JP4395723B2 - 変速機のブリーザ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、変速機におけるケース内空間への圧力の閉じ込みを防ぐブリーザ装置に関し、特に、車両に搭載される変速機の傾斜に対する通気能力を改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変速機ケース内への圧力の閉じ込みを防ぐブリーザ装置は、特に4WDオフロード車等の車両に搭載されるフロントエンジンリヤドライブ(FR)車用の縦置式の変速機においては、車両走行時に変速機ケースに大きな前後傾斜が生じることが想定されることから、ブリーザ吹きを防止すべく、変速機ケース内にラビリンス構造を形成し、ラビリンス構造の出口側を変速機ケース前側上部に配置したブリーザプラグを経てブリーザパイプを介して外気に開放する構成とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、前記のような4WDオフロード車の走行性能向上が求められ、45°坂路等の過酷な状況下での走行にも対応可能なブリーザ装置が必要となっている。
【0004】
しかしながら、前記のような従来のブリーザ装置では、坂路での走行時、中でも降坂路走行時に、変速機内部の回転部材によるオイルの攪拌によりブリーザ吹きが発生する可能性が残る。このブリーザ吹きに対する対策として、ブリーザ装置の抜本的な変更も考えられないではないが、こうした大変更は、大幅なコストアップを招く。また、ブリーザ吹きに対する対策は、車両への搭載性を悪化させるような変速機外形の大型化を伴うものであってはならない。
【0005】
そこで、本発明は、従来の変速機ケースに対する最小限の改変により実現可能な、車両の急坂路走行時にもブリーザ吹き防ぐ変速機のブリーザ装置を提供することを主たる目的とする。また、本発明は、前記急坂路でのブリーザ吹きの防止を、変速機の外形を実質上大型化させることなく実現可能とすることを更なる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的は、変速機のケース内空間を外気に連通させるブリーザ装置において、前記変速機ケースは、その周壁の上部を前後方向に延びて該周壁から外方に張出し、内部に溝状空間(C)を画定する壁からなる補強リブ(12)を有し、前記変速機ケース(1)の上部におけるケース軸線方向の中間位置にあって前記補強リブの側壁(12a)に、前記溝状空間に開口してケース内空間に連通する通気口(10)が設けられると共に、該通気口(10)は、前記変速機ケース内に収容される変速機構のブレーキピストン(42)のエクステンションチューブ部の外周側に位置することを特徴とする構成により達成される。
【0007】
この構成では、ブリーザ装置につながる通気口が、変速機ケースの上部の軸線方向中間部に位置することで、変速機の前後方向の両傾斜時ともにオイルレベルの極端な前後傾変動による通気口へのオイルの侵入を防ぐことができる。したがって、通気口へのオイルの侵入によるブリーザ吹きの発生を変速機の前傾、後傾時共に防ぐことができる。また、通気口の高さを変速機ケースの一般的周面の位置より更に上方に設定することができるため、オイルレベルの変動による通気口へのオイルの侵入を一層確実に防止することができる。しかも、そのための変速機ケースの形状変更も不要である。また、変速機構のブレーキピストン(42)のエクステンションチューブ部が、他の回転部材によって掻き上げられる油の遮蔽手段として機能するため、通気口への油の侵入を一層確実に防ぐことができる。
【0010】
また、上記の構成において、前記通気口は、前記ケース内空間の軸線方向中央位置より前後方向にずれた中間位置に位置し、前記ずれ方向とは反対方向に延びる通気手段を介して外気に開放された構成とするのが更に有効である。
【0011】
この構成によると、通気口の位置の変速機ケース前後方向中央部に対する前後方向へのずれと、その方向とは逆方向に向いた通気手段の方向との組合せで、通気口位置がオイルレベルから離れる方向への傾斜時には、通気手段の先側が下がり、逆に通気口位置がオイルレベルに近付く方向への傾斜時には、通気手段の先側が上がる作用から、この作用で相互補完的にブリーザ吹きの発生が変速機の前傾、後傾時共に防止される。
【0012】
また、上記いずれかの構成において、前記通気手段は、前記通気口に連結されたブリーザパイプを備える構成とすることもできる。
【0013】
この構成では、前記の相互補完的なブリーザ吹き防止作用を、通気口に直接取付けたブリーザパイプを通気手段として得ることができるため、実質的な変速機ケースの変更なしで、ブリーザ吹きの発生を変速機の前傾、後傾時共に防ぐことができるブリーザ装置を構成することができる。
【0014】
あるいは、上記いずれかの構成において、前記通気手段は、前記変速機ケースと一体に変速機ケース内空間とは隔離して設けられ、変速機ケース内空間に前記通気口により連通するブリーザ室を備える構成とすることもできる。
【0015】
この構成では、ブリーザ室が、通気口を経て通気手段内に侵入した場合のオイルの流動を妨げる緩衝空間として機能するため、ブリーザ吹きの発生を変速機の前傾、後傾時共に更に確実に防ぐことができる。また、ブリーザ室が変速機ケースと一体であるため、ブリーザ室の付設が変速機ケースの外形に与える影響も最小限に抑えられる。
【0016】
あるいは、上記いずれかの構成において、前記通気手段は、前記変速機ケースとは別体のブリーザ室を備え、前記通気口により変速機ケース内空間に連通する構成とすることもできる。
【0017】
この構成では、ブリーザ室が、通気口を経て通気手段内に侵入した場合のオイルの流動を妨げる緩衝空間として機能するため、ブリーザ吹きの発生を変速機の前傾、後傾時共に更に確実に防ぐことができる。また、ブリーザ室が変速機ケースと別体であるため、ブリーザ室の付設に伴う実質的な変速機ケース構造の変更が不要となる。
【0018】
また、前記ブリーザ室を備える構成において、前記ブリーザ室は、前後方向に長い空間とされ、その一端部側で前記通気口により変速機ケース内空間に連通し、他端部側がブリーザパイプを介して外気に開放された構成を採ると更に有効である。
【0019】
この構成では、ブリーザ室が前後方向に長いことで、傾斜方向に長い緩衝空間として機能するため、ブリーザ吹きの発生を変速機の前傾、後傾時共に一層確実に防ぐことができる。
【0020】
上記ブリーザ室を備えるいずれの構成においても、前記ブリーザ室は、該室内の流体の流れを規制するラビリンス構造とされるのが一層有効である。
【0021】
この構成では、変速機の前後傾斜が極端に大きく、通気口を経てオイルが通気手段に侵入した場合でも、ブリーザ室のラビリンス構造により通気状態でオイルの外気への排出が阻害されるため、ブリーザ吹きの発生を更に有効に防ぐことができる。
【0022】
また、上記の構成において、前記中間位置は、変速機構を収容する変速機ケースの前壁から後壁までの間の中央位置から一方向にオフセットした位置である構成を採ると有効である。
【0023】
上記の構成は、前記変速機がケース軸線を車両前後方向に向けて車載される縦置き配置の変速機である場合に特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1〜図5は本発明の変速機のブリーザ装置の第1実施形態を示す。図1に軸方向断面を示すように、変速機のケース1内空間を外気に連通させるブリーザ装置は、軸線方向前側(図示左側)に図示しないトルクコンバータハウジングが連接され、後側(図示右側)に同じく図示しないエクステンションハウジングや4輪駆動用のトランスファが連接される変速機ケース1の上部におけるケース軸線方向の中間位置に、ケース内空間に開口する通気口10を備えている。この通気口10は、ケース内空間の軸線方向の中央位置より若干後方向にずれた中間位置に位置し、このずれ方向とは反対方向すなわち前方に延びる通気手段2を介し、車両の適宜の位置まで導かれ、図示しないブリーザバルブ等の給排気手段により外気に開放されている。
【0025】
ここにいうケース1内空間とは、変速機ケース1とトルクコンバータハウジングとを入力軸貫通状態で閉じる前壁(通常、変速機ケース開口部に取付けられるオイルポンプで構成される)1Aと、変速機ケース1とエクステンションハウジング又は4輪駆動用のトランスファとを出力軸貫通状態で隔てる後壁(通常、変速機ケース1と一体の後壁で構成される)1bで前後方向を囲われ、変速機ケース1の周壁11で周方向を囲われて、図示しない変速機構の各回転部材やそれらに付随する摩擦部材を収容する空間である。この空間は、変速機構に対するオイル潤滑空間であることから、変速機構を内蔵している油密状の密閉空間であり、外気とは実質上遮断されている。したがって、油密空間であるケース1内空間の前後方向の有効長さは、図1において符号Lで表されるように、一方端を前壁とし、他方端を後壁とするケース軸線方向の長さであり、この長さの中央がケース1内空間の前後方向の中央位置となる。
【0026】
この形態では、変速機ケース1は、その周壁11の上部を前後方向に延びて周壁11から外方に張出し、内部に溝状空間Cを画定する壁からなる補強リブ12を有することから、補強リブ12の側壁12aに溝状空間Cに開口する通気口10が設けられ、この通気口10に横向きに、エルボ形のブリーザプラグ21が取付けられている。
【0027】
前記の通気口10は、更に、変速機ケース1内での変速機構の回転部材、例えばプラネタリギヤの各構成要素、クラッチドラム、ワンウェイクラッチの回転レース等の回転により掻き上げられる油の直接の侵入を防ぐ意味で、変速機ケース1内に収容される変速機構の非回転部材、例えばブレーキピストン、ワンウェイクラッチの固定レース等のようにケース1に回転不能に支持された部材を遮蔽手段として、その外周側に位置する配置とされる。この形態では、図2を参照して、変速機ケース1周壁の内周スプライン12sに外周側を回り止め支持され、ケース軸線方向概ね中央部配置のブレーキ摩擦材41に対して、その係合操作のためのブレーキピストン42のエクステンションチューブ部が、ケース後壁に内蔵された油圧サーボシリンダから延び出して、その先端をスプライン12sに回り止め嵌合させて、ブレーキ摩擦材41の端部まで達していることから、このエクステンションチューブ部の外周側に当たる軸方向位置に通気口10が開口する位置付けがなされている。
【0028】
図4及び図5に示すように、通気手段2は、この形態では、通気口10のブリーザプラグ21と、ブリーザプラグ21に一端を連結され、他端を車両側の配管に連結され、それを介して最終的に前記ブリーザバルブ等の給排気手段に連結されたブリーザパイプ22を備える。ブリーザプラグ21は通気口10の水平軸線回りに漏れ止め状態で回転自在なスイベルジョイントとされ、先端側はブリーザパイプ22に挿入して漏れ止め可能なホース継手状とされている。ブリーザプラグ21とブリーザパイプ22と接続部は、ブリーザパイプ22の外周に嵌めたホースバンド23のネジ締めにより外れ止めされている。ブリーザパイプ22は、補強リブ12に沿って概ね水平に前方に延び、変速機ケース1の前側に連結されるトルクコンバータハウジングの外周位置で終端し、終端部には車両側配管との継手24が取付けられている。
【0029】
こうした構成からなるブリーザ装置では、変速機を搭載した車両の急坂路走行により変速機ケース1が前下がり又は後下がりに傾斜した場合、ブリーザ装置につながる通気口10が、変速機ケース1の上部中間部に位置することで、変速機の前後方向の両傾斜時ともにオイルレベルの変動による通気口10へのオイルの侵入を防ぐことができる。したがって、通気口10へのオイルの侵入によるブリーザ吹きの発生を変速機の前傾、後傾時共に防ぐことができる。より具体的には、変速機ケース1が前傾した場合、通気口10が後方に所定量ずれて位置することで、前側ほど高くなるオイルレベルに対しても、このずれ分の余裕が確保されるため、通気口10へのオイルの侵入が防止される。逆に、変速機ケース1が後傾した場合、通気口10の前記ずれ分だけ前傾時よりオイルレベルの上昇に対する余裕が少なくなるが、この場合は、ブリーザパイプ22の前側が通気口10位置に対して高くなるため、仮にオイルが通気口10に侵入した場合でも、ブリーザ吹きの発生が防止される。
【0030】
しかも、この形態では、変速機ケース1の一般周壁11から、その最上部で外方に張出す壁からなる補強リブ12の側壁12aに通気口10が設けられていることから、オイルレベルに対する通気口10の位置は、変速機ケース1の形状を変更することなく高められているため、通気口10へのオイルの吸い込みの可能性は一層低減されることになる。また、補強リブ12の側壁12aに対する通気口10の横向き配置により、ブリーザプラグ21及びブリーザパイプ22の変速機ケース1最大外径からの突出もなく、変速機の車両への搭載性が、このブリーザ装置の採用により損なわれることもない。
【0031】
次に、図6及び図7は本発明の第2実施形態を示す。この形態は、先の第1実施形態に対して、通気手段2にブリーザ室3を付随させた点が異なる。この形態における通気手段2は、変速機ケース1と一体に変速機ケース内空間とは隔離して設けられ、変速機ケース内空間に通気口10(図7参照)により連通するブリーザ室3を備える。ブリーザ室3は、図7に平面形状を示すように、前後方向に長い空間とされ、その一端部側(本形態において後側)で通気口10により変速機ケース内空間に連通し、他端部側(同じく、前側)がブリーザプラグ21及びブリーザパイプ22を介して、先の実施形態と同様の経路で外気に開放された構成とされている。換言すれば、先の実施形態に対して、通気口10とブリーザプラグ21との間にブリーザ室3を介在させた構成が採られている。
【0032】
ブリーザ室3は、先の実施形態における変速機ケース1の補強リブ12の前側部分を利用して画定されており、概ね補強リブ12の変速機ケース一般周面11からの突出量に相当する高さと、補強リブ12の幅に相当する幅の、平面視で概ね長円形の空間とされている。ただし、ブリーザパイプ22の引回しの関係から、補強リブ12の中心線に対しては若干図示左方向にオフセットさせた配置とされている。ブリーザ室3の底壁30は、変速機ケース1内の機構の配置に妨げとならないように変速機ケース1の一般周面11とほぼ同位置に形成され、底壁30の後部に通気口10が形成されている。また、ブリーザ室3の上面は開放されて、リッド31のネジ止めにより閉じられる構成とされている。そして、このリッド31の前側に、先の実施形態における通気口10へのブリーザプラグ21の取付けと同様の手法でブリーザプラグ21が取付けられている。ブリーザ室3は、室内の流体の流れを規制するラビリンス構造とされている。この形態では、ラビリンス構造を構成する互い違いの3つの縦壁32が、リッド31のネジ止めのための厚肉部に連設する形態で設けられている。この形態における通気口10の変速機ケース1に対する前後方向位置や、これに対するブリーザパイプ22の方向、更には、ブリーザプラグ21以降の配管については、先の第1実施形態の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0033】
この形態によっても、先の第1実施形態と同様の理由から、変速機の前後方向の両傾斜時ともにオイルレベルの変動による通気口10へのオイルの侵入を防ぐことができ、それによりブリーザ吹きの発生が防止される。更に、この形態の場合、ブリーザ室3が通気口10とブリーザプラグ21との間にあって、流路面積を拡大する緩衝空間として機能し、しかもその空間がラビリンス構造によりオイルの流動を阻害する機構を果たすため、ブリーザ吹きの発生は一層確実に防止される。また、この形態においても、変速機ケース1の一般周壁11から、その最上部で外方に張出す補強リブ12の内側を利用してブリーザ室3が構成されるため、変速機ケース1の形状を大幅に変更することなく、ブリーザ吹きの防止効果を一層高めることがでる。そして、この場合も、ブリーザ室3、ブリーザプラグ21及びブリーザパイプ22の変速機ケース1の最大外径からの突出も最小限に抑えられ、変速機の車両への搭載性が、このブリーザ装置の採用により損なわれることもない。
【0034】
最後に、図8及び図9は本発明の第3実施形態を示す。この形態は、先の第2実施形態に対して、ブリーザ室3を別体構成としたものである。この形態における通気手段2は、変速機ケース1とは別体のブリーザ室3を備え、通気口10(図9参照)により変速機ケース内空間に連通する。この場合もブリーザ室3は、図9に平面形状を示すように、前後方向に長い空間とされ、その一端部側(本形態において後側)で通気口10により変速機ケース内空間に連通し、他端部側(同じく、前側)がブリーザプラグ21及びブリーザパイプ22を介して、先の2つの実施形態と同様の経路で外気に開放された構成とされている。
【0035】
ブリーザ室3は、変速機ケース1の補強リブ12の前側部分の一側に沿って配置されている。この形態の場合、変速機ケース1に対して別体であることで、形状的制限が少ないことから、ブリーザ室3は単純な箱型の筐体33で構成され、その後部側壁が短管34で、前記第1実施形態と同様の位置に形成された通気口10により補強リブ12内空間に連通されている。また、ブリーザプラグ21は、筐体33の前壁に取付けられており、この場合のブリーザプラグ21は、先の第2実施形態の場合よりブリーザパイプ22の方向付けに余裕を与えるべく、ボールジョイント状とされている。そして、この場合も、ブリーザ室3は、室内の流体の流れを規制するラビリンス構造とされている。この形態では、ラビリンス構造を構成する互い違いの4つの縦壁32が、それぞれ筐体33の両側壁から反対壁の近傍まで延びる形態で形成されている。この形態における通気口10の変速機ケース1に対する前後方向位置や、これに対するブリーザパイプ22の方向、更には、ブリーザプラグ21以降の配管についても、先の第1及び第2実施形態の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0036】
この形態によっても、先の第1及び第2実施形態と同様の理由から、変速機の前後方向の両傾斜時ともにオイルレベルの変動による通気口10へのオイルの侵入を防ぐことができ、それによりブリーザ吹きの発生が防止される。そして、この形態の場合、先の第2実施形態と同様に、ブリーザ室3が通気口10とブリーザプラグ21との間にあって、流路面積を拡大する緩衝空間として機能し、しかもその空間がラビリンス構造によりオイルの流動を阻害する機構を果たすため、ブリーザ吹きの発生は一層確実に防止される。そして、この形態においては、ブリーザ室3が変速機ケース1とは別体とされているため、変速機ケース1の実質上の形状変更は、第1実施形態の場合と同様に不要である。また、この形態の場合、通気口10の位置が第1実施形態の場合と同様に補強リブ12の側壁にあり、ブリーザ室3が第2実施形態の場合と同様のオイルの流動阻害効果を発揮するため、変速ケース1の外形に与える影響は先の両実施形態より大きいものの、両者のブリーザ吹き防止効果を兼ね備えたブリーザ装置となる。
【0037】
以上、本発明の技術思想の理解の便宜のために、3つの実施形態を例として説明したが、本発明は、例示の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の個々の請求項に記載の事項の範囲内で、種々に具体的な構成を変更して実施することができるものである。特に、変速機ケース1に対する通気口10の位置設定に関して、前記各実施形態では、中央位置より若干後方にずらした設定を専ら例示したが、通気手段2が変速機ケース1の後方に延びる構成を採る場合、変速機ケース1に対する通気口10の位置は、中央位置より若干前方にずらした設定とすることが望ましいことは明らかであり、こうした構成も当然に本発明の範疇に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、広く一般の変速機に適用可能なものであるが、特に自動変速機、中でも、4WDオフロード車等の車両に搭載されるフロントエンジンリヤドライブ(FR)車用の縦置式の自動変速機に用いて有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態に係るブリーザ装置を適用した変速機ケースの軸方向断面。
【図2】第1実施形態におけるブリーザ装置と変速機構の関係を一部断面で示す図1と同様の部分の側面図。
【図3】第1実施形態の変速機ケースの平面図。
【図4】ブリーザ装置を拡大して示す第1実施形態の変速機ケースの部分側面図。
【図5】ブリーザ装置を拡大して示す第1実施形態の変速機ケースの部分平面図。
【図6】第2実施形態のブリーザ装置を示す変速機ケースの拡大部分側面図。
【図7】第2実施形態の変速機ケースの拡大部分平面図。
【図8】第3実施形態のブリーザ装置を示す変速機ケースの拡大部分側面図。
【図9】第3実施形態の変速機ケースの拡大部分平面図。
Claims (9)
- 変速機のケース内空間を外気に連通させるブリーザ装置において、
前記変速機ケースは、その周壁の上部を前後方向に延びて該周壁から外方に張出し、内部に溝状空間(C)を画定する壁からなる補強リブ(12)を有し、
前記変速機ケース(1)の上部におけるケース軸線方向の中間位置にあって前記補強リブの側壁(12a)に、前記溝状空間に開口してケース内空間に連通する通気口(10)が設けられると共に、該通気口(10)は、前記変速機ケース内に収容される変速機構のブレーキピストン(42)のエクステンションチューブ部の外周側に位置することを特徴とする変速機のブリーザ装置。 - 前記通気口は、前記ケース内空間の軸線方向中央位置より前後方向にずれた中間位置に位置し、前記ずれ方向とは反対方向に延びる通気手段(2)を介して外気に開放された、請求項1記載の変速機のブリーザ装置。
- 前記通気手段は、前記通気口に連結されたブリーザパイプ(22)を備える、請求項2記載の変速機のブリーザ装置。
- 前記通気手段は、前記変速機ケースと一体に変速機ケース内空間とは隔離して設けられ、変速機ケース内空間に前記通気口により連通するブリーザ室(3)を備える、請求項2又は3記載の変速機のブリーザ装置。
- 前記通気手段は、前記変速機ケースとは別体のブリーザ室を備え、前記通気口により変速機ケース内空間に連通する、請求項2、3、又は4記載の変速機のブリーザ装置。
- 前記ブリーザ室は、前後方向に長い空間とされ、その一端部側で前記通気口により変速機ケース内空間に連通し、他端部側がブリーザパイプを介して外気に開放された、請求項4又は5記載の変速機のブリーザ装置。
- 前記ブリーザ室は、該室内の流体の流れを規制するラビリンス構造(32)とされた、請求項4、5、又は6記載の変速機のブリーザ装置。
- 前記中間位置は、変速機構を収容する変速機ケースの前壁(1A)から後壁(1b)までの間の中央位置から一方向にオフセットした位置である請求項2ないし7のいずれか記載の変速機のブリーザ装置。
- 前記変速機は、ケース軸線を車両前後方向に向けて車載される縦置き配置の変速機である請求項1ないし8のいずれか記載の変速機のブリーザ装置。
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