JP3933420B2 - 収納袋の排気弁 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、布団や毛布などの寝具類や衣服などを収納する収納袋に装着して、この収納袋内を電気掃除機等の吸引ノズルを使用して脱気し、収納物をコンパクトに圧縮するための排気弁に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、布団や衣類などを押し入れやタンスに収納、保管する際に、限られた収納場所にできるだけ多くの布団や衣類等を収納するために、偏平な合成樹脂製収納袋内に布団等を収納したのち、電気掃除機を使用してこの収納袋内の空気を排除することにより、収納物を圧縮することが行われている。このような収納物の圧縮は、一般家庭に限らず寝具類を取り扱う業者においても行われ、また、旅行する際に、鞄に衣類等を収納する場合においても収納袋を圧縮することが行われている。
【０００３】
布団等を収納した袋を圧縮するには、通常、収納袋の開口部に装着されているフアスナーによってその開口部の一部を開き、この開口部から電気掃除機の吸引ノズルを挿入して袋内を脱気することにより行われているが、吸引ノズルを直接収納袋内に挿入すると、袋内の収納物が吸引ノズルの吸引力によってノズルの開口端に吸着され、収納物が損傷する虞れがあるばかりでなく、吸引ノズルが詰まって袋内の脱気が困難になると共に電気掃除機のモータに大きな負荷がかかって故障の原因となる。
【０００４】
このため、電気掃除機の吸引ノズルを収納袋内に挿入することなく、該収納袋に排気弁を装着しておき、この排気弁を通じて外部から電気掃除機の吸引ノズルにより袋内の空気を排気して収納袋を圧縮することが行われている。
【０００５】
このような排気弁としては、収納袋の片面の適所に装着してその中央部に設けている排気孔を袋内に連通させる弁本体と、この弁本体の上面中央部に突設している螺筒に螺合した筒部材とからなり、該筒部材に上記排気孔を開閉する弁板を一体に設けてなる構造を有している。そして、筒部材を回動させて弁板を上記排気孔から離間させることにより該排気孔を開口させ、筒部材に電気掃除機の吸引ノズルの吸引口を嵌合させたのち、収納袋内の空気を排気孔を通じて吸引、除去している。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような排気弁構造によれば、吸引ノズルによる吸気が収納袋内にのみ集中的に作用するために、収納袋内が完全に脱気されたのちにおいても収納袋内に対する吸気（脱気）力が働いて上記同様に、電気掃除機のモータに大きな負荷がかかり、故障の原因となる。その上、脱気後においては、筒部材を閉止方向に回動させなければならず、その間に収納袋内に排気孔を通じて外気が流入して収納袋が膨らむ場合が生じる上に、高齢者にとっては操作性に困難を伴うという問題点がある。
【０００７】
さらに、電気掃除機の吸引ノズルの径が異なると、上記筒部材に嵌合させることができない場合が発生して収納袋内の空気を吸引、脱気することができない。また、脱気した収納袋を積み重ねると、筒部材の開口端等の角部が上側の収納袋の下面に食い込み、収納物を損傷させる虞れがあり、さらに、筒部材が不測に排気孔を開放させる方向に回動した場合には収納袋内に外気が侵入し、収納袋が膨脹するという問題点がある。
【０００８】
また、弁本体は収納袋の片面適所にその下面を溶着等の接着によって収納袋に設けている孔と弁本体の排気孔とを連通させた状態で一体に固着することにより収納袋に装着されているため、収納袋に対する弁の取付作業が煩雑で手間を要するばかりでなく、収納袋に対する弁本体の接着が不良となった場合には脱気したのちに収納袋内に外気が入る虞れがあった。
【０００９】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、電気掃除機の吸引ノズルを押し付けるだけで自動的に開弁し、且つ電気掃除機に大きな負担を生じさせることなくて収納袋内を脱気することができる上に、脱気後、吸引ノズルの押し付け力を解くと同時に自動的に閉弁することができ、さらに、その閉止状態でロックしておくことができると共に、吸引ノズルの径の大小にかかわらず収納袋内の脱気に使用することができ、また、収納袋に対する装着が簡単且つ確実に行うことができる収納袋の排気弁構造を提供するにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の収納袋の排気弁は、請求項１に記載したように、中央部に収納袋内に連通させる排気孔を設けた弁本体に、中央部に上下面間に貫通した吸気用孔を設けている可動蓋を上下動自在に取付け、この可動蓋と弁本体との対向面間で形成している室内に上記排気孔の開閉用弁板を配設すると共に上記排気孔の周囲における弁本体の上面に、排気孔の上方に配設したスプリング受けにおける複数本の脚片を固定して、このスプリング受けと上記弁板との間にこの弁板を上方から押圧して排気孔に密着させているスプリングを圧縮状態で介在させていると共にスプリング受けの隣接する脚片間の空間部を可動蓋の吸気用孔に連通させてあり、さらに、上記室内に上記スプリング力に抗して上記弁板を上動させて開弁させる弁板作動機構を配設し、この弁板作動機構を上記可動蓋の押し下げによって作動させて弁板を開弁させ、上記吸気用孔から収納袋内の空気を排気させるように構成している。
【００１１】
このように構成した排気弁において、請求項２に係る発明は、上記弁板作動機構の構造であって、内端が弁板の外周部と一体に連設してスプリング受けの各脚片間から外方に放射状に突設している複数のレバー片と、弁本体の上面から突設してこれらのレバー片の長さ方向の中間部下面を受止している支点片と、可動蓋の下面に下方に向かって突設して支点片から外方部の上記各レバー片の上面を押圧する押圧突条とからなることを特徴としている。
【００１２】
また、請求項３に係る発明は、上記弁本体の上面外周部にガイド突片を突設している一方、可動蓋にこれらのガイド突片に対向して該ガイド突片を可動蓋の周方向の回動により可動蓋に対して相対的に移動させる円弧状孔を設けてあり、この円弧状孔の一側部をガイド突片を上下動可能に挿入させる孔部に形成していると共に、他側部をガイド突片の上端面を受止して可動蓋の下動を阻止するストッパ片を有する孔部に形成していることを特徴とする。
【００１３】
請求項４に係る発明は、弁本体を互いに分離可能に結合している上半部と下半部とから形成し、これらの上下半部によって収納袋の一部を内外面から挟着して弁本体を収納袋に装着するように構成していると共に、下半部の中央に収納袋に設けている小径孔に内面側から連通させる排気孔を設けている一方、上半部の中央に弁配設孔を設けて弁板の下面外周部に装着しているパッキンを上記収納袋の小径孔の周縁部上面に圧着させるように構成している。なお、上記可動蓋は、請求項５に記載したように、ドーム形状に形成しておいてもよい。
【００１４】
請求項６に係る発明は、可動蓋を上面が平坦な円板部の外周部に下方に向かって周壁を一体に設けた構造とし、上記円板部の中央部に吸気用孔を設けていると共にこの吸気用孔の周囲に一定厚みのスポンジ体を敷設して、このスポンジ体上に吸引ノズルの開口端を押し付けるように構成している。
【００１５】
また、上記請求項４に記載の発明において、請求項７に係る発明は、弁本体の下半部に、上下面間に亘って貫通した多数の小径孔を有する円環形状の支持板を一体に設けてなることを特徴とする。
【００１６】
【作用】
収納袋内に布団等を収納したのちその開口部をファスナーにより閉止し、収納袋に装着している排気弁における可動蓋の上面に電気掃除機の吸引ノズルの開口端を押し付けて可動蓋に設けている吸気用孔に連通させた状態にすると共に、該可動蓋をその押付力により弁本体側に下動させると、弁板作動機構が作動して弁本体の排気孔を閉止していた弁板がスプリング力に抗して上動し、排気弁を開放させる。この状態にして電気掃除機を作動させると、吸引ノズルからの吸引力によって収納袋内の空気が排気孔から可動蓋の吸気用孔を通じて吸引ノズル側に排気され、収納袋内が脱気される。
【００１７】
収納袋内が脱気されて布団等の収納物が圧縮状態になると、可動蓋に対する電気掃除機の吸引ノズルの押し付けを解く。そうすると、弁板がスプリング力によって下動して排気孔を自動的に閉止すると共に弁板作動機構を介して可動蓋が上動し、元の位置まで復帰する。
【００１８】
上記スプリングは、弁本体と排気孔の上方に配設しているスプリング受けとの間に圧縮状態で配設されている一方、上記弁板作動機構は、内端が弁板の外周部と一体に連設してスプリング受けの各脚片間から外方に放射状に突設している複数のレバー片と、弁本体の上面から突設してこれらのレバー片の長さ方向の中間部下面を受止している支点片と、可動蓋の下面に下方に向かって突設して支点片から外方部の上記各レバー片の上面を押圧する押圧突条とからなり、従って、収納袋内の脱気時に電気掃除機の吸引ノズルを可動蓋に押し付けて可動蓋を上述したように下動させると、レバー片は支点片を中心として上下方向に回動し、弁板をスプリング力に抗して押し上げて開弁させる。そして、収納袋内の空気は排気孔からスプリング受けの隣接する脚片間の空間部と吸気用孔を通じて吸引ノズル側に排気される。
【００１９】
また、吸引ノズルによる可動蓋の押し下げを解くと、スプリング力によって弁板が下動して排気孔を閉止すると同時にレバー片が作動してその外端部上面を可動蓋の押圧突条に当接させながら上動して可動蓋と共に元位置まで復帰する。
【００２０】
上記弁本体の上面外周部に各レバー片の外端部を受け止めるガイド突片を突設する一方、可動蓋にこれらのガイド突片に対向して該ガイド突片を可動蓋の周方向の回動により可動蓋に対して相対的に移動させる円弧状孔を設けておき、この円弧状孔の一側部をガイド突片を上下動可能に挿入させる孔部に形成すると共に他側部をガイド突片の上端面を受止して可動蓋の下動を阻止するストッパ片を有する孔部に形成しておくことによって、収納袋内の脱気時には、可動蓋をガイド突片に沿って円滑に下動させることができる一方、脱気後に可動蓋を水平方向に回動させると、円弧状孔の他側部側にガイド突片が相対的に移動してその上端面をストッパ片の下面に対向又は接触させ、可動蓋が上動位置で下動不能にロックされて不測に弁板を開放させることはない。
【００２１】
また、弁本体は収納袋の片面適所を表裏面（内外面）から挟着する上半部と下半部とから形成しているから、下半部の中央に設けている排気孔を収納袋に設けている小径孔に合わせて収納袋の内面に当てがった状態で収納袋の外面から上半部を下半部に結合させるだけで、簡単且つ強固に弁本体を収納袋に装着することができ、その上、上半部の中央に設けている弁配設孔から弁板の下面パッキンを収納袋の上記小径孔の上面周囲に圧着させるように構成しているから、空気漏れが外部からの空気の侵入を確実に防止することができる。この場合、弁本体の下半部に上下面間に亘って貫通した多数の小径孔を有する円環形状の支持枠を一体に設けておくことによって、羽毛蒲団を収納袋に収納する場合には、羽毛が排気孔に集中的に移動するのを支持枠によって阻止しながら円滑に圧縮することができる。
【００２２】
また、可動蓋の上面をドーム形状に形成しているので、脱気した収納袋を積み重ねても、可動蓋によって上側の収納袋が引っ掛かり等によって損傷を受ける虞れがなく、その上、電気掃除機の径の異なる吸引ノズルであっても、可動蓋の上面にその開口端を簡単且つ確実に当接させることができ、収納袋内の脱気作業が簡単且つ能率よく行うことができる。なお、可動蓋として請求項７に記載したように、上面が平坦な円板部の外周部に下方に向かって周壁を一体に設けてなり、上記円板部の中央部に吸気用孔を設けていると共にこの吸気用孔の周囲に一定厚みのスポンジ体を敷設してあり、このスポンジ体上に吸引ノズルの開口端を押し付けるように構成しておいてもよい。
【００２３】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図１〜図５において、収納袋Ｂの排気弁Ａは合成樹脂製であって、弁本体１とこの弁本体１に上下動自在に取付けている可動蓋２とからなり、これらの弁本体１と可動蓋２との対向面間を吸排気室３に形成している。
【００２４】
弁本体１は互いに分離可能に重ね合わせている円板形状の上半部1Aと下半部1Bとからなり、下半部1Bの中央部に収納袋内に連通させる排気孔４を設けている一方、上半部1Aにはその中央部に上記排気孔４よりも大径の弁配設孔1aを排気孔４に連通させて設けていると共にこの排気孔４から上方に小間隔を存した高さ位置にスプリング受け５を配設している。さらに、このスプリング受け５の外周数カ所（図においては３方）から下方に向かって脚片5a、5a、5aを一体に設けていてこれらの脚片5aの下端を弁配設孔1aの周囲における弁本体１の上面、即ち、上半部1Aの上面に一体に連設してスプリング受け５を弁本体１の上面から一定高さ位置に固定している。
【００２５】
上記排気孔４はその上端開口部を該排気孔４よりも大径の円形状弁板６により上記弁配設孔1aを通じて開閉自在に閉止されていると共に、この弁板６の上面と上記スプリング受け５の下面との間にスプリング７を圧縮状態で介入させ、該スプリング７の弾発力により常態においては弁板６を排気孔４上に圧着させて排気孔４を閉止させている。
【００２６】
さらに、上記スプリング受け５における隣接する脚片5a、5a間は吸排気室３の外周部内に向かって水平方向に開口5bしていて吸排気室３に連通してあり、この開口部5bを通じて弁板作動機構８を配設している。
【００２７】
弁板作動機構８は、上記弁板６の外周数カ所（図においては３方）から吸排気室３の外周部に向かって放射状に突設しているレバー片９と、このレバー片９の長さ方向の中間部下面を受止している支点片10と、上記可動蓋２の下面外周部に下方に向かって突設している押圧突条11とからなり、各レバー片９はその内端を弁板６の外周端に一体に連設していると共に外端部を各開口部5bから外方に延出して吸排気室３の外周部にまで達しており、さらに、上記各支点片10はスプリング受け５の各脚片5aの近傍部における弁本体１の上面から突設していてこの支点片10から外方のレバー片９の外端部上面に可動蓋２の下動による押し下げ力が作用した時に、その上端面を支点として各レバー片９の内端部を上記スプリング７の力に抗して弁板６と一体に上方に移動させて開弁し、押し下げ力が解かれた時に上記スプリング７の力によってレバー片９を逆方向に作動させて自動的に閉弁させるように構成している。
【００２８】
また、弁本体１の上面外周部には上記レバー片９の外端面を囲むようにして円環形状の突壁21が突設していると共にこの突壁21における上記各レバー片９の外端と対向する部分にガイド突片12を上方に向かって突設してあり、これらのガイド突片12の上端部に内方に向かって突出した係止突部12a を一体に設けてこの係止突部12a の下面に小間隔を存して上記レバー片９の外端部上面を対向させている。
【００２９】
一方、上記可動蓋２は弁本体１と同径で且つ中央部から外周縁に向かって下方に緩やかな凸円弧状に傾斜したドーム形状に形成されてあり、そのドーム形状の上面全面を突起等が存在しない滑らかな面に形成していると共に、中央部に上下面間に亘って貫通した吸気用孔13を設けてあり、この吸気用孔13の下端開口部の下方に上記スプリング受け５の上面を所定間隔を存して臨ませている。
【００３０】
さらに、可動蓋２の外周部に、上記弁本体１の上面外周部における数カ所に突設している上記各ガイド突片12に対向させて可動蓋２の中央部を中心とする仮想円上に円弧状孔14、14、14を上下面間に亘って貫通させて設けてあり、この円弧状孔14にそれぞれ対応するガイド突片12を、可動蓋２の周方向の回動により可動蓋２に対して相対的に移動可能に挿入させている。
【００３１】
上記円弧状孔14は、その一側部（一半部）を、ガイド突片12が相対的に上下方向に移動可能な孔部14a に形成していると共に、他側部（他半部）側の孔部14b の開口上端縁に該孔部14b に向かってガイド突片12の上端面を受止するストッパー片15を突設している。また、上記一側部側の孔部14a の内周側縁部にガイド突片12の上記係止突部12a の下面を係止させて可動蓋２が上記スプリング７の復元力によってそれ以上上動するのを阻止すると共に可動蓋２が弁本体１から上方に離脱するのを阻止する係止突片16を突設している。なお、一側部側の孔部14a 側には「開」という文字が、ストッパー片15を設けている他側部側の孔部14b 側には「閉」という文字が記入されている。また、可動蓋２の押圧突条11の下端に形成している外向き係止突部11a を上記ガイド突片12の内向き係止突部12a に係止させて可動蓋２がそれ以上上動するのを阻止するように構成しておいてもよい。
【００３２】
上記弁本体１の上半部1Aの下面には下半部1Bの上面に一体に設けている円板部17を嵌脱自在に嵌合させた円形凹部18を設けてあり、さらに、下半部1Bの下面には収納袋Ｂ内に収納された収納物に排気孔４が直接密接しないように、該排気孔４の周縁から放射状に所定高さを有する隔離壁板19を突設している。
【００３３】
このように構成した排気弁Ａを、柔軟性を有する合成樹脂製シートによって形成された偏平矩形状の合成樹脂製収納袋Ｂに装着するには、図４、図５に示すように、排気弁Ａの弁本体１における下半部1Bを袋内の内面に沿わせて収納袋Ｂの片面適所に設けている小径孔20にその排気孔４を連通するように合致させ、この状態にして収納袋Ｂの外面から弁本体１の上半部1Aを下半部1Bに押し付けると、上半部1Aの円形凹部18と下半部1Bの円板部17とが互いに嵌合して収納袋Ｂの小径孔20の周囲の部分を挟着した状態で一体に結合し、収納袋Ｂに弁本体１が装着される。
【００３４】
この場合、収納袋Ｂに設けている上記小径孔20は弁本体１の下半部1Bに設けている排気孔４の径よりも小径に形成されてあり、従って、該小径孔20の周縁が弁本体１の上半部1Aに設けている排気孔４よりも大径の弁配設孔1a内に露出すると共に排気孔４の上面周縁部上に敷設された状態となっている。従って、この小径孔20の露出した周縁部上に弁配設孔1aから弁板６の下面外周部に装着しているパッキン22が圧着して空気漏れや外気の侵入が確実に防止されるものである。
【００３５】
この排気弁Ａを装着している収納袋Ｂを用いて、該収納袋Ｂ内の収納物Ｃを圧縮させた状態にするには、まず、収納袋Ｂの開口端から布団等の収納物Ｃを収納したのち、開口端の対向内面にそれぞれ設けている凸条部と凹条部とからなるファスナを収納袋Ｂの一端側から他端側に向かって嵌合させることにより気密状態に閉止する。
【００３６】
しかるのち、図５、図６に示すように、排気弁Ａの可動蓋２の上面に電気掃除機の吸引ノズルＤを当てがって吸気用孔13を該吸引ノズルＤに連通させた状態とする。この際、可動蓋２を回動してその「開」位置の孔部14a に弁本体１側のガイド突片12を上下動可能に位置させておく。
【００３７】
この状態にして吸引ノズルＤを弁本体１側に押圧すると、可動蓋２が弁本体１側に下動してその下面に突設している押圧突条11によりレバー片９の外端部上面を押圧し、該レバー片９は支点片10を支点としてその外端部側を下方に、内端部側を上方に移動させる。さらに、レバー片９の内端は弁板６の外周端と一体に連設しているから、レバー片９の内端の上動により弁板６がスプリング７の力に抗して上方に押し上げられ、弁板６が排気孔４から離間して開弁させる。
【００３８】
この開弁状態を維持しながら電気掃除機を作動させると、吸引ノズルＤによる吸気力が可動蓋２の吸気用孔13を通じて吸排気室３内に作用し、さらに、この吸排気室３から排気孔４を通じて収納袋Ｂ内に作用して該収納袋８内の空気が排気孔４から吸排気室３、吸気用孔13を通じて吸引ノズルＤに吸入、排気され、布団等の収納物Ｃが偏平状に圧縮される。
【００３９】
また、収納袋Ｂ内の脱気作業中においては、吸引ノズルＤの吸気力は吸排気室３内を通じてこの吸排気室３内に連通している可動蓋２側の円弧状孔14にも作用し、収納袋Ｂ内の空気と共に外気が円弧状孔14から吸排気室３、吸気用孔13を通じて吸引ノズルＤに吸入され、収納袋内が完全に脱気されたのちにおいては、円弧状孔14からの外気の吸入を続行するので、電気掃除機のモータに殆ど負担をかけることなく、収納袋Ｂ内の脱気を行うことができる。
【００４０】
収納袋Ｂ内が脱気されて布団等の収納物Ｃが圧縮状態になると、可動蓋２に対する電気掃除機の吸引ノズルＤの押し付けを解く。そうすると、弁板６がスプリング７の復元力によって下動して排気孔４を自動的に閉止すると共に該弁板６の下動によってレバー片９の内端部側が支点片10を支点として弁板６と一体的に下動する一方、外端部側が可動蓋２の押圧突条11に圧接しながら上動し、可動蓋２と共に元の位置まで復帰する。
【００４１】
こうして収納袋Ｂ内を脱気して収納物Ｃを圧縮させたのち、可動蓋２を「閉」方向に回動操作して弁本体１側の上記ガイド突片12を可動蓋２に設けている上記円弧状孔14の他側孔部14b 側に移動させると、これらのガイド突片12の上端面が該孔部14b に突設しているストッパー片15の下面に近接又は接触し、図１に示すように可動蓋２がその上動位置で下動不能にロックされる。従って、収納袋Ｂを積み重ね状態で保管しても、下側の収納袋Ｂに装着している可動蓋２は、上側の収納袋Ｂの上載荷重によって下動するのを確実に防止できるものである。
【００４２】
図８〜図10は本発明の別な実施の形態を示すもので、可動蓋2'としては上面が平坦な円板部2aの外周部に下方に向かって円弧状に湾曲した周壁2bを一体に設けてなり、上記円板部2aの中央部に吸気用孔13を設けていると共にこの吸気用孔13の周囲における円板部2aの上面に一定厚みのスポンジ体30を固定している。さらに円板部2aの上面にスポンジ体30の厚みよりも高さの低い複数条の突条31を放射条に突設してスポンジ体30上に電気掃除機の吸引ノズルＤの押し付けた際に、図９に示すようにスポンジ体30が必要以上に圧縮するのを阻止し、収納袋Ｂ内を脱気中にスポンジ体30を通じて外気の一部を吸気して電気掃除機のモータに負担をかけることなく、収納袋Ｂ内の脱気を行うように構成している。
【００４３】
また、弁本体１の下半部1Bに、該下半部1Bを囲むようにして上下面間に亘って貫通した多数の小径孔33を有する円環形状の支持枠32を一体に設けてあり、弁本体１の上下半部1A、1Bによって収納袋Ｂの孔20の周囲の部分を上述したように挟着して弁本体１を収納袋Ｂに取り付けた時に、支持枠32の上面が収納袋Ｂの内面に当接すると共に下面で収納物Ｃを抑えて、例えば、収納物Ｃが羽毛蒲団の場合には羽毛が排気孔４側に移動するのを阻止するように構成している。
【００４４】
なお、可動蓋2'の円板部1aの下面にはレバー片を押圧する押圧突条11が設けられてあり、弁本体１の上面の上面外周部に上方に向かってガイド突片12を突設している構造も上記実施の形態と同様であるが、これらの押圧突条11とガイド突起12とによって可動蓋2'の抜け止めを行っていると共に可動蓋2'を回動した時にガイド突起12の係止突部12a の上端面を押圧突条11の所定部分に設けている下向き段部34に係止させて脱気後における可動蓋2'の下動を阻止する構造としている。その他の構造については上記実施の形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【００４５】
【発明の効果】
以上のように本発明の収納袋の排気弁によれば、請求項１に記載したように、中央部に収納袋内に連通させる排気孔を設けた弁本体に、中央部に上下面間に貫通した吸気用孔を設けている可動蓋を上下動自在に取付け、この可動蓋と弁本体との対向面間で形成している室内に上記排気孔の開閉用弁板と、この弁板を上方から押圧して排気孔に密着させているスプリングと、このスプリング力に抗して上記弁板を上動させて開弁させる弁板作動機構とを配設し、この弁板作動機構を上記可動蓋の押し下げによって作動させて弁板を開弁させ、上記吸気用孔から収納袋内の空気を排気させるように構成しているので、可動蓋の上面に電気掃除機の吸引ノズルを押し付けて可動蓋を弁本体側に下動させることにより、弁板作動機構を介して弁板を簡単且つ自動的に開弁させることができて直ちに収納袋内の脱気作業を行うことができ、脱気後においては、可動蓋を操作することなく、可動蓋に対する吸引ノズルの押し付け力を解くだけで、スプリングの復元力により自動的に閉弁させることができる。
【００４６】
従って、操作が極めて簡単で年寄りでも容易に脱気作業を行うことができるばかりでなく、電気掃除機の吸引ノズルを可動蓋から離すと同時に遠隔操作的に閉弁させることができるから、脱気後には外気が収納袋内に侵入するのを確実に防止することでき、収納袋をできるかぎり圧縮した形態とすることができて取扱性や保管性が向上する。
【００４７】
さらに、上記請求項１及び請求項２に係る発明によれば、上記スプリングは、弁本体と排気孔の上方に配設しているスプリング受けとの間に圧縮状態で配設されている一方、上記弁板作動機構は、内端が弁板の外周部と一体に連設してスプリング受けの各脚片間から外方に放射状に突設している複数のレバー片と、弁本体の上面から突設してこれらのレバー片の長さ方向の中間部下面を受止している支点片と、可動蓋の下面に下方に向かって突設して支点片から外方部の上記各レバー片の上面を押圧する押圧突条とからなるので、収納袋内の脱気時に電気掃除機の吸引ノズルを可動蓋に押し付けて可動蓋を上述したように下動させると、この可動蓋の下動に連動させてレバー片を支点片を中心として上下方向に回動させながら弁板をスプリング力に抗して押し上げて簡単且つ確実に開弁させることができると共に、収納袋内の空気を排気孔からスプリング受けの隣接する脚片間の空間部と吸気用孔を通じて吸引ノズル側に円滑に排気させることができる。
【００４８】
また、吸引ノズルによる可動蓋の押し下げを解くと、スプリングの復元力によって弁板を瞬時に下動させて排気孔を閉止させることができると同時にレバー片が作動してその外端部上面を可動蓋の押圧突条に当接させながら上動して可動蓋と共に元位置まで復帰することができる。
【００４９】
請求項３に係る発明によれば、上記弁本体の上面外周部に各レバー片の外端部を受け止めるガイド突片を突設する一方、可動蓋にこれらのガイド突片に対向して該ガイド突片を可動蓋の周方向の回動により可動蓋に対して相対的に移動させる円弧状孔を設けてあり、この円弧状孔の一側部をガイド突片を上下動可能に挿入させる孔部に形成すると共に他側部をガイド突片の上端面を受止して可動蓋の下動を阻止するストッパ片を有する孔部に形成しているので、収納袋内の脱気時には、可動蓋をガイド突片に沿って円滑に下動させることができ、脱気後においては、可動蓋を水平方向に回動させると、円弧状孔の他側部側にガイド突片が相対的に移動してその上端面をストッパ片の下面に対向又は接触し、可動蓋が上動位置で下動不能にロックされて不測に弁板を開放させることはない。
【００５０】
さらに、収納袋内の脱気作業中においては、吸引ノズルの吸気力は弁本体内の吸排気室を通じて可動蓋側の円弧状孔にも作用して収納袋内の空気と共に外気を円弧状孔から吸排気室、吸気用孔を通じて吸引ノズルに吸入することができ、従って、収納袋内が完全に脱気されたのちにおいては、円弧状孔からの外気の吸入を続行することができて電気掃除機のモータに殆ど負担をかけることなく、収納袋Ｂ内の脱気を行うことができる。
【００５１】
また、請求項４に係る発明によれば、弁本体は収納袋の片面適所を表裏面（内外面）から挟着する上半部と下半部とから形成しているから、下半部の中央に設けている排気孔を収納袋に設けている小径孔に合わせて収納袋の内面に当てがった状態で収納袋の外面から上半部を下半部に結合させるだけで、簡単且つ強固に弁本体を収納袋に装着することができ、その上、上半部の中央に設けている弁配設孔から弁板の下面パッキンを収納袋の上記小径孔の上面周囲に圧着させるように構成しているから、空気漏れが外部からの空気の侵入を確実に防止することができる。
【００５２】
請求項５に係る発明によれば、可動蓋の上面をドーム形状に形成しているので、脱気した収納袋を積み重ねても、可動蓋によって上側の収納袋が引っ掛かり等によって損傷を受ける虞れがなく、その上、電気掃除機の径の異なる吸引ノズルであっても、可動蓋の上面にその開口端を簡単且つ確実に当接させることができ、収納袋内の脱気作業が簡単且つ能率よく行うことができる。
【００５３】
請求項６に係る発明は、可動蓋を上面が平坦な円板部の外周部に下方に向かって周壁を一体に設けた形状とし、上記円板部の中央部に吸気用孔を設けていると共にこの吸気用孔の周囲に一定厚みのスポンジ体を敷設しているので、各種の形状、口径の吸気ノズルをそのスポンジ体上に押しつけて脱気作業を行うことができると共にスポンジ体を通じて外気を吸引して電気掃除機のモータに大きな負荷がかかるのを防止することができる。
【００５４】
さらに、請求項７に係る発明によれば、弁本体の下半部に、上下面間に亘って貫通した多数の小径孔を有する円環形状の支持枠を一体に設けているので、羽毛が排気孔に集中的に移動するのを支持枠によって阻止しながら円滑に収納物を圧縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図２におけるＸ−Ｙ線の縦断面図であって収納袋に装着している状態を示す。
【図２】 排気弁の平面図。
【図３】 その簡略斜視図。
【図４】 分解斜視図。
【図５】 図２におけるX'−Y'線の縦断面図であって脱気をしている状態を示す。
【図６】 脱気開始解きの斜視図。
【図７】 脱気した収納袋の斜視図。
【図８】 本発明の別な実施の形態を示す縦断面図。
【図９】 その使用状態を示す縦断面図。
【図１０】 その底面図。
【符号の説明】
Ａ 排気弁
Ｂ 収納袋
１ 弁本体
２ 可動蓋
３ 吸排気室
４ 排気孔
５ スプリング受け
６ 弁板
７ スプリング
８ 弁板作動機構
９ レバー片
10 支点片
11 押圧突条
12 ガイド突片
13 吸気用孔
14 円弧状孔
15 ストッパー片
【発明の属する技術分野】
本発明は、布団や毛布などの寝具類や衣服などを収納する収納袋に装着して、この収納袋内を電気掃除機等の吸引ノズルを使用して脱気し、収納物をコンパクトに圧縮するための排気弁に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、布団や衣類などを押し入れやタンスに収納、保管する際に、限られた収納場所にできるだけ多くの布団や衣類等を収納するために、偏平な合成樹脂製収納袋内に布団等を収納したのち、電気掃除機を使用してこの収納袋内の空気を排除することにより、収納物を圧縮することが行われている。このような収納物の圧縮は、一般家庭に限らず寝具類を取り扱う業者においても行われ、また、旅行する際に、鞄に衣類等を収納する場合においても収納袋を圧縮することが行われている。
【０００３】
布団等を収納した袋を圧縮するには、通常、収納袋の開口部に装着されているフアスナーによってその開口部の一部を開き、この開口部から電気掃除機の吸引ノズルを挿入して袋内を脱気することにより行われているが、吸引ノズルを直接収納袋内に挿入すると、袋内の収納物が吸引ノズルの吸引力によってノズルの開口端に吸着され、収納物が損傷する虞れがあるばかりでなく、吸引ノズルが詰まって袋内の脱気が困難になると共に電気掃除機のモータに大きな負荷がかかって故障の原因となる。
【０００４】
このため、電気掃除機の吸引ノズルを収納袋内に挿入することなく、該収納袋に排気弁を装着しておき、この排気弁を通じて外部から電気掃除機の吸引ノズルにより袋内の空気を排気して収納袋を圧縮することが行われている。
【０００５】
このような排気弁としては、収納袋の片面の適所に装着してその中央部に設けている排気孔を袋内に連通させる弁本体と、この弁本体の上面中央部に突設している螺筒に螺合した筒部材とからなり、該筒部材に上記排気孔を開閉する弁板を一体に設けてなる構造を有している。そして、筒部材を回動させて弁板を上記排気孔から離間させることにより該排気孔を開口させ、筒部材に電気掃除機の吸引ノズルの吸引口を嵌合させたのち、収納袋内の空気を排気孔を通じて吸引、除去している。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような排気弁構造によれば、吸引ノズルによる吸気が収納袋内にのみ集中的に作用するために、収納袋内が完全に脱気されたのちにおいても収納袋内に対する吸気（脱気）力が働いて上記同様に、電気掃除機のモータに大きな負荷がかかり、故障の原因となる。その上、脱気後においては、筒部材を閉止方向に回動させなければならず、その間に収納袋内に排気孔を通じて外気が流入して収納袋が膨らむ場合が生じる上に、高齢者にとっては操作性に困難を伴うという問題点がある。
【０００７】
さらに、電気掃除機の吸引ノズルの径が異なると、上記筒部材に嵌合させることができない場合が発生して収納袋内の空気を吸引、脱気することができない。また、脱気した収納袋を積み重ねると、筒部材の開口端等の角部が上側の収納袋の下面に食い込み、収納物を損傷させる虞れがあり、さらに、筒部材が不測に排気孔を開放させる方向に回動した場合には収納袋内に外気が侵入し、収納袋が膨脹するという問題点がある。
【０００８】
また、弁本体は収納袋の片面適所にその下面を溶着等の接着によって収納袋に設けている孔と弁本体の排気孔とを連通させた状態で一体に固着することにより収納袋に装着されているため、収納袋に対する弁の取付作業が煩雑で手間を要するばかりでなく、収納袋に対する弁本体の接着が不良となった場合には脱気したのちに収納袋内に外気が入る虞れがあった。
【０００９】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、電気掃除機の吸引ノズルを押し付けるだけで自動的に開弁し、且つ電気掃除機に大きな負担を生じさせることなくて収納袋内を脱気することができる上に、脱気後、吸引ノズルの押し付け力を解くと同時に自動的に閉弁することができ、さらに、その閉止状態でロックしておくことができると共に、吸引ノズルの径の大小にかかわらず収納袋内の脱気に使用することができ、また、収納袋に対する装着が簡単且つ確実に行うことができる収納袋の排気弁構造を提供するにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の収納袋の排気弁は、請求項１に記載したように、中央部に収納袋内に連通させる排気孔を設けた弁本体に、中央部に上下面間に貫通した吸気用孔を設けている可動蓋を上下動自在に取付け、この可動蓋と弁本体との対向面間で形成している室内に上記排気孔の開閉用弁板を配設すると共に上記排気孔の周囲における弁本体の上面に、排気孔の上方に配設したスプリング受けにおける複数本の脚片を固定して、このスプリング受けと上記弁板との間にこの弁板を上方から押圧して排気孔に密着させているスプリングを圧縮状態で介在させていると共にスプリング受けの隣接する脚片間の空間部を可動蓋の吸気用孔に連通させてあり、さらに、上記室内に上記スプリング力に抗して上記弁板を上動させて開弁させる弁板作動機構を配設し、この弁板作動機構を上記可動蓋の押し下げによって作動させて弁板を開弁させ、上記吸気用孔から収納袋内の空気を排気させるように構成している。
【００１１】
このように構成した排気弁において、請求項２に係る発明は、上記弁板作動機構の構造であって、内端が弁板の外周部と一体に連設してスプリング受けの各脚片間から外方に放射状に突設している複数のレバー片と、弁本体の上面から突設してこれらのレバー片の長さ方向の中間部下面を受止している支点片と、可動蓋の下面に下方に向かって突設して支点片から外方部の上記各レバー片の上面を押圧する押圧突条とからなることを特徴としている。
【００１２】
また、請求項３に係る発明は、上記弁本体の上面外周部にガイド突片を突設している一方、可動蓋にこれらのガイド突片に対向して該ガイド突片を可動蓋の周方向の回動により可動蓋に対して相対的に移動させる円弧状孔を設けてあり、この円弧状孔の一側部をガイド突片を上下動可能に挿入させる孔部に形成していると共に、他側部をガイド突片の上端面を受止して可動蓋の下動を阻止するストッパ片を有する孔部に形成していることを特徴とする。
【００１３】
請求項４に係る発明は、弁本体を互いに分離可能に結合している上半部と下半部とから形成し、これらの上下半部によって収納袋の一部を内外面から挟着して弁本体を収納袋に装着するように構成していると共に、下半部の中央に収納袋に設けている小径孔に内面側から連通させる排気孔を設けている一方、上半部の中央に弁配設孔を設けて弁板の下面外周部に装着しているパッキンを上記収納袋の小径孔の周縁部上面に圧着させるように構成している。なお、上記可動蓋は、請求項５に記載したように、ドーム形状に形成しておいてもよい。
【００１４】
請求項６に係る発明は、可動蓋を上面が平坦な円板部の外周部に下方に向かって周壁を一体に設けた構造とし、上記円板部の中央部に吸気用孔を設けていると共にこの吸気用孔の周囲に一定厚みのスポンジ体を敷設して、このスポンジ体上に吸引ノズルの開口端を押し付けるように構成している。
【００１５】
また、上記請求項４に記載の発明において、請求項７に係る発明は、弁本体の下半部に、上下面間に亘って貫通した多数の小径孔を有する円環形状の支持板を一体に設けてなることを特徴とする。
【００１６】
【作用】
収納袋内に布団等を収納したのちその開口部をファスナーにより閉止し、収納袋に装着している排気弁における可動蓋の上面に電気掃除機の吸引ノズルの開口端を押し付けて可動蓋に設けている吸気用孔に連通させた状態にすると共に、該可動蓋をその押付力により弁本体側に下動させると、弁板作動機構が作動して弁本体の排気孔を閉止していた弁板がスプリング力に抗して上動し、排気弁を開放させる。この状態にして電気掃除機を作動させると、吸引ノズルからの吸引力によって収納袋内の空気が排気孔から可動蓋の吸気用孔を通じて吸引ノズル側に排気され、収納袋内が脱気される。
【００１７】
収納袋内が脱気されて布団等の収納物が圧縮状態になると、可動蓋に対する電気掃除機の吸引ノズルの押し付けを解く。そうすると、弁板がスプリング力によって下動して排気孔を自動的に閉止すると共に弁板作動機構を介して可動蓋が上動し、元の位置まで復帰する。
【００１８】
上記スプリングは、弁本体と排気孔の上方に配設しているスプリング受けとの間に圧縮状態で配設されている一方、上記弁板作動機構は、内端が弁板の外周部と一体に連設してスプリング受けの各脚片間から外方に放射状に突設している複数のレバー片と、弁本体の上面から突設してこれらのレバー片の長さ方向の中間部下面を受止している支点片と、可動蓋の下面に下方に向かって突設して支点片から外方部の上記各レバー片の上面を押圧する押圧突条とからなり、従って、収納袋内の脱気時に電気掃除機の吸引ノズルを可動蓋に押し付けて可動蓋を上述したように下動させると、レバー片は支点片を中心として上下方向に回動し、弁板をスプリング力に抗して押し上げて開弁させる。そして、収納袋内の空気は排気孔からスプリング受けの隣接する脚片間の空間部と吸気用孔を通じて吸引ノズル側に排気される。
【００１９】
また、吸引ノズルによる可動蓋の押し下げを解くと、スプリング力によって弁板が下動して排気孔を閉止すると同時にレバー片が作動してその外端部上面を可動蓋の押圧突条に当接させながら上動して可動蓋と共に元位置まで復帰する。
【００２０】
上記弁本体の上面外周部に各レバー片の外端部を受け止めるガイド突片を突設する一方、可動蓋にこれらのガイド突片に対向して該ガイド突片を可動蓋の周方向の回動により可動蓋に対して相対的に移動させる円弧状孔を設けておき、この円弧状孔の一側部をガイド突片を上下動可能に挿入させる孔部に形成すると共に他側部をガイド突片の上端面を受止して可動蓋の下動を阻止するストッパ片を有する孔部に形成しておくことによって、収納袋内の脱気時には、可動蓋をガイド突片に沿って円滑に下動させることができる一方、脱気後に可動蓋を水平方向に回動させると、円弧状孔の他側部側にガイド突片が相対的に移動してその上端面をストッパ片の下面に対向又は接触させ、可動蓋が上動位置で下動不能にロックされて不測に弁板を開放させることはない。
【００２１】
また、弁本体は収納袋の片面適所を表裏面（内外面）から挟着する上半部と下半部とから形成しているから、下半部の中央に設けている排気孔を収納袋に設けている小径孔に合わせて収納袋の内面に当てがった状態で収納袋の外面から上半部を下半部に結合させるだけで、簡単且つ強固に弁本体を収納袋に装着することができ、その上、上半部の中央に設けている弁配設孔から弁板の下面パッキンを収納袋の上記小径孔の上面周囲に圧着させるように構成しているから、空気漏れが外部からの空気の侵入を確実に防止することができる。この場合、弁本体の下半部に上下面間に亘って貫通した多数の小径孔を有する円環形状の支持枠を一体に設けておくことによって、羽毛蒲団を収納袋に収納する場合には、羽毛が排気孔に集中的に移動するのを支持枠によって阻止しながら円滑に圧縮することができる。
【００２２】
また、可動蓋の上面をドーム形状に形成しているので、脱気した収納袋を積み重ねても、可動蓋によって上側の収納袋が引っ掛かり等によって損傷を受ける虞れがなく、その上、電気掃除機の径の異なる吸引ノズルであっても、可動蓋の上面にその開口端を簡単且つ確実に当接させることができ、収納袋内の脱気作業が簡単且つ能率よく行うことができる。なお、可動蓋として請求項７に記載したように、上面が平坦な円板部の外周部に下方に向かって周壁を一体に設けてなり、上記円板部の中央部に吸気用孔を設けていると共にこの吸気用孔の周囲に一定厚みのスポンジ体を敷設してあり、このスポンジ体上に吸引ノズルの開口端を押し付けるように構成しておいてもよい。
【００２３】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図１〜図５において、収納袋Ｂの排気弁Ａは合成樹脂製であって、弁本体１とこの弁本体１に上下動自在に取付けている可動蓋２とからなり、これらの弁本体１と可動蓋２との対向面間を吸排気室３に形成している。
【００２４】
弁本体１は互いに分離可能に重ね合わせている円板形状の上半部1Aと下半部1Bとからなり、下半部1Bの中央部に収納袋内に連通させる排気孔４を設けている一方、上半部1Aにはその中央部に上記排気孔４よりも大径の弁配設孔1aを排気孔４に連通させて設けていると共にこの排気孔４から上方に小間隔を存した高さ位置にスプリング受け５を配設している。さらに、このスプリング受け５の外周数カ所（図においては３方）から下方に向かって脚片5a、5a、5aを一体に設けていてこれらの脚片5aの下端を弁配設孔1aの周囲における弁本体１の上面、即ち、上半部1Aの上面に一体に連設してスプリング受け５を弁本体１の上面から一定高さ位置に固定している。
【００２５】
上記排気孔４はその上端開口部を該排気孔４よりも大径の円形状弁板６により上記弁配設孔1aを通じて開閉自在に閉止されていると共に、この弁板６の上面と上記スプリング受け５の下面との間にスプリング７を圧縮状態で介入させ、該スプリング７の弾発力により常態においては弁板６を排気孔４上に圧着させて排気孔４を閉止させている。
【００２６】
さらに、上記スプリング受け５における隣接する脚片5a、5a間は吸排気室３の外周部内に向かって水平方向に開口5bしていて吸排気室３に連通してあり、この開口部5bを通じて弁板作動機構８を配設している。
【００２７】
弁板作動機構８は、上記弁板６の外周数カ所（図においては３方）から吸排気室３の外周部に向かって放射状に突設しているレバー片９と、このレバー片９の長さ方向の中間部下面を受止している支点片10と、上記可動蓋２の下面外周部に下方に向かって突設している押圧突条11とからなり、各レバー片９はその内端を弁板６の外周端に一体に連設していると共に外端部を各開口部5bから外方に延出して吸排気室３の外周部にまで達しており、さらに、上記各支点片10はスプリング受け５の各脚片5aの近傍部における弁本体１の上面から突設していてこの支点片10から外方のレバー片９の外端部上面に可動蓋２の下動による押し下げ力が作用した時に、その上端面を支点として各レバー片９の内端部を上記スプリング７の力に抗して弁板６と一体に上方に移動させて開弁し、押し下げ力が解かれた時に上記スプリング７の力によってレバー片９を逆方向に作動させて自動的に閉弁させるように構成している。
【００２８】
また、弁本体１の上面外周部には上記レバー片９の外端面を囲むようにして円環形状の突壁21が突設していると共にこの突壁21における上記各レバー片９の外端と対向する部分にガイド突片12を上方に向かって突設してあり、これらのガイド突片12の上端部に内方に向かって突出した係止突部12a を一体に設けてこの係止突部12a の下面に小間隔を存して上記レバー片９の外端部上面を対向させている。
【００２９】
一方、上記可動蓋２は弁本体１と同径で且つ中央部から外周縁に向かって下方に緩やかな凸円弧状に傾斜したドーム形状に形成されてあり、そのドーム形状の上面全面を突起等が存在しない滑らかな面に形成していると共に、中央部に上下面間に亘って貫通した吸気用孔13を設けてあり、この吸気用孔13の下端開口部の下方に上記スプリング受け５の上面を所定間隔を存して臨ませている。
【００３０】
さらに、可動蓋２の外周部に、上記弁本体１の上面外周部における数カ所に突設している上記各ガイド突片12に対向させて可動蓋２の中央部を中心とする仮想円上に円弧状孔14、14、14を上下面間に亘って貫通させて設けてあり、この円弧状孔14にそれぞれ対応するガイド突片12を、可動蓋２の周方向の回動により可動蓋２に対して相対的に移動可能に挿入させている。
【００３１】
上記円弧状孔14は、その一側部（一半部）を、ガイド突片12が相対的に上下方向に移動可能な孔部14a に形成していると共に、他側部（他半部）側の孔部14b の開口上端縁に該孔部14b に向かってガイド突片12の上端面を受止するストッパー片15を突設している。また、上記一側部側の孔部14a の内周側縁部にガイド突片12の上記係止突部12a の下面を係止させて可動蓋２が上記スプリング７の復元力によってそれ以上上動するのを阻止すると共に可動蓋２が弁本体１から上方に離脱するのを阻止する係止突片16を突設している。なお、一側部側の孔部14a 側には「開」という文字が、ストッパー片15を設けている他側部側の孔部14b 側には「閉」という文字が記入されている。また、可動蓋２の押圧突条11の下端に形成している外向き係止突部11a を上記ガイド突片12の内向き係止突部12a に係止させて可動蓋２がそれ以上上動するのを阻止するように構成しておいてもよい。
【００３２】
上記弁本体１の上半部1Aの下面には下半部1Bの上面に一体に設けている円板部17を嵌脱自在に嵌合させた円形凹部18を設けてあり、さらに、下半部1Bの下面には収納袋Ｂ内に収納された収納物に排気孔４が直接密接しないように、該排気孔４の周縁から放射状に所定高さを有する隔離壁板19を突設している。
【００３３】
このように構成した排気弁Ａを、柔軟性を有する合成樹脂製シートによって形成された偏平矩形状の合成樹脂製収納袋Ｂに装着するには、図４、図５に示すように、排気弁Ａの弁本体１における下半部1Bを袋内の内面に沿わせて収納袋Ｂの片面適所に設けている小径孔20にその排気孔４を連通するように合致させ、この状態にして収納袋Ｂの外面から弁本体１の上半部1Aを下半部1Bに押し付けると、上半部1Aの円形凹部18と下半部1Bの円板部17とが互いに嵌合して収納袋Ｂの小径孔20の周囲の部分を挟着した状態で一体に結合し、収納袋Ｂに弁本体１が装着される。
【００３４】
この場合、収納袋Ｂに設けている上記小径孔20は弁本体１の下半部1Bに設けている排気孔４の径よりも小径に形成されてあり、従って、該小径孔20の周縁が弁本体１の上半部1Aに設けている排気孔４よりも大径の弁配設孔1a内に露出すると共に排気孔４の上面周縁部上に敷設された状態となっている。従って、この小径孔20の露出した周縁部上に弁配設孔1aから弁板６の下面外周部に装着しているパッキン22が圧着して空気漏れや外気の侵入が確実に防止されるものである。
【００３５】
この排気弁Ａを装着している収納袋Ｂを用いて、該収納袋Ｂ内の収納物Ｃを圧縮させた状態にするには、まず、収納袋Ｂの開口端から布団等の収納物Ｃを収納したのち、開口端の対向内面にそれぞれ設けている凸条部と凹条部とからなるファスナを収納袋Ｂの一端側から他端側に向かって嵌合させることにより気密状態に閉止する。
【００３６】
しかるのち、図５、図６に示すように、排気弁Ａの可動蓋２の上面に電気掃除機の吸引ノズルＤを当てがって吸気用孔13を該吸引ノズルＤに連通させた状態とする。この際、可動蓋２を回動してその「開」位置の孔部14a に弁本体１側のガイド突片12を上下動可能に位置させておく。
【００３７】
この状態にして吸引ノズルＤを弁本体１側に押圧すると、可動蓋２が弁本体１側に下動してその下面に突設している押圧突条11によりレバー片９の外端部上面を押圧し、該レバー片９は支点片10を支点としてその外端部側を下方に、内端部側を上方に移動させる。さらに、レバー片９の内端は弁板６の外周端と一体に連設しているから、レバー片９の内端の上動により弁板６がスプリング７の力に抗して上方に押し上げられ、弁板６が排気孔４から離間して開弁させる。
【００３８】
この開弁状態を維持しながら電気掃除機を作動させると、吸引ノズルＤによる吸気力が可動蓋２の吸気用孔13を通じて吸排気室３内に作用し、さらに、この吸排気室３から排気孔４を通じて収納袋Ｂ内に作用して該収納袋８内の空気が排気孔４から吸排気室３、吸気用孔13を通じて吸引ノズルＤに吸入、排気され、布団等の収納物Ｃが偏平状に圧縮される。
【００３９】
また、収納袋Ｂ内の脱気作業中においては、吸引ノズルＤの吸気力は吸排気室３内を通じてこの吸排気室３内に連通している可動蓋２側の円弧状孔14にも作用し、収納袋Ｂ内の空気と共に外気が円弧状孔14から吸排気室３、吸気用孔13を通じて吸引ノズルＤに吸入され、収納袋内が完全に脱気されたのちにおいては、円弧状孔14からの外気の吸入を続行するので、電気掃除機のモータに殆ど負担をかけることなく、収納袋Ｂ内の脱気を行うことができる。
【００４０】
収納袋Ｂ内が脱気されて布団等の収納物Ｃが圧縮状態になると、可動蓋２に対する電気掃除機の吸引ノズルＤの押し付けを解く。そうすると、弁板６がスプリング７の復元力によって下動して排気孔４を自動的に閉止すると共に該弁板６の下動によってレバー片９の内端部側が支点片10を支点として弁板６と一体的に下動する一方、外端部側が可動蓋２の押圧突条11に圧接しながら上動し、可動蓋２と共に元の位置まで復帰する。
【００４１】
こうして収納袋Ｂ内を脱気して収納物Ｃを圧縮させたのち、可動蓋２を「閉」方向に回動操作して弁本体１側の上記ガイド突片12を可動蓋２に設けている上記円弧状孔14の他側孔部14b 側に移動させると、これらのガイド突片12の上端面が該孔部14b に突設しているストッパー片15の下面に近接又は接触し、図１に示すように可動蓋２がその上動位置で下動不能にロックされる。従って、収納袋Ｂを積み重ね状態で保管しても、下側の収納袋Ｂに装着している可動蓋２は、上側の収納袋Ｂの上載荷重によって下動するのを確実に防止できるものである。
【００４２】
図８〜図10は本発明の別な実施の形態を示すもので、可動蓋2'としては上面が平坦な円板部2aの外周部に下方に向かって円弧状に湾曲した周壁2bを一体に設けてなり、上記円板部2aの中央部に吸気用孔13を設けていると共にこの吸気用孔13の周囲における円板部2aの上面に一定厚みのスポンジ体30を固定している。さらに円板部2aの上面にスポンジ体30の厚みよりも高さの低い複数条の突条31を放射条に突設してスポンジ体30上に電気掃除機の吸引ノズルＤの押し付けた際に、図９に示すようにスポンジ体30が必要以上に圧縮するのを阻止し、収納袋Ｂ内を脱気中にスポンジ体30を通じて外気の一部を吸気して電気掃除機のモータに負担をかけることなく、収納袋Ｂ内の脱気を行うように構成している。
【００４３】
また、弁本体１の下半部1Bに、該下半部1Bを囲むようにして上下面間に亘って貫通した多数の小径孔33を有する円環形状の支持枠32を一体に設けてあり、弁本体１の上下半部1A、1Bによって収納袋Ｂの孔20の周囲の部分を上述したように挟着して弁本体１を収納袋Ｂに取り付けた時に、支持枠32の上面が収納袋Ｂの内面に当接すると共に下面で収納物Ｃを抑えて、例えば、収納物Ｃが羽毛蒲団の場合には羽毛が排気孔４側に移動するのを阻止するように構成している。
【００４４】
なお、可動蓋2'の円板部1aの下面にはレバー片を押圧する押圧突条11が設けられてあり、弁本体１の上面の上面外周部に上方に向かってガイド突片12を突設している構造も上記実施の形態と同様であるが、これらの押圧突条11とガイド突起12とによって可動蓋2'の抜け止めを行っていると共に可動蓋2'を回動した時にガイド突起12の係止突部12a の上端面を押圧突条11の所定部分に設けている下向き段部34に係止させて脱気後における可動蓋2'の下動を阻止する構造としている。その他の構造については上記実施の形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【００４５】
【発明の効果】
以上のように本発明の収納袋の排気弁によれば、請求項１に記載したように、中央部に収納袋内に連通させる排気孔を設けた弁本体に、中央部に上下面間に貫通した吸気用孔を設けている可動蓋を上下動自在に取付け、この可動蓋と弁本体との対向面間で形成している室内に上記排気孔の開閉用弁板と、この弁板を上方から押圧して排気孔に密着させているスプリングと、このスプリング力に抗して上記弁板を上動させて開弁させる弁板作動機構とを配設し、この弁板作動機構を上記可動蓋の押し下げによって作動させて弁板を開弁させ、上記吸気用孔から収納袋内の空気を排気させるように構成しているので、可動蓋の上面に電気掃除機の吸引ノズルを押し付けて可動蓋を弁本体側に下動させることにより、弁板作動機構を介して弁板を簡単且つ自動的に開弁させることができて直ちに収納袋内の脱気作業を行うことができ、脱気後においては、可動蓋を操作することなく、可動蓋に対する吸引ノズルの押し付け力を解くだけで、スプリングの復元力により自動的に閉弁させることができる。
【００４６】
従って、操作が極めて簡単で年寄りでも容易に脱気作業を行うことができるばかりでなく、電気掃除機の吸引ノズルを可動蓋から離すと同時に遠隔操作的に閉弁させることができるから、脱気後には外気が収納袋内に侵入するのを確実に防止することでき、収納袋をできるかぎり圧縮した形態とすることができて取扱性や保管性が向上する。
【００４７】
さらに、上記請求項１及び請求項２に係る発明によれば、上記スプリングは、弁本体と排気孔の上方に配設しているスプリング受けとの間に圧縮状態で配設されている一方、上記弁板作動機構は、内端が弁板の外周部と一体に連設してスプリング受けの各脚片間から外方に放射状に突設している複数のレバー片と、弁本体の上面から突設してこれらのレバー片の長さ方向の中間部下面を受止している支点片と、可動蓋の下面に下方に向かって突設して支点片から外方部の上記各レバー片の上面を押圧する押圧突条とからなるので、収納袋内の脱気時に電気掃除機の吸引ノズルを可動蓋に押し付けて可動蓋を上述したように下動させると、この可動蓋の下動に連動させてレバー片を支点片を中心として上下方向に回動させながら弁板をスプリング力に抗して押し上げて簡単且つ確実に開弁させることができると共に、収納袋内の空気を排気孔からスプリング受けの隣接する脚片間の空間部と吸気用孔を通じて吸引ノズル側に円滑に排気させることができる。
【００４８】
また、吸引ノズルによる可動蓋の押し下げを解くと、スプリングの復元力によって弁板を瞬時に下動させて排気孔を閉止させることができると同時にレバー片が作動してその外端部上面を可動蓋の押圧突条に当接させながら上動して可動蓋と共に元位置まで復帰することができる。
【００４９】
請求項３に係る発明によれば、上記弁本体の上面外周部に各レバー片の外端部を受け止めるガイド突片を突設する一方、可動蓋にこれらのガイド突片に対向して該ガイド突片を可動蓋の周方向の回動により可動蓋に対して相対的に移動させる円弧状孔を設けてあり、この円弧状孔の一側部をガイド突片を上下動可能に挿入させる孔部に形成すると共に他側部をガイド突片の上端面を受止して可動蓋の下動を阻止するストッパ片を有する孔部に形成しているので、収納袋内の脱気時には、可動蓋をガイド突片に沿って円滑に下動させることができ、脱気後においては、可動蓋を水平方向に回動させると、円弧状孔の他側部側にガイド突片が相対的に移動してその上端面をストッパ片の下面に対向又は接触し、可動蓋が上動位置で下動不能にロックされて不測に弁板を開放させることはない。
【００５０】
さらに、収納袋内の脱気作業中においては、吸引ノズルの吸気力は弁本体内の吸排気室を通じて可動蓋側の円弧状孔にも作用して収納袋内の空気と共に外気を円弧状孔から吸排気室、吸気用孔を通じて吸引ノズルに吸入することができ、従って、収納袋内が完全に脱気されたのちにおいては、円弧状孔からの外気の吸入を続行することができて電気掃除機のモータに殆ど負担をかけることなく、収納袋Ｂ内の脱気を行うことができる。
【００５１】
また、請求項４に係る発明によれば、弁本体は収納袋の片面適所を表裏面（内外面）から挟着する上半部と下半部とから形成しているから、下半部の中央に設けている排気孔を収納袋に設けている小径孔に合わせて収納袋の内面に当てがった状態で収納袋の外面から上半部を下半部に結合させるだけで、簡単且つ強固に弁本体を収納袋に装着することができ、その上、上半部の中央に設けている弁配設孔から弁板の下面パッキンを収納袋の上記小径孔の上面周囲に圧着させるように構成しているから、空気漏れが外部からの空気の侵入を確実に防止することができる。
【００５２】
請求項５に係る発明によれば、可動蓋の上面をドーム形状に形成しているので、脱気した収納袋を積み重ねても、可動蓋によって上側の収納袋が引っ掛かり等によって損傷を受ける虞れがなく、その上、電気掃除機の径の異なる吸引ノズルであっても、可動蓋の上面にその開口端を簡単且つ確実に当接させることができ、収納袋内の脱気作業が簡単且つ能率よく行うことができる。
【００５３】
請求項６に係る発明は、可動蓋を上面が平坦な円板部の外周部に下方に向かって周壁を一体に設けた形状とし、上記円板部の中央部に吸気用孔を設けていると共にこの吸気用孔の周囲に一定厚みのスポンジ体を敷設しているので、各種の形状、口径の吸気ノズルをそのスポンジ体上に押しつけて脱気作業を行うことができると共にスポンジ体を通じて外気を吸引して電気掃除機のモータに大きな負荷がかかるのを防止することができる。
【００５４】
さらに、請求項７に係る発明によれば、弁本体の下半部に、上下面間に亘って貫通した多数の小径孔を有する円環形状の支持枠を一体に設けているので、羽毛が排気孔に集中的に移動するのを支持枠によって阻止しながら円滑に収納物を圧縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図２におけるＸ−Ｙ線の縦断面図であって収納袋に装着している状態を示す。
【図２】 排気弁の平面図。
【図３】 その簡略斜視図。
【図４】 分解斜視図。
【図５】 図２におけるX'−Y'線の縦断面図であって脱気をしている状態を示す。
【図６】 脱気開始解きの斜視図。
【図７】 脱気した収納袋の斜視図。
【図８】 本発明の別な実施の形態を示す縦断面図。
【図９】 その使用状態を示す縦断面図。
【図１０】 その底面図。
【符号の説明】
Ａ 排気弁
Ｂ 収納袋
１ 弁本体
２ 可動蓋
３ 吸排気室
４ 排気孔
５ スプリング受け
６ 弁板
７ スプリング
８ 弁板作動機構
９ レバー片
10 支点片
11 押圧突条
12 ガイド突片
13 吸気用孔
14 円弧状孔
15 ストッパー片
Claims (7)
- 中央部に収納袋内に連通させる排気孔を設けた弁本体に、中央部に上下面間に貫通した吸気用孔を設けている可動蓋を上下動自在に取付け、この可動蓋と弁本体との対向面間で形成している室内に上記排気孔の開閉用弁板を配設すると共に上記排気孔の周囲における弁本体の上面に、排気孔の上方に配設したスプリング受けにおける複数本の脚片を固定して、このスプリング受けと上記弁板との間にこの弁板を上方から押圧して排気孔に密着させているスプリングを圧縮状態で介在させていると共にスプリング受けの隣接する脚片間の空間部を可動蓋の吸気用孔に連通させてあり、さらに、上記室内に上記スプリング力に抗して上記弁板を上動させて開弁させる弁板作動機構を配設し、この弁板作動機構を上記可動蓋の押し下げによって作動させて弁板を開弁させ、上記吸気用孔から収納袋内の空気を排気させるように構成したことを特徴とする収納袋の排気弁。
- 弁板作動機構は、内端が弁板の外周部と一体に連設してスプリング受けの各脚片間から外方に放射状に突設している複数のレバー片と、弁本体の上面から突設してこれらのレバー片の長さ方向の中間部下面を受止している支点片と、可動蓋の下面に下方に向かって突設して支点片から外方部の上記各レバー片の上面を押圧する押圧突条とからなることを特徴とする請求項１に記載の収納袋の排気弁。
- 弁本体の上面外周部にガイド突片を突設している一方、可動蓋にこれらのガイド突片に対向して該ガイド突片を可動蓋の周方向の回動により可動蓋に対して相対的に移動させる円弧状孔を設けてあり、この円弧状孔の一側部をガイド突片を上下動可能に挿入させる孔部に形成していると共に、他側部をガイド突片の上端面を受止して可動蓋の下動を阻止するストッパ片を有する孔部に形成していることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の収納袋の排気弁。
- 弁本体は互いに分離可能に結合している上半部と下半部とからなり、これらの上下半部によって収納袋の一部を内外面から挟着して弁本体を収納袋に装着するように構成してあり、さらに、下半部の中央に収納袋に設けている小径孔に内面側から連通させる排気孔を設けている一方、上半部の中央に弁配設孔を設けて弁板の下面外周部に装着しているパッキンを上記収納袋の小径孔の周縁部上面に圧着させるように構成していることを特徴とする請求項１、請求項２又は請求項３に記載の収納袋の排気弁。
- 可動蓋はドーム形状に形成されていることを特徴とする請求項１、請求項２又は請求項３に記載の収納袋の排気弁。
- 可動蓋は上面が平坦な円板部の外周部に下方に向かって周壁を一体に設けてなり、上記円板部の中央部に吸気用孔を設けていると共にこの吸気用孔の周囲に一定厚みのスポンジ体を敷設してあり、このスポンジ体上に吸引ノズルの開口端を押し付けるように構成していることを特徴とする請求項１、請求項２又は請求項３に記載の収納袋の排気弁。
- 弁本体の下半部に、上下面間に亘って貫通した多数の小径孔を有する円環形状の支持枠を一体に設けてなることを特徴とする請求項４に記載の収納袋の排気弁。
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