JP2010020132A - 耐擦傷性レンズシート - Google Patents
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【解決手段】少なくとも一方の面に、実質的に半円柱のレンチキュラーレンズ構造2とこれよりも低い小プリズム構造3がほぼ平行に多数配列されたレンズシート1であって、レンチキュラーレンズ構造2と小プリズム構造3の高度差(D)が5μm以上であることを特徴とする耐擦傷性レンズシート1である。
【選択図】図2
Description
本発明は、かかる知見に基づき、製造が容易で、均一性に優れ、単に傷が付きにくいだけでなく、レンズ面を強く擦った場合でも隣接するレンズ構造が同時に傷付くようなことがなく、即ち、発生した傷が目立たず、正面輝度も低下しない耐擦傷性レンズシートを提供することを目的とするものである。
なお、前記レンチキュラーレンズ構造2の大きさは1枚のレンズシート1の中で一定である必要があるが、小プリズム構造3の大きさが一定である必要はなく、例えば図3に示したように、小プリズム構造3として2種類又はそれ以上の大きさのものを設けてもよい。図3に示した例では、中央の小プリズム構造3bはその両横に配置された小プリズム構造3aよりも大きくなっており(中プリズム構造3bと称することがある)、実質的に2種類の小プリズム構造3(3a、3b)が配置されている。ただし、この場合、高度差(D)は大きな小プリズム構造(中プリズム構造)3bとレンチキュラーレンズ構造2の高さの差である。
但し、突起の配置は、突起間の距離が短くなり過ぎないように調整するほうが好ましい。突起の間隔が10μmより小さくなると、これらの突起が恰も1個の大きな突起であるかのように視認され、肉眼で見えてしまう可能性がある。適当な間隔は、耐擦傷性レンズシートの全面積に対する前記突起の設置面積の比等によっても異なるが、例えば突起の設置面積が耐擦傷性レンズシート全面積の4%程度の場合で、170〜800μm程度のピッチである。
尚、突起の設置面積とは、突起が耐擦傷性レンズシートに設置している面積の総和をいう。
また、上記の透明樹脂に拡散材を配合して、拡散シートとしての機能を付与することもできる。使用できる拡散剤としては、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機粒子や、架橋ポリアクリレート、架橋MS樹脂(MMAとスチレンの共重合体)、シリコン樹脂等の有機粒子が例示できる。
拡散材の適切な配合割合は拡散材の種類によって異なるので一概にはいえないが、通常、透明樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部が適当である。0.1重量部より少ないと拡散効果が十分でなく明暗差を十分に消すことができないことがあり、一方、10重量部より多いと全光線透過率が低下し集光効果が不十分となる場合がある。
ポリカーボネートの透明樹脂「パンライトL−1225Y」(帝人化成株式会社製)100重量部に対し、拡散剤として10μm程度の架橋MS樹脂粒子を、それぞれ1重量部、0.5重量部配合し、それぞれ樹脂A、Bとした。また、拡散材を配合しないものを樹脂Cとした。なお、これらの樹脂で厚さ240μmの平坦なシートを作成し、これらのシートについてJIS K7136に規定される方法でヘイズを測定したところ、樹脂Aで作成したシートは62%、樹脂Bでは40%、樹脂Cでは5%であった。
実施例1
樹脂Aを溶融押出の樹脂温度295℃でダイスよりシート状に押し出し、押出されたシート状溶融樹脂を、レンチキュラーレンズ形状及び小プリズム形状が予め離型性シートに型付けされた賦型シートと、表面が概略平坦な冷却ロールとの間に挟圧する方法で耐擦傷性レンズシートを製造した。
上記離型性シートに刻まれたレンチキュラーレンズ形状は底面幅(WL)100μmの半円柱状に穿設されており、小プリズム形状は断面形状が頂角90度で底辺との角が45度で底面幅(WS)50μmの二等辺三角形であり、底面幅(WL)100μmのレンチキュラーレンズ構造2が1本と、底面幅(WS)50μmの小プリズム構造3が4本とが、ピッチ(P)300μm(=100×1+50×4)で配列されているレンズシートを作成するためのものである。
上記のレンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)及び底面幅(WL)、レンチキュラーレンズ構造のピッチ(P)、レンチキュラーレンズ構造のピッチ(P)に対するレンチキュラーレンズ構造の底面幅(WL)の比(WL/P)、小プリズム構造の高さ(HS)及び底面幅(WS)、レンチキュラーレンズ構造1本に対する小プリズム構造の数(N)(以下、単に本数(N)という)、レンチキュラーレンズ構造と小プリズム構造との高度差(D)、レンチキュラーレンズ構造のピッチに対する高度差の比(D/P)、レンチキュラーレンズ構造の底面幅(WL)に対する小プリズム構造の底面幅(WS)の比(WS/WL)を表1に記載した。なお、レンチキュラーレンズ構造は断面半円形であるから、レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)と半径(R)は同じ値になるので、半径(R)については記載を省略した。
得られたシートからレンズ構造を除いた部分の厚みは240μmであった。得られた耐擦傷性レンズシートの耐擦傷性及び光学特性は、後述の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)を25μm、底面幅(WL)を50μm、ピッチ(P)を250μm、小プリズム構造の高さ(HS)を24.5μm、底面幅(WS)を50μm、本数(N)を4本とした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)を100μm、底面幅(WL)を200μm、ピッチ(P)を410μm、小プリズム構造の高さ(HS)を34.5μm、底面幅(WS)を70μm、本数(N)を3本とした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)を140μm、底面幅(WL)を280μm、ピッチ(P)を580μm、小プリズム構造の高さ(HS)を49.7μm、底面幅(WS)を100μm、本数(N)を3本とした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)を25μm、底面幅(WL)を50μm、ピッチ(P)を90μm、小プリズム構造の高さ(HS)を19μm、底面幅(WS)を40μm、本数(N)を1本とした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)を50μm、底面幅(WL)を100μm、ピッチ(P)を185μm、小プリズム構造の高さ(HS)を42μm、底面幅(WS)を85μm、本数(N)を1本とした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)を25μm、底面幅(WL)を50μm、ピッチ(P)を130μm、小プリズム構造の高さ(HS)を19.5μm、底面幅(WS)を40μm、本数(N)を2本とした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)を25μm、底面幅(WL)を50μm、ピッチ(P)を100μm、小プリズム構造の底面幅(WS)を25μm、高さ(HS)を12μm、本数(N)を2本とした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)を50μm、底面幅(WL)を100μm、ピッチ(P)を150μm、小プリズム構造の高さ(HS)を24.5μm、底面幅(WS)を50μm、本数(N)を1本とした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)を60μm、底面幅(WL)を120μm、ピッチ(P)を670μm、小プリズム構造の高さ(HS)を54.5μm、底面幅(WS)を110μm、本数(N)を5本とした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
樹脂Bを使用した他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
樹脂Cを使用した他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
冷却ロールとして底面100μm角、高さ約20μmの突起の雌型がレンズシート全体の4%程度になるよう刻設されたものを使用することにより、レンズシートの裏面に突起をランダムに設けた他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズを設けず、全面に小プリズム構造を配列した他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表1に示す。
レンチキュラーレンズ構造の高さ(HL)を50μm、底面幅(WL)を100μm、ピッチ(P)を275μm、中プリズム構造の高さ(HM)を37μm、底面幅(WM)を75μm、レンチキュラーレンズ構造1本に対する中プリズム構造の数(NM)を1本、小プリズム構造の高さ(HS)を24.5μm、底面幅(WS)を50μm、レンチキュラーレンズ構造1本に対する小プリズム構造の数(NS)を2本とした他は、上記実施例1と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表2に示す。
冷却ロールとして底面100μm角、高さ約20μmの突起の雌型がレンズシート全体の4%程度になるよう刻設されたものを使用することにより、レンズシートの裏面に突起をランダムに設けた他は、上記実施例13と同様にしてレンズシートを作成した。耐擦傷性、光学特性の評価結果を表2に示す。
実用に供せられる液晶表示装置のバックライトに準じて、導光板に使用される4mmの厚さの乳白色のアクリル平板の上に拡散フイルムD124Z(ツジデン株式会社製)を凹凸面を上になるように置き、この上に実施例、比較例で得られた耐擦傷性レンズシートを、その裏面が凹凸面に接するように設置し、その上に拡散フィルムPBS072(恵和株式会社製)を置いて四辺を固定した後、試験機で振動を加えた。その後、耐擦傷性レンズシートのレンズ面を目視で観察し、下記の評価方法及び基準により評価した。結果は目視による印象で示す。
〔振動条件〕
試験機:エミック株式会社製 EMICF 600BA/FAEO8
振動周期:20Hzより400Hzまで11分で上昇下降しこれを1サイクルとして縦、横、高さの方向に各1時間振動する。
振幅:50Hzまで0.075mm、50Hz以上は1.5Gの一定加速度による振幅規制による。
評価方法及び評価基準:導光板の底部を照明し、耐擦傷性レンズシートのレンズ面を斜め方向より観察する。
◎:拡大鏡で観察しても傷が見えない。
○:凝視しても傷が見えない。
△:傷が目立たない。
×:傷が目立つ。
耐擦傷性レンズシートの明暗差は、輝度計の受光面を小さくしてバックライトの各部の輝度を測定し、その差を計算することにより測定できる。しかし面光源の品位は肉眼による判定も欠かすことが出来ない。
更にバックライトの品位の特徴付けには特定の方向に強く出射するような光線の存在の有無があり、これはギラツキとして肉眼により判定できる。
従って、輝度計による測定と肉眼による判定とにより、光学特性を評価した。
線状の陰極線管16本を横方向に等間隔に列設した縦400mm×横705mmの32インチテレビ用のバックライトを点灯し、このバックライトキャビティ内の線状光源の下に光反射板を配置した。
光拡散板と耐擦傷性レンズシートを、前記のバックライトの上に、レンズ面が出射面側となり、レンチキュラーレンズ構造2及び小プリズム構造3の長軸方向が陰極線管の長軸方向と一致するように設置した。
出射光の均一性:
バックライトから耐擦傷性レンズシートを通して出射された光を目視で観察し、レンズ構造の長さ方向に伸びる微細な縞模様が観察できるか否かを下記の基準により目視判定した。
◎:凝視しても縞模様が全く見えない。
○:通常の観察では縞模様が見えない。
△:縞模様が見えるが、液晶パネルを透過した後は見えなくなる。
×:縞模様が見え、液晶パネルを透過した後も見える場合がある。
線状光源の直上部とその中間部との明暗差を下記の基準により目視判定した。
○:明暗差が認められない。
△:明暗差が僅かに認められる。
×:明暗差がはっきり認められる。
光源から反射、屈折等により直接各方向からの観察者の目に入るギラツキ感を下記の基準により目視判定した。
○:ギラツキが見えず、穏やかな出射状況である。
△:ギラツキが見えるが、液晶パネルを透過した後は見えなくなる。
×:ギラツキが見え、液晶パネルを透過した後も見える場合がある。
2 レンチキュラーレンズ構造
3、3a、3b 小プリズム構造
4 突起
WL レンチキュラーレンズ構造の底面幅
WM 中プリズム構造の底面幅
WS 小プリズム構造の底面幅
HL レンチキュラーレンズ構造の高さ
HM 中プリズム構造の高さ
HS 小プリズム構造の高さ
R レンチキュラーレンズ構造の半径
D レンチキュラーレンズ構造と小プリズム構造(又は中プリズム構造)の高度差
P レンチキュラーレンズ構造のピッチ
Claims (7)
- 少なくとも一方の面に、実質的に半円柱のレンチキュラーレンズ構造とこれよりも低い小プリズム構造がほぼ平行に多数配列されたレンズシートであって、レンチキュラーレンズ構造と小プリズム構造の高度差(D)が5μm以上であることを特徴とする耐擦傷性レンズシート。
- レンチキュラーレンズ構造の半径(R)が25μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐擦傷性レンズシート。
- レンチキュラーレンズ構造のピッチ(P)に対する高度差(D)の比(D/P)が0.008以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐擦傷性レンズシート。
- レンチキュラーレンズ構造の底面幅(WL)に対する小プリズム構造の底面幅(WS)の比(WS/WL)が0.35〜0.92であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の耐擦傷性レンズシート。
- レンチキュラーレンズ構造のピッチ(P)に対するレンチキュラーレンズ構造の底面幅(WL)の比(WL/P)が0.5以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の耐擦傷性レンズシート。
- 拡散剤が配合された樹脂により構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の耐擦傷性レンズシート。
- レンズ構造が設けられていない面には同一高さの突起が設けられ、耐擦傷性レンズシートの全面積に対する前記突起の設置面積の比は0.003〜0.2であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の耐擦傷性レンズシート。
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