JP5031651B2 - 炭化珪素単結晶インゴットの製造方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶インゴットの製造方法 Download PDF

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本発明は、半導体素子作製用基板として好適な、欠陥の少ない結晶性に優れた高品質炭化珪素単結晶インゴット及びその製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)は、耐熱性及び機械的強度も優れ、放射線に強い等の物理的、化学的性質から、耐環境性半導体材料として注目されている。SiCは、化学組成が同じでも、多数の異なった結晶構造を取る結晶多形(ポリタイプ)構造を持つ代表的物質である。ポリタイプとは、結晶構造においてSiとCの結合した分子を一単位として考えた場合、この単位構造分子が結晶のc軸方向([0001]方向)に積層する際の周期構造が異なることにより生じる。代表的なポリタイプとしては、6H、4H、15R又は3Cがある。ここで、最初の数字は積層の繰り返し周期を示し、アルファベットは結晶系(Hは六方晶系、Rは菱面体晶系、Cは立方晶系)を表す。各ポリタイプは、それぞれ物理的、電気的特性が異なり、その違いを利用して各種用途への応用が考えられている。例えば、6Hは、近年、青色から紫外にかけての短波長光デバイス用基板として用いられ、4Hは、高周波高耐圧電子デバイス等の基板ウェハとしての応用が考えられている。
しかしながら、大面積を有する高品質のSiC単結晶を、工業的規模で安定に供給し得る結晶成長技術は、未だ確立されていない。それゆえ、SiCは、上述のような多くの利点及び可能性を有する半導体材料にもかかわらず、その実用化が阻まれていた。
従来、研究室程度の規模では、例えば、昇華再結晶法(レーリー法)でSiC単結晶を成長させ、半導体素子の作製が可能なサイズのSiC単結晶を得ていた。しかしながら、この方法では、得られた単結晶の面積が小さく、その寸法及び形状を高精度に制御することは困難である。また、SiCが有する結晶多形及び添加元素キャリア濃度の制御も容易ではない。また、化学気相成長法(CVD法)を用いて、珪素(Si)等の異種基板上にヘテロエピタキシャル成長させることにより、立方晶の炭化珪素単結晶を成長させることも行われている。この方法では、大面積の単結晶は得られるが、基板との格子不整合が約20%もあること等により、多くの欠陥(〜107cm-2)を含むSiC単結晶しか成長させることができず、高品質のSiC単結晶を得ることは容易でない。
これらの問題点を解決するために、SiC単結晶{0001}ウェハを種結晶として用いて昇華再結晶を行う、改良型のレーリー法が提案されている(非特許文献1)。この方法では、種結晶を用いているため結晶の核形成過程が制御でき、また、不活性ガスにより雰囲気圧力を100Pa〜15kPa程度に制御することにより、結晶の成長速度等を再現性良くコントロールできる。図1を用いて、改良レーリー法の原理を説明する。種結晶となるSiC単結晶と原料となるSiC結晶粉末は、坩堝(通常黒鉛)の中に収納され、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(133Pa〜13.3kPa)、2000〜2400℃に加熱される。この際、原料粉末に比べ種結晶がやや低温になるように、温度勾配が設定される。原料は、昇華後、濃度勾配(温度勾配により形成される)により、種結晶方向へ拡散、輸送される。単結晶成長は、種結晶に到着した原料ガスが種結晶上で再結晶化することにより実現される。
この際、結晶の抵抗率は、不活性ガスからなる雰囲気中に不純物ガスを添加する、あるいは、SiC原料粉末中に不純物元素あるいはその化合物を混合することにより、SiC単結晶構造中のシリコン又は炭素原子の位置を添加元素にて置換させる(ドーピング)ことで、制御可能である。SiC単結晶中の置換型不純物元素として代表的なものとして、キャリア型としてn型を得るために窒素(N)、p型導電性を得るためにホウ素(B)、アルミニウム(Al)が用いられる。これらの添加元素を結晶中に導入する方法としては、Nについては成長時に不活性ガスに加えて窒素(N2)ガスを加えることで実施される。また、BおよびAlについては、各元素単体またはその化合物(例えば炭化ホウ素(B4C))をSiC原料中に混合することで実施される。これらの手法により、キャリア型及び濃度を制御しながら、SiC単結晶を成長させることができる。
現在、上記の改良レーリー法で作製したSiC単結晶から口径2インチ(50mm)から3インチ(75mm)のSiC単結晶ウェハが切り出され、エピタキシャル薄膜成長、デバイス作製に供されている。
上記したように、例えばBを不純物元素としたp型結晶を得るには、SiC原料粉末中にB化合物(通常B4C)を混合する手法が用いられる。通常は、目的とするB濃度が得られるようにB4C質量を秤量して一様に混合し、その混合原料を用いて結晶成長を行う。
最近、成長結晶中にBおよびNの両元素を含んだSiC単結晶インゴットからが蛍光現象を示すことが発見され、将来の白色光源への応用が注目されている(特許文献1)。
この蛍光現象についてはまだはっきりした発光機構は解明されていないが、N-B原子対が発光機構発現の要因となっている可能性が指摘されている。そうした場合、具体的にはN濃度およびB濃度が大きいほど発光強度が強くなることが考えられる。このように新たな応用への研究も活発化するなか、従来よりも高濃度(3×1018atoms/cm3以上)のBを含有するp型SiC単結晶インゴットを安定的に成長させる技術開発が要求されるようになって来ている。
実際に不純物として、例えばBを高濃度ドープしたp型SiC単結晶を作成する場合、Bを含んだ化合物であるB4CのSiC原料粉末中への添加量を増加させる。ここで、成長したインゴット中のB濃度の成長方向における変化は成長時間全体を通して極く僅かに増加する程度であり、そのため目的とするB濃度が高濃度の場合、成長開始直後よりほぼその濃度に近いB元素がインゴット内に含まれることとなる。
一方、成長の初期、すなわちインゴット中にて種結晶直上から数mm上までの領域が成長する時間帯は結晶成長全体を通して最も不安定な時間帯であり、その後はインゴット形状が坩堝内部の温度分布に対応した凸型となり、同時に、安定した結晶成長を実現するステップ供給源であるファセット(原子のレベルで非常に平坦な領域)部がインゴット表面に形成される。この結果、ファセット部が形成された以後の時間帯は成長条件としてより安定な時間帯となる。このため、通常高品質のSiC単結晶を安定的に成長させるためには、この不安定な時間帯における結晶成長の乱れを極力抑えることが肝要となる。この、インゴット形状が凸型化し、ファセット部が形成され成長が安定化するまでの時間帯を「形状遷移期」と呼ぶ。
形状遷移期において成長をより安定にするためには、不純物元素を含む昇華ガスの同時間帯での供給量を抑え、なるべくSiC原料による結晶成長を主体とした条件下でまずインゴット形状の凸型化を実現し、しかる後に不純物元素を含有する昇華ガス量を漸次増加させながら所望の添加元素濃度まで推移させる手法が有効である。この手法は、例えばキャリア型としてn型である窒素元素を添加するような場合は、窒素原子の供給源である窒素ガスの流量を形状遷移期には供給停止するかまたは供給量を少なく抑え、その後徐々に設定流量を漸増させることで比較的容易に実現できる。しかしながら、例えばキャリア型としてp型であるB添加においては、前述したようにSiC原料中にB4C粉末を一様に混合する形で直接添加するため、形状遷移期にB含有昇華ガス量を低く抑え、その後で目的とする高濃度まで漸次増加させることは困難であり、その結果、成長初期にて結晶成長が乱れ、各種欠陥発生による結晶品質の著しい劣化が頻発する。
これらの要因により、高品質のB含有p型SiC単結晶等、不純物元素を固体原料にて供給する必要のある不純物ドープ高品質SiC単結晶の作製は困難となっていた。
特開2005-187791号公報 Yu. M. Tairov and V.F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, vol. 52 (1981) pp.146-150.
前記したように、不純物元素を固体原料により供給するSiC単結晶成長において、成長初期において不純物元素を含んだ昇華ガスの影響により結晶性が劣化することが問題となっていた。
そこで、本発明は、上記の従来技術での問題を解決し、欠陥が少なく結晶性に優れた炭化珪素単結晶を得ることができる、固体原料による不純物添加のSiC単結晶インゴットの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(1)坩堝内で珪素及び炭素からなるSiC原料からの昇華ガスを種結晶上に堆積させることにより単結晶を成長させる炭化珪素単結晶インゴットの製造方法であって、得られる炭化珪素単結晶をドープする目的でSiC原料に添加する不純物元素含有固体原料を坩堝の内壁側に比べて中心側が多くなるように偏在させると共に、坩堝内の上下方向に不純物元素含有固体原料の濃度が異なる層を複数重ねて坩堝底部から高さ方向に沿って不純物元素の濃度が高くなるように濃度勾配を設けたことを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法、
(2)前記不純物元素含有固体原料の70%以上、100%以下が、坩堝の内壁から距離にして3mm以上離れた位置に配置されることを特徴とする(1)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法、
(3)前記不純物元素含有固体原料の70%以上、100%以下が、坩堝の内壁から距離にして6mm以上離れた位置に配置されることを特徴とする(1)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法、
(4)前記不純物元素含有固体原料の70%以上、100%以下が、坩堝の内壁から距離にして10mm以上離れた位置に配置されることを特徴とする(1)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法、
(5)前記不純物元素含有固体原料に含まれる不純物元素がホウ素又はアルミニウムであり、いずれかの不純物濃度が3×1018 atoms/cm3以上1×1022 atoms/cm3以下のインゴットを得る(1)〜(4)の何れかに記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法、
(6)前記不純物元素含有固体原料が炭化ホウ素(B4C)である(1)〜(5)の何れかに記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法、
である。
本発明によれば、SiC単結晶成長時、不純物元素を含有する固体原料による不純物添加を行う際に、不純物元素を含有する固体原料をSiC原料(珪素および炭素を含有する固体原料)中に不均一に配置することにより、具体的にはSiC原料に添加される不純物元素含有固体原料を坩堝の内壁側に比べて中心側が多くなるように偏在させることで、特に形状遷移期における結晶成長の乱れを抑制することができ、結晶性に優れた高品質の不純物ドープSiC単結晶を、再現性良く成長させることができる。このような結晶から切り出したSiC単結晶ウェハを用いれば、高周波動作特性に優れた半導体素子や、電力損失の極めて小さい高性能の電力制御用半導体素子、および紫外光照射により白色蛍光を示す発光素子を作製することができる。
本発明の製造方法では、結晶成長時の不純物原子濃度を成長中の所定時間にわたり漸増させることにより、成長初期における結晶性劣化(各種転位、結晶粒界、マイクロパイプ欠陥等の発生)が極めて少なく、高品質な不純物添加単結晶SiCインゴットを製造することができる。
初めに、昇華再結晶法について説明する。昇華再結晶法は、2000℃を超える高温においてSiC粉末を昇華させ、その昇華ガスを低温部に再結晶化させることにより、SiC結晶を製造する方法である。この方法で、SiC単結晶からなる種結晶を用いて、SiC単結晶を製造する方法は、特に改良レーリー法と呼ばれ、バルク状のSiC単結晶の製造に利用されている。改良レーリー法では、種結晶を用いているため結晶の核形成過程が制御でき、また、不活性ガスにより雰囲気圧力を100Pa〜15kPa程度に制御することにより、結晶の成長速度等を再現性良くコントロールできる。図1を用いて、改良レーリー法の原理を説明する。種結晶となるSiC単結晶と原料となるSiC結晶粉末(通常、Acheson法で作製された研磨材を洗浄・前処理したものが使用される)は、坩堝(通常黒鉛製)の中に収納され、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(133Pa〜13.3kPa)、2000〜2400℃に加熱される。この際、原料粉末に比べ種結晶がやや低温になるように、温度勾配が設定される。原料は、昇華後、濃度勾配(温度勾配により形成される)により、種結晶方向へ拡散、輸送される。単結晶成長は、種結晶に到着した原料ガスが種結晶上で再結晶化することにより実現される。
上記した昇華再結晶法において、作製する単結晶への不純物ドーピングは、n型の窒素については成長時に不活性ガスに加えて窒素ガスを加えることで実施され、p型のホウ素およびアルミニウムについては各元素単体またはその化合物(例えば炭化ホウ素(B4C))を炭化珪素原料中に混合することで実施される。
ここで、発明者らは、B4Cを用いたホウ素のドーピングに関して以下の知見を得た。
B4C粉末をSiC原料中に一様に混合して用いることをせず、パワー投入時に一番早く加熱される坩堝本体(具体的には坩堝内壁)から距離にして3mm以上離れた位置に、質量にして少なくとも70%以上を配置することにより、単結晶インゴットの成長初期の不純物濃度を低く押さえ、成長を安定させることで、種結晶の結晶品質を損なうことの無い、良質なSiC単結晶インゴットを成長することができた。
この理由を以下に説明する。SiC単結晶成長においては、前記したように、断熱材で周囲を覆われた黒鉛坩堝(坩堝中にSiCを成長させるための珪素原子および炭素原子を含むSiC原料(SiC粉末原料)が充填されている)を加熱してSiC原料を昇華させ、昇華ガスが坩堝内を移動して低温部にセットした種結晶上で再結晶することにより結晶成長が行われる。この際、黒鉛坩堝が最初に加熱され、その熱が除々にSiC原料中を熱伝導によって伝わる。このような加熱のされ方となるため、坩堝内部に充填されたSiC原料は、まず黒鉛坩堝内壁に接した部分が加熱され温度が上がり、それがSiC原料の熱伝導によってさらに原料内部へと伝わり徐々に加熱されていく。すなわち、成長の初期には坩堝内部にて周辺部分に充填されたSiC原料からの昇華ガスにより結晶成長が進み、その後少しずつ、より内部に充填されているSiC原料からの昇華ガスによる結晶成長が進んでいく。こうした状況において、前述したようにSiC原料の周辺部(坩堝内壁側)にB4Cが添加量の30%未満しか含まれず、坩堝内壁から3mm以上離れた位置にB4Cの70%以上を配置した場合、成長の初期に昇華ガス中に含まれるBは濃度にして1×1016〜5×1016atoms/cm3程度であり、非常に低濃度となる。ここでの濃度は坩堝や原料自体の純度によっても若干変化するが、いずれにしても極く低濃度にとどまり、結晶成長自体には影響を与えることはない。この状態は、成長初期の結晶成長がまだ安定しない時間帯(形状遷移期)で不純物元素を多く含む昇華ガスの存在でさらに成長を不安定にする、といった不安定性を促進するような要因が排除された状態であり、より安定した結晶成長条件が実現している。形状遷移期を過ぎると、ファセットからの原子ステップ供給が成長を支配して、単一ポリタイプの安定した成長モート゛へと移行する。この時点から後は、上記したように徐々に不純物元素含有固体原料が含まれる部分のSiC粉末原料が加熱されはじめ、不純物元素を含んだ昇華ガスが結晶成長表面に到達しはじめ、結果として成長結晶中に不純物がドーピングされる。この時間帯ではすでに成長の安定した状態のため、ドーピングにより成長が乱れ、各種欠陥が発生することを防ぐことができる。
本発明では、SiC原料中における不純物元素含有固体原料の配置を不均一にすることにより、具体的には不純物元素含有固体原料を坩堝の内壁側に比べて中心側が多くなるように偏在させることにより、安定成長モードに達した後で所望する量の不純物元素含有昇華ガスが成長表面に供給されるような成長条件を実現させている。また、上記の不純物元素含有固体原料の分布については、坩堝内部の原料全体を見たときに内壁側に比べて中心側が多くなるように、という意味であり、例えば1mm未満といった極く局所的な短距離間において前記した分布となっていない場合があったとしても、それ以外の部分全体として中心側の濃度が多くなるよう偏在させられれば、同様の効果が得られる。
不純物元素含有固体原料を不均一に充填する方法を図2を用いて説明する。例えば黒鉛坩堝内壁から中心側に3mm離れた位置より内側に充填する場合、まず坩堝底から高さにして3mmまでSiC粉末原料を充填し、その上に坩堝側面内壁から内側(中心側)へ3mm離れたところに不純物原子含有固体原料(不純物原子がBの場合はB化合物、例えばB4C粉末、Alの場合はAl金属又はAl化合物、例えばAl4C3粉末)を置く(図2(a))。その後、図2(b)に示したように、不純物元素含有固体原料の位置を動かさないよう慎重にSiC原料をさじ等の道具を用いて重ね、その上の層にあらたに不純物元素含有固体原料を置く。
この際、坩堝側面内壁から3mm以上の距離の領域に、不純物元素含有固体原料を壁に近い位置から中央部に向けて徐々に量が多くなるように配置することで、安定成長モードにおける不純物濃度が漸増するように調節することができる。例えば、図3に示したように、坩堝側面内壁から中心側に3mmのところには周方向の間隔が大きくとるように配置し、更にその内側に配置した不純物元素含有固体原料の周方向はもっと間隔を小さくする、といった手法で坩堝周辺部(坩堝内壁)から中心に向かうまでの距離に依存して濃度勾配がつくような不均一充填が可能となる。同様に、上記したように上下方向で層状に積み重ねていく場合にも坩堝の底から蓋にかけての上下方向で濃度勾配が付くような配置をとらせることが可能である。このようにして、形状遷移期において不純物元素含有昇華ガスの影響を無くすのと同時に、その後成長安定期においても不純物元素含有昇華ガスが急に最終添加量に対応した流量で成長表面に達することを避け、流量が漸増することでより成長安定性への影響を低減することが可能となる。
実際には、坩堝の体積の増加や、初期の温度上昇パターン条件の変化により、当然ながらある一定高さの成長結晶を得るまでの原料充填部での温度増加も変化するため、「形状遷移期」から成長安定期に移行するまでに加熱される原料充填部の容積も変化する。このため、いずれの成長条件においても「形状遷移期」において不純物元素含有固体原料を配置した部分が加熱されずに昇華ガスを発生させるためには、少なくとも坩堝側面内壁から3mm以上、好ましくは6mm、より好ましくは10mm以上離れた位置に不純物元素含有固体原料の70%以上を配置することが望ましい。
これに対し、上記坩堝内壁から中心側への距離が3mm未満の領域に30%以上の不純物元素含有固体原料が配置された場合、実際の成長において「形状遷移期」における不純物元素含有昇華ガスの成長表面への到達量を抑えることは困難となり、結果として結晶の乱れ(異種ポリタイプ混在によるマイクロパイプ欠陥発生、亜粒界領域発生、多結晶化等)が生じ、良質なインゴットが得られない。
実際には形状遷移期が終了するインゴット高さ3mmから距離にして約2mmの間で不純物濃度が漸増し、インゴット高さ約5mm程度成長した時間帯でほぼ最終的な目標濃度に達した後はインゴット中の不純物含有濃度がほぼ一定となっており、得られたインゴット(高さ約20mm)の頂部から15mm、インゴット全体の約3/4の領域において、目的とする不純物濃度を有するSiC単結晶ウェハが切り出せる。
成長に用いる種結晶としては、マイクロパイプ欠陥密度として50個/cm2以下、好ましくは10個/cm2以下の4Hまたは6Hの単一ポリタイプのものを使用するのがよい。上記したように、不純物元素含有固体原料をSiC原料内に不均一に配置することにより、成長最初期の不純物濃度は、元来黒鉛坩堝やSiC原料中に微量に存在する同元素によるもののみ(たとえばBの場合、濃度にして5×1016〜1×1017atoms/cm3程度、Alの場合、濃度にして1×1016〜5×1016atoms/cm3程度)であり、低濃度となる。ここでの濃度は坩堝や原料自体の純度によっても変化する。この初期濃度に対して、不純物元素含有固体原料(たとえばB4C粉末)から徐々に発生する昇華ガスによる元素が加わることで、インゴット高さにして約3mm(「形状遷移期」が終了した時点での高さに相当)の位置から不純物濃度が漸増し、5mm程度の位置までインゴット中の不純物濃度は漸増し、最終的な濃度としては添加した不純物含有固体原料の量によって変化し、3×1018〜1×1022atoms/cm3程度まで増加する。その後は、不純物濃度はインゴット頂部まで一定の濃度となる。
このように、不純物元素含有固体原料をSiC原料中に不均一に封入する技術により、成長インゴットの大部分において、所望した不純物濃度を有し、かつ結晶性劣化のない高品質な不純物ドープSiC単結晶が得られる。
一方、従来法のように不純物元素含有固体原料が均一にSiC原料中に混合されている場合、前述したように、成長インゴット中、種結晶直上における不純物濃度はほぼ最終目的濃度に近い高濃度となり、成長が不安定な「形状遷移期」にこのように不純物添加量に対応した多量の不純物含有昇華ガスが成長表面に存在する影響で成長不安定性が増長し、結果として異種ポリタイプ発生、多結晶発生等の各種欠陥発生による結晶性劣化が頻発する。その結果として、高品質の不純物ドープSiC単結晶インゴットを得ることは困難である。
また、本発明の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法は、従来用いている坩堝等をそのまま使用することができることから、本発明によって得られたSiC単結晶インゴットは、50mm以上300mm以下の口径を有することができ、このインゴットから得られる基板を用いて各種デバイスを製造する際、工業的に確立されている従来の半導体(Si、GaAs等)基板用の製造ラインを使用することができ、量産に適している。
また、このようなSiC単結晶インゴットを切断、研磨して得られる基板のマイクロパイプ欠陥密度を、水酸化カリウム溶液中でのエッチング処理により得られる六角状エッチピット数密度を数える手法で評価した場合、良質のもので50個/cm2以下、非常に良質な場合は10個/cm2以下と低いため、これらの基板上に作製した素子の信頼性を向上できる。
以下に、本発明の実施例について述べる。
(実施例1)
先ず、図4に示す単結晶成長装置について、簡単に説明する。結晶成長は、SiC結晶粉末2を昇華させ、種結晶として用いたSiC単結晶1上で再結晶化させることにより行われる。種結晶のSiC単結晶1は、高純度黒鉛製坩堝3の蓋4の内面に取り付けられる。原料のSiC結晶粉末2は、高純度黒鉛製坩堝3の内部に充填されている。このような黒鉛製坩堝3は、二重石英管5の内部に、黒鉛の支持棒6により設置される。黒鉛製坩堝3の周囲には、熱シールドのための黒鉛製フェルト7が設置されている。二重石英管5は、真空排気装置により高真空排気(10-3Pa以下)することができ、かつ、内部雰囲気をガス流量調節計10を通って導入されるArガスにより圧力制御することができる。各種ドーピングガスも、ガス流量調節計10を通して導入することができる。また、二重石英管5の外周には、ワークコイル8が設置されており、高周波電流を流すことにより黒鉛製坩堝3を加熱し、原料及び種結晶を所望の温度に加熱することができる。坩堝温度の計測は、坩堝上部及び下部を覆うフェルトの中央部に直径2〜4mmの光路を設け坩堝上部及び下部からの光を取り出し、二色温度計を用いて行う。坩堝下部の温度を原料温度、坩堝上部の温度を種温度とする。
次に、この結晶成長装置を用いたSiC単結晶の製造について実施例を説明する。先ず、種結晶として、口径50mmの(0001)面を有した4HポリタイプのSiC単結晶ウェハを用意した。ウェハの面法線とc軸とのなす角度は5度であった。同種結晶のマイクロパイプ欠陥密度はKOHエッチングによる計測により12個/cm2であった。次に、種結晶1を黒鉛製坩堝3の蓋4の内面に取り付けた。黒鉛製坩堝3の内部には、アチソン法により作製したSiC結晶原料粉末を充填した。次いで、不純物元素含有固体原料12としてB4C粉末原料(添加量はSiC原料の質量に対して0.5%分)を、黒鉛坩堝のSiC原料中に図2に示したような方法により不均一分布をもつように充填した。具体的には、坩堝内壁の底部から3mmの距離まで(高さ方向の厚さ分)SiC原料のみを充填し、続いて坩堝内壁(側面部)から中心部方向に3mmの距離となる円周上に、B4C粉末原料の粉末を等間隔で30粒並べた。その後、高さ方向に2mm厚さ分、SiC原料のみを充填した後、再度坩堝内壁(側面部)から中心部方向に3mmの距離となる円周上に、B4C粉末原料の粉末を等間隔で40粒並べた。またその後、高さ方向に2mm厚さ分、SiC原料のみを充填した。その後同様の作業を繰り返すことで、合計6層、高さ方向にして10mmの幅に高さ方向で2mm間隔で、坩堝内壁(側面部)から中心部方向に3mmの距離となる円周上にB4C粉末原料の粉末が30、40、50、60、70、80粒、それぞれ円周方向に等間隔に並ぶようにB4C粉末原料を不均一充填した。この場合は、坩堝内壁から3mm以上の距離にてB4C粉末原料の100%(全量)が充填されたことになる。
この黒鉛製坩堝3を、蓋4で閉じ、黒鉛製フェルト7で被覆した後、黒鉛製支持棒6の上に乗せ、二重石英管5の内部に設置した。そして、石英管の内部を真空排気した後、ワークコイルに電流を流し、そして、石英管の内部を真空排気した後、ワークコイルに電流を流し、原料温度を2000℃まで上げた。その後、雰囲気ガスとして高純度Arガス(純度99.9995%)を流入させ、石英管内圧力は成長全体を通じて13.3kPaに保った。この圧力下において、原料温度を2000℃から目標温度である2400℃まで上昇させ、その後、同温度を保って約20時間成長を続けた。成長中における坩堝内の温度勾配は15℃/cmであった。成長速度は0.8mm/時であった。
こうして得られたBドープSiC単結晶をラマン散乱により分析したところ、種結晶と同じ4Hポリタイプを有するSiC単結晶が、全面に渡り成長したことを確認できた。結晶性を測定する目的で、成長した単結晶インゴットの最上部(成長終了近傍に成長した部分)から厚さ1.0mmのウェハを切り出した。ウェハのマイクロパイプ密度を測定するために、520℃に溶融した水酸化カリウム溶液中で5分間エッチングを施した。このエッチング処理を行うと、貫通中空欠陥(マイクロパイプ)は六角状エッチピットとして観察できる。ウェハについて、エッチピット数密度を調べたところ、11個/cm2となり、測定による誤差の範囲内において種結晶と同程度の貫通中空欠陥が検出された。また、種結晶と同等の高品質結晶が得られているかを確認するため、予め測定していた種結晶のX線トポグラフ撮影データと、成長した結晶から切り出したウェハのX線トポグラフ撮影データを比較したところ、種結晶と同等の高品質を有し、成長に起因して新たに欠陥が発生していないことが確認できた。
また、同条件により作成した他のインゴットを成長方向に対して垂直方向に切断してウェハを切り出し、インゴットの断面を観察したところ、インゴットの根元から約5mmの高さの位置までほぼ透明であり、そこから上(成長方向側)がB添加に特有の黒色を呈していた。同ウェハにおいてインゴット根元からの距離にして3mm、6mm、19mmの位置におけるB濃度をSIMS分析したところ、それぞれ4.6×1017 atoms/cm3、7.3×1018 atoms/cm3、7.5×1018 atoms/cm3であり、「形状遷移期」における濃度が小さく、その後に成長したインゴット部分の高さ方向においてほぼ一定濃度となっていることが確認できた。
最後に、こうして作製したp型SiCウェハの片面全面にTi/Al電極を付け、反対側の面に直径1.2mmの円形のTi/Al電極を256個等間隔に配置した電極を付けた「金属−半導体−金属」のダイオード構造を作製し、256個全てについて100Vの電圧をかけて耐圧試験を実施したところ、236個について100V耐圧が維持され、歩留まりとして92%と高い値となった。
(比較例1)
ホウ素添加源となるB4C粉末とSiC原料とを同じ広口ビン中に入れ、そのビンを1〜2分間程度十分に振ることで両方の原料を十分均一に混合させた後に同ビンから直接原料を充填したこと以外は実施例1と全く同条件にて成長を実施したところ、結晶の厚さが1mm程度に達したところで種結晶(六方晶形)と異なる原子配置(三方晶形)を有する3Cポリタイプが発生し、そこから多結晶が発生、又は異種ポリタイプが発生した結果により、結晶粒界、マイクロパイプ欠陥等が発生して結晶性が劣化した。成長初期から結晶成長表面においてB濃度が大きいために、成長が安定化する以前の初期段階において成長が乱れ、結晶性の劣化が発生したものと推定された。
こうして作製したp型SiCウェハの片面全面にTi/Al電極を付け、反対側の面に直径1.2mmの円形のTi/Al電極を256個等間隔に配置した電極を付けた「金属−半導体−金属」のダイオード構造を作製し、256個全てについて100Vの電圧をかけて耐圧試験を実施したところ、マイクロパイプによる電流リークの影響により、100V耐圧が維持されたのは89個となり、歩留まりとして35%と低い値となった。
(実施例2)
種結晶として6Hポリタイプ、直径3インチ(76.2mm)で、ウェハの面法線とc軸とのなす角度が8度、かつマイクロパイプ欠陥密度が29個/cm2であるものを使用し、また、不純物元素含有固体原料12としてB4C粉末原料(添加量はSiC原料の質量に対して0.5%分)を、次のように黒鉛坩堝のSiC原料中に図2に示したような方法により不均一分布をもつように充填した以外は実施例1と同様にして行った。具体的には、坩堝内壁の底部から6mmの距離まで(高さ方向の厚さ分)SiC原料のみを充填し、続いて坩堝内壁(側面部)から中心部方向に6mmの距離となる円周上に、B4C粉末原料の粉末を等間隔で30粒並べた。その後、高さ方向に2mm厚さ分、SiC原料のみを充填した後、再度坩堝内壁(側面部)から中心部方向に6mmの距離となる円周上に、B4C粉末原料の粉末を等間隔で40粒並べた。またその後、高さ方向に2mm厚さ分、SiC原料のみを充填した。その後同様の作業を繰り返すことで、合計6層、高さ方向にして10mmの幅に高さ方向で2mm間隔で、坩堝内壁(側面部)から中心部方向に6mmの距離となる円周上にB4C粉末原料の粉末が30、40、50、60、70、80粒、それぞれ円周方向に等間隔に並ぶようにB4C粉末原料を不均一充填した。この場合は、坩堝内壁から6mm以上の距離にてB4C粉末原料の100%(全量)が充填されたことになる。
得られたBドープSiC単結晶をラマン散乱により分析したところ、種結晶と同じ6Hポリタイプを有するSiC単結晶が、全面に渡り成長したことを確認できた。得られたインゴットの最上部から切り出したウェハについてKOHエッチピット数密度を調べたところ、27個/cm2となり、測定による誤差の範囲内において種結晶と同程度の貫通中空欠陥が検出された。また、種結晶と同等の高品質結晶が得られているかを確認するため、予め測定していた種結晶のX線トポグラフ撮影データと、成長した結晶から切り出したウェハのX線トポグラフ撮影データを比較したところ、種結晶と同等の高品質を有し、成長に起因して新たに欠陥が発生していないことが確認できた。
また、同条件により作成した他のインゴットを成長方向に対して垂直方向に切断してウェハを切り出し、インゴットの断面を観察したところ、インゴットの根元から約5mmの高さの位置までほぼ透明であり、そこから上がB添加に特有の黒色を呈していた。同ウェハにおいてインゴット根元からの距離にして3mm、6mm、19mmの位置におけるB濃度をSIMS分析したところ、それぞれ5.8×1017 atoms/cm3、1.2×1019 atoms/cm3、1.3×1019 atoms/cm3であり、「形状遷移期」における濃度が小さく、その後に成長したインゴット部分の高さ方向においてほぼ一定濃度となっていることが確認できた。
こうして作製したp型SiCウェハに実施例1と同様の方法で100V耐圧試験を行ったところ、歩留まりとして91%と高い値となった。
(比較例2)
ホウ素添加源となるB4C粉末を比較例1と同様にしてSiC原料に均一に混合した以外は実施例2と全く同条件にて成長を実施したところ、結晶の厚さが2mm程度に達したところで種結晶(六方晶形)と異なる原子配置(三方晶形)を有する3Cポリタイプが発生し、そこから多結晶が発生、又は異種ポリタイプが発生した結果により、結晶粒界、マイクロパイプ欠陥等が発生して結晶性が劣化した。成長初期から結晶成長表面においてB濃度が大きいために、成長が安定化する以前の初期段階において成長が乱れ、結晶性の劣化が発生したものと推定された。
こうして作製したp型SiCウェハに実施例1と同様の方法で100V耐圧試験を行ったところ、歩留まりとして29%と低い値となった。
(実施例3)
種結晶として4Hポリタイプ、直径2インチ(50mm)で、ウェハの面法線とc軸とのなす角度が8度、かつマイクロパイプ欠陥密度が10個/cm2であるものを使用し、また、不純物元素としてAlを添加するために、不純物元素含有固体原料12としてAl4C3粉末原料(添加量はSiC原料の質量に対して48%分)を、次のように黒鉛坩堝のSiC原料中に図2に示したような方法により不均一分布をもつように充填した以外は実施例1と同様にして行った。具体的には、坩堝内壁の底部から3mmの距離まで(高さ方向の厚さ分)SiC原料のみを充填し、続いて坩堝内壁(側面部)から中心部方向に3mmの距離となる円周内に囲まれたSiC原料表面上に、全Al4C3粉末原料のうち重量にして10%分の量のAl4C3粉末原料を敷き詰めた。その後、高さ方向に3mm厚さ分、SiC原料のみを充填した後、再度坩堝内壁(側面部)から中心部方向に3mmの距離となる円周内に囲まれたSiC原料表面上に、全Al4C3粉末原料のうち重量にして20%分の量のAl4C3粉末を敷き詰めた。またその後、高さ方向に3mm厚さ分、SiC原料のみを充填した。その後同様の作業を繰り返すことで、合計4層、高さ方向にして9mmの幅に高さ方向で3mm間隔で、坩堝内壁(側面部)から中心部方向に3mmの距離となる円周内に囲まれた範囲内に、全Al4C3粉末原料のうち重量にしてそれぞれ10%、20%、30%、40%、のAl4C3粉末原料を不均一充填した。この場合は、坩堝内壁から3mm以上の距離にてAl4C3粉末原料の100%(全量)が充填されたことになる。
得られたAlドープSiC単結晶をラマン散乱により分析したところ、種結晶と同じ4Hポリタイプを有するSiC単結晶が、全面に渡り成長したことを確認できた。得られたインゴットの最上部から切り出したウェハについてKOHエッチピット数密度を調べたところ、9個/cm2となり、測定による誤差の範囲内において種結晶と同程度の貫通中空欠陥が検出された。また、種結晶と同等の高品質結晶が得られているかを確認するため、予め測定していた種結晶のX線トポグラフ撮影データと、成長した結晶から切り出したウェハのX線トポグラフ撮影データを比較したところ、種結晶と同等の高品質を有し、成長に起因して新たに欠陥が発生していないことが確認できた。
また、同条件により作成した他のインゴットを成長方向に対して垂直方向に切断してウェハを切り出し、インゴットの断面を観察したところ、インゴットの根元から約5mmの高さの位置までほぼ透明であり、そこから上がAl添加に特有の青みがかった黒色を呈していた。同ウェハにおいてインゴット根元からの距離にして3mm、6mm、19mmの位置におけるAl濃度をSIMS分析したところ、それぞれ8.2×1016 atoms/cm3、6.3×1018 atoms/cm3、6.6×1018 atoms/cm3であり、「形状遷移期」における濃度が小さく、その後に成長したインゴット部分の高さ方向においてほぼ一定濃度となっていることが確認できた。
こうして作製したp型SiCウェハに実施例1と同様の方法で100V耐圧試験を行ったところ、歩留まりとして90%と高い値となった。
(比較例3)
Al添加源となるAl4C3粉末を比較例1と同様にしてSiC原料に均一に混合した以外は実施例3と全く同条件にて成長を実施したところ、結晶の厚さが2mm程度に達したところで種結晶(六方晶形)と異なる原子配置(三方晶形)を有する3Cポリタイプが発生し、そこから多結晶が発生、又は異種ポリタイプが発生した結果により、結晶粒界、マイクロパイプ欠陥等が発生して結晶性が劣化した。成長初期から結晶成長表面においてAl濃度が大きいために、成長が安定化する以前の初期段階において成長が乱れ、結晶性の劣化が発生したものと推定された。
こうして作製したp型SiCウェハに実施例1と同様の方法で100V耐圧試験を行ったところ、歩留まりとして27%と低い値となった。
改良レーリー法の原理を説明する図 不純物元素含有固体原料の不均一分布充填法(断面図) 不純物元素含有固体原料の不均一分布充填法(上から見た図) 実施例で用いた結晶成長装置の概略図
符号の説明
1 種結晶(SiC単結晶)
2 SiC結晶粉末原料
3 坩堝(黒鉛あるいはタンタル等の高融点金属)
4 黒鉛製坩堝蓋
5 二重石英管
6 支持棒
7 黒鉛製フェルト(断熱材)
8 ワークコイル
9 高純度Arガス配管
10 高純度Arガス及び不純物ガス用マスフローコントローラ
11 真空排気装置
12 不純物元素含有固体原料

Claims (6)

  1. 坩堝内で珪素及び炭素からなるSiC原料からの昇華ガスを種結晶上に堆積させることにより単結晶を成長させる炭化珪素単結晶インゴットの製造方法であって、得られる炭化珪素単結晶をドープする目的でSiC原料に添加する不純物元素含有固体原料を坩堝の内壁側に比べて中心側が多くなるように偏在させると共に、坩堝内の上下方向に不純物元素含有固体原料の濃度が異なる層を複数重ねて坩堝底部から高さ方向に沿って不純物元素の濃度が高くなるように濃度勾配を設けたことを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  2. 前記不純物元素含有固体原料の70%以上、100%以下が、坩堝の内壁から距離にして3mm以上離れた位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  3. 前記不純物元素含有固体原料の70%以上、100%以下が、坩堝の内壁から距離にして6mm以上離れた位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  4. 前記不純物元素含有固体原料の70%以上、100%以下が、坩堝の内壁から距離にして10mm以上離れた位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  5. 前記不純物元素含有固体原料に含まれる不純物元素がホウ素又はアルミニウムであり、不純物濃度が3×1018 atoms/cm3以上1×1022 atoms/cm3以下のインゴットを得る請求項1〜4の何れかに記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
  6. 前記不純物元素含有固体原料が炭化ホウ素(B4C)である請求項1〜5の何れかに記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
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