JP5093647B2 - メソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法、メソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体及びそれを用いたガス浄化材料 - Google Patents

メソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法、メソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体及びそれを用いたガス浄化材料 Download PDF

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Description

本発明は、メソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法、メソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体並びにそれを用いたガス浄化材料に関する。
従来から、金属酸化物多孔体は、ガス浄化材料、吸着材、分離材、触媒、触媒単体等の様々な用途に用いられてきた。そして、このような金属酸化物多孔体としては、より高い吸着、触媒性能を発揮させるという観点から、一次元チャンネル構造のものに比べて三次元チャンネル構造を有するものの方が有利であると考えられている。そのため、種々の三次元チャンネル構造を有する金属酸化物多孔体が研究され、その製造方法が開示されてきた。
例えば、界面活性剤の濃厚溶液中でシリカを重合することにより得られるシリカメソ多孔体(MCM−41)が知られている(C.t.Kresge et al.,Nature,1992年発行,vol.359,710頁(非特許文献1))。また、チタンテトライソプロポキシドにアセチルアセトンを加えて安定化させた混合液中に界面活性剤として長鎖アルキルリン酸を加え、界面活性剤の共存下においてチタンテトライソプロポキシドを加水分解せしめることにより得られるMCM−41に類似した構造を有するチタン酸化物(TiO)多孔体も知られている(D.M.Antonelli et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engel.,1995年発行,vol.34,2014−2017頁(非特許文献2))。更に、特開平10−68719号公報(特許文献1)においては、界面活性剤を溶解させた溶媒に層状ケイ酸塩を分散させた後、30〜150℃で加熱し、得られた固形生成物を乾燥させ、焼成することで得られるシリカメソ多孔体が開示されている。また、特開2002−261333号公報(特許文献2)においては、細孔構造周期が六方配列構造であり、細孔の最大長が平均2nm〜50nmであり、該細孔を形成する壁がTa、Nbまたはこれらの複合酸化物並びにAl酸化物から選択される非シリカ系酸化物から構成されているメソポーラス酸化物が開示されており、その製造方法として、TaCl、NbCl又はこれら混合物並びにAlイソプロポキシドと、脂肪族直鎖アルコールと、テンプレート化合物とを含有する溶液に水又は無機酸水溶液を加えてゾル溶液を形成した後、前記ゾルを熟成させてゲルを形成し、得られたゲルを酸素が存する雰囲気下で焼成する方法が開示されている。
しかしながら、このような特許文献1〜2及び非特許文献1〜2に記載のような従来の多孔体は、必ずしも十分なガス浄化性能を有するものではなかった。
特開平10−68719号公報 特開2002−261333号公報 C.t.Kresge et al.,Nature,1992年発行,vol.359,710頁 D.M.Antonelli et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engel.,1995年発行,vol.34,2014−2017頁
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、結晶質金属酸化物の微細な粒子が凝集して形成され、メソ孔領域及びマイクロ孔領域の細孔構造を有し、十分に高いガス浄化性能を発揮することが可能な金属酸化物多孔体を製造することを可能とするメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法、その方法を採用して得られるメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体、並びにそれを用いたガス浄化材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、銀、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の塩と、界面活性剤としての特定の長鎖有機アミンと、水と、有機溶媒とを含有する混合溶液中において、上記特定の金属の塩を加水分解することにより、結晶質金属酸化物の微細な粒子が凝集して形成され、メソ孔及びマイクロ孔を有し、十分に高いガス浄化性能を発揮することが可能な金属酸化物多孔体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のガス浄化材料の製造方法は、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の塩と、炭素数12〜16の炭化水素基を有する長鎖有機アミンからなるノニオン系の界面活性剤と、水と、有機溶媒とを含有する混合溶液中で前記金属塩を加水分解させて、細孔内に前記界面活性剤が導入されてなる金属酸化物多孔体前駆体を得る工程と、
前記多孔体前駆体から前記界面活性剤を除去せしめて、メソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体からなるガス浄化材料を得る工程と、
を含み、且つ、
前記2種以上の金属の組み合わせが、セリウムとジルコニウムの組み合わせ、セリウムとチタンの組み合わせ、セリウムと鉄の組み合わせ、ランタンとチタンの組み合わせ、セリウムとマンガンの組み合わせ、セリウムとシリコンの組み合わせ、又は、マンガンと鉄の組み合わせ、であること、
を特徴とする方法である。
上記本発明にかかる長鎖有機アミンとしては、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン及びn−ヘキサデシルアミンからなる群から選択される少なくとも1種の直鎖有機アミンが好ましい。
また、上記本発明のガス浄化材料の製造方法においては、前記加水分解工程において、前記有機溶媒中で前記金属塩と前記界面活性剤とのゲルを形成させた後、水を加えて前記金属塩を加水分解させることが好ましい。
また、上記本発明のガス浄化材料の製造方法においては、前記界面活性剤に対する前記金属塩の含有比率がモル比([金属塩の物質量]/[界面活性剤の物質量])で0.1〜20の範囲にあり且つ前記界面活性剤に対する前記有機溶媒の含有比率がモル比([有機溶媒の物質量]/[界面活性剤の物質量])で10〜200の範囲にあることが好ましい。
さらに、上記本発明のガス浄化材料の製造方法においては、前記加水分解工程において、前記混合溶液中に炭素数1〜8の炭化水素基を有する有機アミンを更に加えることが好ましい。
また、上記本発明のガス浄化材料の製造方法においては、前記金属酸化物多孔体が、金属酸化物のナノ1次粒子が凝集して形成された2次粒子が凝集してなり、
前記金属酸化物のナノ1次粒子が、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の結晶質金属酸化物からなる平均一次粒子径が1〜8nmの粒子であり、
前記2次粒子が、前記ナノ1次粒子の凝集により形成された平均細孔直径が2nm以下のマイクロ孔領域の細孔構造を有する平均二次粒子径が12〜30nmの粒子であり
前記2次粒子の凝集により形成された中心細孔直径が2〜10nmのメソ孔領域の細孔構造を有するものであり、且つ、
前記2種以上の金属の組み合わせが、セリウムとジルコニウムの組み合わせ、セリウムとチタンの組み合わせ、セリウムと鉄の組み合わせ、ランタンとチタンの組み合わせ、セリウムとマンガンの組み合わせ、セリウムとシリコンの組み合わせ、又は、マンガンと鉄の組み合わせ、であること、
が好ましい。
また、本発明のガス浄化材料は、上記本発明のガス浄化材料の製造方法により得られたものであることを特徴とするものである。
なお、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体によって、十分に高いガス浄化性能が発揮される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、上記非特許文献1〜2や上記特許文献1に記載の従来の多孔体は、細孔の壁体が非晶質の金属酸化物により構成されたものであるに対して、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体は、結晶質金属酸化物のナノ1次粒子の凝集により形成されたマイクロ孔と、前記2次粒子の凝集により形成されたメソ孔とを有しており、細孔の壁体が結晶質の金属酸化物により構成されている。また、上記特許文献2に記載の多孔体においては、細孔構造が六方配列構造となっているのに対して、本発明の金属酸化物多孔体においては、3次元に不規則に配列した細孔構造を有する。そのため、本発明の金属酸化物多孔体は、細孔が結晶質金属酸化物の微細な粒子によって形成され、細孔径、比表面積及び細孔容積の拡大が図られるとともに、その微細な粒子によって形成された3次元細孔構造により、吸着物質や反応基質が細孔構造による制限を受けずに細孔内に速やかに拡散されるため、吸着物質や反応基質に対する吸着性及び反応性が十分に向上され、十分に高いガス浄化性能を発揮できるものと本発明者らは推察する。
また、上記本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法により、上記2種以上の金属の結晶質金属酸化物の微細な粒子が凝集してメソ孔及びマイクロ孔が形成された金属酸化物多孔体が得られる理由は必ずしも定かではないが、前記溶液中で起こる前記金属塩と前記長鎖有機アミン(界面活性剤)との共同的な組織化が重要であると本発明者らは推察する。
本発明によれば、結晶質金属酸化物の微細な粒子が凝集してなり、十分に高いガス浄化性能を発揮することが可能なメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体を製造することを可能とするメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法、その方法を採用して得られるメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体、並びにそれを用いたガス浄化材料を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法について説明する。すなわち、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法は、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、銀、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の塩と、炭素数12〜16の炭化水素基を有する長鎖有機アミンからなるノニオン系の界面活性剤と、水と、有機溶媒とを含有する混合溶液中で前記金属塩を加水分解させて、細孔内に前記界面活性剤が導入されてなる金属酸化物多孔体前駆体を得る工程(第1工程)と、
前記多孔体前駆体から前記界面活性剤を除去せしめて、メソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体を得る工程(第2工程)と、
を含むことを特徴とする方法である。
本発明にかかる金属塩は、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、銀、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の塩である。このような金属の中でも、酸化活性発現という観点から、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、チタン、シリコンを用いることがより好ましい。また、このような金属の塩としては、前記金属の硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物(塩化物、フッ化物等)、有機塩等が挙げられ、塩の除去(例えば硝酸イオン、塩化物イオン等の除去)の容易さ、安全性等の観点から、有機塩がより好ましい。また、このような有機塩としては、酢酸塩、アルコキシド等が挙げられ、前記アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等が挙げられる。
また、上記2種以上の金属の組み合わせとしては、特に制限されないが、得られる金属酸化物多孔体がより高いガス浄化性能を発揮できるという観点から、セリウム−ジルコニウム、セリウム−チタン、セリウム−鉄、ランタン−チタン、セリウム−マンガン、セリウム−シリコン、又は、マンガン−鉄の組み合わせが好ましく、中でも、セリウム−ジルコニウム、セリウム−チタン、セリウム−鉄、又は、セリウム−マンガンの組み合わせがより好ましい。
また、本発明にかかるノニオン系の界面活性剤は、炭素数12〜16の炭化水素基を有する長鎖有機アミンからなるものである。このような界面活性剤としての長鎖有機アミンが有する前記炭化水素基の炭素数が前記下限未満では、前記金属塩と前記界面活性剤とで良好なミセルが形成されず、他方、前記上限を超えても良好なミセルが形成されず、目的とする細孔構造を有する金属酸化物多孔体が得られなくなる。また、このような炭化水素基は、直鎖状のものであっても、分岐鎖状のものであってもよい。更に、このような長鎖有機アミンは、第1級アミンであっても、第2級アミンであっても、第3級アミンであってもよく、入手のし易さ、生成する金属酸化物多孔体前駆体の安定性、均一性から第1級が好ましい。
このような長鎖有機アミンとしては、例えば、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルトリデシルアミン、ジメチルテトラデシルアミン等が挙げられ、生成する金属酸化物多孔体前駆体の安定性、均一性から、直鎖状のアルキル基を有する長鎖有機アミンが好ましく、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン及びn−ヘキサデシルアミンが好ましい。
また、本発明にかかる有機溶媒としては特に制限されないが、アルコール及びアセトンが好適に用いられる。
さらに、前記混合溶液中の前記界面活性剤に対する前記金属塩の含有比率としては、モル比([金属塩の物質量]/[界面活性剤の物質量])で0.1〜20(より好ましくは0.5〜10)の範囲にあることが好ましい。このような金属塩の含有比率が前記下限未満では、収率が低下するばかりか、界面活性剤を多く用いるため後の工程でその除去工程が更に増え、不経済となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、マイクロ孔及びメソ孔を有する細孔構造が得られなくなる傾向にある。
また、前記混合溶液中の前記界面活性剤に対する前記有機溶媒の含有比率としては、モル比([有機溶媒の物質量]/[界面活性剤の物質量])で10〜200(より好ましくは50〜100)の範囲にあることが好ましい。このような有機溶媒の含有比率が前記下限未満では、界面活性剤が溶解しにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、良好なミセルが形成されなくなる傾向にある。
以下、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法を各工程に分けて説明する。
先ず、第1工程について説明する。このような第1工程は、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、銀、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の塩と、炭素数12〜16の炭化水素基を有する長鎖有機アミンからなるノニオン系の界面活性剤と、水と、有機溶媒とを含有する混合溶液中で前記金属塩を加水分解させて、細孔内に前記界面活性剤が導入されてなる金属酸化物多孔体前駆体を得る工程である。
このような第1工程においては、前記有機溶媒中で前記金属塩と前記界面活性剤とのゲルを形成させた後、水を加えて前記金属塩を加水分解させることが好ましい。すなわち、
先ず、有機溶媒と前記金属塩と前記界面活性剤とを含む溶液を調製した後、その溶液中で前記金属塩と前記界面活性剤とのゲルを形成させ、次いで、水を加えて混合溶液を調製し、前記金属塩を加水分解させることが好ましい。
このようなゲルを形成させるための好適な方法としては、前記有機溶媒に前記長鎖有機アミン(界面活性剤)を溶解させて界面活性剤含有溶液を調製した後、前記界面活性剤含有溶液中に前記金属塩を添加し、撹拌することにより、前記金属塩と前記界面活性剤とのゲル(ミセル)を形成させる方法が挙げられる。また、前記界面活性剤と前記有機溶媒と前記前記金属塩の含有比率は、前述の混合溶媒中での比率と同様の範囲にあることが好ましい。
また、前記界面活性剤含有溶液を調製する際の温度や圧力等の諸条件は特に制限されないが、温度は20〜50℃程度(より好ましく35℃程度)であることが好ましく、圧力は900hPa〜1100hPa程度とすることが好ましい。また、前記界面活性剤含有溶液中に前記金属塩を添加し、撹拌してゲルを形成させる際の温度や圧力等の諸条件は特に制限されないが、温度は10〜30℃程度(より好ましく室温(25℃)程度)であることが好ましく、圧力は90KPa〜110KPa程度であることが好ましく、撹拌時間は0.5〜10時間程度であることが好ましい。
また、前記加水分解工程においては、前記金属塩と前記界面活性剤とのゲルが形成された後に水を加え、1〜10時間撹拌することが好ましい。このようにして水を加えて撹拌することで前記金属塩を効率よく加水分解させることが可能となる。そして、前記金属塩が加水分解されると前記混合液中で前記金属の結晶質酸化物からなるゾル粒子が形成される。
このようなゾル粒子を析出させる際の温度や圧力等の諸条件としては特に制限されないが、温度は50〜150℃程度であることが好ましく、圧力は18KPa〜560KPa程度であることが好ましい。また、前記加水分解の際に添加する水の量は特に制限されず、前記金属塩を加水分解させるのに必要な量とすればよい。
さらに、このような加水分解工程においては、塩基性条件下で前記金属塩を加水分解させることが好ましい。塩基性条件下で前記金属塩を加水分解させることにより、前記金属の結晶化が効率よく進行し、前記金属のゾル粒子を効率よく析出させることができる傾向にある。また、ゾル粒子を徐序に析出させて、より均一な結晶質金属酸化物のナノ1次粒子を生成するという観点からは、前記混合溶液を弱塩基性とすることが好ましく、前記混合溶液のpHを7〜12(より好ましくは8〜9)の範囲とすることがより好ましい。このようなpH値が前記下限未満では、前記金属のゾル粒子を生成することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ゾル粒子の析出速度が速くなり、得られるナノ1次粒子の均一性が低下する傾向にある。
また、前記加水分解工程においては、前記混合溶液のpHを調整するために、前記混合溶液に必要に応じて塩基性調整剤を加えてもよい。このような塩基性調整剤としては、前記混合溶液を所望の塩基性とすることが可能なものであればよく、特に制限されず、例えば、尿素、アンモニア等が挙げられる。なお、このような塩基性調整剤の含有量は特に制限されず、pHを所望の範囲に調整するのに必要な量とすればよい。
さらに、前記加水分解工程においては、前記混合溶液中に炭素数1〜8の炭化水素基を有する有機アミンを更に加えることが好ましい。このような有機アミンを添加することで、加水分解の速度を制御することが可能となり、前記金属酸化物の結晶化速度をより好適な速度にして、より均一な粒子を形成させることが可能となる。このような炭素数1〜8の炭化水素基を有する有機アミンとしては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、アニリン、n-メチルアニリン、n,n−ジメチルアニリン等が挙げられ、金属酸化物の結晶化速度をより好適な速度に調整するために比較的強い塩基性を有するものがより好ましいという観点から、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンが好ましい。
また、前記加水分解により生成されるゾル粒子の平均一次粒子径としては、1〜8nm(より好ましくは2〜5nm)であることが好ましい。ゾル粒子の平均1次粒子径が前記下限未満では、そのサイズの粒子を製造することが困難である傾向にあり、他方、前記上限を超えると、目的とする細孔構造を有する金属酸化物多孔体が形成されなくなる傾向にある。また、このようなゾル粒子(1次粒子)の形状は特に制限されず、例えば、針状粒子、棒状粒子、羽毛状粒子、球状粒子、不定形状粒子等のものが挙げられる。
また、このような加水分解工程においては、前記ゾル粒子の1次粒子が析出すると、これが凝集して2次粒子が形成される。このような2次粒子の平均二次粒子径としては、12〜30nmの(より好ましくは15〜25nm)であることが好ましい。前記平均2次粒子径が前記下限未満の2次粒子は合成され難い傾向にあり、他方、前記上限を超えると、比表面積が低下する傾向にある。なお、このような2次粒子は、前記ゾル1次粒子の凝集によりマイクロ孔領域の細孔構造が形成されたものである。
さらに、このような加水分解工程において、前記2次粒子が形成されると、前記2次粒子と前記界面活性剤との複合体(ゲル又はゾル)が生成される。そして、このような2次粒子と前記界面活性剤の複合化によって、前記界面活性剤が存在している部分に孔が形成された構造の2次粒子の凝集体(細孔内に前記界面活性剤を導入してなる金属酸化物多孔体前駆体)が得られる。ここで、前記界面活性剤は孔形成のためのテンプレートとして機能する。そのため、前記金属酸化物多孔体前駆体には、前記界面活性剤をテンプレートとしたメソ孔領域の細孔構造が形成される。このように、前記界面活性剤は、反応生成物に孔を形成させる際のテンプレートとして働くため、用いる界面活性剤の種類は多孔体の孔の形状に大きな影響を与えるものである。そのため、より均一な中心細孔直径のメソ細孔を有する多孔体を製造したい場合には、界面活性剤を1種類のみ用いることが好ましく、様々なサイズの中心細孔直径のメソ細孔を有する多孔体を製造したい場合には、複数の界面活性剤を用いることが好ましい。
また、本発明においては、前記2次粒子と前記界面活性剤との複合体(ゲル又はゾル)を生成した後に、熟成処理を施すことが好ましい。このような熟成処理により、前記2次粒子の凝集が進行し、より効率よく金属酸化物多孔体が得られる傾向にある。このような熟成処理の条件は、用いる金属の種類等によっても異なるものであり特に制限されるものではないが、圧力を18KPa〜560KPa程度とし、温度を室温以上(好ましくは50〜150℃)として30分〜5日間(より好ましくは5時間〜3日間、更に好ましくは1日〜2日間)熱処理を施す方法を採用することが好ましい。
次に、第2工程について説明する。第2工程は、前記多孔体前駆体から前記界面活性剤を除去せしめて、メソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体を得る工程である。
このような多孔体前駆体から前記界面活性剤を除去する方法は特に制限されず、界面活性剤を除去することが可能な公知の方法を適宜採用することができ、例えば、焼成する方法、有機溶媒又は水で処理する方法を採用することができる。このような焼成する方法としては特に制限されないが、空気中あるいは不活性ガス中において、300℃〜700℃程度の温度条件下で4〜6時間程度焼成する方法が挙げられる。また、前記有機溶剤又は水で処理する方法としては、用いた界面活性剤に対する溶解度が高い良溶媒中に前記金属酸化物多孔体前駆体を浸漬して界面活性剤を抽出する方法が挙げられる。このような有機溶剤の種類は特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、アセトン等が挙げられる。
このような本発明の金属酸化物多孔体の製造方法により、結晶質金属酸化物の微細な粒子が凝集してなるメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体が得られる。そして、このような金属酸化物多孔体は、いわゆるウォームホール構造を有するものとなる。また、本発明によれば、このようにして得られるメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体を、金属酸化物のナノ1次粒子が凝集して形成された2次粒子が凝集してなり、
前記金属酸化物のナノ1次粒子が、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、銀、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の結晶質金属酸化物からなる平均一次粒子径が1〜8nmの粒子であり、
前記2次粒子が、前記ナノ1次粒子の凝集により形成された平均細孔直径が2nm以下のマイクロ孔領域の細孔構造を有する平均二次粒子径が12〜30nmの粒子であり、且つ、
前記2次粒子の凝集により形成された中心細孔直径が2〜10nmのメソ孔領域の細孔構造を有する金属酸化物多孔体とすることが可能となる。
以上、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法について説明したが、以下、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体について説明する。
本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体は、金属酸化物のナノ1次粒子が凝集して形成された2次粒子が凝集してなり、
前記金属酸化物のナノ1次粒子が、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、銀、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の結晶質金属酸化物からなる平均一次粒子径が1〜8nmの粒子であり、
前記2次粒子が、前記ナノ1次粒子の凝集により形成された平均細孔直径が2nm以下のマイクロ孔領域の細孔構造を有する平均二次粒子径が12〜30nmの粒子であり、且つ、
前記2次粒子の凝集により形成された中心細孔直径が2〜10nmのメソ孔領域の細孔構造を有すること、
を特徴とするものである。
本発明にかかる金属酸化物のナノ1次粒子は、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、銀、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の結晶質金属酸化物からなる平均一次粒子径が1〜8nmの粒子である。このような2種以上の金属として好適なもの及びその好適な組み合わせは、前述の本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法に用いる金属塩の説明中の2種以上の金属及びその組み合わせと同様である。
また、このようなナノ1次粒子の平均一次粒子径は1〜8nmであり、2〜5nmであることがより好ましい。このようなナノ1次粒子の平均一次粒子径が前記下限未満では、金属酸化物多孔体の製造が困難となり、他方、前記上限を超えると、2nm以下の平均細孔直径を有する細孔の形成が困難となる。なお、本発明にいう「粒子径」は、粒子が球形で無い場合には、原則として、その粒子の最小直径と最大直径との平均値をいうものとする。また、本発明にいう「平均一次粒子径」は、X線回析(XRD)による測定を行い、シェラーの式:
D=0.9λ/βcosθ
(式中、Dは粒子径を示し、λは使用X線波長を示し、βは試料の回折線幅を示し、θは回折角を示す)
を計算することにより求める。
また、本発明にかかる2次粒子は、ナノ1次粒子が凝集して形成された粒子であって、前記ナノ1次粒子の凝集により形成された平均細孔直径が2nm以下(より好ましくは0.8〜2nm)のマイクロ孔領域の細孔構造を有する粒子である。
このような平均細孔直径が前記上限を超えると、2次粒子が形成され難くなる傾向にあり、前記下限未満では、かさ高い分子の反応基質を細孔内に拡散させることが困難となる傾向にある。なお、本発明にいう「平均細孔直径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)により観測した画像から細孔径を読み取り、平均化することにより求めることができる。
また、前記2次粒子は、平均二次粒子径が12〜30nm(より好ましくは15〜25nm)の粒子である。このような2次粒子の平均二次粒子径が前記下限未満では、金属酸化物多孔体の製造が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、表面積が低下する傾向にある。なお、本発明にいう「平均二次粒子径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)により観測した画像から粒子径を読み取り、平均化することにより求めることができる。
また、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体は、前記2次粒子が凝集してなるものであり、且つ、前記2次粒子の凝集により形成された中心細孔直径が2〜10nmのメソ孔領域の細孔構造を有する。
このように、本発明の前記金属酸化物多孔体は、2次粒子の凝集により形成された中心細孔直径が2〜10nm(より好ましくは3〜7nm)のメソ孔領域の細孔を有する。このような細孔の細孔径が前記下限未満では、反応基質を細孔内に十分な速度で拡散させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、反応基質の吸着性能が低下し、反応効率が低下する傾向にある。
なお、本発明にいう「中心細孔直径」とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径をいう。ここで、「細孔径分布曲線」は、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、シリカ系メソ多孔体粒子を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得た後、その吸着等温線を用いてBJH法により細孔径分布曲線を求める方法により、細孔径分布曲線を求めることができる。
また、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体においては、微細な前記ナノ1次粒子を構成成分として形成されたものであるため、比表面積及び細孔の細孔容量の拡大が図られる。このような金属酸化物多孔体の比表面積としては特に制限はないが、より高いガス浄化性能を発揮するという観点から、100m/g以上であることが好ましく、150〜350m/gであることがより好ましい。なお、このような比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
さらに、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の形態は特に制限されず、粉末状のものであってもよく、粉末をモノリス形状の担体にコートしてもよく、必要に応じて成形してもよい。成形する手段はどのようなものでも良いが、押出成形、打錠成形、転動造粒、圧縮成形、CIP等が好ましい。また、その形状は使用箇所、方法に応じて決めることができる。
また、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体は、前述のように、結晶質の金属酸化物からなるため、吸着物質や反応基質に対する吸着性及び反応性が十分に向上されたものとなる。更に、前記メソ孔領域の細孔及びマイクロ孔領域の細孔が3次元に不規則に配列した3次元細孔構造を有するものであるため、吸着物質や反応基質が細孔構造による制限を受けずに細孔内に速やかに拡散される。そのため、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体は、空気中に含まれるVOC等の有害物質の吸着、分解のための材料、分離材料、触媒、触媒担体として有用である。なお、このような本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体は、上述の本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法を採用することにより好適に製造することが可能である。
以上、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体について説明したが、以下、本発明のガス浄化材料について説明する。
本発明のガス浄化材料は、上記本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体からなることを特徴とするものである。このように、本発明のガス浄化材料は、上記本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体からなり、結晶質金属酸化物の微粒子(ナノ粒子)が構成成分となるため、金属酸化物の触媒作用効果によって有害ガスの浄化を十分に達成することができ、しかも有害ガスの分解反応や吸着に寄与する細孔が不規則に配列されているため、有害ガスを細孔構造による制限を受けずに細孔内に速やかに拡散され、有害ガスを効率良く除去することが可能である。なお、このようなガス浄化材料の形態は特に制限されず、目的に応じて、上記本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体を公知の方法を採用して適宜成形すればよい。また、本発明のガス浄化材料は、浄化するガスの種類等に応じて、他の触媒成分等を適宜担持させて用いてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
界面活性剤としてのn−ヘキサデシルアミン(以後、HDAと略記する)10gを、1−プロパノール30g中に添加し、撹拌することにより、1−プロパノール中にHDAが溶解した界面活性剤含有溶液を得た。次に、前記界面活性剤含有溶液中に、酢酸セリウムを3.45g加えて溶解させた後、ジルコニアn−プロポキシドを4.31g加えて(Ce:Zr=1:1)溶解させ、1時間攪拌し、金属塩含有溶液を得た。次いで、前記金属塩含有溶液中にトリエタノールアミン1.55gと、水30gと、尿素1.2gとを加え、得られた混合溶液を強力に6時間攪拌し、前記混合溶液中にゾルを形成させた。次いで、前記ゾルを100℃の温度条件のオートクレーブ中で1日間熟成させた。そして、得られた反応生成物をエタノールで洗浄した後、前記反応生成物を大気中、450℃の温度条件下で6時間焼成し、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体を得た。
[実施例1で得られた金属酸化物多孔体の特性の評価]
<走査電子顕微鏡(SEM)による観測>
実施例1で得られた金属酸化物多孔体に対して、走査電子顕微鏡(SEM)による観測を行った。このような観測においては、走査電子顕微鏡(SEM)として、日立ハイテクノロジーズ走査電子顕微鏡(S−3600N)を用い、前記金属酸化物多孔体を銅製の試料セルに分散させ、更に金蒸着を行って観測を行った。得られた走査電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。
図1に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた金属酸化物多孔体は、いわゆるウォームホール構造の2次粒子の凝集体となっていることが確認された。
<透過電子顕微鏡(TEM)による観測>
実施例1で得られた金属酸化物多孔体に対して、透過電子顕微鏡(TEM)による観測を行った。なお、このような観測に際しては、日本電子製透過電子顕微鏡(JEM−2010FEF)を用いた。得られた透過電子顕微鏡(TEM)写真を図2に示す。
図2に示す結果からも明らかなように、実施例1で得られた金属酸化物多孔体においては、細孔の壁体が、粒径が10nm以下の結晶化された金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子により構成されていることが確認された。更に、日本ベル株式会社製ガス吸着法細孔分布測定機(BELSORP18)を用い、N吸着等温線を測定して、MP法解析によるマイクロポア分析により2次粒子の細孔の平均細孔直径を求めたところ、平均細孔直径は1.0nmであることが確認された。また、透過型電子顕微鏡(TEM)写真より、2次粒子の平均二次粒子径は27nmであった。
<中心細孔直径の測定>
実施例1で得られた金属酸化物多孔体に対して、日本ベル株式会社製ガス吸着法細孔分布測定機(BELSORP 18)を用い、液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入することにより吸着等温線を測定し、かかる吸着等温線を用いてBJH法により算出することで細孔分布曲線を求めた。得られた吸着等温線を図3に示し、細孔分布曲線を図4に示す。
図3に示す結果からも明らかなように、吸着等温線においてメソ細孔を示す相対圧0.4〜0.9の領域での吸脱着曲線(IV型)が認められること並びにそのヒステリシスループから、実施例1で得られた金属酸化物多孔体がメソ細孔を有することが確認された。また、図4に示す結果から、実施例1で得られた金属酸化物多孔体においては、中心細孔直径が4nmのメソ孔が形成されていることが確認された。
<X線回析による測定>
実施例1で得られた金属酸化物多孔体に対して、X線回析(XRD)による測定を行った。なお、このようなX線回析には、リガク製X線回析装置(RINT2100)を用いた。また、測定に際しては、走査範囲を0.5〜5°とし、スキャン速度を1°/分とし、スキャンステップを0.01°とし、発散及び散乱スリットを1/6degとし、受光スリットを0.15mmとして測定した。得られたX線回析(XRD)パターンのうち低角域のXRDパターンを図5に示し、広角域のXRDパターンを図6に示す。
図5に示す結果から、実施例1で得られた金属酸化物多孔体においては、そのXRDパターンに2θ=1.2°付近をピークとするブロードなピークが確認され、3次元に不規則に配列した細孔構造に由来するメソ孔が存在することが確認された。また、図6に示す結果から、実施例1で得られた金属酸化物多孔体においては、セリアの蛍石型のCeO2結晶が形成されていることが確認された。なお、ジルコニアに帰属するピークは認められなかった。また、シェラーの式:D=0.9λ/βcosθ(式中、Dは粒子径を示し、λは使用X線波長(1.54060Å)を示し、βは試料の回折線幅を示し、θは回折角を示す)により求められた1次粒子の平均一次粒子径は3.7nmであった。
<比表面積の測定>
実施例1で得られた金属酸化物多孔体の比表面積を測定した。このような比表面積の測定には、日本ベル株式会社製ガス吸着法細孔分布測定機(BELSORP 18)を用いた。また、比表面積はN吸着(BET1点法)により測定した。このような測定の結果、実施例1で得られた金属酸化物多孔体の比表面積は、136m/gであることが確認された。
(比較例1)
先ず、硝酸セリウム217.1とオキシ硝酸ジルコニウム133.6gとを水1500gに加え、セリウム原子とジルコニウム原子とを1:1(モル比)で含有する第一水溶液を調製した。次に、第一水溶液を攪拌しながらアンモニア水を滴下して沈殿を生成させた。その後、沈殿の生成された第一水溶液中に、第一水溶液中に含まれるセリウム原子のモル比の1/2に相当する過酸化水素を含有する第二水溶液と、得られる酸化物の質量(理論値)の10%に相当する質量のアルキルベンゼンスルホン酸を含む第三水溶液とを滴下し、これらの混合溶液を攪拌してスラリーとした。そして、得られたスラリーを乾燥させ、共存する硝酸アンモニウムを除去して、酸化セリウム−酸化ジルコニウムの固溶体(多孔体)を得た。
比較例1で得られた多孔体の比表面積を、実施例1で得られた金属酸化物多孔体の特性評価で採用した方法と同様の方法を採用して測定したところ、N吸着BET1点法により測定した比表面積は50m/gであった。また、比較例1で得られた多孔体の吸着等温線から、メソ細孔の存在は確認されなかった。
[実施例1及び比較例1で得られた多孔体のガス浄化性能の評価試験]
以下のようにして、実施例1及び比較例1で得られた多孔体のアセトアルデヒド除去性能を評価した。すなわち、先ず、多孔体1.0gと、80ppmのアセトアルデヒドを含む空気5リットルとをそれぞれガス非透過性の袋に入れて密封し、その後、前記袋を25℃の温度条件下において24時間静置した。そして、24時間経過した後、各袋内のアセトアルデヒドの濃度をガスクロマトグラフィー(SHIMAZU 12A)で測定し、袋に多孔体を入れない場合のブランク濃度との差から各多孔体のアセトアルデヒドの除去率を求めた。
このような測定の結果、実施例1で得られた金属酸化物多孔体においては、アセトアルデヒドの除去率が100%であった。一方、比較例1で得られた酸化セリウム−酸化ジルコニウムの多孔体においては、アセトアルデヒドの除去率は58%であった。このような結果から、本発明の金属酸化物多孔体が十分に高いガス浄化性能を有することが確認された。
(実施例2)
2gのHDAを6gの1−プロパノール中に添加し、攪拌することにより、1−プロパノール中にHDAが溶解した界面活性剤含有溶液を得た。次に、前記界面活性剤含有溶液中に、酢酸セリウムを0.69g加えて溶解した後、チタンテトライソプロポキシドを0.59g加えて(Ce:Ti=1:1)溶解させ、1時間攪拌し、金属塩含有溶液を得た。次いで、前記金属塩含有溶液中に、トリエタノールアミン0.31gと、水6gとを加え、得られた混合溶液を強力に6時間攪拌し、前記混合溶液中にゾルを形成させた。次いで、前記ゾルを60℃の温度条件のオートクレーブ中で6時間熟成させた。そして、得られた反応生成物をエタノールで洗浄した後、大気中、450℃の温度条件下で6時間焼成して、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体を得た。
[実施例2で得られた金属酸化物多孔体の特性の評価]
実施例2で得られた金属酸化物多孔体に対して、実施例1で得られた金属酸化物多孔体の特性評価で採用した方法と同様の方法を採用して測定を行った。実施例2で得られた金属酸化物多孔体の透過型顕微鏡(TEM)写真を図7に示し、吸着等温線を図8に示し、細孔分布曲線を図9に示す。
図7に示す結果からも明らかなように、実施例2で得られた金属酸化物多孔体は、いわゆるウォームホール構造の2次粒子の凝集体となっていることが確認された。また、透過型顕微鏡による観察により、実施例2で得られた金属酸化物多孔体は、結晶質金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子の凝集した構造を有することが確認された。さらに、2次粒子の細孔の平均細孔直径は1.7nmであり、前記2次粒子がマイクロ孔を有することが確認された。また、透過型電子顕微鏡(TEM)写真より、2次粒子の平均二次粒子径は22nmであることが確認された。
また、図8に示す結果からも明らかなように、実施例2で得られた金属酸化物多孔体においては、メソ細孔を示す相対圧0.4〜0.9の領域での吸脱着曲線(IV型)が認められること並びにそのヒステリシスループから、メソ細孔を有することが確認された。また、図9に示す細孔分布曲線からも明らかなように、実施例2で得られた金属酸化物多孔体においては、中心細孔直径が3.6nmのメソ孔が存在することが確認された。更に、実施例2で得られた金属酸化物多孔体においては、N吸着BET1点法により測定された比表面積が349m/gであった。また、XRD測定の結果から、実施例2で得られた金属酸化物多孔体においては、1次粒子の平均一次粒子径は3.4nmであった。
(比較例2)
蒸留水で稀釈した0.1mol/Lの塩化セリウム7水和物の水溶液100mlと、蒸留水で稀釈した0.1mol/Lの塩化チタンの水溶液100mlを混合して混合液を得た。次に、得られた混合液中にアンモニア水溶液を、加水分解によりゲル状の水酸化物の沈殿が完全に生成するまで滴下した。その後、ゲルが形成された混合液を激しく攪拌しながら、90〜95℃の温度条件のホットプレート上でゆっくり加熱して一晩保持した。その後、得られた反応生成物を塩化物イオンが検出されなくなるまで数回水洗し、120℃の温度条件下で12時間乾燥させた後、500℃の温度条件で5時間焼成して多孔体を得た。
比較例2で得られた多孔体の比表面積を、実施例1で得られた金属酸化物多孔体の特性評価の方法と同様の方法を採用して測定したところ、N吸着BET1点法により求められた比表面積は68m/gであった。また、比較例2で得られた多孔体の吸着等温線を測定したところ、メソ細孔の存在は確認されなかった。
[実施例2及び比較例2で得られた多孔体のガス浄化性能の評価試験1]
以下のようにして、実施例2及び比較例2で得られた多孔体のトルエン除去性能を評価した。すなわち、多孔体0.5gと、103ppmのトルエンを含む空気5リットルをそれぞれガス非透過性の袋に入れ密封し、前記袋を25℃の温度条件下において静置した。そして、所定時間ごと(1時間後、3時間後、5時間後)にそれぞれの袋内のトルエンの濃度をガスクロマトグラフィー(SHIMAZU 12A)で測定した。そして、袋に多孔体を入れなかった場合のブランク濃度との差から各多孔体のトルエンの除去率をそれぞれ求めた。実施例2及び比較例2で得られた多孔体のトルエン除去率と、経過時間との関係を示すグラフを図10に示す。
図10に示す結果からも明らかなように、本発明の金属酸化物多孔体(実施例2)においては、十分に高いガス浄化性能を発揮できることが確認された。
[実施例2及び比較例2で得られた多孔体のガス浄化性能の評価試験2]
上記ガス浄化性能の評価試験1でトルエン除去能を評価した後の各袋を用い、実施例2及び比較例2で得られた多孔体のトルエンの除去率を求めた。すなわち、前記各袋を85℃の恒温槽中で24時間保持した後、各袋内のトルエンの濃度をガスクロマトグラフィー(SHIMAZU 12A)で測定した。そして、袋に多孔体を入れない場合のブランク濃度との差から各多孔体のトルエンの除去率をそれぞれ求めた。また、このような測定に際して、袋の内部のCO濃度も合わせて求めた。なお、COの濃度測定にはCO測定器(LICOR社 LI6262)を用いた。得られた結果を表1に示す。
表1に示す結果からも明らかなように、実施例2で得られた金属酸化物多孔体のトルエンの除去率は38%であるのに対し、比較例2得られた多孔体のトルエンの除去率は6%であることが確認された。このような結果から、本発明の金属酸化物多孔体はアセトアルデヒドの除去性能に優れることが確認された。さらに、表1に示す結果から、本発明の金属酸化物多孔体は、85℃に加温した条件下でトルエンを分解してCOを生成することが可能であることが確認され、酸化分解型の触媒機能を有することが分かった。
(実施例3)
4gのHDAを12gの1−プロパノール中に添加して攪拌することにより、1−プロパノール中にHDAが溶解した界面活性剤含有溶液を得た。次に、前記界面活性剤含有溶液中に酢酸セリウムを3.45g加えて溶解させた後、酢酸鉄1.73g加えて(Ce:Fe=1:1)溶解させ、1時間攪拌して金属塩含有溶液を得た。次いで、前記金属塩含有溶液中にトリエタノールアミン0.62gと、水12gとを加え、得られた混合溶液を強力に6時間攪拌して前記混合溶液中にゾルを形成させた。次いで、前記ゾルを60℃の温度条件のオートクレーブ中で6時間熟成させた。そして、得られた反応生成物をエタノールで洗浄した後、大気中、450℃の温度条件で6時間焼成して本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体を得た。
実施例1で得られた金属酸化物多孔体の特性評価で採用した方法と同様の方法を採用して実施例3で得られた金属酸化物多孔体の特性を評価した。透過型電子顕微鏡による測定の結果、結晶質金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子が凝集してなる構造が確認され、更に1.5nmの平均細孔径を有するマイクロ孔を有することが確認された。また、透過型電子顕微鏡(TEM)写真から、2次粒子の平均二次粒子径は25nmであることが確認された。
また、実施例3で得られた金属酸化物多孔体のN吸着BET1点法によりセリア鉄の比表面積は322m/gであった。更に、窒素ガスの吸着等温線から、実施例3で得られた金属酸化物多孔体は中心細孔直径が3nmのメソ孔領域の細孔構造があることが確認された。また、XRD測定の結果から、1次粒子の平均一次粒子径は3.5nmであった。
また、実施例3で得られた金属酸化物多孔体を用いて、実施例2で得られた金属酸化物多孔体に対して行ったガス浄化性能の評価試験1と同様の方法を採用してトルエン除去率を求めたところ、5時間後のトルエン除去率は26%であることが分かった。このようなトルエン除去率の結果から、実施例3で得られた金属酸化物多孔体は、十分に高いガス浄化性能を有することが確認された。
(実施例4)
4gのHDAを12gの1−プロパノール中に添加して攪拌することにより、1−プロパノール中にHDAが溶解した界面活性剤含有溶液を得た。次に、前記界面活性剤含有溶液中に酢酸ランタンを3.43g加えて溶解させた後、チタンテトライソプロポキシドを2.84g加えて(La:Ti=1:1)溶解させ、1時間攪拌して金属塩含有溶液を得た。次いで、前記金属塩含有溶液中にトリエタノールアミン0.62gと、水12gとを加え、得られた混合溶液を強力に6時間攪拌して、前記混合溶液中にゾルを形成させた。次いで、前記ゾルを60℃の温度条件のオートクレーブ中で6時間熟成させた。そして、得られた反応生成物をエタノールで洗浄した後、大気中、450℃の温度条件で6時間焼成して本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体を得た。
実施例1で得られた金属酸化物多孔体の特性評価で採用した方法と同様の方法を採用して実施例4で得られた金属酸化物多孔体の特性を評価した。透過型電子顕微鏡による測定の結果、結晶質金属酸化物の1次粒子が凝集した2次粒子が凝集してなる構造が確認され、更に平均細孔径が1.9nmのマイクロ孔を有することが確認された。また、透過型電子顕微鏡(TEM)写真から、2次粒子の平均二次粒子径は22nmであることが確認された。
また、実施例4で得られた金属酸化物多孔体のN吸着BET1点法によりセリア鉄の比表面積は362m/gであった。更に、実施例4で得られた金属酸化物多孔体の窒素ガスの吸着等温線から、実施例4で得られた金属酸化物多孔体は中心細孔直径が3nmのメソ孔を有することが確認された。また、XRD測定の結果から、1次粒子の平均一次粒子径は3.3nmであった。
また、実施例4で得られた金属酸化物多孔体を用いて、実施例2で得られた金属酸化物多孔体に対して行ったガス浄化性能の評価試験1と同様の方法を採用してトルエン除去率を求めたところ、5時間後のトルエン除去率は20%であることが分かった。このようなトルエン除去率の結果から、実施例3で得られた金属酸化物多孔体は、十分に高いガス浄化性能を有することが確認された。
(比較例3)
比較界面活性剤としてのF−127ブロック共重合体(アルドリッチ社製)5.82gを1−プロパノール30g中に添加し、攪拌して、1−プロパノール中にF−127ブロック共重合体が溶解した界面活性剤含有溶液を得た。次に、前記界面活性剤含有溶液中に、酢酸セリウムを3.45g加えて溶解させた後、ジルコニアn−プロポキシドを4.31g加えて(Ce:Zr=1:1)溶解させ、1時間攪拌して金属塩含有溶液を得た。次いで、前記金属塩含有溶液中にトリエタノールアミン1.55gと、水30gと、尿素1.2gとを加えて、得られた混合溶液を強力に6時間攪拌して、前記混合溶液中にゾルを形成させた。次いで、前記ゾルを100℃の温度条件のオートクレーブ中で1日間熟成させた。そして、得られた反応性生物をエタノールで洗浄した後、大気中、450℃の温度条件で6時間焼成して比較のための多孔体を得た。
比較例3で得られた多孔体に対して、実施例1で得られた金属酸化物多孔体の特性評価の方法と同様の方法を採用して、XRD測定を行った。このようにして得られた低角域のX線回折パターンを図11に示す。図11に示す結果からも明らかなように、比較例3で得られた多孔体においては、メソ孔領域を示すピークが確認されなかった。
また、比較例3で得られた多孔体の比表面積を、実施例1で得られた金属酸化物多孔体の特性評価の方法と同様の方法を採用して測定したところ、BET1点法による比表面積は59m/gと小さかった。このような結果から、長鎖有機アミン以外の界面活性剤(F−127ブロック共重合体)を用いた場合には、本発明の金属酸化物多孔体のようなメソ孔領域の細孔構造を有する多孔体が得られないことが分かった。
(比較例4)
比較界面活性剤としてのn−ウンデシルアミン(CH(CH10NH)7.1gを1−プロパノール30g中に添加し、攪拌して、1−プロパノール中にn−ウンデシルアミンが溶解した界面活性剤含有溶液を得た。次に、前記界面活性剤含有溶液中に、酢酸セリウムを3.45g加えて溶解させた後、ジルコニアn−プロポキシドを4.31g加えて(Ce:Zr=1:1)溶解させ、1時間攪拌して金属塩含有溶液を得た。次いで、前記金属塩含有溶液中にトリエタノールアミン1.55gと、水30gと、尿素1.2gとを加え、得られた混合溶液を強力に6時間攪拌して、前記混合溶液中にゾルを形成させた。次いで、前記ゾルを100℃の温度条件のオートクレーブ中で1日間熟成させた。そして、得られた反応性生物をエタノールで洗浄した後、大気中、450℃の温度条件で6時間焼成して比較のための多孔体を得た。
比較例4で得られた多孔体を用い、実施例1で得られた金属酸化物多孔体の特性評価の方法と同様の方法を採用して、窒素吸着等温線を測定した。比較例4で得られた多孔体の窒素吸着等温線を図12に示す。
図12に示す結果からも明らかなように、メソ細孔を示す相対圧0.4〜0.9の領域での吸脱着曲線(IV型)が認められないこと並びにそのヒステリシスループから、比較例4で得られた多孔体においてはメソ細孔を有しないことが確認された。このような結果から、長鎖有機アミン以外の界面活性剤(n−ウンデシルアミン)を用いた場合には、本発明の金属酸化物多孔体のようなメソ孔領域の細孔構造を有する多孔体が得られないことが分かった。
(比較例5)
比較界面活性剤としてのn−ヘプタデシルアミン(CH(CH16NH)10.6gを1−プロパノール30g中に添加し攪拌して、1−プロパノール中にn−ヘプタデシルアミンが溶解した界面活性剤含有溶液を得た。次に、前記界面活性剤含有溶液中に、酢酸セリウムを3.45g加えて溶解させた後、ジルコニアn−プロポキシドを4.31g加えて(Ce:Zr=1:1)溶解させ、1時間攪拌して金属塩含有溶液を得た。次いで、前記金属塩含有溶液中にトリエタノールアミン1.55gと、水30gと、尿素1.2gとを加え、得られた混合溶液を強力に6時間攪拌して、前記混合溶液中にゾルを形成させた。次いで、前記ゾルを100℃の温度条件のオートクレーブ中で1日間熟成させた。そして、得られた反応性生物をエタノールで洗浄した後、大気中、450℃の温度条件で6時間焼成して比較のための多孔体を得た。
比較例5で得られた多孔体を用い、実施例1で得られた金属酸化物多孔体の特性評価の方法と同様の方法を採用して、窒素吸着等温線を測定した。比較例5で得られた多孔体の窒素吸着等温線を図13に示す。
図13に示す結果からも明らかなように、メソ細孔を示す相対圧0.4〜0.9の領域での吸脱着曲線(IV型)が認められないこと並びにそのヒステリシスループから、比較例4で得られた多孔体においては、メソ細孔を有しないことが確認された。このような結果から、炭素数が17の炭化水素基を有する有機アミンを界面活性剤として用いた場合には、本発明の金属酸化物多孔体のようなメソ孔領域の細孔構造を有する多孔体が得られないことが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、結晶質金属酸化物の微細な粒子が凝集して形成され、メソ孔領域及びマイクロ孔領域の細孔構造を有し、十分に高いガス浄化性能を発揮することが可能な金属酸化物多孔体を製造することを可能とするメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法、その方法を採用して得られるメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体、並びにそれを用いたガス浄化材料を提供することが可能となる。
したがって、本発明のメソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体の製造方法は、ガス中の有害物質を除去するために好適に用いることが可能な金属酸化物多孔体を製造する方法として特に有用である。
実施例1で得られた金属酸化物多孔体の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例1で得られた金属酸化物多孔体の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例1で得られた金属酸化物多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフである。 実施例1で得られた金属酸化物多孔体の細孔分布曲線を示すグラフである。 実施例1で得られた金属酸化物多孔体の低角域のXRDパターンを示すグラフである。 実施例1で得られた金属酸化物多孔体の広角域のXRDパターンを示すグラフである。 実施例2で得られた金属酸化物多孔体の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例2で得られた金属酸化物多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフである。 実施例2で得られた金属酸化物多孔体の細孔分布曲線を示すグラフである。 実施例2及び比較例2で得られた多孔体のトルエン除去率と、経過時間との関係を示すグラフである。 比較例3で得られた多孔体の低角域のX線回折パターンを示すグラフである。 比較例4で得られた多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフである。 比較例5で得られた多孔体の窒素吸着等温線を示すグラフである。

Claims (7)

  1. セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の塩と、炭素数12〜16の炭化水素基を有する長鎖有機アミンからなるノニオン系の界面活性剤と、水と、有機溶媒とを含有する混合溶液中で前記金属塩を加水分解させて、細孔内に前記界面活性剤が導入されてなる金属酸化物多孔体前駆体を得る工程と、
    前記多孔体前駆体から前記界面活性剤を除去せしめて、メソ孔及びマイクロ孔を有する金属酸化物多孔体からなるガス浄化材料を得る工程と、
    を含み、且つ、
    前記2種以上の金属の組み合わせが、セリウムとジルコニウムの組み合わせ、セリウムとチタンの組み合わせ、セリウムと鉄の組み合わせ、ランタンとチタンの組み合わせ、セリウムとマンガンの組み合わせ、セリウムとシリコンの組み合わせ、又は、マンガンと鉄の組み合わせ、であること、
    を特徴とするガス浄化材料の製造方法。
  2. 前記長鎖有機アミンが、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン及びn−ヘキサデシルアミンからなる群から選択される少なくとも1種の直鎖有機アミンであることを特徴とする請求項1に記載のガス浄化材料の製造方法。
  3. 前記加水分解工程において、前記有機溶媒中で前記金属塩と前記界面活性剤とのゲルを形成させた後、水を加えて前記金属塩を加水分解させることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス浄化材料の製造方法。
  4. 前記界面活性剤に対する前記金属塩の含有比率がモル比で0.1〜20の範囲にあり且つ前記界面活性剤に対する前記有機溶媒の含有比率がモル比で10〜200の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のガス浄化材料の製造方法。
  5. 前記加水分解工程において、前記混合溶液中に炭素数1〜8の炭化水素基を有する有機アミンを更に加えることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のガス浄化材料の製造方法。
  6. 前記金属酸化物多孔体が、金属酸化物のナノ1次粒子が凝集して形成された2次粒子が凝集してなり、
    前記金属酸化物のナノ1次粒子が、セリウム、ランタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、チタン及びシリコンからなる群から選択される2種以上の金属の結晶質金属酸化物からなる平均一次粒子径が1〜8nmの粒子であり、
    前記2次粒子が、前記ナノ1次粒子の凝集により形成された平均細孔直径が2nm以下のマイクロ孔領域の細孔構造を有する平均二次粒子径が12〜30nmの粒子であり
    前記2次粒子の凝集により形成された中心細孔直径が2〜10nmのメソ孔領域の細孔構造を有するものであり、且つ、
    前記2種以上の金属の組み合わせが、セリウムとジルコニウムの組み合わせ、セリウムとチタンの組み合わせ、セリウムと鉄の組み合わせ、ランタンとチタンの組み合わせ、セリウムとマンガンの組み合わせ、セリウムとシリコンの組み合わせ、又は、マンガンと鉄の組み合わせ、であること、
    を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のガス浄化材料の製造方法。
  7. 請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載のガス浄化材料の製造方法により得られたものであることを特徴とするガス浄化材料。
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