JP7028160B2 - 感放射線性樹脂組成物及びレジスト - Google Patents

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Description

本発明は、感放射線性樹脂組成物及びレジストに関するものであり、特に、断面が逆テーパー状のレジストパターンを形成可能な感放射線性樹脂組成物、及び逆テーパー形状のレジストパターンを有するレジストに関するものである。
フォトリソグラフィ技術において、断面が逆テーパー形状のレジストパターンを形成することができるレジスト材料が要求されることがある。具体的には、リフトオフ法によりパターンを形成する場合や、有機EL表示素子の電気絶縁性の隔壁を形成する場合が挙げられる。例えば、断面が逆テーパー形状のレジストパターンを用いて、リフトオフ法により配線を形成する際には、断面が逆テーパー形状のレジストパターンの最表面と底部にて金属配線材料を堆積させ、その後、最表面に堆積された金属配線材料と共にレジストパターンを除去する。レジストパターンの断面が逆テーパー形状であれば、金属配線材料の堆積時に、逆テーパー形状を構成する側壁に対して金属配線材料が堆積することを抑制できるために、レジストパターンの底部に堆積した金属配線材料よりなる配線パターンを良好に形成することができる。
そこで従来、逆テーパー形状が良好であるレジストパターンを形成可能な感放射線性樹脂組成物が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。特許文献1による感放射線性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂であるノボラック樹脂、活性放射線の照射により酸を発生する特定の化合物、及び架橋剤を含有する。特許文献1で使用されている、活性放射線の照射により酸を発生する特定の化合物は、特定の露光波長にて最大吸光度を示すとともに保存安定性に優れるものであった。
また、従来、逆テーパー形状が良好であるとともに高感度なレジストパターンを形成可能なフォトレジスト組成物が提案されてきた(例えば、特許文献2参照)。特許文献2によるフォトレジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂であるノボラック樹脂、2種類の光酸発生剤、架橋剤、及び溶剤を含む。より具体的には、かかるフォトレジスト組成物に含まれる2種類の光酸発生剤は、一方がフォトレジスト組成物を基板上に塗布して得た塗膜の上部に分布しやすいハロゲン含有光酸発生剤であり、他方が露光及び現像工程においてフォトレジスト組成物の感度を向上させうるトリアジン系光酸発生剤である。特に、ハロゲン含有光酸発生剤が塗膜上部に偏在して露光や熱処理により塗膜上部にて比較的多くの酸を発生させて塗膜上部にて比較的多くの架橋構造を形成することで、良好な逆テーパー形状のレジストパターンを形成することができた。
特開第2002-287341号公報 特開第2013-527940号公報
近年、リフトオフレジストとして使用されうる、逆テーパー形状のレジストパターンを形成可能な樹脂組成物には、レジストパターンを露光した後の熱処理工程における熱処理時間の許容範囲が広いこと、必要に応じて、基板からレジストを良好に剥離可能であることが求められている。
しかし、特許文献1に開示された感放射線性樹脂組成物や特許文献2に開示されたレジスト組成物では、露光工程後の熱処理時間の許容範囲の広さ、及びレジストの良好な剥離性を両立させるという点において、改善の余地があった。
そこで、本発明は、露光工程後の熱処理時間の許容範囲を広げると共に、レジストの剥離性を向上させることができる、感放射線性樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、露光工程後の熱処理時間の許容範囲が広く、剥離性の高い、レジストを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、感放射線性樹脂組成物に対して、アルカリ可溶性樹脂として所定量以上のノボラック樹脂を配合し、さらに、塩基性化合物を配合することで、露光工程後の熱処理時間の許容範囲を広げ、更には、レジストの剥離性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の感放射線性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(a)、活性放射線の照射、又は、活性放射線の照射及びその後の熱処理により、前記アルカリ可溶性樹脂を架橋する架橋成分(b)、及び前記活性放射線を吸収する化合物(c)を含有する感放射線性樹脂組成物であって、(1)前記架橋成分(b)が、前記活性放射線の照射によって酸を発生する光酸発生剤(b1)と、前記活性放射線によって発生した酸を触媒として前記アルカリ可溶性樹脂(a)を架橋する酸架橋剤(b2)との組み合わせであり、(2)前記アルカリ可溶性樹脂(a)がノボラック樹脂を70質量%超含有し、(3)塩基性化合物(d)を含む、ことを特徴とする。感放射線性樹脂組成物に、ノボラック樹脂を70質量%超含有するアルカリ可溶性樹脂(a)と、架橋成分(b)と、活性放射線を吸収する化合物(c)と、塩基性化合物(d)とを含有させれば、露光工程後の熱処理時間の許容範囲の拡大、及びレジストの剥離性を高いレベルで両立させることができる。
さらに、本発明の感放射線性樹脂組成物は、前記塩基性化合物(d)の含有量が、前記光酸発生剤(b1)の含有量の0.001倍以上3.500倍未満であることが好ましい。光酸発生剤(b1)に対して所定割合の塩基性化合物(d)を配合することで、露光工程後の熱処理時間の許容範囲を一層拡大させることができ、樹脂組成物を用いて形成したレジストの寸法精度を向上させることができるからである。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物は、前記塩基性化合物が、含窒素塩基性化合物であることが好ましい。塩基性化合物が含窒素塩基性化合物であれば、樹脂組成物の保存安定性を向上させることができるからである。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物は、前記酸架橋剤(b2)の含有量が、アルカリ可溶性樹脂(a)100質量部に対して、32質量部未満とすることができる。
また、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のレジストは、上述した何れかの感放射線性樹脂組成物を用いて形成したことを特徴とする。かかるレジストは、露光工程後の熱処理時間の許容範囲が広く、剥離性が高い。
本発明によれば、露光工程後の熱処理時間の許容範囲を広げ、レジストの剥離性を向上させることができる、感放射線性樹脂組成物を提供することができる。
本発明によれば、露光工程後の熱処理時間の許容範囲が広く、剥離性の高い、レジストを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストは、半導体デバイスの製造プロセスや、有機EL表示素子の電気絶縁性の隔壁を形成する際に用いられうる。特に、本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストは、逆テーパー形状のレジストパターンに関連するものである。ここで、本明細書において、「逆テーパー形状」とは、テーパー頂点に向かって傾斜する面により構成される標準的なテーパー形状に加えて、レジスト表面における開放面積がレジスト底部における開放面積よりも小さい、オーバーハング形状の構造も含むものとする。
(感放射線性樹脂組成物)
本発明の感放射線性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(a)、活性放射線の照射、又は、活性放射線の照射及びその後の熱処理により、アルカリ可溶性樹脂を架橋する架橋成分(b)、及び活性放射線を吸収する化合物(c)を含有する。さらに、樹脂組成物は、架橋成分(b)が、活性放射線の照射によって酸を発生する光酸発生剤(b1)と、活性放射線によって発生した酸を触媒として前記アルカリ可溶性樹脂(a)を架橋する酸架橋剤(b2)との組み合わせであることを特徴とする。また、樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(a)がノボラック樹脂を70質量%超含有することを特徴とする。さらに、樹脂組成物は、塩基性化合物(d)を含むことを特徴とする。感放射線性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」とも称する)に、ノボラック樹脂を70質量%超含有するアルカリ可溶性樹脂(a)と、架橋成分(b)と、活性放射線を吸収する化合物(c)と、塩基性化合物(d)とを含有させれば、露光工程後の熱処理時間の許容範囲の拡大、及びレジストの剥離性を高いレベルで両立させることができる。以下、樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
<アルカリ可溶性樹脂(a)>
アルカリ可溶性樹脂(a)は、ノボラック樹脂を70質量%超含有する。好ましくは、アルカリ可溶性樹脂(a)は、ノボラック樹脂を75質量%以上含有する。アルカリ可溶性樹脂(a)にノボラック樹脂を70質量%超含有させることで、樹脂組成物を用いて形成したレジストの剥離性を向上させることができる。なお、本明細書にて「剥離性」とは、剥離液を用いて基板からレジストを剥離した際に、基板表面にレジストの残留物が残らない又は少ないことをいう。かかる剥離性が良好であれば、レジストパターンを有するレジストを用いて金属配線等を基板上に蒸着させた後に剥離する際の剥離性が良好でありうる。
そして、アルカリ可溶性樹脂(a)は、ノボラック樹脂以外の成分として、特に限定されることなく、レジストの形成に一般的に用いられうるアルカリ可溶性樹脂を含有しうる。ノボラック樹脂と併用可能なアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルフェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、レゾール樹脂、アクリル樹脂、スチレン-アクリル酸共重合体樹脂、ヒドロキシスチレン重合体樹脂、及びポリビニルヒドロキシベンゾエート、並びにこれらの混合樹脂等が挙げられる。
なお、本明細書において「アルカリ可溶性樹脂」とは、当該成分を含むネガ型感光性樹脂組成物の現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して溶解性を有する樹脂である。ここで、「アルカリ現像液に対して溶解性を有する」とは、アルカリ現像液と樹脂溶液とを混合した際に、目視で透明な混合溶液が得られることを意味する。より具体的には、本明細書において「アルカリ可溶性」とは、pH8以上の溶液に溶解したときに、不溶分率が0.1質量%未満である樹脂をいう。
-ノボラック樹脂-
ノボラック樹脂としては、市販のノボラック樹脂や、例えば、フェノール類とアルデヒド類またはケトン類とを酸性触媒(例えば、シュウ酸)の存在下で反応させることにより得たノボラック樹脂を使用することができる。
フェノール類としては、例えば、フェノール、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2,3-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール、2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、2-t-ブチルフェノール、3-t-ブチルフェノール、4-t-ブチルフェノール、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、4-t-ブチルカテコール、2-メトキシフェノール、3-メトキシフェノール、2-プロピルフェノール、3-プロピルフェノール、4-プロピルフェノール、2-イソプロピルフェノール、2-メトキシ-5-メチルフェノール、2-t-ブチル-5-メチルフェノール、チモール、イソチモールなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α-フェニルプロピルアルデヒド、β-フェニルプロピルアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、m-クロロベンズアルデヒド、p-クロロベンズアルデヒド、o-メチルベンズアルデヒド、m-メチルベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド、p-エチルベンズアルデヒド、p-n-ブチルベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトンなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上述した中でも、メタクレゾールとパラクレゾールとを併用し、これらとホルムアルデヒド、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒドとを縮合反応させて、ノボラック樹脂を調製することが好ましい。ノボラック樹脂を構成するポリマーの分子量分布の制御が容易であるため、レジストの感度を容易に制御することができるからである。メタクレゾールとパラクレゾールとの仕込み比は、質量基準で、通常、80:20~20:80、好ましくは70:30~40:60である。
なお、ノボラック樹脂の平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)により測定した単分散ポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは2500以上、通常10000以下、好ましくは7000以下、より好ましくは6000以下である。ノボラック樹脂の重量平均分子量が上記下限値以上であれば、レジスト膜の露光部にて架橋反応が生じた際に、十分な分子量増大効果を得ることができ、露光部の現像液に対する不溶性を十分に高めることができる。ノボラック樹脂の重量平均分子量が上記上限値以下であれば、レジスト内の露光部と未露光部とのアルカリ現像液に対する溶解度の差を十分に確保して、良好なレジストパターンを得ることができる。
-ポリビニルフェノール樹脂-
ポリビニルフェノール樹脂としては、例えば、ビニルフェノールの単独重合体、及びビニルフェノールとこれと共重合可能な単量体との共重合体などが挙げられる。ビニルフェノール樹脂と共重合可能な単量体としては、例えば、イソプロペニルフェノール、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、酢酸ビニルが挙げられる。ポリビニルフェノール樹脂としては、ビニルフェノールの単独重合体が好ましく、p-ビニルフェノールの単独重合体がより好ましい。なお、アルカリ可溶性樹脂がポリビニルフェノール樹脂を含有する場合には、アルカリ可溶性樹脂中におけるポリビニルフェノール樹脂の含有割合は、30%未満であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
ポリビニルフェノール樹脂の平均分子量は、GPCにより測定した単分散ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常1000以上、好ましくは1500以上、より好ましくは2000以上、通常20000以下、好ましくは10000以下、より好ましくは15000以下である。ポリビニルフェノール樹脂の重量平均分子量が上記下限値以上であれば、露光領域が架橋反応した際に、分子量を十分に増大させることができ、アルカリ現像液に対する不溶性を高めると共に、耐熱性も向上させることができる。ポリビニルフェノールの重量平均分子量が上記上限値以下であれば、露光領域と未露光領域とのアルカリ現像液に対する溶解度の差を十分に確保し、良好なレジストパターンを得ることができる。
-各樹脂の重量平均分子量調節方法-
ノボラック樹脂及びポリビニルフェノール樹脂の重量平均分子量は、合成条件を調整することにより、所望の範囲に制御することができる。例えば、ノボラック樹脂又はポリビニルフェノール樹脂の製造時に添加する反応原料の添加量を調節することにより各樹脂の重量平均分子量を調節することができる。より具体的には、縮合反応のために添加するホルムアルデヒド、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒドの配合量を多くすることで、得られるノボラック樹脂の重量平均分子量を大きくすることができる。また、例えば、ポリビニルフェノール樹脂の重合時に添加する重合開始剤の量を少なくすることにより、得られるポリビニルフェノール樹脂の重量平均分子量を大きくすることができる。さらには、例えば、ノボラック樹脂又はポリビニルフェノール樹脂の合成時の反応時間を長くすることによっても、得られる各樹脂の重量平均分子量を大きくしうる。
この他、例えば、(1)合成により得られた樹脂や市販の樹脂を粉砕し、適当な溶解度を持つ有機溶剤で固-液抽出する方法、(2)合成により得られた樹脂や市販の樹脂を良溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下するか、または貧溶剤を滴下して、固-液もしくは液-液抽出する方法などにより、重量平均分子量を制御することができる。
<架橋成分(b)>
架橋成分は、活性放射線の照射、又は、活性放射線の照射及びその後の熱処理によってアルカリ可溶性樹脂(a)を架橋する成分である。この架橋成分の作用によりレジストの露光領域にて架橋構造が形成されることで、露光領域のアルカリ可溶性樹脂の分子量が大きくなって、アルカリ現像液に対する溶解速度が極端に低下する。それによって、樹脂組成物は、アルカリ現像液による現像が可能なネガ型レジスト材料として機能する。
架橋成分(b)は、活性放射線の照射によって酸を発生する化合物である光酸発生剤(b1)と、光によって発生した酸を触媒としてアルカリ可溶性樹脂を架橋する化合物である酸架橋剤(b2)との組み合わせである。光酸発生剤(b1)及び酸架橋剤(b2)は、共に、アルカリ可溶性樹脂との相溶性に優れ、かつアルカリ可溶性樹脂と組み合わせることにより感度が良好な架橋型化学増幅レジストを提供することができる点で好ましい。
[光酸発生剤(b1)]
光酸発生剤(b1)としては、活性放射線によって露光されると、ブレンステッド酸またはルイス酸を発生する物質であれば特に制限はなく、オニウム塩、ハロゲン化有機化合物、キノンジアジド化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物など公知のものを用いることができる。これらの光酸発生剤は、パターンを露光する光源の波長に応じて、分光感度の面から選択することが好ましい。
オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ジフェニルヨードニウムトリフレートなどのヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウムトリフレートなどのスルホニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、オキソニウム塩などが挙げられる。
ハロゲン化有機化合物としては、ハロゲン含有オキサジアゾール系化合物、ハロゲン含有トリアジン系化合物、ハロゲン含有アセトフェノン系化合物、ハロゲン含有ベンゾフェノン系化合物、ハロゲン含有スルホキサイド系化合物、ハロゲン含有スルホン系化合物、ハロゲン含有チアゾール系化合物、ハロゲン含有オキサゾール系化合物、ハロゲン含有トリアゾール系化合物、ハロゲン含有2-ピロン系化合物、その他のハロゲン含有ヘテロ環状化合物、ハロゲン含有脂肪族炭化水素化合物、ハロゲン含有芳香族炭化水素化合物、スルフェニルハライド化合物などが挙げられる。
ハロゲン化有機化合物の具体例としては、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモ-3-クロロプロピル)ホスフェート、テトラブロモクロロブタン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-S-トリアジン、2-[2-(4-メトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-S-トリアジン、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモシクロドデセン、ヘキサブロモビフェニル、アリルトリブロモフェニルエーテル、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールAのビス(クロロエチル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAのビス(ブロモエチル)エーテル、ビスフェノールAのビス(2,3-ジクロロプロピル)エーテル、ビスフェノールAのビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、テトラクロロビスフェノールAのビス(2,3-ジクロロプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAのビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、テトラクロロビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールS、テトラクロロビスフェノールSのビス(クロロエチル)エーテル、テトラブロモビスフェノールSのビス(ブロモエチル)エーテル、ビスフェノールSのビス(2,3-ジクロロプロピル)エーテル、ビスフェノールSのビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジブロモフェニル)プロパンなどのハロゲン系難燃剤;などが例示される。
キノンジアジド化合物の具体例としては、1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸エステル、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸エステル、2,1-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル、2,1-ベンゾキノンジアジド-5-スルホン酸エステルのようなキノンジアジド誘導体のスルホン酸エステル;1,2-ベンゾキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸クロライド、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸クロライド、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸クロライド、1,2-ナフトキノン-1-ジアジド-6-スルホン酸クロライド、1,2-ベンゾキノン-1-ジアジド-5-スルホン酸クロライド等のキノンジアジド誘導体のスルホン酸クロライド;などが挙げられる。
スルホン化合物の具体例としては、未置換、対称的もしくは非対称的に置換されたアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、芳香族基、またはヘテロ環状基を有するスルホン化合物、ジスルホン化合物などが挙げられる。
有機酸エステルとしては、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステルなどが挙げられ、有機酸アミドとしては、カルボン酸アミド、スルホン酸アミド、リン酸アミドなどが挙げられ、有機酸イミドとしては、カルボン酸イミド、スルホン酸イミド、リン酸イミドなどが挙げられる。
このほか、シクロヘキシルメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジシクロヘキシル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、2-オキソシクロヘキシル(2-ノルボルニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、2-シクロヘキシルスルホニルシクロヘキサノン、ジメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、N-ヒドロキシスクシイミドトリフルオロメタンスルホナート、フェニルパラトルエンスルホナート等が挙げられる。
光酸発生剤(b1)は、アルカリ可溶性樹脂(a)100質量部に対して、通常0.1~10質量部、好ましくは0.3~8質量部、より好ましくは0.5~5質量部の割合で使用される。光酸発生剤の割合が過小または過大であると、レジストパターンの形状が劣化するおそれがある。
[酸架橋剤(b2)]
酸架橋剤(b2)は、活性放射線の照射(露光)によって生じた酸の存在下で、アルカリ可溶性樹脂を架橋しうる化合物(感酸物質)である。このような酸架橋剤(b2)としては、例えば、アルコキシメチル化尿素樹脂、アルコキシメチル化メラミン樹脂、アルコキシメチル化ウロン樹脂、アルコキシメチル化グリコールウリル樹脂、アルコキシメチル化アミノ樹脂などの周知の酸架橋性化合物を挙げることができる。
この他、酸架橋剤(b2)として、アルキルエーテル化メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アルキルエーテル化ユリア樹脂、ウレタン-ホルムアルデヒド樹脂、レゾール型フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルエーテル化レゾール型フェノールホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
なお、酸架橋剤は、重量平均分子量が300以上の樹脂であることが好ましい。
これらの中でも、アルコキシメチル化メラミン樹脂が好ましく、その具体例としては、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、n-プロポキシメチル化メラミン樹脂、n-ブトキシメチル化メラミン樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、解像度が良好である点で、ヘキサメトキシメチルメラミンなどのメトキシメチル化メラミン樹脂が特に好ましい。アルコキシメチル化メラミン樹脂の市販品としては、例えば、PL-1170、PL-1174、UFR65、CYMEL(登録商標)300、CYMEL(登録商標)303(以上、三井サイテック社製)、BX-4000、ニカラックMW-30、MX290(以上、三和ケミカル社製)を挙げることができる。
これらの酸架橋剤(b2)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。酸架橋剤は、アルカリ可溶性樹脂(a)100質量部に対して、32質量部未満とすることができ、好ましくは20質量部未満、より好ましくは15質量部未満、更に好ましくは10質量部未満、通常0.5質量部以上配合することが好ましい。酸架橋剤(b2)の配合量が上記下限値以上であれば、架橋反応を十分に進行させて、アルカリ現像液を用いた現像後のレジストパターンの残膜率が低下する、或いは、レジストパターンの膨潤や蛇行などの変形が生じ易くなることを回避することができる。酸架橋剤(b2)の配合量が上記上限値未満であれば、樹脂組成物を用いて形成したレジストの基板からの剥離性を一層向上させることができる。特に、酸架橋剤(b2)の配合量を20質量部未満とすることで、樹脂組成物を用いて形成したレジストの基板からの剥離性を一層顕著に向上させることができる。
<活性放射線を吸収する化合物(c)>
活性放射線を吸収する化合物(c)は、レジスト膜に対して照射された活性放射線を吸収する。これにより、逆テーパー形状のレジストパターンを形成することができる。さらに、レジストパターンの形状は、レジスト膜に対して照射された活性放射線が、レジスト膜を通過して基板や基板上に形成されたITO膜などにより反射されることによっても影響されうる。そこで、樹脂組成物に含有される化合物(c)が反射された活性放射線を吸収することによって、レジストパターンの形状を良好に制御することができる。特に架橋成分として光酸発生剤(b1)と酸架橋剤(b2)との組み合わせを用いた樹脂組成物は、架橋型の化学増幅レジストであって、光の照射により生成した酸がレジスト膜内で拡散し、光が当たらない領域にまで架橋反応を起こすため、活性放射線を吸収する化合物(c)を存在させることにより、レジストパターンの形状を良好に制御することができる。
なお、本明細書にて「活性放射線を吸収する」とは、波長13.5nm以上450nmの範囲の何れかの波長域において、少なくとも一つの極大吸収波長λmaxをもつことをいう。
活性放射線を吸収する化合物(c)としては、例えば、ビスアジド化合物、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、クルクミン、キサントンなどの天然化合物、シアノビニルスチレン系化合物、1-シアノ-2-(4-ジアルキルアミノフェニル)エチレン類、p-(ハロゲン置換フェニルアゾ)-ジアルキルアミノベンゼン類、1-アルコキシ-4-(4′-N,N-ジアルキルアミノフェニルアゾ)ベンゼン類、ジアルキルアミノ化合物、1,2-ジシアノエチレン、9-シアノアントラセン、9-アントリルメチレンマロノニトリル、N-エチル-3-カルバゾリルメチレンマロノニトリル、2-(3,3-ジシアノ-2-プロペニリデン)-3-メチル-1,3-チアゾリンなどが挙げられる。これらは一種単独で或いは複数種を混合して用いることができる。中でも、化合物(c)としては、両末端にアジド基を有するビスアジド化合物を使用することが好ましい。さらに、特に、ビスアジド化合物としては、波長200~500nmの領域で活性放射線を吸収するものを使用することが好ましい。
ビスアジド化合物としては、例えば、4,4′-ジアジドカルコン、2,6-ビス(4′-アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4′-アジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、2,6-ビス(4′-アジドベンザル)-4-エチルシクロヘキサノン、4,4′-ジアジドスチルベン-2,2′-ジスルホン酸ナトリウム、4,4′-ジアジドジフェニルスルフィド、4,4′-ジアジドベンゾフェノン、4,4′-ジアジドジフェニル、2,7-ジアジドフルオレン、4,4′-ジアジドフェニルメタンが挙げられる。
-活性放射線を吸収する化合物(c)の含有量-
樹脂組成物は、化合物(c)を、アルカリ可溶性樹脂(a)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上含み、より好ましくは0.2質量部以上含み、さらに好ましくは0.3質量部以上含み、通常、10.0質量部以下、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、さらにより好ましくは3.5質量部以下含む。樹脂組成物における化合物(c)の配合量が上記範囲内とすることで、かかる樹脂組成物を用いて形成したレジストの逆テーパー形状を一層良好なものとすることができる。さらに、一般に、レジスト膜厚が厚い場合には、活性放射線がレジスト膜を透過し難いので、化合物(c)の配合量が比較的少なくてもよく、薄い場合には、比較的多く用いることが好ましい。
<塩基性化合物(d)>
樹脂組成物は、塩基性化合物(d)を含む。本明細書において、塩基性化合物とは、光酸発生剤に由来する酸を捕捉しうる化合物を意味する。樹脂組成物に塩基性化合物(d)を配合することで、露光後の熱処理工程(以下、「ポスト露光ベーク」とも称する)における熱理処理時間の許容範囲(マージン)を拡大することができるからである。ポスト露光ベークの熱処理時間の許容範囲(以下、「PEB時間マージンとも称する」)を拡大する、とは、ポスト露光ベークの時間が変動しても、得られるレジストパターンの形状の変動が少ないということを意味する。すなわち、「PEB時間マージン」の広い樹脂組成物によれば、ポスト露光ベーク時間の変動に対する耐性が高く、製造工程条件の変動に起因するレジストパターンの製造ばらつきを抑制することができる。これにより、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いてレジストパターンを形成する際のハンドリングが容易となり、樹脂組成物の使用用途も拡大させることができる。特に、塩基性化合物(d)の配合によりPEB時間マージンを拡大できる理由は、以下の通りであると推察される。まず、塩基性化合物(d)は、露光工程にて光酸発生剤(b1)によりレジスト膜内に発生した酸を中和させる作用を有する。即ち、レジスト膜に塩基性化合物(d)が配合されることで、レジスト膜の露光部分にて、アルカリ可溶性樹脂の架橋反応と、塩基性化合物(d)及び酸の間の中和反応とが同時進行することとなる。そして、ポスト露光ベーク処理工程にて、所定時間後には、中和反応により酸の量が所定量以下となっており、架橋反応に用いられる酸の量が少なくなり、架橋反応が律速段階となることが想定される。従って、かかる律速段階となった以降は、ポスト露光ベーク処理工程をいつの時点で終了しても、得られるレジストパターンにおける架橋構造の形成度合いにあまり差異が無くなると考えられる。よって、樹脂組成物が塩基性化合物(d)を含有する場合には、ポスト露光ベーク時間が変動しても、塩基性化合物(d)の酸中和作用により、レジスト膜内にて架橋反応が過度に進行することが抑制されることで、パターンが太くなることを抑制することができると推察される。
塩基性化合物(d)としては、無機塩基性化合物及び有機塩基性化合物が挙げられる。樹脂組成物を用いたレジストの形成にあたり、有機溶媒への溶解性が高いことから、有機塩基性化合物がより好ましい。樹脂組成物溶液を基板上に塗布して形成した塗膜の均一性を向上させることができるからである。有機塩基性化合物としては、例えば、含窒素塩基性化合物、有機ハロゲン化物、アルコキシド、フォスファゼン誘導体、及びVerkade塩基などが挙げられる。中でも、塩基性化合物としては、含窒素塩基性化合物を用いることが好ましい。樹脂組成物の保存安定性を向上させることができるからである。
含窒素塩基性化合物としては、脂肪族第一級アミン、脂肪族第二級アミン、脂肪族第三級アミン、アミノアルコール、トリアジン環を有さない芳香族アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、脂環式アミンなどが挙げられる。好ましくは、含窒素塩基性化合物としては、脂肪族第一級アミン、脂肪族第二級アミン、脂肪族第三級アミンを配合する。
含窒素塩基性化合物の具体例としては、ブチルアミン、ヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-エチルヘキシルアミン、2-エチルヘキシルオキシプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-プロピルアニリン、ジメチル-N-メチルアニリン、ジエチル-N-メチルアニリン、ジイソプロピル-N-ジメチルアニリン、N-メチルアミノフェノール、N-エチルアミノフェノール、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチルアミノフェノール、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。なかでも、トリエタノールアミンを使用することが好ましい。
-塩基性化合物(d)の性状-
さらに、塩基性化合物(d)としては、比較的沸点が高い塩基性化合物が好ましい。具体的には、塩基性化合物(d)は、沸点が60℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、通常、500℃以下である。塩基性化合物(d)の沸点が高ければ、後述するプリベーク工程やポスト露光ベーク工程における揮発が少なくなり、得られたポスト露光ベーク工程済みのレジスト膜中における塩基性化合物(d)の残存量が、樹脂組成物中における塩基性化合物(d)の配合比率に近い量となる。これにより、樹脂組成物を調製時に設計した通りの塩基性化合物(d)による酸の中和効果を、実際のレジストにて発揮させて、架橋反応が過剰に進行することを抑制して、レジストパターンが太くなることを、設計通りに、効果的に抑制することができる。かかる効果に鑑みて、塩基性化合物の沸点は、プリベーク工程における熱処理温度(以下、「プリベーク温度」とも称する)及びポスト露光ベーク工程における熱処理温度(以下、「ポスト露光ベーク温度」とも称する)よりも10℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましく、50℃以上高いことがさらに好ましい。
さらにまた、塩基性化合物は、重量平均分子量が300未満の化合物であることが好ましい。
-塩基性化合物(d)の配合量(アルカリ可溶性樹脂(a)100質量部に対して)-
樹脂組成物は、塩基性化合物(d)を、アルカリ可溶性樹脂(a)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、通常10質量部以下、好ましくは8質量部以下、より好ましくは5質量部以下含有することができる。塩基性化合物(d)の含有量が上記下限値以上であれば、樹脂組成物の保存安定性を向上させるとともにポスト露光ベークの処理時間の許容範囲を拡大することができる。さらに、塩基性化合物(d)の含有量が上記上限値超えとなると、保存安定性の改善効果が飽和すると共に、レジスト特性に悪影響を及ぼす虞がある。
-塩基性化合物(d)の配合量(光酸発生剤を基準として)-
さらに、樹脂組成物における塩基性化合物(d)の配合量は、質量基準で、光酸発生剤(b1)の配合量の0.001倍以上が好ましく、0.050倍以上がより好ましく、0.200倍以上がさらに好ましく、3.500倍未満が好ましく、2.000倍未満がより好ましく、0.500倍未満がさらに好ましい。光酸発生剤(b1)に対して塩基性化合物(d)を上記下限値以上の比率で配合することで、ポスト露光ベークの熱処理時間の許容範囲を拡大することができる。また、塩基性化合物(d)の配合量を上記上限値以下とすることで、露光により生じた酸を過剰に中和して架橋反応の進行を阻害することを回避することができる。これにより、樹脂組成物を用いて形成したレジストパターンの逆テーパー形状を良好なものとすることができる。また、塩基性化合物(d)の配合量を上記上限値以下とすることで、樹脂組成物を用いて形成したレジストの感度を向上させることができる。
<その他の添加剤>
樹脂組成物に対して、任意で、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、エチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジアルキルエステル類;エフトップ EF301、EF303、EF352(新秋田化成社製)、メガファックス F171、F172、F173、F177(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガード AG710、サーフロン S-382、SC-101、SC-102、SC-103、SC-104、SC-105、SC-106(旭硝子社製)等のフッ素界面活性剤;オルガノシロキサンポリマー KP341(信越化学工業社製);アクリル酸系またはメタクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.95(共栄社油脂化学工業社製)が挙げられる。これらの界面活性剤の配合量は、樹脂組成物の固形分100質量部当り、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
<感放射線性樹脂組成物の製造方法>
上述した各成分を既知の方法により混合することで、感放射線性樹脂組成物を製造することができる。ここで、樹脂組成物は、例えば、各成分を有機溶剤に溶解し、濾過して得られる樹脂組成物溶液として使用に供される。有機溶剤への溶解に際して、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどの既知の混合機を用いることができる。また、濾過に際して、フィルター等のろ材を用いた一般的なろ過方法を採用することができる。
[有機溶剤]
有機溶剤は、上述したような各成分を均一に溶解または分散し得るために十分な量で用いられる。樹脂組成物溶液中の固形分濃度は、通常5~50質量%、好ましくは10~40質量%程度である。
有機溶剤としては、例えば、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルコールエーテル類;プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのジエチレングリコール類;γ-ブチロラクトンなどのラクトン類;トリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミドなどの極性有機溶剤;これらの2種以上の混合溶剤などが挙げられる。
(レジスト)
本発明のレジストは、上述した本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたレジストである。本発明のレジストは、上述した本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて形成されているので、露光工程後の熱処理時間の許容範囲が広く、剥離性が高い。本発明のレジストには、少なくとも、ノボラック樹脂を70質量%超含有するアルカリ可溶性樹脂(a)、架橋成分(b)、及び活性放射線を吸収する化合物(c)、塩基性化合物(d)が含有されており、任意で、その他の成分が含有されている。なお、レジスト中に含まれている各成分は、上記感放射線性樹脂組成物に含有されていたものであり、それらの好適な存在比は、樹脂組成物中の各成分の好適な存在比と同じである。さらに、レジスト中では、アルカリ可溶性樹脂(a)が相互に架橋された状態で存在する。
本発明のレジストは、上述した感放射線性樹脂組成物を、一般的なレジスト膜形成方法に従って使用して、製造することができる。例えば、レジストは、樹脂組成物を有機溶剤に溶解させて樹脂組成物溶液を調製する調製工程と、基板上に、樹脂組成物溶液を塗布及び乾燥して塗膜を形成する塗布工程と、塗膜をプリベーク温度で加熱するプリベーク工程と、プリベーク工程を経て得られたレジスト膜に対して、活性放射線を照射する露光工程と、露光工程の開始後にレジスト膜をポスト露光ベーク温度で加熱又は保持するポスト露光ベーク工程と、レジスト膜を現像する現像工程を経て製造することができる。各工程にて使用する各種成分としては、上述したものと同様の成分を用いることができる。
<調製工程>
調製工程では、本発明の感放射線性樹脂組成物を有機溶剤に溶解させて、感放射線性樹脂組成物溶液を調製する。例えば、上述したような有機溶媒に対して、本発明の感放射線性樹脂組成物、或いは、本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される各成分を添加して、上述した既知の混合機等により混合して溶解させ、任意でろ過処理等を実施することで、感放射線性樹脂組成物溶液を調製することができる。
<塗布工程>
塗布工程では、調製工程で得られた樹脂組成物溶液を基板上に塗布及び乾燥して塗膜を形成する。また、基板は、半導体基板として使用されうる一般的な基板であれば特に限定されることなく、基板としては、特に限定されず、例えば、シリコン基板、ガラス基板、ITO膜形成基板、クロム膜形成基板、樹脂基板でありうる。また、塗布方法としては、スピンコーティング、スプレー、ハケ塗り等により塗布する方法、ディップコーティング等の一般的な塗布方法を採用することができる。
<プリベーク工程>
プリベーク工程では、塗布工程にて形成した塗膜を加熱する。ここで、プリベーク温度は、ポスト露光ベーク温度よりも高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことがさらに好ましい。プリベーク温度がポスト露光ベーク温度よりも高ければ、得られるレジストパターンの逆テーパー形状を一層良好なものとするとともに、かかる良好な逆テーパー形状を高温環境下でも一層良好に維持することができる。なお、通常、プリベーク温度は80℃以上130℃以下である。さらに、プリベーク工程の時間は、10秒以上200秒以下でありうる。また、プリベーク工程は、特に限定されることなく、一般的なベーク装置に備えられたホットプレート等の加熱機構上に塗膜を形成した基板を載置することにより、実施可能であり、プリベーク温度は、ホットプレートの設定温度を変更することにより、制御することができる。そして、プリベーク工程を経て得られたレジスト膜の膜厚は、通常、0.1μm以上15μm以下である。
<露光工程>
露光工程では、プリベーク工程を経て得られたレジスト膜に対して、活性放射線を照射する。活性放射線は、波長13.5nm以上450nm以下であり、具体的には、紫外線、遠紫外線、エキシマレーザー光、X線、電子線、極端紫外光(Extreme Ultra Violet)などが挙げられる。露光光源としては、活性放射線を照射することが可能な光源であれば特に限定されることなく、例えば、紫外線光源、半導体レーザー照射装置、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、エキシマレーザー(KrF,ArF,F2)照射装置、X線露光装置、電子線露光装置、及びEUV露光装置等が挙げられる。
そして、露光量は、通常、10mJ/cm以上、2500mJ/cm以下であり、露光時間は、通常、1秒以上180秒以下である。
<ポスト露光ベーク工程>
ポスト露光ベーク工程では、露光工程開始後のレジスト膜を加熱又は所定の温度条件下に保持する。具体的には、ポスト露光ベーク工程は露光工程の開始後であれば、露光工程が完了する前に開始しても良いし、露光工程が完了した後に開始しても良い。ポスト露光ベーク工程は、プリベーク工程と同様の装置により実施することができるが、露光工程が完了する前にポスト露光ベーク工程を開始する場合には、露光装置の試料台がホットプレート様の機能を有することが好ましい。ポスト露光ベーク温度は、プリベーク温度以下であり、好ましくは20℃以上、より好ましくは80℃以上、通常130℃以下でありうる。また、ポスト露光ベーク工程の時間は、通常10秒以上、好ましくは、60秒以上、より好ましくは100秒以上であり、通常200秒以下である。ポスト露光ベーク工程にて、露光工程開始後のレジスト膜を加熱又は所定の温度条件下に保持することで、架橋成分(b)の架橋反応を促進することができる。なお、活性放射線の照射のみにより十分な架橋反応が生じるアルカリ可溶性樹脂(a)及び架橋成分(b)の組み合わせを採用した場合にあっては、ポスト露光ベーク工程では、レジスト膜を「加熱」せずに、室温程度(例えば、25℃)の雰囲気下にて所定時間保持しても良い。
<現像工程>
アルカリ現像液を用いて、パドル現像、スプレー現像、及びディップ現像等の一般的な現像方法により、レジストパターンを現像する。現像工程にて使用するアルカリ現像液は、pH8以上のアルカリ水溶液でありうる。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ;エチルアミン、プロピルアミンなどの第一級アミン類;ジエチルアミン、ジプロピルアミンなどの第二級アミン類;トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの第三級アミン類;ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルヒドロキシメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウムヒドロキシド類;などが挙げられる。また、必要に応じて、前記アルカリ水溶液には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、エチレングリコールなどの水溶性有機溶剤、界面活性剤、樹脂の溶解抑制剤などを添加することができる。
そして、現像工程を経て得られたレジストパターンは、リフトオフ法に用いられる場合は、その上から基板全面に対して金属配線材料を蒸着させて、金属蒸着膜などの各種膜を形成する。その後、レジストパターンを、その上に形成された膜と共に除去し、基板上に形成された金属蒸着膜などの膜を残す。有機EL表示素子を作成する場合には、現像により得られたレジストパターンの上から有機EL材料を蒸着し、次いで、アルミニウムなどの金属を蒸着する。この場合、レジストパターンは、除去することなく残しておく。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
実施例および比較例において、レジストのポスト露光ベーク時間許容範囲(PEB時間マージン)、剥離性、及び感度は、それぞれ、以下のようにして測定及び評価した。また、実施例及び比較例に用いたアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量の測定条件は以下の通りとした。
<ポスト露光ベーク時間許容範囲(PEB時間マージン)>
実施例、比較例で、ライン(現像工程後に溶解せずに残る部分)とスペース(現像工程にてレジスト膜が溶解し、空隙となった部分)からなるレジストパターンを形成する際の、ポスト露光ベーク工程の時間を100秒から180秒に変更した以外は各実施例、比較例と同様にして、レジストパターンを形成した。得られたレジストパターンと、対応する各実施例、比較例によるレジストパターンとをそれぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)観察して、それぞれ3本のラインパターンの線幅を測定し、平均値を算出した。各実施例、比較例による、ポスト露光ベーク工程の時間が100秒のレジストパターンの線幅の平均値(W100)と、評価のために作製したポスト露光ベーク工程の時間が180秒のレジストパターンの線幅の平均値(W180)との差分から、下式によりポスト露光ベーク時間差10秒当たりの線幅変化量(WΔ/10sec)を算出した。
Δ/10sec=|W180-W100|/8
そして、得られた線幅変化量(WΔ/10sec)の、実施例、比較例で作製したラインパターンの線幅に対する比率を式:(WΔ/10sec/W100)×100[%]に従って算出して、下記基準に従って評価した。
A:(WΔ/10sec/W100)×100[%]が1.0%未満
B:(WΔ/10sec/W100)×100[%]が1.0%以上1.5%未満
C:(WΔ/10sec/W100)×100[%]が1.5%以上
ポスト露光後ベーク工程の時間の変動に際して、単位時間あたりの変化量が少ないレジストパターンほど、ポスト露光ベーク時間の許容範囲(PEB時間マージン)が広いことを意味する。即ち、PEB時間マージンが広いほど、ポスト露光ベーク時間が変動してもレジストパターンの形状への影響が少なく、得られるレジストパターンの品質が安定するということを意味する。
<剥離性>
実施例、比較例で形成したレジストパターン付きの基板に対して、110℃に設定したホットプレート上で1分間加熱処理を行った。その後、モノエタノールアミンとジメチルスルホキシドとがそれぞれ質量基準で、70:30で混合されてなる剥離液に浸漬して40℃で5分間保持して、剥離処理を行った。その後、剥離液から基板を引き上げて、基板上におけるレジストパターンの剥離状態を観察した。また、以下の評価基準に従ってレジストパターンの剥離状態を評価した。
A:基板上にレジスト残留物が無く、レジストパターンが全て剥離できた。
B:基板の一部分(全基板面積の30%以下)にレジスト残留物が確認された。
C:基板の一部分(全基板面積の30%超80%以下)にレジスト残留物が確認された。
D:全基板面積の80%超にてレジスト残留物が確認された。
<感度>
実施例、比較例に従って形成したレジスト膜(パターン形成前)について、露光エネルギー量を10mJ/cm~2500mJ/cmの間で、一定間隔で異ならせて、ライン及びスペースを含むパターンを複数個露光した。そして、露光後のレジスト膜を実施例1に記載の方法に従って現像し、得られたレジストパターン付きの基板を、光学顕微鏡により、基板上面から観察した。現像工程を経て得られた各レジストパターン付きの基板について、ライン部分の幅SWlとスペース部分の幅SWsとを測定し、SWs/SWlの値を算出した。得られた値と露光エネルギー量とをプロットして曲線近似し、SWs/SWlの値が1となる露光エネルギー量を求めた。そして、以下の基準に従って評価した。
A:SWs/SWlの値が1となる露光エネルギー量が800mJ/cm以下
B:SWs/SWlの値が1となる露光エネルギー量が800mJ/cm超2000mJ/cm以下
C:SWs/SWlの値が1となる露光エネルギー量が2000mJ/cm
<重量平均分子量の測定>
-条件-
装置 :HLC-8120GPC(東ソー製)
カラム:TSKgel G5000HXL、内径7.8mm×長さ30cm(東ソー製)の2連
温度 :40℃
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/分
試料 :濃度0.05~0.1質量%の試料を0.05~0.2ml注入
-検量線-
分子量がそれぞれ、5.0×10、2.5×10、9.83×10、3.72×10、1.89×10、7.07×10、1.11×10である、7種の東ソー製単分散ポリスチレン標準試料を用いて作成した分子量校正曲線を使用した。
(実施例1)
<感放射線性樹脂組成物溶液の調製(調製工程)>
m-クレゾール70部及びp-クレゾール30部を、ホルムアルデヒド19部と脱水縮合して得た重量平均分子量3000のノボラック樹脂をアルカリ可溶性樹脂(a)として用いた。かかるアルカリ可溶性樹脂(a)100質量部に対して、架橋成分(b)を構成する光酸発生剤(b1)としてのハロゲン含有トリアジン系光酸発生剤(みどり化学製、商品名「TAZ110」)2部、酸架橋剤(b2)としてのメラミン系架橋剤(三井サイテック製、商品名「サイメル(登録商標)303」)8部、活性放射線を吸収する化合物(c)としてのビスアジド化合物(東洋合成工業製、商品名「BAC-M」)2部、及び塩基性化合物(d)としてのトリエタノールアミン(沸点:335℃)0.5部を、有機溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)176部中に溶解させた。得られた感放射線性樹脂組成物の分散液を、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製メンブランフィルターで濾過して、固形分濃度が39質量%の感放射線性樹脂組成物溶液を調製した。
<レジストパターンの形成>
基材としてのシリコンウェハ上に、スピンコーターを用いて感放射線性樹脂組成物溶液を塗布及び乾燥させて塗膜を形成した(塗布工程)。次いで、温度110℃に設定したホットプレート上に、表面に塗膜を有するシリコンウェハを載置し、90秒間保持してプリベーク工程を実施した。得られたレジスト膜の膜厚は4μmであった。得られたレジスト膜を用いて、上述の方法に従って感度を評価した。
このレジスト膜の上から、20μm のライン&スペース(L&S)パターンのマスクを用いて、パラレルライトマスクアライナー(キャノン製、商品名「PLA501F」、紫外線光源、照射波長365nm~436nm)で露光した。露光量は、300mJ/cmとし、ライン部分の幅とスペース部分の幅とが1:1となるように露光した(露光工程)。得られた露光工程済みのレジスト膜を用いて、上述の方法に従ってPEB時間マージンを評価した。
露光工程後、温度100℃に設定してホットプレート上にレジスト膜付きのシリコンウェハを載置し、100秒間保持してポスト露光ベーク工程を実施した。ポスト露光ベーク工程後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で、70秒間パドル現像し、L&Sのレジストパターンを得た。レジストパターンの断面形状は、逆テーパー形状であった。そして、得られたレジストパターンについて上述の方法に従って剥離性の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例2~4)
感放射線性樹脂組成物溶液の調製にあたり、塩基性化合物(d)の配合量を表1に示す通りに変更したこと以外は実施例1と同様にして、レジスト膜(パターン形成前)、露光工程済みレジスト膜(ポスト露光ベーク前)、及びレジストパターンを形成した。そして、得られたレジスト膜を用いて感度を、露光工程済みレジスト膜を用いてPEB時間マージンを、レジストパターンについて剥離性を、それぞれ、上述の方法に従って評価した結果を表1に示す。
(実施例5~6)
感放射線性樹脂組成物溶液の調製にあたり、アルカリ可溶性樹脂として、ノボラック樹脂に加えて、ポリビニルフェノール樹脂(丸善石化製、「マルカリンカー(登録商標)S-2P」、重量平均分子量5000)を配合した。配合比を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして各種膜を形成し、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例7)
感放射線性樹脂組成物溶液の調製にあたり、塩基性化合物(d)として、トリエチルアミン(沸点:89.5℃)を0.5部配合した以外は実施例1と同様にして各種膜を形成し、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例8)
感放射線性樹脂組成物溶液の調製にあたり、塩基性化合物(d)の配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして各種膜を形成し、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
(実施例9)
感放射線性樹脂組成物溶液の調製にあたり、酸架橋剤(b2)の配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして各種膜を形成し、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例1)
感放射線性樹脂組成物溶液の調製にあたり、アルカリ可溶性樹脂として、ノボラック樹脂60部に加えて、実施例5~6で用いたポリビニルフェノール樹脂と同様の樹脂40部を配合した以外は実施例1と同様にして各種膜を形成し、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
(比較例2)
感放射線性樹脂組成物溶液の調製にあたり、塩基性化合物(d)を配合しなかった以外は実施例1と同様にして各種膜を形成し、各種評価を実施した。結果を表1に示す。
表1中、「TEOA」はトリエタノールアミンを、「TEA」はトリエチルアミンをそれぞれ示す。
Figure 0007028160000001
表1より、ノボラック樹脂を70質量%超含有するアルカリ可溶性樹脂(a)、架橋成分(b)である光酸発生剤(b1)及び酸架橋剤(b2)、活性放射線を吸収する化合物(c)、及び、塩基性化合物(d)を含有する感放射線性樹脂組成物を用いた実施例1~9では、PEB時間マージンが広く、剥離性に優れるレジストが得られたことが分かる。一方、アルカリ可溶性樹脂(a)に含有されるノボラック樹脂の含有量の低い比較例1や、塩基性化合物(d)を配合しない比較例2では、PEB時間マージンが広く、且つ剥離性に優れるレジストが得られないことが分かる。
本発明によれば、露光工程後の熱処理時間の許容範囲を広げると共に、レジストの剥離性を向上させることができる。

Claims (4)

  1. アルカリ可溶性樹脂(a)、活性放射線の照射、又は、活性放射線の照射及びその後の熱処理により、前記アルカリ可溶性樹脂を架橋する架橋成分(b)、及び前記活性放射線を吸収する化合物(c)を含有する感放射線性樹脂組成物であって、
    (1)前記架橋成分(b)が、前記活性放射線の照射によって酸を発生する光酸発生剤(b1)と、前記活性放射線によって発生した酸を触媒として前記アルカリ可溶性樹脂(a)を架橋する酸架橋剤(b2)との組み合わせであり、
    (2)前記アルカリ可溶性樹脂(a)が、ノボラック樹脂を70質量%超含有し、
    (3)塩基性化合物(d)を含み、
    前記塩基性化合物(d)の含有量が、前記光酸発生剤(b1)の含有量の0.200倍以上0.500倍未満であり、
    前記塩基性化合物(d)の沸点が100℃以上であり、さらに、
    前記塩基性化合物(d)は、価数が一価であるとともに、重量平均分子量が300未満である
    感放射線性樹脂組成物。
  2. 前記塩基性化合物(d)が、含窒素塩基性化合物である、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
  3. 前記酸架橋剤(b2)の含有量が、前記アルカリ可溶性樹脂(a)100質量部に対して、32質量部未満である、請求項1又は2に記載の感放射線性樹脂組成物。
  4. 請求項1~3の何れかに記載の感放射線性樹脂組成物を用いて形成した、レジスト。
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