JP4604940B2 - 双方向印刷を行うための画像処理装置および印刷装置 - Google Patents

双方向印刷を行うための画像処理装置および印刷装置 Download PDF

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Description

この発明は、印刷媒体上にドットを形成して画像を印刷する技術に関する。
コンピュータで作成した画像や、デジタルカメラで撮影した画像などの出力装置として、印刷媒体上にドットを形成して画像を印刷する印刷装置が広く使用されている。かかる印刷装置は、入力階調値に対して形成可能なドットの階調値が少ないためハーフトーン処理によって階調表現が行われる。ハーフトーン処理の1つとして、ディザマトリックスを用いた組織的ディザ法が広く用いられている。組織的ディザ法は、ディザマトリックスの内容如何で画質に大きな影響を与えるため、たとえば特許文献1に開示されるように人間の視覚を考慮した評価関数を用いてシミュレーテッドアニーリングや遺伝的アルゴリズムといった解析手法によってディザマトリックスの最適化が図られてきた。
特開平7−177351号公報 特開平7−81190号公報 特開平10−329381号公報
しかし、こうした最適化処理には、複雑な計算アルゴリズムや膨大な計算処理が要請されるため、特に複雑な最適化問題に対しては実現性に大きな問題を残していた。
この発明は、従来の技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、ディザマトリックスの生成において、計算効率の高い計算処理技術を提供することを目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、ディザマトリックスを生成する方法を提供する。本方法は、
前記ディザマトリックスの評価値を算出するための評価関数を設定する評価関数設定工程と、
入力諧調値に応じて画素毎のドットの形成の有無を決定するための複数の閾値を各要素に格納する初期状態としてのディザマトリックスを準備する準備工程と、
前記要素に格納された複数の閾値の一部を、他の要素に格納された閾値と入れ替えつつ比較的に小さな値を有する閾値から順に格納される要素を固定する格納要素固定工程と、
前記複数の閾値の全ての格納要素が固定されたディザマトリックスを出力する工程と、
を備え、
前記格納要素固定工程は、
前記評価関数を用いて、前記閾値が入れ替えられたディザマトリックスの評価値を算出する評価値算出工程と、
前記評価値の所定の基準への適合に応じて、前記格納される要素が決定されていない閾値の中で最も小さな値を有する評定閾値が格納される要素を固定する固定工程と、
前記複数の閾値のうち格納される要素が固定されていない閾値の一部を相互に入れ替える入替工程と、
前記評価値算出工程から前記入替工程までの工程を前記複数の閾値の格納要素が固定されるまで繰返す工程と、
を含むことを特徴とする。
本方法では、ドットの粒状性が目立つハイライト領域におけるドット配置をコントロールする閾値から順に格納される要素を固定していくことによってディザマトリックスの最適化が図られているので、ドットの粒状性が目立つハイライト領域に対して大きな設計自由度を与えることができるとともに、各入力階調毎に粒状性指数を計算すれば良いため極めて高い処理効率で最適化を実現することができる。なお、「評価値の所定の基準への適合」は、たとえば計算の収束を条件としても良いし、あるいは所定の数値以下となることを条件としても良い。
上記生成方法において、
前記評価関数は、前記評定閾値よりも小さな閾値が格納されている要素に対応する画素と、前記評定閾値が格納されている要素に対応する画素とにドットが形成されたと仮定したときのドットパターンの特性値に応じて算出されるようにしても良い。
上記生成方法において、
前記評価関数は、前記ドットパターンと、前記ドットパターンに対して前記評定閾値よりも大きな特定の閾値毎に対応する画素にドットが追加されたと仮定したときの少なくとも1つのドットパターンと、前記複数のドットパターンの特性値の各々に対して所定の重み付けを乗ずることによって算出され、
前記所定の重み付けは、前記特定の閾値が有する値が前記評定閾値に近いほど大きくなるように設定されている用にしても良い。
こうすれば、比較的にシャドーよりの閾値をも評価値に含めることができるので、シャドー領域側への設計の自由度の分配量を調整することができる。
上記生成方法において、
前記評価値は、前記ドットパターンと、前記ドットパターンに対して前記評定閾値よりも大きな特定の閾値毎に対応する画素にドットが追加されたと仮定したときの複数のドットパターンと、前記複数のドットパターンの特性値の各々に対して所定の重み付けを乗ずることによって算出され、
前記所定の重み付けは、前記所定の重み付けと前記特定の閾値とで構成された2次元グラフにおいて、前記所定の重み付けと前記特定の閾値とを順に結ぶ曲線が原点方向に凸状となるように設定されているようにしても良い。
こうすれば、ディザマトリックスの改善の効果が顕著となることが、発明者によって実験によって確認されている。なお、原点方向に凸状の曲線を表す関数として、発明者によって実験で顕著な効果が確認された関数には指数関数が含まれている。
上記生成方法において、さらに、
前記初期状態としてのディザマトリックスの各閾値について、前記各閾値よりも小さな閾値が格納されている要素に対応する画素と、前記各閾値が格納されている要素に対応する画素とにドットが形成されたと仮定したときのドットパターンの特性値に応じて初期評価値を算出する工程を備え、
前記所定の重み付けは、前記初期評価値に応じて、前記初期評価値が目標状態から離れているほど、大きくなるように調整されているようにしても良い。
このように、初期状態としてのディザマトリックスの評価値が目標状態から離れていてディザマトリックスの改善の余地が大きい閾値ほど、評価の重み付けを大きくすれば最適化の効果を大きくすることができる。なお、所定の目標状態は、たとえば評価値が粒状性指数やRMS粒状度である場合には、それらがゼロの状態を意味する。
上記生成方法において、
前記特性値は、予め設定された目標特性としての空間周波数分布に対する相関係数であるようにしても良い。
上記生成方法において、前記評価値算出工程は、
フィルタを用いて前記ドットパターンから比較的に低い周波成分を抽出する工程と、
前記抽出された低周波成分に基づいてRMS粒状度を計算するとともに、前記RMS粒状度に応じて前記評価値を算出する工程と、
を含むようにしても良い。
RMS粒状度は、ドットの疎密のバラツキを表す客観的な尺度であって、解像度に応じて設定された平滑化フィルタによる平滑化処理と、ドット形成密度の標準偏差の計算だけで簡単に算出することができるので、繰り返し計算の多い最適化処理に好適である。加えて、RMS粒状度の利用は、人間の視覚感度特性VTFを利用した固定的な処理に対して、平滑化フィルタの設計次第で人間の視覚感度や視覚環境を考慮した柔軟な処理が可能となるという利点をも有する。
本明細書では、「相関係数」は、相関係数として一般に用いられているピアソンの積率相関係数を意味している。ピアソンの積率相関係数とは、2つのデータ列の間の相関(類似性の度合い)を示す統計学的指標の1つであり、−1から1の間の実数値をとり、1に近いときは2つのデータ列には正の相関があるといい、−1に近ければ負の相関があるという。0に近いときは2つのデータ列の相関は弱い。0.7以上の相関係数は、一般に、偶然の一致として起こりえないほどに強い相関があることを意味する。
ピアソンの積率相関係数は、2つのデータ列の共分散を、2つのデータ列の標準偏差の積で除することによって求められる。いわば、共分散を2つのデータ列の標準偏差の積で除することによって−1から1に正規化した値とも言える。2つのデータ列は、本願発明では、各ドットパターンの空間周波数分布を離散化した複数のデータ列のうちの任意に選択された2つに相当する。
こうしたプログラム、あるいは記録媒体に記録されているプログラムをコンピュータに読み込ませ、該コンピュータを用いて上述の各種機能を実現させれば、ドット形成ヘッドの往動時と復動時とでドットの形成位置がずれた場合でも、これによる影響を最小限に抑制することができる。このため、高画質な画像を迅速に印刷することが可能になるとともに、往動時と復動時とでドットの形成位置を調整するための機構や制御を簡素化することが可能となる。
以下では、本発明の作用・効果をより明確に説明するために、本発明の実施の形態を、次のような順序に従って説明する。
A.実施例の概要:
B.装置構成:
C.画像印刷処理の概要:
D.ドットの位置ずれによる画質の悪化を抑制する原理:
E.ディザマトリックスの生成方法:
F.変形例:
A.実施例の概要 :
実施例の詳細な説明に入る前に、図1を参照しながら、実施例の概要について説明しておく。図1は、本実施例の印刷装置としての印刷システムの概要を示した説明図である。図示されているように、印刷システムは、画像処理装置としてのコンピュータ10と、コンピュータ10の制御の下で実際に画像を印刷するプリンタ20などから構成されており、全体が一体となって印刷装置として機能する。
コンピュータ10には、ドット形成有無決定モジュールとディザマトリックスとが設けられており、ドット形成有無決定モジュールは、印刷しようとする画像の画像データを受け取ると、ディザマトリックスを参照しながら、画素毎にドット形成の有無を表したデータ(ドットデータ)を生成し、得られたドットデータをプリンタ20に向かって出力する。
プリンタ20には、印刷媒体上を往復動しながらドットを形成するドット形成ヘッド21と、該ドット形成ヘッド21におけるドットの形成を制御するドット形成モジュールとが設けられている。ドット形成モジュールは、コンピュータ10から出力されたドットデータを受け取ると、ドット形成ヘッド21が往復動する動きに合わせてドットデータをヘッドに供給する。その結果、印刷媒体上で往復動するドット形成ヘッド21が適切なタイミングで駆動され、印刷媒体上の適切な位置にドットが形成されて、画像が印刷されることになる。
また、本実施例の印刷装置では、ドット形成ヘッド21の往動時だけでなく、復動時にもドットを形成する、いわゆる双方向印刷を行うことによって、画像の迅速な印刷を可能としている。もっとも、双方向印刷を行う場合、往動時に形成されるドットと、復動時に形成されるドットとで、ドットの形成位置にずれると画質が悪化してしまう。そこで、このようなプリンタには、往復動の一方のドット形成タイミングを他方のタイミングに対して高い精度で調整するための、特別な機構あるいは制御が搭載されていることが通常であり、このことが、プリンタの大型化あるいは複雑化を招く要因の一つとなっている。
こうした点に鑑みて、図1に示した本実施例の印刷装置では、画像データからドットデータを生成する際に参照するディザマトリックスとして、少なくとも次の2つの特性を有するマトリックスを使用する。すなわち、第1の特性としては、ディザマトリックスの画素位置を、第1の画素位置のグループと、第2の画素位置のグループとに分類することが可能なマトリックスである。ここで、第1の画素位置および第2の画素位置とは、一方が、往動時または復動時の何れかでドットが形成されるとき、他方では、それ以外でドットが形成されるような関係にある画素位置をいう。そして、第2の特性としては、ディザマトリックスと、該ディザマトリックスから第1の画素位置に設定されている閾値を抜き出したマトリックス(第1の画素位置のマトリックス)と、第2の画素位置に設定されている閾値を抜き出したマトリックス(第2の画素位置のマトリックス)とが、何れもブルーノイズ特性を有するマトリックスである。
ここで、詳細には後述するが、本願の発明者によって、次のような新たな知見が見出された。すなわち、往動時と復動時とでドットの形成位置がずれた画像の画質は、往動時に形成されるドットのみによる画像(元の画像から復動時に形成したドットのみを削除して得られる画像。以下では、「往動時の画像」と呼ぶ。)の画質、あるいは復動時に形成されるドットのみによる画像(元の画像から往動時に形成したドットのみを削除して得られる画像。以下では「復動時の画像」と呼ぶ。)の画質と、極めて強い相関がある。そして、往動時の画像の画質、あるいは復動時の画像の画質を改善しておけば、双方向印刷の往動時と復動時とでドットの形成位置がずれた場合でも、画質の悪化を抑制することが可能である。従って、ディザマトリックスが上記の特性、すなわち、第1の画素位置のマトリックスと第2の画素位置のマトリックスとに分類することが可能であり、かつ、これら3つのマトリックスが何れもブルーノイズ特性を有するようなディザマトリックスを用いてドットデータを生成しておけば、往動時の画像も復動時の画像も良好な画質の画像とすることができるので、双方向印刷時にドットの形成位置がずれた場合でも画質の悪化を最小限に抑制することが可能となる。その結果、往復動の一方のドット形成タイミングを他方のタイミングに対して調整するに際して、高い精度が要求されることがないので、調整のための機構や制御を簡素なものとすることができ、延いては、プリンタが大型化あるいは複雑化することを回避することが可能となる。以下では、このような実施例について詳しく説明する。
B.装置構成 :
図2は、本実施例の画像処理装置としてのコンピュータ100の構成を示す説明図である。コンピュータ100は、CPU102を中心に、ROM104やRAM106などを、バス116で互いに接続することによって構成された周知のコンピュータである。
コンピュータ100には、フレキシブルディスク124やコンパクトディスク126等のデータを読み込むためのディスクコントローラDDC109や、周辺機器とデータの授受を行うための周辺機器インターフェースPIF108、CRT114を駆動するためのビデオインターフェースVIF112等が接続されている。PIF108には、後述するカラープリンタ200や、ハードディスク118等が接続されている。また、デジタルカメラ120やカラースキャナ122等をPIF108に接続すれば、デジタルカメラ120やカラースキャナ122で取り込んだ画像に対して画像処理を施すことも可能である。また、ネットワークインターフェースカードNIC110を装着すれば、コンピュータ100を通信回線300に接続して、通信回線に接続された記憶装置310に記憶されているデータを取得することもできる。コンピュータ100は、印刷しようとする画像の画像データを取得すると、後述する所定の画像処理を行うことにより、画像データを、画素毎にドット形成の有無を表したデータ(ドットデータ)に変換して、カラープリンタ200に出力する。
図3は、本実施例のカラープリンタ200の概略構成を示す説明図である。カラープリンタ200はシアン,マゼンタ,イエロ,ブラックの4色インクのドットを形成可能なインクジェットプリンタである。もちろん、これら4色のインクに加えて、染料または顔料濃度の低いシアン(淡シアン)インクと、染料または顔料濃度の低いマゼンタ(淡マゼンタ)インクとを含めた合計6色のインクドットを形成可能なインクジェットプリンタを用いることもできる。尚、以下では場合によって、シアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインク,淡シアンインク,淡マゼンタインクのそれぞれを、Cインク,Mインク,Yインク,Kインク,LCインク,LMインクと略称することがあるものとする。
カラープリンタ200は、図示するように、キャリッジ240に搭載された印字ヘッド241を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、このキャリッジ240をキャリッジモータ230によってプラテン236の軸方向に往復動させる機構と、紙送りモータ235によって印刷用紙Pを搬送する機構と、ドットの形成やキャリッジ240の移動および印刷用紙の搬送を制御する制御回路260などから構成されている。
キャリッジ240には、Kインクを収納するインクカートリッジ242と、Cインク,Mインク,Yインクの各種インクを収納するインクカートリッジ243とが装着されている。インクカートリッジ242,243をキャリッジ240に装着すると、カートリッジ内の各インクは図示しない導入管を通じて、印字ヘッド241の下面に設けられた各色のインク吐出用ヘッド244ないし247に供給される。
図4は、インク吐出用ヘッド244ないし247におけるインクジェットノズルNzの配列を示す説明図である。図示するように、インク吐出用ヘッドの底面には、C,M,Y,Kの各色のインクを吐出する4組のノズル列が形成されており、1組のノズル列あたり48個のノズルNzが、一定のノズルピッチkで配列されている。
カラープリンタ200の制御回路260は、CPUや、ROM、RAM、PIF(周辺機器インターフェース)等がバスで相互に接続されて構成されており、キャリッジモータ230および紙送りモータ235の動作を制御することによってキャリッジ240の主走査動作および副走査動作の制御を行う。また、コンピュータ100から出力されたドットデータを受け取ると、キャリッジ240が主走査あるいは副走査する動きに合わせて、ドットデータをインク吐出用ヘッド244ないし247に供給することによって、これらヘッドを駆動するが可能となっている。
以上のようなハードウェア構成を有するカラープリンタ200は、キャリッジモータ230を駆動することによって、各色のインク吐出用ヘッド244ないし247を印刷用紙Pに対して主走査方向に往復動させ、また紙送りモータ235を駆動することによって、印刷用紙Pを副走査方向に移動させる。制御回路260は、キャリッジ240が往復動する動き(主走査)や、印刷媒体の紙送りの動き(副走査)に合わせて、ドットデータに基づいて適切なタイミングでノズルを駆動することにより、印刷媒体上の適切な位置に適切な色のインクドットを形成する。こうすることによって、カラープリンタ200は印刷用紙上にカラー画像を印刷することが可能となっている。
尚、本実施例のプリンタは、印刷媒体に向けてインク滴を吐出することにより、インクドットを形成する所謂インクジェットプリンタであるものとして説明するが、どのような手法を用いてドットを形成するプリンタであっても構わない。例えば、本願発明は、また、インク滴を吐出する代わりに、静電気を利用して各色のトナー粉を印刷媒体上に付着させることでドットを形成するプリンタや、いわゆるドットインパクト方式のプリンタに対しても好適に適用することが可能である。
C.画像印刷処理の概要 :
図5は、印刷しようとする画像にコンピュータ100が所定の画像処理を加えることにより、画像データをドット形成の有無によって表現されたドットデータに変換し、得られたドットデータを制御データとしてカラープリンタ200に供給して、画像を印刷する処理の流れを示すフローチャートである。以下では、フローチャートに従って、本実施例の画像処理について説明する。
コンピュータ100は、画像処理を開始すると、先ず初めに、変換すべき画像データの読み込みを開始する(ステップS100)。ここでは、画像データはRGBカラー画像データであるものとして説明するが、カラー画像データに限らず、モノクロ画像データについても同様に適用することができる。
画像データの読み込みに続いて、解像度変換処理を開始する(ステップS102)。解像度変換処理とは、読み込んだ画像データの解像度を、カラープリンタ200が画像を印刷しようとする解像度(印刷解像度)に変換する処理である。画像データの解像度よりも印刷解像度の方が高い場合は、補間演算を行って画素間に新たな画像データを生成することにより解像度を増加させる。逆に、画像データの解像度の方が印刷解像度よりも高い場合は、読み込んだ画像データを一定の比率で間引くことによって解像度を低下させる。解像度変換処理では、読み込んだ画像データに対して、このような操作を行うことにより、画像データの解像度を印刷解像度に変換する。
こうして画像データの解像度を印刷解像度に変換したら、今度は、色変換処理を行う(ステップS104)。色変換処理とは、R,G,Bの階調値の組合せによって表現されているRGBカラー画像データを、印刷のために使用される各色の階調値の組合せによって表現された画像データに変換する処理である。前述したように、カラープリンタ200はC,M,Y,Kの4色のインクを用いて画像を印刷している。そこで、本実施例の色変換処理ではRGB各色によって表現された画像データを、C,M,Y,Kの各色の階調値によって表現されたデータに変換する処理を行うのである。
色変換処理は、色変換テーブル(LUT)を参照することで、迅速に行うことができる。図6は、色変換処理のために参照されるLUTを概念的に示した説明図である。LUTは、次のように考えれば3次元の数表と考えることができる。先ず、図6に示されているように、直交する3つの軸にR軸、G軸、B軸を取って色空間を考える。すると、全てのRGB画像データは、必ず色空間内の座標点に対応付けて表示することができる。このことから、R軸、G軸、B軸のそれぞれを細分して色空間内に多数の格子点を設定してやれば、それぞれの格子点はRGB画像データを表していると考えることができ、各RGB画像データに対応するC,M,Y,K各色の階調値を、各格子点に対応付けてやることができる。LUTは、こうして色空間内に設けた格子点に、C,M,Y,K各色の階調値を対応付けて記憶した3次元の数表と考えることができる。このような、LUTに記憶されているRGBカラー画像データとC,M,Y,K各色の階調データとの対応関係に基づいて色変換処理を行えば、RGBカラー画像データを、C,M,Y,K各色の階調データに迅速に変換することが可能となる。
こうしてC,M,Y,K各色毎に階調データが得られると、コンピュータ100は、階調数変換処理を開始する(ステップS106)。階調数変換処理とは、次のような処理である。色変換処理によって得られた画像データは、データ長を1バイトとすると、画素毎に、階調値0から階調値255までの値を取り得る階調データである。これに対してプリンタはドットを形成することによって画像を表示しているから、それぞれの画素については「ドットを形成する」か「ドットを形成しない」かのいずれかの状態しか取り得ない。そこで、画素毎の階調値を変化させる代わりに、こうしたプリンタでは、所定領域内で形成されるドットの密度を変化させることによって画像を表現している。階調数変換処理とは、階調データの階調値に応じて適切な密度でドットを発生させるべく、画素毎にドット形成の有無を判断する処理である。
階調値に応じた適切な密度でドットを発生させる手法としては、誤差拡散法やディザ法などの種々の手法が知られているが、本実施例の階調数変換処理では、ディザ法と呼ばれる手法を使用する。ディザ法は、ディザマトリックスに設定されている閾値と画像データの階調値とを画素毎に比較することによって、画素毎にドット形成の有無を判断する手法である。以下、ディザ法を用いてドット形成の有無を判断する原理について簡単に説明する。
図7は、ディザマトリックスの一部を概念的に例示した説明図である。図示したマトリックスには、横方向(主走査方向)に128画素、縦方向(副走査方向)に64画素、合計8192個の画素に、階調値1〜255の範囲から万遍なく選択された閾値がランダムに記憶されている。ここで、閾値の階調値が1〜255の範囲から選択されているのは、本実施例では、画像データが階調値0〜255の値を取り得る1バイトデータとしていることに加えて、画像データの階調値と閾値とが等しい場合には、その画素にはドットを形成するものと判断していることによるものである。
すなわち、ドットが形成されるのは画像データの階調値が閾値よりも大きい画素に限る(すなわち階調値と閾値が等しい画素にはドットは形成しない)とした場合、画像データの取り得る最大階調値と同じ値の閾値を有する画素には、決してドットが形成されることはない。こうしたことを避けるため、閾値の取り得る範囲は、画像データの取り得る範囲から最大階調値を除いた範囲とする。逆に、画像データの階調値と閾値が等しい画素にもドットを形成するとした場合、画像データの取り得る最小階調値と同じ値の閾値を有する画素には、常にドットが形成されてしまうことになる。こうしたことを避けるため、閾値の取り得る範囲は、画像データの取り得る範囲から最小階調値を除いた範囲とする。本実施例では、画像データの取り得る階調値が0〜255であり、画像データと閾値が等しい画素にはドットを形成するとしていることから、閾値の取り得る範囲を1〜255としておくのである。尚、ディザマトリックスの大きさは、図7に例示したような大きさに限られるものではなく、縦と横の画素数が同じマトリックスも含めて種々の大きさとすることができる。
図8は、ディザマトリックスを参照しながら、各画素についてのドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。ドット形成の有無を判断するに際しては、先ず、判断しようとする画素を選択し、この画素についての画像データの階調値と、ディザマトリックス中で対応する位置に記憶されている閾値と比較する。図8中に示した細い破線の矢印は、画像データの階調値と、ディザマトリックスに記憶されている閾値とを、画素毎に比較していることを模式的に表したものである。例えば、画像データの左上隅の画素については、画像データの階調値は97であり、ディザマトリックスの閾値は1であるから、この画素にはドットを形成すると判断する。図8中に実線で示した矢印は、この画素にはドットを形成すると判断して、判断結果をメモリに書き込んでいる様子を模式的に表したものである。一方、この画素の右隣の画素については、画像データの階調値は97、ディザマトリックスの閾値は177であり、閾値の方が大きいので、この画素についてはドットを形成しないと判断する。ディザ法では、こうしてディザマトリックスを参照しながら、画素毎にドットを形成するか否かを判断することで、画像データを画素毎にドット形成の有無を表すデータに変換する。このように、ディザ法を用いれば、画像データの階調値とディザマトリックスに設定されている閾値とを比較するという単純な処理で、画素毎のドットの形成有無を判断することができるので、階調数変換処理を迅速に実施することが可能となる。
また、画像データの階調値が決まると、各画素にドットが形成されるか否かは、もっぱらディザマトリックスに設定される閾値によって決まることからも明らかなように、ディザ法では、ディザマトリックスに設定する閾値によって、ドットの発生状況を積極的に制御することが可能である。本実施例の階調数変換処理では、ディザ法のこうした特長を利用して、後述する特別な特性を有するディザマトリックスを用いて画素毎のドット形成の有無を判断することにより、双方向印刷時の往動時に形成されるドットと、復動時に形成されるドットとでドットの形成位置がずれた場合でも、そのことによる画質の悪化を最小限に抑制することを可能としている。画質の悪化を最小限に抑制可能な原理、および、こうしたことを可能とするディザマトリックスが備える特性については、後ほど詳しく説明する。
階調数変換処理を終了して、C,M,Y,K各色の階調データから画素毎にドット形成の有無を表すデータが得られたら、今度は、インターレース処理を開始する(ステップS108)。インターレース処理とは、ドットの形成有無による表現形式に変換された画像データを、ドットが実際に印刷用紙上に形成される順序を考慮しながら、カラープリンタ200に転送する順序に並べ替える処理である。コンピュータ100は、インターレース処理を行って画像データを並べ替えた後、最終的に得られたデータを、制御データとしてカラープリンタ200に出力する(ステップS110)。
カラープリンタ200は、このようにしてコンピュータ100から供給された制御データに従って、印刷用紙上にドットを形成することにより画像を印刷する。すなわち、図3を用いて前述したように、キャリッジモータ230および紙送りモータ235を駆動することによってキャリッジ240の主走査および副走査を行い、これらの動きに合わせて、ドットデータに基づいてヘッド241を駆動してインク滴を吐出する。その結果、適切な位置に適切な色のインクドットが形成されて画像が印刷されることになる。
以上に説明したカラープリンタ200は、キャリッジ240を往復動させながらドットを形成して画像を印刷していることから、キャリッジ240の往動時だけでなく復動時にもドットを形成することとすれば、画像を迅速に印刷することが可能である。もっとも、こうした双方向印刷を行う場合、キャリッジ240の往動時に形成したドットと、復動時に形成したドットとで、ドットの形成位置にずれが生じると画質が悪化してしまう。そこで、こうしたことを回避するために、通常のカラープリンタは、往動時あるいは復動時の少なくとも一方について、ドットを形成するタイミングを精度良く調整することができるようになっている。このため、往動時にドットが形成される位置と復動時にドットが形成される位置とを一致させることができ、双方向印刷を行った場合でも画質を悪化させること無く、高画質な画像を迅速に印刷することが可能となっている。しかし、その一方で、ドットを形成するタイミングを精度良く調整可能とするためには、専用の調整機構や調整用のプログラムが必要となり、カラープリンタが複雑化および大型化してしまう傾向がある。
こうした問題の発生を回避するために、本実施例のコンピュータ100では、往動時と復動時とでドットの形成位置が多少ずれた場合でも、画質への影響を最小限に抑制可能なディザマトリックスを用いてドットの形成有無を判断している。このようなディザマトリックスを参照して画素毎のドット形成有無を判断しておけば、往動時と復動時とでドットの形成位置が多少ずれても画質に大きな影響を与えることがない。このため、ドットの形成位置を高い精度で調整する必要が無く、調整のための機構や制御内容を簡素なものとすることができるので、カラープリンタをいたずらに大型化や複雑化させることを回避することが可能となっている。以下では、こうしたことが可能となる原理について説明し、その後、このようなディザマトリックスを生成するための一つの方法について簡単に説明する。
D.ドットの位置ずれによる画質の悪化を抑制する原理 :
本願発明は、ディザ法を用いて形成した画像について、新たな知見を見出したことが端緒となって完成されたものである。そこで、先ず初めに、本願発明の端緒となった新たに見出された知見について説明する。
図9は、本願発明の端緒となった知見について示した説明図である。図9(a)は、ある階調値の画像を形成するために、所定の密度でドットが形成されている様子を拡大して示している。良好な画質の画像を得るためには、図9(a)に示されているように、ドットが出来るだけ満遍なく分散された状態で形成されている必要がある。
このようにドットを、満遍なく分散された状態で形成するためには、いわゆるブルーノイズ特性を有するディザマトリックスを参照して、ドット形成の有無を判断すればよいことが知られている。ここで、ブルーノイズ特性を有するディザマトリックスとは、次のようなマトリックスを言う。すなわち、ドットを不規則に発生させるとともに、設定されている閾値の空間周波数成分は、1周期が2画素以下の高周波数領域に最も大きな成分を有するディザマトリックスを言う。尚、明るい(明度の高い)画像など、特定の明度付近では規則的なパターンでドットが形成される場合があっても良い。
図10は、ブルーノイズ特性を有するディザマトリックス(以下では、ブルーノイズマトリックスと呼ぶことがあるものとする)の各画素に設定されている閾値の空間周波数特性を概念的に例示した説明図である。尚、図10では、ブルーノイズマトリックスの空間周波数特性に加えて、いわゆるグリーンノイズ特性を有するディザマトリックス(以下では、グリーンノイズマトリックスと呼ぶことがあるものとする)に設定された閾値の空間周波数特性についても併せて表示している。グリーンノイズマトリックスの空間周波数特性については後述することとして、先ずブルーノイズマトリックスの空間周波数特性について説明する。
図10では、表示の都合から、横軸には空間周波数の代わりに周期を取って表示している。言うまでもなく、周期が短くなるほど、空間周波数は高くなる。また、図10の縦軸は、それぞれの周期での空間周波数成分を示している。尚、図示されている周波数成分は、ある程度変化が滑らかとなるように平滑化された状態で示されている。
ブルーノイズマトリックスに設定された閾値の空間周波数成分は、図中では実線によって例示されている。図示されているように、ブルーノイズマトリックスの空間周波数特性は、1周期の長さが2画素以下の高い周波数領域に最も大きな周波数成分を有する特性となっている。ブルーノイズマトリックスの閾値は、このような空間周波数特性を有するように設定されていることから、このような特性を有するマトリックスに基づいてドット形成の有無を判断してやれば、ドットが互いに離れた状態で形成されることになる。
以上のような理由から、ブルーノイズ特性を有するディザマトリックスを参照しながら、各画素についてのドット形成の有無を判断してやれば、図9(a)に例示したように、ドットが万遍なく分散した画像を得ることが可能となる。逆に言えば、図9(a)に示すようにドットを万遍なく分散して発生させるために、ディザマトリックスには、ブルーノイズ特性を有するように調整された閾値が設定されているのである。
尚、ここで、図10に示されたグリーンノイズマトリックスに設定された閾値の空間周波数特性について説明しておく。図10に示された破線の曲線は、グリーンノイズマトリックスの空間周波数特性を例示したものである。図示されているように、グリーンノイズマトリックスの空間周波数特性は、1周期の長さが2画素から十数画素の中間周波数領域に最も大きな周波数成分を有する特性となっている。グリーンノイズマトリックスの閾値は、このような空間周波数特性を有するように設定されていることから、グリーンノイズ特性を有するディザマトリックスを参照しながら各画素のドット形成の有無を判断すると、数ドット単位で隣接してドットが形成されながら、全体としてはドットの固まりが分散した状態で形成されることになる。いわゆるレーザープリンタなどのように、1画素程度の微細なドットを安定して形成することが苦手なプリンタでは、こうしたグリーンノイズマトリックスを参照してドット形成の有無を判断することで、孤立したドットの発生を抑制することができる。その結果、安定した画質の画像を迅速に出力することが可能となる。逆に言えば、レーザープリンタなどでドットの形成有無を判断する際に参照されるディザマトリックスには、グリーンノイズ特性を有するように調整された閾値が設定されている。
以上に説明したように、カラープリンタ200のようなインクジェットプリンタでは、ブルーノイズ特性を有するディザマトリックスが用いられており、従って、得られる画像は図9(a)に示すように、ドットが万遍なく分散した画像となっている。しかし、この画像を、ヘッドの往動時に形成されたドットと、復動時に形成されたドットとに分解してみたところ、往動時に形成されたドットのみによる画像(往動時の画像)、および、復動時に形成されたドットのみによる画像(復動時の画像)は、必ずしもドットが万遍なく分散しているわけではないことが見出された。図9(b)は、図9(a)に示した画像から、往動時に形成されたドットのみを抜き出して得られた画像である。また、図9(c)は、図9(a)に示した画像から、復動時に形成されたドットのみを抜き出して得られた画像である。
図示されているように、往復動のいずれで形成されるドットも合わせれば、図9(a)に示されているように、ドットが万遍なく形成されているにも拘わらず、図9(b)に示した往動時に形成されるドットのみの画像、あるいは、図9(c)に示した復動時に形成されるドットのみの画像は、いずれもドットが偏った状態で発生している。
このように、大きく傾向が異なることは意外ではあるが、次のように考えれば、半ば必然的に生じる現象でもあると思われる。すなわち、前述したようにドットの分布状態は、ディザマトリックスの閾値の設定に依存しており、ディザマトリックスの閾値は、ドットを良好に分散させるために、ブルーノイズ特性を有するような閾値の分布が特別に生成されて設定されている。ここで、ディザマトリックスの閾値の中で、往動時にドットが形成される画素の閾値、あるいは、復動時にドットが形成される画素の閾値を取り出して、それぞれの閾値の分布がブルーノイズ特性を有するような配慮はされていない以上、これら閾値の分布は、ブルーノイズ特性とは異なり、長周期領域で大きな周波数成分を有する特性となってしまうのは、半ば必然的であると考えられる(図10参照)。また、グリーンノイズ特性を有するディザマトリックスも、閾値の分布がグリーンノイズ特性を有するように、特に設定されたマトリックスであることを考えると、往動時あるいは復動時にドットが形成される画素の閾値は、グリーンノイズマトリックスが大きな周波数成分を有する周期よりも、長周期側で大きな周波数成分を有するものと考えられる(図10参照)。結局、ブルーノイズ特性を有するディザマトリックスから、往動時にドットが形成される画素の閾値、あるいは、復動時にドットが形成される画素の閾値を取り出すと、それら閾値の分布は、視覚の感度範囲に大きな周波数成分を有することとなる。このため、たとえ、ドットが万遍なく分散している画像でも、往動時に形成したドットのみ、あるいは復動時に形成したドットのみを抜き出すと、得られる画像はそれぞれ、図9(b)および図9(c)に示したようなドットが偏って発生した画像となってしまうものと考えられる。すなわち、図9に示した現象は、特定のディザマトリックスで生じる特異な現象ではなく、大部分のディザマトリックスで同様な現象が生じるものと考えられるのである。
以上のような、新たな知見と、この知見に対する考察とを踏まえて、他のディザマトリックスについても調査を行った。調査では、結果を定量的に評価するために、粒状性指数と呼ばれる指標を使用している。そこで、調査結果について説明する前に、粒状性指数について簡単に説明しておく。
図11は、人間が有する視覚の空間周波数に対する感度特性VTF(Visual Transfer Function)を概念的に示した説明図である。図示されているように、人間の視覚には高い感度を示す空間周波数が存在しており、空間周波数が高くなると次第に感度が低下する特性がある。また、空間周波数が極端に低い領域においても視覚の感度が低下する特性を有することが知られている。図11(a)には、こうした人間の視覚の感度特性の一例が示されている。こうした感度特性を与える実験式には、種々の実験式が提案されているが、図11(b)に代表的な実験式が示されている。尚、図11(b)中の変数Lは観察距離を表しており、変数uは空間周波数を表している。
こうした視覚の感度特性VTFに基づいて、粒状性指数(すなわち、ドットの目立ち易さを表す指標)を考えることができる。今、ある画像をフーリエ変換してパワースペクトルを求めたものとする。仮に、そのパワースペクトルに大きな周波数成分が含まれていたからといって、直ちに、その画像がドットの目立つ画像となるわけではない。何故なら、図11(a)を用いて前述したように、その周波数が人間の視覚感度の低い領域にあれば、たとえ大きな周波数成分を有していても、ドットがそれほど目立たないからである。逆に、人間の視覚感度が高い周波数では、たとえ、比較的小さな周波数成分しか存在しない場合でも、見る者にとってはドットが目立って感じられる場合もある。このことから、画像をフーリエ変換してパワースペクトルFSを求め、得られたパワースペクトルFSを、人間の視覚感度特性VTFに相当する重みを付けて、各空間周波数で積分してやれば、人間がドットを目立つと感じるか否かを示す指標が得られることになる。粒状性指数とは、このようにして得られた指標であり、図11(c)に示した計算式によって算出することができる。尚、図11(c)中の係数Kは、得られた値を人間の感覚と合わせるための係数である。
図9を用いて前述した現象が、特定のディザマトリックスで生じる特異な現象ではなく、大部分のディザマトリックスでも生じることを確かめるために、ブルーノイズ特性を有する種々のディザマトリックスについて、次のような調査を行った。先ず、双方向印刷によって形成された形成されたドットの中から、図9(b)に示したような往動時に形成されたドットのみによる画像(往動時の画像)を取得する。次いで、得られた画像の粒状性指数を算出する。こうした操作を、画像の階調値を変更しながら種々のディザマトリックスについて行った。
図12は、ブルーノイズ特性を有する種々のディザマトリックスについて、往動時の画像の粒状性指数を調査した結果を示した説明図である。図12には、解像度の異なる3つのディザマトリックスについて得られた結果のみが示されている。図12(a)に示したディザマトリックスAは、主走査方向の解像度1440dpi、副走査方向の解像度720dpiで印刷するためのディザマトリックスであり、図12(b)に示したディザマトリックスBは、主走査方向および副走査方向何れの解像度も1440dpiで印刷するために用いられるディザマトリックスである。また、図12(c)に示したディザマトリックスCは、主走査方向の解像度720dpi、副走査方向の解像度1440dpiで印刷するためのディザマトリックスである。尚、図12では、横軸に小ドットの形成密度を取って表示しており、表示された小ドットの形成密度40%以下の領域は、ドットが比較的目立ち易いとされるハイライト領域から中間階調領域の手前までの領域に相当している。
図12に示された3つの往動時の画像は、それぞれ異なる解像度で印刷するために別個に作成されたディザマトリックスから生成されたものであるにも拘わらず、何れも粒状性指数が悪化する領域(すなわち、ドットが目立ち易くなっている領域)が存在している。このような領域では、往動時の画像は、図9(b)に示したようにドットが偏って発生しているものと考えられる。結局、図12に示した3つのディザマトリクスは何れもブルーノイズ特性を有しており、従って、双方向印刷によって形成される画像はドットが偏らずに形成されたものであるにも拘わらず、少なくとも一部の階調領域では、往動時の画像あるいは復動時の画像はドットが偏って発生したものとなっている。このことから、図9を用いて前述した現象は、特定のディザマトリックスで生じる特異な現象ではなく、大部分のディザマトリックスで生じる一般的な現象であると考えられる。そして、このように往動時の画像あるいは復動時の画像ではドットが偏って発生することを踏まえると、このことが、双方向印刷時のドットの位置ずれによる画質の悪化に影響を与えている可能性が考えられる。そこで、双方向印刷時のドット形成位置を意図的にずらして形成した画像(位置ずれ画像)の粒状性指数と、往動時の画像の粒状性指数との間に、何らかの相関が見られるか否かを調査してみた。
図13は、位置ずれ画像の粒状性指数と、往動時の画像の粒状性指数との相関関係を調査した結果を示す説明図である。図13(a)は、図12(a)に示したディザマトリックスAについて調査した結果を示しており、図中の黒丸は位置ずれ画像の粒状性指数を、図中の白丸は往動時の画像についての粒状性指数をそれぞれ表している。また、図13(b)は、図12(b)に示したディザマトリックスBについて調査した結果を示しており、黒四角は位置ずれ画像の粒状性指数を、白四角は往動時画像の粒状性指数を表している。図13から明らかなように、何れのディザマトリックスについても、位置ずれ画像の粒状性指数と、往動時の画像についての粒状性指数との間には、驚くほど強い相関が見られる。このことから、双方向印刷時のドットの位置ずれによって画質が悪化する現象は、往動時の画像と復動時の画像との相対位置がずれることによって双方の画像のドットの偏りが顕在化することが、大きな要因の一つになっているものと考えられる。逆には、往動時の画像および復動時の画像のドットの偏りを低減しておけば、たとえ双方向印刷時にドットの位置ずれが生じた場合でも、画質の悪化を抑制することができるものと考えられる。
図14は、往動時の画像および復動時の画像のドットの偏りを低減しておけば、双方向印刷時にドットの位置ずれが生じた場合の画質悪化を抑制可能なことを示す説明図である。図14(a)には、ドットの位置ずれが無い状態で双方向印刷を行った画像と、ドットの形成位置を意図的に所定量だけずらした状態で印刷した画像とが、比較して示されている。また、図14(b)および図14(c)には、図14(a)に示した画像を、ヘッドの往動時に形成したドットのみによる画像(往動時の画像)と、復動時に形成したドットのみによる画像(復動時の画像)とに分解して得られた画像が、それぞれ示されている。
図14(b)および図14(c)に示されているように、往動時の画像も復動時の画像も、何れもドットが万遍なく分散した画像となっている。また、図14(a)の左側に示したように、ドットの位置ずれの無い状態では、往動時の画像と復動時の画像とを合成して得られる画像(すなわち、双方向印刷で得られる画像)も、ドットが万遍なく分散した画像となっている。このように、双方向印刷を行って得られた画像だけでなく、往動時の画像と復動時の画像とに分解した場合でも、それぞれの画像でドットが万遍なく分散するような画像は、図5の階調数変換処理において、後述するような特性を有するディザマトリックスを参照してドット形成の有無を判断することで得ることができる。そして、図14(a)の右側に示された画像は、このような往動時の画像と復動時の画像とを、所定量だけずらした状態で重ね合わせた画像に相当している。
図14(a)に示された位置ずれ無しの画像(左側の画像)と、位置ずれ有りの画像(右側の画像)とを比較すれば、右側の画像は、ドットの位置がずれることで、ずれのない左側の画像よりも若干ドットが目立ち易くなっているが、画質を大きく悪化させる程ではないことが了解される。このことは、往動時の画像および復動時の画像に分解した場合でも、でドットが万遍なく分散しているようにドットを発生させておけば、たとえ双方向印刷時にドットの位置ずれが生じても、これによる画質の悪化を大幅に抑制可能であることを示していると考えられる。
参考として、一般的なディザマトリックスを用いて形成した画像では、図14に示した場合と同じだけドットの位置ずれが生じたとしたときに、どの程度、画質が悪化するかを調べてみた。図15は、一般的なディザマトリックスで形成した画像で、ドットの位置ずれの有無による画質の悪化を示した説明図である。図15(a)に示した位置ずれ無しの画像(左側の画像)は、図9に示した往動時の画像と復動時の画像とを、位置ずれさせずに重ね合わせた画像である。また、図15(a)に示した位置ずれ有りの画像(右側の画像)は、往動時の画像と復動時の画像とを、図14に示した場合と同じだけ位置をずらした状態で重ね合わせた画像である。尚、図15(b)および図15(c)には、それぞれの往動時の画像および復動時の画像が示されている。
図15から明らかなように、往動時の画像および復動時の画像でドットが偏って発生していると、双方向印刷時にドットの形成位置がずれると、画質が大きく悪化したときに画質が大きく悪化してしまうことが確認できる。また、図14と図15とを比較すれば、往動時の画像および復動時の画像でドットを万遍なく分散させておくことで、ドットの位置ずれによる画質の悪化を、劇的に改善可能であることが了解できる。
本実施例のカラープリンタ200では、このような原理に基づいて、双方向印刷時のドットの位置ずれによる画質の悪化を、最小限に抑制することが可能となっているのである。このため、双方向印刷時に、往動時に形成されるドットと、復動時に形成されるドットとの形成位置を高い精度で一致させずとも、画質が悪化することが無い。その結果、ドットの位置ずれを精度良く調整するための機構や制御プログラムが不要となるので、プリンタの構成を簡素なものとすることが可能となる。更には、ヘッドを往復動させるための機構についても要求される精度を下げることが可能となり、この点でも、プリンタの構成の簡素化を図ることが可能となるのである。
E.ディザマトリックスの生成方法 :
次に、本実施例の階調数変換処理で参照されるディザマトリックスの生成方法について、その一例を説明する。すなわち、本実施例の階調数変換処理では、往動時に形成するドットについても、復動時に形成するドットについても、更には、これらを合わせたドットについても、万遍なく分散した状態でドットを発生させるために、次のような2つの特性を有するディザマトリックスを参照して階調変換処理を行っている。
[第1の特性]:ディザマトリックスの画素位置を、第1の画素位置のグループと、第2の画素位置のグループとに分類することが可能である。ここで、第1の画素位置および第2の画素位置とは、互いに、往動時または復動時の何れかでドットが形成されるとき、他方がそれ以外でドットが形成されるような関係にある画素位置をいう。
[第2の特性]:ディザマトリックスと、該ディザマトリックスから第1の画素位置に設定されている閾値を抜き出したマトリックス(第1の画素位置のマトリックス)と、第2の画素位置に設定されている閾値を抜き出したマトリックス(第2の画素位置のマトリックス)とが、何れもブルーノイズ特性あるいはグリーンノイズ特性を有している。ここで、「ブルーノイズ特性を有するディザマトリックス」とは、次のようなマトリックスをいう。すなわち、ドットを不規則に発生させるとともに、設定されている閾値の空間周波数成分は、1周期が2画素から十数画素の中間周波数領域に最も大きな成分を有するディザマトリックスを言う。また、「グリーンノイズ特性を有するディザマトリックス」とは、ドットを不規則に発生させるとともに、設定されている閾値の空間周波数成分は、1周期が2画素から十数画素の中間周波数領域に最も大きな成分を有するディザマトリックスをいう。尚、これらディザマトリックスは、特定の明度付近であれば、規則的なパターンでドットが形成される場合があっても良い。
前述したように、このような特性を有するディザマトリックスは、決して偶然に生成可能なわけではないので、こうしたディザマトリックスを生成する方法について、一例を簡単に説明しておく。
図16は、本実施例の階調数変換処理で参照されるディザマトリックスを生成する処理の流れを示すフローチャートである。本実施例のディザマトリックス生成処理は、ブルーノイズ特性やグリーンノイズ特性を有する既存のディザマトリックスを初期マトリックスとして、上述した[第1の特性]および[第2の特性]が得られるように、修正を加えることによってディザマトリックスを生成する。こうすれば、修正量を少なくして計算量を削減することができるからである。
ステップS200では、ディザマトリックス生成技術者は、ディザマトリックスの最適性を数値化するための評価関数を設定する。評価関数は、本実施例では、往動時の画像と、復動時の画像と、これらを重ね合わせた画像(合計の画像)とについての粒状性指数の平均値(粒状性評価値)として決定することができる。本実施例におけるディザマトリックスの最適性とは、往動時のドットと復動時のドットの形成位置の関係の変動に対する画質のロバスト性の最大化を意味するからである。この評価関数は、マトリックス最適化用コンピュータ(図示せず)に入力され、後述するディザマトリックスの最適化に利用される。
本発明は、さらに、後述する複数の変形例に示される画像の粒状性評価値を用いて決定することもできる。本発明は、極めて高い計算効率を実現することによって、ドットパターンの相対的なズレに起因する画質の劣化の抑制のためのディザマトリックスの最適化というような複雑な最適化問題に対応可能だからである。
ステップS210では、マトリックス最適化用コンピュータ(図示せず)は、たとえばブルーノイズ特性を有するディザマトリックスを初期ディザマトリックスとして読み込む。本実施例では、ディザマトリックスの最適性とは、往動時のドットと復動時のドットの形成位置の関係の変動に対してもこのブルーノイズ特性が最大限に維持されることを意味する。
ステップS220では、評定閾値と評定入力値が設定される。評定閾値とは、ディザマトリックスに格納される閾値のうち格納される要素が決定される閾値である。評定入力値とは、評定閾値との比較によってドットがオンとされる最小の入力値、すなわち、評定閾値と同一の値を有する階調値である。本実施例では、前述のように画像データの階調値と閾値とが等しい場合には、その画素にはドットを形成するものと判断されるからである。
評定閾値と評定入力値は、ドット密度の低いハイライト領域からドット密度の高いシャシャドー領域に順に設定される。具体的には、評定閾値は、閾値1〜255の範囲において閾値1から順に設定される。評定入力値は、入力階調値0〜255の範囲において階調値1から順に設定される。評定閾値と評定入力値とがハイライト領域からシャドー領域に順に設定される理由については後述する。
ステップS230では、準評定閾値と準評定入力値が設定される。準評定閾値とは、評定閾値よりも所定の値だけ大きな少なくとも1つの閾値である。準評定入力値とは、それぞれ準評定閾値と同一の値を有する複数の階調値である。準評定閾値と準評定入力値は、後述するように評定閾値が格納される要素を決定するために使用される値である。
ステップS240では、評定閾値の最適位置、すなわち評定閾値の最適な格納要素が決定される。評定閾値の最適位置は、ステップS200で設定された評価関数である粒状性評価値に基づいて決定される。
図17は、本実施例における評定閾値の最適位置決定処理の流れを示すフローチャートである。ステップS241では、前の評定閾値の最適位置が決定されたディザマトリックスがマトリックスAに設定される。具体的には、閾値1の最適位置が決定される前であれば、初期ディザマトリックスがマトリックスAに設定され、閾値1の最適位置が決定された後であれば、そのディザマトリックスがマトリックスAに設定さることになる。
ステップS242では、ディザマトリックスAから、2つの要素(要素Pおよび要素Q)がランダムに選択される。ステップS244では、選択された要素Pに設定されている閾値と、選択された要素Qに設定されている閾値との双方が格納要素の変更が可能であるか否かが判断される。要素P、Qに格納された閾値少なくとも一方が変更不可、すなわち最適位置が決定された後であれば処理がステップS242に戻される。一方、要素P、Qに格納された閾値の双方が変更可能、すなわち最適位置が決定される前であれば処理がステップS244に進められる。
ステップS244では、選択された要素Pに設定されている閾値と、選択された要素Qに設定されている閾値とを入れ換えて、得られたマトリックスをマトリックスBとする。ステップS245では、マトリックスAについての粒状性評価値Evaが算出される。
粒状性評価値Evaは、以下のようにして求められた評定ドットパターンと準評定ドットパターンとに基づく粒状性評価値である。評定ドットパターンは、評定入力階調値の画像にマトリックスAを用いたディザ法を適用して、ドットの形成有無によって表現されたシミュレーション画像として取得される。シミュレーション画像は、往動時にドットが形成される評定ドットパターンと、復動時にドットが形成される評定ドットパターンと、これらの組合せの評定ドットパターンとを含む。このようにして得られた複数の評定ドットパターンは、格納要素が既に決定された閾値を格納する要素と、評定閾値が格納された要素とに対応する画素にドットが形成されることによって得られる。本実施例では、小さな値の閾値から順に格納要素が決定されているからである。
準評定ドットパターンは、準評定入力階調値の画像にマトリックスAを用いたディザ法を適用して、同様に取得される。粒状性評価値Evaは、本実施例では、複数の評定ドットパターンの粒状性指数の和と、複数の準評定ドットパターンの粒状性指数の和と、にそれぞれ重み付けをおこなって算出される。具体的には、たとえば評定階調値が100である場合には、入力階調値が100の画像にマトリックスAを用いたディザ法で得られた複数の評定ドットパターンの粒状性指数の和を6倍し、準評定階調値101、102、103、104、105の複数の評定ドットパターンの粒状性指数の和を、それぞれを5倍、4倍、3倍、2倍、1倍して得られた値の総和として算出することができる。
このように、準評定ドットパターンを評価に使用するのは、閾値が大きくなるに従って変更可能な閾値が少なくなって閾値が格納される要素の選択肢が少なくなる事による弊害を抑制するためである。本実施例では、ドットの粒状性が目立つハイライト領域におけるドット配置をコントロールする閾値から順に格納される要素を固定していくことによってディザマトリックスの最適化を図っている。これにより、ドットの粒状性が目立つハイライト領域に対して大きな設計自由度を与えるとともに、各入力階調毎に粒状性指数を計算すれば良いため極めて高い処理効率で最適化を実現することができる。
しかしながら、目標となるディザマトリックスの特性如何によって、ハイライト領域側とシャドー領域側とにおいて、ドットの粒状性が目立つ程度の相違が変動する場合がある。このような場合には、比較的にシャドー領域側に設計の自由度を分配する方がより最適性の高いディザマトリックスが得られることになる。このような観点から比較的にシャドーよりの準評定閾値をも評価値に含めているのである。シャドー領域側への設計の自由度を分配量は、準評定階調値の数(上述の例では101、102、103の3つ)や重み付けによって任意に調整することができる。
ステップS246では、マトリックスBについても同様にして粒状性評価値Evbが算出される。ステップS247では、マトリックスAについての粒状性評価値Evaと、マトリックスBについての粒状性評価値Evbとが比較される。この比較の結果、粒状性評価値Evaの方が大きいと判断された場合には、マトリックスBをマトリックスAと読み替える(ステップS248)。一方、逆の場合には、処理がステップS249に進められる。
ステップS249では、粒状性評価値が収束したか否かが判断される。すなわち、粒状性評価値が安定したか否か、換言すれば、下げ止まったものと考えられるか否かが判断される。粒状性評価値が収束したか否かは、例えば、マトリックスAの粒状性評価値EvaよりもマトリックスBの粒状性評価値Evbの方が小さくなった場合について、粒状性評価値の減少量を求めておき、この減少量が複数回の操作に亘って安定して一定値以下となっていれば、粒状性評価値が収束したものと判断することができる。このようにして、粒状性評価値が収束したと判断されると、処理がステップS250に進められる。
ステップS250では、評定閾値の最適位置が固定される。最適位置が固定された閾値は、今後、入替の対象とは成らず、最適位置が固定されていない閾値の入替のみが行われることになる。評定閾値の最適位置が固定されると、処理がステップS220(図16)に戻される。
このような処理が1〜225の範囲の全ての閾値について行われると(ステップS260)、ディザマトリックスの最適化が完了し、最適化されたマトリックスが出力される(ステップS270)。
このように、本実施例では、ドットの粒状性が目立つハイライト領域におけるドット配置をコントロールする閾値から順に格納される要素を固定していくことによってディザマトリックスの最適化を図っている。これにより、ドットの粒状性が目立つハイライト領域に対して大きな設計自由度を与えるとともに、各入力階調毎に粒状性指数を計算すれば良いため極めて高い処理効率で最適化を実現することができる。加えて、比較的にシャドーよりの準評定閾値をも評価値に含めることができるので、シャドー領域側への設計の自由度の分配量を調整することもできる。
なお、本実施例では、ディザマトリックスの評価に使用される粒状性評価値Evaは、視覚の感度特性VTFを用いた主観的な評価値である粒状性指数に基づいて算出されているが、たとえば濃度分布の標準偏差であるRMS粒状度に基づいて算出するようにしても良い。
粒状性指数は、周知な方法であって、従来から広く使用されている評価指数である。しかし、粒状性指数の計算は、前述のように、画像をフーリエ変換してパワースペクトルFSを求め、得られたパワースペクトルFSを、人間の視覚感度特性VTFに相当する重みを付けて各空間周波数で積分する必要があるため、計算量が非常に多くなるという問題を有する。一方、RMS粒状度は、ドットの疎密のバラツキを表す客観的な尺度であって、解像度に応じて設定された平滑化フィルタによる平滑化処理と、ドット形成密度の標準偏差の計算だけで簡単に算出することができるので、繰り返し計算の多い最適化処理に好適である。加えて、RMS粒状度の利用は、人間の視覚感度特性VTFを利用した固定的な処理に対して、平滑化フィルタの設計次第で人間の視覚感度や視覚環境を考慮した柔軟な処理が可能となるという利点をも有する。
なお、上述の実施例では、第1の画素位置および第2の画素位置とは、互いに、往動時または復動時の何れかでドットが形成されるとき、他方がそれ以外でドットが形成されるような関係にある画素位置であるものとして説明した。すなわち、主走査方向に並んだ一列の画素(このような画素の並びは「ラスタ」と呼ばれる)の中にも、第1の画素位置と第2の画素位置とが含まれる場合があることになる。しかし、ドットの位置ずれ発生時の画質を確保する観点からは、同じラスタ内には第1の画素位置と第2の画素位置とが混在しないようにしておくことが望ましい。以下、この理由について説明する。
図18は、同じラスタ内では第1の画素位置と第2の画素位置とを混在させないことで、ドットの位置ずれ発生時の画質を確保可能な理由を示した説明図である。図中に示した黒丸は、往動時に形成されるドットを示しており、黒四角は復動時に形成されるドットを示している。すなわち、黒丸または黒四角の一方を第1の画素位置とすれば、他方が第2の画素位置となる。図18(a)は、同じラスタに第1の画素位置と第2の画素位置とが混在している状態を表しており、図18(b)は、同じラスタには第1の画素位置と第2の画素位置とが混在していない状態を表している。また、それぞれの図で、左側に示した図は、ドットの位置ずれが無い状態の画像を示しており、右側の図は、ドットが位置ずれしている状態の画像を示している。図18(a)から明らかなように、同じラスタに第1の画素位置と第2の画素位置とが混在している場合は、ドットの位置ずれが生じると、ラスタ内でドット間距離が接近する箇所と遠ざかる箇所とが生じることになり、これが画質を悪化させる。これに対して、図18(b)に示されているように、同じラスタで第1の画素位置と第2の画素位置とが混在していなければ、たとえ、ドットの位置ずれが生じた場合でも、ラスタ内ではドット間が接近する箇所と遠ざかる箇所とが生じることがなく、画質の悪化を抑制することが可能である。
加えて、図18(b)に示すように、第1の画素位置のラスタと第2の画素位置のラスタとが交互に配置されていれば、たとえ、ドットの位置ずれが発生しても、連続するラスタに亘ってドットが一方向にずれてしまい、これが視認されて画質を悪化させることを回避することも可能となる。
以上に説明したように、第1の画素位置のディザマトリックスおよび第2の画素位置のディザマトリックスを、ブルーノイズ特性(あるいはグリーンノイズ特性)を有するディザマトリックスとすることに加えて、同じラスタ内では第1の画素位置と第2の画素位置とが混在しないようにしておけば、たとえ、双方向印刷時にドットの形成位置がずれたとしても、そのことによって画質が悪化することを、より一層、効果的に抑制することが可能になるのである。
F.変形例 :
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、本発明は、以下のような変形例についてのディザマトリックスの最適化が可能である。
F−1.第1変形例 :
図19は、本発明の第1変形例における印刷ヘッド251、252を有するラインプリンタ200Lによる印刷状態を示す説明図である。印刷ヘッド251と印刷ヘッド252とは、それぞれ上流側と下流側とに複数個配置されている。ラインプリンタ200Lは、主走査を行うことなく副走査送りのみを行って高速に出力するプリンタである。
図19の右側には、ラインプリンタ200Lによって形成されるドットパターン500が示されている。丸の中の数字1、2は、ドットの形成を担当するのが印刷ヘッド251、252のいずれかであるか示している。具体的には、丸の中の数字が「1」と「2」のドットは、それぞれ印刷ヘッド251と印刷ヘッド252とで形成される。
ドットパターン500の太線の内部は、印刷ヘッド251と印刷ヘッド252の双方でドットが形成されるオーバーラップ領域である。オーバーラップ領域は、印刷ヘッド251と印刷ヘッド252との間のつなぎ目を滑らかにするとともに、印刷ヘッド251、252の両端部で生ずるドット形成位置の誤差を目立たなくするために設けられているものである。印刷ヘッド251、252の両端部では、印刷ヘッド251、252の製造個体差が大きくなってドット形成位置の誤差も大きくなるので、これを目立たなくすることが要請されるからである。
このような場合にも、印刷ヘッド251、252の相互の位置関係の誤差によって、上述の往動時と復動時とでドットの形成位置がずれた場合と同様の現象が生ずることになるので、印刷ヘッド251で形成される画素位置のグループと、印刷ヘッド252で形成される画素位置のグループとして上述の実施例と同様の処理によって画質の向上を図ることができる。
F−2.第2変形例 :
図20は、本発明の第2変形例におけるインターレース記録方式による印刷状態を示す説明図である。インターレース記録方式とは、印刷ヘッドの副走査方向に沿って測ったノズルピッチk[ドット]が2以上であるときに採用される記録方式を言う。インターレース記録方式では、1回の主走査では隣接するノズルの間に記録できないラスタラインが残り、このラスタライン上の画素は他の主走査時に記録される。本変形例では、主走査はパスとも呼ばれる。
図20(A)は、4個のノズルを用いた場合の副走査送りの一例を示しており、図20(B)はそのドット記録方式のパラメータを示している。図20(A)において、数字を含む実線の丸は、各パスにおける4個のノズルの副走査方向の位置を示している。ここで、「パス」とは1回分の主走査を意味している。丸の中の数字0〜3は、ノズル番号を意味している。4個のノズルの位置は、1回の主走査が終了する度に副走査方向に送られる。
図20(A)の左端に示すように、この例では副走査送り量Lは4ドットの一定値である。従って、副走査送りが行われる度に、4個のノズルの位置が4ドットずつ副走査方向にずれてゆく。各ノズルは、1回の主走査中にそれぞれのラスタライン上のすべてのドット位置(「画素位置」とも呼ぶ)を記録対象としている。図20(A)の右端には、各ラスタライン上のドットを記録するノズルの番号が示されている。
図20(B)には、このドット記録方式に関する種々のパラメータが示されている。ドット記録方式のパラメータには、ノズルピッチk[ドット]と、使用ノズル個数N[個]と、副走査送り量L[ドット]とが含まれている。図20の例では、ノズルピッチkは3ドットである。使用ノズル個数Nは4個である。
図20(B)の表には、各パスにおける副走査送り量Lと、その累計値ΣLと、ノズルのオフセットFとが示されている。ここで、オフセットFとは、最初のパス1におけるノズルの周期的な位置(図20では4ドットおきの位置)をオフセットが0である基準位置と仮定した時に、その後の各パスにおけるノズルの位置が基準位置から副走査方向に何ドット離れているかを示す値である。例えば、図20(A)に示すように、パス1の後には、ノズルの位置は副走査送り量L(4ドット)だけ副走査方向に移動する。一方、ノズルピッチkは3ドットである。従って、パス2におけるノズルのオフセットFは1である(図20(A)参照)。同様にして、パス3におけるノズルの位置は、初期位置からΣL=8ドット移動しており、そのオフセットFは2である。パス4におけるノズルの位置は、初期位置からΣL=12ドット移動しており、そのオフセットFは0である。3回の副走査送り後のパス4ではノズルのオフセットFは0に戻るので、3回の副走査を1サイクルとして、このサイクルを繰り返すことによって、有効記録範囲のラスタライン上のすべてのドットを記録することができる。
このように、第2変形例は、上述の往動時と復動時とでドットが埋められていくのに対して、1サイクル4回のパスドットが埋められていくので、副走査送りの誤差に起因して1サイクル中の各パス間の相互位置がずれることが考えられる。このため、上述の往動時と復動時とでドットの形成位置がずれた場合と同様の現象が生ずる可能性があるので、各サイクルの1番目のパスで形成される画素位置のグループと、2番目のパスで形成される画素位置のグループと、3番目のパスで形成される画素位置のグループとして上述の実施例と同様の処理によって画質の向上を図ることができる。
なお、インターレース記録方式では、各サイクルは必ずしも3回のパスでドットが埋められるとは限らず、2回でも良く、4回以上で1サイクルを構成するようにしても良い。この場合には、各サイクルを構成するパス毎にグループ分けをすることができる。
また、グループ分けは、必ずしも各サイクルを構成する全部のパスについて行う必要はなく、たとえば副走査送り誤差の累積が予測される4番目のパスで形成される画素位置のグループと、他のパスで形成される画素位置のグループとに分けるように構成しても良い。
F−3.第3変形例 :
図21は、本発明の第3変形例の双方向印刷方式における現実の印刷状態の例を示す説明図である。丸の中の文字は、往復のいずれの主走査でドットが形成されているかを示している。図21(a)は、主走査方向にズレが生じていない場合のドットパターンを示している。図21(b)および図21(c)は、主走査方向にズレが生じている場合のドットパターンを示している。
図21(b)では、印刷ヘッドの往動時にドットが形成される画素位置のグループに属する印刷画素に形成されるドットの位置に対して、印刷ヘッドの復動時にドットが形成される画素位置のグループに属する印刷画素に形成されるドットの位置が右方向に1ドットピッチだけシフトしている。一方、図21(c)では、印刷ヘッドの往動時にドットが形成される画素位置のグループに属する印刷画素に形成されるドットの位置に対して、印刷ヘッドの復動時にドットが形成される画素位置のグループに属する印刷画素に形成されるドットの位置が左方向に1ドットピッチだけシフトしている。
上述の実施例では、往同時に形成される画素グループに形成されるドットパターンと、復同時に形成される画素グループに形成されるドットパターンの双方に、ブルーノイズあるいはグリーンノイズの空間周波数分布を与えることによって、このようなズレに起因する画質劣化を抑制している。
これに対して、第3変形例は、往同時に形成される画素グループに形成されるドットパターンと、復同時に形成される画素グループに形成されるドットパターンとが主走査方向に1ドットピッチだけシフトして合成されたドットパターンがブルーノイズあるいはグリーンノイズの空間周波数分布を持つように、あるいは小さな粒状性指数を有するように構成されている。
粒状性指数に着目したディザマトリックスの構成は、たとえば主走査方向のズレが一方に1ドットピッチだけシフトした場合、他方に1ドットピッチだけシフトした場合、シフトなしの場合の粒状性指数の平均値が最小となるように構成しても良いし、あるいは、これらの場合の空間周波数分布が相互に高い相関係数を有するように構成しても良い。
F−4.本発明は、複数の印刷ヘッドを用いて印刷を行う印刷にも適用することができる。具体的には、複数の印刷ヘッドの各々がドットの形成を担当する複数の画素位置のグループに形成されるドットの空間周波数分布が相互に高い相関係数を有するように構成しても良い。
こうすれば、複数の印刷ヘッドを用いた印刷において、たとえば印刷ヘッドの相互間のドット形成位置のズレに対するロバスト性の高いハーフトーン処理を構成することができる。
F−5.第4変形例 :
図22は、本発明の第4変形例における評定階調値Ethと準評定階調値Qth1〜Qth5に対する重み付けを示すグラフである。このグラフにおいて、直線Lw上にプロットされた三角印が上述の実施例における重み付けを表し、曲線Cw上にプロットされた丸印が第4変形例における重み付けを表している。
上述の実施例では、評定閾値に対応する評定階調値が100である場合の評定ドットパターンの粒状性指数の和を6倍し、準評定閾値に対応する準評定階調値101、102、103、104、105の複数の評定ドットパターンの粒状性指数の和を、それぞれを5倍、4倍、3倍、2倍、1倍して得られた値の総和として算出している。このように、上述の実施例では、評定階調値や準評定階調値と重み付けが直線状(直線Lw)になっている。
これに対して本発明の第4変形例では、重み付けは、図22の曲線Cwのように、重み付けと階調値とを順に結ぶ曲線が原点方向に凸状となるように設定されている。このような設定は、発明者による実験によって顕著な効果を奏する設定として確認されたものである。原点方向に凸状の曲線を表す関数として、発明者によって実験で顕著な効果が確認された関数には指数関数が含まれている。
F−6.第5変形例 :
図23は、本発明の第5変形例のディザマトリックスの生成処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、図16のフローチャートに対してステップS215が追加されたものである。ステップS215では、初期状態としてのディザマトリックスの各階調値における評価値である初期評価値が算出されるとともに、この初期評価値に応じて重み付けが調整される。この重み付けの調整は、後述の方法で評定閾値毎に行われる。
図24は、初期状態としてのディザマトリックスの粒状性指数を表す説明図である。このディザマトリックスは、階調値64近辺や階調値150近辺において、粒状性指数が大きくなっている。このことは、このディザマトリックスが、階調値64近辺や階調値150近辺において、改善の余地が大きいことを意味している。すなわち、初期状態において粒状性指数が十分に小さい階調値において改善を加えるよりも、粒状性指数が比較的に大きな階調値おいて改善を加える方が、効果的にディザマトリックスを最適化することができる。第5変形例は、このような観点から重み付けを設定(あるいは調整)するように構成されている。
図25は、図24の各階調値のウィンドウW1〜W4における重み付けの例を示す説明図である。ウィンドウW1は、階調値35〜40のウィンドウである。ウィンドウW1では、粒状性指数が低い水準で一定なので、曲線Cw1(図22)が無調整で利用されている。ウィンドウW2は、階調値64〜69のウィンドウである。ウィンドウW2では、粒状性指数が階調値67〜68で突出しているので、曲線Cw1に対して階調値67〜68を中心に大きくなるように調整されている。ウィンドウW3では、粒状性指数が階調値160近辺で右肩上がりとなっているので、曲線Cw1に対して右肩上がりの調整が行われている。ウィンドウW4では、粒状性指数が階調値170近辺で右肩下がりとなっているので、曲線Cw1に対して右肩下がりの調整が行われている。
このように、第5変形例では、初期状態としてのディザマトリックスの評価値が目標状態から離れていてディザマトリックスの改善の余地が大きい閾値ほど、評価の重み付けが大きくなるように設定されているので、顕著な効果を得ることができるという利点がある。なお、この変形例では、目標状態は、粒状性指数がゼロの状態を意味する。
F−7.上述の実施例や変形例では、ディザマトリックスに設定されている閾値と画像データの階調値とを画素毎に比較することによって、画素毎にドット形成の有無を判断しているが、たとえば閾値と階調値の和を固定値と比較してドット形成の有無を判断するようにしても良い。さらに、閾値を直接使用することなく閾値に基づいて予め生成されたデータと、階調値とに応じてドット形成の有無を判断するようにしても良い。本発明のハーフトーン処理は、一般に、各画素の階調値と、ディザマトリックスの対応する画素位置に設定された閾値とに応じてドットの形成の有無を判断するものであれば良い。
本実施例の印刷装置としての印刷システムの概要を示した説明図である。 本実施例の画像処理装置としてのコンピュータの構成を示す説明図である。 本実施例のカラープリンタの概略構成を示す説明図である。 インク吐出用ヘッドにおけるインクジェットノズルの配列を示す説明図である。 本実施例の画像印刷処理の流れを示すフローチャートである。 色変換処理のために参照されるLUTを概念的に示した説明図である。 ディザマトリックスの一部を概念的に例示した説明図である。 ディザマトリックスを参照しながら各画素についてのドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。 本願発明の端緒となった知見について示した説明図である。 ブルーノイズ特性を有するディザマトリックスの各画素に設定されている閾値の空間周波数特性を概念的に例示した説明図である。 人間が有する視覚の空間周波数に対する感度特性VTFを概念的に示した説明図である。 ブルーノイズ特性を有する種々のディザマトリックスについて往動時の画像の粒状性指数を調査した結果を示した説明図である。 位置ずれ画像の粒状性指数と往動時の画像の粒状性指数との相関関係を調査した結果を示す説明図である。 双方向印刷時にドットの位置ずれが生じた場合でも画質悪化を抑制可能な原理を示す説明図である。 一般的なディザマトリックスで形成した画像でドットの位置ずれの有無による画質の悪化を示した説明図である。 本実施例の階調数変換処理で参照されるディザマトリックスを生成する処理の流れを示すフローチャートである。 本実施例における評定閾値の最適位置決定処理の流れを示すフローチャートである。 同じラスタ内では第1の画素位置と第2の画素位置とを混在させないことでドットの位置ずれ発生時の画質を確保可能な理由を示した説明図である。 本発明の第1変形例における印刷ヘッド251、252を有するラインプリンタ200Lによる印刷状態を示す説明図である。 本発明の第2変形例におけるインターレース記録方式による印刷状態を示す説明図である。 本発明の第3変形例の双方向印刷方式における現実の印刷状態の例を示す説明図である。 本発明の第4変形例における準評定閾値の各々の重み付けを示すグラフである。 本発明の第5変形例のディザマトリックスの生成処理の流れを示すフローチャートである。 初期状態としてのディザマトリックスの粒状性指数を表す説明図である。 本発明の第5変形例において準評定閾値の各々の重み付けが調整される様子を示す説明図である。
符号の説明
10…プリンタ、 20…デジタルカメラ、 30…コンピュータ、
100…コンピュータ、 108…周辺機器インターフェースPIF、
109…ディスクコントローラDDC、
110…ネットワークインターフェースカードNIC、
112…ビデオインターフェースVIF、
116…バス、 118…ハードディスク、 120…デジタルカメラ、
122…カラースキャナ、 124…フレキシブルディスク、
126…コンパクトディスク、 230…キャリッジモータ、 235…モータ、
236…プラテン、 240…キャリッジ、 241…印字ヘッド、
242…インクカートリッジ、 243…インクカートリッジ、
244、251、252…インク吐出用ヘッド、 260…制御回路
200…カラープリンタ
300…通信回線、 310…記憶装置

Claims (9)

  1. ディザマトリックスを生成する方法であって、
    ドット形成ヘッドの往復動による双方向印刷における前記ドット形成ヘッドの往動時の画像と、前記ドット形成ヘッドの復動時の画像と、前記往動時の画像および前記復動時の画像を重ね合わせた画像と、についての粒状性に基づく評価値を算出するための評価関数を設定する評価関数設定工程と、
    入力諧調値に応じて画素毎のドットの形成の有無を決定するための複数の閾値を各要素に格納する初期状態としてのディザマトリックスを準備する準備工程と、
    前記要素に格納された複数の閾値の一部を、他の要素に格納された閾値と入れ替えつつ比較的に小さな値を有する閾値から順に格納される要素を固定する格納要素固定工程と、
    前記複数の閾値の全ての格納要素が固定されたディザマトリックスを出力する工程と、
    を備え、
    前記格納要素固定工程は、
    前記複数の閾値のうち格納される要素が固定されていない閾値の一部を相互に入れ替える入替工程と、
    前記評価関数を用いて、前記閾値が入れ替えられた前後のディザマトリックスを適用して取得された前記ドット形成ヘッドの往動時のドットパターンと、前記ドット形成ヘッドの復動時のドットパターンと、前記往動時のドットパターンおよび前記復動時のドットパターンを重ね合わせたドットパターンと、に基づいて、前記閾値が入れ替えられた前後のディザマトリックスの評価値を算出する評価値算出工程と、
    前記評価値算出工程によって算出された評価値に応じて、前記閾値が入れ替えられた前後のディザマトリックスの一方を、次回の前記入替工程において閾値を入れ替える対象として選択する選択工程と、
    前記入替工程、前記評価値算出工程、前記選択工程を繰り返す中で前記評価値の所定の基準への適合に応じて、前記格納される要素が決定されていない閾値の中で最も小さな値を有する評定閾値が格納される要素を固定する固定工程と
    を含み、
    前記格納要素固定工程を前記複数の閾値の格納要素の全てが固定されるまで繰返すことを特徴とする、ディザマトリックスの生成方法。
  2. 請求項1記載のディザマトリックスの生成方法であって、
    前記評価値は、前記評定閾値よりも小さな閾値が格納されている要素に対応する画素と、前記評定閾値が格納されている要素に対応する画素とにドットが形成されたと仮定したときのドットパターンの特性値に応じて算出される、ディザマトリックスの生成方法。
  3. 請求項2記載のディザマトリックスの生成方法であって、
    前記評価値は、前記ドットパターンと、前記ドットパターンに対して前記評定閾値よりも大きな特定の閾値毎に対応する画素にドットが追加されたと仮定したときの少なくとも1つのドットパターンと、前記複数のドットパターンの特性値の各々に対して所定の重み付けを乗ずることによって算出され、
    前記所定の重み付けは、前記特定の閾値が有する値が前記評定閾値に近いほど大きくなるように設定されている、ディザマトリックスの生成方法。
  4. 請求項2記載のディザマトリックスの生成方法であって、
    前記評価値は、前記ドットパターンと、前記ドットパターンに対して前記評定閾値よりも大きな特定の閾値毎に対応する画素にドットが追加されたと仮定したときの複数のドットパターンと、前記複数のドットパターンの特性値の各々に対して所定の重み付けを乗ずることによって算出され、
    前記所定の重み付けは、前記所定の重み付けと前記特定の閾値とで構成された2次元グラフにおいて、前記所定の重み付けと前記特定の閾値とを順に結ぶ曲線が原点方向に凸状となるように設定されている、ディザマトリックスの生成方法。
  5. 請求項4記載のディザマトリックスの生成方法であって、さらに、
    前記初期状態としてのディザマトリックスの各閾値について、前記各閾値よりも小さな閾値が格納されている要素に対応する画素と、前記各閾値が格納されている要素に対応する画素とにドットが形成されたと仮定したときのドットパターンの特性値に応じて初期評価値を算出する工程を備え、
    前記所定の重み付けは、前記初期評価値に応じて、前記初期評価値が所定の目標状態から離れているほど、大きくなるように調整されている、ディザマトリックスの生成方法。
  6. 請求項2または3に記載のディザマトリックスの生成方法であって、
    前記特性値は、予め設定された目標特性としての空間周波数分布に対する相関係数である、ディザマトリックスの生成方法。
  7. 請求項2ないし6のいずれかに記載のディザマトリックスの生成方法であって、
    前記評価値算出工程は、
    フィルタを用いて前記ドットパターンから比較的に低い周波成分を抽出する工程と、
    前記抽出された低周波成分に基づいてRMS粒状度を計算するとともに、前記RMS粒状度に応じて前記評価値を算出する工程と、
    を含む、ディザマトリックスの生成方法。
  8. ディザマトリックスの評価値を算出するための評価関数に基づいてディザマトリックスを生成するためのコンピュータプログラムであって、
    入力諧調値に応じて画素毎のドットの形成の有無を決定するための複数の閾値を各要素に格納する初期状態としてのディザマトリックスを読み込む機能と、
    前記要素に格納された複数の閾値の一部を、他の要素に格納された閾値と入れ替えつつ比較的に小さな値を有する閾値から順に格納される要素を固定する格納要素固定機能と、
    前記複数の閾値の全ての格納要素が固定されたディザマトリックスを出力する機能と、
    を前記コンピュータに実現させるプログラムを備え、
    前記評価関数は、ドット形成ヘッドの往復動による双方向印刷における前記ドット形成ヘッドの往動時の画像と、前記ドット形成ヘッドの復動時の画像と、前記往動時の画像および前記復動時の画像を重ね合わせた画像と、についての粒状性に基づく評価値を算出するための評価関数であり、
    前記格納要素固定機能は、
    前記複数の閾値のうち格納される要素が固定されていない閾値の一部を相互に入れ替える入替機能と、
    前記評価関数を用いて、前記閾値が入れ替えられた前後のディザマトリックスを適用して取得された前記ドット形成ヘッドの往動時のドットパターンと、前記ドット形成ヘッドの復動時のドットパターンと、前記往動時のドットパターンおよび前記復動時のドットパターンを重ね合わせたドットパターンと、に基づいて、前記閾値が入れ替えられた前後のディザマトリックスの評価値を算出する評価値算出機能と、
    前記評価値算出工程によって算出された評価値に応じて、前記閾値が入れ替えられた前後のディザマトリックスの一方を、次回の前記入替工程において閾値を入れ替える対象として選択する選択機能と、
    前記入替機能、前記評価値算出機能、前記選択機能によって実施される各処理を繰り返す中で前記評価値の所定の基準への適合に応じて、前記格納される要素が決定されていない閾値の中で最も小さな値を有する評定閾値が格納される要素を固定する固定機能と
    を含み、
    前記格納要素固定機能によって実施される処理を前記複数の閾値の格納要素の全てが固定されるまで繰返すことを特徴とする、コンピュータプログラム。
  9. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の生成方法により生成されたディザマトリックスを用いてドットを形成することによって画像を印刷する印刷装置。
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