JP4478766B2 - 球状シリカ多孔質粒子及びその製造方法 - Google Patents

球状シリカ多孔質粒子及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、球形多孔質シリカ粒子及びその製造方法に関するものである。より詳細には、アルカリ珪酸塩をシリカ源として使用し、そこから生成するシリカ溶存種を含む酸性溶液相において、非イオン性界面活性剤の秩序形成能に基づいてミクロ構造の規則性と、マクロ形態の規則性を同時に得ることを利用した、球形状の規則形態を持つ多孔質シリカ粒子及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1992年に多孔体MCM-41の合成法がNature誌上に発表されて以来、メソポーラス材料への関心が高まり、中でも4級アンモニウム塩等のイオン系界面活性剤を使用した研究は数多く検討された。その後さらに、無毒性、生分解性、除去が容易等の特徴を有し、4級アンモニウム塩に比較すると安価なオリゴマー或はポリマー系の非イオン系界面活性剤をテンプレートとして合成された下記報告例(1)のメソポア多孔体が新たな注目を集めた。
(1)Bagshaw, S. A.; Prouzet, E.; Pinnavaia, T. J. Science 1995, 269, 1242.
特に、規則配列したメソ孔を有する材料に関して、金属元素(イオン)等によ
り細孔の表面修飾を行うことで、触媒担体、重金属イオンや蛋白質の吸着剤等への応用も検討され、今後はレーザー、光機能、各種センサーにまで応用分野が広がることを期待している(非特許文献1)。
【0003】
しかし、メソ多孔体合成用のシリカ源は、従来よりアルコキシシラン等の有機シリコンがほとんどで、上記のような応用分野に利用するための量産化には向かないという理由から、最近になってアルカリ珪酸塩等の安価なシリカ源を出発原料とした研究がわずかながら報告され始めた。
アルカリ珪酸塩を出発原料とした研究報告例を(2)〜(6)に示す。
(2) Sierra, L.; Guth J.-L. Microporous Mesoporous Mater. 1999, 27, 243.では、塩酸に溶解した非イオン性ポリエチレンオキシドに、珪酸ナトリウム水溶液を添加し、更に必要に応じて水酸化ナトリウム或は水酸化アンモニウムを添加することで、マイクロ及びメソポーラスシリカを合成しているが、細孔構造は不規則なうえ、細孔径分布もかなりブロードで、更に熱安定性に劣る(非特許文献2)。
(3) Boissiere, C.; Larbot, A.; van der Lee, A.: Kooyman, P.J.; Prouzet, E. Chem. Mater. 2000, 12, 2902.では、塩酸に溶解し、2℃に維持した直鎖非イオン性ポリオキシエチレン酸性溶液に、珪酸ナトリウム水溶液を添加し、安定なミセル集合体を調整した後、20〜70℃に加温し、更にシリカの縮重合を進行させる為にフッ化ナトリウムを添加して3日間の反応を行うことで、直径5μm程度の球状シリカメソ多孔体を合成しているが、手順が煩雑で合成に長時間を必要とし、更に球以外の定形粒子は得られていない(非特許文献3)。
(4) Kim, J. M.; Stucky, G. D. Chem. Commun. 2000, 1159.では、珪酸ナトリウム水溶液と水に溶解した非イオン性ブロック共重合体の混合液に濃塩酸を添加し、室温〜40℃で1日攪拌した後、更に100℃で1日反応させることでシラノール基の重合を促進し、規則的な細孔構造を有するメソポーラス材料を合成しているが、濃塩酸を使用した過酷な反応条件を必要とし、更にマクロ形態については言及していない(非特許文献4)。
(5) Kim, S. S.; Karkamkar, A.; Pinnavaia, T. J. J. Phys. Chem. B 2001, 105, 7663.では、酢酸に溶解した非イオン性トリブロック共重合体に、珪酸ナトリウム水溶液を添加し、pH6.5付近の中性に近い条件下、室温で20時間、必要に応じ更に100℃で20時間反応させ、規則的な細孔構造を有するメソポーラス材料を合成しているが、マクロ形態については言及していない(非特許文献5)。
(6) Kim, J.M.; Sakamoto, Y.; Hwang, Y.K., Kwon, Y.-Uk, Terasaki, O, Park, Sang-Eon, Stucky, G.D. J. Phys. Chem. B 2002, 106, 2552.では、親水性と疎水性の割合が異なる2種類の非イオン性ブロック共重合体の混合物を水に溶解後、メタ珪酸ナトリウムを添加して得られた均質透明溶液に、濃塩酸を加えて生成したゲル状物質を1日室温で攪拌した後、さらに100℃で1日間熟成してシリカ骨格の縮合を促進させ、数種類の規則的な細孔構造を有するメソポーラス材料を合成しているが、マクロ形態については言及していない(非特許文献6)。
【0004】
また、特開平10−328558号公報には、アルコキシシラン、水、界面活性剤及び酸を混合して反応させた後、この反応液をアルカリを添加した有機溶剤に注入し、球状シリカ/界面活性剤複合体を作製し、次いで該球状シリカ/界面活性剤複合体を取り出し、その後この球状シリカ/界面活性剤複合体からその界面活性剤を除去することによる、球状メソ多孔体の製造法が記載されている(特許文献1)。
【0005】
特開2001−2409号公報には、球形状含シリカ多孔体を製造するに当たり、アルコキシシランと1−アルキルアミンとの混合液に、攪拌しながら、酸性水溶液を添加し、次いで生成した球形状粒子/1−アルキルアミン複合物を取り出し、その後この複合体より1−アルキルアミンを除去することを特徴とする球形状含シリカ多孔体の製造方法及び多数のシリカ微粒子の集合体から構成される直径5ミクロン以上300ミクロン以下の球形状粒子よりなり、多数の細孔を有することを特徴とする球形状含シリカ多孔体が記載されている(特許文献2)。
【0006】
更に、本発明者等は、水混和性有機溶媒、アルキルアミン及びケイ酸エステル或いはケイ酸エステルと水混和性有機溶媒に可溶な金属塩との組み合わせを含む混合液に、攪拌下に水或いは酸性水溶液を添加し、生成するシリカ−アルキルアミン複合生成物を球状粒子に成長させ、球状粒子中のアルキルアミンを除去することを特徴とする球状多孔質シリカ乃至シリカ金属複合粒子を合成した(非特許文献3)。
【0007】
更にまた、本発明者等は、安価なアルカリ珪酸塩をシリカ源として用い、安全性の高い非イオン性界面活性剤をテンプレートとして使用し、低温、常圧下で短時間に合成できる、ロッド状或いはファイバー状の定形多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子を合成した(特許文献4)。
【0008】
【非特許文献1】
Bagshaw, S. A.; Prouzet, E.; Pinnavaia, T. J. Science 1995, 269, 1242.
【非特許文献2】
Sierra, L.; Guth J.-L. Microporous Mesoporous Mater. 1999, 27, 243.
【非特許文献3】
Boissiere, C.; Larbot, A.; van der Lee, A.: Kooyman, P.J.; Prouzet, E. Chem. Mater. 2000, 12, 2902.
【非特許文献4】
Kim, J. M.; Stucky, G. D. Chem. Commun. 2000, 1159.
【非特許文献5】
Kim, S. S.; Karkamkar, A.; Pinnavaia, T. J. J. Phys. Chem. B 2001, 105, 7663.
【非特許文献6】
Kim, J.M.; Sakamoto, Y.; Hwang, Y.K., Kwon, Y.-Uk, Terasaki, O, Park, Sang-Eon, Stucky, G.D. J. Phys. Chem. B 2002, 106, 2552.
【特許文献1】
特開平10−328558号公報
【特許文献2】
特開2001−2409号公報
【特許文献3】
特願2000−380760号
【特許文献4】
特願2002−74279号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のとおり、安価なアルカリ珪酸塩をシリカ源としたマイクロポア及びメソポアを有する多孔質材料に関する研究は、多孔質材料の利用分野を拡大するという着想において非常に優れたものであるが、その報告例は高価なアルコキシシラン等の有機シリカを原料としたものに比べ極めて少なく、現在メソポア多孔体研究の重要な課題の一つとして注目されている。
更に最近では、メソ細孔構造のみならず、ミクロンサイズのマクロ形態まで制御した、定形メソ多孔性材料の開発の重要性が指摘されているが、アルカリ珪酸塩をシリカ源として、マクロ形態を制御した定形メソ多孔性材料の報告は、上述(3)の球状粒子と、本発明者等が特許出願中のロッド状及びファイバー状粒子のみと思われる。
しかし、前者の球形粒子は、合成に数日を要し、手法が複雑であるという課題を有することから量産化には適していない製造方法である。
【0010】
本発明者らは、安価なアルカリ珪酸塩をシリカ源とし、無毒性の非イオン性界面活性剤をテンプレートとして使用し、特定の反応条件下で比較的大きい比表面積とメソポアとマイクロポアの微細孔とを有する、全く新規な球形多孔質粒子を極めて単純な製造方法によって合成することに成功した。
本発明の目的は、細孔構造、マクロ形態を制御するために、無毒性で、生分解性の非イオン性界面活性剤を使用し、更にシリカ源として安価なアルカリ珪酸塩を用いた反応系において、反応物質の種類、混合割合、酸性度、反応温度、攪拌速度を変化させることにより、球形多孔質シリカ粒子の前駆体となる界面活性剤を含んだ有機無機ナノ複合体を比較的温和な条件下、短時間で作製し、最終的に有機成分を取除くことによる、球形多孔質シリカ及びその製造方法を提供することにある。また、本製造法で得られる球形多孔質シリカ粒子は、ミクロンオーダーの大きさを有すると同時に、細孔径2〜7nmのメソ細孔が規則配列しており、2つの異なるスケールで規則構造を有している。さらに、本球形多孔質シリカ粒子にはメソポアに加え、細孔径2nm以下のマイクロポアが存在している。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、硝酸と非イオン性界面活性剤との混合溶液を予め調製し、この混合溶液にアルカリ珪酸塩水溶液を攪拌下で混合し反応後、生成する球状粒子中の非イオン性界面活性剤を除去することにより球状多孔質シリカ粒子を製造する方法であって、前記硝酸を、アルカリ珪酸塩中のSiO 換算で1モル当たり3.5乃至13モルに相当する量で使用することを特徴とする球状多孔質シリカ粒子の製造方法が提供される。
本発明によればまた、メソポアとマイクロポアの微細孔とを併せ持ち、小角X線回折において回折角0.3乃至2.0度(CuKα)に細孔の規則配列構造を示す回折ピークを有し、且つ粒径が20乃至500μmの球状粒子からなり、走査型顕微鏡観察による短軸(D)と長軸(D)との長さの比(D/D)で表される真球度0.95以上の粒子が90重量%以上であり、且つ該真球度の粒子が単分散しており、メソポアとマイクロポアを有することがtプロット図におけるtプロットの形状及びtプロットの直線部分を外挿した縦軸との交点が原点に一致しないことから確認できることを特徴とする球状多孔質シリカ粒子が提供される。
本発明の球状多孔質シリカ粒子においては、
1.細孔径2.0乃至7.0nmにメソポア容積の極大値を有すること、
2.BET比表面積が、600m/g以上で、細孔径50nm以下の細孔容積が0.30ml/g以上で、且つ細孔径2.0乃至6.0nmに0.10ml/g以上の細孔容積を有すること、
好ましい。
本発明の球状多孔質シリカ粒子の製造方法においては、
1.前記非イオン性界面活性剤の分子量が2,500乃至16,000であること、
2.前記非イオン性界面活性剤が、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PEO−PPO−PEO)またはポリエチレンオキシド−ポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PEO−PBO−PEO)のトリブロック共重合体であり、且つ反応を5℃乃至35℃の温度で行うこと、
3.水がアルカリ珪酸塩中のSiO換算で1モル当たり125乃至250モルの量で添加すること、
が好ましい。
本発明による球多孔質シリカ粒子は、揮発性有機化合物(VOC)用吸着剤或いは触媒または触媒担体等の用途に利用される。
【0012】
更に、本発明の球形多孔質シリカ粒子は、サイズが比較的揃った20乃至500μmの高単分散性の真球形状を有し、更に規則的に配列したメソポアと、そのメソポアを連結するマイクロ孔を同時に有することで、種々の分子の選択的な触媒坦体、吸着剤、乾燥剤、またガスクロ並びにイオンクロマト用の充填剤等として使用することができる。特に、現在環境汚染物質として社会問題化している揮発性有機化合物(VOC)等の吸着剤あるいは濃縮剤として使用可能で、汚染分子に対するメソポアの易拡散能とマイクロポアの高吸着ポテンシャルの両面から、従来のナノ空間材料と比較して格段の機能向上が期待できる。さらに、多孔性材料の機能発現に関連する要因としては内部に形成された細孔が最も重要であるが、工学的観点からは多孔体の外部性状が複合化特性、速度挙動などを決める重要な因子となっていることを考慮して、ミクロ細孔の規則性並びに均一性と同時に流通系反応に直接利用できるマクロ形態を併せ持つことが大きな特徴であり、ガスクロ並びにイオンクロマト用の充填剤、また種々並びに流動層反応媒体等として使用可能である。更に、金属種による多機能性を付与することで、イオン・分子の吸着・分離・貯蔵剤への利用、金属種添加による触媒或は触媒担体としての材料に適している。また、各種塗料、インク用体質顔料、接着剤等に配合して種々の用途に利用することができる。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明では、ミクロンオーダーの球状多孔質シリカ粒子の製造法において、シリカ源としてアルカリ珪酸塩を用い、金属アルコキシド等の高価な有機シリカを使用する必要がないこと、テンプレートとして高価な4級アンモニウム塩等を使用せずに無毒性、生分解性、安価な非イオン性界面活性剤を使用できること、更に温和な温度条件下、短時間で球形粒子を高収率で得られること、温度、酸濃度、反応濃度、攪拌速度により細孔径をコントロールできること等、用いる製造手段及びその組合せに格段の進歩性を有する。
【0014】
即ち、本発明の球形多孔質シリカ粒子は、メソポアとマイクロポアの微細孔とを併せ持ち、X線小角散乱において回折角0.3乃至2.0度(CuKα)に細孔の規則配列構造を示す回折ピークを有し、且つ粒径が20乃至500μm、好ましくは20乃至350μmの球状粒子からなる球状多孔質シリカ粒子である。
【0015】
また、細孔径は2.0乃至7.0nmにメソポア容積の極大値を有し、走査型顕微鏡観察による短軸(D)と長軸(D)との長さの比(D/D)で表される真球度0.95以上、好ましくは、ほぼ1.0の粒子が90重量%以上、好ましくは95重量%以上存在し、且つ単分散していることが重要であり、BET比表面積が、600m/g以上、好ましくは、650m/g以上で、細孔径50nm以下の細孔容積が0.30ml/g以上、好ましくは0.35ml/g以上で、且つ細孔径2.0乃至6.0nmに0.10ml/g以上、好ましくは、0.15ml/g以上の細孔容積を有する球形多孔質シリカ粒子である。
【0016】
本発明による球形多孔質シリカ粒子は、既に指摘したとおり、ミクロンオーダーの真球状を有すると同時に、直径2〜7nmの細孔が規則配列しており、2つの異なるスケールで秩序構造を有しているが、このような2つの秩序構造の生成機構は以下のように推定される。
強酸に溶解した非イオン性界面活性剤[N]は、界面活性剤表面の親水基部分がプロトン[H]に覆われることでプラスの電荷を帯びている。アルカリ珪酸塩をこの強酸性に添加すると、シリカ溶存種はプラスに帯電し[I]、陰イオン[X]が介在することで、電気的に安定なメソ構造体前駆体[N][X]が形成すると推定される。
更に、溶液中にはアルカリ珪酸塩と酸との反応により発生したアルカリイオン(M)が存在し、このイオンにより表面が帯電したシリカ間同士の電荷は相殺されるため、シリカマトリックス中に非イオン性界面活性剤を包含したメソ構造体前駆体[N][X]を核として、攪拌下において核成長すなわちゲル化が徐々に進行すると考えられる。この時、特に長鎖の親水性ブロックを有する非イオン性界面活性剤は球状に成長し易く、最終的にミクロンオーダーの規則的なマクロ形態を有する球形粒子に成長すると推定される。生成する有機無機メソ構造体は、シリカ溶存種と界面活性剤との協奏的な秩序形成能に基づいてナノ細孔の規則配列を有することになる。有機成分を焼成或は溶媒抽出等の処理により除去することで得られる最終生成物は、ミクロンオーダーの球状を呈すると同時に規則配列したメソ孔を併せ持ち、2つの異なるスケールで秩序構造を有していることになる。更に、シリカ骨格中に進入する非イオン性界面活性剤の親水性部に起因したマイクロ孔が形成されメソ孔を連結して存在する。
添付図面の図1は、本発明における反応系の構成要素を模式的に示したもので、強酸性条件下では界面活性剤の親水基部分はH+に覆われ[N]、またSi溶存種もプラス電荷を帯び[I] 、メソ構造体を形成することになる構成単位はいずれもプラスに帯電している。添付図面の図2は、上記両プラス溶存種間に陰イオン(X−)が介在することで、複数の界面活性剤分子で形成されるミセルと、シリカ溶存種との間に作用する協奏的秩序形成能によって生成するメソ構造体前駆体[N][X]を示している。即ち、両プラス表面間に陰イオン(X)が介在することで電荷が相殺されメソ構造体前駆体が生成する。また、プラスに帯電したシリカ間は、アルカリイオン(M)の存在により電荷反発が消失しゲル化が進行する。
添付図面の図3は、本発明のマイクロポアを有するメソポア多孔体の基本単位となる有機無機ナノ複合体の模式図であり、非イオン性界面活性剤の疎水性ブロックをシリカ成分が取囲み、そのシリカ壁には親水性ブロックが侵入していることを示している。
添付図面の図4は、本発明のマイクロポアを有するミクロンサイズの球形メソポア多孔体のイメージ図であり、図3に示した有機無機ナノ複合体から界面活性剤を除去することにより、疎水性ブロックと親水性ブロックに起因して、それぞれメソポアとマイクロポアが生成することを示している。マイクロポアはメソポアを連結して存在している。
本反応系において球形粒子を製造するためにはゲル化速度を厳密に制御しなければならない。例えば、界面活性剤の種類、出発原料組成、反応温度、2種類の非イオン性界面活性剤の混合比等がゲル化時間に敏感に反映し、マクロ形態に著しい影響を与える。
尚、本製造法において、界面活性剤が存在しない場合、大過剰の陰イオン(X)が系内に存在し、シリカのゲル化が妨げられるが、界面活性剤の量と陰イオンの量のバランスによりゲル化に要する時間をコントロールできる為、最終的にマクロ形態を制御できると推察される。
【0017】
本製造法において、規則的に配列したメソ孔を有し、ミクロンオーダーの球形多孔質シリカ粒子の前駆体を、室温付近常圧下において比較的短時間で製造できる。また、界面活性剤量と混合比、反応温度、酸濃度、シリカ濃度、攪拌速度をコントロールすることで、マクロ形態及び、細孔構造、更に細孔構造を形成するシリカ骨格から成るシリカ壁厚の制御が可能である。
【0018】
本製造法では、特に攪拌下の反応におけるゲル化過程を制御することにより、単分散球形粒子を選択的に合成することに成功した。特に、マクロ形態は陰イオンの種類によって敏感に変化し、酸溶液として塩酸を使用した場合には、攪拌の有無に関わらず、生成多孔体は10ミクロン以下の小さな球形粒子の凝集体となり単分散粒子を合成することは難しい。一方、硝酸を使用した場合には、攪拌の有無によって生成物の形状には著しい差異が認められる。攪拌を行わない反応では、球形粒子は生成せず、不均一な塊状粒子となってしまう。しかし、攪拌を行うことによって、20乃至500μmの単分散球形粒子の作製が可能となる。攪拌速度は界面活性剤に起因する反応液の粘性に留意し、塊状粒子が認められないよう決定する必要がある。
【0019】
本発明の球形多孔質シリカ粒子は、小角X線回折において回折角0.3乃至2.0度(CuKα)にメソ孔の規則配列構造を示すXRD回折ピークを有する。
添付図面の図5は、本発明の球形多孔質シリカ粒子の一例の小角X線回折パターンである。
【0020】
図6は、本発明の球形多孔質シリカ粒子の一例の粒子形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。これらの走査型電子顕微鏡写真から、本発明の球形多孔質シリカ粒子は、真球状で単分散のマクロ形態を有することが分かる。
【0021】
図7は、本発明の球形多孔質シリカ粒子の一例の窒素吸着等温線であり、図8は図7のシリカ粒子のtプロット図である。前者の形状から、本発明の球形多孔質シリカ粒子が典型的なメソポア多孔体であることが分かる。さらに、tプロットの形状並びにtプロットの直線部分を外挿した縦軸との交点が原点に一致しないことから、本発明の球形多孔質シリカ粒子がメソポアに加え、マイクロポアを有することが明確である。図9はBJH法により求めたメソポアの細孔径分布曲線であり、本発明の球形多孔質シリカ粒子が極めて均一なメソポアを有していることを示している。また、マイクロポアの平均径は、HKプロット法並びにMP法による解析から、0.5〜0.9nmであることが推定された。
既に指摘したとおり、本発明の球形多孔質シリカ粒子は、ミクロンオーダーの真球状を呈すると同時に、3〜7nmの細孔径を有するメソポアが規則配列しており、2つの異なるスケールで秩序構造を有していることが顕著な特徴である。図10は、本発明の球形多孔質シリカの一例について、メソ孔が規則配列していることを明示する高分解能電子顕微鏡(TEM)写真である。本図並びに図5の小角X線散乱パターンから、本発明の球形多孔質シリカ粒子が規則性を有するメソ細孔構造を有することは明らかである。
図11は、本発明の球形多孔質シリカ粒子の一例のベンゼンに対する25℃における吸着等温線であり、市販のゼオライト13Xと比較して示す。本発明の球形多孔質シリカ粒子はマイクロポアを有することから、低相対圧における吸着挙動の立ち上がりがゼオライトに匹敵し、ベンゼン等の揮発性有機化合物(VOC)に対する吸着ポテンシャルに優れていることが分かる。さらに、メソポアを有することで、飽和吸着量はゼオライトと比較するとより大きいことが明瞭であり、本発明の球形多孔質シリカ粒子は揮発性有機化合物に対する吸着剤あるいは濃縮剤として優れた特徴を有している。
【0022】
本製造法において、反応時間により生成物のマクロ形態にも影響が現れる。ゲル化時間が短いと、メソ孔の配列等の規則性及び球形度の程度が低く、更に未反応のアルカリ珪酸塩が残存するため、反応は20分以上行うことが好ましい。反応を長時間行ってもマクロ形態、細孔構造に大きな変化は見られず、生成物に与える影響は小さいが、生産効率の問題から経済的に不利になる。
【0023】
本製造法における反応温度は、5℃乃至35℃の範囲が望ましい。反応温度は、シリカのゲル化速度を左右するが、上記温度範囲よりも高い温度で反応を行うと、マクロ形態の規則性が悪化する傾向があり、これは、温度の上昇により非イオン性系面活性剤中の親水基部分の脱水和が起こりやすくなる為、結果的に非イオン性界面活性剤の形成するミセルが大きくなり、マクロ形態に影響を与えると推定される。一方、反応温度が低くなると反応速度が遅くなり生産効率の問題から経済的に不利になる。
【0024】
本製造法において、界面活性剤量の減少、酸濃度の増加、シリカ濃度の増加によってもシリカのゲル化に要する時間が短縮され、マクロ形態に影響が現れる。一方、界面活性剤量の増加、酸濃度の減少ではゲル化時間が遅くなり、この場合にもマクロ形態に影響が現れる。これは、ゲル化速度が適切でないと、均一反応系からの結晶核の生成と成長が抑制されるためと推定される。
【0025】
本発明の球形多孔質シリカ粒子は、所定の濃度の酸に溶解した非イオン性界面活性剤溶液と、水で希釈したアルカリ珪酸塩水溶液とを攪拌しながら反応させることにより、非イオン性界面活性剤とシリカ溶存種との協調的秩序形成能に基づいて生成する非イオン性界面活性剤を包含したシリカ複合前駆体から、最終的に非イオン性界面活性剤を焼成或は溶媒抽出等の手段により除去することで得られる。
【0026】
本発明において、上記原料の添加順序には制限がなく、例えば水で希釈したアルカリ珪酸塩水溶液に酸に溶解した非イオン性界面活性剤溶液を添加してもよく、また逆に、酸に溶解した非イオン性界面活性剤溶液に水で希釈したアルカリ珪酸塩水溶液を添加しても良い。
【0027】
[原料]
本発明で使用される、シリカ原料、非イオン性界面活性剤、酸について更に説明する。
【0028】
本発明で使用されるシリカ原料としては、アルカリ珪酸塩を使用することが可能で、比較的廉価であるナトリウム珪酸塩が好ましい。ナトリウム珪酸塩としてはNaO・mSiO式中、mは1乃至4の数、特に2.5乃至3.5の数である組成を有するナトリウム珪酸塩水溶液を使用することが好ましい。
【0029】
非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレンオキシドーポリプロピレンオキシド-ポリエチレンオキシド(PEO−PPO−PEO)またはポリエチレンオキシドーポリブチレンオキシド-ポリエチレンオキシド(PEO−PBO−PEO)から成る分子量2,500から16,000、好ましくは4,000から15,500程度の様々な重合比のトリブロック共重合体を使用することができる。
【0030】
本発明において、反応温度は、5℃乃至35℃が好ましく、35℃以上では単分散球状粒子を作製することは難しい。一方、反応温度が低くなると反応速度が遅くなり生産効率の問題から経済的に不利になる。
また、用いる非イオン性界面活性剤の使用量は、一般にSiO に対するモル比0.0008乃至0.0170の範囲でその分子量に応じて適宜調整するのがよい。その使用量が上記範囲外ではマクロ形態が定形ではなくなり、特に上記範囲より多い添加量では、生成物の濾過性が極端に悪化し生産効率が低下する傾向がある。
【0031】
酸としては、マクロ形態の一様さの点で硝酸が好ましい。
【0032】
本発明の球形多孔質シリカ粒子の合成において、出発原料の混合モル比は、SiO:非イオン性界面活性剤:NaO:硝酸:水 = 1:0.0008〜0.0170:0.20〜0.8:3.5〜13:125〜250であるのが好ましい。
更に、出発原料の混合方式を詳細に記述すると、所定の濃度の酸に溶解した非イオン性界面活性剤溶液(A)、水に希釈したアルカリ珪酸塩水溶液(B)を攪拌下に混合し、そのまま攪拌を継続して所定温度の下で20分以上好ましくは30分以上2時間程度、攪拌反応を行う。ここで、原料溶液A及びBは予め同じ所定温度に調整して混合する。
【0033】
反応後懸濁液から固体生成物を分離し、室温〜100℃で充分乾燥させる。最後に有機成分を除去して球形多孔質シリカ粒子を作製するために、例えば200℃では2時間以上、300℃以上では1時間程加熱処理する。
【0034】
また、本発明は、現在特許出願中の「定形多孔質シリカ乃至シリカ金属複合体粒子及びその製造方法」(特願2002−74279)からも明らかなように、シリカ純成分の球形シリカ多孔質粒子ばかりでなく、金属種としては、Siの他に、Ti、Zr、Al、Fe、Zn、Cr、Mn、Co、Cu、Ni、V、Sn、Ru、Ce、Mo、W、Rh、Ag等の一種類あるいは複数を同時に含む球形粒子も製造可能である。この場合には、上記金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩やその水和物等、酸に可溶な全ての金属塩を使用することができる。またAl等の両性酸化物の場合には、アルカリに可溶な金属塩、金属酸化物及び金属水酸化物等を使用することができる。更に、出発原料の混合方式を詳細に記述すると、所定の濃度の酸に溶解した非イオン性界面活性剤(A)と、水に希釈したアルカリ珪酸塩水溶液(B)と、酸或はアルカリに溶解した金属塩(C)を攪拌下に混合し後、所定温度の下で20分以上好ましくは30分以上2時間程度、攪拌反応を行う。ここで、原料溶液A、B及びCは予め同じ所定温度に調整して混合する。
【0035】
[用途]
本発明の球形多孔質シリカ粒子は、粒径が20乃至500μmで高単分散性の真球形状を有し、更に規則的に配列したメソ孔と、そのメソ孔を連結するマイクロ孔を同時に有することで、種々の分子の選択的な触媒坦体、吸着剤、乾燥剤、またガスクロ並びにイオンクロマト用の充填剤等として使用することができる。特に、現在環境汚染物質として社会問題化している揮発性有機化合物(VOC)等の吸着剤あるいは濃縮剤として使用可能で、汚染分子に対するメソ孔の易拡散能とマイクロ孔の高吸着ポテンシャルの両面から、従来のナノ空間材料と比較して格段の機能向上が期待できる。さらに、多孔性材料の機能発現に関連する要因としては内部に形成された細孔が最も重要であるが、工学的観点からは多孔体の外部性状が複合化特性、速度挙動などを決める重要な因子となっていることを考慮して、ミクロ細孔の規則性並びに均一性と同時に流通系反応に直接利用できるマクロ形態を併せ持つことが大きな特徴であり、ガスクロ並びにイオンクロマト用の充填剤、また種々並びに流動床反応媒体等として使用可能である。更に、金属種による多機能性を付与することで、イオン・分子の吸着・分離・貯蔵剤への利用、金属種添加による触媒或は触媒担体としての材料に適している。また、各種塗料、インク用体質顔料、接着剤等に配合して種々の用途に利用することができる。
【0036】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されない。
尚、実施例で行った各試験方法は次の方法により行った。
【0037】
(測定法)
(1)走査型電子顕微鏡:日本電子製JSM5300を使用し、加速電圧10kV、WD10mmで観察した。
(2)比表面積・細孔径分布:日本ベル製BELSORP28を使用し、液体窒素温度で測定した窒素吸着等温線からBET比表面積を求め、細孔径分布はBJH法により解析した。さらに、tプロット法により、全細孔容積とマイクロポア容積を算出した。
(3)形状:走査型電子顕微鏡写真から観察した。
(4)粒子サイズ:走査型電子顕微鏡写真並びにベックマン・コールター社製Multisizer3で測定した。
(5)小角X線回折:リガク製ナノスケールX線構造評価装置を使用し、CuKα線源、加速電圧45kV、60mAで測定した。
(6)高分解能電子顕微鏡:HITACHI製HF-2000を使用し、加速電圧100kVで観察した。
(7)ベンゼンの吸着等温線:日本ベル製BELSORP18を使用し、25℃で吸着等温線を測定した。
【0038】
(実施例1)
12%の硝酸に溶解したトリブロック共重合体Pluronic P104 (PEO27PPO61PEO27) (平均分子量5900、親水部PEO割合40%)(BASF)溶液に、市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO:23.6%、NaO:7.59%)に水を加え希釈した珪酸ナトリウム水溶液を600rpmで攪拌しながら添加する。混合溶液のモル比はSiO:Pluronic P104:NaO:HNO:HO = 1:0.0166:0.312:5.68:196である。尚、HOには全ての原料由来の水が含まれている。反応温度は25℃〜27℃で、2時間攪拌反応を行った後、固体生成物を濾別し、60℃の温水で洗浄後、50℃で十分乾燥させる。最終的に600℃の電気炉中で1時間焼成を行うことで有機成分を除去し、真球状定形多孔質シリカ粒子を得る。
【0039】
(実施例2)
16.96%の硝酸に溶解したトリブロック共重合体Pluronic P104 (PEO27PPO61PEO27) (平均分子量5900)(BASF)溶液に、市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO:23.6%、NaO:7.59%)に水を加え希釈した珪酸ナトリウム水溶液を600rpmで攪拌しながら添加する。混合溶液のモル比はSiO:Pluronic P104:NaO:HNO:HO = 1:0.0083:0.312:5.66:147.3である。尚、HOには全ての原料由来の水が含まれている。反応温度は25℃〜27℃で、2時間攪拌反応を行った後、固体生成物を濾別し、60℃の温水で洗浄後、50℃で十分乾燥させる。最終的に600℃の電気炉中で1時間焼成を行うことで有機成分を除去し、真球状定形多孔質シリカ粒子を得る。
【0040】
(実施例3)
12%の硝酸に溶解したトリブロック共重合体Pluronic F127 (PEO106PPO70PEO106) (平均分子量12600、親水部PEO割合70%)(BASF)溶液に、市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO:23.6%、NaO:7.59%)に水を加え希釈した珪酸ナトリウム水溶液を600rpmで攪拌しながら添加する。混合溶液のモル比はSiO2:Pluronic F127:NaO:HNO:HO = 1:0.0039:0.312:5.63:195である。尚、HOには全ての原料由来の水が含まれている。反応温度は25℃〜27℃で、1時間攪拌反応を行った後、固体生成物を濾別し、60℃の温水で洗浄後、50℃で十分乾燥させる。最終的に600℃の電気炉中で1時間焼成を行うことで有機成分を除去し、球形多孔質シリカ粒子を得る。
【0041】
(実施例4)
12%の硝酸に溶解したトリブロック共重合体Pluronic P105 (PEO37PPO56PEO37) (平均分子量6500、親水部PEO割合50%)(BASF)溶液に、市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO:23.6%、NaO:7.59%)に水を加え希釈した珪酸ナトリウム水溶液を600rpmで攪拌しながら添加する。混合溶液のモル比はSiO:Pluronic P105:NaO:HNO:HO = 1:0.0075:0.312:5.56:193である。尚、HOには全ての原料由来の水が含まれている。反応温度は25℃〜27℃で、90分間攪拌反応を行った後、固体生成物を濾別し、60℃の温水で洗浄後、50℃で十分乾燥させる。最終的に600℃の電気炉中で1時間焼成を行うことで有機成分を除去し、球形多孔質シリカ粒子を得る。
【0042】
(実施例5)
12%の硝酸に溶解した2種類のトリブロック共重合体Pluronic P104とPluronic F127との混合溶液に、市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO:23.6%、NaO:7.59%)に水を加え希釈した珪酸ナトリウム水溶液を600rpmで攪拌しながら添加する。混合溶液のモル比を表1に示す。尚、HOには全ての原料由来の水が含まれている。反応温度は25℃〜27℃で、2時間攪拌反応を行った後、固体生成物を濾別し、60℃の温水で洗浄後、50℃で十分乾燥させる。最終的に600℃の電気炉中で1時間焼成を行うことで有機成分を除去することによって、いずれの場合も球形多孔質シリカ粒子を得る。
【0043】
【表1】
Figure 0004478766
【0044】
(比較例1)
2Nの塩酸に溶解したトリブロック共重合体Pluronic P104 (PEO27PPO61PEO27) (平均分子量5900)(BASF)溶液に、市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO:23.6%、NaO:7.59%)に水を加え希釈した珪酸ナトリウム水溶液を600rpmで攪拌しながら添加する。混合溶液のモル比はSiO:Pluronic P104:NaO:HCl:HO = 1:0.0167:0.312:5.87:201である。尚、HOには全ての原料由来の水が含まれている。反応温度は25℃〜27℃で、1時間攪拌反応を行った後、固体生成物を濾別し、60℃の温水で洗浄後、50℃で十分乾燥させる。最終的に600℃の電気炉中で1時間焼成を行うことで有機成分を除去した。
本比較例のシリカ粒子はSEM観察から、直径約10ミクロンの球形粒子が凝集して、単分散球形粒子として得られないことが分かった。
【0045】
【表2】
Figure 0004478766
上表中、比表面積は窒素吸着等温線から求めたBET比表面積、細孔容積とマイクロ孔容積はtプロット法から求めた全細孔容積とマイクロ孔のみの細孔容積である。また、細孔径は窒素吸着等温線のBJH法解析から求めたメソポアのピーク値である。底面間隔は小角X線回折パターンの底面反射から計算した。粒径は電気抵抗法で測定した体積統計値の平均径である。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、硝酸に溶解した非イオン性界面活性剤の溶液と、アルカリ珪酸塩と水との混合液を攪拌下で反応させることで、生成する非イオン性界面活性剤を含んだ有機無機ナノ複合体を球状に成長させ、最終的に有機成分を除去することで球形多孔質シリカ粒子が得られた。
本発明で得られた球形多孔質シリカ粒子は、メソポアとマイクロポアの微細孔とを併せ持ち、小角X線回折において回折角0.3乃至2.0度(CuKα)に細孔の規則配列構造を示す回折ピークを有し、且つ粒径が20乃至500μmの球状粒子からなり、揮発性有機化合物(VOC)用吸着剤等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる反応系のゲル化前の溶液状態を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明のマイクロポアを有するメソポア多孔体製造過程において、非イオン性界面活性剤の幾つかの分子が集合したミセルとシリカ溶存種との間の協奏的秩序形成によって前駆体が生成することを示す模式図である。
【図3】本発明のマイクロポアを有するメソポア多孔体の基本単位となる有機無機ナノ複合体の模式図であり、非イオン性界面活性剤の疎水性ブロックをシリカ成分が取囲み、そのシリカ壁には親水性ブロックが侵入していることを示している。
【図4】本発明のマイクロポアを有するミクロンサイズの球形メソポア多孔体のイメージ図であり、図3に示した有機無機ナノ複合体から界面活性剤を除去することにより、疎水性ブロックと親水性ブロックに起因して、それぞれメソポアとマイクロポアが生成することを示している。マイクロポアはメソポアを連結して存在している。
【図5】本発明の球形多孔質シリカ粒子数例の小角X線回折パターンである。
【図6】本発明の球形多孔質シリカ粒子数例の粒子形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】本発明の球形多孔質シリカ粒子の数例の窒素吸着等温線である。
【図8】本発明の球形多孔質シリカ粒子の数例の窒素吸着等温線から得られるtプロットである。
【図9】本発明の球形多孔質シリカ粒子の数例について、窒素吸着等温線に対しBJH法から求めた細孔径分布を示すグラフである。
【図10】本発明の球形多孔質シリカ粒子の一例について、メソ構造の規則性を示す高分解能電子顕微鏡(TEM)写真である。
【図11】本発明の球形多孔質シリカ粒子の数例並びに市販ゼオライト13Xのベンゼン吸着等温線である。

Claims (8)

  1. 規則的に配列したメソポアとそのメソポアを連結するマイクロポアの微細孔とを併せ持ち、小角X線回折において回折角0.3乃至2.0度(CuKα)に細孔の規則配列構造を示す回折ピークを有し、且つ粒径が20乃至500μmの球状粒子からなり、走査型顕微鏡観察による短軸(D)と長軸(D)との長さの比(D/D)で表される真球度0.95以上の粒子が90重量%以上であり、且つ該真球度の粒子が単分散しており、メソポアとマイクロポアを有することがtプロット図におけるtプロットの形状及びtプロットの直線部分を外挿した縦軸との交点が原点に一致しないことから確認できることを特徴とする球状多孔質シリカ粒子。
  2. 細孔径が2.0乃至7.0nmにメソポア容積の極大値を有することを特徴とする請求項1に記載の球状多孔質シリカ粒子。
  3. BET比表面積が、600m/g以上、細孔径50nm以下の細孔容積が0.30ml/g以上で、且つ細孔径2.0乃至6.0nmに0.10ml/g以上の細孔容積を有することを特徴とする請求項1または2に記載の球状多孔質シリカ粒子。
  4. 硝酸と非イオン性界面活性剤との混合溶液を予め調製し、この混合溶液にアルカリ珪酸塩水溶液を攪拌下で混合し反応後、生成する球状粒子中の非イオン性界面活性剤を除去することにより球状多孔質シリカ粒子を製造する方法であって、前記硝酸を、アルカリ珪酸塩中のSiO 換算で1モル当たり3.5乃至13モルに相当する量で使用することを特徴とする球状多孔質シリカ粒子の製造方法。
  5. 前記非イオン性界面活性剤の分子量が2,500乃至16,000であることを特徴とする請求項に記載の球状多孔質シリカ粒子の製造方法。
  6. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PEO−PPO−PEO)またはポリエチレンオキシドポリブチレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PEO−PBO−PEO)のトリブロック共重合体であり、且つ反応を5℃乃至35℃の温度で行うことを特徴とする請求項に記載の球状多孔質シリカ粒子の製造方法。
  7. 水をアルカリ珪酸塩中のSiO 換算で1モル当たり125乃至250モルの量で添加することを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の球状多孔質シリカ粒子の製造方法。
  8. 請求項1乃至の何れかに記載の球状多孔質シリカ粒子からなることを特徴とする揮発性有機化合物(VOC)用吸着剤。
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