JP2010020056A - 耐擦傷性レンズシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一方の面に多数のレンズ構造2が配列されるとともに、レンズ頂部より5〜100μm高く且つ略一定高さの突起3が多数設けられ、該突起3の配列が不規則であり、レンズシート1の総面積に対する突起3の総設置面積の比率が0.3〜20%であることを特徴とする耐擦傷性レンズシートである。
【選択図】図1
Description
しかしながら、この突起を例えばレンズシートに適用した場合、設けた突起に入射した光がレンズシート本来の光学効果とは異なる特定の方向に屈折すると、これがレンズシート本来の光学効果と干渉してモアレが生じ、画像の品位が著しく低下する。
そこで、本発明者らはこのような欠点を解決するためさらに鋭意研究を続けた結果、突起の配列を不規則にすれば、突起に入射して本来とは異なる方向に屈折した光が生じても、これらの光がレンズシート本来の光学効果とはほとんど干渉せず、モアレが発生しないことを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、レンズ構造面に傷が付きにくく、また、傷が付いたとしても目立たず、且つモアレが発生せず得られる画像の品位が高く、安価な耐擦傷性レンズシートを提供することを目的とするものである。
レンズ構造面に設ける突起又は裏面に設ける裏面突起はともに、レンズシートの総面積に対する突起の総設置面積の比率が0.3〜20%とすることにより、十分な耐擦傷性を発揮するとともに、正面輝度も優れたレンズシートが得られる。さらに、突起の配列は不規則なので突起の部分に入射した光が出射する方向は実質的に不規則になり、全体として拡散光に等しくなるので、レンズシート本来の光学効果とは干渉せず、モアレが生じない。
プリズム構造としては、三角柱の断面の形状が集光能力を発揮し易い、頂角が60度より120度の形状を選ぶことができる。好ましくは70度より110度の範囲である。三角形の形状は特に限定されず、等辺、不等辺のいずれでもよいが、レンズシート1の法線方向に集光性能を向上させる点で二等辺三角形が好ましく、従って、頂部に相対した底辺に隣接して隣の二等辺三角形を順次配置し、頂部の列が長軸となり互いにほぼ平行になるように配列した構造とするのが好ましい。
突起3はその高さがレンズの頂部より5〜100μm高くなるように設置される。突起3の高さが5μm未満の場合、レンズ構造の表面を十分保護できず、視力の良い人にはレンズ構造の表面に付いた擦傷が視認出来ることがあるなど、耐擦傷性効果が十分でない。100μmを超えると、レンズ構造面の光学効果を妨げる度合いが大きくなり、正面輝度が低下する。同様に、裏面突起5はレンズシートの裏面より5〜100μm高くなるように設置される。
また、突起3及び裏面突起5の底面の大きさについては特に限定されないが、底面が円形の場合は直径が、方形の場合は1辺の長さが20〜500μm程度が好ましい。直径又は1辺の長さが20μm未満であると、使用する透明樹脂の粘度や金型の種類によっては十分な高さの突起3を形成させにくくなって、耐擦傷性効果が低下する傾向があり、特に突起3の場合はレンズ構造を突起3よりも低く作成する必要があるのでレンズ構造の加工精度が悪くなるため正面輝度が小さくなる傾向があり、500μmを超えると、レンズ構造面の光学効果を妨げる度合いが大きくなり、正面輝度が低下する傾向があるばかりでなく、肉眼で突起3又は裏面突起5が見えてしまうことがある。
なお、突起3又は裏面突起5の総設置面積とは、突起3又は裏面突起5の底面がレンズシート1に設置されている部分の面積の総和をいう
また、上記の画像の代わりに、乱数を発生させる関数f(x) 及びf(y) を用いて、原点に対する座標(f(x) ,f(y) )を所定の数だけ作成し、この座標に従って金型に突起3、5の雌型を刻設してもよい。
但し、突起3、5の配置は完全なランダムではなく、突起間の距離が短くなり過ぎないように調整するほうが好ましい。突起3、5の間隔が10μm程度より短くなると、これらの突起3、5が恰も1つの突起3であるかのように認識され、肉眼で見えてしまう可能性がある。
適当な間隔は、レンズシート1の全面積に対する前記突起3、5の設置面積の比率等によっても異なるが、例えば突起3、5の設置面積がレンズシート全面積の4%程度の時、170〜800μm程度のピッチである。
この程度の僅かな模様(パターン)は、拡散材が配合された樹脂を使用することで解消できる。拡散材の種類や量は特に限定されないが、レンズシート1のヘイズが35〜82%となる程度に配合すればよい。レンズシート1のヘイズが35%未満となると、視力の良い人には僅かなモアレが感じられるなど、画質が低下する傾向があり、82%を超えると輝度が低下する傾向がある。
なお、レンズシートはその法線と平行に入射した光を所定の角度に曲げてしまうため、JIS K7136に規定される方法で直接ヘイズを測定することができないので、本発明では、該レンズシートと同一の材料からなり、該レンズシートからレンズ構造2及び突起3、5を除いた厚さであって両面が平坦なシートについてヘイズを測定する。
具体的な拡散剤の量は、この拡散剤の透明度、粒径、屈折率、レンズシート1を構成する透明樹脂の屈折率、レンズシート1の厚さ等により変化するため一概には言えないが、例えば平均粒径2〜10μmのアクリル粒子を拡散剤とし、レンズシート1を構成する透明樹脂をポリカーボネートとし、レンズシート1の厚さを240μmとする場合は、透明樹脂100gに対し0.20〜1.5g程度を配合すると、レンズシート1のヘイズが、35〜82%程度となる。
押出成形にあっては、シート状に押し出された材料を加熱下にエンボスするか、溶融押出時に金型ロールに押圧するか、特許第2925069号に記載されているように、前もって型付けされた離型性シート(賦型シート)に挟圧して該型を転写して成形することができる。そして、レンズ構造2、突起3、裏面突起5を同時成形する場合は、例えば、一方の片面は離型性シートにより、他方の片面は金型ロールによって成形することも出来る。
また、硬化性樹脂において、電離性放射線による場合は紫外線硬化樹脂を使用するのが通常である。一般的には透明な支持体上に硬化性樹脂を塗布後、型内で紫外線を照射して成形される。
なお、レンズ構造面のレンズ構造2及び突起3と、裏面の裏面突起5は一体的に同時に形成してもよいが、別々に形成してこれを貼り合わせてもよい。
ポリカーボネートの透明樹脂「パンライトL−1225Y」(帝人化成株式会社製)及び拡散材が配合されたポリカーボネートの透明樹脂「X−0398」(帝人化成株式会社製)を単独で、又は所定の割合で混合して用いた。「パンライトL−1225Y」を樹脂Aとし、「X−0398」を樹脂Dとし、樹脂Aと樹脂Dを3:1の重量比で混合した樹脂を樹脂Bとし、同じく2:1の重量比で混合した樹脂を樹脂Cとした。
実施例1
樹脂Aを溶融押出の樹脂温度295℃でダイスよりシート状に押し出し、押出されたシート状溶融樹脂を、離型性シート(賦型シート)と冷却ロールの間に狭圧する方法でレンズシートを製造した。
離型性シートにはレンズ構造(プリズム構造)の雌型が予め型付けされると共に、1辺が10mmの正方形のなかに不規則配列の突起の雌型が刻設された単位区画が隙間無く配列されている。
上記離型性シートに雌型として刻まれたプリズム構造は、断面形状が頂角90度で底辺との角が45度の二等辺三角形であり、底面幅25μmで高さが12μmのプリズム構造(以下の実施例、比較例において、底面幅を変動させることによりレンズ構造の高さを変動させている)であるレンズ構造2が配列されているレンズシートを作成するためのものである。
また、上記離型性シートに雌型として刻設された突起は、底面が1辺98μmの正方形で高さが19μmでレンズ頂部との高低差が7mm(以下の実施例、比較例における高度差については表1に明示)の四角錐台形であり、総設置面積がレンズシートの総面積の4%となるように調整されている。
冷却ロールの表面には1辺が10mmの正方形のなかに不規則配列の裏面突起の雌型が刻設された単位区画が隙間無く配列されており、その突起は底面が1辺98μmの正方形で高さが19μmの四角錐台形であり、総設置面積がレンズシートの総面積の4%となるように調整されている。
得られたシートからプリズム構造、突起及び裏面突起を除いた部分の厚み(以下、単に厚みと称する)は260μmであった。得られたレンズシートの耐擦傷性試験結果及び光学特性は、後述の方法で測定・判定した。測定・判定結果については他の実施例、比較例のものと共に表1に示す。
厚みを320μmとした他は上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。
冷却ロールとして表面が平坦なものを使用し、裏面突起を設けなかった他は、上記実施例1、2と同様にしてレンズシートを作成した。
素材として樹脂Bを使用し、厚みを180μmとした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。
厚みを320μmとした他は、上記実施例5と同様にしてレンズシートを作成した。
冷却ロールとして表面が平坦なものを使用し、裏面突起を設けなかった他は、上記実施例5、6と同様にしてレンズシートを作成した。
素材として樹脂Cを使用した他は、上記実施例5と同様にしてレンズシートを作成した。
厚みを320μmとした他は、上記実施例9と同様にしてレンズシートを作成した。
冷却ロールとして表面が平坦なものを使用し、裏面突起を設けなかった他は、上記実施例9、10と同様にしてレンズシートを作成した。
素材として樹脂Dを使用した他は、上記実施例5と同様にしてレンズシートを作成した。
厚みをそれぞれ260μm、280μmとした他は、上記実施例13と同様にしてレンズシートを作成した。
冷却ロールとして表面が平坦なものを使用し、裏面突起を設けなかった他は、上記実施例13〜15と同様にしてレンズシートを作成した。
レンズシートの総面積に対する突起の総設置面積の比率(以下、単に面積比率ということがある)を0.1%(比較例1)、0.3%(実施例19)、31%(比較例2)とした他は、上記実施例18と同様にしてレンズシートを作成した。比較例1は面積比率が小さ過ぎるため耐擦傷性が悪く、比較例2は逆に面積比率が大き過ぎるため、輝度が低い。
突起の底面をそれぞれ1辺が200μmの正方形、高さを40μm、レンズ構造の高さを25μmとした他は、上記実施例18と同様にしてレンズシートを作成した。
レンズ構造の高さを35μmとした他は、上記実施例20と同様にしてレンズシートを作成した。
面積比率を10%(実施例22)、15%(実施例23)とした他は、上記実施例20と同様にしてレンズシートを作成した。
突起の底面をそれぞれ1辺が70μmの正方形、高さを13μm、レンズ構造の高さを12μmとした他は、上記実施例18と同様にしてレンズシートを作成した。レンズ構造の高さと突起の高さが1μmしかないため、耐擦傷性が悪い。
実施例1と同様の冷却ロールを用い、裏面突起を設けた他は、上記比較例3と同様にしてレンズシートを作成した。レンズ構造の高さと突起の高さが1μmしかないため、耐擦傷性が悪い。
レンズ構造の高さを25μmとした他は、上記比較例3と同様にしてレンズシートを作成した。突起よりもレンズ構造のほうが高いため耐擦傷性が悪い。
突起の底面をそれぞれ1辺が98μmの正方形、高さを19μmとした他は、上記比較例5と同様にしてレンズシートを作成した。突起よりもレンズ構造のほうが高いため耐擦傷性が悪い。
レンズ構造面に設ける突起の配列を格子状とした他は、上記実施例2と同様にしてレンズシートを作成した。突起の配列が規則的であるのでモアレが発生する。
突起の底面をそれぞれ1辺が50μmの正方形、高さを10μm、レンズ構造の高さを5μmとした他は、上記実施例2と同様にしてレンズシートを作成した。
突起の底面をそれぞれ1辺が50μmの正方形、高さを11μm、レンズ構造の高さを10μmとした他は、上記実施例2と同様にしてレンズシートを作成した。レンズ構造の高さと突起の高さが1μmしかないため、耐擦傷性が悪い。
突起の底面をそれぞれ1辺が20μmの正方形、面積比率を1%、高さを10μm、レンズ構造の高さを5μmとした他は、上記実施例15と同様にしてレンズシートを作成した。
突起の底面をそれぞれ1辺が500μmの正方形、高さを50μm、レンズ構造の高さを25μmとした他は、上記実施例15と同様にしてレンズシートを作成した。
突起の底面をそれぞれ1辺が15μmの正方形、高さを8μm、レンズ構造の高さを3μmとした他は、上記実施例15と同様にしてレンズシートを作成した。
突起の底面をそれぞれ1辺が600μmの正方形、高さを120μm、レンズ構造の高さを25μmとした他は、上記実施例15と同様にしてレンズシートを作成した。
突起の底面をそれぞれ1辺が200μmの正方形、高さを60μm、レンズ構造の高さを10μmとした他は、上記実施例15と同様にしてレンズシートを作成した。
厚みを320μm、突起の底面をそれぞれ1辺が500μmの正方形、高さを110μm、レンズ構造の高さを15μmとした他は、上記実施例15と同様にしてレンズシートを作成した。
厚みを400μm、突起の底面をそれぞれ1辺が75μmの正方形、高さを25μm、レンズ構造の高さを20μmとした他は、上記実施例15と同様にしてレンズシートを作成した。
〔拡散シート摩擦試験〕
レンズ構造面とその裏面をそれぞれ拡散シートと擦り合わせて、その面を観察評価した。
試験方法:上記実施例及び比較例のレンズシートをレンズ構造面又は裏面を上にして固定し、その上に拡散フィルムBS−702(恵和株式会社製)を凹凸面を下にして載置し、更にその上に50gの錘を載置して、拡散フィルムを5m/minの速度で引っ張った。
評価方法:パネラー5人にレンズシートのレンズ構造面又は裏面を斜め方向より目視で観察させ、傷が見えたパネラーの人数により下記の基準で判定した。
○:0人
△:1〜2人
×:3〜5人
レンズシートの明暗差は、輝度計の受光面を小さくしてバックライトの各部の輝度を測定し、その差を計算することにより測定できる。しかし面光源の品位は肉眼による判定も欠かすことが出来ない。
更にバックライトの品位の特徴付けには特定の方向に強く出射するような光線の存在の有無があり、これはギラツキとして肉眼により判定できる。
従って、輝度計による測定と肉眼によるモアレの有無を判定し、光学特性を評価した。
バックライト(32インチ直下型方式、シャープ株式会社製、LC32D10B)の上に厚さ2mmの光拡散板「オプトマックス」(住友ベークライト株式会社製)を載置した。さらにその上に実施例及び比較例で得られたレンズシートを、レンズ構造面が出射面側となり、プリズム構造の長軸方向が陰極線管の長軸方向と一致するように載置した。
レンズシートを設置した面の上方500mmの距離に、輝度計ミノルタCA−1500(コニカ・ミノルタ株式会社製)により、測定面積4.8cm2 として、設置したレンズシートの中心点の輝度を測定した。
「対照」としてレンズシートを載置せず、光拡散板のみで輝度を測定し、その「対象」の輝度で上記レンズシートを載置した際の輝度を除し、その結果を輝度上昇率とした。
バックライト(32インチ直下型方式、シャープ株式会社製、LC32D10B)の上に拡散フイルムD124Z(ツジデン株式会社製)を凹凸面を上になるように置き、この上に実施例、比較例で得られたレンズシートを、その裏面が前記拡散フィルムの凹凸面に接するように設置してから、バックライトからレンズシートを通して出射された光を目視で観察し、モアレを観察できるか否かをパネラー5人により目視判定させた。評価はモアレを観察できたパネラーの人数により下記の基準で判定した。
○:0人
△:1〜2人
×:3〜5人
2 レンズ構造
3 突起
4 単位区画
5 裏面突起
Claims (6)
- 一方の面に多数のレンズ構造が配列されたレンズシートであって、該レンズ構造の頂部より5〜100μm高く且つ略一定高さの突起が不規則に多数配設され、前記レンズシートの総面積に対する突起の総設置面積の比率が0.3〜20%であることを特徴とする耐擦傷性レンズシート。
- 突起の底面が直径20〜500μmの円形、または1辺が20〜500μmの方形であることを特徴とする請求項1に記載の耐擦傷性レンズシート。
- 他方の面に高さが5〜100μmで且つ略一定高さの裏面突起が不規則に多数配設され、レンズシートの総面積に対する裏面突起の総設置面積の比率が0.3〜20%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐擦傷性レンズシート。
- 裏面突起の底面が直径20〜500μmの円形、または1辺が20〜500μmの方形であることを特徴とする請求項3に記載の耐擦傷性レンズシート。
- レンズ構造がプリズム構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の耐擦傷性レンズシート。
- 拡散剤が配合された樹脂により構成されており、ヘイズが35〜82%であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の耐擦傷性レンズシート。
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