JP2007281610A - プロファイルの作成 - Google Patents
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Abstract
【課題】 種々の状況に柔軟に対応できるプロファイルを作成する。
【解決手段】 ステップS78において、色域や印刷条件に応じて非色恒常性指数CIIについての重み係数k1と粒状性指数GIについての重み係数k3を変化させる。そして、変化させられた重み係数k1,k2,k3にて重みづけを行いつつ非色恒常性指数CIIと合計インク量TIと粒状性指数GIを結合させて、結合評価指数EIを算出する。そして、この結合評価指数EIを使用して各インク量セットの選択を行う。
【選択図】 図5
Description
この発明は、印刷に用いられるプロファイルの作成技術に関する。
従来のプロファイルの作成技術として、各インク量セットに従ってプリンタが印刷を行ったときの分光反射率を予測し、その分光反射率に基づいて色の恒常性や粒状性を算出し、これらを総合的に判断することにより、プロファイルの作成に使用するインク量セットを選択するものが知られている(例えば、特許文献1、参照。)。
かかる構成によれば、色の恒常性や非粒状性が総合的に優れるインク量セットを基礎としてプロファイルを作成することができ、色の恒常性と非粒状性を両立させたインク量セットに色変換することが可能なプロファイルを作成することが可能であった。すなわち、当該プロファイルを使用して任意の画像を印刷することにより、色の恒常性と非粒状性に優れる印刷画像を得ることができた。
国際公開2005/043884号パンフレット
かかる構成によれば、色の恒常性や非粒状性が総合的に優れるインク量セットを基礎としてプロファイルを作成することができ、色の恒常性と非粒状性を両立させたインク量セットに色変換することが可能なプロファイルを作成することが可能であった。すなわち、当該プロファイルを使用して任意の画像を印刷することにより、色の恒常性と非粒状性に優れる印刷画像を得ることができた。
印刷を行う条件は様々であり、また印刷される画像も様々であり、印刷物を観察する状況も様々であるため、常に色の恒常性や非粒状性が同様の程度で要求されるものとは限らない。例えば、ある状況においては色の恒常性が重視されるべきであるし、ある状況においては非粒状性が重視されるべきである。上述した技術においては色の恒常性や粒状性を総合的に評価するにあたっての重みが一定であるため、このような状況の変化に対して柔軟に対応することができないという課題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、種々の状況に柔軟に対応できるプロファイルを作成することを目的とする。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、種々の状況に柔軟に対応できるプロファイルを作成することを目的とする。
複数のインク量セットが準備され、そのインク量セットから好適なものをサンプルインク量セットとして選択し、同選択されたサンプルインク量セットに基づいてプロファイルの作成を行う。このようにすることにより、好適なサンプルインク量セットに基づいてプロファイルを作成することができ、そのプロファイルを使用して色変換を行うことより良好な印刷画像を得ることが可能となる。各インク量セットの好適度合いを判断するにあたっては、少なくとも2以上の基本評価指数を各インク量セットについて取得し、これらの基本評価指数を結合させた結合評価指数に基づいて各インク量セットの好適度合いを判断する。これにより、2以上の基本評価指数が総合的に好適なインク量セットを判断することが可能となる。
結合評価指数は基本評価指数を結合させることによって得られるが、この結合を行うときの基本評価指数の重みが各インク量セットの測色値が属する色域に応じたものとされる。これにより、ある色域においてはある基本評価指数を重視あるいは軽視して好適なインク量セットを判断することが可能となる。すなわち、色域に応じて重視すべき基本評価指数を変化させることが可能となる。従って、色域ごとに重視される基本評価指数が異なるプロファイルを作成することができ、色域に応じて変動する印刷画像の印象に柔軟に対応することができる。例えば、グレー域や高明度域や空色域においては粒状性が目立ちやすいため、これらの色域においては粒状性の重みを増加させることが望ましい。各インク量セットの測色値は、各インク量セットに従ってプリンタが印刷をしたときの測色値を予測することにより得られ、実際に印刷することを要しない。
基本評価指数の重みを変動可能とする技術的特徴を有する他の発明の態様として、プロファイルが前提とする印刷条件に応じて各基本評価指数の重みを変動させるようにしてもよい。すなわち、印刷条件に応じて重視すべき基本評価指数も変動するため、各印刷条件に適するプロファイルを作成することができる。例えば、濃度の淡いインクが印刷に使用できる場合、より粒状性を低減させるべく粒状性の重みを増加させることが望ましい。また、光沢のある印刷用紙に印刷を行う場合にも、高い写真印刷画質が要求されると予測されるため、ノイズ感を低減させるべく粒状性の重みを増加させることが望ましい。
2以上の基本評価指数を結合する手法は種々採用することができるが、基本評価指数を線形結合させるのが最も容易である。その場合、各基本評価指数に対して乗じる重み係数を各インク量セットの測色値が属する色域や印刷条件に応じて変化させることにより、結合評価指数における各基本評価指数の重みを測色値が属する色域に応じたものとすることができる。
各インク量セットの測色値を予測するにあたっては、各インク量セットに従って印刷したときの分光反射率を予測するようにしてもよい。インク量セットが得られれば印刷媒体のインクによる被覆態様も予測することができるため、インクの分光反射特性に基づいて分光反射率も予測することができる。例えば、分光反射率を予測する分光プリンティングモデルとして、ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)や、セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Cellular Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)を使用することができる。分光プリンティングモデルによって分光反射率が予測できれば、ある分光エネルギー分布の光源を想定することにより、同光源下の測色値を得ることができる。
基本評価指数の例としては、複数光源下における色の恒常性を示す色恒常性指数や、ある光源下において印刷媒体上に分布する色の粒状性を示す粒状性指数や、インク量セットを構成する各インク量の総和を示す合計インク量を挙げることができる。色恒常性指数の重みを増せば、ある色域やある印刷条件において色の恒常性に優れたプロファイルを作成することができる。また、粒状性指数の重みを増せば、ある色域やある印刷条件において粒状性の少ないプロファイルを作成することができる。同様に、ある色域やある印刷条件において使用されるインク量の少ないプロファイルを作成することができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、プロファイル作成方法およびプロファイル作成装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
(1)第1実施形態
(2)分光プリンティングモデルの一例
(3)粒状性の調査
(4)第2実施形態
(5)まとめ
(1)第1実施形態
(2)分光プリンティングモデルの一例
(3)粒状性の調査
(4)第2実施形態
(5)まとめ
(1)第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態としてのプロファイル作成装置の構成を示している。同図において、プロファイル作成装置10は、分光プリンティングモデルコンバータ100と評価指数生成部120と選択部130とプロファイル生成部140とガマットマッピング処理部160とから構成されている。プロファイル作成装置10は、本実施形態においてコンピュータであり、上記各モジュールを図示しないCPUにてRAMをワークエリアとしながら実行させ、各処理に必要なデータを図示しないHDD等の記憶装置に記憶する。分光プリンティングモデルコンバータ100は、複数のインク量セットを、そのインク量セットに応じて印刷されるカラーパッチの分光反射率Rsmp(λ)に変換する。なお、本明細書において「カラーパッチ」とは、有彩色のパッチに限らず、無彩色のパッチも含む広い意味を有している。本実施形態において、シアン(C)マゼンタ(M)イエロー(Y)ブラック(K)ライトシアン(lc)ライトマゼンタ(lm)の6色のインクを利用可能なカラープリンタを想定する。従って、本実施形態のインク量セットは、CMYKlclmの各インク吐出量の組み合わせで表すことができる。分光プリンティングモデルコンバータ100は、6種類のインクの吐出量をそれぞれ256階調で入力する。なお、分光プリンティングモデルコンバータ100は所定の分光プリンティングモデルを適用して各インク量セットについてカラーパッチの分光反射率Rsmp(λ)を予測するが、詳細については後述する。
図1は、本発明の第1実施形態としてのプロファイル作成装置の構成を示している。同図において、プロファイル作成装置10は、分光プリンティングモデルコンバータ100と評価指数生成部120と選択部130とプロファイル生成部140とガマットマッピング処理部160とから構成されている。プロファイル作成装置10は、本実施形態においてコンピュータであり、上記各モジュールを図示しないCPUにてRAMをワークエリアとしながら実行させ、各処理に必要なデータを図示しないHDD等の記憶装置に記憶する。分光プリンティングモデルコンバータ100は、複数のインク量セットを、そのインク量セットに応じて印刷されるカラーパッチの分光反射率Rsmp(λ)に変換する。なお、本明細書において「カラーパッチ」とは、有彩色のパッチに限らず、無彩色のパッチも含む広い意味を有している。本実施形態において、シアン(C)マゼンタ(M)イエロー(Y)ブラック(K)ライトシアン(lc)ライトマゼンタ(lm)の6色のインクを利用可能なカラープリンタを想定する。従って、本実施形態のインク量セットは、CMYKlclmの各インク吐出量の組み合わせで表すことができる。分光プリンティングモデルコンバータ100は、6種類のインクの吐出量をそれぞれ256階調で入力する。なお、分光プリンティングモデルコンバータ100は所定の分光プリンティングモデルを適用して各インク量セットについてカラーパッチの分光反射率Rsmp(λ)を予測するが、詳細については後述する。
評価指数生成部120は、色算出部122と比較色算出部124と色恒常性指数算出部125と合計インク量算出部126と粒状性指数取得部128と結合評価指数取得部129とから構成されている。色恒常性指数算出部125と合計インク量算出部126と粒状性指数取得部128は本発明の基本評価指数としての非色恒常性指数CII(Color Inconstancy Index)と合計インク量TIと粒状性指数GI(Graininess Index)とを算出し、これらによって基本評価指数取得部120aが構成される。色算出部122は、各インク量セットに対する分光反射率Rsmp(λ)を用いて、第1の観察条件における測色値CV1を算出する。本実施形態では、第1の観察条件として標準の光D50を用いる。この第1の観察条件で得られた測色値CV1で表される色を「サンプル色」とも呼ぶ。比較色算出部124は、インク量セットに対する分光反射率Rsmp(λ)を用いて、第2の観察条件における測色値CV2を算出する。本実施形態では、第2の観察条件として標準の光F11を用いる。以下では、第2の観察条件で得られた測色値CV2で表される色を「比較色」とも呼ぶ。
色算出部122と比較色算出部124は、同じ分光反射率Rsmp(λ)を用いて異なる観察条件における測色値CV1,CV2をそれぞれ算出する。色恒常性指数算出部125は、これらの測色値CV1,CV2を用いて、インク量セットによる出力色を異なる観察条件で観察した場合の色の色差を表す非色恒常性指数CIIを算出する。
粒状性指数取得部128は、予め調査されたインク量セットと粒状性指数GIとの対応関係(粒状性プロファイル200)に基づいて各インク量セットに従って印刷を行ったときの粒状性指数GIを予測する。なお、粒状性プロファイル200は予め用意されているが、粒状性プロファイル200については後に詳述する。
合計インク量算出部126はインク量セット(CMYKlclmのインク量階調値)を取得して、これらの階調値を合計した合計インク量TIを算出する。結合評価指数取得部129は、基本評価指数取得部120aが算出した非色恒常性指数CIIと合計インク量TIと粒状性指数GIを取得するとともに、これらを線形結合させて結合評価指数EIを得る。また、結合評価指数取得部129は色算出部122から測色値CV1の入力を得ており、この測色値CV1に基づいて非色恒常性指数CIIと合計インク量TIと粒状性指数GIを線形結合する際の重み係数k1,k2,k3を変化させる。
選択部130は、良好な結合評価指数EIを有するインク量セットをサンプルインク量セットとして選択する。プロファイル生成部140は、選択されたサンプルインク量セットと、それらのサンプルインク量セットを用いて印刷されるカラーパッチの測色値(L*a*b*値)とを用いて、インクプロファイル142を作成する。このインクプロファイル142は、測色値(L*a*b*値)とCMYKlclmのインク量との対応関係を示すルックアップテーブルである。なお、「インクプロファイル」を「出力デバイスプロファイル」とも呼ぶ。本明細書において、「プロファイル」とは、色空間の変換を行うための変換規則を具現化したものを意味しており、各種のデバイスプロファイルとルックアップテーブルとを含む広い意味を有している。
ガマットマッピング処理部160は、このインクプロファイル142と、予め準備されたsRGBプロファイル162とを用いて、プリンタルックアップテーブル180を作成する。ここで、sRGBプロファイル162としては、例えばsRGB色空間をL*a*b*色空間に変換するプロファイルを使用することができる。なお、「sRGBプロファイル」を「入力デバイスプロファイル」とも呼ぶ。プリンタルックアップテーブル180は、入力カラー画像データ(例えばsRGBデータ)をインク量データに変換するためのものである。
図2は、プロファイル作成処理の流れを示している。ステップS10では、分光プリンティングモデルを決定して、コンバータ100を作成する。すなわち、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180が前提とする印刷条件(インクセットと印刷媒体)に応じた分光プリンティングモデルコンバータ100が用意される。なお、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180が前提とする印刷条件は、プロファイル作成処理を行うにあたり予め指定される。同様に、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180が前提とする印刷条件に応じた粒状性プロファイル200が用意される。ステップS15では、多数のインク量セット(CMYKlclm)を設定する。本明細書において、各インク量セットに従って印刷される仮想的なカラーパッチを仮想パッチと表記する。本実施形態では、CMYKlclmの各インクに関して、0〜100%の範囲で10%おきに11点のインク量をそれぞれ設定し、6種類のインクの量のすべての組合せをインク量セットとして準備する。すなわち、116=1,771,561個のインク量セットが準備されることとなる。なお、「インク量100%」とは、1種類のインクでベタ打ちとなるインク量を意味する。
ステップS20では、分光プリンティングモデルコンバータ100を用いて各インク量セットを分光反射率Rsmp(λ)に変換し、この分光反射率Rsmp(λ)からCIELAB表色系の測色値L*a*b*を算出する。本実施形態では、CIE標準の光D50、および、CIE1931 2°観測者の観察条件での仮想パッチの測色値を算出した。以下では、仮想パッチを特定の観察条件で観察したときの色を「サンプル色」と呼ぶ。図3(A)〜3(C)は、本実施形態で算出されたサンプル色の分布を示している。図3(A)の横軸はCIELAB表色系のa*軸を示し、縦軸はb*軸を示している。図3(B),(C)の横軸はa*軸およびb*を示し、縦軸はL*軸を示している。
ステップS25では、測色値の色空間(ここではCIELAB空間)を複数のセルに分割し、複数のサンプル色をセルに関してソート(分類)する。本実施形態では、CIELAB空間を16×16×16個のセルに均等に分割するものとする。なお、このときCIELAB空間における各サンプル色の仮想パッチと上記コンバータ100によって変換される前の各インク量セットとを対応づけておく。すなわち、予め準備した多数のインク量セットが対応する仮想パッチの測色値に基づいてソートされることとなる。
図4は、CIELAB空間が複数のセルに区切られる様子を示している。同図において、L*が所定値のa*b*平面を示しており、同a*b*平面が16×16個のセルに均等に分割される様子が示されている。図示されないが、各セルはL*軸方向の成分を有しており、6面体となっている。そして、6面体のいずれかのセルに各仮想パッチの測色値が属している。なお、各セルを識別するためのセルID(CL1〜CL4096)が与えられている。ステップS30では、好ましいサンプルの選択に使用する結合評価指数EIを設定する。本実施形態で使用される結合評価指数EIは、下記(1)式で表される。
上記(1)式によれば基本評価指数として与えられた非色恒常性指数CIIと粒状性指数GIと合計インク量TIを所定の重みk1,k2,k3にて線形結合させることにより、結合評価指数EIを算出することができる。
例えば、非色恒常性指数CIIは、下記(2)式で算出することができる。
ここで、ΔL* 、ΔC*ab 、ΔH*ab はそれぞれ、CV1とCV2についての明度差、彩度差、色相差を示している。非色恒常性指数CIIを算出する上で、CIELAB空間のCV1,CV2は図4に示す色順応変換(CAT)によって共通の観察条件下、例えば、D65光源下での値に変換される。非色恒常性指数CIIについては、Billmeyer and Saltzman's Principles of Color Technology, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc, 2000, p.129, p.213-215を参照。
例えば、非色恒常性指数CIIは、下記(2)式で算出することができる。
ここで、ΔL* 、ΔC*ab 、ΔH*ab はそれぞれ、CV1とCV2についての明度差、彩度差、色相差を示している。非色恒常性指数CIIを算出する上で、CIELAB空間のCV1,CV2は図4に示す色順応変換(CAT)によって共通の観察条件下、例えば、D65光源下での値に変換される。非色恒常性指数CIIについては、Billmeyer and Saltzman's Principles of Color Technology, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc, 2000, p.129, p.213-215を参照。
なお、上記(2)式の右辺は、CIE1994年色差式において、明度と彩度の係数kL,kCの値を2に設定し、色相の係数kHの値を1に設定した色差ΔE*94(2:2)に相当する。CIE1994年色差式では、上記(2)式の右辺の分母の係数SL,Sc,SHは下記(3)式で与えられる。
非色恒常性指数CIIは、あるカラーパッチを第1と第2の異なる観察条件下で観察したときの色の見えの差として定義されている。従って、非色恒常性指数CIIが小さいサンプルは、異なる観察条件での色の見えの差が小さいという点で好ましい。
一方、粒状性指数GIは、インク量セットを構成する各インク量CMYKlclmを粒状性プロファイル200に代入することにより得ることができる。粒状性プロファイル200をfGIと表すと粒状性指数GIは下記(4)式で表現することができる。
粒状性指数GIは、ある印刷物を観察者が視認したときに、その観察者が感じる粒状感(あるいはノイズの程度)であり、粒状性指数GIが小さい程、観察者が感じる粒状感は小さくなる。一方、合計インク量TIは、インク量セットを構成する各インク量CMYKlclmを加算することにより得られる。合計インク量TIは仮想パッチを印刷する際に消費されるインク総量に対応しており、合計インク量TI小さい程、インクのランニングコストが低く、にじみのおそれも少なくなる。従って、合計インク量TIが小さいほど好ましい。本実施形態におけるステップS30では上記のような基本評価指数CII,GI,TIを設定することとしたが、むろん他の評価指数を設定しもよい。なお、重み係数k1,k2,k3の値はこの時点で設定せず、後に詳述する処理にて設定される。
図2のステップS35では、結合評価指数取得部129が、各インク量セットに対する結合評価指数EIを算出し、選択部130がこの結合評価指数EIに応じてCIELAB色空間の各セル内で最良の仮想パッチを選択する。なお、仮想パッチを選択することで、その仮想パッチに対応するインク量セットが選択されることとなる。
図5は、ステップS35の詳細手順を示すフローチャートである。ステップS52では、まずセルを1つ選択する。例えば、上述したセルID(CL1〜CL4096)を昇順に選択するようにすればよい。ステップS55では、選択されたセルに仮想パッチの測色値が属するインク量セットを1つ選択する。ステップS25にて予めセルごとに各インク量セットがソートされているため、任意のセルに属するインク量セットを選択することができる。ステップS60では、分光プリンティングモデルコンバータ100を用いて、その分光反射率Rsmp(λ)を算出する。次のステップS62〜S66は基本評価指数生成部120aの色算出部122(図1)によって実行され、ステップS68〜S72は基本評価指数生成部120aの比較色算出部124によって実行される。ステップS74は色恒常性指数算出部125によって実行される。ステップS75は合計インク量算出部126によって実行され、またステップS76は粒状性指数取得部128によって実行される。さらに、ステップS80は結合評価指数取得部129によって実行される。
色算出部122は、ステップS62において、分光反射率Rsmp(λ)を用いて第1の観察条件下で三刺激値XYZを算出する。本実施形態では、CIE標準の光D50、および、CIE1931 2°観測者の観察条件で三刺激値XYZを算出した。本明細書において、「観察条件」とは照明光と観測者の組合せを意味しているが、特に言及しない限り観測者としてCIE1931 2°観測者を使用する。ステップS64では、この三刺激値XYZに色順応変換を適用して、標準観察条件での対応色を算出する。本実施形態では、標準観察条件の光源として標準の光D65を用い、色順応変換としてCIECAT02を利用した。CIECAT02については、例えば"The CIECAM02 Color Appearance Model", Nathan Moroney et al., IS&T/SID Tenth Color Imaging Conference, pp.23-27, および、"The performance of CIECAM02", Changjun Li et al., IS&T/SID Tenth Color Imaging Conference, pp.28-31に記載されている。ただし、色順応変換としては、フォン・クリースの色順応予測式などの他の任意の色順応変換を用いることも可能である。ステップS66では、この対応色のCIELAB表色系の測色値CV1=(L*a*b*)D50→D65を算出する。この下付き文字「D50→D65」は、標準の光D50の下での色の見えを、標準の光D65の対応色で表現した測色値であることを意味している。
比較色算出部124も、第2の観察条件で色算出部122と同様の演算を実行する。すなわち、ステップS68において、分光反射率Rsmp(λ)を用いて第2の観察条件下で三刺激値XYZを算出する。本実施形態では、CIE標準の光F11、および、CIE1931 2°観測者の観察条件で三刺激値XYZを算出した。ステップS70では、この三刺激値XYZに色順応変換を適用して、標準観察条件での対応色を算出する。そして、ステップS72では、この対応色のCIELAB表色系の測色値CV2=(L*a*b*)F11→D65を算出する。
サンプル色の測色値CV1=(L*a*b*)D50→D65と、比較色の測色値CV2=(L*a*b*)F11→D65は、同一の標準観察条件におけるそれぞれの対応色の測色値なので、それらの色差ΔEである非色恒常性指数CII(上記(2)式参照)は、仮想パッチについてのサンプル色と比較色の見えの違いをかなり正確に表現する値となる。
なお、標準観察条件は、標準の光D65に限らず、任意の照明光下での観察条件を採用することができる。例えば、標準の光D50を標準観察条件として採用した場合には、図4のステップS64は不要であり、また、ステップS70では標準の光D50に対する色順応変換が実行される。ただし、CIELAB表色系を用いて算出される色差ΔEは、標準の光D65を用いたときに最も信頼性の高い値を示す。この点からは、標準観察条件として標準の光D65を用いることが好ましい。
ステップS74では、色恒常性指数算出部125(図1)が上記のようにして得られた測色値CV1,CV2を、上記(2)式に適用することにより非色恒常性指数CIIを算出する。ステップS75では、上述のステップS55で選択されたインク量セットを合計インク量算出部126が取得し、合計インク量算出部126が各インク量CMYKlclmを合計する。ここでは各インク量CMYKlclmを単純に加算すれば、合計インク量TIを算出することができる。ステップS76では、上述のステップS55で選択されたサンプルインク量セットを粒状性指数取得部128が取得し、粒状性指数取得部128が同インク量セットを構成する各インク量CMYKlclmを上記(4)式に代入する。それにより、当該インク量セットに対応する粒状性指数GIを算出する。
以上の処理によって非色恒常性指数CIIと合計インク量TIと粒状性指数GIが取得できると、ステップS78にて結合評価指数取得部129が上記(1)式における重み係数k1,k2,k3の設定を行う。重み係数k1,k2,k3の値は、予め用意された重みテーブルT1を参照することにより設定される。
図6(A)は、重みテーブルT1に規定された内容を示している。同図において、各セルごとに重み係数k1,k2,k3の値が定義されている。上述したとおり各セルはCIELAB空間における6面体状の色域に対応しているため、重み係数k1,k2,k3が色域ごとに設定されているということができる。合計インク量TIについての重み係数k2はいずれのセルにおいても一定であるが、非色恒常性指数CIIについての重み係数k1と粒状性指数GIについての重み係数k3はセルに応じて異なった値となっている。なお、一部のセルを除いて一定となる重み係数k1,k3の値を基準値k01,k03と表記するものとする。図6(B)においては、a*を横軸に示しb*を縦軸に示しており、ある明度L*におけるa*b*平面が各セルに区分して示されている。同図において、非色恒常性指数CIIについての重み係数k1と粒状性指数GIについての重み係数k3が一定でないセルをハッチングによって示している。また、当該明度L*において最も典型的な肌色の座標をthで示し、最も典型的な空色の座標をtsで示し、グレー(a*b*)の座標をtgで示している。
図7は、ハッチングされたセルにおける非色恒常性指数CIIについての重み係数k1と粒状性指数GIについての重み係数k3の推移を示している。同図において、縦軸に重み係数k1,k3を示し、横軸に各セルの中心座標と上記各色の座標th,ts,tgとの距離(色差)を示している。同図に示すように、セルが典型的な各色の上記座標th,ts,tgに近いほど重み係数k1,k3が単調増加し、所定の距離より近くなると上限値で略一定となる。一方、セルが典型的な各色の上記座標th,ts,tgから所定の距離より遠くなると、重み係数k1,k3は他の色域のセルと同様の基準値k01,k03に収束する。このようにすることにより、各セルの色が典型的な肌色や空色やグレーに近いほど非色恒常性指数CIIについての重み係数k1と粒状性指数GIについての重み係数k3を増加させることができる。すなわち、所定の色域において色恒常性と粒状性を重視することができる。なお、いずれの色域でも一定とされた合計インク量TIについての重み係数k2は当該色域において相対的に軽視されることとなる。
なお、重み係数k1,k2,k3はセル単位の色域に応じて設定されるため、同一セル内では重み係数k1,k2,k3は一定となる。横軸が意味する色差の絶対的なスケールは原点とする典型的な色が肌色か空色かグレーかによって変動する。例えば、グレーを中心とした重み係数k1,k3の変動領域は、肌色を中心とした重み係数k1,k3の変動領域よりも狭くされている。また、図6(B)のように肌色や空色について略楕円状の変動領域を設定する場合には、各セルの上記座標th,tsに対する相対位置によって図7の横軸のスケールが変動する。また、図5、図7では説明のために明度L*を一定のものを図示したが、実際には明度L*にも依存して重み係数k1,k3が変動することとなる。
以上のような各セルと重み係数k1,k2,k3との対応関係が規定された重みテーブルT1を参照して、ステップS52にて選択されたセルに対応する重み係数k1,k2,k3がステップS78にて設定される。以上のようにして重み係数k1,k2,k3を設定すると、結合評価指数取得部129がステップS80にて、上記(1)式にこれまでに得られた各値CII,GI,TI,k1,k2,k3を代入することにより、結合評価指数EIを算出する。ここで算出される結合評価指数EIは、各セルの色域に応じて非色恒常性指数CIIについての重み係数k1と粒状性指数GIについての重み係数k3が変化させられたものとなる。すなわち、色域に応じて粒状性指数GIを重視する度合いを調整されたこととなる。
ステップS85では、処理対象となっているセルに含まれるすべてのインク量セットに関して結合評価指数EIの算出が終了したか否かが判断される。こうして、ステップS55〜S85が繰り返し実行されて、そのセル内のすべてのインク量セットに関して結合評価指数EIが算出される。なお、重みテーブルT1においてはセルごとに重み係数k1,k2,k3が規定されているため、各セル内においては重み係数k1,k2,k3は一定となる。ステップS90では、選択部130が、そのセル内のサンプル色のうちで、結合評価指数EIが最も小さくなる最適なインク量セットを、そのセルに関するサンプルインク量セットとして選択する。サンプルインク量セットが選択されるとステップS95にてすべてのセルについてサンプルインク量セットが選択されたかどうかが判断され、すべて完了していない場合には、ステップS52にて次のセルを選択する。この結果、少なくとも1つのインク量セットを含む各セルに関して、1つのサンプルインク量セットがそれぞれ選択されまで処理を繰り返すことができる。以下では、サンプルインク量セットを「高評価サンプル」とも呼ぶ。
なお、ステップS25で分割された複数のセルの中には、対応するインク量セットを全く含まないセルも存在する。従って、図5の処理は、少なくとも1つのインク量セットを含むようなセルを対象として実行され、インク量セットを1つも含まないセルは処理対象から除外される。以上のようにしてサンプルインク量セットが選択可能なすべてのセルについてサンプルインク量セットを選択したら、ステップS40では、そのCIELAB測色値とインク量セットとを対応付けてインクプロファイル142を作成する。この測色値は、上記ステップS66あるいはS72で算出した測色値でもよいし、プリンタルックアップテーブル180を用いて印刷する印刷環境の光源に合わせた測色値を算出してもよい。
上述のようにセルは163個あるので、ステップS35で選択されたサンプルインク量セットは163個以下である。一般的プリンタで使用するプリンタルックアップテーブル180において規定するインク量のサンプル数やサンプルの色は上記サンプルインク量セットと必ずしも一致しない。そこで、任意のインク量セットに対応する測色値はサンプルインク量セットを参照して補間演算を実施する必要がある。補間演算として線形補間、非線形補間いずれを採用するにしても、代表サンプルがCIELAB空間で不規則に配置されていると、補間演算の精度が悪くなる。補間演算の精度が悪いと、プリンタルックアップテーブル180で色変換を実施する際の変換精度も悪く、このプリンタルックアップテーブル180を利用した印刷で高画質の印刷結果を得ることができない。
そこで、ステップS45においては、インクプロファイル142に対してスムージング処理を行い、高精度に補間演算を実施可能なサンプルインク量セットを選びなおしてスムージングされたインクプロファイル144を作成する。なお、スムージング処理は、例えば特開2004−320624号公報や特開2004−320625号公報や特開2004−320626号公報に開示された技術を適用して行うことができる。スムージングされたインクプロファイル144を作成すると、上述のプリンタルックアップテーブル180を作成する際の補間処理を容易にするために等間隔のルックアップテーブルを作成する。これにより、プリンタルックアップテーブル180を作成する際に任意の補間点を補間するための格子点の探索を容易とするとともに、補間演算の処理自体も容易にすることができる。
以上のように、等間隔のLab格子とインク量との対応関係を規定した等間隔プロファイルを作成したら、図2に示すステップS50では、ガマットマッピング処理部160(図1)が、上述の等間隔プロファイルとsRGBプロファイル162とに基づいてガマットマッピングを行い、プリンタルックアップテーブル180を作成する。ガマットマッピングを行う理由は、プリンタで実現可能な色空間(「インク色空間」とも呼ぶ)の色域と、入力色空間(この実施形態ではsRGB空間)で実現可能な色域とに差があるためである。インク色空間の色域は上述の等間隔プロファイルで規定されており、入力色空間の色域はsRGBプロファイル162で規定されている。一般に、入力色空間とインク色空間には食い違いがあるので、入力色空間の色域をインク色空間の色域にマッピングする必要がある。
図8(A)および図8(B)は、ガマットマッピングの一例を示している。ここでは、いわゆるガマットクリッピングと呼ばれる方法が採用されている。具体的には、図8(A)に示すように、インク色空間の色域の外側にあるsRGB色空間の色は、色相を保った状態で彩度を低下させるようにマッピングされる。明度L*に関しては、インク色空間の明度範囲内にある色は、明度がそのまま維持される。インク色空間の明度の最大値Lmaxよりも大きな明度を有する色は、最大値Lmaxにマッピングされる。一方、インク色空間の明度の最小値Lminよりも大きな明度を有する色は、最小値Lminにマッピングされる。なお、ガマットマッピングの方法としては、従来から種々の方法が知られており、そのいずれの方法を採用してもよい。
こうしてガマットマッピングが行われると、最終的なプリンタルックアップテーブル180が完成する。このルックアップテーブル180は、sRGBデータを入力とし、6種類のインクのインク量を出力とするルックアップテーブルである。このプリンタルックアップテーブル180をプリンタに実装すれば、色彩恒常性が高い(すなわち、異なる観察条件における色の見えの変化が小さな)印刷物を作成することが可能である。また、印刷物によって人間が感じる粒状性を抑えることが可能である。
特に、人間が粒状感を感じやすい肌色や空色やグレーにおいては粒状性が抑えることができるため、粒状感がより感じられにくい印刷物を得ることができる。同様に、人間が注目しやすいとともに、人間の記憶色である肌色や空色やグレーにおいては色恒常性を向上させることができるため、見た目の印象が光源変動に影響されにくい印刷物を得ることができる。なお、プロファイル作成処理を行うにあたり予め指定されたインクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180が前提とする印刷条件を識別するデータを、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180に添付しておくことにより、プリンタにて印刷を行う都度、指定された印刷条件に適合するインクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180を使用させることができる。
なお、以上の実施形態では、sRGBとCMYKlclmとの対応関係を規定するプリンタルックアップテーブル180を作成したが、むろん、プロファイルとしては他の形態を採用することも可能である。例えば、入力側の機器依存色を機器非依存色に変換するソースプロファイルと機器非依存色を出力側の機器依存色に変換するメディアプロファイルとを利用して色変換を行う構成において、メディアプロファイルの作成に本発明を適用することも可能である。この場合、スムージングされたインクプロファイル144から格子点を等間隔化し、これをLab空間でガマットマッピングすることによってメディアプロファイルを作成する。すなわち、スムージングされたインクプロファイル144から格子点を等間隔化したプロファイルが作成されるとプリンタのガマットが確定されるので、このガマット外に存在するCIELAB空間の格子点をガマット表面あるいはガマット内の格子点に対応づける。この結果作成されるプロファイルによれば、上記ソースファイルから得られる任意のCIELAB値をCMYKlclm値に変換することが可能になる。
(2)分光プリンティングモデルの一例:
以下では、分光プリンティングモデルの一例としてセル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Cellular Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)を説明する。このモデルは、よく知られた分光ノイゲバウアモデルとユール・ニールセンモデルとに基づいている。なお、以下の説明では、CMYの3種類のインクを用いた場合のモデルについて説明するが、これを任意の複数のインクを用いたモデルに拡張することは容易である。分光ノイゲバウアモデルとユール・ニールセンモデルについては、Color Res Appl 25, 4-19, 2000, R Balasubramanian, Optimization of the spectral Neugebauer model for printer characterization, J. Electronic Imaging 8(2), 156-166 (1999),を参照。
以下では、分光プリンティングモデルの一例としてセル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Cellular Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)を説明する。このモデルは、よく知られた分光ノイゲバウアモデルとユール・ニールセンモデルとに基づいている。なお、以下の説明では、CMYの3種類のインクを用いた場合のモデルについて説明するが、これを任意の複数のインクを用いたモデルに拡張することは容易である。分光ノイゲバウアモデルとユール・ニールセンモデルについては、Color Res Appl 25, 4-19, 2000, R Balasubramanian, Optimization of the spectral Neugebauer model for printer characterization, J. Electronic Imaging 8(2), 156-166 (1999),を参照。
図9は、分光ノイゲバウアモデルを示す図である。分光ノイゲバウアモデルでは、任意の印刷物の分光反射率R(λ)は、下記(5)式で与えられる。
ここで、aiはi番目の領域の面積率であり、Ri(λ)はi番目の領域の分光反射率である。添え字iは、インクの無い領域(w)と、シアンインクのみの領域(c)と、マゼンタインクのみの領域(m)と、イエローインクのみの領域(y)と、マゼンタインクとイエローインクが吐出される領域(r)と、イエローインクとシアンインクが吐出される領域(g)と、シアンインクとマゼンタインクが吐出される領域(b)と、CMYの3つのインクが吐出される領域(k)をそれぞれ意味している。また、fc,fm,fyは、CMY各インクを1種類のみ吐出したときにそのインクで覆われる面積の割合(「インク被覆率(Ink area coverage)」と呼ぶ)である。分光反射率Ri(λ)は、カラーパッチを分光反射率計で測定することによって取得される。
ここで、aiはi番目の領域の面積率であり、Ri(λ)はi番目の領域の分光反射率である。添え字iは、インクの無い領域(w)と、シアンインクのみの領域(c)と、マゼンタインクのみの領域(m)と、イエローインクのみの領域(y)と、マゼンタインクとイエローインクが吐出される領域(r)と、イエローインクとシアンインクが吐出される領域(g)と、シアンインクとマゼンタインクが吐出される領域(b)と、CMYの3つのインクが吐出される領域(k)をそれぞれ意味している。また、fc,fm,fyは、CMY各インクを1種類のみ吐出したときにそのインクで覆われる面積の割合(「インク被覆率(Ink area coverage)」と呼ぶ)である。分光反射率Ri(λ)は、カラーパッチを分光反射率計で測定することによって取得される。
インク被覆率fc,fm,fyは、図9(B)に示すマーレイ・デービスモデルで与えられる。マーレイ・デービスモデルでは、例えばシアンインクの面積率fcは、シアンのインク吐出量dcの非線形関数であり、1次元ルックアップテーブルの形で与えられる。インク被覆率がインク吐出量の非線形関数となる理由は、単位面積に少量のインクが吐出された場合にはインクが十分に広がるが、多量のインクが吐出された場合にはインクが重なり合うためにインクで覆われる面積があまり増加しないためである。
分光反射率に関するユール・ニールセンモデルを適用すると、上記(5)式は下記(6a)式または(6b)式に書き換えられる。
ここで、nは1以上の所定の係数であり、例えばn=10に設定することができる。(6a)式および(6b)式は、ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)を表す式である。
ここで、nは1以上の所定の係数であり、例えばn=10に設定することができる。(6a)式および(6b)式は、ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)を表す式である。
セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデル(Cellular Yule-Nielsen Spectral Neugebauer Model)は、上述したユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルのインク色空間を複数のセルに分割したものである。
図10(A)は、セル分割ユール・ニールセン分光ノイゲバウアモデルにおけるセル分割の例を示している。ここでは、簡単のために、シアンのインク被覆率fcとマゼンタのインク被覆率fmの2つの軸を含む2次元空間でのセル分割を描いている。なお、これらの軸fc,fmは、インク吐出量dc,dmを示す軸と考えることもできる。白丸は、セル分割のグリッド点(「ノード」と呼ぶ)であり、2次元空間が9つのセルC1〜C9に分割されている。16個のノードにおける印刷物(カラーパッチ)に対しては、分光反射率R00,R10,R20,R30,R01,R11・・R33がそれぞれ予め決定される。
図10(B)は、このセル分割に対応するインク被覆率fc(d)の形状を示している。ここでは、1種類のインクのインク量の範囲0〜dmaxが3つの区間に分割されており、インク被覆率fc(d)は、各区間ごとに0から1まで単調に増加する曲線によって表されている。
図10(C)は、図10(A)の中央のセルC5内にあるサンプルの分光反射率Rsmp(λ)の算出方法を示している。分光反射率Rsmp(λ)は、下記(7)式で与えられる。
ここで、インク被覆率fc,fmは図10(C)のグラフで与えられる値であり、このセルC5内で定義された値である。また、セルC5の4つの頂点における分光反射率R11(λ),R12(λ),R21(λ),R22(λ)の値は、上記(9)式に従ってサンプル分光反射率Rsmp(λ)を正しく与えるように調整されている。
ここで、インク被覆率fc,fmは図10(C)のグラフで与えられる値であり、このセルC5内で定義された値である。また、セルC5の4つの頂点における分光反射率R11(λ),R12(λ),R21(λ),R22(λ)の値は、上記(9)式に従ってサンプル分光反射率Rsmp(λ)を正しく与えるように調整されている。
このように、インク色空間を複数のセルに分割すれば、分割しない場合に比べてサンプルの分光反射率Rsmp(λ)をより精度良く算出することができる。図11は、本実施形態で採用されたセル分割のノード値を示している。この例に示されているように、セル分割のノード値は、各インク毎に独立に設定することが好ましい。ところで、図10(A)に示すモデルにおいて、すべてのノードにおける分光反射率をカラーパッチの測定で得ることはできないのが普通である。この理由は、多量のインクを吐出するとにじみが発生してしまい、均一な色のカラーパッチを印刷できないからである。
図12は、測定できない分光反射率を求める方法を示している。これは、シアンとマゼンタの2種類のインクのみを使用する場合の例である。シアンとマゼンタの2種類のインクで印刷される任意のカラーパッチの分光反射率R(λ)は、下記(8)式で与えられる。
上記(8)式に含まれる複数のパラメータのうちで、シアンインクとマゼンタインクの両方が100%吐出量であるときの分光反射率Rb(λ)のみが未知であり、他のパラメータの値は既知であると仮定する。このとき、上記(8)式を変形すれば、下記(9)式が得られる。
上述したように右辺の各項はすべて既知である。従って、上記(9)式を解くことによって、未知の分光反射率Rb(λ)を算出することができる。この分光反射率の見積もりにつては、R Balasubramanian, "Optimization of the spectral Neugebauer model for printer characterization", J. Electronic Imaging 8(2), 156-166 (1999)を参照。
シアンとマゼンタの2次色以外の他の2次色の分光反射率も同様にして求めることが可能である。また、複数の2次色の分光反射率が求まれば、複数の3次色の分光反射率も同様にして求めることができる。こうして、高次の分光反射率を順次求めてゆくことによって、セル分割されたインク色空間の各ノードにおける分光反射率をすべて求めることが可能である。
図1に示す分光プリンティングコンバータ100は、図10(A)に示すようにセル分割されたインク色空間の各ノードにおける分光反射率の値と、図10(C)に示すインク被覆率を示す1次元ルックアップテーブルとを有しており、これらを用いて任意のサンプルインク量データに対する分光反射率Rsmp(λ)を算出するように構成されている。
なお、一般に、印刷されたカラーパッチの分光反射率は、インクセットと印刷媒体とに依存する。従って、図1に示す分光プリンティングモデルコンバータ100は、インクセットと印刷媒体との組合せごとに作成される。従って、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180が前提とするインクセットと印刷媒体との組合せに対応する分光プリンティングモデルコンバータ100が適宜準備されることとなる。印刷媒体が変われば少なくとも分光反射率Rw(λ)が変動するため、印刷媒体に対応した分光反射率Rw(λ)を利用した分光プリンティングモデルコンバータ100を準備する必要がある。
むろん、インクセットが変われば使用される各インクの構成が変わるため、各インクの分光反射率Ri(λ)がインクセットに対応する分光プリンティングモデルコンバータ100を準備する必要がある。図2のステップS10ではインクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180を作成する際に、どのような印刷用紙とインクセットについてインクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180を作成するかを指定しており、その指定に対応する分光プリンティングモデルコンバータ100が準備されることとなる。
(3)粒状性の調査:
本実施形態において上記(4)式によって粒状性指数GIが算出され、同(4)式おいて使用される粒状性プロファイル200は粒状性プロファイル生成部127によって予め生成されている。粒状性プロファイル200は予めインク量セットと粒状性との対応関係を調査することにより用意される。以下、粒状性プロファイル200を生成する処理について詳細に説明する。
本実施形態において上記(4)式によって粒状性指数GIが算出され、同(4)式おいて使用される粒状性プロファイル200は粒状性プロファイル生成部127によって予め生成されている。粒状性プロファイル200は予めインク量セットと粒状性との対応関係を調査することにより用意される。以下、粒状性プロファイル200を生成する処理について詳細に説明する。
図13は、粒状性プロファイル生成部127の構成を示している。同図において、粒状性プロファイル生成部127はハーフトーン処理部1271とマイクロウィーブ処理部1272とプリンタ出力部1273とスキャナ入力部1274と粒状性指数算出部1275とプロファイル作成部1276とから構成されている。プリンタ出力部1273はプリンタに対して印刷データを出力可能であり、スキャナ入力部1274はスキャナから画像データを入力可能である。ハーフトーン処理部1271はカラーパッチの画像データをインク吐出可否を示す階調の画像データ(ハーフトーンデータ)に変換する。マイクロウィーブ処理部1272はハーフトーンデータの各画素列を走査パスごとのラスターデータに分解して印刷データを生成する。粒状性指数算出部1275はスキャナから得られたカラーパッチの画像データを空間周波数解析することにより、各インク量セットに対応する粒状性指数GIを算出する。プロファイル作成部1276は各インク量セットに対応する粒状性指数GIとの対応関係に基づいて、粒状性プロファイル200を生成する。
図14は粒状性プロファイル生成処理の流れを示している。ステップS200においてはCMYKlclmのインク量セットを多数ランダムに生成する。ここでは、インク量空間にて偏った分布とならないように多数のインク量セットが生成できればよいが、生成したインク量セットを上述した分光プリンティングモデルコンバータ100(図1)と色算出部122(図1)に入力し、ある光源下における測色値がプリンタガマットにて均等に分布するようにインク量セットを選択してもよい。
ステップS205においては、ハーフトーン処理部1271とマイクロウィーブ処理部1272とプリンタ出力部1273によって、各インク量セットに対応するカラーパッチを実際にプリンタにて印刷させる。この印刷を行うプリンタと印刷用紙はインクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180を作成する対象のプリンタと印刷用紙とする。このようにすることにより、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180を実際に使用する段階と同一のアルゴリズムで各インク量セットに対するハーフトーン処理とマイクロウィーブ処理等を実行することができる。さらに、印刷条件に応じてハーフトーン処理とマイクロウィーブ処理等のアルゴリズムも変動するため、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180が前提とする印刷条件で本カラーパッチも印刷しておく必要がある。また、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180を作成する対象のプリンタにて印刷することにより、当該プリンタが有するノズル誤差特性や吐出誤差特性や紙送り誤差特性も反映されたカラーパッチを得ることができる。従って、誤差特性も加味した粒状性プロファイル200を用意することができる。
ステップS210では、各カラーパッチをスキャナでスキャンする。ここでは、プリンタがカラーパッチを印刷したときの解像度よりも高解像度でスキャンを行う。このようにすることにより、カラーパッチにおけるインクドットの分布状態を詳細に把握することが可能な画像データをスキャナ入力部1274が得ることができる。なお、粒状性の光源依存性は少ないため、必ずしも上記非色恒常性指数CIIを評価する光源と同一の照明にてスキャンを行う必要はない。スキャンした画像データはスキャナの入力デバイスプロファイルを使用してCIELAB表色系等の非機器依存の画像データに変換しておくことが望ましい。ステップS215においては、スキャンした画像データを印刷媒体上における明度分布の画像データL(x,y)に変換する。以下、当該画像データL(x,y)に基づいて粒状性指数算出部1275が粒状性指標値GIを算出する。
図15はGIを算出する様子を説明している。本実施形態において、GIは画像の明度を空間周波数(cycle/mm)で評価する。このために、まず図15の左端に示す明度L(x,y)に対してFFT(Fast Fourier Transformation)を実施する(ステップS220)。図14,図15においては得られた空間周波数のスペクトルをS(u,v)として示している。なお、スペクトルS(u,v)は実部Re(u,v)と虚部Im(u,v)とからなり、S(u,v)=Re(u,v)+jIm(u,v)である。このスペクトルS(u,v)は上述のウイナースペクトラムに相当する。
ここで、(u,v)は(x,y)の逆空間の次元を持つが、本実施形態において(x,y)は座標として定義され、実際の長さの次元に対応させるにはスキャナの解像度等を考慮しなければならない。従って、S(u,v)を空間周波数の次元で評価する場合も次元の変換が必要である。そこで、まず、座標(u,v)に対応した空間周波数の大きさf(u,v)を算出する。すなわち、主走査方向の最低周波数euはX解像度/25.4,副走査方向の最低周波数evはY解像度/25.4と定義される。なお、X解像度,Y解像度はスキャナがスキャンした際の解像度である。なお、ここでは1インチを25.4mmとしている。各走査方向の最低周波数eu,evが算出されれば、任意の座標(u,v)における空間周波数の大きさf(u,v)は((eu・u)2+(ev・v)2))1/2として算出することが可能になる。
一方、人間の目は、空間周波数の大きさf(u,v)に応じて明度に対する感度が異なり、当該視覚の空間周波数特性は、例えば、図15の中央下部に示すVTF(f)のような特性である。この図15におけるVTF(f)はVTF(f)=5.05×exp(−0.138・d・π・f/180)×(1−exp(−0.1・d・π・f/180))である。なお、ここでdは印刷物と目の距離でありfは上記空間周波数の大きさfである。このfは上述(u,v)の関数として表現されているので、視覚の空間周波数特性VTFは(u,v)の関数VTF(u,v)とすることができる。
上述のスペクトルS(u,v)に対してこのVTF(u,v)を乗じれば、視覚の空間周波数特性を考慮した状態でスペクトルS(u,v)を評価することができる。また、この評価を積分すればサブ画素平面全体について空間周波数を評価することができる。そこで、本実施形態においては、ステップS230〜S250の処理で積分までの処理を行っており、まず、(u,v)を双方とも”0”に初期化し(ステップS230)、ある座標(u,v)での空間周波数f(u,v)を算出する(ステップS235)。また、この空間周波数fにおけるVTFを算出する(ステップS240)。
VTFが得られたら、当該VTFの2乗とスペクトルS(u,v)の2乗とを乗じ、積分結果を代入するための変数Powとの和を算出する(ステップS245)。すなわち、スペクトルS(u,v)は実部Re(u,v)と虚部Im(u,v)とを含むので、その大きさを評価するため、まず、VTFの2乗とスペクトルS(u,v)の2乗とによって積分を行う。そして、座標(u,v)のすべてについて以上の処理を実施したか否かを判別し(ステップS250)、全座標(u,v)について処理を終了したと判別されなければ、未処理の座標(u,v)を抽出してステップS235以降の処理を繰り返す。なお、VTFは図15に示すように空間周波数の大きさが大きくなると急激に小さくなってほぼ”0”となるので、座標(u,v)の値域を予め所定の値以下に制限することにより必要充分な範囲で計算を行うことができる。
積分が終了したら、Pow1/2/全画素数を算出する(ステップS255)。すなわち、変数Powの平方根によって上記スペクトルS(u,v)の大きさの次元に戻すとともに、全画素数で除して規格化する。この規格化により、元のハーフトーンデータの画素数に依存しない客観的な指数(図14のInt)を算出している。本実施形態においては、さらに、印刷物全体の明度による影響を考慮した補正を行ってGIとしている。すなわち、本実施形態においては、空間周波数のスペクトルが同じであっても印刷物全体が明るい場合と暗い場合とでは人間の目に異なった印象を与え、全体が明るい方が粒状性を感じやすいものとして補正を行う。このため、まず、全画素について明度L(x,y)を足し合わせ、全画素で除することにより、画像全体の明度の平均Aveを算出する(ステップS260)。
そして、画像全体の明るさによる補正係数a(L)をa(L)=((Ave+16)/116)0.8と定義し、この補正係数a(L)を算出(ステップS265)するとともに上記Intに乗じてGIとする(ステップS270)。なお、補正係数a(L)は、上述した明度補正項aLに相当する。また、補正係数としては、明度の平均によって係数の値が増減する関数であればよく、他にも種々の関数を採用可能である。むろん、GIを評価する成分は明度成分に限られず、色相、彩度成分を考慮して空間周波数を評価してもよいし、色彩値として、明度成分,赤−緑成分,黄−青成分を算出し、それぞれをフーリエ変換した後、各色成分ごとに予め定義された視覚の空間周波数特性を乗じてGIを算出してもよい。
以上の説明したステップS205〜S270の処理によって、印刷したカラーパッチの粒状性が粒状性指数GIとして定量化できたこととなる。ステップS205〜S270を、
ステップS200において生成した多数のインク量セットに従って印刷されたカラーパッチを対象として行うことにより、各インク量セットについての粒状性指数GIを得ることができる。ステップS275においては、各インク量セットと粒状性指数GIとの対応関係を規定した粒状性テーブルを記憶する。
ステップS200において生成した多数のインク量セットに従って印刷されたカラーパッチを対象として行うことにより、各インク量セットについての粒状性指数GIを得ることができる。ステップS275においては、各インク量セットと粒状性指数GIとの対応関係を規定した粒状性テーブルを記憶する。
ステップS280においては、プロファイル作成部1276が上記粒状性テーブルに基づいて粒状性プロファイル200を生成する。粒状性プロファイル200は任意のインク量セット(CMYKlclm)に対して一意に粒状性指数GIを出力可能なプロファイルである。例えば、粒状性プロファイル200をルックアップテーブルとする場合、上記粒状性テーブルに対応関係が記述されていない任意のインク量セットについても対応する粒状性指数GIが特定できるように補間方法を定義すればよい。また、粒状性プロファイル200を関数とする場合、上記粒状性テーブルの各対応関係にフィットする近似関数を探索し、その近似関数を粒状性プロファイル200とすればよい。さらに、上記粒状性テーブルの各対応関係を教師信号として構築したニューラルネットワークを粒状性プロファイル200としてもよい。いずれの手法においても、上記(4)式によって任意のインク量セットについての粒状性指数GIを予測することが可能となる。
なお、印刷されたカラーパッチの粒状性は、インクセットと印刷媒体とに依存する。従って、粒状性プロファイル200は、インクセットと印刷媒体との組合せごとに作成される。そのため、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180が前提とするインクセットと印刷媒体との組合せに対応する粒状性プロファイル200が図2のステップS10にて適宜準備されることとなる。
(4)第2実施形態:
第1実施形態においては色域ごとに重み係数k1,k3を変化させるようにしたが、印刷条件ごとに重み係数を変動させるようにしてもよい。さらに、色域ごとに重み係数を変化させつつ印刷条件ごとに重み係数を変動させるようにしてもよい。第2実施形態では、色域ごとに重み係数を変化させつつ印刷条件ごとに重み係数を変動させるものを説明する。前実施形態においては、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180が前提とする印刷条件がプロファイル作成処理を行うにあたり予め指定される。本実施形態においても印刷条件が指定可能であり、その印刷条件として少なくとも印刷に使用するインクセットと印刷用紙が指定することが可能とされている。
第1実施形態においては色域ごとに重み係数k1,k3を変化させるようにしたが、印刷条件ごとに重み係数を変動させるようにしてもよい。さらに、色域ごとに重み係数を変化させつつ印刷条件ごとに重み係数を変動させるようにしてもよい。第2実施形態では、色域ごとに重み係数を変化させつつ印刷条件ごとに重み係数を変動させるものを説明する。前実施形態においては、インクプロファイル142やプリンタルックアップテーブル180が前提とする印刷条件がプロファイル作成処理を行うにあたり予め指定される。本実施形態においても印刷条件が指定可能であり、その印刷条件として少なくとも印刷に使用するインクセットと印刷用紙が指定することが可能とされている。
図16は、本実施形態のステップS78にて参照される重みテーブルT2を示している。なお、本実施形態は前実施形態とほぼ同様の処理によって行われ、前実施形態のステップS78にて行う処理のみが本実施形態と相違している。同図において、重みテーブルT2は前実施形態と同様に重み係数k1,k2,k3と各セル(色域)との対応関係を規定しているが、本実施形態においては印刷用紙とインクセットの組み合わせごとに異なる重み係数k1,k2,k3と各セルとの対応関係が設定されている。
図17は、重みテーブルT2における重み係数k1,k2,k3の設定方針を表に示している。同図において、印刷媒体としてプルーフ用紙と光沢紙と普通紙とが設定可能であり、インクセットとしてCMYKlclmとCMYKlk(第1ライトブラック)llk(第2ライトブラック)とが設定可能である。まず、普通紙においては合計インク量TIが全色域において重視される。普通紙においては様々な印刷用紙が使用される可能性があり、劣悪な印刷用紙においてもインクにじみが発生しないように極力インク量は抑える必要があるからである。また、普通紙を指定する場合、粒状性や色恒常性への要求も小さく、ランニングコストが重視されると考えることができるからである。
一方、プルーフ用紙や光沢紙においては高品位の印刷が要求され、色域全体において非色恒常性指数CIIについての重み係数k1と粒状性指数GIについての重み係数k3を大きく設定している。インクセットがCMYKlkllkであり、印刷媒体がプルーフ用紙や光沢紙である場合には、特にグレー付近の色域において非色恒常性指数CIIが重視される。このようにすることにより、グレーの高明度領域において分光反射率がフラットなlkインクやllkインクを多く使用させることができる。従って、CMYKlkllkの特性を十分に活かすことが可能となる。
(5)まとめ:
ステップS78において、色域や印刷条件に応じて非色恒常性指数CIIについての重み係数k1と粒状性指数GIについての重み係数k3を変化させる。そして、変化させられた重み係数k1,k2,k3にて重みづけを行いつつ非色恒常性指数CIIと合計インク量TIと粒状性指数GIを結合させて、結合評価指数EIを算出する。そして、この結合評価指数EIを使用して各インク量セットの選択を行う。
ステップS78において、色域や印刷条件に応じて非色恒常性指数CIIについての重み係数k1と粒状性指数GIについての重み係数k3を変化させる。そして、変化させられた重み係数k1,k2,k3にて重みづけを行いつつ非色恒常性指数CIIと合計インク量TIと粒状性指数GIを結合させて、結合評価指数EIを算出する。そして、この結合評価指数EIを使用して各インク量セットの選択を行う。
10…プロファイル作成装置、100…分光プリンティングモデルコンバータ、120…評価指数生成部、120a…基本評価指数取得部、122…色算出部、124…比較色算出部、125…色恒常性指数取得部、126…合計インク量算出部、127…粒状性プロファイル生成部、1271…ハーフトーン処理部、1272…マイクロウィーブ処理部、1273…プリンタ出力部、1274…スキャナ入力部、1275…粒状性指数算出部、1276…プロファイル作成部、128…粒状性指数取得部、129…結合評価指数取得部、130…選択部、140…プロファイル生成部、142…インクプロファイル、160…ガマットマッピング処理部、162…sRGBプロファイル、180…プリンタルックアップテーブル、200…粒状性プロファイル
Claims (17)
- プリンタで使用可能な複数のインクのインク量セットを表すインク量データと、このインク量データに従って上記プリンタにて印刷したときの測色値との対応関係を規定するプロファイルを作成するプロファイル作成方法において、
複数のインク量セットを設定し、各インク量セットについて少なくとも2以上の基本評価指数を取得する基本評価指数取得工程と、
各インク量セットに従って印刷したときの測色値を予測する印刷色予測工程と、
各インク量セットの上記測色値が属する色域に応じて上記基本評価指数を重みづけて結合させた結合評価指数を各インク量セットについて取得する結合評価指数取得工程と、
上記結合評価指数に基づいて複数の上記インク量セットからサンプルとして使用する複数のサンプルインク量セットを選択するサンプル選択工程と、
選択された上記サンプルインク量セットに基づいて上記プロファイルを作成するプロファイル作成工程とを行うことを特徴とするプロファイル作成方法。 - 上記結合評価指数取得工程は、上記基本評価指数に対して上記測色値が属する色域に応じた重み係数を乗じて同基本評価指数の線形結合を行うことを特徴とする請求項1に記載のプロファイル作成方法。
- 上記印刷色予測工程は、
各インク量セットに従って印刷したときの分光反射率を予測し、
この分光反射率に基づいて想定する光源下の上記測色値を予測することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のプロファイル作成方法。 - 上記基本評価指数は、複数光源下における色の恒常性を示す色恒常性指数であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロファイル作成方法。
- 上記基本評価指数は、ある光源下において印刷媒体上に分布する色の粒状性を示す粒状性指数であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のプロファイル作成方法。
- 上記基本評価指数は、上記インク量セットを構成する各インク量の総和を示す合計インク量であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のプロファイル作成方法。
- 上記結合評価指数取得工程は、上記基本評価指数に対して上記測色値が属する色域がグレー域または高明度域または空色域であるとき上記色恒常性指数に対する重みを増加させることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載のプロファイル作成方法。
- プリンタで使用可能な複数のインクのインク量セットを表すインク量データと、このインク量データに従って上記プリンタにて印刷したときの測色値との対応関係を規定するプロファイルを作成するプロファイル作成装置において、
複数のインク量セットを準備するインク量セット準備手段と、
各インク量セットについて少なくとも2以上の基本評価指数を取得する基本評価指数取得手段と、
各インク量セットに従って印刷したときの測色値を予測する印刷色予測手段と、
各インク量セットの上記測色値が属する色域に応じて上記基本評価指数を重みづけて結合させた結合評価指数を各インク量セットについて取得する結合評価指数取得手段と、
上記結合評価指数に基づいて複数の上記インク量セットからサンプルとして使用する複数のサンプルインク量セットを選択するサンプル選択手段と、
選択された上記サンプルインク量セットに基づいて上記プロファイルを作成するプロファイル作成手段とを具備することを特徴とするプロファイル作成装置。 - プリンタで使用可能な複数のインクのインク量セットを表すインク量データと、このインク量データに従って上記プリンタにて印刷したときの測色値との対応関係を規定するプロファイルを作成するプロファイル作成方法において、
複数のインク量セットを準備し、各インク量セットについて少なくとも2以上の基本評価指数を取得する基本評価指数取得工程と、
上記プロファイルが前提とする上記プリンタの印刷条件に応じて上記基本評価指数を重みづけて結合させた結合評価指数を取得する結合評価指数取得工程と、
上記結合評価指数に基づいて複数の上記インク量セットからサンプルとして使用する複数のサンプルインク量セットを選択するサンプル選択工程と、
選択された上記サンプルインク量セットに基づいて上記プロファイルを作成するプロファイル作成工程とを行うことを特徴とするプロファイル作成方法。 - 上記結合評価指数取得工程は、上記基本評価指数に対して上記印刷条件に応じた重み係数を乗じて同基本評価指数の線形結合を行うことを特徴とする請求項9に記載のプロファイル作成方法。
- 上記印刷色予測工程は、
各インク量セットに従って印刷したときの分光反射率を予測し、
この分光反射率に基づいて想定する光源下の上記測色値を予測することを特徴とする請求項9または請求項10のいずれかに記載のプロファイル作成方法。 - 上記基本評価指数は、複数光源下における色の恒常性を示す色恒常性指数であることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれかに記載のプロファイル作成方法。
- 上記基本評価指数は、ある光源下において印刷媒体上に分布する色の粒状性を示す粒状性指数であることを特徴とする請求項9から請求項12のいずれかに記載のプロファイル作成方法。
- 上記基本評価指数は、上記インク量セットを構成する各インク量の総和を示す合計インク量であることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれかに記載のプロファイル作成方法。
- 上記印刷条件は、上記プリンタが使用できるインクセットであることを特徴とする請求項9から請求項14のいずれかに記載のプロファイル作成方法。
- 上記印刷条件は、上記プリンタが印刷する印刷媒体の種類であることを特徴とする請求項9から請求項15のいずれかに記載のプロファイル作成方法。
- プリンタで使用可能な複数のインクのインク量セットを表すインク量データと、このインク量データに従って上記プリンタにて印刷したときの測色値との対応関係を規定するプロファイルを作成するプロファイル作成装置において、
複数のインク量セットを準備するインク量セット準備手段と、
各インク量セットについて少なくとも2以上の基本評価指数を取得する基本評価指数取得手段と、
上記プロファイルが前提とする上記プリンタの印刷条件に応じて上記基本評価指数を重みづけて結合させた結合評価指数を取得する結合評価指数取得手段と、
上記結合評価指数に基づいて複数の上記インク量セットからサンプルとして使用する複数のサンプルインク量セットを選択するサンプル選択手段と、
選択された上記サンプルインク量セットに基づいて上記プロファイルを作成するプロファイル作成手段とを具備することを特徴とするプロファイル作成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006102245A JP2007281610A (ja) | 2006-04-03 | 2006-04-03 | プロファイルの作成 |
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JP2006102245A Pending JP2007281610A (ja) | 2006-04-03 | 2006-04-03 | プロファイルの作成 |
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JP (1) | JP2007281610A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009147632A (ja) * | 2007-12-13 | 2009-07-02 | Ricoh Co Ltd | 画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体 |
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2006
- 2006-04-03 JP JP2006102245A patent/JP2007281610A/ja active Pending
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