JP3922310B2 - アクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステルの製造方法 - Google Patents

アクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
アクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステル(以下、「グリシジルメタクリレート等」と言うことがある)は樹脂改質剤、熱硬化性塗料、接着剤、繊維処理剤、帯電防止剤、およびイオン交換樹脂等種々の工業用原料として広く使用されている。
近年、塗料材料、電子材料および繊維分野において塩素含有量の少ないグリシジルメタクリレート等が求められている。
【0002】
【従来の技術】
グリシジルメタクリレート等は一般的に次の3方法で製造されている。
(1)アクリル酸またはメタクリル酸(以下、「メタクリル酸等」と言うことがある)とエピクロルヒドリンを第4級アンモニウム塩の存在下に反応させ、メタクリル酸等の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエステルを得、これをアルカリにより脱塩化水素させる(特公昭46ー34010、特開昭48−5713)。
(2)メタクリル酸等とエピクロルヒドリンを第4級アンモニウム塩の存在下に反応させ、メタクリル酸等の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエステルを得、エポキシ化合物とエステル交換反応させる(特公昭41−9005、特公昭53−10575、特開昭50−95216)。
(3)メタクリル酸等とアルカリを反応させ、メタクリル酸等のアルカリ金属塩を得、ついで第4級アンモニウム塩の存在下にエピクロルヒドリンと反応させ、脱塩酸させる(特公昭45−28762、特公昭48−4006、特開昭48−39423)。
(1)または(2)の方法では、1,3−ジクロロプロパノール、2,3−ジクロロプロパノールおよびメタクリル酸等の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエステル等の塩素不純物の少ないグリシジルメタクリレート等を高収率で得るために反応液を水酸化アルカリ処理する等の煩雑な工程が必要となる。
また、(3)の方法はメタクリル酸等のアルカリ金属塩は乾燥時に重合等を起こすおそれがあり高収率で得るためには高価なスプレードライヤー等の装置が必要であり、メタクリル酸等のアルカリ金属塩水溶液を別装置で調合する必要があるなど経済性が悪いという欠点がある。
【0003】
上記の問題点を解決すべく、特公平1−13470および特公平1−20152において、過剰量のエピクロルヒドリン中に懸濁させたアルカリ金属の炭酸塩および/または重炭酸塩とメタクリル酸等とを空気を吹き込みながら中和反応させ、中和により生成する水をエピクロルヒドリンと共沸させて反応系外へ除去してメタクリル酸等のアルカリ金属塩を生成せしめ、次いでこの反応系に触媒である第4級アンモニウム塩を添加し、該アルカリ金属塩とエピクロルヒドリンとを反応させて、反応終了後反応生成液に水を添加して洗浄後水層と有機層とを分離し、有機層を蒸留するアクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステルの製造法が開示されている。この方法を用いると、容易にグリシジルメタクリレート等を高収率で合成することが出来る。
しかし、反応で生成したハロゲン化アルカリとグリシドールを水洗で除去すると、1,3−ジクロロプロパノールが多く生成してしまう。1,3−ジクロロプロパノールはグリシジルメタクリレート等と沸点が近似しているため蒸留による分離ができない。また、蒸留中にエピクロルヒドリンを生成する副反応を起こすため、製品として得られるグリシジルメタクリレート等のエピクロルヒドリンおよび加水分解性塩素濃度が高くなる。さらには、グリシジルメタクリレート等の水層への溶け込みおよび加水分解が生じグリシジルメタクリレート等の収量が低下する欠点もある。
反応により生成したアルカリ塩を濾別した場合も、1,3−ジクロロプロパノールの生成は起こらないがグリシドール等の不純物の除去が出来ず、得られた粗グリシジルメタクリレート等および蒸留後の精製グリシジルメタクリレート等はグリシドールを多量に含んだものとなる欠点がある。グリシドールを多く含むグリシジルメタクリレート等はラジカル重合させると重合度が上がらない、もしくは保存安定性が悪い等の問題があり、塗料や樹脂にした場合の性能低下を引き起こす原因となる。そのため、特開平4−235980に開示されている様にグリシドールを取り除くための水洗工程を増加しなければならず操作が煩雑になり工業的に不利である。
【0004】
上記(1)、(2)および(3)の方法で製造された粗グリシジルメタクリレート等は、一般に蒸留により精製されるが、蒸留中に濾過または水洗で取り除ききれない触媒の影響により、例えば化1、化2、化3の様な副反応がおこりエピクロルヒドリン、メタクリル酸のグリセリンエステルおよびグリシドール等が生成して製品の純度および収量を低下させる。
この問題を解決するために、粗グリシジルメタクリレート等にヘテロポリ酸またはそのアルカリ塩を添加してから蒸留分離する方法(特開昭63−255273)、粉末状水酸化アルカリを加えてから蒸留する方法(特開昭52−102217)、第4級アンモニウム塩の存在下に酸素含有ガスでストリッピングした後蒸留を行う方法(特開平4−187682)等が開示されている。
【0005】
【化1】
Figure 0003922310
【0006】
【化2】
Figure 0003922310
【0007】
【化3】
Figure 0003922310
【0008】
しかし、このように製造されたグリシジルメタクリレート等には通常エピクロルヒドリンが300〜10,000ppm、グリシドールが3000〜20,000ppm、加水分解性塩素が3,000〜10,000ppm程度残存しており、このグリシドールおよび残存塩素が塗料材料、電子材料および繊維分野において塗料特性、電気特性の低下、皮膚のかぶれ、そして近年は特にエピクロルヒドリンの発ガン性および作業環境の悪化等の問題を引き起こしている。
したがって、グリシジルメタクリレート等から不純物であるグリシドール、エピクロルヒドリンを含む塩素化合物等は極力除去されることが望ましい。
【0009】
含有エピクロルヒドリン100ppm以下のグリシジルメタクリレートの製造法として、メタクリル酸のアルカリ塩とエピクロルヒドリンとの反応時の水分管理を行い、得られた反応液を希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、水蒸気処理を含んだ蒸留を行う方法(特開平7−2818)が開示されているが、狭い範囲の水分調節が必要であること、複数の洗浄工程が必要であること、初留成分の水分による変質等の問題があり工程が煩雑になり、経済的に優れた工業的製造法とはいいがたい。
【0010】
また、塩素分を全く含まないグリシジルメタクリレート等の製造法として、メタクリル酸等のエステルとグリシドールとをエステル交換させる方法(特開昭47−18801、特開昭55−11542、特開昭55−102575、特開平6−1780等)が開示されているが、グリシドールの貯蔵安定性の悪さおよび重合し易さ等の問題がある。
さらに、アリルメタクリレート等をエポキシ化する方法(特公昭47−6289、特開昭61−183275、特開平5−92962、特開平6−116254等)があるが、原料価格が高く工程数も多くなり経済性が悪いという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記従来技術のもつ欠点を克服した、極めて純度の高いアクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステルの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討の結果、過剰量のエピクロルヒドリン中に懸濁させたアルカリ金属の炭酸塩および/または重炭酸塩とメタクリル酸等とを酸素含有ガスを吹き込みながら中和反応させ、中和により生成する水をエピクロルヒドリンと共沸させて反応系外へ除去してメタクリル酸等のアルカリ金属塩を生成せしめ、次いでこの反応系に触媒を添加し、該アルカリ金属塩とエピクロルヒドリンとを反応させて得た粗グリシジルメタクリレート等を減圧下に過剰のエピクロルヒドリンの一部を回収しながら冷却し、アルカリ水溶液を添加して洗浄後水層と有機層とを分離し、分液した有機層に触媒不活性化剤を加え酸素含有ガスを吹き込みながら蒸留を行うことにより、有害なエピクロルヒドリン300ppm以下、好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、グリシドール濃度3000ppm以下,好ましくは2000ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下、加水分解性塩素3000ppm以下,好ましくは2000ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下のグリシジルメタクリレート等が経済的に有利に高収率および高純度で得られることを見いだした。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において使用するエピクロルヒドリン量は、中和反応時およびエステル化反応時にメタクリル酸等に対して1〜10倍モル以上、好ましくは3〜7倍モル以上が系内に存在しているような量で選ばれるのが好ましい。エピクロルヒドリンが少なすぎるとメタクリル酸等のアルカリ金属塩スラリーの撹拌性が悪く収率低下を招き、エピクロルヒドリンが多すぎると塩素不純物の増加および経済性の低下を起こす。
【0014】
本発明において使用するアルカリ金属塩および重炭酸塩には炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等があり、メタクリル酸等に対して当量以上の量が用いられるが、通常1.0〜1.7の範囲で選ばれるのが好適である。
【0015】
本発明に使用する第4級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、トリメチルエチルアンモニウムクロリド、ジメチルジエチルアンモニウムクロリド、メチルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等が挙げられる。第4級アンモニウム塩は上記の1種でも良く、任意の2種以上のものを組み合わせて使用しても良いが、上記の中でもテトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、およびトリメチルベンジルアンモニウムクロリドが好適に使用される。触媒の使用量は、メタクリル酸等に対して通常0.01〜1.5モル%である。
【0016】
本発明の方法を実施するに当たって、中和反応、エステル化反応および蒸留のいずれにおいても反応系中に重合禁止剤が存在していることが好ましく、アミン系、フェノール系、リン系、イオウ系あるいは遷移金属系の通常用いられている重合禁止剤の中から選んで用いればよい。
【0017】
本発明のエステル化反応終了後に回収するエピクロルヒドリンの回収量は、過剰エピクロルヒドリンの5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは20〜40重量%である。エピクロルヒドリンの回収量が5重量%より少ないと水層と有機層の分離性が向上せず、80重量%より多いと反応液のスラリー性状が悪くなる等の問題が生じる。
【0018】
本発明で使用する水酸化アルカリ水溶液の濃度は、1〜15wt%であり、好ましくは3〜10wt%である。水酸化アルカリ水溶液の使用量は、メタクリル酸等1モルに対して50〜500gであり、好ましくは100〜400g、さらに好ましくは150〜300gである。水酸化アルカリ水溶液を粗グリシジルメタクリレート等に添加する温度は0〜80℃であり、好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは20〜40℃である。
【0019】
本発明で使用する触媒不活性化剤はアルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸のナトリウム塩またはカルシウム塩から選ばれた1種以上であり且つ、該アルカリ金属塩の使用量は、使用する触媒に対して1〜70モル%であり、好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは10〜30モル%である。
【0020】
本発明の反応中および蒸留中に用いる酸素含有ガスには、例えば酸素と窒素との混合ガスや空気等があり、その酸素含有量は1〜30容量%である。酸素含有ガスの使用量はグリシジルメタクリレート等1Kgに対して20℃、常圧下の流量として0.1〜500ml/min、好ましくは1〜300ml/min、さらに好ましくは5〜100ml/minである。
【0021】
【発明の効果】
本発明の製造法の採用により、エピクロルヒドリン含有量、グリシドール含有量および加水分解性塩素含有量が極めて少ない、高純度アクリル酸およびメタクリル酸のグリシジルエステルを容易に高収率で得ることができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例および比較例での原料及び製品の純度測定はGC法により、製品の加水分解性塩素測定は以下に示した(参考例1)。
本実施例等において、原料、製品等の純度(%)は、全て重量%、ppmは重量ベースで示してある。
【0023】
参考例1 加水分解性塩素測定方法
100mlエルレンマイヤーフラスコに製品グリシジルメタクリレート等約1mlを精秤する。フラスコに精メタノール10mlと純水10mlを加えて、製品を溶解させる。次に、フラスコに5N水酸化カリウム10mlを加えた後、還流冷却器に連結して湯浴(90〜100℃)上で撹拌しながら30min加熱分解する。湯浴より取り外し室温まで放冷する。放冷後、フラスコを還流冷却器より外し、フェノールフタレイン(0.1%溶液)指示薬を2〜3滴加えて4N硝酸で中和した後、1ml過剰に加える。自動滴定装置にセットして、N/1000硝酸銀で滴定する。ブランク測定も同時に行い、次式により加水分解性塩素量を算出する。
Figure 0003922310
A:試料のN/1000硝酸銀溶液滴定量(ml)
B:ブランクのN/1000硝酸銀溶液滴定量(ml)
N:規定度(0.001)
f:N/1000硝酸銀溶液のファクター
S:試料採取量(g)
【0024】
実施例1
100Lのステンレス製の反応槽にエピクロルヒドリン72.0Kgと無水炭酸ナトリウム5.86Kgとフェノチアジン0.06Kgを仕込んだ。反応液中に1.0L/minの空気を吹き込みながら昇温し、反応液温度が110℃になったところでメタクリル酸8.0Kgを40分かけて添加した。添加開始後まもなく共沸留出してくるエピクロルヒドリンと水は系外に留去した。添加終了後約30分たつと、反応液温度は115℃まで上昇し、共沸留出はほとんど無くなった。この時得られた共沸留出液はエピクロルヒドリン層20.43Kgと水層1.2Kgであった。次いで、引き続き反応液中に1.0L/minの空気を吹き込みながら、触媒のテトラメチルアンモニウムクロリド0.03Kgを添加し、同温度で1時間反応させた。
反応終了後、減圧下で過剰のエピクロルヒドリンの一部を回収しながら反応液を30℃に冷却してから3%NaOH水溶液20Kgを添加して5分間撹拌した。空気吹き込みを停止して静置後、油層と水層を分離し油層にパラトルエンスルホン酸ナトリウム0.005Kgを添加した後、反応液中に0.2L/minの空気を吹き込みながら、減圧でエピクロルヒドリンを留去後、減圧蒸留してグリシジルメタクリレートを12.3Kgを得た。得られたグリシジルメタクリレートは、収率93%、純度98.5%、エピクロルヒドリン76ppm、グリシドール900ppm、加水分解性塩素550ppmであった。
【0025】
実施例2
実施例1と同様の条件で合成を行い、触媒不活性化剤としてリンタングステン酸ナトリウム40gを添加し、蒸留時の吹き込み空気量を0.2L/minから1L/minに変えて実験を行った結果、得られたグリシジルメタクリレートは収率90.5%、純度99.1%、エピクロルヒドリン55ppm、グリシドール960ppm、加水分解性塩素755ppmであった。
【0026】
実施例3
100Lのステンレス製の反応槽にエピクロルヒドリン72.0Kgと無水炭酸ナトリウム5.86Kgとフェノチアジン0.06Kgを仕込んだ。反応液中に2.0L/minの空気を吹き込みながら昇温し、反応液温度が110℃になったところでメタクリル酸8.0Kgを30分かけて添加した。添加開始後まもなく共沸留出してくるエピクロルヒドリンと水は系外に留去した。添加終了後約30分たつと、反応液温度は115℃まで上昇し、共沸留出はほとんど無くなった。この時得られた共沸留出液はエピクロルヒドリン層21.64Kgと水層1.16Kgであった。次いで、引き続き反応液中に2.0L/minの空気を吹き込みながら、触媒のテトラエチルアンモニウムクロリド0.045Kgを添加し、同温度で1時間反応させた。
反応終了後、減圧下で過剰のエピクロルヒドリンの一部を回収しながら反応液を30℃に冷却してから5%NaOH水溶液22Kgを添加して5分間撹拌した。空気吹き込みを停止して静置後、油層と水層を分離し油層にパラトルエンスルホン酸ナトリウム0.005Kgを添加した後、反応液中に0.4L/minの空気を吹き込みながら、減圧でエピクロルヒドリンを留去後、減圧蒸留してグリシジルメタクリレートを12.1Kgを得た。得られたグリシジルメタクリレートは、収率91.3%、純度98.7%、エピクロルヒドリン68ppm、グリシドール950ppm、加水分解性塩素515ppmであった。
【0027】
比較例1
100Lのステンレス製の反応槽にエピクロルヒドリン72.0Kgと無水炭酸ナトリウム5.86Kgとフェノチアジン0.06Kgを仕込んだ。反応液中に1.0L/minの空気を吹き込みながら昇温し、反応液温度が110℃になったところでメタクリル酸8.0Kgを30分かけて添加した。添加開始後まもなく共沸留出してくるエピクロルヒドリンと水は系外に留去した。添加終了後約30分たつと、反応液温度は115℃まで上昇し、共沸留出はほとんど無くなった。この時得られた共沸留出液はエピクロルヒドリン層19.32Kgと水層1.12Kgであった。次いで、引き続き反応液中に1.0L/minの空気を吹き込みながら、触媒のテトラメチルアンモニウムクロリド0.03Kgを添加し、同温度で1時間反応させた。
反応終了後、減圧下で過剰のエピクロルヒドリンの一部を回収しながら反応液を30℃に冷却してから水22Kgを添加して5分間撹拌した。空気吹き込みを停止して静置後、油層と水層を分離し油層にパラトルエンスルホン酸ナトリウム0.005Kgを添加した後、反応液中に0.2L/minの空気を吹き込みながら、減圧でエピクロルヒドリンを留去後、減圧蒸留してグリシジルメタクリレートを12.0Kgを得た。得られたグリシジルメタクリレートは、収率91%、純度98.1%、エピクロルヒドリン592ppm、グリシドール650ppm、加水分解性塩素7200ppmであった。
【0028】
比較例2
実施例1と同様な条件で合成を行い、触媒不活性化剤としてリンタングステン酸ナトリウム40gを添加し、蒸留時に空気に変えて窒素を0.2L/min吹き込みながら実験を行った結果、蒸留中に重合を起こしてグリシジルメタクリレートは得られなかった。
【0029】
比較例3
実施例1と同様な条件で、反応時に空気を吹き込まずに実験を行った結果、反応中に重合を起こしたため、洗浄後に水層と有機層の分離ができずグリシジルメタクリレートは得られなかった。
【0030】
比較例4
実施例3と同様な条件で、蒸留前に触媒不活性化剤を添加しないで実験を行った結果、残存触媒が悪影響を及ぼし得られたグリシジルメタクリレートは収率89.3%、純度98.2%、エピクロルヒドリン1220ppm、グリシドール840ppm、加水分解性塩素420ppmであった。
【0031】
比較例5
比較例1と同様な条件で、蒸留前に触媒不活性化剤を添加しないで実験を行った結果、残存触媒が悪影響を及ぼし得られたグリシジルメタクリレートは収率86.8%、純度97.3%、エピクロルヒドリン9400ppm、グリシドール480ppm、加水分解性塩素3810ppmであった。
【0032】
比較例6
100Lのステンレス製の反応槽にエピクロルヒドリン72.0Kgと無水炭酸ナトリウム5.86Kgとフェノチアジン0.06Kgを仕込んだ。反応液中に1.0L/minの空気を吹き込みながら昇温し、反応液温度が110℃になったところでメタクリル酸8.0Kgを30分かけて添加した。添加開始後まもなく共沸留出してくるエピクロルヒドリンと水は系外に留去した。添加終了後約30分たつと、反応液温度は115℃まで上昇し、共沸留出はほとんど無くなった。この時得られた共沸留出液はエピクロルヒドリン層18.82Kgと水層1.22Kgであった。次いで、引き続き反応液中に1.0L/minの空気を吹き込みながら、触媒のテトラメチルアンモニウムクロリド0.03Kgを添加し、同温度で1時間反応させた。
反応終了後、空気の吹き込みを停止し、30℃に冷却してから反応液をろ過してハロゲン化アルカリを除去した後、反応液を反応槽に戻し、反応液中に0.2L/minの空気を吹き込みながら、減圧でエピクロルヒドリンを留去後、減圧蒸留してグリシジルメタクリレートを11.5Kgを得た。得られたグリシジルメタクリレートは、収率87.2%、純度97.9%、エピクロルヒドリン3940ppm、グリシドール16520ppm、加水分解性塩素6800ppmであった。
【0033】
比較例7
比較例6と同様な操作でろ過まで行い、反応液を反応槽に戻した後、パラトルエンスルホン酸ナトリウム0.005Kgを添加した後、反応液中に0.2L/minの空気を吹き込みながら、減圧でエピクロルヒドリンを留去後、減圧蒸留してグリシジルメタクリレートを得た。得られたグリシジルメタクリレートは、収率89.6%、純度97.2%、エピクロルヒドリン680ppm、グリシドール19970ppm、加水分解性塩素3300ppmであった。

Claims (6)

  1. 過剰量のエピクロルヒドリン中でアクリル酸またはメタクリル酸とアルカリ金属の炭酸塩および/または重炭酸塩とを反応液中に酸素含有ガスを吹き込みながら中和させて、中和により生成する水をエピクロルヒドリンと共沸させて反応系外へ除去してアクリル酸またはメタクリル酸のアルカリ金属塩を生成せしめ、次いでこの反応系に触媒である第4級アンモニウム塩を添加し、前記酸のアルカリ金属塩とエピクロルヒドリンとを反応させてアクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステルを合成し、反応終了後減圧下に過剰のエピクロルヒドリンの一部を回収しながら反応生成液を冷却した後、反応生成液に水酸化アルカリ水溶液を添加して水層と有機層とを分離し、得られた有機層に触媒不活性化剤を加え、次いで酸素含有ガスを吹き込みながら蒸留分離することによりアクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステルを得ることを特徴とするアクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステルの製造方法。
  2. エステル化反応終了後に回収するエピクロルヒドリン量が、過剰エピクロルヒドリンの5〜80重量%である請求項1の製造方法。
  3. 使用する水酸化アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムから選ばれた1種以上の水溶液であり、使用する水酸化アルカリ水溶液の濃度が1〜15重量%であり、水酸化アルカリ水溶液の使用量がアクリル酸またはメタクリル酸1モルに対して50〜500gであり、水酸化アルカリ水溶液を粗グリシジルメタクリレート等に添加する際の粗グリシジルアクリレートまたは粗グリシジルメタクリレートの液温度が0〜80℃である請求項1の製造方法。
  4. 使用する触媒不活性化剤がアルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸のナトリウム塩またはカルシウム塩から選ばれた1種以上であり、該アルカリ金属塩の使用量が使用する触媒に対して1〜70モル%である請求項1の製造方法。
  5. 反応中および蒸留中の酸素含有ガスの酸素含有量が1〜30容量%であり、該酸素含有ガス使用量がグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレート1Kgに対して20℃、常圧下の流量として0.1〜500ml/minである請求項1の製造方法。
  6. 純度98%以上、エピクロルヒドリン300ppm以下、グリシドール3000ppm以下、加水分解性塩素3000ppm以下のアクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステルを得ることを特徴とする請求項1の製造方法。
JP21755995A 1995-08-25 1995-08-25 アクリル酸またはメタクリル酸のグリシジルエステルの製造方法 Expired - Lifetime JP3922310B2 (ja)

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