JP2020192783A - 画像処理装置、印刷方法および印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】誤差拡散法によるハーフトーン処理において、印刷画像の画質の低下を抑制する。【解決手段】複数の画素データにより形成される画像データから、印刷ヘッドを走査方向に往復動させて画像を印刷する印刷装置用の印刷データを生成する画像処理装置は、画素データから印刷時に用いられるインク量データに変換された画素インク量データと、複数の誤差拡散マトリックスから選択される一の誤差拡散マトリックスとを用いて、インク量データにおける注目画素を順次変更して、注目画素に対応するドットの形成の有無を決定するハーフトーン処理部を備え、ハーフトーン処理部は、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッドの走査方向の向きに応じて、一の誤差拡散マトリックスを選択する。【選択図】図8

Description

本開示は、ハーフトーン処理技術に関する。
多階調の画像データを各インク色のドットのオン/オフデータに変換する、いわゆるハーフトーン技術として、誤差拡散法が知られている。特許文献1には、強化学習によって誤差拡散係数を算出する技術が開示されている。
特開2018−202789号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、入力データが強化学習に用いられる学習データから外れた場合に最適な誤差拡散係数を得られないおそれがある。したがって、例えば、印刷条件が変わった場合や、双方向印刷の往動時または復動時においてインク滴の着弾位置が予定位置からずれてしまった場合等に、印刷画像の画質が低下する問題が生じ得る。
本開示の一実施形態によれば、複数の画素データにより形成される画像データから、印刷ヘッドを走査方向に往復動させて画像を印刷する印刷装置用の印刷データを生成する画像処理装置が提供される。この画像処理装置は、前記画素データから印刷時に用いられるインク量データに変換された画素インク量データと、複数の誤差拡散マトリックスから選択される一の誤差拡散マトリックスとを用いて、前記インク量データにおける注目画素を順次変更して、前記注目画素に対応するドットの形成の有無を決定するハーフトーン処理部を備え、前記ハーフトーン処理部は、前記注目画素に対応するドットが形成される際の前記印刷ヘッドの前記走査方向の向きに応じて、前記一の誤差拡散マトリックスを選択する。
本開示の一実施形態としての画像処理装置を備える印刷装置の概略構成を示すブロック図である。 タスキ方式による記録方法を説明するための説明図である。 ラスター交互方式による記録方法を説明するための説明図である。 基準誤差拡散マトリックスの一例を模式的に示す説明図である。 第1誤差拡散マトリックスの一例を模式的に示す説明図である。 第2誤差拡散マトリックスの一例を模式的に示す説明図である。 印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。 ハーフトーン処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。 第1誤差拡散マトリックスを用いて形成されたドットパターンを示す説明図である。 基準誤差拡散マトリックスを用いて形成されたドットパターンを示す説明図である。 第2誤差拡散マトリックスを用いて形成されたドットパターンを示す説明図である。 基準誤差拡散マトリックスを用いて形成されたドットパターンを示す説明図である。 第2実施形態における画像処理装置を備える印刷装置の概略構成を示すブロック図である。 タスキ方式における主走査パスを説明するための説明図である。 ラスター交互方式における主走査パスを説明するための説明図である。 第2実施形態における第1誤差拡散マトリックスの一例を模式的に示す説明図である。 第2実施形態における第2誤差拡散マトリックスの一例を模式的に示す説明図である。 カラム方式による記録方法を説明するための説明図である。 第3誤差拡散マトリックスの一例を模式的に示す説明図である。
A.第1実施形態:
A1.装置構成:
図1は、本開示の一実施形態としての画像処理装置を備える印刷装置20の概略構成を示すブロック図である。印刷装置20は、双方向印刷を行うシリアル式インクジェットプリンターである。印刷装置20は、紙送りモーター74によって印刷媒体Pを搬送する機構と、キャリッジモーター70によってキャリッジ80をプラテン75の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ80に搭載された印刷ヘッド90を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、印刷データの生成と印刷装置20の動作全体の制御とを行う制御ユニット30とを備える。
キャリッジ80をプラテン75の軸方向に往復動させる機構は、プラテン75の軸と平行に架設され、キャリッジ80を摺動可能に保持する摺動軸73と、キャリッジモーター70との間に無端の駆動ベルト71を張設するプーリー72等から構成されている。
キャリッジ80には、カラーインクとして、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インク、ブラック(B)インクをそれぞれ収容したインクカートリッジ82、83、84および85が搭載される。キャリッジ80の下部の印刷ヘッド90には、上述の各色のカラーインクに対応するノズル列が形成されている。キャリッジ80にインクカートリッジ82、83、84および85を上方から装着すると、各インクカートリッジ82、83、84および85から印刷ヘッド90へのインクの供給が可能となる。
制御ユニット30は、CPU40と、メモリー60と、入出力インターフェイス50とを備えるマイクロコンピューターにより構成されている。CPU40、メモリー60、および入出力インターフェイス50は、内部バス55を介して双方向に通信可能に接続されている。CPU40は、メモリー60に予め格納されている制御プログラムを実行することにより、入力部41、ドットデータ生成部42、および印刷制御部47として機能する。
入力部41は、制御ユニット30に接続されたメモリーカードスロット98に挿入されたメモリカードMCから、入出力インターフェイス50を介して、印刷対象となる画像データORGを読み込む。本実施形態では、画像データORGは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色成分からなる256階調の画像データである。また、入力部41は、操作パネル99への入力を受け付ける。本実施形態では、入力部41は、印刷開始の指示においてユーザーにより設定される印刷設定条件を取得する。
ドットデータ生成部42は、画像データORGから、画像データORGを構成する各画素データに対するドットの形成の有無を示すドットデータを生成する。ドットデータ生成部42は、解像度変換部43と、色変換部44と、ハーフトーン処理部45と、インターレース処理部46とを有する。
解像度変換部43は、画像データORGの解像度を、印刷媒体Pに印刷される際の解像度に変換する。
色変換部44は、R、G、Bの色成分から成る画像データORGを、印刷装置20のインク色C、M、Y、Kの各色成分から成る画像データに変換する。具体的には、色変換部44は、メモリー60に予め格納されている図示しない色変換テーブルを参照して、画像データORGを構成する複数の画素データのそれぞれを、0〜255階調で表現されるインク色毎のインク量のデータに変換する。以降の説明では、各画素に割り当てられているインク量のデータを「画素インク量データ」と呼び、各画素インク量データにより構成されるインク色ごとのインク量のデータを総称して「インク量データ」と呼ぶ。
ハーフトーン処理部45は、各インク色のインク量データから、各インク色のドット形成の有無、すなわち、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドットおよび小ドット)の形成有りとドットの形成無しの4階調で表現されるドットデータを生成する、ハーフトーン処理を実行する。本実施形態では、ハーフトーン処理は、いわゆる誤差拡散法により実行される。メモリー60には、ドットの記録方法ごとに異なる2つの誤差拡散マトリックスM1およびM2が予め格納されており、ハーフトーン処理部45は、印刷設定条件によって決定される記録方法に応じて、いずれか一方の誤差拡散マトリックスを選択して、誤差拡散に用いる。記録方法および誤差拡散マトリックスについての詳細な説明は、後述する。
インターレース処理部46は、ハーフトーン処理により得られるドットデータを、印刷装置20のノズル配置や紙送り量などに合わせて、1回の主走査単位で印画するドットパターンデータに並び替えた上で、印刷制御用のコマンドを含む印刷データを生成する。
印刷制御部47は、印刷データにしたがって、印刷ヘッド90、キャリッジモーター70、紙送りモーター74等を駆動し、印刷媒体Pへの印刷を行う。なお、印刷制御部47は、本開示において印刷部の下位概念に相当する。
入出力インターフェイス50は、メモリーカードスロット98、操作パネル99、キャリッジモーター70、印刷ヘッド90、および紙送りモーター74にそれぞれ制御信号線を介して接続されている。メモリーカードスロット98から送信された画像データORGや、操作パネル99にユーザーにより入力される各種設定は、入出力インターフェイス50を介してCPU40に入力される。キャリッジモーター70、印刷ヘッド90および紙送りモーター74に対しては、CPU40の指示に基づいて入出力インターフェイス50を介して駆動制御信号が出力される。
メモリー60は、ROM、RAMおよびEEPROMを含む。メモリー60には、上述の各機能部の機能を実現する制御プログラムと、上述の誤差拡散マトリックスM1およびM2とが格納されている。誤差拡散マトリックスM1およびM2は、いずれも複数の異なる誤差拡散係数により構成される。誤差拡散マトリックスM1およびM2の詳細な構成については後述する。
以上のようなハードウェア構成を有する印刷装置20は、キャリッジモーター70を駆動することによって、印刷ヘッド90を印刷媒体Pに対して主走査方向Xに往復動させ、紙送りモーター74を駆動することによって、印刷媒体Pを副走査方向Yの下流側に移動させる。副走査方向Yは、主走査方向Xと交差する方向であり、本実施形態では、主走査方向Xと直交する方向である。制御ユニット30は、キャリッジ80が往復動する動き(主走査)や、印刷媒体Pの紙送りの動き(副走査)に合わせて、印刷データに基づいて適切なタイミングでノズルを駆動することにより、印刷媒体P上の適切な位置に適切な色のドットを形成する。
A2.記録方法および誤差拡散マトリックスの構成:
印刷装置20は、印刷媒体Pにおける主走査方向Xの同一の領域におけるドットの形成を印刷ヘッド90の複数回の走査によって完成させる。したがって、同一の領域に、往動時に形成されるドットと、復動時に形成されるドットとが混在する。記録方法は、各画素位置に対応するドットを、往動時と復動時とのうちのいずれの走査で形成するかを規定し、本実施形態では、タスキ方式と、ラスター交互方式とが定められている。
図2は、タスキ方式による記録方法を説明するための説明図である。図3は、ラスター交互方式による記録方法を説明するための説明図である。図2および図3に示す各マス目は、ドットデータにおける1画素にそれぞれ対応している。各マス内の矢印は、各画素に対応するドットが印刷媒体P上に形成される際の印刷ヘッド90の走査方向(移動方向)の向きを示している。ハッチングが付された画素に対応するドットは、印刷ヘッド90が右方向に移動する際(往動時)にインクが吐出されて形成され、ハッチングが付されていない画素に対応するドットは、印刷ヘッド90が左方向に移動する際(復動時)にインクが吐出されて形成される。
図2に示すように、タスキ方式による記録方法は、主走査方向Xおよび副走査方向Yにおいて隣り合う画素ごとに、ドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向が反対向きとなる記録方法を意味する。奇数パス目においてドットが形成される各画素と、偶数パス目においてドットが形成される各画素とは、同じカラムにおいて走査方向の向きが反対向きになり、主走査方向Xにおいて走査方向の向きが交互になる配列が採用されている。
これに対して、図3に示すラスター交互方式による記録方法は、副走査方向Yにおいて隣り合うラスターラインごとに、印刷ヘッド90の走査方向の向きが反対向きとなる記録方法を意味する。奇数パス目においてドットが形成される各画素と、偶数パス目においてドットが形成される各画素とは、タスキ方式と同様に、同じカラムにおいて走査方向の向きが反対向きになり、主走査方向Xについては、タスキ方式とは異なり、走査方向がいずれも同じ向きとなる配列が採用されている。
記録方法は、印刷媒体Pの種類や、印刷品質等の印刷条件にしたがって一意に決定される。例えば、印刷媒体Pの種類と記録方法とが対応づけられたテーブルをメモリー60に予め格納しておき、ユーザーからの印刷指示において指定される印刷設定条件とテーブルとを照らし合わせることで、記録方法を特定できる。後述のハーフトーン処理では、特定された記録方法がタスキ方式である場合は、第1誤差拡散マトリックスM1が用いられ、特定された記録方法がラスター交互方式である場合には、第2誤差拡散マトリックスM2が用いられる。
図4、図5および図6は、誤差拡散マトリックスの一例を模式的に示す説明図である。図4は、基準誤差拡散マトリックスMBを示し、図5は、第1誤差拡散マトリックスM1を示し、図6は、第2誤差拡散マトリックスM2を示している。図4〜図6において、各マスは、1画素を表し、丸印が付された画素は、注目画素を表す。図5および図6において、各画素のハッチングの有無は、各画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きの相違を表し、それぞれ、図2および図3に示す各画素のハッチングの有無に対応している。すなわち、ハッチングが付された画素は、印刷ヘッド90の右方向への走査時にドットが形成される画素を示し、ハッチングが付されていない画素は、印刷ヘッド90の左方向への走査時にドットが形成される画素を示している。各誤差拡散マトリックスMB、M1およびM2は、主走査方向Xに5画素、副走査方向Yに2画素の大きさを有し、各画素には誤差拡散係数(重み値)が割り当てられている。
基準誤差拡散マトリックスMBは、第1誤差拡散マトリックスM1および第2誤差拡散マトリックスM2を作成する際に元となる誤差拡散マトリックスである。基準誤差拡散マトリックスMBは、主走査方向Xに5画素、副走査方向Yに5画素のガウシアンフィルターを元に作成されている。
第1誤差拡散マトリックスM1および第2誤差拡散マトリックスM2は、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きと同じ向きに印刷ヘッド90を移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数が、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きとは反対向きに印刷ヘッド90を移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きくなるように作成されている。図5および図6に示すように、注目画素と同様に、印刷ヘッド90の右方向への移動時にドットが形成される画素(ハッチングが付された画素)位置に割り当てられている誤差拡散係数は、印刷ヘッド90の左方向への移動時にドットが形成される画素(ハッチングが付されていない画素)位置に割り当てられている誤差拡散係数よりも大きく設定されている。各誤差拡散係数は、実験や、印刷シミュレーション等により決定することができる。
A3.印刷処理:
図7は、印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。ユーザーが操作パネル99等を用いて、原画像の画像データおよび印刷設定条件を指定して印刷指示を行うと、印刷処理が開始される。本実施形態では、印刷対象の画像データは、メモリカードMCに記憶された画像データORGであるとする。
ステップS105において、入力部41は、入出力インターフェイス50を介してメモリカードMCから画像データORGを読み込む。ステップS110において、入力部41は、入出力インターフェイス50を介してプリンタードライバーから印刷設定条件を取得する。ステップS115において、解像度変換部43は、解像度変換処理を実行する。具体的には、解像度変換部43は、画像データORGの解像度を印刷媒体Pに印刷する際の解像度に変換する。ステップS120において、色変換部44は、色変換処理を実行する。具体的には、色変換部44は、図示しない色変換テーブルを参照し、256階調のRGBの画素データをインク色CMYKの色空間により表される256階調のCMYKの画素インク量データに変換する。色変換部44は、インク色毎に色変換を実行する。したがって、本実施形態では、一つの画素データに対して、CMYKの4色分の画素インク量データが生成される。
ステップS125において、ハーフトーン処理部45は、ハーフトーン処理を実行する。詳細な説明は後述するが、ハーフトーン処理では、インク色ごとのインク量データに含まれる画素を予め定められた順番で1画素ずつ注目画素として特定し、注目画素に割り当てられている画素インク量データと、誤差拡散マトリックスとを用いて、ドットデータを生成する。
ステップS130において、インターレース処理部46は、インターレース処理を実行する。具体的には、インターレース処理部46は、ハーフトーン処理後のドットの配列を1回の主走査単位で形成するドットパターンのデータに並び替えて、印刷制御用のコマンドを付加し、印刷データを生成する。ステップS135において、印刷制御部47は、印刷を実行する。具体的には、印刷制御部47は、印刷ヘッド90、キャリッジモーター70、紙送りモーター74等を駆動し、キャリッジ80の複数回の走査および印刷媒体Pへのインクの吐出と、印刷媒体Pの副走査方向Yの下流側への搬送とを交互に繰り返して、印刷媒体P上にドットを形成する。ステップS135の実行後、印刷処理は終了する。
A4.ハーフトーン処理:
図8は、ハーフトーン処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。ハーフトーン処理は、色変換処理(ステップS120)の完了後に色変換部44から各インク色C、M、Y、Kのインク量データを受信すると開始される。ハーフトーン処理は、インク色ごとに独立して実行可能であり、4色同時に並列して実行してもよいし、インク色ごとに順次実行してもよい。ステップS205において、ハーフトーン処理部45は、記録方法を取得する。具体的には、ハーフトーン処理部45は、上述のステップS110において取得された印刷設定条件から印刷媒体Pの種類を取得し、印刷媒体Pの種類に対応づけられている記録方法を取得する。なお、上述のステップS110において、プリンタードライバーから記録方法を取得する構成としてもよい。
ステップS210において、ハーフトーン処理部45は、記録方法に対応する誤差拡散マトリックスを選択する。具体的には、ハーフトーン処理部45は、記録方法がタスキ方式である場合、誤差拡散に用いる誤差拡散マトリックスとして、第1誤差拡散マトリックスM1を選択し、記録方法がラスター交互方式である場合には、第2誤差拡散マトリックスM2を選択する。
ステップS215において、ハーフトーン処理部45は、注目画素を特定する。具体的には、ハーフトーン処理部45は、画像データORGの左上隅の画素から主走査方向Xに1画素ずつ順番に注目画素として特定する。
ステップS220において、ハーフトーン処理部45は、注目画素の補正階調値が閾値より小さいか否かを判定する。補正階調値とは、注目画素に割り当てられている0〜255階調で表現される画素インク量データと、既に誤差拡散が行われた画素から注目画素に拡散されてきた誤差との和を意味する。なお、閾値は、インク量の値に応じて最適化された値が予め設定されている。
ハーフトーン処理部45は、注目画素の補正階調値が閾値より小さいと判定した場合(ステップS220:YES)、ステップS225において、注目画素に対応するドットを形成無しと決定する。他方、注目画素の補正階調値が閾値以上であると判定された場合(ステップS220:NO)、ステップS230において、ハーフトーン処理部45は、注目画素に対応するドットを形成有りと決定する。
ステップS225の実行後、または、ステップS230の実行後、ステップS235において、ハーフトーン処理部45は、誤差計算処理を実行する。具体的には、まず、ハーフトーン処理部45は、注目画素で生じた誤差として、補正階調値と、ドットの形成無しまたは形成有りを示す階調値との差を算出する。次に、ハーフトーン処理部45は、上述のステップS210で選択された誤差拡散マトリックスを参照し、注目画素の各周辺画素に割り当てられている誤差拡散係数を算出された誤差に乗じて、各周辺画素に拡散すべき誤差を算出する。
ステップS240において、ハーフトーン処理部45は、誤差拡散処理を実行する。具体的には、ハーフトーン処理部45は、上述のステップS235において算出された各周辺画素に拡散すべき誤差を、注目画素の周辺画素のうち、まだドットの形成の有無が判定されていない画素に拡散する。本実施形態では、誤差拡散マトリックスM1およびM2に示すように、注目画素の周辺7画素に誤差が拡散される。
ステップS245において、ハーフトーン処理部45は、全画素についての誤差拡散処理が完了したか否かを判定する。全画素の誤差拡散処理が完了していないと判定された場合(ステップS245:NO)、上述のステップS215に戻る。他方、全画素の誤差拡散処理が完了したと判定された場合(ステップS245:YES)、ハーフトーン処理は終了し、上述のステップS130が実行される。
図9、図10、図11および図12は、ハーフトーン処理の結果を示す説明図である。図9および図10は、タスキ方式による記録方法におけるハーフトーン処理結果を、図11および図12は、ラスター交互方式による記録方法におけるハーフトーン処理結果を、それぞれ示している。図9では、第1誤差拡散マトリックスM1を用いて形成されたドットパターンを示し、図11では、第2誤差拡散マトリックスM2を用いて形成されたドットパターンを示し、図10および図12では、比較例として、基準誤差拡散マトリックスMBを用いて形成されたドットパターンを示している。
図9〜図12において、上段に示すドットパターンA1〜A4は、8ビットのグレーのベタ画像をハーフトーン処理した結果である。中段の左側に示すドットパターンF1〜F4は、ドットパターンA1〜A4のうち往動時に形成されるドットを抽出したドットパターンである。中段の右側に示すドットパターンB1〜B4は、ドットパターンA1〜A4のうち復動時に形成されるドットを抽出したドットパターンである。ドットパターンA1〜A4は、往動時ドットパターンF1〜F4と、復動時ドットパターンB1〜B4と、が共通の印刷領域で組み合わせられることによって形成される。
図9と図10、図11と図12を比較して理解できるように、基準誤差拡散マトリックスMBを用いた場合(図10、図12)は、往動時ドットパターンF2、F4および復動時ドットパターンB2、B4において、ドットの疎密が生じている。このため、全体のドットパターンA2、A4においてドットの分散性が低くなっている。これに対して、第1誤差拡散マトリックスM1または第2誤差拡散マトリックスM2を用いた場合(図9、図11)には、往動時ドットパターンF1、F3および復動時ドットパターンB1、B4のいずれにおいても、均一なドットの分散性が得られている。このため、全体のドットパターンA1、A3においても、ドットの分散性は良好である。これは、印刷ヘッド90の走査方向の向きに応じて適切な誤差拡散係数が設定された、記録方法ごとの誤差拡散マトリックスM1、M2を用いることによって、往動時および復動時のいずれにおいてもドットの分散性を良好にできたためであると推察される。
図9〜図12の下段には、ドットの着弾位置が主走査方向Xに所定量だけずれた場合におけるドットの分布を示している。下段の左側には、ドットの着弾位置が主走査方向Xに1ドット分ずれた場合のドットパターンZ11〜Z14を示し、下段の右側には、ドットの着弾位置が主走査方向Xに2ドット分ずれた場合のドットパターンZ21〜Z24を示している。これらのドットパターンZ11〜Z14、Z21〜Z24は、往動時ドットパターンF1〜F4と復動時ドットパターンB1〜B4とをそれぞれ主走査方向Xに所定のドット数分ずらしてOR結合させることによって得られる。
図9と図10、図11と図12を比較して理解できるように、ドットの着弾位置にずれが生じた場合であっても、記録方法ごとの誤差拡散マトリックスM1、M2を用いた場合(図9、図11)には、ドットの分散性は良好である。したがって、ドットの着弾位置にずれが生じた場合であっても、印刷画像の画質の低下を抑制できる。このため、記録方法に対応した誤差拡散マトリックスM1、M2を用いる構成では、基準誤差拡散マトリックスMBを用いる構成に比べて、ドットの着弾位置ずれに対する耐性が向上していると言うことができる。したがって、例えば、チラシなどの印刷物をスキャンしたデータを印刷する(コピー印刷する)際の印刷画像の画質の低下も抑制できることになる。
チラシなどのオフセット印刷物は、いわゆるAMスクリーンによって印刷される。AMスクリーンでは、網点を規則的に配列し、網点の大きさを変化させることによって階調を表現するので、局所領域の濃度変動が大きくなる。このため、印刷物をスキャンすると、スキャンデータには局所的な階調変動が顕著に表われる。
誤差拡散法によるハーフトーン処理では、注目画素で生じた誤差を周辺の画素に拡散していくので、印刷画像の全体として見たときにスキャンデータにおける局所的な階調変動を平滑化できる。このため、コピー印刷時には、誤差拡散法が用いられることが望ましい。しかし、図10および図12に例示するように、ドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きにかかわらず、共通の誤差拡散マトリックスMBを用いた場合、ドットの着弾位置のずれが生じると、ドットの分散性が低下してしまう。このため、従来、コピー印刷時には、ディザ法によるハーフトーン処理が行われている。
一般に、ディザ法では、所定の周波数以下に空間周波数を有しない、いわゆるブルーノイズ特性を備えるディザマスクが用いられる。このため、スキャンデータをディザ法によるハーフトーン処理を行って印刷する場合、スキャンデータの網点に、ディザ法によって付与される高周波成分が干渉して、周期の短いモアレが発生するなど、印刷画像の画質が低下してしまう。
上述の本実施形態のように、記録方法に応じて誤差拡散マトリックスM1、M2を選択して用いることによって、往動時および復動時のいずれにおいてもドットの分散性を良好にできる。このため、コピー印刷時にドットの着弾位置のずれが生じた場合であっても、ドットの分散性の低下を抑制できる。したがって、本実施形態の誤差拡散法によれば、コピー印刷時における印刷画質の低下を抑制できる。
以上説明した第1実施形態の画像処理装置によれば、画素インク量データと、複数の誤差拡散マトリックスM1およびM2から選択される一の誤差拡散マトリックスとを用いて、インク量データにおける注目画素を順次変更して、注目画素に対応するドットの形成の有無を決定するハーフトーン処理部45を備え、ハーフトーン処理部45は、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きに応じて、一の誤差拡散マトリックスを選択するので、印刷ヘッド90の走査方向の向きごとに適切な誤差拡散マトリックスを用いてハーフトーン処理を実行できる。この結果、印刷ヘッド90の往動時または復動時にドットの着弾位置のずれが生じた場合であっても、印刷画像の画質の低下を抑制できる。
加えて、ハーフトーン処理部45は、予め定められた記録方法ごとに、一の誤差拡散マトリックスを選択するので、記録方法ごとに適切な誤差拡散マトリックスを用いてハーフトーン処理を実行できる。この結果、記録方法の相違に起因してドットの着弾位置がずれた場合であっても、印刷画像の画質の低下を抑制できる。
また、誤差拡散マトリックスM1およびM2において、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きと同じ向きに印刷ヘッド90を移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数は、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きとは反対向きに印刷ヘッド90を移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きく設定されているので、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きと同じ向きに印刷ヘッドを移動させてドットが形成される画素位置に、より多くの誤差を拡散できる。この結果、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きと同じ向きに印刷ヘッド90を移動させてドットが形成される画素位置にドットが形成され得るので、印刷画像全体においてドットの分散性が低下することを抑制できる。
B.第2実施形態:
B1.装置構成:
図13は、第2実施形態における画像処理装置を備える印刷装置20aの概略構成を示すブロック図である。第2実施形態における印刷装置20aは、ハーフトーン処理部45に代えてハーフトーン処理部45aとして機能する点と、第1誤差拡散マトリックスM1に代えて第1誤差拡散マトリックスM1aを備える点と、第2誤差拡散マトリックスM2に代えて第2誤差拡散マトリックスM2aを備える点とにおいて、第1実施形態の印刷装置20と異なる。印刷装置20aにおけるその他の構成は、第1実施形態の印刷装置20と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
第1実施形態の印刷装置20は、印刷媒体Pの同一領域のドットの形成を1回の主走査によって完成させていたのに対し、第2実施形態の印刷装置20aは、印刷媒体Pの同一領域のドットの形成を、4回の主走査によって完成させる。
ハーフトーン処理部45aは、誤差拡散に用いる誤差拡散マトリックスを、主走査のパスごとに選択する。このため、第2実施形態の誤差拡散マトリックスM1aおよびM2aには、注目画素に対応するドットを形成する際の主走査パスを考慮した誤差拡散係数が設定されている。
B2.記録方法および誤差拡散マトリックスの構成:
図14は、タスキ方式における主走査パスを説明するための説明図である。図15は、ラスター交互方式における主走査パスを説明するための説明図である。図14は、図2に対応し、図15は、図3に対応している。図14および図15に示す各マス目は、図2および図3と同様に、ドットデータにおける1画素にそれぞれ対応し、各マス内の矢印は、各画素に対応するドットが印刷媒体P上に形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きを示している。図14および図15において、印刷ヘッド90の同じ主走査によってドットが形成される画素に、同種類のハッチングを付している。同種類のハッチングが付された画素に対応するドットは、注目画素と同じ主走査パスにおいて印刷ヘッド90が矢印の向きに移動する際にインクが吐出されて形成される。
図16は、第2実施形態における第1誤差拡散マトリックスM1aの一例を模式的に示す説明図である。図17は、第2実施形態における第2誤差拡散マトリックスM2aの一例を模式的に示す説明図である。図16および図17において、各マスは、1画素を表し、丸印が付された画素は、注目画素を表す。図16および図17において、各画素のハッチングの種類は、図14および図15に示す、印刷ヘッド90の走査方向の向きおよび主走査パスに対応している。
各誤差拡散マトリックスM1aおよびM2aは、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きと同じ向きに印刷ヘッド90を移動させてドットが形成される画素位置であり、かつ、注目画素に対応するドットが形成される主走査パスと同じ主走査パスでドットが形成される画素位置の誤差拡散係数が、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きとは反対向きに印刷ヘッド90を移動させてドットが形成される画素位置であり、かつ、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスとは異なる主走査パスによってドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きくなるように作成されている。
例えば、図16に示す例では、注目画素(X=2、Y=0の画素)に対応するドットは、印刷ヘッド90の右方向への移動時に形成されるとともに、1パス目で形成される。注目画素と同じハッチングが付されている画素(X=4、Y=0の画素)に対応するドットは、注目画素のドットと同様に、印刷ヘッド90の右方向への移動時に形成されるとともに、1パス目で形成される。このため、かかる画素に割り当てられている誤差拡散係数は、他の画素に割り当てられている誤差拡散係数に比べて大きな値が設定されている。
また、注目画素に対応する主走査パスとは異なる主走査パスにおいてドットが形成される画素のうち、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きと同じ向きに印刷ヘッド90を移動させてドットが形成される画素に割り当てられている誤差拡散係数は、印刷ヘッド90を反対向きに移動させてドットが形成される画素に割り当てられている誤差拡散係数に比べて、大きな値が設定されている。例えば、X=1、Y=1の画素や、X=3、Y=1の画素が該当する。なお、図17に示す第2誤差拡散マトリックスM2aにおいても、同様に各誤差拡散係数が設定されている。
上述のように、ハーフトーン処理部45aは、誤差拡散マトリックスM1aおよびM2aから主走査のパスごとに一の誤差拡散マトリックスを選択して、ハーフトーン処理を実行する。このとき、誤差拡散マトリックスは、例えば、以下のようにして選択することができる。すなわち、ハーフトーン処理部45aは、ユーザーから指定された印刷設定条件に基づいて、各インク色のインク量データにおける各画素を4回の主走査パスのうち、いずれの主走査パスで印刷するかを決定する。例えば、主走査パスは、印刷解像度、印刷ヘッド90の走査速度、印刷ヘッド90の駆動周波数等に基づいて決定される。次に、ハーフトーン処理部45aは、決定された各画素の主走査パスに対応する誤差拡散マトリックスを選択する。
以上説明した第2実施形態の画像処理装置によれば、ハーフトーン処理部45aは、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスごとに、一の誤差拡散マトリックスを選択するので、主走査パスごとに適切な誤差拡散マトリックスを用いてハーフトーン処理を実行できる。この結果、主走査パスの相違に起因してドットの着弾位置がずれた場合であっても、印刷画像の画質の低下を抑制できる。
加えて、誤差拡散マトリックスM1aおよびM2aにおいて、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスと同じ主走査パスによってドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数は、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスとは異なる主走査パスによってドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きく設定されているので、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスと同じ主走査パスによってドットが形成される画素位置に、より多くの誤差を拡散できる。この結果、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスと同じ主走査パスによってドットが形成される画素位置にドットが形成され得るので、印刷画像全体においてドットの分散性が低下することを抑制できる。
C.他の実施形態:
(1)上記各実施形態においては、記録方法は、タスキ方式、あるいは、ラスター交互方式であったが、これらに代えて、または、加えて、カラム方式を採用してもよい。
図18は、カラム方式による記録方法を説明するための説明図である。図2および図3と同様に、図18に示す各マス目は、ドットデータにおける1画素にそれぞれ対応し、各マス内の矢印は、各画素に対応するドットが印刷媒体P上に形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きを示している。カラム方式は、同じカラムにおいて印刷ヘッド90の走査方向が同じ向きとなり、主走査方向Xにおいて走査方向の向きが交互になる記録方法を意味する。
図19は、第3誤差拡散マトリックスM3の一例を模式的に示す説明図である。図19において、各マスは1画素を、丸印が付された画素は注目画素を、それぞれ表す。第3誤差拡散マトリックスM3は、記録方法がカラム方式である場合に誤差拡散に用いられる。図19において、各画素のハッチングの有無は、各画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きの相違を表し、図18に示す各画素のハッチングの有無に対応している。すなわち、ハッチングが付された画素は、印刷ヘッド90の右方向への走査時にドットが形成される画素を示し、ハッチングが付されていない画素は、印刷ヘッド90の左方向への走査時にドットが形成される画素を示している。
第3誤差拡散マトリックスM3は、第1実施形態の誤差拡散マトリックスM1、M2と同様に、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きと同じ向きに印刷ヘッド90を移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数が、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッド90の走査方向の向きとは反対向きに印刷ヘッド90を移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きくなるように作成されている。なお、第3誤差拡散マトリックスM3は、第1実施形態の誤差拡散マトリックスM1a、M2aと同様に、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスと同じ主走査パスでドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数が、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスとは異なる主走査パスによってドットが形成される画素位置に割り当てられている誤差拡散係数に比べて、大きくなるように作成されてもよい。このような構成においても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
(2)上記各実施形態においては、印刷ヘッド90の往動時および復動時のいずれの場合においてもインクが吐出されていたが、往動時または復動時のいずれか一方でインクが吐出されてもよい。このような構成においても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
上記各実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、本開示の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータープログラム)は、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。本開示において、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピューター内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピューターに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、データを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
D.他の形態:
(1)本開示の一実施形態によれば、複数の画素データにより形成される画像データから、印刷ヘッドを走査方向に往復動させて画像を印刷する印刷装置用の印刷データを生成する画像処理装置が提供される。この画像処理装置は、前記画素データから印刷時に用いられるインク量データに変換された画素インク量データと、複数の誤差拡散マトリックスから選択される一の誤差拡散マトリックスとを用いて、前記インク量データにおける注目画素を順次変更して、前記注目画素に対応するドットの形成の有無を決定するハーフトーン処理部を備え、前記ハーフトーン処理部は、前記注目画素に対応するドットが形成される際の前記印刷ヘッドの前記走査方向の向きに応じて、前記一の誤差拡散マトリックスを選択する。
この形態の画像処理装置によれば、画素データから印刷時に用いられるインク量データに変換された画素インク量データと、複数の誤差拡散マトリックスから選択される一の誤差拡散マトリックスとを用いて、インク量データにおける注目画素を順次変更して、注目画素に対応するドットの形成の有無を決定するハーフトーン処理部を備え、ハーフトーン処理部は、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッドの走査方向の向きに応じて、一の誤差拡散マトリックスを選択するので、印刷ヘッドの走査方向の向きごとに適切な誤差拡散マトリックスを用いてハーフトーン処理を実行できる。この結果、印刷ヘッドの往動時または復動時にドットの着弾位置のずれが生じた場合であっても、印刷画像の画質の低下を抑制できる。
(2)上記形態の画像処理装置において、前記ハーフトーン処理部は、予め定められた記録方法ごとに、前記一の誤差拡散マトリックスを選択してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、ハーフトーン処理部は、予め定められた記録方法ごとに、一の誤差拡散マトリックスを選択するので、記録方法ごとに適切な誤差拡散マトリックスを用いてハーフトーン処理を実行できる。この結果、記録方法の相違に起因してドットの着弾位置がずれた場合であっても、印刷画像の画質の低下を抑制できる。
(3)上記形態の画像処理装置において、前記印刷装置は、前記印刷ヘッドを印刷媒体に対して前記走査方向に相対的に移動させながら、前記印刷媒体における前記走査方向のドットの形成を複数回の主走査パスで実行し、前記ハーフトーン処理部は、前記注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスごとに、前記一の誤差拡散マトリックスを選択してもよい。
この形態の画像処理装置によれば、ハーフトーン処理部は、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスごとに、一の誤差拡散マトリックスを選択するので、主走査パスごとに適切な誤差拡散マトリックスを用いてハーフトーン処理を実行できる。この結果、主走査パスの相違に起因してドットの着弾位置がずれた場合であっても、印刷画像の画質の低下を抑制できる。
(4)上記形態の画像処理装置において、前記誤差拡散マトリックスにおいて、前記注目画素に対応するドットが形成される際の前記印刷ヘッドの前記走査方向の向きと同じ向きに前記印刷ヘッドを移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数は、前記注目画素に対応するドットが形成される際の前記印刷ヘッドの前記走査方向の向きとは反対向きに前記印刷ヘッドを移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きく設定されていてもよい。
この形態の画像処理装置によれば、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッドの走査方向の向きと同じ向きに印刷ヘッドを移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数は、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッドの走査方向の向きとは反対向きに印刷ヘッドを移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きく設定されているので、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッドの走査方向の向きと同じ向きに印刷ヘッドを移動させてドットが形成される画素位置に、より多くの誤差を拡散できる。この結果、注目画素に対応するドットが形成される際の印刷ヘッドの走査方向の向きと同じ向きに印刷ヘッドを移動させてドットが形成される画素位置にドットが形成され得るので、印刷画像全体においてドットの分散性が低下することを抑制できる。
(5)上記形態の画像処理装置において、前記誤差拡散マトリックスにおいて、前記注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスと同じ主走査パスによってドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数は、前記注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスとは異なる主走査パスによってドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きく設定されていてもよい。
この形態の画像処理装置によれば、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスと同じ主走査パスによってドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数は、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスとは異なる主走査パスによってドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きく設定されているので、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスと同じ主走査パスによってドットが形成される画素位置に、より多くの誤差を拡散できる。この結果、注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスと同じ主走査パスによってドットが形成される画素位置にドットが形成され得るので、印刷画像全体においてドットの分散性が低下することを抑制できる。
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、印刷装置、印刷方法、画像処理方法、これらの装置およびこれらの方法を実現するためのコンピュータープログラム、かかるコンピュータープログラムを記録した記録媒体等の形態で実現できる。
20,20a…印刷装置、30…制御ユニット、40…CPU、41…入力部、42…ドットデータ生成部、43…解像度変換部、44…色変換部、45,45a…ハーフトーン処理部、46…インターレース処理部、47…印刷制御部、50…入出力インターフェイス、55…内部バス、60…メモリー、70…キャリッジモーター、71…駆動ベルト、73…摺動軸、74…モーター、75…プラテン、80…キャリッジ、82,83,84,85…インクカートリッジ、90…印刷ヘッド、98…メモリーカードスロット、99…操作パネル、A1,A2,A3,A4…ドットパターン、B1,B2,B3,B4…復動時ドットパターン、F1,F2,F3,F4…往動時ドットパターン、M1,M1a…第1誤差拡散マトリックス、M2,M2a…第2誤差拡散マトリックス、M3…第3誤差拡散マトリックス、MB…基準誤差拡散マトリックス、MC…メモリカード、ORG…画像データ、P…印刷媒体、X…主走査方向、Y…副走査方向、Z11,Z12,Z13,Z14…ドットパターン、Z21,Z22,Z23,Z24…ドットパターン

Claims (7)

  1. 複数の画素データにより形成される画像データから、印刷ヘッドを走査方向に往復動させて画像を印刷する印刷装置用の印刷データを生成する画像処理装置であって、
    前記画素データから印刷時に用いられるインク量データに変換された画素インク量データと、複数の誤差拡散マトリックスから選択される一の誤差拡散マトリックスとを用いて、前記インク量データにおける注目画素を順次変更して、前記注目画素に対応するドットの形成の有無を決定するハーフトーン処理部を備え、
    前記ハーフトーン処理部は、前記注目画素に対応するドットが形成される際の前記印刷ヘッドの前記走査方向の向きに応じて、前記一の誤差拡散マトリックスを選択する、
    画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置であって、
    前記ハーフトーン処理部は、予め定められた記録方法ごとに、前記一の誤差拡散マトリックスを選択する、
    画像処理装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の画像処理装置であって、
    前記印刷装置は、
    前記印刷ヘッドを印刷媒体に対して前記走査方向に相対的に移動させながら、前記印刷媒体における前記走査方向のドットの形成を複数回の主走査パスで実行し、
    前記ハーフトーン処理部は、前記注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスごとに、前記一の誤差拡散マトリックスを選択する、
    画像処理装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
    前記誤差拡散マトリックスにおいて、前記注目画素に対応するドットが形成される際の前記印刷ヘッドの前記走査方向の向きと同じ向きに前記印刷ヘッドを移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数は、前記注目画素に対応するドットが形成される際の前記印刷ヘッドの前記走査方向の向きとは反対向きに前記印刷ヘッドを移動させてドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きく設定されている、
    画像処理装置。
  5. 請求項3に記載の画像処理装置であって、
    前記誤差拡散マトリックスにおいて、前記注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスと同じ主走査パスによってドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数は、前記注目画素に対応するドットが形成される際の主走査パスとは異なる主走査パスによってドットが形成される画素位置に割り当てられる誤差拡散係数に比べて、大きく設定されている、
    画像処理装置。
  6. 印刷ヘッドを走査方向に往復動させて画像を印刷する印刷方法であって、
    複数の画素データにより形成される画像データを、印刷時に用いられるインク量データに変換する工程と、
    変換された前記インク量データと、複数の誤差拡散マトリックスから選択される一の誤差拡散マトリックスとを用いて、前記インク量データにおける注目画素を順次変更して、前記注目画素に対応するドットの形成の有無を決定する工程と、
    決定された前記ドットの形成の有無にしたがって、印刷媒体上に前記ドットを形成することにより前記画像を印刷する工程と、
    を備え、
    前記決定する工程において、前記注目画素に対応するドットが形成される際の前記印刷ヘッドの前記走査方向の向きに応じて、前記一の誤差拡散マトリックスを選択する、
    印刷方法。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の画像処理装置を備える印刷装置であって、
    決定された前記ドットの形成の有無にしたがって、印刷媒体上に前記ドットを形成することにより前記画像を印刷する印刷部を備える、
    印刷装置。
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