JP4266127B2 - Icカード処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数社が管轄する複数営業エリアを利用可能なICカードに対して、所定の金額情報をチャージするICカード処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、鉄道関係において、改札の省力化を目的として、駅構内への入場口或いは駅構内からの出場口には、自動改札装置が設置されている。交通機関を利用する利用者は、駅構内へ入場或いは駅構内から出場する際、又はある営業路線から別の営業路線へ乗り換える際、自動改札装置による改札処理を受ける。つまり、利用者は、自身が携帯する乗車券を自動改札装置に投入する。自動改札装置は、投入された乗車券を受け取り、乗車券に記録された乗車券情報(入場駅情報、有効料金情報)を読み取り、入場又は出場の改札可否を判定し、乗車券を返却又は回収する。自動改札装置は、乗車券情報の読み取り結果に基づき、運賃不足又は期限切れなどの理由から改札否と判定すると、ドアの開閉を制御して利用者を駅構内に入場させない、駅構内から出場させない、又は乗り換えを許可しないようにする。
【0003】
さらに近年では、無線ICカードに対応した無線対応の自動改札装置の普及により、急速にその利便性が向上している(特許文献1)。特に、定期券及びSF(Stored Fare)の機能を兼ね備えた無線ICカードに対して予め金額チャージしておき、この無線ICカードを利用すれば、無線対応の自動改札装置の改札処理において必要に応じて自動精算を受けることが可能となる。つまり、定期区間を乗り越しても、精算機に並ぶ必要なく改札口を通過することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−93003号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
また、上記した無線ICカードは複数社での共通運用が可能となっている。即ち、1枚の無線ICカードで、異なる鉄道会社の路線を乗り継ぎ、必要に応じて精算処理を受けることが可能となっている。しかしながら、現状、無線ICカードの共通運用が可能となっているのは数社にとどまっている。この点で、利用者の利便性は必ずしも向上していない。
【0006】
今後、無線ICカードのさらなる各社共通化が進み、1枚の無線ICカードで多数の鉄道会社の路線を利用できるシステムの構築が進むことが予想される。このようなシステムの構築に伴い、無線ICカード利用に対応する売上の各社相互精算処理は避けられない。各社相互精算処理では膨大なデータの集計と入出金処理(相殺を含む)が発生し、各社にとって大きな負担となる。最悪、データの消失等の事故が発生した場合には、各社相互精算処理が不能に陥る可能性も有り得る。
【0007】
本来、上記したようなシステムの構築により、鉄道会社側の有益性として、利用者による実際の利用に関係なく、予めまとまった金額を徴収できるという点が挙げられる。反面、異なる鉄道会社間で相互乗り入れ/連絡乗り継ぎがある場合には、負担の重い各社相互精算処理が必要となってしまう。各社相互精算処理を避けようとして、カードの利用範囲を単独一社の路線に限定してしまうと、利用者の利便性が損なわれてしまう。また、近年の乗車券のIC化による磁気券の駆逐は、磁気回数券を消失させる結果にもなっていた。
【0008】
この発明の目的は、上記問題点を解決するためになされたものであり、複数社が管轄する複数営業エリアを利用可能なICカードの利用に伴う各社相互精算処理の負担を軽減することが可能なICカード処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、この発明のICカード処理装置は、以下のように構成されている。
【0010】
この発明は、複数社が管轄する複数営業エリアを利用可能なICカードに対して、所定の金額情報をチャージするICカード処理装置であって、前記ICカードからのデータの読み取り、及び前記ICカードに対するデータの書き込みを行なう読み書き手段と、前記読み書き手段により前記ICカードに対して所定の金額情報をチャージするとき、営業エリア毎に均等割りした配分で金額情報をチャージするチャージ手段とを備えたことを特徴とするICカード処理装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、複数社の改札処理データを収集するシステムの概略構成を示す図である。ここでは、一例として、A社、B社、及びC社の改札処理データを収集するシステムについて説明する。A社、B社、及びC社の各社の改札システムは、基本的に同一構成であるとする。図1に示すように、A社の改札システムは、ICカード処理装置1、自動改札装置2、自動改札装置制御盤3、各社データ収集サーバ4により構成されている。つまり、各駅に設置される自動改札装置2は、自動改札装置制御盤3に接続されている。自動改札装置制御盤3は、各自動改札装置2を制御する。この自動改札装置制御盤3は、各社データ収集サーバ4に接続されている。さらに各駅に設置されるICカード処理装置1も各社データ収集サーバ4に接続されている。各社データ収集サーバ4は、全社データ収集サーバ5に接続されている。
【0014】
ICカード処理装置1は、利用者からの代金の支払い(現金払い、口座からの引き落とし)に応じて、定期券としての機能を有するICカード10を発行したり、所定の金額情報がチャージされたSF機能を有するICカード10を発行したり、定期券及びSF機能を有するICカード10を発行したり、さらにはICカード10に対して所定の金額情報をチャージしたりする。この実施形態では、ICカード10は無線カードであるものとして説明するがこれに限定されるものではなく、ICカード10は無線カード以外のカードであってもよい。なお、ICカード処理装置1によるICカード10に対する金額情報のチャージについては、後に詳しく説明する。
【0015】
自動改札装置2は、磁気券及びICカード10に対応して改札処理を行なう。自動改札装置2は、磁気券を受け取った場合、磁気券に記録されている情報に基づき改札処理を行なう。自動改札装置2は、ICカード10と無線通信を行なった場合、ICカードに記録されている情報に基づき、必要に応じて精算処理を行い改札処理を行なう。なお、自動改札装置2によるICカードに対する精算処理及び改札処理については、後に詳しく説明する。
【0016】
図2は、図1に示す自動改札装置の外観を示す斜視図であり、図3は、図1に示す自動改札装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0017】
この自動改札装置2は、通常、2台1組として設置され、両者の間に通行者が通行する通路が形成される。そして、この自動改札装置2は、磁気券及びICカードの両方を処理できる。
【0018】
図2に示すように、自動改札装置2の上面の一端部には、たとえば、有効期間や利用可能区間などの改札情報が磁気エンコード記録された乗車券(定期券、普通乗車券、回数券など)やSFカードなどの磁気券を受け取る投入口203が設けられ、他端部には、投入口203から投入された磁気券を返却する排出口204が設けられている。なお、投入口203には、必要に応じて開閉するシャッタが設けられている。排出口204の前方には、通行者や駅員などに対して各種案内を行なうための案内表示部206が設けられている。
【0019】
投入口203の前方には、アンテナ216が設けられている。アンテナ216は、たとえば、ループ状アンテナなどで構成されていて、通行者によりかざされるICカード10と無線通信を行なう。これにより、アンテナ216は、ICカード10から送信されるデータを受信したり、ICカード10に対してデータを送信したりする。
【0020】
自動改札装置2の側面の両端部には、通行者の通行を制御する開閉動作可能なドア207が設けられており、通行可否の判定結果に基づき、このドア207が開閉制御される。
【0021】
さらに、自動改札装置2には、センサ取付体208が立設されている。センサ取付体208には、通行者を検知する複数の光学的なセンサ、すなわち、出口検知器209、210、及び中央通過検知器213が設けられている。また、自動改札装置2の本体にも、通行者を検知する複数の光学的なセンサ、すなわち、進入検知器211、212、及び中央通過検知器213が設けられている。
【0022】
出口検知器209は、投入口203の部分を通過する通行者を検知し、出口検知器210は、案内表示部206の部分を通過する通行者を検知し、進入検知器212は、排出口204の部分を通過する通行者を検知し、進入検知器211は、アンテナ216の部分を通過する通行者を検知する。中央通過検知器213は、自動改札装置202の本体に一対、センサ取付体208に一対と、合計2対(4個)の検知器からなり、通路の中央部を通過する通行者を検知する。
【0023】
センサ取付体208には、自動改札装置の動作状態(小児券の投入、無効券の投入や機器の異常など)を表示する表示灯214が設けられている。
【0024】
図3に示すように、自動改札装置2は、CPU220、メモリ222、乗車券受取機構223、乗車券搬送機構224、乗車券返却機構225、乗車券回収機構226、乗車券保留機構227、情報読取部228、情報記録部230、改札判定部232、通行検知部234、開閉制御部236、表示制御部240、表示灯駆動制御部242、精算処理部244、無線リーダ/ライタ246、伝送制御部250などを備えている。
【0025】
CPU220は、各部を制御し、改札処理に関する一連の動作を制御する。メモリ222は、CPU220の動作制御プログラム、運賃情報、及び列車運行情報等を記憶したり、ICカード10又は磁気券から読み取った乗車情報等を一時記憶したりする。さらに、このメモリ222には、自動改札装置が設置された駅を特定するための情報も記憶している。乗車券受取機構223は、投入口203などで構成されており、一人の乗客により投入された一枚の磁気券を受け取る。或いは、乗車券受取機構223は、一人の乗客により投入された複数枚の磁気券を一括して受け取る。乗車券搬送機構224は、受け取られた磁気券を各部へ搬送する。乗車券返却機構225は、排出口204などで構成されており、受け取られた磁気券を返却する。乗車券回収機構226は、乗車券返却機構225により返却された磁気券を必要に応じて回収する。乗車券保留機構227は、回収された磁気券を保留する。情報読取部228は、磁気券から乗車情報を読み取る。情報記録部230は、磁気券に対して各種情報を磁気記録又は印刷記録する。改札判定部232は、磁気券又はICカード10から読み取られた情報に基づき通行の可否を判定する。
【0026】
通行検知部234は、検知器209〜213からの検知出力を受け取り、利用者の通行状況を検知する。ドア開閉制御部236は、改札判定結果に基づき、ドア207の開閉を制御する。表示制御部240は、例えば改札判定結果に基づき表示部206の表示内容を制御する。表示灯駆動制御部242は、磁気券又はICカード10から読み取った情報に基づき表示灯214の駆動を制御する。例えば、小児券の投入、無効券の投入、機器の異常などの動作状態に応じて表示灯214の駆動を制御する。無線リーダ/ライタ246は、アンテナ216によりICカード10と交信し、ICカード10に記録された情報を読み取ったり、ICカード10に対して情報を記録したりする。精算処理部244は、必要に応じてICカード10から読み取られる金額情報に基づき精算処理を行なう。この精算処理については、後に詳しく説明する。伝送制御部250は、図1に示す自動改札装置監視盤3と交信し、各種情報を交換する。
【0027】
図4は、図1に示すICカード処理装置の外観を示す斜視図であり、図5は、図1に示すICカード処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。この実施形態では、券売機の機能を兼ね備えたICカード処理装置1について説明する。
【0028】
図4に示すように、ICカード処理装置1は、表示部102、紙幣取り扱い口103、券取り扱い口104、硬貨投入口105、乗車券発行口106、硬貨排出口107、及び受け皿108を備えている。
【0029】
表示部102は、図5に示すLCD表示部121を備えており、ICカード処理及び乗車券発行処理に応じた画面が表示される。さらに、LCD表示部121は図5に示すタッチパネル部122を備えている。紙幣取り扱い口103は、顧客により挿入される紙幣を受け取ったり、顧客に対してつり銭としての紙幣を返却したりする。券取り扱い口104は、顧客により挿入されるICカード10、定期券、又はクレジットカードなどを受け取ったり、顧客に対して受け取ったICカード10、定期券、又はクレジットカードなどを返却したりする。硬貨投入口105は、顧客により投入される硬貨を受け入れる。乗車券発行口106は、顧客による入力操作に応じて発券される乗車券を排出する。硬貨排出口107は、顧客に対してつり銭としての硬貨を返却する。受け皿108は、硬貨排出口107から返却されるつり銭としての硬貨を受け止める。
【0030】
続いて、図5を参照して、ICカード処理装置1について説明する。図5に示すように、ICカード処理装置1は、主制御部100を備えており、この主制御部100によりICカード処理及び乗車券発行処理が制御される。主制御部100には、ユニット伝送部110、接客部120、係員パネル部130、記録部140、及び上位伝送部150などが接続されている。
【0031】
ユニット伝送部110には、発券ユニット111、カード処理ユニット112、カードチャージユニット112a、紙幣処理ユニット113、及び硬貨処理ユニット114などが接続されている。接客部120には、LCD表示部121、タッチパネル部122、その他表示・スイッチ部124などが接続されている。係員パネル部130には、LCD表示部131、タッチパネル部132、その他表示・スイッチ部133などが接続されている。上位伝送部150は、図1に示す各社データ収集サーバ4と交信し、各社データ収集サーバ4に対して売上等のデータを送信する。
【0032】
カード処理ユニット112は、券取り扱い口104を介して投入されたICカード10と交信し、ICカード10に記録された情報を読み取ったり、ICカード10に対して情報を記録したりする。また、カード処理ユニット112は、利用者からの代金の支払い(現金払い、クレジットカード払い)に応じて、定期券としての機能を有するICカード10を発行したり、所定の金額情報がチャージされたSF機能を有するICカード10を発行したり、定期券及びSF機能を有するICカード10を発行したりする。
【0033】
カードチャージユニット112aは、利用者からのチャージ金の支払い(現金払い、クレジットカード払い)に応じて、複数社が管轄する営業エリア毎に所定の配分で金額情報をチャージする。ICカード処理装置1の上位伝送部150は、ICカード10に対するチャージに関するデータ(売上等のデータ)を各社データ収集サーバ4に送信する。チャージに関するデータとは、どの会社の営業エリア用としてどれだけの金額がチャージされたかなどのデータである。つまり、各社の売上データである。上位伝送部150に送信されたチャージに関するデータは、さらに全社データ収集サーバ5に送信される。つまり、全社データ収集サーバでは、どの会社の営業エリア用としてどれだけの金額がチャージされたかを一括管理することができる。つまり、各社の売上データを一括管理することができる。
【0034】
以下、カードチャージユニット112aによる金額チャージの詳細について説明する。
【0035】
図6は、カードチャージユニットによる金額チャージの第1例を示す図である。複数社が管轄する複数営業エリア(A社営業エリア、B社営業エリア、C社営業エリア…)を利用可能なICカードに対して所定の金額情報をチャージするとき、図6に示すように営業エリア毎に均等割りした配分で金額情報をチャージする。例えば、ICカード10に対して営業エリア毎にチャージエリア(A社チャージエリア、B社チャージエリア、C社チャージエリア…)を持たせ、各チャージエリアに均等割した配分で金額情報をチャージする。具体例を挙げると、表示部102のタッチパネル部122を介して利用者によりICカードに対して900円のチャージが指示されると、カードチャージユニット112aはICカード10のA社チャージエリアに300円、B社チャージエリアに300円、C社チャージエリアに300円をチャージする。
【0036】
図7は、カードチャージユニットによる金額チャージの第2例を示す図である。複数社が管轄する複数営業エリア(A社営業エリア、B社営業エリア、C社営業エリア…)を利用可能なICカードに対して所定の金額情報をチャージするとき、図7に示すようにICカード処理装置1の設置場所を含む営業エリアに対して優先的な配分で金額情報をチャージする。例えば、ICカード10に対して営業エリア毎にチャージエリア(A社チャージエリア、B社チャージエリア、C社チャージエリア…)を持たせ、A社の駅に設置されたICカード処理装置1により金額チャージする場合には、A社チャージエリアに対して優先的な配分で金額情報をチャージする。具体例を挙げると、表示部102のタッチパネル部122を介して利用者によりICカードに対して900円のチャージが指示されると、カードチャージユニット112aはICカード10のA社チャージエリアに500円、B社チャージエリアに200円、C社チャージエリアに200円をチャージする。
【0037】
図8は、カードチャージユニットによる金額チャージの第3例を示す図である。複数社が管轄する複数営業エリア(A社営業エリア、B社営業エリア、C社営業エリア…)を利用可能なICカードに対して所定の金額情報をチャージするとき、ICカード10から定期乗車区間に関する情報を読み取り、図8に示すように、この定期乗車区間が含まれる営業エリアに対して優先的な配分で金額情報をチャージする。例えば、ICカード10に対して営業エリア毎にチャージエリア(A社チャージエリア、B社チャージエリア、C社チャージエリア…)を持たせ、ICカード10の定期乗車区間にB社営業エリアが含まれる場合には、B社チャージエリアに対して優先的な配分で金額情報をチャージする。具体例を挙げると、表示部102のタッチパネル部122を介して利用者によりICカードに対して900円のチャージが指示されると、カードチャージユニット112aはICカード10のA社チャージエリアに200円、B社チャージエリアに500円、C社チャージエリアに200円をチャージする。
【0038】
図9は、カードチャージユニットによる金額チャージの第4例を示す図である。図10は、カードチャージユニットによる金額チャージの第5例を示す図である。図11は、カードチャージユニットによる金額チャージの第6例を示す図である。複数社が管轄する複数営業エリア(A社営業エリア、B社営業エリア、C社営業エリア…)を利用可能なICカードに対して所定の金額情報をチャージするとき、ICカード10から利用履歴情報を読み取り、図9、図10、図11に示すように、この利用履歴情報に基づき各営業エリアに対してチャージする金額情報の配分を決定し、各営業エリアに対して決定された配分の金額情報をチャージする。例えば、ICカード10に対して営業エリア毎にチャージエリア(A社チャージエリア、B社チャージエリア、C社チャージエリア…)を持たせ、ICカード10の利用履歴情報に基づき各社チャージエリアに対してチャージする金額情報の配分を決定し、各社チャージエリアに対して決定された配分の金額情報をチャージする。
【0039】
ここで、金額チャージの第4例、第5例、及び第6例について、詳細に説明する。
【0040】
金額チャージの第4例は、図9に示すように、過去nヶ月の利用履歴情報に基づき、各営業エリアに対してチャージする金額情報の配分を決定し、各営業エリアに対して決定された配分の金額情報をチャージする。例えば、表示部102のタッチパネル部122を介して利用者によりICカードに対して1000円のチャージが指示され、過去nヶ月の利用履歴情報がA社の利用:B社の利用:C社の利用=2:3:5を示している場合には、カードチャージユニット112aはICカード10のA社チャージエリアに200円、B社チャージエリアに300円、C社チャージエリアに500円をチャージする。
【0041】
金額チャージの第5例は、図10に示すように、過去の全利用履歴情報に基づき、各営業エリアに対してチャージする金額情報の配分を決定し、各営業エリアに対して決定された配分の金額情報をチャージする。例えば、表示部102のタッチパネル部122を介して利用者によりICカードに対して600円のチャージが指示され、過去の全利用履歴情報がA社の利用:B社の利用:C社の利用=1:2:3を示している場合には、カードチャージユニット112aはICカード10のA社チャージエリアに100円、B社チャージエリアに200円、C社チャージエリアに300円をチャージする。
【0042】
金額チャージの第6例は、図11に示すように、過去の全利用履歴情報のうち、過去nヶ月の利用履歴情報にX割、過去(n+1)ヶ月〜過去(n+1+m)ヶ月の利用履歴情報に(X−Y)割、過去(n+1+m+1)ヶ月以前の利用履歴情報に(X−Y−Z)割の重み付けをして、これら重み付けされた利用履歴情報に基づき、各営業エリアに対してチャージする金額情報の配分を決定し、各営業エリアに対して決定された配分の金額情報をチャージする。例えば、表示部102のタッチパネル部122を介して利用者によりICカードに対して600円のチャージが指示され、過去のnヶ月の利用履歴情報に6割、過去(n+1)ヶ月〜過去(n+1+m)ヶ月の利用履歴情報に3割割、過去(n+1+m+1)ヶ月以前の利用履歴情報に1割の重み付けをした結果、A社の利用:B社の利用:C社の利用=1:3:2を示す場合には、カードチャージユニット112aはICカード10のA社チャージエリアに100円、B社チャージエリアに300円、C社チャージエリアに200円をチャージする。
【0043】
また、金額チャージの第7例として、ICカード10に対して所定の金額情報をチャージするとき、ICカード10から読み取られる利用履歴情報から判明する所定期間内における利用頻度が所定回数以上の実質的に利用されている営業エリア毎に所定の配分で金額情報をチャージするようにしてもよい。このとき、所定期間内における利用頻度が所定回数未満の営業エリアに対して既にチャージされている金額情報があれば、この利用頻度が所定回数未満の営業エリアに対してチャージされている金額情報を実質的に利用されている営業エリア毎に所定の配分でチャージするようにしてもよい。例えば、利用履歴情報から、A社営業エリアとB社営業エリアの3ヶ月以内の利用頻度が1回以上であることが判明したとき、これらA社営業エリアとB社営業エリアが実質的に利用されている営業エリアであると仮定する。これに対して、C社営業エリアの3ヶ月以内の利用頻度が1回未満、つまり0回であることが判明したとき、このC社営業エリアが実質的に利用されていない営業エリアであると仮定する。この状態で、表示部102のタッチパネル部122を介して利用者によりICカードに対して1000円のチャージが指示されると、カードチャージユニット112aはICカード10のA社チャージエリアに500円、B社チャージエリアに500円をチャージし、C社チャージエリアにはチャージしない。このとき、C社チャージエリアに400円のチャージ残額があれば、このC社チャージエリアの400円を200円ずつ、A社チャージエリアとB社チャージエリアにチャージする。さらに、上記したような利用頻度の低いチャージエリアを削除するようにしてもよい。
【0044】
上記説明したように、ICカード処理装置1によりICカード10に対して金額情報がチャージされると、図12に示すように、ICカード処理装置1は各社データ収集サーバ4に対して金額情報のチャージに関するデータを送信する。さらに、各社データ収集サーバ4は、全社データ収集サーバ5に対して金額情報のチャージに関するデータを送信する。
【0045】
なお、金額チャージの第4例〜第7例は利用履歴情報が必要となるので、ICカードを始めて利用する場合には適用できない。つまり、初回チャージには、金額チャージの第1例〜第3例が適用される。2回目以降のチャージには、第4例〜第7例が適用されるものとする。
【0046】
次に、上記説明した金額チャージを受けたICカード10を利用した自動改札装置2の精算処理及び改札処理について説明する。自動改札装置2は、アンテナ17及び無線リーダ/ライタ246により、ICカード10に記録された情報を読み取り、またICカード10に対して所定の情報を書き込む。精算処理部244は、ICカードから読み取られた入出場記録などの情報に基づき、必要に応じて各営業エリアの利用に応じた各営業エリアで必要な金額を精算する。自動改札装置2は、各社データ収集サーバ4に対して精算データを送信する。さらに、各社データ収集サーバ4は、全社データ収集サーバ5に対して精算データを送信する。
【0047】
例えば、ICカード10を利用して、A社のa駅から入場してA社の営業エリア、B社の営業エリアを経由して、C社のc駅で出場するケースについて説明する。A社営業エリアの乗車分の運賃が200円で、B社営業エリアの乗車分の運賃が100円で、C社営業エリアの乗車分の運賃が300円であると仮定する。なお、A社のa駅からC社のc駅までの区間は、ICカード10の定期区間外であるとする。つまり、A社のa駅からC社のc駅までの区間の運賃の支払いが必要であるとする。
【0048】
A社のa駅で入場するとき、ICカード10に対して入場日時とA社のa駅で入場したことを示す入場情報が記録される。このとき、ICカード10のA社チャージエリアから初乗り運賃を予め差し引くようにしてもよい。
【0049】
C社のc駅で出場するときには、ICカード10から入場情報が読み取られ、A社のa駅で入場したことが判明する。このとき、A社のa駅からC社のc駅までの運賃が算出される。つまり、A社営業エリアの乗車分の運賃が200円で、B社営業エリアの乗車分の運賃が100円で、C社営業エリアの乗車分の運賃が300円であることが判明する。ICカード10のA社チャージエリアに300円チャージされていれば、この300円からA社営業エリアの乗車分の運賃が200円が差し引かれる。同様に、ICカード10のB社チャージエリアに300円チャージされていれば、この300円からB社営業エリアの乗車分の運賃が100円が差し引かれる。同様に、ICカード10のC社チャージエリアに300円チャージされていれば、この300円からC社営業エリアの乗車分の運賃が300円が差し引かれる。なお、A社のa駅を入場するときに、ICカード10のA社チャージエリアから初乗り運賃を差し引いた場合は、既に差し引かれた初乗り運賃分を考慮して精算処理がなされる。
【0050】
上記精算処理の結果、図12に示すように、ICカード10の各社チャージエリアの残額が書き換えられ、A社チャージエリアの残額は100円、B社チャージエリアの残額は200円、C社チャージエリアの残額は0円となる。さらに、ICカード10の各社利用履歴エリアに利用履歴として利用額が書き込まれ、A社履歴エリアの利用額は200円、B社履歴エリアの利用額は100円、C社履歴エリアの利用額は300円となる。
【0051】
さらに、C社のc駅での出場時には、ICカード10に対して出場日時とB社のb駅で出場したことを示す出場情報が記録される。つまり、入場情報と出場情報をあわせて、利用履歴情報とすることができる。
【0052】
上記したように、C社のc駅での出場時に、A社営業エリアの乗車分の運賃、B社営業エリアの乗車分の運賃、及びC社営業エリアの乗車分の運賃をICカードにチャージされた金額から差し引くことができれば、改札判定部212により出場が許可される。
【0053】
続いて、上記ケースにおいて、A社営業エリアの乗車分の運賃が400円であった場合の精算処理について説明する。つまり、A営業エリアの乗車分の運賃が、A社チャージエリアの残額を上回っているときの精算処理について説明する。このとき、ICカードの全残額が、運賃総額を上回っていなければ、ICカードに対して追加で金額チャージをしないと、自動改札装置2で精算処理を受けて出場することはできない。上記ケースでは、ICカード10の全残額が、A社チャージエリア300円、B社チャージエリア300円、C社チャージエリア300の合計900円である。これに対して、運賃総額は、A営業エリアの乗車分の運賃400とB営業エリアの乗車分の運賃100円とC営業エリアの乗車分の運賃300円の合計800円である。つまり、ICカードの全残額が、運賃総額を上回っている。
【0054】
このとき、A社営業エリアの乗車分の運賃400円のうち300円を本来のA社チャージエリアの残額300円から差し引き、残り100円をB社チャージエリアの残額から暫定的に差し引く。
【0055】
上記した暫定的な精算処理は、月極め/期末で各社相互精算処理により相殺するか、或いは次回のICカード10に対するチャージ処理の際に相殺する。
【0056】
続いて、図13を参照して、ICカード10による回数券相当の運用について説明する。自動改札装置2の改札判定部232は、ICカード10から読み取られる利用履歴情報に基づき、今回の利用で所定区間の利用回数が所定回数に到達したと判断すると、この所定区間の利用で必要な金額を無料と判断し、改札を許可する。これに伴い、精算処理部244は、今回の所定区間の利用で必要な金額をICカード10から引き去らない。さらに、無線リーダ/ライタ246は、ICカード10に対して今回の利用で所定区間の利用回数が所定回数に到達したことを示す情報を書き込む。例えば、無線リーダ/ライタ246は、ICカード10に対して所定区間の利用回数0を書き込む。
【0057】
さらに、上記したICカード10による回数券相当の運用についてより具体的に説明する。図13に示すように、例えば、ICカード10に、利用履歴情報として、乗車区間(a−b)と利用回数(n回)の情報を持たせる。乗車区間の情報は、ICカード10の利用に伴い自動的に設定されてもよいし、利用者がICカード処理装置1により手動で設定するようにしてもよい。所定区間を利用する度に、所定区間の利用回数がカウントアップされる。例えば、所定区間の利用回数が11回になると、11回目の利用は無料扱いとされ、所定区間の利用回数が0にリセットされる。
【0058】
以上説明したように、この発明のICカード処理装置及び自動改札装置によれば、下記の作用効果を得ることができる。
(1)利用者が所定の金額情報をICカードにチャージするとき、利用者が意識することなく、ICカードに対して予め営業エリア毎に所定の配分で金額情報がチャージされる。これにより、後の各社相互精算処理の負担を軽減することができる。
(2)利用者が所定の金額情報をICカードにチャージするとき、利用者が意識することなく、ICカードに対して利用を予測して営業エリア毎に所定の配分で金額情報がチャージされる。これにより、チャージの時点で各社売上を予測できる。その結果、チャージの時点の売上金と実際の売上金との乖離率が小さくなり、事業経営の健全化を図ることができる。
(3)ICカードの利用履歴情報に基づき回数券相当(割引)の運用が可能となる。ICカードの利用に応じて自動的に区間が設定される運用とすれば、利用者は意識することなく回数券相当の恩恵を受けることができる。
【0059】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0060】
【発明の効果】
この発明によれば、複数社が管轄する複数営業エリアを利用可能なICカードの利用に伴う各社相互精算処理の負担を軽減することが可能なICカード処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数社の改札処理データを収集するシステムの概略構成を示す図である。
【図2】自動改札装置の外観を示す斜視図である。
【図3】自動改札装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図4】ICカード処理装置の外観を示す斜視図である。
【図5】ICカード処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図6】カードチャージユニットによる金額チャージの第1例を示す図である。
【図7】カードチャージユニットによる金額チャージの第2例を示す図である。
【図8】カードチャージユニットによる金額チャージの第3例を示す図である。
【図9】カードチャージユニットによる金額チャージの第4例を示す図である。
【図10】カードチャージユニットによる金額チャージの第5例を示す図である。
【図11】カードチャージユニットによる金額チャージの第6例を示す図である。
【図12】金額チャージ時から精算処理までのICカード中のデータ(チャージ金額、利用履歴情報)の変遷の一例を示す図である。
【図13】ICカードの回数券相当の運用を説明するための図である。
【符号の説明】
1…ICカード処理装置、2…自動改札装置、3…自動改札装置制御盤、4…各社データ収集サーバ、5…全社データ収集サーバ、10…ICカード、カード処理ユニット112、カードチャージユニット112a、232…改札判定部、244…精算処理部、246…無線リーダ/ライタ
Claims (4)
- 複数社が管轄する複数営業エリアを利用可能なICカードに対して、所定の金額情報をチャージするICカード処理装置であって、
前記ICカードからのデータの読み取り、及び前記ICカードに対するデータの書き込みを行なう読み書き手段と、
前記読み書き手段により前記ICカードに対して所定の金額情報をチャージするとき、営業エリア毎に均等割りした配分で金額情報をチャージするチャージ手段と、
を備えたことを特徴とするICカード処理装置。 - 複数社が管轄する複数営業エリアを利用可能なICカードに対して、所定の金額情報をチャージするICカード処理装置であって、
前記ICカードからのデータの読み取り、及び前記ICカードに対するデータの書き込みを行なう読み書き手段と、
前記読み書き手段により前記ICカードに対して所定の金額情報をチャージするとき、前記読み書き手段により前記ICカードから定期乗車区間に関する情報を読み取り、この定期乗車区間が含まれる営業エリアに対して優先的な配分で金額情報をチャージするチャージ手段と、
を備えたことを特徴とするICカード処理装置。 - 複数社が管轄する複数営業エリアを利用可能なICカードに対して、所定の金額情報をチャージするICカード処理装置であって、
前記ICカードからのデータの読み取り、及び前記ICカードに対するデータの書き込みを行なう読み書き手段と、
前記読み書き手段により前記ICカードに対して所定の金額情報をチャージするとき、前記読み書き手段により前記ICカードから利用履歴情報を読み取り、この利用履歴情報に基づき各営業エリアに対してチャージする金額情報の配分を決定し、各営業エリアに対して決定された配分の金額情報をチャージするチャージ手段と、
を備えたことを特徴とするICカード処理装置。 - 複数社が管轄する複数営業エリアを利用可能なICカードに対して、所定の金額情報をチャージするICカード処理装置であって、
前記ICカードからのデータの読み取り、及び前記ICカードに対するデータの書き込みを行なう読み書き手段と、
前記読み書き手段により前記ICカードに対して所定の金額情報をチャージするとき、前記読み書き手段により前記ICカードから読み取られる利用履歴情報から判明する所定期間内における利用頻度が所定回数以上の実質的に利用されている営業エリア毎に所定の配分で金額情報をチャージするとともに、所定期間内における利用頻度が所定回数未満の営業エリアに対して既にチャージされている金額情報を実質的に利用されている営業エリア毎に所定の配分でチャージするチャージ手段と、
を備えたことを特徴とするICカード処理装置。
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