JP2006179423A - ネガ型感放射線性樹脂組成物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス表示素子の絶縁膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL表示素子の劣化現象であるシュリンク(ダークエリア)の発生を抑制し得る、上面の端縁部が丸みを帯びた有機EL表示素子用絶縁膜の形成に用いられる感放射線性樹脂組成物、それを用いて得られた有機EL表示素子の絶縁膜及び有機EL表示素子を提供する。
【解決手段】(a)アルカリ溶解性樹脂、(b)光酸発生剤及び(c)架橋剤を含む、有機EL表示素子の絶縁膜形成用ネガ型感放射線性樹脂組成物、この組成物を用いて形成された有機EL表示素子の絶縁膜、及び該絶縁膜を有する有機EL表示素子である。
【選択図】図4

Description

本発明は、ネガ型感放射線性樹脂組成物、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンスを、「EL」と略記する。)表示素子の絶縁膜及び該絶縁膜を有する有機EL表示素子に関する。さらに詳しくは、本発明は、有機EL表示素子の劣化現象であるシュリンク(ダークエリア)の発生を抑制し得る、上面の端縁部が丸みを帯びた有機EL表示素子用絶縁膜の形成に用いられるネガ型感放射線性樹脂組成物、それを用いて得られた上記特性を有する有機EL表示素子の絶縁膜及び該絶縁膜を有する有機EL表示素子に関するものである。
電界発光を利用したEL素子は、自己発光のため視認性が高く、かつ完全固体素子であるため、耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。
このEL素子には、発光材料に無機化合物を用いてなる無機EL素子と有機化合物を用いてなる有機EL素子とがあり、このうち、特に有機EL素子は、印加電圧を大幅に低くしうる上、小型化が容易であって、消費電力が小さく、面発光が可能であり、かつ三原色発光も容易であることから、次世代の発光素子としてその実用化研究が積極的になされている。
この有機EL素子の発光体部の構成としては、一般に、透明基板上に順次設けられた透明電極層(陽極)/有機発光体薄膜層(有機発光層)/金属電極層(陰極)の構成を基本とし、これに正孔注入輸送層や電子注入層を適宜設けたもの、例えば陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/陰極や、陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極などの構成のものが知られている。該正孔注入輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、また、電子注入層は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有している。そして、該正孔注入輸送層を発光層と陽極との間に介在させることによって、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入され、さらに、発光層に陰極又は電子注入層より注入された電子は、正孔注入輸送層が電子を輸送しないので、正孔注入輸送層と発光層との界面に蓄積され発光効率が上がることが知られている。
図1は、有機EL素子の1例の原理図であって、有機EL素子は、この図で示すように、一般に透明基板1上に設けられた透明電極層(陽極)2の上に、正孔注入輸送層7、有機発光層8及び電子注入層9からなる有機EL材料層5が積層され、さらにその上に金属電極層(陰極)6が積層された構成を有している。そして、陽極と陰極との間に電流を流すことにより、有機発光層8において発光が生じ、この場合は、透明基板1側から光が取り出される。
この有機EL素子を作製するには、まず、ガラス板などの透明基板上に、蒸着法やスパッタリング法などでパターニングされた透明電極層(陽極)を形成したのち、その上に所望のパターンを有する絶縁膜を設ける。この絶縁膜は、例えば、ポリイミド樹脂膜のエッチング法やフォトレジストを用いるフォトリソグラフィー法により設けることができる。なお、該絶縁膜は遮光膜を兼ねることもできる。
次いで、このようにして透明基板上に設けられた絶縁膜を介して、断面形状が矩形型又は逆テーパ型の樹脂隔壁層をフォトリソグラフィー法などにより設け、各隔壁層間に真空蒸着法により、例えば正孔注入輸送層、有機発光層及び電子注入層を順次設けて有機EL材料層を形成し、さらにその上に金属電極層(陰極)を積層することにより、発光体部を形成する。最後にこの発光体部上に封止層を形成することにより、封止された有機EL素子が得られる。
図2は、一般の有機EL素子における発光体部の1例の構成を示す部分断面図である。すなわち、パターニングされた透明電極層2が設けられた透明基板1上に、絶縁膜3を介して断面形状が逆テーパ型の樹脂隔壁層4が設けられている。そして、この逆テーパ型の樹脂隔壁層間に、表面に金属電極層6を有する有機EL材料層(透明電極層側から、順次正孔注入輸送層、有機発光層及び電子注入層が設けられた構成のもの)5が設けられ、発光体部が樹脂隔壁層4とは非接触に独立の状態で形成されている。また、樹脂隔壁層4上も、機能上必要ではないが、製造上の都合から、表面に金属電極層6aを有する有機EL材料層5aが形成されている。
このような構成の有機EL素子における絶縁膜3は、図2で示すように、通常断面形状が矩形状である。しかしながら、該絶縁膜の断面形状が矩形状の場合、各樹脂隔壁層4間の透明電極層2上に、真空蒸着法により有機EL材料層を形成し、さらにその上に金属電極層(陰極)を積層して発光体部を形成する際に、真空蒸着の性質上、発光体部の側面が垂直の平坦面にはなりにくく、また場合により金属電極層の蒸着時に、該金属電極材料の側面部への回り込みによって、発光の不均一化をもたらしたり、あるいは金属電極材料が透明電極上に付着し、短絡が生じるなど、不良品の発生頻度が多いという問題があった。 このような問題を解決するには、上記絶縁膜の形状としては、上面の端縁部が丸みを帯び、かつ裾広がり型のものが有利であることが考えられる。該絶縁膜がこのような形状のものである場合、金属電極層の蒸着時に、金属電極材料の回り込みが生じにくくなる。
また、近年、基板上に、底面に透明電極層が露出したホールを所望のパターン状に複数設け、このホール内にインクジェット方式により高分子有機EL材料をノズルにより噴射して、有機EL材料層を形成し、さらにその上に金属電極層を積層して有機EL素子を作製する技術が開発されている。この場合、各ホールとホールとの間には、絶縁膜(遮光膜を兼ねることができる)からなるバンクが設けられるが、この絶縁膜も、断面形状が矩形状のものよりも、上面の端縁部が丸みを帯び、かつ裾広がり型のものが有利であると考えられている。
従来、このような問題を解決し得る絶縁膜材料として、アルカリ溶解性樹脂と、1,2−キノンジアジド化合物の組合わせからなるポジ型感放射線性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、この感放射線性樹脂組成物を用いて有機EL素子用の絶縁膜を形成した場合、脱ガスのために素子の発光部分にシュリンク(ダークエリア)が発生し、寿命の長い有機EL素子を安定的に製造することが困難であった。
特開2002−169277号公報 特開2002−189290号公報
本発明は、このような事情のもとで、有機EL表示素子の劣化現象であるシュリンク(ダークエリア)の発生を抑制し得る、上面の端縁部が丸みを帯びた有機EL表示素子用絶縁膜の形成に用いられる感放射線性樹脂組成物、それを用いて得られた上記特性を有する有機EL表示素子の絶縁膜及び該絶縁膜を有する有機EL表示素子を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のネガ型感放射線性樹脂組成物により、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(a)アルカリ溶解性樹脂、(b)光酸発生剤及び(c)架橋剤を含むことを特徴とする、有機EL表示素子の絶縁膜形成用ネガ型感放射線性樹脂組成物、
(2)(a)アルカリ溶解性樹脂がノボラック型樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ヒドロキシスチレン類と(メタ)アクリルモノマーの共重合体及びヒドロキシスチレン類とスチレン類の共重合体の中から選ばれる少なくとも1種である上記(1)項に記載のネガ型感放射線性樹脂組成物、
(3)(c)架橋剤がメラミン化合物及びエポキシ化合物の中から選ばれる少なくとも1種である上記(1)又は(2)項に記載のネガ型感放射線性樹脂組成物、
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とする、有機EL表示素子の絶縁膜、及び
(5)上記(4)項に記載の絶縁膜を有することを特徴とする有機EL表示素子、
を提供するものである。
本発明によれば、有機EL表示素子の劣化現象であるシュリンク(ダークエリア)の発生を抑制し得る、上面の端縁部が丸みを帯びた有機EL表示素子用絶縁膜の形成に用いられるネガ型感放射線性樹脂組成物を提供することができる。
また、前記ネガ型感放射線性樹脂組成物を用いて得られた前記特性を有する有機EL表示素子の絶縁膜及び該絶縁膜を有する有機EL表示素子を提供することができる。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物は、有機EL表示素子の絶縁膜形成用であって、(a)アルカリ溶解性樹脂、(b)光酸発生剤及び(c)架橋剤を含む組成物である。
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(a)成分として用いられるアルカリ溶解性樹脂としては特に制限はないが、例えばノボラック型樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ヒドロキシスチレン類と、これと共重合可能な単量体との共重合体などを挙げることができる。特に操作性の観点から、ノボラック型樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂及びこれらの組合わせが好ましい。
前記ノボラック型樹脂としては、レジストの技術分野で広く用いられているものを使用することができる。このノボラック型樹脂は、例えば、フェノール類と、アルデヒド類又はケトン類とを酸性触媒(例えば、シュウ酸)の存在下で反応させることにより得ることができる。
フェノール類としては、例えば、フェノール、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、4−t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、チモール、イソチモールなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピオンアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトンなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上述した中でも、メタクレゾールとパラクレゾールとを併用し、これらとホルムアルデヒド、ホルマリン、またはパラホルムアルデヒドとを縮合反応させたノボラック型樹脂が、感度制御性の観点から特に好ましい。メタクレゾールとパラクレゾールとの仕込み重量比は、通常、80:20〜20:80、好ましくは70:30〜50:50である。
前記ポリヒドロキシスチレン樹脂としては、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(3−ヒドロキシスチレン)、ポリ(2−ヒドロキシスチレン)などが挙げられる。一方、ヒドロキシスチレン類と、これと共重合可能な単量体との共重合体としては、例えば4−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類と、イソプロペニルフェノール、アクリルモノマー(アクリル酸およびそのエステル類、メタクリル酸およびそのエステル類など)スチレン類、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、酢酸ビニルなどの共重合体を挙げることができるが、これらの中で、ヒドロキシスチレン類とアクリルモノマーとの共重合体及びヒドロキシスチレン類とスチレン類との共重合体が好ましい。
本発明においては、(a)成分として、前記のアルカリ溶解性樹脂を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アルカリ溶解性樹脂の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した単分散ポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、1,000〜20,000、好ましくは1,500〜15,000、より好ましくは2,000〜12,000である。使用するアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が低すぎると、露光部の架橋反応が起こっても、分子量増大効果が小さく、アルカリ現像液に溶解しやすく、パターニングが困難となる。逆に樹脂の重量平均分子量が高すぎると、露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対する溶解度の差が小さくなり、良好なネガ型感放射線性組成物のパターンを得ることが難しくなる。
上記樹脂の重量平均分子量は、合成条件を調整することにより、所望の範囲に制御することができる。この他、例えば、(1)合成により得られた樹脂を粉砕し、適当な溶解度を持つ有機溶剤で固−液抽出する方法、(2)合成により得られた樹脂を良溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下するか、または貧溶剤を滴下して、固−液もしくは液−液抽出する方法などにより、重量平均分子量を制御することができる。
なおGPCによる重量平均分子量の測定は、GPC測定装置として、SC8020(TOSO社製)を用いて、以下の条件で実施することができる。カラム:TOSO社製TSKGEL G3000HXLとG2000HXLの各1本の組み合わせ、温度:40℃、溶剤:テトラヒドロフラン、流速:1.0ml/min、試料:濃度0.05〜0.6重量%の試料を0.1ml注入することにより測定。
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(b)成分として用いられる光酸発生剤は、活性光線によって酸を発生する化合物であれば特に制限はない。このようなものとしては、活性化放射線によって露光されると、ブレンステッド酸またはルイス酸を発生する物質を挙げることができ、具体的には、オニウム塩、ハロゲン化有機化合物、α,α′−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α′−スルホニルジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物など公知のものを用いることができる。これらの中でも、芳香族スルホン酸エステル類、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ハロゲン化アルキル残基を有する芳香族化合物などが好ましい。これらの光酸発生剤は、パターンを露光する光源の波長に応じて、分光感度の面から選択することが好ましい。
オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、オキソニウム塩などが挙げられる。ハロゲン化有機化合物としては、ハロゲン含有オキサジアゾール系化合物、ハロゲン含有トリアジン系化合物、ハロゲン含有アセトフェノン系化合物、ハロゲン含有ベンゾフェノン系化合物、ハロゲン含有スルホキサイド系化合物、ハロゲン含有スルホン系化合物、ハロゲン含有チアゾール系化合物、ハロゲン含有オキサゾール系化合物、ハロゲン含有トリアゾール系化合物、ハロゲン含有2−ピロン系化合物、その他のハロゲン含有ヘテロ環状化合物、ハロゲン含有脂肪族炭化水素化合物、ハロゲン含有芳香族炭化水素化合物、スルフェニルハライド化合物などが挙げられる。
ハロゲン化有機化合物の具体例としては、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモ−3−クロロプロピル)ホスフェート、テトラブロモクロロブタン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(2,3−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(2,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(2,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3−メトキシシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(2−メトキシシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(2−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリアジン構造を有する化合物が挙げられる。特に2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンのようなトリアジン構造と−C=C−で表されるエテニル構造と芳香族環構造とを有する共役系トリアジン化合物が好ましい。
α,α′−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物としては、未置換、対称的もしくは非対称的に置換されたアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香族基、またはヘテロ環状基を有するα,α′−ビス(スルホニル)ジアゾメタンなどが挙げられる。α−カルボニル−α′−スルホニルジアゾメタン系化合物の具体例としては、未置換、対称的もしくは非対称的に置換されたアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香族基、またはヘテロ環状基を有するα−カルボニル−α′−スルホニルジアゾメタンなどが挙げられる。スルホン化合物の具体例としては、未置換、対称的もしくは非対称的に置換されたアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香族基、またはヘテロ環状基を有するスルホン化合物、ジスルホン化合物などが挙げられる。 有機酸エステルとしては、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステルなどが挙げられ、有機酸アミドとしては、カルボン酸アミド、スルホン酸アミド、リン酸アミドなどが挙げられ、有機酸イミドとしては、カルボン酸イミド、スルホン酸イミド、リン酸イミドなどが挙げられる。
本発明においては、この(b)成分の光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。この光酸発生剤は、前記(a)成分のアルカリ溶解性樹脂100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜8重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の割合で使用される。光酸発生剤の割合が過小または過大であると、レジストパターンの形状が劣化するおそれがある。
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(c)成分として用いられる架橋剤としては、メラミン化合物及びエポキシ化合物が好ましく、メラミン化合物が特に好ましい。
メラミン化合物としては、一般式(1)
Figure 2006179423
(式中、R1〜R6は同一でも異なっていてもよく、水素原子または−CH2OR基を示し、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。ただし、R1〜R6のうち、少なくとも1つは必ず−CH2OR基である。)
で表される化合物を好ましく挙げることができる。
上記一般式(1)で表されるメラミン化合物としては、例えばヘキサメチロールメラミン、ヘキサブチロールメラミン、部分メチロール化メラミン及びそのアルキル化体を挙げることができる。また、メラミン化合物として、テトラメチロールベンゾグアナミン、部分メチロール化ベンゾグアナミン及びそのアルキル化体等も用いることができる。これらメラミン化合物のうち実用上市販されているサイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300(以上、三井サイアナミッド株式会社製)、ニカラックMX−750、−032、−706、−708、−40、−31、ニカラックMS−11、ニカラックMW−30、MW−390、MW−100(以上、三和ケミカル社製)などを好ましく使用することができる。
エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテルなどが挙げられるが、具体的には例えば下記のような市販品を用いることができる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、エピコート152、154(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、EPPN 201、202(以上、日本化薬株式会社製)等;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EOCN−102、103S、104S、1020、1025、1027(以上、日本化薬株式会社製)、エピコート180S75(ジャパンエポキシレジン社製)等;ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、エピコート1001、1002、1003、1004、1007、1009、1010、828(以上、ジャパンエポキシレジン社製)等;ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、エピコート807(ジャパンエポキシレジン社製)等;環式脂肪族エポキシ樹脂としては、CY−175、177、179(以上、チバスペシャリティケミカルズ社製)、ERL−4234、4299、4221、4206(以上、U.U.C株式会社製)、ショーダイン509(昭和電工株式会社製)、アダルライトCY−182、192、184(以上、チバスペシャリティケミカルズ社製)、エピクロン200、400(以上、大日本インキ株式会社製)、エピコート871、872(以上、ジャパンエポキシレジン社製)、ED−5661、5662(以上、セラニーズコーティング株式会社製)等;脂肪族ポリグリシジルエーテルとしては、エポライト100MF、200E、400E(以上、共栄社油脂化学工業株式会社製)、エピオールTMP(日本油脂株式会社製)等が挙げられる。
これらの架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その添加量は、(a)成分のアルカリ溶解性樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部であり、さらに好ましくは5〜50重量部である。添加量が少ないと架橋密度が低下し、パターン形成能が低下する場合があり、逆に多すぎると組成全体のアルカリ溶解性が高くなりすぎるため、現像後の残膜率が低下するという問題が起こり易くなる。
本発明の感放射線性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、その他の添加剤を含有させることができる。このようなその他の添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、界面活性剤、接着助剤、保存安定剤、消泡剤等が挙げられる。特に紫外線吸収剤を含んだものについては陰極隔壁としても使用が可能となり、二つ以上のプロセスをひとつの材料で達成できるなど、コストダウンにも大いに貢献できる。
前記紫外線吸収剤は、パターン形状をコントロールするために配合することができる。紫外線吸収剤としては、例えば、WO 01/61410 A1に掲載されている紫外線吸収剤と、以下のビスアジド化合物、具体的には2,6−ビス(4'−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)−4−エチルシクロヘキサノン、4,4'−ジアジドカルコン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパノン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル−2'−スルホン酸ナトリウム塩)−2−プロパノン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル−2'−スルホン酸ナトリウム塩)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル−2'−スルホン酸ナトリウム塩)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル−2'−スルホン酸ナトリウム塩)−4−エチルシクロヘキサノン、2,5−ビス(4'−アジドベンザル−2'−スルホン酸ナトリウム塩)シクロペンタノン、などを用いることができる。
前記界面活性剤は、塗布性、例えばストリエーションや乾燥塗膜形成後の放射線照射部の現像性を改良するために配合することができる。界面活性剤としては例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジアルキルエステル類、等のノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、303、352(新秋田化成株式会社製)、メガファックF171、172、173、R−30(大日本インキ株式会社製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC−101、102、103、104、105、106(旭硝子株式会社製)、エフトップEF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、新秋田化成社製)、等のフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKR321、KP323、KP340、KP341(信越化学工業株式会社製)、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ポリエーテル変性シリコーンオイルSF8410、同SF8427、同SH8400、ST80PA、ST83PA、ST86PA(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4440、TSF4445、TSF4446(以上、東芝シリコーン社製)、等のシリコン系界面活性剤;アクリル酸系またはメタクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.57、95(共栄社化学株式会社製)等;が挙げられる。このような界面活性剤の配合量は、組成物の固形分100重量部あたり、通常2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
前記接着助剤は、本発明の感放射線性組成物から形成された絶縁膜と基板との密着性を改良するために使用することができる。このような接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が好ましく使用され、例えばカルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤が挙げられる。具体的にはトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。さらに、アクリル系ポリマーとしてサイクロマーP−ACA200M、サイクロマーP−ACA250(ダイセル化学株式会社製)、GX−8466E、GX−8653B、GX−8632K(第一工業製薬株式会社製)、アロンタックS−1605(登録商標、東亞合成株式会社製)、KC−7025T(共栄社化学株式会社製)、AK−XC(日新化成株式会社製)、ダイヤナールBR−605(三菱レーヨン株式会社製)、ビスコートR−104、ビスコートR−264、ビスコートR−265、ビスコートC−101(大阪有機化学株式会社製)、ポリビニルエーテル類としてポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルエチルエーテル)、ポリ(ビニルプロピルエーテル)、ポリ(ビニルブチルエーテル)、ポリ(ビニルペンチルエーテル)、ポリ(ビニルシクロペンチルエーテル)、ポリ(ビニルヘキシルエーテル)、ポリ(ビニルシクロヘキシルエーテル)なども好ましい。このような接着助剤の配合量は、組成物の固形分100重量部あたり、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下である。
前記保存安定剤は、一般に塩基性含窒素化合物が用いられる。例えば一般式(2)
789N ・・・(2)
(式中、R7、R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、ヒドロキシアリール基、アラルキル基またはヒドロキシアラルキル基を示す。ただし、R1、R2及びR3が同時に水素原子となることはない。)
で表される化合物や、含窒素複素環式化合物などが好ましいものとして挙げられる。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類を挙げることができる。これらのうち、トリアルキルアミン類が好ましい。
含窒素複素環式化合物の具体例としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類等を挙げることができる。これらのうち、ピリジン類が特に好ましく使用できる。
本発明において、塩基性含窒素化合物は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。本発明における塩基性含窒素化合物の使用量は、(a)成分のアルカリ溶解性樹脂100重量部当たり、通常、0.01〜20重量部、好ましくは0.03〜5重量部である。この場合、塩基性含窒素化合物の使用量が0.01重量部未満では、安定性が悪化する場合があり、また20重量部を超えると、感放射線性樹脂組成物としての感度が低下する場合がある。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、通常溶媒に溶解させた状態に調製され、使用される。本発明の感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、上記の(a)アルカリ溶解性樹脂、(b)光酸発生剤、(c)架橋剤、及び任意に添加されるその他の添加剤を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。
本発明の感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、酢酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸ブチル等のエステル類を挙げることができる。
これらの溶剤の中で、溶解性、各成分との反応性及び塗膜の形成のしやすさから、グリコールエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、エステル類およびジエチレングリコール類が好ましく用いられる。これらの溶剤は、単独でまたは混合して用いることができる。
さらに必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等の高沸点溶剤を添加することもできる。
本発明の感放射線性組成物は、上記の溶媒を用いて調製される。その使用目的により、適宜の固形分濃度を採用できるが、例えば、固形分濃度10〜40重量%とすることができる。また上記のように調製された組成物溶液は、たとえばポアサイズ0.2μm程度のフィルタなどを用いてろ過した後、使用に供することもできる。
次に、本発明の有機EL素子用絶縁膜は、前述の感放射線性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィー法により基板上に形成された所望パターンの樹脂膜を加熱処理してなる上面の端縁部が丸みを帯びた裾広がり型形状(テーパ形状)の絶縁膜である。加熱処理後のパターンの基板に接する部分の面積は、加熱処理前の該面積に対し、140%以下の大きさであるのが望ましい。この裾広がり率[基板に接する部分の面積の加熱処理前の該面積に対する比率(%)]が140%を超えると所望のパターン形状及び所望の厚さを有する絶縁膜が得られないことがある。逆に裾広がり率が小さいと加熱前の形状が矩形やこれに近い形状の場合、所望の裾広がり型形状が得られないことがある。こうした観点から、裾広がり率は、好ましくは100%より大きく140%以下、より好ましくは102〜130%の範囲である。絶縁膜の厚さは、0.2〜10μm、好ましくは0.25〜8μm、より好ましくは0.3〜6μmの範囲である。
図3は、本発明の絶縁膜において、フォトリソグラフィー法により形成された樹脂膜を加熱処理した場合の形状変化の1例を示す説明図であって、実線で囲まれた部分が、矩形の樹脂膜の断面図を示し、破線で囲まれた部分が、該樹脂膜を加熱処理して得られた本発明の絶縁膜の断面図を示す。100×(b/a)2の値が、裾広がり率である。
本発明の有機EL素子用絶縁膜が設けられる基板としては、透明基板上にパターニングされた透明電極層(陽極)を有するものを用いることができる。上記透明基板としては、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上であり、かつ平滑な基板が望ましい。このような透明基板としては、例えばガラス板、ポリマー板等が挙げられる。ガラス板としては、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等が好ましく挙げられる。またポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。これらの中で、通常ガラス板が好ましく用いられる。
上記陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を電極物質とする透明電極が好ましく用いられる。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/cm2以下のものが好ましい。このようなものとしては、ITO(スズドープ酸化インジウム)、SnO2、ZnO、In−Zn−Oなどの導電性材料を電極物質とするものを挙げることができる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させればよい。陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
このような本発明の有機EL素子用絶縁膜は、以下に示す方法により効率よく製造することができる。まず前述の感放射線性樹脂組成物を用い、基板、具体的にはパターニングされた透明電極層(陽極)を有する透明基板上に、フォトリソグラフィー法や電子線描画法などにより、パターンを形成する。次いで、該パターン加熱処理することにより架橋反応をさらに進行させると共に上面の端縁部が丸みを帯び、裾広がり型形状(テーパ形状)の本発明の有機EL素子用絶縁膜が得られる。
次に、該絶縁膜の具体的な製造方法について説明する。パターニングされる透明電極層(陽極)を有する透明基板上に、前述の感放射線性樹脂組成物を、スピンナーなどで塗布し、乾燥して樹脂層を設ける。この際、樹脂層の厚さは、最終的に得られる絶縁膜が所定の厚さになるように制御される。次いで、これにマスクアライナー、ミラープロジェクションアライナーや縮小投影露光装置などにより、所望のマスクパターンを介して紫外線、deep−UV、エキシマレーザー光などを照射するか、あるいは電子線により描画し、加熱(PEB処理)する。その後これを現像液、例えば1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理することにより、樹脂膜パターンを形成する。
次に、このようにして形成された樹脂膜パターンを加熱処理し、該樹脂膜中の架橋をさらに進行させ十分に硬化させることにより絶縁膜を形成する。この際、加熱処理温度はパターン上面の端縁部が丸みを帯びた裾広がり型形状の絶縁膜が形成されるように制御することが肝要である。上記加熱温度としては、150〜280℃の範囲が好ましく、より好ましくは160〜250℃の範囲である。また、加熱処理時間は、加熱処理温度や加熱処理装置に左右され、一概に定めることはできないが、加熱処理装置として、ホットプレートを用いる場合、通常30〜900秒間程度であり、オーブンを用いる場合は、10〜120分間程度である。このようにして、本発明の有機EL素子用絶縁膜が効率よく得られる。この絶縁膜は、上記のように高温での加熱処理が施されているので膜中の揮発成分がほぼ完全に除去されており、さらに架橋反応により成分の揮発を積極的に押さえる設計としているため、有機EL素子に対して悪影響を及ぼすことがない。
本発明はまた、このようにして作製された絶縁膜を有する有機EL素子をも提供する。次に、本発明の有機EL素子の1例の製造方法について説明する。前述のようにしてパターニングされた透明電極層(陽極)を有する透明基板上に設けられた本発明の裾広がり型形状の絶縁膜を介して、従来公知の方法により樹脂隔壁層を形成させる。この樹脂隔壁層の断面形状は、矩形型及び逆テーパ型のいずれであってもよい。断面形状が矩形型の樹脂隔壁層を形成させる場合、使用する感放射線性樹脂組成物としては、非化学増幅型、化学増幅型のいずれであってもよいし、ポジ型、ネガ型のいずれであってもよい。このような感放射線性樹脂組成物としては、例えば(1)アルカリ可溶性ノボラック型樹脂と、キノンジアジド基含有化合物を必須成分として含む非化学増幅型のポジ型フォトレジスト、(2)酸の作用によりアルカリに対する溶解性が変化する樹脂と、放射線の照射により酸を発生する化合物を必須成分として含む化学増幅型のポジ型フォトレジスト及び(3)アルカリ可溶性樹脂と、酸架橋性物質と、放射線の照射により酸を発生する化合物を必須成分として含む化学増幅型のネガ型フォトレジストなどのフォトレジストを挙げることができる。
一方、断面形状が逆テーパ型の樹脂隔壁層を形成させる場合、使用する感放射線性樹脂組成物としては、例えば特許第2989064号(=特開平5−165218号公報)記載のもの、具体的には(A)光線による露光によって、又は露光と引き続く熱処理によって架橋する成分、(B)アルカリ可溶性樹脂、及び(C)露光する光線を吸収する化合物を少なくとも1種含有するネガ型フォトレジストなどを挙げることができる。
これらのフォトレジストを用いて、樹脂隔壁層を設ける方法は特に制限がなく、従来慣用されているフォトリソグラフィー法によって、断面形状が矩形型又は逆テーパ型の樹脂隔壁層を形成することができる。この樹脂隔壁層の厚さは、通常0.5〜10μm程度である。
次に、このようにしてパターニングされた透明電極層を有する透明基板上に、本発明の絶縁膜を介して樹脂隔壁層を形成したのち、まず、真空蒸着法により正孔注入輸送層を設ける。この場合、蒸着条件は使用する化合物(正孔注入輸送層の材料)、目的とする正孔注入輸送層の結晶構造や再結合構造等により異なるが、一般に蒸着源温度50〜450℃、真空度1×10-5〜1×10-1Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜1μmの範囲で適宜選択することが好ましい。次いで、この正孔注入輸送層上に有機発光層を真空蒸着法により形成する。この場合、その蒸着条件は使用する化合物により異なるが、一般的に正孔注入輸送層の形成と同様な条件範囲の中から選択することができる。膜厚は10〜40nmの範囲が好ましい。次に、この有機発光層上に、真空蒸着法により電子注入層を設ける。この場合、蒸着条件は正孔注入輸送層、有機発光層と同様の条件範囲から選択することができる。膜厚は5nm〜1μmの範囲で適宜選択することが好ましい。そして、最後に、真空蒸着法により陰極を積層する。この陰極は金属から構成されるものであり、その膜厚は50〜200nmの範囲が好ましい。このようにして、透明基板上に、透明電極層(陽極)、有機EL材料層(正孔注入輸送層、有機発光層、電子注入層)及び金属電極層(陰極)からなる積層体(発光体部)が形成される。
図4は、本発明の有機EL素子における発光体部の1例の構成を示す部分断面図である。すなわち、パターニングされた透明電極層2が設けられた透明基板1上に、本発明の裾広がり型形状の絶縁膜3'を介して断面形状が逆テーパ型の樹脂隔壁層4が設けられている。そして、この樹脂隔壁層間に、表面に金属電極層6を有する有機EL材料層(透明電極層側から、順次正孔注入輸送層、有機発光層及び電子注入層が設けられた構成のもの)5が設けられ、発光体部が形成されている。また、樹脂隔壁層4上も、機能上必要ではないが、製造上の都合から、表面に金属電極層6aを有する有機EL材料層5aが形成されている。このような有機EL素子においては、絶縁膜3'が図4で示すように裾広がり型形状を有しているため、金属電極層6を蒸着により積層する際に、金属電極材料の回り込みによる透明電極層2上への付着が生じないので、短絡など好ましくない事態を招来することがない。
本発明の絶縁膜は、有機EL素子において、上記のような用途に用いられるほか、基板上に設けられた所望パターンのホール内に、インクジェット方式により高分子有機EL材料をノズルより噴射し、有機EL材料層を形成させることにより得られる有機EL素子において、各ホールとホール間に設けられる絶縁膜からなるバンク用としても、用いることができる。
前記有機EL素子において、有機発光層は(1)電界印加時に、陽極又は正孔注入輸送層により正孔を注入することができ、かつ陰極又は電子注入層より電子を注入することができる注入機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光機能などを有している。この発光層に用いられる発光材料の種類については特に制限はなく、従来有機EL素子における発光材料として公知のものを用いることができる。このような発光材料の具体例としては、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤や、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン誘導体、芳香族ジメチリジン化合物などが挙げられる。
正孔注入輸送層は、正孔伝達化合物からなる層であって、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入輸送層を陽極と発光層との間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入される。その上、発光層に陰極又は電子注入層により注入された電子は、発光層と正孔注入輸送層の界面に存在する電子の障壁により、この発光層内の界面付近に蓄積されEL素子の発光効率を向上させ、発光性能の優れたEL素子とすることができる。この正孔注入輸送層に用いられる正孔伝達化合物については特に制限はなく、従来有機EL素子における正孔伝達化合物として公知のものを使用することができる。この正孔伝達化合物の具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系化合物、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマーなどの特定の導電性高分子オリゴマーなどが挙げられる。
電子注入層は、陰極により注入される電子を有機発光層に伝達する機能を有している。この電子注入層に用いられる電子伝達化合物については特に制限はなく、従来有機EL素子における電子伝達化合物として公知のものを使用することができる。このような電子伝達化合物の具体例としては、ニトロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、さらには8−キノリノール又はその誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ−8−キノリノール)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリラート)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノール)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、8−キノリノールリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノール)カリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノール)カルシウム、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)ベリリウム、ビス(2−メチル−8−キノリノール)ベリリウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノール)亜鉛、ビス(8−キノリノール)スズ、トリス(7−プロピル−8−キノリノール)アルミニウムなどが挙げられる。
なお、上記有機発光層、正孔注入輸送層及び電子注入層は、それぞれの材料の一種又は二種以上からなる一層で構成されていてもよく、あるいは異なる材料からなる層を二層以上積層したものであってもよい。陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物などを電極物質とする金属電極が用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、Al/酸化アルミニウム、インジウム、希土類金属などが挙げられる。また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/cm2以下が好ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
アルカリ溶解性樹脂として「LC5080G」(旭有機材工業株式会社製;m−クレゾールとp−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体であるフェノールノボラック樹脂;GPCにより測定した単分散ポリスチレン換算の重量平均分子量3600)100重量部、光酸発生剤として2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン)2重量部、架橋剤として「ニカラックMW−30HM」(三和ケミカル株式会社製;メラミン系架橋剤)20重量部、界面活性剤として「メガファックF173」(大日本インキ株式会社製;フッ素系界面活性剤)30ppm、塩基性含窒素化合物としてトリエタノールアミン0.2重量部を固形分濃度が25重量%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈、溶解させた後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターでろ過し、組成物溶液を調製した。
次に、この組成物溶液を用い、以下に示す方法に従って諸特性を求めた。
(1)耐熱性:ITO基板上に上記で調製した組成物溶液を、1.1μmの膜厚になるようにスピンコートし、90℃で90秒分間ホットプレート上でプレベークした。その後、所望のパターンマスクを介してキヤノン社製「マクスアライナーPLA501F」で露光を行い、110℃で60秒間のPEBを行った後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて23℃、70秒間現像した。その後、水で流水洗浄し、乾燥して基板上に30umのライン・アンド・スペースパターンを形成した。
上記パターニングした基板を230℃に設定したホットプレート上に置き、この温度で基板を3分間加熱した後、パターン線幅及び断面形状のテーパ角を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、形式「JEM−5410」)で調べた。結果を第1表に示す。パターン線幅がベーク前後での寸法変化率が10%以下、かつテーパー角が35°以下のとき、耐熱性が良好と評価した。なお、ここで言うパターン線幅は上空観察した場合の線幅を指し示し、必ずしもボトム部分の寸法とはならない。
(2)発光特性:パターニングされた膜厚120nmのITO透明電極膜を有する25×75×1.1mmサイズのガラス基板上に、上記で調製した組成物溶液をスピンコーターにより、乾燥膜厚が1.1μmになるように塗布し、ホットプレート上で90℃にて90秒間加熱した。次いで、前述と同じキヤノン社製露光機を用い、所望のパターンを有するマスクを介して、該レジスト層を露光し、110℃で60秒間のPEB処理を行ったのち、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で70秒間パドル現像処理した。その後オーブンで、230℃にて30分間加熱処理することにより、裾広がり率101%で、厚さ1.05μm、テーパ角度28°の絶縁膜を作製した。
この、絶縁膜を設けてなるガラス基板上に、ネガ型レジスト組成物「ZEONREX ZPN1168−30」(日本ゼオン社製)をスピンコートし、ホットプレート上で110℃で90秒間加熱して3.0μmの膜厚の樹脂膜を形成した。次いで、露光機として「PLA501F型」(前出)を用い、所望のパターンを有するマスクを介して露光したのち、2.38重量%TMAHで70秒間パドル現像処理した。この操作により、絶縁膜上に逆テーパ型のレジストパターンが形成された。次に、254nmの照度が1.2mW/cm2の高圧水銀灯を200秒間照射して、該レジストパターンを焼き固めることにより、有機EL素子用部材を作製した。
上記で作製した有機EL素子用部材を基板として用い、市販の蒸着装置[日本真空技術(株)製]の基板ホルダーに固定すると共に、モリブデン製抵抗加熱ボートにN,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニル−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジアミン(以下、TPDと略記する)200mgを入れ、また別のモリブデン製抵抗加熱ボートに4,4'−ビス(2,2'−ジフェニルビニル)ビフェニル(以下、DPVBiと略記する)200mgを入れたのち、真空槽を1×10-4Paまで減圧した。次いで、TPD入りのボートを215〜220℃まで加熱し、TPDを蒸発速度0.1〜0.3nm/秒で蒸着させて、膜厚60nmの正孔注入輸送層を形成した。この際の基板温度は室温であった。これを真空槽より取り出すことなく、DPVBi入りのボートを240℃まで加熱し、DPVBiを蒸着速度0.1〜0.3nm/秒で上記正孔注入輸送層上に蒸着させ、膜厚40nmの発光層を形成した。この際の基板温度も室温であった。これを真空槽より取り出し、上記発光層の上にステンレススチール製のマスクを設置し、再び基板ホルダーに固定したのち、モリブデン製ボートにトリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、Alq3と略記する)200mgを入れ、また別のモリブデン製ボートにマグネシウムリボン1gを入れ、さらにタングステン製バスケットに銀ワイヤー500mgを入れて、これらのボートを真空槽に装着した。
次に、真空槽を1×10-4Paまで減圧してから、Alq3入りのボートを230℃まで加熱し、Alq3を蒸着速度0.01〜0.03nm/秒で上記発光層上に蒸着させて、膜厚20nmの電子注入層を形成した。さらに、銀を蒸着速度0.1nm/秒で上記電子注入層上に蒸着させると同時に、マグネシウムを蒸着速度1.4nm/秒で上記電子注入層上に蒸着させ、マグネシウムと銀との混合金属からなる膜厚150nmの陰極を形成することにより、図4に示す有機EL素子の発光体部を形成した。
次に、常法に従って封止層などを形成して有機EL素子を作製した。この素子にITO膜を陽極、混合金属膜を陰極として直流電圧を印加したところ、明所にて5Vから青色発光が確認でき、視認性が極めて良好であった。
以上の操作で作製した素子を相対湿度80%、温度85℃の条件下に置き、500時間後の発光エリアの面積を測定し、素子形成直後の発光面積に対するシュリンク率(縮小率)を求めた。その結果を第1表に示す。
実施例2〜5及び比較例1
第1表に示す種類と量の各成分を用い、実施例1と同様にして固形分濃度が25重量%の各組成物溶液を調製した。
次に、各組成物溶液を用い、実施例1と同様にして、耐熱性(寸法変化率及びテーパー角)及び発光エリアのシュリンク率(縮小率)を求めた。その結果を第1表に示す。
Figure 2006179423
[注]
・NVK−1:「LC5080G」、旭有機材社製、m−クレゾールとp−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮合により得られるフェノールノボラック樹脂
・NVK−2:「LC4050G」、同上
・PVP:「S−4P」、丸善石油化学社製、ポリビニルフェノール
・光酸発生剤−A:2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
・光酸発生剤−B:2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
・感光剤C:「NT−200」、東洋合成社製、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル
・架橋剤X:「MW−30」、三和ケミカル社製、メラミン系架橋剤
・架橋剤Y:「サイメル300」、三井サイアナミッド社製、メラミン系架橋剤
・F173:「メガファックF173」、大日本インキ社製、フッ素系界面活性剤
・AMINE−1:トリエタノールアミン
・AMINE−2:トリフェニルアミン
・Dye−1:OilYellow109
・PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・MMP:メチル メトキシプロピオネート
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物は、上面の端縁部が丸みを帯びると共に、有機EL表示素子の劣化現象であるシュリンク(ダークエリア)の発生を抑制し得る有機EL表示素子用絶縁膜の形成に好適に用いることができる。
有機EL素子の1例の原理図である。 一般の有機EL素子における発光体部の1例の構成を示す部分断面図である。 本発明の絶縁膜において、フォトリソグラフィー法により形成されたレジスト膜を加熱処理した場合の形状変化の1例を示す説明図である。 本発明の有機EL素子における発光体部の1例の構成を示す部分断面図である。
符号の説明
1 透明基材
2 透明電極層
3、3' 絶縁膜
4 逆テーパ型の樹脂隔壁層
5、5a 有機EL材料層
6、6a 金属電極層
7 正孔注入輸送層
8 有機発光層
9 電子注入層

Claims (5)

  1. (a)アルカリ溶解性樹脂、(b)光酸発生剤及び(c)架橋剤を含むことを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス表示素子の絶縁膜形成用ネガ型感放射線性樹脂組成物。
  2. (a)アルカリ溶解性樹脂がノボラック型樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ヒドロキシスチレン類と(メタ)アクリルモノマーの共重合体及びヒドロキシスチレン類とスチレン類の共重合体の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のネガ型感放射線性樹脂組成物。
  3. (c)架橋剤がメラミン化合物及びエポキシ化合物の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のネガ型感放射線性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス表示素子の絶縁膜。
  5. 請求項4に記載の絶縁膜を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子。
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