JP2004099340A - 炭化珪素単結晶育成用種結晶と炭化珪素単結晶インゴット及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低欠陥大口径の単結晶炭化珪素ウェハを高歩留りで製造する方法を提供する。
【解決手段】種結晶を用いた昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を成長させる際に、種結晶として口径40mm以上を有し、{0001}面から所定のオフ角度のついた面方位の炭化珪素単結晶を用いることにより、高品質な炭化珪素単結晶ウェハを高歩留りで製造できる炭化珪素単結晶インゴットを得る。
【選択図】 なし
【解決手段】種結晶を用いた昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を成長させる際に、種結晶として口径40mm以上を有し、{0001}面から所定のオフ角度のついた面方位の炭化珪素単結晶を用いることにより、高品質な炭化珪素単結晶ウェハを高歩留りで製造できる炭化珪素単結晶インゴットを得る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化珪素単結晶育成用種結晶と炭化珪素単結晶インゴット及びその製造方法に関し、特に、青色発光ダイオードや電子デバイス等の基板ウェハとなる良質で大型の単結晶インゴット及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素(SiC)は、耐熱性及び機械的強度に優れ、放射線に強い等の物理的、化学的性質から耐環境性半導体材料として注目されている。また、近年、青色から紫外にかけての短波長光デバイス、大電力高周波デバイス等の基板ウェハとして、SiC単結晶ウェハの需要が高まっている。しかしながら、大面積を有する高品質のSiC単結晶を、工業的規模で安定に供給し得る結晶成長技術は、いまだ確立されていない。それゆえ、SiCは、上述のような多くの利点及び可能性を有する半導体材料にもかかわらず、その実用化が阻まれていた。
【0003】
従来、研究室程度の規模では、例えば昇華再結晶法(レーリー法)でSiC単結晶を成長させ、半導体素子の作製が可能なサイズのSiC単結晶を得ていた。しかしながら、この方法では、得られた単結晶の面積が小さく、その寸法及び形状を高精度に制御することは困難である。また、SiCが有する結晶多形及び不純物キャリア濃度の制御も容易ではない。また、化学気相成長法(CVD法)を用いて、珪素(Si)等の異種基板上にヘテロエピタキシャル成長させることにより、立方晶のSiC単結晶を成長させることも行われている。この方法では、大面積の単結晶は得られるが、基板との格子不整合が約20%もあること等により多くの欠陥(〜107cm−2)を含むSiC単結晶しか成長させることができず、高品質のSiC単結晶を得ることは容易でない。
【0004】
これらの問題点を解決するために、SiC単結晶{0001}ウェハを種結晶として用いて昇華再結晶を行う改良型のレーリー法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法では、種結晶を用いているため結晶の核形成過程が制御でき、また不活性ガスにより雰囲気圧力を100Paから15kPa程度に制御することにより、結晶の成長速度等を再現性良くコントロールできる。改良レーリー法の原理を図1を用いて説明する。種結晶となるSiC単結晶と原料となるSiC結晶粉末は、蓋付き坩堝(通常、黒鉛製あるいはタンタル等の高融点金属製)の中に収納され、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(133Pa〜13.3kPa)、2000〜2400℃に加熱される。この際、原料粉末に比べ種結晶がやや低温になるように温度勾配が設定される。原料は昇華後、濃度勾配(温度勾配により形成される)により種結晶方向へ拡散、輸送される。単結晶成長は、種結晶に到着した原料ガスが種結晶上で再結晶化することにより実現される。この際、結晶の抵抗率は、不活性ガスからなる雰囲気中に不純物ガスを添加する、あるいはSiC原料粉末中に不純物元素あるいはその化合物を混合することにより、制御可能である。SiC単結晶中の置換型不純物として代表的なものに、窒素(n型)、ホウ素(p型)、アルミニウム(p型)がある。改良レーリー法を用いれば、SiC単結晶の結晶多形(6H型、4H型、15R型等)及び形状、キャリア型及び濃度を制御しながら、SiC単結晶を成長させることができる。
【0005】
改良レーリー法によるSiC単結晶の成長速度は、毎時0.7〜1.2mm程度で、通常20時間程度の成長時間で14〜24mm程度の長さのインゴットが製造される。デバイスを製造する単結晶ウェハは、このインゴットを切断、研磨することによって得られる。ウェハの切り出し可能枚数は、結晶長さ、ウェハ厚さ、切断代、研磨代等によって決定される。例えば、厚み300μmの研磨ウェハは、20mm長のインゴットからは、通常20〜30枚程度製造可能である。
【0006】
現在、上記の改良レーリー法で作製したSiC単結晶から口径2インチ(50mm)から3インチ(75mm)の{0001}面SiC単結晶ウェハが切り出され、エピタキシャル薄膜成長、デバイス作製に供されている。しかしながら、これらのSiC単結晶ウェハには、成長方向に貫通する直径数μmのピンホール欠陥(マイクロパイプ欠陥)が50〜200cm−2程度含まれていた。
【0007】
上記したように、従来の技術で作られたSiC単結晶には、マイクロパイプ欠陥が50〜200cm−2程度含まれていた。これらの欠陥は、素子を作製した際に、漏れ電流等を引き起こす(例えば、非特許文献2参照)。マイクロパイプ欠陥の低減はSiC単結晶のデバイス応用における最重要課題とされている。
【0008】
このマイクロパイプ欠陥は、結晶成長中に分解することが報告されている。マイクロパイプは螺旋転位の集合体である。転位が複数個合体すると、転位芯の歪エネルギーが大きくなり、そのエネルギーを開放するために転位芯が中空となる。マイクロパイプは準安定状態であるとされており(個別の螺旋転位に分解した方がエネルギー的に有利であることを意味する)、上記したマイクロパイプの分解とは、マイクロパイプがその最小構成要素である螺旋転位に分解することを意味する。分解後にSiC単結晶中に生成した螺旋転位は、デバイスの漏れ電流の原因とはならず、従って、マイクロパイプの分解は、SiC単結晶のデバイス応用において極めて重要である。
【0009】
このマイクロパイプの分解には、表面の成長ステップの挙動が重要な役割を果たしている(例えば、非特許文献3参照)。螺旋転位の集合体であるマイクロパイプは、結晶成長表面に渦巻成長ステップを形成する。上記文献では、この渦巻成長ステップが、マイクロパイプの分解に対して大きなエネルギー障壁をもたらし、マイクロパイプの分解を速度論的に抑制しているとしている。従って、マイクロパイプの分解を促進するには、この渦巻成長ステップに起因するエネルギー障壁を低減することが肝要である。
【0010】
ところで、デバイス製造に有用な大口径SiC単結晶ウェハをSiC単結晶から切り出そうとした場合、しばしば{0001}面から傾きを持った面方位のウェハを切り出す必要がある(傾角度としては、3.5°あるいは8°が通常用いられる)。これは、SiC単結晶ウェハ上に高品位のSiC単結晶薄膜エピタキシャル成長を行うためには、{0001}面から傾きを持った面方位のウェハが必要とされるためである。一方、SiC単結晶は、通常{0001}面方位を有する種結晶上に成長される。従って、{0001}面から傾きを持った面方位のSiC単結晶ウェハを切り出すためには、ウェハを図2(a)のように、成長方向に対して斜めに切り出す必要がある。SiあるいはGaAsといった半導体単結晶では、結晶長さが数10cmから1m程度におよび、成長方位に対し数°から10°程度斜めに切断しても、1つの単結晶インゴットから得られるウェハ枚数にはそれほど大きな変化はない。一方、SiC単結晶の場合、先に述べたように、結晶長さは14〜24mm程度と短く、数°から10°程度といえども成長方向に対して斜めに切断すると、ウェハの切断歩留り(1つのインゴットから得られるウェハ枚数)が大幅に低下する。この歩留り低下は、結晶の口径が大きくなればなるほど顕著となる。
【0011】
【非特許文献1】
Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, Vol.52 (1981) pp.146−150)。
【非特許文献2】
P. G. Neudeck et al., IEEE Electron Device Letters, Vol.15 (1994) pp.63−65
【非特許文献3】
N. Ohtani et al., Journal of Crystal Growth Vol.226 (2001) pp.254−260
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マイクロパイプの少ない良質の大口径ウェハを、しかも高歩留りに製造し得る種結晶とSiC単結晶インゴット及びその製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1) 口径が40mm以上で、{0001}面方位から2°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(2) 口径が40mm以上で、{0001}面方位から4°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(3) 口径が40mm以上で、{0001}面方位から6°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(4) 口径が65mm以上で、{0001}面方位から2°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(5) 口径が65mm以上で、{0001}面方位から4°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(6) 口径が65mm以上で、{0001}面方位から6°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(7) (1)〜(6)に記載の何れかの種結晶上にSiC単結晶薄膜を0.3μm以上エピタキシャル成長させたSiC単結晶育成用種結晶、
(8) (1)〜(6)に記載の何れかの種結晶上にSiC単結晶薄膜を3μm以上エピタキシャル成長させたSiC単結晶育成用種結晶、
(9) (1)〜(6)に記載の何れかの種結晶上にSiC単結晶薄膜を30μm以上エピタキシャル成長させたSiC単結晶育成用種結晶、
(10) 昇華再結晶法により種結晶上にSiC単結晶を成長させる工程を包含するSiC単結晶の製造方法であって、前記種結晶として(1)〜(9)に記載の何れかの種結晶を用いることを特徴とするSiC単結晶の製造方法、
(11) (10)記載の製造方法により得られたSiC単結晶インゴットであって、該インゴットの口径が50mm以上であることを特徴とするSiC単結晶インゴット、
(12) (10)記載の製造方法により得られたSiC単結晶インゴットであって、該インゴットの口径が75mm以上であることを特徴とするSiC単結晶インゴット、
(13) (11)又は(12)に記載のSiC単結晶インゴットを切断、研磨してなるSiC単結晶基板、
(14) (13)に記載のSiC単結晶基板にエピタキシャル薄膜を成長させてなるSiC単結晶エピタキシャルウェハ、
である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明では、{0001}面方位から2°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とすることによって、マイクロパイプの分解を促進し、良質の大口径のSiC単結晶ウェハを歩留り良く得ることができる。
【0015】
図3を用いて、本発明の効果を説明する。図3は、SiC単結晶成長時における結晶成長表面上のステップの様子を模式的に表わしたものである。まず、図3(a)は、{0001}面({0001}面からのずれが2°未満)上に、SiC単結晶を成長させた場合のステップの様子を示したものである。{0001}面上に結晶を成長させた場合、マイクロパイプに起因した渦巻成長ステップが成長表面上に大きく発達する。このように、結晶成長表面上に渦巻成長ステップが大きく発達した場合には、先に述べたように、マイクロパイプの分解に対するエネルギー障壁が大きくなり、その結果マイクロパイプは安定化し、結晶成長中に分解しづらくなる。
【0016】
一方、{0001}面方位から2°以上傾いた面を単結晶育成面とした場合には、結晶成長表面のステップ構造は、図3(b)のようになる。この場合には、結晶成長表面が{0001}面から傾いているために、結晶成長表面には、傾斜に起因した階段状のステップ(結晶成長面の傾斜方向を紙面左から右とすると、ステップダウン方向は同じく紙面左から右となる)と、マイクロパイプに起因した渦巻成長ステップとが混在する。
【0017】
結晶成長面の傾斜がある程度以上大きい場合(傾斜角が2°以上の場合)には、階段状のステップが左から右へと移動していくことによって結晶成長が進行する(この現象は結晶成長におけるステップフローと呼ばれる)。このように、結晶成長表面上でステップフローが支配的な場合、図3(b)に示したように、結晶成長表面は階段状のステップで占められ、渦巻成長ステップが大きく発達することはない。渦巻成長ステップが未発達の環境下では、マイクロパイプの分解を抑制するエネルギー障壁が小さくなり、その結果マイクロパイプの分解が促進される。
【0018】
本発明者らは、数多くの実験から、{0001}面方位から2°以上、より好ましくは4°以上、さらに好ましくは6°以上傾いた面を単結晶育成面として用いることによって、ステップフロー成長を実現し、マイクロパイプの分解を促進できることを見出した。
【0019】
本発明は、マイクロパイプの分解を促進するだけでなく、成長した結晶から{0001}面から傾きを持った面方位のSiC単結晶ウェハを切り出す際にも、その有効性を発揮する。
【0020】
SiC単結晶を成長する際に、最終的に必要となるエピタキシャル薄膜成長用SiC単結晶ウェハと同じ面方位({0001}面から所望の傾きを持った面方位)の種結晶上に、結晶を成長すれば、得られた成長結晶からエピタキシャル薄膜成長用ウェハを切り出す際に、図2(b)に示したように、成長結晶を成長方向に垂直に切断することができる。成長結晶から、成長方向に垂直にウェハを切り出すことができれば、ウェハの切断歩留り(1つのインゴットから得られるウェハ枚数)が最も高くなる。
【0021】
さらに、本発明では、SiC単結晶成長に用いられる種結晶の高品質化も可能である。I. Kamata et al., Japanese Journal of Applied Physics Vol.39 (2000) pp.6496−6500に記載されているように、SiC単結晶ウェハ上にCVD法によりエピタキシャル薄膜を成長する際に、成長条件の最適化を行うと、マイクロパイプ欠陥を閉塞することができる。この方法によりマイクロパイプ欠陥を閉塞したSiC単結晶ウェハをSiC単結晶成長の種結晶として用いれば、SiC単結晶の大幅な高品質化が可能となる。しかしながら、上記のエピタキシャル薄膜成長プロセスは、前述したように{0001}面から傾きを持った面方位のウェハにのみ適用可能で、従来SiC単結晶成長の種結晶に用いられてきたような{0001}面方位のウェハには適用困難であった。一方、本発明では、{0001}面から傾きを持った面方位のウェハを種結晶として用いており、上記エピタキシャル薄膜成長プロセスを本発明の種結晶に適用することは可能である。つまり、本発明の{0001}面から傾きを持った面方位の種結晶上に、上記エピタキシャル薄膜成長プロセスを適用してマイクロパイプ欠陥を閉塞した後、それを種結晶として用いてSiC単結晶成長すれば、SiC単結晶の大幅な品質改善を達成できる。
【0022】
本発明において使用される、{0001}面から傾きを持った面方位の種結晶は、傾きとして2°以上12°以下、より好ましくは4°以上12°以下、さらに好ましくは6°以上12°以下の傾きを持つ。また、種結晶の口径は、40mm以上、より好ましくは65mm以上である。
【0023】
傾きが2°未満の場合には、結晶成長表面に渦巻成長ステップが大きく発達し、本発明の効果が得られない。また、傾きが12°超の場合には、エピタキシャル薄膜成長に適した面方位(例えば、{0001}面からの傾きが3.5°あるいは8°)のウェハを成長インゴットから高歩留りに切出しづらい。種結晶の口径が40mm以上であると、口径50mm以上の高品位のSiC単結晶を得ることも可能である。また、種結晶の口径が65mm以上であると、口径75mm以上の高品位のSiC単結晶を得ることも可能である。
【0024】
さらに、表面にエピタキシャル薄膜成長を施したSiC単結晶ウェハを種結晶として用いる場合、エピタキシャル薄膜の厚さは、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。エピタキシャル薄膜の厚さが0.3μm未満の場合には、エピタキシャル薄膜成長を利用したマイクロパイプ欠陥の閉塞が困難だからである。
【0025】
本発明の製造方法で作製されたSiC単結晶インゴットは、50mm以上の大口径を有し、且つSiC単結晶ウェハの品質低下をもたらすマイクロパイプ欠陥が少なく、且つウェハの切断歩留りが高いという特徴を有する。
【0026】
このようにして製造したSiC単結晶インゴットを切断、研磨してなるSiC単結晶ウェハは、好ましくは50mm以上、より好ましくは75mm以上の口径を有しうる。このため、このウェハを用いて各種デバイスを製造する際、工業的に確立されている従来の半導体(Si、GaAs等)ウェハ用の製造ラインを使用することができ、量産に適している。また、このような結晶欠陥が極めて少ないSiC単結晶ウェハ、及び、その上にCVD法等によりエピタキシャル薄膜を成長してなるSiC単結晶エピタキシャルウェハは、結晶欠陥に起因したデバイス製造歩留りの低下が極めて少ないという特徴を有する。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明を実施例で詳細に説明する。
【0028】
図4は、本発明で用いる製造装置の一例を示す概観図である。かような装置において、種結晶を用いた改良型レーリー法によってSiC単結晶を成長させる。まず、この単結晶成長装置について簡単に説明する。結晶成長は、種結晶として用いたSiC単結晶1の上に原料であるSiC結晶粉末原料2を昇華再結晶化させることにより行われる。種結晶のSiC単結晶1は、坩堝3(黒鉛製)の坩堝蓋4(黒鉛製)の内面に取り付けられる。SiC結晶粉末原料2は、黒鉛製坩堝3の内部に充填されている。このような黒鉛製坩堝3は、二重石英管5の内部に、黒鉛の支持棒6により設置される。黒鉛製坩堝3の周囲には、熱シールドのための黒鉛製フェルト7が設置されている。二重石英管5は、真空排気装置により高真空排気(10−3Pa以下)することができ、かつ内部雰囲気をArガスにより圧力制御することができる。また、二重石英管5の外周には、ワークコイル8が設置されており、高周波電流を流すことにより黒鉛製坩堝3を加熱し、原料及び種結晶を所望の温度に加熱することができる。坩堝温度の計測は、坩堝上部及び下部を覆うフェルトの中央部に直径2〜4mmの光路を設け坩堝上部及び下部からの光を取りだし、二色温度計を用いて行う。坩堝下部の温度を原料温度、坩堝上部の温度を種温度とする。
【0029】
(実施例1)
まず、種結晶として、{0001}面から[11−20]方向に8°傾いた面方位の六方晶系のSiC単結晶ウェハ(口径49mm)を用意し、黒鉛製坩堝蓋裏面に装着した。
【0030】
次に、このようにして種結晶を固定した黒鉛製坩堝蓋4で黒鉛製坩堝3を閉じた後、黒鉛製フェルト7で被覆した。黒鉛製坩堝3の内部には、SiC結晶粉末原料2が充填されている。これらを黒鉛製支持棒6の上に乗せ、二重石英管5の内部に設置した。そして、石英管の内部を真空排気した後、ワークコイルに電流を流し原料温度を2000℃まで上げた。その後、雰囲気ガスとしてArガスを流入させ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、原料温度を目標温度である2400℃まで上昇させた。成長圧力である1.3kPaには約30分かけて減圧し、その後約20時間成長を続けた。この際の坩堝内の温度勾配は15℃/cmで、成長速度は約0.8mm/時であった。得られた単結晶の口径は51mmで、長さは16mm程度であった。
【0031】
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、六方晶系のSiC単結晶が成長したことを確認できた。また、成長結晶表面を顕微鏡で観察したところ、成長結晶表面には、ステップフロー成長に対応した階段状のステップが観察された。さらに、マイクロパイプ欠陥を評価する目的で、製造したSiC単結晶インゴットをウェハ状に切断した。この際、{0001}面から[11−20]方向に8°傾いた面方位のウェハを切り出したところ、全部で24枚のウェハを得た。その内の2枚を研磨して、口径51mmのSiC単結晶{0001}面ウェハとした。その後、この内の1枚を約530℃の溶融KOHでエッチングし、顕微鏡によりマイクロパイプ欠陥に対応する大型の六角形エッチピットの数を調べたところ、マイクロパイプ欠陥が、種結晶に比べ、3/4程度に減少していることがわかった。
【0032】
さらに、残りの1枚の51mm口径のSiC単結晶ウェハを基板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度1500℃、シラン(SiH4)、プロパン(C3H8)、水素(H2)の流量が、それぞれ5.0×10−9m3/sec、3.3×10−9m3/sec、5.0×10−5m3/secであった。成長圧力は大気圧とした。成長時間は2時間で、膜厚としては約5μm成長した。
【0033】
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、一部マイクロパイプに起因したと思われる表面欠陥が観測されたが、ウェハ全面に渡ってほぼ平坦なSiCエピタキシャル薄膜が成長されているのが分かった。
【0034】
(実施例2)
まず、種結晶として、{0001}面から[11−20]方向に8°傾いた面方位の六方晶系のSiC単結晶ウェハ(口径49mm)を用意した。その後研磨を施した後、このウェハを基板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、実施例1と同じ条件とした。成長時間は16時間で、膜厚としては約40μm成長した。
【0035】
エピタキシャル成長したSiC単結晶ウェハの表面を観察したところ、基板中に存在していたマイクロパイプ欠陥の約1/4が閉塞しているのを確認できた。このようにマイクロパイプの一部を閉塞したSiC単結晶ウェハを種結晶として用いて、実施例1と同様の手順で成長実験を行い、口径51mmのSiC単結晶を得た。成長速度は約0.7mm/時で、長さは14mm程度であった。
【0036】
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、六方晶系のSiC単結晶が成長したことを確認できた。また、成長結晶表面を顕微鏡で観察したところ、成長結晶表面には、ステップフロー成長に対応した階段状のステップが観察された。さらに、マイクロパイプ欠陥を評価する目的で、製造したSiC単結晶インゴットをウェハ状に切断した。この際、{0001}面から[11−20]方向に8°傾いた面方位のウェハを切り出したところ、全部で21枚のウェハを得た。その内の2枚を研磨して、口径51mmのSiC単結晶{0001}面ウェハとした。その後、この内の1枚を約530℃の溶融KOHでエッチングし、顕微鏡によりマイクロパイプ欠陥に対応する大型の六角形エッチピットの数を調べたところ、マイクロパイプ欠陥が、エピタキシャル成長する前の種結晶に比べ1/2程度に、エピタキシャル成長後の種結晶に比べ2/3程度に減少していることがわかった。
【0037】
さらに、残りの1枚の51mm口径のSiC単結晶ウェハを基板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、SiC単結晶成長前に種結晶に施したものと同じ条件とした。成長時間は2時間で、膜厚としては約5μm成長した。
【0038】
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、ウェハ全面に渡って非常に平坦で、ピット等の表面欠陥の非常に少ない良好な表面モフォロジーを有するSiCエピタキシャル薄膜が成長されているのが分かった。
【0039】
(比較例)
比較例として、{0001}面方位の種結晶ウェハを用いて、成長実験を行った。まず、種結晶として、口径49mmの(0001)面を有した六方晶系のSiC単結晶ウェハを用意した。X線回折装置により、{0001}面方位からのずれを測定したところ、0.5°以内であった。
【0040】
この種結晶を用いて、実施例1と同様の手順で成長実験を行い、口径51mmのSiC単結晶を得た。成長速度は約0.7mm/時で、長さは14mm程度であった。
【0041】
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、六方晶系のSiC単結晶が成長したことを確認できた。また、成長結晶表面を顕微鏡で観察したところ、成長結晶表面には、マイクロパイプに起因した渦巻成長ステップが大きく発達していた。さらに、マイクロパイプ欠陥を評価する目的で、製造したSiC単結晶インゴットをウェハ状に切断した。この際、{0001}面から[11−20]方向に8°傾いた面方位のウェハを切り出したところ、全部で10枚のウェハを得た。その内の2枚を研磨して、口径51mmのSiC単結晶{0001}面ウェハとした。その後、この内の1枚を約530℃の溶融KOHでエッチングし、顕微鏡によりマイクロパイプ欠陥に対応する大型の六角形エッチピットの数を調べたところ、種結晶とほぼ同数のマイクロパイプ欠陥が存在していることがわかった。
【0042】
さらに、残りの1枚の51mm口径のSiC単結晶ウェハを基板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、実施例1と同じ条件とした。成長時間は2時間で、膜厚としては約5μm成長した。
【0043】
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、マイクロパイプ欠陥に起因するピット等の表面欠陥が数多く観察された。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の種結晶を用いれば、種結晶を用いた改良型レーリー法において、マイクロパイプ欠陥の少ない良質のSiC単結晶を再現性良く成長させることができる。また、このような結晶から、エピタキシャル薄膜成長に適した{0001}面から傾いた面方位を持ったSiC単結晶ウェハを高歩留りに切り出すことができる。このようなSiC単結晶ウェハを用いれば、光学的特性の優れた青色発光素子、電気的特性の優れた高耐圧・耐環境性電子デバイスを製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】改良レーリー法の原理を説明する図である。
【図2】本発明の効果を説明する図である。(a)は、{0001}面から傾きを持った面方位のSiC単結晶ウェハを、{0001}面方位の種結晶上に成長したSiC単結晶から切り出す場合のウェハ切断の様子を示す図である。(b)は、{0001}面から傾きを持った面方位のSiC単結晶ウェハを、{0001}面から同程度の傾きを持った面方位の種結晶上に成長したSiC単結晶から切り出す場合のウェハ切断の様子を示す図である。
【図3】本発明の効果を説明する図である。(a)は、{0001}面上にSiC単結晶を成長した場合の結晶成長表面上のステップの様子を示す図である。(b)は、{0001}面から2°以上傾いた面方位の種結晶上にSiC単結晶を成長した場合の結晶成長表面上のステップの様子を示す図である。
【図4】本発明で用いる製造装置の一例を示す概観図である。
【符号の説明】
1 種結晶(SiC単結晶)
2 SiC結晶粉末原料
3 坩堝(黒鉛あるいはタンタル等の高融点金属)
4 黒鉛製坩堝蓋
5 二重石英管
6 支持棒
7 黒鉛製フェルト(断熱材)
8 ワークコイル
9 高純度Arガス配管
10 高純度Arガス用マスフローコントローラ
11 真空排気装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化珪素単結晶育成用種結晶と炭化珪素単結晶インゴット及びその製造方法に関し、特に、青色発光ダイオードや電子デバイス等の基板ウェハとなる良質で大型の単結晶インゴット及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素(SiC)は、耐熱性及び機械的強度に優れ、放射線に強い等の物理的、化学的性質から耐環境性半導体材料として注目されている。また、近年、青色から紫外にかけての短波長光デバイス、大電力高周波デバイス等の基板ウェハとして、SiC単結晶ウェハの需要が高まっている。しかしながら、大面積を有する高品質のSiC単結晶を、工業的規模で安定に供給し得る結晶成長技術は、いまだ確立されていない。それゆえ、SiCは、上述のような多くの利点及び可能性を有する半導体材料にもかかわらず、その実用化が阻まれていた。
【0003】
従来、研究室程度の規模では、例えば昇華再結晶法(レーリー法)でSiC単結晶を成長させ、半導体素子の作製が可能なサイズのSiC単結晶を得ていた。しかしながら、この方法では、得られた単結晶の面積が小さく、その寸法及び形状を高精度に制御することは困難である。また、SiCが有する結晶多形及び不純物キャリア濃度の制御も容易ではない。また、化学気相成長法(CVD法)を用いて、珪素(Si)等の異種基板上にヘテロエピタキシャル成長させることにより、立方晶のSiC単結晶を成長させることも行われている。この方法では、大面積の単結晶は得られるが、基板との格子不整合が約20%もあること等により多くの欠陥(〜107cm−2)を含むSiC単結晶しか成長させることができず、高品質のSiC単結晶を得ることは容易でない。
【0004】
これらの問題点を解決するために、SiC単結晶{0001}ウェハを種結晶として用いて昇華再結晶を行う改良型のレーリー法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法では、種結晶を用いているため結晶の核形成過程が制御でき、また不活性ガスにより雰囲気圧力を100Paから15kPa程度に制御することにより、結晶の成長速度等を再現性良くコントロールできる。改良レーリー法の原理を図1を用いて説明する。種結晶となるSiC単結晶と原料となるSiC結晶粉末は、蓋付き坩堝(通常、黒鉛製あるいはタンタル等の高融点金属製)の中に収納され、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(133Pa〜13.3kPa)、2000〜2400℃に加熱される。この際、原料粉末に比べ種結晶がやや低温になるように温度勾配が設定される。原料は昇華後、濃度勾配(温度勾配により形成される)により種結晶方向へ拡散、輸送される。単結晶成長は、種結晶に到着した原料ガスが種結晶上で再結晶化することにより実現される。この際、結晶の抵抗率は、不活性ガスからなる雰囲気中に不純物ガスを添加する、あるいはSiC原料粉末中に不純物元素あるいはその化合物を混合することにより、制御可能である。SiC単結晶中の置換型不純物として代表的なものに、窒素(n型)、ホウ素(p型)、アルミニウム(p型)がある。改良レーリー法を用いれば、SiC単結晶の結晶多形(6H型、4H型、15R型等)及び形状、キャリア型及び濃度を制御しながら、SiC単結晶を成長させることができる。
【0005】
改良レーリー法によるSiC単結晶の成長速度は、毎時0.7〜1.2mm程度で、通常20時間程度の成長時間で14〜24mm程度の長さのインゴットが製造される。デバイスを製造する単結晶ウェハは、このインゴットを切断、研磨することによって得られる。ウェハの切り出し可能枚数は、結晶長さ、ウェハ厚さ、切断代、研磨代等によって決定される。例えば、厚み300μmの研磨ウェハは、20mm長のインゴットからは、通常20〜30枚程度製造可能である。
【0006】
現在、上記の改良レーリー法で作製したSiC単結晶から口径2インチ(50mm)から3インチ(75mm)の{0001}面SiC単結晶ウェハが切り出され、エピタキシャル薄膜成長、デバイス作製に供されている。しかしながら、これらのSiC単結晶ウェハには、成長方向に貫通する直径数μmのピンホール欠陥(マイクロパイプ欠陥)が50〜200cm−2程度含まれていた。
【0007】
上記したように、従来の技術で作られたSiC単結晶には、マイクロパイプ欠陥が50〜200cm−2程度含まれていた。これらの欠陥は、素子を作製した際に、漏れ電流等を引き起こす(例えば、非特許文献2参照)。マイクロパイプ欠陥の低減はSiC単結晶のデバイス応用における最重要課題とされている。
【0008】
このマイクロパイプ欠陥は、結晶成長中に分解することが報告されている。マイクロパイプは螺旋転位の集合体である。転位が複数個合体すると、転位芯の歪エネルギーが大きくなり、そのエネルギーを開放するために転位芯が中空となる。マイクロパイプは準安定状態であるとされており(個別の螺旋転位に分解した方がエネルギー的に有利であることを意味する)、上記したマイクロパイプの分解とは、マイクロパイプがその最小構成要素である螺旋転位に分解することを意味する。分解後にSiC単結晶中に生成した螺旋転位は、デバイスの漏れ電流の原因とはならず、従って、マイクロパイプの分解は、SiC単結晶のデバイス応用において極めて重要である。
【0009】
このマイクロパイプの分解には、表面の成長ステップの挙動が重要な役割を果たしている(例えば、非特許文献3参照)。螺旋転位の集合体であるマイクロパイプは、結晶成長表面に渦巻成長ステップを形成する。上記文献では、この渦巻成長ステップが、マイクロパイプの分解に対して大きなエネルギー障壁をもたらし、マイクロパイプの分解を速度論的に抑制しているとしている。従って、マイクロパイプの分解を促進するには、この渦巻成長ステップに起因するエネルギー障壁を低減することが肝要である。
【0010】
ところで、デバイス製造に有用な大口径SiC単結晶ウェハをSiC単結晶から切り出そうとした場合、しばしば{0001}面から傾きを持った面方位のウェハを切り出す必要がある(傾角度としては、3.5°あるいは8°が通常用いられる)。これは、SiC単結晶ウェハ上に高品位のSiC単結晶薄膜エピタキシャル成長を行うためには、{0001}面から傾きを持った面方位のウェハが必要とされるためである。一方、SiC単結晶は、通常{0001}面方位を有する種結晶上に成長される。従って、{0001}面から傾きを持った面方位のSiC単結晶ウェハを切り出すためには、ウェハを図2(a)のように、成長方向に対して斜めに切り出す必要がある。SiあるいはGaAsといった半導体単結晶では、結晶長さが数10cmから1m程度におよび、成長方位に対し数°から10°程度斜めに切断しても、1つの単結晶インゴットから得られるウェハ枚数にはそれほど大きな変化はない。一方、SiC単結晶の場合、先に述べたように、結晶長さは14〜24mm程度と短く、数°から10°程度といえども成長方向に対して斜めに切断すると、ウェハの切断歩留り(1つのインゴットから得られるウェハ枚数)が大幅に低下する。この歩留り低下は、結晶の口径が大きくなればなるほど顕著となる。
【0011】
【非特許文献1】
Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, Vol.52 (1981) pp.146−150)。
【非特許文献2】
P. G. Neudeck et al., IEEE Electron Device Letters, Vol.15 (1994) pp.63−65
【非特許文献3】
N. Ohtani et al., Journal of Crystal Growth Vol.226 (2001) pp.254−260
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マイクロパイプの少ない良質の大口径ウェハを、しかも高歩留りに製造し得る種結晶とSiC単結晶インゴット及びその製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1) 口径が40mm以上で、{0001}面方位から2°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(2) 口径が40mm以上で、{0001}面方位から4°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(3) 口径が40mm以上で、{0001}面方位から6°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(4) 口径が65mm以上で、{0001}面方位から2°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(5) 口径が65mm以上で、{0001}面方位から4°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(6) 口径が65mm以上で、{0001}面方位から6°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とするSiC単結晶育成用種結晶、
(7) (1)〜(6)に記載の何れかの種結晶上にSiC単結晶薄膜を0.3μm以上エピタキシャル成長させたSiC単結晶育成用種結晶、
(8) (1)〜(6)に記載の何れかの種結晶上にSiC単結晶薄膜を3μm以上エピタキシャル成長させたSiC単結晶育成用種結晶、
(9) (1)〜(6)に記載の何れかの種結晶上にSiC単結晶薄膜を30μm以上エピタキシャル成長させたSiC単結晶育成用種結晶、
(10) 昇華再結晶法により種結晶上にSiC単結晶を成長させる工程を包含するSiC単結晶の製造方法であって、前記種結晶として(1)〜(9)に記載の何れかの種結晶を用いることを特徴とするSiC単結晶の製造方法、
(11) (10)記載の製造方法により得られたSiC単結晶インゴットであって、該インゴットの口径が50mm以上であることを特徴とするSiC単結晶インゴット、
(12) (10)記載の製造方法により得られたSiC単結晶インゴットであって、該インゴットの口径が75mm以上であることを特徴とするSiC単結晶インゴット、
(13) (11)又は(12)に記載のSiC単結晶インゴットを切断、研磨してなるSiC単結晶基板、
(14) (13)に記載のSiC単結晶基板にエピタキシャル薄膜を成長させてなるSiC単結晶エピタキシャルウェハ、
である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明では、{0001}面方位から2°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とすることによって、マイクロパイプの分解を促進し、良質の大口径のSiC単結晶ウェハを歩留り良く得ることができる。
【0015】
図3を用いて、本発明の効果を説明する。図3は、SiC単結晶成長時における結晶成長表面上のステップの様子を模式的に表わしたものである。まず、図3(a)は、{0001}面({0001}面からのずれが2°未満)上に、SiC単結晶を成長させた場合のステップの様子を示したものである。{0001}面上に結晶を成長させた場合、マイクロパイプに起因した渦巻成長ステップが成長表面上に大きく発達する。このように、結晶成長表面上に渦巻成長ステップが大きく発達した場合には、先に述べたように、マイクロパイプの分解に対するエネルギー障壁が大きくなり、その結果マイクロパイプは安定化し、結晶成長中に分解しづらくなる。
【0016】
一方、{0001}面方位から2°以上傾いた面を単結晶育成面とした場合には、結晶成長表面のステップ構造は、図3(b)のようになる。この場合には、結晶成長表面が{0001}面から傾いているために、結晶成長表面には、傾斜に起因した階段状のステップ(結晶成長面の傾斜方向を紙面左から右とすると、ステップダウン方向は同じく紙面左から右となる)と、マイクロパイプに起因した渦巻成長ステップとが混在する。
【0017】
結晶成長面の傾斜がある程度以上大きい場合(傾斜角が2°以上の場合)には、階段状のステップが左から右へと移動していくことによって結晶成長が進行する(この現象は結晶成長におけるステップフローと呼ばれる)。このように、結晶成長表面上でステップフローが支配的な場合、図3(b)に示したように、結晶成長表面は階段状のステップで占められ、渦巻成長ステップが大きく発達することはない。渦巻成長ステップが未発達の環境下では、マイクロパイプの分解を抑制するエネルギー障壁が小さくなり、その結果マイクロパイプの分解が促進される。
【0018】
本発明者らは、数多くの実験から、{0001}面方位から2°以上、より好ましくは4°以上、さらに好ましくは6°以上傾いた面を単結晶育成面として用いることによって、ステップフロー成長を実現し、マイクロパイプの分解を促進できることを見出した。
【0019】
本発明は、マイクロパイプの分解を促進するだけでなく、成長した結晶から{0001}面から傾きを持った面方位のSiC単結晶ウェハを切り出す際にも、その有効性を発揮する。
【0020】
SiC単結晶を成長する際に、最終的に必要となるエピタキシャル薄膜成長用SiC単結晶ウェハと同じ面方位({0001}面から所望の傾きを持った面方位)の種結晶上に、結晶を成長すれば、得られた成長結晶からエピタキシャル薄膜成長用ウェハを切り出す際に、図2(b)に示したように、成長結晶を成長方向に垂直に切断することができる。成長結晶から、成長方向に垂直にウェハを切り出すことができれば、ウェハの切断歩留り(1つのインゴットから得られるウェハ枚数)が最も高くなる。
【0021】
さらに、本発明では、SiC単結晶成長に用いられる種結晶の高品質化も可能である。I. Kamata et al., Japanese Journal of Applied Physics Vol.39 (2000) pp.6496−6500に記載されているように、SiC単結晶ウェハ上にCVD法によりエピタキシャル薄膜を成長する際に、成長条件の最適化を行うと、マイクロパイプ欠陥を閉塞することができる。この方法によりマイクロパイプ欠陥を閉塞したSiC単結晶ウェハをSiC単結晶成長の種結晶として用いれば、SiC単結晶の大幅な高品質化が可能となる。しかしながら、上記のエピタキシャル薄膜成長プロセスは、前述したように{0001}面から傾きを持った面方位のウェハにのみ適用可能で、従来SiC単結晶成長の種結晶に用いられてきたような{0001}面方位のウェハには適用困難であった。一方、本発明では、{0001}面から傾きを持った面方位のウェハを種結晶として用いており、上記エピタキシャル薄膜成長プロセスを本発明の種結晶に適用することは可能である。つまり、本発明の{0001}面から傾きを持った面方位の種結晶上に、上記エピタキシャル薄膜成長プロセスを適用してマイクロパイプ欠陥を閉塞した後、それを種結晶として用いてSiC単結晶成長すれば、SiC単結晶の大幅な品質改善を達成できる。
【0022】
本発明において使用される、{0001}面から傾きを持った面方位の種結晶は、傾きとして2°以上12°以下、より好ましくは4°以上12°以下、さらに好ましくは6°以上12°以下の傾きを持つ。また、種結晶の口径は、40mm以上、より好ましくは65mm以上である。
【0023】
傾きが2°未満の場合には、結晶成長表面に渦巻成長ステップが大きく発達し、本発明の効果が得られない。また、傾きが12°超の場合には、エピタキシャル薄膜成長に適した面方位(例えば、{0001}面からの傾きが3.5°あるいは8°)のウェハを成長インゴットから高歩留りに切出しづらい。種結晶の口径が40mm以上であると、口径50mm以上の高品位のSiC単結晶を得ることも可能である。また、種結晶の口径が65mm以上であると、口径75mm以上の高品位のSiC単結晶を得ることも可能である。
【0024】
さらに、表面にエピタキシャル薄膜成長を施したSiC単結晶ウェハを種結晶として用いる場合、エピタキシャル薄膜の厚さは、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。エピタキシャル薄膜の厚さが0.3μm未満の場合には、エピタキシャル薄膜成長を利用したマイクロパイプ欠陥の閉塞が困難だからである。
【0025】
本発明の製造方法で作製されたSiC単結晶インゴットは、50mm以上の大口径を有し、且つSiC単結晶ウェハの品質低下をもたらすマイクロパイプ欠陥が少なく、且つウェハの切断歩留りが高いという特徴を有する。
【0026】
このようにして製造したSiC単結晶インゴットを切断、研磨してなるSiC単結晶ウェハは、好ましくは50mm以上、より好ましくは75mm以上の口径を有しうる。このため、このウェハを用いて各種デバイスを製造する際、工業的に確立されている従来の半導体(Si、GaAs等)ウェハ用の製造ラインを使用することができ、量産に適している。また、このような結晶欠陥が極めて少ないSiC単結晶ウェハ、及び、その上にCVD法等によりエピタキシャル薄膜を成長してなるSiC単結晶エピタキシャルウェハは、結晶欠陥に起因したデバイス製造歩留りの低下が極めて少ないという特徴を有する。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明を実施例で詳細に説明する。
【0028】
図4は、本発明で用いる製造装置の一例を示す概観図である。かような装置において、種結晶を用いた改良型レーリー法によってSiC単結晶を成長させる。まず、この単結晶成長装置について簡単に説明する。結晶成長は、種結晶として用いたSiC単結晶1の上に原料であるSiC結晶粉末原料2を昇華再結晶化させることにより行われる。種結晶のSiC単結晶1は、坩堝3(黒鉛製)の坩堝蓋4(黒鉛製)の内面に取り付けられる。SiC結晶粉末原料2は、黒鉛製坩堝3の内部に充填されている。このような黒鉛製坩堝3は、二重石英管5の内部に、黒鉛の支持棒6により設置される。黒鉛製坩堝3の周囲には、熱シールドのための黒鉛製フェルト7が設置されている。二重石英管5は、真空排気装置により高真空排気(10−3Pa以下)することができ、かつ内部雰囲気をArガスにより圧力制御することができる。また、二重石英管5の外周には、ワークコイル8が設置されており、高周波電流を流すことにより黒鉛製坩堝3を加熱し、原料及び種結晶を所望の温度に加熱することができる。坩堝温度の計測は、坩堝上部及び下部を覆うフェルトの中央部に直径2〜4mmの光路を設け坩堝上部及び下部からの光を取りだし、二色温度計を用いて行う。坩堝下部の温度を原料温度、坩堝上部の温度を種温度とする。
【0029】
(実施例1)
まず、種結晶として、{0001}面から[11−20]方向に8°傾いた面方位の六方晶系のSiC単結晶ウェハ(口径49mm)を用意し、黒鉛製坩堝蓋裏面に装着した。
【0030】
次に、このようにして種結晶を固定した黒鉛製坩堝蓋4で黒鉛製坩堝3を閉じた後、黒鉛製フェルト7で被覆した。黒鉛製坩堝3の内部には、SiC結晶粉末原料2が充填されている。これらを黒鉛製支持棒6の上に乗せ、二重石英管5の内部に設置した。そして、石英管の内部を真空排気した後、ワークコイルに電流を流し原料温度を2000℃まで上げた。その後、雰囲気ガスとしてArガスを流入させ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、原料温度を目標温度である2400℃まで上昇させた。成長圧力である1.3kPaには約30分かけて減圧し、その後約20時間成長を続けた。この際の坩堝内の温度勾配は15℃/cmで、成長速度は約0.8mm/時であった。得られた単結晶の口径は51mmで、長さは16mm程度であった。
【0031】
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、六方晶系のSiC単結晶が成長したことを確認できた。また、成長結晶表面を顕微鏡で観察したところ、成長結晶表面には、ステップフロー成長に対応した階段状のステップが観察された。さらに、マイクロパイプ欠陥を評価する目的で、製造したSiC単結晶インゴットをウェハ状に切断した。この際、{0001}面から[11−20]方向に8°傾いた面方位のウェハを切り出したところ、全部で24枚のウェハを得た。その内の2枚を研磨して、口径51mmのSiC単結晶{0001}面ウェハとした。その後、この内の1枚を約530℃の溶融KOHでエッチングし、顕微鏡によりマイクロパイプ欠陥に対応する大型の六角形エッチピットの数を調べたところ、マイクロパイプ欠陥が、種結晶に比べ、3/4程度に減少していることがわかった。
【0032】
さらに、残りの1枚の51mm口径のSiC単結晶ウェハを基板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、成長温度1500℃、シラン(SiH4)、プロパン(C3H8)、水素(H2)の流量が、それぞれ5.0×10−9m3/sec、3.3×10−9m3/sec、5.0×10−5m3/secであった。成長圧力は大気圧とした。成長時間は2時間で、膜厚としては約5μm成長した。
【0033】
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、一部マイクロパイプに起因したと思われる表面欠陥が観測されたが、ウェハ全面に渡ってほぼ平坦なSiCエピタキシャル薄膜が成長されているのが分かった。
【0034】
(実施例2)
まず、種結晶として、{0001}面から[11−20]方向に8°傾いた面方位の六方晶系のSiC単結晶ウェハ(口径49mm)を用意した。その後研磨を施した後、このウェハを基板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、実施例1と同じ条件とした。成長時間は16時間で、膜厚としては約40μm成長した。
【0035】
エピタキシャル成長したSiC単結晶ウェハの表面を観察したところ、基板中に存在していたマイクロパイプ欠陥の約1/4が閉塞しているのを確認できた。このようにマイクロパイプの一部を閉塞したSiC単結晶ウェハを種結晶として用いて、実施例1と同様の手順で成長実験を行い、口径51mmのSiC単結晶を得た。成長速度は約0.7mm/時で、長さは14mm程度であった。
【0036】
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、六方晶系のSiC単結晶が成長したことを確認できた。また、成長結晶表面を顕微鏡で観察したところ、成長結晶表面には、ステップフロー成長に対応した階段状のステップが観察された。さらに、マイクロパイプ欠陥を評価する目的で、製造したSiC単結晶インゴットをウェハ状に切断した。この際、{0001}面から[11−20]方向に8°傾いた面方位のウェハを切り出したところ、全部で21枚のウェハを得た。その内の2枚を研磨して、口径51mmのSiC単結晶{0001}面ウェハとした。その後、この内の1枚を約530℃の溶融KOHでエッチングし、顕微鏡によりマイクロパイプ欠陥に対応する大型の六角形エッチピットの数を調べたところ、マイクロパイプ欠陥が、エピタキシャル成長する前の種結晶に比べ1/2程度に、エピタキシャル成長後の種結晶に比べ2/3程度に減少していることがわかった。
【0037】
さらに、残りの1枚の51mm口径のSiC単結晶ウェハを基板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、SiC単結晶成長前に種結晶に施したものと同じ条件とした。成長時間は2時間で、膜厚としては約5μm成長した。
【0038】
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、ウェハ全面に渡って非常に平坦で、ピット等の表面欠陥の非常に少ない良好な表面モフォロジーを有するSiCエピタキシャル薄膜が成長されているのが分かった。
【0039】
(比較例)
比較例として、{0001}面方位の種結晶ウェハを用いて、成長実験を行った。まず、種結晶として、口径49mmの(0001)面を有した六方晶系のSiC単結晶ウェハを用意した。X線回折装置により、{0001}面方位からのずれを測定したところ、0.5°以内であった。
【0040】
この種結晶を用いて、実施例1と同様の手順で成長実験を行い、口径51mmのSiC単結晶を得た。成長速度は約0.7mm/時で、長さは14mm程度であった。
【0041】
こうして得られたSiC単結晶をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、六方晶系のSiC単結晶が成長したことを確認できた。また、成長結晶表面を顕微鏡で観察したところ、成長結晶表面には、マイクロパイプに起因した渦巻成長ステップが大きく発達していた。さらに、マイクロパイプ欠陥を評価する目的で、製造したSiC単結晶インゴットをウェハ状に切断した。この際、{0001}面から[11−20]方向に8°傾いた面方位のウェハを切り出したところ、全部で10枚のウェハを得た。その内の2枚を研磨して、口径51mmのSiC単結晶{0001}面ウェハとした。その後、この内の1枚を約530℃の溶融KOHでエッチングし、顕微鏡によりマイクロパイプ欠陥に対応する大型の六角形エッチピットの数を調べたところ、種結晶とほぼ同数のマイクロパイプ欠陥が存在していることがわかった。
【0042】
さらに、残りの1枚の51mm口径のSiC単結晶ウェハを基板として用いて、SiCのエピタキシャル成長を行った。SiCエピタキシャル薄膜の成長条件は、実施例1と同じ条件とした。成長時間は2時間で、膜厚としては約5μm成長した。
【0043】
エピタキシャル薄膜成長後、ノマルスキー光学顕微鏡により、得られたエピタキシャル薄膜の表面モフォロジーを観察したところ、マイクロパイプ欠陥に起因するピット等の表面欠陥が数多く観察された。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の種結晶を用いれば、種結晶を用いた改良型レーリー法において、マイクロパイプ欠陥の少ない良質のSiC単結晶を再現性良く成長させることができる。また、このような結晶から、エピタキシャル薄膜成長に適した{0001}面から傾いた面方位を持ったSiC単結晶ウェハを高歩留りに切り出すことができる。このようなSiC単結晶ウェハを用いれば、光学的特性の優れた青色発光素子、電気的特性の優れた高耐圧・耐環境性電子デバイスを製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】改良レーリー法の原理を説明する図である。
【図2】本発明の効果を説明する図である。(a)は、{0001}面から傾きを持った面方位のSiC単結晶ウェハを、{0001}面方位の種結晶上に成長したSiC単結晶から切り出す場合のウェハ切断の様子を示す図である。(b)は、{0001}面から傾きを持った面方位のSiC単結晶ウェハを、{0001}面から同程度の傾きを持った面方位の種結晶上に成長したSiC単結晶から切り出す場合のウェハ切断の様子を示す図である。
【図3】本発明の効果を説明する図である。(a)は、{0001}面上にSiC単結晶を成長した場合の結晶成長表面上のステップの様子を示す図である。(b)は、{0001}面から2°以上傾いた面方位の種結晶上にSiC単結晶を成長した場合の結晶成長表面上のステップの様子を示す図である。
【図4】本発明で用いる製造装置の一例を示す概観図である。
【符号の説明】
1 種結晶(SiC単結晶)
2 SiC結晶粉末原料
3 坩堝(黒鉛あるいはタンタル等の高融点金属)
4 黒鉛製坩堝蓋
5 二重石英管
6 支持棒
7 黒鉛製フェルト(断熱材)
8 ワークコイル
9 高純度Arガス配管
10 高純度Arガス用マスフローコントローラ
11 真空排気装置
Claims (14)
- 口径が40mm以上で、{0001}面方位から2°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とする炭化珪素単結晶育成用種結晶。
- 口径が40mm以上で、{0001}面方位から4°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とする炭化珪素単結晶育成用種結晶。
- 口径が40mm以上で、{0001}面方位から6°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とする炭化珪素単結晶育成用種結晶。
- 口径が65mm以上で、{0001}面方位から2°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とする炭化珪素単結晶育成用種結晶。
- 口径が65mm以上で、{0001}面方位から4°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とする炭化珪素単結晶育成用種結晶。
- 口径が65mm以上で、{0001}面方位から6°以上12°以下傾いた面を単結晶育成面とする炭化珪素単結晶育成用種結晶。
- 請求項1〜6に記載の何れかの種結晶上に炭化珪素単結晶薄膜を0.3μm以上エピタキシャル成長させた炭化珪素単結晶育成用種結晶。
- 請求項1〜6に記載の何れかの種結晶上に炭化珪素単結晶薄膜を3μm以上エピタキシャル成長させた炭化珪素単結晶育成用種結晶。
- 請求項1〜6に記載の何れかの種結晶上に炭化珪素単結晶薄膜を30μm以上エピタキシャル成長させた炭化珪素単結晶育成用種結晶。
- 昇華再結晶法により種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程を包含する炭化珪素単結晶の製造方法であって、前記種結晶として請求項1〜9に記載の何れかの種結晶を用いることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
- 請求項10記載の製造方法により得られた炭化珪素単結晶インゴットであって、該インゴットの口径が50mm以上であることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴット。
- 請求項10記載の製造方法により得られた炭化珪素単結晶インゴットであって、該インゴットの口径が75mm以上であることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴット。
- 請求項11又は12に記載の炭化珪素単結晶インゴットを切断、研磨してなる炭化珪素単結晶基板。
- 請求項13に記載の炭化珪素単結晶基板にエピタキシャル薄膜を成長させてなる炭化珪素単結晶エピタキシャルウェハ。
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