JP2004262709A - SiC単結晶の成長方法 - Google Patents

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Hiroshi Shiomi
弘 塩見
Tsunenobu Kimoto
恒暢 木本
Hiroyuki Matsunami
弘之 松波
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Abstract

【課題】結晶欠陥の低減及び大口径化が図られたSiC単結晶及びその成長方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るSiC単結晶の成長方法は、4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の成長方法であって、{03−38}面、又は{03−38}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面、が露出したSiC単結晶からなる種結晶30上に、4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させたSiC単結晶インゴットを斜め切りして作製された、{0001}面、又は{0001}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面、が露出する種結晶46上に、4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させることを特徴とする。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体電子部品に適したSiC単結晶及びその成長方法、特に4H型ポリタイプのSiC単結晶及びその成長方法にに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、炭化珪素(SiC)あるいは窒化ガリウム(GaN)等の軽元素で構成される化合物半導体の研究が盛んである。かかる化合物半導体は、軽元素で構成されているため、結合エネルギが強く、その結果、エネルギの禁制帯幅(バンドギャップ)が大きいことが特徴である。SiCは、このワイドバンドギャップの特長を活かして、高温でも動作する半導体デバイスの材料として注目を集めている。また、結合エネルギが強いため、絶縁破壊電圧が高いことから、パワーデバイスの材料としても優れている。一方、結合エネルギが強すぎて、大気圧では高温にしても融解せず、融液の再結晶化によるインゴットの作製が非常に困難である。
【0003】
SiC単結晶インゴットを成長させる方法としては、下記特許文献1及び特許文献2に記載されている、いわゆる改良型レーリー法が知られている。この改良型レーリー法は、黒鉛製のるつぼにSiC単結晶からなる種結晶を設置し、さらに減圧雰囲気下で原料SiC粉末を昇華させて、種結晶上に目的規模のSiC単結晶を再結晶させるものである。
【0004】
この改良型レーリー法をはじめとする、いわゆる昇華法においては、その種結晶として、主として[0001]面を露出させたSiC単結晶基板が使用されている。しかしながら、面方位が[0001]であるSiC単結晶基板を用いてSiC単結晶を成長させる場合、マイクロパイプと呼ばれる大型欠陥やらせん転位等である、<0001>方向(c軸方向)に延びる貫通欠陥が単結晶の表面に到達するため、このSiC単結晶を用いて素子を作製すると、リーク電流等が発生する場合があった。
【0005】
このようなマイクロパイプ等の貫通欠陥に関する問題を解消するための技術として、例えば、下記特許文献3に記載されているSiC単結晶の成長方法が知られている。この方法は、種結晶として[0001]面より60゜〜120゜の角度αだけずれた単結晶面を露出させたSiC単結晶を使用するものであり、より好ましくは[1−100]面や[11−20]面を露出させたSiC単結晶を使用するものである。このような単結晶を使用すれば、単結晶の表面に到達する貫通欠陥を減少させることができる。また、SiC単結晶の{0001}面を利用する技術に関しては、既に様々な角度から研究が進められているため、[1−100]面や[11−20]面を露出させたSiC単結晶を結晶成長方向に沿って切断して、貫通欠陥のない[0001]面を得ることにより、下記特許文献3に記載されたSiC単結晶は{0001}面に関する既存の様々な技術への適用が図られている。
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載された発明の発明者らが、上記非特許文献1において述べているように、[1−100]面あるいは[11−20]面が露出したSiC単結晶を種結晶として使用する場合には、結晶多形(ポリタイプ)の制御ができ、貫通欠陥の結晶表面への到達を抑制できるものの、高密度の積層欠陥(スタッキングフォールト)がSiC単結晶の表面に露出するという問題があった。この積層欠陥は、結晶成長させる際に面状に広がるものであり、かかる積層欠陥が表面に露出したSiC単結晶を用いて素子を作製すると、上述した貫通欠陥が表面に露出したSiC単結晶を用いる場合同様、リーク電流等が発生するおそれがある。
【0007】
そこで発明者らは、鋭意研究の末、[03−38]面、又は[03−38]面に対して約10゜以内のオフ角だけ傾いた面を種結晶の成長面としてSiC単結晶を成長させることで、貫通欠陥及び積層欠陥を低減することを見いだし、下記特許文献4において開示した。
【0008】
【特許文献1】
特公昭59−48792号公報
【特許文献2】
特開平2−30699号公報
【特許文献3】
特許第2804860号公報
【特許文献4】
国際公開第01/18286号パンフレット
【非特許文献1】
フィジカステイタスソリッド(b)、202号、pp.163−175、1997年
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
また、上記特許文献3に開示された技術によって作製された、前述の[0001]面を結晶成長面とするSiC単結晶インゴットには以下に示すような課題があった。{1−100}インゴットを縦切りして{0001}面を露出させた場合、その切断面の幅はインゴットの高さと同じとなる。しかしながら、一般に、精度よくSiC単結晶インゴットを作製しようとすると、インゴットの高さはせいぜいインゴットの口径と同じ長さくらいが限界である。そのため、切断面の断面積は、インゴットの高さの二乗程度にしかできないという問題があった。従って、露出する{0001}断面のそれ以上の拡大化が図れず、この面を結晶成長面として作製される{0001}単結晶インゴットの大口径化が著しく制限されてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、結晶欠陥の低減及び大口径化が図られたSiC単結晶及びその成長方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るSiC単結晶の成長方法は、4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の成長方法であって、{03−38}面、又は{03−38}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面、が露出したSiC単結晶からなる第1の種結晶上に、4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させたSiC単結晶インゴットを用意するステップと、SiC単結晶インゴットを斜め切りして、{0001}面、又は{0001}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面が露出する第2の種結晶を作製するステップと、第2の種結晶上の露出面に4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させるステップとを備える。
【0012】
このSiC単結晶の成長方法において、SiC単結晶インゴットは、{03−38}面、又は{03−38}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面、を露出させた第1の種結晶上にSiC単結晶を成長させて作製されており、SiC単結晶の成長の際、貫通欠陥の結晶成長方向への伝播、及び<0001>方向と垂直な面に広がる積層欠陥の伝播が抑制されている。そして、貫通欠陥及び積層欠陥が低減されたこのSiC単結晶インゴットを、{0001}面、又は{0001}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面、が露出するように斜め切りして得られる第2の種結晶の露出面上にSiC単結晶を成長させる。このように、斜め切りにより断面が露出する種結晶においては、縦切りにより断面が露出する種結晶より、その露出面の面積が大きいため、より大口径のSiCインゴットを作製することができる。
【0013】
また、第1及び第2の種結晶の露出面の少なくとも一方の面は、Si原子の数よりC原子の数の方が多いことが好ましい。
【0014】
また、オフ角αが5゜以内であることが好ましい。さらに、オフ角αが3゜以内であることが好ましい。すなわち、第1の種結晶の表面が{03−38}面に近くなるほど、表面に貫通欠陥及び積層欠陥が到達する事態を確実に抑制することができる。
【0015】
本発明に係るSiC単結晶の成長方法は、黒鉛製のるつぼ内でSiC原料粉末を昇華させて、るつぼ内に設置された第3の種結晶上に4H型ポリタイプのSiC単結晶を再結晶させるSiC単結晶の成長方法において、{03−38}面、又は{03−38}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面、が露出したSiC単結晶からなる第4の種結晶上に、4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させたSiC単結晶インゴットを用意するステップと、SiC単結晶インゴットを斜め切りして、{0001}面、又は{0001}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面が露出する第3の種結晶を作製するステップとを備えることを特徴とする。
【0016】
このSiC単結晶の成長方法においては、黒鉛製の坩堝内に設置する第4の種結晶の露出面が、{03−38}面、又は{03−38}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面であるため、この第4の種結晶上にSiC単結晶を成長させて作製されるSiC単結晶インゴットは、SiC単結晶の成長の際に、貫通欠陥の結晶成長方向への伝播、及び<0001>方向と垂直な面に広がる積層欠陥の伝播が抑制されている。そして、貫通欠陥及び積層欠陥が低減されたこのSiC単結晶インゴットを、{0001}面、又は{0001}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面、が露出するように斜め切りして得られる第2の種結晶の露出面上にSiC単結晶を成長させる。このように、斜め切りにより断面が露出する種結晶においては、縦切りにより断面が露出する種結晶より、その露出面の面積が大きいため、より大口径のSiCインゴットを作製することができる。
【0017】
本発明に係るSiC単結晶は、上記SiC単結晶の成長方法により成長させたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係るSiC単結晶及びその成長方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。また、実施形態及び実施例の説明で結晶の格子方向及び格子面を使用する場合があるが、ここで、格子方向及び格子面の記号の説明をしておく。個別方位は[ ]、集合方位は< >、個別面は( )、集合面は{ }でそれぞれ示すことにする。また、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、明細書作成の都合上、数字の前に負号を付けることにする。なお、説明の便宜上、{abcd}面上又は(abcd)面上(a,b,c,d:任意整数)に結晶成長させたSiC単結晶をそれぞれ{abcd}単結晶又は(abcd)単結晶と称する。
【0019】
図1は、本実施形態の{03−38}単結晶を成長させるための結晶成長装置2を示す断面図である。結晶成長装置2は、主として、内部でSiC単結晶を成長させる黒鉛製の坩堝4と、坩堝4の熱が外部へ放射されるのを防止する熱シールド部材6と、この熱シールド部材6を包囲する水冷式の反応管8と、反応管8の周囲に巻回されるとともに坩堝4を加熱するための高周波コイル10と、から構成されている。また、反応管8の頂上部には、アルゴンガスなどの不活性ガスを導入するためのガス導入管12が介挿され、反応管8の底部には、不活性ガスを外部に排出するためのガス排出管14が介挿されている。
【0020】
坩堝4は、有底円筒形状をなしてSiC多結晶からなる原料15を収容する収容部16と、この収容部16の上部開口を封止する蓋部18と、蓋部18に取り付けられるとともに種結晶30が底面に固定された種結晶配置部20と、から成る。ここで、本実施形態では、種結晶(第1の種結晶、第4の種結晶)30として、{03−38}面が露出した4H型ポリタイプ(”H”は六方晶系、”4”は原子積層が4層で一周期となる結晶構造を意味する)のSiC単結晶を用いる。
【0021】
続いて、図2を参照して、4H−SiC単結晶の(03−38)面について説明する。同図に示すように、(03−38)面は、[0001]方向に対して約35゜(35.26゜)の傾きを有し、[0001]方向と垂直な面に対して約55゜(54.74゜)の傾きを有している。
【0022】
次に、図1〜図3を参照して、{03−38}単結晶の成長方法を説明する。
【0023】
原料15及び種結晶30を収容した坩堝4を反応管8内に設置した後、反応管8内を約1時間ほど真空排気し、次に、ガス導入管12より不活性ガスを導入して反応管8内を常圧(760Torr)にする。そして、再び反応管8内を約10分ほど真空排気した後、ガス導入管12より不活性ガスを導入して反応管8内を再度常圧(760Torr)にする。
【0024】
以上の作業が終了した後、高周波コイル10によって坩堝4を加熱し始める。この際、坩堝4の温度を約2000℃にするとともに、種結晶30の温度が原料15の温度よりも約50℃だけ低くなるように温度勾配をつける。同時に、反応管8内の圧力を約4Torrまで低下させる。これにより、SiC多結晶からなる原料15が昇華し、原料15のガスが種結晶30に到達して、図3に示すように、種結晶30の表面(露出面)30u上に直径約2インチの4H型ポリタイプのSiC単結晶40を成長させることができる。なお、図3においては、理解容易のために種結晶30の上方にSiC単結晶40を位置させているが、実際は、図1から分かるように種結晶30の下方にSiC単結晶40が成長する。
【0025】
ここで、図3を参照して、SiC単結晶40の成長過程を詳説する。通常、SiC単結晶を成長させるに際して、<0001>方向に延びるマイクロパイプやらせん転位等の貫通欠陥や、<0001>方向と垂直な面に広がる積層欠陥がSiC単結晶の内部に含まれることが多い。そして、多数の貫通欠陥や積層欠陥が表面に露出したSiC単結晶を用いて素子を作製すると、リーク電流等が発生するおそれがある。
【0026】
ここで、本実施形態のように{03−38}面を露出させた種結晶30を用いると、種結晶30の表面30uは、上述のように、貫通欠陥42(図中一点鎖線で示す)が延びる<0001>方向に対して約35゜の傾きを有することになる。そして、種結晶30の径と同じ2インチ程度SiC単結晶40を成長させると、貫通欠陥42が表面40uに到達する事態が抑制される。
【0027】
発明者らは、これは、種結晶30の表面30uからSiC単結晶40へ伝播した貫通欠陥42がSiC単結晶40の側面40sに到達するためであると考えてきたが、最近になって、実は種結晶30とSiC単結晶40との界面近傍において、貫通欠陥42が{0001}面内を伝播する転位に変形する場合があることを見出した。すなわち、貫通欠陥42の1つであるマイクロパイプはnc(n=3,4,5・・)のバーガースベクトルを有し、貫通欠陥42の他の1つであるらせん転位はnc(n=1,2)のバーガースベクトルを有するが、このバーガースベクトルncが種結晶30とSiC単結晶40との界面において1cのバーガースベクトルを有するn個の刃状転位に分解され、この1cの微小バーガースベクトルを有する転位が{0001}面内を[0110]方向に伝播するためであるとの考えに至った。そのため、貫通欠陥42が、種結晶30からSiC単結晶40へ伝播してSiC単結晶40を貫通する事態が抑制される。
【0028】
また、種結晶30の表面30uは、積層欠陥44(図中破線で示す)が広がる面、すなわち<0001>方向と垂直な面に対して約55゜の傾きを有する。このため、種結晶30の径と同じ2インチ程度SiC単結晶40を成長させると、積層欠陥44の多くはSiC単結晶40の側面40sに到達し、積層欠陥44が表面40uに到達する事態を抑制することができる。なお、種結晶30の表面30uは、Si原子の数よりC原子の数の方が多い、いわゆるC面であることが好ましい。この場合、4H型の結晶を結晶全体亘って、再現性良く且つ容易に形成することができる。
【0029】
続いて、以上のようにして作製した{03−38}単結晶40を用いて、{0001}単結晶を作製する方法について、図4を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態の{0001}単結晶を成長させるための結晶成長装置を示す断面図である。この結晶成長装置2Aは、種結晶配置部20に固定される種結晶が異なる点でのみ、図1に示した結晶成長装置2と異なる。すなわち、種結晶配置部20に固定された種結晶46は、上述の{03−38}単結晶インゴットをインゴットの長さ方向(すなわち、結晶成長方向)である<03−38>方向から35.26゜傾いた斜め方向に沿って切断して作製されたものであり、その露出面46uは{0001}面である。この{0001}面は、積層欠陥が広がる面方位であるために積層欠陥の貫通はなく、また上述した理由により貫通欠陥も観察されない。
【0030】
この結晶成長装置2Aの種結晶配置部20に種結晶46(第2の種結晶、第3の種結晶)を取り付け、上述した{03−38}単結晶と同様の成長方法及び成長条件で種結晶46上にSiC単結晶を成長させる。それにより、種結晶46の露出面46uである{0001}上に、貫通欠陥及び積層欠陥が実質的に存在しない{0001}単結晶が作製される。なお、{03−38}単結晶を斜め切りして露出する面は、Si原子の数よりC原子の数の方が多い、いわゆるC面であることが好ましい。この場合、4H型の結晶を結晶全体亘って、再現性良く且つ容易に形成することができる。
【0031】
ここで、斜め切りによって露出する{0001}面の断面形状は、{03−38}単結晶が円柱である場合には略楕円形状となる。一方、従来の{1−100}面又は{11−20}面上に成長させたSiC単結晶が円柱状である場合には、{0001}面が露出する断面の形状は矩形状となる。図5は、この2つの断面形状を比較するために重畳させた図である。なお、図中のA線は、SiC単結晶48が{03−38}単結晶である場合に{0001}面を露出させるための切断線であり、B線は、SiC単結晶48が{1−100}単結晶である場合に{0001}面を露出させるための切断線である。この図から明らかなように、同径の単結晶インゴットにおいては、{03−38}SiC単結晶に露出する{0001}面の断面積は、{1−100}単結晶及び{11−20}単結晶に露出する{0001}面の断面積よりも大きい。そのため、{03−38}単結晶を斜め切りすることにより種結晶を切り出して作製したインゴットは、{1−100}単結晶又は{11−20}単結晶を縦切りすることにより種結晶を切り出して作製したインゴットより大口径となる。
【0032】
上の説明においては、直径2インチの円形断面を有する種結晶46上に、高さ2インチの円柱状インゴット作製する場合について説明したが、一般的に作製されている、種結晶の直径より短い高さを有するSiC単結晶においては、{03−38}単結晶に露出する{0001}面の断面積は、{1−100}単結晶及び{11−20}単結晶に露出する{0001}面の断面積よりも大きくなる。また、元となるインゴットの形状が、円柱状でなく、角柱状や楕円柱状であっても、{03−38}単結晶に露出する{0001}面の断面積は、{1−100}単結晶及び{11−20}単結晶に露出する{0001}面の断面積よりも大きくなる。
【0033】
従って、{03−38}単結晶から{0001}面が露出する種結晶46を切り出して、その{0001}面上にSiC単結晶を成長させたSiC単結晶インゴットは、貫通欠陥及び積層欠陥が低減されていると共に、従来より口径の大きいインゴットとなっている。このような大口径の{0001}単結晶インゴットからは、表面積の大きな{0001}ウェハを作製することができ、このウェハは既に様々な角度から研究が進められてきた{0001}ウェハに関する技術に適用される。
【0034】
なお、{03−38}単結晶を斜め切りして露出させる面は、厳密に{0001}面であっても、{0001}面に対して約10゜以内のオフ角α(α)だけ傾いた面であってもよい。すなわち、{0001}面に対して約10゜以内のオフ角α(α)だけ傾いた面上にSiC単結晶を成長させる場合であっても、{03−38}単結晶を斜め切りすることで、縦切りする従来の単結晶に比べて断面積は大きくなる。そのため、このような場合であっても、従来よりも大口径の単結晶インゴットを作製することができる。
【0035】
また、図6に示すように、種結晶30の表面30uを本実施形態のように{03−38}面とせず、この{03−38}面に対して約10゜以内のオフ角α(α)だけ傾けた面としても、同様に、成長させられたSiC単結晶40の表面40uに貫通欠陥42及び積層欠陥44が到達する事態を抑制することができる。さらに、オフ角αは5゜以内であることが好ましく、より好適には、3゜以内であることが好ましい。すなわち、種結晶の表面が{03−38}面に近くなるほど、SiC単結晶40の表面40uに貫通欠陥42及び積層欠陥44が到達する事態を確実に抑制することができる。
【0036】
【実施例】
本発明のSiC単結晶及びその成長方法について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。
【0037】
[実施例1]
実施例1では、まず、(03−38)面が露出した4H−SiC単結晶を種結晶30として(03−38)単結晶を作製した。そして、この(03−38)単結晶を斜め切りして、{0001}面が露出した2インチ径の4H−SiC単結晶を種結晶46とした。この種結晶46を結晶成長装置2Aの種結晶配置部20に固定して、露出面46uにSiC単結晶を成長させて{0001}単結晶インゴットを作製した。このときの成長速度は1mm/hであった。
【0038】
このようにして得られたSiC単結晶をラマン分光分析したところ、表面全体が4H型になっていることが判明した。さらに、SiC単結晶40のインゴットを厚さ約330μmのウェハ状にスライスした後、ダイヤモンド砥石によって研磨処理を施して、ウェハの表裏面を鏡面状にした。目視により、このSiC単結晶のウェハは、表面全体が均質であり、端部からの多結晶化や結晶の多形化は起こっていないことが分かった。さらに、溶融水酸化カリウムを用いてウェハにエッチング処理を施して評価したところ、ウェハの表面に、マイクロパイプ(貫通欠陥)及び積層欠陥は観察されなかった。
【0039】
[実施例2]
実施例2では、種結晶46として、(03−38)面から(0001)面の方向に10゜傾いた面が露出した4H−SiC単結晶上にSiC単結晶を成長させたSiCインゴットを約44゜で斜め切りしたものを使用した。そして、反応管8内の圧力を4Torrに保持し、原料15の温度を約2300゜にするとともに種結晶30の温度を約2170゜にして、種結晶30上に直径2インチのSiC単結晶40を成長させた。そして、実施例1と同様に、SiC単結晶40のインゴットをスライスしてウェハを作製し、このウェハにエッチング処理を施して評価したところ、マイクロパイプ(貫通欠陥)及び積層欠陥は観察されなかった。
【0040】
[比較例1]
比較のために、種結晶46として、(03−38)面から(0001)面の方向に15゜傾いた面が露出した4H−SiC単結晶上にSiC単結晶を成長させたSiCインゴットを斜め切りして{0001}面が露出したものを使用した。この比較例1でも、実施例1及び2と同様、反応管8内の圧力を4Torrに保持し、原料15の温度を約2300゜にするとともに種結晶30の温度を約2170゜にして、種結晶30上に直径2インチのSiC単結晶40を成長させた。そして、実施例1及び2と同様に、SiC単結晶40のインゴットをスライスしてウェハを作製し、このウェハにエッチング処理を施して評価したところ、マイクロパイプ(貫通欠陥)が50個/cmの密度で確認された。
【0041】
[比較例2]
比較のために、種結晶46として、(03−38)面から(0011)面の方向に15゜傾いた面が露出した4H−SiC単結晶上にSiC単結晶を成長させたSiCインゴットを斜め切りして{0001}面が露出したものを使用した。この比較例2でも、実施例1及び2と同様、反応管8内の圧力を4Torrに保持し、原料15の温度を約2300゜にするとともに種結晶30の温度を約2170゜にして、種結晶30上に直径2インチのSiC単結晶40を成長させた。そして、実施例1及び2と同様に、SiC単結晶40のインゴットをスライスしてウェハを作製し、このウェハにエッチング処理を施して評価したところ、マイクロパイプ(貫通欠陥)は確認されなかったが、積層欠陥が約1000個/cmの密度で確認された。
【0042】
[比較例3]
比較のために、種結晶46として、(03−38)面から(11−20)面の方向に15゜傾いた面が露出した4H−SiC単結晶上にSiC単結晶を成長させたSiCインゴットを斜め切りして{0001}面が露出したものを使用した。この比較例3でも、実施例1及び2と同様、反応管8内の圧力を4Torrに保持し、原料15の温度を約2300゜にするとともに種結晶30の温度を約2170゜にして、種結晶30上に直径2インチのSiC単結晶40を成長させた。そして、実施例1及び2と同様に、SiC単結晶40のインゴットをスライスしてウェハを作製し、このウェハにエッチング処理を施して評価したところ、マイクロパイプ(貫通欠陥)は確認されなかったが、積層欠陥が約500個/cmの密度で確認された。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、結晶欠陥の低減及び大口径化が図られたSiC単結晶及びその成長方法を提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るSiC単結晶を成長せせるための結晶成長装置を示す概略断面図である。
【図2】SiC単結晶の(03−38)面を説明するために用いた図である。
【図3】SiC単結晶内の貫通欠陥及び積層欠陥の状態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るSiC単結晶を成長せせるための結晶成長装置を示す概略断面図である。
【図5】断面形状を説明するために用いた図である。
【図6】表面が{03−38}面からオフ角αだけ傾いた種結晶を示す図である。
【符号の説明】
2,2A…結晶成長装置、4…るつぼ、6…熱シールド部材、8…反応管、10…高周波コイル、15…原料、20…種結晶配置部、30,46…種結晶、30u,46u…種結晶表面(露出面)、40…SiC単結晶、42…貫通欠陥、44…積層欠陥。

Claims (6)

  1. 4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させるSiC単結晶の成長方法であって、
    {03−38}面、又は{03−38}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面、が露出したSiC単結晶からなる第1の種結晶上に、4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させたSiC単結晶インゴットを用意するステップと、
    前記SiC単結晶インゴットを斜め切りして、{0001}面、又は{0001}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面が露出する第2の種結晶を作製するステップと、
    前記第2の種結晶上の露出面に4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させるステップとを備える、SiC単結晶の成長方法。
  2. 前記第1及び第2の種結晶の露出面の少なくとも一方の面は、Si原子の数よりC原子の数の方が多い、請求項1に記載のSiC単結晶の成長方法。
  3. 前記オフ角αが5゜以内である、請求項1に記載のSiC単結晶の成長方法。
  4. 前記オフ角αが3゜以内である、請求項1に記載のSiC単結晶の成長方法。
  5. 黒鉛製のるつぼ内でSiC原料粉末を昇華させて、前記るつぼ内に設置された第3の種結晶上に4H型ポリタイプのSiC単結晶を再結晶させるSiC単結晶の成長方法において、
    {03−38}面、又は{03−38}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面、が露出したSiC単結晶からなる第4の種結晶上に、4H型ポリタイプのSiC単結晶を成長させたSiC単結晶インゴットを用意するステップと、
    前記SiC単結晶インゴットを斜め切りして、{0001}面、又は{0001}面に対して約10゜以内のオフ角αだけ傾いた面が露出する前記第3の種結晶を作製するステップとを備える、SiC単結晶の成長方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のSiC単結晶の成長方法により成長させた、SiC単結晶。
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