JP2008221643A - 樹脂型 - Google Patents

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Abstract

【課題】転写性と、得られる成形体の平坦性を損なうことなく、光線硬化性樹脂との離型性(剥離性)を改善した樹脂型を提供すること。
【解決手段】光線硬化性樹脂を成形するための樹脂型であって、樹脂型の反りの無い平坦な状態を零とすると、外周の全周にわたる測定点において、同じ方向への反り量を有し、該反り量の平均値が50〜700μmであるように、樹脂型が凹面状に反っていることを特徴とする樹脂型。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂型に関し、さらに詳しくは、表面に転写用の微細な凹凸形状を有する樹脂型(スタンパ)に関する。
近年、プロジェクションテレビの投写スクリーンや液晶の普及に伴って、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズムシート、導光板等の表面に微細な凹凸形状を設けたシート状または板状のプラスチック製成形体が使用されてきている。これらの成形体には、高い精度で光線を拡散、集光または反射させるために、高い面精度を有した微細な凹凸形状を形成させる必要がある。
レンチキュラーレンズは、その表面に微少なシリンダを配列した微細な凹凸形状を有しており、裏面を結像位置とするシリンドリカルレンズの働きをする。このレンチキュラーレンズは、その裏面に貼り付けられた印画紙に、たとえば立体写真で表したい対象物を焼き付ける場合などに使用される。したがって、レンチキュラーレンズ表面の微細な凹凸形状に歪みなどが生じると、本来一点に記録されるべき画像にぼけが生じ、再生する立体像が劣化する。そこで、レンチキュラーレンズには、微細な凹凸形状の高い精度が要求される。
フレネルレンズは、たとえば、光ディスクの情報を読み取るためのピックアップレンズやオーバーヘッドプロジェクターの集光レンズなどの高精度の光学部品として好適であり、したがって、その表面に形成される微細な凹凸形状には、高い精度が要求される。
プリズムシートは、たとえば、液晶用バックライトの正面輝度向上のために使用され、特に、プリズム頂角には最適値が存在し、通常90°から110°の値が最もよく採用され、この範囲の頂角に対する高い精度が要求される。
導光板は、たとえば、V溝やドットなどの凹凸形状の光反射面を有するエッジライト式のものであり、通常、高い透明性が要求される。また、この凹凸形状の転写が充分でないと光出射面上に輝度斑を生じるので、前記光反射面には高い面精度が要求される。
このように、これらの成形体の表面には、高い精度で光線を拡散、集光、透過又は反射させるために、高い面精度を有する微細な凹凸形状を形成させる必要がある。
高い面精度を有する微細な凹凸形状を有する薄型のプラスチック成形体の製造方法として、成形体に微細な凹凸形状を転写するための、微細な凹凸形状が表面に形成された樹脂型(スタンパ)を用いる方法が知られている。この方法は、基体上にアクリレート等の光重合性モノマーを塗布し、その上に透光性を有する樹脂型を配置し、紫外線を照射して重合性モノマーを硬化させた後、樹脂型を剥離する方法である。
このような製造方法を採用する微細凹凸形状を有する薄型のプラスチック成形体の例として、大容量の多層記録媒体がある。近年、デジタルハイビジョン映像などの大容量データの配布あるいは記録が可能な、大容量のメディアが検討されている。この中でも、2層以上の記録面を有する多層記録媒体は、コンパクトでありながら大容量が達成できるため様々な検討が行われている。
このような光学多層記録媒体としては、図3にその断面を模式図に示すような層構成を有する媒体が一般的である。この模式図では、片面が、2層タイプの書き換え可能な記録媒体の例を示す。図中、比較的剛性の高いポリカーボネートなどの樹脂やガラスあるいは金属などの素材からなる基板31の片面に、第1相変化記録層32が設けられている。基板31の第1相変化記録層32形成側には、螺旋状または同心円状に記録ピット形成用の微細な凹凸形状が設けられていて、この基板31の微細な凹凸形状に該当する部分の第1相変化記録層32は、やはり微細な凹凸形状となり記録ビットが形成されている。
第1相変化記録層32の上には、透明な素材(通常は樹脂)からなる光透過性中間層33、第2相変化記録層34、及びカバー層35がこの順で形成されている。
光透過性中間層33の第2相変化記録層34側の面には、螺旋状または同心円状に記録ピット形成用の微細な凹凸形状(案内溝)が設けられていて、この基板31の微細な凹凸形状に該当する部分の第2相変化記録層34は、やはり微細な凹凸形状の記録ビットが形成されている。第2相変化記録層34は、透明な素材(通常は樹脂)からなるカバー層35によって保護されている。このような光学多層記録媒体は、図4及び図5の模式図に示す順により製作されてきた。
(1)樹脂成形やエッチングにより形成された記録ピット形成用凸部を片面に有する基板41(図4(a))上に、第1相変化記録層42を形成し(図4(b))、(2)その上に、未硬化の光線硬化性樹脂43をスピンコートなどの手段により塗布し、光線硬化性樹脂43が未硬化状態のまま樹脂型(スタンパ)44を積層する(図4(c)参照)。その際、積層方法として、樹脂型44にスピンコートなどの手段により未硬化の光線硬化性樹脂を予め塗布しておき、次いで真空下で貼り合わせ、積層することも行なわれている。樹脂型44は、透明性の高い樹脂からなり、光を透過する。一方、基板41上の第1相変化記録層42は、金属反射層を有するため、全くあるいはほとんど光を透過しない。樹脂型44の基板41側面には、この未硬化樹脂43が硬化して、光透過性中間層33となった際に、第2相変化記録層34側の面に記録用案内溝が形成されるように、微細な凹凸形状が形成されている。この微細な凹凸形状は、通常、高さ百数十nmの微細な凹凸形状である。(3)次いで、図5(a)に示すように、基板51上の第1相変化記録層52上に設けた光線硬化性樹脂層に、その硬化に適した波長の光を樹脂型(スタンパ)54を透過して照射し、硬化させて光透過性中間層53とする。(4)その後、図5(b)に示すように、樹脂型54を取り去り、次いで、図5(c)(d)に示すように、光透過性中間層53上に第2相変化記録層55とカバー層56とをこの順に形成する。
樹脂型の離型(剥離)の操作は、光線硬化性樹脂の硬化後、樹脂スタンパ54を光透過性中間層53から除去することである。離型(剥離)の操作としては、図6(a)及び(b)に示すように、基板61a、61b上に設けた光透過性中間層62a、62b上の樹脂型63a、63bを、鉤状になったフック65a、65bを使用して、樹脂型63a、63bの外周囲端64aまたは内周囲端64bの一部を浮かせて、そこにエアーブロー66a、66bを吹き付けることにより剥離する方法が挙げられる。また、樹脂型63a、63bを繰り返し使用する場合には、図7に示すように、基板73の下部材71及び光透過性中間層74上の樹脂型75の上部材77に吸盤72、76を配置し、くさび78を使用してエアーブローを吹き付けながら、上部材77を介して樹脂型75を引き上げることにより、樹脂型75を剥離する方法も採用できる。
樹脂型については、様々な研究がなされてきた。特開2000−108137号公報(特許文献1)には、微細な凹凸面の形状維持性に優れ、しかも硬化した成形体を離型する時の離型性に優れた脂環式構造含有熱可塑性樹脂型が提案されている。
特開2004−39136号公報(特許文献2)には、ポリオレフィン系樹脂製の樹脂型の場合でも、成形時の残留応力で結晶化の応力緩和を起こすことのないよう、非晶質ポリオレフィン系樹脂を樹脂型の成形用樹脂として採用することが提案されている。
特開2006−35823号公報(特許文献3)には、3回以上繰り返し使用可能な樹脂型として、脂環式構造含有熱可塑性樹脂と、組成物全量に対して0.2〜0.9重量%の水酸基含有脂肪酸エステル化合物とを含有し、ガラス転移温度(Tg)が90〜110℃で、かつ、メルトマスフローレイト(MFR)が50〜70g/10分である樹脂組成物からなる樹脂型が提案されている。
しかしながら、これら樹脂型は、光線硬化性樹脂との離型性の点で、充分とは言えなかった。光線硬化性樹脂との離型性は、連続操業で大量生産する際の製造工程における製造のし易さにとって重要な特性である。
特開2000−108137号公報 特開2004−39136号公報 特開2006−35823号公報
本発明の課題は、転写性や成形体(例えば、光記録媒体)の平坦性を損なうことなく、光線硬化性樹脂との離型性を改善した樹脂型を提供することにある。
樹脂型の離型性が改善されることにより、生産効率の向上がもたらされる。本発明者らは、生産のサイクルタイムを短縮するために、如何にして、樹脂型の離型性を向上させるのかについて鋭意研究する中で、従来、成形体に対する平坦性の要求に合致するよう、樹脂型を当然の如く反りの無い状態で使用していたが、樹脂型にわずかな反りを持たせることにより、樹脂型の光線硬化性樹脂層に対する離型性が著しく改善されることを見出した。特に、光線硬化性樹脂を成形するための樹脂型であって、樹脂型の反りの無い平坦な状態を零とすると、外周の全周にわたる測定点において、同じ方向への反り量を有し、該反り量の平均値が50〜700μmであるように、樹脂型が凹面状に反っている場合、転写性と得られる成形体の平坦性を損なうことなく、離型性が非常に優れることを見出した。
本発明によれば、光線硬化性樹脂を成形するための樹脂型であって、樹脂型の反りの無い平坦な状態を零とすると、外周の全周にわたる測定点において、同じ方向への反り量を有し、該反り量の平均値が50〜700μmであるように、樹脂型が凹面状に反っていることを特徴とする樹脂型が提供される。
本発明によれば、転写性や、得られる成形体の平坦性が良好で、しかも、光線硬化性樹脂との離型性が改善された樹脂型が提供される。本発明の樹脂型は、光記録媒体の製造に好適であり、その生産効率が向上する。
1.樹脂型の形状
樹脂型(スタンパ)において、生産効率のためには、離型性(剥離性)が重要だが、樹脂型に求められる基本的な要求として、微細な凹凸形状についての転写性や、得られる成形体の平坦性が良好でなければならない。このため、従来の樹脂型は、製造される成形体の平坦性を考慮して、反りを導入することなど考えられていなかった。
本発明者らは、樹脂型製造の際、金型内での成形条件によって、樹脂型にわずかな反りを導入することができ、そして、該反りによって、転写性と、得られる成形体の平坦性とを損なわないで、離型性を向上させることができることを見出した。しかしながら、反りをあまり大きくすると、得られる成形体の平坦性が悪くなる。したがって、樹脂型の反りの程度は、得られる成形体の平坦性と、離型性とをバランスさせた範囲にある。
本発明の樹脂型は、凹面状であるが、凹面側及び凸面側のどちらかの面に転写用の微細な凹凸形状を有する。樹脂型を製造する金型(割型)においては、固定部型の表面に微細な凹凸形状を設けることが多い。反りを導入した凹面状の樹脂型の凹面側と凸面側のどちらの面に微細な凹凸形状を設けるかは、成形条件により操作する。本明細書では、凹面状の樹脂型の凹面側に微細な凹凸形状を有する樹脂型をプラス方向への反りを導入した樹脂型といい、凹面状の樹脂型の凸面側に微細な凹凸形状を有する樹脂型をマイナス方向への反りを導入した樹脂型という。
ここで言う、微細な凹凸形状は、特に限定されないが、例えば、ランドグルーブ形状、プリズム形状、V溝形状、ドット形状、シリンダー配列形状などが挙げられる。凹凸形状の高さは、成形体の使用目的によって適宜設定され特に限定されないが、通常、10〜500nmである。
図1には、基板1、光硬化性樹脂2、プラス方向への反りを有する樹脂型3、微細な凹凸形状4、中心部5が示されている。図2には、基板21、光硬化性樹脂22、マイナス方向への反りを有する樹脂型23、微細な凹凸形状24、中心部25が示されている。
通常、図6(b)のように、樹脂型63bを、中心部から引っ張り、離型させる場合には、樹脂型は、プラス方向への反り(図1)を有している方がよい。
得られる成形体の平坦性と離型性とをバランスさせるためには、反りのない平坦な状態を零として、その外周を全周360度にわたって角度2度ずつの180点で測定した反り量の平均値を50〜700μm、好ましくは100〜700μm、より好ましくは100〜600μm、さらに好ましくは200〜600μmとする。
樹脂型の中心点から測定点までの距離に対する反り量の割合は、ppmで表す。通常、500〜12000ppm、好ましくは、1000〜12000ppm、より好ましくは1000〜10000ppm、さらに好ましくは3500〜10000ppmである。
2.樹脂型の出発原料
本発明の樹脂型は、公知の熱可塑性樹脂を用いて成形することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、脂環式構造含有熱可塑性樹脂、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリサルホン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、あるいはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン−1などのポリオレフィン樹脂で透明なものなどが挙げられ、なかでも脂環式構造含有熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる樹脂型を用いることにより、表面に微細な凹凸形状を有しても、精度よく成形が可能で、耐久性(耐吸湿変形、繰り返し使用可能性)に優れ、しかも、硬化成形体の離型性にも優れる特性をもつ樹脂型を得ることができる。特に、硬化成形体が大型になるに従って、さらにこれらの特徴が強調され好適である。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものであり、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、及びシクロアルケン構造が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた樹脂型を得ることができる。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造含有熱可塑性樹脂における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の具体例としては、(i)ノルボルネン系重合体、(ii)単環の環状オレフィン重合体、(iii)環状共役ジエン重合体、(iv)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体が好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、及びそれらの水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系単量体の開環(共)重合体水素化物が特に好ましい。本発明において、ノルボルネン系単量体とは、ノルボルネン構造を有する化合物である。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン等;ジシクロペンタジエン、その上記と同様の置換誘導体、例えば、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、その上記と同様の置換誘導体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、その上記と同様の置換誘導体、例えば、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフタレン等;シクロペンタジエンの多量体、その上記と同様の置換誘導体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等;1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン、その上記と同様の置換誘導体;1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、その上記と同様の置換誘導体、例えば、1,4−メタノ−8−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−クロロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−ブロモ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン等;1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロベンゾフラン、その上記と同様の置換誘導体;1,4−メタノ−9−フェニル−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール、その上記と同様の置換誘導体; 1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、その上記と同様の置換誘導体; 7,10−メタノ−6b,7,10,10a−テトラヒドロフルオランセン、その上記と同様の置換誘導体;を挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;が挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。開環重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエンが挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。付加重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素化することによって得ることができる。
単環の環状オレフィン重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の付加重合体を挙げることができる。
また、環状共役ジエン重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン単量体を1,2−付加重合又は1,4−付加重合した重合体、及びそれらの水素化物を挙げることができる。
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルカン又はビニルシクロアルケン由来の繰り返し単位を有する重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカン、ビニルシクロヘキセン等のビニルシクロアルケン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香族部分の水素化物が挙げられる。
また、ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物やビニル芳香族炭化水素化合物と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体及びその水素化物であってもよい。ブロック共重合としては、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合等が挙げられるが、特に制限はない。
これらの脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量は、シクロヘキサン(ただし、樹脂が溶解しない場合はトルエンを用いる)を溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される標準ポリイソプレン換算(溶離液をトルエンにした場合は標準ポリスチレン換算)により測定される重量平均値分子量(Mw)で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲である。脂環式構造含有熱可塑性樹脂の重量平均値分子量(Mw)がこの範囲にあるときに、樹脂型の機械的強度と成形加工性のバランスが保たれ好適である。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量分布(重量平均値分子量(Mw)/数平均値分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.0〜6.0、より好ましくは1.1〜4.0の範囲である。この範囲に分子量分布を調整することによって、樹脂型の機械的強度と成形加工性が良好にバランスする。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂には、例えば、3価以上の多価アルコールの部分エステル化物の構造を有する化合物、3価以上の多価アルコールの部分エーテル化物の構造を有する化合物などの滑剤;フェノール系やリン系などの老化防止剤;フェノール系などの熱劣化防止剤;ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系などの紫外線安定剤;アミン系などの帯電防止剤;ヒンダードアミン系の耐候安定剤;などの各種添加剤を添加してもよい。
樹脂型の製造には、上述した脂環式構造含有熱可塑性樹脂及び必要に応じて添加剤を添加して得られる樹脂組成物を用いることが好ましい。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは90〜110℃であり、メルトマスフローレイト(MFR)は、好ましくは50〜70g/10分である。Tgが高いほど、例えば、光線硬化性樹脂の硬化時の発熱による変形に耐え、高い耐久性の樹脂型が得られる。しかし、Tgが高すぎると、樹脂型の表面に微細凹凸形状の加工がしにくくなる場合がある。したがって、Tgは、前記範囲にある時に、樹脂型の耐久性と成形加工性が高度にバランスして好適である。
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、JIS−K7121に基づいて測定することができ、メルトマスフローレイト(MFR)は、JIS−K7210に基づいて、温度280℃、荷重2.16kgで測定することができる。
前記樹脂組成物を調製する方法は特に限定されず、例えば、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の溶液中に添加剤を添加した後、乾燥して溶媒を除去する方法や、脂環式構造含有熱可塑性樹脂と添加剤のそれぞれ所定量を混合して、ロール、ブラベンダー、押出機などを用いて機械的に攪拌する方法が挙げられる。
3.成形条件
樹脂型に求められる特性として、生産効率のためには、離型性が重要であるが、基本的な特性として、微細凹凸形状の転写性に優れるだけでなく、当然のこととして、平坦な成形体を与えることができなければならない。
樹脂型の製造方法は、通常、金型を使用する射出成形法及びプレス成形法が、転写性や、得られる成形体の平坦性の点から好適である。この場合、成形体の平坦性は、例えば、成形体の面内における厚みのバラツキとなって表れる。プレス成形法としては、例えば、溶融押出法により作製したシート又はフィルムを、成形しようとする微細な凹凸形状を有する金型内で加温・加圧する方法が挙げられる。
成形条件の中で、わずかな反りを導入するための制御因子としては、樹脂温度、金型温度、サイクルタイム、型締め圧、型締め時間の調整等の種々の制御因子がある。例えば、光学多層記録媒体の一つであるDVD−Rの製造のための樹脂型にわずかな反りを導入するにあたって、関係する制御因子を簡明にするために、樹脂温度、金型温度、サイクルタイムは一定にして調整せずに、型締め圧と型締め時間の調整を行う。しかしながら、樹脂温度、金型温度、及びサイクルタイムも制御因子として、わずかな反りを導入することも可能である。
DVD−R用の樹脂型用の金型の寸法は、一般に、縦250mm、横240mm、厚さ195mmである。金型は、固定側の金型と、可動側の金型から成っているが、微細な凹凸形状は、固定側の金型に設けられていることが多い。
型締め圧は、樹脂型の転写性、面内ばらつき(得られる成形体の平坦性)、反りを制御する制御因子である。型締めは、三段で行われる。
(1)一段目:樹脂型の良好な転写性を確保するために必要な圧力であり、通常340〜360KN、好ましくは345〜355KNである。
(2)二段目:樹脂型の面内ばらつき(得られる成形体の平坦性)を制御するために必要な圧力であり、通常40〜100KN、より好ましくは40〜50KNである。二段目を行わずに一段目のままでは樹脂が収縮できない状態に保持されるため、面内のばらつきがひどくなる(得られる成形体の平坦性が悪くなる)。
(3)三段目:本発明の反りを導入する工程である。
三段目の型締め圧は、反りを制御するための圧力である。三段目の型締め圧は、一段目未満の圧力で実施し、反りの無い平坦な樹脂型が得られる型締め圧に対して、高い型締め圧とすると、樹脂型は、マイナス方向に反り、低い型締め圧とすると、樹脂型は、プラス方向に反る(通常200〜350KNで調整)。型締め圧力を高くする度合い、小さくする度合いにより、反り量を制御する。但し、型締め圧を変化させると、面内ばらつきが生じるため、二段目の型締め時間を延長するなどの工夫が必要である。
本明細書の実施例及び比較例での冷却時間は、6.55秒間である。したがって、本明細書の実施例及び比較例において、一段目、二段目、及び三段目の型締め時間の合計は、6.55秒間である。通常、樹脂型の転写性を確保する時間(一段目)は、必ず必要なので、どのような反りを入れる場合も、一段目の時間は同じである。したがって、二段目及び三段目の型締め時間で、反りを調整する。
(1)一段目:樹脂型の転写性を確保するために必要な型締め時間は、通常0.1〜0.2秒間、好ましくは0.1〜0.15秒間の範囲である。
(2)二段目:樹脂型の面内ばらつき(得られる成形体の平坦性)を制御するために必要な時間は、二段目と三段目の型締力の差により最適な時間は異なるが、通常1.5〜6.3秒間であり、より好ましくは2.0〜6.3秒間である。1.5秒間以下では面内ばらつきの制御が困難になる。
(3)三段目:樹脂型の反りを制御する為の時間である。
三段目の型締め時間を、反りの無い平坦な樹脂型が得られる型締め時間(二段目)に対して、長くすると、樹脂型はマイナス方向に反り、短いと樹脂型はプラス方向に反る。通常0.1〜4.3秒間程度で実施する。三段目の型締め時間の延長と短縮度合いにより、反り量を制御する。ただし、三段目の型締力を強くすると、面内ばらつきが発生する傾向にあるので、その際には三段目の圧力を掛ける時間を短くして、二段目の圧力を掛ける時間を短くする等の条件変更が必要である。
このように、面内ばらつき制御と反り制御とは、型締条件では、相反(トレードオフ)の関係になる。樹脂型の反りの調整には、樹脂型(スタンパ)を成形する際の3段目型締め圧力と時間を調整することにより制御することができる。ただし、転写性と面内ばらつきなどの品質の問題もあり、他の段階での型締め圧力と時間の制御が必要になってくることもある。
4.その他の成形条件
金型温度は、金型の固定側及び可動側共に成形樹脂のガラス転移温度以下に調整する。金型温度は、樹脂型の反りに影響する。
(1)固定側及び可動側の金型温度に差をつけることにより、樹脂型は、一定方向に反りやすくなる。一般的には、樹脂型は、金型温度が高い方向に反る傾向がある。例えば、樹脂型をプラス方向に反らせたければ、固定側の温度を可動側の温度より高めに設定する。
(2)金型温度の低い方が、樹脂型が反りにくくなる。金型温度が高いと、樹脂が冷え切っていないため、金型から取り出した後の樹脂は、より収縮しやすい。その際、表面積が大きい固定側の面がより収縮すると考えられるので、樹脂型がプラス方向に反ると考えられる。
本明細書の実施例及び比較例では、固定側(記録面を転写する)の金型温度は、90℃であり、可動側の金型温度は、86℃である。固定側の金型温度を高めに設定しているが、通常、この程度の温度差は、樹脂型に反りを導入するためというよりは、金型の微細凹凸形状を樹脂型に精度良く転写し、かつ樹脂型の冷却時間を短くし、結果として、短いサイクルタイムにて、金型の微細凹凸形状が精度良く転写された樹脂型を得るためである。
冷却時間が短いと、金型から取り出した後に樹脂型が変形しやすい。そのため、変形しない程度の冷却時間が必要である。しかしながら、冷却時間が長くなると、サイクルタイムが長くなり、樹脂型の生産効率が悪くなる。冷却時間が短くなる程、樹脂型はプラス方向に反りやすくなる。冷却時間を短くすれば、樹脂が冷え切っていないため、表面積が大きい固定側の面(微細な凹凸状があるため)がより収縮すると考えられ、樹脂型がプラス方向に反る。本明細書の実施例及び比較例では、冷却時間6.55秒で行っている。
樹脂の転写性を向上させるために、樹脂温度は高い方がよい。ただし、あまりにも高温にしすぎると樹脂が劣化する。樹脂温度が高い方が、樹脂型がプラス方向に反りやすい。樹脂温度が高いと、金型から取り出した後の樹脂はより収縮する。その際、表面積が大きい固定側の面がより収縮すると考えられるので、樹脂型がプラス方向に反る。本明細書の実施例及び比較例の樹脂温度は、350℃である。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の製造例、実施例及び比較例において、各種物性及び特性の測定法は次のとおりである。
(樹脂型の反り量の測定)
樹脂型の反り量の測定は、PROmeteus MT-146(Dr. Schenk社製)を使用して行った。樹脂型の反り量の測定前に、標準試料として、ミラーディスク(dr. schenk gmbh、Dr. Schenk社製)を用い、零点を設定した。
樹脂型の反り量の測定においては、樹脂型を所定の位置に設置した後、重さ2N、半径15mmの錘を樹脂型の中心部に置き測定を行った。本測定装置においては、樹脂型を設置する場所の、樹脂型の半径15mmより内側に相当する部分は、錘と同径の平らな面となっており、樹脂型の半径15mmより外側部分は下部に支えが無い構成となっている。すなわち、樹脂型の半径15mmより内側部分を錘で挟んで固定するようになっている(半径15mmより内側に相当する部分が、反りの無い平坦の状態である)。
測定部位は、直径120mmのディスク状樹脂型における半径58mmの地点とし、その地点をを角度2°おきに測定し、計180点測定した値の平均値を反り量とした。この場合、樹脂型の微細な凹凸形状は、高さが百数十nmなので、反り量の測定において、測定点における凹部と凸部との差は無視しても差し支えない。樹脂型の中心点から測定点までの距離に対する反り量の割合は、ppmであらわした〔反り量(μm)/半径58000(μm)〕。
(離型性(剥離性))
樹脂型の紫外線硬化性樹脂からの離型性の評価は、紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂を硬化させた後、樹脂型を剥離させる際における離型性を評価した。離型性の評価試験は、図6(b)に示すように、樹脂型を上方向に引き上げる際の剥離荷重をディスク剥離装置(STP実験機、オリジン電気株式会社製)を使用して測定することにより行った。剥離起点をディスク最内周部に作成し、樹脂型の内周部を引っ張り上げることにより剥離させた。ディスクの最外周をはがす際に検出される接着強度を剥離荷重とした。剥離速度は、400mm/minとした。
(紫外線光線硬化性樹脂の塗布性(得られる成形体の平坦性))
紫外線光線硬化性樹脂の塗布性の評価は、PROmeteus MT-146(Dr. Schenk社製)を使用して、貼り合せディスクの接着剤層である紫外線光線硬化性樹脂層の膜厚を測定することにより行った。測定は、半径23mmから58mmまで、1mm毎に、同一半径上で角度2°毎に実施した。紫外線硬化性樹脂層の最大膜厚値と最小膜厚値の差が10μm以内であれば合格(評価A)とした。この差が10μmを超える場合と不合格(評価B)とした。
[実施例1]
(樹脂型の作成)
樹脂型の作成は、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物の樹脂ペレット(ゼオノア1060R、日本ゼオン株式会社製)を使用し、記録系DVD用の金属スタンパ(凹凸形状高さ160nm)を装着した射出成形機(SD40ER、住友重機械工業社製)を用いて行い、直径120mm 内径15mm、厚さ0.6mm、微細凹凸形状高さ160nmの樹脂型Aを得た。樹脂ペレットの乾燥及び樹脂ペレットのホッパーへの搬送は、ホッパーローダー(MATSUI-Drying system DMD3、松井製作所製)を使用し、乾燥条件は、80℃、4時間とした。
射出成形機における樹脂導入部は、窒素雰囲気下(窒素の純度99.99%)、成形時の樹脂温度を350℃とし、射出速度を5段階で制御した。1段階目は、120mm/min、スクリューの移動距離1.0mmとし、2段階目は、180mm/min、スクリューの移動距離10.8mmとし、3段階目は、100mm/min、スクリューの移動距離1.0mmとし、4段階目は、70mm/min、スクリューの移動距離1.0mmとし、5段階目は、50mm/min、スクリュー移動距離を1.0mmとした。スクリューは、スクリュー径が28mmのものを用いた。
金型の固定側(微細な凹凸形状を有する)を90℃、金型の可動側を86℃とし、成形サイクルタイムを8秒とした。成形時の金型の型締め力は3段階で変化させ、金型キャビティー内に樹脂が充填されてから、3段階目の圧力を掛け終わるまでの全時間を6.55秒と設定した。1段階目を350KNで0.15秒間、2段階目を40KNで6秒間、3段階目を320KNで0.4秒間とした。金型の寸法は、縦250mm、横240mm、厚さ195mmである。
樹脂型Aの反り量は、530μmであり、樹脂型のプラス側に反っていた。樹脂型の中心点から測定点までの距離に対する反り量の割合は、9138ppmであった。
(貼り合せディスクの作成)
直径120mm 内径15mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製基板と、樹脂型Aとの貼り合わせディスクは、超高圧水銀ランプ(TOSCURE752、ハリソン東芝ライティング株式会社製)を搭載した真空貼り合せ装置 (Cielo−RB、芝浦メカトロニクス株式会社製)を用いて行った。
ポリカーボネート製基板、及び樹脂型Aの微細凹凸面に、紫外線硬化性樹脂(DVD591、日本化薬株式会社製)をスピンコートにより塗布した。紫外線硬化性樹脂の塗布は、スピンコーターの回転数を120rpmとし、塗布圧力0.2MPa、塗布時間0.5秒の条件で行い、その後、スピンコーターの回転数を6500rpm、回転時間を0.8秒とした。
紫外線硬化性樹脂塗布後のポリカーボネート製基板及び樹脂型Aを、真空状態において貼り合わせ、その後、系内を窒素雰囲気下にした後、樹脂型A上より100 mW/cmの照度で紫外線を8秒間照射して、紫外線硬化性樹脂を硬化させ貼り合わせディスクAを得た。
紫外線硬化性樹脂の塗布性の評価については、紫外線硬化性樹脂の膜厚測定により行った。この膜厚測定においては、通常の貼り合わせディスクの製造とは異なり、ポリカーボネート基板に全反射膜、そして樹脂型Aに半透過膜を形成した貼り合わせディスクを作成し、測定機器(PROmeteus MT-146(Dr. Schenk社製))から発せられるレーザーの全反射膜と半透過膜の光の戻りの違いにより紫外線硬化性樹脂層の膜厚を測定した。
具体的には、上記の貼り合わせディスクAを作成する工程において、製膜装置(Stella(s−100)、芝浦メカトロニクス社製)を用い、ターゲットにAg−Bi合金を用いて、前記の樹脂型Aの微細凹凸面に半透過膜(膜厚約13nm)を、そして直径120mm、内径15mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製基板に全反射膜(膜厚約63nm)をそれぞれ製膜した以外は、上記の貼り合わせディスクAを作成する工程と同様にして紫外線硬化性樹脂の塗布性評価用の貼り合わせディスクを作成した。
紫外線硬化性樹脂の塗布性評価結果、及び貼り合わせディスクより樹脂型を剥離させる際の剥離荷重の測定結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、成形時の金型の型締め力の2段階目の型締め力を掛ける時間を4.5秒間、3段階目の型締め力を掛ける時間を時間を1.9秒間とした以外は、実施例1と同様にして樹脂型Bを成形した。樹脂型Bの反り量は、120μmであり、樹脂型のプラス側に反っていた。樹脂型の中心点から測定点までの距離に対する反り量の割合は、2069ppmであった。
実施例1において、樹脂型Aに代えて樹脂型Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、貼り合わせディスクBを得た。紫外線硬化性樹脂の塗布性評価結果、及び貼り合わせディスクより樹脂型を剥離させる際の剥離荷重の測定結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、成形時の金型の型締め力の2段階目の型締め力を掛ける時間を5秒間、3段階目の型締め力を掛ける時間を時間を1.4秒間とした以外は、実施例1と同様にして樹脂型Cを成形した。樹脂型Cの反り量は、300μmであり、樹脂型のプラス側に反っていた。樹脂型の中心点から測定点までの距離に対する反り量の割合は、5172ppmであった。
実施例1において、樹脂型Aに代えて樹脂型Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、貼り合わせディスクCを得た。紫外線硬化性樹脂の塗布性評価結果、及び貼り合わせディスクより樹脂型を剥離させる際の剥離荷重の測定結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、成形時の金型の型締め力の2段階目の型締め力を掛ける時間を4秒間、3段階目の型締め力を掛ける時間を時間を2.4秒間とした以外は、実施例1と同様にして樹脂型Dを成形した。樹脂型Dの反り量は、10μmであり、樹脂型のプラス側に反っていた。樹脂型の中心点から測定点までの距離に対する反り量の割合は、172ppmであった。
実施例1において、樹脂型Aに代えて樹脂型Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、貼り合わせディスクDを得た。紫外線硬化性樹脂の塗布性評価結果、及び貼り合わせディスクより樹脂型を剥離させる際の剥離荷重の測定結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、成形時の金型の型締め力の2段階目の型締め力を掛ける時間を6.3秒間、3段階目の型締め力を100KN、型締め力を掛ける時間を時間を0.1秒間とした以外は、実施例1と同様にして樹脂型Eを成形した。樹脂型Eの反り量は、750μmであり、樹脂型のプラス側に反っていた。樹脂型の中心点から測定点までの距離に対する反り量の割合は、12931ppmであった。
実施例1において、樹脂型Aに代えて樹脂型Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、貼り合わせディスクEを得た。紫外線硬化性樹脂の塗布性評価結果、及び貼り合わせディスクより樹脂型を剥離させる際の剥離荷重の測定結果を表1に示す。
Figure 2008221643
[考察]
樹脂型の反り量が小さすぎると(比較例1)、剥離荷重が大きすぎる(離型性がよくない)。樹脂型の反り量が大きすぎると(比較例2)、紫外線光線硬化性の塗布性が悪くなり、膜厚の最大膜厚値と最小膜厚値の差が大きくなる(得られる成形体の平坦性がよくない)。これに対して、樹脂型の反り量を適正な範囲にすると(実施例1〜3)、剥離荷重を下げることができ(離型性がよい)、塗布性も良好となる(得られる成形体の平坦性がよい)。
本発明の樹脂型は、転写性と、得られる成形体の平坦性に優れ、しかも光線硬化性樹脂との離型性が優れているので、例えば、光記録媒体の製造用樹脂型(スタンパ)として非常に有用である。
本発明の凹面状(プラス方向への反りを有する)樹脂型(スタンパ)の模式図である。 本発明の凹面状(マイナス方向への反りを有する)樹脂型(スタンパ)の模式図である。 2層タイプの書き換え可能な光学多層記録媒体の模式図である。 図3に示す光学記録媒体の製造方法を説明する模式図である。 図3に示す光学記録媒体の製造方法を説明する他の模式図である。 樹脂型の離型操作を説明する模式図である。 樹脂型の離型操作を説明する他の模式図である。
符号の説明
1 基板
2 光硬化性樹脂
3 プラス方向への反りを有する樹脂型
4 微細な凹凸形状
5 中心部
21 基板
22 光硬化性樹脂
23 マイナス方向への反りを有する樹脂型
24 微細な凹凸形状
25 中心部
31 基板
32 第1相変化記録層
33 光透過性中間層
34 第2相変化記録層
35 カバー層
41 基板
42 第1相変化記録層
43 光線硬化性樹脂
44 樹脂型(スタンパ)
51 基材
52 第1相変化記録層
53 光透過性中間層
54 樹脂型(スタンパ)
55 第2相変化記録層
56 カバー層
61a 基材
61b 基材
62a 光透過性中間層
62b 光透過性中間層
63a 樹脂型(スタンパ)
63b 樹脂型(スタンパ)
64a 外周囲端
64b 内周囲端
65a フック
65b フック
66a エアーブロー
66b エアーブロー
71 下部材
72 吸盤
73 基板
74 光透過性中間層
75 樹脂型(スタンパ)
76 吸盤
77 上部材
78 くさび

Claims (5)

  1. 光線硬化性樹脂を成形するための樹脂型であって、樹脂型の反りの無い平坦な状態を零とすると、外周の全周にわたる測定点において、同じ方向への反り量を有し、該反り量の平均値が50〜700μmであるように、樹脂型が凹面状に反っていることを特徴とする樹脂型。
  2. 前記樹脂型の中心点から測定点までの距離に対する反り量の割合が、500〜12000ppmである請求項1記載の樹脂型。
  3. 前記樹脂型の凹面側か凸面側かのどちらか一方の面に、転写用の微細凹凸形状が形成されている請求項1または2記載の樹脂型。
  4. 前記樹脂型が、脂環式構造含有熱可塑性樹脂から形成されたものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂型。
  5. 前記樹脂型が、光記録媒体の製造用である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂型。
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WO2013047753A1 (ja) * 2011-09-29 2013-04-04 Scivax株式会社 成形装置及び成形方法、インプリント用型、並びに当該インプリント用型を用いたインプリント方法
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