JP4438080B2 - 絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物及び有機エレクトロルミネッセンス素子用絶縁膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンスを「EL」と略記する。)用絶縁膜、及び該絶縁膜を有する有機EL素子に関する。さらに詳しくは、本発明は、裾広がり型形状の有機EL素子用絶縁膜の形成用として用いられるポジ型感放射線性樹脂組成物、この感放射線性樹脂組成物を用いて形成された裾広がり型形状の有機EL素子用絶縁膜、及び該裾広がり型形状の絶縁膜を有する有機EL素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電界発光を利用したEL素子は、自己発光のため視認性が高く、かつ完全固体素子であるため、耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。
このEL素子には、発光材料に無機化合物を用いてなる無機EL素子と有機化合物を用いてなる有機EL素子とがあり、このうち、特に有機EL素子は、印加電圧を大幅に低くしうる上、小型化が容易であって、消費電力が小さく、面発光が可能であり、かつ三原色発光も容易であることから、次世代の発光素子としてその実用化研究が積極的になされている。
この有機EL素子の発光体部の構成としては、一般に、透明基板上に順次設けられた透明電極層(陽極)/有機発光体薄膜層(有機発光層)/金属電極層(陰極)の構成を基本とし、これに正孔注入輸送層や電子注入層を適宜設けたもの、例えば陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/陰極や、陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極などの構成のものが知られている。該正孔注入輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、また、電子注入層は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有している。そして、該正孔注入輸送層を発光層と陽極との間に介在させることによって、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入され、さらに、発光層に陰極又は電子注入層より注入された電子は、正孔注入輸送層が電子を輸送しないので、正孔注入輸送層と発光層との界面に蓄積され発光効率が上がることが知られている。
図1は、有機EL素子の1例の原理図であって、有機EL素子は、この図で示すように、一般に透明基板1上に設けられた透明電極層(陽極)2の上に、正孔注入輸送層7、有機発光層8及び電子注入層9からなる有機EL材料層5が積層され、さらにその上に金属電極層(陰極)6が積層された構成を有している。そして、陽極と陰極との間に電流を流すことにより、有機発光層8において発光が生じ、この場合は、透明基板1側から発光が取り出される。
この有機EL素子を作製するには、まず、ガラス板などの透明基板上に、蒸着法やスパッタリング法などでパターニングされた透明電極層(陽極)を形成したのち、その上に所望のパターンを有する絶縁膜を設ける。この絶縁膜は、例えばポリイミド樹脂膜のエッチング法やフォトレジストを用いるフォトリソグラフィー法により設けることができる。なお、該絶縁膜は遮光膜を兼ねることもできる。
次いで、このようにして透明基板上に設けられた絶縁膜を介して、断面形状が矩形型又は逆テーパ型のレジストパターン層をフォトリソグラフィー法により設けたのち、このレジストパターン層を樹脂隔壁層とし、各隔壁層間に真空蒸着法により、例えば正孔注入輸送層、有機発光層及び電子注入層を順次設けて有機EL材料層を形成し、さらにその上に金属電極層(陰極)を積層することにより、発光体部を形成する。最後にこの発光体部上に封止層を形成することにより、封止された有機EL素子が得られる。
図2は、一般の有機EL素子における発光体部の1例の構成を示す部分断面図である。すなわち、パターニングされた透明電極層2が設けられた透明基板1上に、絶縁膜3を介して断面形状が逆テーパ型のレジストパターン層(樹脂隔壁層)4が設けられている。そして、このレジストパターン層とレジストパターン層との間に、表面に金属電極層6を有する有機EL材料層(透明電極層側から、順次正孔注入輸送層、有機発光層及び電子注入層が設けられた構成のもの)5が設けられ、発光体部がレジストパターン層4とは非接触に独立の状態で形成されている。また、レジストパターン層4上も、機能上必要ではないが、製造上の都合から、表面に金属電極層6aを有する有機EL材料層5aが形成されている。
このような構成の有機EL素子における絶縁膜3は、図2で示すように、通常断面形状が矩形状である。しかしながら、該絶縁膜の断面形状が矩形状の場合、各樹脂隔壁層4間の透明電極層2上に、真空蒸着法により有機EL材料層を形成し、さらにその上に金属電極層(陰極)を積層して発光体部を形成する際に、真空蒸着の性質上、発光体部の側面が垂直の平坦面にはなりにくく、また場合により金属電極層の蒸着時に、該金属電極材料の側面部への回り込みによって、発光の不均一化をもたらしたり、あるいは金属電極材料が透明電極上に付着し、短絡が生じるなど、不良品の発生頻度が多いという問題があった。
このような問題を解決するには、上記絶縁膜の形状としては、上面の端縁部が丸みを帯び、かつ裾広がり型形状のものが有利であることが考えられる。該絶縁膜がこのような形状のものである場合、金属電極層の蒸着時に、金属電極材料の回り込みが生じにくくなる。
また、近年、基板上に、底面に透明電極層が露出したホールを所望のパターン状に複数設け、このホール内にインクジェット方式により高分子有機EL材料をノズルにより噴射して、有機EL材料層を形成し、さらにその上に金属電極層を積層して有機EL素子を作製する技術が開発されている。この場合、各ホールとホールとの間には、絶縁膜(遮光膜を兼ねることができる)からなるバンクが設けられるが、この絶縁膜も、断面形状が矩形状のものよりも、上面の端縁部が丸みを帯び、かつ裾広がり型形状のものが有利であると考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、有機EL素子用絶縁膜として好適な、上面の端縁部が丸みを帯びると共に、裾広がり型形状の絶縁膜を与える感放射線性樹脂組成物、この樹脂組成物を用いて得られた上記裾広がり型形状の有機EL素子用絶縁膜、及び該裾広がり型形状の絶縁膜を有する有機EL素子を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の温度で硬化する熱硬化性成分を含むポジ型感放射線性樹脂組成物が、上面の端縁部が丸みを帯びると共に、裾広がり型形状の絶縁膜形成用として、その目的に適合し得ること、そして、この組成物を用い、フォトリソグラフィー法や電子線照射により、所望パターンを有する樹脂膜を形成したのち、加熱し、硬化させることにより、所望形状の裾広がり型形状の有機EL素子用絶縁膜が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)(A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)キノンジアジドスルホン酸エステルと、(C)有機溶剤と、(D)熱硬化性成分とを含有する感放射線性樹脂組成物において、(D)熱硬化性成分の硬化開始温度が、前記(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)キノンジアジドスルホン酸エステル及び(C)有機溶剤からなる感放射線性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の耐熱温度より、5〜50℃高い硬化開始温度であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物、
(2)(A)成分のアルカリ可溶性樹脂が、フェノール類とアルデヒド類又はケトン類との縮重合で得られたノボラック型樹脂である第1項記載の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物、
(3)(A)成分のアルカリ可溶性樹脂が、一般式[1]
【化4】
(式中のR1は水酸基又は炭素数1〜4のアルキル基、mは0又は1〜3の整数を示し、mが2又は3の場合、各R1はたがいに同一でも異なっていてもよい。)
で表されるアミノ基含有芳香族化合物を単量体の一成分とするアルカリ可溶性樹脂を少なくとも含むものである第1項記載の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物、
(4)(D)成分の熱硬化性成分が、一般式[2]
【化5】
[式中のR2は、式
【化6】
で表される基(nは3〜8の整数)を示す。]
で表される熱硬化性イミド樹脂である第1項ないし第3項のいずれかに記載の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物、
(5)(A)成分100重量部当たり、(D)成分1〜20重量部を含む第1項ないし第4項のいずれかに記載の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物、
(6)第1項ないし第5項のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成された所望パターンを有する樹脂膜を加熱し、硬化させて得られる、厚さ0.3〜3μmの裾広がり型形状の有機エレクトロルミネッセンス素子用絶縁膜、及び
(7)第6項記載の絶縁膜を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の有機EL素子の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物(以下、単に「本発明の感放射線性樹脂組成物」と略称することがある。)について説明する。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)キノンジアジドスルホン酸エステル、(C)有機溶剤、及び(D)熱硬化性成分を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物である。
前記(A)成分であるアルカリ可溶性樹脂については特に制限はなく、従来、キノンジアジドスルホン酸エステルを感光剤とするポジ型フォトレジストに慣用されているアルカリ可溶性樹脂の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、フェノール類とアルデヒド類又はケトン類との縮合反応生成物(ノボラック型樹脂)、ビニルフェノール系重合体、イソプロペニルフェノール系重合体、これらのフェノール樹脂の水素添加反応生成物などを挙げることができる。これらの縮合反応生成物は、常法、例えばフェノール類とアルデヒド類又はケトン類とを酸性触媒存在下で反応させることにより得ることができる。
上記樹脂の中で、フェノール類とアルデヒド類又はケトン類との縮合反応生成物において、原料として用いられるフェノール類の例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,6−キシレノール、1,2,3−トリメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−プロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、3−メチルメトキシフェノールなどの一価のフェノール類;レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、フロログルシノール、ピロガロールなどの多価フェノール類などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0006】
また、アルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、アセトアルデヒド、ヒドロキシアセトアルデヒドなどが、ケトン類の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトンなどが挙げられる。
【0007】
一方、ビニルフェノール系重合体やイソプロペニルフェノール系重合体は、ビニルフェノールやイソプロペニルフェノールの単独重合体及びビニルフェノールやイソプロペニルフェノールと共重合可能な成分との共重合体の中から選択される。共重合可能な成分の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、酢酸ビニル、アクリロニトリルやこれらの誘導体などが例示される。該共重合体は周知の方法により得ることができる。
さらに、フェノール樹脂の水素添加反応生成物は、任意の公知の方法、例えば上記のフェノール樹脂を有機溶剤に溶解させ、均一系又は不均一系触媒の存在下、水素添加を行うことにより得ることができるものである。
これらのアルカリ可溶性樹脂は、さらに公知の手段により分子量や分子量分布を制御したものとして用いることもできる。分子量や分子量分布を制御する方法としては、樹脂を破砕し、適当な溶解度をもつ有機溶剤で固−液抽出するか、樹脂を良溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下するか、あるいは貧溶剤を滴下して固−液又は液−液抽出するなどの方法が挙げられる。
この(A)成分のアルカリ可溶性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明においては、上記アルカリ可溶性樹脂の中でも、特にフェノール類とアルデヒド類とを、酸触媒の存在下で重縮合させることによって得られるアルカリ可溶性フェノール系ノボラック型樹脂、及びこのフェノール系ノボラック型樹脂と後述の一般式[1]で表されるアニリン類構造含有ノボラック型樹脂との混合物が好適である。また、これらのノボラック型樹脂に用いられるフェノール類としては、m−クレゾールとp−クレゾールとの混合クレゾールが好ましい。
【0008】
また、本発明においては、アルカリ可溶性樹脂として、上述したもののほか一般式[1]
【化7】
(式中のR1は水酸基又は炭素数1〜4のアルキル基、mは0又は1〜3の整数を示し、mが2又は3の場合、各R1はたがいに同一でも異なっていてもよい。)
で表されるアミノ基含有芳香族化合物を、単量体の一成分とするアルカリ可溶性樹脂(以下、アニリン類構造含有樹脂と称す。)を用いることができる。このようなアニリン類構造含有樹脂を、アルカリ可溶性樹脂の少なくとも一部として用いることにより、特に基板に対する密着性に優れる絶縁膜が得られる。
【0009】
前記一般式[1]で表されるアミノ基含有芳香族化合物の例としては、アニリン、2,3−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、3,5−ジ−tert−ブチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、2,4,6−トリ−tert−ブチルアニリン、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノールなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該アニリン類構造含有樹脂としては、前記のフェノール類と該アミノ基含有芳香族化合物とアルデヒド類又はケトン類とを酸性触媒存在下に縮重合させて得られるノボラック型樹脂(以下、アニリン類構造含有ノボラック型樹脂と称す。)が好ましい。
このアニリン類構造含有ノボラック型樹脂は、通常フェノール類100重量部に対し、前記一般式[1]で表されるアミノ基含有芳香族化合物0.1〜60重量部、アルデヒド類10〜20重量部、シュウ酸1〜3重量部の割合で混合し、温度70〜95℃で1〜5時間程度反応させることにより、製造することができる。このようにして得られたアニリン類構造含有ノボラック型樹脂は、重量平均分子量が、ポリスチレン換算で500〜10,000、好ましくは1,000〜5,000の範囲にあるものが有利である。
本発明においては、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂として、前記アニリン類構造含有樹脂を単独で用いてもよいし、他の前記アルカリ可溶性樹脂と組み合わせて用いてもよい。一般に、一般式[1]で表されるアミノ基含有芳香族化合物成分の全アルカリ可溶性樹脂中の含有量は、0.1〜40重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜30重量%である。
【0010】
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(B)成分として用いられるキノンジアジドスルホン酸エステルについては特に制限はなく、従来感光剤として公知のものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このキノンジアジドスルホン酸エステルとしては、例えばポリフェノール化合物のフェノール性水酸基が、一定の割合で、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル化、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホン酸エステル化、1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸エステル化、1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化されたものなどが挙げられる。これらの中でも好ましくは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、より好ましくは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルである。1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルを用いることにより感度と解像性のバランスの良い感放射線性樹脂組成物を提供することができる。
【0011】
ここで用いるポリフェノール類は、フェノール性水酸基を分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上、より好ましくは4つ有するものである。このポリフェノール類の例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,2',4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2',4'−ペンタヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン類;トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニルメタン等のポリヒドロキシトリスフェニルアルカン類;フェノール類とホルマリンとのトリマー、フェノール類とホルマリンとのテトラマー、さらにノボラック型樹脂などが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
ポリフェノール類として、特にトリ又はテトラヒドロキシベンゾフェノン類を用いて得られたキノンジアジドスルホン酸エステルは、良好な感度と解像性を与えるので好適である。
これらのエステルの製造方法は特に制限されないが、常法に従ってキノンジアジドスルホン酸ハライド(好ましくはキノンジアジドスルホン酸クロライド)を、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒中で炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機塩基、又は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリジン、ジシクロヘキシルアミン等の有機塩基の存在下、ポリフェノール化合物と反応させることにより得ることができる。
【0012】
本発明で用いられるエステルにおいて、これらのポリフェノール類の水酸基のキノンジアジドスルホン酸エステル化された水酸基の割合(平均エステル化率)は、反応時に用いるポリフェノール類の水酸基の当量数とキノンジアジドスルホン酸ハライドのモル数から算出される値であり、通常60%以上、好ましくは65%以上であって、上限は通常100%、好ましくは90%である。この平均エステル化率が60%以上であれば、パターン形状や解像性を向上させることができる。
本発明においては、この(B)成分のキノンジアジドスルホン酸エステルは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルは、全感光剤中の含有量が20重量%以下、好ましくは10重量%以下に制御するのが、組成物の保存安定性の観点から有利である。
本発明の感放射線性樹脂組成物においては、この(B)成分のキノンジアジドスルホン酸エステルの含有量は、前記(A)成分のアルカリ可溶性樹脂100重量部当たり、通常1〜50重量部、好ましくは10〜30重量部の範囲で選定される。該(B)成分の含有量が上記範囲内であれば、実効感度と残膜率、解像性などのレジスト特性のバランスに優れる感放射線性樹脂組成物が得られる。
【0013】
この感放射線性樹脂組成物において用いられる(C)成分の有機溶剤としては特に制限はなく、従来フォトレジストの溶剤として公知のもの、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、4−オクタノンなどの直鎖のケトン類;n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルコールエーテル類;ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類;セロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル類;プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルなどのジエチレングリコール類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトンなどの飽和γ−ラクトン類;トリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミドなどの極性溶媒などが挙げられる。これらの溶剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、溶剤の使用量は、前記各成分を均一に溶解又は分散するのに十分な量であればよい。
本発明においては、この(A)成分と(B)成分と(C)有機溶剤とからなる感放射線性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の耐熱温度が、通常90〜130℃、好ましくは95〜125℃の範囲になるような熱特性を有するものを用いるのが有利である。
なお、この樹脂膜の耐熱温度は、以下に示す方法により測定した値である。
0.7μm厚のガラス基板上に、300nmのITO(インジウムチンオキシド)膜が形成されたITO基板上に前記(A)成分と(B)成分と(C)有機溶剤とからなり、後述の(D)成分を含有しない感放射線性樹脂組成物を塗布、乾燥して厚さ1.2μmのレジスト膜を設けたのち、マスクを介して10μmのライン・アンド・スペースのパターンを形成し、次いでホットプレート上で5分間加熱して、加熱前の線幅の120%を超えた際の温度を、樹脂膜の耐熱温度とする。
本発明の感放射線性樹脂組成物における(D)成分の熱硬化性成分としては、上述の方法で測定された樹脂膜の耐熱温度より高い温度で硬化するものが用いられる。この熱硬化性成分の硬化温度が、該樹脂膜の耐熱温度以下である場合には、所望の裾広がり型形状の絶縁膜が得られない。好ましい硬化開始温度は、該樹脂膜の耐熱温度よりも5℃以上高い温度であり、より好ましくは10℃以上高い温度である。また、硬化開始温度が、該樹脂膜の耐熱温度より、高すぎると、裾広がり率が大きくなりすぎて、所望形状の絶縁膜が得られない原因となる。したがって、硬化開始温度は、該樹脂膜の耐熱温度より50℃高い温度以下が好ましく、より好ましくは30℃高い温度以下である。
【0014】
この(D)成分である熱硬化性成分としては、硬化開始温度が前記の範囲にあると共に、レジスト特性及び得られる膜の絶縁性を損なわないものであればよく、特に制限されず、様々な熱硬化性化合物、具体的にはエポキシ樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、イミド樹脂、ポリウレタン、マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などを用いることができるが、これらの中でイミド樹脂、特に熱硬化性イミド樹脂が好ましい。このような熱硬化性イミド樹脂としては、例えば一般式[2]
【化8】
[式中のR2は、式
【化9】
で表される基(nは3〜8)を示す。]
で表されるビスアリルナジイミドなどを挙げることができる。このビスアリルナジイミドは、熱により硬化し、高い耐熱性を示す。
この(D)成分である熱硬化性成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、感放射線性樹脂組成物中のその含有量は、効果の点から、前記(A)成分のアルカリ可溶性樹脂100重量部当たり、通常1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部の範囲で選定される。
【0015】
本発明の感放射線性樹脂組成物においては、形成される絶縁膜に遮光膜としての機能を付与する目的で、所望によりカーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、黒色有機顔料や赤、青、緑、紫、黄、シアン、マゼンタの中から選ばれる少なくとも2種の有機顔料を混合して擬似黒色化した混色有機顔料からなる有機系顔料などから選ばれる少なくとも1種の遮光材を含有させることができる。
この遮光材は、感放射線性樹脂組成物中に20〜80重量%の割合で含有させるのがよく、特に遮光性の観点から、チタンブラックが好ましい。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物には、感度を高める目的で、所望により前記ポリヒドロキシベンゾフェノン類、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類及びそのメチル置換体などのフェノール化合物、あるいはメルカプトオキサゾール、メルカプトベンゾキサゾール、メルカプトオキサゾリン、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾリン、ベンゾチアゾロン、メルカプトベンゾイミダゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトピリミジン、イミダゾロン及びこれらの誘導体などを含有させることができる。
さらに、本発明の感放射線性樹脂組成物においては、解像性、残膜率を向上させるための補助剤として、イソシアヌレート系化合物を配合することもできる。このイソシアヌレート系化合物としては、例えば1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジエチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートなどを挙げることができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物には、さらに必要に応じて相溶性のある添加物、例えば樹脂膜の性能などを改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、界面活性剤などの慣用成分を添加することができる。
【0016】
次に、本発明の有機EL素子用絶縁膜は、前述の感放射線性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィー法により基板上に形成された所望パターンの樹脂膜を加熱処理してなる上面の端縁部が丸みを帯びた裾広がり型形状の絶縁膜である。加熱処理後のパターンの基板に接する部分の面積は、加熱処理前の該面積に対し、140%以下の大きさであるのが望ましい。この裾広がり率[基板に接する部分の面積の加熱処理前の該面積に対する比率(%)]が140%を超えると所望のパターン形状及び所望の厚さを有する絶縁膜が得られないことがある。逆に裾広がり率が小さいと加熱前の形状が矩形やこれに近い形状の場合、所望の裾広がり型形状が得られないことがある。こうした観点から、裾広がり率は、好ましくは100%より大きく140%以下、より好ましくは102〜130%の範囲である。
絶縁膜の厚さは、0.3〜3μm、好ましくは0.5〜2μm、より好ましくは1〜1.5μmの範囲である。
図3は、本発明の絶縁膜において、フォトリソグラフィー法により形成された樹脂膜を加熱処理した場合の形状変化の1例を示す説明図であって、実線で囲まれた部分が、矩形の樹脂膜の断面図を示し、破線で囲まれた部分が、該樹脂膜を加熱処理して得られた本発明の絶縁膜の断面図を示す。100×(b/a)2の値が、裾広がり率である。
本発明の有機EL素子用絶縁膜が設けられる基板としては、透明基板上にパターニングされた透明電極層(陽極)を有するものを用いることができる。
上記透明基板としては、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上であり、かつ平滑な基板が望ましい。このような透明基板としては、例えばガラス板、ポリマー板等が挙げられる。ガラス板としては、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等が好ましく挙げられる。またポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。これらの中で、通常ガラス板が好ましく用いられる。
【0017】
上記陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を電極物質とする透明電極が好ましく用いられる。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/cm2以下のものが好ましい。このようなものとしては、ITO、SnO2、ZnO、In−Zn−Oなどの導電性材料を電極物質とするものを挙げることができる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させればよい。陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
【0018】
このような本発明の有機EL素子用絶縁膜は、以下に示す方法により効率よく製造することができる。
まず前述の感放射線性樹脂組成物を用い、基板、具体的にはパターニングされた透明電極層(陽極)を有する透明基板上に、フォトリソグラフィー法や電子線描画法などにより、所望のパターンを有する断面が実質上矩形状の樹脂膜を形成する。次いで、該樹脂膜を、前述の方法で得られた耐熱温度より高い温度において加熱処理し、樹脂膜中の(D)成分である熱硬化性成分を硬化させることにより、上面の端縁部が丸みを帯びると共に、裾広がり型形状の本発明の有機EL素子用絶縁膜が得られる。
【0019】
次に、該絶縁膜の具体的な製造方法について説明する。
パターニングされる透明電極層(陽極)を有する透明基板上に、前述の感放射線性樹脂組成物を、スピンナーなどで塗布し、乾燥して樹脂層を設ける。この際、樹脂層の厚さは、最終的に得られる絶縁膜が所定の厚さになるように制御される。次いで、これに縮小投影露光装置などにより、所望のマスクパターンを介して紫外線、deep−UV、エキシマレーザー光などを照射するか、あるいは電子線により描画し、加熱する。その後これを現像液、例えば1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理することにより、所望形状のパターンを有する断面が実質上矩形状の樹脂膜を形成する。
【0020】
次に、このようにして形成された樹脂膜を、前述の方法で得られた耐熱温度より高い温度、好ましくは5℃以上高い温度、より好ましくは10℃以上高い温度で加熱処理し、該樹脂膜中の熱硬化性成分を硬化させる。この際、加熱処理温度は、該耐熱温度及び使用する熱硬化性成分の硬化開始温度などに応じて、上面の端縁部が丸みを帯びた裾広がり型形状の絶縁膜が形成するように制御することが肝要である。
上記耐熱温度としては、90〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは95〜180℃の範囲である。また、該樹脂膜の加熱処理温度としては130〜300℃の範囲が好ましく、特に150〜250℃の範囲が好ましい。また、加熱処理時間は、加熱処理温度や加熱処理装置に左右され、一概に定めることはできないが、加熱処理装置として、ホットプレートを用いる場合、通常30〜900秒間程度であり、オーブンを用いる場合は、10〜120分間程度である。
このようにして、本発明の有機EL素子用絶縁膜が効率よく得られる。この絶縁膜は、上記のように高温での加熱処理が施されているので、膜中の揮発成分は、ほぼ完全に除去されており、有機EL素子に対して、悪影響を及ぼすことがない。
【0021】
本発明はまた、このようにして作製された絶縁膜を有する有機EL素子をも提供する。
次に、本発明の有機EL素子の1例の製造方法について説明する。
前述のようにして、パターニングされた透明電極層(陽極)を有する透明基板上に設けられた本発明の裾広がり型形状の絶縁膜を介して、従来公知の方法によりレジストパターン層を形成させる。このレジストパターン層の断面形状としては、矩形型及び逆テーパ型のいずれであってもよい。
断面形状が矩形型のレジストパターン層を形成させる場合、使用する感放射線性樹脂組成物としては、非化学増幅型、化学増幅型のいずれであってもよいし、ポジ型、ネガ型のいずれであってもよい。このような感放射線性樹脂組成物としては、例えば(1)アルカリ可溶性ノボラック型樹脂と、キノンジアジド基含有化合物を必須成分として含む非化学増幅型のポジ型フォトレジスト、(2)酸の作用によりアルカリに対する溶解性が変化する樹脂と、放射線の照射により酸を発生する化合物を必須成分として含む化学増幅型のポジ型フォトレジスト及び(3)アルカリ可溶性樹脂と、酸架橋性物質と、放射線の照射により酸を発生する化合物を必須成分として含む化学増幅型のネガ型フォトレジストなどのフォトレジストを挙げることができる。
一方、断面形状が逆テーパ型のレジストパターン層を形成させる場合、使用する感放射線性樹脂組成物としては、例えば特許第2989064号記載のもの、具体的には(A)光線による露光によって、又は露光と引き続く熱処理によって架橋する成分、(B)アルカリ可溶性樹脂、及び(C)露光する光線を吸収する化合物を少なくとも1種含有し、かつ、アルカリ性水溶液を現像液とするネガ型フォトレジストなどを挙げることができる。
【0022】
これらのフォトレジストを用いて、レジストパターン層を設ける方法は特に制限がなく、従来慣用されているフォトリソグラフィー法によって、断面形状が矩形型又は逆テーパ型のレジストパターン層を形成することができる。このレジストパターン層の厚さは、通常0.5〜数μm程度である。
次に、このようにして、パターニングされた透明電極層を有する透明基板上に、本発明の絶縁膜を介してレジストパターン層を形成したのち、まず、真空蒸着法により正孔注入輸送層を設ける。この場合、蒸着条件は使用する化合物(正孔注入輸送層の材料)、目的とする正孔注入輸送層の結晶構造や再結合構造等により異なるが、一般に蒸着源温度50〜450℃、真空度1×10-5〜1×10-1Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜1μmの範囲で適宜選択することが好ましい。
次いで、この正孔注入輸送層上に有機発光層を真空蒸着法により形成する。この場合、その蒸着条件は使用する化合物により異なるが、一般的に正孔注入輸送層の形成と同様な条件範囲の中から選択することができる。膜厚は10〜40nmの範囲が好ましい。
次に、この有機発光層上に、真空蒸着法により電子注入層を設ける。この場合、蒸着条件は正孔注入輸送層、有機発光層と同様の条件範囲から選択することができる。膜厚は5nm〜1μmの範囲で適宜選択することが好ましい。
そして、最後に、真空蒸着法により陰極を積層する。この陰極は金属から構成されるものであり、その膜厚は50〜200nmの範囲が好ましい。
このようにして、透明基板上に、透明電極層(陽極)、有機EL材料層(正孔注入輸送層、有機発光層、電子注入層)及び金属電極層(陰極)からなる積層体(発光体部)が形成される。
図4は、本発明の有機EL素子における発光体部の1例の構成を示す部分断面図である。すなわち、パターニングされた透明電極層2が設けられた透明基板1上に、本発明の裾広がり型形状の絶縁膜3'を介して断面形状が逆テーパ型のレジストパターン層(樹脂隔壁層)4が設けられている。そして、このレジストパターン層とレジストパターン層との間に、表面に金属電極層6を有する有機EL材料層(透明電極層側から、順次正孔注入輸送層、有機発光層及び電子注入層が設けられた構成のもの)5が設けられ、発光体部が形成されている。また、レジストパターン層4上も、機能上必要ではないが、製造上の都合から、表面に金属電極層6aを有する有機EL材料層5aが形成されている。
このような有機EL素子においては、絶縁膜3'が図4で示すように裾広がり型形状を有しているため、金属電極層6を蒸着により積層する際に、金属電極材料の回り込みによる透明電極層2上への付着が生じないので、短絡など好ましくない事態を招来することがない。
【0023】
本発明の絶縁膜は、有機EL素子において、上記のような用途に用いられるほか、基板上に設けられた所望パターンのホール内に、インクジェット方式により高分子有機EL材料をノズルより噴射し、有機EL材料層を形成させることにより得られる有機EL素子において、各ホールとホール間に設けられる絶縁膜からなるバンク用としても、用いることができる。
前記有機EL素子において、有機発光層は(1)電界印加時に、陽極又は正孔注入輸送層により正孔を注入することができ、かつ陰極又は電子注入層より電子を注入することができる注入機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能などを有している。この発光層に用いられる発光材料の種類については特に制限はなく、従来有機EL素子における発光材料として公知のものを用いることができる。このような発光材料の具体例としては、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤や、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン誘導体、芳香族ジメチリジン化合物などが挙げられる。
正孔注入輸送層は、正孔伝達化合物からなる層であって、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入輸送層を陽極と発光層との間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入される。その上、発光層に陰極又は電子注入層により注入された電子は、発光層と正孔注入輸送層の界面に存在する電子の障壁により、この発光層内の界面付近に蓄積されEL素子の発光効率を向上させ、発光性能の優れたEL素子とすることができる。この正孔注入輸送層に用いられる正孔伝達化合物については特に制限はなく、従来有機EL素子における正孔伝達化合物として公知のものを使用することができる。この正孔伝達化合物の具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系化合物、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマーなどの特定の導電性高分子オリゴマーなどが挙げられる。
【0024】
電子注入層は、陰極により注入される電子を有機発光層に伝達する機能を有している。この電子注入層に用いられる電子伝達化合物については特に制限はなく、従来有機EL素子における電子伝達化合物として公知のものを使用することができる。このような電子伝達化合物の具体例としては、ニトロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、さらには8−キノリノール又はその誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ−8−キノリノール)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリラート)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノール)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、8−キノリノールリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノール)カリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノール)カルシウム、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)ベリリウム、ビス(2−メチル−8−キノリノール)ベリリウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノール)亜鉛、ビス(8−キノリノール)スズ、トリス(7−プロピル−8−キノリノール)アルミニウムなどが挙げられる。
なお、上記有機発光層、正孔注入輸送層及び電子注入層は、それぞれの材料の一種又は二種以上からなる一層で構成されていてもよく、あるいは異なる材料からなる層を二層以上積層したものであってもよい。
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物などを電極物質とする金属電極が用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、Al/酸化アルミニウム、インジウム、希土類金属などが挙げられる。また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/cm2以下が好ましい。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
合成例1 アニリン類構造含有ノボラック型樹脂Aの合成
m−クレゾール50.0g(0.520モル)、p−クレゾール50.0g(0.520モル)、アニリン25.0g(0.268モル)、37重量%ホルムアルデヒド108.4g(1.308×1.0モル)、シュウ酸0.60gを冷却管と撹拌装置を装着した2リットルのフラスコに仕込み、反応温度を95〜100℃に保ちながら4時間反応させた。この後、さらに、180℃まで昇温しつつ1.33kPaまで減圧し、未反応モノマー及び水を除去した後、室温に戻して回収し、アニリン類構造含有ノボラック型樹脂Aを138.2g得た。この樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は3200であった。
合成例2 アニリン類構造含有ノボラック型樹脂Bの合成
合成例1において、アニリン25.0gをp−アミノフェノール25.0gに変更した以外は合成例1と同様の反応を行い、アニリン類構造含有ノボラック型樹脂Bを143.6g得た。この樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は2800であった。
【0026】
実施例1 ポジ型レジスト(A−1)の調製
m−クレゾール/p−クレゾールの混合クレゾール(重量比50/50)とホルマリンとを、シュウ酸触媒の存在下に縮合させて得られた重量平均分子量5500のノボラック型樹脂100重量部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率67モル%)22重量部、熱硬化性イミド樹脂「BANI−M」[丸善石油化学(株)製、商品名]5重量部及びポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)450重量部を混合し、完全に溶解させたのち、ポリテトラフルオロエチレン製の孔径0.5μmのメンブレンフィルター[ミリポア社製]にてろ過し、ポジ型レジスト(A−1)を調製した。
実施例2 ポジ型レジスト(A−2)の調製
実施例1で得られたポジ型レジスト(A−1)に対し、その中のノボラック型樹脂100重量部当たり、ポリエステル系分散剤により分散処理したチタンブラック30重量部(チタンブラック純分として)及びPGMEA106重量部を混合し、完全に均一分散させて、ポジ型レジスト(A−2)を調製した。
実施例3 ポジ型レジスト(A−3)の調製
実施例1で用いたノボラック型樹脂70重量部、合成例1で得られたアニリン類構造含有ノボラック型樹脂A30重量部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率67モル%)25重量部、熱硬化性イミド樹脂「BANI−M」[丸善石油化学(株)製、商品名]5重量部及びPGMEA450重量部を混合し、完全に溶解させたのち、ポリテトラフルオロエチレン製の孔径0.5μmのメンブレンフィルター[ミリポア社製]にてろ過し、ポジ型レジスト(A−3)を調製した。
実施例4 ポジ型レジスト(A−4)の調製
実施例3において、合成例1で得られたアニリン類構造含有ノボラック型樹脂A30重量部の代わりに、合成例2で得られたアニリン類構造含有ノボラック型樹脂B30重量部を用いた以外は、実施例3と同様にして、ポジ型レジスト(A−4)を調製した。
【0027】
比較例1 ポジ型レジスト(A−5)の調製
m−クレゾール/p−クレゾールの混合クレゾール(重量比50/50)とホルマリンとを、シュウ酸触媒の存在下に縮合させて得られた重量平均分子量5500のノボラック型樹脂100重量部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(平均エステル化率67モル%)22重量部及びPGMEA430重量部を混合し、完全に溶解させたのち、ポリテトラフルオロエチレン製の孔径0.5μmのメンブレンフィルター[ミリポア社製]にてろ過し、ポジ型レジスト(A−5)を調製した。
【0028】
耐熱性試験例
透明ガラス基板上に、実施例1で得られたポジ型レジスト(A−1)、実施例2で得られたポジ型レジスト(A−2)、実施例3で得られたポジ型レジスト(A−3)、実施例4で得られたポジ型レジスト(A−4)及び比較例1で得られたポジ型レジスト(A−5)を、それぞれスピンコーターにより、乾燥膜厚が1.0μmになるように塗布し、ホットプレート上で100℃にて90秒間加熱してフォトレジスト層を形成した。
次に、該フォトレジスト層を、露光機として「PLA501F」[キャノン社製]を用い、マスクを介して120mJ/cm2のエネルギーで露光し、潜像を得たのち、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像処理し、断面形状が実質上矩形状のレジストパターン[30μmのラインアンドスペース(L/S)]を形成した。
次に、ホットプレート上で、各樹脂膜を第1表に示す温度にて180秒間加熱処理し、裾広がり型形状の絶縁膜を作製した。裾広がり率[100×(b/a)2%]を、走査型電子顕微鏡(SEM)写真により求めた。その結果を第1表に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
第1表から分かるように、実施例1〜4の絶縁膜は、比較例1の絶縁膜に比べて、裾広がり率がはるかに小さい。
また、いずれの絶縁膜も、上面の端縁部は丸みを帯びており、またJIS C 6481により測定される比誘電率は3.3〜3.5の範囲であった。
【0031】
密着性試験例
実施例3で得られたポジ型レジスト(A−3)、実施例4で得られたポジ型レジスト(A−4)及び比較例1で得られたポジ型レジスト(A−5)を、ガラス板上にITOを300nmの厚さで製膜した透明ガラス基板上にそれぞれスピンコーターにより、乾燥膜厚が1.0μmになるように塗布し、ホットプレート上で100℃にて90秒間加熱してフォトレジスト層を形成した。
次に、該フォトレジスト層を、露光機として「PLA501F」[キヤノン社製]を用い、マスクを介して100mJ/cm2のエネルギーで露光し、潜像を得たのち、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像処理し、断面形状が実質上矩形状のレジストパターン(30μmのL/S)を形成した。ここで得られたパターンをマスクとし、塩酸と塩化第二鉄の混合水溶液(37%塩酸/純水/第二塩化鉄=50wt%/25wt%/25wt%)を用い、45℃にてエッチング処理を行った。レジストが塗布されていないITO基板をエッチング液に浸漬し、300nmのITO膜が完全に取り除かれる時間をジャストエッチング時間と定義し、実際のエッチング時間はジャストエッチング時間×1.5とした。エッチング後、レジスト下部のITOのアンダーカット状況をSEMを用いて測定した。また、一般にエッチング前にポストベークを行うことによりサイドエッチング量が減少することが知られており、ホットプレート上130℃にて3分間ポストベークを行ったものについても同様の検討を行った。
第2表にサイドエッチング量を示す。
【0032】
【表2】
【0033】
第2表からアニリン類構造含有ノボラック型樹脂を併用することにより、密着性に関して向上していることが判明した。
【0034】
実施例5
(1)絶縁膜の作製
表面にパターニングされた膜厚120nmのITO透明電極膜を有する25×75×1.1mmサイズのガラス基板上に、実施例2で得られたポジ型レジスト(A−2)をスピンコーターにより、乾燥膜厚が1.0μmになるように塗布し、ホットプレート上で100℃にて90秒間加熱してレジスト層を形成した。
次いで、露光機として「PLA501F」[前出]を用い、所望のパターンを有するマスクを介して、該レジスト層を120mJ/cm2のエネルギーで露光し、潜像を得たのち、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像処理した。その後、ホットプレート上で、200℃にて180秒間加熱処理することにより、裾広がり率117%で、厚さ1.0μmの裾広がり型形状の絶縁膜を作製した。
【0035】
(2)逆テーパ型レジストパターンの形成
m−クレゾール/p−クレゾール重量比60/40の仕込みでホルムアルデヒドと付加縮合した重量平均分子量5200のノボラック型樹脂100重量部、ヘキサメトキシメチル化メラミン10重量部、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン3重量部、及び4−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)−フェノール3重量部をエチルセロソルブアセテート300重量部に溶解してメンブレンフィルターでろ過して感光性組成物を調製した。
次に、上記(1)で得た絶縁膜を設けてなるガラス基板上に、上記組成物をスピンコートし、ホットプレート上で90℃で60秒間加熱して1.5μmの膜厚の樹脂膜を形成した。
次いで、露光機として「PLA501F型」(前出)を用い、所望のパターンを有するマスクを介して、該レジスト膜を露光したのち、0.5重量%NaOH水溶液で60秒間パドル現像処理した。この操作により、絶縁膜上に逆テーパ型のレジストパターンが形成された。次に、254nmの照度が1.2mW/cm2の高圧水銀灯を200秒間照射して、該レジストパターンを焼き固めることにより、有機EL素子用部材を作製した。
【0036】
(3)有機EL素子の作製
上記(2)で作製した有機EL素子用部材を基板として用い、市販の蒸着装置[日本真空技術(株)製]の基板ホルダーに固定すると共に、モリブデン製抵抗加熱ボートにN,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニル−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジアミン(以下、TPDと略記する)200mgを入れ、また別のモリブデン製抵抗加熱ボートに4,4'−ビス(2,2'−ジフェニルビニル)ビフェニル(以下、DPVBiと略記する)200mgを入れたのち、真空槽を1×10-4Paまで減圧した。
次いで、TPD入りのボートを215〜220℃まで加熱し、TPDを蒸発速度0.1〜0.3nm/秒で蒸着させて、膜厚60nmの正孔注入輸送層を形成した。この際の基板温度は室温であった。これを真空槽より取り出すことなく、DPVBi入りのボートを240℃まで加熱し、DPVBiを蒸着速度0.1〜0.3nm/秒で上記正孔注入輸送層上に蒸着させ、膜厚40nmの発光層を形成した。この際の基板温度も室温であった。
これを真空槽より取り出し、上記発光層の上にステンレススチール製のマスクを設置し、再び基板ホルダーに固定したのち、モリブデン製ボートにトリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、Alq3と略記する)200mgを入れ、また別のモリブデン製ボートにマグネシウムリボン1gを入れ、さらにタングステン製バスケットに銀ワイヤー500mgを入れて、これらのボートを真空槽に装着した。
次に、真空槽を1×10-4Paまで減圧してから、Alq3入りのボートを230℃まで加熱し、Alq3を蒸着速度0.01〜0.03nm/秒で上記発光層上に蒸着させて、膜厚20nmの電子注入層を形成した。さらに、銀を蒸着速度0.1nm/秒で上記電子注入層上に蒸着させると同時に、マグネシウムを蒸着速度1.4nm/秒で上記電子注入層上に蒸着させ、マグネシウムと銀との混合金属からなる膜厚150nmの陰極を形成することにより、図4に示す有機EL素子の発光体部を形成した。
次に、常法に従って封止層などを形成して有機EL素子を作製した。
この素子にITO膜を陽極、混合金属膜を陰極として直流電圧を印加したところ、明所にて5Vから青色発光が確認でき、視認性が極めて良好であった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、特定の温度で硬化する熱硬化性成分を含むものであって、有機EL素子用絶縁膜として好適な、上面の端縁部が丸みを帯びると共に、裾広がり型形状の絶縁膜を与えることができる。
このような絶縁膜を用いることにより、有機EL素子を、不良品の発生頻度が低く、安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、有機EL素子の1例の原理図である。
【図2】図2は、一般の有機EL素子における発光体部の1例の構成を示す部分断面図である。
【図3】図3は、本発明の絶縁膜において、フォトリソグラフィー法により形成された樹脂膜を加熱処理した場合の形状変化の1例を示す説明図である。
【図4】図4は、本発明の有機EL素子における発光体部の1例の構成を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 透明電極層
3、3' 絶縁膜
4 逆テーパ型のレジストパターン層
5、5a 有機EL材料層
6、6a 金属電極層
7 正孔注入輸送層
8 有機発光層
9 電子注入層
Claims (7)
- (A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)キノンジアジドスルホン酸エステルと、(C)有機溶剤と、(D)熱硬化性成分とを含有する感放射線性樹脂組成物において、(D)熱硬化性成分の硬化開始温度が、前記(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)キノンジアジドスルホン酸エステル及び(C)有機溶剤からなる感放射線性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の耐熱温度より、5〜50℃高い硬化開始温度であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物。
- (A)成分のアルカリ可溶性樹脂が、フェノール類とアルデヒド類又はケトン類との縮重合で得られたノボラック型樹脂である請求項1記載の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物。
- (A)成分100重量部当たり、(D)成分1〜20重量部を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の絶縁膜形成用感放射線性樹脂組成物。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成された所望パターンを有する樹脂膜を加熱し、硬化させて得られる、厚さ0.3〜3μmの裾広がり型形状の有機エレクトロルミネッセンス素子用絶縁膜。
- 請求項6記載の絶縁膜を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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