ精度が劣化することが知られている。
図13は従来のマルチビットディジタルΔΣモジュレータを用いたD/Aコンバータを示すブロック構成図であり、図において、20はマルチビット2次ディジタルΔΣモジュレータと内部D/Aコンバータ3との間に設けられたダイナミックエレメントマッチング回路(以下、DEMと言う)である。
このように、内部D/Aコンバータ3の単位要素回路のばらつきによる精度劣化を低減するために、内部D/Aコンバータ3の前段にDEM20を設けることが必須となる。DEM20は、ビット数が多ければ多いほど回路規模が大きくなり、また、構成も複雑になる。このためディジタルΔΣモジュレータとしては、ディジタル出力が1ビットで、ノイズシェーピングの効果はマルチビット量子化器を用いた場合と同等となるのが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のディジタルΔΣモジュレータは以上のように構成されているので、マルチビット量子化器19を用いた方が高精度になるが、この場合、内部D/Aコンバータ3の単位要素回路のばらつきが避けられず、そのばらつきによる精度劣化を低減するために、内部D/Aコンバータ3の前段にDEM20を設けた場合には、回路規模が大きくなり、構成も複雑になってしまう課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、マルチビット量子化器を用いた場合と同等の精度を有すると共に、回路規模を削減するディジタルΔΣモジュレータおよびそれを用いたD/Aコンバータを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るディジタルΔΣモジュレータは、ディジタルデータをモジュレーションする初段lビットΔΣモジュレータと、lビット量子化器で生じた量子化誤差に補正を掛ける補正ロジックと、補正ロジックにより補正が掛けられた量子化誤差をモジュレーションして初段lビットΔΣモジュレータに帰還する次段mビットΔΣモジュレータとを備え、補正ロジックは、lビット量子化器で生じた量子化誤差が初段lビットΔΣモジュレータの出力において消去されるように補正を掛けるようにしたものである。
【0007】
この発明に係るディジタルΔΣモジュレータは、lを1とするようにしたものである。
【0008】
この発明に係るディジタルΔΣモジュレータは、次段mビットΔΣモジュレータでモジュレーションした出力を初段lビットΔΣモジュレータの入力部に帰還するようにしたものである。
【0009】
この発明に係るディジタルΔΣモジュレータは、次段mビットΔΣモジュレータでモジュレーションした出力を初段lビットΔΣモジュレータに複数設けられた積分器間に帰還するようにしたものである。
【0010】
この発明に係るディジタルΔΣモジュレータは、次段mビットΔΣモジュレータでモジュレーションした出力を初段lビットΔΣモジュレータのlビット量子化器の直前に帰還するようにしたものである。
【0011】
この発明に係るディジタルΔΣモジュレータは、初段lビットΔΣモジュレータおよび次段mビットΔΣモジュレータを、共に同一次数のモジュレータとするようにしたものである。
【0012】
この発明に係るディジタルΔΣモジュレータは、初段lビットΔΣモジュレータおよび次段mビットΔΣモジュレータを、初段lビットΔΣモジュレータの次数よりも次段mビットΔΣモジュレータの次数を高くなるようにしたものである。
【0013】
この発明に係るディジタルΔΣモジュレータは、lビット量子化器で生じた量子化誤差を、lビット量子化器の入力と出力の差から取り出すようにしたものである。
【0014】
この発明に係るディジタルΔΣモジュレータは、lビット量子化器で生じた量子化誤差を、初段lビットΔΣモジュレータの入力と出力の差から取り出すようにしたものである。
【0015】
この発明に係るD/Aコンバータは、ディジタルデータのサンプリングレートを高めるインターポレーションフィルタと、サンプリングレートが高められたディジタルデータをモジュレーションしてノイズシェーピングするディジタルΔΣモジュレータと、ノイズシェーピングされたディジタルデータをアナログデータに変換する内部D/Aコンバータと、変換されたアナログデータの帯域外ノイズをカットするローパスフィルタとを備えたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による1ビットn(n≧1)次ディジタルΔΣモジュレータの概略を示すブロック構成図であり、図において、31はディジタルデータを入力する入力部、32は1ビット量子化器を有し、ディジタルデータをモジュレーションする初段1ビットn次ΔΣモジュレータ、33はモジュレーションしてノイズシェーピングされたディジタルデータを出力する出力部である。34は初段1ビットn次ΔΣモジュレータ32の1ビット量子化器で生じた量子化誤差に補正を掛ける補正ロジック、35はm(m≧1)ビット量子化器を有し、補正ロジック34により補正が掛けられた量子化誤差をモジュレーションして初段1ビットn次ΔΣモジュレータ32にフィードバックする次段mビットn次ΔΣモジュレータである。
【0017】
次に動作について説明する。
初段1ビットn次ΔΣモジュレータ32において、入力部31から入力されたディジタルデータをモジュレーションすると共に、その1ビット量子化器で生じた量子化誤差を求め、補正ロジック34に出力する。補正ロジック34では、その量子化誤差が初段1ビットn次ΔΣモジュレータ32の出力部33において消去されるように、その量子化誤差に補正を掛けて次段mビットn次ΔΣモジュレータ35に出力する。次段mビットn次ΔΣモジュレータ35では、補正ロジック34により補正が掛けられた量子化誤差をモジュレーションして初段1ビットn次ΔΣモジュレータ32にフィードバックする。
この結果、初段1ビットn次ΔΣモジュレータ32から出力を取り出すので、最終出力は1ビットのデータストリームであるため、DEMを用いる必要がなくなり、簡単な構成でmビット量子化器を用いた場合と同等の精度を有する1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを実現することができる。
【0018】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図であり、図において、41は加算器、42,44,48,50,52は減算器、43,45,51,53は積分器、46は1ビット量子化器、47,55は遅延素子、49は微分器により構成された補正ロジック、54はmビット量子化器である。
なお、補正ロジック49の前段により、初段1ビットn次ΔΣモジュレータを構成し、補正ロジック49の後段により、次段mビットn次ΔΣモジュレータを構成するものである。
【0019】
次に動作について説明する。
初段1ビットn次ΔΣモジュレータにおいて、1ビット量子化器46の入力データと出力データとの差分(量子化誤差:−q1)を減算器48により算出し、その信号を次段mビットn次ΔΣモジュレータに出力する(X2)。この際、補正ロジック49により、初段1ビットn次ΔΣモジュレータの出力部33において生じる量子化誤差(q1(1−z−1)n)をその打ち消すような補正を掛ける。この補正は、微分器((1−z−1)n)のみで実現できる。
次段mビットn次ΔΣモジュレータにおいて、(X2)をモジュレーションし、その出力(Y2)を初段の積分器43の入力側の加算器41にフィードバックする。
この結果、1ビット出力でありながら、mビットn次相当の精度が実現でき、DEMを削減できる。また、初段および次段のモジュレータを共に同一のn次モジュレータとしたので、ほぼ同一の回路ブロックで構成することができ、構成を簡単にすることができる。各ノードの伝達関数は、以下のようになる。
X2=−q1(1−z−1)n
Y2=−q1(1−z−1)n+qm(1−z−1)n
Y=X+qm(1−z−1)n
また、図2に示したように、2次のモジュレータの場合、
X2=−q1(1−z−1)2
Y2=−q1(1−z−1)2+qm(1−z−1)2
Y=X+qm(1−z−1)2
【0020】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図であり、図において、56は加算器41の代わりに初段と次段の積分器43,45間に設けられた加算器であり、次段mビットn次ΔΣモジュレータの出力は、その加算器56にフィードバックされている。
その他の構成については、図2と同等である。
【0021】
次に動作について説明する。
この実施の形態3では、次段mビットn次ΔΣモジュレータの出力を初段1ビットn次ΔΣモジュレータに複数設けられた積分器43,45間の加算器56にフィードバックする。
例えば、初段1ビットn次ΔΣモジュレータのk番目の積分器の出力に、次段mビットn次ΔΣモジュレータの出力をフィードバックした場合には、次段mビットn次ΔΣモジュレータの出力は、初段1ビットn次ΔΣモジュレータでk次のモジュレーションを受ける。このため、補正ロジック49は、((1−z−1)n−k)となる。さらに、次段mビットn次ΔΣモジュレータの量子化誤差(qm)は、次段mビットn次ΔΣモジュレータのn次および初段1ビットn次ΔΣモジュレータのk次のモジュレーションを受けるため、(n+k)次のモジュレーションを受けることになる。この場合、実施の形態2で得られた効果に加えて、モジュレーションの次数が上がる(n次→n+k次)ため、より高精度化が図れる。これにより、各ノードの伝達関数は、以下のようになる。
また、図3に示したように、2次のモジュレータの場合、
【0022】
また、図4はこの発明の実施の形態3による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータの他の構成を示すブロック構成図であり、図において、57は図3における積分器43の代わりに設けられた積分器、58は図3における遅延素子47の代わりに設けられた遅延素子である。
このような積分器57および遅延素子58を設けても同様な効果を有する。
【0023】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図であり、図において、59は加算器41または加算器56の代わりに1ビット量子化器46の直前に設けられた加算器であり、次段mビットn次ΔΣモジュレータの出力は、その加算器59にフィードバックされている。
その他の構成については、図2または図3と同等である。
【0024】
次に動作について説明する。
この実施の形態4では、次段mビットn次ΔΣモジュレータの出力を初段1ビットn次ΔΣモジュレータの1ビット量子化器46の直前に設けられた加算器59にフィードバックする。
1ビット量子化器46の直前にフィードバックされたデータは、初段1ビットn次ΔΣモジュレータにより、n次のモジュレーションを受ける。このため、次段mビットn次ΔΣモジュレータに出力するデータは、1ビット量子化器46の量子化誤差分(−q1)で良いため、補正ロジック49を削減することができる。さらに、次段mビットn次ΔΣモジュレータでモジュレーションされたmビット量子化器54の量子化誤差(qm(1−z−1)n)は、初段1ビットn次ΔΣモジュレータにフィードバックされた後、その初段1ビットn次ΔΣモジュレータにおいてもn次のモジュレーションを受けることになる。
この結果、出力Yはより高い次数のモジュレーションを受ける(2n次)ことになり、実施の形態2,3に比べてさらに高精度化できる。この実施の形態4においても、出力Yは初段1ビットn次ΔΣモジュレータから取り出すため、1ビットのデータストリームであるためDEMを必要としない。さらに、補正ロジックも必要としないため、構成はさらに簡単になる。各ノードの伝達関数は、以下のようになる。
また、図5に示したように、2次のモジュレータの場合、
X2=−q1
Y2=−q1+qm(1−z−1)2
Y=X+qm(1−z−1)4
【0025】
また、図6はこの発明の実施の形態4による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータの他の構成を示すブロック構成図であり、図において、60は図5における積分器45の代わりに設けられた積分器、また、図5における遅延素子47は削除されている。
このような積分器60を設けても同様な効果を有する。
【0026】
実施の形態5.
図7はこの発明の実施の形態5による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図であり、図において、61は減算器、62は積分器である。
その他の構成については、図3と同等である。
【0027】
次に動作について説明する。
この実施の形態5は、実施の形態2から4において、初段1ビットΔΣモジュレータと次段mビットΔΣモジュレータとの次数を変えたものである。
図7は実施の形態3の図3を例にとって示したものであり、初段1ビット2次ΔΣモジュレータと次段mビット3次ΔΣモジュレータとを用いたものである。
各ノードの伝達関数は、以下のようになる。
このように、実施の形態3では3次のノイズシェーピング効果であったが、この実施の形態5では次段mビットΔΣモジュレータの次数を2次から3次に1次分増加させたため、4次のノイズシェーピング効果が得られ、モジュレータの高精度化が望める。
【0028】
実施の形態6.
図8はこの発明の実施の形態6による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図であり、図において、65は減算器48の代わりに設けられ、初段1ビットn次ΔΣモジュレータの入力データと出力データとの差分を取り出す減算器である。
その他の構成については、図3と同等である。
【0029】
次に動作について説明する。
この実施の形態6は、実施の形態2から4において、初段1ビットn次ΔΣモジュレータの入力データと出力データとの差分を減算器65により取り出すものである。図8は実施の形態3の図3を例にとって示したものである。実施の形態2から4では、補正ロジック49に微分器を用いていたが、初段1ビットn次ΔΣモジュレータの入力データと出力データとの差分を減算器65により取り出すことによって、積分器によっても実現可能である。
この場合、積分器の次数は、次段mビットn次ΔΣモジュレータの出力を初段1ビットn次ΔΣモジュレータの1ビット量子化器46の直前にフィードバックする場合(実施の形態4相当)が最大のn次になり、入力部にフィードバックする場合(実施の形態2相当)に積分器が不要になる。
この場合にも、1ビット出力でありながら、mビットn次相当の精度が実現でき、DEMが削減できる。
実施の形態3の図3を例にとった図8の場合は、補正ロジック49は1次の積分器になり、各ノードの伝達関数は、以下のようになる。
【0030】
実施の形態7.
図9はこの発明の実施の形態7によるlビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図であり、図において、66は1ビット量子化器46の代わりに設けられたl(l<m)ビット量子化器である。
その他の構成については、図7と同等である。
【0031】
次に動作について説明する。
この実施の形態7は、実施の形態1から6において、初段1ビットn次ΔΣモジュレータの1ビット量子化器46の代わりにlビット量子化器66を設け、初段lビットn次ΔΣモジュレータとしたものである。但し、lは次段mビットn次ΔΣモジュレータのmビット量子化器54のmよりも小さいものとする。
DEM構成は、量子化器のビット数が多ければ多いほど、複雑かつ大規模になるが、この実施の形態7の構成をとることにより出力ビット数を少なくすることができ、通常mビット量子化器を持つディジタルΔΣモジュレータで必要になるDEMに比べて、小規模なDEMを用いて、mビット量子化器を用いた場合と同等の精度を持つことができ、このため回路規模の削減が図れる。
【0032】
実施の形態8.
図10はこの発明の実施の形態8によるlビットディジタルΔΣモジュレータを用いたD/Aコンバータを示すブロック構成図であり、図において、1はディジタル入力データのサンプリングレートを高めるインターポレーションフィルタ、67はサンプリングレートが高められたディジタルデータをモジュレーションしてノイズシェーピングするlビット出力のディジタルΔΣモジュレータである。3はノイズシェーピングされたディジタルデータをアナログデータに変換する内部D/Aコンバータ、4はアナログデータの帯域外ノイズをカットするローパスフィルタである。
【0033】
次に動作について説明する。
この実施の形態8は、実施の形態1から7に示した1またはlビットディジタルΔΣモジュレータをオーバーサンプリングΔΣD/Aコンバータに適用したものである。
インターポレーションフィルタ1では、ディジタル入力データのサンプリングレートを高め、ディジタルΔΣモジュレータ67では、その高められたサンプリングレートでディジタルデータをモジュレーションしてノイズシェーピングする。内部D/Aコンバータ3では、ノイズシェーピングされたディジタルデータをアナログデータに変換し、ローパスフィルタ4では、さらに、アナログデータの帯域外ノイズをカットして出力する。
実施の形態1から7に示した1またはlビットディジタルΔΣモジュレータをオーバーサンプリングΔΣD/Aコンバータに適用することで、簡単な構成で高精度のD/Aコンバータを実現することができる。
【0034】
なお、上記実施の形態1から7に示した1またはlビットディジタルΔΣモジュレータにおいて、安定な動作をさせるために、各モジュレータの信号経路およびフィードバック経路にゲイン段を挿入しても良い。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ディジタルデータをモジュレーションする初段lビットΔΣモジュレータと、lビット量子化器で生じた量子化誤差に補正を掛ける補正ロジックと、補正ロジックにより補正が掛けられた量子化誤差をモジュレーションして初段lビットΔΣモジュレータに帰還する次段mビットΔΣモジュレータとを備え、補正ロジックは、lビット量子化器で生じた量子化誤差が初段lビットΔΣモジュレータの出力において消去されるように補正を掛けるように構成したので、DEM構成は、量子化器のビット数が多ければ多いほど、複雑かつ大規模になるが、通常mビット量子化器を持つディジタルΔΣモジュレータで必要になるDEMに比べて、小規模なDEMを用いて、mビット量子化器を用いた場合と同等の精度を持つことができ、このため回路規模の削減が図れる効果がある。
【0036】
この発明によれば、lを1とするように構成したので、初段1ビットΔΣモジュレータから出力を取り出すので、最終出力は1ビットのデータストリームであるため、DEMを用いる必要がなくなり、簡単な構成でmビット量子化器を用いた場合と同等の精度を持つことができ、このため回路規模の削減が図れる効果がある。
【0037】
この発明によれば、次段mビットΔΣモジュレータでモジュレーションした出力を初段lビットΔΣモジュレータの入力部に帰還するように構成したので、小規模なDEMを用いて、mビット量子化器を用いた場合と同等の精度を持つことができ、このため回路規模の削減が図れる効果がある。
【0038】
この発明によれば、次段mビットΔΣモジュレータでモジュレーションした出力を初段lビットΔΣモジュレータに複数設けられた積分器間に帰還するように構成したので、モジュレーションの次数が上がるため、より高精度化が図れる効果がある。
【0039】
この発明によれば、次段mビットΔΣモジュレータでモジュレーションした出力を初段lビットΔΣモジュレータのlビット量子化器の直前に帰還するように構成したので、モジュレーションの次数がさらに上がるため、より高精度化が図れる。また、補正ロジックを削減することができる効果がある。
【0040】
この発明によれば、初段lビットΔΣモジュレータおよび次段mビットΔΣモジュレータを、共に同一次数のモジュレータとするように構成したので、初段lビットΔΣモジュレータおよび次段mビットΔΣモジュレータをほぼ同様の回路ブロックで構成されるため、構成を簡単にすることができる効果がある。
【0041】
この発明によれば、初段lビットΔΣモジュレータおよび次段mビットΔΣモジュレータを、初段lビットΔΣモジュレータの次数よりも次段mビットΔΣモジュレータの次数を高くなるように構成したので、次段mビットΔΣモジュレータの次数の増加分だけ、高精度化が図れる効果がある。
【0042】
この発明によれば、lビット量子化器で生じた量子化誤差を、lビット量子化器の入力と出力の差から取り出すように構成したので、補正ロジックを微分器によって構成することができる効果がある。
【0043】
この発明によれば、lビット量子化器で生じた量子化誤差を、初段lビットΔΣモジュレータの入力と出力の差から取り出すように構成したので、補正ロジックを積分器によって構成することができる効果がある。
【0044】
この発明によれば、ディジタルデータのサンプリングレートを高めるインターポレーションフィルタと、サンプリングレートが高められたディジタルデータをモジュレーションしてノイズシェーピングするディジタルΔΣモジュレータと、ノイズシェーピングされたディジタルデータをアナログデータに変換する内部D/Aコンバータと、変換されたアナログデータの帯域外ノイズをカットするローパスフィルタとを備えるように構成したので、簡単な構成で高精度のD/Aコンバータを実現することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータの概略を示すブロック構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態2による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態3による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図である。
【図4】 この発明の実施の形態3による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータの他の構成を示すブロック構成図である。
【図5】 この発明の実施の形態4による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態4による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータの他の構成を示すブロック構成図である。
【図7】 この発明の実施の形態5による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図である。
【図8】 この発明の実施の形態6による1ビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図である。
【図9】 この発明の実施の形態7によるlビットn次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図である。
【図10】 この発明の実施の形態8によるlビットディジタルΔΣモジュレータを用いたD/Aコンバータを示すブロック構成図である。
【図11】 従来の1ビットディジタルΔΣモジュレータを用いたD/Aコンバータを示すブロック構成図である。
【図12】 従来の1ビットおよびマルチビット2次ディジタルΔΣモジュレータを示すブロック構成図である。
【図13】 従来のマルチビットディジタルΔΣモジュレータを用いたD/Aコンバータを示すブロック構成図である。
【符号の説明】
1 インターポレーションフィルタ、3 内部D/Aコンバータ、4 ローパスフィルタ、31 入力部、32 初段1ビットn次ΔΣモジュレータ、33 出力部、34,49 補正ロジック、35 次段mビットn次ΔΣモジュレータ、41,56,59 加算器、42,44,48,50,52,61,65 減算器、43,45,51,53,57,60,62 積分器、46 1ビット量子化器、47,55,58 遅延素子、54 mビット量子化器、66 lビット量子化器、67 ディジタルΔΣモジュレータ。
Claims (6)
- 積分器およびk(kは任意の自然数)ビット量子化器を有し、ディジタルデータをモジュレーションする初段kビットΔΣモジュレータと、
前記初段kビットΔΣモジュレータから出力される信号を受け、前記kビット量子化器で生じる量子化誤差を示す値を算出する演算器と、
m(mはkよりも大きい任意の自然数)ビット量子化器を有し、前記演算器から量子化誤差を示す値を受け、その値をモジュレーションして帰還信号として前記初段kビットΔΣモジュレータに帰還する次段mビットΔΣモジュレータとを備え、
前記初段kビットΔΣモジュレータは、前記積分器の出力と前記次段mビットΔΣモジュレータからの前記帰還信号とを入力し、その入力した値を加算してその加算結果を前記kビット量子化器の入力に供給する加算器を含む、ディジタルΔΣモジュレータ。 - kは1である、請求項1記載のディジタルΔΣモジュレータ。
- 初段kビットΔΣモジュレータおよび次段mビットΔΣモジュレータは、共に同一次数のモジュレータである、請求項1または2に記載のディジタルΔΣモジュレータ。
- 前記mビット量子化器の出力する信号を前記帰還信号とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のディジタルΔΣモジュレータ。
- 前記演算器は、前記kビット量子化器の入力および出力のそれぞれ信号を受け、その差分を算出する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のディジタルΔΣモジュレータ。
- ディジタルデータのサンプリングレートを高めるインターポレーションフィルタと、
前記インターポレーションフィルタによってサンプリングレートが高められたディジタルデータをモジュレーションしてノイズシェーピングする請求項1記載のディジタルΔΣモジュレータと、
前記ディジタルΔΣモジュレータによってノイズシェーピングされたディジタルデータをアナログデータに変換する内部D/Aコンバータと、
前記内部D/Aコンバータによって変換されたアナログデータの帯域外ノイズをカットするローパスフィルタとを備える、D/Aコンバータ。
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