JP4360109B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴の吐出によって記録媒体に記録する記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、高速化を達成するために、記録ヘッドが走査しない、いわゆる紙幅対応の記録ヘッドを備えたものが提案されている。
【0003】
この場合、記録ヘッドのインク滴の吐出性能を維持するメンテナンス動作を、いかに生産性を損ねることなく行なうかが問題になる。例えば、用紙を静電吸着ベルトで搬送するタイプのインクジェット記録装置において、ダミージェット用の孔部をベルトに設けることによって、搬送時の用紙の平面性を確保しつつ印字中に孔部を介してダミージェット可能に構成し、生産性と印字性能の両立を図っている(例えば、特許文献1。以下、従来例1という)。
【0004】
一方、インクジェット記録装置では、記録ヘッドからインク滴を吐出して用紙に印字するため、インク滴の吐出に伴なうインクの微粒子(以下、インクミストという)が記録ヘッドと用紙間に漂い、記録ヘッドのノズル面に付着してノズルを塞いでインク滴の吐出不良を生じさせたり、用紙に付着して印字画質を低下させる等の不都合があった。
【0005】
このインクミスト対策として、走査型の記録ヘッドを有するインクジェット記録装置では、記録ヘッドが非印字領域に移動してキャップ手段にダミージェットを行なうときに、吸引ポンプを駆動してキャップ手段からダミージェット時に発生するインクミストを吸引することが提案されている(例えば、特許文献2。以下、従来例2という)。
【0006】
特に、紙幅印字の場合には、用紙を連続的に搬送しながら印字するため、同一位置でインク滴の吐出が連続的に行なわれ、インクミストの発生量が走査型の記録ヘッドタイプと比較して格段に多くなり、上記不都合が一層顕在化する。
【0007】
このような紙幅印字タイプのインクジェット記録装置におけるインクミスト対策として、記録ヘッドと用紙の間に空気流を発生させて記録ヘッドのノズル面あるいは用紙に対するインクミスト付着を防止するものが提案されている。具体的には、記録ヘッドの上流側に配設された送風手段あるいは下流側に配設された吸引手段によって搬送方向に沿って記録ヘッドと用紙の間に空気流を発生させて記録ヘッドのノズル面あるいは用紙に対するインクミスト付着を防止することが提案されている(例えば、特許文献3。以下、従来例3という)。
【0008】
【特許文献1】
特開平3−92358号公報
【特許文献2】
特開2002−137415号公報
【特許文献3】
特開平3−234539号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来例1のように構成すると、連続印字中にダミージェットを行なうことが可能となるが、離間したキャップに向けてダミージェットを行うため、インク滴の吐出に伴なうインクミスト量が一層増加し、ノズル面にインクミストが付着してインク滴の吐出性能が低下することや用紙に付着して印字画質が低下することが発生する不都合がある。
【0010】
また、従来例2は、ダミージェット時のインクミストに対しては有効であるが、印字中に発生するインクミストに対しては何ら対策が講じられておらず、印字中に発生するインクミストによって上記不都合が発生する。
【0011】
さらに、従来例3は、インクミストがいずれかの場所に回収されることなく、装置内に拡散されるに過ぎず、根本的な解決にならない。特に、記録ヘッドの下(印字位置)を通過した用紙にインクミストが付着するおそれがあり、インクミスト付着による印字画質の低下を防止することができないという不都合がある。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために、高画質な印字を可能にする記録装置を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の記録装置は、記録媒体を連続的に搬送しながら液滴を吐出することによって当該記録媒体に記録する記録装置であって、前記記録媒体に対して液滴を吐出する非走査型の複数の記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対向して配設され、前記液滴の吐出によって発生するミストを回収する回収手段と、を備え、前記回収手段と前記記録ヘッドの間に前記記録媒体が搬送され前記回収手段は、前記記録ヘッドの液滴吐出面に対してそれぞれ当接、離間可能に配設され、前記液滴吐出面にそれぞれ圧接して当該液滴吐出面を気密にする複数の気密保持手段と、前記複数の気密保持手段と連通する負圧発生室と、前記負圧発生室と連通し、負圧を発生する負圧発生源と、前記複数の気密保持手段と前記負圧発生室の間にそれぞれ設けられ、両者を連通、あるいは遮断する複数の第1弁と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項1記載の記録装置の作用について説明する。
【0015】
非走査型の記録ヘッドを備える記録装置では、記録媒体を連続搬送しながら記録ヘッドから液滴を吐出することによって記録媒体に印字を行う。この際、記録ヘッドに対向して回収手段が配置されているため、記録ヘッドの液滴吐出に伴って発生するミストが回収手段によって吸引される。したがって、記録媒体にミストが付着することによる画質低下やミストが記録ヘッドの液滴吐出面に付着して記録ヘッドの液滴吐出性能を低下させることを防止できる。
また、気密保持手段が記録ヘッドの液滴吐出面に圧接して気密にすることによって、記録ヘッドと内部に存在する液体の乾燥が防止され、記録ヘッドが良好な状態で維持される。
さらに、気密保持手段が記録ヘッドの液滴吐出面に圧接して気密にしている状態において、負圧発生源を駆動することによって液滴吐出面に負圧を作用させ、記録ヘッド内部から液体を吸引する。これによって、記録ヘッド内部にあった液体が排出され、液滴吐出性能が初期化される。
さらにまた、1つの負圧発生源と複数の気密保持手段を、負圧発生室を介して連通することにより、1つの負圧発生源で複数の気密発生手段に負圧を作用させることができる。
また、負圧発生室は気密保持手段と負圧発生源を結ぶ連通路中に設置した気室であるため、負圧発生源で発生させた負圧を均一にして気密保持手段に伝えることができる。また、負圧発生室は他の連通路部分よりも広い容積を有するため、複数の気密保持手段に振り分けるための高い負圧状態を維持できる。さらに、吸引動作中に、記録ヘッドから吸引したインクや異物が経路をふさいでしまうのを防止できる。
さらに、各気密保持手段と負圧発生室の間にそれぞれ第1弁を設け、複数の第1弁を選択的に開閉することによって能力の低い負圧発生源でも使用可能にすることができる。
【0016】
請求項2記載の記録装置は、請求項1記載の記録装置において、前記回収手段は、前記負圧発生室と前記負圧発生源の間に設けられ、両者を連通、あるいは遮断する第2弁を有し、前記第1弁を閉止し、前記第2弁を開放した状態で前記負圧発生源を駆動して前記負圧発生室を上昇させた後、前記第2弁を閉止して所定の負圧状態にさせ、前記第1弁を開放することを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の記録装置の作用について説明する。
【0018】
気密保持手段と負圧発生室の間に配設された第1弁を閉止した状態で負圧発生源を駆動することにより負圧発生室の負圧を高め、所定の負圧状態にった時点で第2弁を閉止する。この結果、負圧発生室が所定の負圧状態で維持される。一方、複数の気密保持手段が単位記録ヘッドの液滴吐出面に圧接し、液滴吐出面を気密状態としておく。
この状態で、第1弁を開放することにより複数の気密保持手段に負圧が均等に作用して記録ヘッド内部の液体を液滴吐出面から吸引することができる。この結果、記録ヘッドの液滴吐出性能を初期化することができる。
【0019】
請求項3記載の記録装置は、記録媒体を連続的に搬送しながら液滴を吐出することによって当該記録媒体に記録する記録装置であって、前記記録媒体に対して液滴を吐出する非走査型の記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対向して配設され、前記液滴の吐出によって発生するミストを回収する回収手段と、を備え、前記回収手段と前記記録ヘッドの間に前記記録媒体が搬送され、前記回収手段は、前記記録ヘッドの液滴吐出面に対して当接、離間可能に配設され、前記液滴吐出面に圧接して当該液滴吐出面を気密にする気密保持手段と、前記気密保持手段と連通する負圧発生室と、前記負圧発生室と連通し、負圧を発生する負圧発生源と、前記気密保持手段と前記負圧発生室の間に設けられ、両者を連通、あるいは遮断する第1弁と、前記負圧発生室と前記負圧発生源の間に設けられ、両者を連通、あるいは遮断する第2弁と、を有し、前記第1弁を閉止し、前記第2弁を開放した状態で前記負圧発生源を駆動して前記負圧発生室を上昇させた後、前記第2弁を閉止して所定の負圧状態にさせ、前記第1弁を開放することを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の記録装置の作用について説明する。
【0021】
非走査型の記録ヘッドを備える記録装置では、記録媒体を連続搬送しながら記録ヘッドから液滴を吐出することによって記録媒体に印字を行う。この際、記録ヘッドに対向して回収手段が配置されているため、記録ヘッドの液滴吐出に伴って発生するミストが回収手段によって吸引される。したがって、記録媒体にミストが付着することによる画質低下やミストが記録ヘッドの液滴吐出面に付着して記録ヘッドの液滴吐出性能を低下させることを防止できる。
また、気密保持手段が記録ヘッドの液滴吐出面に圧接して気密にすることによって、記録ヘッドと内部に存在する液体の乾燥が防止され、記録ヘッドが良好な状態で維持される。
さらに、気密保持手段が記録ヘッドの液滴吐出面に圧接して気密にしている状態において、負圧発生源を駆動することによって液滴吐出面に負圧を作用させ、記録ヘッド内部から液体を吸引する。これによって、記録ヘッド内部にあった液体が排出され、液滴吐出性能が初期化される。
さらにまた、負圧発生室は気密保持手段と負圧発生源を結ぶ連通路中に設置した気室であるため、負圧発生源で発生させた負圧を均一にして気密保持手段に伝えることができる。また、負圧発生室は他の連通路部分よりも広い容積を有するため、複数の気密保持手段に振り分けるための高い負圧状態を維持できる。さらに、吸引動作中に、記録ヘッドから吸引したインクや異物が経路をふさいでしまうのを防止できる。
また、気密保持手段と負圧発生室の間に配設された第1弁を閉止した状態で負圧発生源を駆動することにより負圧発生室の負圧を高め、所定の負圧状態にった時点で第2弁を閉止する。この結果、負圧発生室が所定の負圧状態で維持される。一方、複数の気密保持手段が単位記録ヘッドの液滴吐出面に圧接し、液滴吐出面を気密状態としておく。
この状態で、第1弁を開放することにより複数の気密保持手段に負圧が均等に作用して記録ヘッド内部の液体を液滴吐出面から吸引することができる。この結果、記録ヘッドの液滴吐出性能を初期化することができる。
【0022】
請求項4記載の記録装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録装置において、前記回収手段は、吸気力により前記ミストを回収し、前記ミストの発生量に応じて前記回収手段の吸気力を調整する制御手段を備えることを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の記録装置の作用について説明する。
【0024】
制御手段がミストの発生量に応じて回収手段の吸気力を調整するため、回収手段がミストを確実に回収できると共に、回収手段の駆動に要する消費電力を低減できる。なお、吸気力の調整は、駆動力の変更だけでなく、駆動時間の変更、例えば間欠駆動の駆動割合の変更等を含むものとする。
【0025】
請求項5記載の記録装置は、記録媒体を連続的に搬送しながら液滴を吐出することによって当該記録媒体に記録する記録装置であって、前記記録媒体に対して液滴を吐出する非走査型の記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対向して配設され、前記液滴の吐出によって発生するミストを吸気力により回収する回収手段と、前記ミストの発生量に応じて前記回収手段の吸気力を調整し、かつ、液滴吐出時において前記記録ヘッドの液滴吐出面に対向する位置に前記記録媒体が存在しない場合、前記記録媒体が存在する場合と比較して前記吸気力を高く調整する制御手段と、を備え、前記回収手段と前記記録ヘッドの間に前記記録媒体が搬送されることを特徴とする。
【0026】
請求項5記載の記録装置の作用について説明する。
【0027】
非走査型の記録ヘッドを備える記録装置では、記録媒体を連続搬送しながら記録ヘッドから液滴を吐出することによって記録媒体に印字を行う。この際、記録ヘッドに対向して回収手段が配置されているため、記録ヘッドの液滴吐出に伴って発生するミストが回収手段によって吸引される。したがって、記録媒体にミストが付着することによる画質低下やミストが記録ヘッドの液滴吐出面に付着して記録ヘッドの液滴吐出性能を低下させることを防止できる。
また、制御手段がミストの発生量に応じて回収手段の吸気力を調整するため、回収手段がミストを確実に回収できると共に、回収手段の駆動に要する消費電力を低減できる。なお、吸気力の調整は、駆動力の変更だけでなく、駆動時間の変更、例えば間欠駆動の駆動割合の変更等を含むものとする。
さらに、液滴吐出時において記録ヘッドの液滴吐出面に対向して記録媒体が位置している場合とは、記録媒体に対する印字中のことである。一方、記録媒体が位置していない場合には記録媒体が障害物とならず、浮遊するミストを吸引するには好適なタイミングである。そこで、液滴吐出面に対向する位置に記録媒体がない場合の吸気力を高くすることによって、ミストを確実に吸引すると共に回収手段の駆動消費電力を低減する。
【0037】
請求項記載の記録装置は、請求項1〜のいずれか1項記載の記録装置において、前記記録ヘッドは、複数の単位記録ヘッドが前記記録媒体の搬送方向に交差する方向に配置されることにより構成されていることを特徴とする。
【0038】
請求項記載の記録装置の作用について説明する。
【0039】
複数の単位記録ヘッドが記録媒体の搬送方向と交差する方向に配置されることにより記録ヘッドが構成されるため、長尺状の記録ヘッドを使用するよりも低コストで構成することができる。
【0040】
請求項記載の記録装置は、請求項1〜のいずれか1項記載の記録装置において、インク滴吐出時に前記回収手段を駆動する場合において、インク滴吐出終了後に当該回収手段を所定時間駆動した後、駆動を停止することを特徴とする。
【0041】
請求項記載の記録装置の作用について説明する。
【0042】
記録ヘッドの液滴吐出に伴なって発生するミストは、印字終了後も所定時間、記録ヘッドと回収手段の間に残存する。したがって、印字終了後から所定時間経過後まで回収手段を駆動することによって残存するミストを確実に回収して記録ヘッドの液滴吐出面への付着などを防止する。
【0043】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。
(インクジェット記録装置の全体構成)
先ず、インクジェット記録装置の全体構成について簡単に説明する。
【0044】
インクジェット記録装置10は、図1に示すように、用紙を送り出す用紙供給部12と、用紙の姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴を吐出して用紙に画像形成する記録ヘッド部16と、記録ヘッド部16のメンテナンスを行なうメンテナンス部18とを備える記録部20と、記録部20で画像形成された用紙を排出する排出部22とから基本的に構成される。
【0045】
用紙供給部12は、用紙が積層されてストックされているストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。
【0046】
レジ部14は、ループ形成部28と用紙の姿勢を制御するガイド部材30が備えられており、この部分を通過することによって用紙のコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に進入する構成である。
【0047】
記録部20については、記録ヘッド部16とメンテナンス部18の間を用紙が搬送される用紙搬送路が構成されており、用紙搬送路を連続的に(停止することなく)搬送される用紙に対して、記録ヘッド部16からインク滴が吐出され当該用紙に画像が形成される構成である。記録ヘッド部16とメンテナンス部18は、それぞれユニット化されており、記録ヘッド部16がメンテナンス部18と用紙搬送路を挟んで分離可能に構成されている。したがって、用紙ジャムの場合に、容易にジャムした用紙を取り出すことができる。なお、記録部20については後述するので、詳細な説明を省略する。
【0048】
排紙部22は、記録部20で画像が形成された用紙を排紙ベルト31を介してトレイ32に収納するものである。
(記録ヘッド部の構成)
次に、記録ヘッド部16について、図2〜図7を参照して詳細に説明する。図2は、記録ヘッド部16を上側から見た模式図(図8との対応をとりやすくするためにあえて上方から見た平面図とした)である。
【0049】
記録ヘッド部16は、図2に示すように、用紙搬送方向(矢印X方向。以下、搬送方向という場合がある)に対して直交する用紙幅方向(矢印Y方向。以下、幅方向という場合がある)に対して一定の間隔で配置された単位記録ヘッド40が6個配置された記録ヘッドアレイ42が用紙搬送方向に一定間隔で8個配設されることによって基本的に構成されている。
【0050】
単位記録ヘッド40は、図3に示すように、ノズル面40Aにインク吐出するノズル58が一直線上に形成されたものであり、周知のサーマルインクジェット方式によりインク滴が吐出されるものである。本実施形態では、単位記録ヘッド40はノズル配列密度が800dpiで800ノズルであり、噴射周波数が7.56kHzで、顔料インクを使用するものである。
【0051】
このような単位記録ヘッド40がノズル配列方向が幅方向と一致するように一直線上に後述する共通基板46に6個の単位記録ヘッド40が取り付けられることによって記録ヘッドアレイ42A、42Bが形成されている。
【0052】
記録ヘッドアレイ42A、42Bは、図4に示すように、それぞれ6個の単位記録ヘッド40が一定間隔をおいて配設されたものであり、記録ヘッドアレイ42A、42Bでは単位記録ヘッド40の配置を幅方向で相互にずらして配置することによって、単位記録ヘッド40のノズル列の一部が記録ヘッドアレイ42A、42B間において重複するオーバーラップ領域OLを有するように配置されている。このようにオーバーラップ領域OLを設けることによって、印字領域内で印字ができない領域が発生することを防止している。すなわち、記録ヘッドアレイ対42A、42Bの単位記録ヘッド40のノズル58からインク滴を吐出することによって、用紙に対する一色分の印字を行なうものである。本実施形態では、この一対の記録ヘッドアレイ42A、42Bの組み合わせを記録ヘッド44と呼ぶものとする。
【0053】
印字領域とは、用紙の両端から印字しないマージンを引いた記録領域のうち最大のものが基本となるが、一般的には印字対象となる最大用紙幅PWよりも大きくとっている。本実施形態でも、用紙が搬送方向に対して所定角度傾斜して(スキューして)搬送されるおそれがあること、また縁無し印字の要請が高いことから最大用紙幅PWよりも大きめに印字領域を設定しているものである(図4参照)。本実施形態の記録ヘッド44では、印字領域が12インチとされており、最大用紙幅PWがA3短手幅(A4長手幅)の297mmである。
【0054】
記録ヘッド44は、搬送方向上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に印字されてフルカラー印字可能な構成であり、必要な場合には該当する記録ヘッドの参照番号にY、M、C、Kの符号を付して(44Y、44M、44C、44Kとして)区別する(図2参照)。以下、他の部材についても同様である。
【0055】
また、図2において、記録ヘッド44Y〜44Kの構成は同一なので、記録ヘッド44Yの構成要素についてのみ参照符号を付し、他の記録ヘッド44M〜44Kの構成要素に対する参照符号を付するのを省略している。
【0056】
記録ヘッド44を構成する記録ヘッドアレイ42Aは、図5に示すように、用紙幅方向に延在する共通基板46Aに6個の単位記録ヘッド40が所定間隔で取り付けられている。
【0057】
すなわち、単位記録ヘッド40は、図4に示すように、共通基板46Aに取り付けられることによりこのノズル列が幅方向に並ぶことになる。
【0058】
また、記録ヘッドアレイ42Aでは、各単位記録ヘッド40の隣りにスターホイール70が配置されている。スターホイール70は、共通基板46に嵌合されている支持部材71の先端に板バネ73を介して回転自在に軸支されており、この板バネ73によって後述するガイド部材94側に常時付勢されている(図6参照)。なお、スターホイール70は、印字領域内にのみ配設されるため、記録ヘッドアレイ42A、42Bでは、それぞれ印字領域外となる一端の記録ヘッド40の幅方向外側にはスターホイールは配設されない。
【0059】
スターホイール70は、図7(A)に示すように、孔部74が形成された円筒形の樹脂製の保持体76と、保持体76に保持されたステンレス製のホイール78から構成されている。
【0060】
保持体76は、軸方向中央で縮径してホイール挿入可能とした第1部材76Aと、縮径部分に嵌合して第1部材76Aと共にホイール78を挟持する第2部材76Bとから構成されている。ホイール78は、外周に歯79が一定間隔で多数形成されている。歯79の先端形状は、鈍角で先端がR形状とされている(図7(B)参照)が、用紙上の未乾燥のインクと接触するため接触面積が極力小さくされていれば良く、例えば、鋭角(図7(C)参照)でも良い。
【0061】
また、ホイール78の厚みは、本実施形態では、0.1mmで先端(歯先)の厚みをテーパー加工により0.01〜0.02mm程度に薄くしたものである。また、ホイール78は、SUS631EH材から両面段差エッチングで外形と先端テーパー形状を同時加工して形成したものであり、表面をフッ素樹脂撥水コートしたものである。
【0062】
また、記録ヘッド部16では、搬送方向に沿って記録ヘッドアレイ42間、最上流側の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側、および最下流側の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に3つのスターホイール群72A〜72Cが配設されている(図2参照)。スターホイール群72A〜72Cは、幅方向に連続して配置された3本のシャフト74A〜74Cに対し所定間隔をおいてそれぞれ6個のスターホイール70が軸支されているものである。この各シャフト74A〜74Cは、両端でスプリング75によって後述する搬送ロール100側に付勢されている。なお、スターホイール70の搬送ロール100側への変位量は、搬送ロール100の表面よりわずかに食いこむ位置で停止するように、規制部材77が配設されている(図6参照)。
【0063】
ここで、スターホイール70同士の幅方向間隔は、最も広い箇所で25.4mmとした。用紙の局所的な浮き・変形を押さえるために50mm以下が望ましいからである。
【0064】
また、スターホイール70がスプリング75によって搬送ロール100に押圧される力は、1個当たり5gf〜30gfが良く、更に好ましくは10gf〜20gfが良い。押圧力が5gfよりも小さいと用紙を搬送ロール100に十分押さえることができず、30gfよりも大きいとスターホイール70が用紙を傷つけるためである。本実施形態では、スターホイール1個当たり10gfである。
(メンテナンス部の構成)
記録部20に対して対向配置されるメンテナンス部18の構成を図8〜図11、図14を参照して説明する。図8は、搬送位置からメンテナンス部18を平面視にしたものである。
【0065】
メンテナンス部18は、記録部20と用紙搬送位置を挟んで対向配置されており、図8に示すように、記録部20の各単位記録ヘッド40と対向する位置にメンテナンス装置81が配置されている(図2参照)。メンテナンス装置81は、キャップ部材80とワイピング部材88から構成されている。
【0066】
キャップ部材80は、図9に示すように、矩形状の凹部82Aが形成されたプラスチック製の受け部82と、凹部82Aの開口部分に嵌合され開口部84Aが形成されたゴム部84と、凹部82Aの底面に配設されたポリプロピレンとポリエチレンとからなるインク吸収体86とから構成されている。したがって、後述するダミージェットの際、各単位記録ヘッド40のノズル58からキャップ部材80の開口部84Aを介して凹部82Aの内部にインク滴が吐出され、インク吸収体86に吸収される構成である。また、キャップ部材80を構成する受け部82の底面中央には孔部82Bが形成され、後述するチューブ160と凹部82Aの内部が連通する構成とされている。なお、インク吸収体86にも孔部82Bに対応する孔部86Bが形成されている。
【0067】
ここで受け部82を構成するプラスチック材料としては、POM、PET、PBT、PPS、ナイロン66、アクリル、ベークライトなどがあるが、成形性、耐熱性、耐衝撃性などの点でPBTが好ましい。
【0068】
また、ゴム部84を構成するゴム材料としては、生ゴム、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、エーテル系ゴム、ポリスルフィド系ゴム、ウレタン系ゴム、フッ素系ゴム、シリコーンゴムなどの各種天然ゴム、各種エラストマー(ゴム弾性体)や、これらゴム系材料のブレンドゴム、またはこれらゴム系材料と各種プラスティックとのブレンドゴムなど、各種弾性部材が使用でき、これら材料の接着などによる組合せを用いても良い。
【0069】
これら材料のなかでも耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐磨耗性、加工性の点で、水素化ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリジメチルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等が好ましい。
【0070】
さらに、インク吸収体86の材料としては、ポリエステルフェルト繊維材料、また、アクリルニトリルフェルト繊維材料が好ましく、更には、ポリエステルフェルト繊維材料及びアクリルニトリルフェルト繊維材料が混合されたものも好ましい。使用繊維材料の繊維径、繊維長、配列方向等を適宜変えると、インク吸収体86のインク保持能力及びインク供給能力を細かく調整することが可能である。
【0071】
また、その他にポリアミド系繊維材料、ポリプロピレン繊維材料、ポリビニールアルコール系繊維材料、ポリ塩化ビニリデン系繊維材料、ポリウレタン系繊維材料などが挙げられる。
【0072】
インク等の記録液の吸収性を考えると、ポリエステル系繊維材料がより好ましく、上記材料を混合した材料系を用いることも好適である。
【0073】
また、キャップ部材80は、図10に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した6個のキャップ部材80が共通基板300に取りつけられてユニット化され、昇降機構302によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間可能に構成されている。
【0074】
昇降機構302は、駆動モータ304と、駆動モータ304の駆動軸306に取りつけられ、共通基板300の下面に当接される偏心カム308とから構成されている。したがって、駆動モータ304が駆動されることにより偏心カム308が回転し、偏心カム308が当接された共通基板300が単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間する構成である。
【0075】
なお、キャップ部材80の下側には、ノズル面40Aに圧接する際に圧接力を調整するスプリング87が配設されている(図13参照)。したがって、後述するキャッピング動作時にはキャップ部材80が上昇してゴム部84がノズル面40Aに対して圧接してノズル58を含むノズル面40Aを密閉し、インクの乾燥を抑制すると共にゴミ、埃等の付着を防止する。また、後述するワイピング動作時にはキャップ部材80が下降してワイピング部材88を幅方向に移動可能とするものである。
【0076】
さらに、各キャップ部材80の幅方向において隣接する位置には、各単位記録ヘッド40のノズル面40Aをクリーニングするためのワイピング部材88が配設されている。
【0077】
ワイピング部材88は、図9に示すように、幅方向視において略アーチ型の形状をした保持部材90と、保持部材90の上部に配設され搬送方向に延在するワイパー92とから構成されているものである。
【0078】
保持部材90はアルミやSUSなどの強度がある材料から構成される。
【0079】
一方、ワイパー92は、所定の剛性を得るため、ゴム硬度=30〜80で長手(搬送)方向長さL1および短手(幅)方向幅W1の比=5対1〜50対1で、幅W1=0.5〜4mmが好ましい。ゴム硬度が30未満、長さL1と幅W1の比が50対1より大、あるいは幅W1が0.5mm未満であると、ワイパー92の剛性が低すぎてノズル面40Aに対して十分に当接できず、清掃が困難になるからである。一方、ゴム硬度が80より大、長さL1と幅W1の比が5対1より小、あるいは幅W1が4mmより大であると、ワイパー92の剛性が高すぎてノズル面40Aに対する十分な密着できず、清掃が困難となるからである。
【0080】
ワイパー92の材料としては生ゴム、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、エーテル系ゴム、ポリスルフィド系ゴム、ウレタン系ゴム、フッ素系ゴム、シリコーンゴムなど各種天然ゴム、各種エラストマー(ゴム弾性体)や、これらゴム系材料のブレンドゴム、またはこれらゴム系材料と各種プラスティックとのブレンドゴムなど、各種弾性部材が使用でき、これら材料の接着などによる組合せを用いても良い。
【0081】
これら材料のなかでも耐熱性、耐候性、耐薬品性、耐磨耗性、加工性の点で、水素化ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリジメチルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等が好ましい。
【0082】
また、耐疲労性、耐成形性、ゴム特性などの点で、優れた熱可塑性エラストマーなども好ましい。
【0083】
さらに、ワイパー92の表面を保護層で被覆して使用することもできる。保護層としては、撥液性と低摩擦特性に優れるフッ素系樹脂が好ましい。また、各種プラスチック材料も適用可能である。
【0084】
具体的な材料としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の成形体を用いても良い。
【0085】
さらに、これらの材料のフィルム材を積層して張り合わせたものを高精度に切断しても良い。このとき、貼着剤としては、アクリル系ポリマーやゴム系ポリマー等が適している。
【0086】
本実施形態では、ワイピング部材88を次のように構成した。
【0087】
ワイピング部材88はキャップ部材80の幅方向端部から1mmの位置に配置した。
【0088】
ワイパー92は熱可塑性ポリマー樹脂(硬度65Hs)から形成され、短手(幅)方向幅W1が0.8mmであり、保持部材90からの高さ(自由長)が6mmである。
【0089】
また、ワイピング部材88は、図10に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した全ワイピング部材88が共通基板310に取りつけられてユニット化され、移動機構312によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間および幅方向に移動可能に構成されている。
【0090】
移動機構312は、共通基板310を幅方向に移動可能に支持するスライダ314と、スライダ314上で共通基板310を幅方向に移動させる駆動モータ316と、スライダ314を昇降させる駆動モータ318とから基本的に構成される。スライダ314は、搬送方向両端に設けられ幅方向に延在するガイド320を備えており、ガイド320に案内された共通基板310が幅方向に移動可能とされている。また、共通基板310の一側面には、ラック322が形成された凸部324が形成されており、スライダ314に取りつけられた駆動モータ316の駆動ギア326と噛合されている。したがって、駆動モータ316の駆動によって共通基板310がスライダ314上を幅方向に移動可能とされている。
【0091】
また、スライダ314の下側には、上下方向に延在するラック330が設けられた凸部332が形成されており、駆動モータ318の駆動ギア334が噛合されている。したがって、駆動モータ318の駆動によってスライダ314が昇降可能とされている。すなわち、スライダ314に支持された共通基板310、ワイピング部材88が一体的に昇降する構成とされている。
【0092】
このように、ワイピング部材88は移動機構312によってノズル面40Aに対して接近離間(昇降)可能に構成されると共に、幅方向に移動可能とされている。すなわち、ワイピング部材88(ワイパー92)は、ホームポジションでは搬送されてくる用紙と干渉しないようにキャップ部材80よりも低い位置に位置している(図12(A)参照)が、ワイピング時には上昇してホームポジションから下降したキャップ部材80を跨いで搬送方向に移動してワイピングを行なう(図12(C)参照)構成とされている。
【0093】
また、記録部20において用紙搬送時にキャップ部材80の凹部82Aに用紙が突入しないように、各キャップ部材80の幅方向両側にガイド部材94が配設されている(図9参照)。ガイド部材94はSUS材から形成され、図9に示すように、搬送方向に延在する水平部94Aと、水平部94Aの両端部から垂直下方に延在する2本の垂直部94Bと、水平部94Aの搬送方向両端部から搬送方向斜め下方に延在するガイド部94C、94Dとから構成される。
【0094】
なお、このガイド部材94の水平部94Aは、単位記録ヘッド間に配設されたスターホイール70と対向配置されている(図2、図8および図6参照)。したがって、搬送される用紙が、搬送方向における印字位置で共通基板46に弾性的に支持されたスターホイール70によって押圧されガイド部材94(水平部94A)に当接し、キャップ部材80側に凹むことなくノズル面40Aに対する距離が一定に保たれる(平面性が確保される)構成である(図6参照)。
【0095】
続いて、メンテナンス装置81を構成する各部材の本実施形態におけるホームポジション(画像印字中で単位記録ヘッド40に対するメンテナンスを行っていない状態における位置)について説明する。
【0096】
キャップ部材80は、記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてゴム部84が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの全体を覆うように、また、平面視においてゴム部84の開口部84A内に単位記録ヘッド40の全ノズル58が位置するように配置されている。
【0097】
ワイピング部材88は、ワイパー92の先端が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてワイパー92の長手(搬送)方向長さが単位記録ヘッド40のノズル面40Aの搬送方向幅をカバーできる位置で、ワイパー92が単位記録ヘッド40の幅方向端部から1mm離れた位置(記録ヘッドの短手幅方向に対し、清掃できる位置)に配置されている。
【0098】
ガイド部材94は、用紙が接触する水平部94Aの最上面が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてガイド部材94の水平部94Aの搬送方向長さが単位記録ヘッド40のノズル面40Aをカバーできる位置で、用紙が接触する水平部94Aの最上面が単位記録ヘッド40の幅方向端部から2mm離れた位置に配設されている。
【0099】
さらに、メンテナンス装置81の下方には、キャップ部材80を介してインクおよびインクミストを回収するための回収機構150が設けられている。
【0100】
回収機構150は、図20に示すように、各キャップ部材80の凹部82Aと連通して負圧を発生させる負圧発生室152と、凹部82Aから負圧発生室152を介して回収されたインクを収容するインク回収タンク154と、インク吸引するための駆動源であるエアポンプ156と、負圧発生室152における負圧を測定する負圧測定器158とから基本的に構成される。
【0101】
負圧発生室152は、各キャップ部材80の凹部82Aとそれぞれ気密性を有するチューブ160を介して連通されており、各チューブ160の途中には第1電磁開閉弁162が配設されている。また、負圧発生室152は、インク回収タンク154とも流路164を介して連通されており、流路164の途中にも第2電磁開閉弁166が配設されている。したがって、電磁開閉弁162、166の開閉により、凹部82Aと負圧発生室152とインク回収タンク154(エアポンプ156)が選択的に連通、あるいは遮断される構成である。
【0102】
エアポンプ156は、後述するバキューム動作のために負圧を発生する能力と、後述するインクミスト吸引のために吸気する能力が必要とされる。
【0103】
具体的には、記録ヘッド44の構成、一度に吸引するキャップ数に応じて異なるが、本実形態のように全キャップ部材80(凹部82A)と負圧発生室152が連通し、単位記録ヘッド40のノズル面40Aに密着した全キャップ部材80(凹部82A)から同時にバキュームを行なう場合には、エアポンプ156の最大発生負圧が−30kPa以上、好ましくは−80kPa、一層好ましくは−100kPa以上発生できる能力が必要とされる。
【0104】
同様に吸気を行なう場合には、印字最大速度、キャップ部材80のゴム部84の孔部84Aの開口面積、吸気時のキャップ部材80の位置によるが、本実施形態では、記録装置10が60ppm機ならエアポンプ156の最大吸気量が200L/min以上、好ましくは300L/min以上(33L/min/ppm以上、好ましくは50L/min/ppm以上)であることが必要である。
【0105】
本実施形態のエアポンプ156は、双方の能力を有することが必要とされるため、最大発生負圧が−100kPa、最大吸気量が300L/minである。
【0106】
なお、本実施形態ではエアポンプで説明したが、上記能力を発揮できるものであればこれに限定されず、ロータリーチューブポンプ、ダイヤプラムポンプ、電磁式ポンプ等、モータ式ポンプ等各種ポンプが使用可能である。
【0107】
さらに、インク回収タンク154は、エアポンプ156にインクが流入しないように内部にフィルタを配設、あるいは液溜りを設けていると共に、インクを外部に排出するための流路168が設けられており、流路168に第3電磁開閉弁170が配設されている。
【0108】
また、ゴミの詰まり防止のために、適切な場所、例えば、負圧発生室中にゴミトラップ用のフィルターを設置しても良い。
【0109】
続いて、メンテナンス装置81と単位記録ヘッド40の間に用紙を搬送する構成について説明する。
【0110】
用紙に駆動力を伝達して搬送する搬送ロール100が、メンテナンス部18において搬送方向両端と搬送方向で隣接するキャップ部材80の間にそれぞれ配設されている(図8参照)。搬送用ロール100は、用紙搬送位置を挟んでスターホイール群72A〜72Cの配設位置に対応して配置されており(図6参照)、搬送用ロール100側にスプリング75によって弾性的に付勢されているスターホイール群72A〜72Cのスターホイール70によって搬送用ロール100に用紙が当接され、搬送ロール100から駆動力が伝達されるように構成されている。
【0111】
搬送ロール100は、ケーシング102に軸支される小径部100Aと、小径部100Aよりも径が大きくスターホイール72が当接する大径部100Bとから構成されている(図5参照)。搬送ロール100は、大径部100Bを介して用紙に駆動力を伝達するものであり、摩擦係数が大きくかつ磨耗しにくいものが良い。本実施形態では、搬送ロール100は直径10mmの金属(SUS303)ロール表面にアルミナを主成分とするセラミック微粉末をスプレーコートして燒結したものであり、上記条件を満たしている。この加工は、搬送ロール100の大径部100Bにおいて用紙が当接する印字領域のみならず、平ベルト104が張架される非印字領域も同様の加工が施される。
【0112】
なお、搬送ロール100の表面にスターホイール70が接触して刃先が変形することを防止するために、搬送ロール100のスターホイール72に対向する部分には、幅2mm、深さ2mmの溝101(図6参照)を設けている。また、この溝101内へのスターホイール72の進入量が増加することによって、用紙搬送抵抗が増加することを防止するために、スターホイール72の進入量を規制する規制部材77(図6参照)が設けられている。
【0113】
搬送ロール100を駆動する駆動機構は、図11に示すように、単一のモータ106の駆動軸108からアイドラロール110、112を介して全ての搬送ロール100に平ベルト104が巻きかけられているものである。隣接する搬送ロール100間には、アイドラロール114が配設されており、各搬送ロール100(大径部100B)に対する平ベルトの巻きつけ角度を稼いでいる。
【0114】
また、搬送ロール100は、図14に示すように、搬送される用紙が当接される大径部100Bにおいて印字領域外の非印字領域に平ベルト104が巻きかけられている。
【0115】
ここでモータ106を単一とするのは、駆動源が複数存在すると、各モータの駆動速度・変動特性を厳密に均一にするのが困難であり、結果的に用紙速度に各種速度変動成分が重畳し、各モータの速度変動が十分小さくても各速度変動の重畳によって用紙の速度変動が問題になるためである。すなわち、単一の駆動源(モータ106)で複数の搬送ロール100を駆動することによって、用紙の搬送速度を均一にして高画質な印字を達成するものである。
【0116】
本実施形態の平ベルト104は、ポリエステル繊維を織った基材の表面(片面)にポリウレタンを薄膜コートした厚さ0.4mmのものである。
【0117】
このように、記録部20が構成されることにより、本実施例ではノズル面−用紙間隔が1.5mmに設計され、その間を水平方向に用紙が搬送されるものである。また、印字対象となる最大記録領域(最大用紙幅PW)は、A3短手(A4長手)とされている。また、記録部20のプロセス速度は240mm/sであり、印字解像度=800×800dpi、記録速度が毎分60枚(A4LEF(Long Edge Feed)の場合)とされている。
【0118】
最後に、本装置における制御部について図21を参照して説明する。なお、制御部200のうち、本発明の要部であるインクミスト吸引およびバキューム動作に関連する部分を主に説明する。
【0119】
制御部200は、図21に示すように、単位記録ヘッド40からのインク滴吐出を制御する印字制御部202と、バキューム等のメンテナンス動作を制御するメンテナンス制御部204とから基本的に構成される。
【0120】
印字制御部202は、外部のホストPC206から印字ジョブが入力されると、画像データに基づいた駆動信号をヘッド駆動回路208に入力し、ヘッド駆動回路208からのパルス信号によって単位記録ヘッド40の各ノズル58からインク滴が吐出される構成である。
【0121】
また、印字制御部202は、印字ジョブに基づいて用紙搬送を可能にするためにモータ106を含む用紙搬送駆動系210に駆動信号を出力する構成である。
【0122】
一方、メンテナンス制御部204は、印字制御部202から印字開始信号が入力されるとメンテナンス動作ができるように、エアポンプ156、第1電磁開閉弁162、第2電磁開閉弁166、第3電磁駆動弁170、昇降機構302および移動機構312に駆動信号を出力可能に構成されるとともに、負圧測定器158から負圧発生室152の負圧検出信号が入力される構成とされている。
【0123】
このように構成されるインクジェット記録装置10の作用について図22に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0124】
先ず、記録装置10の電源が投入されると、エアポンプ156が駆動される。エアポンプ156は、記録装置10の電源がOFFされるまで常時駆動される。なお、初期状態では、第1電磁開閉弁162、第2電磁開閉弁166はいずれも開放されており、第3電磁開閉弁170は閉止されている。
【0125】
次に、外部のホストPC206から印字ジョブが制御部200に入力されると、制御部200の印字制御部202からヘッド駆動回路208、用紙搬送駆動系210およびメンテナンス制御部204に印字開始信号が出力される(図22(A)参照)。
【0126】
これにより、メンテナンス制御部204から第1電磁開閉弁162、昇降機構302にバキューム開始信号が出力される(図22(D)参照)。ただし、バキューム動作も必ずしも電源ON時に毎回行うわけではなく、前回終了からの期間等過去の印字履歴や印字状況に応じて行われる。
【0127】
この結果、昇降機構302が駆動され、キャップ部材80がホームポジションから上昇してスプリング87により付勢力を調整されて単位記録ヘッド40のズル面40Aに圧接する(図22(G)参照)。
【0128】
同時に、第1電磁開閉弁162が閉止される(図22(H)参照)。この結果、第1電磁開閉弁162と第3電磁開閉弁168が閉止され、第2電磁開閉弁166のみが開放された状態でエアポンプ156が常時駆動される状態となる。したがって、負圧発生室152の負圧が徐々に上昇していく。この負圧発生室152の負圧値は負圧測定器158で検出され、メンテナンス制御部204に出力される(図22(J)参照)。
【0129】
この出力値(負圧発生室152の負圧値)が所定値に到達すると、メンテナンス制御部204から第2電磁開閉弁166に閉止信号が出力される(図22(I)参照)。この結果、負圧発生室152がエアポンプ156と遮断され、所定の負圧状態を維持する。
【0130】
この状態で、メンテナンス制御部204から第1電磁開閉弁162に開放信号が出力される(図22(H)参照)。この結果、第1電磁開閉弁162が開放され、所定の負圧状態とされた負圧発生室152と単位記録ヘッド40のノズル面40Aに圧接されたキャップ部材80の凹部82Aとが連通され、単位記録ヘッド40の各ノズル58内からインクを吸引する。この結果、ノズル58から増粘したインクや気泡などが排出される。また、凹部82Aに溜まっていた、またはインク吸収体86に吸収されていたインクがチューブ160を介して負圧発生室152に吸引される。
【0131】
さらに、メンテナンス制御部204から第2電磁開閉弁166に開放信号が出力されると共に、昇降機構302に駆動信号が出力される。
【0132】
この結果、第2電磁開閉弁166が開放され、負圧発生室152からインク回収タンク154にインクが回収される。この際、インク回収タンク154の内部には、液溜りあるいはフィルタ等が配設されているため、エアポンプ156までインクが流入することはない。なお、回収されたインクは、第3電磁開閉弁170の開放により流路168を外部に排出される。
【0133】
また、昇降機構302が駆動され、キャップ部材80が下降してホームポジションに復帰する(ノズル面40Aに対する気密状態を解除する)。これにより、バキューム動作が終了する。
【0134】
また、これらの駆動信号と共に、メンテナンス制御部204から印字制御部202にバキューム動作の終了信号が出力され、印字制御部202ではこの終了信号に基づいてダミージェット用の印字信号(ダミー信号)がヘッド駆動回路208に出力される(図22(E)参照)。これによって、ヘッド駆動回路208から記録ヘッド44Y〜44Kを構成する各単位記録ヘッド40に対して駆動パルス信号が出力され、全ノズル58からキャップ部材80に向かってインク滴の吐出(いわゆるダミージェット)が行なわれる。なお、このダミージェットは、複数枚の用紙を連続して印字する連続印字中には所定枚数毎に行なわれる。
【0135】
例えば、複数枚数の用紙連続印字時のダミージェット時におけるノズル面40Aとキャップ部材80の上面との距離を3mmに設定し、30頁(A4)毎に用紙間で全ノズルから500ドロップ吐出する。
【0136】
このように、単位記録ヘッド40の全ノズルからインク滴の吐出(ダミージェット)を行なうことによって、インク(特に水性インク、溶剤インク)の乾燥による吐出性能の変化を初期化することができる。また、インクがほとんど乾燥しない油性インク、ソリッドインクであっても、印字によってヘッド内部のインク流路等に付着した気泡の排除、あるいはノズル面に付着したゴミの除去を行なうことができ、ノズルのインク滴の吐出性能を初期化することができる。
【0137】
本実施形態のように、連続して印字する(搬送されてくる)複数の用紙印字中に、記録ヘッド44やキャップ部材80を移動させることなくダミージェットを行なうことができるため、印字速度(生産性)の向上が達成される。また、ダミージェットによって記録ヘッド44の印字性能が一定に維持され、高画質な印字が可能になる。
【0138】
この際、キャップ部材80には、凹部82Aの底面にインク吸収部材86が配設されているため、吐出されたインク滴が凹部82Aからあふれたり飛び散ったりすることはない。
【0139】
また、ダミージェット時には回収機構150の第1電磁弁162、第2電磁弁166は開放されており、エアポンプ156が駆動されている(図22(H)、(I)、(C)参照)ため、回収機構150はキャップ部材80の受け部82の孔部82Bからチューブ160に吸気している。したがって、インク滴の吐出に伴なって発生するインクミストをキャップ部材80から吸引し、単位記録ヘッド40のノズル面40Aへのゴミ・ミストの付着を防止してインク滴の吐出性能が低下することを防止できる。
【0140】
なお、このタイミングチャートでは省略されているが、バキューム動作終了後、ダミージェットの前にメンテナンス部18のワイピング部材88によって記録ヘッド40(ノズル面40A)のワイピングが行なわれる。具体的な動作を図12に示す模式図に基づいて説明する。
【0141】
先ず、図10に示す昇降機構302の駆動モータ304が駆動され、偏心カム306の回転によって共通基板300が下降する。また、移動機構312の駆動モータ318が駆動され、スライダ314およびスライダ314に支持された共通基板310が上昇する。すなわち、共通基板300に取りつけられた6個のキャップ部材80がホームポジションから下降(記録ヘッド40から離間する方向に移動)すると共に、共通基板310に取りつけられた6個のワイピング部材88がホームポジションから上昇する(記録ヘッド40のノズル面40A側に移動する)(図12(A)→(B)参照)。
【0142】
本実施形態では、キャップ部材80が単位記録ヘッド40のノズル面40Aから6mmの位置まで下降すると共に、ワイピング部材88のワイパー92の先端(上端)がノズル面40Aよりも1.5mm高い位置(以下、当接量1.5mmという)まで上昇する。
【0143】
この結果、ワイピング部材88の保持部材90がキャップ部材80を跨いで幅方向に移動可能になる。また、ワイピング部材88のワイパー92が記録ヘッド40のノズル面40Aと上下方向(図12、矢印Z方向)においてオーバーラップする状態となる(図12(B)参照)。
【0144】
この状態で、図10に示す移動機構312の駆動モータ316を駆動することによって、駆動ギア326に噛合されたラック322を介してスライダ314上を共通基板310が幅方向に移動する。したがって、共通基板310に取り付けられたワイピング部材88が幅方向に移動し、先端がノズル面40Aよりも高い位置とされたワイピング部材88のワイパー92が単位記録ヘッド40のノズル面40Aを摺接しながら移動する。この結果、ノズル面40Aに付着した埃や乾燥したインク等を除去する(図12(C)参照)。この際、ワイピング部材88は、下降したキャップ部材80を跨ぐようにして移動することになる。
【0145】
本実施形態では、ワイパー92が当接量1.5mmを維持したままノズル面40Aを摺接するため、ノズル面40Aに付着した汚れを確実に除去する。
【0146】
さらに、ワイピング部材88がノズル面40Aの下部から脱け出して、ワイピング部材88およびガイド部材94の幅方向への移動を完了する(図12(D)参照)。続いて、移動機構312の駆動モータ318の駆動によって共通基板310、すなわちワイピング部材88を下降させ、ホームポジションの高さまで移動させる(図12(E)参照)。
【0147】
続いて、図21に示す移動機構312の駆動モータ318の駆動によって共通基板310、すなわち、ワイピング部材88を一緒に幅方向反対側に移動させ、ホームポジションに復帰させる(図12(F)参照)。さらに、昇降機構302の駆動モータ304を駆動してキャップ部材80を上昇させて記録ヘッド40のノズル面40Aと近接したホームポジションに復帰させることによってワイピング動作を完了する(図12(G)参照)。
【0148】
一方、印字制御部202から駆動信号が入力された用紙搬送駆動系210では、用紙供給部12から用紙が供給され、レジ調整部14で用紙の姿勢やタイミングが制御されて記録部20に搬送される。
【0149】
用紙搬送駆動系210を構成するモータ106にも、印字制御部202から駆動信号が入力される。この結果、記録部20ではモータ106が駆動され、平ベルト104を介して全搬送ロール100に駆動力が伝達される。したがって、記録部20に到達した用紙は、最も搬送方向上流側にある搬送ローラ100とスターホイール群72A〜72Cの間に挿入される。この際、スプリング75で付勢されたスターホイール群72A〜72Cのスターホイール70が搬送ロール100に用紙を押し付けるため、搬送ロール100から用紙に搬送力が確実に伝達され、一定速度で単位記録ヘッド40の下部に挿入される。以下、記録ヘッドアレイ42間に配設された搬送ロール100から順次、駆動力が伝達されて搬送されていく。
【0150】
この際、印字制御部202からの印字信号によりヘッド駆動回路208からパルス信号が単位記録ヘッド40に出力され、パルス信号に応じて該当するノズルの発熱素子が発熱し、ノズル面40Aに対して一定距離とされつつ搬送される用紙に対して、当該ノズル58からインク滴が吐出されていく(図22(F)、印字中参照)。
【0151】
先ず、記録ヘッドアレイ42Aで印字が行なわれ、続いて記録ヘッドアレイ42Bで印字が行なわれることにより、用紙の当該部分における一色分の印字が終了する。したがって、記録部20で用紙が搬送されるにつれて、記録ヘッド44Y、44M、44C、44Kの順で印字され、フルカラーの印字が行われる。
【0152】
ここでも、ダミージェット時と同様に、回収機構150の第1電磁弁162、第2電磁弁166が開放されており、エアポンプ156が駆動されているため、回収機構150がキャップ部材80の受け部82の孔部82Bからチューブ160を介して吸気している(図22(H)、(I)、(C)参照)。したがって、インク滴の吐出に伴なうインクミストや用紙搬送に伴なう紙粉が印字に伴なって発生してもキャップ部材80から吸引することによって、インクミストや紙粉が用紙に付着して印字画質低下をもたらすことや、単位記録ヘッド40のノズル面40Aに付着してインク滴の吐出性能を低下させることを防止できる。
【0153】
また、全ての搬送ロール100が単一のモータ106で駆動されているため、複数の駆動源で駆動される場合のように複数の駆動源の速度変動が重畳して用紙搬送速度の変動に影響を与えることが回避され、用紙がより一定速度で搬送される。また、画像上で視認しやすい画像欠陥の原因である周期的な速度変動は歯の加工精度等によって生ずることが多いが、平ベルト104を介して(歯の噛合等を介さずに)駆動力が伝達されているため,上記画像欠陥の発生も防止される。さらに、搬送ロール100の用紙が当接される大径部100Bの非印字領域に平ベルト104が巻き掛けられているため、搬送ロール100の加工精度や保持方法(ベアリング等)に起因する芯振れがあっても周期的な速度変動は発生せず、平ベルト104の移動速度(一定速度)で用紙が搬送される。
【0154】
さらに、用紙は、弾性的に付勢されたスターホイール群72A〜72Cの複数のスターホイール70によって搬送ロール100に当接されて平面性が確保された状態でノズル面40Aの下方に搬送される。ここで、幅方向において単位記録ヘッド40間に配設されたスターホイール70が板バネ73の弾性力によって用紙をガイド部材94(水平部94A)に押圧するため、搬送方向における印字(記録ヘッドアレイ42)位置においても用紙の平面性(ノズル面40Aに対する一定距離)を確保することができる。すなわち、ノズル面40Aから一定距離の位置を通過する用紙に各単位記録ヘッド40から吐出されたインク滴が着弾して印字される。
【0155】
なお、用紙に対する押圧は、スターホイール70によって行なわれるため、用紙との接触面積を最小限に抑制することができ、インク滴が着弾した直後の印字面に接触しても画像の損傷を最小限に抑制しつつ、適度な押圧力を用紙に作用させることができる。
【0156】
さらに、保持部材68の係合部64に回転自在に軸支されたスターホイール70は、用紙への圧接により用紙と共に従動回転する。したがって、用紙上を摺動することがなく、印字画像に対する影響を最小限にすることができる。
【0157】
また、スターホイール群72A〜72Cを幅方向で三つに分割し、それぞれのシャフト74A〜74Cの長さを短くしたため、シャフト74A〜74Cの撓みを防止できて、スプリング75で付勢された複数のスターホイール70が均等に用紙を抑える。したがって、一層良好に用紙の平面性を確保することができる。また、
逆にいえば、このようにスターホイール70を配置することによって、単位記録ヘッド40に対向する位置にキャップ部材80等のメンテナンス装置81を配置しても、用紙の平面性(ノズル面40Aに対する一定距離)を確保することができる。
【0158】
このように、平面性(ノズル面に対する一定距離)が確保され、一定速度で搬送される用紙に対して印字を行なうことにより、高画質な画像を形成することができる。特に、記録部20の搬送中、スターホイール70によって常時平面性が確保されるため、印字中に生ずる用紙の変形を良好に矯正でき、ノズル面40Aに対する距離を一定に維持して高画質な印字を達成できる。
【0159】
特に、本実施形態では、エアポンプ156を常時駆動しているため、キャップ部材80はバキューム動作時以外、常に吸気状態、すなわちミスト吸引状態とされている。したがって、ダミージェット時および印字時において発生するインクミストや紙粉を良好に回収して単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対するインクミスト等の付着を防止してインク滴の吐出性能低下を防止すると共に、用紙に対するインクミスト等の付着を防止して高画質の印字を可能にする。
【0160】
また、本実施形態では、バキューム動作に使用するキャップ部材80をミスト吸引にも使用しているため、搬送路に面している部分の省スペースになると共に、負圧発生源と吸気発生源が兼用であるため切換弁などが不用となって構成が簡略化されるというメリットがある。
【0161】
さらに、エアポンプ156は負圧発生室152を介在させて全キャップ部材80に連通しているため、1つのエアポンプ156の駆動で全キャップ部材80を介してインクミストの吸引、あるいはノズル58からインクの吸引を行なうことができる。
【0162】
また、第1電磁開閉弁162を閉止して負圧発生室152の負圧を上昇させ、第2電磁開閉弁166を閉止して一定の負圧状態とした後、全ての第1電磁開閉弁162を開放してバキューム動作を行なうため、全てのキャップ部材80(単位記録ヘッド40のノズル面40A)に対して均等に負圧を作用させることができる。
【0163】
なお、エアポンプ156の能力が全キャップ部材80からバキューム動作あるいはインクミスト吸引の能力に不足がある場合には、複数の第1電磁開閉弁162を選択的に開閉してバキュームあるいはインクミスト吸引を選択された複数のキャップ部材80毎に行なうようにしても良い。この場合には、さらに低い性能のポンプを使用可能なり一層低コストになる。また、小さいポンプを使用できるため、省スペースになるというメリットもある。
【0164】
なお、非印字状態が長時間継続する場合、あるいは電源OFF時等には、キャップ部材80が上昇してキャップ部材80のゴム部84がスプリング87の弾性力によって記録ヘッド40のノズル面40Aに圧接する(図13(A)→(B)参照)。この結果、ノズル面40A(ノズル58)の気密性が確保され、インクの増粘、乾燥が防止される構成である。
【0165】
さらに、本実施形態の記録ヘッド44は、図4に示すように、短尺の単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッドアレイ42A、42Bをそれぞれ共通基板46A、46Bに取り付けることによって構成しているため、大量に生産される安価なデバイス(記録ヘッド)と共通化が可能となり、低価格で全幅印字可能な記録ヘッド40を構成できる。
【0166】
また、記録ヘッドアレイ42A、42Bをそれぞれ共通基板46A、46Bに取り付けることにより各記録ヘッドアレイ42A、42Bの構成が簡略化し、高精度調整に位置決め調整可能になる。さらに、メンテナンス部(キャップ部材80、ワイピング部材88)の構成も短尺の記録ヘッドで使用されているものと共通化できるというメリットがある。
【0167】
さらにまた、幅方向における単位記録ヘッド間の間隙(空間)を利用して、スターホイール70を配置可能になり、印字位置における用紙とノズル面40Aとの距離を確実に一定にさせることができる。
【0168】
またさらに、共通基板46A、46Bに6個の単位記録ヘッド40を取り付けているため、各単位記録ヘッド40の駆動を行なう制御基板を共通基板46A、46Bに取りつけたり、各単位記録ヘッド40に対するインク流路を共通基板46A、46Bに配管あるいは形成することができる。
【0169】
さらに、本実施形態のように、サーマルインクジェット方式の各単位記録ヘッド40の場合には、共通基板46がヒートシンクとしての機能を期待できる。
【0170】
しかし、記録ヘッド44は、このような構成に限定されるものではなく、図15に示すように、1つの共通基板46の両側に単位記録ヘッド40を6個ずつ取り付けて記録ヘッドアレイ42A、42Bを構成することもできる。このように構成することによって、共通基板46を共通化して記録ヘッド44を小型化することができる。
【0171】
またさらに、単位記録ヘッド40におけるノズル58をノズル配列方向端部まで形成した単位記録ヘッド110(図16参照)を共通基板(不図示)で幅方向に連続して配置して記録ヘッド44を構成しても良い(図17参照)。単位記録ヘッド同士の接続部分におけるノズルピッチを合わせる為に、単位記録ヘッド110の端部を高精度に作製する必要があるが、記録ヘッド44を最も小型化できる構成である。
【0172】
なお、単位記録ヘッド40、110のノズル配列は一直線状であるが、説明してきたがこれに限定されるものではない。例えば、図18に示すように、千鳥状にノズルを配列することも可能である。
【0173】
さらに、本実施形態に係る駆動搬送機構では、共通駆動部材として平ベルト104を採用したため、巻き付け角度を確保するために搬送ロール100間にアイドラロール114を配設する構成としたが、例えばチェーンの場合のように滑りについてほとんど考慮する必要がない構成であれば、図19に示すように、アイドラロール110〜114を省略して搬送ロール100の表面に接触する構成でも良い。
【0174】
また、本実施形態では、単位記録ヘッド40のインク滴の吐出方式はサーマルインクジェット方式であるとして説明したが、用紙に対して非接触で直接色材を転移させるタイプであればその方式は問わない。インクジェット方式が代表的であるが、公知の方式であればいずれの方式も適用可能である。また、インクジェット方式においてもーマルインクジェット方式に限定されず、ピエゾ式インクジェット、連続流型インクジェット、静電吸引型インクジェット等でもよい。
【0175】
また、使用するインクも水性インク、油性インク、常温で固形のいわゆるソリッドインク、溶剤インク等いずれも適用可能である。インク中の色材も顔料・染料を問わない。
【0176】
さらに、本実施形態では、単位記録ヘッド40に対応してキャップ部材80を設けたが、複数の単位記録ヘッド40に対して1つのキャップ部材80を対応させても良い。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る記録装置について図23〜図26を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0177】
第1実施形態では1つのエアポンプでバキューム(負圧発生)とインクミスト等の吸引を行なったが、本実施形態では別々のポンプで構成した点が第1実施形態と異なる。
【0178】
図23に示すように、負圧発生室152に対して負圧発生装置180あるいは吸気発生装置182が電磁切換弁184によって選択的に連通可能とされている。
【0179】
負圧発生装置180はバキューム動作時のみに使用されるものである。負圧発生装置180に必要とされる能力は、記録ヘッド44の構成、一度に吸引するキャップ数に応じて異なるが、本実形態のように全キャップ部材80(凹部82A)と負圧発生室152が連通し、単位記録ヘッド40のノズル面40Aに密着した全キャップ部材80(凹部82A)から同時にバキュームを行なう場合には、最大吸引圧力が−30kPa以上、好ましくは−80kPa、一層好ましくは−100kPa以上であることが必要である。
【0180】
吸気発生装置182は、吸気の場合(バキューム動作時以外の場合)のみ駆動されるものであり、印字最大速度、キャップ開口部面積、吸気時のキャップ位置によるが、本実施形態では、記録装置10が60ppm機なら最大吸気量が200L/min以上、好ましくは300L/min以上(33L/min/ppm以上、好ましくは50L/min/ppm以上)であることが必要である。
【0181】
この負圧発生装置180および吸気発生装置182には、エアポンプ、ロータリーチューブポンプ、ダイヤプラムポンプ、電磁式ポンプ、モータ式ポンプ等各種ポンプを使用することが可能であり、吸気発生装置182の場合には、各種ファンでも良い。
【0182】
電磁切換弁184は、負圧発生室152側、負圧発生装置180側、吸気発生装置182側の3方を切り換え可能であり、3方共閉止可能である。なお、負圧発生装置180側には、インク回収タンク154が接続されており、バキューム動作で吸引されたインクが回収される構成とされている。
【0183】
なお、記録装置の制御部を図24に示す。
【0184】
このように構成される記録装置の作用について図25のタイミングチャートを参照して説明する。ここでは、バキューム動作およびインクミスト吸引において第1実施形態と異なる点のみ説明する。
【0185】
先ず、電源が投入されることにより吸気発生装置182が駆動されると共に、電磁切換弁184が負圧発生室152と吸気発生装置182を連通させる状態とされており、第1電磁開閉弁162が開放された状態にされている(図25(C)、(I)、(J)参照)。
【0186】
この状態で印字制御部202からメンテナンス制御部204に印字開始信号が入力される(図25(A)参照)ことにより、メンテナンス制御部204から第1電磁開閉弁162、負圧発生装置180、電磁切換弁184、昇降機構302にバキューム開始信号が出力される(図25(E)参照)。
【0187】
この結果、電磁切換弁184に切り換えられ、負圧発生装置180と負圧発生室152が連通される(図25(I)参照)。一方、昇降機構302が駆動され、キャップ部材80が上昇して単位記録ヘッド40のノズル面40Aにゴム部84が圧接し、ノズル面40Aを気密にする(図25(H)参照)。さらに、第1電磁開閉弁162が閉止される(図25(I)参照)。したがって、負圧発生装置180の駆動により負圧発生室152の負圧が上昇する(図25(K)参照)。
【0188】
メンテナンス制御部204では、負圧測定器158から入力された負圧値が所定値に到達すると電磁切換弁184に閉止信号を出力し、電磁切換弁184が閉止される。
【0189】
また、メンテナンス制御部204から第1電磁開閉弁162に開放信号が出力され、第1電磁開閉弁162が開放されてキャップ部材80に負圧が作用することによって、単位記録ヘッド40の各ノズル58から気泡を含むインクが吸引される。
【0190】
さらに、メンテナンス制御部204が昇降機構302に駆動信号を出力すると共に、電磁切換弁184に切換信号を出力する。この結果、キャップ部材80を圧接位置からホームポジションに下降してバキューム動作を完了すると共に、電磁切換弁184の切り換えにより負圧発生室154と吸気発生装置182が連通される(図25(H)、(J)参照)。すなわち、第1電磁開閉弁162、電磁切換弁184が開放されているため、吸気発生装置182の駆動によって、大気開放されたキャップ部材80の凹部82Aからインクミスト等を吸引可能とされる。したがって、この後、ダミージェットあるいは印字によってインクミストあるいは紙粉等が発生しても、凹部82Aから負圧発生室152に吸引でき、第1実施形態と同様に印字画質の向上を図ることができる。
【0191】
なお、メンテナンス制御部204では印字制御部202からの印字もしくはダミージェットの終了信号を受けてから適度なタイミングを待ってから吸気発生装置182に駆動停止信号を出力することが望ましい。印字あるいはダミージェットが終了後でもインクミスト等が残留しているためである
このように、吸気発生装置182と負圧発生装置180を別に設けたため、それぞれの機能に特化したポンプを使用することができて、低コストになる。
【0192】
なお、吸気発生装置182と負圧発生装置180との電磁切換弁184は、負圧発生室152と負圧発生装置180との間に配設したが、図26に示すように、負圧発生室152と各キャップ80の凹部82Aを連通するチューブ160に電磁切換弁184をそれぞれ配設しても良い。このように構成した場合には、吸気からバキューム動作に移行する場合に、予め負圧発生装置180を駆動して負圧発生室152の負圧を所定値にしておいてから電磁切換弁184を切り換えることができる。すなわち、吸気からバキューム動作にタイムラグなしで切り換えることができる。また、吸気発生装置182からキャップ部材80の凹部82Aまでの距離を短縮する設計をすることもでき、流路抵抗を低減して吸気効率低下を防ぐことができるという効果もある。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る記録装置について図27〜図29を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0193】
記録部20では、図27および図28に示すように、記録ヘッド部16とメンテナンス部18のキャップ部材80の間を通過する用紙Pの搬送位置に対して、幅方向両側に一対のミストガイド250が配設されている。ミストガイド250は、搬送方向からみて記録ヘッド部16やキャップ部材80側が内側となる湾曲形状とされている(図28参照)。また、ミストガイド250の表面は撥インク性に優れていることが望ましく、本実施形態ではPTFEによるコーティングが施されている。
【0194】
一方、図27に示すように、記録ヘッドアレイ42YAよりも搬送方向上流側で幅方向中央には、送風手段252が配設されている。送風手段252は、50L/minの2つのファンを有し、記録部20の幅方向両端に設けられた一対のミストガイド250の湾曲面250Aに向かってそれぞれ送風するように配設されている。
【0195】
このように構成されたインクジェット記録装置の作用について説明する。
【0196】
記録部20において、印字中は用紙Pがキャップ部材80の上方に位置することになる。したがって、インク滴の吐出に伴なって発生するインクミストは用紙P上に滞留し、用紙Pの下側に位置するキャップ部材80から直接回収することは困難になる。しかしながら、用紙Pの上部では、送風手段252によって幅方向中央部から両端、すなわちミストガイド250の湾曲面250Aに向かって気流が生じているため、この気流によってインクミストがミストガイド250側に流され、さらにミストガイド250の湾曲面250Aに沿った気流によって用紙Pの下側に導かれてキャップ部材80から良好に吸引(回収)される(図29、矢印参照)。
【0197】
このように、印字中に用紙Pがキャップ部材80の上方にある場合でもインクミストが良好に回収され、単位記録ヘッド40のノズル面40Aや用紙にインクミスト等が付着することを良好に防止できる。
【0198】
また、記録部の用紙搬送位置の幅方向両端にミストガイド250が配設されているため、記録ヘッド部16とメンテナンス部18の間に存在するインクミストがその外部に流出することを防止でき、記録装置内に拡散することを防止できる。
【0199】
本実施形態では、インクミストを回収効率を向上させる手段としてミストガイド250について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、キャップ部材80を含む回収機構150以外に、他に回収手段(吸気ファン、送気ファン、エアポンプ等)を設ける構成が考えられる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る記録装置について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施形態では、吸気能力の調整のみが異なるので該当部分に関連する部分についてのみ説明する。
【0200】
印字速度に対応させてポンプの吸引速度を変更させることが考えられる。すなわち、制御部200では、ホストPC206から入力された印字ジョブの属性が高速印字モード、標準印字モード、高画質印字モードのいずれであるかを判別して、エアポンプ156に対する駆動信号を変更して吸引力を変更するものである。具体的には、印字速度が高いほど吸引力を高く調整するものである。例えば、高速印字モード(60ppm)ではエアポンプ156を300L/minで駆動し、標準印字モード(30ppm)ではエアポンプ156を150L/minで駆動し、高画質印字モード(10ppm)ではエアポンプ156を50L/minで駆動するものである。
【0201】
このように印字モードによって吸引力を変更するのは、印字モード(印字速度)によって単位時間当たりに発生するインクミスト量が変化するため、これに対応させて吸引力を変更して確実にインクミスト等を吸引するものである。また、このようにエアポンプ156の駆動力を調整することによって、必要最大吸気力で連続駆動する場合と比較して消費電力も低減することができる.
同様に、ホストPC206から入力される画像データの印字カバー率に応じて吸気力を調整することができる。すなわち印字カバー率が高いほど吸気力を高くするように構成しても同様の効果が奏せられる。
【0202】
さらに、印字部分が特定のヘッドに偏る場合、例えば、各色記録ヘッド44で時間当たりのインクドロップ数に差がある場合は、その差に応じて各記録ヘッドに対応する吸気力を調整してもよいし、幅方向に複数配設された単位記録ヘッド40に対し、ポンプを複数持つ場合は対応するポンプ毎に吸気力を調整しても良い。
【0203】
また、印字かダミージェットかによって吸気力を調整することも考えられる。これは、一般に、ダミージェットは全ノズル58からインク滴を吐出するのに対して、印字は必要なノズル58からのみインク滴を吐出するため、インクミスト発生量に違いがあるためである。したがって、ダミージェット時の方の吸気力を大きくする。
【0204】
また、ダミージェットを行わない場合でも、連続印字中において用紙後端が通過してから後続の用紙先端が到達するまでのタイミングは、すでに印字により発生し浮遊しているインクミストを吸気するのに好適なタイミングなので、用紙に印字を行っている(用紙通過)時より吸気力を大きくすると好適な印字結果が得られる。
【0205】
なお、吸気力の調整は、エアポンプ156を間欠駆動する場合の駆動割合を変更することによっても可能である。例えば、上記ダミージェットと印字の場合では、エアポンプ156をダミージェット時に常時駆動、印字時に間欠駆動することにより吸気力を調整しても良い。
【0206】
このように、インクミストの発生量に応じてエアポンプ(あるいは吸気装置)の駆動方法(吸気力)を変更することによって、省電力、低騒音になる、あるいは駆動時間の短縮を図ることができる。
【0207】
【発明の効果】
本発明に係る記録装置では、印字中やダミージェット時に発生するインクミストを良好に回収することができ、高画質な印字を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る記録装置を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る記録ヘッド部の概略平面図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係る単位記録ヘッドの平面図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係る記録ヘッドアレイの構成説明図である。
【図5】 本発明の一実施形態に係る記録部の縦断面図である。
【図6】 本発明の一実施形態に係る記録部の要部側面図である。
【図7】 (A)はスターホイールの断面図であり、(B)は側面図、(C)は他の例に係る側面図である。
【図8】 本発明の一実施形態に係るメンテナンス部の概略平面図である。
【図9】 本発明の一実施形態に係るメンテナンス部の要部を説明するための斜視図である。
【図10】 本発明の一実施形態に係る昇降機構および移動機構の斜視図である。
【図11】 本発明の一実施形態に係る記録装置の駆動機構説明図である。
【図12】 (A)〜(G)は、本発明の一実施形態に係る記録装置におけるワイピング動作説明図である。
【図13】 (A)、(B)は、本発明の一実施形態に係る記録装置におけるキャッピング動作説明図である。
【図14】 本発明の一実施形態に係る用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図15】 記録ヘッドアレイのバリエーションを示す図である。
【図16】 単位記録ヘッドのバリエーションを示す図である。
【図17】 記録ヘッドアレイのバリエーションを示す図である。
【図18】 単位記録ヘッドのバリエーションを示す図である。
【図19】 駆動機構のバリエーションを示す図である。
【図20】 本発明の第1実施形態に係る回収機構を示す概略構成図である。
【図21】 本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の制御部の概略構成図である。
【図22】 本発明の第1実施形態に係るバキュームおよびインクミスト吸引動作を示すタイミングチャートである。
【図23】 本発明の第2実施形態に係る回収機構を示す概略構成図である。
【図24】 本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置の制御部の概略構成図である。
【図25】 本発明の第2実施形態に係るバキュームおよびインクミスト吸引動作を示すタイミングチャートである。
【図26】 本発明の第2実施形態に係る回収機構の他の例を示す概略構成図である。
【図27】 本発明の第3実施形態に係る回収機構を示す概略構成図である。
【図28】 本発明の第3実施形態に係る回収機構を示す概略構成図である。
【図29】 インクミストを流動させる気流説明図である。
【符号の説明】
10 インクジェット記録装置(記録装置)
40 単位記録ヘッド
80 キャップ部材(気密保持手段)
150 回収機構(回収手段)
152 負圧発生室
156 エアポンプ(負圧発生源、吸気発生源)
162 第1電磁開閉弁(第1弁)
166 第2電磁開閉弁(第2弁)
180 負圧発生装置(負圧発生源)
182 吸気発生装置(吸気発生源)
184 電磁開閉弁(第2弁)

Claims (7)

  1. 記録媒体を連続的に搬送しながら液滴を吐出することによって当該記録媒体に記録する記録装置であって、
    前記記録媒体に対して液滴を吐出する非走査型の記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドの液滴吐出面に対して当接、離間可能に配設され、前記液滴の吐出によって発生するミストを回収する回収手段と、
    を備え、前記回収手段と前記記録ヘッドの間に前記記録媒体が搬送され、
    前記回収手段は、
    前記液滴吐出面に圧接して当該液滴吐出面を気密にする複数の気密保持手段と、
    前記複数の気密保持手段と連通する負圧発生室と、
    前記負圧発生室と連通し、負圧を発生する負圧発生源と、
    前記複数の気密保持手段と前記負圧発生室の間にそれぞれ設けられ、両者を連通、あるいは遮断する複数の第1弁と、
    を有することを特徴とする記録装置。
  2. 前記回収手段は、
    前記負圧発生室と前記負圧発生源の間に設けられ、両者を連通、あるいは遮断する第2弁を有し、
    前記第1弁を閉止し、前記第2弁を開放した状態で前記負圧発生源を駆動して前記負圧発生室を上昇させた後、前記第2弁を閉止して所定の負圧状態にさせ、前記第1弁を開放することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 記録媒体を連続的に搬送しながら液滴を吐出することによって当該記録媒体に記録する記録装置であって、
    前記記録媒体に対して液滴を吐出する非走査型の記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドの液滴吐出面に対して当接、離間可能に配設され、前記液滴の吐出によって発生するミストを回収する回収手段と、
    を備え、前記回収手段と前記記録ヘッドの間に前記記録媒体が搬送され、
    前記回収手段は、
    前記液滴吐出面に圧接して当該液滴吐出面を気密にする気密保持手段と、
    前記気密保持手段と連通する負圧発生室と、
    前記負圧発生室と連通し、負圧を発生する負圧発生源と、
    前記気密保持手段と前記負圧発生室の間に設けられ、両者を連通、あるいは遮断する第1弁と、
    前記負圧発生室と前記負圧発生源の間に設けられ、両者を連通、あるいは遮断する第2弁と、
    を有し、前記第1弁を閉止し、前記第2弁を開放した状態で前記負圧発生源を駆動して前記負圧発生室を上昇させた後、前記第2弁を閉止して所定の負圧状態にさせ、前記第1弁を開放することを特徴とする記録装置。
  4. 前記回収手段は、吸気力により前記ミストを回収し、
    前記ミストの発生量に応じて前記回収手段の吸気力を調整する制御手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録装置。
  5. 記録媒体を連続的に搬送しながら液滴を吐出することによって当該記録媒体に記録する記録装置であって、
    前記記録媒体に対して液滴を吐出する非走査型の記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドに対向して配設され、前記液滴の吐出によって発生するミストを吸気力により回収する回収手段と、
    前記ミストの発生量に応じて前記回収手段の吸気力を調整し、かつ、液滴吐出時において前記記録ヘッドの液滴吐出面に対向する位置に前記記録媒体が存在しない場合、前記記録媒体が存在する場合と比較して前記吸気力を高く調整する制御手段と、
    を備え、前記回収手段と前記記録ヘッドの間に前記記録媒体が搬送されることを特徴とする記録装置。
  6. 前記記録ヘッドは、複数の単位記録ヘッドが前記記録媒体の搬送方向に交差する方向に配置されることにより構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録装置。
  7. インク滴吐出時に前記回収手段を駆動する場合において、インク滴吐出終了後に当該回収手段を所定時間駆動した後、駆動を停止することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の記録装置。
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