JP3915402B2 - 有機el表示素子の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物、それから形成された絶縁膜、および有機el表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は有機EL絶縁膜用感放射線性樹脂組成物、当該絶縁膜および有機EL素子に関する。詳しくは紫外線、遠紫外線、X線、電子線、分子線、γ線、シンクロトロン放射線、プロトンビ−ム等の放射線を利用した絶縁膜の形成に適するポジ型感放射線性樹脂組成物、当該絶縁膜およびそれを用いた有機EL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、自己発光するため視野角依存性がなく、固体素子であるため耐衝撃性に優れ、低電圧駆動、低消費電力及び低温域の動作安定性が高いなど、液晶表示素子と比較して種々の利点がある。また、パッシブ型においては単純マトリックスなので低コストのメリットがある。有機EL素子は、これらの利点を有するため、特に携帯端末や車載等のモバイル用途への適用の期待は高く、盛んに研究がなされている。
このような有機EL素子の製造は、一般的に次のような方法によっている。基板上に錫ドープ酸化インジウム(ITO)などの透明電極(ホール注入電極)およびホール輸送層のパターンを形成する。次いで、パッシブ型有機EL素子にあっては絶縁膜のパターンおよび陰極隔壁のパターンを形成した後、有機EL層、電子輸送層および陰極を蒸着によりパターニングする。また、アクティブ型有機EL素子にあっては、ITOパターンおよびホール輸送層パターンの形成後に有機EL層の隔壁ともなる絶縁膜のパターンを形成した後、有機EL層のパターンをマスキング法により形成し、次いで電子輸送層および陰極を形成する。
ここで、有機EL層としてはAlq3、BeBq3の如き基材母体にキナクリドンやクマリンをドープした材料を用い、陰極材料としては、MgやAgの如き低仕事関数の金属を主体とした材料を用いるのが一般的である。
また、絶縁膜材料としては、アルカリ現像性のアクリル系材料、有機現像性のポリイミド系材料などが一般的に用いられるが、その場合以下の問題があった。ホール輸送層、有機EL層、電子輸送層は、ホールや電子を輸送するのに適した材料という要請から、アミン系などの塩基性の材料で構成されることが多い。しかし、これらの材料は微量の水分による構造の変化、有機物による劣化が起こり易いため、絶縁膜材料の透水性が大きかったり、絶縁膜パターン形成時に現像残りがあったりした場合には、非発光部分(ダークエリア)が広がる現象が起きる。また、低仕事関数の金属を主体として形成される陰極は、酸化され易いため、同様の問題が起きる。
また、特にパッシブ型の場合には、これら塩基性の材料で構成された部分が絶縁膜に直接接する構造をとる。この絶縁膜は、アルカリ現像性または有機現像性を要求されるため、カルボン酸またはフェノール性の酸性を示し、水分を介在し前記塩基性の材料と接触面で反応し、または水分が直接に構造を変化させることになる。絶縁膜の透水性が大きい場合、更に酸による浸食を促進させる原因になっている。また低仕事関数の金属を主体として形成される陰極は、酸と反応して腐食されることにより、ダークスポット(未発光の斑点)の発生することがある。
また、形成された絶縁膜の断面形状の、底辺と、エッジ部の接線とがなす角(テーパー角)が大きい値であると、蒸着によって形成される有機EL層にクラックが発生する場合があり、クラック部から水分が侵入する等して発光不良の原因となる場合がある。
さらに、従来知られた材料を用いた絶縁膜の場合、特にパッシブ型の場合の陰極形成時に使用されるレジスト剥離液に対する耐性が十分でなく、有機EL表示素子を安定的に製造できなかった。
従来、このような問題を解決しうる絶縁膜材料は提案されておらず、寿命の充分に長い有機EL素子を安定的に製造することはできなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、長寿命の有機EL素子の安定的製造に資する絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、上記の感放射線性樹脂組成物から形成された絶縁膜を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、上記の絶縁膜を備えた有機EL素子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的は、(a)ノボラック樹脂、(b)1,2−キノンジアジド化合物、(c)窒素含有塩基性化合物、ならびに(d)メラミン化合物およびエポキシ化合物のうちから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とする、有機EL表示素子の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物によって達成される。
本発明の別の目的は、上記の感放射線性樹脂組成物から形成された有機EL表示素子の絶縁膜によって達成される。
本発明のさらに別の目的は、上記の有機EL表示素子の絶縁膜を有する有機EL表示素子によって達成される。
以下、本発明の有機EL表示素子の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物の各成分について説明する。
【0005】
(a)ノボラック樹脂
本発明に用いられる(a)ノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒存在下で重縮合して得られる。この際使用されるフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、p−フェニルフェノール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトール、ビスフェノールA、ジヒドロキシ安息香酸エステル、没食子酸エステル、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール等を挙げることができる。これらの化合物のうちo−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール等が好ましい。これらのフェノール類は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0006】
また、上記フェノール類と重縮合するアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−エチルベンズアルデヒド、m−エチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド等を挙げることができる。また、反応中にアルデヒドを生成する化合物として、トリオキサン等も前記アルデヒド類と同様に使用できる。これらのうち、特にホルムアルデヒドを好適に用いることができる。これらのアルデヒド類およびアルデヒドを生成する化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。アルデヒド類はフェノール類1モルに対して、通常、0.7〜3モル、好ましくは0.7〜2モルの割合で使用される。
【0007】
酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、蟻酸、酢酸、シュウ酸等を使用することができる。その使用量は、フェノール類1モル当たり1×10-4〜5×10-1モルが好ましい。
重縮合の反応には、通常、反応媒質として水が用いられるが、重縮合の反応において使用するフェノール類がアルデヒド類の水溶液に溶解せず、反応初期から不均一系になる場合には、反応媒質として親水性有機溶媒を使用することもできる。この際使用される溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類を挙げることができる。これらの反応媒質の使用量は、反応原料100重量部当たり、20〜100重量部が好ましい。
【0008】
縮合の反応温度は、反応原料の反応性に応じて適宜調節することができるが、通常、10〜200℃である。重縮合の反応終了後、系内に存在する未反応原料、触媒および反応媒質を除去するため、一般的には温度を130〜230℃に上昇させ、減圧下に揮発分を留去し、ノボラック樹脂を回収することができる。このとき、必要に応じて重縮合反応後の反応混合物を適当な溶剤で洗浄したのちノボラック樹脂の回収工程を行っても良い。
また、ノボラック樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、2,000〜20,000の範囲であり、3,000〜15,000の範囲であることが好ましい。Mwが20,000を超えると、組成物をウェハーに均一に塗布することが困難となる場合があり、さらに現像性および感度が低下する場合がある。一方、Mwが2,000未満の場合には、後述の現像工程において、放射線照射部のみならず放射線未照射部も現像液に対する溶解性を持つことになるため、パターン形成ができなくなる場合がある。
【0009】
(b)1,2−キノンジアジド化合物
本発明で用いられる(b)1,2−キノンジアジド化合物としては、放射線を吸収してカルボン酸を発生する構造を有する1,2−キノンジアジド化合物が好適に使用でき、例えば1,2−ベンゾキノンジアジドスルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、1,2−ベンゾキノンジアジドスルホン酸アミド、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミド等を挙げることができる。
【0010】
これらの具体例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のトリヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類;
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,2’−テトラヒドロキシ−4’−メチルベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,2’−テトラヒドロキシ−4’−メチルベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のテトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル;
【0011】
2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のペンタヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル;
2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のヘキサヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル;
【0012】
ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、4,4’−〔1−〔4−〔1−〔4−ヒドロキシフェニル〕−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、4,4’−〔1−〔4−〔1−〔4−ヒドロキシフェニル〕−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等の(ポリヒドロキシフェニル)アルカンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが挙げられる。
【0013】
これらの化合物のほかに、J. Kosar 著“Light-Sensitive Systems”339〜352(1965)、John Wiley & Sons 社(New York)やW. S. De Fores 著“Photoresist”50(1975) McGraw-Hill, Inc.(New York)に記載されている1,2−キノンジアジド化合物を用いることができる。
これらは、その一部または全量を上記(a)ノボラック樹脂と反応させて縮合体を形成した形態で用いてもよい。
【0014】
これらの1,2−キノンジアジド化合物のうち、好ましくは、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のトリヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類;
2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のテトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル;ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、トリ(p−ヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルが挙げられる。
【0015】
さらに好ましくは、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のテトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル;1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルが挙げられる。
【0016】
上記の1,2−キノンジアジド化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
(b)1,2−キノンジアジド化合物の添加量は(a)ノボラック樹脂100重量部に対して、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜50重量部である。この添加量が5重量部未満のときは、パターンニングが困難になる場合があり、一方、100重量部を越える場合は、アルカリ性水溶液からなる現像液による現像が困難となる場合がある。
【0017】
上記(a)ノボラック樹脂、および(b)1,2−キノンジアジド化合物を含有することにより、本発明の感放射線性樹脂組成物から形成された絶縁膜は、現像残滓がなく、かつ有機EL素子用として透水性が十分に低く、微量の水分が原因のダークエリアの発生を押さえることができる。
【0018】
(c)塩基性含窒素化合物
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(c)塩基性含窒素化合物を使用することによって該組成物から形成された絶縁膜は、塩基性材料で構成されるホール輸送層、有機EL層、および電子輸送層ならびに低仕事関数の金属を主体として構成される陰極との反応性が十分に抑制されており、これらが浸食されることによるダークスポットの発生を押さえることができる。
本発明に用いられる(c)塩基性含窒素化合物としては、露光やベークにより塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましく、たとえば、
▲1▼下記一般式(1)
R1R2R3N ...(1)
(式中、 R1、R2 およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。ただし、 R1、R2 およびR3が同時に水素原子となることはない。)
で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、
▲2▼同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、
▲3▼窒素原子を3個以上有する重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、
▲4▼アミド基含有化合物、
▲5▼ウレア化合物、および
▲6▼含窒素複素環化合物のうちから選ばれる1種以上を使用することができる。
【0019】
▲1▼含窒素化合物(I)の具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアミン類が好ましい。
【0020】
▲2▼含窒素化合物(II)の具体例としては、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン等を挙げることができる。
【0021】
▲3▼含窒素化合物(III)の具体例としては、ポリ(4−ピリジン)、ポリ(2−ピリジン)、ポリ(N−2−ピロリドン)、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
【0022】
上記▲4▼アミド基含有化合物の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
上記▲5▼ウレア化合物の具体例としては、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0023】
上記、▲6▼含窒素複素環化合物の具体例としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2] オクタン等を挙げることができる。
これらのうち、ピリジン類が特に好ましく使用できる。
【0024】
これらの塩基性含窒素化合物のうち、▲1▼含窒素化合物(I)、および▲6▼含窒素複素環化合物等が好ましく用いられる。
本発明において、(c)塩基性含窒素化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における塩基性含窒素化合物の使用量は、(a)ノボラック樹脂100重量部当たり、通常、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部である。この場合、塩基性含窒素化合物の使用量が0.01重量部未満では、有機EL素子の寿命の向上効果が十分に得られない場合があり、また20重量部を超えると、感放射線性樹脂組成物としての感度や露光部の現像性が低下する場合がある。
【0025】
(d)メラミン化合物およびエポキシ化合物のうちから選ばれる少なくとも一つの化合物
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(d)メラミン化合物およびエポキシ化合物のうちから選ばれる少なくとも一つの化合物を使用することによって、該組成物から形成された絶縁膜は、特にパッシブ型有機EL表示素子の陰極形成時に使用されるレジスト剥離液に対する耐性が十分に高く、レジスト剥離液に晒されても絶縁膜が剥離することがない。
【0026】
本発明で使用されるメラミン類は、下記一般式(2)で表される。
【0027】
【化1】
【0028】
(式中、R4〜R9は同一でも異なっていてもよく、水素原子または−CH2OR基を示し、Rは水素原子またはC1〜C6のアルキル基を示す。ただし、R4〜R9のうち、少なくとも1つは必ず−CH2OR基である。)
上記一般式(2)で表わされるメラミン類としては、例えばヘキサメチロールメラミン、ヘキサブチロールメラミン、部分メチロール化メラミン及びそのアルキル化体、テトラメチロールベンゾグアナミン、部分メチロール化ベンゾグアナミン及びそのアルキル化体等を挙げることができる。
これらメラミン類のうち実用上市販されているサイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300(以上、三井サイアナミッド(株)製)、
ニカラックMx−750、−032、−706、−708、−40、−31、ニカラックMs−11、ニカラックMw−30(以上、三和ケミカル社製)などを好ましく使用することができる。
【0029】
これらメラミン類の添加量は、(a)ノボラック樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部である。添加量が1重量部より少ないと架橋密度が低下し、絶縁膜形成後の耐アルカリ性に劣る場合があり、また100重量部を越えると組成全体のアルカリ溶解性が高くなりすぎるため、現像後の残膜率が低化するという問題が起こり易くなる。
【0030】
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテルなどが挙げられるが、具体的にはたとえば下記のような市販品を用いることができる。
【0031】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、エピコート152、154(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、EPPN 201、202(以上、日本化薬(株)製)等;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EOCN−102、103S、104S、1020、1025、1027(以上、日本化薬(株)製)、エピコート180S75(油化シェルエポキシ(株)製)等;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、エピコート1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010、828(以上、油化シェルエポキシ(株)製)等;
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート807(油化シェルエポキシ(株)製)等;
環式脂肪族エポキシ樹脂としては、CY−175、177、179(以上、チバガイギー(社)製)、ERL−4234、4299、4221、4206(以上、U.U.C(社)製)、ショーダイン509(昭和電工(株)製)、アルダライトCY−182、192、184(以上、チバガイギー(社)製)、エピクロン200、400(以上、大日本インキ(株)製)、エピコート871、872(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、ED−5661、5662(以上、セラニーズコーティング(株)製)等;
脂肪族ポリグリシジルエーテルとしては、エポライト100MF、200E、400E(以上、共栄社油脂化学工業(株)製)、エピオールTMP(日本油脂(株)製)等が挙げられる。
【0032】
これらは、2種以上組み合わせて用いることもできる。
エポキシ樹脂の添加量は、(a)ノボラック樹脂100重量部に対して好ましくは1〜100重量部であり、さらに好ましくは5〜50重量部である。
【0033】
その他の添加剤
本発明の感放射線性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、その他の添加剤を使用することができる。このようなその他の添加剤としては、例えば、増感剤、界面活性剤、接着助剤、保存安定剤、消泡剤等が挙げられる。
【0034】
上記増感剤は、本発明の感放射線組成物の放射線に対する感度を向上させる目的で配合することができる。増感剤としては、例えば2H−ピリド−(3,2−b)−1,4−オキサジン−3(4H)−オン類、10H−ピリド−(3,2−b)−(1,4)− ベンゾチアジン類、ウラゾ−ル類、ヒダントイン類、バルビツ−ル酸類、グリシン無水物類、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル類、アロキサン類、マレイミド類等が挙げられる。これらの増感剤の配合量は、(b)1,2−キノンジアジド化合物100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは1〜50重量部である。
【0035】
上記界面活性剤は、塗布性、例えばストリエーションや乾燥塗膜形成後の放射線照射部の現像性を改良するために配合することができる。
界面活性剤としては例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等の、ポリエチレングリコールジアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、303、352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、172、173(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC−101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系またはメタクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.57、95(共栄社化学(株)製)等が挙げられる。このような界面活性剤の配合量は、組成物の固形分あたり、通常2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
【0036】
上記接着助剤は、本発明の感放射線性組成物から形成された絶縁膜と基板との密着性を改良するために使用することができる。
このような接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が好ましく使用され、例えばカルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的にはトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。このような界面活性剤の配合量は、組成物の固形分100重量部あたり、通常15重量部以下、好ましくは10重量部以下である。
【0037】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、通常溶媒に溶解させた状態に調整され、使用される。
本発明の感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、上記の(a)ノボラック樹脂、(b)1,2−キノンジアジド化合物、(c)塩基性含窒素化合物、(d)メラミン類、エポキシ樹脂類、および任意に添加されるその他の添加剤を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。
【0038】
本発明の感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸ブチル等のエステル類を挙げることができる。
【0039】
これらの溶剤の中で、溶解性、各成分との反応性および塗膜の形成のしやすさから、グリコールエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、エステル類およびジエチレングリコール類が好ましく用いられる。
これらの溶剤は、単独でまたは混合して用いることができる。
【0040】
さらに必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ− ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等の高沸点溶剤を添加することもできる。
【0041】
本発明の感放射線性組成物は、上記の溶媒を用いて調製される。その使用目的により、適宜の固形分濃度を採用できるが、例えば、固形分濃度20〜40重量%とすることができる。
また上記のように調製された組成物溶液は、孔径0.2μm程度のミリポアフィルタなどを用いて濾過した後、使用に供することもできる。
【0042】
有機EL表示素子の絶縁膜の形成方法
本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて、例えば次のようにして有機EL表示素子の絶縁膜を形成することができる。
本発明の感放射線性樹脂組成は、下地基板表面に塗布し、プレベークにより溶媒を除去することによって塗膜とすることができる。塗布方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法などの適宜の方法を採用することができる。
また、プレベークの条件は、各成分の種類、配合割合などによっても異なるが、通常60〜110℃で0.5〜15分間程度の条件が最適である。
プリベーク後の膜厚は感放射線組成物の固形分濃度や塗布条件により所望の値とすることができるが、0.25〜4μm程度とすることができる。
【0043】
次に、形成された塗膜に所定のパターンのマスクを介して放射線を照射する。ここで用いられる放射線としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)等の紫外線、KrFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらのうち、g線およびi線が好ましい。
放射線を照射した後、現像液を用いて現像処理して放射線の照射部分を除去することにより所望のパターンを得ることができる。ここで用いられる現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類;ジメチルエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン等のアルコ−ルアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩またはピロ−ル、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−(5.4.0)−7− ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−(4.3.0)−5−ノナン等の環状アミン類を水に溶解したアルカリ水溶液が好ましく使用される。また該現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル類や界面活性剤を適量添加して使用することもできる。さらに本発明の組成物を溶解する各種有機溶媒も現像液として使用することができる。
現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法等を利用することができる。
【0044】
現像処理後に、パターニングされた膜に対し、例えば流水洗浄によるリンス処理を行ってもよい。
さらに、高圧水銀灯などによる放射線を全面に照射することにより、当該膜中に残存する1,2−キノンジアジド化合物の分解処理を行うこともできる。
【0045】
その後、この膜をホットプレート・オーブン等の加熱装置を用いて加熱することにより硬化処理を行う。この硬化処理における加熱温度は、例えば150〜250℃とすることができ、加熱時間は、ホットプレート上で焼成を行う場合には5〜30分間、オーブン中で焼成を行う場合には30〜90分間とすることができる。
【0046】
有機EL素子の製造
本発明の有機EL素子は、前記の如くして形成された絶縁膜を備えている。
本発明の有機EL素子は例えば下記の如くして製造される。
ガラス基板上にITO等の透明電極をスパッタリングで形成し、その上にポジ型フォトレジストのパターンを形成する。次いで、例えば塩酸系エッチャントでITO膜をエッチングし、レジスト膜を剥離して透明電極をパターン化例えばストライプ状にパターン化する。このパターン化された透明電極を持つ基盤上に、上記の如くして本発明の絶縁膜のパターンを形成する。次いで、電子輸送層、逆テーパー状のカソード隔壁を形成し、正孔輸送層、有機EL発光層、カソード層を順次形成する。
正孔輸送層としては例えばCuPc、H2Pcの如きフタロシアニン系材料、あるいは芳香族アミンが用いられる。また、有機EL発光材料としては、例えばAlq3、BeBq3の如き基材母体にキナクリドンやクマリンをドープした材料の如きいわゆる低分子有機EL材料や、ポリフェニレンビニレン系、フルオレン系の如き高分子有機EL材料が用いられる。さらに、カソード材料としては、例えばMg−Al、Al−Li、Al−Li2O、Al−LiFなどが用いられる。
次に、中空構造のSUS缶と上記基板をエポキシ樹脂等の封止材で封止したのち、モジュールに組立て、有機EL素子とすることができる。
【0047】
本発明の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物は、上記のとおり、
(a)ノボラック樹脂、(b)1,2−キノンジアジド化合物、(c)窒素含有塩基性化合物、ならびに(d)メラミン化合物およびエポキシ化合物のうちから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有する組成物からなる。
上記有機EL発光材料として低分子有機EL材料が使用される場合、有機EL発光層の形成には一般に蒸着法が採用され、このような有機EL表示素子に用いる絶縁膜形成用組成物としては本発明の組成物が好ましく使用できる。
また、上記有機EL発光材料として高分子有機EL材料が使用される場合、有機EL発光層の形成には一般に有機EL発光材料を溶媒に溶解して塗布する方法が採用され、このような有機EL表示素子に用いる絶縁膜形成用組成物としても本発明の組成物が好ましく使用できる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を下記実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、下記において測定した分子量は、東洋ソーダ製GPCクロマトグラフHLC−8020でポリスチレン換算重量平均分子量である。
【0049】
ノボラック樹脂の合成例1
冷却管、攪拌機および温度計を装着した1Lのステンレス(SUS316L)製の釜に、メタクレゾール 57g(0.6mol)、パラクレゾール 38g(0.4mol)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液75.5g(ホルムアルデヒド 0.93mol相当)、p−トルエンスルホン酸一水和物 0.95g(0.005mol)、およびメチルイソブチルケトン 264gを仕込んだ後、フラスコを油浴中に浸し、反応液を還流させながら、130℃で攪拌下4時間重縮合を行った。
次いで油浴の温度を3時間かけて180℃まで昇温し、その後に、釜内の圧力を30mmHgまで減圧して揮発分を除去し、溶融している樹脂を室温まで冷却して回収した。この樹脂を酢酸エチルに樹脂成分が30%になるように溶解した後、この溶液重量の1.3倍量のメタノールと、0.9倍量の水を加えて、攪拌放置した。
2層に分離した下層を取り出し、濃縮、乾燥して樹脂1を回収した。この樹脂1の重量平均分子量(Mw)は、8,000であった。
【0050】
ノボラック樹脂の合成例2
冷却管、攪拌機および温度計を装着した1Lのステンレス(SUS316L)製の釜に、メタクレゾール 76g(0.8mol)、2,3−キシレノール 13.9g(0.12mol)、3,4−キシレノール 9.3g(0.08mol)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液 78g(ホルムアルデヒド 0.96mol相当)、 p−トルエンスルホン酸一水和物 0.95g(0.005mol)、およびメチルイソブチルケトン 264gを仕込んだ後、釜を油浴中に浸し、反応液を還流させながら、攪拌下4時間重縮合を行った。
次いで油浴の温度を3時間かけて180℃まで昇温し、その後に、釜内の圧力を30mmHgまで減圧して揮発分を除去し、溶融している樹脂を室温まで冷却して回収した。この樹脂を酢酸エチルに樹脂成分が30%になるように溶解した後、この溶液重量の1.3倍量のメタノールと、0.9倍量の水を加えて、攪拌放置した。
2層に分離した下層を取り出し、濃縮、乾燥して樹脂2を回収した。この樹脂2の重量平均分子量(Mw)は、7,500であった。
【0051】
ノボラック樹脂の合成例3
攪拌機および温度計を装着した1Lのフラスコに、メタクレゾール 54.07g(0.50mol)、パラクレゾール 54.07g(0.50mol)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液 71g(ホルムアルデヒド 0.88mol相当)、シュウ酸二水和物 6.3g(0.05mol)を仕込んだ後、フラスコを油浴に浸し、内温を100℃に保持して攪拌しながら120分間重縮合反応を行った。次いで油浴温度を180℃まで上昇させ、フラスコ内の圧力を30mHgまで減圧し、揮発分を除去した後、溶融した樹脂3を室温に戻して回収した。樹脂3の重量平均分子量(Mw)は、8、800であった。
【0052】
参考例1
(a)成分および(b)成分を含有する感放射線性樹脂組成物の調製
(a)成分として合成例1で得られた樹脂1を100重量部、および(b)成分として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル)との縮合物(1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル) 30重量部を混合し、固形分濃度が30重量%となるよう3−メトキシプロピオン酸メチルで希釈、溶解させた後、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、組成物溶液を調製した。
【0053】
(1)感放射線性の評価
ガラス基板上に上記で調製した組成物溶液を、1.0μmの膜厚になるようにスピンコートし、80℃で1.5分間ホットプレート上でプレベークした。その後、30μmのライン・アンド・スペースのパターンマスクを介してニコン製NSR1755i7A縮小投影露光機(NA=0.50、λ=365nm)で露光を行った後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、1分間現像した。その後、水で流水洗浄し、乾燥してウェハー上にパターンを形成し、30μmのパターンが形成できた最小露光量を調べた。この値を表1に示す。この値が200mJ/cm2以下のとき、感放射線性は良好といえる。
【0054】
(2)パターン状薄膜の形成
ガラス基板上に上記で調製した組成物溶液を、1.0μmの膜厚になるようにスピンコートし、80℃で1.5分間ホットプレート上でプレベークした。その後、所定のパターンマスクを介して、ニコン製NSR1755i7A縮小投影露光機(NA=0.50、λ=365nm)で露光を行った。このときの露光量は、上記(1)で測定した、30μmのパターンが形成できた最小露光量とした。その後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、1分間現像した。その後、水で流水洗浄し、乾燥してウェハー上にパターンを形成した。次いで、キャノン製アライナーPLA501Fを用いてghi混合線で300mJ/cm2の紫外線を照射し、さらにオーブンにて220℃、60分間加熱して、パターン状薄膜を形成した。
【0055】
(3)断面形状の評価
上記で形成したパターン状薄膜の断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所(株)製、形式「S−4200」)で調べ、断面形状のテーパー角(パターンの断面形状の底辺と、エッジ部の接線とがなす角。以下同じ。)を測定した。結果を表1に示す。この値が50゜以下のとき、パターンの断面形状は良好といえる。
【0056】
(4)現像残りの有無
ITOを蒸着したガラス基板上に(2)と同様にしてパターン状薄膜を形成後、以下の2つの方法により現像残りの有無を調べた。
▲1▼グリーンランプ((株)フナテック社製)を用い、目視で観察。
▲2▼走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、形式「S−4200」)を使用し、倍率40,000倍にて観察。
観察結果を表1に示す。
【0057】
(5)透水性
厚さ25μmのポリイミドシート上に、上記組成物溶液を膜厚10μmになるようスピン法にて塗布し、80℃で1.5分間プレベ−クし、次いで220℃にて60分間加熱し、ポリイミドシート上に硬化膜を形成した。この膜で、蒸留水15gを入れたアルミカップを密封するよう覆った。これを50℃の恒温槽に入れ、150時間後のカップの重量減少を測定し、単位面積当たりの透水性を計算にて求めた。結果は表1に示した。この値が500g/cm2以下のとき、透水性は十分低いと言える。
【0058】
(6)未発光部の有無
評価用の有機ELパネルを作製し、100cd/m2 { (Red:100+Green:200+Blue:100)cd/m2÷3×0.7≒100cd/m2 }の画面輝度で点灯試験を行い、目視にて未発光部の有無を調べた。結果を表1に示す。
【0059】
(7)輝度半減寿命
評価用の有機ELパネルを作製し、100cd/m2 { (Red:100+Green:200+Blue:100)cd/m2÷3×0.7≒100cd/m2 }の画面輝度、温度105℃で点灯促進試験を行った。画面輝度が半減するまでの時間を表1に示した。この値が400時間以上のとき、輝度半減寿命は良好といえる。
【0060】
参考例2、3
参考例1において、(a)成分および(b)成分の種類と添加量を表1の通りとした他は参考例1と同様に実施し、評価した。結果は表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
ただし、表1において、添加量の単位は重量部であり、化合物ア、イおよびウは、下記の化合物を表す。
化合物ア:1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル)との縮合物(1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル)
化合物イ:4,4'−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物(4,4'−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル)
化合物ウ:2,3,4−ヒドロキシベンゾフェノン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物(2,3,4−ヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル)
【0063】
参考例4
(a)成分、(b)成分および(c)成分を含有する感放射線性樹脂組成物の調製
(a)成分として合成例3で得られた樹脂3を100重量部、(b)成分として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル)との縮合物(1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル) 40重量部、(c)成分としてN,N−ジメチルピリジン 1重量部を混合し、固形分濃度が30重量%となるよう3−メトキシプロピオン酸メチルで希釈、溶解させた後、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、組成物溶液を調製した。
【0064】
上記の組成物溶液を使用して参考例1と同様に実施し、感放射線性、断面形状、現像残りの有無、透水性、未発光部の有無、および輝度半減寿命を評価した。結果を表2に示す。
【0065】
参考例5、6
参考例4において、(a)成分、(b)成分、および(c)成分の種類と添加量を表2の通りとした他は参考例4と同様に実施し、評価した。結果は表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】
ただし、表2において、添加量の単位は重量部であり、化合物ア、イおよびウは表1と同じであり、化合物A、B、C、およびDは下記の化合物を表す。
化合物A:N,N−ジメチルピリジン
化合物B:トリフェニルアミン
化合物C:トリアクチルアミン
化合物D:ニコチン酸アミド
【0068】
参考例7
(a)成分、(b)成分および(d)成分を含有する感放射線性樹脂組成物の調製
(a)成分として合成例2で得られた樹脂2を100重量部、(b)成分として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル)との縮合物(1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル) 30重量部、および(d)成分としてサイメル300(三井サイアナミッド(株)製、メラミン化合物)25重量部を混合し、固形分濃度が30重量%となるよう3−メトキシプロピオン酸メチルで希釈、溶解させた後、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、組成物溶液を調製した。
【0069】
上記の組成物溶液を使用して参考例1と同様に実施し、感放射線性、断面形状、現像残りの有無、透水性、未発光部の有無、および輝度半減寿命を評価した。結果を表3に示す。
【0070】
(8)耐アルカリ性の評価
パターン状薄膜を形成したガラス基板を25℃に温度制御された1%NaOH水溶液中に20分間浸漬させた。このときの浸漬前の膜厚をT1、浸漬後の膜厚をt1とし、浸漬前後の膜厚の比(t1/T1)×100〔%〕を算出した。この結果を表3に示した。この値が95〜105%のとき、耐アルカリ性は良好といえる。
【0071】
(9)耐溶剤性の評価
パターン状薄膜を形成したガラス基板を25℃に温度制御されたジメチルスルホキシド/N−メチルピロリドン混合溶液(重量比70/30)に20分間浸漬させた。このときの浸漬前の膜厚をT2、浸漬後の膜厚をt2とし、浸漬前後の膜厚の比(t2/T2)×100〔%〕を算出した。この結果を表3に示した。この値が95〜105%のとき、耐溶剤性は良好といえる。
【0072】
(10)耐熱性の評価
パターン状薄膜を形成したガラス基板につき、220℃にて60分間の追加ベークを実施した。このときの追加ベーク前の膜厚をT3、追加ベーク後の膜厚をt3とし、追加ベーク前後の膜厚の比(t3/T3)×100〔%〕を算出した。この結果を表3に示した。この値が95〜105%のとき、耐熱性は良好といえる。
【0073】
参考例8、9
参考例7において、(a)成分、(b)成分、および(d)成分の種類と添加量を表3の通りとした他は参考例7と同様に実施し、評価した。結果は表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
ただし、表3において、添加量の単位は重量部であり、化合物ア、イおよびウは表1と同じであり、メラミンα、メラミンβおよびエポキシαは以下のものである。
メラミンα:三井サイアナミッド(株)製、「サイメル300」
メラミンβ:三井サイアナミッド(株)製、「サイメル370」
エポキシα:油化シェルエポキシ(株)製、「エピコート152」
【0076】
実施例1
(a)成分、(b)成分、(c)成分、および(d)成分を含有する感放射線性樹脂組成物の調製
(a)成分として合成例1で得られた樹脂1を100重量部、(b)成分として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル)との縮合物(1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル) 45重量部、(c)成分としてニコチン酸アミド5重量部、および(d)成分としてサイメル300(三井サイアナミッド(株)製、メラミン化合物)30重量部を混合し、固形分濃度が30重量%となるよう3−メトキシプロピオン酸メチルで希釈、溶解させた後、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、組成物溶液を調製した。
【0077】
上記の組成物溶液を使用して参考例7と同様に実施し、感放射線性、断面形状、現像残りの有無、透水性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐熱性、未発光部の有無、および輝度半減寿命を評価した。結果を表4に示す。
【0078】
実施例2、3
実施例1において、(a)成分、(b)成分、(c)成分、および(d)成分の種類と添加量を表4の通りとした他は実施例1と同様に実施し、評価した。結果は表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
ただし、表3において、添加量の単位は重量部であり、化合物ア、イおよびウは表1と同じであり、化合物A、化合物B、および化合物Dは表2と同じであり、メラミンα、メラミンβおよびエポキシαは表3と同じであり、メラミンγおよびエポキシβは下記のものである。
メラミンγ:三井サイアナミッド(株)製「サイメル303」
エポキシβ:油化シェルエポキシ(株)製「エピコート154」
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、透水性が充分に低くかつ良好な断面形状を有する有機EL素子の絶縁膜、およびそれを形成するための感放射線性樹脂組成物が提供される。本発明の有機EL表示素子の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物およびそれから形成された絶縁膜は、長寿命の有機EL素子の安定的製造に資する。
また、本発明の有機EL表示素子は、発光不良がなく、十分に長い輝度半減寿命を持つ。
Claims (3)
- (a)ノボラック樹脂、(b)1,2−キノンジアジド化合物、(c)窒素含有塩基性化合物、ならびに(d)メラミン化合物およびエポキシ化合物のうちから選ばれる少なくとも一つの化合物を含有することを特徴とする、有機EL表示素子の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物。
- 請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物から形成された有機EL表示素子の絶縁膜。
- 請求項2に記載の絶縁膜を有する有機EL表示素子。
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