JP4761021B2 - 硬化性樹脂用樹脂型及び硬化樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂用樹脂型及び硬化樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は硬化性樹脂用樹脂型及びそれを用いて得られる硬化樹脂成形体に関し、さらに詳しくは、脱型選択性に優れた硬化性樹脂用樹脂組型に用いられる硬化性樹脂用樹脂型、及びそれを用いて得られる硬化樹脂成形体に関する。
コンパクトディスク、レンチキュラーレンズ、LED、フレネルレンズ、プリズムシート、導光板等のシート状または板状の樹脂成形体を簡易に製造する方法として、ポリカーボネートやポリメタクリレートからなる樹脂型にアクリレート等の硬化性樹脂を充填したのち例えば紫外線を照射し硬化性樹脂を硬化させて硬化樹脂成形体を得る方法が行われている。
しかしながら、前記の硬化性樹脂用樹脂型の樹脂材料としてポリカーボネートやポリメタクリレートを用いた場合には、樹脂型が湿度や硬化時の反応熱等で変形してしまう為に、硬化樹脂成形体の微細な凹凸形状に狂いが生じるという問題、硬化樹脂成形体から硬化性樹脂用樹脂型を脱型する際に、硬化性樹脂用樹脂型と硬化樹脂成形体との脱型性が悪い為に、特に薄く大型の硬化樹脂成形体では硬化樹脂成形体が破損しやすいという問題、及び凹凸形状が充分に転写できない問題があった。
これらの問題を解決するため、特許文献1には、硬化性樹脂用樹脂型の樹脂組成物として脂環式構造含有重合体を含有してなる樹脂組成物を用いること、及び硬化性樹脂用樹脂型と硬化樹脂成形体との脱型性を更に向上させる目的で硬化性樹脂用樹脂型に用いる樹脂組成物に離型剤を添加することが開示されている。
特開平2000−108137号公報
硬化性樹脂用樹脂型を用いた硬化樹脂成形体の製造工程には、凹樹脂型及び凸樹脂型などの複数の樹脂型により形成されるキャビティにおいて硬化性樹脂を硬化させ硬化樹脂成形体を成形する工程、及び硬化後に樹脂型を硬化樹脂成形体から脱型する工程があるが、この樹脂型を硬化樹脂成形体から脱型する工程を自動化するためには、用いる複数の樹脂型の内、特定の樹脂型を硬化樹脂成形体に抱きつかせたまま、他の樹脂型を硬化樹脂成形体から脱型させるという脱型選択性が不可欠である。
しかしながら、本発明者が、特許文献1記載の樹脂型を用いて硬化樹脂成形体を成形及び脱型を行ったところ、脱型選択性が低いという問題があることがわかった。
従って本発明の課題は、硬化樹脂成形体と硬化性樹脂用樹脂型の抱きつき性が適度で、脱型選択性に優れた硬化性樹脂用樹脂組型に用いることができる硬化性樹脂用樹脂型を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決するために、硬化性樹脂用樹脂型に用いる脂環構造含有重合体を含有してなる樹脂組成物への配合剤について検討したところ、配合剤として特定の窒素含有有機化合物を用いた樹脂組成物からなる樹脂型は、硬化樹脂成形体との抱きつき性が適度であり、前記の特定の窒素含有有機化合物を配合しない又は配合量を減らした脂環構造含有重合体の樹脂組成物を成形してなる硬化性樹脂用樹脂型等と組み合わせて用いると、脱型選択性が優れていることを見出し本発明を完成するに到った。
かくして本発明によれば、
脂環構造含有重合体、及び隣接する炭素の少なくとも1つが三級又は四級炭素である窒素を少なくとも1つ有する窒素含有有機化合物(X)を含有してなる樹脂組成物を成形してなる硬化性樹脂用樹脂型が提供される。
前記硬化性樹脂用樹脂型の水との接触角θは、10〜95度の範囲にあると好ましく、前記樹脂組成物の引張り伸びは、40%以上であるとより好ましい。
又、これらの硬化性樹脂用樹脂型を用いて成形した硬化樹脂成形体が提供される。
更に、脂環構造含有重合体、窒素含有有機化合物(X)を含有してなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物中の窒素含有有機化合物(X)の含有割合がa重量%である樹脂組成物を成形してなる前記の硬化性樹脂用樹脂型(樹脂型(A))、及び
脂環構造含有重合体を含有してなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物中の窒素含有有機化合物(X)の含有割合がb重量%である樹脂組成物を成形してなる硬化性樹脂用樹脂型(樹脂型(B))
からなり、a及びbが、b≦a/10の関係式を満たす硬化性樹脂用樹脂組型が提供される。
又、前記の樹脂型(A)と樹脂型(B)により形成されたキャビティにおいて硬化性樹脂を硬化して硬化樹脂成形体を成形する工程;及び得られた硬化樹脂成形体を樹脂型(A)に抱きつかせた状態で硬化樹脂成形体から樹脂型(B)を脱型した後、硬化樹脂成形体から樹脂型(A)を脱型する工程;を含む硬化樹脂成形体の製造方法及び、その製造方法により得られる硬化樹脂成形体が提供される。
本発明の硬化性樹脂用樹脂型は、硬化樹脂成形体と硬化性樹脂用樹脂型の抱きつき性が適度で、脱型選択性に優れた硬化性樹脂用樹脂組型に用いることができる。
本発明の硬化性樹脂用樹脂型は、脂環構造含有重合体、及び隣接する炭素の少なくとも1つが三級又は四級炭素である窒素を少なくとも1つ有する窒素含有有機化合物(X)を含有してなる樹脂組成物を成形してなる。
(脂環式構造含有重合体)
本発明に用いられる脂環式構造含有重合体は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を含有する重合体であり、脂環式構造を主鎖及び側鎖のいずれに有していてもよい。
脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、重合体の熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲にある。炭素原子数がこの範囲にあると、得られる硬化性樹脂用樹脂型の耐熱性の点で好ましい。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると、得られる硬化性樹脂用樹脂型の耐熱性の点で好ましい。
なお、脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、使用目的に応じて適宜選択される。
脂環式構造含有重合体の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物などが挙げられる。
これらの中でも、得られる硬化性樹脂用樹脂型の耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体、環状共役ジエン重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が好ましく、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物がより好ましく、ノルボルネン系重合体の水素化物が特に好ましい。
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環重合体、これらの水素化物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加重合体などが挙げられる。これらの中でも、得られる硬化性樹脂用樹脂型の耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。
本発明においてノルボルネン系モノマーとは、式(1)で表されるノルボルネン構造を有する化合物である。
Figure 0004761021
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、テトラシクロ[7.4.0.02,7.110,13]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びその誘導体などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基などが例示でき、上記ノルボルネン系モノマーは、これらを2種以上有していてもよい。
具体的には、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
置換基の中でも、得られる硬化性樹脂用樹脂型の耐湿性等の観点で、アルキル基、アルキレン基、ビニル基などの極性を有さない置換基が好ましい。
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィンモノマーなどを挙げることができる。これらのノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
これらノルボルネン系モノマーの開環重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環重合体は、モノマー成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。
開環重合触媒としては、ルテニウム及びオスミウムなどの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物、並びに還元剤からなる触媒;チタン、ジルコニウム、タングステン及びモリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物、並びに有機アルミニウム化合物などの助触媒からなる触媒;などを挙げることができる。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素化物は、通常、前記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
ノルボルネン系モノマーの付加重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと付加共重合可能なその他のモノマーとの付加重合体は、これらのモノマーを、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒を用いて(共)重合させて得ることができる。
ノルボルネン系モノマーと付加共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
これらの、ノルボルネン系モノマーと付加共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系モノマーとこれと付加共重合可能なその他のモノマーとを付加重合する場合は、付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
(2)単環の環状オレフィン重合体
単環の環状オレフィン重合体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィンモノマーの付加重合体などが挙げられる。
(3)環状共役ジエン重合体
環状共役ジエン重合体としては、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエンモノマーを1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などが挙げられる。
ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン重合体又は環状共役ジエン重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、得られる樹脂組成物の成形加工性及び得られる硬化性樹脂用樹脂型の機械的強度が高度にバランスされて好適である。
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系モノマーの重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系モノマーの重合体の芳香環部分の水素化物;などが挙げられ、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系モノマーと、これらのモノマーと共重合可能な他のモノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素化物など、いずれでもよい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられ、特に制限はない。
ビニル脂環式炭化水素重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000の範囲にある。重量平均分子量がこの範囲にあると、得られる樹脂組成物の成形加工性及び得られる硬化性樹脂用樹脂型の機械的強度とが高度にバランスされるので好ましい。
本発明に用いられる脂環式構造含有重合体のメルトマスフローレイト(MFR)は特に限定されないが、1〜100g/10min.の範囲にあると好ましく、2〜70g/10min.の範囲にあるとより好ましく、3〜50g/10min.の範囲にあると特に好ましい。MFRがこの範囲にあると、得られる硬化性樹脂用樹脂型の成形性の点で好ましい。
本発明においてメルトマスフローレイト(MFR)は、温度280℃、荷重2.16kgの条件でJIS−K 7210に準じ測定した値である。
本発明に用いられる脂環式構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、70℃以上であると好ましく、100〜250℃の範囲であるとより好ましく、100〜200℃の範囲であると特に好ましく、100〜140℃の範囲であると最も好ましい。Tgがこの範囲であると、重合体の混練性、得られる樹脂組成物の成形加工性並びに重合体及び得られる硬化性樹脂用樹脂型の耐熱性が高度にバランスされ好ましい。
本発明の硬化性樹脂用樹脂型に用いられる樹脂組成物中の脂環構造含有重合体の含有割合は、通常50〜99.99重量%、好ましくは80〜99.99重量%、より好ましくは85〜99.9重量%、特に好ましくは95〜99.5重量%である。
(窒素含有有機化合物(X))
本発明に用いられる窒素含有有機化合物(X)は、隣接する炭素の少なくとも1つが三級又は四級炭素である窒素を少なくとも1つ有する窒素含有有機化合物である。
中でも窒素に隣接する炭素は四級炭素であると好ましい。また、1つの窒素に隣接する、三級又は四級の炭素の数は2又は3であると好ましく、2であるとより好ましい。更に、窒素含有有機化合物の、隣接する炭素の少なくとも1つが三級又は四級炭素である窒素の数は、2以上であると好ましく、3以上であるとより好ましい。又、隣接する炭素の少なくとも1つが三級又は四級炭素である窒素には、水素が一つ結合していると好ましい。
窒素含有有機化合物(X)としては、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−アミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル〕イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕、N,N’−ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ジブチルアミン1,3,5−トリアジン・N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、などのピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量の窒素含有有機化合物;
4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した窒素含有有機化合物などが挙げられる。
中でも、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ジブチルアミン1,3,5−トリアジン・N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ジブチルアミン1,3,5−トリアジン・N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物が好ましい。
中でも、トリアジン骨格又は/及びピペリジン環を含有するものが好ましく、トリアジン骨格を含有するものがより好ましく、トリアジン骨格及びピペリジン環を含有するものが最も好ましい。
トリアジン骨格を含有すると、硬化性樹脂用樹脂型の耐熱性の点で好ましい。
窒素含有有機化合物(X)の分子量は250〜100,000の範囲であると好ましく、1,500〜10,000の範囲であるとより好ましい。
窒素含有有機化合物(X)の分子量がこの範囲にあると、硬化性樹脂用樹脂型を成形する際にブリード量が少なく、金型汚れを抑制する点で好ましい。
本発明の硬化性樹脂用樹脂型(樹脂型(A))に用いられる樹脂組成物中の窒素含有有機化合物(X)の含有割合は特に限定されないが、0.01〜20重量%の範囲にあると好ましく、0.1〜15重量%の範囲にあるとより好ましく、0.5〜5重量%の範囲にあると特に好ましい。
窒素含有有機化合物(X)の含有量がこの範囲であると、硬化性樹脂用樹脂型を成形する際にブリード量が少なく、金型汚れを抑制する点で好ましい。
本発明の硬化性樹脂用樹脂型に用いられる樹脂組成物には、必要に応じて各種配合剤を配合することができる。
配合剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、耐候安定剤等の安定剤;可塑剤等の樹脂改質剤;カーボンナノチューブや各種界面活性剤等の帯電防止剤;滑剤;他の種類の重合体(ゴムや樹脂);などが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、硬化性樹脂用樹脂型のUV透過性を低下させることなく、硬化性樹脂用樹脂型の成形時の酸化劣化等による硬化性樹脂用樹脂型の着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、脂環式構造含有重合体100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
他の種類の重合体(ゴムや樹脂)としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴムなどのイソブチレン系重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などのジエン系重合体;ポリブチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどのアクリル系重合体;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などのビニル化合物の重合体;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系重合体;フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素系重合体;などが挙げられる。これらの他の種類の重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性反応により官能基を導入したものでもよい。上記重合体の中でもジエン系重合体が好ましく、特に該重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素化した水素化物が、ゴム弾性、機械強度、柔軟性、分散性の点で好ましい。
(樹脂組成物)
本発明の硬化性樹脂用樹脂型に用いられる樹脂組成物を製造する方法としては、前記脂環構造含有重合体、窒素含有有機化合物(X)、及び必要に応じて配合する配合剤等とを混練りすることによりペレット状の樹脂組成物を得る方法;適当な溶媒中で脂環式構造含有重合体、窒素含有有機化合物(X)、及び必要に応じて添加する添加剤等を混合し、溶媒を除去することにより樹脂組成物を得る方法などが挙げられる。
混練は、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、フィーダールーダーなどの溶融混練機等を用いることができる。混練り温度は、180〜400℃の範囲であると好ましく、200〜350℃の範囲であるとより好ましい。また、混練りするに際しては、各成分を一括添加して混練りしても、数回に分けて添加しながら混練りしてもよい。
本発明に用いられる樹脂組成物の引張り伸びは特に限定されないが、30%〜200%の範囲であると好ましく、40%〜180%の範囲であるとより好ましく、100%〜150%であると特に好ましい。
樹脂組成物の引張り伸びがこの範囲であると、硬化樹脂成形体から硬化性樹脂用樹脂型を脱型する際に硬化性樹脂用樹脂型を変形させることができるので、脱型の容易性及び硬化性樹脂用樹脂型の破壊の防止の点で好ましい。
本発明において引張り伸び(%)は、引張り速度5mm/min.の条件で、ASTM D−638に準じ測定した値である。
本発明に用いられる樹脂組成物のメルトマスフローレイト(MFR)は特に限定されないが、1〜100g/10min.の範囲にあると好ましく、2〜70g/10min.の範囲にあるとより好ましく、3〜50g/10min.の範囲にあると特に好ましい。MFRがこの範囲にあると、金型凹凸形状の硬化性樹脂用樹脂型への転写性の点で好ましい。
本発明においてメルトマスフローレイト(MFR)は、温度280℃、荷重2.16kgの条件でJIS−K 7210に準じ測定した値である。
(硬化性樹脂用樹脂型の成形方法)
樹脂組成物は、公知の成形手段、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法などを用いて硬化性樹脂用樹脂型にすることができる。硬化性樹脂用樹脂型の形状は用途に応じて適宜選択できる。
成形条件は、特に制限はないが、たとえば、成形時の樹脂温度は通常200℃〜400℃、好ましくは210℃〜350℃で行われる。また金型を使用する場合の金型温度t℃は、使用する脂環式構造含有重合体のガラス転移温度をt1℃とすると、通常、室温<t℃<(t+15)℃、好ましくは(t−30)℃<t℃<(t+10)℃、より好ましくは(t−20)℃<t℃<(t+5)℃で行われる。(ただし、(t−30)℃<室温、あるいは(t−20)℃<室温である場合は、室温<t℃とする。)成形時の樹脂温度及び金型温度がこの範囲であると、金型と硬化性樹脂用樹脂型の脱型性の点で好ましい。
(硬化性樹脂用樹脂型)
本発明の硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂と接する面と水との接触角θ(度)は、特に限定されないが、10〜95度の範囲にあると好ましく、10〜85度の範囲にあるとより好ましい。硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂と接する面と水との接触角θがこの範囲にあると、硬化性樹脂の硬化性樹脂用樹脂型に対する濡れ性が高くなり、樹脂型への硬化性樹脂を注入する際の気泡発生の抑制や、硬化樹脂成形体への凹凸形状の転写性の点で好ましい。
本発明において水との接触角は、温度25℃/湿度50%の環境下において、接触角計(協和界面科学社製;DropMaster300)を使用して測定した値である。
硬化性樹脂と接する面の水との接触角θは、窒素含有有機化合物(X)の種類及び配合量により調整することができる。
本発明の硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂と接する面の表面粗さは0.05〜1μmの範囲にあると好ましく、0.05〜0.5μmの範囲にあるとより好ましい。
本発明において、表面粗さは、表面粗さ計(ランクテーラーホブソン社製;フォームタリサーフ)を用いてJIS B 0601に準じ測定した値である。
硬化性樹脂と接する面の表面粗さは、硬化性樹脂用樹脂型の成形に用いる金型の表面を、ラッピング研磨することにより調整することができる。
本発明の硬化性樹脂用樹脂型の厚さは特に限定されないが、0.5〜2mmの範囲にあると好ましく、0.5〜1.5mmの範囲にあるとより好ましく、0.6〜1.0mmの範囲にあると特に好ましい。硬化性樹脂用樹脂型の厚さがこの範囲にあると、硬化性樹脂用樹脂型が適度な柔軟性を有するために硬化樹脂成形体から硬化性樹脂用樹脂型を脱型させる際に、硬化性樹脂用樹脂型を変形させながら脱型することができるので、硬化樹脂成形体との脱型が容易でかつ、硬化樹脂成形体の表面を傷つけづらいので好ましい。
本発明の硬化性樹脂用樹脂型は、硬化樹脂成形体との抱きつき性が適度で、脱型選択性に優れた硬化性樹脂用樹脂組型に用いることができる。
本発明の硬化性樹脂用樹脂型を用いると、該硬化性樹脂用樹脂型により形成されるキャビティにおいて硬化性樹脂を硬化させることにより硬化樹脂成形体を成形することができる。
(硬化性樹脂)
硬化性樹脂としては、格別な限定はなく樹脂工業界で一般に使用されるものを用いることができ、通常、重合性モノマーと重合開始剤を含むものが用いられる。
重合性モノマーとしては、通常、ラジカル重合性のモノマーが用いられる。
ラジカル重合性のモノマーとしては、ビニル基、(メタ)アリル基、アクリル基またはメタクリル基を分子内に一個以上含む化合物などが挙げられ、これらの中でも、メタクリル基を分子内に1個以上含む化合物が、耐熱性、透明性、硬化性樹脂の即硬化性等の特性に優れるので光学材料として用いる場合に好適である。
具体的には、アルキル(メタ)アクリレート、シロキサニル(メタ)アクリレート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、ビニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレンの誘導体、N−ビニルラクタム、(多価)カルボン酸ビニル等のビニル化合物などが挙げられる。
さらに具体的には、スチレン、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、フェニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンジアリルフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、フマル酸およびそれらのエステル類、メタクリロニトリル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどが挙げられる。
これらの重合性モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤のいずれでもよいが、生産性の観点から光重合開始剤が好適である。
光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルギリオキシレート、2−ヒトロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−エチルアントラキノン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド等の硫黄化合物;2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;などが挙げられる。
熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)などが挙げられる。
これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、重合性モノマー100重量部当たり、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。重合開始剤の配合剤がこの範囲にあると、大きな成形物でも均一な硬化が可能となり、斑や黄変がなく色合いものでも生産性良く製造でき好適である。
本発明の硬化性樹脂用樹脂型を用いた硬化樹脂成形体の成形方法は特に限定されない。
例えば、本発明の硬化性樹脂用樹脂型が形成するキャビティに硬化性樹脂を充填し、硬化性樹脂を硬化して硬化樹脂成形体を成形し、次いで硬化樹脂成形体から硬化性樹脂用樹脂型を脱型する方法;本発明の硬化性樹脂用樹脂型、及びその他の硬化性樹脂用樹脂型又は金型が形成するキャビティに硬化性樹脂を充填し、硬化性樹脂を硬化して硬化樹脂成形体を成形し、次いで硬化樹脂成形体から硬化性樹脂用樹脂型を脱型する方法;基体上に、硬化性樹脂を塗布し、得られた塗膜上に本発明の硬化性樹脂用樹脂型を重ね合わせ、硬化性樹脂を硬化した後に、基体及び硬化樹脂からなる複合体から硬化性樹脂用樹脂型を脱型する方法;などが挙げられる。
また、硬化性樹脂の硬化方法は特に限定されず、硬化性樹脂として重合性モノマーと光重合開始剤を含む硬化性樹脂を用いて、活性エネルギー線等を照射することにより硬化させる方法や、硬化性樹脂として重合性モノマーと熱重合開始剤を含む熱硬化性樹脂を用いて、加熱することにより硬化させる方法などが挙げられる。
(硬化性樹脂用樹脂組型)
本発明の硬化性樹脂用樹脂型(樹脂型(A)と記す場合がある)は単独で用いることもできるが、本発明の硬化性樹脂用樹脂型は硬化性樹脂用樹脂型と硬化樹脂成形体との抱きつき性が適度であるので、b≦a/10の関係式を満たす硬化性樹脂用樹脂型(樹脂型(B)と記す場合がある)と組み合わせた硬化性樹脂用樹脂組型として用いることが好ましい。
ここで、aは、樹脂型(A)に用いられる樹脂組成物中の窒素含有有機化合物(X)の含有割合(重量%)であり、bは、樹脂型(B)に用いられる樹脂組成物中の窒素含有有機化合物(X)の含有割合(重量%)である。
樹脂型(A)と樹脂型(B)とを組み合わせて用いると、樹脂型(A)と樹脂型(B)により形成されたキャビティにおいて硬化性樹脂を硬化して硬化樹脂成形体を成形する工程を経た後に得られる硬化樹脂成形体から樹脂型(A)及び樹脂型(B)を脱型する際に、硬化樹脂型(A)を硬化樹脂成形体に抱きつかせた状態で硬化樹脂成形体から樹脂型(B)を脱型した後、硬化樹脂成形体から樹脂型(A)を脱型することができるので硬化性樹脂用樹脂型の脱型工程を自動化することができ、該硬化樹脂成形体の生産性の点で好ましい。
なお、樹脂型(B)の成形は、樹脂型(A)の成形と同様にして行うことができる。
樹脂型(B)の硬化性樹脂に接する面の水との接触角θ’(度)は特に限定されないが、樹脂型(A)の硬化性樹脂に接する面の水との接触角θとの関係が、θ+5<θ’の関係にあると好ましく、θ+20<θ’の関係にあるとより好ましく、θ+40<θ’の関係にあると特に好ましい。
樹脂型(B)の厚さは特に限定されないが、0.5〜2mmの範囲にあると好ましく、0.5〜1.5mmの範囲にあるとより好ましく、0.6〜1.0mmの範囲にあると特に好ましい。
樹脂型(B)の厚さがこの範囲にあると、樹脂型(B)が適度な柔軟性を有するために硬化樹脂成形体から樹脂型(A)及び/又は樹脂型(B)を脱型させる際に、樹脂型(B)を変形させながら脱型することができるので、脱型が容易でかつ、硬化樹脂成形体の表面を傷つけづらいので好ましい。
本発明の硬化性樹脂用樹脂(組)型は、硬化性樹脂用樹脂(組)型の成形に用いられる金型との脱型性に優れ、金型が離型剤により汚染されることがないので、金型を清掃する必要がなく、生産性が優れているので、使い捨ての硬化性樹脂用樹脂(組)型として好適である。
また、本発明の硬化性樹脂用樹脂(組)型は、各種成形体の硬化性樹脂用樹脂(組)型として用いることができるが、硬化性樹脂用樹脂(組)型自体の生産性が優れているため使い捨てにすることができるので、繰り返し使用の場合に問題となる硬化性樹脂用樹脂(組)型に付着している硬化性樹脂の問題がなく、又、硬化樹脂成形体との脱型性に優れているので、高い精度が求められる光学部品の製造に好適である。
光学部品の具体例としては、光学レンズ、導光板、プリズムシート、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、LED、光ディスク基板、光磁気ディスク基板、光カード基板、光導波路、コンタクトレンズなどが挙げられ、特に、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、プリズムシートなどの拡散または集光シートや導光板などが好適である。
以下、本発明について、製造例、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの例に限定されるものではない。これらの例において、特に断りのない限り、部は重量基準、圧力はゲージ圧である。また、各種物性の測定法は、次の通りである。
(1)表面粗さ
表面粗さ計(ランクテーラーホブソン社製;フォームタリサーフ)を用いてJIS−B0601に準じ硬化性樹脂用樹脂型表面の表面粗さを測定した。
測定点は、硬化性樹脂用樹脂型の外周をX+Y=6とした場合の座標(0,0)、(3,0)、(0,3)、(−3,0)、(0、−3)の5点とし、その平均値を表面粗さとした。
(2)水との接触角θ
温度25℃、湿度50%の条件で、接触角測定器(協和海面化学社製;DropMaster300)を用いて、硬化性樹脂用樹脂型表面の水との接触角θ(度)を測定した。
測定点は、硬化性樹脂用樹脂型の外周をX+Y=6とした場合の座標(0,0)、(3,0)、(0,3)、(−3,0)、(0、−3)の5点とし、その平均値を接触角θとした。
(3)メルトマスフローレイト(MFR)
MFR測定装置(東洋精機社製;SEMI AUTO MELT INDEXER 3A)を用いて、温度280℃、荷重2.16kgの条件で、JIS−K 7210に準じMFRを測定した(単位;g/10min.)。
(4)樹脂組成物の引張り伸び
引張り試験機(島津製作所社製;AGS−10kND)を用いて、引張り速度5mm/min.の条件で、ASTM−D−638に準じ、樹脂組成物の引張り伸び(%)を測定した。
(4)脱型選択性
図1に示すように、万能引張圧縮試験機(新興通信工業社製;TCM500CR)を用いて、引張(脱型)速度0.8mm/秒の条件で、樹脂型A/UV硬化樹脂成形体/樹脂型Bの複合体の脱型選択性を調べた。
樹脂型A/UV硬化樹脂成形体/樹脂型Bの複合体を固定台上の吸盤(直径18mm)及び基板押さえで固定し、脱型用つめを上昇させて、樹脂型A、樹脂型Bのいずれが脱型するか観察し、樹脂型Bが脱型する回数を数えた。。
樹脂型A/UV硬化樹脂成形体/樹脂型Bの複合体から、UV硬化樹脂成形体に樹脂型Aが抱きついた状態で樹脂型Bが脱型した回数(10回中)が多いほど脱型選択性に優れることを示す。
(5)硬化樹脂成形体の欠陥
脱型選択性の試験で得られたUV硬化樹脂成形体1/樹脂型Bの複合体から樹脂型Bを脱型し、UV硬化樹脂成形体1中の気泡の有無、及びUV硬化樹脂成形体の樹脂型Bが抱きついていた面の表面状態を顕微鏡観察した。
欠陥がないものを「○」、あるものを「×」として評価した。
(6)ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC法)により測定した。
(7)分子量は、特に記載しない限り、シクロヘキサンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定されるポリイソプレン換算値として測定した。
〔製造例1−0〕
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、及びトリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン、以下、「DCP」と略記する。)170部と、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「ETCD」と略記する。)30部と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)80部とを、併行して2時間かけて連続的に添加し重合した。次いで、重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。得られた開環重合体を含有する反応溶液をガスクロマトグラフィー分析したところ、各モノマーの重合転化率は、99.5%であった。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素添加触媒としてケイソウ土担持ニッケル触媒(ニッケル担持率58重量%、細孔容積0.25ml/g、比表面積180m/g)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、8時間反応させ、DCP/ETCD開環共重合体水素添加物を含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去し、次いで、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、次いで水素化物を溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化してペレットPMを得た。このペレット化された開環共重合体水素添加物のMwは30,000、重合体中の炭素炭素結合の内、不飽和結合の割合は0.0029%、Tgは100℃、比重は1.01g/cm、金属原子含有量はアルミニウム、タングステン、ニッケルの総含有量で1ppm以下であった。
〔製造例2−0〕
製造例1−0により得られた開環重合体水素添加物(ペレットPM)100部に、軟質重合体(旭化成社製;タフテックH1052)0.2部、老化防止剤(チバガイギー社製;イルガノックス1010)0.1部を添加し、2軸混練機(東芝機械社製TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)で混練し、押し出し、ペレット化してペレットP0を得た。
得られた樹脂組成物のMFRは60g/10min.、引張り伸びは120%であった。
〔製造例2−1〕
製造例1−0で得られた開環重合体水素添加物100部に、軟質重合体、老化防止剤に加え、さらに窒素含有有機化合物(X)としてポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕5部を添加した以外は製造例2−0と同様にしてペレットP1を得た。得られた樹脂組成物のMFRは104g/10min.、引張り伸びは130%であった。
〔製造例2−2〕
窒素含有有機化合物(X)の配合量を3部に変えた以外は製造例2−1と同様にしてペレットP2を得た。
得られた樹脂組成物のMFRは88g/10min.、引張り伸びは123%であった。
〔製造例2−3〕
窒素含有有機化合物(X)の配合量を1部に変えた以外は製造例2−1と同様にしてペレットP3を得た。得られた樹脂組成物のMFRは73g/10min.、引張り伸びは120%であった。
〔製造例2−4〕
窒素含有有機化合物(X)の配合量を0.5部に変えた以外は製造例2−1と同様にしてペレットP4を作成した。得られた樹脂組成物のMFRは63g/10min.、引張り伸びは118%であった。
〔製造例2−5〕
窒素含有有機化合物(X)として4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン5部を用いた以外は製造例2−1と同様にしてペレットP5を作成した。得られた樹脂組成物のMFRは100g/10min.、引張り伸びは125%であった。
〔製造例2−6〕
窒素含有有機化合物(X)としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート5部を用いた以外は製造例2−1と同様にしてペレットP6を作成した。得られた樹脂組成物のMFRは107g/10min.、引張り伸びは130%であった。
〔製造例2−7〕
窒素含有有機化合物(X)の代わりにヒンダードフェノール系酸化防止剤である2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン5部を用いた以外は製造例2−1と同様にしてペレットP7を作成した。得られた樹脂組成物のMFRは101g/10min.、引張り伸びは112%であった。
〔製造例2−8〕
窒素含有有機化合物(X)の代わりに硬化ヒマシ油(花王社製、カオーワックス85P)5部を用いた以外は製造例2−1と同様にしてペレットP8を作成した。得られた樹脂組成物のMFRは95g/10min.、引張り伸びは122%であった。
〔製造例2−9〕
窒素含有有機化合物(X)の代わりに陰イオン性界面活性剤(花王社製、エレクトロストリッパー PC)5部を用いた以外は製造例2−1と同様にしてペレットP9を作成した。得られた樹脂組成物のMFRは103g/10min.、引張り伸びは102%であった。
〔製造例3〕
(樹脂型(B)の成形)
製造例2−0で得られたペレットP0を用いて、表面を鏡面仕上げした直径14cmのコンパクトディスク形状を有する金型を配置した射出成形機により、樹脂温度300℃、金型温度80℃の条件でコンパクトディスク成形用樹脂型B(厚さ0.6mm)を得た。
硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂に接する面の表面粗さは0.05μm、水との接触角は95度であった。
〔実施例1〕
製造例2−1で得られたペレットP1を用いて、表面を鏡面仕上げした直径12cmのコンパクトディスク形状を有する金型を配置した射出成形機により、樹脂温度300℃、金型温度80℃の条件で、コンパクトディスク成形用樹脂型Bと組み合わせて使用する成形用樹脂型A1(厚さ0.6mm,表面粗さ0.05μm)を成形した。
硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂に接する面での水との接触角は、25度であった。
同様にして、50枚の樹脂型A1を成形した時点での金型の汚れを目視で観察したところ汚れは観察されなかった。
ポリテトラフロロエチレン(以下「PTFE」と記す)樹脂製スペーサ(内径119mm、外径120mm、厚さ1mm)をのせた樹脂型B上にUV硬化剤(大日本インキ社製;SD6099(以下、「UV硬化剤1」と略す場合がある。)をスピンコートし、空気が入らないように樹脂型A1を乗せた。
次いで、樹脂型A1側から80W/cm高圧水銀ランプを用いて距離10cmで積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射し、樹脂型A1/UV硬化樹脂成形体1/樹脂型Bの複合体1−1を得た。完全硬化までの照射時間は60秒であった。
UV硬化剤として、下記のUV硬化剤2を用いた以外は、前述と同様にして、樹脂型A1/UV硬化樹脂成形体2/樹脂型Bの複合体1−2を得た。完全硬化までの照射時間は60秒であった。
(UV硬化剤2組成)
2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート70部、
メチルメタクリレート28部、
エチレングリコールジメタクリレート1.5部、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド0.5部
得られた複合体1−1及び複合体1−2の脱型選択性及び硬化樹脂成形体の欠陥を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
ペレットP1の代わりにペレットP2を用い、実施例1と同様にして樹脂型A2(厚さ0.6mm,表面粗さ0.05μm)を得た。
硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂に接する面での水との接触角は、40度であった。
実施例1と同様にして、50枚の樹脂型A2を成形した時点での金型の汚れを目視で観察したところ汚れは観察されなかった。
更に実施例1と同様にして、樹脂型A2/UV硬化樹脂成形体1/樹脂型Bの複合体2−1及び樹脂型A2/UV硬化樹脂成形体2/樹脂型Bの複合体2−2を得た。
得られた複合体2−1及び複合体2−2の脱型選択性及び硬化樹脂成形体の欠陥を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
ペレットP1の代わりにペレットP3を用い、実施例1と同様にして樹脂型A3(厚さ0.6mm,表面粗さ0.05μm)を得た。
硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂に接する面での水との接触角は、70度であった。
実施例1と同様にして、50枚の樹脂型A3を成形した時点での金型の汚れを目視で観察したところ汚れは観察されなかった。
更に実施例1と同様にして、樹脂型A3/UV硬化樹脂成形体1/樹脂型Bの複合体2−1及び樹脂型A3/UV硬化樹脂成形体2/樹脂型Bの複合体3−2を得た。
得られた複合体3−1及び複合体3−2の脱型選択性及び硬化樹脂成形体の欠陥を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
ペレットP1の代わりにペレットP4を用い、実施例1と同様にして樹脂型A4(厚さ0.6mm、表面粗さ0.05μm)を得た。
硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂に接する面での水との接触角は、79度であった。
実施例1と同様にして、50枚の樹脂型A4を成形した時点での金型の汚れを目視で観察したところ汚れは観察されなかった。
更に実施例1と同様にして、樹脂型A4/UV硬化樹脂成形体1/樹脂型Bの複合体4−1及び樹脂型A4/UV硬化樹脂成形体2/樹脂型Bの複合体4−2を得た。
得られた複合体4−1及び複合体4−2の脱型選択性及び硬化樹脂成形体の欠陥を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
ペレットP1の代わりにペレットP5を用い、実施例1と同様にして樹脂型A5(厚さ0.6mm、表面粗さ0.05μm)を得た。
硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂に接する面での水との接触角は、22度であった。
実施例1と同様にして、50枚の樹脂型A5を成形した時点での金型の汚れを目視で観察したところ汚れは観察されなかった。
更に実施例1と同様にして、樹脂型A5/UV硬化樹脂成形体1/樹脂型Bの複合体5−1及び樹脂型A5/UV硬化樹脂成形体2/樹脂型Bの複合体5−2を得た。
得られた複合体5−1及び複合体5−2の脱型選択性及び硬化樹脂成形体の欠陥を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
ペレットP1の代わりにペレットP6を用い、実施例1と同様にして樹脂型A6(厚さ0.6mm、表面粗さ0.05μm)を得た。
硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂に接する面での水との接触角は、29度であった。
実施例1と同様にして、50枚の樹脂型A6を成形した時点での金型の汚れを目視で観察したところ汚れは観察されなかった。
更に実施例1と同様にして、樹脂型A6/UV硬化樹脂成形体1/樹脂型Bの複合体6−1及び樹脂型A6/UV硬化樹脂成形体2/樹脂型Bの複合体6−2を得た。
得られた複合体6−1及び複合体6−2の脱型選択性及び硬化樹脂成形体の欠陥を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
ペレットP1の代わりにペレットP0を用い、実施例1と同様にして樹脂型A7(厚さ0.6mm、表面粗さ0.05μm)を得た。
硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂に接する面での水との接触角は、96度であった。
実施例1と同様にして、50枚の樹脂型A7を成形した時点での金型の汚れを目視で観察したところ汚れは観察されなかった。
更に実施例1と同様にして、樹脂型A7/UV硬化樹脂成形体1/樹脂型Bの複合体7−1及び樹脂型A7/UV硬化樹脂成形体2/樹脂型Bの複合体7−2を得た。
得られた複合体7−1及び複合体7−2の脱型選択性及び硬化樹脂成形体の欠陥を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
ペレットP1の代わりにペレットP7を用い、実施例1と同様にして樹脂型A8(厚さ0.6mm、表面粗さ0.05μm)を得た。
硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂に接する面での水との接触角は、81度であった。。
実施例1と同様にして、50枚の樹脂型A8を成形した時点での金型の汚れを目視で観察したところ汚れは観察されなかった。
更に実施例1と同様にして、樹脂型A8/UV硬化樹脂成形体1/樹脂型Bの複合体8−1及び樹脂型A8/UV硬化樹脂成形体2/樹脂型Bの複合体8−2を得た。
得られた複合体8−1及び複合体8−2の脱型選択性及び硬化樹脂成形体の欠陥を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
ペレットP1の代わりにペレットP8を用い、実施例1と同様にして樹脂型A9(厚さ0.6mm、表面粗さ0.05μm)を得た。
硬化性樹脂用樹脂型の硬化性樹脂に接する面での水との接触角は、88度であった。
樹脂型A9は白濁していた。
実施例1と同様にして、50枚の樹脂型A9を成形した時点での金型の汚れを目視で観察したところカオーワックス85Pで著しく汚れていた。
PTFE樹脂製スペーサ(内径119mm、外径120mm、厚さ1mm)をのせた樹脂型B上にUV硬化剤1をスピンコートし、空気が入らないように樹脂型A9を乗せた。
次いで、樹脂型A9側から80W/cm高圧水銀ランプを用いて距離10cmで積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射したが、UV硬化剤は硬化しなかった。
UV硬化剤として、UV硬化剤2を用いた以外は、前述と同様にして、紫外線を照射したが、UV硬化剤は硬化しなかった。
〔比較例4〕
ペレットP1の代わりにペレットP9を用い、金型の表面処理を変えた以外は実施例1と同様にして樹脂型A10(厚さ0.6mm、表面粗さ0.05μm)を得た。
樹脂型の硬化性樹脂に接する面での水との接触角は、74度であった。
樹脂型A10は白濁していた。
実施例1と同様にして、50枚の樹脂型A10を成形した時点での金型の汚れを目視で観察した僅かに汚れが観察された。
PTFE樹脂製スペーサ(内径119mm、外径120mm、厚さ1mm)をのせた樹脂型B上にUV硬化剤1をスピンコートし、空気が入らないように樹脂型A10を乗せた。
次いで、樹脂型A10側から80W/cm高圧水銀ランプを用いて距離10cmで積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射したが、UV硬化剤は硬化しなかった。
UV硬化剤として、UV硬化剤2を用いた以外は、前述と同様にして、紫外線を照射したが、UV硬化剤は硬化しなかった。
Figure 0004761021
表1から以下のことがわかる。
脂環構造含有重合体、及び隣接する炭素の少なくとも1つが三級又は四級炭素である窒素を少なくとも1つ有する窒素含有有機化合物(X)を含有してなる樹脂組成物を成形してなる硬化性樹脂用樹脂型を用いて硬化樹脂成形体を成形すると、硬化樹脂成形体を特定の樹脂型に付着させたまま特定の樹脂型を脱型させることができるので硬化樹脂成形体の生産性に優れている(実施例1〜6)。
それに対して、窒素含有有機化合物(X)を含有しない樹脂組成物を成型してなる硬化性樹脂用樹脂型は、脱型選択性に劣る(比較例1)。
窒素含有有機化合物(X)の代わりにヒンダードフェノール化合物を用いた硬化性樹脂用樹脂型を用いて硬化樹脂成形体を成形すると、脱型選択性が劣っていた(比較例2)。
窒素含有有機化合物(X)の代わりに滑剤(硬化ヒマシ油)又は帯電防止剤(非イオン性界面活性剤)を用いた硬化性樹脂用樹脂型を用いて硬化樹脂成形体を成形しようとしたが、樹脂型自体の透明性が悪く、硬化性樹脂を硬化させることができなかった(比較例3及び4)。
脱型選択性試験において、樹脂型A/UV硬化樹脂成形体/樹脂型Bの複合体から樹脂型Aを脱型する状態を示す断面図である。
符号の説明
1:樹脂型B
2:硬化樹脂成形体
3:樹脂型A
4:基板押さえ
5:脱型用つめ
6:固定台
7:吸盤(直径18mm)
8:脱型用つめ移動方向

Claims (4)

  1. (1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物からなる群より選択される脂環構造含有重合体、及び隣接する炭素の少なくとも1つが三級又は四級炭素である窒素を少なくとも1つ有する窒素含有有機化合物(X)を樹脂組成物中0.01〜20重量%含有してなる樹脂組成物を成形してなる硬化性樹脂用樹脂型。
  2. ノルボルネン系重合体の水素化物である脂環構造含有重合体、及び隣接する炭素の少なくとも1つが三級又は四級炭素である窒素を少なくとも1つ有する窒素含有有機化合物(X)を樹脂組成物中0.5〜5重量%含有してなる樹脂組成物を成形してなる硬化性樹脂用樹脂型。
  3. 脂環構造含有重合体、窒素含有有機化合物(X)を含有してなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物中の窒素含有有機化合物(X)の含有割合がa重量%である樹脂組成物を成形してなる請求項1又は2に記載の硬化性樹脂用樹脂型(樹脂型(A))、及び脂環構造含有重合体を含有してなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物中の窒素含有有機化合物(X)の含有割合がb重量%である樹脂組成物を成形してなる硬化性樹脂用樹脂型(樹脂型(B))からなり、a及びbが、b≦a/10の関係式を満たす硬化性樹脂用樹脂組型。
  4. 請求項3記載の、樹脂型(A)と樹脂型(B)により形成されたキャビティにおいて硬化性樹脂を硬化して硬化樹脂成形体を成形する工程;及び得られた硬化樹脂成形体を樹脂型(A)に抱きつかせた状態で硬化樹脂成形体から樹脂型(B)を脱型した後、硬化樹脂成形体から樹脂型(A)を脱型する工程;を含む硬化樹脂成形体の製造方法。
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