JP5549087B2 - 光学シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、照明光路の制御、特にフラットパネルディスプレイに代表される画像表示装置における照明光路制御に用いられる凹凸形状に成形した光学シートを製作するための凹凸形状成形用ロール金型で製作された光学シートの製造方法に関するものである。
近年、TFT(Thin Film Transistor)型液晶パネルやSTN(Super Twisted Nematic)型液晶パネルを使用した液晶ディスプレイ装置は、主としてOA分野のカラーノートPC(パーソナルコンピュータ)を中心に商品化されている。このような液晶ディスプレイ装置においては、液晶パネルの背面側(観察者と反対の側)に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを照明する方式、いわゆるバックライト方式が採用されている。
この種のバックライト方式に採用されているバックライト・ユニットとしては、大別して冷陰極管(CCFT:Cold Cathode Fluorescent Tube)等の光源ランプを、光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆる、エッジライト方式)と、導光板を用いずに冷陰極管(CCFT)等の光源ランプからの光で直接照明する「直下型方式」の2種類の方式とがある。
導光板ライトガイド方式のバックライト・ユニットが搭載された液晶ディスプレイ装置として、例えば図8に示すものが一般に知られている。この種の液晶ディスプレイ装置1は、表裏両面を偏光板2、3で挟む液晶素子4からなる液晶パネル5が上部に位置して配設され、液晶パネル5の下面側には略長方形の板状を呈するPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリル等の透明な基材からなる導光板6が配置されている。この導光板6と液晶パネル5との間(光射出側)に拡散フィルム(拡散層)7が設けられている。
さらに、導光板7の背面に導光板6に導入された光を効率よく液晶パネル5に向けて均一となるように散乱して反射させるための散乱反射パターン部(図示せず)が印刷などによって設けられると共に、散乱反射パターン部の下方に反射フィルム(反射層)8が設けられている。
また、導光板7の側端部には光源ランプ9が設けられており、光源ランプ9の光を効率よく導光板6中に入射させるべく、光源ランプ9の背面側を覆うようにして高反射率のランプリフレクター10が設けられている。上記散乱反射パターン部は、白色である二酸化チタン(TiO2 )粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物を、所定パターン、例えばドットパターンにて印刷し乾燥、形成したものであり、導光板6内に入射した光に指向性を付与し、液晶パネル5に向かう光射出面側へと導くようになっている。これは高輝度化を図るための工夫である。
一方、直下型方式のバックライトは、導光板の利用が困難な大型の液晶TVなどのディスプレイ装置に用いられている。直下型バックライト方式のディスプレイ装置としては、図9に示す液晶ディスプレイ装置12が一般的に知られている。
この液晶ディスプレイ装置12は、表裏両面を偏光板2、3で挟んだ液晶素子4からなる液晶パネル5が上部に位置して配設され、液晶パネル5の背面側に蛍光管等からなる光源13が配置される。さらに、光源13の光出射側に拡散フィルム14のような光学シートが設けられている。また、光源13の背面には、光源13から液晶パネル5と反対側の方向に向かう光を液晶パネル5側へ反射させるリフレター15が配置されている。よって光源13から射出される光は拡散フィルム14で拡散され、この拡散光を高効率で液晶パネル5の有効表示エリアに集光させる。
しかし、これらの液晶ディスプレイ装置1、12では、視野角の制御が拡散フィルム7、14の拡散特性にのみ委ねられており、その制御が難しいという問題があった。例えば、正面方向から見た場合は液晶ディスプレイ装置1、12の表示画面は明るいが、横方向から見た場合には表示画面が暗くなる場合があった。また、液晶ディスプレイ装置1、12の中心部は明るく、周辺部が暗くなるという問題もあった。このように光の利用効率が悪いという問題があった。
そこで、上述の問題を解決する一つの方法として、図10に示すように、米国3M社の輝度強調フィルム(Brightness Enhancement Film:BEF;登録商標)18(以下、BEFという)をバックライト用照明光源19の光出射側に配置させ、さらにBEF18の上方である光出射面側に図示しない光拡散フィルムを配置する構成が採用されている。
BEF18は、図10及び図11に示すように、透明基材20の上面である光出射面に、断面が三角形状の単位プリズム21が一方向に一定のピッチで配列されたフィルムである。この単位プリズム21は光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)である。BEF18は“軸外(off-axis)”からの光を集光し、この光を視聴者に向けて“軸上(on-axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”する。
BEF18は、ディスプレイ装置の使用時(観察時)に、軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させ、ディスプレイ装置の表示品位を向上させる。ここで言う「軸上」とは、視聴者の視覚方向に一致する方向であり、一般的には液晶パネル5によるディスプレイ画面に対する法線方向である。また、BEF18は、通常、単位プリズム21の反復的アレイ構造が1方向のみの配列からなり、その配列方向での方向転換またはリサイクルのみが可能となる。そのため、水平方向及び垂直方向の両方向での表示光の輝度制御を行なうためには、単位プリズム21群の配列方向が互いに略直交するように、2枚のBEFシート18を重ねて組み合わせて用いる必要がある。
そこで、最近では、光利用効率をアップして高輝度化を図るために、図12に示すように、拡散フィルム7と液晶パネル5との間に、光集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)23、24を設けることが提案されている。このプリズムフィルム23、24は単位プリズム21群が互いに直交する方向に配列された2枚のBEF18からなり、導光板6の光射出面から射出され、拡散フィルム7で拡散された光を高効率で液晶パネル5の有効表示エリアに集光させるものである。
このようなBEF18を採用することにより、ディスプレイ設計者が電力消費を低減しながら所望の軸上輝度を達成することができるようになった。BEF18に代表されるプリズムの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材をディスプレイ装置に採用した技術は、特許文献1乃至3等において従来から知られている。
特公平1−37801号公報 特開平6−102506号公報 特表平10−506500号公報
BEF18に代表されるプリズムシートやレンチキュラーシートは、一般的に、所望の形状を付与するためのパターンが彫られたロール金型を用いて、ロール・トゥ・ロール方式で製作される。しかしながら、成形する際のロールギャップや圧力のバランス等により、面内でプリズムシートやレンチキュラーシートの厚みや屈折率が不均一になるという問題がある。プリズムシートやレンチキュラーシートの厚みや屈折率が不均一になると、ムラとして視認されたり複数のシートと重ねた際に干渉縞が見えたり、シートを表示装置に用いたときにシワやタワミが発生するといった問題がある。
本発明は上述の課題を鑑みてなされたものであり、成形する際の面内の圧力バランスを整えて均一な厚みの光学シートを成形することができる凹凸形状成形用ロール金型を用いて製作された光学シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明による光学シートの製造方法は、凹凸形状成形用ロール金型と下型ロールとの間に樹脂シートからなる光学シート材料を挟み、凹凸形状成形用ロール金型と下型ロールとを加圧しながら回転させることによって加圧された光学シート材料が挟み込まれ、光学シートの凹凸形状成形用ロール金型側の光学シート材料の表面に凹凸形状を転写する光学シートの製造方法であって、前記凹凸形状成形用ロール金型の表面には圧力調整凹部が形成されてなり、該圧力調整凹部の幅より小さく且つ前記圧力調整凹部の深さよりも深さの浅い凹凸パターン部が一次元方向または二次元方向に形成されていると共に、前記凹凸形状成形用ロール金型の表面積に対して前記圧力調整凹部の面積の占める割合が3%以上35%以下の範囲で設定されてなることを特徴とする
本発明による光学シートの製造方法では、圧力調整凹部に押圧される光学シート材料によって成形時の圧力ムラを受けて吸収することで圧力バランスを調整して、成形される光学シート材料の厚さ及び屈折率が均一な光学シートを製作できるから、光学シートのムラ、タワミが視認されない。しかも、圧力調整凹部内の面積割合が上記範囲内であれば、成形時の圧力ムラを圧力調整凹部内の光学シート材料で受けて吸収し、成形される光学シートの厚みムラを改善することができる。厚みムラが低減した光学シートをディスプレイ装置に用いたときには、表示画面に厚みムラから生じるムラや撓みが視認されない。
また、圧力調整凹部は、略半球形状であることが好ましい。
圧力調整凹部を略半球状とすることで成形時に成形される光学シートの面にかかる圧力バランスを周方向に均等に調整することができる。
また、下型ロールに凹部を形成し、光学シートの凹凸形状とは反対側の面に凸部が形成されていることが好ましい。
これら凸部を付与することで、光学シートの更なる厚みムラの低減が可能となる。
また、凸部は円錐台形状であることが好ましい。
本発明によるディスプレイ装置は、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、前記画像表示素子の背面に設けられた上述したディスプレイ用バックライト・ユニットとを備えることを特徴とする。
本発明によるディスプレイ装置は、光源からの光が光学シートを透過する際、光学シートにムラ、タワミが視認されないから、光学シートを通して画像表示素子を透過する光の輝度と集光特性を高めて良好な画像が得られる光学特性を発揮できる。
本発明による光学シートの製造方法によれば、成形する凹凸パターン部よりも深さと幅の大きな圧力調整凹部によって、面内の圧力が調整されるため、厚さ及び屈折率が均一な光学シートを製作することが出来る。これにより、ムラ、タワミが視認されない光学シート、該光学シートを備えるバックライト・ユニット及びディスプレイ装置を得られる。
しかも、圧力調整凹部内の面積割合が上記範囲内であれば、成形時の圧力ムラを圧力調整凹部内の光学シート材料で受けて吸収し、成形される光学シートの厚みムラを改善することができる。厚みムラが低減した光学シートをディスプレイ装置に用いたときには、表示画面に厚みムラから生じるムラや撓みが視認されない。
本発明の第一実施形態による凹凸形状成形した光学シートを含むバックライト・ユニットを具備する液晶ディスプレイ装置の概略断面図である。 本発明の第一実施形態による光学シートの断面図である。 本発明の第一実施形態による光学シートを製造するための凹凸形状成形用金型の斜視図である。 図3に示す凹凸形状成形用金型を平面化した状態の幅方向要部断面図である。 押し出しによるロール成形方法を示す説明図である。 第二の実施形態による光学シートの概略断面図である。 試験例1〜4による光学シートの面積率と試験特性評価を表した図である。 従来技術による液晶ディスプレイ装置の一例を示す概略断面図である。 従来技術による液晶ディスプレイ装置の他の例を示す概略断面図である。 従来技術による光学シートを透過する光の特性を示す概略断面図である。 従来技術によるBEFの一例を示す斜視図である。 図11に示すBEFを用いた液晶ディスプレイ装置を示す概略断面図である。
以下、本発明の第一実施形態による光学シートとこの光学シートを成形するための凹凸形状成形用金型、そして液晶ディスプレイ装置について図1乃至図4を用いて詳細に説明する。なお、図に示す各部位の縮尺または比率は実際とは一致しない。また、これに限定されるものでもない。
図1は第一実施形態による液晶ディスプレイ装置30の概略構成を示す断面図である。
図1に示す液晶ディスプレイ装置30は、バックライト・ユニット32と画像表示素子としての液晶パネル(液晶表示素子)33とを備えている。
バックライト・ユニット32において、例えば所定間隔で配列された冷陰極管(CCFT)からなる複数の光源34と、光源34の背面側に配設されていて背面側への出射光を反射させる反射板35とでランプハウス36を構成している。光源34は冷陰極管に限定されることなく、EL、LED,半導体レーザー等を採用できる。
更に、光源34の光照射方向前方側には光源34から出射する光を拡散する光拡散層としての光拡散板37が配設されている。液晶パネル33は偏光板38、39間に液晶素子40が挟持されて構成されている。光拡散板37と液晶パネル33との間には、光拡散板37を透過する光を集光及び拡散する凹凸形状に成形した光学シート42が配設されている。
なお、本実施形態によるディスプレイ装置は液晶ディスプレイ装置30を示すが、これに限らず、投射スクリーン装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置など、画像を光により表示する表示装置であればディスプレイ装置の種類は問わない。
光学シート42は、図2に示すように、シート状の基材44の一方の面に一方向に延びる断面略三角形状のプリズムレンズ45が同一方向に複数並列に配列されて形成されている。そして、プリズムレンズ45群に重ねて略半球形状の凸レンズ46が光学シート42の幅方向及びこれに直交する長手方向に所定間隔で分散して形成され、凸レンズ46のパターンを形成している(図3参照)。凸レンズ46は基材44の一方の面からの高さがプリズムレンズ45の高さより大きく、平面視における直径寸法(幅)もプリズムレンズ45の底面の幅より大きく設定されている。
後述する凹凸形状成形用金型48(凹凸形状成形用ロール金型)から転写して製作される光学シート42は、その平面視において、光学シート42の面積に対する複数の凸レンズ46の総面積の比率である面積率を3%以上35%以下に設定した。
光学シート42を後述の凹凸形状成形金型48を用いて押出し成形で製作した場合、押し出し時の圧力ムラをプリズムレンズ45群より高さと幅が大きい凸レンズ46が受けて吸収することで、光学シート42の厚みムラを改善することが出来る。厚みムラが低減した光学シート42を液晶テレビ等の液晶ディスプレイ装置30に用いたときには、表示画面に厚みムラから生じるムラや撓みが視認されない。
一方で、凸レンズ46の面積率が3%未満であると押し出し成形時に生じる圧力ムラや撓みを十分吸収できず、35%を超えた場合には圧力ムラや撓みは生じないが相対的にプリズムレンズ45の面積率が減少して集光効率や輝度の向上を十分達成できないという不具合が発生する。
光学シート42の主となる材質としては、例えばポリカーボネートもしくはアクリル−スチレン共重合体もしくはポリスチレンもしくはスチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体もしくはシクロオレフィンポリマー等を樹脂シートとして使用しても良い。
次に、光学シート42を製作するための本発明の実施形態による凹凸形状形成用金型48について図3及び図4により説明する。
光学シート42を製作する場合、製造コストを考慮すると押し出し方式で製造することが好ましい。押し出し方式で用いる凹凸形状成形用金型48は、図3に示すように、円筒形状または円柱形状をなす金属シリンダー49の外表面上に、プリズムレンズ45を形成するための凹凸パターン部としてプリズムレンズ用凹部50と凸レンズ46を形成するための圧力調整凹部51とが彫られてなる構成である。
プリズムレンズ用凹部50は断面略三角形で一方向に延びて構成され、プリズムレンズ用凹部50は同一方向に複数配列されて形成されている。圧力調整凹部51は例えば略半球状の凹部としてプリズムレンズ用凹部50に重ねて所定間隔で分散して形成されている。圧力調整凹部51はプリズムレンズ用凹部50よりも深く幅も大きい。
凹凸形状形成用金型48は、上述した転写して形成される光学シート42の面積に対する複数の凸レンズ46の面積率が3%以上35%以下とされているものと同様に、凹凸形状形成用金型48の面積に対する圧力調整凹部51の総面積の比率(面積率)が3%以上35%以下とされている。この数値範囲であれば、押し出し成形時の圧力ムラをプリズムレンズ45群より高さと幅が大きい圧力調整凹部51で転写される凸レンズ46が受けて吸収することで、光学シート42の厚みムラを改善することが出来る。これを液晶ディスプレイ装置30に用いたときには、表示画面に厚みムラから生じる屈折率の不均一によるムラや撓みが視認されない。一方で、圧力調整凹部51の面積率が3%未満であると押し出し成形時に生じる圧力ムラや撓みを十分吸収できず、35%を超えた場合には圧力ムラや撓みは生じないが相対的に凹凸パターン部50の面積率が減少して、転写されるプリズムレンズ45の集光効率や輝度の向上を十分達成できないという不具合が発生する。
凹凸形状成形用金型48を製作する場合、プリズムレンズ用凹部50と圧力調整凹部51とからなる異なる2種の凹部パターンは例えばエッチングや切削等によって形成されるが、その製作方法はこれらの方法に限定されることはない。また、圧力調整凹部51の配置パターンには特に制限はないが、プリズムレンズ用凹部50のパターンとのモアレやディスプレイの画素とのモアレを考慮すると、六方格子状に配列させることが好ましい。
図3に示す凹凸形状成形用金型48において、六方格子状とはハニカム構造の各角部と中央部に相当する位置に圧力調整凹部51が配設された構成をいう。
凹凸形状成形用金型48の製作に際し、断面略半球形状の圧力調整凹部51と直線状のプリズムレンズ用凹部50との製作の順番に特に制限はないが、ウエットエッチングなどの工程を用いる場合には、圧力調整凹部51を先に製作する方が安定した形状を得ることが出来るため望ましい。
図4はシリンダー状の凹凸形状成形用金型48を平面化して見た場合の幅方向概略断面図である。圧力調整凹部51の形状は圧力バランスの均一化と光学性能を考慮して半球状または略半球状が望ましい。また、圧力バランスの均一化のためには、圧力調整凹部51の深さd1はプリズムレンズ用凹部50の深さd2よりも大きい必要がある。圧力調整凹部51の深さd1がプリズムレンズ用凹部50の深さd2と同等以下の場合には圧力バランスの均一化効果が得られない。また、同様の理由で、圧力調整凹部51の幅w1はプリズムレンズ用凹部50の幅w2より大きく設定されている。なお、深さd1≧深さd2×3、幅w1≧幅w2×2であることが望ましいが、これに限定されるものではない。
このような凹凸形状成形用金型48を用いて、光学シート42を押し出し成形する。押し出しによるロール成形方法の一例を説明すれば、例えば図5に示すように、上型ロールとして凹凸形状成形用金型48を設け、対向する位置に下型ロール52を配設する。
そして、凹凸形状成形用金型48と加熱した下型ロール52との間に樹脂シートからなる光学シート材料42aをはさみ、凹凸形状成形用金型48と下型ロール52とを加圧しながら回転させる。これによって、凹凸形状成形用金型48と下型ロール52との間に加圧された光学シート材料42aが挟み込まれ、光学シート42の凹凸形状成形用金型48側の基材44の表面にプリズムレンズ45と凸レンズ46が転写されて、押し出されていく。このようにして光学シート42が形成される。
なお、凹凸形状成形用金型48の製作方法はロール成形法に限定されず、ロールツウロール方法等でもよい。
上述のように本実施形態による凹凸形状成形用金型48によれば、プリズムレンズ用凹部50よりも大きな圧力調整凹部51によって、押し出し成形時の面内の圧力が吸収されて調整されるため、厚さ及び屈折率が均一な光学シート42を製作することが出来る。これにより、ムラ、タワミが視認されない光学シート42、そして、この光学シート42を備えるバックライト・ユニット32及び液晶ディスプレイ装置30を得ることができる。
次に、上述した実施形態による凹凸形状成形用金型48及び光学シート42の第二実施形態を図6により説明するが、上述の第一実施形態と同一または同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略する。
図6に示す光学シート53は、基材44の一方の面に上述した実施形態と同様に略半球状の凸レンズ46とプリズムレンズ45を形成している。また、基材44の他方の面には凸部54が幅方向及びこれに直交する長手方向に所定間隔で分散して突出形成されている。これら凸部54を付与することで、光学シート53の更なる厚みムラの低減が可能となる。凸部54の形状は例えば円錐台形状とされているが、対向する一方の面の凸レンズ54及びプリズムレンズ45のパターンとのモアレの抑制を考慮するとドット状とすることが好ましい。
なお、凸部54の断面形状に関しては図6に示す円錐台形状に限定されるものではなく、適宜の断面形状を採用できる。また、凹部54は例えば図5に示すロール成形法では下型ロール52に形成すればよく、凹凸形状成形用金型48と挟持して加圧しつつ押し出せば光学シート53を製作できる。
以下、本発明の上述した第一実施形態による光学シート42の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<凹凸形状成形用金型48の製作)
表面を銅メッキ処理した金属シリンダー49の表面を切削により平滑化し、その表面上にブラックラッカーを膜厚5μm程度になるよう均一に塗布する。そのブラックラッカー上に円形状にレーザーアブレーション後、クロム酸、塩化第二鉄にてウエットエッチングを行なう。その後、余分なブラックラッカーをアセトンにて除去することで、金属シリンダー49の表面上に圧力調整凹部51を形成する。そして、ダイヤモンドバイトによって金属シリンダー49の表面を切削してプリズムレンズ用凹部50のパターンを形成し、図3に示すような凹凸形状成形用金型48を得た。
凹凸形状成形用金型48の面積に対する圧力調整凹部51の面積率の変更はレーザーアブレーションの際のレーザー照射間隔を広げることで調節した。エッチング処理後の圧力調整凹部51を断面半球状で幅100μm、最大深さ50μmに加工形成し、圧力調整凹部51の配設パターンは六方格子状に分散して製作した。プリズムレンズ用凹部50は幅30μm、深さ15μmの断面三角形のプリズムで製作した。
<光学シート42の製作>
光学シート42の材料としてポリカーボネートを用い、図3に示す凹凸形状成形用金型48によって押出し方式で押し出し成形することにより、プリズムレンズ45が同一方向に配列されていてその上に半球状の凸レンズ46を分散配設してなる図2に示す光学シート42を製作した。この光学シート42は最大厚500μmの光学シートである。
<試験例1〜4の製作>
次に試験例1〜4として凹凸形状成形用金型48及びこれを用いた光学シート42を製作した。試験例1、2は実施例であり、試験例3、4は比較例である。
試験例1として、光学シート42における凸レンズ46の面積率が3%となるよう圧力調整凹部51の数を調整した凹凸形状成形用金型48を製作し、この凹凸形状成形用金型48を用いて光学シート42を総厚500μmで押出し成形した。また、凸レンズ46の面積率が35%、40%、0%となるよう圧力調整凹部51の数を調整した凹凸形状成形用金型48をそれぞれ製作して、これらの凹凸形状成形用金型48を用いて、押し出し方式によってそれぞれ光学シート42を製作した。凸レンズ46の面積率35%のものを試験例2、面積率40%のものを試験例3、面積率0%のものを試験例4とした。
試験例4における凸レンズ46の面積率0%とした光学シート42を形成するための凹凸形状成形用金型48は、圧力調整凹部51を形成せずにプリズムレンズ用凹部50のパターンのみを付与して製作した。試験例4による光学シート42はベースとなるプリズムレンズ45のみで形成されている。
試験例1〜4の各光学シート42はそれぞれ幅650mm、長さ1200mmの寸法形状とした。
<ムラ、タワミ評価>
試験例1〜4の凹凸形状成形用金型48を用いて製作した光学シート42について、厚みムラ測定とムラ、タワミ評価と光学特性評価を実施した。試験に際して、各試験例1〜4の光学シート42を、図1に示す液晶ディスプレイ装置30として液晶TVにそれぞれ設置し、液晶ディスプレイ装置30を点灯して2時間経過時にムラ、タワミが発生したかどうかを目視評価した。試験例1〜4の各試験結果は図7に示すとおりである。
厚みムラ測定は、試験例1〜4における各光学シート42の押出し方向に直交する幅方向(650mm幅)を5分割し、押出し流れ方向(1200mm長さ)を5分割して厚み測定を実施した。厚みムラは光学シート42全体の総厚の平均値からの最大バラツキで算出した。
ムラ、タワミ評価は、液晶ディスプレイ装置30を点灯して、点灯直後に対して2時間経過時に各光学シート42にムラ、タワミが発生したかどうかを目視評価することで行った。また、光学特性に関しては、液晶ディスプレイ装置30を点灯して2時間経過後に、点灯直後に対して正面輝度の低減率が10%未満の場合を良好(○)として判断した。
試験例4において、圧力調整凹部51の面積率0%の凹凸形状成形用金型48から得られた光学シート42は、厚みムラは±5%程度であり、60℃付近の高温に達する液晶ディスプレイ装置30の点灯試験では、光学シート42にタワミが発生してしまい、映像にムラが生じてしまった。
試験例1〜3において、凸レンズ46の面積率3%以上では厚みムラは±2%以下となった。液晶ディスプレイ装置30の点灯試験においても、試験例1〜3では光学シート42にタワミが発生しなかった。しかしながら、試験例3では、凸レンズ46の面積率40%と大きすぎてしまい、相対的にプリズムレンズ45の面積率が低下したため、試験例4による面積率0%の光学シート42の正面輝度よりも、10%以上正面輝度が低減してしまい光学特性が大きく損なわれたため不良(×)評価とした。
なお、上述の実施形態において、光学シート42についてプリズムレンズ45を一方向に延在させて並列に配列させて構成したが、互いに直交する方向や交差する方向等、二次元方向に配列して構成してもよい。
30 液晶ディスプレイ装置
32 バックライト・ユニット
33 液晶パネル
34 光源
37 光拡散板
42 光学シート
44 基材
45 プリズムレンズ
46 凸レンズ
48 凹凸形状成形用金型
49 金型シリンダー
50 プリズムレンズ用凹部(凹凸パターン部)
51 圧力調整凹部

Claims (4)

  1. 凹凸形状成形用ロール金型と下型ロールとの間に樹脂シートからなる光学シート材料を挟み、凹凸形状成形用ロール金型と下型ロールとを加圧しながら回転させることによって加圧された光学シート材料が挟み込まれ、光学シートの凹凸形状成形用ロール金型側の光学シート材料の表面に凹凸形状を転写する光学シートの製造方法であって、
    前記凹凸形状成形用ロール金型の表面には圧力調整凹部が形成されてなり、該圧力調整凹部の幅より小さく且つ前記圧力調整凹部の深さよりも深さの浅い凹凸パターン部が一次元方向または二次元方向に形成されていると共に、前記凹凸形状成形用ロール金型の表面積に対して前記圧力調整凹部の面積の占める割合が3%以上35%以下の範囲で設定されてなることを特徴とする光学シートの製造方法。
  2. 前記圧力調整凹部は、略半球形状であることを特徴とする請求項1に記載された光学シートの製造方法。
  3. 前記下型ロールに凹部を形成し、前記光学シートの凹凸形状とは反対側の面に凸部が形成されている請求項1または2に記載された光学シートの製造方法。
  4. 前記凸部は円錐台形状である請求項3に記載された光学シートの製造方法。
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