JP3818372B2 - 印刷装置、印刷制御プログラム、印刷制御プログラムを記録した媒体および印刷方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷装置、印刷制御プログラム、印刷制御プログラムを記録した媒体および印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷用紙にインクを付着させて色を表現する際、人間の色の見え方は光源の分光分布とインクおよび印刷用紙の反射率と人間の目の特性を加味した等色関数との積で表現することができる。印刷装置においては通常C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)あるいは略同色相のlc(ライトシアン),lm(ライトマゼンタ)の各色インクを組み合わせて色を表現するので、上記色の見え方を規定する積の要素においてインクの分光分布が変化することによって色が変化すると言える。色の組み合わせとしては、例えば、無彩色のグレーを表現するためにCMYの各色を適宜組み合わせて印刷用紙に付着するなどしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の印刷装置においては、実際に印刷した色についてある光源の下で測色し、当該測色結果に基づいて画像データとインクの組み合わせとの対応関係を予め決定するとともに、当該対応関係を参照して印刷を行っていた。色は上述の積で表現されることからある光源の下で測色することが必須であるものの、測色した光源と異なる光源で印刷結果を見ると、異なる色に見えてしまう。この現象は特に低彩度あるいは無彩色のグレーについて顕著に現れ、例えば、太陽光の下ではグレーに見える色が室内灯の下では色味を帯びて見えてしまうようなことが起こってしまう。色の見え方の変化は顔料系のインクで顕著である。
【0004】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、光源の変化による色の変化が少ない印刷結果を得ることのできる印刷装置、印刷制御プログラム、印刷制御プログラムを記録した媒体および印刷方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、複数のインクカートリッジを搭載可能なインクカートリッジ搭載部と、同インクカートリッジからインクの供給を受けて当該インクを印刷用紙に印刷する印刷機構とを備えた印刷装置であって、上記インクカートリッジは、組み合わせによって略無彩色が再現可能な有彩色インクが充填された少なくとも3色以上の第1インクカートリッジと、上記第1インクカートリッジに充填された有彩色インクとの組み合わせにより再現される略無彩色の分光反射率が、上記第1インクカートリッジに充填された有彩色インクの組み合わせにより再現される略無彩色の分光反射率よりも各波長領域において均一となる分光反射率を有するインクが充填された任意の1色以上の第2インクカートリッジとから構成される構成としてある。
【0006】
すなわち、色の見え方は上述のように光源の分光分布とインクおよび印刷用紙の反射率と人間の目の特性を加味した等色関数とが関与するが、等色関数は人間の目の特性であって固定的であると考えられ、光源を変化させたときには当該光源の分光分布が変化するのは当然である。従って、光源を変化させたときに色の見え方を人為的に制御するためにはインクの分光反射率を変化させる構成が好適であり、第2インクカートリッジに充填されたインクと上記有彩色インクが充填された少なくとも3色のインクとを組み合わせることによって、より柔軟に反射率を制御することができる。
【0007】
ここで、インクの分光反射率はインクの種類や色毎に特有であり、光の波長毎の反射率すなわち分光反射率の高低が色の見え方に寄与する。例えば、波長が630nm程度の可視光は人間の目に赤色に見えるので、当該630nm程度の分光反射率が高く他の波長の分光反射率が低いインクは赤色に見えやすい。上記有彩色インクの3色はそれぞれ可視光に対して分光反射率の高低があるが、当該3色のインクと色相が異なる有彩色インクはこれら3色のインクと異なる波長での分光反射率が高いので、第2インクカートリッジの充填インクを使用することが分光反射率の柔軟な制御に寄与する。
【0008】
印刷装置等で任意の色を表現する際には、少なくとも3色のインクが使用可能であれば必要充分である。3色のインクを組み合わせると、組み合わせられた色の分光反射率が重畳され、巨視的には重畳された分光反射率においてその値が大きい波長の色のように見えるが、3色のインクと色相が異なる有彩色インクを重畳することによって、重畳された分光反射率をより柔軟に制御してより理想的なものに近づけることができる。例えば、理想的な無彩色の重畳分光反射率は可視光の全波長に対して分光反射率が一定のものであるが、上記少なくとも3色のインクの組み合わせでは重畳分光反射率を一定にすることは困難であり、異なる色相のインクを組み合わせることによって重畳分光反射率をより一定に近づけることができる。
【0009】
ここで、上記インクカートリッジに充填される有彩色インクは少なくとも3色であって、これらのインクの組み合わせによって特定光源下で略任意の色を表現することができればよく、例えばCMYインクやR(レッド),G(グリーン),B(ブルー)インクの組み合わせ等があげられる。むろん、少なくとも3色であれば良く、これに対して類似色相のインクを加えてある印刷装置であっても良い。
【0010】
すなわち、上記CMYインクに対してlc,lm,DY(ダークイエロー)を加えてあっても良い。lc,lm,DYインクはCMYインクと色相が略同一であり、第2インクカートリッジに充填された有彩色インクはlc,lm,DYと色相が異なるので、かかる構成であっても本発明による効果が生じるからである。さらに、印刷装置としてはインク滴を吐出するインクジェットタイプであっても良いし、トナーインクを使用するレーザープリンタでもよく、他にも種々の態様の印刷装置に本発明を適用することができる。
【0013】
3色の有彩色インクの組み合わせにて略無彩色を生成する際には、各色インクの分光反射率が重畳されて略無彩色における分光反射率となるが、この重畳された分光反射率は可視光の全波長に対して一定であると理想的である。しかし、3色の有彩色インクの組み合わせでは重畳された分光反射率が一定にはならず、ある波長に対しては分光反射率が高く、他の波長に対しては分光反射率が低いということが起こる。むろん、分光反射率が波長によって高低しても光源によっては充分無彩色に見えるが、例えば、分光反射率が高い波長成分の分光エネルギーが大きい光源下であれば当該高い波長に相当する色味を帯びて見えてしまう。
【0014】
そこで、本発明では3色の組み合わせにて生成された略無彩色における分光反射率の波形の凹凸を減少させることが可能な分光反射率を有する色のインクを第2インクカートリッジに充填し、この第2インクカートリッジの充填インクを使用すると、全波長に対する分光反射率の凹凸を少なく、すなわち、より一定に近づけることができる。むろん、ここで上記インクカートリッジに充填される有彩色インクは少なくとも3色であって、これらのインクの組み合わせによって略無彩色を表現することができればよく、上記CMYインクやRGBインク、これに濃淡インクを加えた印刷装置等種々の態様を採用可能である。
【0015】
上記請求項1における第2インクカートリッジは、上記少なくとも3色の有彩色インクが充填されたインクカートリッジを使用可能な印刷装置において、デフォルトで搭載されるインクカートリッジでも良いし、オプションで搭載されるインクカートリッジでも良い。また、印刷機構においてはインクカートリッジからのインク供給を受けて印刷を実行することができればよく、上記第2インクカートリッジを使用する場合には、上記少なくとも3色の有彩色インクの他、当該第2インクカートリッジに充填されたインクをも吐出可能にインク経路等を構成する。
【0016】
具体的には、例えば上記第2インクカートリッジの充填インクは、上記3色の組み合わせによる分光反射率が他の波長の分光反射率に比べて高い波長領域において当該3色のそれぞれより小さな分光反射率を有するようにすればよい。すなわち、3色の組み合わせによる分光反射率においてある波長領域の分光反射率が他の波長の分光反射率に比べて高いと、この波長領域の分光反射率は光源の変化によって色味を帯びる原因となるが、この波長領域で上記3色のいずれの分光反射率よりも小さい分光反射率を有するインクを組み合わせると、当該波長領域の分光反射率を抑えながら他の波長領域の分光反射率を上昇させることができる。
【0017】
従って、組み合わせの分光反射率を柔軟に変化させることができる。特に無彩色については、組み合わせによる分光反射率をより一定に近づける、すなわち分光反射率の波形の凹凸を減少させることができ、光源の変化によらず無彩色である色を生成することができる。むろん、上記3色の組み合わせによる分光反射率が他の波長の分光反射率に比べて高い波長領域以外では、当該3色のそれぞれと同等の分光反射率を有していて良いが、上記他の波長領域での分光反射率をむやみに上昇させないためには3色のそれぞれより小さな分光反射率を有することが好ましいし、上記波長領域での分光反射率を積極的に上昇させたい場合は3色のいずれかより大きな分光反射率を有することが好ましい。
【0018】
さらに、本発明を適用した好適なインクの例として請求項2にかかる発明では、上記複数のインクカートリッジに充填されたインクは顔料系インクである構成としてある。すなわち、顔料系インクによって印刷した印刷物は、染料系インクより光源の変化による色の変化が現れやすいので、当該顔料系インクについて本発明を適用することによって光源変化による色の変化が生じやすい状況にてこの色の変化を効果的に防止することができる。
【0019】
さらに、上記インクカートリッジへの充填インク例として請求項3にかかる発明では、上記インクカートリッジ搭載部においては、上記少なくとも3色のインクとしてシアン系とマゼンタ系とイエロー系のインクを充填した上記第1インクカートリッジを搭載可能であるとともに、レッド系とバイオレット系とのいずれかまたは双方のインクを充填した上記第2インクカートリッジを搭載可能である構成としてある。
【0020】
すなわち、シアン系のインクは波長450nm〜500nm程度の分光反射率が大きく、イエロー系のインクは波長500nm〜700nm程度の分光反射率が大きく、マゼンタ系のインクは波長600nm〜700nm程度および400〜500nm程度の分光反射率が大きいので、500nm付近の分光反射率は3色とも大きい。また、レッド系のインクとバイオレット(V)系のインクは500nm程度の分光反射率が非常に小さく、この波長の光を吸収することができる。
【0021】
従って、CMYインクを組み合わせても500nm付近の分光反射率は大きくなりがちであるが、これにR,Vインクを加えても当該500nm付近の分光反射率は大きくならず、その周りの分光反射率が大きくなる。この結果、500nm付近の分光反射率が突出して大きくならないように組み合わせの分光反射率を調整することができ、理想的な無彩色に近づけることができる。
【0022】
また、第2インクカートリッジとしてR,Vインクのいずれを充填しても良いが、Rの色相角はMとYとの色相角の間に存在し、Vの色相角はMとCとの色相角の間に存在するので、R,Vインクの双方を使用した方がより容易に多様な色を作成することができる。さらに、通常の印刷装置においてはCMYのインクを充填したインクカートリッジが多用されるので、この構成により非常に多くの印刷装置に適用可能なものを提供することができる。
【0023】
さらに、請求項4にかかる発明では、上記インクカートリッジ搭載部においては少なくとも6色以上のインクカートリッジを搭載可能であるとともに、任意の1色以上の上記第1インクカートリッジを上記第2インクカートリッジと交換して使用可能である構成としてある。
すなわち、6色以上のインクが搭載可能な印刷装置において交換インクとして本発明にかかる第2インクカートリッジの充填インクを使用することができる。
【0024】
例えば、CMYKlclmのインクカートリッジが搭載可能な印刷装置において、lc,lm,KインクのいずれかをR,Vインクのいずれかに交換する構成を採用可能である。むろん、CMYKlclmDYインクを搭載可能な印刷装置であっても良い。このように交換可能な構成にすることによって、通常は従来のCMYKlclmインク等による印刷を実行しつつも、必要に応じて本発明にかかるR,Vインクを使用して印刷を行うことができる。
【0025】
さらに、請求項5にかかる発明は、上記印刷装置は、ドットマトリクス状の画素からなる画像データを取得する画像データ取得部と、上記インクカートリッジの充填インク色によって画素の色を規定したインク色画像データと上記画像データとの対応関係を規定した色変換テーブルを記憶する色変換テーブル記憶部と、同色変換テーブルを参照して上記画像データを上記インク色画像データに変換する色変換部と、当該色変換後のインク色画像データにて規定された色で印刷を実行させる印刷データを生成する印刷データ生成部と、当該印刷データに基づいて上記印刷機構を制御する印刷機構制御部とを具備する構成としてある。
【0026】
すなわち、ドットマトリクス状の画素からなる画像データを印刷装置で使用するインク色の組み合わせからなるインク色画像データに変換しつつ印刷を実行する構成において、本発明にかかる第2インクカートリッジの充填インク色を含むインク色画像データと上記取得する画像データとの対応関係を色変換テーブルに規定すれば、当該色変換テーブルによって容易に本発明にかかる構成に対応した色変換を実施することができる。また、当該色変換後のインク色画像データの各色成分の規定内容に対応した量のインクを使用させる印刷データを生成することによって本発明にかかる第2インクカートリッジの充填インク色を使用した印刷を実行することができる。
【0027】
さらに、請求項6にかかる発明は、上記第1インクカートリッジの充填インク色を上記第2インクカートリッジの充填インク色に置き換える分版処理を行って上記色変換テーブルが作成されている構成としてある。すなわち、CMY等の少なくとも3色の有彩色の組み合わせで表現される色を色変換テーブルにて規定する手法は従来より確立されているので、当該3色の有彩色の組み合わせが決定していれば、そのうちのいずれかの色を上記第2インクカートリッジの充填インク色に置き換えることにより、第2インクカートリッジの充填インク色を使用しつつも元の色と等価な色を容易に作成することができる。
【0028】
当該分版処理によって少なくとも3色の有彩色を上記第2インクカートリッジの充填インク色に置き換えることができれば、当該置き換えられた色は画像データにおけるRGBデータの組み合わせと即座に対応づけられるので、本発明にかかる第2インクカートリッジの充填インク色を使用した色変換テーブルを容易に作成することができる。
【0029】
さらに、請求項7にかかる発明は、上記分版処理では、マゼンタ系とイエロー系のインクをレッド系のインクに置き換える構成としてある。すなわち、Rの色相角はMとYとの色相角の間に存在するので、CMY系のインクを使用する印刷装置においてMとYをRに置き換えれば容易に分版処理を行うことができる。置き換えの指針としては、置き換えが可能な最大限の置き換えを実施するなど、種々の指針を採用可能である。むろん、分版処理後にそのインクでの印刷色を測色し、より正確な色変換テーブルを作成することもできる。
【0030】
さらに、請求項8にかかる発明は、上記分版処理では、マゼンタ系とシアン系のインクをバイオレット系のインクに置き換える構成としてある。すなわち、Vの色相角はMとCとの色相角の間に存在するので、CMY系のインクを使用する印刷装置においてMとYをRに置き換えれば容易に分版処理を行うことができる。ここでも、置き換えが可能な最大限の置き換えを実施するなど、種々の指針を採用可能であるし、分版処理後にそのインクでの印刷色を測色し、より正確な色変換テーブルを作成することもできる。
【0031】
ところで、このような印刷装置は単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。請求項9にかかる発明は、その思想の具現化例として印刷装置のソフトウェアとなる場合に対応させてある。請求項10にかかる発明ではその記録媒体に対応させてある。むろん、請求項9,請求項20において請求項1〜請求項8に対応させることも可能である。
【0032】
このソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。その他、上記媒体ではないが供給方法として通信回線を利用して行なう場合でも本発明が利用されていることにはかわりない。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものはなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。
【0033】
また、このような印刷制御プログラムはかかる制御に従って処理を進めていく上でその根底にはその手順に発明が存在するということは当然であり、方法としても適用可能であることは容易に理解できる。このため、請求項11にかかる発明は、上記印刷装置が実施する印刷方法に対応した構成としてある。すなわち、必ずしも実体のある装置に限らず、その方法としても有効であることに相違はない。むろん、請求項1〜請求項8に対応させた方法としても有効である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1,請求項9,請求項10,請求項11にかかる発明においては、柔軟に分光反射率を制御し、色の見え方を柔軟に制御することが可能な印刷装置、印刷制御プログラム、印刷制御プログラムを記録した媒体および印刷方法を提供することができる。
また、請求項2にかかる発明においては、分光反射率を柔軟に制御することができる。
さらに、請求項3,請求項13,請求項15,請求項17にかかる発明においては、光源の変化に影響されにくい、理想的な無彩色に近い色で印刷を実行することが可能な印刷装置、印刷制御プログラム、印刷制御プログラムを記録した媒体および印刷方法を提供することができる。
【0035】
さらに、請求項2にかかる発明によれば、光源変化による色の変化が生じやすい状況にてこの色の変化を効果的に防止することができる。
さらに、請求項3にかかる発明によれば、理想的な無彩色に近づけることができる。
さらに、請求項4にかかる発明によれば、本発明にかかるインクを交換インクとして使用することができる。
【0036】
さらに、請求項5にかかる発明によれば、汎用的な制御手法の一環として本発明にかかる構成に対応した色変換を実施し、本発明にかかるインク色を使用した印刷を実行することができる。
さらに、請求項6にかかる発明によれば、第2インクカートリッジの充填インク色を使用しつつも元の色と等価な色を容易に作成することができる。
さらに、請求項7にかかる発明によれば、容易に分版処理を行うことができる。
さらに、請求項8にかかる発明によれば、容易に分版処理を行うことができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)本発明の構成:
(2)LUTの構成:
(3)印刷処理:
(4)画像の印刷:
(5)光源依存性解消
(6)第2の実施形態:
(7)他の実施形態:
【0038】
(1)本発明の構成:
図1は本発明にかかる印刷装置を構成するシステムの概略ハードウェア構成を示しており、図2はプリンタの概略ハードウェア構成を示しており、図3はコンピュータにて実現される印刷装置の主な制御系の概略構成図を示している。即ち、本実施形態においてはプリンタとプリンタを制御するコンピュータとによって印刷装置を構成する。コンピュータ10は演算処理の中枢をなすCPU11を備えており、このCPU11はシステムバス12を介してBIOSなどの記載されたROM13やRAM14にアクセス可能となっている。
【0039】
また、システムバス12には外部記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)15とフレキシブルディスクドライブ16とCD−ROMドライブ17とが接続されており、HDD15に記憶されたOS20やアプリケーションプログラム(APL)25等がRAM14に転送され、CPU11はROM13とRAM14に適宜アクセスしてソフトウェアを実行する。すなわち、RAM14を一時的なワークエリアとして種々のプログラムを実行する。
【0040】
コンピュータ10にはシリアル通信用I/O19aを介してキーボード31やマウス32等の操作用入力機器が接続されており、図示しないビデオボードを介して表示用のディスプレイ18も接続されている。さらに、プリンタ40とはパラレル通信用I/O19bを介して接続が可能である。尚、本コンピュータ10の構成は簡略化して説明しているが、パーソナルコンピュータとして一般的な構成を有するものを採用することができる。むろん、本発明が適用されるコンピュータはパーソナルコンピュータに限定されるものではない。この実施形態はいわゆるデスクトップ型コンピュータであるが、ノート型であるとか、モバイル対応のものであっても良い。また、コンピュータ10とプリンタ40の接続インタフェースも上述のものに限る必要はなくシリアルインタフェースやSCSI,USB接続など種々の接続態様を採用可能であるし、今後開発されるいかなる接続態様であっても同様である。
【0041】
この例では各プログラムの類はHDD15に記憶されているが、記録媒体はこれに限定されるものではない。例えば、フレキシブルディスク16aであるとか、CD−ROM17aであってもよい。これらの記録媒体に記録されたプログラムはフレキシブルディスクドライブ16やCD−ROMドライブ17を介してコンピュータ10にて読み込まれ、HDD15にインストールされる。そして、HDD15を介してRAM14上に読み込まれてコンピュータを制御することになる。また、記録媒体はこれに限らず、光磁気ディスクなどであってもよい。また、半導体デバイスとしてフラッシュカードなどの不揮発性メモリなどを利用することも可能であるし、モデムや通信回線を介して外部のファイルサーバにアクセスしてダウンロードする場合には通信回線が伝送媒体となって本発明が利用される。
【0042】
一方、図2に示すように、プリンタ40内部に設けられたバス40aには、CPU41、ROM42、RAM43、ASIC44、コントロールIC45、パラレル通信用I/O46、イメージデータや駆動信号などを送信するためのインターフェイス(I/F)47、等が接続されている。そして、CPU41が、RAM43をワークエリアとして利用しながらROM42に書き込まれたプログラムに従って各部を制御する。ASIC44は図示しない印刷ヘッドを駆動するためにカスタマイズされたICであり、CPU41と所定の信号を送受信しつつ印刷ヘッド駆動のための処理を行う。また、ヘッド駆動部49に対して印加電圧データを出力する。
【0043】
ヘッド駆動部49は、専用ICと駆動用トランジスタ等からなる回路である。同ヘッド駆動部49は、ASIC44から入力される印加電圧データに基づいて印刷ヘッドに内蔵されたピエゾ素子への印加電圧パターンを生成する。印刷ヘッドは、6色の顔料系インクが充填されたインクカートリッジ48a〜48fを搭載可能なカートリッジホルダ48とインク別のチューブで接続されており、各インクの供給を受けるようになっている。そして、チューブから吐出口まで連通するインク室でピエゾ素子が駆動されることにより、インクを吐出する。尚、本実施形態においては汎用的なCMYKインクと本発明にかかるRVインクとが使用される。また、本発明による効果は顔料系インクの方が顕著に現れるが、染料系インクであっても良い。
【0044】
尚、RVはCMYの有彩色と色相が異なり、後述のようにCMYの組み合わせによって生成される略無彩色の分光反射率をの変化を低下させることが可能なインクであって、上記第2インクカートリッジの充填インク色に該当する。また、上記カートリッジホルダ48が上記インクカートリッジ搭載部に該当し、上記ASIC44とヘッド駆動部49とキャリッジ機構47aと紙送り機構47bとが上記印刷機構に該当する。
【0045】
印刷ヘッドのインク吐出面には、6色のインクのそれぞれを吐出する6組のノズル列が印刷ヘッドの主走査方向に並ぶように形成され、ノズル列のそれぞれは複数のノズル(例えば、48個)が副走査方向に一定の間隔で配置されている。カートリッジホルダ48はインク供給針を備えており、同インク供給針がインクカートリッジ48a〜48fに設けられた図示しないインク供給口と接触してインクの供給経路を形成することにより、インクカートリッジ内のインクがチューブを介して印刷ヘッドに供給される。
【0046】
コントロールIC45は、各インクカートリッジ48a〜48fに搭載された不揮発性メモリであるカートリッジメモリを制御するために搭載されたICである。インクカートリッジがカートリッジホルダ48に装着されると、カートリッジメモリはコントロールIC45と電気的に接続されるようになっている。CPU41は、コントロールIC45と所定の信号を送受信し、カートリッジメモリに記録されたインクの色や残量の情報の読み出しや、インク残量の情報の更新等を行う。
【0047】
パラレル通信用I/O46はコンピュータ10のパラレル通信用I/O19bと接続されており、プリンタ40はパラレル通信用I/O46を介してコンピュータ10から送信されるデータ、例えばCMYKRVのドット形成密度を指定したデータやページ記述言語等からなる印刷ジョブを受信する。また、コンピュータ10から各種要求を受信したとき、通信I/OはコントロールIC45からのインクの色や装着状態を示す情報をコンピュータ10に出力する。
【0048】
I/F47には、キャリッジ機構47aと紙送り機構47bとが接続されている。紙送り機構47bは、紙送りモータや紙送りローラなどからなり、印刷用紙などの印刷記録媒体を順次送り出して副走査を行う。キャリッジ機構47aは、印刷ヘッドを搭載するキャリッジと、このキャリッジをタイミングベルトなどを介して走行させるキャリッジモータなどからなり、印刷ヘッドを主走査させる。副走査方向に複数のノズルが設けられた印刷ヘッドにおいては、ビット列からなるヘッドデータに基づいてヘッド駆動部49が出力する駆動信号にてピエゾ素子を駆動し、各ノズルからドット単位でインク滴を吐出させる。
【0049】
このプリンタ40はコンピュータ10にインストールされたプリンタドライバに制御されて印刷を実行する。図3に示すように本実施形態にかかるコンピュータ10では、プリンタドライバ(PRTDRV)21と入力機器ドライバ(DRV)22とディスプレイドライバ(DRV)23とがOS20に組み込まれている。ディスプレイDRV23はディスプレイ18における画像データ等の表示を制御するドライバであり、入力機器DRV22はシリアル通信用I/O19aを介して入力される上記キーボード31やマウス32からのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付けるドライバである。
【0050】
APL25は、カラー画像のレタッチ等を実行可能なアプリケーションプログラムであり、利用者は当該APL25の実行下において上記操作用入力機器を操作して当該カラー画像をプリンタ40にて印刷させることができる。すなわち、APL25は利用者の指示によりHDD15に記録された画像データ15aをRAM14に読み出して、ディスプレイDRV23を介して当該画像データ15aに基づく画像をディスプレイ18上に表示させる。利用者が上記入力機器を操作するとその操作内容が入力機器DRV22を介して取得されて内容が解釈されるようになっており、APL25はその操作内容に応じて印刷指示やレタッチなど種々の処理を行う。
【0051】
APL25にて印刷指示がなされると上記PRTDRV21が駆動され、PRTDRV21はディスプレイDRV23にデータを送出して印刷に必要な情報を入力させるための図示しないUIを表示する。利用者は当該図示しないUIにて印刷部数やページ数等種々のパラメータを設定可能であり、PRTDRV21が入力機器DRV22を介してこれらのパラメータを受け付ける。PRTDRV21がこれらのパラメータを受け付けると、後述するLUT15bを参照してsRGBにて色を指定した上記画像データ15aをCMYKRVの各色データに色変換しつつ印刷データを作成し、上記プリンタ40に印刷データを送出することによって印刷を実行する。
【0052】
(2)LUTの構成:
図4はLUT15bの一例を示している。LUT15bではRGBデータとCMYKRVデータのそれぞれが0〜255の値を有し、各色256階調(8ビット)である。また、RGBデータについてはRGBの各色成分について階調値域を16分割して参照点を形成しており、RGB各色について階調値「0,16,32,、、、255」の総ての組み合わせが規定されている。従って、LUT15bについては173個の参照点が存在する。
【0053】
これらの参照点についてCMYKRVの各色の階調値が「0〜255」の値で規定されており、色変換時にこれらのRGBデータとCMYKRVデータとを参照し、補間演算により任意のRGBデータをCMYKRVデータに変換する。むろん、LUTとしては、プリンタ40にて使用可能なメディアやインクセット毎に異なるテーブルを作成し、適宜選択可能に構成することもできる。尚、本実施形態において上記画像データ15aはRGBの各色成分を階調表現したドットマトリクス状のデータであり、sRGB規格に準拠したデータである。むろん、LUT15bにおいてはsRGBデータの具体的な値をデータとして有する構成の他、予め決められた順番に特定のRGBデータの組について色を規定することとし、RGBデータの具体的な値を省いても良い。
【0054】
LUT15b作成のための一連の処理としては例えば図5に示すフローに従った処理にて実現可能である。この作業においては多くの演算処理を必要とするので、コンピュータを使用して演算を実行するのが好ましい。LUT15bにおいては、sRGB色空間において全空間を網羅するようにsRGBデータを規定しており、ディスプレイ18にて使用するこれらのsRGBデータとプリンタ40で使用するCMYKRVデータによる色をLab空間の座標値に変換し、当該Lab空間内で上記sRGBデータとCMYKRVデータとを対応づける。このためにまずステップS100にてディスプレイ18の参照点を抽出する。この抽出によって上記図4の左側に示す173個のsRGB階調値が確定する。
【0055】
ステップS105においては、当該確定したsRGB階調値をLab空間の座標値に変換する。sRGB規格に準拠した画像データは公知の変換式によりLab空間の座標値に変換することができるので、同ステップS105においては変換式に基づいてLab座標へ変換しても良いし、上記参照点による色をディスプレイ18上に表示させ、測色器等によってLab座標を取得しても良い。以上の結果、sRGBの参照点に該当する色のLab座標値が得られ、ステップS110にて上記図4の左側に示す173個のsRGB階調値とLab階調値との対応関係を規定する。
【0056】
次に、ステップS115においては、CMYにKを加え、さらにRVインクを加えることにより、CMYのいずれかまたは組み合わせの値を小さくしてCMYKRVデータを規定する。すなわち、CMYデータをCMYKRVデータに分版する。本実施形態においては、CMYインクの吐出量をできるだけRVインクの吐出量に割り当てるとともに、高明度の色ではできるだけRインクへの分版を行い、低明度の色ではVインクへの分版を行う。具体的には、Lab空間においてRはYとMの間の色相を有し、VはCとMの間の色相を有することから、まず、YMをできるだけRに分版し、CMをできるだけVに分版する。
【0057】
このとき、本実施形態においてはYインク量1とMインク量1をRインク量1に割り当て、Cインク量1とMインク量1をできるだけVに割り当てることとしている。例えば、ある色の表現において公知の手法によってCMYをCMYKに分版した後、当該CMYKインク量の比が50:30:20:10である場合には、まず、CMYKRインク量の比を50:10:0:10:20と規定する。さらに、CMYKRVインク量の比を40:0:0:10:20:10と規定する。
【0058】
図6は以上のようにして分版処理を行った場合の無彩色の各色インクドット発生率を示している。横軸はLab空間中の明度Lである。本実施形態にかかる分版においてはできるだけRVインクを使用する構成となっており、MインクはRVインク双方の分版に使用されるので、同図に示す無彩色においてはMインクは”0”になっている。むろん、上述の分版手法は一例であり、CMYインクのそれぞれについて所定量以下にはしないように下限を設けたり、RVインクのそれぞれについて所定量以上にはしないように上限を設けたり、YMインク量とRインク量の比およびCMインク量とVインク量の比を1以外にするなど種々の分版を行うことができる。
【0059】
以上のようにしてステップS115にて分版処理を実行したら、ステップS120にて当該分版処理後のCMYKRVデータを使用して多数のパッチを印刷する。これらの各色パッチを印刷したときのCMYKRVデータを把握しておき、ステップS125では色パッチを測色機にて測色することによって当該CMYKRVデータとLab空間の座標値とを対応づける。以上の結果、sRGBの参照点に該当する色のLab座標値と、CMYKRVデータに対応づけられたLab座標値が得られるので、ステップS130においてはこれらのLab座標値を使用してsRGBデータとCMYKRVデータとの対応関係を規定する。
【0060】
すなわち、LUT15bを作成する。ここで、上記ステップS120で得たLab空間内の座標値は互いに一致しているとは限らず、両データの対応関係は補間演算や最適値探索法等によって求めることができる。補間演算を使用するといっても、上記色パッチを多数印刷して多数の色についてLab座標値を得ておけば正確に対応関係を規定することができる。
【0061】
(3)印刷処理:
本実施形態において、上記PRTDRV21は上記LUT15bを使用して色変換を行いつつ、プリンタ40に印刷を実行させる。すなわち、PRTDRV21は印刷を実行するために図3に示す画像データ取得モジュール21aと色変換モジュール21bとハーフトーン処理モジュール21cと印刷データ生成モジュール21dとを備えている。利用者が上記APL25にて印刷実行を指示すると、図7に示すフローに従って印刷処理を実行する。印刷処理が開始されるとステップS200において上記画像データ取得モジュール21aは上記RAM14に格納された画像データ15aを取得する。
【0062】
すると、ステップS210にて画像データ取得モジュール21aは上記色変換モジュール21bを起動する。色変換モジュール21bは、RGB階調値をCMYKRV階調値に変換するモジュールであり、同ステップS210にて上記画像データ15aの各ドットデータをCMYKRVのドットデータに変換する。色変換モジュール21bが色変換を行ってCMYKRVの階調データを生成すると、ステップS220にて上記ハーフトーン処理モジュール21cが起動され、当該CMYKRVの階調データが上記ハーフトーン処理モジュール21cに受け渡される。
【0063】
ハーフトーン処理モジュール21cは、各ドットのCMYKRV階調値を変換してインク滴の記録密度で表現するためのハーフトーン処理を行うモジュールであり、同ステップS220にて変換後の記録密度でインクを付着させるためのヘッド駆動データを生成する。印刷データ生成モジュール21dはかかるヘッド駆動データを受け取って、ステップS230にてプリンタ40で使用される順番に並べ替える。すなわち、プリンタ40においてはインク吐出デバイスとして図示しない吐出ノズルアレイが搭載されており、当該ノズルアレイでは副走査方向に複数の吐出ノズルが並設されるため、副走査方向に数ドット分離れたデータが同時に使用される。
【0064】
そこで、主走査方向に並ぶデータのうち同時に使用されるべきものがプリンタ40にて同時にバッファリングされるように順番に並べ替えるラスタライズを行う。このラスタライズの後、画像の解像度などの所定の情報を付加して印刷データを生成し、ステップS240にて上記パラレル通信用I/O19bを介してプリンタ40に出力する。プリンタ40においては当該印刷データに基づいて上記ディスプレイ18に表示された画像を印刷する。このプリンタ40においては、上述のようにCMYKRV階調値データに基づいてCMYKRVの各色インクを印刷媒体に付着させる。
【0065】
(4)画像の印刷:
次に、上記構成において画像を印刷する際の動作を図8に示す動作概念図に基づいて説明する。図8のディスプレイ18の表示画面は上記APL25の実行画面を示しており、APL25で画像データ15aを読み出すと当該画像データ15aがRAM14に格納され、ディスプレイDRV23の処理によって画像データ15aに基づく画像Aがディスプレイ18上に表示される。本発明による効果は特に低彩度の略無彩色で顕著に現れることから、背景が暗く略無彩色を多く含む画像Aを例にして説明する。APL25においてはディスプレイ18に表示した画像Aに対して種々のレタッチ等を実行可能であるとともに当該画像Aの印刷実行指示を行うことが可能である。同図の実行画面はHDD15に格納されている画像データ15aを読み出して印刷実行指示を行う状態の画面であり、マウス32の操作によってファイルメニュー内の印刷タブを選択することによって印刷実行指示を行うことができる。
【0066】
画像Aに含まれる略無彩色は、可視光の全波長についての分光反射率が略一定であることが理想であるが、略無彩色における色味の変化は人間の目に視認されやすく、分光反射率に一定ではない波長領域が存在すると、光源が変化して特定の波長のエネルギーが強くなったときに反射光のエネルギー変化がより際だって特定の色味を帯びることがある。しかし、CMYKインクに加えてRVインクを使用すると、CMYKインクの組み合わせと比較して略無彩色の分光反射率が可視光の全波長に渡ってより一定に近づけられているので光源変化の影響を受けにくくなる。
【0067】
本発明では、LUT15bによってsRGBデータをCMYKRVデータに変換し、プリンタ40にCMYKRVインクを充填したインクカートリッジ48a〜48fを搭載しているので、CMYKに加えてRVインクを使用した印刷を実行可能である。従って、プリンタ40において印刷を行って得られた画像Bを光源C(室内灯),光源D(太陽光)のいずれの下で視認したとしても光源による色の変化が少なく、略無彩色に色味が生じることはない。
【0068】
ここで、上記LUT15bは図4に示すように、sRGBデータとCMYKRVデータとを対応させたテーブルであり、上記ステップS210においてはこれらの参照点に基づいて補間演算を行うことによって任意のRGB階調値とCMYKRV階調値とを対応づけているが、補間演算の手法としては公知の種々の技術が適用可能である。例えば、線形補間演算やスプライン補間演算等を採用可能である。また、LUT15bに備えられた参照点を補間演算によってより多数の参照点に展開し、当該展開された参照点をRAM14にバッファリングするとともに当該RAM14内の参照点を参照してさらに補間演算を実行するように構成すること等も可能である。むろん、色変換テーブルを使用して色変換を行う構成の他、予め変換マトリックスを定義するプロファイル等の色変換を行っても良い。
【0069】
(5)光源依存性解消
以下、本発明にかかる構成によって色の光源依存性が解消する仕組みを説明する。まず、人間の目における色の見え方を説明する。図9は人間の目における色の見え方を説明する説明図である。人間の目は光の波長によって色の差異を識別するので、人間の目に入射する光の中にどの波長の光がどれぐらい含まれているかを規定すると共に、どの波長の光に対して人間の目がどのように反応するかを規定することによって色の見え方を規定することができる。
【0070】
印刷物から人間の目に入射する光の波長は光源に含まれる波長の分布すなわち光源の分光分布L(λ)と印刷物からの反射光に含まれる波長の分布すなわち印刷物の分光反射率R(λ)とに規定される。人間の目が光の波長にどのように反応するかは等色関数x(λ),y(λ),z(λ)で規定される。ここで、x(λ)は赤色成分の感度、y(λ)は緑色成分の感度、z(λ)は青色成分の感度を示している。尚各等色関数には通常その文字の上に「横線」を付してエックスバーなどと表現するが、本明細書では簡単のために「横線」を省略して示す。また、本実施形態におけるプリンタ40の様なインクジェットプリンタにおいて、分光反射率R(λ)は印刷用紙が露出する部分における印刷用紙の分光反射率とインクの分光反射率とを重畳(面積比を係数とした線形結合)して生成される。これらの式において上記λは光の波長である。
【0071】
色の見え方は上記光源の分光分布L(λ)と分光反射率R(λ)と等色関数x(λ),y(λ),z(λ)とを乗じて波長で積分することによって三刺激値XYZとして計算される。すなわち、下記式(1)にて三刺激値XYZが計算される。
【数1】
【0072】
人間の目において色の見え方はこの三刺激値XYZによって規定される。すなわち、三刺激値XYZの値の組み合わせによって色が一義的に決定する。この三刺激値を規定する要因のうち、上記等色関数x(λ),y(λ),z(λ)は人間の目の特性の平均値であって人為的に変更不可能であり、上記光源の分光分布L(λ)は光源の変化によって当然に変動し、光源依存性を解消する本発明はこの光源の分光分布L(λ)が変動したときの対策を行うものである。三刺激値を規定する要因のうち、上記分光反射率R(λ)の大部分はインクの分光反射率が担っているので、インクの量やインクの色数を変更することによって人為的に変更可能である。そこで、本発明はこの分光反射率R(λ)を好ましい分布にするために、CMYKインクに上記RVインクを追加している。
【0073】
以下、RVインクを追加することによって光源依存性を解消する仕組みを説明する。本発明による効果が最も顕著に現れる色は無彩色であるので、無彩色を例として説明する。図10は、本発明において使用するCMYインクの分光反射率を示している。同図において縦軸が分光反射率(%)であり、横軸が波長(nm)である。このCMYインクの分光反射率は従来のプリンタにおいても同様である。同図に示すようにCの分光反射率は波長400nmから波長の増大とともに上昇し、波長450nm〜500nm程度ではほぼ80%で推移し、波長500nm〜600nmで波長の増大とともに下降し、波長600nm〜700nmでは10%以下である。
【0074】
Yの分光反射率は波長450nm程度から波長の増大とともに急激に上昇し、波長500nm〜700nmではほぼ80%で推移する。Mの分光反射率は波長400nmから波長の増大とともに一旦上昇し、波長450nm〜550nmで波長の増大とともに下降し、波長550nm〜600nmで波長の増大とともに上昇し、波長600nm以上ではほぼ80%で推移する。これらのCMYインクにて略無彩色を作成する場合には、これらのCMYインクの総てを印刷用紙に吐出する。
【0075】
図10のGray1は、このようにCMYインクの総てを印刷用紙に吐出した場合の重畳された分光反射率R(λ)を示している。無彩色の分光反射率R(λ)は全波長に渡って一定、すなわち図10のGray1が横軸に平行な直線に近い程理想的である。しかし、分光反射率R(λ)はインク滴の面積と印刷用紙の露出面積とを重みとしてそれぞれの分光反射率に乗じて線形結合した結果であり、CMYインクの組み合わせにおいては分光反射率R(λ)を直線にすることは困難である。図10においては、特に波長500nm部分に分光反射率のピークが現れており、波長400nm部分で分光反射率が非常に小さくなっており、光源を変更した場合にこの分光反射率の凹凸を起因として色味を帯びてしまうことがある。
【0076】
これに対して本発明のようにRVインクを追加すると無彩色の分光反射率R(λ)の凹凸を減少させ、より直線に近づけることができる。すなわち、上記分光反射率のピークはCMYインクの分光反射率が波長500nm付近でいずれも大きいことに起因し、分光反射率の低下は波長400nm付近でCMの分光反射率が中程度であるとともにYの分光反射率が著しく小さいことに起因している。従って、波長500nm付近で分光反射率が小さく、波長400nm付近である程度の分光反射率を有するインクを追加することによって無彩色の分光反射率R(λ)の凹凸を減少させることができる。
【0077】
図11では、上記図10にRVインクの分光反射率を重ねて示している。Rの分光反射率は波長400nmでほぼ30%であるとともに、波長の増大とともに下降して波長550nm程度までほぼ10%で推移し、波長550nmからは一旦上昇し、波長620nm程度ではほぼ80%で推移する。Vの分光反射率は波長400nmから波長の増大とともに一旦上昇し、波長450nm〜500nmで波長の増大とともに下降し、波長500nm〜600nmでほぼ一定であるとともに、波長600nmからは波長の増大とともに上昇する。
【0078】
すなわち、RVインクともに波長500nm付近の分光反射率が小さく(20%以下)、波長400nm付近である程度の分光反射率(30〜40%)を有している。従って、RVインクはCMYインクとの組み合わせにおいて波長400nmでの分光反射率を上昇させ、波長500nmでの分光反射率を下降させるように寄与する。この結果、図11のGray2に示すように、CMYKRVの組み合わせによる無彩色の分光反射率R(λ)は上記Gray1と比較して全波長に渡ってフラットとなる。
【0079】
図12は、CMYインクの組み合わせによるGray1の分光反射率R(λ)とCMYRVインクの組み合わせによるGray2の分光反射率R(λ)を同一グラフ上に再掲したものである。同図に示すようにGray1の分光反射率R(λ)は波長400nmで他の波長と比較して分光反射率が著しく小さく、波長500nmで分光反射率の大きなピークが生じていたが、Gray2の分光反射率R(λ)では全波長にわたって分光反射率がフラットであり、特に大きなピークや小さな分光反射率を有することがない。尚、図10〜図12においては、CMYインクおよびRVインクの組み合わせにおいてある明度の無彩色を作成することを想定している。他の明度においてもCMYインクやRVインクの量が変化することによって無彩色の分光反射率R(λ)も変化するが、むろんCMYインクにRVインクを加えた方がより柔軟に分光反射率R(λ)を制御することができ、より理想的な分光反射率にすることができる。
【0080】
次に、上述のように分光反射率R(λ)が全波長にわたってフラットになっているときに光源依存性が解消する、すなわち光源が変化しても無彩色に色みが生じにくくなるしくみを説明する。図13は、CIE(国際照明委員会)が規定したD50光源とA光源の分光分布を示しており、縦軸では光のエネルギーを相対的に示しており、横軸は光の波長である。同図に示すようにD50光源は可視光の全波長にわたってほぼ一定の分光分布を有しており、いわゆる白色光である。A光源は波長の増大とともにほぼリニアにエネルギーが上昇しており、赤みがかった光である。
【0081】
上述のように人間の目にとって色は三刺激値XYZで表現される色に見え、当該三刺激値XYZには上記無彩色の分光反射率R(λ)と光源の分光分布が乗じられる形で寄与する。上記D50光源が上記Gray1,2に対して乗じられる際には全波長にわたってほぼ定率で寄与する。従って、双方が無彩色に見える。しかし、A光源においては波長が大きな程エネルギーが高いので、大きな波長ほど大きく寄与し、小さな波長ほど小さく寄与する。
【0082】
A光源の分光分布が上記Gray1,2に乗じられたときに、それぞれに対する寄与は同一であるものの、元々Gray1の方がGray2より分光反射率R(λ)の変化率が大きく分光反射率一定の状態とは遠いので、A光源の分光分布が上記Gray1に乗じられた場合の方がより無彩色から遠ざかる。例えば、図12に示す例においては波長450nm以下でのGray1の分光反射率が小さく、Gray2の分光反射率が大きいので、分光分布が乗じられたときにCMYインクの組み合わせに(Gray1)においては波長450nm以下の寄与がほとんど無くなり、無彩色に見えなくなる。
【0083】
図14は、上記CMYインクの組み合わせによる無彩色およびCMYRVインクの組み合わせによる無彩色のそれぞれについて、D50光源における色彩値とA光源における色彩値との差を示している。上述のように色は三刺激値XYZで表現されるが、同図においてはこの三刺激値XYZを絶対色空間であるLab空間での色彩値に変換し、各光源における色差ΔE(Lab空間中の距離)を縦軸としている。また、横軸は明度Lであり、本実施形態においては明度Lが40以下の場合にブラック(K)インクを使用することから、Kインクを含まない明度45以上の色について比較をしている。同図に示すように、光源の差異による色差ΔEはCMYインクの組み合わせの方がCMYRVインクの組み合わせより大きい。従って、CMYRVインクの組み合わせの方が光源の変化による色の変化が顕著に現れなくなる。すなわち、光源依存性が解消する。
【0084】
(6)第2の実施形態:
上記実施形態においてはプリンタ40にデフォルトでRVインクを充填した第2インクカートリッジを搭載していたが、むろん本発明にかかるRVインクの使用を利用者の必要に応じて選択可能に構成することもできる。図15は、利用者の必要に応じてRVインクの使用を選択可能に構成したプリンタ400の概略ハードウェア構成を示している。同図において上記プリンタ40と同様の構成は上記図2と同一の符号を付して示している。また、ソフトウェアとしても上記図3に示すPRTDRV21と同様の構成を採用可能であるが、本実施形態においては上記LUT15bに加え、CMYKlclmデータとsRGBデータとの対応関係を規定した図示しないLUT15cを予めHDD15に保存しておき、印刷のプロパティ画面にて利用者が選択できるように構成してある。
【0085】
具体的には、図15に示すようにプリンタ400にはデフォルトでCMYKlclmの各インクを充填したインクカートリッジ48a〜48d,480e,480fを搭載可能である。これらの各インクカートリッジ48a〜48d,480e,480fはプリンタ400のカートリッジホルダ48に対して着脱可能であり、lcインクのインクカートリッジ480eおよびlmインクのインクカートリッジ480fをRインクのインクカートリッジ48eとVインクのインクカートリッジ48fに交換可能である。
【0086】
図16は、上記APL25による印刷実行指示の際に表示される印刷のプロパティ画面を示している。すなわち、APL25にて印刷指示がなされると上記PRTDRV21が駆動され、PRTDRV21はディスプレイDRV23にデータを送出して印刷に必要な情報を入力させるためのUIを表示するが、このUIが当該印刷のプロパティで画面である。PRTDRV21はこの画面を視認しつつ利用者がキーボード31等を使用して行う種々の操作入力を入力機器DRV22を介して受け付ける。
【0087】
同図に示す印刷のプロパティ画面では印刷時に指定すべき種々のパラメータ入力が可能であり、部数やページ数を入力する各種入力ボックスや、印刷実行指示やキャンセル指示等を行う各種ボタンが備えられている。さらに当該プロパティ画面の下部にはインクセット選択ラジオボタン18aが備えられており、利用者は上記マウス32を操作してポインタ等によってインクセット選択ラジオボタン18aの表示内容を変更することができる。インクセット選択ラジオボタン18aには使用するインクセット(インクの色)が対応づけられており、利用者は使用するインクをCMYKlclmインクあるいはCMYKRVインクに設定することができる。
【0088】
このインクセット選択ラジオボタン18aでの選択内容は上記色変換モジュール21bに送られ、同色変換モジュール21bは当該選択内容に応じたLUTを選択する。すなわち、インクセット選択ラジオボタン18aでCMYKRVが選択されているときには上記LUT15bを選択し、インクセット選択ラジオボタン18aでCMYKlclmが選択されているときは上記図示しないLUT15cを選択する。この結果、利用者はCMYKlclmインクとCMYKRVインクの双方を適宜使用して印刷を実行することができる。
【0089】
本実施形態のようにデフォルトでCMYKlclmインクを使用するプリンタは非常に汎用的であり、本発明はこの汎用的な構成にLUTを追加し僅かなソフトウェアの変更を施すのみで実現可能である。尚、本実施形態において色変換モジュール21bが印刷のプロパティ画面による設定内容を取得する構成が必須となるわけではない。例えば、上記インクカートリッジに搭載されたカートリッジメモリの情報を読み出し、インクカートリッジ48eの充填インク色を判別して自動でLUTを選択するように構成しても良い。
【0090】
また、本実施形態のようにlclmインクとRVインクのインク供給経路が同一である場合には、インク色変更時にプリンタ400に備える図示しないインク供給経路のクリーニング機構にて念入りにクリーニングを実行すると好ましい。さらに、CMYKlclmインクとCMYKRVインクの双方を使用可能にするためにはインク色の交換が必須となるわけではなく、カートリッジホルダの数を増やすとともに、CMYKlclmRVインクが充填されたインクカートリッジを搭載可能に構成しても良い。
【0091】
(7)他の実施形態:
上記実施形態においては、CMY(あるいはCMYK)インクに加えるインクとしてRVインクを採用していたが、むろん、RおよびVインクが必須となるわけではない。すなわち、CMYインクの組み合わせにおいて無彩色を作成しようとしたときには、上述のように波長500nm付近で分光反射率にピークが生じるなどの不都合を解消できればよいので、RVインク以外にも500nm付近の分光反射率が低いオレンジインクや青紫インク等を採用することもできる。むろん、R,V,オレンジ,青紫などを単独で追加しても良い。さらに、上記実施形態ではCMY(あるいはCMYK)インクを基礎としてこれらのインクに何らかの色を追加する構成としてあったが、むろん、CMYインクを基礎とする構成の他、他の色の3色を基礎としつつこの基礎に対して他の色相のインクを追加する構成としても良い。
【0092】
以上説明したように、本発明においては少なくとも3色の有彩色に加えてこれら3色と色相の異なる有彩色を使用する。3色の有彩色に加えるインクとして、これら3色の組み合わせにて生成する略無彩色における分光反射率の波形の凹凸を減少させることが可能な分光反射率を有する色のインクを採用すると特に効果的である。従って、インクの組み合わせによって全波長に渡って略一定の分光反射率を有する色を作成することができ、光源の変化による色の変化が少ない印刷結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷装置を構成するシステムの概略ハードウェア構成を示す図である。
【図2】プリンタの概略ハードウェア構成を示す図である。
【図3】コンピュータにて実現される印刷装置の主な制御系の概略構成図である。
【図4】LUTの一例を示す図である。
【図5】LUTの作成作業フローチャートである。
【図6】各色インクドット発生率の一例を示す図である。
【図7】印刷処理のフローチャートである。
【図8】画像を印刷する際の動作を示す動作概念図である。
【図9】人間の目における色の見え方を説明する説明図である。
【図10】CMYインクの分光反射率を示す図である。
【図11】CMYRVインクの分光反射率を示す図である。
【図12】無彩色の分光反射率R(λ)の比較を示す図である。
【図13】D50光源とA光源の分光分布を示す図である。
【図14】光源を変化させたときの色差を示す図である。
【図15】プリンタの概略ハードウェア構成を示す図である。
【図16】印刷のプロパティ画面を示す図である。
【符号の説明】
10…コンピュータ
11,41…CPU
12…システムバス
13,42…ROM
14,43…RAM
15…HDD
15a…画像データ
15b…LUT
16…フレキシブルディスクドライブ
17…CD−ROMドライブ
18…ディスプレイ
20…OS
21…PRTDRV
21a…画像データ取得モジュール
21b…色変換モジュール
21c…ハーフトーン処理モジュール
21d…印刷データ生成モジュール
22…入力機器DRV
23…ディスプレイDRV
25…アプリケーションプログラム
31…キーボード
32…マウス
40…プリンタ
44…ASIC
45…コントロールIC
47a…キャリッジ機構
47b…紙送り機構
48a〜48f…インクカートリッジ
49…ヘッド駆動部
Claims (11)
- 複数のインクカートリッジを搭載可能なインクカートリッジ搭載部と、同インクカートリッジからインクの供給を受けて当該インクを印刷用紙に印刷する印刷機構とを備えた印刷装置であって、
上記インクカートリッジは、
組み合わせによって略無彩色が再現可能な有彩色インクが充填された少なくとも3色以上の第1インクカートリッジと、
上記第1インクカートリッジに充填された有彩色インクとの組み合わせにより再現される略無彩色の分光反射率が、上記第1インクカートリッジに充填された有彩色インクの組み合わせにより再現される略無彩色の分光反射率よりも各波長領域において均一となる分光反射率を有するインクが充填された任意の1色以上の第2インクカートリッジとから構成されることを特徴とする印刷装置。 - 上記インクカートリッジに充填されたインクは顔料系インクであることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
- 上記インクカートリッジ搭載部においては、上記少なくとも3色のインクとしてシアン系とマゼンタ系とイエロー系のインクを充填した上記第1インクカートリッジを搭載可能であるとともに、レッド系とバイオレット系とのいずれかまたは双方のインクを充填した上記第2インクカートリッジを搭載可能であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の印刷装置。
- 上記インクカートリッジ搭載部においては少なくとも6色以上のインクカートリッジを搭載可能であるとともに、任意の1色以上の上記第1インクカートリッジを上記第2インクカートリッジと交換して使用可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
- 上記印刷装置は、ドットマトリクス状の画素からなる画像データを取得する画像データ取得部と、上記インクカートリッジの充填インク色によって画素の色を規定したインク色画像データと上記画像データとの対応関係を規定した色変換テーブルを記憶する色変換テーブル記憶部と、同色変換テーブルを参照して上記画像データを上記インク色画像データに変換する色変換部と、当該色変換後のインク色画像データにて規定された色で印刷を実行させる印刷データを生成する印刷データ生成部と、当該印刷データに基づいて上記印刷機構を制御する印刷機構制御部とを具備することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の印刷装置。
- 上記第1インクカートリッジの充填インク色を上記第2インクカートリッジの充填インク色に置き換える分版処理を行って上記色変換テーブルが作成されていることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
- 上記分版処理では、マゼンタ系とイエロー系のインクをレッド系のインクに置き換えることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
- 上記分版処理では、マゼンタ系とシアン系のインクをバイオレット系のインクに置き換えることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
- 組み合わせによって略無彩色が再現可能な有彩色インクが充填された少なくとも3色以上の第1インクカートリッジと、同インクカートリッジに充填された有彩色インクとの組み合わせにより再現される略無彩色の分光反射率が、同インクカートリッジに充填された有彩色インクの組み合わせにより再現される略無彩色の分光反射率よりも各波長領域において均一となる分光反射率を有するインクが充填された任意の1色以上の第2インクカートリッジとから構成される複数のインクカートリッジを搭載可能なインクカートリッジ搭載部と、同インクカートリッジからインクの供給を受けて当該インクを印刷用紙に印刷する印刷機構とを備えた印刷装置における印刷を制御する印刷制御プログラムであって、
ドットマトリクス状の画素からなる画像データを取得する画像データ取得機能と、
上記少なくとも3色の有彩色および上記第2インクカートリッジの充填インク色によって画素の色を規定したインク色画像データと上記画像データとの対応関係を規定した色変換テーブルを所定の記憶領域に記憶する色変換テーブル記憶機能と、
同色変換テーブルを参照して上記画像データを上記インク色画像データに変換する色変換機能と、
当該色変換後のインク色画像データにて規定された色で印刷を実行させる印刷データを生成する印刷データ生成機能と、
上記印刷機構の駆動を制御するべく上記印刷データを出力する印刷データ出力機能とをコンピュータに実現させることを特徴とする印刷制御プログラム。 - 組み合わせによって略無彩色が再現可能な有彩色インクが充填された少なくとも3色以上の第1インクカートリッジと、同インクカートリッジに充填された有彩色インクとの組み合わせにより再現される略無彩色の分光反射率が、同インクカートリッジに充填された有彩色インクの組み合わせにより再現される略無彩色の分光反射率よりも各波長領域において均一となる分光反射率を有するインクが充填された任意の1色以上の第2インクカートリッジとから構成される複数のインクカートリッジを搭載可能なインクカートリッジ搭載部と、同インクカートリッジからインクの供給を受けて当該インクを印刷用紙に印刷する印刷機構とを備えた印刷装置における印刷を制御する印刷制御プログラムを記録した媒体であって、
ドットマトリクス状の画素からなる画像データを取得する画像データ取得機能と、
上記少なくとも3色の有彩色および上記第2インクカートリッジの充填インク色によって画素の色を規定したインク色画像データと上記画像データとの対応関係を規定した色変換テーブルを所定の記憶領域に記憶する色変換テーブル記憶機能と、
同色変換テーブルを参照して上記画像データを上記インク色画像データに変換する色変換機能と、
当該色変換後のインク色画像データにて規定された色で印刷を実行させる印刷データを生成する印刷データ生成機能と、
上記印刷機構の駆動を制御するべく上記印刷データを出力する印刷データ出力機能とをコンピュータに実現させることを特徴とする印刷制御プログラムを記録した媒体。 - 複数のインクカートリッジを搭載可能なインクカートリッジ搭載部と、同インクカートリッジからインクの供給を受けて当該インクを印刷用紙に印刷する印刷機構とを備えた印刷装置における印刷方法であって、
上記インクカートリッジは、組み合わせによって略無彩色が再現可能な有彩色インクが充填された少なくとも3色以上の第1インクカートリッジと、上記第1インクカートリッジに充填された有彩色インクとの組み合わせにより再現される略無彩色の分光反射率が、上記第1インクカートリッジに充填された有彩色インクの組み合わせにより再現される略無彩色の分光反射率よりも各波長領域において均一となる分光反射率を有するインクが充填された任意の1色以上の第2インクカートリッジとから構成され、上記インクカートリッジの充填インクを使用して印刷を行うことを特徴とする印刷方法。
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