JP4604212B2 - 大細孔径繊維状多孔質シリカ粒子とその製造方法 - Google Patents

大細孔径繊維状多孔質シリカ粒子とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、8nmの細孔径を有するミクロンサイズの繊維状多孔質シリカ粒子とその製造方法に関するものである。より詳細には、非イオン性界面活性剤のロッド状分子集合体形成能に基づいて、ミクロ構造の規則性とマクロ形態の制御が可能となることを利用して、アルカリ珪酸塩から生成するシリカ溶存種と非イオン性界面活性剤との高次規則構造体を形成させ、特にこの高次規則構造体の生成過程においてシリカ骨格の形成補助剤となるフッ化物を添加して生成することのできる、細孔径8nmのメソ孔を有する繊維状の規則形態を持つ多孔質シリカ粒子とその製造法に関するものである。
1992年に多孔体MCM−41の合成法がNature誌上に発表されて以来、メソポーラス材料への関心が高まり、4級アンモニウム塩等のイオン系界面活性剤を使用した研究が数多く報告されている。その後、無毒性、生分解性、除去が容易であり更に安価なオリゴマー或はポリマー系の非イオン系界面活性剤をテンプレートとしてメソポーラス材料が合成可能なことが報告された(非特許文献1)。
規則配列したメソ孔を有するメソポーラス材料は種々の化学分野への応用が期待され、例えば金属元素(イオン)や有機官能基等によって細孔表面を化学修飾し、触媒、触媒担体、また重金属イオンや蛋白質の吸着・固定剤として、さらにはレーザー、光機能、各種センサーとしての機能性が評価されている。
一方、メソポーラス材料の発見当初から、メソ細孔の規則構造のみならず、ミクロンからミリメートルサイズのマクロ形態まで制御した高次規則構造を有する多孔質材料の開発が注目されている(非特許文献2)。
さらに、均一細孔を有する物質において、細孔径を拡張することは、細孔を反応場とする化学反応において、従来不可能であった大きな分子を対象とすることを可能とするもので、学術的及び実用的に極めて重要な研究課題である。ゼオライト開発の経緯、並びにメソポア多孔体の発明とその後の強い関心と現在まで衰えぬ基礎研究並びに応用開発への期待がこのことを物語っている(非特許文献3)。一方、メソポーラス材料の合成手法においては、使用する界面活性剤の種類等、反応条件によって細孔径が制御でき、特に疎水基が長くなる程、大きな細孔径を持つものが得られる傾向が認められる。また、ミセルを大きくする添加助剤1,3,5−トリメルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン等の有機化合物を使用することによって細孔径が拡張することが知られている。一方、シリカメソ多孔体合成時におけるフッ化物添加効果としては、シリカ骨格の形成を促進するばかりでなく(非特許文献4)、限られたフッ化物の細孔径拡張効果が報告されている(非特許文献5)。
しかしながら、これまでの多くの研究では、シリカ源としてアルコキシシラン等の有機シリカ、テンプレート剤には高価なイオン性界面活性剤を用いており、上記のような応用分野に利用するための量産化には向かないという理由から、アルカリ珪酸塩等の安価なシリカ源を出発原料とした研究が報告されている(非特許文献6)。しかし、アルカリ珪酸塩とポリマー系の非イオン系界面活性剤を同時に使用し、且つマクロ形態を制御した報告例は極めて少ないのが現状である。その例として次の数例を挙げることができる。
(1)塩酸に溶解し、2℃に維持した直鎖非イオン性ポリオキシエチレン酸性溶液に、珪酸ナトリウム水溶液を添加し、安定なミセル集合体を調整した後、20〜70℃に加温し、更にシリカの縮重合を進行させる為にフッ化物を添加して3日間の反応を行うことで、直径5μm程度の球状シリカメソ多孔体を合成している(非特許文献7)。
(2)塩酸に溶解したトリブロック共重合体溶液に、エタノールを溶媒としたTMB(1,3,5−トリメチルベンゼン)溶液を混合し、強攪拌下で珪酸ナトリウム水溶液を滴下する。さらにNaOHでpH調整し、4時間熟成することで、中空状球形メソポーラスシリカを合成している(非特許文献8)。
また、本発明者らによって、(3)アルカリ珪酸塩と非イオン系界面活性剤としてトリブロック共重合体を使用して球状シリカ多孔体が合成できることは報告されている(特許文献1)。さらに、本発明者らによって、(4)アルカリ珪酸塩と非イオン系界面活性剤としてトリブロック共重合体を使用して繊維状メソシリカ多孔体が合成できることが明らかにされている(特許文献2)。この公知技術においては、珪酸ソーダとトリブロック共重合体(商品名 Pluronic P123)を塩酸酸性溶液中において反応させ、攪拌の有無によって、単分散ロッド状並びに繊維状のシリカメソ多孔体を選択的に合成している。さらに、トリブロック共重合体の性質、即ち反応温度を高くすることで疎水性が高まり細孔径の拡張が可能であり、反応温度を40℃に制御することで細孔径の最大ピークが6.4nmを有する繊維状シリカメソ多孔体を作製している。しかし、トリブロック共重合体の界面活性剤としての性質上40℃では長距離での規則性を持ったミセル構造体の形成は難しく、これ以上の細孔径の拡張は期待できなり。
上記の通り、珪酸ソーダとトリブロック共重合体を使用してマクロ形態を制御した報告例は極めて少なく、繊維状シリカメソ多孔体は一例しかなく、さらにミクロンサイズの繊維状形態を有し、且つ平均細孔径が8nm以上で均一な細孔径分布を持ったメソポアシリカ多孔体はこれまでに全く報告されていない。前記の通り、細孔径の拡張は多孔質材料の応用範囲に新展開をもたらすもので、最近の報告においても、超臨界CO2を溶媒とすることによって細孔径の拡張が可能なことが報告されている(非特許文献9)が細孔を拡張するための方法として複雑であり、前述の添加助剤の例では、有機化合物が高価な上、細孔の規則性を低下を引き起こし易い等の課題がある。また、フッ化物はシリカ骨格の縮合を促進する触媒効果が高く、細孔径の拡張と同時に繊維状形態を保持することは一般に困難であると考えられる。
Bagshaw, S.A.; Prouzet, E.; Pinnavaia, T.J.Science 1995, 269, 1242. 1) Ciesla, U.; Schuth, F. Microporous Mesoporous Mater. 1999, 27, 131. 2) Stein, A.Adv. Mater. 2003, 15, 763. Davis, M.E. Nature 2002, 417, 813. Boissiere, C.; van der Lee, A.; El Mansouri, A.; Larbot, A.; Prouzet, E. Che m. Commun. 1999, 2047. Bagshaw, S.A.J. Mater. Chem. 2001, 11, 831. 1) Sierra, L.; Guth, J-L. Microporous Mesoporous Mater. 1999, 28, 243. 2) Kim, S.S.; Pauly, T.R.; Pinnavaia T.J. Chem. Commun. 2000, 835. 3) Kim, S.S.; Pauly, T.R.; Pinnavaia T.J. Chem. Commun. 2000, 1661. Boissiere, C.; Larbot, A.; van der Lee, A.: Kooyman, P.J.; Prouzet,E. Chem. Mater. 2000, 12, 2902. Sun, Q.; Kooyman, P.J.; Grossmann, J.G.; Bomans, P.H.H.; Frederik, P.M.; Magusin, P.C.M.M.; Beelen, T.P.M.; van Santen, R.A.; Sommerdijk, N.A.J.M. Adv. Mater. 2003, 15, 1097. Hanrahan, J.P.; Copley, M.P.; Ryan, K.M.; Spalding, T.R.; Morris, M.A.; Holmes, J.D. Chem. Mater. 2004, 16, 424. Flodstrom, K.; Wennerstrom, H.; Alfredsson, V.Langmuir, 2004, 20, 680. 特開2004−143026 特開2003−342019
上記のとおり、安価なアルカリ珪酸塩をシリカ源としたメソ孔およびマイクロ孔を有する多孔質材料に関する研究は、多孔質材料の利用分野を拡大するという着想において非常に優れたものであるが、その報告例は高価なアルコキシシラン等の有機シリコンを原料としたものに比べ極めて少なく、更に、非イオン性界面活性剤と組み合わせたマクロ形態制御に関する報告は極めて限られている。しかも、8nm以上の大きな細孔径を有する繊維状メソシリカ多孔体並びにその製造方法はこれまで全く報告されていない。
上記特許文献1の繊維状メソシリカ多孔体製造方法においても、繊維状形態を保持したままさらなる細孔径の拡張は実質的に困難であり、大細孔径を有する繊維状メソシリカ多孔体の量産化は期待できない。
そこで、本発明は、安価なアルカリ珪酸塩をシリカ源とし、無毒性の非イオン性界面活性剤をテンプレートとするとの本発明者によりこれまでに開発された技術を踏まえ、高い有用性を有する大細孔径の繊維状多孔質シリカとその製造方法を提供することを課題としている。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を勧め、その過程において、細孔径の拡張を誘起すると期待されるフッ化物の添加方法を厳密に制御することで、繊維状形態を保持したまま、細孔径が8nmで、しかも比表面積と細孔容積がそれぞれ1000m/g、0.5ml/gと極めて大きな繊維状のメソポア多孔体の合成に成功した。
すなわち、従来の低コスト、低環境負荷な材料設計に基づいて、細孔構造、マクロ形態を制御するために、無毒性で、生分解性の非イオン性界面活性剤を使用し、更にシリカ源として安価なアルカリ珪酸塩を用いた反応系において、細孔径の拡張を実現するフッ化物の混合方法、すなわち添加割合、添加時間を変化させることにより、繊維状多孔質シリカ粒子の前駆体となる界面活性剤を含んだ有機無機ナノ複合体を40℃以下の温和な条件下、短時間で作製し、最終的に有機成分を取除くことにより、繊維状の多孔質シリカを実現した。得られた繊維状多孔質シリカ粒子は、ミクロンサイズの繊維状形態を有しながらメソ孔が8nmと極めて大きく、従来全く報告されたことが無いメソシリカ多孔体である。
本発明は以上のとおりの、全く新しい、従来では予期することのできない知見を踏まえて完成されたものである。本発明によればまた、繊維状多孔質シリカ粒子であって、回折角0.5乃至5度(CuKα)に細孔の規則配列構造を示すX線回折ピークを有し且つ8nmに細孔直径の極大値を有することを特徴とする繊維状多孔質シリカ粒子が提供される。
本発明の繊維状多孔質シリカ粒子においては、
1.走査型顕微鏡観察による長軸の長さが5乃至1000μmの範囲にあり、アスペクト比が3乃至150であって、形状が繊維状であること、
2.前記ファイバーが、1000m2/g以上のBET比表面積を有し、且つ累積細孔容量分布において、細孔径8nm以上に0.5ml/g以上の細孔容積を有すること、
が好ましい。
また、本発明によれば、酸に溶解した非イオン性界面活性剤の溶液に、アルカリ珪酸塩水溶液を攪拌しながら混合し、反応途中で生成する非イオン性界面活性剤を含んだ有機無機ナノ複合体と反応溶液との懸濁溶液に、細孔拡張剤となるフッ化物を添加して、そのまま攪拌反応を一定時間継続し、メソポア多孔体前駆体を繊維状に成長させ、最終的に有機成分を除去することを特徴とする繊維状の多孔質シリカ粒子の製造方法が提供される。
本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の製造方法においては、
1.酸性水溶液及び非イオン性界面活性剤の混合液に、アルカリ珪酸塩水溶液を攪拌下で混合し、攪拌し続けながら、一定時間経過し固形反応物が生成した後、フッ化物を添加して得られる繊維状粒子中の非イオン性界面活性剤を除去すること、
3.非イオン性界面活性剤をアルカリ珪酸塩中のSiO2 1モル当たり0.002乃至0.25の量で用いること、
4.酸をアルカリ珪酸塩中のSiO2 1モル当たり0.6乃至15モルの量で用いること、
5.水をアルカリ珪酸塩中のSiO2 1モル当たり100乃至400モルの量で用いること、
6.フッ化物をアルカリ珪酸塩中のSiO2 1モル当たり0.15乃至2.0モルの量で用いること、
7.反応を20℃乃至45℃の温度で行うこと、
が好ましい。
本発明によれば、安価なアルカリ珪酸塩をシリカ源として用い、安全性の高い非イオン性界面活性剤をテンプレートとして使用し、更に低温、常圧下、比較的短時間で繊維状多孔質シリカ粒子が提供される。
本発明は、細孔構造の制御剤として非イオン性界面活性剤を使用し、アルカリ珪酸塩水溶液と酸性水溶液を混合する極めて単純な反応系において、反応物質の混合割合、酸性度、反応温度、特に攪拌速度を変化させることにより、常温付近、常圧下でロッド状或は繊維状多孔体の前駆体となる界面活性剤を含んだ有機無機ナノ複合体を比較的短時間で選択的に作製し、最終的に有機物を取除くことによる、ミクロンオーダーの繊維状多孔質シリカ粒子の製造方法を提供する。
しかも、本繊維状粒子は、マクロ形態の秩序性と、同時に8nmの細孔が規則性をもって配列しており、2つの異なるスケールで規則性を有する高比表面積繊維状多孔質シリカ粒子の製造法を提供するものである。
安価な原料を使用し、穏やかな反応条件した、短時間での合成が可能であることから工業規模への応用も可能であり、更に、高比表面積、細孔径の均一性、単分散性等の特徴を併せ持つことから、形状選択能を利用した分子篩、吸着剤や、高分散性繊維状粒子であることを利用した樹脂添加剤、ガス分離膜、加えて触媒担体、触媒、クロマトグラフ用担体としての利用に適する。また、繊維状多孔質シリカ粒子は、大きく、揃ったアスペクト比を有する非晶質シリカであることから、人体への毒性が問題となっている石綿の代替品や樹脂の強度を高める補強剤、さらには増粘剤として利用が可能である。
すなわち、本発明による繊維状多孔質シリカ粒子は、樹脂添加剤、インク吸着用フィラー、石綿代替材料、増粘剤等の用途に利用される。さらに、繊維状形態を利用して単独乃至他の無機物質および有機化合物と混合することによりフェルト様に加工成型し、各種フィルター素材として広く利用することが可能である。特に、細孔径が8nmである特徴を活かし、酵素あるいは有機官能基を有する大きな分子の吸着・分離・吸蔵・固定剤等として利用することができる。さらに、メソ孔と連結して共存するマイクロ孔を利用して粒子内拡散能に優れた環境汚染排出ガス状物質等の浄化プロセスへの応用、あるいはゼオライトやシリカゲルに代わるマイクロポア多孔体として新規用途を導くことが期待される。また、細孔表面を金属及び金属酸化物等で化学修飾することによって種々の触媒の開発にも展開可能である。
本発明では、ミクロンオーダーの繊維状多孔質シリカ粒子とその製造において、シリカ源としてアルカリ珪酸塩を用い、金属アルコキシド等の高価な有機シリカを使用する必要がないこと、テンプレートとして高価な4級アンモニウム塩等を使用せずに無毒性、生分解性、安価な非イオン性界面活性剤を使用できること、更に温和な温度条件下、短時間で繊維状粒子を高収率で得られること、酸濃度、反応濃度、攪拌速度によりアスペクト比を調整できること等を基本的な特徴とし、そして何より細孔拡張剤となるフッ化物の添加方法を制御することで繊維状形態を保持したまま8nmのメソ孔を有するものとすることを顕著な特徴としている。従来の技術に比べて格段の進歩性を有している。
本発明による繊維状多孔質シリカ粒子は、既に指摘した通り、ミクロンオーダーの繊維状の形状を呈すると同時に、直径8nmのメソ細孔が規則配列しており、このような繊維状形態を保持したままで、大きな細孔径を有する繊維状多孔質粒子の生成機構は以下のように推定される。
アルカリ珪酸塩は強酸性水溶液下でシリカ溶存種がプラスに帯電し[I+]、一方、強酸に溶解した非イオン性界面活性剤[N0]においても、界面活性剤表面の親水基部分がプロトン[H+]に覆われることでプラスの電荷を帯び、プラスに帯電したシリカ、界面活性剤の両表面間に陰イオン[X-]が介在することで、電気的に安定なメソ構造体[N0+][X-+]を形成すると推定される。
更に、溶液中にはアルカリ珪酸塩と酸との反応により発生したアルカリイオン(P+)が存在し、このイオンにより表面が帯電したシリカ間同士の電荷は相殺されるため、徐々にゲル化が進行しシリカ骨格中に非イオン性界面活性剤を包含した有機無機メソ構造体が生成する。この有機無機メソ構造体を核として界面活性剤との協調的な秩序形成能に基づいて、ミクロンオーダーの繊維状形態を有する粒子に成長すると推定される。有機成分を焼成或は溶媒抽出等の処理により除去することで得られる最終生成物は、ミクロンオーダーの繊維状を呈すると同時に、1次元チャンネルが六方晶系に規則配列したメソ孔を併せ持ち、2つの異なるスケールで秩序構造を有していることになる。更に、非イオン性界面活性剤の親水性部がシリカ骨格中に進入することによりメソ孔以外にマイクロ孔も形成される。
特に、フッ化物から生成するF-はシリカ骨格の縮重合を促進する効果に優れ、上記[X-]イオンの媒介を強力に推進することになる。従って、フッ化物を反応途中で添加する場合、反応開始からの経過時間、添加量、実質的な反応時間によって生成する有機無機メソ構造体の構造並びにマクロ形態は著しい影響を受けることになる。例えば、添加時間が速すぎると繊維状形態は形成されず、添加量が過剰な場合にはメソ構造は形成されない。また、添加からの反応終了までの時間が短すぎると8nm以上の細孔を賦与することは難しくなる。
最近の報告(非特許文献10)によれば、Pluronic 123は塩酸溶液中で形成される球状ミセルが集合してフロックが認められるようになり、溶存シリカ種との相互作用でフロックが合体し始め(A)、中間体であるワームホール様のメソ構造体を経由して(B)、大きな(ミクロンオーダー)2次元ヘキサゴナル様の規則構造が形成される(C)ことが報告されている。
2次元ヘキサゴナル構造をした有機無機メソ構造体を単分散状態に保持すれば最終的にロッド状シリカメソ多孔質粒子として得られることになる。本発明の繊維状粒子はロッド状粒子が連結して成長することによって形成されるもので、ワームホール様メソ構造体がヘキサゴナル様規則構造に変化する反応条件であれば、攪拌下で中間体となるワームホール様のメソ構造体の連結が起こり(D)、その連結体が伸張すると同時に伸張しながら連結体が絡み合う過程(E)でそれぞれのロッド状粒子のメソ構造の規則性が高くなり、最終的に繊維状メソシリカ前駆体(F)が生成することになる。上記A、Bの反応段階は明確に分離できるものではなく、種々の長さ及び太さを持った不均一な粒子が観察される。フッ化物は、Aより早い段階で添加するとFの様に繊維状に成長させることができない。しかし、反応段階A以降であれば、メソ構造の規則性が高い繊維状粒子となったE、Fの段階においても、フッ化物を添加することによって細孔を拡張することで可能で、8nm以上の細孔を賦与することが可能である。従って、A以前の段階でなければ、フッ化物の添加によって8nm以上のメソ孔を有する繊維状シリカが得られることになる。なお、Fイオンの詳細な役割は次に様に推定される。反応が進行し、繊維状シリカメソ多孔体の前駆体である有機無機メソ構造体を形成するシリカ相はF段階に到達しても緩い結合組織のままであり、Fイオンによって急激に脱水縮合が進行すると考えられる。この急激なシロキサン結合によってシリカ相が相互に収縮すると、内部のミセル相に広い空間が誘起される結果、最終的に生成する有機無機メソ構造体から界面活性剤を除去することにより、大きなメソ孔を持った繊維状シリカが得られることになる。なお、有機無機メソ構造体を構成する界面活性剤の親水基はシリカ骨格内に侵入しており、その除去に伴いマイクロ孔形成の要因となり、生成多孔体のメソ孔はマイクロ孔で連結されている。さらに、シリカ骨格形成におけるFイオンによる効果的な脱水縮合と細孔拡張作用によって、生成する繊維状シリカメソ多孔体の細孔を囲むシリカ壁は、従来のFイオン無添加で生成するよりも極めて薄くなることが特徴である。しかし、薄くなったシリカ壁は強固なシロキサン結合によって補償され物理化学的安定性を損うことはないと考えられる。
本発明の繊維状多孔質シリカ粒子は、回折角2θ=0.5乃至5.0度にメソ孔の規則配列を示すXRD回折(CuKα)ピークを有する。たとえば図1は、本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の一例のX線回折パターンを示したものである。
また、図2は、本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の一例の粒子形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。更に、図3は、本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の一例の粒子構造を示す電解放射型走査電子顕微鏡(FE―SEM)写真である。図2の一本のファイバーは、より細かい繊維状シリカ粒子の集合体からなっていることが分かり、更に図3から当該集合体がロッド状粒子の連なった連鎖状物或いはその連鎖状物の絡み合ったものであることが分かる。これらの走査型電子顕微鏡写真から、本発明の繊維状多孔質シリカ粒子は、アスペクト比の揃った繊維状マクロ形態を有することがわかる。
図4は、本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の一例について、伸張方向の構造を示す高分解能電子顕微鏡(TEM)写真である。本発明の繊維状多孔質シリカ粒子は、図3の通り基本構造単位であるロッド状粒子の連続体であり、本TEM像によりロッド状粒子の長手方向に貫通して延びる1次元メソチャンネルが明確に認められ、メソ構造の規則性に顕著に優れていることが明らかである。
本発明の繊維状多孔質シリカ粒子は、一次粒子内にメソ孔を有し、BJH法でみてシャープな細孔径分布を有している。図5は、NaFを使用して作製した本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の数例についての細孔径分布曲線で、添加時間によって著しく左右されることを示している。図6は、8nmを超える平均細孔径を有する本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の細孔径に対する累積細孔容積の分布曲線であり、8nm以上に占める細孔容積が50%以上であることを示している。
既に指摘したとおり、本発明の繊維状多孔質シリカ粒子は、ミクロンオーダーの繊維状の形状を呈すると同時に、規則配列した細孔径が直径8nmを有していることが顕著な特徴である。そして、前記のとおりの特徴から、本発明においては、走査型顕微鏡観察による長軸の長さが5乃至1000μmの範囲にあり、アスペクト比が3乃至150であって、形状が繊維状である多孔質シリカ粒子が提供される。また、BET比表面積が1000m/g以上で、かつ、累積細孔容量分布において細孔径8nm以上に0.5ml/g以上の細孔容積を有する繊維状多孔質シリカ粒子が提供される。
本発明の製造法においては、フッ化物の添加時間は、生成物のマクロ形態並びにメソ構造の規則性、さらにはメソ孔の大きさ等細孔特性に影響を及ぼす。反応開始(2種類の反応溶液の混合時点)から、20分以内に添加すると、繊維状形態を形成するものの8nm以上の細孔は得られず、20分を超えてから添加した場合には、規則性の高いメソ構造体を有する8nm以上の細孔を有する繊維状粒子が得られる。
また、本製造法において、NaFの添加量も、生成物のマクロ形態並びにメソ構造の規則性、さらにはメソ孔の大きさ等細孔特性に影響を及ぼす。少ない場合には8nm以上のメソ孔は得られず、多すぎる場合にもメソ孔は規則配列し難くなる。
本製造法における反応温度は、30℃乃至40℃の範囲が好ましく、反応温度が高くなると非イオン性系面活性剤中の親水基部分の脱水和が起こりやすくなる為、結果的に非イオン性界面活性剤の形成するミセルが大きくなりより細孔径の大きな繊維状シリカの合成が可能となる。一方、反応温度が低くなると繊維状に成長させることが困難になる。
本製造法において、規則的に配列したメソ孔を有し、ミクロンオーダーの繊維状多孔質シリカ粒子の前駆体を、室温付近常圧下において短時間で製造できる。特に、本製造法においては、8nmの細孔径を有する繊維状シリカメソ多孔体が生成するフッ化物の添加条件を満たした上で、界面活性剤、酸、シリカ等の反応物質の混合割合、あるいは反応温度や攪拌速度をコントロールすることによって繊維状形態のアスペクト比、更に細孔構造を形成するシリカ骨格のシリカ壁厚の制御が可能である。
本発明の繊維状の多孔質シリカ粒子は、所定の濃度の酸に溶解した非イオン性界面活性剤溶液と、水で希釈したアルカリ珪酸塩水溶液を攪拌下に混合した後、攪拌を継続することにより、非イオン性界面活性剤とシリカ溶存種との協調的秩序形成能に基づいて生成する非イオン性界面活性剤を包含したシリカ複合体形成過程において細孔拡張剤となるフッ化物を添加して得られる多孔体前駆体から、最終的に非イオン性界面活性剤を焼成或は溶媒抽出等の手段により除去することで作製される。
本発明において、上記原料の添加順序は極めて重要であり、繊維状形態を形成させるためには、水で希釈したアルカリ珪酸塩水溶液を、酸に溶解した非イオン性界面活性剤溶液に添加しなければならない。
[原料]
本発明で使用される、シリカ原料、非イオン性界面活性剤、酸、及びフッ化物について更に説明する。
本発明で使用されるシリカ原料としては、アルカリ珪酸塩を使用することが可能で、比較的廉価であるナトリウム珪酸塩が好ましい。ナトリウム珪酸塩としてはNa2O・mSiO2式中、mは1乃至4の数、特に2.5乃至3.5の数である組成を有するナトリウム珪酸塩水溶液を使用することが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレンオキシド(PEO)を含む高分子界面活性剤が使用でき、特にPEOを含むトリブロック共重合体が好ましく、さらにはポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PEO−PPO−PEO)の使用が最適である。
本発明で使用される、トリブロック共重合体の重合比、平均分子量並びに疎水基の重量割合が重要であり、その平均分子量は約4800以上で、疎水基の重量割合が、重量65%以上であることが望ましい。
本発明で使用されるフッ化物として、シリカ骨格の縮重合の促進効果という観点からは、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム等種々のフッ化物が利用できる。特に、従来細孔の拡張効果の点からフッ化物としてフッ化ナトリウムが注目されているが、本発明においては添加方法を工夫することにより他のフッ化物でも同様な効果を見出すことに成功した。フッ化物は、SiO2に対してモル比0.15乃至2.0の量を用いるのがよく、上記範囲外では8nm以上のメソ孔を賦与することが難しく、特に多すぎると繊維状形態を維持し難くなり、メソ構造の規則性の低下も認められるようになる。
酸としては、繊維状粒子の生成において最も効果的である塩酸が好ましい。
本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の合成において、出発原料の混合モル比は、SiO2:非イオン性界面活性剤:Na2O:酸:フッ化物:水=1:0.002〜0.25:0.25〜1:0.6〜15:0.15〜2.0:100〜400であるのが好ましい。
更に、出発原料の混合方式を詳細に記述すると、繊維状繊維状粒子合成においては、所定の濃度の酸に溶解した非イオン性界面活性剤溶液(A)に、水に希釈したアルカリ珪酸塩水溶液(B)を攪拌下で添加し、そのまま攪拌を継続して20分〜6時間、好ましくは30分〜4時間後フッ化物を添加し、3時間から24時間反応を行う。ここで、原料溶液A及びBは予め同じ所定温度に調整して混合する。
上記いずれの場合も、反応後懸濁液から固体生成物を分離し、室温〜100℃で充分乾燥させる。最後に有機成分を除去して繊維状多孔質シリカ粒子を作製するために、200℃以上で2時間以上、好ましくは400℃以上で1時間加熱処理する。
[用途]
本発明の繊維状多孔質シリカ粒子は、繊維状形態を利用して単独乃至他の無機物質および有機化合物と混合することによりフェルト様に加工成型し、各種フィルター素材として広く利用することが可能である。特に、細孔径が8nmである特徴を活かし、酵素あるいは有機官能基を有する大きな分子の吸着・分離・吸蔵・固定剤等として利用することができる。さらに、メソ孔と連結して共存するマイクロ孔を利用して粒子内拡散能に優れた環境汚染排出ガス状物質等の浄化プロセスへの応用、あるいはゼオライトやシリカゲルに代わるマイクロポア多孔体として新規用途を導くことが期待される。また、細孔表面を金属及び金属酸化物等で化学修飾することによって種々の触媒の開発にも展開可能である。
さらに、多孔質であり、非常に良好な分散性を示すことから、1次元及び2次元的にマクロ配向しやすいと推定されることから、樹脂に添加した場合に良好な分散性を示し、樹脂添加剤やガス分離膜に適している。更に、金属元素により細孔表面を修飾し多機能性を付与することで、機能性樹脂添加剤として利用できる。
また、多孔性を利用した、インク吸収剤や、イオン・分子の吸着・分離・貯蔵剤への利用、金属種添加による触媒或は触媒担体としての材料に適している。また、各種塗料、インク用体質顔料、インクジェット紙用添加剤、調湿剤、接着剤等に配合して種々の用途に利用することができる。
さらに、非晶質ながら柔軟な繊維状であるため、発ガン性が問題視されている石綿代用品として種々の用途に利用できる。更に、大きなアスペクト比を有するため増粘剤や、樹脂の強度を高める補強剤としても利用することができる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されない。
尚、実施例で行った各試験方法は次の方法により行った。
(測定法)
(1)走査型電子顕微鏡:日本電子株式会社製JSM5300を使用し、加速電圧10kV、WD10mmで観察した。
(2)比表面積・細孔径分布:日本ベル製BELSORP28を使用し、液体窒素温度で測定した窒素吸着等温線からBET比表面積を求め、細孔径分布はBJH法により解析した。
(3)形状:走査型電子顕微鏡写真から観察した。
(4)粒子サイズ:走査型電子顕微鏡写真で測定した。
(5)X線回折:リガク製ロータフレックスRU−300を使用し、CuKα線源、加速電圧40kV、80mAで測定した。
(6)高分解能電子顕微鏡:HITACHI製HF−2000を使用し、加速電圧200kVで観察した。
(8)電解放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM):日本電子株式会社製JSM−6700Fを使用し、前処理Ptコーティング、加速電圧3kVで測定した。
(実施例1)
水を加えて希釈した市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO2:23.6%、Na2O:7.59%)を、2Nの塩酸に溶解したトリブロック共重合体Pluronic P123 (PEO20PPO70PEO20)(平均分子量5800)(Aldrich)溶液に攪拌しながら添加する。両原料溶液は予め35℃に調整して混合し、両原料溶液を混合してから1時間後にNaFを添加し6時間反応させた。混合溶液のモル比はSiO2:Pluronic P123:Na2O:HCl:H2O=1:0.0169:0.312:5.88:202であり、NaFの同モル比は0.12〜2.33である。尚、H2Oには全ての原料由来の水が含まれている。反応後固体生成物を濾別し、洗浄後、50℃で十分乾燥させる。最終的に600℃の電気炉中で1時間焼成を行うことで有機成分を除去し繊維状多孔質シリカ粒子を得る。
表1にNaFの混合モル比及びそれぞれの合成条件で作製した繊維状多孔質シリカ粒子の比表面積と、細孔径分布曲線から求めた細孔径と細孔容積、XRD測定結果と細孔径から算出した細孔を形成するシリカ骨格の壁厚を示した。
本実施例のXRD測定結果は、表1の実施例の1−1の場合を示した図1に示すように低角領域(1度乃至5度)に3本の明瞭なピークと極めてブロードな2本のピークが認められ、メソ孔が2次元六方晶に規則配列していることを示している。また、本実施例の表1の実施例1−1の場合を示した多孔質シリカ粒子のSEM写真は図2、FE−SEM写真は図3に示す通りであり、アスペクト比が大きく、太さ及び長さの比較的揃った繊維状であることがわかる。また本繊維状粒子はより細い繊維状シリカ粒子の集合体からなり、さらにそれぞれの繊維状粒子は基本構成単位であるロッド状粒子の連鎖体からなることがわかる。図4のTEM像の楕円で囲んだ部分は基本構造単位であるロッド状粒子の伸張方向に8nmのメソチャンネルが貫通して存在することを示し、XRD回折分析の結果と一致している。
5は、細孔分布曲線を例示したものであり、図6は、8nmを超える平均細孔径を有する本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の細孔径に対する累積細孔容積の分布曲線であり、平均細孔径が8nm以上の繊維状多孔質シリカ粒子は、全細孔容積に対する8nm以上の細孔の寄与する割合が50%以上であることを示している。
表1に示す通り作製した繊維状多孔質シリカ粒子の比表面積と、細孔径分布曲線から求めた細孔径と細孔容積、XRD測定結果と細孔径から算出した細孔を形成するシリカ骨格の壁厚を示す。また、繊維形態は図2と同等であり、一般にフッ化物の中でも細孔拡張機能を有するものはNaFが知られているが、他のフッ化物にも細孔拡張作用のあることが明らかである。
(実施例3)
水を加えて希釈した市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO2:23.6%、Na2O:7.59%)を、2Nの塩酸に溶解したトリブロック共重合体Pluronic P123 (PEO20PPO70PEO20)(平均分子量5800)(Aldrich) 溶液に攪拌しながら添加する。両原料溶液は予め39℃に調整して混合し、両原料溶液を混合してから1時間後にNaFを添加し6時間反応させた。混合溶液のモル比はSiO2:Pluronic P123 :Na2O:HCl:NaF:H2O=1:0.0169:0.312:5.88:1.04:202である。尚、H2Oには全ての原料由来の水が含まれている。反応後固体生成物を濾別し、洗浄後、50℃で十分乾燥させる。最終的に600℃の電気炉中で1時間焼成を行うことで有機成分を除去し繊維状多孔質シリカ粒子を得る。
表1に作製した繊維状多孔質シリカ粒子の比表面積と、細孔径分布曲線から求めた細孔径と細孔容積、XRD測定結果と細孔径から算出した細孔を形成するシリカ骨格の壁厚を示す。この結果から、反応温度によって細孔径が拡張出来ることが明らかであり。図5の累積細孔径分布曲線は本繊維状多孔質シリカ粒子の細孔容積の70%が8nm以上を占めることを明らかにしている。
(実施例4)
水を加えて希釈した市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO2:23.6%、Na2O:7.59%)を、2Nの塩酸に溶解したトリブロック共重合体Pluronic P123 (PEO20PPO70PEO20)(平均分子量5800)(Aldrich)溶液に攪拌しながら添加する。両原料溶液は予め41.5℃に調整して混合し、両原料溶液を混合してから1時間後にNaFを添加し6時間反応させた。混合溶液のモル比はSiO2:Pluronic P123 :Na2O:HCl:NaF:H2O=1:0.0169:0.312:5.88:1.04:202である。尚、H2Oには全ての原料由来の水が含まれている。反応後固体生成物を濾別し、洗浄後、50℃で十分乾燥させる。最終的に600℃の電気炉中で1時間焼成を行うことで有機成分を除去し繊維状多孔質シリカ粒子を得る。
表1に作製した繊維状多孔質シリカ粒子の比表面積と、細孔径分布曲線から求めた細孔径と細孔容積、XRD測定結果と細孔径から算出した細孔を形成するシリカ骨格の壁厚を示す。この結果から、反応温度によって細孔径が拡張出来ることが明らかである。累積細孔径分布曲線から本繊維状多孔質シリカ粒子の細孔容積の70%が8nm以上を占めることを明らかにしている。
(比較例1)
水を加えて希釈した市販のJIS3号珪酸ナトリウム(SiO2:23.6%、Na2O:7.59%)を、2Nの塩酸に溶解したトリブロック共重合体Pluronic P123(PEO20PPO70PEO20)(平均分子量5800)(Aldrich)溶液に攪拌しながら添加する。両原料溶液は予め所定温度35℃に調整して混合し、混合溶液のモル比をSiO2:Pluronic P123 :Na2O:HCl:H2O=1:0.0169:0.312:5.88:202とした。本比較例はフッ化物を添加していない。尚、H2Oには全ての原料由来の水が含まれている。反応後固体生成物を濾別し、洗浄後、50℃で十分乾燥させる。最終的に600℃の電気炉中で1時間焼成を行うことで有機成分を除去し繊維状多孔質シリカ粒子を得る。
表1に作製した繊維状多孔質シリカ粒子の比表面積と、細孔径分布曲線から求めた細孔径と細孔容積、XRD測定結果と細孔径から算出した細孔を形成するシリカ骨格の壁厚を示す。フッ化物の添加しない場合には細孔径は5.63nm(図5)で、フッ化物を添加した場合より約2nm以上も小さく、フッ化物の適正な添加方法による細孔拡張が明らかである。
本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の一例のX線回折パターンである。 本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の一例の粒子形態を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の一例の粒子構造を示す電解放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)写真である。 本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の一例について、伸長方向の構造を示す高分解能電子顕微鏡(TEM)写真である。 NaFを使用して作製した本発明の繊維状繊維状多孔質シリカ粒子の巣憂いについての細孔径分布曲線である。 平均細孔径8nmを有する本発明の繊維状多孔質シリカ粒子の累積細孔容積分布曲線である。

Claims (14)

  1. 繊維状多孔質シリカ粒子であって、回折角0.5乃至5度(CuKα)に細孔の規則配列構造を示すX線回折ピークを有し且つ細孔径8nmに細孔径分布の極大を有することを特徴とする繊維状多孔質シリカ粒子。
  2. 走査型顕微鏡観察による長軸の長さが5乃至1000μmの範囲にあり、アスペクト比が3乃至150であって、形状が繊維状であることを特徴とする請求項1に記載の繊維状多孔質シリカ粒子。
  3. BET比表面積が1000m/g以上、且つ累積細孔容量分布において細孔径8nm以上に0.5ml/g以上の細孔容積を有することを特徴とする請求項1または2に記載の繊維状多孔質シリカ粒子。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の繊維状多孔質シリカ粒子の製造方法であって、酸性水溶液及び非イオン性界面活性剤の混合液に、アルカリ珪酸塩水溶液を攪拌下で混合し、攪拌し続けながら、一定時間経過し固形反応物が生成した後、フッ化物を添加して得られる繊維状粒子中の非イオン性界面活性剤を除去することを特徴とする繊維状多孔質シリカ粒子の製造方法。
  5. 非イオン性界面活性剤をアルカリ珪酸塩中のSiO 1モル当たり0.002乃至0.25の量で用いることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  6. 酸をアルカリ珪酸塩中のSiO 1モル当たり0.6乃至15モルの量で用いることを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 水をアルカリ珪酸塩中のSiO 1モル当たり100乃至400モルの量で用いることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の製造方法。
  8. フッ化物をアルカリ珪酸塩中のSiO 1モル当たり0.15乃至2.0モルの量で用いることを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 反応を20℃乃至45℃の温度で行うことを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 請求項1から3のいずれかの記載の繊維状多孔質シリカ粒子からなることを特徴とする樹脂添加剤。
  11. 請求項1から3のいずれかの記載の繊維状多孔質シリカ粒子からなることを特徴とするインク吸着用フィラー。
  12. 請求項1から3のいずれかに記載の繊維状多孔質シリカ粒子からなることを特徴とする石綿代替材料。
  13. 請求項1から3のいずれかに記載の繊維状多孔質シリカ粒子からなることを特徴とする増粘剤。
  14. 請求項1から3のいずれかに記載の繊維状多孔質シリカ粒子からなることを特徴とする触媒担体
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