JP4089077B2 - 熱交換器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を熱交換する熱交換器に関するもので、水冷エンジン(液冷内燃機関)の冷却水(冷却液)の熱を大気中に放熱する車両用ラジエータに適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】
車両用ラジエータ内の冷却水を排水するドレン構造(排水構造)として、図5に示すように、ラジエータを車両に位置決め固定する取付ピン124に排水通路を設けたものが実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記手段はヘッダタンク120と取付ピン124とが樹脂にて一体成形しているので、車種によって取付ピン124を挿入すべき位置が相違する場合には、たとえコア部(の大きさ)110が同一のラジエータであっても、車種ごとにヘッダタンク120を準備する必要がある。このため、ラジエータを構成する部品の種類が増大するので、ラジエータの製造原価低減を図ることが困難である。
【0004】
一方、ヘッダタンク120の種類を減少させると、搭載するラジエータに合わせた車両設計が必要となるので、設計上の制約条件が増大し、ラジエータの車両への搭載性が低下する。
本発明は、上記点に鑑み、ラジエータ等の熱交換器の搭載性を向上させつつ、熱交換器の製造原価低減を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜4に記載の発明では、ブラケット(141)のうち、上下方向と交差する方向に拡がるブラケット壁面(143)には、そのブラケット壁面(143)から下方側に延びるとともに、固定部材に挿入されるパイプ状の取付ピン(144)が設けられ、ヘッダタンク(121)の下端側のうちブラケット壁面(143)と対向する部位(123)は、ブラケット壁面(143)と所定の隙間(δ)を有して離隔し、さらに、ヘッダタンク(121)の下端側のうちブラケット壁面(143)と対向する部位には、ヘッダタンク(121)内に溜まった流体を排出するドレン口(124)が形成されていることを特徴とする。
【0006】
これにより、たとえコア部(110)が同一の熱交換器であっても、種々のヘッダタンク(121)を準備することなく、ブラケット(141)の取付位置を変更することにより容易に熱交換器を固定部材に組み付けることができる。
したがって、熱交換器を固定部材に組み付ける際の設計上の制約条件を大幅に緩和するこのができるので、熱交換器の組み付け性を向上させつつ、熱交換器の製造原価低減を図ることができる。
【0007】
また、ドレン口(124)とブラケット壁面(143)とは所定の隙間(δ)を介して対向しているので、ドレン口(124)から排水される流体は、一旦、ブラケット壁面(143)に衝突してその動圧を低下させた後、取付ピン(144)内を流通して排出されることとなる。
したがって、熱交換器から排出される流体の動圧(勢い)を低下させた状態で流体を排出できるので、流体の排出時に流体が飛散(飛び散る)ことを防止できる。
【0008】
以上に述べたように、本発明によれば、流体の排出時に流体が飛散(飛び散る)ことを防止しながら、熱交換器の組み付け性を向上させつつ、熱交換器の製造原価低減を図ることができる。
請求項2に記載の発明では、ブラケット壁面(143)の端部には、その端部から上方側に向けて延出する壁部(146a〜146d)が形成されていることを特徴とする。
【0009】
これにより、壁部(146a〜146d)が堰として機能するので、確実に流体が飛散(飛び散る)ことを防止できる。
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、本発明に係る熱交換器を車両走行用水冷エンジンの冷却水を放熱(冷却)するラジエータに本発明に係る熱交換器を適用したもので、図1は本実施形態に係るラジエータ100の空気流れ上流側から見た正面図である。
図1中、111は冷却水(流体)が流通する複数本の扁平状チューブ(以下、チューブと略す)であり、このチューブ111間には、波状(コルゲート状)に形成されて空気と冷却水との熱交換を促進する冷却フィン(以下、フィンと略す)112が配設されている。そして、このフィン112及びチューブ111により矩形状のラジエータコア部(以下、コア部と略す。)110が構成されている。
【0011】
また、コア部110の端部のうちチューブ111の長手方向両端側には、チューブ111の長手方向と直交する方向(上下方向)に延びるとともに、複数本のチューブ111と連通する第1、2ヘッダタンク121、122が配設されている。
ここで、チューブ111の長手方向一端側(紙面左側に位置する第1ヘッダタンク121は、エンジン(図示せず)から流出した冷却水を複数本のチューブ111に分配供給するもので、長手方向他端側(紙面右側)に位置する第2ヘッダタンク122は、熱交換を終えた冷却水を集合回収してエンジンに向けて排水するものである。なお、以下、第1、2ヘッダタンク121、122を総称してヘッダタンク120と表記する。
【0012】
また、コア部110の上下端部には、チューブ111の長手方向と平行な方向に延びてコア部110を補強する第1、2補強プレート(サイドプレート)131、132が配設されており、この補強プレート131、132は、断面がコの字状にプレス成形されたものである。
なお、本実施形態では、チューブ111、フィン112、ヘッダタンク120及び第1補強プレート131、132の全てはアルミニウム金属製であり、かつ、ろう付け接合により一体化されている。
【0013】
ところで、ヘッダタンク120の下端側には、コア部110及びヘッダタンク120を車両(固定部材)側に設けられた下部ブラケット(図示せず)に固定するための鉄系金属からなる第1ブラケット141が第1補強プレート131にボルト150にて結合(締結)され、一方、ヘッダタンク120の上端側には、コア部110及びヘッダタンク120を車両側に設けられた上部ブラケット(図示せず)に固定するための鉄系金属からなる第2ブラケット142が第2補強プレート132にボルト150にて結合(締結)されている。
【0014】
なお、第1、2ブラケット141、142は、コア部110に対する設置方向(上下方向)が異なるのみで、形状及び寸法等の各諸元は同じであるので、以下、第1ヘッダタンク121の下端側に配設された第1ブラケット141(以下、単にブラケット141と表記する)に基づいてブラケットについて説明する。
図2は、第1ヘッダタンク121の下端側を示しており、第1ヘッダタンク120の下端側は、ドレンプラグ161を挿入する樹脂製のシートコック162が挿入された状態で、ろう付け接合されるタンクキャップ123により閉塞される。
【0015】
そして、ブラケット141のうち、上下方向と交差する方向(水平方向)に拡がる排水受け面(ブラケット壁面)143には、その排水受け面143から下方側に延びるとともに、下部ブラケット(車両)に挿入される丸パイプ状の取付ピン144が溶接接合されている。
一方、第1ヘッダタンク121の下端側のうち排水受け面143と対向する部位(タンクキャップ123)は、排水受け面143と所定の隙間δ(図2(b)参照)を有して離隔しているとともに、第1ヘッダタンク121内に溜まった冷却水を排水するドレン口124が形成されている。
【0016】
そして、排水受け面143の端部4辺には、その端部4辺から上方側に向けて延出する壁部146a〜146dおり、この壁部146a〜146d及び排水受け面143によりドレン口124から排水される冷却水が一時的に溜まるバッファタンク部(容積部)145が形成されている。
なお、図1中、161はエンジンの冷却水出口側に接続される流入口パイプであり、162はエンジンの冷却水入口側に接続される流出口パイプである。
【0017】
次に、本実施形態の特徴を述べる。
本実施形態では、ブラケット141と補強プレート131とを独立に形成するとともに、両者をボルト150にて結合しているので、たとえコア部(の大きさ)110が同一のラジエータであっても、車種ごとにヘッダタンク120を準備することなく、第1、2ブラケット141、142の取付位置を変更することにより、ラジエータ100を容易に車両に組み付けることができる。
【0018】
したがって、ラジエータ100を車両に搭載する(組み付ける)際の設計上の制約条件を大幅に緩和するこのができるので、ラジエータ100の搭載性(組み付け性)を向上させつつ、ラジエータ100の製造原価低減を図ることができる。
また、第1ヘッダタンク121に形成されたドレン口124と排水受け面143とは所定の隙間δを介して対向しているので、ドレン口124から排水される冷却水は、一旦、排水受け面143に衝突してその動圧を低下させた後、取付ピン144内を流通してラジエータ100外に排水されることとなる。
【0019】
したがって、ラジエータ100から排水される冷却水の動圧(勢い)を低下させた状態で冷却水を排水できるので、冷却水の排水時に冷却水が飛散(飛び散る)ことを防止できる。
以上に述べたように、本実施形態によれば、冷却水の排水時に冷却水が飛散(飛び散る)ことを防止しながら、ラジエータ100の車両への搭載性(組み付け性)を向上させつつ、ラジエータ100の製造原価低減を図ることができる。
因みに、バッファタンク部145の容積(壁部146a〜146dの高さや排水受け面143の面積)を拡大すれば、実際に取付ピン144から流出する冷却水の動圧(流速)を低減することができる。したがって、壁部146a〜146dの高さや排水受け面143の面積は、ブラケット141が過度に大きくならない程度に、比較的大きくすることが望ましい。
【0020】
また、排水受け面143の端部に壁部146a〜146dが形成されているので、壁部146a〜146dが冷却水が溢れ出ることを防止する堰として機能する。したがって、バッファタンク部145から冷却水が飛散(飛び散る)ことを確実に防止することができる。
ところで、近年、車両部品のリサイクル性を向上させるべく、ラジエータ100の構成部品を全てアルミニウム等の金属にて構成する必要性が高まってきている。
【0021】
この要求に対して、本実施形態では、ラジエータ100の構成部品を全て金属にて構成しているので、ラジエータ100のリサイクル性を向上させることができる。
ところで、仮にヘッダタンク120を樹脂にて成形した場合には、図3に示すように、車種ごとに取付ピンの位置が相違するヘッダタンクを比較的に容易に製造することができるのの、金属製にて図3に示すような形状を有するヘッダタンク120を製造することは、樹脂にて製造する場合に比べて難しい。
【0022】
これに対して、本実施形態では、ヘッダタンク120と別体にて製造した第1、2ブラケット141、142を補給プレート131、132に結合するしているので、ラジエータ100の構成部品を全て金属製としても容易にラジエータを100を製造することができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、排水受け面143と一体に壁部146a〜146d形成したが、図4に示すように、壁部146a〜146dを廃止して排水受け面143とタンクキャップ123との間にOリングやゴムブッシュ等のスペーサ部材147を配設してバッファタンク部(容積部)145を構成してもよい。
【0023】
また、上述の実施形態では、第1、2ブラケット141、142とヘッダタンク120とをボルト150にてねじ結合したが、両ブラケット141、142をステンレス又はアルミニウム製としてろう付けにて補強プレート131、132に結合させてもよい。
また、上述の実施形態では、ラジエータに本発明に係る熱交換器を適用したが、コンデンサ等のその他の熱交換器に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るラジエータの正面図である。
【図2】(a)は図1のA部拡大図であり、(b)はA部の拡大断面図である。
【図3】試作検討品に係るラジエータの正面図である。
【図4】本発明の変形例に係るラジエータにおけるヘッダタンク下部の拡大図である。
【図5】従来の技術に係るラジエータにおけるヘッダタンク下部の拡大図である。
【符号の説明】
121…第1ヘッダタンク、124…ドレン口、131…補強プレート、
150…ボルト、141…第1ブラケット、
143…排水受け面(ブラケット壁面)、144…取付ピン。
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を熱交換する熱交換器に関するもので、水冷エンジン(液冷内燃機関)の冷却水(冷却液)の熱を大気中に放熱する車両用ラジエータに適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】
車両用ラジエータ内の冷却水を排水するドレン構造(排水構造)として、図5に示すように、ラジエータを車両に位置決め固定する取付ピン124に排水通路を設けたものが実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記手段はヘッダタンク120と取付ピン124とが樹脂にて一体成形しているので、車種によって取付ピン124を挿入すべき位置が相違する場合には、たとえコア部(の大きさ)110が同一のラジエータであっても、車種ごとにヘッダタンク120を準備する必要がある。このため、ラジエータを構成する部品の種類が増大するので、ラジエータの製造原価低減を図ることが困難である。
【0004】
一方、ヘッダタンク120の種類を減少させると、搭載するラジエータに合わせた車両設計が必要となるので、設計上の制約条件が増大し、ラジエータの車両への搭載性が低下する。
本発明は、上記点に鑑み、ラジエータ等の熱交換器の搭載性を向上させつつ、熱交換器の製造原価低減を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜4に記載の発明では、ブラケット(141)のうち、上下方向と交差する方向に拡がるブラケット壁面(143)には、そのブラケット壁面(143)から下方側に延びるとともに、固定部材に挿入されるパイプ状の取付ピン(144)が設けられ、ヘッダタンク(121)の下端側のうちブラケット壁面(143)と対向する部位(123)は、ブラケット壁面(143)と所定の隙間(δ)を有して離隔し、さらに、ヘッダタンク(121)の下端側のうちブラケット壁面(143)と対向する部位には、ヘッダタンク(121)内に溜まった流体を排出するドレン口(124)が形成されていることを特徴とする。
【0006】
これにより、たとえコア部(110)が同一の熱交換器であっても、種々のヘッダタンク(121)を準備することなく、ブラケット(141)の取付位置を変更することにより容易に熱交換器を固定部材に組み付けることができる。
したがって、熱交換器を固定部材に組み付ける際の設計上の制約条件を大幅に緩和するこのができるので、熱交換器の組み付け性を向上させつつ、熱交換器の製造原価低減を図ることができる。
【0007】
また、ドレン口(124)とブラケット壁面(143)とは所定の隙間(δ)を介して対向しているので、ドレン口(124)から排水される流体は、一旦、ブラケット壁面(143)に衝突してその動圧を低下させた後、取付ピン(144)内を流通して排出されることとなる。
したがって、熱交換器から排出される流体の動圧(勢い)を低下させた状態で流体を排出できるので、流体の排出時に流体が飛散(飛び散る)ことを防止できる。
【0008】
以上に述べたように、本発明によれば、流体の排出時に流体が飛散(飛び散る)ことを防止しながら、熱交換器の組み付け性を向上させつつ、熱交換器の製造原価低減を図ることができる。
請求項2に記載の発明では、ブラケット壁面(143)の端部には、その端部から上方側に向けて延出する壁部(146a〜146d)が形成されていることを特徴とする。
【0009】
これにより、壁部(146a〜146d)が堰として機能するので、確実に流体が飛散(飛び散る)ことを防止できる。
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、本発明に係る熱交換器を車両走行用水冷エンジンの冷却水を放熱(冷却)するラジエータに本発明に係る熱交換器を適用したもので、図1は本実施形態に係るラジエータ100の空気流れ上流側から見た正面図である。
図1中、111は冷却水(流体)が流通する複数本の扁平状チューブ(以下、チューブと略す)であり、このチューブ111間には、波状(コルゲート状)に形成されて空気と冷却水との熱交換を促進する冷却フィン(以下、フィンと略す)112が配設されている。そして、このフィン112及びチューブ111により矩形状のラジエータコア部(以下、コア部と略す。)110が構成されている。
【0011】
また、コア部110の端部のうちチューブ111の長手方向両端側には、チューブ111の長手方向と直交する方向(上下方向)に延びるとともに、複数本のチューブ111と連通する第1、2ヘッダタンク121、122が配設されている。
ここで、チューブ111の長手方向一端側(紙面左側に位置する第1ヘッダタンク121は、エンジン(図示せず)から流出した冷却水を複数本のチューブ111に分配供給するもので、長手方向他端側(紙面右側)に位置する第2ヘッダタンク122は、熱交換を終えた冷却水を集合回収してエンジンに向けて排水するものである。なお、以下、第1、2ヘッダタンク121、122を総称してヘッダタンク120と表記する。
【0012】
また、コア部110の上下端部には、チューブ111の長手方向と平行な方向に延びてコア部110を補強する第1、2補強プレート(サイドプレート)131、132が配設されており、この補強プレート131、132は、断面がコの字状にプレス成形されたものである。
なお、本実施形態では、チューブ111、フィン112、ヘッダタンク120及び第1補強プレート131、132の全てはアルミニウム金属製であり、かつ、ろう付け接合により一体化されている。
【0013】
ところで、ヘッダタンク120の下端側には、コア部110及びヘッダタンク120を車両(固定部材)側に設けられた下部ブラケット(図示せず)に固定するための鉄系金属からなる第1ブラケット141が第1補強プレート131にボルト150にて結合(締結)され、一方、ヘッダタンク120の上端側には、コア部110及びヘッダタンク120を車両側に設けられた上部ブラケット(図示せず)に固定するための鉄系金属からなる第2ブラケット142が第2補強プレート132にボルト150にて結合(締結)されている。
【0014】
なお、第1、2ブラケット141、142は、コア部110に対する設置方向(上下方向)が異なるのみで、形状及び寸法等の各諸元は同じであるので、以下、第1ヘッダタンク121の下端側に配設された第1ブラケット141(以下、単にブラケット141と表記する)に基づいてブラケットについて説明する。
図2は、第1ヘッダタンク121の下端側を示しており、第1ヘッダタンク120の下端側は、ドレンプラグ161を挿入する樹脂製のシートコック162が挿入された状態で、ろう付け接合されるタンクキャップ123により閉塞される。
【0015】
そして、ブラケット141のうち、上下方向と交差する方向(水平方向)に拡がる排水受け面(ブラケット壁面)143には、その排水受け面143から下方側に延びるとともに、下部ブラケット(車両)に挿入される丸パイプ状の取付ピン144が溶接接合されている。
一方、第1ヘッダタンク121の下端側のうち排水受け面143と対向する部位(タンクキャップ123)は、排水受け面143と所定の隙間δ(図2(b)参照)を有して離隔しているとともに、第1ヘッダタンク121内に溜まった冷却水を排水するドレン口124が形成されている。
【0016】
そして、排水受け面143の端部4辺には、その端部4辺から上方側に向けて延出する壁部146a〜146dおり、この壁部146a〜146d及び排水受け面143によりドレン口124から排水される冷却水が一時的に溜まるバッファタンク部(容積部)145が形成されている。
なお、図1中、161はエンジンの冷却水出口側に接続される流入口パイプであり、162はエンジンの冷却水入口側に接続される流出口パイプである。
【0017】
次に、本実施形態の特徴を述べる。
本実施形態では、ブラケット141と補強プレート131とを独立に形成するとともに、両者をボルト150にて結合しているので、たとえコア部(の大きさ)110が同一のラジエータであっても、車種ごとにヘッダタンク120を準備することなく、第1、2ブラケット141、142の取付位置を変更することにより、ラジエータ100を容易に車両に組み付けることができる。
【0018】
したがって、ラジエータ100を車両に搭載する(組み付ける)際の設計上の制約条件を大幅に緩和するこのができるので、ラジエータ100の搭載性(組み付け性)を向上させつつ、ラジエータ100の製造原価低減を図ることができる。
また、第1ヘッダタンク121に形成されたドレン口124と排水受け面143とは所定の隙間δを介して対向しているので、ドレン口124から排水される冷却水は、一旦、排水受け面143に衝突してその動圧を低下させた後、取付ピン144内を流通してラジエータ100外に排水されることとなる。
【0019】
したがって、ラジエータ100から排水される冷却水の動圧(勢い)を低下させた状態で冷却水を排水できるので、冷却水の排水時に冷却水が飛散(飛び散る)ことを防止できる。
以上に述べたように、本実施形態によれば、冷却水の排水時に冷却水が飛散(飛び散る)ことを防止しながら、ラジエータ100の車両への搭載性(組み付け性)を向上させつつ、ラジエータ100の製造原価低減を図ることができる。
因みに、バッファタンク部145の容積(壁部146a〜146dの高さや排水受け面143の面積)を拡大すれば、実際に取付ピン144から流出する冷却水の動圧(流速)を低減することができる。したがって、壁部146a〜146dの高さや排水受け面143の面積は、ブラケット141が過度に大きくならない程度に、比較的大きくすることが望ましい。
【0020】
また、排水受け面143の端部に壁部146a〜146dが形成されているので、壁部146a〜146dが冷却水が溢れ出ることを防止する堰として機能する。したがって、バッファタンク部145から冷却水が飛散(飛び散る)ことを確実に防止することができる。
ところで、近年、車両部品のリサイクル性を向上させるべく、ラジエータ100の構成部品を全てアルミニウム等の金属にて構成する必要性が高まってきている。
【0021】
この要求に対して、本実施形態では、ラジエータ100の構成部品を全て金属にて構成しているので、ラジエータ100のリサイクル性を向上させることができる。
ところで、仮にヘッダタンク120を樹脂にて成形した場合には、図3に示すように、車種ごとに取付ピンの位置が相違するヘッダタンクを比較的に容易に製造することができるのの、金属製にて図3に示すような形状を有するヘッダタンク120を製造することは、樹脂にて製造する場合に比べて難しい。
【0022】
これに対して、本実施形態では、ヘッダタンク120と別体にて製造した第1、2ブラケット141、142を補給プレート131、132に結合するしているので、ラジエータ100の構成部品を全て金属製としても容易にラジエータを100を製造することができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、排水受け面143と一体に壁部146a〜146d形成したが、図4に示すように、壁部146a〜146dを廃止して排水受け面143とタンクキャップ123との間にOリングやゴムブッシュ等のスペーサ部材147を配設してバッファタンク部(容積部)145を構成してもよい。
【0023】
また、上述の実施形態では、第1、2ブラケット141、142とヘッダタンク120とをボルト150にてねじ結合したが、両ブラケット141、142をステンレス又はアルミニウム製としてろう付けにて補強プレート131、132に結合させてもよい。
また、上述の実施形態では、ラジエータに本発明に係る熱交換器を適用したが、コンデンサ等のその他の熱交換器に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るラジエータの正面図である。
【図2】(a)は図1のA部拡大図であり、(b)はA部の拡大断面図である。
【図3】試作検討品に係るラジエータの正面図である。
【図4】本発明の変形例に係るラジエータにおけるヘッダタンク下部の拡大図である。
【図5】従来の技術に係るラジエータにおけるヘッダタンク下部の拡大図である。
【符号の説明】
121…第1ヘッダタンク、124…ドレン口、131…補強プレート、
150…ボルト、141…第1ブラケット、
143…排水受け面(ブラケット壁面)、144…取付ピン。
Claims (4)
- 流体が流通する複数本のチューブ(111)、及び前記チューブ(111)間に配設されて流体の熱交換を促進するフィン(112)からなる矩形状のコア部(110)と、
前記コア部(110)の端部のうち前記チューブ(111)の長手方向端側に配設され、前記チューブ(111)の長手方向と直交する方向に延びるとともに前記複数本のチューブ(111)と連通するヘッダタンク(121)とを有し、
前記コア部(110)の端部にて前記チューブ(111)の長手方向と平行な方向に延びるとともに、前記コア部(110)を補強する補強プレート(131)と、
前記ヘッダタンク(121)の下端側にて前記補強プレート(131)に結合され、前記コア部(110)及び前記ヘッダタンク(121)を固定部材に固定するブラケット(141)とを備え、
前記ブラケット(141)のうち、上下方向と交差する方向に拡がるブラケット壁面(143)には、そのブラケット壁面(143)から下方側に延びるとともに、前記固定部材に挿入されるパイプ状の取付ピン(144)が設けられ、
前記ヘッダタンク(121)の下端側のうち前記ブラケット壁面(143)と対向する部位(123)は、前記ブラケット壁面(143)と所定の隙間(δ)を有して離隔し、
さらに、前記ヘッダタンク(121)の下端側のうち前記ブラケット壁面(143)と対向する部位(123)には、前記ヘッダタンク(121)内に溜まった流体を排出するドレン口(124)が形成されていることを特徴とする熱交換器。 - 前記ブラケット壁面(143)の端部には、その端部から上方側に向けて延出する壁部(146a〜146d)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
- 前記ヘッダタンク(121)は、アルミニウム製であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。
- 前記ブラケット(121)と前記補強プレート(131)とは、ねじ結合にて結合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の熱交換器。
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