JP4528782B2 - 印刷用色変換プロファイルの生成 - Google Patents

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Description

この発明は、印刷に用いられる色変換プロファイルの生成技術に関する。
近年、カラープリンタとしてインクジェットプリンタやレーザプリンタなどが普及してきている。カラープリンタでは、入力カラー画像データを複数種類のインクの量に変換する色変換ルックアップテーブルが用いられる。従来の色変換ルックアップテーブルの作成方法では、(i) 多数のカラーパッチを印刷し、(ii) 各カラーパッチを測色して測色値を求め、(iii) 各カラーパッチの測色値と各カラーパッチの印刷に使用されたインク量との対応関係を表すルックアップテーブルを作成していた。
しかし、測色値は、測色時の観察条件(viewing condition)に依存する。従って、ある観察条件で好ましい色再現を有する印刷物が得られるように色変換ルックアップテーブルを作成したとしても、その色変換ルックアップテーブルを用いて作成された印刷物が他の観察条件では好ましい色再現を達成できない場合がある。そこで、従来から、種々の観察条件で好ましい色再現を達成できる色変換ルックアップテーブルを作成することが望まれていた。また、例えば絵画の複製を作るために、原画の色の見えをなるべく忠実に再現することのできる色変換ルックアップテーブルを作成したいという要望もあった。
さらに、色変換ルックアップテーブルを用いて作成された印刷物の画質は、当該色変換ルックアップテーブルに規定された測色値とインク量に大きく依存している。実用上は、種々の観察条件で好ましい色再現を達成すると同時に高画質の印刷物を得られるように色変換ルックアップテーブルを作成する必要がある。そこで、上述のように種々の観察条件で好ましい色再現を達成すると同時に高画質の印刷を実施可能な色変換ルックアップテーブルを作成することが望まれていた。これらの要望は、色変換ルックアップテーブルに限らず、一般に、色変換に使用される各種のプロファイルに共通する要望であった。
以上のように色変換ルックアップテーブルにおいては、多くの異なる性質を同時に満たす必要があるが、印刷の用途や印刷時の条件、利用者のニーズに応じて満たすべき性質が異なり得る。そこで、印刷の用途や印刷時の条件に応じた適切なプロファイルを簡単に作成し、また、多数のプロファイルの中から印刷の用途や印刷時の条件に応じて適切なプロファイルを選択できるようにするシステムが望まれていた。
従って、本発明は、用途や条件毎に異なるプロファイルを適切に使い分ける。本発明は、用途や条件毎に異なるプロファイルを容易に作成する。
測色値とインク量データとの対応関係を規定するプロファイルを参照して色変換を行う装置であって、同一のプリンタ用の複数のプロファイルを格納するプロファイルメモリと、前記複数のプロファイルのうちの1つを選択し、選択されたプロファイルを参照して、与えられた測色値をインク量データに変換する色変換部と、を備え、各プロファイルは、色差指数と画質評価指数とを含む評価指数に基づいて選択された複数のサンプルインク量データを使用して作成されたものであり、前記色差指数は、前記サンプルインク量データによって表されるインク量で印刷されるべき仮想サンプルパッチの分光反射率から算出されるサンプル色と、比較の基礎として選択された比較色との間の色差を表しており、前記画質評価指数は、前記仮想サンプルパッチの画質を表す指数であって、前記仮想サンプルパッチの粒状性を示す粒状性指数と、前記仮想サンプルパッチの印刷に使用されるインク量を示すインク量指数を含み、前記評価指数は、前記色差指数と前記粒状性指数と前記インク量指数との重み付き和の式で与えられる値を有し、前記複数のプロファイルに対する前記評価指数は、前記重み付き和の式が互いに異なる
この装置によれば、複数のプロファイル、例えば、種々の観察条件で好ましい色再現を達成できる色変換プロファイル、原画の色の見えをなるべく忠実に再現することのできる色変換プロファイル、高画質の印刷を実行可能な色変換プロファイル等の中から容易に所望のプロファイルを選択し、色変換を実行することができる。この色変換後のデータで印刷を実行することにより、種々の観察条件で好ましい色再現を達成できる印刷物、原画の色の見えをなるべく忠実に再現することのできる印刷物、高画質の印刷物を得ることができる。
また、プロファイルを作成する際に色差評価指数および画質評価指数から適切な指数を選択するので、容易に所望のプロファイルを作成することができる。なお、色差評価指数としては、非色恒常性指数(Color Inconstancy Index)を含むものや、メタメリズム指数(Metamerism Index)を含むものなどを利用することができる。非色恒常性指数を含む評価指数を用いたときには、種々の観察条件で好ましい色再現を達成できる色変換プロファイルを作成することができる。
また、画質評価指数としては、粒状性を評価する指数、格子点配置の平滑程度を評価する指数、色域の大きさを評価する指数、インク量を評価する指数等を採用することができる。この粒状性を評価する指数を使用すれば、観察者に粒状性を感じさせにくくすることができる。粒状性指数としては、仮想的なパッチにおけるドットの記録状態をシミュレートし、シミュレート結果の空間周波数を評価する指数を含むものを利用することができる。この指数によれば、印刷物におけるドットの粒状性やノイズを定量化することが可能になり、実際の印刷を行わなくても粒状性を評価することが可能になる。さらに、ドットの記録状態をシミュレートするに際して、ドットの形状や誤差に起因する位置の変動、制御法の差異によって生じる形状,位置の変動を考慮することにより、非常に正確にドットの記録状態をシミュレートすることが可能になる。
また、平滑程度評価指標としては、サンプルの色に相当する格子点について所定の色空間内でその配置の平滑程度を評価する指標を採用可能である。このように所定の色空間内でサンプルの色に相当する格子点の配置が平滑化すれば、色変換プロファイルによる変換精度を向上し、トーンジャンプの発生を抑えることができる。すなわち、色変換プロファイルの作成時および作成後の色変換時には補間演算を使用するが、一般に、各色空間で整然と並んでいる格子点の方がその間に位置する色を補間演算によって算出する際に空間の局所的位置によって補間精度を大きく変動させることなく補間を行うことができる。従って、本発明によって格子点配置を平滑化することで、色変換プロファイルの作成時および作成後の色変換時に高精度に補間演算を実施することが可能になる。この結果、トーンジャンプの発生を抑え、滑らかに階調が変化する印刷物を得ることが可能な色変換プロファイルを作成することが可能になる。また、格子点の配置を平滑化する際に、色域の大きさを維持する束縛条件を使いながら平滑化を行うことで、大きな色域を確保することができる。この結果、豊かな階調の印刷物を得ることが可能になる。
また、色域の大きさを評価する指数によれば、色域の大きさができるだけ大きくなるようにすることが可能であり、この指数を利用しても豊かな階調の印刷物を得ることが可能になる。さらに、インク量を評価する指数によれば、インクのにじみ等を防止して高画質の印刷物を得ることが可能である。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、プロファイル作成方法およびプロファイル作成装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.第1実施形態
A−1.色変換装置の構成
A−2.プロファイル作成装置の構成
B.分光プリンティングモデルの一例
C.変形例
A.第1実施形態:
A−1.色変換装置の構成:
図1は、本発明の第1実施形態としての色変換装置の構成を示すブロック図である。この色変換装置は、汎用的なコンピュータ10によって本発明による色変換を実施可能に構成することによって実現される。むろん、他の構成を採用することも可能である。コンピュータ10は演算処理の中枢をなす図示しないCPUや記憶媒体としてのROMやRAM等を備えており、HDD15等の周辺機器を利用しながら本発明にかかるプログラムを含む所定のプログラムを実行することができる。コンピュータ10にはI/F19aを介してキーボード12やマウス13等の操作用入力機器が接続されており、I/F19bを介して表示用のディスプレイ18も接続されている。さらに、コンピュータ10は、USBI/F19cを介してプリンタ40と接続されている。
本実施形態におけるプリンタは複数色のインクを充填するインクカートリッジを色毎に着脱可能な機構を備えており、この機構にCMYKOG(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、オレンジ、グリーン)の各インクのカートリッジを搭載する。プリンタ40においては、キャリッジを主走査させ、紙送りローラによって副走査を行いながら、キャリッジに形成されたノズルからインクを吐出することが可能であり、各インク色を組み合わせて多数の色を形成し、これにより印刷媒体上にカラー画像を形成する。本実施形態におけるプリンタはインクジェット方式のプリンタであるが、インクジェット方式の他にもレーザー方式等、種々のプリンタに対して本発明を適用可能である。
本実施形態にかかるコンピュータ10では、プリンタドライバ30と入力機器ドライバ21とディスプレイドライバ22とがOS20に組み込まれている。ディスプレイドライバ22はディスプレイ18における印刷対象画像やプリンタのプロパティ画面等の表示を制御するドライバであり、入力機器ドライバ21はI/F19aを介して入力される上記キーボード12やマウス13からのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付けるドライバである。
図1に示す実施形態では、プリンタドライバ30で発明にかかる色変換を実施可能に構成する。プリンタドライバ30では図示しないアプリケーションプログラムから印刷指示が行われた画像について所定の処理を行って印刷を実行する。このために画像データ取得モジュール31と色変換部32とハーフトーン処理部34と印刷データ作成部35とを備えている。
画像データ取得モジュール31は、HDD15からRGBデータ15aを取得し、プリンタで印刷を行う際の解像度により、画素数に過不足があれば必要に応じて補間等によって画素数を増減させるモジュールである。このRGBデータはRGB(レッド,グリーン,ブルー)の各色成分を階調表現して各画素の色を規定したドットマトリクス状のデータであり、本実施形態では各色256階調であり、sRGB規格に従った表色系を採用したデータである。本実施形態においてはこのRGBデータを例にして説明するが、YCbCr表色系を採用したJPEG画像データやCMYK表色系を採用したデータ等、種々のデータを採用可能である。
色変換部32は、プロファイル選択部33を備えており、プロファイル選択部33が選択したプロファイルを参照し、上記RGBデータの表色系をCMYKOG表色系に変換するモジュールである。一実施例では、これらの入力値はCMYKOG各色のインクの吐出量を256階調で示す階調値である。図1に示す実施形態においては、HDD15に複数種類のプロファイルデータ15b,15cが記録されている。これらのプロファイルデータ15b,15cは、さらに細かく分類され、プロファイルデータ15b,15cのそれぞれについて複数のプロファイル(プロファイル1,プロファイル2,,,,)が記録されている。各プロファイルは、上記RGBデータ15a(例えばsRGBデータ)をインク量データに変換するためのプロファイルであり、sRGB表色系とCMYKOG表色系とのそれぞれによって色を表現するとともに両者を対応づけ、複数の色についてこの対応関係を記述したテーブルである。従って、補間演算により、sRGB表色系で表現した任意の色をCMYKOG表色系の色に変換することができる。
プロファイルデータ15bは、印刷結果を異なる観察条件で観察したときの色の見えの差異をできるだけ小さくするようにインク量データを選択して作成されたプロファイルである。図1に示す例では、色の見えの差異をできるだけ小さくするためにCII(Color Inconstancy Index)を用いてインク量データの選択を行っている。プロファイルデータ15cは、ある原画をプリンタ40で印刷したときに印刷物と原画とを異なる観察条件で観察しても印刷物の色ができるだけ原画の色に近くなるようにインク量データを選択して作成されたプロファイルである。図1に示す例では、印刷物の色ができるだけ原画の色に近くなるようにMI(Metamerism Index)を用いてインク量データの選択を行っている。MIは2つの色の色差を示す色差評価指数CDIである。また、上記CIIは2つの観察条件下で共通のサンプルを観察した場合の色差を示す色差評価指数CDIである。
本実施形態では、この色差評価指数CDIとともに画質評価指数IQIを利用してインク量データによって印刷される印刷物の画質を評価し、高画質の印刷を実現できるようなインク量データを選択している。この画質評価指数としては、種々の指数を採用可能であり、一実施例では、印刷物の粒状性を評価する粒状性指数(GI),インクの使用量を評価する指数(Tink)を採用した。むろん、画質評価指数では画質に関連する評価である限りにおいて他にも種々の指数を採用することができる。以上のGI,Tinkのいずれかまたは任意の組み合わせを採用してインク量データを選択すれば、上述のプロファイルデータ15b,15cとして複数のプロファイルを作成することが可能になり、HDD15には予め作成されたプロファイルがプロファイルデータ15b,15cとして記録される。なお、CII,MIやGI,Tinkはそれぞれサンプルインク量データを用いて算出されるが、それぞれの関数形が異なる。各指数を用いたプロファイルの作成については後に詳述する。
プロファイル選択部33は、HDD15に記憶されているプロファイルから適切なプロファイルを選択して取得する。すなわち、プロファイルデータ15b,15cは、それぞれが作成されたときに異なる指数を利用しているので、各プロファイルによって得られるインク量データが互いに異なり、色変換対象として好ましい画像や印刷条件が異なる。そこで、プロファイル選択部33が適切なプロファイルを選択し、色変換部32において選択されたプロファイルを参照することで、印刷対象の画像や印刷条件、利用者の意図等に的確に対応した色変換を実施することが可能になる。
なお、プロファイル選択部33においては適切なプロファイルを選択することができればよく、一実施例としては、予め利用者が選択する構成を採用可能である。例えば、プリンタドライバ30によって上記ディスプレイ18に対して図示しない設定画面を表示させ、キーボード12等による入力操作を受け付けることで利用者が指定する指数あるいはプロファイル自体を認識できるように構成する。そして、プロファイル選択部33においてこのプロファイルを選択すれば、利用者の意図に的確に対応した色変換を実施することが可能になる。
例えば、CIIを用いたプロファイル1〜プロファイル3ではそれぞれ、GIのみ、GIおよびTink、Tinkのみを考慮している。プロファイル2では、GIおよびTink指数が好ましい値のインク量データが選択されるが、CIIのみの場合と比較してGIおよびTinkが条件として加わったとき、CII,GIおよびTinkを互いに独立に最適な指数にすることは不可能であり、CIIの値自体は大きくなる傾向にある。一方、プロファイル1ではGIを考慮し、Tinkを考慮しておらず、逆に、プロファイル3ではTinkを考慮し、GIを考慮していない。従って、プロファイル2よりプロファイル1,プロファイル3の方がCIIが小さい傾向にある。また、プロファイル1では粒状性を感じにくい。このように、上述のプロファイル1〜プロファイル3のように選択肢があれば、GI,Tinkのいずれかは犠牲にして色の見えの差異を抑えることを重視するなどの選択肢が増えることになる。いずれにしても、利用者の意図通りのプロファイルを選択可能に構成されていることで、利用者の目的に合致した印刷を実行可能である。なお、プロファイルを選択する構成であっても、プロファイル選択と同時にそのプロファイルを作成するときに用いられた指数を明示する構成にするなどの構成では、実質的には利用者が指数を選択していると言える。
また、プロファイル選択部33がプロファイルデータ15bを選択しているとき、色変換部32は、RGBデータ15aをインク量データに変換するにあたり、変換後のインク量による印刷物を異なる観測条件で観測したときの色彩値が略一致するように変換する色変換部として機能する。プロファイル選択部33がプロファイルデータ15cを選択しているとき、色変換部32は、RGBデータ15aをインク量データに変換するにあたり、入力されるRGBデータ15aが示す画像の分光反射率を再現するように変換する色変換部として機能する。従って、プロファイル選択部33と色変換部32とによって複数の機能を有する色変換部を提供していると言える。
ハーフトーン処理部34は、色変換部32による変換で得られたCMYKOGデータを参照して、各画素の色をCMYKOGデータより少ない階調(本実施形態では2階調)で表現したハーフトーンデータを色毎に生成する。印刷データ作成部35は、ハーフトーンデータを受け取ってプリンタで使用される順番にデータを並べ替え、一回の主走査にて使用されるデータを単位にして逐次プリンタに出力する。この結果、プリンタはRGBデータ15aが示す画像を印刷する。なお、この画像を印刷する際に参照したプロファイルデータ15b,15cは、上述のように色差評価指数と画質評価指数とを考慮しているので、印刷された画像においては種々の観察条件で好ましい色再現を達成できる。 また、原画の色の見えをなるべく忠実に再現することも可能である。さらに、高画質の印刷を実施することが可能である。
A−2.プロファイル作成装置の構成:
次に、上述のような複数の指数を参照してプロファイルを作成する方法について説明する。図2は、HDD15に記録される各プロファイルを作成するプロファイル作成装置のブロック図である。このシステムは、分光プリンティングモデルコンバータ100と、評価指数生成部120と、画質評価指数算出部122と、色差評価指数算出部124と、インデックス選択部126と、サンプル選択部130と、プロファイル生成部140と、ガマットマッピング処理部160とを備えている。むろん、このシステムは他の構成および他の構成要素との組み合わせによって実現することも可能である。
このシステムでは、評価指数の作成前に必要なデータを準備してインデックス選択部126に入力するようになっており、分光プリンティングモデルコンバータ100は、インク量データを、そのインク量データに応じて印刷されるカラーパッチの分光反射率Rsmp(λ)に変換する。なお、本明細書において「カラーパッチ」とは、有彩色のパッチに限らず、無彩色のパッチも含む広い意味を有している。この実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、オレンジ(O)、および、グリーン(G)の6色のインクを利用可能なカラープリンタを想定しており、分光プリンティングモデルコンバータ100もこの6種類のインクの吐出量を入力としている。むろん、他の色のインクを使用することも可能である。分光プリンティングモデルについては、B節で詳述する。以下では、「分光プリンティングモデル」を「フォワードモデル」とも呼ぶ。
参照カラーパッチ102は、複数の比較色を与えるための原画として準備されたパッチであり、複数のカラーパッチを含んでいるオリジナルカラーパッチである。参照カラーパッチ102の代わりに、例えば絵画から複数の比較色を取得するようにしてもよい。参照カラーパッチ102は図示しない分光反射率計で測定され、各パッチの分光反射率Rref(λ)が取得される。なお、参照カラーパッチ102や絵画から得られる色を「参照色」とも呼ぶ。
GI用データセット129は、GIを算出するためのデータセットであり、本実施形態においてプロファイルを作成する前に予め作成される。以上のサンプルインク量データと分光反射率Rsmp(λ)と分光反射率Rref(λ)とハーフトーンデータとGI用データセット129はインデックス選択部126に入力される。
評価指数生成部120は、画質評価指数算出部122と色差評価指数算出部124とが出力する指数から高画質および高い色彩恒常を同時に満たすインク量データを選択するための評価指数EI1を算出する。
画質評価指数算出部122と色差評価指数算出部124とにおいては、複数の指数を算出することが可能であり、算出対象の指数はインデックス選択部126によって選択される。図2に示す実施例において、画質評価指数算出部122は、上記GIを算出するGI算出部1220と上記Tinkを算出するTink算出部1221とを備えている。色差評価指数算出部124は、上記CIIを算出するCII算出部1240と上記MIを算出するMI算出部1241とを備えている。これらのCII,MIはいずれもサンプルインク量データから算出される色(サンプル色)とこのサンプル色と比較するための比較色との差を示す指数であり、それぞれの指数においては、後述するように比較色あるいは色差を算出するための式が異なる。
インデックス選択部126は、各指数を算出するために必要なデータを取得して上述の各算出部に受け渡す。すなわち、上述のようにHDD15に記録されるプロファイル15b,15cは色差評価指数のいずれか一つを用いて作成され、さらにプロファイル1〜プロファイル3は画質評価指数の中から任意の組み合わせを用いて作成されている。そこで、インデックス選択部126は、CII算出部1240とMI算出部1241とのいずれか一つを選択し、GI算出部1220とTink算出部1221とのいずれかまたは双方を選択する。そして、インデックス選択部126は、それぞれの算出部で指数の算出に必要なデータを取得し、これらのデータを各算出部に受け渡す。これにより、各算出部で指数が計算される。インデックス選択部126では、利用者の指示を受け付けるなどして予めいずれの指数を用いるのかを決定するなど種々の構成を採用可能である。なお、各算出部で必要となるデータおよびそのデータを用いた処理の内容は後に詳述する。
各算出部で指数が計算されると、評価指数算出部120はこれらの指数から評価指数EI1を算出する。この評価指数EI1は、上記分光プリンティングモデルコンバータ100に入力される複数のインク量データのそれぞれに対して算出される。サンプル選択部130は、上記複数のサンプルインク量データそれぞれについての評価指数EI1から、良好な評価指数EI1を有するサンプルインク量データを選択する。プロファイル生成部140は、選択されたサンプルインク量データと、それらのサンプルインク量データを用いて印刷されるカラーパッチの測色値(L*a*b*値)とを用いて、インクプロファイル142を作成する。このインクプロファイル142は、測色値(L*a*b*値)とCMYKOGのインク量との対応関係を示すルックアップテーブルである。なお、「インクプロファイル」を「出力デバイスプロファイル」とも呼ぶ。本明細書において、「プロファイル」とは、色空間の変換を行うための変換規則を具現化したものを意味しており、各種のデバイスプロファイルとルックアップテーブルとを含む広い意味を有している。
ガマットマッピング処理部160は、このインクプロファイル142と、予め準備されたsRGBプロファイル162とを用いて、プロファイルデータ15b,15cにおける各プロファイルを作成する。ここで、sRGBプロファイル162としては、例えばsRGB色空間をL*a*b*色空間に変換するプロファイルを使用することができる。なお、「sRGBプロファイル」を「入力デバイスプロファイル」とも呼ぶ。
次に、図2に示すシステムでの処理フローを参照しながら、各指数について詳述する。図3、この処理手順を示すフローチャートである。ステップS10では、分光プリンティングモデルを決定して、コンバータ100を作成する。一実施例では、分光プリンティングモデルとしてセル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Cellular Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)を使用する。その詳細についはB節で説明する。
ステップS12では、多数の仮想サンプルを設定する。ここで、「仮想サンプル」とは、プロファイルの作成処理において使用される仮のインク量データ、および、そのインク量データに応じて印刷される仮想的なカラーパッチを意味している。なお、以下では、仮想サンプルを単に「サンプル」とも呼ぶ。一実施例では、CMYKOGの各インクに関して、0〜100%の範囲で10%おきに11点のインク量をそれぞれ設定し、6種類のインクの量のすべての組合せを仮想サンプル(サンプルインク量データ)として準備した。この結果、116=1,771,561個の仮想サンプルが準備された。なお、「インク量100%」とは、1種類のインクでベタ打ちとなるインク量を意味する。
ステップS14では、分光プリンティングモデルコンバータ100を用いて各仮想サンプルのサンプルインク量データを上述の分光反射率Rsmp(λ)に変換する。インデックス選択部126はこの分光反射率Rsmp(λ)を取得し、この分光反射率Rsmp(λ)からCIELAB表色系の測色値L*a*b*を算出する。この測色値は図示しないメモリに記録しておく。一実施例では、CIE標準の光D50、および、CIE1931 2°観測者の観察条件で測色値を算出した。この仮想サンプルを特定の観察条件で観察したときの色が上述のサンプル色である。図4(A)〜図4(C)は、一実施例で算出されたサンプル色の分布を示している。図4(A)の横軸はCIELAB表色系のa*軸であり、縦軸はb*軸である。図4(B),(C)の横軸はa*軸およびb*であり、縦軸はL*軸である。これから理解できるように、116個のサンプル色は、明度L*の低いところに集中しており、明度L*の高いところではまばらに分布している。サンプル色をより均一に分布させるためには、サンプルインク量を、比較的低いインク量の範囲ではより細かい間隔で設定し、比較的高いインク量の範囲ではより粗い間隔で設定するようにしてもよい。
ステップS16では、測色値の色空間(ここではCIELAB空間)を複数のセルに分割し、複数のサンプル色をセルに関してソート(分類)する。一実施例では、CIELAB空間を16×16×16個のセルに均等に分割した。なお、このとき複数のサンプルと上記コンバータ100によって変換される前の仮想サンプルとを対応づけておく。
ステップS20では、複数の比較色(上述の参照カラーパッチ102)を準備し、ステップS22では、これらの参照カラーパッチ102の分光反射率Rref(λ)を図示しない分光反射率計で測定する。ステップS26では、上述のGI用データセット129を作成する。一実施例では、GI用データセット129はパラメータデータとドット形状データと分光反射率データとを含む。
図5は、パラメータデータの例を説明する説明図である。同図においては、プリンタ40の主走査方向の解像度(X解像度)と副走査方向の解像度(Y解像度)、インクの色数,印刷媒体の種類、”サブ画素数/画素”およびノズル数を示すデータがパラメータデータに含まれている。X解像度とY解像度は解像度をdpi等の単位で指定したデータであり、同図においてはそれぞれ1440dpi,720dpiである。なお、本明細書では主走査方向をX方向とし、副走査方向をY方向として定義する。インクの色数はプリンタ40に搭載されるインクの色数であり、本実施形態では上述のようにCMYKOGの6色である。むろん、インクの色自体を直接的に指定しても良い。印刷媒体は写真用紙など媒体の種類を示すデータである。すなわち、粒状性はインクが記録される印刷媒体によって異なるので、各パラメータと印刷媒体とを対応づけて定義する。むろん、複数種類の媒体の使用を想定していないのであれば、当該印刷媒体を示すデータは必須ではない。
サブ画素数/画素はハーフトーンデータにおける各画素をそれより小さなサブ画素に分割する際の分割数を示しており、図5においては各画素を縦横20個のサブ画素に分割することを示している。第1実施形態においては、後述するようにインクの記録状態をシミュレートしてGIを算出しており、このシミュレーションはハーフトーンデータより高分解能のドットマトリクスを考えることによって実現される。そこで、サブ画素数/画素によってハーフトーンデータの各画素を分割する分割数を記録するようにしている。
むろん、この分割数は20に限定されるわけではない。本明細書では、ハーフトーンデータにおけるドットマトリクスの各ドットを単に画素と呼び、これを分割して得られる各ドットをサブ画素と呼ぶ。ノズル数は、プリンタ40に搭載されるキャリッジに形成されたノズルの副走査方向の数を示している。なお、パラメータデータには、以上の例以外にもGIを算出する際に必要な種々のデータを採用可能である。
ドット形状データは印刷媒体上に記録されるドットをサブ画素平面上で再現するために、ドットの形状および大きさを特定するためのパラメータであり、各パラメータはノズル毎に決定する。図6はドット形状データの例を説明する説明図である。一実施例ではドットの形状が楕円形であると予め決められており、楕円の長径および短径によってその形状および大きさを特定するようにしてある。また、図6に示す例では、インク滴がノズルから印刷媒体に達するまでにインク滴が2つに分離する場合にも対応できるように第1ドットと第2ドットの大きさおよび両者の相対距離をパラメータとして特定できるようになっている。
すなわち、第1ドットの主走査方向サイズ(X0)および副走査方向サイズ(Y0)と第2ドットの主走査方向サイズ(X1)および副走査方向サイズ(Y1)を記述可能であり、さらに、第1ドットと第2ドットとの相対距離を主走査方向の距離(X2)と副走査方向の距離(Y2)で記述可能である。また、各データは、上述のパラメータデータに示される印刷媒体についてのデータであり、各ノズル毎,インクの色毎に用意する。
図6の下部には各パラメータによって特定されるドットの形状を示している。第1ドットと第2ドットにおいては、ドット形状データによって指定される各走査方向のサイズを長径あるいは短径とした楕円を形成し、各ドットの形状とする。各ドットの相対距離は両者の中心からの距離として特定可能である。なお、ドット形状データは、シミュレーション対象のプリンタに搭載されるキャリッジに形成された各ノズルから実際にインクを吐出するとともに印刷媒体上の形状および大きさを計測することによって作成され、各パラメータの値はサブ画素単位で決められる。従って、サブ画素平面上で各走査方向のサイズを一義的に特定可能である。
図6に示す例では、Cインクについてノズル番号1にて形成される第1ドットの主走査方向サイズが46,副走査方向サイズが24である。また、第2ドットのサイズは主走査方向,副走査方向ともに”0”である。このため、相対距離も”0”である。この場合、インク滴が飛翔中に分離しないことを示しており、一回のインク滴の吐出によって第1ドットが一つ形成されることになる。
また、プリンタに備えられたキャリッジを主走査方向に移動させながらインク滴を吐出すると、インク滴は印刷媒体に対して主走査方向に相対速度を持ちながら飛翔し、印刷媒体上で主走査方向と長径とが略平行な楕円のドットを形成する。従って、ドット形状は一般的には図6の下部に示すように主走査方向が長径となった楕円であるが、むろん、長径方向が限定されることはないし、長径と短径を同じ値にすることによって円形のドットであるとしても良い。また、ドットの分離数を3以上にしても良いし、複数のサブ画素によって構成されるドット形状のパターン自体を示すデータを記録するようにしても良い。
分光反射率データは印刷媒体上に記録したドットの反射率を複数の光の波長に対応づけて示すデータである。図7は分光反射率データの例を説明する説明図である。分光反射率はプリンタにて使用する各色のインクおよび印刷媒体に対してインクを記録しない状態(図7におけるW)について予め決められている。例えば、図7の上部には、Cインクの分光反射率(R(λ))を示しており、このような分光反射率を予め測定し、波長380nmから780nmまで10nm間隔で反射率を特定して分光反射率データとする。また、分光反射率データも上述のパラメータデータに示される印刷媒体に対応づけられるデータである。
本実施形態においては、この印刷媒体におけるインク量制限の最大値で所定の大きさのパッチを印刷し、所定の光源下で当該パッチを測定することによって分光反射率を取得する。すなわち、このようにして得られた分光反射率が各ドットを観察したときの分光反射率であるとしている。なお、このような分光反射率の取得法は一例であり、所定のインク記録率でパッチを印刷し、印刷媒体上のドットの面積とドットが記録されていない部分の面積との比率を利用して各色の分光反射率を算出してもよく、種々の構成を採用可能である。また、一実施例では、粒状性指数を算出するために各サブ画素毎に色彩値(本実施形態では明度)を算出することができればよく、この意味では、分光反射率を示すデータを用意することが必須というわけではない。例えば、単色での色彩値および複数色を重ね合わせたときの色彩値を示すデータを予め用意する構成を採用可能である。
以上の処理で、評価指数を算出するために必要なデータの準備が完了したので、ステップS30では、好ましいサンプルの選択に使用する評価指数EI1を設定する。第1実施形態で使用される評価指数EI1は、以下の(1)式で表される。
Figure 0004528782
ここで、CDIは、上述のCII,MIのいずれかであり、IQIiは上述のGI,Tinkであり、符号iでGIあるいはTinkを指定している。k1とkiはCDIとIQIに乗じられる重み付け係数であり、それぞれの指数が評価指数EI1に寄与する度合を調整する。なお、係数k1は“0”以外の数であり、係数kiは“0”を含む数である。すなわち、CDIの中のいずれか一つのみが必ず評価指数EI1に含まれるが、IQIは任意の指数を評価指数EI1に含められるようになっている。むろん、上述のサンプル色毎に係数k1,kiの値を変更しても良い。
図3のステップS35では、評価指数生成部120が、各サンプルに対する評価指数EI1を算出し、サンプル選択部130がこの評価指数EI1に応じてCIELAB色空間の各セル内で最良のサンプルを選択する。
図8は、ステップS35の詳細手順を示すフローチャートである。ステップS55では、あるセル内の1つのサンプルを選択する。ステップS58では、計算対象として選択されているCDIがいずれの指数であるかを上記インデックス選択部126が判別する。ステップS58でCIIが選択されていると判別されたときには、ステップS60でCIIを算出する。ステップS58でMIが選択されていると判別されたときには、ステップS62でMIを算出する。
図9は、ステップS60におけるCIIの算出処理を示すフローチャートであり、この処理は上記CII算出部1240によって実施される。この処理に際して、上記インデックス選択部126は上記ステップS14で算出した分光反射率Rsmp(λ)をCII算出部1240に受け渡す。CII算出部1240は、ステップS100において分光反射率Rsmp(λ)を用いて第1の観察条件下で三刺激値XYZを算出する。一実施例では、CIE標準の光D50、および、CIE1931 2°観測者の観察条件で三刺激値XYZを算出した。本明細書において、「観察条件」とは照明光と観測者の組合せを意味しているが、特に言及しない限り観測者としてCIE1931 2°観測者を使用する。ステップS105では、この三刺激値XYZに色順応変換を適用して、標準観察条件での対応色を算出する。一実施例では、標準観察条件の光源として標準の光D65を用い、色順応変換としてCIECAT02を利用した。CIECAT02については、例えば"The CIECAM02 Color Appearance Model", Nathan Moroney et al., IS&T/SID Tenth Color Imaging Conference, pp.23-27, および、"The performance of CIECAM02", Changjun Li et al., IS&T/SID Tenth Color Imaging Conference, pp.28-31に記載されている。但し、色順応変換としては、フォン・クリースの色順応予測式などの他の任意の色順応変換を用いることも可能である。ステップS110では、この対応色のCIELAB表色系の測色値CV1=(L*a*b*)D50→D65を算出する。この下付き文字「D50→D65」は、標準の光D50の下での色の見えを、標準の光D65の対応色で表現した測色値であることを意味している。
すなわち、ステップS115においては、分光反射率Rsmp(λ)を用いて第2の観察条件下で三刺激値XYZを算出する。一実施例では、CIE標準の光F11、および、CIE1931 2°観測者の観察条件で三刺激値XYZを算出した。ステップS120では、この三刺激値XYZに色順応変換を適用して、標準観察条件での対応色を算出する。そして、ステップS125では、この対応色のCIELAB表色系の測色値CV2=(L*a*b*)F11→D65を算出する。ステップS130では、測色値CV1,CV2を利用してCIIを算出する。
CIIは、例えば以下の式で表現される。
Figure 0004528782
CIIについては、Billmeyer and Saltzman's Principles of Color Technology, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc, 2000, p.129,p. 213-215を参照。
なお、(2)式の右辺は、CIE1994年色差式において、明度と彩度の係数kL,kCの値を2に設定し、色相の係数kHの値を1に設定した色差ΔE*94(2:2)に相当する。CIE1994年色差式では、(2)式の右辺の分母の係数SL,Sc,SHは以下の(3)式で与えられる。
Figure 0004528782
なお、CIIの算出に使用する色差式としては、他の式を用いることも可能である。
CIIは、あるカラーパッチを第1と第2の異なる観察条件下で観察したときの色の見えの差として定義されている。従って、CIIが小さいサンプルは、異なる観察条件での色の見えの差が小さいという点で好ましい。また、サンプル色の測色値CV1=(L*a*b*)D50→D65と、比較色の測色値CV2=(L*a*b*)F11→D65は、同一の標準観察条件におけるそれぞれの対応色の測色値なので、それらの色差ΔEであるCIIは、サンプル色と比較色の色の見えの違いをかなり正確に表現する値となる。
なお、標準観察条件は、標準の光D65に限らず、任意の照明光下での観察条件を採用することができる。例えば、標準の光D50を標準観察条件として採用した場合には、図9のステップS105は不要であり、また、ステップS120では標準の光D50に対する色順応変換が実行される。但し、CIELAB表色系を用いて算出される色差ΔEは、標準の光D65を用いたときに最も信頼性の高い値を示す。この点からは、標準観察条件として標準の光D65を用いることが好ましい。
ステップS62におけるMIの算出処理は、上記MI算出部1241によって実施される。この処理に際して、上記インデックス選択部126は上記ステップS22で測定した比較色の分光反射率Rref(λ)をMI算出部1241に受け渡す。MI算出部1241は、この比較色の分光反射率からCIELAB表色系の測色値L*a*b*を算出する。そして、この比較色と上記ステップS55で選択したサンプルのサンプル色とを比較するため、例えば以下の(4)でMIを算出する。なお、総ての比較色について(4)式を算出しても良いが、サンプル色と近い色の比較色を抽出して(4)式を算出しても良い。
Figure 0004528782
ここで、(4)式の[ ]内はj番目の照明光下におけるサンプル色と比較色の色差を示すメタメリズム指数であり、aveは複数の照明光におけるメタメリズム指数の平均を示す。ΔL* , ΔC*ab ,およびΔH*ab は、それぞれ、i番目の照明光かにおけるサンプル色と比較色の明度差、彩度差、色相差である。すなわち、本実施形態におけるMIはj番目の照明光下におけるサンプル色と比較色の色差の平均である。メタメリズム指数については、Billmeyer and Saltzman's Principles of Color Technology, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc, 2000, p.127、 p. 211-213を参照。照明光としては特に限定されないが、D50,F11,A光源等を採用することができる。
上述した(2)式と(4)式とを比較すれば理解できるように、MIを与える式としては、CIIを与える式と同じ色差式を用いることができる。MIとCIIとの違いは、前者は2つの物体色を同一の観察条件下で観察したときの色の差であり、後者は1つの物体色を異なる観察条件下で観察したときの色の差である点である。なお、MIの算出に使用する色差式として(4)式以外の式を用いることも可能である。
なお、CIIやMIは異なる観察環境下についての色差を表しており、CIIとMIとでは比較色が異なるものの、CII,MIのいずれも2つの色の色差を表す指数を含んでいることが理解できる。
ステップS64におけるRMSの算出処理は、上記RMS算出部1242によって実施される。この処理に際して、上記インデックス選択部126は上記ステップS22で測定した比較色の分光反射率Rref(λ)をRMS算出部1242に受け渡す。RMS算出部1242は、この比較色の分光反射率と上記サンプル色の分光反射率Rsmp(λ)とからRMSを算出する。すなわち、2つの分光反射率Rsmp(λ),Rref(λ)の差の根2乗平均を算出する。なお、2つの分光反射率Rsmp(λ),Rref(λ)の差は、所定の波長幅毎に(例えば5nmまたは10nm毎に)計算される。このRMSは、サンプル色と参照色の分光反射率の一致度を示している。従って、このRMSをできるだけ小さくすれば、比較色に最も近い分光反射率を有するサンプルを選択することができる。
なお、サンプル色と参照色の分光反射率Rsmp(λ),Rref(λ)のRMSは、サンプル色と比較色の色差を実質的に表しているものと考えることも可能である。また、CIIやMIも2つの色の色差を表しており、CIIとMI(RMS)とでは比較色が異なるものの、CII,MI,RMSのいずれも2つの色の色差を表す指数を含んでいることが理解できる。
以上のようにCDIを算出したら、ステップS70以降で画質評価指数算出部122がIQIを算出する。ステップS70では、計算対象のIQIとしてGIが選択されているか否かを上記インデックス選択部126が判別する。ステップS70でGIが選択されていたと判別されたときには、GI算出部1220がステップS75にてGIを算出する。このために、インデックス選択部126は上記GI用データセット129をGI算出部1220に受け渡す。また、GI算出部1220は、図示しないハーフトーン処理部を備えており、上述のステップS55で選択されたサンプルのインク量データを入力とし、このインク量データの画素を複数個集めて形成される仮想パッチについて色毎にハーフトーン処理を実行する。GIはハーフトーン処理後のハーフトーンデータに基づくシミュレーション結果に基づいて算出され、例えば以下の式で表現される。
Figure 0004528782
GIについては、例えば、Makoto Fujino,Image Quality Evaluation of Inkjet Prints, Japan Hardcopy '99, p.291-294を参照。なお、(5)式のaLは明度補正項、WS(u)はハーフトーンデータが示す画像のウイナースペクトラム、VTFは視覚の空間周波数特性、uは空間周波数である。(5)式では一次元で示しているが、空間周波数u,vの関数として二次元画像の空間周波数を算出することは容易である。
GIは、ある印刷物を観察者が視認したときに、その観察者が感じる粒状感(あるいはノイズの程度)であり、GIが小さい程、観察者が感じる粒状感は小さくなる。むろん、GIは画像を印刷したときの粒状性を評価する指標であればよく、他の式を用いることも可能である。図10,図11は、ステップS75における処理の詳細を示すフローチャートである。上記GI算出部1220の図示しないハーフトーン処理部は、ステップS150にて上記サンプルインク量データを取得してハーフトーン処理を実施する。本実施例では、各画素の色を256より少ない階調(例えば2階調)で表現したハーフトーンデータを色毎に生成する。このハーフトーン処理に際しては、所定の面積の一様な色の仮想パッチを印刷できるようなハーフトーンデータを生成する。すなわち、上記階調値の画素がドットマトリクス状に並んでいる状態を想定してハーフトーン処理を実施する。なお、ハーフトーン処理部においては各種アルゴリズムを採用可能であるが、本実施形態によって作成するプロファイルデータ15b,15cを使用する上述のプリンタ40のハーフトーン処理部34と同じアルゴリズムで処理を行う。また、ハーフトーンデータの階調は2階調に限られず、4階調など種々の階調数を採用可能である。
ステップS155では、上記GI用データセット129を取得する。このGI用データセット129によれば、上記ハーフトーンデータを用いてドットの記録状態をシミュレートすることができる。すなわち、実際に印刷を実施することなくドットの記録状態をシミュレートすることによってGIを算出することができる。ステップS160では上記ハーフトーンデータを取得し、ドットの記録状態をシミュレートするためのサブ画素平面を形成する。すなわち、上記ハーフトーンデータにおける各画素を上記パラメータデータのサブ画素数/画素で分割し、分割して得られたサブ画素によってシミュレートを行う平面を形成する。この結果、ハーフトーンデータのドットマトリクスがさらに分解能の高いドットマトリクスになる。なお、具体的な処理としては、各サブ画素について記録状態データを特定できるように配列を定義するなどして実現可能である。
図12は、本実施形態におけるシミュレーション処理を説明するための説明図である。同図において、左上にはハーフトーン処理後のハーフトーンデータを示し、同図中央にはサブ画素平面を示している。すなわち、同図中央に示すように画素より小さな矩形で形成される平面をサブ画素平面と考える。なお、図12では、サブ画素平面の左上の端を座標(0,0)とし、主走査方向の座標をx,副走査方向の座標をyとしている。サブ画素平面を形成したら、上記GI算出部122はステップS165において上記ドット形状データを参照し、このサブ画素平面上でドット形状をシミュレートする。
すなわち、上記ハーフトーンデータにおいては各画素についてドットを形成するか否かを2階調で指定しているので、このハーフトーンデータから各画素に対応するサブ画素上にドットを形成するか否かを決定することができる。また、シミュレート対象のプリンタにおいて実施する主走査および副走査の制御法を特定すれば、上記ハーフトーンデータにおける各画素のドットを形成するノズルを特定することができる。そこで、ドット形状データを参照すれば、各画素に対応するサブ画素において形成されるドットの形状を詳細に特定することができる。むろん、上記制御法を示すデータを上述のパラメータデータとして作成しても良い。
本実施形態においては、各画素の中心を基準の位置としており、上記第1ドットの中心がこの基準の位置に相当するようにドットを配置する。この処理を全画素に対して行えば、図12にハッチをかけて示すようにサブ画素平面上にドットを形成することができる。以上のように、ドットの形状を詳細に特定しつつサブ画素平面上にドットを形成したら、上記パラメータデータに示される色数の全色についてドットを形成する処理が終了したか否か判別し(ステップS170)、全色について終了したと判別されるまでステップS160以降の処理を繰り返す。このようにして得られるデータは各色毎にドットの記録状態を示しており、ここではこのデータを記録状態データと呼ぶ。
全インク色について記録状態データを作成したら、各インク色によって形成されるドットが人間の目によってどのように視認されるのかを評価できるようにするために、上記GI算出部122はステップS175にて各インクを重畳した状態での明度を算出する。すなわち、所定の光源を想定し、上記分光反射率データと人間の目の分光感度とから三刺激値XYZを算出し、さらにこの三刺激値XYZからL***値を算出する。
得られたL*が明度であり、サブ画素平面上の各座標について明度が特定されることになる(これをL(x,y)と表記する)。なお、各インク色毎のサブ画素平面において座標(x,y)は同じ位置に相当するので、異なるインク色のサブ画素平面で同じ座標上にドットが形成されている場合には、各色の分光反射率を互いに乗じて重畳された分光反射率として明度を算出すればよい。座標(x,y)にドットが形成されていない場合には、印刷媒体における明度(上記分光反射率データのWから算出)がL(x,y)となる。L(x,y)が得られたら、GI算出部122は図11に示すフローチャートに従って処理を行い、当該L(x,y)に基づいてGIを算出する。
図13はGIを算出する様子を説明する説明図である。本実施形態において、GIは画像の明度を空間周波数(cycle/mm)で評価する。このために、まず図13の左端に示す明度L(x,y)に対してFFT(Fast Fourier Transformation)を実施する(ステップS200)。図11,図13においては得られた空間周波数のスペクトルをS(u,v)として示している。なお、スペクトルS(u,v)は実部Re(u,v)と虚部Im(u,v)とからなり、S(u,v)=Re(u,v)+jIm(u,v)である。このスペクトルS(u,v)は上述のウイナースペクトラムに相当する。
ここで、(u,v)は(x,y)の逆空間の次元を持つが、本実施形態において(x,y)は座標として定義され、実際の長さの次元に対応させるには解像度等を考慮しなければならない。従って、S(u,v)を空間周波数の次元で評価する場合も次元の変換が必要である。そこで、まず、座標(u,v)に対応した空間周波数の大きさf(u,v)を算出するため、シミュレート対象となっている画像の最低周波数を算出する(ステップS205)。シミュレート対象となっている画像の最低周波数は、シミュレート対象のハーフトーンデータで印刷される印刷結果において1回振動する周波数であり、主走査方向(X方向)と副走査方向(Y方向)とのそれぞれについて定義される。
すなわち、主走査方向の最低周波数euはX解像度/(X方向の画素数×25.4),副走査方向の最低周波数evはY解像度/(Y方向の画素数×25.4)と定義される。なお、X解像度,Y解像度は上記パラメータデータによって特定されるデータである。また、ここでは1インチを25.4mmとしている。各走査方向の最低周波数eu,evが算出されれば、任意の座標(u,v)における空間周波数の大きさf(u,v)は((eu・u)2+(ev・v)2))1/2として算出することが可能になる。
一方、人間の目は、空間周波数の大きさf(u,v)に応じて明度に対する感度が異なり、当該視覚の空間周波数特性は、例えば、図13の中央下部に示すVTF(f)のような特性である。この図13におけるVTF(f)はVTF(f)=5.05×exp(−0.138・d・π・f/180)×(1−exp(−0.1・d・π・f/180))である。なお、ここでdは印刷物と目の距離でありfは上記空間周波数の大きさfである。このfは上述(u,v)の関数として表現されているので、視覚の空間周波数特性VTFは(u,v)の関数VTF(u,v)とすることができる。
上述のスペクトルS(u,v)に対してこのVTF(u,v)を乗じれば、視覚の空間周波数特性を考慮した状態でスペクトルS(u,v)を評価することができる。また、この評価を積分すればサブ画素平面全体について空間周波数を評価することができる。そこで、一実施例においては、ステップS210〜S230の処理で積分までの処理を行っており、まず、(u,v)を双方とも”0”に初期化し(ステップS210)、ある座標(u,v)での空間周波数f(u,v)を算出する(ステップS215)。また、この空間周波数fにおけるVTFを算出する(ステップS220)。
VTFが得られたら、当該VTFの2乗とスペクトルS(u,v)の2乗とを乗じ、積分結果を代入するための変数Powとの和を算出する(ステップS225)。すなわち、スペクトルS(u,v)は実部Re(u,v)と虚部Im(u,v)とを含むので、その大きさを評価するため、まず、VTFの2乗とスペクトルS(u,v)の2乗とによって積分を行う。そして、座標(u,v)の総てについて以上の処理を実施したか否かを判別し(ステップS230)、全座標(u,v)について処理を終了したと判別されなければ、未処理の座標(u,v)を抽出してステップS215以降の処理を繰り返す。なお、VTFは図13に示すように空間周波数の大きさが大きくなると急激に小さくなってほぼ”0”となるので、座標(u,v)の値域を予め所定の値以下に制限することにより必要充分な範囲で計算を行うことができる。
積分が終了したら、Pow1/2/全サブ画素数を算出する(ステップS235)。すなわち、変数Powの平方根によって上記スペクトルS(u,v)の大きさの次元に戻すとともに、全サブ画素数で除して規格化する。この規格化により、元のハーフトーンデータの画素数に依存しない客観的な指数(図11のInt)を算出している。むろん、ここでは規格化を実施できればよいので、上記ハーフトーンデータの画素数で除して規格化しても良い。また、規格化によれば、画像の大きさに関わらず粒状性を評価することができるが、上述のハーフトーンデータの画素数を常に同じ画素数として粒状性を評価するのであれば、必ずしも規格化は必要ない。
本実施形態においては、さらに、印刷物全体の明度による影響を考慮した補正を行ってGIとしている。すなわち、本実施形態においては、空間周波数のスペクトルが同じであっても印刷物全体が明るい場合と暗い場合とでは人間の目に異なった印象を与え、全体が明るい方が粒状性を感じやすいものとして補正を行う。このため、まず、全画素について明度L(x,y)を足し合わせ、全画素で除することにより、画像全体の明度の平均Aveを算出する(ステップS240)。
そして、画像全体の明るさによる補正係数a(L)をa(L)=((Ave+16)/116)0.8と定義し、この補正係数a(L)を算出(ステップS245)するとともに上記Intに乗じてGIとする(ステップS250)。なお、補正係数a(L)は、上述の明度補正項aLに相当する。また、補正係数としては、明度の平均によって係数の値が増減する関数であればよく、他にも種々の関数を採用可能である。
以上の処理が図8のステップS75に相当する。図8に示す処理では、さらにステップS80において、計算対象のIQIとしてTinkが選択されているか否かを上記インデックス選択部126が判別する。ステップS80でTinkが選択されていたと判別されたときには、Tink算出部1221がステップS85にてTinkを算出する。このために、インデックス選択部126は上記サンプルインク量データをTink算出部1221に受け渡す。上述のようにTinkはインクの使用量を評価する指数であり、そのサンプルで使用されるインク量の合計値である。例えば、6種類のインクのインク量がすべて20%のときには、Tinkの値は120%=1.2になる。合計インク量Tinkは画質とかなりの相関があり、合計インク量Tinkが少ないほど画質が良い可能性がある。そこで、評価指数EI1にこのTinkを含むようにすれば、画質を判断することができる。
以上の処理により、評価指数EI1に含むべきCDIとIQIとが算出されたことになるので図8に示すステップS90では、上記(1)式によって評価指標EI1を算出する。ステップS92では、処理対象となっているセルに含まれるすべてのサンプル色に関して評価指数EI1の算出が終了したか否かが判断される。こうして、ステップS55〜S92が繰り返し実行されて、そのセル内のすべてのサンプル色に関して評価指数EI1が算出される。ステップS94では、サンプル選択部130が、そのセル内のサンプル色のうちで、評価指数EI1が最良であるサンプルを、そのセルに関する代表サンプルとして選択する。この結果、少なくとも1つのサンプルを含む各セルに関して、1つの代表サンプルがそれぞれ選択される。以下では、代表サンプルを「高評価サンプル」とも呼ぶ。
なお、図3のステップS16で分割された複数のセルの中には、サンプル色を全く含まないセルも存在する。従って、図8の処理は、少なくとも1つのサンプル色を含むようなセルを対象として実行され、サンプル色を1つも含まないセルは処理対象から除外される。以上のようにして代表サンプルを選択したら、図3のステップS40では、プロファイル生成部140が、代表サンプルに基づいて不等間隔補間(non-uniform interpolation)を行うことによって、予備インクプロファイルを作成する。この予備インクプロファイルは、CIELAB測色値をインク量に変換する色変換ルックアップテーブルである。「予備的」という接頭語は、ステップS16で分割された比較的粗いセルに関するプロファイルであることを意味している。
図14(A)は、ステップS40における不等間隔補間を示す。この図は、CIELAB空間を示しており、図中の丸は代表サンプル色の測色値の位置を示し、網模様は細かなセルのグリッドを示している。ステップS40では、グリッド点(網模様の交点)におけるインク量が、複数の代表サンプル色のインク量を不等間隔補間することによって算出される。図14(B)および図14(C)は、L*=23.8での補間前と補間後の代表サンプル点の例をそれぞれ示している。この不等間隔補間は、例えばMATLAB(MathWorks, Inc.の商標)のgriddata関数を用いて実行することができる。一実施例では、予備プロファイルとして、CIELAB空間の64×64×64個のグリッド点を入力とするプロファイルを作成した。なお、不等間隔補間としては、非線形補間を用いても良く、あるいは線形補間を用いても良い。通常は、非線形補間の方が線形補間よりも精度が高く、処理速度は遅い傾向にある。
ステップS45では、プロファイル生成部140が、予備プロファイルを線形補間することによって、最終インクプロファイル142(図2)を作成する。この最終インクプロファイル142は、予備プロファイルよりもさらに細かなセルのグリッド点を入力とするプロファイルである。一実施例では、CIELAB空間の256×256×256個のグリッド点を入力とするプロファイルを作成した。上述したように、予備プロファイルはCIELAB空間の64×64×64個のグリッド点を入力としているので、予備プロファイルを線形補間することによって最終インクプロファイル142を容易に得ることができる。最終インクプロファイル142として、256×256×256個のグリッド点を入力とするプロファイルを作成すれば、CIELABのすべての入力値に対するインク量を直ちに得ることができる。従って、その後のルックアップテーブルの作成に要する処理時間を短縮することができる。
ステップS50では、ガマットマッピング処理部160(図2)が、最終インクプロファイル142とsRGBプロファイル162とに基づいてガマットマッピングを行い、プロファイルデータ15b,15cを作成する。ガマットマッピングを行う理由は、プリンタで実現可能な色空間(「インク色空間」とも呼ぶ)の色域と、入力色空間(この実施形態ではsRGB空間)で実現可能な色域とに差があるためである。インク色空間の色域は最終インクプロファイル142で規定されており、入力色空間の色域はsRGBプロファイル162で規定されている。一般に、入力色空間とインク色空間には食い違いがあるので、入力色空間の色域をインク色空間の色域にマッピングする必要がある。
図15(A)および図15(B)は、ガマットマッピングの一例を示している。ここでは、いわゆるガマットクリッピングと呼ばれる方法が採用されている。具体的には、図15(A)に示すように、インク色空間の色域の外側にあるsRGB色空間の色は、色相を保った状態で彩度を低下させるようにマッピングされる。明度L*に関しては、インク色空間の明度範囲内にある色は、明度がそのまま維持される。インク色空間の明度の最大値Lmaxよりも大きな明度を有する色は、最大値Lmaxにマッピングされる。一方、インク色空間の明度の最小値Lminよりも大きな明度を有する色は、最小値Lminにマッピングされる。なお、ガマットマッピングの方法としては、従来から種々の方法が知られており、そのいずれの方法を採用してもよい。
こうしてガマットマッピングが行われると、最終的なプロファイルデータ15b,15cが完成する。このプロファイルデータ15b,15cをプリンタに実装すれば、色彩恒常性が高く(すなわち、異なる観察条件における色の見えの変化が小さい)、高画質の印刷物を作成することが可能である。なお、インクプロファイル142に関する補間は上述の構成が必須ではない。例えば、最終インクプロファイル142の代わりに予備インクプロファイルを用いて、プロファイルデータ15b,15cを作成することも可能であるし、補間後の測色値の数も上述のものに限られない。
以上のようにして作成したプロファイルデータ15b,15cは、上述のように色差評価指数と画質評価指数とを考慮しており、これらの指数は適宜必要な指数を選択する。従って、種々の指数を加味したプロファイルデータを容易に作成することができる。すなわち、種々の観察条件で好ましい色再現を達成するプロファイルを容易に作成することができるし、この色再現の達成と同時に高画質の印刷を実施可能なプロファイルを作成可能である。
なお、以上の実施形態では、sRGBとCMYKOGとの対応関係を規定するプロファイルデータ15b,15cを作成したが、むろん、プロファイルとしては他の形態を採用することも可能である。例えば、入力側の機器依存色を機器非依存色に変換するソースプロファイルと機器非依存色を出力側の機器依存色に変換するメディアプロファイルとを利用して色変換を行う構成において、メディアプロファイルの作成に本発明を適用することも可能である。この場合、Lab色空間の格子点をインクプロファイル142に規定されたLab空間でガマットマッピングすることによってメディアプロファイルを作成する。すなわち、インクプロファイル142が作成されるとプリンタのガマットが確定されるので、このガマット外に存在するCIELAB空間の格子点をガマット表面あるいはガマット内の格子点に対応づける。この結果作成されるプロファイルによれば、上記ソースファイルから得られる任意のCIELAB値をCMYKOG値に変換することが可能になる。
B.分光プリンティングモデルの一例:
以下では、分光プリンティングモデルの一例としてセル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Cellular Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)を説明する。このモデルは、よく知られた分光ノイゲバウアモデルとユール・ニールセンモデルとに基づいている。なお、以下の説明では、CMYの3種類のインクを用いた場合のモデルについて説明するが、これを任意の複数のインクを用いたモデルに拡張することは容易である。また、セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルについては、Color Res Appl 25, 4-19, 2000およびR Balasubramanian, Optimization of the spectral Neugebauer model for printer characterization, J. Electronic Imaging 8(2), 156-166 (1999)を参照。
図16は、分光ノイゲバウアモデルを示す図である。分光ノイゲバウアモデルでは、任意の印刷物の分光反射率R(λ)は、以下の(6)式で与えられる。
Figure 0004528782
ここで、aiはi番目の領域の面積率であり、Ri(λ)はi番目の領域の分光反射率である。添え字iは、インクの無い領域(w)と、シアンインクのみの領域(c)と、マゼンタインクのみの領域(m)と、イエローインクのみの領域(y)と、マゼンタインクとイエローインクが吐出される領域(r)と、イエローインクとシアンインクが吐出される領域(g)と、シアンインクとマゼンタインクが吐出される領域(b)と、CMYの3つのインクが吐出される領域(k)をそれぞれ意味している。また、fc,fm,fyは、CMY各インクを1種類のみ吐出したときにそのインクで覆われる面積の割合(「インク被覆率(Ink area coverage)」と呼ぶ)である。分光反射率Ri(λ)は、カラーパッチを分光反射率計で測定することによって取得される。
インク被覆率fc,fm,fyは、図16(B)に示すマーレイ・デービスモデルで与えられる。マーレイ・デービスモデルでは、例えばシアンインクの面積率fcは、シアンのインク吐出量dcの非線形関数であり、1次元ルックアップテーブルの形で与えられる。インク被覆率がインク吐出量の非線形関数となる理由は、単位面積に少量のインクが吐出された場合にはインクが十分に広がるが、多量のインクが吐出された場合にはインクが重なり合うためにインクで覆われる面積があまり増加しないためである。
分光反射率に関するユール・ニールセンモデルを適用すると、上記(6)式は以下の(7a)式または(7b)式に書き換えられる。
Figure 0004528782
ここで、nは1以上の所定の係数であり、例えばn=10に設定することができる。(7a)式および(7b)式は、ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)を表す式である。
セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Cellular Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)は、上述したユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルのインク色空間を複数のセルに分割したものである。
図17(A)は、セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルにおけるセル分割の例を示している。ここでは、簡単のために、シアンのインク被覆率fcとマゼンタのインク被覆率fmの2つの軸を含む2次元空間でのセル分割を描いている。なお、これらの軸fc,fmは、インク吐出量dc,dmを示す軸と考えることもできる。白丸は、セル分割のグリッド点(「ノード」と呼ぶ)であり、2次元空間が9つのセルC1〜C9に分割されている。16個のノードにおける印刷物(カラーパッチ)に対しては、分光反射率R00, R10, R20, R30, R01, R11…R33がそれぞれ予め決定される。
図17(B)は、このセル分割に対応するインク被覆率fc(d)の形状を示している。ここでは、1種類のインクのインク量の範囲0〜dmaxが3つの区間に分割されており、インク被覆率fc(d)は、各区間毎に0から1まで単調に増加する曲線によって表されている。
図17(C)は、図17(A)の中央のセルC5内にあるサンプルの分光反射率Rsmp(λ)の算出方法を示している。分光反射率Rsmp(λ)は、以下の(8)式で与えられる。
Figure 0004528782
ここで、インク被覆率fc,fmは図17(C)のグラフで与えられる値であり、このセルC5内で定義された値である。また、セルC5の4つの頂点における分光反射率R11(λ),R12(λ),R21(λ),R22(λ)の値は、上記(8)式に従ってサンプル分光反射率Rsmp(λ)を正しく与えるように調整されている。
このように、インク色空間を複数のセルに分割すれば、分割しない場合に比べてサンプルの分光反射率Rsmp(λ)をより精度良く算出することができる。図18は、一実施例で採用されたセル分割のノード値を示している。この例に示されているように、セル分割のノード値は、各インク毎に独立に設定することが好ましい。
ところで、図17(A)に示すモデルにおいて、すべてのノードにおける分光反射率をカラーパッチの測定で得ることはできないのが普通である。この理由は、多量のインクを吐出すると滲みが発生してしまい、均一な色のカラーパッチを印刷できないからである。図19は、分光反射率を求める方法の例を示している。これは、シアンとマゼンタの2種類のインクのみを使用する場合の例である。シアンとマゼンタの2種類のインクで印刷される任意のカラーパッチの分光反射率R(λ)は、以下の(9)式で与えられる。
Figure 0004528782
上記(9)式に含まれる複数のパラメータのうちで、シアンインクとマゼンタインクの両方が100%吐出量であるときの分光反射率Rb(λ)のみが未知であり、他のパラメータの値は既知であると仮定する。このとき、(9)式を変形すれば、以下の(10)式が得られる。
Figure 0004528782
上述したように右辺の各項はすべて既知である。従って、(10)式を解くことによって、未知の分光反射率Rb(λ)を算出することができる。この分光反射率の見積もりにつては、R Balasubramanian, "Optimization of the spectral Neugebauer model for printer characterization", J. Electronic Imaging 8(2), 156-166 (1999)を参照。
シアンとマゼンタの2次色以外の他の2次色の分光反射率も同様にして求めることが可能である。また、複数の2次色の分光反射率が求まれば、複数の3次色の分光反射率も同様にして求めることができる。こうして、高次の分光反射率を順次求めてゆくことによって、セル分割されたインク色空間の各ノードにおける分光反射率をすべて求めることが可能である。
図1に示す分光プリンティングコンバータ100は、図17(A)に示すようにセル分割されたインク色空間の各ノードにおける分光反射率の値と、図17(C)に示すインク被覆率を示す1次元ルックアップテーブルとを有しており、これらを用いて任意のサンプルインク量データに対する分光反射率Rsmp(λ)を算出するように構成されている。
なお、一般に、印刷されたカラーパッチの分光反射率は、インクセットと印刷媒体とに依存する。従って、図1に示す分光プリンティングモデルコンバータ100は、インクセットと印刷媒体との組合せ毎に作成される。また、インクプロファイル142やプロファイルデータ15b,15cにおける各プロファイルも、インクセットと印刷媒体との組合せ毎に作成される。
C.変形例:
C1.変形例1:
上記実施形態では、インクとしてCMYKOGの6種類のインクを用いていたが、インクの種類としてはこれに限らず、任意の複数種類のインクを使用することができる。但し、オレンジインクやグリーンインクのように、基本インク色CMYKの2次色に相当する色を有するインクを利用すれば、再現可能な分光反射率の形状の自由度がより大きくなる点で好ましい。
C2.変形例2:
上述した第1実施形態では、測色値の色空間を複数のセルに分割し、各セルにおいて評価指数EIが最良であるサンプルを代表サンプルとして選択していた。しかし、色変換プロファイルを作成する際に用いる複数の代表サンプルを選択する方法は、これらに限らず、一般には、評価指数EIに基づいて複数の代表サンプルを選択することが可能である。例えば、測色値の色空間を複数のセルに分割せずに複数の代表サンプルを選択することも可能である。具体的には、測色値の色空間内で複数のグリッド点(ノード)を設定し、各ノードの近傍において所定の評価基準を満足するサンプルをそのノードの代表サンプルとして選択することができる。
C3.変形例3:
上述した実施形態のプロファイル選択部33については、予め利用者が選択したプロファイルを選択しHDD15から取得する構成を例として説明した。しかし、プロファイルの選択方法としては、このような例に限られない。例えば、印刷条件によってプロファイル作成時に考慮すべき指数が異なり得るので、印刷条件毎に予めいずれのプロファイルを選択すべきかを決めておき、プリンタ40での印刷時にはその印刷条件によってプロファイルを選択するように構成することが可能である。
プロファイル作成時に考慮すべき指数と印刷条件とを対応づけるためには種々の考え方を採用可能である。例えば、オリジナルの画像のコピーを実施するという印刷条件の場合、上記MIを考慮したプロファイルデータ15cを選択するのが好ましい。この選択によれば、観察条件が変化しても原画の色を忠実に再現するような印刷物を得ることができる。また、ポスター等の絵をフォトレタッチソフトウェア等で作成し、これを大量に印刷する際の試し刷りを行うという印刷条件の場合、上記CIIを考慮したプロファイルデータ15bを選択するのが好ましい。すなわち、プロファイルデータ15bを参照して印刷した印刷物は観察条件が変わっても色の見えの変化が少ないので、試し刷りの段階で色を確定すれば、大量に印刷したポスター等を配布した後において、その配布先の環境にかかわらず試し刷りにおける色と略一致することが期待される。
さらに、印刷媒体の種類、例えば、普通紙と写真用紙とではインクのにじみ具合が全く異なり、普通紙では粒状性指数を考慮してもあまり画質に変化がないなどの状況が生じ得る。そこで、印刷媒体の種類毎に考慮する指数、考慮しない指数を予め決めておけば、無駄なプロファイル作成作業を行わないようにすることができる。いずれにしても、以上のように、印刷条件によってプロファイルを選択するように構成することで、印刷条件に合致した最適の指数を用いてプロファイルデータ15b,15cを作成することが可能になる。
C4.変形例4:
上述のようにプロファイル選択部33によってプロファイルを選択する方法としては、他にも種々の方法を採用可能である。例えば、印刷する画像の種類によってプロファイルを選択しても良い。例えば、上述のようにオリジナルの画像が存在し、そのコピーを印刷する場合には、上記プロファイル上記MIを考慮したプロファイルデータ15cを選択するのが好ましい。一方、フォトレタッチソフトウェア等で作成した画像等であれば、上記CIIを考慮したプロファイルデータ15bを選択するのが好ましい。
C5.変形例5:
上述の実施形態においては、インデックス選択部126が選択する指数としても利用者の選択に従う例を説明したが、むろん利用者の選択に従う構成に限定される訳ではない。例えば、印刷条件と指数とを予め対応づけておき、インデックス選択部126が印刷条件によって指数を選択するように構成しても良いし、印刷対象の画像にオリジナルの画像が存在するか否かによって指数を選択するように構成しても良い。
C6.変形例6:
上述の図2におけるプロファイルデータ15b,15cの作成方法も上記実施形態における方法に限定されることはない。例えば、プロファイル生成部140において、滑らかな階調で出力可能にするためのスムージング処理を行っても良い。このスムージング処理では、上述のインクプロファイル142からスムージングされたインクプロファイル144を作成する。このために、上記第1実施形態における処理と同様の処理により、図3のステップS35までを実施し、代表サンプルを選択する。この後、ステップS40,S45は実施せず、代わりにCIELAB測色値とインク量とを対応付けてインクプロファイル142を作成する。上述のようにセルは163個あるので、インクプロファイル142に登録される代表サンプルは163個以下である。
一般的なプリンタで使用するプロファイルデータ15b,15cにおいては、各プロファイルで規定するインク量のサンプル数やサンプルの色が上記代表サンプルと必ずしも一致しない。そこで、任意のインク量に対応する測色値は代表サンプルを参照して補間演算を実施する必要がある。補間演算として等間隔補間、不当間隔補間いずれを採用するにしても、代表サンプルがCIELAB空間で不規則に配置されていると、補間演算の精度が悪くなる。補間演算の精度が悪いと、プロファイルデータ15b,15cにおける各プロファイルで色変換を実施する際の変換精度も悪く、このプロファイルデータ15b,15cにおける各プロファイルを利用した印刷で高画質の印刷結果を得ることができない。
そこで、インクプロファイル142に対してスムージング処理を行い、高精度に補間演算を実施可能な代表サンプルを選びなおしてスムージングされたインクプロファイル144を作成する。図20は、一実施例におけるスムージング処理を説明する説明図である。この実施例では、インクプロファイル142に記述された測色値をCIELAB空間内の格子点と考え、この格子点の配置がCIELAB空間で平滑化されているか否かを評価する平滑程度評価指数SEIを定義する。
ここで、配置の平滑程度とは、空間中に複数の格子点が並んでいるときの歪みの程度である。例えば、色空間内に格子点が立方格子状に並んでいる場合には歪みがないが、各格子点が立方格子点位置からずれると格子としては歪みが大きくなる。また色空間内に格子点が均等に並んでいるほど平滑程度が高いと言えるし、色空間内で隣り合う格子点を結ぶ曲線であって当該色空間に形成される色域の一方の境界から他方の境界に向けて引かれる曲線を考えたときに、この曲線が高次関数で記述されるほど平滑程度が低いと言える。
一般に、各色空間で整然と並んでいる格子点の方がその間に位置する色を補間演算によって算出する際に空間の局所的位置によって補間精度を大きく変動させることなく補間を行うことができる。従って、スムージングによって格子点位置を最適化することで、インクプロファイルを参照して補間を実施する際の補間精度を高くすることができる。なお、スムージングによって最適化を行う格子点を最適化対象の格子点とも呼ぶ。
SEIにおいてはその値によって配置の平滑程度を示すことができれば良く、その値を理想値に近づけるようにすることによって評価を向上させる。図20に示す一実施例では、スムージング対象の測色値の格子点(最適化対象の格子点)の位置を示す位置情報を定義し、当該位置情報を変数とする関数としてSEIを定義する。また、格子点配置の平滑程度が高くなるほど値が小さくなる関数としてSEIを定義する。このような定義によれば、SEIの極小を与える測色値を探索することによって格子点配置を最適化することができる。この探索に際しては、種々の手法を採用可能である。例えば、準ニュートン法や共益勾配法等種々のアルゴリズムを採用することができる。
図21は、この実施例における処理手順を示すフローチャートである。プロファイル生成部140はスムージング処理を実施するにあたり、ステップS300で上述の位置情報を定義する。図22は、位置情報を定義する際の例を示している。インクプロファイル142においては、複数の測色値が記述されており、この測色値をCIELAB空間にプロットすると図22の右側に示すような色域を形成する。なお、測色値は離散的な値の集まりであるが、図22においてはプロットされた測色値の中で最も外側の格子点が形成する色域の外面を示している。また、各頂点WKRGBCMYはそれぞれ白、黒、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄を示し、無彩色W,Kではそれぞれ最高明度と最低明度の色に相当し、有彩色RGBCMYではそれぞれの色における最高彩度の色に相当する。
位置情報は、CIELAB空間の各格子点を一義的に特定するとともに、周囲の隣接格子点との相対的な位置関係を把握できるように定義する。一実施例では3つの変数(Pr,Pg,Pb)について、0≦Pr≦R方向の格子点数−1,0≦Pg≦G方向の格子点数−1,0≦Pb≦B方向の格子点数−1と定義する。ここで、R方向の格子点数とは、図22の右側に示す色域において、ブラック(K)とレッド(R)とを結ぶ稜線上に位置する格子点の数である。同様にG方向の格子点数とは、図22の右側に示す色域において、ブラック(K)とグリーン(G)とを結ぶ稜線上に位置する格子点の数であり、B方向の格子点数とは、図22の右側に示す色域において、ブラック(K)とブルー(B)とを結ぶ稜線上に位置する格子点の数である。
3つの変数(Pr,Pg,Pb)の初期値は整数とする。ここで、位置情報(Pr,Pg,Pb)を3次元直交空間にプロットすると図22の左側に示すように略立方体の格子を形成する。なお、図22の左側では直線の交点が位置情報(Pr,Pg,Pb)の初期値に相当する。また、図22に示す格子点の数は一例である。以上のように位置情報を定義した上で、上述のCIELAB空間の各格子点と対応づければ、各格子点の位置および周囲の隣接格子点との相対的な位置関係を把握することが可能になる。
そこで、図22の左側に示す略立方体の外面が図22の右側に示す色域の外面に相当すると考えて位置情報とCIELAB空間の各格子点とを対応づける。例えば、色域の外面WMBC(外面P1)は、図22の左側では位置情報Pbを最大値に固定し、位置情報Pr,Pgを任意の値として形成される外面P1’に相当する。そこで、外面P1上の頂点Bに相当する格子点と外面P1’上の頂点Bに相当する格子点(Pbが最大値,Pr=Pg=0)に対応づけるなどして、外面P1上の格子点と外面P1’上の位置情報とを対応づける。
同様に、色域の外面P1より内側に曲面P2を考え、外面P1に存在し、かつ曲面P2に近い格子点を抽出すれば、図22の左側に示す立方体内の平面P2’上の位置情報と対応づけることができる。同様の作業によって、色域内の全ての格子点と位置情報とを対応づけることができる。以上のように格子点と位置情報とを対応づけることができれば、位置情報により任意の格子点の位置を特定することができる。
例えば、隣接する2つの格子点の位置情報がそれぞれ(Pr0,0,0),(Pr1,0,0)であったとき、これらの格子点の間の任意の位置はPr0〜Pr1の間の任意の値Pr2によって(Pr2,0,0)と表現される。むろん、上述の位置情報の定義は一例であり、CIELAB空間の各格子点を一義的に特定し、周囲の隣接格子点との相対的な位置関係を把握することができれば他の手法で位置情報を決定しても良い。なお、一つの面上に存在する格子点の数は((インクプロファイル142に記述された全ての測色値の数)1/32などによって決定しても良い。
色域内の全ての格子点と位置情報とを対応づけたら、ステップS305にてSEIを定義する。図20に示す一実施例では、最適化対象の格子点からその格子点に隣接する隣接格子点へ向けたベクトルであって互いに略逆向きのベクトルの和の絶対値を含む関数でSEIを定義する。このSEIは、最適化対象の格子点が属するCIELAB空間の部位毎に異なる関数形とすることができる。一実施例では、色域の部位毎に異なる関数形とする。なお、関数のより具体的な例は後述する。
SEIを定義したら、図21のステップS310〜S350の処理によって最適化処理を行う。ステップS310では、上記インクプロファイル142に記述されたサンプルから最適化対象の格子点を一つ抽出する。初期ルーチンにおいてはインクプロファイル142に記述されたインク量データおよびこのインク量データに対応する測色値自体を最適化対象とする。ステップS315では、インクプロファイル142に記述された測色値の中から、上記最適化対象のLab格子点の周囲に存在するとともに当該格子点に隣接する格子点に相当する測色値を抽出する。なお、ここで抽出される測色値は、SEIの関数形によって異なっており、詳細は後述する。また、隣接格子点が既に最適化されている場合は、最適化後の格子点の測色値を抽出する。
ステップS320では、上記最適化対象の格子点およびその隣接格子点を利用してSEIを算出する。SEIの変数は上記位置情報である。従って、最適化対象の格子点およびその隣接格子点の位置情報によってSEIを算出することができる。また、SEIは最適化対象の格子点の配置が平滑化されるほど値が小さくなる関数であるので、最適化対象の格子点の位置情報を更新して最適化対象の格子点位置を変動させることにより最適な格子点位置を探索することができる。そこで、ステップS325では、SEIの値が所定の閾値以下になっているか否かを判別する。すなわち、SEIの値が所定の閾値以下になっているときに格子点の位置が最適化(充分に平滑化)されたと判別する。
また、ステップS325で格子点の位置が最適化されていないと判別されたときには、ステップS330にて位置情報を更新する。すなわち、最適化対象の格子点の位置情報を変数とし、準ニュートン法や共益勾配法等によってSEIを極小化する位置情報を算出してこれを新たな位置情報とする。位置情報が更新されると、ステップS335にてインクプロファイル142を参照し、当該位置情報に対応するインク量データを算出する。すなわち、更新後の位置情報から測色値を算出し、この測色値に対応するインク量データをインクプロファイル142から算出する。
このようにして、更新後の位置情報に対応する測色値およびインク量データを算出したら、上記ステップS315以降の処理を繰り返す。なお、繰り返し処理においては、ステップS330で更新した測色値と更新後の位置情報とを対応づけてステップS315以降の処理を繰り返してもよいし、図20に示すようにインク量データを上記コンバータ100に入力し、得られた結果から測色値を計算し、この測色値と更新後の位置情報とを対応づけてステップS315以降の処理を繰り返しても良い。また、ステップS330における更新においては、インクプロファイル142を参照してインク量データを算出するので、このインク量データにおいては上述のCIIおよびGIが小さいという性質を維持している。従って、更新後のインク量データで印刷を行ったとしても色の見えの差が小さく、粒状性を感じにくいという性質は維持される。
図20に示す破線の矩形は、ある関数形のSEIについて最適化処理を実施する様子を示している。左側の矩形は最適化前であり、右側の矩形は最適化後である。各矩形では、黒丸で最適化対象の格子点を示し、白丸で隣接格子点を示している。また、図に示す例では隣接格子点の測色値がそれぞれ(L***1、(L***3であり、その位置情報はそれぞれ(Pr,Pg,Pb)1,(Pr,Pg,Pb)3である。また、最適化対象の格子点の測色値が(L***2であり、その位置情報は(Pr,Pg,Pb)2である。
位置情報を利用すれば、図20示すベクトルa,ベクトルbのように、最適化対象の格子点からその格子点に隣接する隣接格子点へ向けたベクトルであって互いに略逆向きのベクトルを定義することができる。そこで、これらのベクトルの和の絶対値をSEIとする。上述のようにSEIを極小化すると位置情報が更新されて(Pr,Pg,Pb)2’となる。更新によってSEIが所定の閾値以下にならなければ(最適化されなければ)、この処理を繰り返す。すなわち、位置情報(Pr,Pg,Pb)2’に相当する測色値(L***2’を算出し、この測色値によって最適化されていなければ再演算を行う。
図20に示す例では、インクプロファイル142を参照し測色値(L***1とインク量データ(CMYKOG)1との対応関係および測色値(L***2とインク量データ(CMYKOG)2との対応関係から測色値(L***2’に対応するインク量データ(CMYKOG)2’算出する。むろん、この補間は簡略化して示しており、更新後の測色値に近い値を有する4個以上の測色値をインクプロファイル142から抽出して補間演算を実施する。インク量データ(CMYKOG)2’を算出したら、この値をコンバータ100に入力してその測色値を算出する。そして、得られた測色値によって上述の最適化処理を繰り返す。すなわち、再帰的に演算を行う。
図21に示すフローチャートのステップS325で格子点の位置が最適化されたと判別されたときには、ステップS340にて最適化されたサンプルのデータをスムージングされたインクプロファイル144に登録する。図20に示す例では、最適化されたと判断された時点での測色値(L***2’およびこの測色値に対応するインク量データ(CMYKOG)2’がインクプロファイル144に登録される。
ステップS345においては、上記インクプロファイル142に記述されたインク量データの総てについて最適化が終了したか否かを判別する。そして、ステップS345においてインク量データの総てについて最適化が終了したと判別されるまでステップS310以降の処理を繰り返す。図21のフローチャートでは、さらに、ステップS350において、予め決められた回数の補正が実行されたか否か判別する。そして、ステップS350にて所定回数の補正が実行されたと判別されるまでステップS310以降の処理を繰り返す。すなわち、所定回数の補正を実行することによって最適化処理の結果が真の解になるようにしている。
むろん、格子点の配置が色域全体に渡って充分に最適化されていればよいので、ステップS350においては総てのインク量について上記SEIの値やその平均値が所定の閾値以下になっているか否かを判別しても良い。また、SEIの値の平均値が(n−1)回目の補正とn回目の補正と略一定の場合に充分に最適化されたとしても良く種々の構成を採用可能である。以上のようにして充分に格子点配置が平滑化された後には、上記インクプロファイル144に記述した測色値についてのスムージングが完了している。
次に、ステップS315〜S335におけるSEIによる最適化処理の具体的な例について詳述する。図23は、インクプロファイル142に記述された測色値が形成する色域の模式図である。色域は同図に示すようにCIELAB空間中でいびつな形をしている。この色域はいびつな形であるが、その色域境界は上述の位置情報(Pr,Pg,Pb)が形成する立方体の境界と容易に対応づけることができる。すなわち、当該立方体の境界は立方体の外郭を形成する12本の稜線および6個の外面であるが、図23に示す色域においてもその境界は12本の稜線および6個の外面にて構成される。より具体的には、位置情報(0,0,0)からPb軸上の稜線に沿ってPb成分のみを0より大きな可変値としてPr,Pg成分を最小値に固定したとき、この位置情報に対応する格子点は図23にてGs1と示した稜線上にある。
同様に、位置情報が形成する立方体で一番上の面においてその頂点の色はそれぞれBWCMである。この面上の位置情報はPb成分のみを最大値に固定し、他の成分を任意に変化させることによって表現することができ、この面上の色は図23に示す色域ではGs2と示した面上にある。従って、上記位置情報のいずれか1つでも最大値あるいは最小値であればその色は色域境界上にあるといえる。この色域境界上の色について上記最適化の際にCIELAB空間内を自由に移動可能であるとすれば、充分に大きな色域の大きさを確保できなくなるおそれがある。そこで、本実施形態においては色域の大きさを維持するために、色域境界に形成される12本の稜線と6個の外面と色域内部とで関数形が異なるSEIを取得する。
図24は、CIELAB空間中で色域境界に形成される稜線上の格子点を最適化するためのSEI(SI1)を説明する説明図である。同図において破線で示す曲線は色域境界に形成される稜線を示している。また、最適化対象の格子点は黒丸で示し、その周囲の格子点は白丸で示している。色域の大きさを維持するためには黒丸で示す最適化対象の格子点が破線で示す稜線上に存在する必要がある。そこで、本実施形態ではステップS310にて最適化対象として図24に示すように破線の稜線上に存在する格子点を抽出したときに、ステップS315では、当該最適化対象の格子点に隣接しかつ破線で示す稜線上に存在する格子点を抽出する。
同図においては、最適化対象の格子点をベクトルLpとして示しており、隣接格子点として抽出される格子点をベクトルLa1,ベクトルLa2として示している。ここで、ベクトルLpは以下に示す式(11)によって算出され、上記位置情報(Pr,Pg,Pb)を変数として表現される。
Figure 0004528782
また、同式内のfは位置情報(Pr,Pg,Pb)から、ベクトルLpを求める関数であり、位置情報(Pr,Pg,Pb)に対応する測色値を算出する際の式を関数fとしている。すなわち、最適化対象の格子点を示す位置情報を変数とし、隣接する格子点の位置情報を固定する。固定した位置情報に対応する格子点の測色値は既知であるので、当該固定した位置情報と変数の位置情報との相対関係から変数の位置情報に相当する測色値を補間することができる。この関係を示した関数がfである。
SEIはこのベクトルLpおよびベクトルLa1,ベクトルLa2を利用し、以下に示す式(12)によって算出する。
Figure 0004528782
すなわち、最適化対象の格子点とその両側で隣接する格子点との距離がそれぞれ等しく、向きが正反対であるときに値が最小になり、これらの距離で差異が大きく、向きが正反対からずれるほど関数の値が大きくなるようにしてある。
格子点が均等に配置されると格子点配置が平滑化される傾向にあるので、式(12)に示すSI1を極小化することによって図24の右側に示すようにベクトルLpの格子点位置を最適化したベクトルL'pを取得することができる。また、ベクトルLp,ベクトルLa1,ベクトルLa2は位置情報(Pr,Pg,Pb)によって表現されるが、SI1においてはベクトルLa1,ベクトルLa2を与える位置情報は固定であり、ベクトルLpを与える位置情報(Pr,Pg,Pb)であって、そのうちいずれか一つのみを可変にするとともに他の二つを最小値あるいは最大値に固定している。例えば、図24に示す破線の稜線上の色はBとKの間に存在し、この色に相当する格子点を特定する位置情報Pr,Pgは最小値であるとともに位置情報Pbは任意の値である。そこで、CIELAB空間内の格子点をこの稜線上で移動させるためには、位置情報Pr,Pgを最小値に固定し、Pbを可変にすればよい。
色域境界の他の稜線についても同様であり、最適化対象の格子点が色域境界上でKからRの稜線上に存在するときには、位置情報Pg,Pbを最小値に固定し、Prを可変にする。最適化対象の格子点が色域境界上でKからGの稜線上に存在するときには、位置情報Pr,Pbを最小値に固定し、Pgを可変にする。さらに、最適化対象の格子点が色域境界上でWからCの稜線上に存在するときには位置情報Pg,Pbを最大値に固定してPrを可変とし、最適化対象の格子点が色域境界上でWからMの稜線上に存在するときには位置情報Pr,Pbを最大値に固定してPgを可変とし、最適化対象の格子点が色域境界上でWからYの稜線上に存在するときには位置情報Pr,Pgを最大値に固定してPbを可変にする。
さらに、最適化対象の格子点が色域境界上でMからRの稜線上に存在するときには位置情報Prを最大値,Pgを最小値に固定してPbを可変とし、最適化対象の格子点が色域境界上でMからBの稜線上に存在するときには位置情報Pbを最大値,Pgを最小値に固定してPrを可変とし、最適化対象の格子点が色域境界上でCからGの稜線上に存在するときには位置情報Pgを最大値,Prを最小値に固定してPbを可変とし、最適化対象の格子点が色域境界上でCからBの稜線上に存在するときには位置情報Pbを最大値,Prを最小値に固定してPgを可変とする。
最適化対象の格子点が色域境界上でYからRの稜線上に存在するときには位置情報Prを最大値,Pbを最小値に固定してPgを可変とし、最適化対象の格子点が色域境界上でYからGの稜線上に存在するときには位置情報Pgを最大値,Pbを最小値に固定してPrを可変とする。以上のように、最適化対象の格子点の位置によって変動させる位置情報を適宜変化させてSEIを極小化すると、その時点でのSI1を極小化させる位置情報が算出され、この処理を繰り返すことによって格子点位置を最適化したベクトルL'pを取得することができる。
図25は、CIELAB空間中で色域の境界に形成される外面上の格子点を最適化するためのSEI(SI1)を説明する説明図である。同図において破線は格子点同士を結ぶ直線である。これらの格子点は色域境界の外面上に存在するので、紙面奥側あるいは手前側の一方のみに他の格子点が存在することになる。また、最適化対象の格子点は黒丸で示し、その周囲の格子点は白丸で示している。色域の大きさを維持するためには白丸および黒丸で示す格子点が存在する外面に対して最適化対象の格子点が垂直方向に大きく動くことは許されない。そこで、本実施形態ではステップS310で最適化対象として図25に黒丸で示す色域境界の外面上に存在する格子点を抽出したときに、ステップS315では当該最適化対象の格子点に対して4方で隣接しかつ色域境界の外面上に存在する4個の格子点を抽出する。
同図においても最適化対象の格子点をベクトルLpとして示しており、隣接格子点として抽出される格子点をベクトルLa1〜ベクトルLa4として示している。ここで、ベクトルLpは上記式(11)によって算出され、上記位置情報(Pr,Pg,Pb)を変数として表現される。色域境界の外面上に存在する格子点を最適化するためのSEIは、ベクトルLpおよびベクトルLa1〜ベクトルLa4を利用し、以下に示す式(13)で表現される。
Figure 0004528782
すなわち、最適化対象の格子点から互いに逆向きのベクトルの距離が等しく、方向が正反対に近いほどSEIの値が小さくなるようにしてある。
隣接する格子点を結ぶ線(図25ではベクトルLa1〜ベクトルLp〜ベクトルLa2が示す格子点を通る線等)が直線に近く、また格子点が均等に配置されるほど格子点配置が平滑化される傾向にあるので、式(13)に示すSI2を極小化することによって図25の右側に示すようにベクトルLpの格子点位置を最適化したベクトルL'pを取得することができる。
また、ベクトルLp,ベクトルLa1〜ベクトルLa4は位置情報(Pr,Pg,Pb)によって表現されるが、SI2においてはベクトルLpを与える位置情報(Pr,Pg,Pb)であって、そのうちいずれか二つのみを可変にするとともに他の一つを最小値あるいは最大値に固定している。例えば、図23に斜線で示す色域境界の外面WMBC上の色に相当する格子点の位置情報Pbは最大値であるとともに位置情報Pr,Pgは任意の値である。そこで、CIELAB空間内の格子点を外面WMBC上で移動させるためには、位置情報Pbを最大値に固定し、Pr,Pgを可変にすればよい。
色域境界の他の外面についても同様であり、色域境界の外面MRKB上で格子点を移動させるためには、位置情報Pgを最小値に固定し、Pr,Pbを可変にすればよい。色域境界の外面RYGK上で格子点を移動させるためには、位置情報Pbを最小値に固定し、Pr,Pgを可変にすればよい。
さらに、色域境界の外面YWCG上で格子点を移動させるためには、位置情報Pgを最大値に固定し、Pr,Pbを可変にすればよい。色域境界の外面WYRM上で格子点を移動させるためには、位置情報Prを最大値に固定し、Pg,Pbを可変にすればよい。色域境界の外面CGKB上で格子点を移動させるためには、位置情報Prを最小値に固定し、Pg,Pbを可変にすればよい。以上のように、最適化対象の格子点の位置によって変動させる位置情報を選択してSI2を極小化すると、その時点でのSEIを極小化させる位置情報が算出され、この処理を繰り返すことによって格子点位置を最適化したベクトルL'pを取得することができる。
図26は、CIELAB空間中で色域境界以外の内部に存在する格子点を最適化するためのSEI(SI3)を説明する説明図である。同図における破線は色域を2方向に切断した場合に形成される面上に存在する複数個の格子点同士を結ぶ直線である。また、最適化対象の格子点は黒丸で示し、その周囲の格子点は白丸で示している。本実施形態にて色域内部の格子点については色域の大きさを維持するための条件を課することなく自由に移動させる。そこで、本実施形態ではステップS310にて最適化対象として図26に黒丸で示す色域の内部に存在する格子点を抽出したときに、ステップS315では、当該最適化対象の格子点に対して6方で隣接する6個の格子点を抽出する。
同図においても最適化対象の格子点をベクトルLpとして示しており、隣接格子点として抽出される格子点をベクトルLa1〜ベクトルLa6として示している。ここで、ベクトルLpは上記式(11)によって算出され、上記位置情報(Pr,Pg,Pb)を変数として表現される。色域の内部に存在する格子点を最適化するためのSEIは、ベクトルLpおよびベクトルLa1〜ベクトルLa6を利用し、以下に示す式(14)で表現される。
Figure 0004528782
すなわち、ここでも最適化対象の格子点から互いに逆向きのベクトルの距離が等しく、方向が正反対に近いほどSEIの値が小さくなるようにしてある。
隣接する格子点を結ぶ線(図26ではベクトルLa1〜ベクトルLp〜ベクトルLa2が示す格子点を通る線等)が直線に近く、また格子点が均等に配置されるほど格子点配置が平滑化される傾向にあるので、式(14)に示すSI3を極小化することによって図26の右側に示すようにベクトルLpの格子点位置を最適化したベクトルL'pを取得することができる。
また、ベクトルLp,ベクトルLa1〜ベクトルLa6は位置情報(Pr,Pg,Pb)によって表現され、SI3においてはベクトルLpを与える位置情報(Pr,Pg,Pb)の総てを可変にしている。以上のように、位置情報を変動させてSI3を極小化すると、その時点でのSEIを極小化させる位置情報が算出され、この処理を繰り返すことによって格子点位置を最適化したベクトルL'pを取得することができる。
以上の処理によりプロファイル生成部140がスムージングされたインクプロファイル144を作成すると、上述のプリンタルックアップテーブル180を作成する際の補間処理を容易にするために等間隔のルックアップテーブルを作成する。すなわち、スムージングされたインクプロファイル144では、Lab格子点配置が平滑化されているものの、格子点同士の間隔が必ずしも等間隔ではない。格子点同士の間隔が等間隔でない場合、プリンタルックアップテーブル180を作成する際に任意の補間点を補間するための格子点を探索しづらい。また、補間演算の処理自体も煩雑になる。
そこで、本実施形態では、スムージングされたインクプロファイル144について補間演算を行って格子点間隔を等間隔にする。この処理は上記図14(A)〜図14(C)に示す不等間隔補間と同様の補間演算によって実施可能である。
以上のように、等間隔のLab格子とインク量との対応関係を規定した等間隔プロファイルを作成したら、図3に示すステップS50で、上記第1実施形態と同様の処理を行う。すなわち、ガマットマッピング処理部160(図2)が、上述の等間隔プロファイルとsRGBプロファイル162とに基づいてガマットマッピングを行い、プロファイルデータ15b,15cにおける各プロファイルを作成する。このプロファイルデータ15b,15cにおける各プロファイルをプリンタに実装すれば、色彩恒常性が高い(すなわち、異なる観察条件における色の見えの変化が小さな)印刷物を作成することが可能である。さらに、上述のスムージングにより、高精度に補間を実施可能であるため、トーンジャンプのない高画質な印刷物を得ることが可能である。
C7.変形例7:
上述の色差評価指数CDIがCIIとMIであり、画質評価指数IQIがGIとTinkであることは必須ではない。すなわち、色差評価指数CDIとしてCIIとMIのいずれか一つまたは二つを選択可能に構成しても良いし、サンプル色と比較色との色の差異を示す他の指数を採用しても良い。また、IQIは画質を評価するための指数であれば、他にも種々の指数を採用することができる。例えば、色域の大きさを評価するための指数や格子点配置の平滑程度を評価するための指数等を採用可能である。
色域の大きさを評価するための指数として、より具体的な例としては、彩度((a*2+b*21/2)を示す指数を採用しても良い。すなわち、上述のサンプルインク量データからその測色値を計算すれば、上述の彩度を算出することができ、この彩度にマイナス符号の係数「−ki」を乗じれば、彩度が大きくなるほど評価指数EI1の値を小さくするように評価指数を定義することができる。従って、評価指数EI1ができるだけ小さな値になるようにサンプルを選ぶことにより、できるだけ彩度が大きい(色域が大きい)サンプルを選ぶことが可能になる。
格子点配置の平滑程度を評価するための指数SIとして、より具体的な例としては、平滑程度を評価するための指数SIを除いた評価指数で一旦サンプルを選択し、さらにSIを含む評価指数を計算し直す構成を採用可能である。この実施形態は、図1に示す第1実施形態とほぼ同様の構成によって実現可能であるが、SIを評価する前に、上記(1)式の第2項にSIを含めない形で評価指数EI1を算出し、初期サンプルセットを選択する。そして、これらの初期サンプルセットに対して、ガウス関数(Gaussian function)によってスムージングを行い、各セルについてスムージング対象の初期サンプルとスムージング後のサンプルとの距離を算出し、SIとする。
具体的には、図27に示すフローチャートに沿って処理を行う。すなわち、上記第1実施形態と同様の処理により、評価指数算出部120でSIを含まない評価指数を算出し、ステップS360では、サンプル選択部130が(1)式を最小化するサンプルを選択し、これを初期サンプルセットとする。これらの初期サンプルセットはステップS365以降の繰り返し処理における初回のばかし対象となる。すなわち、この実施形態では、CIELAB空間において3次元ガウス関数(Gaussian function)によるぼかし処理が行われる(ステップS365)。ガウス関数は、CIELAB空間中の対象サンプルとこれに近い他のサンプルのサンプルインク量に関する重みを与える。そして、インク量に重み係数値を乗じた値を足し合わせ、重み係数値の合計で規格化を行って、対象サンプルに対するスムージングされたサンプルインク量を得る。ステップS370では、色域外にてインク量が“0”に落ち込むことを防止するためにリスケーリング処理が実施される。すなわち、各インク量データは各色のインク量データの最大値によって除される。このリスケーリング処理はスムージング処理における繰り返しにおいてガマット内のインク量が低減してしまうことを防止するために実施される。
ステップS375では、以下の(15)式によって、各インク量データについて上記ぼかしがなされる前のインク量格子点とぼかしがなされた後のインク量格子点との距離を算出し、SIとする。
Figure 0004528782
ここで、インク量格子点は各インク成分によって形成される6次元空間内の格子点である。また、(15)式において、inkはインクの色を識別する符号であり、Ainkはぼかし処理がなされる前のインク量データ、Ablurredはぼかし処理がなされた後のインク量データを示している。このSIは、ぼかし前後でのインク量の変化を示しており、各サンプル同士で比較することによって元のサンプルのインク量とぼかし後のインク量とがどの程度近いのかを評価することができる。ここで、SIが小さいほど、インク量の差が小さいと考えることができるので、SIが小さいサンプルはインク量のバラツキが小さく、滑らかであると考えることができる。そこで、ステップS380では、評価指数算出部120で総てのサンプルにつき上述のCIIとGIとSIとを算出し上記(1)式によって評価指数を算出する。この式によれば、各セル内でSIとCII,GIとがともに小さなサンプルインク量データを選択することが可能になる。
図27のステップS555〜S570を所定回数繰り返す(S385)。この繰り返し処理において、上記(1)式で選択されたインク量データは3次元ガウス関数によってぼかし処理が施される。そして、サンプル選択部130は以上のような繰り返し処理の最後で算出された(1)式に基づいて、各セル内でもっとも評価指数が小さなサンプルを選択し、これをスムージングされたサンプルとする。プロファイル生成部140は、ステップS390において、このサンプルに基づいてインクプロファイル142を算出し、ガマットマッピング処理部160はこのインクプロファイル142と、予め準備されたsRGBプロファイル162とを用いて、プロファイルデータ15b,15cにおける各プロファイルを作成する。この変形例によれば、プロファイル生成部140において再帰演算を実施することなくスムージングされたプロファイルを作成することが可能になる。
C8.変形例8:
上述の実施形態においては、CIELAB空間を複数のセルに分割し、各セル内で最も高評価のサンプルを選択していたが、サンプルの選択方法としては、このような方法に限られない。例えば、再帰演算によって最適なサンプルインク量データを選択するように構成しても良い。図28は、このような変形例のシステム構成を示すブロック図である。図2に示した第1実施形態のシステムとの大きな違いは、サンプル選択部130aが基準判定部200を含む点と、サンプルデータ修正部210が追加されている点である。このシステム構成では、あるサンプルが所定の評価基準を満たさない場合には、サンプルデータ修正部210がそのサンプルインク色データを修正し、修正されたサンプルインク色データに対する評価指数EI1の算出が再度実行される。そして、評価基準を満足したサンプルを利用して、色変換プロファイルが作成される。
図29は、この変形例の処理手順を示すフローチャートである。ステップS400では、分光プリンティングモデルを作成する。このステップS400は、図3のステップS10と同じものである。ステップS405では、CIELAB空間を複数のセルに分割する。ここでは、第1実施形態のステップS16で使用されたものと同じ16×16×16個のセル分割を利用できる。
ステップS410では、インデックス選択部126が算出対象の指数を選択肢、評価指数算出部120がサンプルの良否を決定するための評価指数EI1を設定する。
ステップS415〜S430は、各セル毎に1つの代表サンプルを選択するための再帰的ルーチンである。ステップS415では、CIELAB空間内の1つのセルを処理対象(対象セル)として選択し、その対象セルにおける初期サンプルインク量データを設定する。この初期サンプルインク量データは、そのインク量データに応じて印刷されるサンプル色の測色値(L*a*b*値)が、対象セル内に存在するものである。サンプル色の測色値は、第1の観察条件(例えば標準の光D50およびCIE1931 2°観測者)で算出される。設定された初期サンプルインク量データの測色値が対象セル内に入っていない場合には、対象セル内の測色値が得られるまで初期サンプルインク量データが修正される。
なお、セルによっては、セル内の測色値を与えるようなインク量データが存在しない場合がある。例えば、高明度または低明度で彩度が高いセルの色は再現できない。このような場合には、そのセルは、処理の対象外としてその後の処理から除外される。
ステップS420では、評価指数算出部120が、初期サンプルインク量データの評価指数EI1を算出する。ステップS420では、基準判断部200が、評価指数EI1が予め設定された評価基準を満足するか否かを判断する。評価基準としては、例えば、以下の(16)式を用いることができる。
Figure 0004528782
ここで、δは評価指数EI1の許容上限値である。
上記(16)式を用いる場合には、評価指数EI1が許容上限値δ以下の場合に基準を満足するものと判定される。なお、1つの評価指数EI1を使用する代わりに、1つのサンプルインク量データに関して複数種類の異なる評価指数を算出し、各評価指数がそれぞれの評価基準をすべて満足する場合に、そのサンプルインク量データが基準を満足すると判断するようにしてもよい。
初期サンプルインク量データが評価基準を満足しない場合には、ステップS430においてサンプルデータ修正部210が初期サンプルインク量データを修正する。このとき、修正後のサンプルインク量データに関しては、以下のようないくつかの制限条件を付けることが好ましい。
(制限条件1):修正後のサンプルインク量データで与えられる測色値が、対象セル内にある。
(制限条件2):修正後のサンプルインク量データで表されるインク量が、インクデューティ制限値を満足する。
制限条件1は、対象セルに対する代表サンプルを求めるために必要な条件である。制限条件2は、修正後のサンプルインク量データが、現実の印刷に使用できるインク量を表すことを保証するための条件である。なお、インクデューディ制限値とは、印刷媒体上の単位面積当たりに吐出可能なインク量であり、インクの滲みを考慮して印刷媒体の種類毎に予め設定される。通常のインクデューティ制限値は、各インクのインク量の最大値と、全インクの合計インク量の最大値とを含んでいる。なお、上記制限条件1,2以外の制限条件を追加するようにしてもよい。
こうしてサンプルインク量データが修正されると、修正されたサンプルインク量データを用いて上述したステップS420,S425の処理が再度実行される。こうして、ステップS420〜S430の処理が再帰的に実行され、評価基準を満たすサンプルが、その対象セルに対する代表サンプルとして選択される。なお、ある対象セルに関する再帰的処理を所定回行っても評価基準を満足するサンプルが得られない場合も考えられる。この場合には、その対象セルに関してそれまで調べられた複数のサンプルの中で、最も評価基準に近いサンプル(最も評価指数の良いサンプル)を代表サンプルとして選択してもよい。あるいは、その対象セルに関しては代表サンプルを選択しないものとしてもよい。
ステップS435では、すべてのセルに関する処理が完了したか否かが判断され、完了していなければステップS415に戻り、次のセルに関する処理を開始する。こうして、すべてのセルに関して処理が終了すると、ステップS440において、選択された代表サンプルを用いてスムージングされたインクプロファイル144およびプロファイルデータ15b,15cにおける各プロファイルが作成される。このステップS440の処理は、図3のステップS40〜S50と同じものである。むろん、ここで、上述のスムージング処理を実施しても良い。
このように、変形例8では、所定の測色値の色空間(上記の例ではCIELAB色空間)を複数のセルに分割し、所定の評価基準を満足する代表サンプルを各セル毎に再帰的に追求し、これらの代表サンプルを用いてプロファイルを作成する。従って、第1実施形態に比べて、1つもサンプルを含まないセルの数を低減することができる。この結果、より広い色域を有するプロファイルデータ15b,15cを得ることができる。また、色再現特性の点でもより優れたプロファイルデータ15b,15cを得ることが可能である。
C9.変形例9:
上述の第1実施形態でGIを算出する際には、ドット形状データによって各ノズルから吐出されるインクが印刷媒体に記録される際の形状をシミュレートしていたが、さらにキャリッジに形成されるノズルからインクを吐出する際のインク吐出特性を加味してシミュレートを行っても良い。例えば、各ノズルから吐出されたインクが基準のドット形成位置からずれるずれ量を予めデータ化しておけば、各インク滴が記録される位置の誤差を考慮してドット形成位置を微調整し、記録状態データを作成することができる。
図30は、このデータの例を説明する説明図である。図30に示すドット位置データは、上記キャリッジに形成された複数のノズル毎に、基準の位置からのずれをサブ画素単位で記述したデータである。すなわち、同じ条件でインク滴を吐出した場合であっても複数のノズル同士ではインク滴の記録位置に誤差が生じる。そこで、プリンタにおいて各ノズルからインクを吐出させて記録位置を計測し、ずれ量を示すデータとする。このとき、あるノズルにおける記録位置を基準のドット形成位置とし、この基準のドット形成位置にドットを形成するノズルは主走査方向のずれ(X)と副走査方向のずれ(Y)とがともに”0”であるとする。図30に示す例においては、上記画素の中心が基準のドット形成位置になるようにしている。
基準のドット形成位置からずれが生じる場合には、主走査方向および副走査方向につき、そのずれ量に相当するサブ画素をドット位置データとして記述する。なお、このドット位置データは、ノズル毎に記述されるので各インク色毎にずれが記述される。このドット位置データを用いてシミュレーション処理を行うための構成および処理フローは上記図10,図11とほぼ同様であるが、ステップS165における処理が異なっている。
すなわち、このステップS165では、上記ドット形状データを参照して各ノズルによって形成されるドットの形状を特定するとともに、上記ドット位置データを参照してドットの形成位置を調整する。図30に示すデータを例に説明すれば、ノズル番号1では主走査方向のずれ(X)と副走査方向のずれ(Y)とがともに”0”であるので、図30の下部に示すようにノズル番号1から吐出されるインクについては基準のドット形成位置にドットが形成されることとする。
ノズル番号2では主走査方向のずれ(X)が”2”、副走査方向のずれ(Y)が”1”である。従って、ノズル番号2のドットについては、基準のドット形成位置である画素の中心から主走査方向にサブ画素2個,副走査方向にサブ画素1個ずらした位置Pにドットが形成されることとする。以上のように、各ノズル間の誤差も加味しながらドットの記録状態を特定し、これに基づいてGIを算出すれば、ノズル間の誤差を含めて印刷画質を評価することが可能になる。
C10.変形例10:
本発明において考慮できるインク吐出特性は、以上のようなノズル間誤差に限られない。例えば、キャリッジの送り誤差のような、各種駆動誤差を考慮しても良い。図31は、送り誤差を考慮する際のドット位置データの例を説明する説明図である。図31に示すドット位置データは、主走査の回数(パス)毎に、基準の位置からのずれをサブ画素単位で記述したデータである。すなわち、上記キャリッジは主走査と副走査を繰り返してドットを記録するので、キャリッジを主走査方向に駆動するときの駆動誤差や紙送りローラにおける送り誤差に起因してドットの記録位置に誤差が生じ得る。そこで、プリンタにおいて各ノズルからインクを吐出させて記録位置を計測し、ずれ量を示すデータとする。このとき、あるパスにおける記録位置を基準のドット形成位置とし、この基準のドット形成位置にドットを形成するパスは主走査方向のずれ(X)と副走査方向のずれ(Y)とがともに”0”であるとする。図31に示す例においては、上記画素の中心が基準のドット形成位置になるようにしている。
基準のドット形成位置からずれが生じる場合には、主走査方向および副走査方向につき、そのずれ量に相当するサブ画素をドット位置データとして記述する。なお、このドット位置データにおいては、各インク色毎に各パスで生じる基準のドット形成位置からのずれを記述する。また、パス数の上限(図31の#N)としては特に限定されないが、プリンタにおいて印刷可能な最大の印刷媒体サイズに対応させるのが好ましい。例えば、A4サイズの印刷媒体の全面に印刷を行う場合に必要なパス数がパス数の上限となる。
このドット位置データを利用してシミュレーション処理を行うための構成および処理フローは上記図10、図11とほぼ同様であるが、ステップS165における処理が異なっている。ステップS165においては、上記ドット形状データを参照して各パスによって形成されるドットの形状を特定するとともに、上記ドット位置データを参照してドットの形成位置を調整する。図31に示すデータを例に説明すれば、パス番号1では主走査方向のずれ(X)と副走査方向のずれ(Y)とがともに”0”であるので、図31の下部に示すようにパス番号1から吐出されるインクについては基準のドット形成位置にドットが形成されることとする。
パス番号2では主走査方向のずれ(X)が”2”、副走査方向のずれ(Y)が”−1”である。従って、パス番号2のドットについては、基準のドット形成位置である画素の中心から主走査方向にサブ画素2個,副走査の逆方向にサブ画素1個ずらした位置P’にドットが形成されることとする。以上のように、各パス間の誤差も加味しながらドットの記録状態を特定し、これに基づいてGIを算出すれば、パス間の誤差を含めて印刷画質を評価することが可能になる。
なお、上述のノズル間誤差と送り誤差とは同時に発生しうる。そこで、図30、図31に示すドット位置データの双方を予め作成しておき、上記ステップS165にて双方のドット位置データが示すずれ量を上記基準のドット形成位置に加えてドット形成位置を調整する構成を採用しても良い。また、図30,図31に示す例では、サブ画素単位でずれ量を表現しているので、画素をサブ画素に分割する分割数や解像度等に対応させておく必要があり、これらの条件が変わればその条件に対応したドット位置データを参照することになる。むろん、この構成は一例であり、上述のようにして計測したずれ量を長さの単位で記述しておき、解像度や画素の分割数に応じてサブ画素単位でのずれ量を算出する構成を採用しても良い。
C11.変形例11:
上述の実施形態においては、特定の主走査および副走査の制御法でキャリッジおよび紙送りローラを駆動するプリンタを想定していたが、各種の制御法でキャリッジおよび紙送りローラを駆動するプリンタにおいて本発明を適用することも可能である。すなわち、制御法が異なればあるハーフトーンデータの同じ画素であってもその画素のドットを形成するためのノズルやパスが異なる。そこで、制御法に基づいてノズルを特定できるように構成する。
図32は、主走査および副走査の制御法とキャリッジに形成された複数のノズルの配置とを示す制御法データの例を説明する説明図である。同図に示す制御法データには、ノズルの配置としてノズル数とノズル密度が記述されている。ノズル数はキャリッジにおいて副走査方向に並べられたノズルの数を示しており、図32では簡単のためにノズル数を”7”としているが、通常は180個など、より多数のノズルである。ノズル密度は、副走査方向に並べられたノズルの密度をdpi単位で示している。すなわち、副走査方向の1インチ当たりのノズル数によって密度を示している。図32に示す例ではノズル密度が記述されていないが、ノズルを特定するためにノズル密度が必要であれば、ここにデータを記述する。
また、主走査の制御法としてパス数と記録パターン(print pattern)とを記述可能である。パス数は、主走査方向の1ライン(ラスタ)を何回のパスで満たすのかを示しており、記録パターンは2回以上のパスで1ラスタを満たす場合に隣り合うドットをどのパスで記録するのかを示している。例えば、”0”が先のパス、”1”が後のパスを示すように定義し、記録パターンとして”01011010”としておけば、各ドットを記録するためのパスを特定することが可能である。図32に示す例では、パス数が”1”であるので、記録パターンは記述されていない。
副走査の制御法としては、送り量とオーバーラップノズル数とオーバーラップパターンとを記述可能である。送り量は副走査時の送り量をラスタ数単位で示したデータである。すなわち、上記Y解像度によれば1ラスタの長さが判明する(例えば、Y解像度が720dpiの場合には1/720インチ)ので、送り量をラスタ数で示すことにより、一回当たりの実際の副走査送り量が判明する。オーバーラップノズル数は副走査方向の上端と下端に形成された複数のノズルで同じパスを埋める(オーバーラップ)ように制御する際に、そのノズル数を示すデータである。オーバーラップパターンはあるラスタにおいて上端と下端のどちらでどの位置のドットを形成するのかを示すデータである。図32に示す例では、オーバーラップ制御を行わないこととし、オーバーラップノズル数とオーバーラップパターンとは記述されていない。
図32の左側には、同図に示す制御法データの内容における制御を例示してある。ここに示すラスタは主走査方向の1ラインであり、上から順にラスタ番号を付けて示している。すなわち、紙面左右方向が主走査方向に相当し、紙面上下方向が副走査方向に相当する。パス番号はパスの回数であり、この番号の下に各パスにおけるノズルの位置を実線の丸で示し、上から順に1〜7のノズル番号を付している。なお、この例では、副走査方向の解像度が720dpi,副走査方向のノズル密度が180dpiであることを想定しており、各ノズルの間の距離は4ラスタ分に相当する。
制御法データにおいて送り量が”5”となっているので、パス番号2においては、副走査方向に5ラスタ分送られる。この送り量を繰り返すと、ラスタ番号13以下においては番号のラスタにドットを記録するノズルが存在するようになる。そこで、制御法データに従った制御ではラスタ番号12より上にはドットを記録せず、ラスタ番号13より下にドットを記録する。従って、上記ハーフトーンデータにおける一番上のラスタにおいては4番のノズルでドットが形成される。
以上のように、制御法データを利用すれば、各ラスタのドットを形成するノズルを特定することができるので、上記ステップS165において、上記制御法データを参照してノズルを特定し、上記ドット形状データを参照してドットの形状を特定する。この結果、複雑な制御を行う場合であっても容易にその制御法におけるGIを算出することが可能になる。なお、上記制御法データを参照すれば、図32の左側に示すようにパス番号も分かる(すなわち、主走査の回数を特定可能である)ので、上記ドット位置データを参照して送り誤差を考慮することもできる。むろん、上記ドット位置データを参照してノズル間の誤差を考慮することもできる。
図32においては省略したが、むろん、上記パス数が2の場合は記録パターンを示すデータを使ってノズルを特定することができるし、オーバーラップの制御を行うときもオーバーラップノズル数およびオーバーラップパターンを示すデータを使ってノズルを特定することができる。むろん、他の制御法でキャリッジおよび紙送りローラを駆動する場合には、他のパラメータを制御法データに記述してその制御法において各ドットを形成するドットやパスを特定すればよい。他のノズル配置、例えば、副走査方向に多数のノズルを並べてノズルアレイを形成するとともにこのノズルアレイを主走査方向に並べ、同じ色のインクを吐出するように構成する場合には、そのノズル配置を示すデータを制御法データに記述し、このデータと制御法を示すデータとによって各ドットを形成するドットやパスを特定すればよい。
C12.変形例12:
さらに、双方向印刷(Bi-D Print)を実施可能なプリンタや一回当たりのインク吐出量を調整可能なプリンタに対して本発明を適用することも可能である。図33はこの場合に用意するデータを示す説明図である。上記パラメータデータとしては、上述のパラメータに加えて双方向印刷を実施するか否かを示すデータと一回当たりのインク吐出量を調整するか否かを示すデータとを記述する。なお、この例では、一回当たりのインク吐出量を3段階(小中大)に調整可能である。
双方向印刷においては主走査方向の往復双方でインクを吐出し、単方向印刷においては往復いずれか一方でインクを吐出する。従って、上記ドット形状データや分光反射率データ、ドット位置データは、双方向と単方向とで異なり得る。そこで、双方向用データと単方向用データとを予め用意しておく。このように構成しておけば、双方向、単方向いずれにおいても上記記録状態データを算出することが可能になる。
小中大3種のインク滴それぞれにおいては、記録されるドットの形状、分光反射率、誤差に起因するドットの形成位置が異なるので、小中大それぞれについて予め上記ドット形状データや分光反射率データ、ドット位置データを作成し、用意しておく。この場合、上記ハーフトーンデータは、小中大それぞれについてドットを記録するか否かを示したデータとなり、各インク色について3個のハーフトーンデータとなる。
記録状態データの作成に際しては、このハーフトーンデータを取得し、各ドットの大きさに応じたドット形状データや分光反射率データ、ドット位置データを参照すれば、各インク色および各大きさのドットを重畳した結果の記録状態データを算出することが可能である。以上のようにして算出した記録状態データに基づいてGIを算出すれば、双方向印刷時の粒状性を評価することが可能になるし、小中大3種のインク滴を使用する場合の粒状性を評価することが可能になる。
C13.変形例13:
上述のスムージング処理も一例であり、スムージング処理を行うことによって高精度に色変換実施可能なプロファイルを作成できる限りにおいて、他にも種々の構成を採用することができる。上記SEIにおいてはCIELAB空間での格子点配置の平滑程度が低下したときに値が大きくなるような関数を採用すれば良く、上述の関数の他、種々の関数を採用することができる。例えば、上記SI2,SI3においては、格子点が立方格子を形成するとしたときにベクトルが直交するような格子点のみを最適化対象の周囲の格子点として抽出していたが、このような選び方が必須という訳ではなく、例えば、図25のベクトルLa5,ベクトルLa6のように格子点が立方格子を形成するとしたときに対角位置にあるような格子点を含めてSEIとしても良い。このような対角位置にある格子点は、位置情報が形成する格子点においても対角位置にあり、特に上述の位置情報が形成する立方体のKWを結ぶグレー軸は格子点の対角方向に該当する。従って、対角位置にある格子点についても配置の平滑程度が向上すると、モノクロ出力時にトーンジャンプが発生することを防止することができる。
C14.変形例14:
上述の実施形態においては互いに逆向きのベクトルの和をとることによって平滑程度の高い格子点配置でSEIの値が小さくなるようにしていたが、むろん、他の構成を採用しても良い。例えば、格子点間の相対位置関係が類似しているか否かを評価する関数であっても良い。具体的には、図25においてベクトルLa5−ベクトルLa4とベクトルLa1−ベクトルLpとの差をとると両ベクトルの差ベクトル、すなわち(ベクトルLa5−ベクトルLa4)−(ベクトルLa1−ベクトルLp)が得られるが、当該差ベクトルの値が小さいほど格子点間の相対位置関係が類似していると言える。従って、ベクトルLa1−ベクトルLpと隣接する格子間ベクトルとの差をとって足し合わせることによって配置の平滑程度を評価するSEIを取得することができる。
C15.変形例15:
上述のSEIでは、最適化対象の格子点を中心に互いに逆向きのベクトルの差をとり、それぞれの差を加え合わせていた。すなわち、CIELAB空間で全格子点が均等になる状態を理想としていた。しかし、インクプロファイル142に記述された測色値が形成する格子点が元々不均等であったり、意図的にCIELAB空間中の格子点間隔を不均等にしたい場合には、SEIを変更しても良い。このように格子点を不均等にしたときに最適であるとする例としては、SEIに式(17)のように重み変数を設けることで対処することが可能である。
Figure 0004528782
ここで、W1,W2は重み係数である。
すなわち、同式(17)においてW1>W2であるならば、差(ベクトルLa1−ベクトルLp)の大きさが(ベクトルLa2−ベクトルLp)の大きさより小さい状態でSI1の値を小さくすることができ、最適化対象の格子点が一方の格子点に近い状態が最適状態であるとすることができる。なお、重み係数としては種々の態様を採用可能であるが、格子点配置を不均等間隔にする場合に例えば式(18)によって決定することができる。
Figure 0004528782
ここで、D1とD2は位置情報が形成する空間において位置情報で特定される格子点間の距離である。すなわち、D1はベクトルLa1を与える位置情報の格子点からベクトルLpを与える位置情報の格子点までの距離であり、D2はベクトルLa2を与える位置情報の格子点からベクトルLpを与える位置情報の格子点までの距離である。むろん、この式(18)は一例であり、他にも重みを設けたSEIを設計することで、CIELAB空間中の格子点間隔を制御したり、特定の意図に従って、CIELAB空間中で局部的に格子点の密度を多くすることが可能となる。さらに、上記SI2,SI3の場合も同様に重みを設けることで、容易に格子点間隔を制御することが可能となる。
なお、重みを設けたSEIを設計することでCIELAB空間中の格子点間隔を制御する構成は、インク特性に応じて格子点間隔を不均等にする場合、すなわち、インク記録率が大きくなると濃度の変化度合が小さくなるというインク特性を考慮して低インク記録率で格子点を多くする場合に特に有用である。さらに、重みを設けたSEIを設計することでCIELAB空間中で局所的に格子点の密度を多くする構成は、局所的に色変換精度を高くしたい場合等に特に有用である。
C16.変形例16:
上記実施形態においては、CIELAB空間中の色域の部位毎に別個の隣接格子点を抽出して最適化対象の格子点配置をスムージングしているので、SI1〜SI3のそれぞれによって最適化される各格子点同士に関連がない。そこで、各部位毎に別個のSEIで格子点を最適化しつつ各部位の境界においても配置の平滑程度が高くなるように重み付け演算をしてもよい。
上述のSI1,SI2では位置情報(Pr,Pg,Pb)のいずれか一つまたは二つを固定していたが、SI3では位置情報(Pr,Pg,Pb)の三つとも可変であるので、色域境界付近では束縛条件が急激に変化する。また、色域の境界同士でも色域境界を形成する稜線と外面とでは束縛条件が急激に変化する。束縛条件が急激に変動すると、格子点配置を平滑化するために格子点を移動させる際の自由度および移動方向の自由度が全く異なるので、この場合に格子点配置の平滑程度の不連続が生じるおそれがある。そこで、束縛条件が急激に変化することを防止するために色域境界に近づくほど、位置情報が変動しにくくなるような重みを持った項をSEIに付加する。この構成としては例えば下記(19)式のようなSEIを採用可能である。
Figure 0004528782
ここで、Wrは位置情報Prを可変にする際の重みであり、Pr0は現在の位置情報である。同様にWg,Wbとして位置情報Pg,Pbのそれぞれを可変にする際の重みを定義することができる。また、各重みは色域の中心付近で小さな値であり、色域の境界に近いほど大きな値となる。上記式(19)では、位置情報としてPrのみを可変とした場合の色域境界の辺について考えており、(19)式の第2項により格子点が色域境界(この場合、色域境界上に形成される稜線の端部)に近づくほど位置情報Prが変化しづらくなる。
すなわち、上記式の第2項は色域境界に近ければ近いほど、重み係数Wrの値が大きく、位置情報Prが現在位置Pr0から離れるほど当該第2項が大きくなる。従って、SI1を極小化する最適化処理において位置情報Pr,Pr0は近い値になるとともに色域境界に近いほど両位置情報が近い値となる。なお、位置情報Pgのみを可変にしたり位置情報Pbのみを可変にした場合であっても同様の考え方でSI1に第2項を付加することができる。むろん、SI2,SI3でも同様であり、SI2では位置情報のうち2つの成分が可変であるのでSEIに対して2つの項が付加され、SI3では位置情報の3つの成分が可変であるのでSEIに対して3つの項が付加される。
C17.変形例17:
上述のスムージング処理ではインクプロファイル142に記述された測色値を用いてCIELAB空間で格子点配置の平滑程度を検証していたが、他の色空間でスムージングを行っても良い。例えばインク量空間内で各インク量データの格子点配置を考え、この格子点配置の平滑程度を評価する評価指標を算出することにより、インク量空間でスムージングを実施することが可能になる。
C18.変形例18:
さらに、上述のスムージング処理では、ステップS35で選択された163個以下の代表サンプルを使ってスムージング処理を行っていたが、この代表サンプルを用いて代表サンプル数を増減し、あるいは代表サンプルの格子点位置を調整してスムージング処理を実施しても良い。例えば、代表サンプルに基づいて不等間隔補間を行うことによって、CIELAB空間で643個程度の格子点および対応するインク量を算出し、これらを用いてスムージングを行う。この場合、163個のサンプルについてスムージングを行う場合と比較して距離が近い格子点同士で配置の平滑程度を評価することができるので、平滑程度を向上させやすい。また、代表サンプルに基づいて不等間隔補間を行うことによって、CIELAB空間でできるだけ等間隔に配置された格子点を抽出してスムージングを実行するように構成しても良い。この場合、初期の格子点配置に歪みが少なくなるので、計算過程でローカルミニマムに達しにくくすることができ、容易にスムージング処理を行うことができる。さらに、位置情報Pr,Pg,PbとLab値とをより簡単に対応づけることができる。
C19.変形例19:
上述の実施形態では、インク量データが示す色の画素を複数個集めて所定の面積を持たせた仮想的なサンプルパッチを考えてシミュレーションによりGIを算出していたが、この仮想的なサンプルパッチを実際に印刷し、測色を行ってGIを算出しても良い。この構成は上述の実施形態とほぼ同様の構成によって実現することができるが、GI算出部1220における処理が上述の実施形態と異なる。図34は、仮想的なサンプルパッチを実際に印刷し、測色を行ってGIを算出する処理を示すフローチャートである。この処理では、仮想的なサンプルパッチを印刷し、印刷結果を測色してそのパッチのぼかし画像(blurred Image)と元の画像(original image)との差分を算出し、この差分をGIとする。このGIについては、M.D. Fairchild and G.M. Johnson, "Meet iCAM: and Image Color Appearance Model" IS&T/SID 10th Color Imaging Conference, Scottsdale, (2002), あるいはG.M. Johnson and M.D. Fairchild, "Rendering HDR Images" IS*T/SID 11th Color Imaging Conference, Scottsdale, (2003) に記述されたモデル(iCAM)を参照。
ステップS500では、まず、上述のサンプルインク量データを用いて仮想的なサンプルパッチを形成し、このサンプルパッチを実際に印刷する。ステップS505においては、印刷したサンプルパッチをスキャンする。ここでは、スキャンの結果を用いて機器非依存色空間内の測色値を取得することができれば良く、市販されているスキャナや測色機等、種々の装置を使用可能である。また、サンプルパッチの粒状性を評価するので、サンプルパッチの印刷解像度より高い解像度でスキャンすることが好ましい。
図34では、RGBスキャナによる例を示している。すなわち、ステップS505におけるスキャンの結果、ステップS510では、上記印刷されたサンプルパッチのRGBデータを取得する。このRGBデータは、機器依存色空間内のデータであるため、ステップS515ではスキャナ特性変換(scanner characterization)を行って機器非依存色空間であるXYZ色空間内のデータに変換する。
ステップS520〜S540では、ぼかし画像を作成する。このために、ステップS520では、XYZ色空間を反対色空間(opponent-colors space)に変換する。すなわち、反対色空間の各チャンネルについては実験等によって人間の目におけるコントラスト感度関数(contrast sensitivity function(csf))を周波数空間で定義することが可能であるので、このcsfを利用できるように変換を行う。
この変換は、例えば以下の(20)式によって算出することができる。
Figure 0004528782
ここで、AC12は反対色チャンネル(opponent channels)であり、Aが輝度チャンネルであり、C12がクロミナンスチャンネルである。
上記csfは周波数空間で定義されるので、ステップS525では、各反対色チャンネルに対してフーリエ変換を実施する。ステップS530では、各反対色チャンネルに対して上述のcsfでフィルタリングを行う。すなわち、各成分に対してcsfを乗じる。一実施例では、輝度に対して下記(21)式を、クロミナンスチャンネルに対して下記(22)式を利用した。
Figure 0004528782
Figure 0004528782
なお、fは周波数、csflumは輝度コントラスト感度関数(luminance contrast sensitivity function)、csfchromはクロミナンスコントラスト感度関数(chrominance contrast sensitivity function)である。また、a,bおよびcは実験などによって算出可能である。(22)式における係数としても種々のものが採用可能であるが、一実施例では、下記表の数値を採用した。
Figure 0004528782
以上のように、フィルタリングを行うと、ステップS535ではフィルタリング後の関数を逆フーリエ変換し、ステップS540でさらに反対色空間をXYZ色空間に変換する。この変換は、例えば以下の(23)式によって算出することができる。
Figure 0004528782
以上の処理により、ぼかし画像のXYZ値が算出され、上記ステップS515では元の画像のXYZ値が算出されているので、ステップS545ではそれぞれの画像についてCIELAB値を算出する。そして、ステップS550では、元の画像の平均CIELAB値を算出し、CIEDE2000色差式によってぼかし画像と元の画像とにおける色差を算出する。
以上のようにしてGI算出部1220がGIを算出すると、評価指数算出部120はこのGIを利用して評価指数を算出し、上述の実施形態と同様の処理によってプロファイルデータ15b,15cにおける各プロファイルを作成する。以上のように、サンプルインク量データを用いて実際に印刷を行えば、現実の印刷物に基づいて画質を評価してインク量データを選択することが可能になる。
なお、上記ステップS550で算出した色差を利用して別のGIを算出しても良い。例えば、粒状性が印刷媒体上の被覆率分布(area coverage distribution)に大きく依存することに着目してGIを決定することが可能である。この場合の実施例としては、6次元のインク量空間を被覆率(area coverage)によって4個程度のセルに分割し、セル内の総てのインク量データにおける上述の色差の平均を算出する。そして、この平均の色差がこのセル内の総てのインク量データについてのGIであるとしても良い。
本願発明が詳細に記述され図示されてきたが、これらは単なる説明のための例示であり、限定として解釈されるべきではなく、本願発明の精神とスコープはクレームの用語のみによって限定されることが理解される。
本発明の第1実施形態としてのシステム構成を示すブロック図である。 プロファイルを作成するシステムの構成を示すブロック図である。 第1実施形態の処理手順を示すフローチャートである。 一実施例におけるCIELAB空間内のサンプル色を示すグラフである。 パラメータデータの一例を示す図である。 ドット形状データの一例を示す図である。 分光反射率データの一例を示す図である。 ステップS35の詳細手順を示すフローチャートである。 CIIを算出する処理を示すフローチャートである。 GIを算出する処理を示すフローチャートである。 GIを算出する処理を示すフローチャートである。 GIを算出する様子を説明する説明図である。 GIを算出する様子を説明する説明図である。 ステップS40における不等間隔補間を示す。 ステップS50におけるガマットマッピングを示す図である。 分光ノイゲバウアモデルを示す図である。 セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Cellular Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)を示す図である。 セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルにおけるセル分割の格子点座標を示す図である。 セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルにおいて、測定できない分光反射率を求める方法を示す図である。 スムージング処理を説明するためのブロック図である。 スムージング処理のフローチャートである。 位置情報の選択を説明する説明図である。 プリンタの色域を示す模式図である。 稜線上の格子点を最適化するSEIの説明図である。 外面上の格子点を最適化するSEIの説明図である。 色域内部の格子点を最適化するSEIの説明図である。 第7変形例における処理手順を示すフローチャートである。 本発明の変形例としてのシステム構成を示すブロック図である。 本発明の変形例の処理手順を示すフローチャートである。 ドット位置データの例を説明する説明図である。 ドット位置データの例を説明する説明図である。 制御法データの例を説明する説明図である。 双方向印刷、小中大ドットを使用する場合のデータの例を説明する説明図である。 本発明の変形例にてGIを算出する際の処理手順を示すフローチャートである。

Claims (10)

  1. 測色値とインク量データとの対応関係を規定するプロファイルを参照して色変換を行う装置であって、
    同一のプリンタ用の複数のプロファイルを格納するプロファイルメモリと、
    前記複数のプロファイルのうちの1つを選択し、選択されたプロファイルを参照して、与えられた測色値をインク量データに変換する色変換部と、
    を備え、
    各プロファイルは、色差指数と画質評価指数とを含む評価指数に基づいて選択された複数のサンプルインク量データを使用して作成されたものであり、
    前記色差指数は、前記サンプルインク量データによって表されるインク量で印刷されるべき仮想サンプルパッチの分光反射率から算出されるサンプル色と、比較の基礎として選択された比較色との間の色差を表しており、
    前記画質評価指数は、前記仮想サンプルパッチの画質を表す指数であって、前記仮想サンプルパッチの粒状性を示す粒状性指数と、前記仮想サンプルパッチの印刷に使用されるインク量を示すインク量指数とを含み、
    前記評価指数は、前記色差指数と前記粒状性指数と前記インク量指数との重み付き和の式で与えられる値を有し、
    前記複数のプロファイルに対する前記評価指数は、前記重み付き和の式が互いに異なる、装置。
  2. 請求項1記載の装置であって、
    前記色差指数は、利用可能な複数種類の色差指数を含み、
    前記画質評価指数は、利用可能な複数種類の画質評価指数を含み、
    前記色変換部は、前記色差指数と画質評価指数のユーザによる選択を受け取り、選択された色差指数と画質評価指数とを含む評価指数を用いて作成されたプロファイルを選択する、装置。
  3. 請求項1記載の装置であって、
    前記色差指数と画質評価指数のそれぞれには、複数の印刷条件に関連付けられた複数の利用可能な種類があり、
    前記色変換部は、前記複数の印刷条件のうちの1つの選択を受け取り、選択された印刷条件に関連づけられた適切な種類の色差指数及び画質評価指数を含む評価指数を用いて作成されたプロファイルを選択する、装置。
  4. 請求項1記載の装置であって、
    前記複数のプロファイルは、前記インク量データによって再現される複数種類の画像に関連づけられており、
    前記色変換部は、前記複数種類の画像のうちの1つの選択を受け取り、選択された画像種類に関連づけられたプロファイルを選択する、装置。
  5. 測色値とインク量データとの対応関係を規定するプロファイルを参照して色変換を行う方法であって、
    (a)同一のプリンタ用の複数のプロファイルを準備する工程と、
    (b)前記複数のプロファイルのうちの1つを選択する工程と、
    (c)選択されたプロファイルを参照して、与えられた測色値をインク量データに変換する工程と、
    を備え、
    各プロファイルは、色差指数と画質評価指数とを含む評価指数に基づいて選択された複数のサンプルインク量データを使用して作成されたものであり、
    前記色差指数は、前記サンプルインク量データによって表されるインク量で印刷されるべき仮想サンプルパッチの分光反射率から算出されるサンプル色と、比較の基礎として選択された比較色との間の色差を表しており、
    前記画質評価指数は、前記仮想サンプルパッチの画質を表す指数であって、前記仮想サンプルパッチの粒状性を示す粒状性指数と、前記仮想サンプルパッチの印刷に使用されるインク量を示すインク量指数を含み、
    前記評価指数は、前記色差指数と前記粒状性指数と前記インク量指数との重み付き和の式で与えられる値を有し、
    前記複数のプロファイルに対する前記評価指数は、前記重み付き和の式が互いに異なる、方法。
  6. 請求項記載の方法であって、
    前記色差指数は、利用可能な複数種類の色差指数を含み、
    前記画質評価指数は、利用可能な複数種類の画質評価指数を含み、
    前記工程(b)は、
    前記色差指数と画質評価指数のユーザによる選択を受け取る工程と、
    選択された色差指数と画質評価指数とを含む評価指数を用いて作成されたプロファイルを選択する工程と、
    を含む、方法。
  7. 請求項記載の方法であって、
    前記色差指数と画質評価指数のそれぞれには、複数の印刷条件に関連付けられた複数の利用可能な種類があり、
    前記工程(b)は、
    前記複数の印刷条件のうちの1つの選択を受け取る工程と、
    選択された印刷条件に関連づけられた適切な種類の色差指数及び画質評価指数を含む評価指数を用いて作成されたプロファイルを選択する工程と、
    を含む、方法。
  8. 請求項5記載の方法であって、
    前記複数のプロファイルは、前記インク量データによって再現される複数種類の画像に関連づけられており、
    前記工程(b)は、
    前記複数種類の画像のうちの1つの選択を受け取る工程と、
    選択された画像種類に関連づけられたプロファイルを選択する工程と、
    を含む、方法。
  9. プリンタで使用可能な複数のインクのインク量セットを表すインク量データと、測色値との対応関係を規定するプロファイルとして、同一のプリンタ用の複数のプロファイルを作成する方法であって、各プロファイルを作成する工程は、
    (a)インク量データを、前記インク量データに従って印刷されるカラーパッチの分光反射率に変換するように構成された分光プリンティングモデルコンバータを準備する工程と、
    (b)複数のインクのインク量セットをそれぞれ表す複数のサンプルインク量データを準備する工程と、
    (c)前記分光プリンティングモデルコンバータを用いて、各サンプルインク量データを、前記サンプルインク量データによって表されるインク量で印刷されるべき仮想サンプルパッチの分光反射率に変換する工程と、
    (d)前記分光反射率から算出されるサンプル色と、比較の基礎として選択された比較色との間の色差をそれぞれ表す複数の色差指数のうちから1つを選択するとともに、前記サンプルインク量データに従って印刷されるべき仮想サンプルパッチの画質をそれぞれ表す複数の画質評価指数の中から1以上を選択する工程と、
    (e)前記複数のサンプルインク量データに関して、前記選択された色差指数と画質評価指数の値を算出する工程と、
    (f)前記複数のサンプルインク量データに関して、前記選択された色差指数と画質評価指数の値を用いて評価指数を算出する工程と、
    (g)前記評価指数に基づいて、複数のサンプルインク量データを選択する工程と、
    (h)前記選択された複数のサンプルインク量データに基づいて、測色値とインク量データとの対応関係を規定するプロファイルを作成する工程と、
    を備え
    前記画質評価指数は、前記仮想サンプルパッチの画質を表す指数であって、前記仮想サンプルパッチの粒状性を示す粒状性指数と、前記仮想サンプルパッチの印刷に使用されるインク量を示すインク量指数とを含み、
    前記評価指数は、前記色差指数と前記粒状性指数と前記インク量指数との重み付き和の式で与えられる値を有し、
    前記複数のプロファイルに対する前記評価指数は、前記重み付き和の式が互いに異なる、方法。
  10. プリンタで使用可能な複数のインクのインク量セットを表すインク量データと、測色値との対応関係を規定するプロファイルとして、同一のプリンタ用の複数のプロファイルを作成する装置であって、
    インク量データを、前記インク量データに従って印刷されるカラーパッチの分光反射率に変換するように構成された分光プリンティングモデルコンバータであって、複数のインクのインク量セットをそれぞれ表す複数のサンプルインク量データのそれぞれを前記サンプルインク量データによって表されるインク量で印刷されるべき仮想サンプルパッチの分光反射率に変換する分光プリンティングモデルコンバータと、
    前記分光反射率から算出されるサンプル色と、比較の基礎として選択された比較色との間の色差をそれぞれ表す複数の色差指数のうちから1つを選択するとともに、前記サンプルインク量データに従って印刷されるべき仮想サンプルパッチの画質をそれぞれ表す複数の画質評価指数の中から1以上を選択する第1の選択部と、
    前記複数のサンプルインク量データに関して、前記選択された色差指数と画質評価指数の値を算出する第1の算出部と、
    前記複数のサンプルインク量データに関して、前記選択された色差指数と画質評価指数の値を用いて評価指数を算出する第2の算出部と、
    前記評価指数に基づいて、複数のサンプルインク量データを選択する第2の選択部と、
    前記選択された複数のサンプルインク量データに基づいて、測色値とインク量データとの対応関係を規定するプロファイルを作成するプロファイル作成部と、
    を備え
    前記画質評価指数は、前記仮想サンプルパッチの画質を表す指数であって、前記仮想サンプルパッチの粒状性を示す粒状性指数と、前記仮想サンプルパッチの印刷に使用されるインク量を示すインク量指数とを含み、
    前記評価指数は、前記色差指数と前記粒状性指数と前記インク量指数との重み付き和の式で与えられる値を有し、
    複数のプロファイルに対する前記評価指数として、前記重み付き和の式が互いに異なるものが使用される、装置。
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