JP4523733B2 - 炭化珪素単結晶インゴットの製造方法並びに炭化珪素単結晶育成用種結晶の装着方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶インゴットの製造方法並びに炭化珪素単結晶育成用種結晶の装着方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化珪素単結晶の製造方法に係わり、特に、青色発光ダイオードや電子デバイスなどの基板ウエハとなる良質で大型の単結晶インゴットの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素(SiC)は、耐熱性及び機械的強度に優れ、放射線に強いなどの物理的、化学的性質から耐環境性半導体材料として注目されている。また、近年、青色から紫外にかけての短波長光デバイス、高周波高耐圧電子デバイス等の基板ウエハとしてSiC単結晶ウエハの需要が高まっている。しかしながら、大面積を有する高品質のSiC単結晶を、工業的規模で安定に供給し得る結晶成長技術は、いまだ確立されていない。それゆえ、SiCは、上述のような多くの利点及び可能性を有する半導体材料にもかかわらず、その実用化が阻まれていた。
【0003】
従来、研究室程度の規模では、例えば、昇華再結晶法(レーリー法)でSiC単結晶を成長させ、半導体素子の作製が可能なサイズのSiC単結晶を得ていた。しかしながら、この方法では、得られた単結晶の面積が小さく、その寸法及び形状を高精度に制御することは困難である。また、SiCが有する結晶多形及び不純物キャリア濃度の制御も容易ではない。また、化学気相成長法(CVD法)を用いて珪素(Si)などの異種基板上にヘテロエピタキシャル成長させることにより立方晶のSiC単結晶を成長させることも行われている。この方法では、大面積の単結晶は得られるが、基板との格子不整合が約20%もあること等により多くの欠陥(〜107cm-2)を含むSiC単結晶しか成長させることができず、高品質のSiC単結晶を得ることは容易でない。これらの問題点を解決するために、SiC単結晶{0001}ウエハを種結晶として用いて昇華再結晶を行う改良型のレーリー法が提案されている(Yu.M.Tairov and V.F.Tsvetkov,Journal of Crystal Growth,vol.52(1981)pp.146−150)。この方法では、種結晶を用いているため、結晶の核形成過程が制御でき、また、不活性ガスにより雰囲気圧力を100Paから15kPa程度に制御することにより、結晶の成長速度等を再現性良くコントロールできる。改良レーリー法の原理を図1を用いて説明する。種結晶となるSiC単結晶と原料となるSiC結晶粉末は蓋付き坩堝(通常黒鉛あるいはタンタル等の高融点金属製)の中に収納され、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(133Pa〜13.3kPa)、摂氏2000〜2400度に加熱される。この際、原料粉末に比べ種結晶がやや低温になるように温度勾配が設定される。原料は、昇華後、濃度勾配(温度勾配により形成される)により、種結晶方向へ拡散、輸送される。単結晶成長は、種結晶に到着した原料ガスが種結晶上で再結晶化することにより、実現される。この際、結晶の抵抗率は、不活性ガスからなる雰囲気中に不純物ガスを添加する、あるいはSiC原料粉末中に不純物元素又はその化合物を混合することにより、制御可能である。SiC単結晶中の置換型不純物として代表的なものに、窒素(n型)、ホウ素、アルミニウム(p型)がある。改良レーリー法を用いれば、SiC単結晶の結晶多形(6H型、4H型、15R型等)及び形状、キャリア型及び濃度を制御しながら、SiC単結晶を成長させることができる。
【0004】
現在、上記の改良レーリー法で作製したSiC単結晶から口径2インチ(50mm)から3インチ(75mm)のSiC単結晶ウエハが切り出され、エピタキシャル薄膜成長、デバイス作製に供されている。しかしながら、これらの結晶には、ボイド状のマクロ欠陥がしばしば観測される。特に、このボイド欠陥は、成長結晶中の種結晶近傍に多く、線状に種結晶裏面から成長方向に向かって伸びている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来の技術で作られたSiC単結晶には、線状のボイド欠陥が存在している。このボイド欠陥は、R.A.Stein,Physica B,vol.185(1993)pp.211−216に記載されているように(この文献中ではchannelと表現されている)、種結晶裏面からの、SiC単結晶の不均一な分解・昇華現象に起因している。また、上記文献では、この分解・昇華現象の原因として、種結晶と坩堝蓋部の不均一な接触を挙げている。種結晶と坩堝蓋部の接触が不均一であると、接触が不充分な領域では、成長結晶から坩堝蓋部への抜熱が不充分となり、結果として成長結晶、特に種結晶近傍に大きな温度勾配が生じる。このような大きな温度勾配が生じた領域では、種結晶裏面からのSiC単結晶の分解・昇華現象が促進され、線状ボイド欠陥が発生・伸長する。また、接触の不均一により種結晶と坩堝蓋部の間に空隙が形成されると、この空隙へ、あるいは空隙を通してさらに系外へ昇華ガスが抜け易くなり、やはりこの空隙に接する部分のSiC単結晶の分解・昇華が促進され、線状ボイド欠陥が発生・伸長する。このような線状ボイド欠陥は、SiC単結晶の分解・昇華の際にSi原子が選択的に脱離していくため、その内壁が通常炭化して黒色になっている場合が多い。
【0006】
これら線状ボイド欠陥は、成長結晶をウエハ状に加工した際には、ウエハを厚さ方向に貫通する中空欠陥となる。当然のことながら、このような貫通中空欠陥上に薄膜をエピタキシャル成長させることは困難であり、さらに、このような中空欠陥上に作製したデバイスの特性劣化は免れない。線状ボイド欠陥は、種結晶近傍にのみ存在するので、成長結晶の上部からウエハを切り出せば、貫通中空欠陥の存在しないウエハを得ることができるが、成長結晶から取り出せる良品ウエハの歩留りが大きく低下する。すなわち、改良レーリー法によるSiC単結晶製造において、種結晶近傍の線状ボイド欠陥は、SiC単結晶ウエハの高品質化、低コスト化にとって極めて重要な問題である。
【0007】
従来、種結晶の坩堝蓋部への装着は、液状あるいはペースト状(融解状態も含む)の有機物を接着剤として行われてきた。これらの接着剤は、種結晶を坩堝蓋部に接着させた後、高温の結晶成長プロセスに耐えうるように、摂氏200〜400度の加熱により炭化させてから、結晶成長に用いられていた。通常、この際、種結晶と坩堝蓋部の密着性を高めるために、適当な圧力を種結晶及び坩堝蓋部に印加しながら加熱が行われるが、加熱中(炭化過程中)に、接着剤より発生するガスにより、種結晶と坩堝蓋部の間の接着剤層中には数多くの気泡が発生する。このようにして発生した接着剤層中の気泡は、種結晶と坩堝蓋部間の不均一な熱的接触をもたらし、その結果、接着剤による種結晶装着法を用いたSiC単結晶成長においては、成長したSiC単結晶の種結晶近傍に、数多くの伸長した線状ボイド欠陥が発生してしまっていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、線状ボイド欠陥の少ない良質の大口径インゴットを再現性良く製造し得るSiC単結晶の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のSiC単結晶の製造方法は、SiCからなる原材料を加熱昇華させ、SiC単結晶からなる種結晶上に供給し、この種結晶上にSiC単結晶を成長させる方法に関するものであって、
(1) 昇華再結晶法により種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程を包含するSiC単結晶インゴットの製造方法であって、前記種結晶裏面及び前記種結晶が装着される坩堝蓋部表面を平均粗さ(Ra)が5μm以下に平坦化処理し、両者を物理的に密着させることにより前記種結晶を装着することを特徴とするSiC単結晶インゴットの製造方法、
) 前記平坦化処理を施した種結晶裏面及び前記坩堝蓋部表面の平均粗さ(Ra)が1μm以下である()に記載のSiC単結晶インゴットの製造方法、
) 昇華再結晶法に用いられる炭化珪素単結晶育成用種結晶を坩堝蓋部表面に装着する方法であって、前記種結晶裏面及び前記種結晶が装着される坩堝蓋部表面の平均粗さ(Ra)を5μm以下とし、両者を物理的に密着させることにより種結晶を装着する炭化珪素単結晶育成用種結晶の装着方法、
) 前記種結晶裏面及び前記種結晶が装着される坩堝蓋部表面の平均粗さ(Ra)を1μm以下とする()に記載のSiC単結晶育成用種結晶の装着方法
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法では、種結晶裏面及び種結晶が装着される坩堝蓋部表面を平坦化処理し、両者を物理的に密着させることにより、線状ボイド欠陥の発生を防止し、良質の大口径のSiC単結晶ウエハを得ることができる。
【0011】
図2を用いて、本発明の効果を説明する。図2は、改良レーリー法(図1)における種結晶と坩堝蓋部(通常、黒鉛あるいはタンタル等の高融点金属製)の接触面を拡大したものである。まず図2(a)は、従来の液状あるいはペースト状(融解状態も含む)の有機物を接着剤として用いた場合の、種結晶と坩堝蓋部の接着状態を模式的に表わしたものである。接着剤の炭化の際に生じた接着剤層中の気泡のために、種結晶と坩堝蓋部との間には不均一な熱的接触がもたらされ、その結果、成長したSiC単結晶の種結晶近傍には、伸長した線状ボイド欠陥が数多く発生してしまう。次に、このような接着剤を用いず、物理的な接触により種結晶を坩堝蓋部に装着した場合を、図2(b)と図2(c)に示す。図2(b)は、種結晶、坩堝蓋部共に、接触面の鏡面加工が不充分な場合(平均粗さ(Ra)が5μm超)であって、この場合も種結晶と坩堝蓋部との間の熱的接触が不均一になってしまっている。図2(a)、図2(b)に示したように種結晶の坩堝蓋部への接触が不均一であると、接触が不充分な領域では、成長結晶から坩堝蓋部への抜熱が不充分となり、成長結晶、特に種結晶近傍に大きな温度勾配が生じ、結果として、種結晶裏面から成長結晶への線状ボイド欠陥の発生・伸長が促進される。また、接触の不均一により種結晶と坩堝蓋部の間に空隙が形成されると、空隙へ、あるいは空隙を通してさらに系外へ昇華ガスが抜け易くなり、やはり線状ボイド欠陥の発生・伸長が促進される。
【0012】
図2(c)は、本発明の種結晶装着法を示したものである。この場合、種結晶、坩堝蓋部共に、接触面が鏡面加工されており(平均粗さ(Ra)が5μm以下、より望ましくは1μm以下)、充分な接触面積を得ることができる。このように充分な接触面積が得られれば、種結晶と坩堝蓋部との間の熱的接触が充分且つ均一となり、種結晶近傍に大きな温度勾配は生じない、また、接触面積が大きければ、昇華ガスの抜け道となる種結晶裏面と坩堝蓋部間の空隙も存在しなくなり、結果として、種結晶近傍の線状ボイド欠陥の発生・伸長が抑制される。
【0013】
種結晶の機械的な押さえ付けは、種結晶をほぼ均等な力で押さえ付けられれば、どのような方法でも構わない。また、この際、種結晶裏面及び坩堝蓋部表面が鏡面に加工されていれば、僅かな押さえ付けでも充分な密着性が得られるので、却って、この固定により余分な応力が種結晶に加わらないように注意する必要がある。また、種結晶裏面の研磨の際、深い研磨損傷が研磨面に残らないように注意する必要がある。1μm以上の深い研磨損傷が残っていると、その部分から選択的に種結晶の昇華・分解現象が起こり易くなり、線状ボイド欠陥の原因となる。
【0014】
発明者らは、種結晶裏面及び種結晶が装着される坩堝蓋部表面をどの程度まで平坦化すれば線状ボイド欠陥を抑制できるか、を実験的に調べた。当然、これらの部位の平坦度が高ければ高いほど、充分且つ均一な熱的接触が可能となるが、その分、加工コストは高くなる。従って、SiC単結晶の製造コスト低減上、本発明の効果が充分に得られる限界の粗さを知ることが必要となる。発明者らは、数多くの実験から、両者の粗さが5μm以下であれば、線状ボイド欠陥を充分抑制できることを実験的に見出した。
【0015】
本発明の製造方法を用いることにより、50mm以上の大口径を有し、且つSiC単結晶ウエハの製造歩留り低下をもたらす線状ボイド欠陥が極めて少ないSiC単結晶インゴットを製造することが可能となる。
【0016】
このようにして製造したSiC単結晶インゴットを切断、研磨してなるSiC単結晶ウエハは、50mm以上の口径を有しているので、このウエハを用いて各種デバイスを製造する際、工業的に確立されている従来の半導体(Si、GaAs等)ウエハ用の製造ラインを使用することができ、量産に適している。また、このような貫通中空欠陥が極めて少ないSiC単結晶ウエハ、及びその上にCVD法等によりエピタキシャル薄膜を成長してなるSiC単結晶エピタキシャルウエハは、貫通中空欠陥に起因したデバイス製造歩留りの低下が極めて少ないという特徴を有する。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を述べる。図3は、本発明に用いられる製造装置であり、種結晶を用いた改良型レーリー法によって、SiC単結晶を成長させる装置の一例である。まず、この単結晶成長装置について簡単に説明する。結晶成長は、種結晶として用いたSiC単結晶1の上に、原料であるSiC粉末3を昇華再結晶化させることにより行われる。種結晶のSiC単結晶1は、坩堝4(黒鉛製)の蓋部5(黒鉛製)の内面に取り付けられる。原料のSiC粉末3は、黒鉛製坩堝4の内部に充填されている。このような黒鉛製坩堝4は、二重石英管6の内部に、黒鉛の支持棒7により設置される。黒鉛製坩堝4の周囲には、熱シールドのための黒鉛製フェルト8が設置されている。二重石英管6は、真空排気装置により高真空排気(10-3Pa以下)することができ、かつ内部雰囲気をArガスにより圧力制御することができる。また、二重石英管6の外周には、ワークコイル9が設置されており、高周波電流を流すことにより黒鉛製坩堝4を加熱し、原料及び種結晶を所望の温度に加熱することができる。坩堝温度の計測は、坩堝上部及び下部を覆うフェルトの中央部に直径2〜4mmの光路を設け坩堝上部及び下部からの光を取りだし、二色温度計を用いて行うことができる。坩堝下部の温度を原料温度、坩堝上部の温度を種温度とする。
【0018】
(実施例)
まず、種結晶として、口径50mmの(0001)面を有した六方晶系のSiC単結晶ウエハを用意した。この種結晶1の裏面を、ダイヤモンド砥粒を用いた機械的研磨により、平均粗さ(Ra)が0.1μm以下になるまで鏡面研磨した。次に、黒鉛製坩堝蓋部5の種結晶装着面を機械的研磨により、平均粗さが1.0μm以下になるように鏡面研磨した後、裏面を平坦化した種結晶1を装着した。互いの研磨面が向き合うように接触させ、種結晶端部を機械的に押さえつけるようにして固定した。本実施例では、黒鉛製のネジ2により種結晶端部を3箇所固定した。
【0019】
次に、このようにして種結晶を固定した黒鉛製坩堝蓋部5で、黒鉛製坩堝4を閉じた後、黒鉛製フェルト8で被覆した。黒鉛製坩堝4の内部には、原料3が充填されている。これらを黒鉛製支持棒7の上に乗せ、二重石英管6の内部に設置した。そして、石英管の内部を真空排気した後、ワークコイルに電流を流し、原料温度を摂氏2000度まで上げた。その後、雰囲気ガスとしてArガスを流入させ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、原料温度を目標温度である摂氏2400度まで上昇させた。成長圧力である1.3kPaには約30分かけて減圧し、その後約20時間成長を続けた。この際の坩堝内の温度勾配は摂氏15度/cmで、成長速度は約0.7mm/時であった。得られた結晶の口径は51.5mmで、高さは14mm程度であった。
【0020】
こうして得られたSiC単結晶を、X線回折及びラマン散乱により分析したところ、六方晶系のSiC単結晶が成長したことを確認できた。また、線状ボイド欠陥を評価する目的で、成長した単結晶インゴットを成長方向に切断、研磨することにより、{11−20}面ウエハを取り出した。このウエハを光学顕微鏡で透過光観察することにより、線状ボイド欠陥の個数、長さを調べたところ、1cm当り2〜3個で、長さも1mm程度であった。
【0021】
次に、同様の条件で別途製造したSiC単結晶インゴットを切断、研磨して、厚さ300μm、口径51mmのSiC単結晶{0001}面ウエハを、同一インゴットから12枚作製した。ウエハの面方位は、(0001)面から<11−20>方向に3.5度オフとした。これらのウエハを光学顕微鏡で観察したところ、種結晶側から2枚目までは、ウエハを貫通する中空欠陥の存在が認められたが、その後の10枚では、中空欠陥が全く観測されず、非常に良質なウエハであった。
【0022】
さらに、この51mm口径のSiC単結晶ウエハ(種結晶側から4枚目のもの)を基板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度摂氏1500度、シラン(SiH4)、プロパン(C38)、水素(H2)の流量が、それぞれ5.0×10-93/sec、3.3×10-93/sec、5.0×10-53/secであった。成長圧力は大気圧とした。成長時間は2時間で、膜厚としては約5μm成長した。
【0023】
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、ウエハ全面に渡って、非常に平坦で、ピット等の表面欠陥の非常に少ない、良好な表面モフォロジーを有するSiCエピタキシャル薄膜が成長されているのが分かった。
【0024】
(比較例)
比較例として、平坦性の悪い種結晶と黒鉛製坩堝蓋を用いて、成長実験を行った。まず、種結晶として、口径50mmの(0001)面を有した六方晶系のSiC単結晶ウエハを用意した。この種結晶1の裏面を、粗めのダイヤモンド砥粒を用いて機械的研磨し、平均粗さ(Ra)が10μm以上となるようにした。次に、黒鉛製坩堝蓋の種結晶装着面も機械的研磨により、平均粗さが10μm以上になるように研磨した後、互いの研磨面が向き合うように接触させ、種結晶端部を黒鉛製ネジで3箇所、機械的に押さえつけるようにして固定した。
【0025】
このようにして種結晶を固定した黒鉛製坩堝蓋部5を用いて、実施例と同様の手順で成長実験を行い、口径51.5mmのSiC単結晶を得た。成長速度は約0.6mm/時で、高さは12mm程度であった。
【0026】
得られたSiC単結晶を、X線回折及びラマン散乱により分析し、六方晶系のSiC単結晶が成長できたことを確認した。また、線状ボイド欠陥を評価する目的で、成長した単結晶インゴットを成長方向に切断、研磨することにより、{11−20}面ウエハを取り出した。このウエハを光学顕微鏡で透過光観察することにより、線状ボイド欠陥の個数、長さを調べたところ、1cm当り9〜10個で、長さも3〜7mmと伸長していた。
【0027】
次に、同様の条件で別途製造したSiC単結晶インゴットを切断、研磨して、厚さ300μm、口径51mmのSiC単結晶{0001}面ウエハを、同一インゴットからの10枚作製した。ウエハの面方位は、(0001)面から<11−20>方向に3.5度オフとした。これらのウエハを光学顕微鏡で観察したところ、種結晶側から6枚目まで内壁面の炭化を伴なった貫通中空欠陥が存在し、良質なウエハは、結晶上部の4枚に留まった。
【0028】
さらに、この51mm口径のSiC単結晶ウエハ(種結晶側から4枚目のもの)を基板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度摂氏1500度、シラン(SiH4)、プロパン(C38)、水素(H2)の流量が、それぞれ5.0×10-93/sec、3.3×10-93/sec、5.0×10-53/secであった。成長圧力は大気圧とした。成長時間は2時間で、膜厚としては約5μm成長した。
【0029】
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、基板であるSiC単結晶ウエハ中に存在していた貫通中空欠陥上には、薄膜は成長しておらず、貫通中空欠陥は、そのままエピタキシャル薄膜に引き継がれているのが分かった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、種結晶を用いた改良型レーリー法により、線状ボイド欠陥が少ない良質のSiC単結晶を再現性良く成長させることができる。このような結晶から切り出したSiC単結晶ウエハを用いれば、光学的特性の優れた青色発光素子、電気的特性の優れた高耐圧・耐環境性電子デバイスを低価格で製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 改良レーリー法の原理を説明する図である。
【図2】 本発明の効果を説明する図である。
【図3】 本発明の製造方法に用いられる単結晶成長装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 種結晶(SiC単結晶)
2 種結晶固定ネジ(黒鉛製)
3 SiC粉末原料
4 黒鉛製坩堝
5 黒鉛製坩堝蓋部
6 二重石英管
7 支持棒
8 断熱材(黒鉛製フェルト)
9 ワークコイル
10 Arガス配管
11 Arガス用マスフローコントローラ
12 真空排気装置

Claims (4)

  1. 昇華再結晶法により種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程を包含する炭化珪素単結晶インゴットの製造方法であって、前記種結晶裏面及び前記種結晶が装着される坩堝蓋部表面を平均粗さ(Ra)が5μm以下に平坦化処理し、両者を物理的に密着させることにより前記種結晶を装着することを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  2. 前記平坦化処理を施した種結晶裏面及び前記坩堝蓋部表面の平均粗さ(Ra)が1μm以下である請求項に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  3. 昇華再結晶法に用いられる炭化珪素単結晶育成用種結晶を坩堝蓋部表面に装着する方法であって、前記種結晶裏面及び前記種結晶が装着される坩堝蓋部表面の平均粗さ(Ra)を5μm以下とし、両者を物理的に密着させることにより種結晶を装着する炭化珪素単結晶育成用種結晶の装着方法。
  4. 前記種結晶裏面及び前記種結晶が装着される坩堝蓋部表面の平均粗さ(Ra)を1μm以下とする請求項に記載の炭化珪素単結晶育成用種結晶の装着方法。
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