従来例1〜3のように、ベルトにダミージェット用の孔部を設け、ベルトの内側に排液受けを設ける構成のみでは、ノズル面への汚れの付着や非画像形成時のインク乾燥によって記録ヘッドの液滴吐出性能を十分に維持することができない。一方、記録ヘッドを画像形成位置から移動させてキャッピングやワイピングを行なう場合には、記録ヘッドの移動時間および移動に伴なう位置ずれ補正等に時間を要し、画像形成に復帰するまでの時間が長くかかり高速プリントが達成されないという不都合があった。
一方、従来例4〜6のように、記録ヘッドに対して進退自在なキャップやワイパーをベルトやドラム内部に配設し、記録ヘッド全体に対応する開口部をベルトに設けた場合には、記録ヘッドを移動させることがないためキャッピングやワイピング後の画像形成復帰時間は減少して結果として高速プリントが達成されるが、ベルトに大きな開口部が形成されるため、ベルトの開口部分がロールにかかるとベルトに大きな負荷変動を生じる。したがって、このタイミングで画像形成を行なえば画質が低下し、画像形成を中断すれば高速プリントが達成されないという不都合があった。
そこで、本発明は、上記不都合を解決するために、高速かつ高画質な画像形成ができる記録装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の記録装置は、搬送される記録媒体に対して記録ヘッドから液滴を吐出することによって画像形成を行なう画像形成装置において、前記記録媒体の搬送方向と交差する幅方向に沿って配置された複数の単位記録ヘッドで構成され、又は、複数の前記単位記録ヘッドの組み合わせである単位記録ヘッドセットが複数で構成され、前記記録媒体の全幅にわたって液滴を吐出可能な非走査型の記録ヘッドと、搬送ベルトで前記記録ヘッドの下に前記記録媒体を搬送する搬送ベルトユニットと、前記搬送ベルトを挟んで前記各単位記録ヘッドに対向配置され、非画像形成時に前記単位記録ヘッドから吐出された液滴を収容する液体回収手段と、非画像形成時に前記単位記録ヘッドの液滴吐出面の汚れを除去する清掃手段および非画像形成時に前記単位記録ヘッドの液滴吐出面を気密に保持するキャップ手段の少なくとも一方を備えるメンテナンス装置と、を備え、前記搬送ベルトには、前記各単位記録ヘッドに対応した複数の孔部、又は前記各単位記録ヘッドセットに対応した複数の孔部が、形成され、前記清掃手段または前記キャップ手段は前記孔部を介して前記単位記録ヘッドの液滴吐出面に対して進退自在であることを特徴とする。
請求項1記載の記録装置の作用について説明する。
画像形成を行なう場合には、搬送ベルトで記録媒体を記録ヘッドの下に連続搬送することによって、記録ヘッドを構成する各単位記録ヘッドから液滴が吐出され、画像形成される。この際、非走査型の記録ヘッドから記録媒体の全幅にわたって液滴が吐出されるため高速プリントが達成される。
一方、非画像形成中にダミージェットを行なう場合には、搬送ベルトの孔部が各単位記録ヘッドと対向する位置にきた状態で各単位記録ヘッドから液滴を吐出することによって、当該液滴が搬送ベルトの孔部を介して液体回収手段に回収される。ここで、非画像形成中とは、画像形成前のように搬送ベルトの駆動が停止された状態と連続画像形成(搬送ベルト駆動)中に記録媒体が画像形成位置にない場合との双方を含む。
なお、連続画像形成中であれば、ベルトの孔部が単位記録ヘッドの下に到達するタイミングで液滴を吐出することによってダミージェットが可能なため、ダミージェットによる画像形成中断時間を最小限に抑制でき、高速プリントを達成できる。
さらに、キャップ手段を備える場合には、非画像形成時に搬送ベルトの孔部が単位記録ヘッドと対向する位置で搬送ベルトを停止させ、キャップ手段を単位記録ヘッドの液滴吐出面に圧接させ、液滴吐出面を気密に保持してノズルの液体の乾燥を防止すると共に汚れの付着を防止できる。
また、清掃手段を備える場合には、非画像形成時に搬送ベルトの孔部が単位記録ヘッドと対向する位置で搬送ベルトを停止させて清掃手段を孔部を介して単位記録ヘッドの液滴吐出面に当接させ、液滴吐出面の汚れを除去できる。
このように、キャッピングやクリーニングの場合であっても、単位記録ヘッドを移動することなくキャップ手段や清掃手段の液滴吐出面に対する進退のみで実施できるため、画像形成復帰時間が最小限に抑制され、高速プリントが達成される。
一方、このキャップ手段や清掃手段が単位記録ヘッドの液滴吐出面に対して進退自在とするために搬送ベルトに設けられた孔部は、単位記録ヘッド毎あるいは複数の単位記録ヘッドの組み合わせである単位記録ヘッドセット毎に設けられているため、個々の孔部の大きさが記録ヘッド全体に対する一体的な孔部(開口部)を形成したものと比較して抑制されている。したがって、搬送ベルトの孔部を設けられた部分が搬送ベルトが張架されたロールにかかっても搬送ベルトの負荷変動を最小限に抑制でき、このタイミングにおける画像形成が可能とされる。すなわち、メンテナンス動作による画像形成中断時間等を最小限に抑制しつつ、搬送ベルト上における画像形成不能領域を最小限に抑制し、高速プリントを達成できる。
なお、本発明の記録装置において画像記録の対象となる「記録媒体」には、記録装置がインク滴を吐出する対象物であれば広く含まれる。また、インク滴が記録媒体上に付着されることで得られる記録媒体上のドットのパターンが、本発明の記録装置で得られる「画像」あるいは「記録画像」に広く含まれる。したがって、本発明の記録装置は、記録用紙上への文字や画像の記録に用いられるものに限定されない。また、記録媒体には、記録用紙やOHPシートなどが含まれるのはもちろんであるが、これら以外にも、たとえば、配線パターン等が形成される基板などが含まれる。また、「画像」には、一般的な画像(文字、絵、写真など)のみならず、上記したような配線パターンや3次元物体、有機薄膜などが含まれる。吐出する液体も着色インクに限定されるわけではない。例えば、高分子フィルムやガラス上に着色インクを吐出して行うディスプレイ用のカラーフィルターの作製、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う部品実装用のバンプの形成、有機EL溶液を基板上に吐出させて行うELディスプレイパネルの形成、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う電気実装用のバンプの形成など、様々な工業的用途を対象とした液滴噴射装置一般に対して、本発明の記録装置を適用することが可能である。
請求項2記載の記録装置は、請求項1記載の記録装置において、前記搬送ベルトが張架されたロールに当該搬送ベルトの孔部形成部分がかかっている場合には、画像形成を行なわないことを選択可能としたことを特徴とする。
請求項2記載の記録装置の作用について説明する。
本願発明の搬送ベルトは単位記録ヘッド毎あるいは単位記録ヘッドセット毎に対応させて孔部を設けているため、搬送ベルトの孔部部分がロールにかかった場合には搬送ベルトの負荷変動が抑制されるものの、ゼロになるわけではない。そこで、ドキュメント等の高速プリントを優先させる場合には上記タイミングでも画像形成を行ない、写真などのプリントで画質を優先させる場合には上記タイミングで画像形成を行なわないように選択することによって、画質に応じた画像形成を行なうことができる。
請求項3記載の記録装置は、請求項1または2記載の記録装置において、前記搬送ベルトユニットは、静電的あるいは非静電的な力で前記搬送ベルトに前記記録媒体を保持させる保持手段を備えることを特徴とする。
請求項3記載の記録装置の作用について説明する。
保持手段が静電的あるいは非静電気な力、例えば静電吸着、あるいは負圧吸着で記録媒体を搬送ベルトに保持させているため、記録媒体の姿勢が一定に保持され、画像形成位置において記録媒体のノズル面との距離が一定とされる。この結果、高画質に画像形成される。
請求項4記載の記録は、請求項1〜3のいずれか1項記載の記録装置において、前記孔部は、角部がない形状であることを特徴とする。
請求項4記載の記録装置の作用について説明する。
搬送ベルトには、画像形成位置における記録媒体の平面性を確保するために常時張力が作用している。したがって、ベルトの孔部の角部には応力が集中するが、孔部を角部のない形状、例えば、長円形や矩形の角部をR形状とすることにより応力集中が抑制され、ベルトの挙動を安定させることができる。この結果、高画質に画像を形成することができる。
請求項5記載の記録装置は、請求項1〜4のいずれか1項記載の記録装置において、前記搬送ベルト上に設けられた被検出部と、前記被検出部が所定位置を通過するタイミングに基づいて前記孔部位置を検出する検出手段とを備えることを特徴とする。
請求項5記載の記録装置の作用について説明する。
搬送ベルトは、駆動ロール等に対してすべり等を生ずるため、通常、駆動ロールの回転量だけでは孔部位置を正確に検出できない。一方、ベルトの挙動を安定させるために孔部面積は最小限に抑制されるため、孔部位置を精度良く検出しないと、ダミージェットで吐出した液滴がベルト上に付着したり、ワイパーやキャップが孔部を通過できなくなるおそれがある。しかしながら、本願発明では、ベルト上に設けた被検出部が所定位置を通過するタイミングに基づいて検出手段が孔部位置を検出しているため精度良く孔部位置を検出でき、ダミージェット等を良好に行なうことができる。
請求項6記載の記録装置は、請求項1〜5のいずれか1項記載の記録装置において、前記単位記録ヘッドセットは、前記幅方向の同一位置に液滴を吐出可能な複数の単位記録ヘッドを前記搬送方向に連続して配設したものであることを特徴とする。
請求項6記載の記録装置の作用について説明する。
単位記録ヘッドセットは、幅方向の同一位置にインク滴を吐出する単位記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に連続して配置しているため、同一位置に液滴を吐出する単位記録ヘッド同士の搬送方向距離が短くなり、各単位記録ヘッドから吐出された複数の液滴の着弾位置のずれが抑制されて高画質に画像形成される。
請求項7記載の記録装置は、請求項6記載の記録装置において、前記単位記録ヘッドセットを構成する各単位記録ヘッドは異なる色の液体が吐出されることを特徴とする。
請求項7記載の記録装置の作用について説明する
単位記録ヘッドセットを構成する各単位記録ヘッドが異なる色の液体を吐出する場合には、当該単位記録ヘッドが搬送方向に連続して配設されているため、記録媒体の同一位置に向かって各単位記録ヘッドから吐出された液滴の着弾位置のずれ、すなわち色ずれが抑制されて高画質に画像形成できる。
請求項8記載の記録装置は、請求項7記載の記録装置について、前記キャップ手段は、前記単位記録ヘッドの内部の液体を外部に排出する液体排出手段の一部を構成することを特徴とする。
請求項8記載の記録装置の作用について説明する。
単位記録ヘッドの内部、例えば共通液室に気泡が滞留して液滴吐出不良が発生した場合には、液体排出手段によって単位記録ヘッド内部の液体を排出して気泡等を除去する必要が生ずることがある。このような場合に、液体排出手段の一部をキャップ手段が構成していれば、搬送ベルトの孔部を通過してキャップ手段が液滴吐出面に圧接した状態で、例えば液滴吐出面に負圧を作用させる等によって単位記録ヘッド内部の液体をキャップ手段を介して排出させ、当該液体と共に単位記録ヘッド内部の気泡を除去することができる。このようなメンテナンス動作においても単位記録ヘッドを移動させる必要がないため、画像形成動作への復帰が短時間で済み、トータルの画像形成に要する生産性を向上させることができる。
請求項9記載の記録装置は、請求項6〜8のいずれか1項記載の記録装置において、前記キャップ手段は、前記単位記録ヘッドセットを構成する複数の単位記録ヘッドの液滴吐出面を一体的に気密にすることを特徴とする。
請求項9記載の記録装置の作用について説明する。
キャップ手段は、記録ヘッドセットを構成する全ての単位記録ヘッドの液滴吐出面を一体的に気密にするため、構成を簡略化することができる。また、各単位記録ヘッドの液滴吐出面毎に個別にキャップ手段で圧接する必要がないため、複数の単位記録ヘッドのノズルを近接して配置できる。したがって、同一位置に吐出される液滴の着弾位置ずれ、例えば色ずれを一層抑制することができる。
請求項10記載の記録装置は、請求項8記載の記録装置において、前記キャップ手段は、前記単位記録ヘッドセットを構成する各単位記録ヘッドの液滴吐出面を個別に気密にすることを特徴とする。
請求項10記載の記録装置の作用について説明する。
キャップ手段は、記録ヘッドセットを構成する各単位記録ヘッドの液滴吐出面を個別に気密にすることができる。特に、キャップ手段を液体排出手段の一部として構成した場合には、個別にキャッピングすることにより異なる色の液体を個別に回収することができ、回収した液体の再利用を図ることもできるという利点がある。
請求項11記載の記録装置は、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載構成において、複数の前記単位記録ヘッド又は複数の前記単位記録ヘッドセットは、千鳥状に配置されていることを特徴とする。
請求項11記載の記録装置の作用について説明する。
画像形成を行なう場合には、搬送ベルトで記録媒体を記録ヘッドの下に搬送することによって、記録ヘッドによって記録媒体に画像が形成される。
複数の前記単位記録ヘッド又は複数の前記単位記録ヘッドセットは、千鳥状に配置されている。よって、記録媒体の幅方向全域に亘って画像形成される。言い換えると、画像形成領域内で画像形成ができない領域が発生することが防止される。
本発明に係る記録装置では、記録ヘッドを構成する単位記録ヘッドあるいは単位記録ヘッドセット毎の孔部をベルトに設け、ベルトの内側にキャッピングやワイピング手段を配設したため、生産性が高く高画質な画像形成を行なうことができる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。
(インクジェット記録装置の全体構成)
先ず、インクジェット記録装置の全体構成について簡単に説明する。
インクジェット記録装置10は、図1に示すように、用紙を送り出す用紙供給部12と、用紙の姿勢を制御するレジ調整部14と、用紙に画像形成する記録部20と、記録部20で画像形成された用紙を排出する排出部22とから基本的に構成される。
用紙供給部12は、用紙が積層されてストックされているストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。
レジ部14は、ループ形成部28と用紙の姿勢を制御するガイド部材30が備えられており、この部分を用紙が通過することによって用紙のコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に用紙が進入する構成である。
記録部20は、用紙を一定速度で搬送する搬送ベルトユニット19と、搬送ベルトユニット19で搬送される用紙に対してインク滴を吐出して画像形成を行なう記録ヘッド部16と、搬送ベルトユニット19の内部に配設され、記録ヘッド部16のインク滴吐出性能を良好に維持するためのメンテナンス部18とから基本的に構成される。すなわち、搬送ベルトユニット19によって連続的に(停止することなく)搬送される用紙に対して記録ヘッド部16からインク滴が吐出され当該用紙に画像形成する構成である。なお、記録部20については後述するので、詳細な説明を省略する。
排紙部22は、記録部20で画像が形成された用紙を排紙ベルト31を介してトレイ32に収納するものである。
(搬送ベルトユニットの構成)
搬送ベルトユニット19は、図2に示すように、駆動ローラ100と、従動ローラ102と、駆動ローラ100と従動ローラ102の間に張架された一対の無端ベルト104とから基本的に構成される。
駆動ローラ100は、張架された無端ベルト104を回転駆動するものである。一方、従動ローラ102は、駆動ローラ100の駆動回転力が無端ベルト104を介して伝達されて従動するものであり、駆動ローラ100と共に無端ベルト104を支持するものである。なお、本実施形態では、従動ローラ102が1つであるが複数でも良い。
無端ベルト104は、継ぎ目のないシームレスベルトであり、安定して搬送できるようにあまり伸縮せず、耐久性を有するものである。なお、無端ベルト104は、従動ローラ102を介してスプリング120の弾性力(テンション)が作用する構成である(図3参照)。
無端ベルト104には、後述する各記録ヘッドセット50に対応した複数の孔部106が形成されている(図4参照)。孔部106は、略矩形形状であるが応力集中を回避するために角部106AがR形状とされている。なお、応力集中を回避するために孔部形状は角部がない形状であれば良く、長円等であっても良い。また、無端ベルト104は、保持する用紙の平面性を確保するために、孔部106が形成されている区間の用紙保持不可領域A1以外の用紙保持領域A2に用紙を保持して搬送するものである(図4参照)。したがって、孔部106のない用紙保持領域A2の搬送方向長さが用紙最大長さよりも大きいことが必要である。
また、搬送ベルトユニット19に張架された無端ベルト104の回転方向に沿って用紙保持手段、用紙剥離手段が設けられている。
用紙保持手段は、用紙供給部12のガイド部材17によって搬送ベルトユニット19に供給された用紙を無端ベルト104の用紙保持領域A2上に保持させるものであり、従動ロール102に対向配置される帯電ロール110と、押圧ロール113とから構成されている。したがって、用紙供給部12から搬送されてくる用紙に帯電ロール110で帯電させ、押圧ロール113で帯電された用紙を無端ベルト104上に確実に静電吸着させるものである。
なお、本実施形態では帯電ロールで説明したが、コロトロンやブラシなどで構成しても良い。
また、搬送ベルトユニット19で無端ベルト104上に静電吸着された用紙を無端ベルト104から剥離する用紙剥離手段としては、用紙幅に対応できる幅を持つ薄肉プレート、フィンガー、剥離爪などが考えられる。本実施形態では剥離爪114が駆動ローラ100に対向して配設されており、無端ベルト104上に静電吸着され記録ヘッド部16側の下を搬送されてきた用紙を無端ベルト104上から剥離して排出部28に送るものである。
すなわち、搬送ベルトユニット19は、帯電ロール110、押圧ロール113によって無端ベルト104上に用紙を保持し、剥離爪114で用紙を剥離するまで用紙を搬送するものである。
また、搬送ベルトユニット19は、孔部106が記録ヘッド部16((後述する)全単位記録ヘッド40)に対向する位置で停止するように制御する制御機構を有する。制御機構は特に限定しないが、例えば、図4に示すように、無端ベルト104の幅方向端部にマーカー70を付しておき、無端ベルト104に対向して配設されたセンサ72のマーカー検出信号に基づいて図示しない制御部が孔部位置を検出し、これに基づいて孔部106が単位記録ヘッドセット50に対向する位置で無端ベルト104を停止させる構成が考えられる。なお、制御部は、同様に、センサ72のマーカー検出信号に基づいて連続画像形成中の無端ベルト104の孔部106が単位記録ヘッドセット50の下を通過するタイミングを検出し、単位記録ヘッド40がダミージェット(インク滴を吐出)するタイミングを制御している。
(記録ヘッド部の構成)
次に、記録ヘッド部16について、図5および図6を参照して詳細に説明する。
記録ヘッド部16は、ベルト搬送機構19の無端ベルト104に対向して記録ヘッド44が対向配置されているものである。
図5に示すように、記録ヘッド部16は、用紙搬送方向(矢印X方向。以下、搬送方向という場合がある)に対して直交する用紙幅方向(矢印Y方向。以下、幅方向という場合がある)に対して一定の間隔で配置された単位記録ヘッドセット50が6個配置された記録ヘッドセットアレイ52A、52Bが用紙搬送方向において異なる2位置に配設されることによって基本的に構成されている。
各単位記録ヘッドセット50は、図6、図11に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のインク滴を吐出する単位記録ヘッド40Y、40M、40C、40K(以下、40Y〜40Kという)が用紙搬送方向に連続的に筐体48に配設され、一体的に形成されたものである。
各単位記録ヘッド40は、ノズル面40Aに所定の長さ(印字幅)にわたってインク滴を吐出可能に複数のノズルが配列されたものである。ノズル配置については特に限定はないが、印字幅方向に1列、あるいは複数列(例えば,千鳥)に配置することが考えられる。また、各単位記録ヘッドにおけるインク吐出方法についても特に限定はなく、公知のピエゾ方式、サーマル方式等、いずれの方式でも良い。
ところで、単位記録ヘッドセット50は、上記印字幅を幅方向と一致するように無端ベルト104に対向しては位置されることによって、各単位記録ヘッド40Y〜40Kの印字幅が一致するように構成されている。すなわち、単位記録ヘッドセット50は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色のインク滴を幅方向同一位置に着弾可能に構成したものである。
このように構成された単位記録ヘッドセット50を幅方向に一定間隔をおいて6個配設した記録ヘッドセットアレイ52A、52Bは、記録ヘッドセット50の配置を幅方向で相互にずらして、いわゆる千鳥状に配置することによって、画像形成領域内で画像形成ができない領域が発生することを防止している。すなわち、記録ヘッドセットアレイ52A、52Bの各単位記録ヘッド40のノズルからインク滴を吐出することによって、用紙に対する4色分の画像形成を行なうものである。本実施形態では、この一対の記録ヘッドセットアレイ52A、52Bの組み合わせを記録ヘッド44と呼ぶものとする。
なお、図5において、記録ヘッドセットを構成する単位記録ヘッド40Y〜40Kの構成は同様なので一部の記録ヘッドセットのみ単位記録ヘッド40Y〜40Kの参照符号を付し、他の記録ヘッドに対する参照符号を付すことは省略する。
(メンテナンス部の構成)
メンテナンス部18は、搬送ベルトユニット19の内部において記録ヘッド部16と対向配置されている(図1参照)。メンテナンス部18は、図7に示すように、キャップ部材80とワイピング部材88とから構成されるメンテナンス装置81が各孔部106(単位記録ヘッドセット50)に対応して複数配置されている。
キャップ部材80は、図8に示すように、矩形状の凹部82Aが形成されたプラスチック製の受け部82と、受け部82の上部に配設され開口部84Aが形成されたゴム部84と、凹部82Aの底面に配設されたポリプロピレンとポリエチレンとからなるインク吸収体86とから構成されている。したがって、後述するダミージェットの際、各単位記録ヘッド40のノズルからキャップ部材80の開口部84Aを介して凹部82Aの内部にインク滴が吐出され、インク吸収体86に吸収される構成である。
なお、ゴム部84は、後述するキャッピング時に単位記録ヘッドセット50を構成する全単位記録ヘッド40のノズル面40Aを含む筐体48の下面54一体的に覆うものであり、開口部84A内に全位単位記録ヘッド40を構成するノズルが位置するように構成されている。
また、キャップ部材80は、図9に示すように、記録ヘッドセットアレイ52A、52Bを構成する各単位記録ヘッド40にそれぞれ対応した6個のキャップ部材80が共通基板300に取りつけられてユニット化され、昇降機構302によって一体的に単位記録ヘッドセット50の筐体48の下面54に対して接近・離間可能に構成されている。
昇降機構302は、駆動モータ304と、駆動モータ304の駆動軸306に取りつけられ、共通基板300の下面に当接される偏心カム308とから構成されている。したがって、駆動モータ304が駆動されることにより偏心カム308が回転し、偏心カム308が当接された共通基板300が単位記録ヘッドセット50を構成する筐体48の下面54に対して接近・離間する構成である。
なお、キャップ部材80の下側には、ノズル面40Aに圧接する際に圧接力を調整するスプリング87が配設されている(図10参照)。したがって、後述するキャッピング動作時にはキャップ部材80が上昇してゴム部84が筐体48の下面54に対して圧接して単位記録ヘッドセット50を構成する全単位記録ヘッド40のノズル面40Aを密閉し、インクの乾燥を抑制すると共にゴミ、埃等の付着を防止する。また、後述するワイピング動作時にはキャップ部材80が下降してワイピング部材88を幅方向に移動可能とするものである。
一方、各キャップ部材80の幅方向において隣接する位置には、記録ヘッドセット50の全単位記録ヘッド40のノズル面40Aをクリーニングするためのワイピング部材88が配設されている。
ワイピング部材88は、図8に示すように、幅方向視においてアーチ型の形状をした保持部材90と、保持部材90の上部に配設され搬送方向に延在するワイパー92とから構成されているものである。
また、ワイピング部材88は、図9に示すように、記録ヘッドアレイ52A、52Bを構成する各記録ヘッドセット50にそれぞれ対応した6個のワイピング部材88が共通基板310に取りつけられてユニット化され、移動機構312によって一体的に各単位記録ヘッドセット50を構成する全単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対して接近・離間および幅方向に移動可能に構成されている。
移動機構312は、共通基板310を幅方向に移動可能に支持するスライダ314と、スライダ314上で共通基板310を幅方向に移動させる駆動モータ316と、スライダ314を昇降させる駆動モータ318とから基本的に構成される。スライダ314は、搬送方向両端に設けられ幅方向に延在するガイド320を備えており、ガイド320に案内された共通基板310が幅方向に移動可能とされている。また、共通基板310の一側面には、ラック322が形成された凸部324が形成されており、スライダ314に取りつけられた駆動モータ316の駆動ギア326と噛合されている。したがって、駆動モータ316の駆動によって共通基板310がスライダ314上を幅方向に移動可能とされている。
また、スライダ314の下側には、上下方向に延在するラック330が設けられた凸部332が形成されており、駆動モータ318の駆動ギア334が噛合されている。したがって、駆動モータ318の駆動によってスライダ314が昇降可能とされている。すなわち、スライダ314に支持された共通基板310、ワイピング部材88が一体的に昇降する構成とされている。
このように、ワイピング部材88は移動機構312によってノズル面40Aに対して接近離間(昇降)可能に構成されると共に、幅方向に移動可能とされている。ここで、ワイパー92は、単位記録ヘッドセット50の全単位記録ヘッド40Y〜40Kのノズル面40Aを摺接可能な幅を有しており、4色の単位記録ヘッド40Y〜40Kのノズル面40Aを一遍にクリーニングするものである。
なお、ワイピング部材88(ワイパー92)は、ホームポジションでは搬送されてくる用紙と干渉しないようにキャップ部材80よりも低い位置に位置している(図10(A)参照)が、ワイピング時には上昇してホームポジションから下降したキャップ部材80を跨いで搬送方向に移動してワイピングを行なう(図10(C)参照)構成とされている。
このように構成されるインクジェット記録装置10の作用について説明する。
用紙供給部12のガイド部材15、17、搬送ロール対21を介して搬送ベルトユニット19に用紙が供給される。ここで、搬送ベルトユニット19のベルト停止位置は、常に孔部106が記録ヘッド44およびメンテナンス装置81に対向する位置となるようにされているため、供給部12から搬送されてきた用紙は、無端ベルト104の用紙保持領域A2に当接することになる。
このタイミングで駆動ローラ100が駆動され、無端ベルト104に固着された無端ベルト104が矢印X方向に回転される。
したがって、無端ベルト104に接触した用紙は、無端ベルト104と共に矢印X方向に搬送される共に、帯電ロール110で帯電された後、押圧ロール113で無端ベルト104上に圧接されることにより、無端ベルト104の用紙保持領域A2に確実に静電吸着されることになる。このように無端ベルト104の用紙保持領域A2に保持された用紙Pは、記録ヘッド44Yの下に搬送される(図3参照)。ここで、記録ヘッドセットアレイ52Aを構成する各記録ヘッドセット50の単位記録ヘッド40からインク滴が吐出される。具体的には、先ず、単位記録ヘッド40Yから印字領域内にイエローのインク滴が吐出され、以下、単位記録ヘッド40M〜40Kから同一印字領域内にマゼンタ、シアン、黒の各色のインク滴が順次、吐出され、当該印字領域にフルカラーの画像が形成される。続いて、記録ヘッドセットアレイ52Bを構成する各単位記録ヘッドセット50の単位記録ヘッド40Y〜40Kから幅方向の残りの領域に各色のインク滴が順次吐出されて用紙の全幅にフルカラーの画像が形成されるものである。
この際、用紙は無端ベルト104上に静電吸着されているため、各単位記録ヘッド40のノズル面40Aに対する距離が一定に維持され、高画質に画像形成することができる。
また、幅方向において用紙の同一位置に対するインク滴を吐出する単位記録ヘッド40Y〜40Kを単位記録ヘッドセット50として搬送方向に連続して配置したため、同一位置に吐出されるインク滴の着弾位置のずれ量が抑制され、色ずれが抑制された高画質な画像形成を行なうことができる。
なお、カラー画像が形成された用紙は、剥離爪114で無端ベルト104上から剥離され、排出部22によって排出される。
次に、ダミージェットの動作について説明する。
ダミージェットは非画像形成時に行なう。ここで、非画像形成時とは画像形成時以外、すなわち記録ヘッドの下に用紙があるタイミング時以外のことをいう。したがって、画像形成前のベルト停止(孔部106が単位記録ヘッドセット50と対向)時、あるいは複数の用紙を連続画像形成(ベルト駆動)中に所定枚数の画像形成が終了する度に、記録ヘッドの下を孔部106が通過するタイミングで行なう。
具体的には、連続画像形成中であれば、無端ベルト104の幅方向端部に形成されたマーク70をセンサ72が検出し、このセンサ72の検出信号に基づいて孔部106の位置を制御部が検出して、単位記録ヘッドセット50の下を孔部106が通過タイミングで単位記録ヘッド40からインク滴を吐出させる(図11、図12参照)。
ここで、ダミージェットは、記録ヘッド44を構成する全単位記録ヘッド40のうち、任意のノズルからキャップ部材80に向かってインク滴の吐出することによって行なわれる。全単位記録ヘッド40の全ノズルでも良いし、選択された単位記録ヘッド40、あるいは記録ヘッドセット50の全ノズルでも良いし、さらには所定時間インク滴の吐出を行なっていないノズルのみでも良い。
例えば、複数枚数の用紙連続画像形成時に、30頁(A4)毎に孔部106が単位記録ヘッドセット50の下を通過するタイミングで全ノズルから1000ドロップ吐出する。
この際、キャップ部材80の凹部82Aの底面にインク吸収部材86が配設されているため、吐出されたインクが凹部82Aからあふれたり飛び散ったりすることはない。
このように、単位記録ヘッド40の全ノズルからインク滴の吐出(ダミージェット)を行なうことによって、インク(特に水性インク、溶剤インク)の乾燥による吐出性能を初期化することができる。また、インクがほとんど乾燥しない油性インク、ソリッドインクであっても、画像形成によってヘッド内部のインク流路等に付着した気泡の排除、あるいはノズル面に付着したゴミの除去を行なうことができ、インク滴の吐出性能を初期化することができる。
本実施形態のように、連続して画像形成する(搬送されてくる)複数の用紙画像形成中に、記録ヘッド44やキャップ部材80を移動させることなくダミージェットを行なうことができるため、画像形成速度(生産性)の向上が達成される。また、ダミージェットによって記録ヘッド44の画像形成性能が一定に維持され、高画質な画像形成が可能になる。
次にワイピング動作について説明する。
ワイピング動作は、画像形成開始前等に行なう。すなわち、無端ベルト104が停止して孔部106を介して単位記録ヘッドセット50とワイピング部材88が対向した状態で行なう(図11、12参照)。
メンテナンス部18のワイピング部材88によって単位記録ヘッドセット50を構成する全単位記録ヘッド40Y〜40K(ノズル面40A)のワイピングが行なわれる。具体的な動作を図10に示す模式図に基づいて説明する。
先ず、図9に示す昇降機構302の駆動モータ304が駆動され、偏心カム308の回転によって共通基板300が下降する。また、移動機構312の駆動モータ318が駆動され、スライダ314およびスライダ314に支持された共通基板310が上昇する。すなわち、共通基板300に取りつけられた6個のキャップ部材80がホームポジションから下降(単位記録ヘッド40から離間する方向に移動)すると共に、共通基板310に取りつけられた6個のワイピング部材88がホームポジションから上昇して孔部106を通過して無端ベルト104上に突出する(単位記録ヘッド40のノズル面40A側に移動する)(図10(A)→図10(B)参照)。
本実施形態では、キャップ部材80が単位記録ヘッド40のノズル面40Aから6mmの位置まで下降すると共に、ワイピング部材88のワイパー92の先端(上端)がノズル面40Aよりも1.5mm高い位置(以下、当接量1.5mmという)まで上昇する。
この結果、ワイピング部材88の保持部材90がキャップ部材80を跨いで幅方向に移動可能になる。また、ワイピング部材88のワイパー92が単位記録ヘッドセット50を構成する全単位記録ヘッド40のノズル面40Aと上下方向(図10、矢印Z方向)においてオーバーラップする状態となる(図10(B)参照)。
この状態で、図9に示す移動機構312の駆動モータ316を駆動することによって、駆動ギア326に噛合されたラック322を介してスライダ314上を共通基板310が幅方向に移動する。したがって、共通基板310に取り付けられたワイピング部材88が幅方向に移動し、先端がノズル面40Aよりも高い位置とされたワイピング部材88のワイパー92が単位記録ヘッドセット50を構成する全単位記録ヘッド40Y〜40Kのノズル面40Aを摺接しながら移動する(図10(C)、図13参照)。この結果、ノズル面40Aに付着した埃や乾燥したインク等を除去する。この際、ワイピング部材88は、下降したキャップ部材80を跨ぐようにして移動することになる。
ところで、本実施形態ではワイパー92は、単位記録ヘッド40Y〜40Kの全ノズル面40Aを同時にワイピングすることになるが、幅方向(単位記録ヘッド40Y〜40Kの延在方向)にワイピングし、単位記録ヘッド同士が所定の間隔を有しているため混色のおそれはない。なお、混色のおそれがある場合には、ワイパー92を単位記録ヘッド40毎に別体にすれば良い。
本実施形態では、ワイパー92が当接量1.5mmを維持したままノズル面40Aを摺接するため、ノズル面40Aに付着した汚れを確実に除去する。
さらに、ワイピング部材88がノズル面40Aの下部から脱け出して、ワイピング部材88およびガイド部材94の幅方向への移動を完了する(図10(D)参照)。続いて、移動機構312の駆動モータ318の駆動によって共通基板310、すなわちワイピング部材88を下降させ、ホームポジションの高さまで移動させる(図10(E)参照)。
続いて、図9に示す移動機構312の駆動モータ318の駆動によって共通基板310、すなわち、ワイピング部材88を一緒に幅方向反対側に移動させ、ホームポジションに復帰させる(図10(F)参照)。さらに、昇降機構302の駆動モータ304を駆動してキャップ部材80を上昇させて単位記録ヘッド40のノズル面40Aと近接したホームポジションに復帰させることによってワイピング動作を完了する(図10(G)参照)。
続いて、キャッピング動作について説明する。
キャッピング動作は、非画像形成状態が長時間継続する場合、あるいは電源OFF時等に行なうものである。すなわち、無端ベルト104が停止して孔部106を介して単位記録ヘッドセット50とワイピング部材88が対向した状態で行なう(図11、12参照)。
具体的には、図9に示す昇降機構302の駆動モータ304を駆動することによって共通基板300を上昇させ、共通基板300に取りつけられたキャップ部材80のゴム部84を記録ヘッドセット50の下面54に圧接させる。この結果、単位記録ヘッドセット50を構成する全単位記録ヘッド40のノズル面40A(ノズル)の気密性が確保され、インクの増粘、乾燥が防止されると共に、ゴミの付着を防止する。
このように、本実施形態に係るインクジェット記録装置10では、無端ベルト104の用紙用紙保持領域A2に静電吸着によって用紙を保持させて非走査型の
記録ヘッド44の下に搬送しているため、用紙が安定的に搬送されて高画質かつ高速に画像形成することができる。
特に、記録ヘッド44は単位記録ヘッド40Y〜40Kを一体的に筐体48に保持した単位記録ヘッドセット50を千鳥配置することによって、用紙の幅方向同一位置にインク滴を吐出する単位記録ヘッド40Y〜40Kを搬送方向に連続して配置しているため、同一位置に吐出される各色のインク滴の着弾位置ずれ(色ずれ)が抑制され、良好な画像形成を行なうことができる。
一方、メンテナンス装置81は、搬送ベルトユニット19が孔部106を設けたことによって記録ヘッド44の各単位記録ヘッドセット毎に対向配置することができる。したがって、孔部106がメンテナンス装置81と各単位記録ヘッドセット50の間に位置することによって、記録ヘッド44Y〜44Kが移動することになく、上記メンテナンス動作を行なうことができる。したがって、メンテナンス動作を迅速に行なうことができ、しかも記録ヘッドの移動に伴なう補正も不要となり画像形成復帰までに要する時間が短縮できるため、全体としてプリントの高速化を図ることができる。
また、非画像形成時(ベルト停止時)には孔部106が上記位置に常時停止するように制御されているため、メンテナンス動作に迅速に移行できる。したがって、生産性が向上すると共に装置構成が簡略化される。また、記録ヘッド44が画像形成位置から移動することがないため、アライメントずれが防止されて高画質に画像形成できる。
さらに、搬送ベルトユニット19は無端ベルト104に対して単位記録ヘッドセット50に対応する孔部106を設けている。この孔部106が設けられた非用紙保持領域A1が駆動ロール100、従動ロール102にかかった場合の無端ベルト104に対する負荷変動は、記録ヘッド44全体に対して1つの大きな開口部を無端ベルト104に対して設けるものと比較して抑制され、このタイミングにおいても画像形成可能とされ、一層の高速プリントが可能となる。
なお、上記非用紙保持領域A1が駆動ロール100または従動ロール102にかかっている場合には、抑制されているとはいえ無端ベルト104に負荷変動を生ずる。したがって、画質優先、例えばグラビアなどの画像形成時には上記タイミングで画像形成を回避する構成とすることが可能である。この場合には、画像形成装置10は、ドキュメント等の画像形成時のように上記タイミングでも画像形成する速度優先モードと、グラビア等の画像形成時のように上記タイミングで画像形成しない画質優先モードとを備え、ユーザーの選択等によって選択的にモードを切り換える構成とすることができる。
さらに、スプリング120の弾性力によって常時張力が作用している無端ベルト104において、孔部106の角部106AがR形状とされているため、応力集中が抑制され、無端ベルト104の耐久性が向上する。なお、応力集中防止するために角部がない形状であれば良いので、例えば、長円等の孔部形状でも良い。
なお、本実施形態では、4つの単位記録ヘッド40Y〜40Kを一体的に筐体48に配置した単位記録ヘッドセット50を用いた場合について説明したが、単位記録ヘッド40毎に単体で配置しても良い。また、本実施形態では、4つの単位記録ヘッド40Y〜40Kを搬送方向に連続配置したものについては説明したが、搬送方向に沿って順次各色の画像形成可能に単位記録ヘッド40を配置したものでも良い。すなわち、搬送方向上流側に単位記録ヘッド40Yを千鳥配置してイエローのインク滴を用紙の全幅に吐出可能に構成し、搬送方向下流側に向かって順次単位記録ヘッド40M、40C、40Kをそれぞれ千鳥配置する構成でも良い。
なお、キャップ部材80からインク回収可能に構成しても良く、また、キャップ部材80が単位記録ヘッド40のノズル面40Aに圧接にしている状態でノズル面40Aに負圧を作用させて単位記録ヘッド40の内部のインクを吸引可能に構成することもできる。これにより、単位記録ヘッド40の内部に残留した気泡の除去を一層確実にでき、インク滴の吐出性能を一層良好に維持できる。同様に、単位記録ヘッド40に正圧を作用させて単位記録ヘッド内部のインクを排出させる構成とすることもできる。
なお、このようにインクを回収する構成とする場合には、回収したインクの再利用を図るために、単位記録ヘッド(色)毎に個別にキャップを設けることが考えられる。