JP4501373B2 - 記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録手段から記録媒体へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置、およびそれらの機能を備えるファクシミリ,複写機,プリンタ複合機,ワークステーション等の出力機器として用いられる記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィスにおけるカラー文書の普及はめざましく、そのための様々な出力機器が提案されている。特に、小型化が可能で低価格なインクジェット方式が様々な出力機器に使用されている。
【0003】
インクジェット方式で用いられる記録ヘッドは、エネルギ発生手段と、エネルギ発生手段で発生したエネルギをインク吐出力に変換するエネルギ変換手段と、インク吐出力によってインク滴を吐出するインク吐出口と、インク吐出口に連通してインクを供給するインク供給路とから構成される。エネルギ発生手段としては、ピエゾ素子等の電気機械変換体を用いた手段や発熱抵抗体を有する電気熱変換素子によってインクを加熱して気泡を発生させ、この気泡の生成によってインク滴を吐出させる手段等がある。
【0004】
電気熱変換素子を利用する記録ヘッドでは、電気熱変換素子が小型であるためインク吐出口を高密度で配置することが可能であるだけでなく、その製造技術として半導体集積回路製造技術を転用することが可能であるため、高精度のインク吐出口を多数備えた記録ヘッドを小型化することができ、低コストで製造可能になる。
【0005】
しかしながら、現在、主に普及しているのは記録紙を搬送しながら記録ヘッドを往復運動させて1ラインずつ印字を行うシリアルスキャンと呼ばれる印字方式である。この方式は小型・低コストであるが、用紙全体にわたって画像を形成するために記録ヘッドのスキャンが複数回必要であり、印字速度が遅いという欠点がある。印字速度を向上させるためにはスキャン回数を低減させる必要があり、記録ヘッドの長尺化が必須となる。これを極限まで推し進めたものが紙幅の記録ヘッドで行なう非走査の印字方式である。この印字方式は、記録紙の紙幅とほぼ同一の長さにわたって多数の吐出口を配列した紙幅対応の記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置であり、固定された記録ヘッドに対して記録紙が移動することによって記録が行われる。
【0006】
このように、印字速度を向上させてオフィスユースに対応可能にするために、用紙幅対応の非走査型の記録ヘッドによって用紙を連続搬送しつつ印字するインクジェット記録装置が提案されている。
【0007】
ところで、インクジェット記録装置では記録ヘッド(ノズル面)の下における用紙の搬送状態(例えば、速度変動)が印字性能に大きく影響する。したがって、用紙を連続搬送して送る場合には、用紙を一定速度で安定して搬送することが問題になる。
【0008】
この課題に対して静電吸着ベルト、あるいは静電吸着ドラムに用紙を吸着させた状態で搬送し、用紙を一定速度で搬送するもの(例えば、特許文献1、2。以下、それぞれ従来例1、2という)、複数の搬送用細ベルトと拍車で用紙を挟持搬送するもの(例えば、特許文献3。以下、それぞれ従来例3という)が提案されている。
【0009】
一方、インクジェット記録装置では、記録ヘッドにおけるノズル面の汚れやインクの乾燥、ノズル等のインク流路における気泡の発生等によってインク滴の吐出不良を生じ、画質が劣化してしまう。そこで、印字以外のタイミングでインク滴を吐出して(ダミージェットによって)インクの乾燥を防止し、ノズル面の汚れを除去し、あるいはインク流路内に存在する気泡をインクと共に外部に吐出することが行なわれている。また、ノズル面をワイピングすることによって、ノズル面の汚れを除去してインク吐出性能を維持すること等のいわゆるメンテナンスを行なうメンテナンス手段を設けることが必要とされている。
【0010】
従来例1では、印字状態と異なる姿勢とされた記録ヘッド部にメンテナンス手段が当接することによって、メンテナンスを行なう構成が提案されている。
【0011】
従来例2では、静電吸着ドラムに開口部を設け、開口部内部にダミージェットを受けるキャップ部材を配設している。したがって、用紙搬送(印字)時には開口部を閉じることによって用紙を搬送し、ダミージェット時には開口部を開口することによってダミージェットを行なうものである。また、ワイピングは、1本のブレードで全ヘッドをワイピングすることが提案されている。
【0012】
従来例3では、記録ヘッドが印字位置から上昇すると共に、メンテナンス手段がスライドすることによって、記録ヘッドのノズル面に対向する位置にメンテナンス手段が位置してメンテナンスを行なう構成である。
【0013】
【特許文献1】
特開平2−179754号公報
【特許文献2】
特開平5−330030号公報
【特許文献3】
特開平8−132700号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来例1、2のように静電吸着方式を採用している場合には、次のような課題がある。すなわち、用紙吸着力は、電気的物性(電気抵抗、静電容量、すなわち導電率、誘電率、用紙の厚さ等)に依存するので、静電吸着で安定的に搬送できる用紙の厚さや種類が制限されたり、印字(インク付着)による用紙の電気的物性の変化や、装置の環境温湿度変化が原因で吸着不良を生ずる場合があった。
【0015】
また、吸着電界の影響でノズルから吐出されたインク滴の飛行軌跡が歪み、印字不良となることがある。さらに、吸着電界の影響で浮遊するインクミストやゴミが記録ヘッドのノズル面、あるいは搬送ベルトや搬送ドラム、さらには用紙に付着することがある。
【0016】
更に、従来例1では、記録装置が大型化するという難点がある。
【0017】
また、従来例1、3では、用紙搬送(用紙位置確保)のために、記録ヘッド(ノズル面)の対向位置にベルトを設けているため、当該位置にメンテナンス手段を配設することができず、記録ヘッドおよびメンテナンス手段の双方を移動させる複雑な機構が必要になるという不都合があった。
【0018】
また、記録ヘッドを移動させてメンテナンス動作を行なうため、連続印字中にダミージェットを行なうことができず、ダミージェットの際に印字を中断せざるを得ず、生産性が低下するという不都合があった。
【0019】
また、記録媒体を搬送する際に記録媒体を押圧する(付勢する)押圧手段が一般的に設けられているが、従来例1〜3では、記録媒体幅方向の押圧力(付勢力)のバランスが崩れる場合があり、この結果、記録媒体が斜行して画像が斜めになったり、紙しわが発生し更には紙詰まりを起こしたりするという不都合があった。
【0020】
また、従来例1〜3では、押圧手段が常時搬送ロールに当接する構成である場合、押圧手段により付勢する個々の押圧力は5〜30gf程度であるので充分に小さいものの、両端部がベアリング等で保持される搬送ロールは、通常、両持ち梁構造となるため、このような構造では、押圧手段の総押圧力により僅かながら撓みを生じる。この撓みを低減するには部材を太くして丈夫にすればよいが、装置の大型化、高コスト化を招く。更に、搬送ロールから記録媒体への駆動力伝達をより確実にするために、押圧手段の付勢部材の数を増やしたり、より広幅の記録媒体に対応する場合には、この撓みが一層増大し、搬送のバランスを崩す要因となる。このため、押圧手段による押圧力の付勢の仕方(付勢位置)と、搬送ロールの撓みと、を考慮して記録媒体の幅方向の付勢力バランスを確保する必要があり、装置の複雑化、高コスト化を招いていた。
【0021】
また、搬送手段の設計は、記録媒体の最大幅を基準にして行われており、それよりも小さいサイズの記録媒体にも対応できるのが一般的である。しかし、最大サイズの記録媒体へ印字する際には、記録媒体幅方向の付勢力のバランスが自ずから得られるものの、小さいサイズの記録媒体を端部合わせ(サイドレジ)で搬送すると、たとえ押圧手段が左右対称に設けられていても、搬送ロールの撓みに対してはアンバランスな状況で搬送されることになり、斜行、紙しわが発生するおそれがある。
【0022】
また、記録媒体を押圧手段で搬送ロールに押し付けて、搬送ロールの駆動力を記録媒体に伝達することで搬送する場合、印字領域内に位置している記録媒体は、同時に複数の押圧手段と搬送ロールとで挟持される。従って、記録媒体の移動に伴って押圧状態、挟持状態が変化しても平均的には一定の状態で挟持されており、移動速度も安定する。しかし、最上流の記録ヘッドアレイで印字が開始されるときには、記録媒体の大部分は挟持されておらず、移動するにつれて次第に記録媒体全体が挟持される。最下流の記録ヘッドアレイが印字を終了するときも同様の状況となる。そして、記録媒体のこの状態(押圧、挟持)の違いが、記録媒体の移動速度を変動させる原因となり、高画質化の妨げになっている。
【0023】
本発明は、上記不都合を解決するために、生産性を確保しつつ、高画質な画像を形成できる記録装置を提供することを目的とする。また、本発明は、多種の記録媒体を安定的に搬送できる記録装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、メンテナンス動作が比較的容易な構成で達成できる記録装置を提供することを目的とする。また、本発明は、連続印字中にダミージェットが可能な記録装置を提供することを目的とする。更に、本発明は、インク滴が載った記録媒体であっても安定して搬送できる記録装置を提供することを目的とする。また、本発明は、印字の開始から終了まで記録媒体の移動速度を一定に保つ構成にすることにより、高画質の画像を形成することができる記録装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の記録装置は、記録ヘッドから液滴を記録媒体に対して吐出することによって記録媒体に画像を記録する記録装置であって、記録媒体に対して液滴を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの液滴吐出面に対向する位置に配設され、前記液滴を収容可能な液体受けと、前記記録ヘッドと前記液体受けの間に前記記録媒体を非静電吸着方式で搬送する搬送手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項1記載の記録装置の作用について説明する。
【0026】
記録ヘッドとキャップの間に搬送手段によって記録媒体を搬送することによって、記録ヘッドから記録媒体に液滴が吐出されて記録媒体に画像が形成される。
【0027】
この際、搬送手段は静電吸着方式でない(非静電吸着方式である)ため、記録媒体の材質や厚さ等、あるいは液滴の付着による電気的物性の変化、さらには環境温湿度変化に依存することなく、記録媒体を安定的に搬送することができる。また、静電吸着によって用紙や搬送手段にゴミが付着することも防止される。したがって、高画質な画像形成が可能になる。
【0028】
また、記録ヘッドから液滴吐出面に対向する位置に配設された液体受けに対して液滴が吐出される(ダミージェットが行なわれる)ことによって記録ヘッドの液滴吐出性能が一定の範囲内に維持され、高画質な画像形成が可能とされる。
【0029】
しかも、液体受けが記録ヘッドの液滴吐出面の対向位置に配設されているため、連続印字中(先行する記録媒体が記録ヘッドを通過後、後続の記録媒体の先端が当該位置に到達するまでの間)にダミージェットが可能となり、生産性(複数の用紙に対する印字速度)が向上する。
【0030】
さらに、記録ヘッドも液体受けも移動させることなく、ダミージェットを行なうことが可能であるため、ダミージェットを行なうための機構が簡略化される。
【0031】
なお、本発明の記録装置において画像記録の対象となる「記録媒体」には、記録装置がインク滴を吐出する対象物であれば広く含まれる。また、インク滴が記録媒体上に付着されることで得られる記録媒体上のドットのパターンが、本発明の記録装置で得られる「画像」あるいは「記録画像」に広く含まれる。したがって、本発明の記録装置は、記録用紙上への文字や画像の記録に用いられるものに限定されない。また、記録媒体には、記録用紙やOHPシートなどが含まれるのはもちろんであるが、これら以外にも、たとえば、配線パターン等が形成される基板などが含まれる。また、「画像」には、一般的な画像(文字、絵、写真など)のみならず、上記したような配線パターンや3次元物体、有機薄膜などが含まれる。吐出する液体も着色インクに限定されるわけではない。例えば、高分子フィルムやガラス上に着色インクを吐出して行うディスプレイ用のカラーフィルターの作製、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う部品実装用のバンプの形成、有機EL溶液を基板上に吐出させて行うELディスプレイパネルの形成、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う電気実装用のバンプの形成など、様々な工業的用途を対象とした液滴噴射装置一般に対して、本発明の記録装置を適用することが可能である。
【0032】
また、請求項1記載の記録装置は、前記搬送手段が、前記記録媒体の記録面の裏面に当接して駆動力を付与する搬送ロールと、前記記録媒体を前記搬送ロールに押圧する押圧手段と、を備えることを特徴とする。
【0033】
このように、押圧手段によって搬送ロールに記録媒体を押圧することにより、記録媒体の厚み、材質等に拘わらず搬送ロールから記録媒体に駆動力が確実に伝達され、記録媒体を安定して搬送することができる。
【0036】
また、請求項1に記載の記録装置は、前記押圧手段が、前記記録媒体に接触して当該記録媒体を前記搬送ロール側に付勢する付勢部材であることを特徴とする。
【0037】
これにより、押圧手段の押圧力を簡易な構成で適度な力にし易い。
【0038】
また、請求項1に記載の記録装置は、前記付勢部材が、弾性的に付勢された拍車であることを特徴とする。
【0039】
これにより、付勢部材が記録媒体に接触する接触面積を著しく小さくすることができるので、画質に対する影響を著しく低減させることができる。
【0040】
また、請求項1に記載の記録装置は、1つの前記搬送ロール側に付勢された複数の前記拍車が、前記記録媒体の搬送方向と直交する幅方向に配置された複数の軸体にそれぞれ軸支されていることを特徴とする。
【0041】
これにより、局所的に記録媒体が浮いたり変形したりすることを防止し易い。
【0042】
請求項3に記載の記録装置は、前記搬送ロールが、前記拍車に対応する部位に拍車破損回避部を設けたことを特徴とする。
【0043】
これにより、搬送ロールに接触したスターホイールの歯先が破損することを防止できる。
【0044】
請求項4に記載の記録装置は、前記拍車破損回避部が、前記搬送ロールの拍車対応位置に設けられた凹部であることを特徴とする。
【0045】
これにより、簡易な構造で請求項7で得られる効果を確実に奏することができる。
【0046】
請求項5に記載の記録装置は、前記拍車破損回避部が、少なくとも前記搬送ロールの拍車接触位置に設けられた弾性体であることを特徴とする。
【0047】
これにより、搬送ロールの少なくとも表面部をゴム部材等の弾性体で構成することにより、拍車破損回避部をこの弾性体で構成させることができる。また、拍車破損回避部を容易に設けることができる。
【0075】
請求項6に記載の記録装置は、前記記録ヘッドを構成する単位記録ヘッドの記録媒体幅方向の間に、前記記録媒体が浮き上がることを防止する浮き上がり防止手段が設けられていることを特徴とする。
【0076】
これにより、記録領域に搬送されている記録媒体が浮き上がることを防止できる。
【0077】
請求項7に記載の記録装置は、前記浮き上がり防止手段として、単位記録ヘッドに設けられた拍車と、前記拍車と対向する位置に設けられて前記記録媒体を裏面側からガイドするガイド部材と、を備えることを特徴とする。
【0078】
これにより、浮き上がり防止手段の構成を簡素にすることができる。
【0083】
請求項1に記載の記録装置は、前記拍車の歯数を互いに非整数倍である2種以上としたことを特徴とする。
【0084】
これにより、簡易な構成によって、記録媒体の搬送中に拍車が同期回転することを回避でき、記録媒体に部分的に生じる搬送速度ムラや、記録媒体の搬送姿勢に生じるうねりを低減することができる。
【0085】
請求項2に記載の記録装置は、前記拍車の歯先形状を2種以上としたことを特徴とする。
【0086】
これにより、簡易な構成によって、記録媒体の搬送中に拍車が同期回転することを回避でき、記録媒体に部分的に生じる搬送速度ムラや、記録媒体の搬送姿勢に生じるうねりを低減することができる。
【0087】
請求項8に記載の記録装置は、少なくとも前記記録媒体の幅方向端部に接する前記拍車の回転中心軸が、前記記録媒体の幅方向中央部側へ傾けられていることを特徴とする。
【0088】
これにより、記録媒体に記録しつつ記録媒体を搬送する際、拍車によって、記録媒体の幅方向両端部を幅方向外側へ向けて引っ張りながら搬送することができる。従って、記録媒体に弛みが発生せず、良好に搬送される。
【0089】
請求項9に記載の記録装置は、少なくとも記録媒体の幅方向端部に接する拍車の回転中心軸が、前記回転中心軸の前記記録媒体の幅方向中央部側が前記記録媒体の搬送方向側へ押し出す方向に傾けられていることを特徴とする。
【0090】
これにより、請求項8に記載の発明と同様、記録媒体に記録しつつ記録媒体を搬送する際、拍車によって、記録媒体の幅方向両端部を幅方向外側へ向けて引っ張りながら搬送することができる。従って、記録媒体に弛みが発生せず、良好に搬送される。
【0091】
請求項10に記載の記録装置は、前記搬送手段が、前記記録媒体の幅方向中央ラインを印字領域の幅方向中央ラインに一致させて前記記録媒体を搬送することを特徴とする。
【0092】
これにより、記録媒体のサイズにかかわらず、記録媒体が中央揃え(センターレジ)で搬送されるので、拍車から記録媒体へ及ぼされる記録媒体幅方向への押圧力のバランスが崩れることがない。従って、記録媒体が斜行して画像が斜めになったり、記録用紙に記録した際に紙皺や紙詰まりが発生したりすることを防止できる。
【0102】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態以降では、既に説明した同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0103】
[第1実施形態]
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。
【0104】
記録装置200は、図1に示すように、用紙に対して非接触で直接インクを転移させる記録ヘッド44と、記録ヘッド44のノズル面40Aに対向配置されたメンテナンス装置81と、記録ヘッド44とメンテナンス装置81の間に用紙を搬送する搬送手段202とから基本的に構成される。
【0105】
記録ヘッド44は、用紙に対して非接触で直接インクを転移させるものであるサーマルインクジェット方式、ピエゾ式インクジェット、連続流型インクジェット、静電吸引型インクジェット等、いずれでもよい。
【0106】
また、使用するインクも水性インク、油性インク、常温で固形のいわゆるソリッドインク、溶剤インク等いずれも適用可能である。インク中の色材も顔料・染料を問わない。
【0107】
また、記録ヘッド44は、図2に示すように、用紙Pの最大用紙幅PWに対応する印字領域を有するものであり、記録ヘッド44を走査させることなく用紙の全幅に印字可能なものである。すなわち、記録ヘッド44の下を用紙が1回通過するだけで印字が完了する構成である。
【0108】
用紙に印字マージンが設定されている場合には、記録ヘッド44の印字領域は、最大用紙幅PWから印字マージンを引いた記録領域に対応した(記録領域以上の)幅となる。
【0109】
一般的には、用紙が搬送方向に対して所定角度傾斜して搬送される(スキュー)ことが生じるし、縁無し印字の要請等もあるので、記録ヘッド44の印字領域は、記録領域よりも大きく構成することが望ましい。
【0110】
また、記録ヘッド44は、印字領域にわたってノズルが1列に形成されたモノリシックの長尺ヘッド(ヘッドチップ)から構成してもよいが、短尺ヘッド(ヘッドチップ。以下、単位記録ヘッド)40(図3参照)の組み合わせから構成することが好ましい。単位記録ヘッド(短尺ヘッド)の方が大量に製造でき、また、個々の短尺ヘッドの歩留まりを高めることもモノリシックの長尺ヘッドに比べて格段に容易である。したがって、単位記録ヘッド40を組み合わせて記録ヘッド44を構成した方が安価に構成できるためである。
【0111】
例えば、図4に示すように、ノズル面40Aに1列にノズル58が配列された記録ヘッド40をノズル列を一致させて共通基板46A、46Bに取りつけ、お互いにずらして配置することにより、印字領域内で間断なく印字可能な記録ヘッド44を構成することができる。この場合には、大量に生産される安価なデバイス(記録ヘッド)と共通化が可能となり、低価格で全幅印字可能な記録ヘッド44を構成できる。また、記録ヘッドアレイ42A、42Bをそれぞれ共通基板46A、46Bに取り付けることにより各記録ヘッドアレイ42A、42Bの構成が簡略化し、製作も高精度調整もより簡易になる。
【0112】
しかし、記録ヘッド44は、このような構成に限定されるものではなく、図5に示すように、1つの共通基板46の両側に単位記録ヘッド40を複数取り付けて記録ヘッドアレイ42A、42Bを構成することもできる。このように構成することによって、共通基板46を共通化して記録ヘッド44を小型化することができる。
【0113】
なお、単位記録ヘッドは、市販もしくは公知のシリアル記録型インクジェット記録ヘッドを流用しても良い。また、単位記録ヘッドをヘッドチップのみで構成し、複数のヘッドチップに対して共通基板46に設けたインク流路でインクを供給する構成としても良い。さらに、単位記録ヘッド毎に交換可能にできれば好適である。
【0114】
また、単位記録ヘッド40におけるノズル58をノズル配列方向端部まで形成した単位記録ヘッド110(図6参照)を幅方向に連続して配置して記録ヘッド44を構成しても良い(図7参照)。単位記録ヘッド同士の接続部分におけるノズルピッチを合わせる為に、単位記録ヘッド110の端部を高精度に作製する必要があるが、記録ヘッド44を最も小型化できる構成である。
【0115】
さらに、単位記録ヘッド40、110のノズル配列は一直線状のもので説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、千鳥状にノズルを配列することも可能である。
【0116】
記録ヘッド44に対向配置されるメンテナンス装置81は、少なくとも非印字時に記録ヘッド44から吐出されたインクを収容するインク受け部を備えるものであり、記録ヘッド44の印字(インク転移)性能を一定に維持するものである。このように、インク受け部を備えるメンテナンス装置81が記録ヘッド44に対向配置されているため、記録ヘッド44から非印字時に転移されたインクが確実に収容される。
【0117】
記録ヘッド44は、インクの乾燥(特に、水性インク、溶剤インク)によるインク滴の吐出性能を初期化する目的で非印字時にインク滴の吐出(以下、ダミージェットという)を行なう必要がある
また、インクがほとんど乾燥しない油性インクやソリッドインクの場合であっても、印字中に記録ヘッド44の内部に発生する微小な気泡による影響や、ノズル面(インク滴吐出面)に付着したインクや微小なゴミによる影響を除去して初期化するためにダミージェットを行なう必要がある。
【0118】
メンテナンス装置81(インク受け部)は、このダミージェット時のインク滴を収容するものであり、収容したインク滴が飛散しないようにインク吸収部材を配置しても良い。あるいは、インク浸透部材やチューブ部材等を介して別の場所に設けた排インク手段に排出する構成としても良い。
【0119】
また、メンテナンス装置81は、少なくとも上記インク受け機能を備えれば良いが、さらにインク滴の吐出性能を維持するために、他のメンテナンス機能を有するように構成しても良い。例えば、ノズル面を清掃するワイパー部材を設けても良いし、ノズル面を気密にして保護するキャッピング機能を有する構成としても良い。さらにはノズルからインク等を吸引するバキューム機能を有する構成としても良い。
【0120】
なお、インク受け機能以外の機能、例えば、上記ワイピング機能やキャッピング機能等は必ずしもメンテナンス装置81が備える必要はなく、例えば記録ヘッド側に当該機能を果たす機構(ワイピング機構、キャッピング機構等)を設けても良い。
【0121】
搬送手段202は、静電吸着以外の方法(以下、非静電吸着方式という)によって用紙を搬送するものである。すなわち、搬送手段202は、記録ヘッド44とメンテナンス装置81の間に一定速度で安定的に用紙を搬送可能なものであれば特に限定するものではない。例えば、搬送ロールや搬送ベルトと押圧手段の組み合わせ等が考えられる。
【0122】
また、搬送手段202は、用紙搬送方向において記録ヘッド44と異なる位置に配置することが望ましい。これは、記録ヘッド44と対向する位置にメンテナンス装置81を配設容易にするためである。
【0123】
例えば、用紙の裏面に当接して用紙に駆動力を付与する搬送ロール100と、搬送ロール100に対して用紙を押しつける付勢手段204とから搬送手段202を構成することが考えられる(図1参照)。
【0124】
これは、静電吸着方式を採用した場合には、用紙の厚さや用紙の材質によって静電吸着状態が安定しないおそれがあるのに対して、搬送ロール100に付勢手段204によって用紙を押し付けることによって、用紙の厚み、材質等に拘わらず搬送ロール100から用紙に駆動力が確実に伝達され、安定して搬送することができるためである。
【0125】
付勢手段204は、用紙に対して付勢部材が直接接触して付勢する方式と、用紙に対して直接接触しない方式が考えられる。後者の方式としては、例えば、エアーの吹き付け等が考えられる。印字された用紙に接触しない点で優れている。
【0126】
一方、前者の方式としては、例えば、図9に示すように、シャフト74を介してスプリング75の付勢力が作用したスターホイール70が考えられる。すなわち、搬送ロール100に対して弾性的に付勢されたスターホイール70によって厚さや材質に拘らず用紙Pが搬送ロール100に押圧される。この結果、搬送ロール100から確実に駆動力を伝達され、用紙Pが安定的に搬送される。
【0127】
スターホイール70の形状は、用紙に対する接触面積が最小限に抑制されていれば、特に限定するものでない。また、スターホイール70の材質は、金属、プラスチックなどで良い。例えば、SUS631Hを高温で硬化処理したSUS631H材が好適である。製造方法も特に限定するものでないが、エッチングやプレス、レーザ加工などが可能である。
【0128】
したがって、スターホイール70が用紙Pの記録面に接触しても、インクが転移したばかりの記録面に対する接触面積が最小限に抑制され、印字画質に対する影響を最小限に抑制できる。
【0129】
シャフト74を介して付勢されたスターホイール70に作用する押圧力は、5gf〜30gfが好ましく、10gf〜20gfが一層好ましい。5gfよりも小さいと用紙を十分に押えることができず、30gfよりも大きいと用紙を傷つけるためである。
【0130】
なお、複数のスターホイール70によってスターホイール群を構成する場合には、共通のシャフトに支持されることが望ましく、用紙の局所的な浮きや変形を押えるために、スターホイール70の間隔が50mm以下であることが好適である。
【0131】
また、印字領域が大きい場合には、シャフト74を複数に分割してそれぞれに複数のスターホイール70を軸支させることが望ましい。シャフト74が撓んで、スターホイール70が用紙を不均一に付勢し、用紙の局所的な浮きや変形を押えることができなくなるためである。
【0132】
搬送ロール100は、従来公知の搬送ロールであればいずれでも適用可能である。用紙に駆動力を確実に伝達するために、表面の摩擦係数が大きく、かつ耐摩耗性に優れたものが好ましい。例えば、金属のロール外周面にゴムを被覆したゴムロールや金属のロール外周面にセラミック粉をコートしたセラミックロールが考えられる。
【0133】
なお、スターホイール70が搬送ロール側に弾性的に付勢されているため、搬送ロール100に接触したスターホイール70の歯先が破損しないように、搬送ロール100には破損回避部が設けられている。例えば、搬送ロールがゴムロールであれば外周面を被覆したゴムが破損回避部に該当する。また、搬送ロール100がセラミックロールであれば、図10に示すように、スターホイール70と対向する部位に設けられた周回する溝101が破損回避部に相当する。ただし、溝101を設けた場合には、スターホイール70の歯先が溝101の内部に進入する量が過剰になって用紙の搬送抵抗が増大しないように規制手段を設けることが好ましい。例えば、シャフト74に当接してスターホイール70の進入量を規制する構成が考えられる。
【0134】
本実施形態に係る記録装置200の作用について説明する。
【0135】
記録装置200では、記録ヘッド44の印字領域が記録領域以上とされているため、記録ヘッド44とメンテナンス装置81の間に用紙が連続的に搬送されることによって記録ヘッド44から用紙に色材が転移して画像形成される。
【0136】
また、搬送手段202は非静電吸着方式の搬送手段、例えば、搬送ロール100と付勢手段204の構成の場合、静電特性が変化する用紙の材質や厚さの変化や用紙に対する色材の付着、あるいは環境温湿度変化にかかわらず、付勢手段204によって搬送ロール100に用紙が確実に押し付けられ、搬送ロール100から用紙に駆動力が確実に伝達される。この結果、用紙が安定して搬送され、高画質に印字することができる。
【0137】
また、付勢手段204がスプリング75で弾性的に付勢されたスターホイール70であれば、インク滴などが付着した用紙に対する接触面積が最小限に限定され、高画質な印字が可能になる。このように付勢手段204にスプリング75で付勢されたスターホイール70を用いても、搬送ロール100に破損回避部(例えば、セラミックロールに設けられた溝101)を設けることによって、スターホイール70の歯先が搬送ロール100と接触することによって破損・変形することを確実に回避できる。
【0138】
ところで、搬送手段202が搬送方向において記録ヘッド44と異なる位置に配置された場合には、記録ヘッド44のノズル面40Aと対向する位置にメンテナンス装置81を容易に配設することができる。
【0139】
一方、記録ヘッド44のノズル40Aと対向してメンテナンス装置81を配設させているため、記録ヘッド44を移動させることなく(印字状態のままで)、色材を転移させることができる。例えば、記録ヘッド44がインクジェット方式であれば、インク滴をメンテナンス装置に向かって吐出する(ダミージェットを行なう)ことによって、記録ヘッド44の内部に存在した気泡が排出され、インク滴の吐出性能が初期化される。
【0140】
特に、連続印字中に先行する用紙後端が通過して後続の用紙先端が到着するまでのタイミングでメンテナンス装置81に向かってインク滴を吐出し、連続印字中に変化してしまうインク滴の吐出性能を一定に維持して高画質の印字を可能にすることができる。
【0141】
すなわち、連続印字中に印字動作を中断することになく、ダミージェットを行なうことができるため、高画質な印字を可能にしつつ印字能力(生産性)を高く維持できる。
【0142】
なお、ダミージェットを行なうために、記録ヘッド44やメンテナンス装置81を移動させる機構も不要であり、簡単な装置構成とすることができる。
【0143】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る記録装置について説明する。
【0144】
本実施形態に係る記録装置250は、図11に示すように、記録ヘッド44を複数の記録ヘッドアレイ42A、42Bの組み合わせで構成したもの(図4参照)であり、搬送方向に沿って複数の記録ヘッド44(記録ヘッドアレイ42A、42B)を配設することによって、多色印字を可能にしたものである。ここでは、搬送方向上流側からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のインク滴を吐出可能な記録ヘッド44Y、44M、44C、44K(以下、44Y〜44Mという、他の部材も同様)(記録ヘッドアレイ42YA・42YB〜42KA・42KB)を配置してカラー印字可能に構成したものである。しかし、記録ヘッドのインクの色・数はこれに限定されるものではなく、他の色の記録ヘッドを追加しても良いし、同一の色の記録ヘッドを複数有する構成でも良い
この場合には、各記録ヘッドアレイ間および最上流の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側、および最下流の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に搬送手段202を配設させている。
【0145】
なお、このように配置された複数の搬送手段202の駆動源106は、単一であることが望ましい。これは、駆動源が複数ある場合には、複数の駆動源の駆動速度や変動特性を同一にすることは困難であり、結果として各駆動源の速度変動成分が重畳して用紙搬送速度に作用するためである。この結果、各駆動源の速度変動成分が十分に小さくても上記重畳によって用紙速度変動が印字画質の劣化として顕在化するおそれがあるためである。駆動源106としては、例えば、ステッピングモータやサーボモータが考えられる。
【0146】
また、複数の搬送手段202に対して単一の駆動源106から共通の駆動部材104で駆動力を伝達されることが望ましい。駆動部材104は、公知の駆動伝達部材が適用可能であるが、特に、歯の噛合がなく表面の摩擦力で駆動力を伝達できる平ベルト構造が好ましい。ギア(歯の噛合)を用いる場合、歯毎の周期的な速度変動を生じ、印字された画像において人間に識別され易い画質欠陥を生ずるおそれが大きいためである。
【0147】
なお、図11に示すように、駆動部材として平ベルト104を用いる場合、搬送手段202、例えば、搬送ロール100に巻きかける場合には、滑り易い特性を補うために、アイドラロール114を用いて巻き付け角度を稼ぐことが必要である。なお、平ベルトは伸縮性が小さく、変形しにくいものが好ましい。例えば、樹脂繊維の織物を芯体とし、各種ゴム(クロロプレンゴム、ニトリルゴム)やポリウレタンを表層に設けて機械的強度と摩擦係数を両立させることができる。また、SUSやニッケルの金属ベルトでも良い。
【0148】
この平ベルト104を搬送ロール100に架け渡す場合には、図12に示すように、搬送ロールの用紙搬送領域外側である非用紙搬送領域に架けることなる。この場合、搬送ロールの非用紙搬送領域は、用紙搬送領域と同一径であることが必要であり、用紙搬送領域と同一の加工工程・方法で加工されていることが望ましい。例えば、搬送ロール100の用紙搬送領域がゴムで被覆されたゴムロールやセラミック粉末でコーティングがなされた場合には、平ベルトを架け渡す非用紙搬送領域も同様の加工で形成される。
【0149】
このように構成された記録装置250の作用について説明する。
【0150】
記録装置250が複数の記録ヘッド44Y〜44K(記録ヘッドアレイ42YA〜44KB)から構成されている場合であっても、各記録ヘッドアレイ間および最上流の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側、および最下流の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に非静電吸着方法の搬送手段202を配設することによって、用紙の紙質や厚さ等の変化、インク付着、あるいは環境温湿度変化等の静電特性の変化に拘らず各記録ヘッドアレイ42(記録ヘッド44)に用紙を安定して搬送することができ、高画質に印字することができる。
【0151】
特に、搬送手段202が搬送ロール100と付勢手段204で構成されている場合には、搬送手段202を記録ヘッドアレイ42間に配設することによって、インクの付着によって生ずる用紙の変形を付勢手段204、例えば、付勢されたスターホイール70によって搬送ロール100に押圧しつけて抑制する。したがって、インク付着による用紙変形によって用紙が記録ヘッド44のノズル面40Aに接触してノズル面40Aを傷つけたり、用紙が汚れることを確実に防止できる。
【0152】
また、複数の搬送手段202、例えば搬送ロール100を単一の駆動源106で駆動することにより、複数の駆動源の速度変動の重畳による用紙搬送速度変動が防止される。
【0153】
しかも、駆動源106から搬送手段202に共通の駆動部材104で駆動力が伝達されるため、搬送手段202間における搬送速度のバラツキが抑制される。
【0154】
また、搬送ロール100に対してアイドラロール110〜114を介して平ベルト104を巻きかける構成の場合には、チェーンとギアを用いる場合のように、歯毎の周期的な速度変動成分が抑制され、周期的な変動が用紙上に形成された画像に表れることを低減できる。
【0155】
特に、搬送ロール100の用紙搬送領域と同一径で同一加工された非用紙搬送領域に平ベルト104を巻きかけることによって、搬送ロール100の加工精度や保持方法(ベアリング等)に起因する芯ブレがあっても周期的な速度変動が発生せず、用紙は平ベルト104の移動速度と同一速度で搬送される。したがって、周期的な速度変動が一層確実に低減される。
【0156】
なお、平ベルト104の巻き付け角を稼ぐためにアイドラーロール114を配置する構成では、厳密に言えば、アイドラーロール114の加工精度や保持方法に起因する周期的速度変動が発生するが、アイドラーロール114は比較的小型であり単一材料でよいので安価でかつ高精度に加工することは容易である。一方搬送ロール100はサイズが大きく、構成も例えば芯金と被覆材という複数の材料構成となるので、高精度の加工が困難である。あるいは、非常に高価な部品になってしまう。
【0157】
また、本実施形態に係る駆動搬送機構では、共通駆動部材として平ベルト104を採用したため、巻き付け角度を確保するために搬送ロール100間にアイドラロール114を配設する構成としたが、例えばチェーンの場合のように滑りについてほとんど考慮する必要がない構成であれば、図27に示すように、アイドラロール110〜114を省略して搬送ロール100の表面に接触する構成でも良い。
【0158】
[実施例1]
本発明の実施例1に係る記録装置が適用されたインクジェット記録装置について説明する。なお、実施形態と同様の構成要素について同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0159】
(インクジェット記録装置の全体構成)
先ず、インクジェット記録装置の全体構成について簡単に説明する。
【0160】
インクジェット記録装置10は、図13に示すように、用紙を送り出す用紙供給部12と、用紙の姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴を吐出して用紙に画像形成する記録ヘッド部16と、記録ヘッド部16のメンテナンスを行なうメンテナンス部18とを備える記録部20と、記録部20で画像形成された用紙を排出する排出部22とから基本的に構成される。
【0161】
用紙供給部12は、用紙が積層されてストックされているストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。
【0162】
レジ部14は、ループ形成部28と用紙の姿勢を制御するガイド部材30が備えられており、この部分を通過することによって用紙のコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に進入する構成である。
【0163】
記録部20については、記録ヘッド部16とメンテナンス部18の間を用紙が搬送される用紙搬送路が構成されており、用紙搬送路を連続的に(停止することなく)搬送される用紙に対して、記録ヘッド部16からインク滴が吐出され当該用紙に画像が形成される構成である。記録ヘッド部16とメンテナンス部18は、それぞれユニット化されており、記録ヘッド部16がメンテナンス部18と用紙搬送路を挟んで分離可能に構成されている。したがって、用紙ジャムの場合に、容易にジャムした用紙を取り出すことができる。なお、記録部20については後述するので、詳細な説明を省略する。
【0164】
排紙部22は、記録部20で画像が形成された用紙を排紙ベルト31を介してトレイ32に収納するものである。
【0165】
(記録ヘッド部の構成)
次に、記録ヘッド部16について、図14〜図19を参照して詳細に説明する。図14は、記録ヘッド部16を上側から見た模式図(図20との対応をとりやすくするためにあえて上方から見た平面図とした)である。
【0166】
記録ヘッド部16は、図14に示すように、用紙搬送方向(矢印X方向。以下、搬送方向という場合がある)に対して直交する用紙幅方向(矢印Y方向。以下、幅方向という場合がある)に対して一定の間隔で配置された単位記録ヘッド40が6個配置された記録ヘッドアレイ42が用紙搬送方向に一定間隔で8個配設されることによって基本的に構成されている。
【0167】
単位記録ヘッド40は、図15に示すように、ノズル面40Aにインク吐出するノズル58が一直線上に形成されたものであり、周知のサーマルインクジェット方式によりインク滴が吐出されるものである。本実施例では、単位記録ヘッド40はノズル配列密度が800dpiで800ノズルであり、噴射周波数が7.56kHzで、顔料インクを使用するものである。
【0168】
このような単位記録ヘッド40がノズル配列方向が幅方向と一致するように一直線上に後述する共通基板46に6個の単位記録ヘッド40が取り付けられることによって記録ヘッドアレイ42A、42Bが形成されている。
【0169】
記録ヘッドアレイ42A、42Bは、図16に示すように、それぞれ6個の単位記録ヘッド40が一定間隔をおいて配設されたものであり、記録ヘッドアレイ42A、42Bでは単位記録ヘッド40の配置を幅方向で相互にずらして配置することによって、単位記録ヘッド40のノズル列の一部が記録ヘッドアレイ42A、42B間において重複するオーバーラップ領域OLを有するように配置されている。このようにオーバーラップ領域OLを設けることによって、印字領域内で印字ができない領域が発生することを防止している。すなわち、記録ヘッドアレイ対42A、42Bの単位記録ヘッド40のノズル58からインク滴を吐出することによって、用紙に対する一色分の印字を行なうものである。本実施例では、この一対の記録ヘッドアレイ42A、42Bの組み合わせを記録ヘッド44と呼ぶものとする。
【0170】
本実施例の記録ヘッド44では、印字領域が12インチとされており、最大用紙幅PWのA3短手幅(A4長手幅)の297mmよりも広く設定されている。
【0171】
記録ヘッド44は、搬送方向上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に印字されてフルカラー印字可能な構成であり、必要な場合には該当する記録ヘッドの参照番号にY、M、C、Kの符号を付して(44Y、44M、44C、44Kとして)区別する(図14参照)。以下、他の部材についても同様である。
【0172】
また、図14において、記録ヘッド44Y〜44Kの構成は同一なので、記録ヘッド44Yの構成要素についてのみ参照符号を付し、他の記録ヘッド44M〜44Kの構成要素に対する参照符号を付するのを省略している。
【0173】
記録ヘッド44を構成する記録ヘッドアレイ42Aは、図17に示すように、用紙幅方向に延在する共通基板46Aに6個の単位記録ヘッド40が所定間隔で取り付けられている。
【0174】
すなわち、単位記録ヘッド40は、図16に示すように、共通基板46Aに取り付けられることによりこのノズル列が幅方向に並ぶことになる。
【0175】
また、記録ヘッド部16では、搬送方向に沿って記録ヘッドアレイ42間、最上流側の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側、および最下流側の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に3つのスターホイール群72A〜72Cが配設されている(図14参照)。スターホイール群72A〜72Cは、幅方向に連続して配置された3本のシャフト74A〜74Cに対し所定間隔をおいてそれぞれ6個のスターホイール70が軸支されているものである。この各シャフト74A〜74Cは、両端でスプリング75によって後述する搬送ロール100側に付勢されている。なお、スターホイール70の搬送ロール100側への変位量は、搬送ロール100の表面よりわずかに食いこむ位置で停止するように、規制部材77が配設されている(図18参照)。
【0176】
ここで、スターホイール70同士の幅方向間隔は、最も広い箇所で25.4mmとした。用紙の局所的な浮き・変形を押さえるために50mm以下が望ましいからである。
【0177】
また、スターホイール70がスプリング75によって搬送ロール100に押圧される力は、1個当たり10gfとされている。これは、押圧力が5gfよりも小さいと用紙を搬送ロール100に十分押さえることができず、30gfよりも大きいとスターホイール70が用紙を傷つけるためである。
【0178】
スターホイール70は、図19(A)に示すように、孔部74が形成された円筒形の樹脂製の保持体76と、保持体76に保持されたステンレス製のホイール78から構成されている。
【0179】
保持体76は、軸方向中央で縮径してホイール挿入可能とした第1部材76Aと、縮径部分に嵌合して第1部材76Aと共にホイール78を挟持する第2部材76Bとから構成されている。ホイール78は、外周に歯79が一定間隔で多数形成されている。歯79の先端形状は、鈍角で先端がR形状とされている(図19(B)参照)が、用紙上の未乾燥のインクと接触するため接触面積が極力小さくされていれば良く、例えば、鋭角(図19(C)参照)でも良い。
【0180】
また、ホイール78の厚みは、本実施例では、0.1mmで先端(歯先)の厚みをテーパー加工により0.01〜0.02mm程度に薄くしたものである。また、ホイール78は、SUS631EH材から両面段差エッチングで外形と先端テーパー形状を同時加工して形成したものであり、表面をフッ素樹脂撥水コートしたものである。
【0181】
また、記録ヘッドアレイ42Aでは、各単位記録ヘッド40の隣りにスターホイール70が配置されている。スターホイール70は、共通基板46に嵌合されている支持部材71の先端に板バネ73を介して弾性的に軸支されている(図18参照)。
【0182】
(メンテナンス部の構成)
記録部20に対して対向配置されるメンテナンス部18の構成を図20〜図24、図25を参照して説明する。図20は、搬送位置からメンテナンス部18を平面視にしたものである。
【0183】
メンテナンス部18は、記録部20と用紙搬送位置を挟んで対向配置されており、図20に示すように、記録部20の各単位記録ヘッド40と対向する位置にメンテナンス装置81が配置されている(図14参照)。メンテナンス装置81は、キャップ部材80とワイピング部材88から構成されている。
【0184】
キャップ部材80は、図21に示すように、矩形状の深さ8mmの凹部82Aが形成されPBT樹脂から形成された受け部82と、受け部82の上部にシリコーンゴム(硬度40Hs)から形成されたゴム部84と、凹部82Aの底面全体に配設されたポリプロピレンとポリエチレンとからなるインク吸収体86とから構成されている。したがって、後述するダミージェットの際、各単位記録ヘッド40のノズル58からキャップ部材80の開口部84Aを介して凹部82Aの内部にインク滴が吐出され、インク吸収体86に吸収される構成である。
【0185】
また、キャップ部材80は、図22に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した6個のキャップ部材80が共通基板300に取りつけられてユニット化され、昇降機構302によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間可能に構成されている。
【0186】
昇降機構302は、駆動モータ304と、駆動モータ304の駆動軸306に取りつけられ、共通基板300の下面に当接される偏心カム308とから構成されている。したがって、駆動モータ304が駆動されることにより偏心カム308が回転し、偏心カム308が当接された共通基板300が単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間する構成である。
【0187】
なお、キャップ部材80の下側には、ノズル面40Aに圧接する際に圧接力を調整するスプリング87が配設されている(図26参照)。したがって、後述するキャッピング動作時にはキャップ部材80が上昇してゴム部84がノズル面40Aに対して圧接してノズル58を含むノズル面40Aを密閉し、インクの乾燥を抑制すると共にゴミ、埃等の付着を防止する。また、後述するワイピング動作時にはキャップ部材80が下降してワイピング部材88を幅方向に移動可能とするものである。
【0188】
さらに、各キャップ部材80の幅方向において隣接する位置には、各単位記録ヘッド40のノズル面40Aをクリーニングするためのワイピング部材88が配設されている(図21、図22参照)。
【0189】
ワイピング部材88は、図21に示すように、幅方向視において略アーチ型の形状をした保持部材90と、保持部材90の上部に配設され搬送方向に延在するワイパー92とから構成されているものである。
【0190】
ワイパー92は熱可塑性ポリマー樹脂(硬度65Hs)から形成され、幅方向厚さW1が0.8mm、搬送方向長さL1が8mmであり、保持部材90からの高さ(自由長)が6mmである。
【0191】
保持部材90はSUS材から形成されている。
【0192】
なお、ワイピング部材88はキャップ部材80の幅方向端部から1mmの位置に配置した。
【0193】
また、ワイピング部材88は、図22に示すように、記録ヘッドアレイ42を構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した全ワイピング部材88が共通基板310に取りつけられてユニット化され、移動機構312によって一体的に単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間および幅方向に移動可能に構成されている。
【0194】
移動機構312は、共通基板310を幅方向に移動可能に支持するスライダ314と、スライダ314上で共通基板310を幅方向に移動させる駆動モータ316と、スライダ314を昇降させる駆動モータ318とから基本的に構成される。スライダ314は、搬送方向両端に設けられ幅方向に延在するガイド320を備えており、ガイド320に案内された共通基板310が幅方向に移動可能とされている。また、共通基板310の一側面には、ラック322が形成された凸部324が形成されており、スライダ314に取りつけられた駆動モータ316の駆動ギア326と噛合されている。したがって、駆動モータ316の駆動によって共通基板310がスライダ314上を幅方向に移動可能とされている。
【0195】
また、スライダ314の下側には、上下方向に延在するラック330が設けられた凸部332が形成されており、駆動モータ318の駆動ギア334が噛合されている。したがって、駆動モータ318の駆動によってスライダ314が昇降可能とされている。すなわち、スライダ314に支持された共通基板310、ワイピング部材88が一体的に昇降する構成とされている。
【0196】
このように、ワイピング部材88は移動機構312によってノズル面40Aに対して接近離間(昇降)可能に構成されると共に、幅方向に移動可能とされている。すなわち、ワイピング部材88(ワイパー92)は、ホームポジションでは搬送されてくる用紙と干渉しないようにキャップ部材80よりも低い位置に位置している(図23(A)参照)が、ワイピング時には上昇してホームポジションから下降したキャップ部材80を跨いで搬送方向に移動してワイピングを行なう(図23(C)参照)構成とされている。
【0197】
また、記録部20において用紙搬送時にキャップ部材80の凹部82Aに用紙が突入しないように、各キャップ部材80の幅方向両側にガイド部材94が配設されている(図21参照)。ガイド部材94はSUS材から形成され、図21に示すように、搬送方向に延在する水平部94Aと、水平部94Aの両端部から垂直下方に延在する2本の垂直部94Bと、水平部94Aの搬送方向両端部から搬送方向斜め下方に延在するガイド部94C、94Dとから構成される。
【0198】
なお、このガイド部材94の水平部94Aは、単位記録ヘッド間に配設されたスターホイール70と対向配置されている(図14、図20および図18参照)。したがって、搬送される用紙が、搬送方向における印字位置でスターホイール70によってガイド部材94(水平部94A)に当接され、インク付着などによって変形する用紙をノズル面40Aに対して一定の距離に保つ構成である(図18参照)。
【0199】
続いて、メンテナンス装置81を構成する各部材の本実施例におけるホームポジション(画像印字中で単位記録ヘッド40に対するメンテナンスを行っていない状態における位置)について説明する。
【0200】
キャップ部材80は、記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてゴム部84が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの全体を覆うように、また、平面視においてゴム部84の開口部84A内に単位記録ヘッド40の全ノズル58が位置するように配置されている。
【0201】
ワイピング部材88は、ワイパー92の先端が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてワイパー92の長手(搬送)方向長さが単位記録ヘッド40のノズル面40Aの搬送方向幅をカバーできる位置で、ワイパー92が単位記録ヘッド40の幅方向端部から1mm離れた位置(記録ヘッドの短手幅方向に対し、清掃できる位置)に配置されている。
【0202】
ガイド部材94は、用紙が接触する水平部94Aの最上面が単位記録ヘッド40のノズル面40Aの下方に配置され、平面視においてガイド部材94の水平部94Aの搬送方向長さが単位記録ヘッド40のノズル面40Aをカバーできる位置で、用紙が接触する水平部94Aの最上面が単位記録ヘッド40の幅方向端部から2mm離れた位置に配設されている。
【0203】
続いて、メンテナンス装置81と単位記録ヘッド40の間に用紙を搬送する構成について説明する。
【0204】
用紙に駆動力を伝達して搬送する搬送ロール100が、メンテナンス部18において搬送方向両端と搬送方向で隣接するキャップ部材80の間にそれぞれ配設されている(図20参照)。搬送用ロール100は、用紙搬送位置を挟んでスターホイール群72A〜72Cの配設位置に対応して配置されており(図18参照)、搬送用ロール100側にスプリング75によって弾性的に押圧されているスターホイール群72A〜72Cのスターホイール70によって搬送用ロール100に用紙が当接され、搬送ロール100から駆動力が伝達されるように構成されている。
【0205】
搬送ロール100は、ケーシング102に軸支される小径部100Aと、小径部100Aよりも径が大きくスターホイール72が当接する大径部100Bとから構成されている(図17参照)。搬送ロール100は、大径部100Bを介して用紙に駆動力を伝達するものであり、摩擦係数が大きくかつ磨耗しにくいものが良い。本実施例では、搬送ロール100は直径10mmの金属(SUS303)ロール表面にアルミナを主成分とするセラミック微粉末をスプレーコートして燒結したものであり、上記条件を満たしている。この加工は、搬送ロール100の大径部100Bにおいて用紙が当接する印字領域のみならず、平ベルト104が張架される非印字領域も同様の加工が施される。
【0206】
なお、搬送ロール100の表面にスターホイール70が接触して歯先が変形することを防止するために、搬送ロール100のスターホイール72に対向する部分には、幅2mm、深さ2mmの周回する溝101(図10、図18参照)を設けている。また、この溝101内へのスターホイール72の進入量が増加することによって、用紙搬送抵抗が増加することを防止するために、スターホイール72の進入量を規制する規制部材77(図18参照)が設けられている。
【0207】
搬送ロール100を駆動する駆動機構は、図24に示すように、単一のモータ106の駆動軸108からアイドラロール110、112を介して全ての搬送ロール100に平ベルト104が巻きかけられているものである。隣接する搬送ロール100間には、アイドラロール114が配設されており、各搬送ロール100(大径部100B)に対する平ベルトの巻きつけ角度を稼いでいる。
【0208】
また、搬送ロール100は、図25に示すように、搬送される用紙が当接される大径部100Bにおいて印字領域外の非印字領域に平ベルト104が巻きかけられている。
【0209】
ここでモータ106を単一とするのは、駆動源が複数存在すると、各モータの駆動速度・変動特性を厳密に均一にするのが困難であり、結果的に用紙速度に各種速度変動成分が重畳し、各モータの速度変動が十分小さくても各速度変動の重畳によって用紙の速度変動が問題になるためである。すなわち、単一の駆動源(モータ106)で複数の搬送ロール100を駆動することによって、用紙の搬送速度を均一にして高画質な印字を達成するものである。
【0210】
平ベルト104は、搬送ロール100に対して歯の噛合い無しで(摩擦力で)駆動伝達するので、特に歯毎の周期的な速度変動などがなく好適である。
【0211】
また、本実施例の平ベルト104は、ポリエステル繊維を織った基材の表面(片面)にポリウレタンを薄膜コートした厚さ0.4mmのものであり、機械的強度と高摩擦性を両立させている。
【0212】
このように、記録部20が構成されることにより、本実施例ではノズル面−用紙間隔が1.5mmに設計され、その間を水平方向に用紙が搬送されるものである。また、印字対象となる最大記録領域(最大用紙幅PW)は、A3短手(A4長手)とされている。また、記録部20のプロセス速度は240mm/sであり、印字解像度=800×800dpi、記録速度が毎分60枚(A4LEF(Long Edge Feed)の場合)とされている。
【0213】
このように構成されるインクジェット記録装置10の作用について説明する。
【0214】
以下、印字動作、メンテナンス動作(ダミージェット、ワイピング、キャッピング)について順次説明する。
【0215】
先ず、印字動作について説明する。
【0216】
印字動作を行なう場合には、用紙供給部12から用紙が供給され、レジ調整部14で用紙の姿勢やタイミングが制御されて記録部20に搬送される。
【0217】
一方、記録部20ではモータ106が駆動され、平ベルト104を介して全搬送ロール100に駆動力が伝達される。
【0218】
したがって、記録部20に到達した用紙は、最も搬送方向上流側にある搬送ロール100とスターホイール群72A〜72Cの間に挿入される。この際、スプリング75で付勢されたスターホイール群72A〜72Cのスターホイール70が搬送ロール100に用紙を押し付けるため、搬送ロール100から用紙に搬送力が確実に伝達され、一定速度で単位記録ヘッド40の下部に挿入される。以下、記録ヘッドアレイ42間に配設された搬送ロール100から順次、駆動力が伝達されて搬送されていく。
【0219】
この際、全ての搬送ロール100が単一のモータ106で駆動されているため、複数の駆動源で駆動される場合のように複数の駆動源の速度変動が重畳して用紙搬送速度の変動に影響を与えることが回避され、用紙がより一定速度で搬送される。また、画像上で視認しやすい画像欠陥の原因である周期的な速度変動は歯の加工精度等によって生ずることが多いが、平ベルト104を介して(歯の噛合等を介さずに)駆動力が伝達されているため、上記画像欠陥の発生も防止される。さらに、搬送ロール100の用紙が当接される大径部100Bの非印字領域に平ベルト104が巻き掛けられているため、搬送ロール100の加工精度や保持方法(ベアリング等)に起因する芯振れがあっても周期的な速度変動は発生せず、平ベルト104の移動速度(一定速度)で用紙が搬送される。平ベルト104の巻き付け角を稼ぐためにアイドラーロール114を配置する構成では、厳密に言えば、アイドラーロール114の加工精度や保持方法に起因する周期的速度変動が発生するが、アイドラーロール114は比較的小型であり単一材料でよいので安価でかつ高精度に加工することは容易である。一方搬送ロール100はサイズが大きく、構成も例えば芯金と被覆材という複数の材料構成となるので、高精度の加工が困難である。あるいは非常に高価な部品になってしまう。平ベルト104による表面摩擦駆動方式は、搬送ロール100の半径や回転中心が多少ばらついていてもそこに起因する周期的変動は発生しないという効果がある。
【0220】
さらに、スターホイール群72A〜72Cを幅方向で三つに分割し、それぞれのシャフト74A〜74Cの長さを短くしたため、シャフト74A〜74Cの撓みを防止できて、スプリング75で付勢された複数のスターホイール70が均等に用紙を抑える。したがって、用紙に駆動力を均等に伝達することができる。
【0221】
特に、スターホイール70によって用紙を搬送ロール100に押圧しているため、用紙に駆動力が確実に伝達され、一定速度で搬送することができる。特に、静電吸着方式を採用していないため、用紙の厚さや材質などに拘らず安定して搬送することができる。
【0222】
また、幅方向において単位記録ヘッド40間にスターホイール70を配設し、これと対向する位置にガイド部材94を配設しているため、搬送方向における印字(記録ヘッドアレイ42)位置においても、用紙の浮きあがり等を防止して、用紙の平面性(ノズル面40Aに対する一定距離)を確保することができる。
【0223】
逆にいえば、このようにスターホイール70を配置することによって、単位記録ヘッド40に対向する位置にキャップ部材80等のメンテナンス装置81を配置しても、用紙の平面性(ノズル面40Aに対する一定距離)を確保することができる。
【0224】
一方、記録ヘッド部16に対して装置の制御部から印字信号が各単位記録ヘッド40に入力されると、印字信号に応じて該当するノズルの発熱素子が発熱し、ノズル面40Aに対して一定距離とされつつ搬送される用紙に対して、当該ノズルからインク滴が吐出されていく。
【0225】
したがって、記録ヘッドアレイ42Aで印字が行なわれ、続いて記録ヘッドアレイ42Bで印字が行なわれることにより、用紙の当該部分における一色分の印字が終了する。したがって、記録部20で用紙が搬送されるにつれて、記録ヘッド44Y、44M、44C、44Kの順で印字され、フルカラーの印字が行われる。
【0226】
このように、平面性(ノズル面に対する一定距離)が確保され、一定速度で搬送される用紙に対して印字を行なうことにより、高画質な画像を形成することができる。特に、記録部20の搬送中、スターホイール70によって常時平面性が確保されるため、各種厚みの用紙に対して印字中に生ずる用紙の変形を良好に矯正でき、ノズル面40Aに対する距離を一定に維持して高画質な印字を達成できる。
【0227】
特に、記録部20において、搬送ロール100が記録ヘッドアレイ42間に配設され、また最上流の記録ヘッドアレイ42YAよりも上流側および最下流の記録ヘッドアレイ42KBよりも下流側に配設されていると共に、複数の搬送ロ−ル100が単一の駆動源で駆動されるため、用紙が一定速度で確実に搬送され、高画質な印字を達成することができる。
【0228】
次に、ダミージェットの動作について説明する。
【0229】
ダミージェットは、非印字時、あるいは複数の用紙を連続印字中に所定枚数の印字が終了する度に、後続の用紙先端が到達する前に行なう。すなわち、記録ヘッド44Y〜44Kを構成する全単位記録ヘッド40のうち、任意のノズルからキャップ部材80に向かってインク滴の吐出(いわゆるダミージェット)が行なわれる。ダミージェットを行なうのは、全単位記録ヘッド40の全ノズルでも良いし、選択された単位記録ヘッド40、あるいは記録ヘッドアレイ42の全ノズル58でも良いし、さらには所定時間インク滴の吐出を行なっていないノズル58のみでも良い。
【0230】
例えば、複数枚数の用紙連続印字時のダミージェット時におけるノズル面40Aとキャップ部材80の上面との距離を3mmに設定し、30頁(A4)毎に先行する用紙通過後で後続の用紙先端到達前のタイミングで全ノズルから500ドロップ吐出する。
【0231】
この際、キャップ部材80の凹部82Aの底面にインク吸収部材86が配設されているため、吐出されたインクが凹部82Aからあふれたり飛び散ったりすることはない。
【0232】
例えば、単位記録ヘッド40の全ノズルからインク滴の吐出(ダミージェット)を行なうことによって、インク(特に水性インク、溶剤インク)の乾燥による吐出性能の変化を初期化することができる。また、インクがほとんど乾燥しない油性インク、ソリッドインクであっても、印字によってヘッド内部のインク流路等に付着した気泡の排除、あるいはノズル面に付着したゴミの除去を行なうことができ、ノズルのインク滴の吐出性能を初期化することができる。
【0233】
本実施例のように、連続して印字する(搬送されてくる)複数の用紙印字中に、記録ヘッド44やキャップ部材80を移動させることなくダミージェットを行なうことができるため、印字速度(生産性)の向上が達成される。また、ダミージェットによって記録ヘッド44の印字性能が一定に維持され、高画質な印字が可能になる。
【0234】
次にワイピング動作について説明する。
【0235】
ワイピング動作は、印字開始前等に行なう。メンテナンス部18のワイピング部材88によって記録ヘッド40(ノズル面40A)のワイピングが行なわれる。具体的な動作を図23に示す模式図に基づいて説明する。
【0236】
先ず、図22に示す昇降機構302の駆動モータ304が駆動され、偏心カム306の回転によって共通基板300が下降する。また、移動機構312の駆動モータ318が駆動され、スライダ314およびスライダ314に支持された共通基板310が上昇する。すなわち、共通基板300に取りつけられた6個のキャップ部材80がホームポジションから下降(記録ヘッド40から離間する方向に移動)すると共に、共通基板310に取りつけられた6個のワイピング部材88がホームポジションから上昇する(記録ヘッド40のノズル面40A側に移動する)(図23(A)→(B)参照)。
【0237】
本実施例では、キャップ部材80が単位記録ヘッド40のノズル面40Aから6mmの位置まで下降すると共に、ワイピング部材88のワイパー92の先端(上端)がノズル面40Aよりも1.5mm高い位置(以下、当接量1.5mmという)まで上昇する。
【0238】
この結果、ワイピング部材88の保持部材90がキャップ部材80を跨いで幅方向に移動可能になる。また、ワイピング部材88のワイパー92が記録ヘッド40のノズル面40Aと上下方向(図23、矢印Z方向)においてオーバーラップする状態となる(図23(B)参照)。
【0239】
この状態で、図22に示す移動機構312の駆動モータ316を駆動することによって、駆動ギア326に噛合されたラック322を介してスライダ314上を共通基板310が幅方向に移動する。したがって、共通基板310に取り付けられたワイピング部材88が幅方向に移動し、先端がノズル面40Aよりも高い位置とされたワイピング部材88のワイパー92が単位記録ヘッド40のノズル面40Aを摺接しながら移動する。この結果、ノズル面40Aに付着した埃や乾燥したインク等を除去する(図23(C)参照)。この際、ワイピング部材88は、下降したキャップ部材80を跨ぐようにして移動することになる。
【0240】
本実施例では、ワイパー92が当接量1.5mmを維持したままノズル面40Aを摺接するため、ノズル面40Aに付着した汚れを確実に除去する。
【0241】
さらに、ワイピング部材88がノズル面40Aの下部から脱け出して、ワイピング部材88およびガイド部材94の幅方向への移動を完了する(図23(D)参照)。続いて、移動機構312の駆動モータ318の駆動によって共通基板310、すなわちワイピング部材88を下降させ、ホームポジションの高さまで移動させる(図23(E)参照)。
【0242】
続いて、図20に示す移動機構312の駆動モータ318の駆動によって共通基板310、すなわち、ワイピング部材88を一緒に幅方向反対側に移動させ、ホームポジションに復帰させる(図23(F)参照)。さらに、昇降機構302の駆動モータ304を駆動してキャップ部材80を上昇させて記録ヘッド40のノズル面40Aと近接したホームポジションに復帰させることによってワイピング動作を完了する(図23(G)参照)。
【0243】
続いて、キャッピング動作について説明する。
【0244】
キャッピング動作は、非印字状態が長時間継続する場合、あるいは電源OFF時等に行なうものである。具体的には、図22に示す昇降機構302の駆動モータ304を駆動することによって共通基板300を上昇させ、共通基板300に取りつけられたキャップ部材80のゴム部84を記録ヘッド40のノズル面40Aに圧接させる(図26(A)→(B)参照)。この結果、ノズル面40(ノズル58)の気密性が確保され、インクの増粘、乾燥が防止されると共に、ゴミの付着を防止する。
【0245】
さらに、本実施例の記録ヘッド44は、図16に示すように、短尺の単位記録ヘッド40を複数配列した記録ヘッドアレイ42A、42Bをそれぞれ共通基板46A、46Bに取り付けることによって構成しているため、大量に生産される安価なデバイス(記録ヘッド)と共通化が可能となり、低価格で全幅印字可能な記録ヘッド40を構成できる。
【0246】
また、記録ヘッドアレイ42A、42Bをそれぞれ共通基板46A、46Bに取り付けることにより各記録ヘッドアレイ42A、42Bの構成が簡略化し、製作も高精度調整もより簡易になる。さらに、メンテナンス部(キャップ部材80、ワイピング部材88)の構成も短尺の記録ヘッドで使用されているものと共通化できるというメリットがある。さらにまた、幅方向における単位記録ヘッド間の間隙(空間)を利用して、ノズル面40Aと用紙間の距離を一定にする手段(本実施例のスターホイール70等)を配置可能になる、あるいはキャップ部材80等の配置の設計自由度を増大するという利点がある。
【0247】
さらに、本実施例では、単位記録ヘッド40に対応してキャップ部材80を設けたが、複数の単位記録ヘッド40に対して1つのキャップ部材80を対応させても良い。
【0248】
[試験結果]
用紙の種類や周囲環境温湿度に拘らず、用紙を安定搬送できることを確認するために、本実施例の記録装置を用いて以下の確認試験を行なった。下記4種類の記録用紙(用紙▲1▼〜▲4▼)を用意し、それぞれの記録用紙に対して下記3種類の環境条件(環境▲1▼〜▲3▼)で合計12種類の印字テストを行った。
用紙▲1▼:”ST紙”(レーザープリンター用薄・軽量紙。坪量52.3g/m^2、厚さ79μm)
用紙▲2▼:”J紙”(カラーレーザープリンタ用標準紙。坪量82.0g/m^2、厚さ97μm)
用紙▲3▼:”Color Copy紙”(カラーレーザープリンター用厚・重量紙。坪量200.0g/m^2、厚さ220μm)
用紙▲4▼:”インクジェット用OHPフィルム”(ポリエステル基材の表面にインク保持層がコートされている。厚さ100μm)
いずれも富士ゼロックスオフィスサプライ株式会社の商品である。
環境▲1▼: 低温低湿環境として、10℃、15%RH
環境▲2▼: 常温常湿環境として、22℃、55%RH
環境▲3▼: 高温高湿環境として、28℃、85%RH
上記12種類の条件でそれぞれ連続1000枚の印字テストを実施した結果、紙詰まりや用紙スキューの発生は無く用紙を安定に搬送することができた。また、画質も初期の印字画質が最後まで維持された。すなわち、静電吸着方式では対応が困難な、紙の“こし”の違い、電気特性の違い、水性インク付着による物性の変化、外部変動要因としての環境条件の違いに拘らず、安定して搬送でき、高画質で印字できることが確認された。
【0249】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図28に示すように、第3実施形態に係るインクジェット記録装置には、記録用紙の搬送方向Uに直交する記録用紙幅方向に沿って設けられた複数本の搬送ロール100が、搬送方向Uに順次列べられている。搬送ロール100は、記録用紙に駆動力を伝達できるものであれば良い。搬送ロール100としては摩擦係数が大きくて且つ磨耗し難いものが好ましく、例えば、金属製の芯金にゴム材を被覆したゴムロールや、金属製の芯金にセラミック粉をコートしたロールなどが好ましい。
【0250】
隣り合う搬送ロール100間には、それぞれ、記録ヘッドをメンテナンスするメンテナンス装置81が、搬送ロール100と同じ方向で一列に並べられている。各メンテナンス装置81には、上述したキャップ部材、清掃部材等が設けられている。
【0251】
搬送ロール100の上方には、何れも、複数本(例えば図28に示すように3本)のシャフト(軸体)74が設けられている。各シャフト74には複数個(例えば図28に示すように3本)のスターホイール(拍車)70が取付けられている。スターホイール70としては汎用のものを用いる。
【0252】
また、搬送方向Uから見たスターホイール70の取付位置は、搬送方向に沿った一直線上の位置から少なくとも1つずれている。例えば、搬送方向Uから見た左端のラインL1では、スターホイール70の配置位置が非一直線上となるように、少なくとも1個のスターホイール70βの配置位置が、他のスターホイール70αの配置位置に比べてずれている。その隣のラインL2でも同様であり、ラインL3、L4等、搬送方向Uから見た全てのラインについて、少なくとも1個のスターホイールの配置位置が、他のスターホイールの配置位置に比べてずれている。
【0253】
これにより、記録用紙を搬送する際、スターホイール70によって記録用紙に形成されるスターホイール跡を目立たなくさせることができる。
【0254】
[実施例2(第3実施形態の実施例)]
図29に示すように、本実施例では、搬送方向Uから見たスターホイール70の取付位置を効率良くずらしている。例えば、シャフト74Xに取付けられたスターホイール70Aの搬送方向ラインAと、シャフト74Xと搬送方向に隣り合うシャフト74Yに取付けられたスターホイール70Bの搬送方向ラインBと、が重ならないようにスターホイール70A、70Bが配置されている。また、この搬送方向ラインBと、シャフト74Yと搬送方向に隣り合うシャフト74Zに取付けられたスターホイール70Cの搬送方向ラインCと、が重ならないようにスターホイール70Cが配置されている。
【0255】
このように、本実施形態では、搬送方向Uに隣り合うスターホイール70の取付位置が、搬送方向Uから見て互いに異なっている。これにより、スターホイールがずれていることが一目瞭然で判ると共に、スターホイール70によって記録用紙に形成される縦スジ(搬送方向Uに沿ったスジ)を大幅に目立たなくすることができる。
【0256】
なお、各シャフトについて、取付けられているスターホイール同士の間隔が同じであってもよい(例えば、シャフト74Xに取付けられたスターホイールの隣り合う間隔と、シャフト74Yに取付けられたスターホイールの隣り合う間隔とが同じであってもよい)。これにより、シャフト74にスターホイール70を予め取付けたものを大量生産しておき、これを搬送ロール上に配置する際に、搬送方向Uに隣り合うスターホイールの位置がずれるように配置すればよいので、記録装置の製造にかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0257】
[第4実施形態]
図30に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置では、搬送方向Uに直交する方向(搬送される記録用紙の幅方向)では、スターホイール70の形状が少なくとも1つは他と異なっている。
【0258】
例えば、図30に示すように、3本シャフト74X、74V、74Wに取付けられているスターホイールのうち、シャフト74Wに取付けられたスターホイール70γは、他のスターホイール(70α)に比べて形状が異なっている。同様に、シャフト74X、74V、74Wと搬送方向Uにそれぞれ隣り合うシャフト74L、74M、74Nに取付けられているスターホイールのうち、シャフト74Nの取付けられたスターホイール70δは、他のスターホイール(70α)に比べて形状が異なっている。なお、スターホイール74γとスターホイール74δとは同形状であってもよい。
【0259】
これにより、記録用紙の搬送中にスターホイールが同期回転することを回避でき、記録用紙に部分的に生じる搬送速度ムラや、記録用紙の搬送姿勢に生じるうねりを低減することについて、効果が認められる。
【0260】
[実施例3(第4実施形態の実施例)]
本実施例では、搬送される記録用紙の幅方向に配列されているスターホイールの形状を互いに異ならせることとして、同一のシャフトに取付けられているスターホイールの歯数を互いに非整数倍にしている。以下、図31を参照しつつ説明する。
【0261】
本実施例では、シャフト74Xに順次取付けられたスターホイール70D、70E、70Fの歯数は、それぞれ、20、23、25である。シャフト74V、74Wに取付けられたスターホイールの歯数についても同様である。
【0262】
また、シャフト74Xに搬送方向に隣り合うシャフト74Yに取付られたスターホイール70G、70H、70Iの歯数は、それぞれ、27、31、21である。また、シャフト74Yに搬送方向に隣り合うシャフト74Zに取付けられたスターホイール70J、70K、70Lの歯数は、それぞれ、29、20、22である。
【0263】
本実施例により、簡易な構成によって、搬送方向Uに直交する記録用紙幅方向に隣り合うスターホイールの形状を互いに異ならせることで、第4実施形態で説明した効果を奏することができる。また、互いに形状が異なるスターホイールが同一のシャフトに取付けられているので、得られる効果は大きい。
【0264】
なお、本実施例では、記録用紙幅方向に配列されたスターホイールとして、歯数が互いに非整数倍である3種類のスターホイールを配列した例を挙げたが、歯数が互いに非整数倍である2種類のスターホイールであっても充分に効果が認められる。また、歯数が互いに非整数倍である4種類以上のスターホイールを配列して、より大きな効果を奏するようにしてもよい。
【0265】
[実施例4(第4実施形態の実施例)]
本実施例では、搬送される記録用紙の幅方向に配列されているスターホイールの形状を互いに異ならせることとして、同一のシャフトに取付けられているスターホイールの歯先の形状を互いに異ならせている。以下、図32を参照しつつ説明する。
【0266】
本実施例では、シャフト74Xに順次取付けられたスターホイール70M、70N、70Pの歯先の形状については、スターホイール70Mが鈍角で曲率を持つ形状にされ、スターホイール70Nでは鋭角で鋭利だが先端にテーパ処理が施されており、スターホイール70Pが鋭角で最も鋭利にされている。シャフト74V、74Wに取付けられたスターホイールの歯先の形状についても同様である。
【0267】
また、シャフト74Yに取付られたスターホイール70Qとしてはスターホイール70Mと同じものを、スターホイール70Rとしてはスターホイール70Nと同じものを、スターホイール70Sとしてはスターホイール70Pと同じものを、それぞれ取付けている。
【0268】
本実施例により、簡易な構成によって、搬送方向Uに直交する記録用紙幅方向に隣り合うスターホイールの形状を互いに異ならせることで、第4実施形態で説明した効果を奏することができる。また、互いに形状が異なるスターホイールが同一のシャフトに取付けられているので、得られる効果は大きい。
【0269】
なお、本実施例では、記録用紙幅方向に配列されたスターホイールとして、歯先形状が互いに異なる3種類のスターホイールを配列した例を挙げたが、歯先形状が互いに異なる2種類のスターホイールであっても充分に効果が認められる。また、歯先形状が互いにことなる4種類以上のスターホイールを配列して、より大きな効果を奏するようにしてもよい。
【0270】
[第5実施形態]
本実施形態のインクジェット記録装置では、少なくとも記録用紙の幅方向端部に接する拍車70の回転中心軸が、記録用紙の幅方向中央部側へ傾けられている。
【0271】
本実施形態により、記録用紙に印字しつつ搬送する際、スターホイール70によって、記録用紙の幅方向両端部を幅方向外側へ向けて引っ張りながら搬送することができるので、記録用紙に弛みが発生せず、良好に搬送することができる。このことは、記録用紙にインク滴が付着しても記録用紙に皺が生じることを防止する上で大きな効果を奏する。
【0272】
[実施例5(第5実施形態の実施例)]
図33に示すように、本実施例では、搬送される記録用紙の幅方向に配列されているスターホイール70は、記録用紙の幅方向中央部から幅方向端部にかけて、回転中心軸Cが、記録用紙の幅方向中央部側へ、すなわち幅方向の中央ラインPCへ、徐々に傾けられている。搬送ロール100の軸方向に対する回転中心軸Cの傾斜角度θは、スターホイール70を充分に保持、回転させることができるように、最大でも45°以下とすることが好ましい。
【0273】
本実施例では、傾斜角度が互いに異なるスターホイールを保持するために、保持ブロック404にそれぞれスターホイール70を取付け、共通する保持プレート等にばね(図示せず)を介して各保持ブロック404を取付けている。
【0274】
本実施例により、記録用紙を搬送する際、スターホイール70によって、記録用紙の幅方向の中央ラインPCから幅方向両端側に向けて記録用紙を引っ張りながら搬送することができるので、記録用紙に弛みが発生せず、良好に搬送することができる。
【0275】
[実施例6(第5実施形態の実施例)]
図34に示すように、本実施例のインクジェット記録装置は、フルカラー印字仕様であり、平面から見て記録ヘッドアレイ42が8本並列に設けられている。そして、各記録ヘッドアレイ間に、及び、搬送方向Uの両端に位置する記録ヘッドアレイの搬送方向外側に、記録ヘッドアレイ42と平行に搬送ロール100が合計9本並列に設けられている。
【0276】
更に、各搬送ロール100の長手方向に沿ってスターホイール70が配列されている。そして、搬送される記録用紙の幅方向に配列されているスターホイール70は、搬送される記録用紙の幅方向の中央ラインPCから幅方向端部にかけて、回転中心軸Cが、記録用紙の幅方向の中央ラインPCへ、傾斜角度θ(図33参照)が1°ずつ増大するように傾けられている。
【0277】
隣り合うスターホイール同士の間隔は、記録ヘッドアレイ42の寸法、搬送良好性等を考慮し、15mm程度とすることが多い。また、記録用紙に対する押圧力は、記録用紙に形成されるスターホイール跡が目立たず、しかも良好に搬送することを考慮し、スターホイール1個あたり10gfに設定されていることが多い。
【0278】
本実施例により、簡易な構成で第5実施形態で説明した効果を奏することができる。
【0279】
[第6実施形態]
本実施形態のインクジェット記録装置では、少なくとも記録用紙の幅方向端部に接するスターホイール70の回転中心軸は、回転中心軸の記録用紙の幅方向中央部側が記録用紙の搬送方向側へ押し出す方向に傾けられている。
【0280】
本実施形態により、第5実施形態と同様、記録用紙に印字しつつ搬送する際、スターホイール70によって、記録用紙の幅方向両端部を幅方向外側に向けて引っ張りながら搬送することができるので、記録用紙に弛みが発生せず、良好に搬送することができる。このことは、第5実施形態と同様、記録用紙にインク滴が付着しても記録用紙に皺が生じることを防止する上で大きな効果を奏する。
【0281】
[実施例7(第6実施形態の実施例)]
図35に示すように、本実施例のインクジェット記録装置では、記録用紙の幅方向中央部から幅方向端部にかけて、スターホイール70の回転中心軸Cは、回転中心軸Cの記録用紙の幅方向中央部側(すなわち幅方向の中央ラインPC側)が記録用紙の搬送方向側へ押し出す方向に、徐々に傾けられている。搬送ロール100の軸方向に対するスターホイール70の回転中心軸の傾斜角度γは、スターホイール70を充分に保持、回転させることができるように、最大でも45°以下とすることが好ましい。
【0282】
本実施例により、実施例6と同様、記録用紙を搬送する際、スターホイール70によって、記録用紙の幅方向の中央ラインPCから幅方向両端側に向けて記録用紙を引っ張りながら搬送することができるので、記録用紙に弛みが発生せず、良好に搬送することができる。
【0283】
[実施例8(第6実施形態の実施例)]
図36に示すように、本実施例のインクジェット記録装置は、フルカラー印字仕様であり、平面から見て記録ヘッドアレイ42が8本並列に設けられている。そして、各記録ヘッドアレイ間に、及び、搬送方向Uの両端に位置する記録ヘッドアレイの搬送方向外側に、記録ヘッドアレイ42と平行に搬送ロール100が合計9本並列に設けられている。
【0284】
更に、各搬送ロール100の長手方向に沿ってスターホイール70が配列されている。そして、記録用紙の幅方向中央部から幅方向端部にかけて、スターホイール70の回転中心軸Cは、回転中心軸Cの記録用紙の幅方向の中央ラインPC側が記録用紙の搬送方向側へ押し出す方向に、傾斜角度γが1°ずつ増大するように傾けられている。
【0285】
本実施例では、傾斜角度が互いに異なるスターホイールを保持するために、実施例4と同様、傾斜面を有する保持ブロックにそれぞれスターホイールを取付け、共通する保持プレートにばね(図示せず)を介して各保持ブロックを取付けている。
【0286】
本実施例により、簡易な構成で第6実施形態で説明した効果を奏することができる。
【0287】
[第7実施形態]
図37に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置では、上述した搬送手段202が、記録用紙の幅方向の中央ラインPCと、印字領域の幅方向の中央ラインACとを一致させて、いわゆるセンターレジで搬送する構成になっている。
【0288】
従って、大きいサイズの記録用紙PBであっても、小さいサイズの記録用紙PSであっても、用紙サイズにかかわらず、記録用紙が中央揃え(センターレジ)で搬送されるので、スターホイール70から記録用紙へ及ぼされる記録用紙幅方向への押圧力(付勢力)のバランスが崩れることがない。従って、記録用紙が斜行して画像が斜めになったり、紙皺や更には紙詰まりが発生したりすることを防止できる。
【0289】
なお、記録用紙幅方向の押圧力が、中央ラインPCを基準として図35の紙面上で左右対称とすることが好ましい。これにより、搬送ロール100の両端部がベアリング等で保持される両持ち梁構造であって搬送ロール100に僅かながら撓みが生じる構造であっても(搬送ロール100の径が細いほどこの撓みは大きい)、この撓みは中央ラインPCを基準として左右対称であるので、搬送する記録用紙の斜行や紙皺が発生するおそれがない。
【0290】
[第8実施形態]
本実施形態のインクジェット記録装置では、最上流の前記記録ヘッドよりも上流側に補助搬送手段を設けている。この補助搬送手段は、上述した搬送手段202が記録用紙に与える搬送力と同等の搬送力を記録用紙に与えて搬送するように構成されている。
【0291】
印字開始時には、記録用紙の大部分はこの補助搬送手段で搬送されつつ記録装置の印字領域へ搬送されているので、上記の補助搬送手段により、印字開始時での記録用紙の搬送速度を、搬送手段202によって搬送される速度と同じ速度にすることができ、高画質の印字を行うことができる。
【0292】
なお、補助搬送手段の構成は、搬送手段202が記録用紙に与える搬送力と同等の搬送力を与えて搬送する構成である限り、特に限定されない。
【0293】
[第9実施形態]
本実施形態のインクジェット記録装置では、最下流の前記記録ヘッドよりも下流側に補助搬送手段を設けている。この補助搬送手段は、搬送手段202が記録用紙に与える搬送力と同等の搬送力を記録用紙に与えて搬送するように構成されている。
【0294】
印字終了時には、記録用紙の大部分はこの補助搬送手段で搬送されつつ記録装置の印字領域から搬出されているので、上記の補助搬送手段により、印字終了時での記録用紙の搬送速度を、搬送手段202によって搬送される速度と同じ速度にすることができ、高画質の印字を行うことができる。
【0295】
[実施例9(第8実施形態及び第9実施形態の実施例)]
図38に示すように、本実施例では、第1実施形態や第2実施形態に係るインクジェット記録装置に比べ、最上流の記録ヘッドよりも上流側に設けられた上流側補助搬送部408と、最下流の記録ヘッドよりも下流側に設けられた下流側補助搬送部412と、が更に設けられている。
【0296】
上流側補助搬送部408は、搬送方向Uと直交する向きに順次設けられた3本の搬送ロール100を有する。
【0297】
上流側補助搬送手段408及び搬送手段202を構成する搬送ロール100の隣り合う間隔は、何れも同一である。また、上流側搬送手段408及び搬送手段202を構成する各搬送ロール100の上側には、各シャフト72にそれぞれ取付けられた複数個のスターホイール70が搬送ロール100に沿って同じ配置で設けられており、スターホイール70によって記録用紙を搬送ロール100へ押圧する押圧力は、各搬送ロールで同じにされている。また、この複数個のスターホイール70の配置位置は、記録用紙の幅方向の中央ラインPCを基準として左右対称となる位置にしている。更に、上流側補助搬送部40の搬送距離は、印字処理可能な最長の記録用紙よりも長くされている。このような構成により、上流側補助搬送手段408が記録用紙Pに与える搬送力は、搬送手段202が記録用紙Pに与える搬送力と同一にされている。
【0298】
下流側補助搬送部412の構成も、上流側補助搬送部408と同じ構成であり、下流側補助搬送手段412が記録用紙Pに与える搬送力は、搬送手段202が記録用紙Pに与える搬送力と同一にされている。
【0299】
このように、本実施形態では、上流側補助搬送部408及び下流側補助搬送部412を設けている。従って、記録用紙Pが印字開始位置に到達したとき、この記録用紙は搬送方向全長にわたって上流側補助搬送部408により挟持されている。記録用紙Pが印字終了位置に到達したときも、同様に、この記録用紙は搬送方向全長にわたって下流側補助搬送部412により挟持されている。
【0300】
これにより、印字開始から印字終了まで、記録用紙Pに与える搬送力を一定に保つことができるので、印字開始から印字終了までの記録用紙の移動速度を一定に保つことができ、記録用紙全面にわたって高画質の画像を形成することができる。
【0301】
また、上流側補助搬送部408及び下流側補助搬送部412を製造する際、搬送ロール及び押圧手段を搬送手段202と同様に設ければよいので、上流側補助搬送部408及び下流側補助搬送部412の構成を簡素にできると共に、上流側補助搬送部408及び下流側補助搬送部412の製造にかかる時間を大幅に短縮することができる。
【0302】
【発明の効果】
本発明に係る記録装置では、生産性が高く、高画質な印字を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る記録装置の概略構成図である。
【図2】 本発明の第1実施形態に係る記録装置の印字領域の説明図である。
【図3】 本発明の第1実施形態に係る単位記録ヘッドのバリエーションの説明図である。
【図4】 本発明の第1実施形態に係る記録ヘッドのバリエーションの説明図である。
【図5】 本発明の第1実施形態に係る記録ヘッドのバリエーションの説明図である。
【図6】 本発明の第1実施形態に係る単位記録ヘッドのバリエーションの説明図である。
【図7】 本発明の第1実施形態に係る記録ヘッドのバリエーションの説明図である。
【図8】 本発明の第1実施形態に係る単位記録ヘッドのバリエーションの説明図である。
【図9】 本発明の第1実施形態に係る搬送手段の説明図である。
【図10】 本発明の第1実施形態に係る搬送ロールの破損回避部の斜視説明図である。
【図11】 本発明の第2実施形態に係る記録装置の説明図である。
【図12】 本発明の第2実施形態に係る駆動搬送機構の部分説明図である。
【図13】 本発明の実施例1に係る記録装置を示す概略構成図である。
【図14】 本発明の実施例1に係る記録ヘッド部の概略平面図である。
【図15】 本発明の実施例1に係る単位記録ヘッドの平面図である。
【図16】 本発明の実施例1に係る記録ヘッドアレイの構成説明図である。
【図17】 本発明の実施例1に係る記録部の縦断面図である。
【図18】 本発明の実施例1に係る記録部の要部側面図である。
【図19】 (A)はスターホイールの断面図であり、(B)は側面図、(C)は他の例に係る側面図である。
【図20】 本発明の実施例1に係るメンテナンス部の概略平面図である。
【図21】 本発明の実施例1に係るメンテナンス部の要部を説明するための斜視図である。
【図22】 本発明の実施例1に係るメンテナンス部の昇降機構および移動機構の説明図である。
【図23】 (A)〜(G)は、本発明の実施例1に係る記録装置におけるワイピング動作説明図である。
【図24】 本発明の実施例1に係る記録装置の駆動機構説明図である。
【図25】 本発明の実施例1に係る用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図26】 (A)、(B)は、本発明の実施例1に係る記録装置におけるキャッピング動作説明図である。
【図27】 本発明の第2実施形態に係る駆動搬送機構の他の例についての説明図である。
【図28】 本発明の第3実施形態に係る記録装置の用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図29】 本発明の実施例2に係る記録装置の用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図30】 本発明の第4実施形態に係る記録装置の用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図31】 本発明の実施例3に係る記録装置の用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図32】 本発明の実施例4に係る記録装置の用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図33】 本発明の実施例5に係る記録装置の用紙搬送機構を説明する、搬送方向から見た要部正面図である。
【図34】 本発明の実施例6に係る記録装置の用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図35】 本発明の実施例7に係る記録装置の用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図36】 本発明の実施例8に係る記録装置の用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図37】 本発明の第7実施形態に係る記録装置の用紙搬送機構を説明する要部平面図である。
【図38】 (A)、(B)は、それぞれ、本発明の実施例9に係る記録装置の用紙搬送機構の構成を説明する側面図及び平面図である。
【符号の説明】
10 インクジェット記録装置(記録装置)
40 単位記録ヘッド
42 記録ヘッドアレイ
44 記録ヘッド
70 スターホイール(拍車)
72 スターホイール群(拍車群)
94 ガイド部材
100 搬送ロール(搬送手段)
104 平ベルト(共通駆動部材)
106 モータ(駆動源)
408 上流側補助搬送部(補助搬送手段)
412 下流側補助搬送部(補助搬送手段)
Claims (10)
- 記録ヘッドから液滴を記録媒体に対して吐出することによって記録媒体に画像を記録する記録装置であって、
記録媒体に対して液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの液滴吐出面に対向する位置に配設され、前記液滴を収容可能な液体受けと、
前記記録ヘッドと前記液体受けの間に前記記録媒体を非静電吸着方式で搬送する搬送手段と、
を備え、
前記搬送手段は、前記記録媒体の記録面の裏面に当接して駆動力を付与する搬送ロールと、前記記録媒体を前記搬送ロールに押圧する押圧手段と、を備え、
前記押圧手段は、前記記録媒体に接触して当該記録媒体を前記搬送ロール側に付勢する付勢部材であり、
前記付勢部材は、弾性的に付勢された拍車であり、
1つの前記搬送ロール側に付勢された複数の前記拍車は、前記記録媒体の搬送方向と直交する幅方向に配置された複数の軸体にそれぞれ軸支され、
前記拍車の歯数を互いに非整数倍である2種以上としたことを特徴とする記録装置。 - 前記拍車の歯先形状を2種以上としたことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
- 前記搬送ロールは、前記拍車に対応する部位に拍車破損回避部を設けたことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
- 前記拍車破損回避部は、前記搬送ロールの拍車対応位置に設けられた凹部であることを特徴とする請求項3記載の記録装置。
- 前記拍車破損回避部は、少なくとも前記搬送ロールの拍車接触位置に設けられた弾性体であることを特徴とする請求項3記載の記録装置。
- 前記記録ヘッドを構成する単位記録ヘッドの記録媒体幅方向の間に、前記記録媒体が浮き上がることを防止する浮き上がり防止手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
- 前記浮き上がり防止手段として、単位記録ヘッドに設けられた前記拍車と、前記拍車と対向する位置に設けられて前記記録媒体を裏面側からガイドするガイド部材と、を備えることを特徴とする請求項6記載の記録装置。
- 少なくとも前記記録媒体の幅方向端部に接する前記拍車の回転中心軸は、前記記録媒体の幅方向中央部側へ傾けられていることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
- 少なくとも記録媒体の幅方向端部に接する拍車の回転中心軸は、前記回転中心軸の前記記録媒体の幅方向中央部側が前記記録媒体の搬送方向側へ押し出す方向に傾けられていることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
- 前記搬送手段が、前記記録媒体の幅方向中央ラインを印字領域の幅方向中央ラインに一致させて前記記録媒体を搬送することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
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