JP2001181095A - SiC単結晶およびその成長方法 - Google Patents
SiC単結晶およびその成長方法Info
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Abstract
陥が低減されたSiC単結晶およびその成長方法を提供
すること。 【解決手段】 SiC単結晶を成長させる方法であっ
て、{0001}面に対して角度α(20゜<α<60
゜)だけずれ、且つ、その法線ベクトルを{0001}
面に投影したベクトルと<11−20>方向とのなす角
度βが15゜以内である面30uを露出させたSiC単
結晶からなる種結晶30上に、SiC単結晶40を成長
させることを特徴とする。
Description
に適したSiC単結晶およびその成長方法に関するもの
である。
ガリウム(GaN)等の軽元素で構成される化合物半導
体の研究が盛んである。かかる化合物半導体は、軽元素
で構成されているため結合エネルギーが強く、その結
果、エネルギーの禁制帯幅(バンドギャップ)、絶縁破
壊電界、熱伝導度が大きいことが特徴である。そして、
特にSiCは、このワイドバンドギャップの特徴を活か
して、高効率・高耐圧パワーデバイス、高周波パワーデ
バイス、高温動作デバイス、あるいは青色から紫外発光
デバイス用の材料として注目を集めている。しかしなが
ら、結合エネルギーが強いため、SiCの化合物は、大
気圧では高温にしても融解せず、シリコン(Si)など
他の半導体で用いられる融液の再結晶化によるバルク結
晶の育成が困難である。
としては、特公昭第59−48792号公報や特開平2
−30699号公報に掲載されたいわゆる改良型レーリ
ー法が知られている。この改良型レーリー法は、黒鉛製
のるつぼにSiC単結晶からなる種結晶を設置し、さら
に減圧雰囲気下で原料SiC粉末を昇華させて、種結晶
上に目的規模のSiC単結晶を再結晶させるものであ
る。
ゆる昇華法においては、その種結晶として、主として
{0001}面を露出させたSiC単結晶基板が使用さ
れている。しかしながら、面方位が{0001}である
SiC単結晶基板を用いてSiC単結晶を成長させる場
合、マイクロパイプという<0001>軸方向に延びる
欠陥が単結晶の表面に到達するため、このSiC単結晶
を用いて素子を作製すると、リーク電流等が発生する場
合があった。
るための技術として、例えば特許第2804860号公
報に掲載されたSiC単結晶の成長方法が知られてい
る。この方法は、種結晶として{0001}面より60
゜〜120゜の角度αだけずれた結晶面を露出させたS
iC単結晶を使用するものであり、より好ましくは、
{1−100}面や{11−20}面を露出させたSi
C単結晶を使用するものである。このような種結晶を使
用すれば、単結晶の表面に到達するマイクロパイプを減
少させることができる。
2804860号公報に掲載されたSiC単結晶の成長
方法には、次のような問題があった。すなわち、同公報
に記載された発明の発明者らがフィジカステイタスソリ
ッド(b)(202号163頁〜175頁1997年)
において述べているように、{1−100}面あるいは
{11−20}面が露出したSiC単結晶を種結晶とし
て使用する場合は、結晶多形の制御ができ、マイクロパ
イプの表面への到達を抑制できるものの、高密度の積層
欠陥(スタッキングフォールト)がSiC単結晶の表面
に露出するという問題があった。この積層欠陥は、結晶
を成長させる際に面状に広がるものであり、かかる積層
欠陥が表面に露出したSiC単結晶を用いて素子を作製
すると、マイクロパイプが表面に露出したSiC単結晶
を用いる場合と同様に、リーク電流等が発生するおそれ
がある。
のであり、表面に露出するマイクロパイプおよび積層欠
陥が低減されたSiC単結晶およびその成長方法を提供
することを目的とする。
に、本発明は、SiC単結晶を成長させる方法であっ
て、{0001}面に対して角度α(20゜<α<60
゜)だけずれ、且つ、その法線ベクトルを{0001}
面に投影したベクトルと<11−20>方向とのなす角
度βが15゜以内である面を露出させたSiC単結晶か
らなる種結晶上に、SiC単結晶を成長させることを特
徴とする。
れば、このような面を露出させた種結晶を用いること
で、<0001>方向に延びるマイクロパイプやこの<
0001>方向と垂直な面に広がる積層欠陥はSiC単
結晶の側面に到達し、マイクロパイプ及び積層欠陥が表
面に到達する事態を抑制することができる。
あることが好ましく、角度βは、10゜以内であること
が好ましい。
方法において、黒鉛製の坩堝内に種結晶を設置し、坩堝
内でSiC原料粉末を昇華させて種結晶上にSiC単結
晶を再結晶させることが好ましい。また、反応炉内に種
結晶を設置し、反応炉内で化学気相堆積法によって種結
晶上にSiC単結晶を成長させてもよい。
明に係るSiC単結晶およびその成長方法の好適な実施
形態について詳細に説明する。尚、実施形態および実施
例の説明で結晶の格子方向および格子面を使用する場合
があるが、ここで、格子方向及び格子面の記号の説明を
しておく。個別方位は[ ]、集合方位は< >、個別面
は()、集合面は{ }でそれぞれ示すことにする。ま
た、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を
数字の上に付けることになっているが、明細書作成の都
合上、数字の前に負号を付けることにする。
させるための結晶成長装置2を示す断面図である。結晶
成長装置2は、主として、内部でSiC単結晶を成長さ
せるための黒鉛製の坩堝4と、坩堝4の熱が外部へ放出
されるのを防止する熱シールド部材6と、この熱シール
ド部材6を包囲する水冷式の反応管8と、反応管8の周
囲に巻回されるとともに坩堝4を加熱するための高周波
コイル10と、から構成されている。また、反応管8の
頂上部には、アルゴンガスなどの不活性ガスを導入する
ためのガス導入管12が介挿され、反応管8の底部に
は、不活性ガスを外部に排出するためのガス排出管14
が介挿されている。
結晶からなる原料15を収容する収容部16と、この収
容部16の上部開口を封止する蓋部18と、蓋部18に
取り付けられるとともに種結晶30が底面に固定された
種結晶配置部20と、から成る。
結晶30について説明する。同図に示すように、種結晶
30として、(1){0001}面に対して角度α(α=
54.7゜)だけずれ、且つ、(2)その法線ベクトルX
を{0001}面に投影したベクトルYと<11−20
>の一つである[11−20]方向とが平行となる面3
0u、が露出した4H型ポリタイプ(“H”は六方晶
系、“4”は原子積層が4層で一周期となる結晶構造を
意味する)のSiC単結晶を用いる。
晶の成長方法を説明する。
4を反応管8内に設置した後、反応管8内を約1時間ほ
ど真空排気し、次に、ガス導入管12より不活性ガスを
導入して反応管8内を常圧(約1.013×105P
a)にする。そして、再び反応管8内を約10分ほど真
空排気した後、ガス導入管12より不活性ガスを導入し
て反応管8内を再度常圧(約1.013×105Pa)
にする。
0によって坩堝4を加熱し始める。この際、坩堝4の温
度を約2000℃にするとともに、種結晶30の温度が
原料15の温度よりも約50℃だけ低くなるように温度
勾配をつける。同時に、反応管8内の圧力を約5.3×
102Paまで低下させる。これにより、SiC多結晶
からなる原料15が昇華し、原料15のガスが種結晶3
0に到達して、図3に示すように、種結晶30の表面
(露出面)30u上に直径約2インチの4H型ポリタイ
プのSiC単結晶40を成長させることができる。な
お、図3においては、発明の理解を容易にするために種
結晶30の上方にSiC単結晶40を位置させている
が、実際は、図1から分かるように種結晶30の下方に
SiC単結晶40が成長する。
0の成長過程を詳説する。通常、SiC単結晶を成長さ
せるに際して、<0001>方向に延びるマイクロパイ
プや、<0001>方向と垂直な面に広がる積層欠陥が
SiC単結晶の内部に含まれることが多い。そして、多
数のマイクロパイプや積層欠陥が表面に露出したSiC
単結晶を用いて素子を作製すると、リーク電流等が発生
するおそれがある。
01}面に対して角度α(α=54.7゜)だけずれ、
且つ、(2)その法線ベクトルXを{0001}面に投影
したベクトルYと<11−20>の一つである[11−
20]方向とが平行となる面を露出させた種結晶30を
用いると、種結晶30の表面30uは、マイクロパイプ
42(図中一点鎖線で示す)が延びる<0001>方向
に対して約35.3゜の傾きを有することになる。この
ため、ある程度SiC単結晶40を成長させると、マイ
クロパイプ42はSiC単結晶40の側面40sに到達
し、マイクロパイプ42が表面40uに到達する事態を
抑制することができる。また、種結晶30の表面30u
は、積層欠陥44(図中破線で示す)が広がる面、すな
わち<0001>方向と垂直な面に対して約54.7゜
の傾きを有する。このため、ある程度SiC単結晶40
を成長させると、積層欠陥44はSiC単結晶40の側
面40sに到達し、積層欠陥44が表面40uに到達す
る事態を抑制することができる。
リサーチ・ソサイアティのシンポジウムのプロシーディ
ング423巻583頁の杉山らの論文にも示されている
ように、(0001)面が表面に現れた種結晶を用いて
結晶成長させる場合、<11−20>方向は<1−10
0>方向に比べて成長速度が速く、得られた結晶は<1
1−20>方向が稜になった六角柱となる傾向になる。
このような現象は、表面に現れるSi原子及びC原子の
結合手の相違によって生じると考えられる。そして、こ
のようにSi原子とC原子の結合手が相違するため、ベ
クトルYを[11−20]方向と平行にすることで、マ
イクロパイプ42及び積層欠陥44がSiC単結晶40
の側面40sに向かって延びる速度が増加し、後述の実
施例に示されるようにSiC単結晶40の表面40uに
露出するマイクロパイプ42及び積層欠陥44が減少す
ると考えられる。
0゜<α<60゜を満たせばよい。後述の実施例からも
分かるように、角度αが20゜以下ではマイクロパイプ
42がSiC単結晶40の側面40sに逃げず、角度α
が60゜以上では積層欠陥44が側面40sに逃げない
ためである。また、1997年のフィジカル・スティタ
ス・ソリッド(b)202巻5頁に示されているよう
に、マイクロパイプは必ずしも<0001>方向に延び
るとは限らず多少傾きをもって延びる場合があるため、
角度αは、好ましくは25゜以上55゜以下にするとよ
い。角度αをこのような範囲にすれば、マイクロパイプ
42及び積層欠陥44がSiC単結晶40の側面40s
に到達する可能性を高めることができる。
[11−20]方向とは必ずしも平行である必要はな
く、両者の間の角度βが15゜以内であればよい。角度
βが15゜以内程度であれば、マイクロパイプ42及び
積層欠陥44がSiC単結晶40の側面40sに向かっ
て延びる速度が増加し、これらの欠陥がSiC単結晶4
0の表面に到達する事態を効果的に防止することができ
る。さらに、後述の実施例からも分かるように、角度β
は10゜以内であれば、欠陥密度を一層低減させること
ができる。なお、本実施形態では、ベクトルYと個別方
位[11−20]との間を角度βとしているが、集合方
位<11−20>に含まれる他の個別方位との間を角度
βとしてもよい。
によってSiC単結晶を成長させる場合について説明し
たが、この他、いわゆる化学気相堆積法によって反応炉
内の種結晶上にSiC単結晶を成長させてもよい。
ついて、さらに実施例に基づいて具体的に説明する。
して、角度α=24゜で、β=0゜の4H−SiC単結
晶を使用した。そして、反応管8内に不活性ガスを導入
して圧力を約1.013×105Paに保持し、原料1
5の温度を約2300℃にするとともに種結晶30の温
度を約2170℃にした。このように常圧で温度設定を
行うことにより、結晶性の悪い結晶が成長することを防
止することができる。この後、反応管8内の圧力を5.
3×102Paまで下げて、種結晶30上に直径2イン
チのSiC単結晶40をバルク成長させた。このときの
成長速度は、約0.7mm/hであった。
をラマン分光分析したところ、表面全体が4H型になっ
ていることが判明した。さらに、SiC単結晶40のバ
ルクを厚さ約330μmのウエハ状にスライスした後、
ダイヤモンド砥石によって研磨処理を施して、ウエハの
表裏面を鏡面状にした。目視により、このSiC単結晶
のウエハは、表面全体が均質であり、端部からの多結晶
化や結晶の多形化は起こっていないことが分かった。さ
らに、溶融水酸化カリウムを用いてウエハにエッチング
処理を施して評価したところ、ウエハの表面に、マイク
ロパイプおよび積層欠陥は観察されなかった。
して、角度α=30゜で、β=5゜の6H−SiC単結
晶を使用した。そして、反応管8内の圧力を約3.99
×103Paに保持し、原料15の温度を約2400℃
にするとともに種結晶30の温度を約2350℃にし
て、種結晶30上に直径2インチのSiC単結晶40を
バルク成長させた。このときの成長速度は、0.7mm
/hであった。そして、実施例1と同様に、SiC単結
晶40のバルクをスライスしてウエハを作製し、このウ
エハにエッチング処理を施して評価したところ、マイク
ロパイプおよび積層欠陥は観察されなかった。
ま、角度αを5゜ずつ変えてSiC単結晶の欠陥密度を
調べたところ、以下の表1に示すような結果が得られ
た。欠陥密度の評価には、500℃の溶融水酸化カリウ
ムで10分間エッチングして現れた穴状、筋状、及びく
さび状の全ての欠陥を考慮した。なお、種結晶には4H
−SiCを使用した。
すなわち20゜よりも大きく、55゜(実験12)以下
すなわち60゜未満のときに、欠陥密度を著しく低減で
きることが分かった。
ま、角度βを5゜ずつ変えてSiC単結晶の欠陥密度を
調べたところ、以下の表2に示すような結果が得られ
た。なお、種結晶には4H−SiCを使用した。
内、さらには10゜(実験3)以内のときに、欠陥密度
を著しく低減できることが分かった。
られたSiCウエハを種結晶として用い、化学気相堆積
法(CVD法)でこの種結晶上にSiC単結晶を成長さ
せた。この種結晶は、実施例1の種結晶と同様に角度α
=24゜、角度β=0゜となっている。
/H2ガスによる気相エッチングを施した後、1500
℃に昇温し、原料ガス(シラン:SiH4、プロパン:C
3H8など)を導入して成長を開始した。化学気相堆積法
では、実効ドナー密度3×1017cm-3〜4×1017c
m-3のn型SiCバッファ層を4.6μm成長させた
後、実効ドナー密度1×1016cm-3〜2×1016cm
-3のn型活性層を12μm成長させた。なお、成長中に
窒素ガスを添加することで、n型伝導性制御を行った。
このときの主な成長条件は下記の通りである。なお、流
量は全て標準状態に換算した値を示している。
を微分干渉光学顕微鏡で観察したところ、鏡面状態とさ
れていることが判明した。また、KOHエッチングによ
って評価したところ、マイクロパイプ、積層欠陥は表面
に到達していないことが分かった。
様の種結晶(角度α=24゜、角度β=0゜)をSiC
コーティングした支持台の上に設置し、反応管内にて化
学気相堆積法(CVD法)でこの種結晶上にSiC単結
晶を成長させた。1800℃で種結晶にH 2ガスによる
気相エッチングを施した後、2100℃に昇温し、原料
ガス(シラン:SiH4、プロパン:C3H8など)を導入
して成長を開始した。成長条件は下記の通りである。 SiH4流量 50 cm3/min C3H8流量 30 cm3/min H2流量 10.0 l/min 基板温度 2100℃
でSiC単結晶を成長させた。成長させたSiC単結晶
の表面を微分干渉光学顕微鏡で観察したところ、鏡面状
態とされていることが判明した。また、KOHエッチン
グによって評価したところ、マイクロパイプ、積層欠陥
は表面に到達していないことが分かった。
施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施
形態に限定されるものではない。例えば、SiC単結晶
を成長させるための結晶成長装置は、図1に示すものに
限られず、この他種々のものを使用することができる。
結晶は、表面にマイクロパイプおよび積層欠陥が殆ど露
出しておらず、また、本発明のSiC単結晶の成長方法
によれば、SiC単結晶の表面に露出するマイクロパイ
プおよび積層欠陥を低減させることができる。
成長装置を示す断面図である。
に用いた図である。
陥の状態を示す図である。
…反応管、10…高周波コイル、15…原料、20…種
結晶配置部、30…種結晶、30u…種結晶表面(露出
面)、40s…種結晶側面、40…SiC単結晶、40
u…SiC単結晶表面、42…マイクロパイプ、44…
積層欠陥。
Claims (6)
- 【請求項1】 SiC単結晶を成長させる方法であっ
て、 {0001}面に対して角度α(20゜<α<60゜)
だけずれ、且つ、その法線ベクトルを{0001}面に
投影したベクトルと<11−20>方向とのなす角度β
が15゜以内である面を露出させたSiC単結晶からな
る種結晶上に、SiC単結晶を成長させることを特徴と
するSiC単結晶の成長方法。 - 【請求項2】 前記角度αは、25゜以上55゜以下で
あることを特徴とする請求項1記載のSiC単結晶の成
長方法。 - 【請求項3】 前記角度βは、10゜以内であることを
特徴とする請求項1又は請求項2記載のSiC単結晶の
成長方法。 - 【請求項4】 黒鉛製の坩堝内に前記種結晶を設置し、
前記坩堝内でSiC原料粉末を昇華させて前記種結晶上
に前記SiC単結晶を再結晶させることを特徴とする請
求項1〜請求項3のうち何れか一項記載のSiC単結晶
の成長方法。 - 【請求項5】 反応炉内に前記種結晶を設置し、前記反
応炉内で化学気相堆積法によって前記種結晶上に前記S
iC単結晶を成長させることを特徴とする請求項1〜3
のうち何れか一項記載のSiC単結晶の成長方法。 - 【請求項6】 請求項1〜請求項5のうち何れか一項記
載のSiC単結晶の成長方法により成長させられたこと
を特徴とするSiC単結晶。
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