JP4442156B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録手段から記録媒体へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置、およびそれらの機能を備えるファクシミリ,複写機,プリンタ複合機,ワークステーション等の出力機器として用いられる記録装置に関する。
近年、オフィスにおけるカラー文書の普及はめざましく、そのための様々な出力機器が提案されている。特に、小型化が可能で低価格なインクジェット方式が様々な出力機器に使用されている。
インクジェット方式で用いられる記録ヘッドは、エネルギ発生手段と、エネルギ発生手段で発生したエネルギをインク吐出力に変換するエネルギ変換手段と、インク吐出力によってインク滴を吐出するインク吐出口と、インク吐出口に連通してインクを供給するインク供給路とから構成される。
エネルギ発生手段としては、ピエゾ素子等の電気機械変換体を用いた手段や発熱抵抗体を有する電気熱変換素子によってインクを加熱して気泡を発生させ、この気泡の生成によってインク滴を吐出させる手段等がある。
また、電気熱変換素子を利用する記録ヘッドでは、電気熱変換素子が小型であるためインク吐出口を高密度で配置することが可能であるだけでなく、その製造技術として半導体集積回路製造技術を転用することが可能であるため、高精度のインク吐出口を多数備えた記録ヘッドを小型化することができ、低コストで製造可能になる。
しかしながら、現在、主に普及しているのは、記録紙を搬送しながら記録ヘッドを往復運動させて1ラインずつ印字を行うシリアルスキャンと呼ばれる印字方式である。この方式は小型・低コストであるが、用紙全体にわたって画像を形成するために記録ヘッドのスキャンが複数回必要となり、印字速度が遅いという欠点がある。印字速度を向上させるためにはスキャン回数を低減させる必要があり、記録ヘッドの長尺化が必須となる。
これを極限まで推し進めたものが紙幅の記録ヘッドで行なう非走査の印字方式である。この印字方式は、記録紙の紙幅とほぼ同一の長さにわたって多数の吐出口を配列した紙幅対応の記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置であり、固定された記録ヘッドに対して記録紙が移動することによって記録が行われる。
このように、印字速度を向上させてオフィスユースに対応可能にするために、用紙幅対応の非走査型の記録ヘッドによって用紙を連続搬送しつつ印字するインクジェット記録装置が提案されている。(例えば、特許文献1、2。以下、従来例1、2という)
一方、インクジェット記録装置では、インク吐出性能を良好に維持するため、メンテナンス装置によって非印字時のインク滴の吐出(ダミージェット)やノズル面の清掃(ワイピング)、さらにはインクの乾燥防止(キャッピング)などが必要とされている。
例えば、非印字状態が長時間継続すると、乾燥したインクが増粘してノズルが詰まったり、ノズル面に埃が付着し、この結果、インク滴が吐出不能(ドット抜け)になったりインク滴の吐出方向が変化して、印字品質が低下したり印字不能になるからである。
そこで、一定期間印字を休止する場合には、インクジェット記録装置内において記録ヘッドを印字位置からメンテナンス位置に移動させ、記録ヘッドのノズル面に付着した埃などをワイパーで除去して、ノズル面をリフレッシュすることを行なう。
また、インクの粘度変化や気泡の発生によってインク滴の吐出性能が変化することを防止するために、非印字時に記録ヘッドから受け部材にインク滴を吐出させることを行う。
さらに、記録ヘッドのノズル面(ノズル)の乾燥を防止するため、キャップ部材が配設されている。このキャップ部材は、ゴム部をノズル面に圧着させることにより、ノズル面(ノズル)を外部から気密にするものである。
従来例1に係るインクジェット記録装置では、記録紙の紙幅とほぼ同一の長さにわたる長尺の記録ヘッドを備え、記録ヘッドを回復するための装置が装置内に備わっている。そして、所定枚数の印字が終了すると一旦装置の印字を停止し、記録ヘッドあるいは回復装置が所定の場所に移動し、回復動作を行っている。
従来例2に係るインクジェット記録装置では、記録紙の紙幅とほぼ同一の長さにわたる長尺の記録ヘッドを備え、記録紙の搬送をベルトにて行い、ベルト表面に複数の貫通孔および、対向する記録紙の裏面側にインク受け部を備えている。そして、このベルト上の貫通孔とインク受け部に向けて、記録ヘッドからインク滴を吐出し、ダミージェットを行っている。
また、記録ヘッド表面の清掃やキャッピングは記録ヘッドが清掃装置およびキャップ装置まで移動し行われる。
特開平02−179754号公報 特開平03−092358号公報
しかし、従来例1は記録ヘッドのダミージェット、清掃およびキャッピングを行う際に、記録ヘッドあるいは回復装置を一度、所定位置に移動させる必要があるため装置構成の複雑化や印字への復帰時間がかかるという不都合があった。
また、従来例2の構成ではダミージェットは印字中に行うことは出来るが、記録ヘッドの清掃やキャッピングは記録ヘッドを所定の位置に移動させるため、実施例1と同様に装置構成の複雑化や印字への復帰時間がかかるという不都合があった。
本発明は、上記不都合を解決するために、生産性を確保しつつ、高画質な画像を形成できる記録装置を提供することを目的とする。また、本発明は、メンテナンス動作が比較的容易な構成で達成できる記録装置を提供することを目的とする。
請求項記載の記録装置は、液滴を吐出する複数の単位記録ヘッドが所定の間隔をあけて、搬送される記録媒体の幅方向に沿って配列された記録ヘッドアレイと、前記単位記録ヘッドの液滴吐出面を清掃する清掃手段と、複数の前記清掃手段が取付けられ、清掃手段を前記単位記録ヘッドの配列方向又はこの配列方向に直交する方向へ一体に移動させる駆動手段と、を備え、前記駆動手段が、前記複数の清掃手段が取付けられた第1支持体と、前記第1支持体を昇降させると共に、前記清掃手段を前記単位記録ヘッドの配列方向又はこの配列方向に直交する方向へ移動させる駆動装置と、を含んで構成され、前記第1支持体の駆動方向が、隣接する前記記録ヘッドアレイ毎で互いに逆方向であることを特徴とする。
請求項記載の記録装置の作用について説明する。
清掃手段を単位記録ヘッドの配列方向又はこの配列方向に直交する方向へ一体に移動させる駆動手段を設けている。単位記録ヘッドを独立させた状態で個々に清掃する清掃手段では、装置が複雑で清掃手段毎にバラツキも生じ、清掃動作が不安定となり、また、動作設定も難しくなってしまうが、複数の単位記録ヘッドを並列に配置した記録ヘッドアレイ毎で、清掃手段を一体に移動させるようにすることで、装置自体を簡単な機構とすることができ、安定した清掃動作を得ることができる。
そして、複数の清掃手段を第1支持体に取付け、この第1支持体を昇降させると共に、清掃手段を単位記録ヘッドの配列方向又はこの配列方向に直交する方向へ移動させることで、清掃動作を単純化させている。また、第1支持体の駆動方向を、隣接する前記記録ヘッドアレイ毎で互いに逆方向となるようにしている。
例えば、各第1支持体の長さを互いに等しくし、第1支持体の端部がジグザグ状を成すようにして配設することで、第1支持体の端部と記録装置のケーシングとの間にはスペースが設けられる。このスペースを利用して第1支持体を往復移動させることで、メンテナンス装置の省スペース化を図ることができる。
請求項記載の記録装置は、請求項1記載の記録装置において、前記記録ヘッドアレイが記録媒体の搬送方向に沿って複数配列され、前記単位記録ヘッドが平面視にて千鳥状となっていることを特徴とする。
請求項記載の記録装置の作用について説明する。
単位記録ヘッドを千鳥配列することによって生じる記録装置のケーシングとのスペースへ向けて、清掃手段を移動させることができ、該スペースの有効利用にも繋がる。
請求項記載の記録装置は、請求項1または2記載の記録装置において、隣り合う第1支持体の駆動装置の配置位置が、隣接する前記記録ヘッドアレイ毎で互いに反対であることを特徴とする。
請求項記載の記録装置の作用について説明する。
隣り合う第1支持体の駆動装置の配置位置を、隣接する記録ヘッドアレイ毎で互いに反対とすることで、隣接する記録ヘッドアレイで駆動装置が隣り合うことはないため、駆動装置同士が干渉することはない。したがって、隣り合う記録ヘッドアレイ同士の間隔を狭くすることができ、省スペース化を図ることができる。また、隣り合う第1支持体の駆動装置の配置位置を、隣接する記録ヘッドアレイ毎で互いに反対とすることで、共通部品を使用でき、コストを低減することができる。
請求項記載の記録装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載の記録装置において、前記清掃手段の移動軌跡上に、清掃手段と接触して清掃手段に付着した汚れを除去する除去部材が配置され、前記除去部材が、前記第1支持体を跨ぐ第1門型フレームと、前記第1門型フレームの梁部の下面に取付けられ、前記清掃手段が摺擦する液滴吸収体と、で構成されて、前記第1門型フレームの梁部は、前記記録ヘッドアレイ間に延在し、前記単位記録ヘッド間に位置して、搬送される記録媒体を案内するガイド部となっていることを特徴とする。
請求項記載の記録装置の作用について説明する。
清掃手段の移動軌跡上に、清掃手段と接触して清掃手段に付着した汚れを除去する除去部材を配置することで、清掃手段の汚れを除去するため清掃手段に別途インク吸引装置等を設ける必要はなく、清掃手段と併せて機能させることができるため、機構が容易である。
ここで、除去部材が、第1支持体を跨ぐ第1門型フレームを備え、第1門型フレームの梁部の下面に液滴吸収体を取付け、清掃手段がこの液滴吸収体を摺擦する。
そして、第1門型フレームの梁部を、記録ヘッドアレイ間に延在させ、単位記録ヘッド間に配置し、ガイド部として搬送する記録媒体を案内させるようにすることで、搬送する記録媒体を案内するガイド部を別途設ける必要がないため、部品点数を増加させることなく、装置を単純化することができる。
請求項記載の記録装置は、請求項1〜4の何れか1項記載の記録装置において、前記液滴吐出面に対して接近離間自在で液滴吐出面への当接時に該液滴吐出面を気密にし、前記記録ヘッドから吐出された液滴を収容するキャップ手段を備え、前記清掃手段が、前記液滴吐出面に対して接近離間自在であり、前記第1支持体から立ち上げられ、第1支持体が前記単位記録ヘッドの配列方向又はこの配列方向に直交する方向へ移動したとき、前記キャップ手段を跨ぐ第2門型フレームと、前記第2門型フレームの梁部の上面に取付けられ、前記液滴吐出面への当接時に液滴吐出面に沿って移動可能な弾性体からなる当接部と、を含んで構成されたことを特徴とする。
請求項記載の記録装置では、液滴吐出面に対して接近離間自在であり、液滴吐出面への当接時に該液滴吐出面を気密にし、記録ヘッドから吐出された液滴を収容するキャップ手段を備えている。このように、キャップ手段によって記録ヘッドの液滴吐出面を気密にすることで、液滴を吐出するノズル内の液体の乾燥防止や液滴吐出面に対するゴミ、埃などの付着を防止することができる。
また、清掃手段が、液滴吐出面に対して接近離間自在であり、第1支持体から立ち上げられた第2門型フレームを備え、第1支持体が単位記録ヘッドの配列方向又はこの配列方向に直交する方向へ移動したとき、キャップ手段を跨ぐ。ここで、第2門型フレームの梁部の上面には当接部を取付けており、キャップ手段を跨ぐとき、液滴吐出面を摺動する。清掃手段の剛性が高い場合、液滴吐出面に十分に密着させることができず、清掃が困難となる。このため、弾性体からなる当接部を設けることで、液滴吐出面に確実に密着させることができる。
請求項記載の記録装置は、請求項4又は5記載の記録装置において、前記駆動装置は、前記第1支持体を上昇させ、前記単位記録ヘッドの配列方向に沿って移動させて前記液滴吐出面を前記清掃手段で清掃させ、次に、第1支持体を下降させ、清掃手段を前記第1門型フレームの前記液滴吸収体に摺擦させて、元の位置に戻すことを特徴とする。
請求項記載の記録装置では、清掃手段を清掃するとき、第1支持体が上昇し、単位記録ヘッドの配列方向に沿って移動する。これにより、液滴吐出面が清掃手段によって清掃される。次に、第1支持体が下降し、清掃手段が第1門型フレームの液滴吸収体を摺擦し、元の位置に戻る。
請求項記載の記録装置は、請求項5又は6記載の記録装置において、前記複数のキャップ手段が取付けられた第2支持体と、前記第2支持体を昇降させる昇降手段と、を備え、前記昇降手段が前記第2支持体が昇降させ、前記キャップ手段を、前記液滴吐出面をキャッピングするキャッピング位置と、前記キャッピング位置より低く前記記録媒体が搬送可能となる記録位置と、前記記録位置より低く前記第2門型フレームが跨いで移動可能となる清掃位置と、を移動させることを特徴とする。
請求項記載の記録装置では、複数のキャップ手段が取付けられた第2支持体を、昇降手段によって昇降させる。この昇降手段によって第2支持体を昇降させ、キャップ手段を、液滴吐出面をキャッピングするキャッピング位置と、キャッピング位置より低く記録媒体が搬送可能となる記録位置と、記録位置より低く第2門型フレームが跨いで移動可能となる清掃位置と、を移動させる。
請求項2記載の記録装置では、記録ヘッドの液滴吐出面を気密にすることで、液滴を吐出するノズル内の液体の乾燥防止や液滴吐出面に対するゴミ、埃などの付着を防止することができる。
請求項4記載の記録装置では、清掃手段の剛性が高い場合、液滴吐出面に十分に密着させることができず、清掃が困難となるが、弾性体からなる当接部を設けることで、液滴吐出面に確実に密着させることができる。
本発明は、上記構成としたので、請求項1記載の記録装置によれば、メンテナンス動作を行うために記録ヘッド等を移動させる必要がなく、メンテナンス動作を効率的に行うことができる。また、メンテナンス動作を行なうために記録ヘッドを移動させることがないため、メンテナンス動作を行なうたびにアライメントずれによる印字画質の変化を生ずることがなく、印字画質を一定に維持することができる。また、メンテナンスのための記録ヘッド移動機構等が不要となり、装置構成も簡略化される。このように、記録ヘッドの液滴吐出性能を良好に維持しつつ、高画質な印字を生産性高く行なうことができ、また、メンテナンス動作を比較的容易な構成で行なうことができる。
また、単位記録ヘッドを独立させた状態で個々に清掃する清掃手段では、装置が複雑で清掃手段毎にバラツキも生じ、清掃動作が不安定となり、また、動作設定も難しくなってしまうが、複数の単位記録ヘッドを並列に配置した記録ヘッドアレイ毎で、清掃手段を一体に移動させるようにすることで、装置自体を簡単な機構とすることができ、安定した清掃動作を得ることができる。
請求項記載の記録装置では、単位記録ヘッドを千鳥配列することによって生じる記録装置のケーシングとのスペースへ向けて、清掃手段を移動させることができ、該スペースの有効利用にも繋がる。
請求項記載の記録装置では、隣り合う第1支持体の駆動装置の配置位置を、隣接する記録ヘッドアレイ毎で互いに反対とすることで、隣接する記録ヘッドアレイで駆動装置が隣り合うことはないため、駆動装置同士が干渉することはない。したがって、隣り合う記録ヘッドアレイ同士の間隔を狭くすることができ、省スペース化を図ることができる。また、隣り合う第1支持体の駆動装置の配置位置を、隣接する記録ヘッドアレイ毎で互いに反対とすることで、共通部品を使用でき、コストを低減することができる。
請求項記載の記録装置では、清掃手段の移動軌跡上に、清掃手段と接触して清掃手段に付着した汚れを除去する除去部材を配置することで、清掃手段の汚れを除去するため清掃手段に別途インク吸引装置等を設ける必要はなく、清掃手段と併せて機能させることができるため、機構が容易である。
請求項記載の記録装置では、清掃手段が、第1支持体から立ち上げられた第2門型フレームを備えており、第1支持体が単位記録ヘッドの配列方向又はこの配列方向に直交する方向へ移動したとき、キャップ手段を跨ぐ。ここで、第2門型フレームの梁部の上面には当接部を取付けており、キャップ手段を跨ぐとき、液滴吐出面を摺動する。
請求項記載の記録装置では、清掃手段を清掃するとき、第1支持体が上昇し、単位記録ヘッドの配列方向に沿って移動する。これにより、液滴吐出面が清掃手段によって清掃される。次に、第1支持体が下降し、清掃手段が第1門型フレームの液滴吸収体を摺擦し、元の位置に戻る。
請求項記載の記録装置では、複数のキャップ手段が取付けられた第2支持体を、昇降手段によって昇降させる。この昇降手段によって第2支持体を昇降させ、キャップ手段を、液滴吐出面をキャッピングするキャッピング位置と、キャッピング位置より低く記録媒体が搬送可能となる記録位置と、記録位置より低く第2門型フレームが跨いで移動可能となる清掃位置と、を移動させる。
[実施形態]
本発明の実施形態に係る記録装置について説明する。
記録装置200は、図1に示すように、記録ヘッド44と、記録ヘッド44に対向配置されるメンテナンス装置81と、を備える。
記録ヘッド44は、記録ヘッド44のノズル面40Aからインク滴を吐出可能なインクジェット記録ヘッドであれば、インクの種類およびインク滴の吐出方式を問わない。なお、単位記録ヘッド40のインク滴の吐出方式はインクジェット方式であるとして説明したが、用紙に対して非接触で直接色材を転移させるタイプであればその方式は問わない。インクジェット方式が代表的であるが、公知の方式であればいずれの方式も適用可能である。また、インクジェット方式においてもサーマルインクジェット方式、ピエゾ式インクジェット、連続流型インクジェット、静電吸引型インクジェット等、方式に限定されない。
また、使用するインクも水性インク、油性インク、常温で固形のいわゆるソリッドインク、溶剤インク等いずれも適用可能である。インク中の色材も顔料・染料を問わない。
記録ヘッド44の印字領域は、図2に示すように、印字される用紙Pのうち用紙最大幅PWに対応して設定されている。ここで、印字領域とは、用紙の両端から印字しないマージンを引いた記録領域のうち最大のものが基本となるが、一般的には印字対象となる最大用紙幅PWよりも大きくとっている。これは、用紙が搬送方向に対して所定角度傾斜して(スキューして)搬送されるおそれがあること、また縁無し印字の要請が高いためである。
なお、記録ヘッド44は、モノシリックな長尺な記録ヘッドチップから構成しても、複数の短尺な記録ヘッドチップ(以下、単位記録ヘッドという)から構成しても良い。
複数の単位記録ヘッドから記録ヘッドを構成する場合には、以下のようなバリエーションが考えられる。
例えば、単位記録ヘッド110がノズル配列方向端部までノズル58が形成されているタイプ(図3参照)であれば、単位記録ヘッド110をノズル配列方向に連続して配置することによって、図4に示すような記録ヘッド44をコンパクトに構成できる。また、両端にはノズル58が形成されていない単位記録ヘッド40 (図5参照)を用いる場合には、単位記録ヘッド40をノズル配列方向に一定間隔をおいて共通基板46A、46Bに複数配置した記録ヘッドアレイ42A、42Bを用紙の搬送方向に複数配置し(図6参照)、単位記録ヘッド110を平面視にて千鳥状に配置することによって、用紙幅に対応して間断なく印字可能な記録ヘッド44とすることができる。この場合には、単一の共通基板46の両面に記録ヘッドアレイ42A、42Bを構成する(図7参照)ことによって、小型化を一層図ることもできる。
なお、単位記録ヘッド40、110のノズル配列は一直線状であるが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、千鳥状にノズル58を配列することも可能である。
また、記録装置200は、図14に示すように、搬送方向に4つの記録ヘッド44(44Y、44M、44C、44K)を配列し、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のインク滴を吐出する構成とすることによって、フルカラー印字可能な構成とすることができる。
一方、図10に示すように、記録ヘッド44に対して対向配置されるメンテナンス装置81は、インク滴を収納可能なキャップ手段(インク収容手段)80と、記録ヘッド44のノズル面40Aを清掃可能なワイピング部材88とを備える。
キャップ部材80は、図17及び図22に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した6個のキャップ部材80が、共通基板300に取りつけられてユニット化されており、最小限の機能として後述するダミージェットの際に各単位記録ヘッド40から吐出されるインクを収容して保持する機能を有する。
このため、例えば、キャップ部材80は、図9及び図17に示すように、単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対応するように形成された凹部82Aを有する受け部82と、受け部82の凹部82Aの底に配設されインクを保持するインク吸収体86とから構成される。
しかし、キャップ部材80にそれ以外の機能を兼用させても良い。例えば、図10(A)、(B)に示す昇降機構302によって単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近離間(以下、昇降という)可能に構成し、ノズル面40Aに圧接することによってノズル面40Aを気密にする(キャッピングを行なう)ことが考えられる。
このように、圧接時に単位記録ヘッド40のノズル面40Aを気密にするためには、図9に示すように、受け部82の上部(ノズル面40A側)にゴム部84を設けることが必要である。ここで、ノズル内のインクの乾燥防止やノズル面40Aに対するゴミ、埃などの付着を防止するため、ノズル面40A全体を覆う形にキャップ部材80(ゴム部84)が構成される。
なお、受け部82を構成するプラスチック材料としては、POM、PET、PBT、PPS、ナイロン66、アクリル、ベークライトなどがあるが、成形性、耐衝撃性などの点でPBTが好ましい。
また、ゴム部84を構成するゴム材料としては、生ゴム、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、エーテル系ゴム、ポリスルフィド系ゴム、ウレタン系ゴム、フッ素系ゴム、シリコーンゴムなどの各種天然ゴム、各種エラストマー(ゴム弾性体)や、これらゴム系材料のブレンドゴム、またはこれらゴム系材料と各種プラスティックとのブレンドゴムなど、各種弾性部材が使用でき、これら材料の接着などによる組合せを用いても良い。
これら材料のなかでも耐候性、耐薬品性、耐磨耗性、加工性の点で、水素化ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリジメチルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等が好ましい。
さらに、インク吸収体86の材料としては、ポリエステルフェルト繊維材料、また、アクリルニトリルフェルト繊維材料が好ましく、更には、ポリエステルフェルト繊維材料及びアクリルニトリルフェルト繊維材料が混合されたものも好ましい。使用繊維材料の繊維径、繊維長、配列方向等を適宜変えると、インク吸収体86のインク保持能力を細かく調整することが可能である。
また、その他にポリアミド系繊維材料、ポリプロピレン繊維材料、ポリビニールアルコール系繊維材料、ポリ塩化ビニリデン系繊維材料、ポリウレタン系繊維材料などが挙げられる。
インク等の記録液の吸収性を考えると、ポリエステル系繊維材料がより好ましく、上記材料を混合した材料系を用いることも好適である。
一方、清掃手段としてのワイピング部材88は、各単位記録ヘッド40のノズル面40A(図10(C)参照)のゴミ、埃、インクを除去してインク滴の吐出性能を一定に維持するためのものであり、搬送される用紙の幅方向に沿って、各キャップ部材80に隣接する位置に配設されている。
ワイピング部材88は、図9に示すように、幅方向視において門型フレームの保持部材90と、保持部材90の上部に取付けられ搬送方向に延在するワイパー92と、で構成している。
また、ワイピング部材88は、図17及び図22に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した全ワイピング部材88を、共通基板310に取り付けてユニット化し、移動機構312によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間および幅方向に移動可能となるように構成している。
具体的には、移動機構312を、共通基板310を幅方向に移動可能に支持するスライダ314と、スライダ314上で共通基板310を幅方向に移動させる駆動モータ316と、スライダ314を昇降させる駆動モータ318と、で基本的に構成している。スライダ314は、用紙の搬送方向両端に設けられ幅方向に延在するガイド320を備えており、ガイド320に案内されて共通基板310を介してワイピング部材88を一体的に用紙の幅方向に移動可能としている。
ここで、共通基板310の一端部からは、ラック322を延出させ、ケーシング102に固定された駆動モータ316と直結する駆動ギア326を噛合させている。これにより、駆動モータ316の駆動によって、共通基板310を介してワイピング部材88をスライダ314上で、用紙の幅方向に沿って一体的に移動させる構成としている。
さらに、スライダ314の下側には、上下方向に延在してラック330が形成された凸部332を設けており、駆動モータ318の駆動ギア334を噛合させている。したがって、駆動モータ318の駆動によってスライダ314を昇降可能としている。すなわち、スライダ314に支持された共通基板310を介してワイピング部材88を一体的に昇降させる構成としている。
以上のような構成により、図10(A)〜(C)に示すように、移動機構312によってワイパー92が、単位記録ヘッド40のノズル面40Aに摺接しながらノズル面40Aに沿って移動することによって、単位記録ヘッド40のノズル面40A全体の清掃を行なう。
この際、記録ヘッド44と対向する位置にはキャップ部材80が配置されているため、ワイピング部材88は記録ヘッド44(ノズル面40A)とキャップ部材80の間を移動することになる。
例えば、ワイピング部材88が記録ヘッド44(ノズル面40A)とキャップ部材80の間を移動するとき、ワイピング部材88の保持部材90がキャップ部材80を跨いで(図9参照)移動させる構成が考えられる。ワイパー92の移動(摺接)方向は、例えば、用紙搬送方向(矢印X方向)や用紙搬送方向に直交する幅方向(矢印Y方向)とすれば良い。また、移動は一方向だけでなく、往復動作させても良い。
ところで、ワイパー92を保持する保持部材90はアルミやSUSなどの強度がある金属材料から構成され、ワイパー92は、所定の剛性を得るため、ゴム硬度=30〜80で長手(用紙搬送)方向長さL1および短手(幅)方向幅W1の比=5対1〜50対1で、幅W1=0.5〜4mmが好ましい。
ゴム硬度が30未満、長さL1と幅W1の比が50対1より大、あるいは幅W1が0.5mm未満であると、ワイパー92の剛性が低すぎてノズル面40Aに対して十分に当接できず、清掃が困難になるからである。一方、ゴム硬度が80より大、長さL1と幅W1の比が5対1より小、あるいは幅W1が4mmより大である場合も、ワイパー92の剛性が高すぎてノズル面40Aに対する十分な密着ができず、清掃が困難となるからである。
ワイパー92を構成する材料としては生ゴム、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、エーテル系ゴム、ポリスルフィド系ゴム、ウレタン系ゴム、フッ素系ゴム、シリコーンゴムなど各種天然ゴム、各種エラストマー(ゴム弾性体)や、これらゴム系材料のブレンドゴム、またはこれらゴム系材料と各種プラスティックとのブレンドゴムなど、各種弾性部材が使用でき、これら材料の接着などによる組合せを用いても良い。
これら材料のなかでも、耐候性、耐薬品性、耐磨耗性、加工性の点で、水素化ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリジメチルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等が好ましい。
また、耐疲労性、耐成形性、ゴム特性などの点で、優れた熱可塑性エラストマーなども好ましい。
さらに、表面を保護層で被覆して使用することもできる。保護層としては、撥液性と低摩擦係特性に優れるフッ素系樹脂が好ましい。
また、各種プラスチック材料も適用可能である。具体的な材料としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の成形体を用いても良い。
さらに、これらの材料のフィルム材を積層して張り合わせたものを高精度に切断しても良い。このとき、貼着剤としては、アクリル系ポリマーやゴム系ポリマー等が適している。
また、本実施形態では、インク(インク滴)を回収する手段として、図9に示すインク吸収体86を用いる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図10(B)に示すように、キャップ部材80が単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して圧接可能な構成の場合には、図11に示すように、キャップ部材80(凹部82A)に対してチューブ250を介して負圧を作用させることができる負圧吸引装置252を接続させる。
これにより、キャップ部材80の圧接時(図10(B)参照)に、単位記録ヘッド40のノズル面40Aのインクやゴミおよびノズル内の増粘したインク等を回収し、キャップ部材80の非圧接時(図10(A)参照)に、キャップ部材80(受け部82)に溜まったインクを回収する構成とすることができる。
具体的には、図12に示すように、キャップ部材80(凹部82A)とチューブ254を介して接続されたタンク256と、タンク256とチューブ258を介して接続され負圧を発生する負圧発生装置260を配設する構成が考えられる。なお、キャップ部材80とタンク256の間には、電磁開閉弁262を配設している。
この構成において、電磁開閉弁262を閉じた状態で負圧発生装置260を駆動して負圧を発生させ、その時の圧力がタンク256内で大気圧に対して−30〜−100kPa程度になった時に電磁開閉弁262を開放し、瞬時にキャップ部材80の凹部82A内のインクなどを吸引することが考えられる。
このように構成された本実施形態に係る記録装置の作用について説明する。
記録装置における各メンテナンス動作(ダミージェット、ワイピング、キャッピング、およびバキューム)について簡単に説明する。
ダミージェットは、図1に示す記録ヘッド44とメンテナンス装置81の間に用紙がないタイミングであればいつでも可能である。すなわち、非印字時はもちろん、複数枚の用紙に連続印字中であっても先行する用紙後端が通過後、後続の用紙が印字位置に到達するまでの間でも可能である。
上記タイミングにおいて、記録ヘッド44を印字位置から移動させることなく、各ノズルからインク滴を吐出することによって、インク滴が図9に示すキャップ部材80に収容される。すなわち、増粘したインクや気泡がノズルから吐出されることによって記録ヘッド44のインク滴の吐出性能が初期化される。
また、キャップ部材80が凹部82Aを有する受け部82を備えていれば、凹部82A内にインク滴が収容されて跳ね返り等が防止され、凹部82A内に保持される。なお、凹部82A内にインク吸収体86を備えていれば、跳ね返り等を一層確実に防止すると共に、インクを吸収して保持(回収)することができる。
ここで、ダミージェット時にはキャップ部材80およびワイピング部材88は動作することはない。
ワイピングは、印字未搬送、あるいは印字前等に行なわれる。ワイピングでは、図10(C)に示すように、移動機構312によってワイピング部材88、例えばワイパー92を単位記録ヘッド40のノズル面40Aに摺接させることによって、ノズル面40Aのインクやゴミを除去してインク滴の吐出性能を良好にするものである。
なお、キャップ部材80がノズル面40Aに対向する位置に配置されているため、ワイピング部材88はキャップ部材80とノズル面40Aの間を通過するように移動して清掃動作を行なうことになる。
ここで、図17及び図22に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した全ワイピング部材88を、共通基板310に取り付けてユニット化し、移動機構312によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間および幅方向に移動可能となるように構成している。
単位記録ヘッド40を独立させた状態で個々に清掃するワイピング部材88では、装置が複雑でワイピング部材88毎にバラツキも生じ、清掃動作が不安定となり、また、動作設定も難しくなってしまうが、複数の単位記録ヘッド40を並列に配置した記録ヘッドアレイ42毎で、ワイピング部材88を一体に移動させるようにすることで、装置自体を簡単な機構とすることができ、安定した清掃動作を得ることができる。
なお、ここでは、ワイピング部材88を、搬送される用紙の幅方向に沿って移動させる構成としたが、記録ヘッドアレイ42毎で、ワイピング部材88を一体的に移動させることができれば良いため、これに限るものではなく、用紙の搬送方向に沿って移動させるようにしても良い(構成は実施例3で説明する)。
一方、キャッピングは、記録装置停止時や非印字時に記録ヘッド44のノズル内のインクが乾燥することやノズル面40Aにゴミが付着することを防止するものであり、図10(A)、(B)に示すように、キャップ部材80が昇降機構302によって昇降可能な場合にのみ実現されるものである。
昇降機構302によってキャップ部材80、例えば、ゴム部84(図9参照)がノズル面40Aに圧接することによって、ノズル面40Aを気密に保持し(キャッピング)、ノズル面40Aおよびノズル内のインクが乾燥して増粘することを防止するものである。
バキュームは、記録ヘッド44のノズル内のインクや、キャップ部材80が保持しているインク等を吸引するものであり、非印字時に行うものである。具体的には、昇降機構302によってキャップ部材80がノズル面40Aに圧接され、図12に示す負圧発生装置260を駆動(負圧発生装置260と電磁開閉弁262を制御)することによって、ノズル内のインクやキャップ部材80に保持されていたインクが吸引されるものであり、例えばタンク256等に回収される。
このような、一連のメンテナンス動作によって記録装置200はインク滴吐出性能を良好に維持でき、高画質に印字を行なうことができる。
また、これらのメンテナンス動作を行なう場合に、記録ヘッド44を印字位置から移動させる必要がない。したがって、印字位置とメンテナンス位置との間で記録ヘッド44を移動させることによって生じる、印字位置における記録ヘッド44のアライメントずれ、及び印字画質が一定しないということ等が防止され、印字画質を一定に保つことができる。また、記録ヘッド44の移動機構が不要となり、装置の機構が単純化できる。
なお、ここでは、複数の単位記録ヘッド40に対応して、個々にメンテナンス装置81を設けたが、記録ヘッドアレイ42(図17参照)毎に単一のメンテナンス装置81であっても良い。
[第1実施例]
本発明の第1実施例に係る記録装置が適用されたインクジェット記録装置について説明する。なお、実施形態と同様の構成要素について同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
(インクジェット記録装置の全体構成)
先ず、インクジェット記録装置の全体構成について簡単に説明する。
インクジェット記録装置10は、図13に示すように、用紙を送り出す用紙供給部12と、用紙の姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴を吐出して用紙に画像形成する記録ヘッド部16と、記録ヘッド部16のメンテナンスを行なうメンテナンス部18とを備える記録部20と、記録部20で画像形成された用紙を排出する排出部22とから基本的に構成される。
用紙供給部12は、用紙が積層されてストックされているストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。
レジ調整部14は、ループ形成部28と用紙の姿勢を制御するガイド部材30が備えられており、この部分を通過することによって用紙のコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に進入する構成である。
記録部20については、記録ヘッド部16とメンテナンス部18の間を用紙が搬送される用紙搬送路が構成されており、用紙搬送路を連続的に(停止することなく)搬送される用紙に対して、記録ヘッド部16からインク滴が吐出され当該用紙に画像が形成される構成である。記録ヘッド部16とメンテナンス部18は、それぞれユニット化されており、記録ヘッド部16がメンテナンス部18と用紙搬送路を挟んで分離可能に構成されている。したがって、用紙ジャムの場合に、容易にジャムした用紙を取り出すことができる。なお、記録部20については後述するので、詳細な説明を省略する。
排出部22は、記録部20で画像が形成された用紙を排紙ベルト31を介してトレイ32に収納するものである。
(記録ヘッド部の構成)
次に、記録ヘッド部16について、図14〜図19を参照して詳細に説明する。図14は、記録ヘッド部16を上側から見た模式図(図20との対応をとりやすくするためにあえて上方から見た平面図とした)である。
記録ヘッド部16は、図14に示すように、用紙搬送方向(矢印X方向。以下、搬送方向という場合がある)に対して直交する用紙幅方向(矢印Y方向。以下、幅方向という場合がある)に対して一定の間隔で配置された単位記録ヘッド40が6個配置された記録ヘッドアレイ42が用紙搬送方向に一定間隔で8個配設されることによって基本的に構成されている。
単位記録ヘッド40は、図15に示すように、ノズル面40Aにインク吐出するノズル58が一直線上に形成されたものであり、周知のサーマルインクジェット方式によりインク滴が吐出されるものである。本実施例では、単位記録ヘッド40はノズル配列密度が800dpiで800ノズルであり、噴射周波数が7.56kHzで、顔料インクを使用するものである。
このような単位記録ヘッド40が、図16に示すように、ノズル配列方向が幅方向と一致するように一直線上に後述する共通基板46A、46Bに6個の単位記録ヘッド40が取り付けられることによって記録ヘッドアレイ42A、42Bが形成されている。
記録ヘッドアレイ42A、42Bは、それぞれ6個の単位記録ヘッド40が一定間隔をおいて配設されたものであり、記録ヘッドアレイ42A、42Bでは単位記録ヘッド40の配置を幅方向で相互にずらして千鳥状に配置することによって、単位記録ヘッド40のノズル列の一部が記録ヘッドアレイ42A、42B間において重複するオーバーラップ領域OLを有するように配置されている。
このようにオーバーラップ領域OLを設けることによって、印字領域内で印字ができない領域が発生することを防止している。すなわち、記録ヘッドアレイ対42A、42Bの単位記録ヘッド40のノズル58からインク滴を吐出することによって、用紙に対する一色分の印字を行なうものである。本実施例では、この一対の記録ヘッドアレイ42A、42Bの組み合わせを記録ヘッド44と呼ぶものとする。
本実施例の記録ヘッド44では、印字領域が12インチとされており、最大用紙幅PWのA3短手幅(A4長手幅)の297mmよりも広く設定されている。
図14に示すように、記録ヘッド44は、搬送方向上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に印字されてフルカラー印字可能な構成であり、必要な場合には該当する記録ヘッドの参照番号にY、M、C、Kの符号を付して(44Y、44M、44C、44Kとして)区別する。以下、他の部材についても同様である。
また、記録ヘッド44Y〜44Kの構成は同一なので、記録ヘッド44Yの構成要素についてのみ参照符号を付し、他の記録ヘッド44M〜44Kの構成要素に対する参照符号を付するのを省略している。
記録ヘッド44を構成する記録ヘッドアレイ42Aは、図17に示すように、用紙幅方向に延在する共通基板46Aに6個の単位記録ヘッド40が所定間隔で取り付けられている。すなわち、単位記録ヘッド40は、共通基板46Aに取り付けられることによりこのノズル列が幅方向に並ぶことになる。
また、記録ヘッドアレイ42Aでは、各単位記録ヘッド40の幅方向隣りにスターホイール70が配置されている。スターホイール70は、図18に示すように、共通基板46Aに嵌合されている支持部材71の先端に板バネ73を介して弾性的に軸支されている。
ここで、スターホイール70は、図19(A)に示すように、孔部74が形成された円筒形の樹脂製の保持体76と、保持体76に保持されたステンレス製のホイール78から構成されている。
保持体76は、軸方向中央で縮径してホイール挿入可能とした第1部材76Aと、縮径部分に嵌合して第1部材76Aと共にホイール78を挟持する第2部材76Bとから構成されている。ホイール78は、外周に歯79が一定間隔で多数形成されている。歯79の先端形状は、鈍角で先端がR形状とされている(図19(B)参照)が、用紙上の未乾燥のインクと接触するため接触面積が極力小さくされていれば良く、例えば、鋭角(図19(C)参照)でも良い。
また、ホイール78の厚みは、本実施例では、0.1mmで先端(歯先)の厚みをテーパー加工により0.01〜0.02mm程度に薄くしたものである。また、ホイール78は、SUS631EH材から両面段差エッチングで外形と先端テーパー形状を同時加工して形成したものであり、表面をフッ素樹脂撥水コートしたものである。
一方、図14に示すように、記録ヘッド部16では、搬送方向に沿って記録ヘッドアレイ42間、最上流側の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側、および最下流側の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に3つのスターホイール群72が配設されている。
このスターホイール群72は、幅方向に連続して配置された3本のシャフト74A〜74Cに対し所定間隔をおいてそれぞれ6個のスターホイール70が軸支されているものである。この各シャフト74A〜74Cは、図18に示すように、両端でスプリング75によって後述する搬送ロール100側に付勢されている。なお、スターホイール70の搬送ロール100側への変位量は、搬送ロール100の表面よりわずかに食いこむ位置で停止するように、規制部材77が配設されている。
ここで、スターホイール70同士の幅方向間隔は、最も広い箇所で25.4mmとした。用紙の局所的な浮き・変形を押さえるために50mm以下が望ましいからである。
また、スターホイール70がスプリング75によって搬送ロール100に押圧される力は、1個当たり10gfとされている。これは、押圧力が5gfよりも小さいと用紙を搬送ロール100に十分押さえることができず、30gfよりも大きいとスターホイール70が用紙を傷つけるためである。
(メンテナンス部の構成)
図13に示すように、記録ヘッド部16に対して対向配置されるメンテナンス部18の構成を図20〜図24、図25を参照して説明する。図20は、搬送位置からメンテナンス部18を平面視にしたものである。メンテナンス部18は、記録ヘッド部16と用紙搬送位置を挟んで対向配置されており、図14、図17及び図20に示すように、記録ヘッド部16の各単位記録ヘッド40と対向する位置にメンテナンス装置81が配置されている。
メンテナンス装置81は、キャップ部材80とワイピング部材88から構成されており、キャップ部材80は、図21に示すように、矩形状の深さ8mmの凹部82Aが形成されPBT樹脂で成形された受け部82と、受け部82の上部にシリコーンゴム(硬度40Hs)から形成されたゴム部84と、凹部82Aの底面全体に配設されたポリプロピレンとポリエチレンとからなるインク吸収体86で構成されている。
したがって、後述するダミージェットの際、各単位記録ヘッド40(図16参照)のノズル58(図16参照)からキャップ部材80の開口部84Aを介して凹部82Aの内部にインク滴が吐出され、インク吸収体86に吸収される構成である。
また、キャップ部材80は、図17に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した6個のキャップ部材80が、図22に示すように、共通基板300に取りつけられてユニット化され、昇降機構302によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間可能に構成されている。
昇降機構302は、駆動モータ304と、駆動モータ304の駆動軸306に取りつけられ、共通基板300の下面に当接される偏心カム308とから構成されている。したがって、駆動モータ304が駆動されることにより偏心カム308が回転し、偏心カム308が当接された共通基板300が単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間する構成である(図10(A)、(B)参照)。
ところで、キャップ部材80の下側には、ノズル面40Aに圧接する際に圧接力を調整するスプリング87が配設されている(図26(A)、(B)参照)。したがって、後述するキャッピング動作時には、図21に示すキャップ部材80が上昇してゴム部84がノズル面40Aに対して圧接してノズル58を含むノズル面40Aを密閉し、インクの乾燥を抑制すると共にゴミ、埃等の付着を防止する。また、後述するワイピング動作時にはキャップ部材80が下降してワイピング部材88を幅方向に移動可能とするものである。
さらに、図17に示すように、各キャップ部材80の幅方向において隣接する位置には、各単位記録ヘッド40のノズル面40Aをクリーニングするためのワイピング部材88が配設されている。
ワイピング部材88は、図21に示すように、幅方向視において門型フレームのSUS製の保持部材90と、保持部材90の上部に配設され搬送方向に延在するワイパー92とから構成されている。
ワイパー92は熱可塑性ポリマー樹脂(硬度65Hs)から形成され、搬送方向長さLが8mm、幅方向厚さW1が0.8mmであり、保持部材90からの高さ(自由長)が6mmである。なお、ワイピング部材88はキャップ部材80の幅方向端部から1mmの位置に配置した。
また、ワイピング部材88は、図17及び図22に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した全ワイピング部材88が、共通基板310に取りつけられてユニット化され、移動機構312によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間および幅方向に移動可能に構成されている。
移動機構312は、共通基板310を幅方向に移動可能に支持する支持体としてのスライダ314と、スライダ314上で共通基板310を幅方向に移動させる駆動モータ316と、スライダ314を昇降させる駆動モータ318とから基本的に構成される。
スライダ314は、搬送方向両端に設けられ幅方向に延在するガイド320を備えており、ガイド320に案内された共通基板310が幅方向に移動可能とされている。そして、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した全ワイピング部材88を、この共通基板310に取り付けてユニット化し、移動機構312によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間および幅方向に移動可能としている。
ここで、図27(A)、(B)に示すように(なお、ここでは、便宜上、搬送ロール100の図示を省略する)、共通基板310は互いに長さが等しく、隣り合う共通基板310では、共通基板310の長手方向の中心位置を、各単位記録ヘッド40の配列方向にズラし、一つ隣りの共通基板310では、共通基板310の長手方向の中心位置を一致させ、共通基板310の長手方向の中心位置が、搬送される用紙に沿ってジグザグ状を成すように共通基板310を配設している。そして、外側に位置する共通基板310の端部同士を結ぶ直線Pと内側に位置する共通基板310の端部同士を結ぶ直線Qとの間で形成されるスペースRを利用して共通基板310を往復移動させる。
このように、共通基板310の長手方向の中心位置を、搬送される用紙に沿ってジグザグ状に配設することで、共通基板310の端部に設けられたスペースRを利用して、メンテナンス装置81(図17参照)の省スペース化を図ることができる。
一方、図22に示すように、スライダ314の下側には、上下方向に延在するラック330が設けられた凸部332が形成されており、駆動モータ318の駆動ギア334が噛合されている。したがって、駆動モータ318の駆動によってスライダ314が昇降可能とされている。すなわち、スライダ314に支持された共通基板310、ワイピング部材88が一体的に昇降する構成とされている。
このように、ワイピング部材88は移動機構312によってノズル面40Aに対して接近離間(昇降)可能に構成されると共に、幅方向に移動可能とされている。すなわち、ワイピング部材88(ワイパー92)は、ホームポジションでは搬送されてくる用紙と干渉しないようにキャップ部材80よりも低い位置に位置している(図23(A)参照)が、ワイプ時には上昇して、ホームポジションから下降したキャップ部材80(図23(B)参照)を跨いで搬送方向に移動してワイピングを行なう(図23(C)参照)構成とされている。
一方、記録部20(図13参照)において、用紙搬送時にキャップ部材80の凹部82Aに用紙が突入しないように、各キャップ部材80の幅方向両側にガイド部材94が配設されている。
ガイド部材94はSUS材から形成され、門型形状を成し、搬送方向に延在する水平部94A(梁部)と、水平部94Aの両端部から垂直下方に延在する2本の垂直部94Bと、水平部94Aの搬送方向両端部から搬送方向斜め下方に延在するガイド部94C、94Dとから構成されており、垂直部94Bはケーシング102(図20参照)に設けられた図示しない台座に固定されている。
なお、このガイド部材94の水平部94Aは、図18に示すように、単位記録ヘッド40間に配設されたスターホイール70と対向配置されている。したがって、搬送される用紙が、搬送方向における印字位置でスターホイール70によってガイド部材94(水平部94A)に当接され、インク付着などによって変形する用紙をノズル面40Aに対して一定の距離に保つ構成である。
続いて、メンテナンス装置81を構成する各部材の本実施例におけるホームポジション(画像印字中で単位記録ヘッド40に対するメンテナンスを行っていない状態における位置)について説明する。
キャップ部材80は、単位記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてゴム部84(図21参照)が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの全体を覆うように、また、ゴム部84の開口部84A内に単位記録ヘッド40の全ノズル58(図16参照)が位置するように配置されている。
図17及び図25に示すように、ワイピング部材88は、ワイパー92の先端が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてワイパー92の長手(搬送)方向長さが単位記録ヘッド40のノズル面40Aの搬送方向幅をカバーできる位置で、ワイパー92が単位記録ヘッド40の幅方向端部から1mm離れた位置(記録ヘッドの短手幅方向に対し、清掃できる位置)に配置されている。
ガイド部材94は、用紙が接触する水平部94A(図21参照)の最上面が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてガイド部材94の水平部94Aの搬送方向長さが単位記録ヘッド40のノズル面40Aをカバーできる位置で、用紙が接触する水平部94Aの最上面が単位記録ヘッド40の幅方向端部から2mm離れた位置に配設されている。
続いて、メンテナンス装置81と単位記録ヘッド40の間に用紙を搬送する構成について説明する。
図18及び図25に示すように、用紙に駆動力を伝達して搬送する搬送ロール100が、メンテナンス部18において搬送方向両端と搬送方向で隣接するキャップ部材80の間にそれぞれ配設されている。
搬送ロール100は、用紙搬送位置を挟んでスターホイール群72の配設位置に対応して配置されており、搬送ロール100側にスプリング75によって弾性的に押圧されているスターホイール群72のスターホイール70によって搬送ロール100に用紙が当接され、搬送ロール100から駆動力が伝達されるように構成されている。
搬送ロール100は、ケーシング102に軸支される小径部100Aと、小径部100Aよりも径が大きくスターホイール群72が当接する大径部100Bとから構成されている。搬送ロール100は、大径部100Bを介して用紙に駆動力を伝達するものであり、摩擦係数が大きくかつ磨耗しにくいものが良い。
本実施例では、搬送ロール100は直径10mmの金属(SUS303)ロール表面にアルミナを主成分とするセラミック微粉末をスプレーコートして燒結したものであり、上記条件を満たしている。この加工は、搬送ロール100の大径部100Bにおいて用紙が当接する印字領域のみならず、平ベルト104が張架される非印字領域も同様の加工が施される。
なお、搬送ロール100の表面にスターホイール70が接触して刃先が変形することを防止するために、搬送ロール100のスターホイール群72に対向する部分には、幅2mm、深さ2mmの溝101を設けている。また、この溝101内へのスターホイール群72の進入量が増加することによって、用紙搬送抵抗が増加することを防止するために、スターホイール群72の進入量を規制する規制部材77が設けられている。
搬送ロール100を駆動する駆動機構は、図24に示すように、単一のモータ106の駆動軸108からアイドラロール110、112を介して全ての搬送ロール100に平ベルト104が巻きかけられているものである。隣接する搬送ロール100間には、アイドラロール114が配設されており、各搬送ロール100(大径部100B)に対する平ベルトの巻きつけ角度を稼いでいる。
また、搬送ロール100は、図25に示すように、搬送される用紙が当接される大径部100Bにおいて印字領域外の非印字領域に平ベルト104が巻きかけられている。
ここでモータ106(図24参照)を単一とするのは、駆動源が複数存在すると、各モータの駆動速度・変動特性を厳密に均一にするのが困難であり、結果的に用紙速度に各種速度変動成分が重畳し、各モータの速度変動が十分小さくても各速度変動の重畳によって用紙の速度変動が問題になるためである。すなわち、単一の駆動源(モータ106)で複数の搬送ロール100を駆動することによって、用紙の搬送速度を均一にして高画質な印字を達成するものである。
平ベルト104は、搬送ロール100に対して歯の噛合い無しで(摩擦力で)駆動伝達するので、特に歯毎の周期的な速度変動などがなく好適である。
また、本実施例の平ベルト104は、ポリエステル繊維を織った基材の表面(片面)にポリウレタンを薄膜コートした厚さ0.4mmのものであり、機械的強度と高摩擦性を両立させている。
このように、記録部20(図13参照)が構成されることにより、本実施例ではノズル面−用紙間隔が1.5mmに設計され、その間を水平方向に用紙が搬送されるものである。また、印字対象となる最大記録領域(最大用紙幅PW)は、A3短手(A4長手)とされている。また、記録部20のプロセス速度は240mm/sであり、印字解像度=800×800dpi、記録速度が毎分60枚(A4LEF(Long Edge Feed)の場合)とされている。
このように構成されるインクジェット記録装置の作用について説明する。
以下、印字動作、メンテナンス動作(ダミージェット、ワイピング、キャッピング)について順次説明する。
先ず、印字動作について説明する。
印字動作を行なう場合には、図13に示すように、用紙供給部12から用紙が供給され、レジ調整部14で用紙の姿勢やタイミングが制御されて記録部20に搬送される。
一方、図24に示すように、記録部20ではモータ106が駆動され、平ベルト104を介して全搬送ロール100に駆動力が伝達される。
したがって、記録部20に到達した用紙は、最も搬送方向上流側にある搬送ロール100とスターホイール70の間に挿入される。この際、図18に示すスプリング75で付勢されたスターホイール70が搬送ロール100に用紙を押し付けるため、搬送ロール100から用紙に搬送力が確実に伝達され、一定速度で単位記録ヘッド40の下部に挿入される。以下、記録ヘッドアレイ42間に配設された搬送ロール100から順次、駆動力が伝達されて搬送されていく。
このとき、図24に示すように、全ての搬送ロール100が単一のモータ106で駆動されているため、複数の駆動源で駆動される場合のように複数の駆動源の速度変動が重畳して用紙搬送速度の変動に影響を与えることが回避され、用紙がより一定速度で搬送される。
また、画像上で視認しやすい画像欠陥の原因である周期的な速度変動は歯の加工精度等によって生ずることが多いが、平ベルト104を介して(歯の噛合等を介さずに)駆動力が伝達されているため,上記画像欠陥の発生も防止される。
さらに、搬送ロール100の用紙が当接される大径部100Bの非印字領域に平ベルト104が巻き掛けられているため(図20参照)、搬送ロール100の加工精度や保持方法(ベアリング等)に起因する芯振れがあっても周期的な速度変動は発生せず、平ベルト104の移動速度(一定速度)で用紙が搬送される。
この平ベルト104の巻き付け角を稼ぐためにアイドラロール114を配置する構成では、厳密に言えば、アイドラロール114の加工精度や保持方法に起因する周期的速度変動が発生するが、アイドラロール114は比較的小型であり単一材料でよいので安価でかつ高精度に加工することは容易である。
一方、搬送ロール100はサイズが大きく、構成も例えば芯金と被覆材という複数の材料構成となるので、高精度の加工が困難である。あるいは非常に高価な部品になってしまう。平ベルト104による表面摩擦駆動方式は、搬送ロール100の半径や回転中心が多少ばらついていてもそこに起因する周期的変動は発生しないという効果がある。
さらに、図25に示すように、スターホイール群72を搬送される用紙の幅方向で三つに分割し、それぞれのシャフト74A〜74Cの長さを短くしたため、シャフト74A〜74Cの撓みを防止できて、スプリング75(図18参照)で付勢された複数のスターホイール70が均等に用紙を抑える。したがって、用紙に駆動力を均等に伝達することができる。
特に、スターホイール70によって用紙を搬送ロール100に押圧しているため、用紙に駆動力が確実に伝達され、一定速度で搬送することができる。また、静電吸着方式を採用していないため、用紙の厚さや材質などに拘らず安定して搬送することができる。
さらに、図18に示すように、幅方向において単位記録ヘッド40間にスターホイール70を配設し、これと対向する位置にガイド部材94を配設しているため、搬送方向における印字(記録ヘッドアレイ42)位置においても、用紙の浮きあがり等を防止して、用紙の平面性(ノズル面40Aに対する一定距離)を確保することができる。
逆にいえば、このようにスターホイール70を配置することによって、単位記録ヘッド40に対向する位置にキャップ部材80等のメンテナンス装置81を配置しても、用紙の平面性(ノズル面40Aに対する一定距離)を確保することができる。
一方、図13に示すように、記録ヘッド部16に対してインクジェット記録装置10の制御部から印字信号が各単位記録ヘッド40に入力されると、印字信号に応じて該当するノズルの発熱素子が発熱し、ノズル面40A(図17参照)に対して一定距離とされつつ搬送される用紙に対して、当該ノズルからインク滴が吐出されていく。
したがって、記録ヘッドアレイ42Aで印字が行なわれ、続いて記録ヘッドアレイ42Bで印字が行なわれることにより、用紙の当該部分における一色分の印字が終了する。したがって、記録部20で用紙が搬送されるにつれて、記録ヘッド44Y、44M、44C、44Kの順で印字され、フルカラーの印字が行われる(図14参照)。
このように、平面性(ノズル面に対する一定距離)が確保され、一定速度で搬送される用紙に対して印字を行なうことにより、高画質な画像を形成することができる。特に、記録部20の搬送中、スターホイール70によって常時平面性が確保されるため、各種厚みの用紙に対して印字中に生ずる用紙の変形を良好に矯正でき、ノズル面40Aに対する距離を一定に維持して高画質な印字を達成できる。
特に、記録部20において、搬送ロール100が記録ヘッドアレイ42間に配設され、また最上流の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側および最下流の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に配設されていると共に、複数の搬送ロ−ル100が単一の駆動源で駆動されるため、用紙が一定速度で確実に搬送され、高画質な印字を達成することができる。
次に、ダミージェットの動作について説明する。
ダミージェットは、非印字時、あるいは複数の用紙を連続印字中に所定枚数の印字が終了する度に、後続の用紙先端が到達する前に行なう。すなわち、図14に示す記録ヘッド44Y〜44Kを構成する全単位記録ヘッド40のうち、任意のノズルから図20に示すキャップ部材80に向かってインク滴の吐出(いわゆるダミージェット)が行なわれる。
ダミージェットを行なうのは、全単位記録ヘッド40の全ノズルでも良いし、選択された単位記録ヘッド40、あるいは記録ヘッドアレイ42の全ノズル58でも良いし、さらには所定時間インク滴の吐出を行なっていないノズル58のみでも良い。
例えば、図17に示すように、複数枚数の用紙連続印字時のダミージェット時におけるノズル面40Aとキャップ部材80の上面との距離を3mmに設定し、30頁(A4)毎に先行する用紙通過後で後続の用紙先端到達前のタイミングで全ノズルから500ドロップ吐出する。
この際、図21に示すように、キャップ部材80の凹部82Aの底面にインク吸収体86が配設されているため、吐出されたインクが凹部82Aからあふれたり飛び散ったりすることはない。
例えば、単位記録ヘッド40の全ノズルからインク滴の吐出(ダミージェット)を行なうことによって、インク(特に水性インク、溶剤インク)の乾燥による吐出性能の変化を初期化することができる。また、インクがほとんど乾燥しない油性インク、ソリッドインクであっても、印字によってヘッド内部のインク流路等に付着した気泡の排除、あるいはノズル面に付着したゴミの除去を行なうことができ、ノズルのインク滴の吐出性能を初期化することができる。
本実施例のように、連続して印字する(搬送されてくる)複数の用紙印字中に、記録ヘッド44(図14参照)やキャップ部材80を移動させることなくダミージェットを行なうことができるため、印字速度(生産性)の向上が達成される。また、ダミージェットによって記録ヘッド44の印字性能が一定に維持され、高画質な印字が可能になる。
次にワイピング動作について説明する。
ワイピング動作は、印字開始前等に行なう。メンテナンス部18(図13参照)のワイピング部材88によって単位記録ヘッド40(ノズル面40A)のワイピングが行なわれる。図22及び図28(A)を参照して、具体的な動作を図23に示す模式図に基づいて説明する。
まず、ワイピング部材88の動作では、移動機構312の駆動モータ318が駆動し、スライダ314およびスライダ314に支持された共通基板310が駆動ギア334及びラック330を介して上昇すると共に、昇降機構302の駆動モータ304が駆動して、偏心カム308の回転によって共通基板300が下降する。
すなわち、図23(A)、(B)に示すように、共通基板310に取付けられた6個のワイピング部材88がホームポジション(記録位置)からワイピング位置へ上昇する(ステップ100)と共に、共通基板300に取りつけられた6個のキャップ部材80がホームポジションから所定位置へ下降(単位記録ヘッド40から離間する方向に移動)する(ステップ102)。
本実施例では、キャップ部材80が単位記録ヘッド40のノズル面40Aから6mmの位置まで下降する(清掃位置)と共に、ワイピング部材88のワイパー92の先端(上端)がノズル面40Aよりも1.5mm高い位置(以下、当接量1.5mmという)まで上昇し、ワイピング部材88の保持部材90がキャップ部材80を跨いで幅方向に移動可能となる。
また、ワイピング部材88のワイパー92が、図23(B)に示すように、単位記録ヘッド40のノズル面40Aと上下方向(矢印Z方向)においてオーバーラップする状態となる。
この状態で、移動機構312の駆動モータ316を駆動することによって、駆動ギア326に噛合されたラック322を介してスライダ314上を共通基板310が幅方向に移動する。したがって、共通基板310に取り付けられたワイピング部材88が幅方向(ワイピング方向)に移動し、先端がノズル面40Aよりも高い位置とされたワイピング部材88のワイパー92が単位記録ヘッド40のノズル面40Aを摺接しながら、下降したキャップ部材80を跨ぐようにして移動し、ワイピングを開始する(ステップ104)。
これにより、ノズル面40Aに付着した埃や乾燥したインク等が除去される(図23(C)参照)。本実施例では、ワイパー92が当接量1.5mmを維持したままノズル面40Aを摺接するため、ノズル面40Aに付着した汚れを確実に除去することができる。
さらに、図23(D)に示すように、ワイピング部材88がノズル面40Aの下部から脱け出して、ワイピング部材88が幅方向への移動を終了し、ワイピング部材88が移動停止する(ステップ106)。続いて、移動機構312の駆動モータ318の駆動によって共通基板310、すなわち、図23(E)に示すように、ワイピング部材88を下降させ、ホームポジションの高さまで移動させる(ステップ108)。
そして、図23(H)に示すように(なお、図23(F)、(G)については後述する)、移動機構312の駆動モータ318の駆動によって共通基板310、すなわち、ワイピング部材88を幅方向反対側に移動させ、ホームポジションへ復帰させる(ステップ110)。
さらに、図23(I)に示すように、昇降機構302の駆動モータ304を駆動してキャップ部材80を上昇させ、単位記録ヘッド40のノズル面40Aと近接したホームポジションに復帰させることによってワイピングを完了する(ステップ112)。
続いて、キャッピング動作について説明する。
キャッピング動作は、非印字状態が長時間継続する場合、あるいは電源OFF時等に行なうものである。具体的には、図22に示す昇降機構302の駆動モータ304を駆動することによって共通基板300を上昇させ、共通基板300に取りつけられたキャップ部材80のゴム部84(図21参照)を単位記録ヘッド40のノズル面40Aに圧接させる(図26(A)、(B)参照)。この結果、ノズル面40A(ノズル58)の気密性が確保され、インクの増粘、乾燥が防止されると共に、ゴミの付着を防止する。
さらに、図16に示すように、本実施例の記録ヘッド44は、短尺の単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッドアレイ42A、42Bをそれぞれ共通基板46A、46Bに取り付けることによって構成しているため、大量に生産される安価なデバイス(記録ヘッド)と共通化が可能となり、低価格で全幅印字可能な単位記録ヘッド40を構成できる。
また、記録ヘッドアレイ42A、42Bをそれぞれ共通基板46A、46Bに取り付けることにより各記録ヘッドアレイ42A、42Bの構成が簡略化し、製作も高精度調整もより簡易になる。
さらに、図25に示すように、メンテナンス部(キャップ部材80、ワイピング部材88)の構成も短尺の記録ヘッドで使用されているものと共通化できるというメリットがある。さらにまた、幅方向における単位記録ヘッド40間の間隙(空間)を利用して、ノズル面40Aと用紙間の距離を一定にする手段(本実施例のスターホイール70等)を配置可能になる、あるいはキャップ部材80等の配置の設計自由度を増大するという利点がある。
さらに、本実施例では、単位記録ヘッド40に対応してキャップ部材80を設けたが、複数の単位記録ヘッド40に対して1つのキャップ部材80を対応させても良い。
[第2実施例]
本発明の第2実施例に係るインクジェット記録装置について説明する。実施形態および第1実施例と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。以下、第1実施例の異なる部分を中心にして説明する。
図25及び図27(A)、(B)に示すように、メンテナンス部(キャップ部材80、ワイピング部材88)では、単位記録ヘッド40を千鳥配列することによって生じるケーシング102とのスペースRへ向けて、共通基板310を移動させるだけでなく、共通基板310の端部に配設したスライド機構315を、隣り合う共通基板310同士で左右逆となるようにしている。
また、図21に示すように、各キャップ部材80の幅方向両側に配設したガイド部材94において、ガイド部材94を構成し、用紙の搬送方向に延在する水平部94Aの下面に、インク吸収体95を設けている。図29に示すように、ガイド部材94の水平部94Aの下面には、断面略コ字状の収容部93を凹設しており、収容部93内に略直方体状のインク吸収体95を嵌め込み、着脱可能としている。そして、図30に示すように、ワイピング部材88にガイド部材94の下を通過させ、ワイピング部材88のワイパー92をインク吸収体95に摺擦させるようにする(後述する)。
ここで、インク吸収体95の材料としては、インク吸収体86(図21参照)と同様、ポリエステルフェルト繊維材料、また、アクリルニトリルフェルト繊維材料が好ましく、更には、ポリエステルフェルト繊維材料及びアクリルニトリルフェルト繊維材料が混合されたものも好ましい。使用繊維材料の繊維径、繊維長、配列方向等を適宜変えると、インク吸収体95のインク保持能力を細かく調整することが可能である。
また、その他にポリアミド系繊維材料、ポリプロピレン繊維材料、ポリビニールアルコール系繊維材料、ポリ塩化ビニリデン系繊維材料、ポリウレタン系繊維材料などが挙げられる。
インク等の記録液の吸収性を考えると、ポリエステル系繊維材料がより好ましく、上記材料を混合した材料系を用いることも好適である。
次に、本実施例におけるワイピング部材88の動作について、図22及び図28(B)を参照して説明する(なお、第1実施例と重複する部分については説明を簡略化する)。
図23(A)、(B)に示すように、ワイピング部材88がホームポジションから上昇する(ステップ100)と共に、キャップ部材80がホームポジションから下降(単位記録ヘッド40から離間する方向に移動)(ステップ102)し、ワイピング部材88のワイパー92が、図23(C)に示すように、単位記録ヘッド40のノズル面40Aを摺接して、ワイピングを開始する(ステップ104)。
そして、図23(D)に示すように、ワイピング部材88が幅方向への移動を終了し、ワイピング部材88が移動停止(ステップ106)すると、図23(E)に示すように、ワイピング部材88を下降させ、ホームポジションの高さまで移動させる(ステップ108)。
この後、本実施例では、移動機構312の駆動モータ316が駆動して、駆動ギア326に噛合されたラック322を介してスライダ314上を共通基板310が幅方向(ノズル面40Aの清掃方向と同じ)に移動する。
これにより、図23(F)に示すように、ワイピング部材88がガイド部材94の下を通過し(ステップ114)、ワイピング部材88のワイパー92がインク吸収体95を摺擦して、ワイピング部材88が移動停止する(ステップ116)。
そして、図23(H)に示すように、ワイピング部材88をホームポジションへ復帰させた(ステップ110)後、図23(I)に示すように、キャップ部材80を上昇させ、ホームポジションに復帰させて、ワイピング動作を完了する(ステップ112)。
このように、ワイピング部材88は、ホームポジションから移動して単位記録ヘッド40のノズル面40Aを清掃し、単位記録ヘッド40から離れ、単位記録ヘッド40から離間する下方向に下降した後、ワイピング部材88の移動軌跡上に位置するガイド部材94の下を通過して(ノズル面40Aの清掃方向と同じ)ガイド部材94のインク吸収体95を摺擦した後、ワイピング部材88は反対方向へ移動してホームポジションに戻る。
このように構成されるインクジェット記録装置10の作用について説明する。
図22に示す共通基板310の端部では、スライド機構315を配設するためのスペースを確保する必要がある。ここで、全ての共通基板310のスライド機構315を同じ側に配設すると、少なくとも隣り合うスライド機構315同士が干渉しないようにしなければならないため、省スペース化の障害となってしまう。
しかし、図27(A)に示すように、共通基板310のスライド機構315を、隣り合う共通基板310同士で左右逆となるように配設することで、スライド機構315が隣り合うことはないため、スライド機構315同士が干渉することはない。したがって、隣り合う共通基板310同士の間隔を狭くすることができ、省スペース化を図ることができる。
また、単位記録ヘッド40を千鳥配列する(単位記録ヘッド40に対向して配置されたキャップ部材80が千鳥配列されることとなる)ことによって生じるケーシング102(図25参照)とのスペースRへ向けて、共通基板310を移動させることで、該スペースRの有効利用にも繋がる。
一方、図21に示すように、ガイド部材94において、インク吸収体95を設け、ワイピング部材88のワイパー92をインク吸収体95に摺擦させるようにすることで、ワイパー92に付着したインクを除去することができる。ワイパー92にインクが付着したままだとインクが溜り、ワイパー92の清掃機能が低下してしまう。このため、ワイパー92に付着したインクを除去することで、ワイパー92の清掃機能を維持することができると共に、ワイパー92の高寿命化にも繋がる。
また、インク吸収体95はワイパー92からインクを回収し続けると、インク吸収体95内部までインクが浸透し、インクを吸収する能力が徐々に低下するが、インク吸収体95をガイド部材94に対して嵌め込み、着脱可能とすることでインク吸収体95を適度に交換することができる。
ここで、ガイド部材94は、キャップ部材80とワイピング部材88の同一直線上に位置するため、ガイド部材94にインク吸収体95を設けることで、ワイピング部材88の移動軌跡上にワイピング部材88の汚れを除去するインク吸収体95が配置されたことになる。これにより、ワイピング部材88の汚れを除去するためワイピング部材88に別途インク吸引装置等を設ける必要はなく、ワイピング動作と併せて機能させることができるため、機構が容易である。
[第3実施例]
本発明の第3実施例に係るインクジェット記録装置について説明する。実施形態および第1実施例及び第2実施例と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。以下、第1実施例及び第2実施例の異なる部分を中心にして説明する。
メンテナンス装置81では、図31に示すように、印字位置における平面性を確保するために第1実施例及び第2実施例のガイド部材94に換えて、隣接する搬送ロール100間に細ベルト120を張架したものである。すなわち、第1実施例及び第2実施例においてガイド部材94とワイピング部材88が配置されていた単位記録ヘッド40の間に細ベルト120を張架したものである。
なお、対向する位置には、第1実施例及び第2実施例と同様にスターホイール70(図32参照)が配置されている。また、本実施例では、細ベルト120は、ポリウレタン製のベルトであり、幅が5mmで厚さが2mmである。
ワイピング部材88Aは、キャップ部材80の用紙搬送方向下流側に配設されている。一方、搬送ロール100に対する駆動力の伝達は、図32に示すように、DCモータ106の駆動軸108と搬送方向最下流側の搬送ロール100の大径部100Bの間に張架された平ベルト104により駆動力が伝達され、他の搬送ロール100には大径部100B間に張架された細ベルト120介して伝達される。この結果、全ての搬送ロール100が同一速度で駆動されることになる。
ここで、本実施例におけるキャップ部材80およびワイピング部材88Aは、図31、図33及び図34に示すように、幅方向に一列に配置された6個のキャップ部材80とワイピング部材88Aが、それぞれ共通基板300、310Aに取りつけられており、移動機構312Aは、図22に示す移動機構312と基本的な構成は同じである。
但し、ワイピング部材88Aを用紙の搬送方向に沿って移動させるため、図34に示すように、ワイピング部材88Aの脚部89を略L字状に形成し、共通基板310Aをキャップ部材80の上方で、用紙の搬送方向に沿って移動させるようにする。
すなわち、共通基板310Aの一端部に駆動モータ318Aを取付け、駆動ギア334Aを直結させ、ケーシング102(図31参照)側に立設させたラック330Aと噛合させる。これにより、共通基板310Aの昇降移動を可能にする。
一方、ケーシング102にはラック330Aに直交させてラック333を配設している。このラック330Aに駆動モータ316Aを取付け、駆動モータ316Aに直結させた駆動ギア326Aをラック333に噛合させることで、共通基板310Aを用紙の搬送方向に沿って移動可能とすることができる。
また、図31に示すように、インク吸収体95を保持する保持部材97(ず29参照)は、ワイピング部材88Aの移動軌跡に伴って、キャップ部材80を間に置いてワイピング部材88Aの反対側に位置することとなる。
ここで、保持部材97は用紙の搬送方向に対して直交する方向に配置されることとなるため、搬送される用紙の邪魔にならないよう、保持部材97の高さは用紙を搬送する半走路面よりも低く設定し、また、保持部材97の水平部の両端部には、用紙をガイドするガイド部を設ける必要はない。
また、本実施例では、図21に示すように、キャップ部材80の受け部82の凹部82Aからインク吸収体86に設けられた孔部を介してインクを吸引する手段を設けており、図33に示すように、各キャップ部材80の下部には、各キャップ部材80の受け部82の凹部82Aと流路130を介して連通された第1排インク回収タンク132(容量が4cc)が設けられている。
さらに、幅方向の一列に配列された6個のキャップ部材80にそれぞれ対応した6個の第1排インク回収タンク132と流路134を介して連通された第2排インク回収タンク136(容量が60cc)が設けられている。
また、全8個の第2排インク回収タンク136に対応して設けられ、流路138を介して連通された第3排インク回収タンク140が設けられている。この第3排インク回収タンク140は、流路142から外部に排インクを排出可能とされると共に、フィルタ144を介して真空ポンプ146に連通されている。ここで、第3排インク回収タンク140は、負圧測定器148によって負圧が測定される構成である。
なお、流路130、134、142には、それぞれ第1電磁開閉弁150、第2電磁開閉弁152、第3電磁開閉弁154が配設されており、選択的に開閉することが可能とされている。
したがって、真空ポンプ146の駆動と、電磁開閉弁150、152、154の開閉動作によってキャップ部材80(凹部82A)に溜まった排インクを回収、あるいは後述するバキュームによってノズル面40Aあるいはノズル58内のインクを吸引可能とする構成である。
このように構成されるインクジェット記録装置10の作用について説明する。ここでは、第1実施例及び第2実施例と同様の動作については詳細な説明を省略し、バキューム動作についてのみ説明する。
図35(A)、(B)及び図36(A)、(B)(なお、図35(A)及び図36(A)は側面図であり、図35(B)及び図36(B)は正面図である)に示すように、昇降機構302(図34参照)の駆動によってホームポジションにあったキャップ部材80が上昇し、単位記録ヘッド40のノズル面40Aに圧接される。この結果、キャップ部材80の受け部82がノズル面40Aを覆って気密にする。
この状態でキャップ部材80に対して負圧を供給する。具体的には、以下の通りである。
先ず、図33に示すように、流路130に設けられた第1電磁開閉弁150と、流路142に設けられた第3電磁開閉弁154を閉じる。次に、負圧測定器148による測定値が所定値になるまで真空ポンプ146を駆動する。測定値が大気圧に対して−70kPaになったら真空ポンプ146の駆動を停止する。これによって、第1〜第3排インク回収タンク132、136、140が所定の負圧にされる。さらに、第2電磁開閉弁152を閉じる。
ここで、インクを回収したいキャップ部材80あるいは単位記録ヘッド40と、これに対応する第1排インク回収タンク132を連通する流路130に配設された第1電磁開閉弁150を開放する。これによって、所定の負圧にされた第1排インク回収タンク132とキャップ部材80の凹部82A(図34参照)が連通し、受け部82の凹部82Aに溜まっていたインクやゴム部84で気密とされたノズル面40Aに付着していたインクや塵埃、さらにはノズル58内部に存在する増粘したインクが負圧で吸引されて第1排インク回収タンク132に回収される。
続いて、昇降機構302(図34参照)の駆動によってキャップ部材80を下降させてホームポジションに復帰させる(ノズル面40Aから離間させる)と共に、全ての第1電磁開閉弁150および第2電磁開閉弁152を開放することにより、負圧とされた第3排インク回収タンク140にキャップ部材80、第1排インク回収タンク132、第2排インク回収タンク136から排インクが回収されることになる。
このように、キャップ部材80の凹部82Aに対して負圧を作用させることによって、キャップ部材80の凹部82Aに溜まったインク(排インク)を回収できると共に、ノズル58(図16参照)からインクを吸引することによって、ノズル58内の気泡や増粘したインク等を排除するものである。
なお、本実施例におけるワイピング動作は第1実施例及び第2実施例と同様であるが、ワイピング方向が搬送方向である点のみ異なるので、図37に動作説明図((A)〜(I)の動作内容は図23(A)〜(I)と同様)を示して詳細説明を省略する。
一方、図32に示すように、記録部20ではモータ106が駆動され、平ベルト104を介して搬送方向最下流の搬送ロール100に駆動力が伝達される。隣接する搬送ロール100間には、細ベルト120が張架されているため、同一速度で駆動される。
ここで、図18に示すように、スターホイール群72のスターホイール70がスプリング75によって搬送ロール100側に付勢されているため、搬送されてきた用紙はスターホイール70に押圧されて搬送ロール100と接触し、搬送ロール100から所定の駆動力を伝達され一定速度で搬送されていることになる。
また、図33に示すように、搬送ロール100間においても細ベルト120によって駆動力を伝達されるため、用紙が一定速度で確実に搬送されると共に、印字位置における平面性を確保することができる。
さらに、本実施例では、幅方向に配列された6個のキャップ部材80、ワイピング部材88Aがそれぞれ共通基板300、310A(図34参照)に取り付けられ、一体的に変位可能に構成されているため、駆動機構が容易になるという効果もある。さらに、第1実施例及び第2実施例と同様の作用効果を奏する。
なお、本実施例で説明したバキューム動作および機構を第1実施例及び第2実施例に適用することも可能である。
[第4実施例]
本発明の第4実施例に係るインクジェット記録装置について説明する。第1、第2、第3実施例と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。以下、第1、第2、第3実施例の異なる部分を中心にして説明する。
本実施例に係るインクジェット記録装置400は、図38に示すように、搬送系に静電吸着ドラム(以下、単にドラムという場合がある)160を使用している点が大きな特徴である。
ドラム160は、外周面の用紙保持領域に半導電性あるいは絶縁性のシートが配設されており、搬送方向上流側の帯電ロール162によって帯電され、押圧ロール164によってドラム160上に圧接されることによりドラム160に静電吸着され、ドラム160の回転によってドラム160と共に回転搬送されると共に、搬送方向下流側に配設された剥離手段166によってドラム外周面から剥離される構成である。
なお、ドラム160の外周面において用紙保持領域と異なる位置には、開口部160Aが設けられており、メンテナンス(ダミージェット、ワイピング、キャッピング、バキューム)時に用いるものである。
一方、ドラム160の外周面の回転方向に沿って、4色の記録ヘッド44Y〜44Kを構成する8個の記録ヘッドアレイ42YA〜42KBが配設されている。各記録ヘッドアレイ42の構成は、第1実施例〜第3実施例と同様である。
ドラム160の内側には、各単位記録ヘッド40に対向する位置にキャップ部材80が配設され、キャップ部材80の幅方向において隣接する位置にワイピング部材88が配設されている。この配置も、第1実施例及び第2実施例と同様である。
幅方向に配列された6個のキャップ部材80、ワイピング部材88は、第1、第2実施例と同様に共通基板404、410に取り付けられ、昇降機構402、スライド機構415によって一体的に駆動可能とされている。
このように構成されるインクジェット記録装置400の作用について説明する。
印字を行う場合には、帯電ロール162によってドラム160の用紙保持領域が帯電され、押圧ロール164によって外周面に押圧された用紙がドラム160の外周面に静電吸着され、ドラム160と共に回転搬送される。
この用紙に対して各記録ヘッドアレイ42YA〜42KBを構成する単位記録ヘッド40のノズル58からインク滴が吐出され、カラー印字が行われる。カラー印字された用紙は、剥離手段166でドラム160の外周面から剥離される構成である。
用紙がドラム160の用紙保持領域に静電吸着されて搬送されるため、各単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対する用紙の距離が一定に保たれ、高画質のカラー印字を行うことができる。
一方、ダミージェットを行う場合には、ドラム160の用紙保持領域が通過後に開口部160Aが単位記録ヘッド40に対向する位置にきたタイミングでノズル58からインク滴をキャップ部材80に向かって吐出する(ダミージェットを行う)。これによって印字性能の初期化を行うことができる。
なお、キャッピング、バキュームあるいはワイピングを行う場合には、開口部160Aが全単位記録ヘッド40に対向する位置でドラム160の回転を停止させ、昇降機構402、移動機構415の駆動により、第1、第2実施例と同様にキャッピング、バキューム、ワイピングを行う。
特に、メンテナンス動作を行なうために記録ヘッド44Y〜44Kが全く移動する必要がなく、記録ヘッド44Y〜44Kの移動による印字位置におけるアライメントずれによる印字のずれが発生することがなく、高画質な印字を可能にすることができる。また、記録ヘッド44Y〜44Kを移動させる機構も不要になり、機構を単純化できるというメリットもある。
なお、本発明の記録装置において画像記録の対象となる「記録媒体」には、記録装置がインク滴を吐出する対象物であれば広く含まれる。また、インク滴が記録媒体上に付着されることで得られる記録媒体上のドットのパターンが、本発明の記録装置で得られる「画像」あるいは「記録画像」に広く含まれる。したがって、本発明の記録装置は、記録用紙上への文字や画像の記録に用いられるものに限定されない。
また、記録媒体には、記録用紙やOHPシートなどが含まれるのはもちろんであるが、これら以外にも、たとえば、配線パターン等が形成される基板などが含まれる。また、「画像」には、一般的な画像(文字、絵、写真など)のみならず、上記したような配線パターンや3次元物体、有機薄膜などが含まれる。吐出する液体も着色インクに限定されるわけではない。
例えば、高分子フィルムやガラス上に着色インクを吐出して行うディスプレイ用のカラーフィルターの作製、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う部品実装用のバンプの形成、有機EL溶液を基板上に吐出させて行うELディスプレイパネルの形成、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う電気実装用のバンプの形成など、様々な工業的用途を対象とした液滴噴射装置一般に対して、本発明の記録装置を適用することが可能である。
本発明の実施形態に係る記録装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る記録装置の印字領域の説明図である。 本発明の実施形態に係る単位記録ヘッドのバリエーションの説明図である。 本発明の実施形態に係る記録ヘッドのバリエーションの説明図である。 本発明の実施形態に係る単位記録ヘッドのバリエーションの説明図である。 本発明の実施形態に係る記録ヘッドのバリエーションの説明図である。 本発明の実施形態に係る記録ヘッドのバリエーションの説明図である。 本発明の実施形態に係る単位記録ヘッドのバリエーションの説明図である。 本発明の第1実施例に係るメンテナンス装置の斜視図である。 (A)〜(C)は、本発明の第1実施例に係るメンテナンス装置の動作説明図である。 本発明の第1実施例に係るメンテナンス装置のバリエーションの説明図である。 本発明の第1実施例に係るメンテナンス装置のバリエーションの一例の説明図である。 本発明の第1実施例及び第2実施例に係る記録装置を示す概略構成図である。 本発明の第1実施例及び第2実施例に係る記録ヘッド部の概略平面図である。 本発明の第1実施例及び第2実施例に係る単位記録ヘッドの平面図である。 本発明の第1実施例及び第2実施例に係る記録ヘッドアレイの構成説明図である。 本発明の第1実施例及び第2実施例に係る記録部の縦断面図である。 本発明の第1実施例及び第2実施例に係る記録部の要部側面図である。 (A)はスターホイールの断面図であり、(B)は側面図、(C)は他の例に係る側面図である。 本発明の第1実施例に係るメンテナンス部の概略平面図である。 本発明の第2実施例に係るメンテナンス部の要部を説明するための斜視図である。 本発明の第1実施例及び第2実施例に係るメンテナンス部の昇降機構およびスライド機構の説明図である。 (A)〜(I)は、本発明の第1実施例及び第2実施例に係る記録装置におけるワイピング動作説明図である。 本発明の第1実施例及び第2実施例に係る記録装置の駆動機構の説明図である。 本発明の第1実施例及び第2実施例に係る用紙搬送機構を説明する要部平面図である。 (A)、(B)は、本発明の第1実施例及び第2実施例に係る記録装置におけるキャッピング動作説明図である。 (A)、(B)は、本発明の第1実施例及び第2実施例に係る記録装置の移動機構の動作説明図である。 (A)は、本発明の第1実施例に係るメンテナンス部の動作を説明するフローチャートであり、(B)は、本発明の第2実施例に係るメンテナンス部の動作を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施例に係る除去部材の構成を示す分解斜視図である。 本発明の第2実施例に係るワイピング部材を清掃している状態を示す説明図である。 本発明の第3実施例に係るメンテナンス部の概略平面図である。 本発明の第3実施例に係る記録装置の駆動機構の説明図である。 本発明の第3実施例に係る記録装置の排インク回収機構の説明図である。 本発明の第3実施例に係るメンテナンス部の昇降機構およびスライド機構の説明図である。 (A)、(B)は、本発明の第3実施例に係るキャップ部材のホームポジションの説明図である。 (A)、(B)は、本発明の第3実施例に係るキャップ部材のキャッピング位置の説明図である。 (A)〜(I)は、本発明の第3実施例に係る記録装置におけるワイピング動作説明図である。 本発明の第4実施例に係る記録装置における記録部の概略説明図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置(記録装置)
40 単位記録ヘッド(記録ヘッド)
42 記録ヘッドアレイ(記録ヘッド)
44 記録ヘッド
80 キャップ部材(キャップ手段、液体収容手段、メンテナンス装置)
81 メンテナンス装置
82A 凹部(液体収容手段)
86 インク吸収体(液体吸収体、回収手段)
88 ワイピング部材(清掃手段、メンテナンス装置)
88A ワイピング部材(清掃手段、メンテナンス装置)
90 保持部材(第2門型フレーム、清掃手段)
92 ワイパー(当接部、清掃手段)
94 第1門型フレーム(除去部材)
94A 梁部(ガイド部)
95 インク吸収体
97 保持部材(除去部材)
100 搬送ロール(搬送手段)
146 真空ポンプ(負圧吸引手段、回収手段)
200 記録装置
252 負圧吸引装置(負圧吸引手段、回収手段)
260 負圧発生装置(負圧吸引手段、回収手段)
300 共通基板(第2支持体)
304 駆動モータ(昇降手段)
308 偏心カム(昇降手段)
310 共通基板(第1支持体、駆動手段)
310A 共通基板(第1支持体、駆動手段)
315 スライド機構(駆動装置、駆動手段)
316A 駆動モータ(スライド機構、駆動装置、駆動手段)
316 駆動モータ(スライド機構、駆動装置、駆動手段)
322 ラック(スライド機構、駆動装置、駆動手段)
326A 駆動ギア(スライド機構、駆動装置、駆動手段)
326 駆動ギア(スライド機構、駆動装置、駆動手段)
333 ラック(スライド機構、駆動装置、駆動手段)
400 インクジェット記録装置(記録装置)
410 共通基板(支持体、駆動手段)
415 移動機構(スライド機構、駆動装置、駆動手段)

Claims (7)

  1. 液滴を吐出する複数の単位記録ヘッドが所定の間隔をあけて、搬送される記録媒体の幅方向に沿って配列された記録ヘッドアレイと、
    前記単位記録ヘッドの液滴吐出面を清掃する清掃手段と、
    複数の前記清掃手段が取付けられ、清掃手段を前記単位記録ヘッドの配列方向又はこの配列方向に直交する方向へ一体に移動させる駆動手段と、
    を備え、
    前記駆動手段が、
    前記複数の清掃手段が取付けられた第1支持体と、
    前記第1支持体を昇降させると共に、前記清掃手段を前記単位記録ヘッドの配列方向又はこの配列方向に直交する方向へ移動させる駆動装置と、
    を含んで構成され、
    前記第1支持体の駆動方向が、隣接する前記記録ヘッドアレイ毎で互いに逆方向であることを特徴とする記録装置。
  2. 前記記録ヘッドアレイが記録媒体の搬送方向に沿って複数配列され、前記単位記録ヘッドが平面視にて千鳥状となっていることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  3. 隣り合う第1支持体の駆動装置の配置位置が、隣接する前記記録ヘッドアレイ毎で互いに反対であることを特徴とする請求項1または2記載の記録装置。
  4. 前記清掃手段の移動軌跡上に、清掃手段と接触して清掃手段に付着した汚れを除去する除去部材が配置され、
    前記除去部材が、
    前記第1支持体を跨ぐ第1門型フレームと、
    前記第1門型フレームの梁部の下面に取付けられ、前記清掃手段が摺擦する液滴吸収体と、
    で構成されて、
    前記第1門型フレームの梁部は、前記記録ヘッドアレイ間に延在し、前記単位記録ヘッド間に位置して、搬送される記録媒体を案内するガイド部となっていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の記録装置。
  5. 前記液滴吐出面に対して接近離間自在に設けられ、液滴吐出面への当接時に該液滴吐出面を気密にし、前記記録ヘッドから吐出された液滴を収容するキャップ手段を備え、
    前記清掃手段が、前記液滴吐出面に対して接近離間自在であり、
    前記第1支持体から立ち上げられ、第1支持体が前記単位記録ヘッドの配列方向又はこの配列方向に直交する方向へ移動したとき、前記キャップ手段を跨ぐ第2門型フレームと、
    前記第2門型フレームの梁部の上面に取付けられ、前記液滴吐出面への当接時に液滴吐出面に沿って移動可能な弾性体からなる当接部と、
    を含んで構成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の記録装置。
  6. 前記駆動装置は、前記第1支持体を上昇させ、前記単位記録ヘッドの配列方向に沿って移動させて前記液滴吐出面を前記清掃手段で清掃させ、次に、第1支持体を下降させ、清掃手段を前記第1門型フレームの前記液滴吸収体に摺擦させて、元の位置に戻すことを特徴とする請求項4又は5記載の記録装置。
  7. 前記複数のキャップ手段が取付けられた第2支持体と、前記第2支持体を昇降させる昇降手段と、を備え、
    前記昇降手段が、前記第2支持体が昇降させ、前記キャップ手段を、前記液滴吐出面をキャッピングするキャッピング位置と、前記キャッピング位置より低く前記記録媒体が搬送可能となる記録位置と、前記記録位置より低く前記第2門型フレームが跨いで移動可能となる清掃位置と、を移動させることを特徴とする請求項5又は6記載の記録装置。
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