JP4025545B2 - 改善された色特性を有する顔料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、より高い色強さ及びより高い彩度ならびに他の優れた適用特性を有するピグメントバイオレット23の新規な顔料形態に関する。本発明の顔料は、有機液体の存在下でアモルファス化形態を無機塩と混練することによって得られ、特に印刷インクに使用することができる。また、同じ手順を使用することにより、他の顔料、中でも特にピグメントレッド254の適用特性を改善することが可能である。
【0002】
色、色強さ、光沢及び透明度は、印刷インク及びカラーフィルタで最も重要な色特性である。色は、非常に特定的な値に対応しなければならないが、多色印刷における広いカラーパレットを考慮して、可能な最大彩度を有しなければならない。このため、色強さ、光沢及び透明度は、可能な限り高いべきである。
【0003】
さらには、今日、顔料は、現代の環境に優しい系、たとえば水ベースの塗料又は印刷インクででもその適用特性を失うことなく使用することができるべきである。これらは、揮発分が、全揮発性成分の総重量に基づいて5〜100重量%、好ましくは少なくとも20重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%の水からなる配合物である。
【0004】
CIピグメントバイオレット23〔51319「カルバゾールバイオレット」〕は、たとえばCromophtal(登録商標)バイオレットGT(Ciba Spezialitaetenchemie AG)、Hostaperm(登録商標)バイオレットRLスペシャル(Clariant)又はFastogen(登録商標)スーパーバイオレットRN(Dainippon Ink)として、多くの等級で利用できる重要な市販顔料である。しかし、今日までに知られている製品には、印刷インク用の場合に特に色強さ、彩度、光沢及び透明度に関して完全な満足を与えることができるものがないことがわかった。
【0005】
最初の、そして最重要な市販1,4−ジケトピロロ−〔3,4−c〕−ピロール顔料であるCIピグメントレッド254〔56110〕もまた、多くの異なる等級、たとえばIrgazin(登録商標)レッドBO又はIrgaphor(登録商標)レッドB−CF(Ciba Specialty Chemicals Inc.)として入手することができる。しかし、これらの色特性、特に色相及び透明度は、まだ所望の値まで完全には達していないことがわかった。
【0006】
US5,281,268には、β形銅フタロシアニンの製造方法であって、粗原料をまず、磨細機で未知の速度条件下で乾式粉砕し、次いで、無機塩及び有機溶媒の存在下、混練機で湿式粉砕する方法が開示されている。この顔料は、カラーインク、塗料及び色付きプラスチック製品で優れた光沢及び明澄さを示す。
【0007】
また、US3,598,625には、主として同じく銅フタロシアニンに関する顔料の製造方法であって、粗顔料をまず、磨耗及びせん断の力にさらし、次いで、ミキサ中で超微粉砕塩及び溶媒で処理する方法が開示されている。一例として、粉砕後、ピグメントバイオレット23を9倍量の塩及び1.1倍量のヘキシレングリコールで処理している。ヘキシレングリコールと結晶質無機塩との割合は、1ml:7.54gであり、ヘキシレングリコールと塩+顔料との割合は、1ml:8.38gである。
【0008】
しかし、その後、様々なソースから、ジオキサジン顔料の場合に、結晶性の破壊が欠点となり、それを避けなければならないことが明らかになった。
【0009】
たとえば、US4,253,839には、粗粒子化ジオキサジン顔料を、その結晶構造が本質的に保持されるような方法で粉砕すべきであることが開示されている。この粉砕法は、欠陥のある表面を生じさせるため、さらに溶媒による後処理(酸、塩基又は樹脂の存在下で常に実施される)によって絶対に補足されなければならない。
【0010】
US5,800,607によると、非凝集性液状媒体、特にグリコール及びそのエーテル中で、粗ピグメントバイオレット23を高い周速で粉砕するならば、よりよい結果が得られる。
【0011】
US4,804,417には、粗ジオキサジンバイオレットを硫酸で処理したのち、溶解した無機塩及び少量のアルコールを含む水性媒体中で処理して、非常に高い比表面積を有する顔料が得られることが記載されている。結晶成長を起こすことは意図していない。
【0012】
EP069895には、グリコール及びアルカリ土類金属ハロゲン化物の存在下、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム又は硫酸アルミニウムで粉砕することによる、ピグメントバイオレット23をはじめとする粗多環式顔料のコンディショニングが開示されている。これは、改善された透明度、より明澄な色相及びより大きな色強さを達成することを意図している。
【0013】
しかし、EP075182によると、ポリリン酸での処理による有機顔料のコンディショニングで同様な利点が達成され、ここでもまた、ピグメントバイオレット23が挙げられている。
【0014】
DE1225598によると、乾式粉砕ののち、ジオキサジンバイオレットを脂肪族、脂環式又は芳香族ニトロ化合物、たとえばニトロベンゼンでさらに粉砕する。しかし、無機塩は存在しない。
【0015】
他方、US5,194,088には、顔料をコンディショニングするための方法であって、まず、粗生成物をあらかじめ粉砕し、次いで、50℃未満の温度で極性の高い溶媒と単に接触させる方法が記載されている。ピグメントブルー60及びピグメントバイオレット37が、既存の製品にほぼ相当する色強さ及び彩度を生じさせる。ピグメントバイオレット23は触れられておらず、ピグメントレッド254は、ピグメントレッド202への固溶体の少量成分としてだけ触れられている。
【0016】
US4,785,999には、非常に特殊な粉砕機構を使用し、非常に多量の溶媒の中で後処理を実施する、類似の方法が記載されている。数ある溶媒の中でも開示されているものは、ケトン類、エステル類及びジメチルホルムアミドである。後処理をキシレン/水エマルション中で実施するならば、優れた色強さ及び分散性を有するとされるピグメントバイオレット23をこの方法で得ることができるといわれている。
【0017】
US5,626,662及びJP09/165528には、顔料を、まず乾式粉砕し、次に、強力な高速ボールミルに入れて水性懸濁液中で粉砕する方法が開示されている。
【0018】
EP780446には、2−エチルカプロン酸での塩粉砕による、強く着色した純粋な顔料形態への粗ジオキサジンバイオレットの単段式転換が開示されている。
【0019】
US4,317,908には、水と芳香族化合物との二相混合物中でピグメントバイオレット23のβ結晶形を調製する方法が開示されている。
【0020】
US5,476,949には、高い彩度(CIELAB C*)及び抜群の透明度の、微細に分割された透明度の高いジケトピロロピロール顔料が開示されている。これらの顔料は、モル比1:2でのスクシネートとニトリルとの反応から直接的に得られる。
【0021】
しかし、これらのきわめて多様な方法のいずれも、顔料、たとえば特にピグメントバイオレット23及びピグメントレッド254の、これまで思いもよらなかったほど高い着色能力を充分に解き放つことができていない。
【0022】
今、全く予想外にも、有機液体の存在下でアモルファス化ピグメントバイオレット23を無機塩で粉砕することにより、改善された色特性及び驚くほど高い色強さを有するバイオレット顔料を得ることができることがわかったが、これは、使用される有機液体がオキソ基を含み、混練可能な組成物が得られるように有機液体に対するピグメントバイオレット23及び無機塩の比率ならびに温度が選択されるならばである。
【0023】
すべての用途、特に印刷インク、好ましくは水ベースの印刷インクに理想的に適した、これまで達成されなかった色特性を有する顔料が得られる。
【0024】
したがって、本発明は、下記式:
【0025】
【化5】
【0026】
で示される顔料であって、グラビア印刷で白いクラフト紙に印刷した場合の乾燥後塗布量0.860g/m2(うち、式(I)の顔料が0.068g/m2を占める)で計測して、乾燥後、48以下の明度L*、少なくとも53の彩度C*及び295〜315の色相角hを与える顔料を提供し、
グラビア印刷インクが、各場合とも溶液の重量を基準にして、顔料30重量部と、水溶液(中に溶解した分散性樹脂30重量%及びイソプロパノール7重量%を含有する)30重量部とを、まず実験室用溶解装置を使用して6000rpm及び23±2℃で15分間分散させ、次にビードミル中、直径1.1±0.1mmのセラミックビーズを使用して6000rpm及び±30±10℃で10分間分散させ、得られた分散系を実験室用溶解装置に入れて、各場合とも溶液の重量を基準にして、水溶液(中に溶解したポリアクリレート18重量%及びイソプロパノール15重量%を含有する)900重量部で、6000rpm及び23±2℃で15分間希釈することによって調製される。
【0027】
構造(I)は、Ullmann Encyclopaediaにしたがって「ピグメントバイオレット23」を割り当てられた。
【0028】
明度L*は、好ましくは47.5を超えず、特に好ましくは47を超えず、とりわけ特に好ましくは約46.5を超えない。彩度C*は、好ましくは少なくとも53.5であり、特に好ましくは少なくとも54である。色相角hは、好ましくは305〜312であり、特に好ましくは307〜310であり、とりわけ特に好ましくは308〜309である。
【0029】
明度L*は、一般には約40の最小値と上記で指定した最大値との間、普通は約44の最小値と上記で指定した最大値との間にある。彩度C*は、一般には上記で指定した最小値と約60の最大値との間、普通は上記で指定した最小値と約56〜57の最大値との間にある。
【0030】
色値は、CIE規格1976に対応すると理解され、標準光源D65での照射の下、10°の標準観測角で、400〜700nmの可視範囲を使用して計測される。白のクラフト紙そのものが、計器を較正するための白標準として使用されるものである。色値を検査する場合、最適な紙は、光学増白剤を含有しない、公称重量120〜150g/m2、特に約135g/m2の白のクラフト紙である。たとえば、Zanders(商標)Mega Web 135gr no. 585585(Sihl & Eika Papier AG、CH-8800 Thalwil、スイス国)を使用することができる。
【0031】
疑わしい場合、色値は、以下の例D1に規定する手順にしたがって測定すべきである。
【0032】
顔料は、高純度であってもよいし、式(I)の発色団に加えて、当業者に公知であるさらなる成分、たとえば通例の顔料結合剤又は分散剤を含むものでもよい。さらなる成分は、顔料の色値に実質的に影響しないよう、好ましくは、無色、わずかに着色されている、又は式(I)の発色団と同じ色である。適切ならば、カラー印刷では、比吸収係数がその吸収極大値で式(I)の顔料の比吸収係数の30%未満であるさらなる成分を、全固形分で考慮に入れ、ただし顔料含量には考慮しない。
【0033】
また、たとえばその分散性を高めるため、多くの公知の方法のいずれかにしたがって、本発明の顔料を表面改質することが可能である。
【0034】
本発明はさらに、式(I)の化合物、結晶質無機塩又は結晶質無機塩の混合物及び有機液体から本質的になる組成物を混練することによって上記の本発明の顔料を調製する方法であって、
・混練の始動期、式(I)の化合物が実質的にアモルファス形態にあり、
・有機液体が少なくとも1個のオキソ基をその分子中に含み、
・有機液体と無機塩との割合が1ml:6g〜3ml:7gであり、有機液体と無機塩及び式(I)の化合物の総重量と割合が1ml:2.5g〜1ml:7.5gである方法を提供する。
【0035】
式(I)の化合物と結晶質無機塩との重量比は、好ましくは1:4〜1:12である。温度は、賢明には−20から有機液体の沸点の直前、特に約100℃までである。
【0036】
式(I)の化合物の実質的にアモルファスな性質は、当業者により、自らの一般知識にしたがって、たとえば平坦なX線回折図から認識される。US4,253,839で定義されたX線指数を使用するならば、この指数は、賢明には4未満、好ましくは2未満、特に好ましくは0〜1.5であるべきである。
【0037】
結晶化度を効率よく下げるのに特に有効であることが判明した方法は、粗顔料を無機塩とともに非常に高い加速度にかける新規な方法である。驚くことに、無機塩の非存在下又は通例の低めの加速度の場合よりも有意に良好な結果が達成される。
【0038】
したがって、本発明はまた、粗顔料を実質的にアモルファスな微粒子化形態に転換する方法であって、粗顔料と、結晶質無機塩又は結晶質無機塩混合物とを一緒にして、本質的にはさらなる成分の非存在下で、少なくとも10m/sの接線速度を有するロータの作用に付して、摩擦効果によって少なくとも80℃の温度に達するようにすることを含む方法を提供する。
【0039】
高速ミキサ又は加熱ミキサとして知られるミキサ自体は当業者に公知である。これらは、高い回転速度で作動させることができる1個以上のロータを有する静的な容器を含む。これらの装置の構造は、容器中に存在する材料すべてが絶えず動き、各粒子がロータと繰り返し接触するような方法で設計されている。ロータは、たとえばプロペラ、羽根車又は鋸歯刃付きホイールなどの形態を有することができる。この種の装置は、たとえば、Diosna、Drais又はHenschelから市販されており、最新モデルは最大約40m/sの接線速度を達成する。
【0040】
好ましくは、接線速度が15〜40m/sであり、無機塩と粗顔料との比が1:1〜1:12で、高速又は加熱ミキサを使用する。少なくとも30m/sの接線速度が特に効率的である。40超から約60m/sまでの接線速度が本発明の実施には完全に望ましいが、残念ながら、装置に関して多大な費用を投じない限り実現することはできない。20〜30m/sの回転速度が特に経済的であり、1:4〜1:8の無機塩:使用される粗顔料の比が特に好ましい。
【0041】
また、比較的大きな設備を使用すると、より大きな処理が可能であるだけでなく、驚くほど良好な結果が得られることがわかった。したがって、バッチあたり約10kg〜約1000kgを処理することがきわめて好ましい。当然、大きめの設備(約10,000kgまで)の使用が、連続的に作動する設備の使用と同様(ただし、顔料粒子の最小滞留時間が、所望の結果を得るのに十分なほど長くなるような設計である)、好ましい。しかし、そのような装置は、高い投資コストを要する。
【0042】
処理時間は、物質の全量、回転速度及び冷却に依存する。処理時間は、一般には1分〜72時間であり、好ましくは10分〜5時間であり、特に好ましくは30分〜2時間である。温度は、好ましくは100〜200℃、特に好ましくは120〜170℃、もっとも好ましくは130〜160℃まで上昇する。
【0043】
40m/sを超える接線速度を出すことができる同様の装置が新たに出現するならば、ただちに30m/sから最大速度までの全速度でその装置を試験することを当業者に奨める。それらの装置は、おそらくはより短い時間で少なくとも同等、おそらくはより良好な結果を出すと予想される。
【0044】
さらなる成分を避け、不純物を最小限にすることが賢明である。特に、顔料以外には、本質的に、他の有機物質、特に溶媒又はポリマーが存在すべきではない。異質の有機物質の割合は、使用する粗顔料を基準にして、賢明には2重量%を超えず、好ましくは約5重量%を超えない。
【0045】
適当な無機塩は、以下に記載されるものである。比較的粗い無機塩、好ましくは平均粒径(粒径分布の最大値)200μm〜1mmの塩を使用する場合、驚くほど良好な結果が得られることがわかった。
【0046】
本方法は、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、インダントロン、イソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、アゾ、フタロシアニン又はジケトピロロピロール系の有機顔料、たとえばCIピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー15、ピグメントイエロー62、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー109、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー111、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー147、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー168、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー181、ピグメントイエロー185、ピグメントイエロー188、ピグメントイエロー191:1、ピグメントイエロー194、ピグメントイエロー199、ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ16、ピグメントオレンジ22、ピグメントオレンジ31、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントオレンジ61、ピグメントオレンジ64、ピグメントオレンジ71、ピグメントオレンジ73、ピグメントレッド2、ピグメントレッド4、ピグメントレッド5、ピグメントレッド23、ピグメントレッド42、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド52:2、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド144、ピグメントレッド146、ピグメントレッド166、ピグメントレッド177、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド214、ピグメントレッド209、ピグメントレッド220、ピグメントレッド221、ピグメントレッド222、ピグメントレッド242、ピグメントレッド248、ピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド262、ピグメントレッド264、ピグメントレッド270、ピグメントレッド272、ピグメントブラウン23、ピグメントブラウン25、ピグメントブラウン41、ピグメントブラウン42、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー25、ピグメントブルー26、ピグメントブルー29、ピグメントブルー60、ピグメントブルー64、ピグメントブルー66、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23、ピグメントバイオレット29、ピグメントバイオレット31、ピグメントバイオレット32、ピグメントバイオレット37、3,6−ジ(4′−シアノフェニル)−2,5−ジヒドロピロロ〔3,4−c〕−ピロール−1,4−ジオン又は3−フェニル−6−(4′−tert−ブチルフェニル)−2,5−ジヒドロピロロ〔3,4−c〕ピロール−1,4−ジオンに特に適している。
【0047】
好ましい顔料分類は、キナクリドン、アントラキノン、イソインドリノン、ジオキサジン、フタロシアニン及びジケトピロロピロール、特にジオキサジン、フタロシアニン及びジケトピロロピロール、もっとも好ましくはジオキサジン及びジケトピロロピロールである。もっとも好ましいアントラキノンはインダントロンであり、もっとも好ましいフタロシアニンは銅フタロシアニンであり、もっとも好ましいアゾはジスアゾ縮合顔料である。
【0048】
顔料分類から独立して、少なくとも2個のハロゲン原子を分子中に含む顔料が好ましい。好ましくは、フェニル環に1〜4個、好ましくは1〜2個のこれらのハロゲン原子が結合しており、特に塩素化フェニル基1個あたり、1ハロゲン原子である。ハロゲン化原子の最大量は、置換に利用可能なフェニル環の数(たとえばピグメントイエロー110の場合は8、又はフェニル環4個を有する完全にハロゲン化された銅フタロシアニンの場合は16)に依存する。適当なハロゲンは、フッ素、臭素又は塩素であり、好ましくは臭素及び塩素であり、もっとも好ましくは塩素である。
【0049】
本方法が、ハロゲン化、特に塩素化された顔料のそのような改良につながる理由は知られていない。しかし、たとえばきわめて低い溶解性及び良好な耐候堅ロウ性にもつながるその独特な物理特性及び結晶格子のせいではないかと推測される。
【0050】
もっとも好ましいものは、全部で2個の塩素原子を分子中に有する顔料であり、それらのうち多く、たとえば特にピグメントイエロー95、ピグメントレッド202、ピグメントレッド254、ピグメントブルー64及びピグメントバイオレット23が上記で挙げられている。一部のピグメントグリーン36もまた、ちょうど2個の塩素原子を有する。特に好ましいものは、ピグメントレッド254及びピグメントバイオレット23である。
【0051】
無機顔料もまた同じ方法によって同様に処理することができる。例は、ピグメントイエロー53、ピグメントイエロー119、ピグメントイエロー134、ピグメントイエロー164、ピグメントイエロー184、ピグメントレッド101、ピグメントレッド104、ピグメントブラウン24、ピグメントブラウン33、ピグメントブルー28、ピグメントブルー36、ピグメントグリーン17、ピグメントグリーン26、ピグメントグリーン50、ピグメントブラック12、ピグメントブラック27又はピグメントブラック30である。
【0052】
式(I)の粗生成物はそれ自体公知であり、また、たとえば「Sumitone(登録商標)ファストバイオレットRL4Rベース」として市販されている。他の顔料を調製する方法はすべて公知であり、一般に、アモルファス化に非常に適した粗顔料を与える。実質的に完全なアモルファス化の場合、初期結晶形態はほとんど重要ではない。
【0053】
粗顔料の場合、好ましいものは、粗粒の形態、たとえば、光学顕微鏡で観察することができる個々の粒子すべての50重量%で0.5μm以上の長さを有する晶出物又は凝集物である。実質的にアモルファスな微粒状物の粒径は、生成物中の全粒子の80重量%で好ましくは0.3μm未満である。
【0054】
この方法で製造される実質的にアモルファスな微粒子化された顔料形態は、通例の公知の方法によって単離し、着色剤として使用することができる。これはまた、高沸点の不活性極性溶媒中で通常の方法で再結晶させることができる。しかし、この方法で前処理した生成物を、無機塩を分別することなく、溶媒の存在で塩混練に付すことが特に有利であることがわかった。全く驚くことに、この場合、後で摩擦なしで再結晶を使用するアモルファス化又は混練のみによる場合よりも相当に良好な性質を有する顔料が得られる。
【0055】
したがって、本発明はさらに、上記で開示した顔料を製造する方法であって、・粗顔料又は粗顔料混合物と、結晶質無機塩又は結晶質無機塩の混合物とを一緒にして、本質的に他の成分の非存在下、少なくとも10m/sの接線速度を有するロータの作用に付して、摩擦効果によって少なくとも80℃の温度が達成されるようにし、続いて、
・この処理の生成物を有機液体で混練し、その間に、望むならば、無機塩、不活性添加物及び着色剤からなる群より選択される付加的な物質を添加することができる方法を提供する。
【0056】
以下に記載される無機塩及び有機液体ならびにそれらの混合物が適当である。各場合とも、同じ無機塩又はその同じ等級をアモルファス化又は混練のために使用する必要はない。それどころか、驚くことに、アモルファス化には、混練の場合よりも粗く粒子化した塩を使用することが有利であることがわかった。
【0057】
この混練の場合には、上記の条件ならびに有機液体と無機塩との割合及び有機液体と無機塩及び粗顔料の総重量との割合を使用することが好ましい。
【0058】
混練の場合、望むならば、当業者に公知の不活性添加物、たとえば結合剤、充填材、消泡剤、分散剤及び他の添加物を、望ましい、公知の量で添加することができるが、それは不活性添加物及び目的とする効果に依存し、粗顔料の重量を基準にして1ppm〜5倍量までの範囲であり得る。
【0059】
色を調節するためには、同様に、所望の公知の着色剤、たとえば有機及び無機の白、黒及び有色顔料又は水不溶性染料、たとえば分散染料を添加することが可能である。
【0060】
付加的な着色剤はまた、特に、顔料の誘導体、特にその酸化又は還元形態、たとえばキナクリドンキノンもしくはジヒドロキナクリドン又はそれらの誘導体、たとえば、分散剤又はレオロジー改善剤として周知である、極性基及び長鎖によって置換されている顔料であることができる。
【0061】
付加的な着色剤も同様に、いかなる所望の量で添加してもよく、そのような量は、定着させる色に依存し、当業者が公知の手段、たとえば色計算コンピュータプログラムを使用して計算することができる。
【0062】
望むならば、付加的な着色剤を、賢明には粗顔料の重量を基準にして1:99〜99:1の比で加える。好ましいものは、1:99〜50:50の比である。しかし、特に好ましくは、付加的な着色剤を全く使用しないか、粗顔料の重量を基準にして1:99未満、たとえば0.01:99.99〜0.99:99.01の量で使用する。これは、顔料の色特性に等しい色特性を有する顔料をもたらすが、付加的な成分にどれを使用するかに依存して、それらの性質、たとえばレオロジー又は分散性を有意に改善することができる。
【0063】
式(I)の化合物の場合には例外的に、付加的な着色剤を、望むならば、粗顔料の重量を基準にして、特に好ましくは0:100〜20:80の比、とりわけ特に好ましくは0:100〜10:90の比で加える。
【0064】
すべての付加的な物質は、混練中の所望の時点、特に始動期には、それらすべてを加えることができる。
【0065】
1種のアモルファス化有機化合物ではなく、それらを複数で、たとえば2、3、4又は5種を使用する場合、混練の前に、個々の成分を一緒にしてアモルファス化することもできるし、まずアモルファス化し、次いでブレンドすることもできる。当然ながら、完成した本生成物はまた、お互いにあるいは、他の着色剤(下記の公知の方法によって処理されていてもよく、されていなくてもよい)とのさらなるブレンドにおける成分として使用してもよい。
【0066】
目的に適することが知られている化合物(たとえばキナクリドン及びジケトピロロピロール)の混合物を使用すると、固溶体又は混合結晶が、顔料分類、特性(identity)及び該化合物の割合に依存して、特に効率的であると同時に経済的な方法で一般に得られる。しかし、驚くことに、いくつかの例外もある。結晶相が最終生成物中に同時に存在する色的に有利な混合物は、同時係属中の出願PCT/EP00/02442の目的である。それにもかかわらず、本方法はまた、それらを製造するために有利に使用することができる。この場合にもまた、成分は、個々にアモルファス化してもよいし、すべてを一緒にアモルファス化してもよい。
【0067】
5種以上の顔料を使用して全く同等の結果を得ることにも適しているが、実際にはそうすることに利点はない。好ましい混合物は、2〜4種の成分、特に2又は3種の成分、もっとも好ましくは2種の成分を有する。
【0068】
混合物を使用するとき、さらなる成分それぞれの量は、互いに独立して、色的に効果的な量(しばしば約0.001重量部、好ましくは少なくとも0.01重量部、もっとも好ましくは少なくとも0.1重量部)から第一の成分1重量部あたり1重量部までであることができる。
【0069】
本発明の混練法では、顔料粒子の大部分がサイズを減らすが、対照的に、有機液体の存在における塩結晶間のせん断力によって、有利には、優れた結晶質の顔料形態に転換される。得られる顔料は、優れた堅ロウ性及び一般には60〜150m2/g、好ましくは80〜140m2/g、特に好ましくは90〜120m2/gの比表面積を有する。比表面積は、たとえば窒素を使用するBET法を使用して測定することができる。
【0070】
結合剤を加えるならば、その量に依存して、比表面積は、上述したレベルの約半分に低下することがある。
【0071】
賢明には、結晶質無機塩は、有機液体中に20℃で≦100mg/l、好ましくは20℃で≦10mg/l可溶性であり、特に好ましくは20℃で実質的に不溶性である。
【0072】
無機塩及び有機液体は、好ましくはそれぞれ少なくとも10g/100mlの程度に水溶性である。使用される無機塩は、好ましくは、望むならば結晶化の水を含有することができる硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム又は塩化ナトリウムであり、特に好ましいものは、硫酸ナトリウム、塩化カリウム又は塩化ナトリウムである。
【0073】
混練のためには、5〜200μmの平均粒径を有する塩、特に好ましくは10〜50μmの平均粒径を有する塩を使用することが好ましい。
【0074】
有機液体として、ケトン、エステル、アミド、スルホン、スルホキシド、ニトロ化合物、又は1もしくは2個のオキソ基によって置換されており、1個以上のヒドロキシル基において、C1〜C8アルキルでエーテル化されていてもよいし、C1〜C8アルキルカルボニルでエステル化されいてもよいモノ、ビスもしくはトリス−ヒドロキシ−C2〜C12アルカン化合物又はそれらの混合物を使用することが好ましい。ケトン、エステル、アミド、スルホン、スルホキシド又はニトロ化合物は、脂肪族又は脂環式の化合物であるものが、特に好ましい。
【0075】
賢明には、有機液体それ自体は中性であるが、酸性又は塩基性の不純物が通例の少量で含まれていても障害を招くことはない。本発明をいかなる様にも限定しない、中性有機液体の代表例は、トリアセチン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、酢酸ブチル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド及びスルホランである。とりわけ特に好ましいものは、アミド、スルホン又はスルホキシド、もっとも好ましくはアミド、たとえばジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド又は特にジメチルホルムアミドである。
【0076】
カルバゾールバイオレット以外の分類からの顔料の場合、望むならば、各場合に処理する顔料が、前記条件下で結晶成長が起こるのに充分なほどその中に可溶性であるならば、他の有機液体、たとえばアルコール又はグリコールを使用することも可能である。これが当てはまらないか、充分には当てはまらないならば、分子が少なくとも1個のオキソ基を含む前記溶媒を使用することが賢明である。
【0077】
混練中の温度は、好ましくは10〜60℃である。回転速度は、必要ならば冷却を考慮に入れながら、均一なせん断の下で、混練される組成物が均質に移動し、温度が本発明の温度範囲を超えないような方法で設定する。局所的に過熱したり、機械的な過負荷を加えたりする事態はできるだけ避けるべきである。たとえば、容量5リットルの混練機では、50〜150rpmの回転速度及び6〜24時間の混練時間で際立った結果が得られるが、これらの数値は決して限定的ではなく、たとえば大きめの装置では回転速度が低めであってもよい。
【0078】
好ましくは、混練ののち、無機塩及び有機液体を水、特に脱イオン水で洗浄する。乾燥は、好ましくは−20〜250℃/10-1〜105Pa、特に好ましくは25〜100℃/102〜105Pa又は100〜200℃/104〜105Pa、とりわけ特に好ましくは約80℃/104Paで実施する。
【0079】
本発明にしたがって得られる顔料は、特に高い彩度及び驚くほど高い色強さの点で顕著である。これらは、非常に魅力的な色と優れた堅ロウ性、良好な透明度及び良好な光沢を有する。
【0080】
本発明の顔料は、純粋な形態で単離し、乾燥させることができ、その場合、その後に、たとえばボールミル又はビードミルを使用して、プラスチック、塗料及び印刷インク中で容易に分散させることができる。これは、湿潤したプレスケークとして、顔料分散液を調製するためにそのままで使用することもできる。
【0081】
本発明の顔料の分散液は、特に、優れた適用特性、とりわけ、魅力的な色を高い色強さとともに有する印刷インクを調製するための濃縮物として理想的である。
【0082】
したがって、本発明はさらに、本発明の顔料を含む印刷インク濃縮物のための印刷インクを提供する。
【0083】
望むならば、適用特性を改善するため、本発明の顔料の単離の前又は単離中に通例の添加物、たとえば結合剤を本発明の顔料に加えてもよい。添加物の存在は、不相溶性であるので、適用することが可能な用分野に制限を課すことが多いため、それらの添加は控えることが好ましい。見いだされた非常に特別な利点は、添加物なしで単離される顔料は、水性媒体及び非水性媒体のいずれとも際立って相溶性であり、そのため、いずれの場合でも驚くほど良好な適用結果を得ることができることである。
【0084】
印刷インクは、着色剤、結合剤ならびに望むならば溶媒及び添加物を含む液状又はペースト状の分散系である。液状印刷インクでは、結合剤及び存在する場合には添加物は通常、溶媒に溶解している。B型粘度計での通例の粘度は0.1〜20Pa・sである(No.4スピンドル、10rpm)。印刷インク濃縮物は、希釈によって印刷インクを得ることができる組成物である。印刷インク及び印刷インク濃縮物の成分及び組成は、当業者には周知である。
【0085】
本発明の顔料に加えて、本発明の顔料配合物又は顔料分散系は、混練に関して記載したさらなる着色剤を含むこともできる。
【0086】
本発明の印刷インク濃縮物は、本発明の顔料を、印刷インク濃縮物の総重量を基準にして、賢明には1〜75重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは25〜40重量%の濃度で含む。
【0087】
したがって、本発明はまた、結合剤溶液中に分散している本発明の顔料を、印刷インク濃縮物の総重量を基準にして1〜75重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは25〜40重量%含む印刷インク濃縮物を提供する。
【0088】
本発明の印刷インクは、本発明の顔料を、印刷インクの総重量を基準にして、賢明には0.01〜40重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは5〜10重量%含み、たとえば、紙、板、金属、木、皮革、プラスチック又は製織材料に対するグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷又は連続もしくは滴下インクジェット印刷、又は一般知識である配合にしたがって特殊用途、たとえば出版、包装もしくは輸送、物流、広告、保全印刷又はオフィス分野でボールペン、フェルトペン、ファイバチップペン、インクパッド、インクリボンもしくはインクジェットプリンタカートリッジに使用することができる。
【0089】
したがって、本発明はまた、結合剤溶液中に分散している本発明の顔料を、印刷インクの総重量を基準にして、0.01〜40重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは5〜10重量%含む印刷インクを提供する。
【0090】
好ましいものは、印刷インク濃縮物及び水性アクリレートベースの印刷インクである。これは、下記の基:
【0091】
【化6】
【0092】
を含む少なくとも1種のモノマーの付加重合によって得られる、水又は水含有有機溶媒中に溶解したポリマー又はコポリマーをいう。適当な有機溶媒は、当業者によって一般的に使用される水混和性溶媒、たとえばアルコール、たとえばメタノール、エタノール又はプロパノール、ブタノールもしくはペンタノールの異性体、エチレングリコールもしくはそのエーテル、たとえばエチレングリコールメチルエーテルもしくはエチレングリコールエチルエーテル又はケトン、たとえばアセトン、エチルメチルケトンもしくはシクロヘキサノンである。好ましいものは、水及びアルコールである。
【0093】
したがって、本発明はまた、結合剤が主としてアクリレートポリマー又はコポリマーを含み、溶媒が、水、C1〜C5アルコール、エチレングリコール、2−(C1〜C5アルコキシ)エタノール、アセトン、エチルメチルケトン及びそれらの混合物からなる群より選択される本発明の印刷インク濃縮物又は印刷インクを提供する。
【0094】
結合剤に加えて、本発明の印刷インク濃縮物及び印刷インクは、望むならば、当業者に公知である添加物を通例の濃度で含むこともできる。
【0095】
グラビア又はフレキソ印刷の場合、印刷インク濃縮物を希釈して印刷インクを調製することが普通であり、その印刷インクをそれ自体公知である方法にしたがって使用することができる。本発明の顔料組成物を含む濃縮物は、この場合に特に適している。
【0096】
本発明の顔料はさらにまた、固形トーナ、ワックス転写リボン又はとりわけ特にはカラーフィルタを調製するのに適している。
【0097】
したがって、本発明のもう一つの目的は、本方法によって得られる有機顔料及びカラーフィルタにおけるその使用である。それらの色値は、前例のない急峻な傾斜を示す狭い吸収バンドのおかげで驚くほど高く、同時に、小さな粒径と特に狭い粒径分布とが組み合わさった優れた結晶化度を有する。有利なのは、大きな粒子及びきわめて細かい粒子はほぼ全くないことである。生成物は、高濃度での使用を可能にする優れたレオロジーならびに優れた着色性及び優れた堅ロウ性、たとえば際立った耐光堅ロウ性を示す。
【0098】
しかし、本発明はまた、平均粒径0.01μm〜0.12μm、好ましくは0.02μm〜0.10μm、もっとも好ましくは0.03μm〜0.06μmの粒子からなるキナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、インダントロン、イソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、アゾ、フタロシアニン又はジケトピロロピロール系の実質的に結晶質の有機顔料であって、0.12μmよりも大きい粒径の粒子及び0.01μmよりも小さい粒径の粒子の合計量が、0.01μm〜0.1μmの粒径の粒子の重量を基準にして、0〜8重量%、好ましくは0〜4重量%、もっとも好ましくは0〜2重量%であり、CuKα放射線X線粉末図における最高分解ピークの半波高全幅値(full width at half maximum、FWHM)が約0〜0.68°2θ、好ましくは0.1〜0.6°2θ、もっとも好ましくは0.2〜0.5°2θ、特に約0.425°2θであることを特徴とする有機顔料に関する。
【0099】
一般に、最高輝度分解ピークのみを計測することが適切であるとみなすべきである。最小ピーク幅は、計器の分解能に依存し、デバイ−シェラー式によって決定することができる。半波高全幅値を測定するためには、計測されるピーク幅に有意に影響しないように充分に高い分解能の計器を使用することのみが適切である。
【0100】
本発明はまた、そのものをたとえば電気光学系、たとえばTV画面、液晶表示装置、電荷結合素子、プラズマ表示装置又はエレクトロルミネセンス表示装置などに使用することができるカラーフィルタにおける本顔料の使用に関する。これらは、たとえば、アクティブ(ねじれネマチック)又はパッシブ(超ねじれネマチック)強誘電表示装置又は発光ダイオードであってもよい。
【0101】
顔料は一般に、有機溶媒又は水中の分散系としてカラーフィルタの製造に使用される。これらのカラーフィルタを製造するための方法はいくつかあり、二つの主要な流れ、すなわち
・塗布中の直接パターン付け
・顔料を塗布した後でのパターン付け
に従う。
【0102】
直接パターン付けは、いくつかの印刷技術、たとえばインパクト(オフセット、フレキソ、スタンピング、レタープレスなど)及びノンインパクト(インクジェット技術)によって得ることができる。
【0103】
他の直接パターン付け技術は、積層法、電子放出法、たとえば電気付着及び特殊なカラープルーフ法、たとえばいわゆるChromalin(商標)法(DuPont)に基づく。
【0104】
インパクト印刷技術の場合、顔料を、分散剤及びポリマー結合剤の存在下、標準的な解凝集法(Skandex、Dynamill、Dispermatなど)によって水又は有機溶媒中に分散させて、インクを製造することができる。溶媒、分散剤及び結合剤の選択を含め、当該分野で公知のいかなる分散技術をも、使用することができる。インクのタイプ及びその粘度は適用技術に依存し、当業者には周知である。最も一般的な結合剤は、本発明は決してそれには限定されないが、(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂、PVA、ポリイミド、ノボラック系等、ならびにこれらのポリマーの組み合わせである。
【0105】
そして、インク分散系は、すべての種類の標準印刷機で印刷することができる。結合剤系の硬化は、好ましくは加熱処理によって達成される。三原色は、一度に適用することもできるし、異なる印刷工程で、中間に乾燥及び又は硬化工程をはさみながら、たとえば一度に一色ずつ3回の印刷工程で適用することもできる。
【0106】
インクジェット、たとえば圧電又はバブルジェット(登録商標)で使用するためのインクもまた、同様に調製することができる。これらは一般に、水及び/又は多くの親水性有機溶媒の1種もしくは混合物中に分散した顔料を、分散剤及び結合剤と組み合わせて含有する。
【0107】
インクジェット印刷の場合、標準的なインクジェットプリンタを使用することもできるし、たとえば印刷速度などを最適化するため、専用のプリンタを作製することもできる。
【0108】
積層技術の場合、熱転写などと同様に、ウェブシステムを製造しなければならない。顔料を分散剤及び結合剤とともに溶媒又は水に分散させ、箔にコーティングし、乾燥させる。顔料/結合剤系は、エネルギー(UV、IR、熱、圧力など)を援用して、パターン様又は均一にカラーフィルタ基材に転写することができる。使用する技術に依存して、たとえば着色剤を単独で転写(染料拡散又は昇華転写)してもよいし、着色剤分散系を、結合剤を含めて全体として転写(ロウ転写)してもよい。
【0109】
電着の場合、顔料は、イオン化ポリマーとともに水に分散させなければならない。電流により、イオン化ポリマーを陽極又は陰極で脱イオン化したのち、不溶性である状態で、顔料とともに被着させる。これは、フォトレジストによってパターン付け又はパターン様にシールドされた(透明な)フォトコンダクタ、たとえばITOなどに対して実施することができる。
【0110】
Chromalin(商標)法は、カラーフィルタ基材に被着された感光材料を使用する。この材料は、UV露光すると粘着性になる。顔料とポリマーとの混合物又は混成物を含むいわゆる「トナー」を基材上に延ばし、粘着性部分に付着させる。この方法は、R、G、B及び最終的に黒のために3回〜4回実施されなければならない。
【0111】
塗布後のパターン付けは、顔料をフォトレジスト組成物中に分散させる公知のフォトレジスト技術に主に基づく方法である。他の方法は、別個のフォトレジスト又は積層技術を援用する間接的パターン付けである。
【0112】
顔料は、印刷法に関して上記したようないかなる標準的な方法によってフォトレジスト中に分散させてもよい。結合剤系もまた、同一であってもよい。さらなる適当な組成物が、たとえばEP654711、WO98/45756又はWO/45757に記載されている。
【0113】
フォトレジストは、光開始剤及び多架橋性モノマー(ネガティブラジカル重合)、ポリマーそのものを架橋させるための物質(たとえば光酸発生剤など)又は特定の現像媒体中でポリマーの溶解性を化学的に変化させるための物質を含む。しかし、加熱過程中に化学変化を起こす一部のポリマーの場合、この方法は、UVに代えて熱(たとえば加熱アレイ又はNIRビーム)を使用して実施して、前記現像媒体への溶解性の変化をもたらすこともできる。その場合、光開始剤は必要ない。
【0114】
感光性又は感熱性材料は、カラーフィルタ基材上にコーティングし、乾燥させ、UV(又は熱)照射し、ときには再度ベーキングし(光酸発生剤)、現像媒体(大抵は塩基)で現像する。この最後の工程で、非露光部分だけ(ネガ系)又は露光部分だけ(ポジ系)を洗い落とし、欲するパターンを得る。この処理は、使用するすべての色で繰り返さなければならない。
【0115】
感光性積層技術は同じ原理を使用しているが、唯一の違いはコーティング技術である。感光系は、上述したように、ただしカラーフィルタ基材ではなくウェブ上に被着される。箔がカラーフィルタ基材上に配置され、熱及び/又は圧力によって感光層が転写される。
【0116】
感光成分なしで上記ポリマー結合剤を使用する間接法は、着色されたレジスト上にコーティングされる、余分なフォトレジストを使用する。フォトレジストのパターン付けの間、着色されたレジストもまたパターン付けされる。フォトレジストは、後で除去しなければならない。
【0117】
カラーフィルタの製造に関するさらなる詳細は、教本、評論及び他の化学論文に見いだすことができる。当業者は、本発明をそのような公知の技術の使用と関連づけて考えるだろう。
【0118】
本発明のカラーフィルタは、本発明の顔料を、着色される層の総重量を基準にして、賢明には1〜75重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは25〜40重量%の濃度で含有する。
【0119】
したがって、本発明はまた、透明な基材と、層の総重量を基準にして1〜75重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは25〜40重量%の、高分子量有機物質中に分散した本発明の顔料を含む層とを含むカラーフィルタを提供する。基材は、好ましくは本質的に無色である(400〜700nmの可視範囲全体でT≧95%)。
【0120】
結合剤は、以下に定義するいかなる高分子量の有機物質であってもよく、上述した結合剤物質は例に過ぎない。
【0121】
カラーフィルタを製造するための本印刷インク又はフォトレジストは、本発明の顔料を、印刷インク又はフォトレジストの総重量を基準にして、賢明には0.01〜40重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは5〜10重量%の濃度で含有する。
【0122】
したがって、本発明はまた、組成物の総重量を基準にして0.01〜40重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは5〜10重量%の、組成物中に分散状態にある本発明の顔料を含有するカラーフィルタを製造するための組成物を提供する。
【0123】
カラーフィルタで使用するための顔料に関して好ましいものは、上記と同じ傾向に準じる。カラーフィルタで使用するのに非常に特別に好ましい顔料は、ピグメントレッド254である。本方法によって超微粉砕されると、ピグメントレッド254は、ポリマーフィルム中に分散した場合、これまで決してみられなかった吸収スペクトルを示す。約552nmの吸収極大値が約560nmに移動し、590nmまでの傾斜がはるかに急峻になる(図4)。これは、望まれる緑の光(発光波長約585nm)の実質的により高い吸収を可能にするため、非常に有利である。
【0124】
したがって、本発明はまた、下記式:
【0125】
【化7】
【0126】
で示される顔料であって、メタクリル樹脂中のその50重量%の分散系が、400〜700nmの区域における吸収極大値が1.0±0.1の強さを有し、該吸収極大値が556〜596nm、好ましくは557〜565nmの波長で起こるような厚さの膜として被着されることを特徴とする顔料に関する。吸収極大値の深色側の最大傾斜(逆転点における)は、吸収極大値における吸収を基準にして、波長1nmの変化あたり吸収における好ましくは少なくとも5%の変化に達し、もっとも好ましくは少なくとも5.5%A/1nmに達する。
【0127】
この顔料はまた、(II)とは異なる構造の他の着色剤、たとえば上記で開示したものを付加的に含むことができる。このような着色剤が加えられると、当然、吸収極大値は移動する。非常に適した付加的な着色剤は、他の1,4−ジケト−ピロロ〔3,4−c〕−ピロール顔料、好ましくはピグメントオレンジ71、ピグメントオレンジ73、ピグメントレッド255、ピグメントレッド264、ピグメントレッド270、ピグメントレッド272、3,6−ジ(4′−シアノフェニル)−2,5−ジヒドロピロロ〔3,4−c〕ピロール−1,4−ジオン又は3−フェニル−6−(4′−tert−ブチルフェニル)−2,5−ジヒドロピロロ〔3,4−c〕ピロール−1,4−ジオンである。付加的な成分は、混合物のスペクトルを、それ自体の色相又は固溶体もしくは混合結晶の最終的な形成に依存して、浅色側又は深色側に移動させる。しかし、吸収極大値が移動しても、傾斜は依然として有利に急峻である。
【0128】
したがって、本出願はまた、1,4−ジケトピロロ〔3,4−c〕−ピロール顔料であって、メタクリル樹脂中のその50重量%分散が、400〜700nmの区域における吸収極大値が1.0±0.1の強さを有し、500〜650nmの範囲における吸収極大値の深色側の最大傾斜が、該吸収極大値における吸収を基準にして、波長1nmの変化あたり吸収における少なくとも5%の変化に達するような厚さの膜として被着されることを特徴とする顔料に関する。
【0129】
好適には、メタクリル樹脂は実質的に無色であり、当業者に公知であるその例は、芳香族メタクリレートとメタクリル酸との、Mw30,000〜60,000のコポリマーである。膜は、もっとも適切にはスピンコートによって製造される。
【0130】
最後に、本発明の顔料はまた、高分子量の有機物質を練り込み着色するのに適している。
【0131】
本発明にしたがって着色される高分子量の有機物質は、天然由来であっても合成由来であってもよく、通常は103〜108g/molの範囲の分子量を有する。前記物質は、たとえば、天然樹脂もしくは乾性油、ゴムもしくはカゼイン又は変性天然物質、たとえば塩素化ゴム、油改質アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル、たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、アセト酪酸セルロースもしくはニトロセルロースを含むが、特に、付加重合、重縮合又は重付加によって得られるような完全合成有機ポリマー(熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂)、例としてはポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンもしくはポリイソブチレン、置換ポリオレフィン、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルもしくはアクリレート及び/又はメタクリレートもしくはブタジエンのポリマーならびに上記モノマーのコポリマー、特にABS又はEVAを含む。
【0132】
重付加樹脂及び重縮合樹脂の系のうち、フェノール樹脂として公知である、ホルムアルデヒドとフェノール類との縮合物、及びアミノ樹脂として公知である、ホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素及びメラミンとの縮合物、塗料樹脂として使用されるポリエステルならびに飽和樹脂、たとえばアルキド樹脂及び不飽和樹脂、たとえばマレエート樹脂ならびに線形ポリエステル類及びポリアミド類又はシリコーン類を挙げることができる。
【0133】
前記した高分子量の化合物は、独立して又は混合物として存在することもできるし、所望により繊維に紡織してもよいプラスチック素材又は溶融体として存在することもできる。
【0134】
これらはまた、それらのモノマーの形態又は重合状態で、膜形成剤又は塗料もしくは印刷インクの結合剤として溶解した形態で、たとえばアマニ油ワニス、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂として存在することができる。塗料に使用される場合、本顔料は、同様な平均粒径又は同様な表面積の化学的に同一な顔料よりも高い堅ロウ性を示す。しかし、塗料におけるそれらの使用は、高い透明度のせいで比較的限られている(たとえばメタリック仕上げの場合)。
【0135】
本発明の顔料による高分子量の有機物質の着色は、たとえば、望むならばマスタバッチの形態のそのような顔料を、ロールミル、ミキサ又は粉砕装置を使用してこれらの基材に混入することによって実施する。一般に、その後、着色した物質を、それ自体は公知の技術、たとえば圧延、圧縮成形、押出し、塗布、流し込み成形又は射出成形により、所望の最終形態にする。非剛性成形物を製造するか、その脆性を減らすために、しばしば、成形の前に、可塑剤として知られるものを高分子量化合物に組み込むことが望ましい。使用することができるそのような可塑剤の例は、リン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルである。本発明の方法では、可塑剤は、顔料着色剤をポリマーに組み込む前でも後ででも組み込むことができる。異なる色相を得るためのさらなる可能な方法は、顔料組成物に加えて、充填材及び/又は他の着色成分、たとえば白、色付き又は黒の顔料ならびに特殊効果顔料を特定の所望量で高分子量の有機物質に加えることである。
【0136】
塗料及び印刷インクを着色するためには、高分子量の有機物質及び本発明の顔料を、単独で又は添加物、たとえば充填材、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤とともに、一般には有機及び/又は水性溶媒もしくは溶媒混合物中に微細に分散又は溶解させる。この場合の可能な手法の一つは、個々の成分を単独で又は2種以上を一緒にして分散又は溶解させた後でのみ、すべての成分を合わせる手法である。
【0137】
したがって、さらなる実施態様はさらに、
(a)(a)と(b)との合計を基準にして0.05〜70重量%の本発明の顔料と、
(b)(a)と(b)との合計を基準にして99.95〜30重量%の高分子量有機物質と
を含む、練り込み着色された高分子量の有機物質を提供する。
【0138】
該物質は、すぐに使える組成物又はそれから形成される製品ならびにたとえば顆粒の形態のマスタバッチを含む。望むならば、本発明にしたがって着色された高分子量の有機物質はまた、通例の添加物、たとえば安定剤を含むことができる。
【0139】
したがって、さらなる実施態様はさらに、高分子量の有機物質を練り込み着色する方法であって、たとえば高分子量の有機物質を、それ自体は公知の方法で、場合によってはマスタバッチの形態で本発明の顔料組成物と混合し、この混合物を加工することにより、本発明の顔料をその中に組み込むことを含む方法を提供する。
【0140】
【実施例】
以下の例が、本発明の範囲を限定することなく本発明を例示する(別段指定されない限り、%は常に重量%をいう)。
【0141】
例A1
市販の粗カルバゾールバイオレットを、X線粉末図(CuKα)が有意な信号を示さなくなるまで、DE−1225598にしたがって粉砕した。
【0142】
例A2
US4,785,999の例8の粉砕法を使用し、粉砕期間を延長したことを除き、X線粉末図が有意な信号を示さなくなるまで、例A1の手順を繰り返した。
【0143】
例A3
US5,194,088の例1の粉砕法を使用し、粉砕期間を延長したことを除き、X線粉末図が有意な信号を示さなくなるまで、例A1の手順を繰り返した。
【0144】
例A4
US3,598,625の例IIIの第一部のボールミル法を使用したことを除き、X線粉末図が有意な信号を示さなくなるまで、例A1の手順を繰り返した。
【0145】
例A5
合成からの塩を25%含むBIOS最終報告書960の75頁の粗生成物を出発原料として使用したことを除き、例A1の手順を繰り返した。
【0146】
例A6
合成からの塩を25%含むBIOS最終報告書960の75頁の粗生成物を出発原料として使用したことを除き、例A2の手順を繰り返した。
【0147】
例A7
合成からの塩を25%含むBIOS最終報告書960の75頁の粗生成物を出発原料として使用したことを除き、例A3の手順を繰り返した。
【0148】
例A8
合成からの塩を25%含むBIOS最終報告書960の75頁の粗生成物を出発原料として使用したことを除き、例A4の手順を繰り返した。
【0149】
例A9
JP39/16786のα生成物を出発原料として使用したことを除き、例A1の手順を繰り返した。
【0150】
例A10
JP39/16786のα生成物を出発原料として使用したことを除き、例A2の手順を繰り返した。
【0151】
例A11
JP39/16786のα生成物を出発原料として使用したことを除き、例A3の手順を繰り返した。
【0152】
例A12
JP39/16786のα生成物を出発原料として使用したことを除き、例A4の手順を繰り返した。
【0153】
例A13
JP52/935のα生成物を出発原料として使用したことを除き、例A1の手順を繰り返した。
【0154】
例A14
JP52/935のα生成物を出発原料として使用したことを除き、例A2の手順を繰り返した。
【0155】
例A15
JP52/935のα生成物を出発原料として使用したことを除き、例A3の手順を繰り返した。
【0156】
例A16
JP52/935のα生成物を出発原料として使用したことを除き、例A4の手順を繰り返した。
【0157】
例B1
容量0.75リットルの実験室用混練装置に例A1記載のアモルファスなジオキサジンバイオレット50g、塩化ナトリウム300g及び乾燥ジメチルホルムアミド87mlを充填し、回転速度を80rpmに調節した。混練装置の壁を45℃にサーモスタット制御した。6時間後、回転速度を5rpmに落とし、温度を20℃に低下させたのち、脱イオン水120mlをゆっくりと加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.4mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0158】
例B2〜B16
例A2〜A16の生成物を出発原料として使用したことを除き、例B1の手順を繰り返した。
【0159】
例C1
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel、ドイツ)にSumitone(登録商標)ファストバイオレットRL4Rベース800g及び塩化ナトリウム(Spezialsalz 100/95(商標)、平均粒径約70μm、Schweizer Salinen、Schwizerhalle、スイス)3200gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。1時間後、内部温度が130℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0160】
粉末を、容量10リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)1600g及びジメチルホルムアミド1400mlを加え、混合物を100rpmで8時間混練した。混練装置の壁を45℃にサーモスタット制御した。
【0161】
脱イオン水2000mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0162】
例C2
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel、ドイツ)にSumitone(登録商標)ファストバイオレットRL4Rベース900g及び塩化ナトリウム(Spezialsalz 100/95(商標)、平均粒径約70μm、Schweizer Salinen、Schwizerhalle、スイス)3600gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。1時間後、内部温度が130℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0163】
この粉末250gを、容量0.75リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)100g及びジメチルホルムアミド65mlを加え、混合物を80rpmで6時間混練した。混練装置の壁を40℃にサーモスタット制御した。
【0164】
脱イオン水120mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0165】
例C3
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel、ドイツ)にSumitone(登録商標)ファストバイオレットRL4Rベース900g及び塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)3600gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。1時間後、内部温度が110℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0166】
この粉末250gを、容量0.75リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)100g及びジメチルホルムアミド65mlを加え、混合物を80rpmで6時間混練した。混練装置の壁を40℃にサーモスタット制御した。
【0167】
次に、脱イオン水120mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0168】
例C4
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel。ドイツ)にSumitone(登録商標)ファストバイオレットRL4Rベース1000g及び塩化ナトリウム(粒径5μm〜700μm)4000gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。1時間後、内部温度が155℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0169】
この粉末250gを、容量0.75リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)100g及びジメチルホルムアミド65mlを加え、混合物を80rpmで6時間混練した。混練装置の壁を40℃にサーモスタット制御した。
【0170】
次に、脱イオン水120mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0171】
例C5
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel、ドイツ)にIrgazin(登録商標)イエロー3RLTN(ピグメントイエロー110)800g及び塩化ナトリウム(Spezialsalz 100/95(商標)、平均粒径約70μm、Schweizer Salinen、Schwizerhalle、スイス)3200gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。40分後、内部温度が135℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0172】
この粉末2350gを、容量5リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)940g及びジアセトンアルコール900mlを加え、混合物を80rpmで5時間混練した。混練装置の壁を45℃にサーモスタット制御した。
【0173】
次に、脱イオン水1000mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0174】
例C6
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel、ドイツ)にCinquasia(登録商標)マゼンタRT−265−D(ピグメントレッド202)600g、Irgazin(登録商標)イエロー3RLTN(ピグメントイエロー110)200g及び塩化ナトリウム(Spezialsalz 100/95(商標)、平均粒径約70μm、Schweizer Salinen、Schwizerhalle、スイス)3200gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。60分後、内部温度が130℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0175】
この粉末2000gを、容量5リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)800g及びジアセトンアルコール750mlを加え、混合物を80rpmで5.5時間混練した。混練装置の壁を35℃にサーモスタット制御した。
【0176】
次に、脱イオン水1000mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0177】
例C7
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel、ドイツ)にCromophthal(登録商標)ブルー4GLP(ピグメントブルー15:3)850g及び塩化ナトリウム(Spezialsalz 100/95(商標)、平均粒径約70μm、Schweizer Salinen、Schwizerhalle、スイス)3400gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。1時間後、内部温度が130℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0178】
この粉末250gを、容量0.75リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)100g及びジアセトンアルコール88mlを加え、混合物を80rpmで3時間混練した。混練装置の壁を35℃にサーモスタット制御した。
【0179】
次に、脱イオン水120mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0180】
例C8
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel、ドイツ)にIrgazin(登録商標)DPPレッドBO(ピグメントレッド254)500g、Cinquasia(登録商標)マゼンタRT−265−D(ピグメントレッド202)500g及び塩化ナトリウム(粒径5μm〜700μm)4000gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。1時間後、内部温度が135℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0181】
この粉末250gを、容量0.75リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)100g及びジアセトンアルコール85mlを加え、混合物を60rpmで6時間混練した。混練装置の壁を40℃にサーモスタット制御した。
【0182】
次に、脱イオン水120mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0183】
例C9
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel、ドイツ)にIrgazin(登録商標)DPPレッドBO(ピグメントレッド254)1000g及び塩化ナトリウム(Spezialsalz 100/95(商標)、平均粒径約70μm、Schweizer Salinen、Schweizerhalle、スイス)4000gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。1時間後、内部温度が130℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0184】
この粉末300gを、容量0.75リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)120g及びジアセトンアルコール90mlを加え、混合物を100rpmで10時間混練した。混練装置の壁を30℃にサーモスタット制御した。
【0185】
次に、脱イオン水120mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。平均粒径は約70〜75nmであった。
【0186】
例C10
Irgazin(登録商標)DPPレッドBOに代えてUS4,579,949の例6にしたがって調製したピグメントレッド254(粒径約0.2〜0.5μm)を使用したことを除き、例C9を繰り返した。結果は同様であった。
【0187】
例C11
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel、ドイツ)にIrgazin(登録商標)DPPレッドBO(ピグメントレッド254)1000g及び塩化ナトリウム(Spezialsalz 100/95(商標)、平均粒径約70μm、Schweizer Salinen、Schweizerhalle、スイス)4000gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。1時間後、内部温度が130℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0188】
この粉末300gを、容量0.75リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)90g及びジアセトンアルコール75mlを加え、混合物を100rpmで6時間混練した。混練装置の壁を35℃にサーモスタット制御した。
【0189】
次に、脱イオン水120mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0190】
例C12
920リットルの高速ミキサ(タイプRD900/Diosna)にIrgazin(登録商標)DPPレッドBO(ピグメントレッド254)60kg及び塩化ナトリウム(Spezialsalz 100/95(商標)、平均粒径約70μm、Schweizer Salinen、Schweizerhalle、スイス)360kgを充填した。冷却をオンにし、スピンドル(直径800mmのナイフ6枚)の回転速度を約750rpmに調節した(最適範囲は700〜1000rpm)。3.5時間後、混合物をミキサから吐き出し、室温まで冷ました。
【0191】
この粉末2500kg(数回のランから収集)を、容量3000リットルの2軸混練装置(タイプDMK/De Dietrich)に移した。次に、ジアセトンアルコール460リットルを加え、混合物を約18時間混練した(約1500rpm)。混練装置の壁を5〜10℃に冷却して、素材の温度を約30〜40℃に制御した。
【0192】
水を加えたのち、得られた混合物をフィルタに通し、固体生成物を、ろ液が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。図1は、この生成物のTEM写真である。
【0193】
例C13
10リットルのミキサ(FM10 MB(商標)、Henschel、ドイツ)にCromophtal(登録商標)イエロー3G(ピグメントイエロー93)1000g及び塩化ナトリウム(Spezialsalz 100/95(商標)、平均粒径約70μm、Schweizer Salinen、Schweizerhalle、スイス)4000gを充填した。冷却をオンにし、3翼プロペラ(直径220mm)の回転速度を3200rpmに調節した。1時間後、内部温度が130℃になった。その後、50rpmで温度を30℃まで低下させた。
【0194】
この粉末250gを、容量0.75リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に移した。次に、粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)100g及びジアセトンアルコール110mlを加え、混合物を80rpmで6時間混練した。混練装置の壁を40℃にサーモスタット制御した。
【0195】
次に、脱イオン水120mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0196】
例C14〜C26
顔料重量を基準にして10%のアセトン可溶性の固形樹脂を加えた唯一の違いを除き、例C1〜C13を繰り返した。結果は同じく優秀であった。
【0197】
例C27
US4,931,566の例1にしたがってピグメントレッド254を調製した。粒径<0.2μmの非常に細かいサイズの顔料を得た。
【0198】
例C28
容量0.75リットルの実験室用混練装置(Werner & Pfleiderer、ドイツ)に、例C27にしたがって調製した細かいサイズのピグメントレッド254 300g及び粉砕した塩化ナトリウム(約20μmが最大の粒径分布)1200gを充填した。ジアセトンアルコール90mlを加え、混合物を100rpmで10時間混練した。混練装置の壁を30℃にサーモスタット制御した。
【0199】
次に、脱イオン水120mlを加え、得られた混合物をブフナー漏斗に通し、固体生成物を、洗浄水が塩を含まなくなるまで水洗した。生成物を80℃/3・103Paで15時間乾燥させ、0.8mmサイズのメッシュに通してふるい分けした。
【0200】
得られた生成物は、0.06〜0.10μmの粒径及び比較的純粋な色相を有したが、その結晶化度は例C10の生成物よりも劣った。
【0201】
例C29
例C27記載の細かいサイズの生成物に代えてIrgazin(登録商標)DPPレッドBO(粗粒子、比表面積〜15g/m2)を使用し、最大約50μmの粒径分布の塩化ナトリウムを使用した違いを除き、例C28を繰り返した。
【0202】
例D1
SCX−8082(商標)(分散性ポリマーJoncryl(登録商標)690 30.0%、アンモニア2.15%及び水67.85%を含有。固形分29.5%、S. C. Johnson Polymer)210g及び例C1の生成物90gを実験室用溶解装置(Dispermat CV(商標)、Hediger)に入れて6000rpmで15分間予備分散させた。次に、この懸濁液を、直径1.0〜1.2mmのジルコニウム混合酸化物ビーズ(Hermann Oeckel Ingenieur、D-95100 Selb、ドイツ)207gを充填した、溶解用アタッチメントを備えた125mlのビードミル(Dispermat SL(商標)、Hediger)に移した。次に、第一回のパスで30sの時間に対応してポンプ出力を60%にセットした状態でバッチを4000rpmで10分間分散させると、冷却にもかかわらず温度が23℃から38℃に上昇した。
【0203】
この濃縮物を、実験室用溶解装置中、6000rpm及び23℃で、水2280g及びイソプロパノール855g中Zinpol(登録商標)1519(水/イソプロパノール中40%濃度の全アクリレート溶液、粘度2500〜4000mPa・s、Worlee-Chemie GmbH、D-21472 Lauenburg、ドイツ)2565gの溶液で15分間希釈することにより、すぐに使用できる印刷インクを得た。この印刷インク及び市販のグラビア印刷機(Rotova(商標)Rotocolor AG)を使用して、標準のHIFIクラフト紙(Zanders(商標)Mega Web 135gr No. 585585、Sihl & Eika Papier AG、CH-8800 Thalwil、スイス)に対して印刷を実施した。乾燥後の固形分は0.860g/m2であった。結果は、優れた色強さを有する、非常に鮮やかで透明なバイオレットのプリントであった。
【0204】
例D2〜D17
例B1〜B16の生成物を出発原料として使用して例D1の手順を繰り返した。結果は、匹敵しうる色であり、X-RITE SP68(商標)反射分光計で計測して(D65 1 0 °、400〜700nm)、L*値が46〜47.5、C*値が53〜55、h値が308であった。
【0205】
例D18(比較)
特に良好な色強さ及び彩度で知られる製品Hostaperm(登録商標)バイオレットRLスペシャル(Clariant)を出発原料として使用したことを除き、例D1の手順を繰り返した。結果は、X-RITE SP68(商標)反射分光計で計測して(D65 10 °、400〜700nm)、以下の色座標―L*=48、C*=52、h*=307を有するバイオレットのプリントであった。
【0206】
例E1〜E5
Rigaku RAD2C X線回折計(CuKα、40kV、40mA)を使用して、例C10、C12、C27及びC28の生成物と、市販のIrgaphor(登録商標)DPPレッドB−CF(平均粒径〜50nm、Ciba Specialty Chemicals Inc.)とで結晶化度を比較した。顔料を標準のアルミニウム試料ホルダに充填した。発散スリット(DS)及び散乱スリット(SS)を0.5°に調節し、受けスリット(RS)を0.15mmに調節した。回折したX線光束をモノクローム化し、シンチレーションカウンタによって計測した。2θ−θ走査を固定時間法(0.02°のステップでτ=2s)で実施して、X線の統計的変動の影響を最小限にした。修正したデータを、Savitzky−Golay及びSonnveld−Visser法をそれぞれ使用する平滑化及びバックグラウンド減法で処理した。
【0207】
約28°2θでの主ピークに関してピーク最大値の強さの半分でのピーク幅を計測した。結果は以下のとおりであった。
【0208】
【表1】
【0209】
精度は、ピーク幅及び最大値でのカウント数に依存し、最大値そのものはピーク幅に依存する。したがって、半最大値での全幅がより広い(この場合、0.70超)のは、精度がより低い傾向にある。
【0210】
図2は、例C12及びE2ときわめて同様にして得られた生成物のX線回折スペクトルを示す。
【0211】
図3は、例C28及びE2と非常に同じ様にして得られた生成物のX線回折スペクトルを示す。
【0212】
例F1〜F5
以下の物質を37mlスクリューボトルに導入した。例C10、C12、C27及びC28の生成物ならびに市販のIrgaphor(登録商標)DPPレッドB−CF200mg、Solsperse S22000(Zeneca)8mg、Solsperse S24000(Zeneca)32mg、芳香族メタクリレートとメタクリル酸との、Mw30,000〜60,000のコポリマー200mg、(1−メトキシ−2−プロピル)−アセテート1760mg及び直径0.5mmのジルコニアビーズ5000mg。ボトルを内カップでシールしたのち、3時間、塗料コンデショナに適用して分散液を得た。
【0213】
このようにして得られた分散系をスピンコートによってガラス基材上に流延した(x=0.5500の色座標(標準C光、視角2°)を有する膜が得られるように回転速度を調節)のち、60℃で1時間乾燥させた。このようにして得られた分散膜の光学特性を、UV/VIS分光光度計の使用によって計測した。結果は次のとおりであった。
【0214】
【表2】
【0215】
図4は、例F2及びF3のカラーフィルタの、350〜770nmの吸収スペクトルを示す。570〜580nmの領域における最大傾斜(吸収の減少)は、例F2の場合には約579nmで6.16%A/nmであり、例F3の場合には約575nmで4.39%A/nmであった。
【0216】
例G1
例F2の分散膜をオーブンに入れて空気中270℃で60分間加熱した。熱処理後、膜の光学顕微鏡画像を撮影した。熱安定性は、赤カラーフィルタ用途に適した他の顔料分散系の熱安定性よりもずっと良好であった。
【0217】
例H1
顔料15gとステアリン酸リチウム(メタルソープ、任意の種)15gとをホモジナイザによって3000rpmで3分間混合した。この乾燥混合物1.2g及びPET−Gペレット(顔料濃度0.1%)600gをガラスボトルに入れて2ロールによって15分間タンブルした。そして、得られた組成物を260℃で5分間、小板に射出成形した。CIE1976色座標は、L*=58.1、C*=35.3、h=3.7であった。熱安定性は高かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、この生成物のTEM写真である。
【図2】 図2は、例C12及びE2ときわめて同様にして得られた生成物のX線回折スペクトルである。
【図3】 図3は、例C28及びE2と非常に同じ様にして得られた生成物のX線回折スペクトルである。
【図4】 図4は、例F2及びF3のカラーフィルタの、350〜770nmの吸収スペクトルである。
Claims (3)
- 顔料を製造する方法であって、
・粗顔料又は粗顔料の混合物と、結晶質無機塩又は結晶質無機塩の混合物とを一緒にして、本質的に他の成分の非存在下で、少なくとも10m/sの接線速度を有するロータの作用に付して、摩擦効果によって少なくとも80℃の温度が達成されるようにし、かつ、X線指数を4未満とし、続いて
・この処理の生成物を有機液体で混練し、その間に、望むならば、該無機塩、不活性添加物及び着色剤からなる群より選択される付加的な物質を添加することができ、その間に、該有機液体と該無機塩との割合が1 ml :6 g 〜3 ml :7 g であり、該有機液体と該無機塩及び該顔料の総重量との割合が1 ml :2.5 g 〜1 ml :7.5 g である
ことを含む方法。 - 該無機塩と該有機液体がそれぞれ水に少なくとも10 g /100 ml 溶解する、請求項1記載の方法。
- 請求項1又は2記載の方法によって得ることができる顔料。
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