JP3991471B2 - 成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に凹凸形状を有する成形体の製造方法、及びそれに用いる樹脂型に関し、特に、高い面精度の凹凸形状を有する成形体の製造方法、および耐熱変形性や耐吸湿変形性等の凹凸形状の長期維持性に優れ、しかも硬化性樹脂との離型性に優れ、高い面精度の凹凸形状が転写可能な樹脂型に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プロジェクションテレビの投写スクリーンや液晶の普及に伴って、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズムシート、導光板等の表面に凹凸形状を設けたシート状または板状のプラスチック製成形体が使用されてきている。これらの成形体には、高い精度で光線を拡散、集光または反射させるために、高い面精度を有した凹凸形状を形成させる必要がある。
【0003】
レンチキュラーレンズは、その表面に微少なシリンダを配列した凹凸形状を有しており、裏面を結像位置とするシリンドリカルレンズの働きをする。このレンチキュラーレンズはその裏面に貼り付けられた印画紙に、たとえば立体写真で表したい対象物を焼き付ける場合などに使用される。したがって、レンチキュラーレンズ表面の凹凸形状に歪みなどが生じると、本来一点に記録されるべき画像にぼけが生じることになり、再生する立体像が劣化する問題が生じる。そこで、レンチキュラーレンズには、凹凸形状の高い精度が要求される。
【0004】
フレネルレンズは、たとえば、光ディスクの情報を読み取るためのピックアップレンズやオーバーヘッドプロジェクターの集光レンズなどの高精度の光学部品などとして好適であり、したがって、その表面に形成される凹凸形状には、高い精度が要求される。
【0005】
プリズムシートは、たとえば、液晶用バックライトの正面輝度向上のために使用され、特に、プリズム頂角には最適値が存在し、通常90°〜110°の値が最もよく採用され、この範囲の頂角に対する高い精度が要求される。
【0006】
導光板は、たとえば、V溝やドットなどの凹凸形状の光反射面を有するエッジライト式のものが挙げられ、通常は高い透明性が要求される。また、この凹凸形状の転写が充分でないと光出射面上に輝度斑を生じるので、前記光反射面には高い面精度が要求される。
【0007】
従来は、こうした、表面に凹凸形状を有する薄型のプラスチック成形体を、例えば、種々の製品を簡易に製造するためにポリカーボネートやポリメタクリレート等からなる樹脂型であって、キャビティ内面に成形体の凹凸形状を転写するための凹凸形状が形成された樹脂型を用い、アクリレート等の重合性モノマーを充填し紫外線を照射して製造していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法では、ポリカーボネートやポリメタクリレート等の樹脂型が、保存時に湿度や重合時の重合熱等で変形してしまう為、微細な凹凸形状に狂いが生じるという問題があった。
【0009】
また、樹脂型と硬化した成形体との離型性が悪いために、特に薄く大型化してきた成形体では破損しやすいという問題があったり、また凹凸形状が充分に転写できない問題も生じていた。特にこの問題は、成形体が薄く且つ大型化されてきた場合により顕著であった。
【0010】
本発明はこうした実状に鑑みてなされ、高い面精度の凹凸形状を有する、特に光学部品に有用な成形体の製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、耐熱変形性や耐吸湿変形性等の凹凸形状の長期維持性に優れ、しかも硬化性樹脂との離型性に優れ、高い面精度の凹凸形状が転写可能な樹脂型を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ノルボルネン系重合体などの脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる樹脂型が、微細な凹凸面の形状維持性に優れ、しかも硬化した成形体を離型する時の離型性に優れる為、これを用いて成形することにより、高い面精度の凹凸形状を有する成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明に係る表面に凹凸形状を有する「成形体の製造方法」は、該成形体表面の凹凸形状を転写するためのキャビティ内面形状を有し、且つ脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる樹脂型に、硬化性樹脂を充填して硬化させることを特徴とする。なお、本発明において製造される成形体は、表面に凹凸形状を有することを特徴とし、好ましくはシート状または板状である。本発明によれば、高い面精度の凹凸形状を有する成形体を提供できる。
【0013】
上記硬化性樹脂は、重合性モノマーと重合開始剤とを含むものである。
【0014】
上記重合性モノマーは、ビニル基、(メタ)アリル基、または(メタ)アクリロイル基を分子内に一個以上含む重合性モノマーを含むものであることが望ましい。
【0015】
上記重合開始剤は、光重合開始剤である。
【0016】
上記表面に凹凸形状を有する成形体は、光学部品であることが望ましく、拡散シート、集光シートまたは導光板であることがより望ましい。
【0017】
本発明に係る「樹脂型」は、表面に凹凸形状を有する薄型成形体を製造するための脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなることを特徴とする。本発明の樹脂型は脂環式構造含有重合体樹脂からなるので、耐熱変形性や耐吸湿変形性等の凹凸形状の長期維持性に優れ、しかも硬化性樹脂との離型性に優れ、高い面精度の凹凸形状が転写可能な樹脂型を提供できる。
【0018】
上記脂環式構造含有熱可塑性樹脂はノルボルネン系重合体であることが望ましい。
【0019】
上記脂環式構造含有熱可塑性樹脂は離型剤を含有するものであることが望ましい。
【0020】
上記離型剤は、脂肪酸誘導体および/または多価アルコール誘導体であることが望ましい。具体的な例示については後述する。
【0021】
本発明に係る樹脂型の製造方法は、特に限定されないが、好ましくは射出成形法またはプレス成形法により成形することが望ましい。
【0022】
成形体
本発明において製造される成形体は、表面に凹凸形状を有することを特徴とし、好ましくはシート状または板状である。
【0023】
表面の凹凸形状としては、格別に制限はないが、たとえば、レンチキュラー形状(図1(B))、フレネル形状(図3(B)(C))、プリズム形状(図4(B))、V溝(図6(B))などに示されるような微細で高い面精度が要求される凹凸形状に対して特に有効である。
【0024】
本発明の製造方法は、凹凸形状の転写性に優れるので、特に高い凹凸形状の面精度が要求される各種用途の材料に用いることができる。特に高い面精度の凹凸形状を有する光学部品の製造に好適である。
【0025】
光学部品の具体例としては、光学レンズ、導光板、プリズムシート、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、光ディスク基板、光磁気ディスク基板、光カード基板、光導波路、などが挙げられ、特に、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、プリズムシートなどの拡散または集光シートや導光板などが好適である。
【0026】
成形体の大きさは、格別な限定はないが、微細な凹凸面を有する樹脂型であっても離型性に優れるために、大型で薄型の成形品を製造する場合にその効果がより発揮される。
【0027】
成形体の厚さは、通常0.1〜20mm、好ましくは0.2〜10mm、より好ましくは0.3〜5mmの範囲であり、成形品の幅は、通常1〜2,000mm、好ましくは5〜1,500mm、より好ましくは10〜1,000mmの範囲であり、成形品の長さは、通常1〜2,000mm、好ましくは10〜1,500mm、より好ましくは100〜1,000mmの範囲である。
【0028】
樹脂型
本発明の樹脂型は、上記成形体の少なくとも凹凸形状を転写するためのキャビティ内面形状を有するものであり、且つ、脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなることを特徴とする。樹脂型として、脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなるものを用いることにより、凹凸面が微細構造でも精度よく成形が可能で、耐久性(耐熱、耐吸湿変異、繰り返し使用が可能)に優れ、しかも、硬化成形体の離型性にも優れる特性を示す。特に、硬化成形体が大型になるに従って、さらにこれらの特徴が強調され好適である。
【0029】
(I)脂環式構造含有熱可塑性樹脂
脂環式構造含有熱可塑性樹脂としては、主鎖及び/または側鎖に脂環式の環構造を有するものであり、機械的強度や耐熱性などの特性に優れ樹脂型の耐久性の観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン構造)や不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械的強度や耐熱性などの特性に優れ耐久性の観点から、シクロアルカン構造が好適である。脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度や耐熱性に優れ、しかも樹脂型の成形加工性にも優れるので好適である。
【0030】
本発明に使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%、上限が100重量%である。脂環式構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと、樹脂型の耐久性や成形体との離型性に劣り好ましくない。脂環式構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。
【0031】
かかる脂環式構造を有する熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)脂環式構造含有ビニル系重合体、及び(5)これらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物などの熱可塑性ノルボルネン系樹脂、環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物などが好ましく、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物がより好ましい。
【0032】
(1)ノルボルネン系重合体及びその水素添加物
ノルボルネン系重合体としては、格別な制限はなく、例えば、特開平3−14,882号公報や特開平3−122,137号公報などで開示される方法によって、ノルボルネン系モノマーを重合したものが用いられる。具体的には、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーとビニル化合物の付加型重合体などが挙げられる。これらの中でも、樹脂型の耐久性や性形体との離型性を高度にバランスさせる上で、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル化合物の付加型重合体などが好ましく、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が特に好ましい。
【0033】
ノルボルネン系モノマーは、上記各公報や特開平2−227,424号公報、特開平2−276,842号公報などに開示されている公知のモノマーであって、例えば、ノルボルネン構造を有する多環炭化水素; そのアルキル、アルケニル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導体; ハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の極性基置換誘導体; これら極性基を有するアルキル、アルケニル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導体; などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン構造を有する多環炭化水素、及びそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、芳香族等の置換誘導体などが、樹脂型の耐久性や成形体との離型性に優れ好適である。
【0034】
ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン等;
ジシクロペンタジエン、その上記と同様の置換誘導体、例えば、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;
ジメタノオクタヒドロナフタレン、その上記と同様の置換誘導体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等;
シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、その上記と同様の置換誘導体、例えば、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフタレン等;
シクロペンタジエンの多量体、その上記と同様の置換誘導体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等;
1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、その上記と同様の置換誘導体;
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、その上記と同様の置換誘導体、例えば、1,4−メタノ−8−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−クロロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−ブロモ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン等;
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロベンゾフラン、その上記と同様の置換誘導体;
1,4−メタノ−9−フェニル−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール、その上記と同様の置換誘導体; 1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、その上記と同様の置換誘導体; 7,10−メタノ−6b,7,10,10a−テトラヒドロフルオランセン、その上記と同様の置換誘導体; などが挙げられる。
【0035】
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ノルボルネン系重合体中のノルボルネン系モノマー単位の結合量の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、100重量%であるものが樹脂型の耐久性や成形体との離型性に優れ好適である。
【0036】
ノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;
1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン; などが挙げられる。
【0037】
これらのビニル化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
ノルボルネン系モノマーまたはノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル化合物との(共)重合方法及び水素添加方法は、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
【0039】
ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体は、ノルボルネン系モノマーを、開環重合触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩、またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系を用いて、溶媒中または無溶媒で、通常、−50°C〜100°Cの重合温度、0〜50kg/cm2 の重合圧力で開環(共)重合させることにより得ることができる。触媒系に、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸などの第三成分を加えて、重合活性や開環重合の選択性を高めることができる。
【0040】
ノルボルネン系モノマーとビニル化合物との付加共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中または無溶媒で、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、通常、−50°C〜100°Cの重合温度、0〜50kg/cm2 の重合圧力で共重合させる方法により得ることができる。
【0041】
水素添加ノルボルネン系重合体は、常法に従って、開環(共)重合体などの不飽和結合を有するノルボルネン系重合体を、水素添加触媒の存在下に水素により水素化する方法により得ることができる。
【0042】
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開昭64−66,216号公報に開示されているシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系モノマーの付加重合体を用いることができる。
【0043】
(3)環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−136,057号公報や特開平7−258,318号公報に開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系モノマーを1,2−または1,4−付加重合した重合体、及びその水素添加物などを用いることができる。
【0044】
(4)脂環式構造含有ビニル系重合体及びその水素添加物
脂環式構造含有ビニル系重合体としては、例えば、特開昭51−59,989号公報に開示されているビニルシクロヘキセンやビニルシクロヘキサンなどの脂環式構造含有ビニル系モノマーを重合した重合体及びその水素添加物、特開昭63−43,910号公報や特開昭64−1,706号公報などに開示されているスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマーを重合した重合体の芳香環部分の水素添加物などを用いることができる。
【0045】
本発明に使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン(またはトルエン)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレン換算(またはポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲である。脂環式構造含有熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)がこの範囲にあるときに、機械的強度と成形加工性のバランスが保たれ好適である。
本発明に使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサンを(またはトルエン)溶媒とするGPCで測定されるポリイソプレン換算(またはポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表すと、通常5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
【0046】
本発明で使用する脂環式構造含有熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常50〜400°C、好ましくは70〜350°C、より好ましくは90〜300°Cの範囲である。樹脂のTgは高いほど、例えば重合性モノマーの硬化時の発熱による変形に耐えられ耐久性が高くなり好ましい。一方、樹脂のTgが高すぎると、微細凹凸形状の加工がしにくくなる場合がある。したがって、樹脂のTgは、前記範囲にある時に、樹脂型の耐久性と成形加工性が高度にバランスして好適である。
【0047】
本発明に使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂の温度280°C、荷重2.16kgfにおけるJIS−K6719により測定したメルトフローレートは、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常1〜100g/10min、好ましくは2〜70g/min、より好ましくは3〜50g/10minの範囲である時に、微細凹凸形状を有する樹脂型の成形性が最適となり好ましい。
【0048】
これらの脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
(II)離型剤
本発明の樹脂型は、上記脂環構造含有熱可塑性樹脂からなり、特に、樹脂型と硬化性樹脂との離型性をさらに向上させる目的で、内部添加型離型剤としての効果を発揮し得る配合剤を添加することができる。
【0050】
内部添加型離型剤としての効果を発揮し得る配合剤としては特に限定はないが、長鎖の炭化水素基と少数の極性基からなり脂環式構造含有熱可塑性樹脂に対し相溶性を有しつつ、極性基部分の相溶性が限られているために成形品表面に一部移行して潤滑層を形成し得るような化合物が通常使用される。
【0051】
このような上記化合物としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸ケトン、脂肪族アルコールなどの「脂肪酸誘導体」; 脂肪酸と多価アルコールのエステル化合物及び部分エステル化合物、多価アルコールの部分エーテル化合物などの「多価アルコール誘導体」などが挙げられる。中でもステアリルステアレート、トリメリット酸トリアルキル、n−ブチル・ステアレートなどの脂肪酸エステル; 12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールのエステル化合物; ベヘニン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ポリグリセリンステアリン酸エステル、などの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物; ポリグリセリンノニルフェニルエーテルなどの多価アルコールの部分エーテル化合物などが好ましく、ステアリルステアレート、ベヘニン酸モノグリセリド、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、トリメリット酸トリアルキル(C9)、ペンタエリスリトールジステアレート、ポリグリセリンノニルフェニルエーテルなどが最も好ましい。
【0052】
これら内部添加型離型剤の配合量は、使用目的や条件に応じて適宜選択されるが、脂環式構造含有熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部であるときに、樹脂型の離型性、機械強度が高度にバランスされて好適である。
【0053】
(III)配合剤
本発明の樹脂型は、上記脂環構造含有熱可塑性樹脂からなり、必要に応じて、その他のポリマーや配合剤を添加してもよい。
【0054】
その他のポリマーとしては、例えば、軟質重合体やその他の樹脂を挙げることができる。
【0055】
「軟質重合体」としては、通常30°C以下のガラス転移温度(Tg)を有する重合体のことをいい、Tgが複数存在する重合体やTgと融点(Tm)の両方を有する重合体の場合にも、最も低いTgが30°C以下であれば、該軟質重合体に含まれる。
【0056】
このような軟質重合体としては、(a)エチレンや、プロピレンなどのα−オレフィンから主としてなるオレフィン系軟質重合体、(b)イソブチレンから主としてなるイソブチレン系軟質重合体、(c)ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンから主としてなるジエン系軟質重合体、(d)ノルボルネン、シクロペンテンなどの環状オレフィンから主としてなる環状オレフィン系開環重合体、(e)けい素−酸素結合を骨格とする軟質重合体(有機ポリシロキサン)、(f)α,β−不飽和酸とその誘導体から主としてなる軟質重合体、(g)不飽和アルコールおよびアミンまたはそのアシル誘導体またはアセタールから主としてなる軟質重合体、(h)エポキシ化合物の重合体、(i)フッ素系ゴム、(j)その他の軟質重合体、などが挙げられる。
【0057】
これらの軟質重合体の具体例としては、例えば、
(a)としては、液状ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−デセンなどの単独重合体; エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・環状オレフィン共重合体およびエチレン・プロピレン・スチレン共重合体などの共重合体が挙げられる。
【0058】
(b)としては、ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などが挙げられる。
【0059】
(c)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエンの単独重合体; ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体の水素添加物、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などの共役ジエンのランダム共重合体; ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などの共役ジエンと芳香族ビニル系炭化水素のブロック共重合体、およびこれらの水素添加物などが挙げられる。
【0060】
(d)としては、ノルボルネン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどのノルボルネン系モノマー、またはシクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィンのメタセシス開環重合体およびその水素添加物が挙げられる。
【0061】
(e)としては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、などのシリコーンゴムなどが挙げられる。
【0062】
(f)としては、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリルなどのアクリルモノマーの単独重合体; ブチルアクリレート・スチレン共重合体などのアクリルモノマーとその他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0063】
(g)としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニルなどの(エステル化)不飽和アルコールの単独重合体; 酢酸ビニル・スチレン共重合体などの(エステル化)不飽和アルコールとその他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。
【0064】
(h)としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴム、などが挙げられる。
【0065】
(i)としては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、などが挙げられる。
【0066】
(j)としては、天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、及び特開平8−73709号公報記載のポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0067】
これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性により官能基を導入したものであってもよい。
【0068】
本発明においては、成形品の透明性の低下を防止する観点から、上記軟質重合体の中でも(a)、(b)、(c)の軟質重合体が、特にゴム弾性に優れ、機械的強度、柔軟性および混和性に優れるため好ましい。なかでも、(c)のジエン系軟質重合体が好ましく、さらに、共役ジエン結合単位の炭素−炭素不飽和結合が水素添加されたジエン系軟質重合体の水素添加物がより好ましい。このような軟質重合体の具体例としては、例えば、ポリブタジエンなどの単独重合体の水素添加物、ブタジエン・スチレン共重合体などのランダム共重合体の水素添加物;ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などのブロック共重合体の水素添加物; などが挙げられる。
【0069】
「その他の樹脂」としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどの鎖状ポリオレフィン; ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル; ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド; エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0070】
これらのその他のポリマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その他のポリマーの配合割合は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常100重量部以下、好ましくは70重量部以下、より好ましくは50重量部以下であり、その下限は0重量部である。
【0071】
「その他の配合剤」としては、例えば、老化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤などの安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、染料、着色剤、ブロッキング防止剤、天然油、合成油、ワックス、難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤などが挙げられる。これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられ、その配合割合は、本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
【0072】
上記これらの配合剤の中でも、老化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤などの安定剤、紫外線吸収剤を配合した場合には、樹脂型の繰返し使用時の耐熱安定性、耐光性が向上して好適である。
【0073】
(IV)樹脂型
本発明の樹脂型の製造方法は、常法に従えばよく、例えば、上記脂環式構造含有熱可塑性樹脂、及び必要に応じて配合剤を添加したものを成形して得ることができる。
【0074】
成形方法としては、常法に従えばよく、例えば、射出成形、プレス成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などの成形方法が挙げられる。これらの中でも、射出成形法及びプレス成形法が、凹凸形状の面内のバラツキを小さくでき好適である。プレス成形法としては、例えば、溶融押出法により作製したシートまたはフィルム等を、成形しようとする凹凸状の金型内で加温・加圧する方法が挙げられる。
【0075】
成形条件は、成形法及び使用する脂環式構造含有熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、樹脂温度が通常100〜400°C、好ましくは200〜350°Cで、圧力が通常1〜1000kg重/cm2 、5〜500kg重/cm2 で、加温時間が通常数秒間〜数十分間の範囲で適宜選択される。
【0076】
本発明の脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる樹脂型は、また、活性エネルギー線の透過率に優れるので、活性エネルギー線の透過面として使用することもできる。
【0077】
硬化性樹脂
本発明で上記樹脂型に充填させて硬化させる硬化性樹脂としては、格別な限定はなく樹脂工業界で一般に使用されるものを用いることができる。
【0078】
硬化性樹脂としては、通常、重合性モノマーと重合開始剤を含むものが用いられる。
【0079】
重合性モノマーとしては、通常、ラジカル重合性のモノマーが用いられる。ラジカル重合性のモノマーとしては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、または(メタ)アクリロイル基を分子内に一個以上含む化合物が挙げられ、これらの中でも、(メタ)アクリロイル基を分子内に1個以上含む化合物が、耐熱性、透明性、硬化性樹脂の即硬化性等の特性に優れるので光学材料として用いる場合に好適である。
【0080】
(メタ)アクリロイル基を分子内に1個以上含む重合性モノマーとしては、例えば、、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メア)クリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メア)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルモルホリン等のアクリロイル基が1個の1官能性(メタ)アクリレート単官能モノマー;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ブチン−1,4−ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノルジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレンングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス−(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(メタ)アクリロキシ(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス−(2−メタアクリロイルオキシエチル)フタレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(ヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートなどのアクリロイル基が2個以上の(メタ)アクリレート多官能モノマー; などが挙げられる。
【0081】
これらの(メタ)アクリロイル基を分子内に1個以上含む重合性モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、高い機械的強度や高い耐熱性など特性が要求される分野においては、(メタ)アクリレート単官能性モノマーと(メタ)アクリレート多官能性モノマーを混合したモノマーが好ましく、混合比は、使用目的に応じて適宜選択されるが、単官能性モノマー/多官能性モノマーの重量比で、通常1/99〜90/10、好ましくは5/95〜70/30、より好ましくは10/90〜60/40の範囲である。
【0082】
(メタ)アクリロイル基以外の重合性基を有する重合性モノマーの具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン誘導体; イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸類; (メタ)アクリロニトリルなどのような重合性不飽和ニトリル類; マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等不飽和カルボン酸エステル類; 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類; などが挙げられる。
【0083】
これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。上記した中でも、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体が好ましい。
【0084】
これらの重合性モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0085】
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤のいずれでもよいが、生産性の観点から光重合開始剤が好適である。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルギリオキシレート、2−ヒトロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−エチルアントラキノン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド等の硫黄化合物、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等を挙げることができる。
【0086】
これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせてもちいることができる。重合開始剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、重合性モノマー100重量部当たり、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。重合開始剤の配合剤がこの範囲にある時に大きな成形物でも、均一な硬化が可能となり、斑や黄変のなく、色合いものにも生産性良く製造できるので好適である。
【0087】
【発明の実施の形態】
以下に、硬化性樹脂として重合性モノマーと光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂を用い、樹脂型に充填後、活性エネルギー線を照射して硬化させる成形体の製造方法について説明する。
【0088】
第1実施形態
図1(A)は本発明方法の第1実施形態に係る樹脂型を示しており、特にレンチキュラーレンズ用樹脂型を示す断面図、図1(B)は図1(A)の樹脂型を用いて製造されたレンチキュラーレンズを示す概略斜視図、図2(A)(B)は図1(A)の樹脂型を用いたレンチキュラーレンズの一製造工程を示す図、図2(C)は図2(A)(B)の製造工程により製造されたレンチキュラーレンズの原理説明図である。
【0089】
樹脂型11は、図1(A)に示すように、レンチキュラーレンズ表面の凹凸形状を転写するための凹凸形状11aをキャビティ内面に有し、かつ脂環式構造含有重合体樹脂から構成してある。凹凸形状11aの大きさ及び個数は、使用目的に応じて適宜選択される。
【0090】
樹脂型11に活性エネルギー線硬化性モノマー12を充填した後の樹脂型11の上部は、図1(A)のように開放系でもよいし、また、図示しない活性エネルギー線透過性の材料で構成された蓋または上部樹脂型を被せた後、活性エネルギー線を照射するようにしてもよい。この場合、蓋または上部樹脂型を構成する活性エネルギー線透過性の材料としては、格別な限定はなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの鎖状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリスルフォン、ポリアミド、及び本発明の樹脂型で使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂などのプラスチックからなる板材が用いられる。
【0091】
こうした樹脂型11を用いて図1(B)に示すような樹脂型11の凹凸形状11aに対応する凹凸形状19aを表面に持つレンチキュラーレンズ19が製造される。
【0092】
また本発明においては、図2(A)に示すように、樹脂型11のキャビティに硬化性モノマー12を充填後、透明基材シート13を上部に設け、活性エネルギー線を照射することにより、図2(B)に示すような透明基材シート13とレンズ形状部材14とが一体となったレンチキュラーレンズ19を製造することができる。こうして製造されたレンチキュラーレンズ19のレンズ形状部材14の表面14aは、図2(C)に示すように、微少なシリンダを配列した凹凸形状をしており、透明基材シート13の裏面13aを結像位置とするシリンドリカルレンズの働きをする。このレンチキュラーレンズ19は、図2(C)に示すように、透明基材シート13上のレンズ形状部材14とは反対面に印画紙23を貼り付けて使用される。この印画紙23は以下のようにして製作される。▲1▼立体写真で表したい対象物を視差を替えて撮影し、▲2▼この視差を保持しながら撮影した画像を、レンズ形状部材14および透明基材シート13を通じて投影すると、▲3▼印画紙23に投影した画像が縮小されて視差の順に記録される。この印画紙をはがして現像した後、もとの位置に貼り付けることにより、図2(C)に示すように、投影時の視差に対応した方向に像光が出力される。立体写真では対象物をどのような位置関係で投影し、レンチキュラーレンズ19をどのような位置関係で観察するかを想定して、それに合った特性のレンチキュラーレンズを使用するが、本実施形態でのレンチキュラーレンズ19は脂環式構造含有重合体樹脂からなる樹脂型により製造してあるので寸法精度が高く、したがって、レンズ形状部材14の表面(シリンダ表面)14aによる結像位置と印画紙面である裏面13aが、焦点ぼけを生じることなく一点となり、精度の高い立体像を形成できる。
【0093】
透明基材シート13しては、例えば、紫外線等の活性エネルギー線を透過する柔軟なガラス板でもよいが、一般的には、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂などのフッ素系樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、及び本発明の樹脂型で使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂などの熱可塑性樹脂からなるシートが用いられる。透明基材シート13の厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10〜10,000μm、好ましくは50〜5,000μm、より好ましくは100〜1,000μmの範囲である。
【0094】
なお、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させて作ったレンズ形状部14と透明基材シート13との間に密着性を向上させる図示しないアンカーコート処理層を設けてもよい。
【0095】
第2実施形態
図3(A)は本発明方法の第2実施形態に係る樹脂型を示しており、特にフレネルレンズ用樹脂型を示す断面図、図3(B)は図3(A)の樹脂型を用いて製造されたフレネルレンズを示す平面図、図3(C)は図3(A)の樹脂型を用いて製造されたフレネルレンズの断面図である。
【0096】
樹脂型31は、図3(A)に示すように、フレネルレンズ表面の微細な凹凸形状を転写するための凹凸形状31aをキャビティ内面に有し、かつ脂環式構造含有重合体樹脂から構成してある。凹凸形状31aの大きさ及び個数は、使用目的に応じて適宜選択される。
【0097】
また、樹脂型31に硬化性モノマー12を充填した後の樹脂型31の上部は、図示しない開放系でもよいし、また図3(A)のように活性エネルギー線透過性の材料で構成された蓋または上部樹脂型33を被せた後、活性エネルギー線を照射してもよい。この場合、蓋または上部樹脂型33を構成する活性エネルギー線透過性の材料としては、格別な限定はなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの鎖状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリスルフォン、ポリアミド、及び本発明の樹脂型で使用される脂環式構造含有熱可塑性樹脂などのプラスチックからなる板材が用いられる。
【0098】
こうした樹脂型31を用いて図3(B)および(C)に示すような樹脂型31の凹凸形状31aに対応する凹凸形状39aを表面に持つフレネルレンズ39が製造される。
【0099】
第3実施形態
図4(A)は本発明方法の第3実施形態に係る樹脂型を示しており、特にプリズムシート用樹脂型を示す断面図、図4(B)は図4(A)の樹脂型を用いて製造されたプリズムシートを示す部分断面図、図4(C)は図4(B)のプリズムシートの原理説明図、図5(A)(B)は図4(A)の樹脂型を用いたプリズムシートの一製造工程を示す図である。
【0100】
樹脂型41は、図4(A)に示すように、プリズムシート表面の凹凸形状を転写するための凹凸形状41aをキャビティ内面に有し、かつ脂環式構造含有重合体樹脂から構成してある。凹凸形状41aの大きさ及び個数は、使用目的に応じて適宜選択される。
【0101】
こうした樹脂型41を用いて図4(B)に示すような樹脂型41の凹凸形状41aに対応する凹凸形状49aを表面に持つプリズムシート49が製造される。こうして得られたプリズムシートは例えば、液晶用バックライトの正面輝度向上のために使用され、そのメカニズムは、例えば、特開平7−174,910号公報に開示されているように、二つの作用が働いているとされている。
【0102】
第一の作用は、プリズムシートによる光線の屈折作用によるものである。図4(C)に示すように、光線58、58’は、発光面53からプリズムシートに入り、正面方向に出て行く光線を示している。図4(C)からわかるように、これらの光線は入射面52とプリズム斜面51、51’で屈折しているため、プリズムシートに入射する際の入射角度αは、本来正面方向に向かっていた光線成分とは異なる。一般に薄型表示器に使われるエッジライト式バックライトの指向性は、出射角度が大きくなるほど光線密度が高くなる性質を持っているため、このような角度αの光線成分を利用することによって正面輝度が増す効果がある。
【0103】
プリズムシートの第二の作用は、プリズム面からの全反射光によってバックライトの発光面の輝度が増すことである。図4(C)中の光線59は、発光面53からプリズムシートに入り、プリズム面に全反射して再び発光面に戻る光線を示している。この際光線59は、プリズムの両斜面の法線と臨界角θc(=sin−1(1/n);nはプリズムの屈折率)以上の入射角度をなしていなければならない。従って、このような全反射光の大きさはプリズムの頂角や屈折率、バックライトの指向性などに依存するが、プリズム頂角90°〜110°、屈折率1.49〜1.59の典型的なプリズムシートの場合、無指向のバックライトに対して、全入射光の30〜40%程度が全反射して発光面53に戻ってくると推定される。発光面53には通常光を拡散反射する拡散シートが使われており、全反射光59を拡散反射することによって発光面53の輝度を増し、結果として正面輝度を増すことになる。
【0104】
実際には、これらの二つの作用があいまって40〜50%以上の正面輝度増加が達成され、これらの効果はプリズム頂角とプルズム屈折率に左右される。プリズム頂角は、小さいほど角度αが大きいため第一の作用は大きくなるが、全面全反射光線59は減少し、第二の作用が小さくなる。従って、プリズム頂角には最適値が存在し、90°〜110°の値がもっともよく採用され、この頂角の精度が特に要求される。本実施形態でのプリズムシート49は脂環式構造含有重合体樹脂からなる樹脂型により製造してあるので寸法精度が高く、したがって、精度の高いプリズム頂角をもったプリズムシートを提供できる。
【0105】
なお、プリズムシート49の製造においては、図5(A)(B)に示すように、前記レンチキュラーレンズ同様、透明基材シート13とプリズム形状部材44とが一体となったプリズムシート49を製造することができる。
【0106】
第4実施形態
図6(A)は本発明方法の第4実施形態に係る樹脂型を示しており、特に導光板用樹脂型を示す断面図、図6(B)は図6(A)の樹脂型を用いて製造された導光板を示す断面図である。
【0107】
図6(A)の導光板用の樹脂型61は、導光板光反射面69bの凹凸形状(V溝)を転写するための凹凸形状(V溝)62aをキャビティ内面に有し、かつ脂環式構造含有重合体樹脂から構成してある第1樹脂型62と、脂環式構造含有重合体樹脂から構成してある第2樹脂型63とを有する。第1樹脂型62の凹凸形状62aの大きさ及び個数は適宜選択される。
【0108】
こうした樹脂型61に硬化性モノマー12を充填した後、活性エネルギー線を照射することにより、図6(B)に示すような第1樹脂型62の凹凸形状62aに対応する凹凸形状(V溝)69aを、光反射面69bに持つ導光板69が製造される。
【0109】
活性エネルギー線の照射は、第1樹脂型62および第2樹脂型63のいずれも脂環式構造含有熱可塑性樹脂からできているので、いずれの樹脂型側から照射してもよい。
【0110】
活性エネルギー線としては、通常、電子線や紫外線が用いられる。照射する活性エネルギー線の量は、重合が開始されるラジカル量が発生する量であれば十分であり任意であり、活性エネルギー線や硬化性モノマーの種類、または光重合開始剤の有無や種類により適宜選択される。(メタ)アクリロイル基を分子内に1個以上含む重合性モノマーと光重合開始剤を含む硬化性樹脂を用いる場合は、200〜400nmの紫外線を、好ましくは積算エネルギーが0.1〜200J/cm2 の範囲となるように照射する。使用するランプの具体例としては、蛍光灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、低圧水銀灯ランプを挙げることができる。活性エネルギー線の照射雰囲気下は、空気中でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよい。
【0111】
活性エネルギー線照射による硬化をすみやかに完了させる目的で、熱硬化を併用してもよい。すなわち活性エネルギー線の照射と同時に型全体を通常30〜300°Cの範囲で加熱する。この場合は硬化をより完結するために熱でラジカル重合を開始させる前記熱重合開始剤を添加してもよい。更に、本発明において、活性エネルギー線照射によるラジカル重合を行った後、硬化成形物を加熱することにより重合反応の完結及び重合時に発生する内部歪みを低減することも可能である。加熱温度は、硬化物の組成やガラス転移温度に合わせて適宜選択されるが、過剰な加熱は硬化成形物の色相悪化をもたらすため、ガラス転移温度付近かそれ以下の温度が好ましい。
【0112】
活性エネルギー線を照射させて硬化が完了した後、表面に凹凸形状を有する成形体(硬化性成形体)を樹脂型から剥離する。本発明の脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる樹脂型は、硬化性成形体、特にアクリロイル基を分子内に1個以上含む重合性モノマーを用いて硬化させた成形体との離型性に優れるので、容易に成形物を樹脂型から剥離できる。また、成形物は、樹脂型を溶融または軟化、あるいは溶媒に浸漬または溶媒を塗布し樹脂型を溶解もしくは膨潤させて分離することもできる。
【0113】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々変更することができる。
【0114】
【実施例】
以下、本発明について、製造例、実施例、及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。これらの例において、部及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。また、各種物性の測定法は、次のとおりである。
【0115】
(1)ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC法)により測定した。
【0116】
(2)分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリイソプレン換算値、もしくは、トルエンを溶媒とするGPCで測定されるポリスチレン換算値として測定した。
【0117】
(3)水素添加率は、 1H−NMR法により測定した。
【0118】
(4)樹脂型の高温高湿度環境下の耐久性試験
成形用樹脂型を、温度25°Cから1時間で温度:80°C、湿度:90%RHの高温・高湿状態とし、この状態で2時間保持した後、1時間で元の25°Cに冷却し、その状態で2時間保持する処理を1サイクルとして、この処理を28サイクル繰り返し、環境試験後の、樹脂型の外観を観察した。外観状の変化を以下の基準で評価した。
【0119】
◎:外観上の変化認められない。
【0120】
△:外観上の変化小。そり。
【0121】
×:外観上の変化大。そり、ねじれ、変形、他。
【0122】
(5)樹脂型を用いた硬化性成形体の成形加工性
硬化性成形体の型からの離型性、成形品の外観を目視観察し、評価した。欠け、ボイド、クラック、変形、等の欠陥の有無を評価した。評価基準は、次のとおりである。
【0123】
◎:欠陥の無いものが10枚中10枚(非常に良好)、
○:欠陥の無いものが10枚中9〜7枚(良好)、
△:欠陥の無いものが10枚中6〜4枚(やや不良)、
×:欠陥の無いものが10枚中3枚以下(不良)。
【0124】
[参考例1]
窒素雰囲気下で、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(MTFと略す)5.0重量部、1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン(TCDと略す)5.0重量部をシクロヘキサン300重量部に溶解し、分子量調節剤として1−ヘキセン0.30重量部を添加した。この溶液にトリイソブチルアルミニウムの10wt%シクロヘキサン溶液1.1重量部、および、イソブチルアルコール0.043重量部の混合物を添加した。この溶液に六塩化タングステンの0.6重量%シクロヘキサン溶液4重量部を添加して重合反応を開始させた。重合反応溶液を40°Cに保ちながら、MTF45.0重量部、TCD45.0重量部および六塩化タングステンの0.6重量%シクロヘキサン溶液7重量部を2時間かけて連続的に添加し、重合した。
【0125】
重合溶液にブチルグリシジルエーテル0.067重量部とイソプロピルアルコール0.20重量部を加えて重合触媒を不活性化した。重合転化率は100%であり、GPC(シクロヘキサン溶媒)で測定した重合体の重量平均分子量は17,300であった。
【0126】
重合反応溶液100重量部に、珪藻土担持ニッケル触媒(日産ガードラー社製;G−96D、ニッケル担持率58重量%)2.4重量部およびシクロヘキサン10重量部を加え、耐圧反応器中で、180°C、水素圧45kgf/cm2 で8時間、水素添加反応させた。この溶液を、ポリプロピレン製濾布をそなえた加圧濾過器(石川島播磨重工社製、リーフフィルター)によりろ過し、触媒を分離した。得られた重合体水素添加物を含む反応溶液を400重量部のイソプロピルアルコール中に攪拌下に注いで、水素添加物を沈殿させ、濾別して回収した。さらに、アセトン200重量部で洗浄した後、1mmHg以下に減圧した真空乾燥器中、100°Cで24時間乾燥させ、ノルボルネン系開環重合体水素添加物23重量部を得た。得られた水素添加物の重量平均分子量は、32,300(シクロヘキサン中、ポリイソプレン換算)、ガラス転移温度は164°C、水素添加率は主鎖99.9%以上、側鎖99.5%であった。
【0127】
得られた開環重合体水素添加物100部に、軟質重合体(旭化成社製タフテックH1052)0.2部、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部を添加し、2軸混練機(東芝機械社製TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度240°C、フィードレート10kg/時間)で混練し、押し出し、ペレット化した。
【0128】
[参考例2]
窒素雰囲気下で、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン(MTDと略す)10重量部をシクロヘキサン300重量部に溶解し、分子量調節剤として1−ヘキセン0.30重量部を添加した。この溶液にトリイソブチルアルミニウムの10wt%シクロヘキサン溶液1.1重量部、および、イソブチルアルコール0.043重量部の混合物を添加した。この溶液を40°Cに保ちながら、MTD90重量部と六塩化タングステンの0.6重量%シクロヘキサン溶液11重量部を2時間かけて連続的に添加し、重合した。
【0129】
重合溶液にブチルグリシジルエーテル0.067重量部とイソプロピルアルコール0.20重量部を加えて重合触媒を不活性化した。重合転化率は100%であり、GPC(シクロヘキサン溶媒)で測定した重合体の重量平均分子量は16,000であった。
【0130】
重合反応溶液100重量部に、珪藻土担持ニッケル触媒(日産ガードラー社製;G−96D、ニッケル担持率58重量%)1.2重量部およびシクロヘキサン10重量部を加え、耐圧反応器中で、170°C、水素圧45kgf/cm2 で2時間、水素添加反応させた。この溶液を、ポリプロピレン製濾布をそなえた加圧濾過器(石川島播磨重工社製、リーフフィルター)によりろ過し、触媒を分離した。得られた重合体水素添加物を含む反応溶液を400重量部のイソプロピルアルコール中に攪拌下に注いで、水素添加物を沈殿させ、濾別して回収した。さらに、アセトン200重量部で洗浄した後、1mmHg以下に減圧した真空乾燥器中、100°Cで24時間乾燥させ、ノルボルネン系開環重合体水素添加物23重量部を得た。得られた水素添加物の重量平均分子量は、33,700(シクロヘキサン中、ポリイソプレン換算)、ガラス転移温度は150°C、水素添加率は99.9%以上であった。
【0131】
得られた開環重合体水素添加物100部に、軟質重合体(旭化成社製タフテックH1052)0.2部、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部を添加し、参考例1と同様にしてペレット化した。
【0132】
[参考例3]
窒素雰囲気下で、ジシクロペンタジエン(DCPと略す)3.5重量部およびTCD6.5重量部をシクロヘキサン300重量部に溶解し、分子量調節剤として1−ヘキセン0.37重量部を添加した。この溶液にトリイソブチルアルミニウムの10wt%シクロヘキサン溶液1.5重量部、および、イソブチルアルコール0.055重量部の混合物を添加した。この溶液を40°Cに保ちながら、DCP31.5重量部とTCD 58.5重量部の混合物と六塩化タングステンの0.6重量%シクロヘキサン溶液15重量部を2時間かけて連続的に添加し、重合した。
【0133】
重合溶液にブチレンオキサイド0.048重量部とイソプロピルアルコール0.26重量部を加えて重合触媒を不活性化した。重合転化率は100%であり、GPC(シクロヘキサン溶媒)で測定した重合体の重量平均分子量は15,000であった。
【0134】
重合反応溶液100重量部を用いて、参考例2と同様にして水素添加し、ノルボルネン系開環重合体水素添加物23重量部を得た。得られた水素添加物の重量平均分子量は、30,100(シクロヘキサン中、ポリイソプレン換算)、ガラス転移温度は140°C、水素添加率は99.9%以上であった。
【0135】
得られた開環重合体水素添加物100部に、軟質重合体(旭化成社製タフテックH1052)0.2部、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部を添加し、参考例1と同様にしてペレット化した。
【0136】
[参考例4]
参考例1で得られた開環重合体水素添加物100部に、軟質重合体、老化防止剤に加え、さらに内部転化型離型剤1として(ペンタエリスリトールジステアレート:日本油脂製、ユニスターH476D)0.2部を添加した以外は参考例1と同様にしてペレットを作成した。
【0137】
[参考例5]
参考例1で得られた開環重合体水素添加物100部に、軟質重合体、老化防止剤に加え、さらに内部転化型離型剤2として(ポリグリセリンノニルフェニルエーテル:日本油脂製、NPG−BR)0.5部を添加した以外は参考例1と同様にしてペレットを作成した。
【0138】
なお、上記参考例1〜5をまとめたものを表1に示す。
【0139】
【表1】
【0140】
実施例1
(フレネルレンズ成形用樹脂型の成形)
参考例1で得られたペレットを用いて、押出機で加熱混練後、樹脂温度240°Cで溶融押出成形し、冷却後300×300×5mmの基板を得た。次いで得られた基板をフレネルレンズ形状を有する金型(フレネルレンズ部の形状は、最外周の直径が200mmで、球状曲面を100分割したレンズ形状である)内に配置し、成形温度270°C、成形圧力50kg/cm2 、成形時間10分で加熱プレス成形した後、10分間水冷してフレネルレンズ成形用樹脂型A(図3、フレネルレンズ部を転写するための凹凸形状をキャビティ面に有する型)を得た
樹脂型Aを25°Cから1時間で温度:80°C、湿度:90%RHの高温・高湿状態とし、この状態で2時間保持した後、1時間で元の25°Cに冷却し、その状態で2時間保持する処理を1サイクルとして、この処理を28サイクル繰り返す環境試験を行った。環境試験後、樹脂型の外観を観察したが、そり、ねじれ、などの外観不良は認められなかった。結果を表2に示す。
【0141】
参考例2で得られたペレットを用いて、フレネルレンズ成形用樹脂型と組み合わせて使用する成形用樹脂平板B(300×300×(厚さ)8mm)を、プレス成形機により、表面を鏡面仕上げした金型を用いて、樹脂温度260°C、成形圧力50kg/cm2 、成形時間10分で成形した。
【0142】
(フレネルレンズの成形)
樹脂型Aと樹脂型Bを厚さ1mmのPTFE樹脂製スペーサを介して組み合わせ、樹脂型の間隙に、メチルアクリレート60重量部、ネオペンチルグリコールジアクリレート40重量部、光重合開始剤(チバ・ガイギー製、イルガキュア651)4重量部およびp−メトキシフェノール0.1重量部からなる硬化性樹脂を注入し、成形用樹脂平板B側から高圧水銀ランプにて5分間光照射して硬化させた。
【0143】
硬化成形体は樹脂型と全く密着せず、離型性は良好であった。硬化成形体表面を顕微鏡観察した結果、樹脂型のレンズ形状を忠実に転写しており、欠けや硬化不良は認められなかった。結果を表2に示す。
【0144】
実施例2
(フレネルレンズ成形用樹脂型の成形)
参考例1で得られたペレットを用いて、実施例1と同等のフレネルレンズ形状を有する金型(フレネルレンズ部の形状は、最外周の直径が200mmで、球状曲面を100分割したレンズ形状である)を配置した射出成形機により、樹脂温度300°C、金型温度130°Cの条件でフレネルレンズ成形用樹脂型C(300×300×5mm,フレネルレンズ部を転写するための凹凸形状をキャビティ面に有する型)を得た。
【0145】
樹脂型Cを、実施例1と同様の環境試験を行った。結果を表2に示す。
【0146】
実施例1と同様にして、樹脂型Cと樹脂型Bを組み合わせ、実施例1と同様に硬化性樹脂を注入し、光照射して硬化させた。硬化成形体は樹脂型と全く密着せず、離型性は良好であった。硬化成形体表面を顕微鏡観察した結果、樹脂型のレンズ形状を忠実に転写しており、欠けや硬化不良は認められなかった。結果を表2に示す。
【0147】
実施例3
(フレネルレンズ成形用樹脂型の成形)
参考例2で得られたペレットを用いて、成形温度を290°Cとする以外は実施例2と同様にしてフレネルレンズ成形用樹脂型Dを得た。
【0148】
樹脂型Dを、実施例1と同様の環境試験を行った。結果を表2に示す。
【0149】
実施例1と同様にして、樹脂型Dと樹脂型Bを組み合わせ、実施例1と同様に硬化性樹脂を注入し、光照射して硬化させた。硬化成形体は樹脂型と全く密着せず、離型性は良好であった。硬化成形体表面を顕微鏡観察した結果、樹脂型のレンズ形状を忠実に転写しており、欠けや硬化不良は認められなかった。結果を表2に示す。
【0150】
実施例4
(フレネルレンズ成形用樹脂型の成形)
参考例3で得られたペレットを用いて、実施例1と同様にして押出機でシートを成形し、次いで得られたシートを実施例1と同様に加熱プレス成形し、フレネルレンズ成形用樹脂型Eを得た。
【0151】
樹脂型Eを、実施例1と同様の環境試験を行った。結果を表2に示す。
【0152】
実施例1と同様にして、樹脂型Eと樹脂型Bを組み合わせ、実施例1と同様に硬化性樹脂を注入し、光照射して硬化させた。硬化成形体は樹脂型と全く密着せず、離型性は良好であった。硬化成形体表面を顕微鏡観察した結果、樹脂型のレンズ形状を忠実に転写しており、欠けや硬化不良は認められなかった。結果を表2に示す。
【0153】
比較例1
(フレネルレンズ成形用樹脂型の成形)
プラスチック材料としてポリカーボネート(帝人社製、パンライトL−1250)を用い、実施例1と同様にして、フレネルレンズ成形用樹脂型Fを得た。
【0154】
樹脂型Fを、実施例1と同様の環境試験を行った。結果を表2に示す。
【0155】
実施例1と同様にして、樹脂型Fと樹脂型Bを組み合わせ、実施例1と同様に硬化性樹脂を注入し、光照射して硬化させた。硬化成形体はポリカーボネート樹脂型と密着し、離型性は不良であった。離型した硬化成形体表面を目視観察した結果、レンズ部に樹脂剥離による欠陥(欠け)が多数認められた。結果を表2に示す。
【0156】
比較例2
プラスチック材料としてアクリル樹脂(クラレ社製、パラペットHR−N)を用い、シート押し出し成形温度を220°C、プレス成形温度を240°Cとしたこと以外は、実施例1と同様にしてフレネルレンズ成形用樹脂型Gを得た。
【0157】
樹脂型Gを、実施例1と同様の環境試験を行った。結果を表2に示す。
【0158】
樹脂型Gと樹脂型Bを組み合わせ、実施例1と同様に硬化性樹脂を注入し、光照射して硬化させた。硬化成形体はアクリル樹脂型と強固に密着し、離型できなかった。結果を表2に示す。
【0159】
【表2】
【0160】
表2の結果から明らかなように、本発明の樹脂型(実施例1〜4)は、優れた成形性、低吸湿変形性、耐熱性、硬化性樹脂離型性、などの諸特性を保持しており、硬化性樹脂の注型用樹脂型として良好な特性を有していることがわかる。
【0161】
実施例5
(導光板成形用樹脂型の成形)
参考例1で得られたペレットを用いて、V型溝を有する導光板形状を有する金型を配置した射出成形機により、樹脂温度300°C、金型温度130°Cの条件で導光板成形用樹脂型H{図6、外形:290×230×5mm(導光板面:250×190×3.5mm、導光板凹部)、V溝を転写するための凹凸形状を有する型}を得た。
【0162】
樹脂型Hを、実施例1と同様の高温・高湿環境試験を行った。環境試験後、樹脂型の外観を観察したが、そり、ねじれ、などの外観不良は認められなかった。結果を表2に示す。
【0163】
参考例2で得られたペレットを用いて、導光板成形用樹脂型と組み合わせて使用する成形用樹脂平板J(290×230×8mm)を、プレス成形機により、表面を鏡面仕上げした金型を用いて、樹脂温度260°C、成形圧力50kg/cm2 、成形時間10分で成形した。
【0164】
樹脂型Hと樹脂型Jを組み合わせ、樹脂型の間隙に、メチルアクリレート50重量部、ネオペンチルグリコールジアクリレート40重量部、6官能ウレタンアクリレート(新中村化学工業製、U−6HA)10重量部、光重合開始剤(チバ・ガイギー製、イルガキュア651)4重量部およびp−メトキシフェノール0.1重量部からなる硬化性樹脂を注入し、成形用樹脂平板J側から高圧水銀ランプにて5分間光照射して硬化させた。
【0165】
硬化成形体は樹脂型と全く密着せず、離型性は良好であった。硬化成形体表面を顕微鏡観察した結果、樹脂型の導光板形状を忠実に転写しており、欠けや硬化不良は認められなかった。結果を表2に示す。
【0166】
実施例6
参考例4で得られたペレットを用いて、実施例1と同様にして押出機でシートを成形し、次いで得られたシートを実施例1と同様に加熱プレス成形し、フレネルレンズ成形用樹脂型Fを得た。
【0167】
樹脂型Fを、実施例1と同様の環境試験を行った。結果を表2に示す。
【0168】
実施例1と同様にして、樹脂型Fと樹脂型Bを組み合わせ、実施例1と同様に硬化性樹脂を注入し、光照射して硬化させた。硬化成形体は樹脂型と全く密着せず、離型性は良好であった。硬化成形体表面を顕微鏡観察した結果、樹脂型のレンズ形状を忠実に転写しており、欠けや硬化不良は認められなかった。結果を表2に示す。
【0169】
さらに、内部離型剤を添加した樹脂型を使用したことにより、離型時の離型抵抗がさらに減少し、樹脂型の繰返し使用可能回数が実施例1に比較して15%に増加した。
【0170】
実施例7
参考例5で得られたペレットを用いて、実施例1と同様にして押出機でシートを成形し、次いで得られたシートを実施例1と同様に加熱プレス成形し、フレネルレンズ成形用樹脂型Gを得た。
【0171】
樹脂型Gを、実施例1と同様の環境試験を行った。結果を表2に示す。
【0172】
実施例1と同様にして、樹脂型Gと樹脂型Bを組み合わせ、実施例1と同様に硬化性樹脂を注入し、光照射して硬化させた。硬化成形体は樹脂型と全く密着せず、離型性は良好であった。硬化成形体表面を顕微鏡観察した結果、樹脂型のレンズ形状を忠実に転写しており、欠けや硬化不良は認められなかった。結果を表2に示す。
【0173】
実施例4同様に、内部離型剤を添加した樹脂型を使用したことにより、離型時の離型抵抗が減少し、樹脂型の繰返し使用可能回数が実施例1に比較して18%に増加した。
【0174】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱変形性や耐吸湿変形性などの耐久性や硬化成形体との離型性などに優れ、注型した硬化性樹脂成形品の薄肉化や微細な表面構造の形成が可能で、しかも、注型硬化操作に繰り返し使用可能な樹脂型が提供される。本発明の樹脂型は、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズなどの薄肉の注型レンズ、薄肉の注型導光板、等の各種注型品の型として好適である。
【0175】
また、本発明の樹脂型を用いることにより、高い面精度を有したシート状または板状成形体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明方法の第1実施形態に係る樹脂型を示しており、特にレンチキュラーレンズ用樹脂型を示す断面図、図1(B)は図1(A)の樹脂型を用いて製造されたレンチキュラーレンズを示す概略斜視図である。
【図2】図2(A)(B)は図1(A)の樹脂型を用いたレンチキュラーレンズの一製造工程を示す図、図2(C)は図2(A)(B)の製造工程により製造されたレンチキュラーレンズの原理説明図である。
【図3】図3(A)は本発明方法の第2実施形態に係る樹脂型を示しており、特にフレネルレンズ用樹脂型を示す断面図、図3(B)は図3(A)の樹脂型を用いて製造されたフレネルレンズを示す平面図、図3(C)は図3(A)の樹脂型を用いて製造されたフレネルレンズの断面図である。
【図4】図4(A)は本発明方法の第3実施形態に係る樹脂型を示しており、特にプリズムシート用樹脂型を示す断面図、図4(B)は図4(A)の樹脂型を用いて製造されたプリズムシートを示す部分断面図、図4(C)は図4(B)のプリズムシートの原理説明図である。
【図5】図5(A)(B)は図4(A)の樹脂型を用いたプリズムシートの一製造工程を示す図である。
【図6】図6(A)は本発明方法の第4実施形態に係る樹脂型を示しており、特に導光板用樹脂型を示す断面図、図6(B)は図6(A)の樹脂型を用いて製造された導光板を示す断面図である。
【符号の説明】
11…樹脂型
11a…凹凸形状
12…活性エネルギー線硬化性樹脂
13…透明基材シート
14…レンズ形状部材
19…レンチキュラーレンズ(硬化物)
19a…凹凸形状
31…樹脂型
31a…凹凸形状
33…蓋または上部樹脂型
39…フレネルレンズ(硬化物)
39a…凹凸形状
41…樹脂型
44…プリズム形状部材
49…プリズムシート(硬化物)
49a…凹凸形状
61…樹脂型
62…第1樹脂型
62a…凹凸形状(V溝)
63…第2樹脂型
69…導光板(硬化物)
69a…凹凸形状(V溝)
69b…光反射面
Claims (7)
- 表面に凹凸形状を有する成形体の製造方法において、該成形体表面の凹凸形状を転写するためのキャビティ内面形状を有し、且つ脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含有してなる樹脂型に、重合性モノマーと光重合開始剤とを含む活性エネルギー線硬化性樹脂を充填した後、前記硬化性樹脂に活性エネルギー線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする表面に凹凸形状を有する成形体の製造方法。
- 重合性モノマーが、ビニル基、(メタ)アリル基、または(メタ)アクリロイル基を分子内に一個以上含む重合性モノマーを含むものである請求項1記載の製造方法。
- 重合性モノマーが、(メタ)アクリレート単官能性モノマーと、(メタ)アクリレート多官能性モノマーと、を混合したモノマーである請求項2記載の製造方法。
- 重合性モノマーにおける、単官能性モノマーと多官能性モノマーとの混合比が、単官能性モノマー/多官能性モノマーの重量比で、1/99〜90/10の範囲である請求項3記載の製造方法。
- 表面に凹凸形状を有する成形体が、光学部品である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 光学部品が、拡散シート、集光シートまたは導光板である請求項5記載の製造方法。
- 前記樹脂型が活性エネルギー線の透過性を有する請求項1〜6にいずれかに記載の製造方法。
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