JP2022110237A - パターン化有機層の製造方法、保護層形成用組成物、キット及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

パターン化有機層の製造方法、保護層形成用組成物、キット及び半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】得られるパターン化有機層の表面に、積層体に含まれる他の層が含有する成分が残存することが抑制されるパターン化有機層の製造方法、上記パターン化有機層の形成に用いられる積層体に含まれるフッ素含有化合物を含む層の形成に用いられる保護層形成用組成物、上記積層体の形成に用いられるキット、及び、半導体デバイスの製造方法を提供すること。【解決手段】有機層、特定の保護層及び感光層をこの順に有する積層体を用い、感光層を露光、アルカリ含有現像液で現像する工程、エッチングによりパターン化有機層を得る工程、並びに、特定の保護層を除去する工程を含む、パターン化有機層の製造方法、上記パターン化有機層の形成に用いられる積層体に含まれるフッ素含有化合物を含む層の形成に用いられる保護層形成用組成物、上記積層体の形成に用いられるキット、及び、半導体デバイスの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、パターン化有機層の製造方法、保護層形成用組成物、キット及び半導体デバイスの製造方法に関する。
近年、有機半導体を用いた半導体デバイスなど、パターニングされた有機層を利用したデバイスが広く用いられている。
例えば有機半導体デバイスは、従来のシリコンなどの無機半導体を用いた電子デバイスと比べて簡単なプロセスにより製造できるというメリットがある。更に、有機半導体は、その分子構造を変化させることで容易に材料特性を変化させることが可能である。また、材料のバリエーションが豊富であり、無機半導体では成し得なかったような機能や素子を実現することが可能になると考えられている。有機半導体は、例えば、有機太陽電池、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、有機光ディテクター、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子等の電子機器に応用される可能性がある。
このような有機半導体等の有機層のパターニングを、有機層と、感光層(例えば、レジスト層)等の層と、を含む積層体を用いて行うことが知られている。
例えば、特許文献1には、パターン化された導電層を有する有機デバイスを形成するための方法であって、基板を準備する工程と、基板上に有機材料を堆積させて、1又は2以上の有機層を形成する工程と、フッ素化フォトレジスト材料及び第1のフッ素化溶媒を含むフォトレジスト溶液を上記1又は2以上の有機層上にコーティングして、光パターン化可能な層を形成する工程と、上記光パターン化可能な層の一部を選択的に露光して、露光された第1のフッ素化フォトレジスト材料のパターンと露光されていない第2のフッ素化フォトレジスト材料のパターンを形成する工程と、基板を第2のフッ素化溶媒により処理して上記光パターン化可能な層を現像し、上記露光された第1のフッ素化フォトレジスト材料のパターンを除去することなく、上記露光されていない第2のフッ素化フォトレジスト材料のパターンを除去する工程と、上記1又は2以上の有機層上に1又は2以上の導電層をコーティングする工程と、パターンを形成するために上記1又は2以上の導電層の一部を除去する工程と、を含む方法が記載されている。
米国特許出願第2014/0322850号明細書
本発明は、得られるパターン化有機層の表面に、積層体に含まれる他の層が含有する成分が残存することが抑制されるパターン化有機層の製造方法、上記パターン化有機層の形成に用いられる積層体に含まれるフッ素含有化合物を含む層の形成に用いられる保護層形成用組成物、上記積層体の形成に用いられるキット、及び、上記パターン化有機層の製造方法を利用する半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の代表的な実施態様を以下に示す。
<1> 有機層、フッ素含有化合物を含む層及び感光層をこの順に有する積層体を用い、
上記感光層を露光する工程、
上記感光層をアルカリ含有現像液で現像してパターンを得る工程、
上記パターンを介して上記有機層をエッチングしてパターン化有機層を得る工程、並びに、
上記フッ素含有化合物を含む層を除去する工程を含む、
パターン化有機層の製造方法。
<2> 上記フッ素含有化合物を含む層の全質量に対する、フッ素含有化合物の含有量が90質量%以上である、<1>に記載のパターン化有機層の製造方法。
<3> 上記フッ素含有化合物として、フッ素原子を含む樹脂を含む、<1>又は<2>に記載のパターン化有機層の製造方法。
<4> 上記フッ素含有化合物が、下記式(F-1)又は式(F-2)で表される繰返し単位を有する樹脂、及び、酸不安定基で保護されたフッ素化カリックスアレーンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である、<1>又は<2>に記載のパターン化有機層の製造方法。
Figure 2022110237000002
式(F-1)又は式(F-2)中、Xは-O-又は-C(R-を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1~5のアルキル基を表し、RおよびRの少なくとも1つはフッ素原子を含み、2つのRは互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
<5> 上記フッ素含有化合物を含む層を除去する工程が、フッ素系溶剤を含む剥離液によりフッ素含有化合物を含む層を除去する工程である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のパターン化有機層の製造方法。
<6> 上記感光層が、上記露光によりアルカリ現像液への溶解速度が増加する感光層である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のパターン化有機層の製造方法。
<7> 上記感光層が、ノボラック樹脂を含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載のパターン化有機層の製造方法。
<8> 上記有機層が、有機半導体層である、<1>~<7>のいずれか1つに記載のパターン化有機層の製造方法。
<9> フッ素含有化合物、及び、溶剤を含み、
<1>~<8>のいずれか1つに記載の上記フッ素含有化合物を含む層の形成に用いられる保護層形成用組成物。
<10> 上記フッ素含有化合物を含む層を形成するための保護層形成用組成物と、
上記感光層を形成するための感光層形成用組成物とを含み
<1>~<8>のいずれか1つに記載の積層体の形成に用いられる
キット。
<11> <1>~<8>のいずれか1つに記載のパターン化有機層の製造方法を含む、半導体デバイスの製造方法。
本発明によれば、得られるパターン化有機層の表面に、積層体に含まれる他の層が含有する成分が残存することが抑制されるパターン化有機層の製造方法、上記パターン化有機層の形成に用いられる積層体に含まれるフッ素含有化合物を含む層の形成に用いられる保護層形成用組成物、上記積層体の形成に用いられるキット、及び、上記パターン化有機層の製造方法を利用する半導体デバイスの製造方法が提供される。
本発明のパターン化有機層の製造方法における各工程の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の代表的な実施形態について説明する。各構成要素は、便宜上、この代表的な実施形態に基づいて説明されるが、本発明は、そのような実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「~」という記号を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、その工程の所期の作用が達成できる限りにおいて、他の工程と明確に区別できない工程も含む意味である。
本明細書における基(原子団)の表記について、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に、置換基を有するものをも包含する意味である。例えば、単に「アルキル基」と記載した場合には、これは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)、及び、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)の両方を包含する意味である。また、単に「アルキル基」と記載した場合には、これは、鎖状でも環状でもよく、鎖状の場合には、直鎖でも分岐でもよい意味である。これらのことは、「アルケニル基」、「アルキレン基」及び「アルケニレン基」等の他の基についても同義とする。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた描画のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も含む意味である。描画に用いられるエネルギー線としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)及びX線などの活性光線、ならびに、電子線及びイオン線などの粒子線が挙げられる。
本明細書において、「光」には、特に断らない限り、紫外、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の領域の波長の光や、電磁波だけでなく、放射線も含まれる。放射線には、例えばマイクロ波、電子線、極端紫外線(EUV)、X線が含まれる。また248nmエキシマレーザー、193nmエキシマレーザー、172nmエキシマレーザーなどのレーザー光も用いることができる。これらの光は、光学フィルターを通したモノクロ光(単一波長光)を用いてもよいし、複数の波長を含む光(複合光)でもよい。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方、又は、いずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方、又は、いずれかを意味する。
本明細書において、組成物中の固形分は、溶剤を除く他の成分を意味し、組成物中の固形分の含有量(濃度)は、特に述べない限り、その組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率によって表される。
本明細書において、特に述べない限り、温度は23℃、気圧は101325Pa(1気圧)、相対湿度は50%RHである。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC測定)に従い、ポリスチレン換算値として示される。この重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC-8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ-L、TSKgel Super HZM-M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000及びTSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)を用いることによって求めることができる。また、特に述べない限り、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定したものとする。また、特に述べない限り、GPC測定における検出には、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
本明細書において、積層体を構成する各層の位置関係について、「上」又は「下」と記載したときには、注目している複数の層のうち基準となる層の上側又は下側に他の層があればよい。すなわち、基準となる層と上記他の層の間に、更に第3の層や要素が介在していてもよく、基準となる層と上記他の層は接している必要はない。また、特に断らない限り、基材に対し層が積み重なっていく方向を「上」と称し、又は、感光層がある場合には、基材から感光層へ向かう方向を「上」と称し、その反対方向を「下」と称する。なお、このような上下方向の設定は、本明細書中における便宜のためであり、実際の態様においては、本明細書における「上」方向は、鉛直上向きと異なることもありうる。
(パターン化有機層の製造方法)
本発明のパターン化有機層の製造方法は、有機層、フッ素含有化合物を含む層及び感光層をこの順に有する積層体を用い、上記感光層を露光する工程、上記感光層をアルカリ含有現像液で現像してパターンを得る工程、上記パターンを介して上記有機層をエッチングしてパターン化有機層を得る工程、並びに、上記フッ素含有化合物を含む層を除去する工程を含む。
本明細書において、上記フッ素含有化合物を含む層を「保護層」とも記載する。
本発明のパターン化有機層の製造方法によれば、得られるパターン化有機層の表面に、積層体に含まれる他の層が含有する成分が残存することが抑制される。上記効果が得られる理由としては、下記のように推測される。
従来から、有機層及び感光層をこの順に有する積層体において、感光層のレジストパターンを形成し、エッチングを行った後に、感光層を除去することが行われてきた(例えば、特許文献1)。
しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、このような態様において、感光層が除去しきれず、有機層の表面に感光層に含まれる成分が残存してしまうことが分かった。
例えば、特許文献1においては、感光層の成分としてカルボキシ基を保護した樹脂を用い、露光により露光部においては上記カルボキシ基の保護が外れ、その後現像液としてフッ素系溶剤を用いて現像することにより、感光層のネガ型パターンを形成することが記載されている。
このような態様によれば、現像液としてアルカリ含有現像液を使用しないため有機層の損傷は抑制される場合があるが、後に感光層のネガ型パターンを除去する際には、例えば、感光層のネガ型パターンに含まれるカルボキシ基を有する樹脂などの成分が有機層に吸着してしまうため、有機層の表面に感光層に含まれる成分が残存してしまうと考えられる。
しかし、本発明においては、積層体は有機層と感光層の間にフッ素含有化合物を含む層(保護層)を含む。
そのため、積層体においては感光層に含まれる成分が直接有機層と接触することが避けられ、感光層及び保護層の除去後には、感光層に含まれる成分が有機層の表面に残存することが抑制されると考えられる。
また、上記保護層が存在することにより、感光層の現像時には、アルカリ含有現像液が有機層と直接触れることが防止されるため、有機層が現像液により変性すること、有機層の一部が現像液により除去されてしまうこと等の、現像による有機層へのダメージ(損傷)も防止されると考えられる。
更に、現像液として有機溶剤を用いて現像する場合と比較して、アルカリ含有現像液を用いて現像することにより、有機層へのダメージが軽減される、環境負荷が軽減される、微細パターンが形成しやすい等の効果も得られる場合がある。
本発明のパターン化有機層の製造方法によれば、パターン化された有機層(パターン化有機層)を得ることができる。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る積層体の加工過程の一例を模式的に示す概略断面図である。本発明の一実施形態においては、図1(a)に示した例のように、基材4の上に有機層3(例えば、有機半導体層)が配設されている。更に、有機層3を保護するフッ素含有化合物を含む層(保護層)2が接する形でその表面に配設されている。有機層3と保護層2の間には他の層が設けられていてもよいが、本発明の効果がより得られやすい観点からは、有機層3と保護層2とが直接接している態様が、好ましい態様の一例として挙げられる。また、この保護層の上に感光層1が配置されている。感光層1と保護層2とは直接接していてもよいし、感光層1と保護層2との間に他の層が設けられていてもよい。保護層の表面自由エネルギーが小さいため感光層由来の残渣が保護層に付着しにくい観点からは、感光層1と保護層2とは直接接する態様の方が好ましい。
図1(b)には、感光層1の一部を露光現像した状態の一例が示されている。例えば、所定のマスク等を用いる等の方法により感光層1を部分的に露光し、露光後にアルカリ含有現像液を用いて現像することにより、除去部5における感光層1が除去され、露光現像後の感光層1aが形成される。このとき、保護層2は現像液により除去されにくいため残存し、有機層3は残存した上記保護層2によって現像液によるダメージから保護される。また、上記現像後に感光層1aに対して加熱又は露光を更に行ってもよい。
図1(c)には、保護層2と有機層3の一部を除去した状態の一例が示されている。例えば、ドライエッチング処理等のエッチング処理により、現像後の感光層(レジスト)1aのない除去部5における保護層2と有機層3とを除去することにより、保護層2及び有機層3に除去部5aが形成される。このようにして、除去部5aにおいて有機層3を取り除くことができる。すなわち、有機層3のパターニングを行うことができる。エッチングにより、除去部5a以外の部分に存在する感光層1a及び保護層2が除去されてもよい。
図1(d)には、上記パターニング後に、感光層1a及び保護層2を除去した状態の一例が示されている。例えば、上記図1(c)に示した状態の積層体における感光層1a及び保護層2をフッ素系溶剤等の剥離液で洗浄する等により、加工後の有機層3a上の感光層1a及び保護層2が除去される。
以上のとおり、本発明の好ましい実施形態によれば、有機層3に所望のパターンを形成したパターン化有機層を得ることができ、かつレジストとなる感光層1と保護膜となる保護層2を除去することができる。
以下、本発明のパターン化有機層の製造方法における各工程の詳細を説明する。
<積層体を製造する工程>
本発明のパターン化有機層の製造方法は、有機層、フッ素含有化合物を含む層及び感光層をこの順に有する積層体を用いる。
上記積層体は、パターン化有機層の製造方法において製造してもよいし、購入等の手段により入手してもよい。
すなわち、本発明のパターン化有機層の製造方法は、後述する露光工程の前に、有機層、フッ素含有化合物を含む層及び感光層をこの順に有する積層体を製造する工程(積層体製造工程)を含んでもよい。
積層体製造工程は、例えば、有機層を備える基材の有機層上にフッ素含有化合物を含む層(保護層)を形成する工程、及び、上記保護層の上に感光層を形成する工程を含む。
また、上記有機層を備える基材は、積層体製造工程において製造してもよいし、購入等の手段により入手してもよい。
すなわち、積層体製造工程は、例えば、基材上に有機層を形成する工程、上記有機層上にフッ素含有化合物を含む層(保護層)を形成する工程、及び、上記保護層の上に感光層を形成する工程を含んでもよい。
〔基材上に有機層を形成する工程〕
本発明のパターン化有機層の製造方法は、基材上に有機層を形成する工程(有機層形成工程)を含むことができる。
基材及び有機層の詳細については後述する。
有機層の形成方法は、気相法でも液相法でもよい。
気相法の場合には、蒸着法(真空蒸着法、分子線エピタキシー法など)、スパッタリング法、及びイオンプレーティング法などの物理気相成長(PVD)法や、プラズマ重合法などの化学気相成長(CVD)法が使用でき、特に蒸着法が好ましい。
一方、液相法の場合には、例えば、有機材料は溶剤中に配合され、有機層を形成する組成物(有機層形成用組成物)とされる。そして、この組成物を基材上に供給し乾燥して、有機層が形成される。供給方法としては、塗布が好ましい。供給方法の例としては、スリットコート法、キャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、ラングミュア-ブロジェット(Langmuir-Blodgett)(LB)法、エッジキャスト法(詳細は、特許第6179930号公報)などを挙げることができる。キャスト法、スピンコート法、及びインクジェット法を用いることが更に好ましい。このようなプロセスにより、表面が平滑で大面積の有機層を低コストで生産することが可能となる。
有機層形成用組成物の詳細については後述する。
また、成膜の際、基材を加熱又は冷却してもよく、基材の温度を変化させることで膜質や膜中での分子のパッキングを制御することが可能である。基材の温度としては特に制限はないが、好ましくは-200℃~400℃、より好ましくは-100℃~300℃、更に好ましくは0℃~200℃である。
形成された有機層は、後処理により特性を調整することができる。例えば、加熱処理や蒸気化した溶剤に暴露することにより膜のモルホロジーや膜中での分子のパッキングを変化させることで特性を向上させることが可能である。また、酸化性又は還元性のガスや溶剤、物質などに曝す、あるいはこれらの手法を併用することで酸化あるいは還元反応を起こし、膜中でのキャリア密度などを調整することができる。
〔有機層上にフッ素含有化合物を含む層(保護層)を形成する工程〕
本発明のパターン化有機層の製造方法は、有機層上にフッ素含有化合物を含む層(保護層)を形成する工程(保護層形成工程)を含むことができる。
保護層の詳細については後述する。
例えば、基材の上に有機層を形成した後に、本工程を行う。この場合、保護層は、有機層の基材側の面とは反対側の面に形成する。
保護層は、有機層と直接接するように形成されることが好ましいが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の層が間に設けられてもよい。他の層としては、フッ素系の下塗り層等が挙げられる。また、保護層は1層のみ設けられてもよいし、2層以上設けられてもよい。保護層は、好ましくは、後述する保護層形成用組成物を用いて形成される。形成方法の詳細は、保護層形成用組成物の適用方法を参照できる。
〔保護層の上に感光層を形成する工程〕
本発明のパターン化有機層の製造方法は、保護層の有機層側の面とは反対側の上(好ましくは表面上)に、感光層を形成する工程(感光層形成工程)を含むことができる。
感光層の詳細については後述する。
感光層は、好ましくは、後述する感光層形成用組成物を用いて形成される。形成方法の詳細は、感光層形成用組成物の適用方法を参照できる。
<感光層を露光する工程>
本発明のパターン化有機層の製造方法は、感光層を露光する工程(露光工程)を含む。
具体的には、例えば、露光工程においては、感光層の少なくとも一部に活性光線が照射(露光)される。
露光工程においては、感光層の一部が露光されることにより、感光層の露光された部分(露光部)と、感光層の露光されない部分(未露光部)が形成されることが好ましい。
上記露光は所定のパターンとなるように行うことが好ましい。また、露光はフォトマスクを介して行ってもよいし、所定のパターンを直接描画してもよい。
露光時の活性光線の波長としては、好ましくは180nm以上450nm以下の波長、より好ましくは365nm(i線)、248nm(KrF線)又は193nm(ArF線)の波長を有する活性光線を使用することができる。露光波長は、感光層の成分に応じて決定すればよい。
活性光線の光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、レーザ発生装置、発光ダイオード(LED)光源などを用いることができる。
光源として水銀灯を用いる場合には、g線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長を有する活性光線を好ましく使用することができ、i線を用いることがより好ましい。
光源としてレーザ発生装置を用いる場合には、固体(YAG)レーザでは343nm、355nmの波長を有する活性光線が好適に用いられ、エキシマレーザでは、193nm(ArF線)、248nm(KrF線)、351nm(Xe線)の波長を有する活性光線が好適に用いられ、更に半導体レーザでは375nm、405nmの波長を有する活性光線が好適に用いられる。この中でも、安定性、コスト等の点から355nm、又は、405nmの波長を有する活性光線がより好ましい。レーザは、1回あるいは複数回に分けて、感光層に照射することができる。
露光量は、40~120mJが好ましく、60~100mJがより好ましい。
レーザの1パルス当たりのエネルギー密度は、0.1mJ/cm以上10,000mJ/cm以下であることが好ましい。塗膜を十分に硬化させるには、0.3mJ/cm以上がより好ましく、0.5mJ/cm以上が更に好ましい。アブレーション現象による感光層等の分解を抑制する観点からは、露光量を1,000mJ/cm以下とすることが好ましく、100mJ/cm以下がより好ましい。
また、パルス幅は、0.1ナノ秒(以下、「ns」と称する)以上30,000ns以下であることが好ましい。アブレーション現象により感光層を分解させないようにするには、0.5ns以上がより好ましく、1ns以上が一層好ましい。スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、1,000ns以下がより好ましく、50ns以下が更に好ましい。
光源としてレーザ発生装置を用いる場合、レーザの周波数は、1Hz以上50,000Hz以下が好ましく、10Hz以上1,000Hz以下がより好ましい。
更に、露光処理時間を短くするには、レーザの周波数は、10Hz以上がより好ましく、100Hz以上が更に好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、10,000Hz以下がより好ましく、1,000Hz以下が更に好ましい。
レーザは、水銀灯と比べると焦点を絞ることが容易であり、また、露光工程でのパターン形成においてフォトマスクの使用を省略することができるという点でも好ましい。
露光装置としては、特に制限はないが、市販されているものとしては、Callisto((株)ブイ・テクノロジー製)、AEGIS((株)ブイ・テクノロジー製)、DF2200G(大日本スクリーン製造(株)製)などを使用することが可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
また、必要に応じて、長波長カットフィルタ、短波長カットフィルタ、バンドパスフィルタのような分光フィルタを通して、照射光量を調整することもできる。
また、上記露光の後、必要に応じて露光後加熱工程(PEB)を行ってもよい。
<感光層をアルカリ含有現像液で現像してパターンを得る工程>
本発明のパターン化有機層の製造方法は、感光層をアルカリ含有現像液で現像してパターンを得る工程(現像工程)を含む。
以下、アルカリ含有現像液を単に「現像液」と記載する場合がある。
現像はポジ型現像が好ましい。
〔アルカリ含有現像液〕
アルカリ含有現像液としては、アルカリ化合物及び水を含む現像液が好ましく、アルカリ化合物の水溶液がより好ましい。
アルカリ化合物としては、無機アルカリ類、第一級アミン類、第二級アミン類、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩が挙げられ、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドドキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリアミルアンモニウムヒドロキシド、ジブチルジペンチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジンが好ましく、より好ましくはTMAHである。
アルカリ含有現像液におけるアルカリ化合物の含有量は、アルカリ化合物の種類及び感光層の組成に応じて適宜調整すればよいが、例えばTMAHを用いる場合、アルカリ含有現像液全質量中0.01~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.3~3質量%が更に好ましい。
アルカリ含有現像液は、水溶性有機溶剤、界面活性剤等の他の成分を更に含んでもよい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶剤;アセトン等のケトン系溶剤;ホルムアミド等のアミド系溶剤、等が挙げられる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、後述の保護層の項で述べた界面活性剤が好ましく用いられる。
またアルカリ含有現像液は、水及びアルカリ化合物以外の成分を実質的に含まない態様とすることもできる。上記態様において、水及びアルカリ化合物の合計含有量は、アルカリ含有現像液の全質量に対し、98質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、99.9質量%以上であることが更に好ましい。上記含有量の上限は特に限定されず、100質量%とすることもできる。
〔現像方法〕
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に積層体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、積層体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、積層体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している積層体上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液を感光層に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は、好ましくは2mL/秒/mm以下、より好ましくは1.5mL/秒/mm以下、更に好ましくは1mL/秒/mm以下である。吐出圧の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/秒/mm以上が好ましい。吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液が感光層に与える圧力が小さくなり、レジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。なお、現像液の吐出圧(mL/秒/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法や、加圧タンクからの供給で圧力を調整することで変える方法などを挙げることができる。
また、アルカリ含有現像液を用いて現像する工程の後に、他の液体(例えば、純水)に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
<上記パターンを介して上記有機層をエッチングしてパターン化有機層を得る工程>
本発明のパターン化有機層の製造方法は、上記パターン(現像工程において感光層を現像して得られたパターン)を介して上記有機層をエッチングしてパターン化有機層を得る工程(エッチング工程)を含む。
具体的には、感光層を現像してマスクパターンを作製した後、エッチング処理にて少なくとも非マスク部の上記保護層及び上記有機層が除去される。非マスク部とは、感光層を現像して形成されたマスクパターンによりマスクされていない領域(感光層が現像により取り除かれた領域)をいう。
上記エッチング処理は複数の段階に分けて行われてもよい。例えば、上記保護層及び上記有機層は、一度のエッチング処理により除去されてもよいし、保護層の少なくとも一部がエッチング処理により除去された後に、有機層(及び、必要に応じて保護層の残部)がエッチング処理により除去されてもよい。
また、上記エッチング処理はドライエッチング処理であってもウェットエッチング処理であってもよく、エッチングを複数回に分けてドライエッチング処理とウェットエッチング処理とを行う態様であってもよい。例えば、保護層の除去はドライエッチングによるものであってもウェットエッチングによるものであってもよい。
上記保護層及び上記有機層を除去する方法としては、例えば、上記保護層及び上記有機層を一度のドライエッチング処理により除去する方法A、上記保護層の少なくとも一部をウェットエッチング処理により除去し、その後に上記有機層(及び、必要に応じて上記保護層の残部)をドライエッチングにより除去する方法B等の方法が挙げられる。
上記方法Aにおけるドライエッチング処理、上記方法Bにおけるウェットエッチング処理及びドライエッチング処理等は、公知のエッチング処理方法に従い行うことが可能である。
以下、上記方法Aの一態様の詳細について説明する。上記方法Bの具体例としては、特開2014-098889号公報の記載等を参酌することができる。
上記方法Aにおいて、具体的には、レジストパターンをエッチングマスク(マスクパターン)として、ドライエッチングを行うことにより、非マスク部の保護層及び有機層を除去することができる。ドライエッチングの代表的な例としては、特開昭59-126506号公報、特開昭59-046628号公報、特開昭58-009108号公報、特開昭58-002809号公報、特開昭57-148706号公報、特開昭61-041102号公報に記載の方法がある。
ドライエッチングとしては、形成される有機層のパターンの断面をより矩形に近く形成する観点や有機層へのダメージをより低減する観点から、以下の形態で行なうのが好ましい。
フッ素系ガスと酸素ガス(O)との混合ガスを用い、有機層が露出しない領域(深さ)までエッチングを行なう第1段階のエッチングと、この第1段階のエッチングの後に、窒素ガス(N)と酸素ガス(O)との混合ガスを用い、好ましくは有機層が露出する領域(深さ)付近までエッチングを行う第2段階のエッチングと、有機層が露出した後に行うオーバーエッチングとを含む形態が好ましい。以下、ドライエッチングの具体的手法、並びに第1段階のエッチング、第2段階のエッチング、及びオーバーエッチングについて説明する。
ドライエッチングにおけるエッチング条件は、下記手法により、エッチング時間を算出しながら行うことが好ましい。
(A)第1段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/分)と、第2段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/分)とをそれぞれ算出する。
(B)第1段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間と、第2段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間とをそれぞれ算出する。
(C)上記(B)で算出したエッチング時間に従って第1段階のエッチングを実施する。
(D)上記(B)で算出したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施する。あるいはエンドポイント検出でエッチング時間を決定し、決定したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施してもよい。
(E)上記(C)、(D)の合計時間に対してオーバーエッチング時間を算出し、オーバーエッチングを実施する。
上記第1段階のエッチングにおいて用いる混合ガスとしては、被エッチング膜である有機材料を矩形に加工する観点から、フッ素系ガス及び酸素ガス(O)を含むことが好ましい。また、第1段階のエッチングにおいては、積層体が有機層が露出しない領域までエッチングされる。そのため、この段階では有機層はダメージを受けていないか、ダメージは軽微であると考えられる。
また、上記第2段階のエッチング及び上記オーバーエッチングにおいては、有機層のダメージ回避の観点から、窒素ガス及び酸素ガスの混合ガスを用いてエッチング処理を行うことが好ましい。
第1段階のエッチングにおけるエッチング量と、第2段階のエッチングにおけるエッチング量との比率は、第1段階のエッチングにおける有機層のパターンの断面における矩形性に優れるように決定することが重要である。
全エッチング量(第1段階のエッチングにおけるエッチング量と第2段階のエッチングにおけるエッチング量との総和)中における、第2段階のエッチングにおけるエッチング量の比率は、0%より大きく50%以下であることが好ましく、10~20%がより好ましい。エッチング量とは、被エッチング膜の残存する膜厚とエッチング前の膜厚との差から算出される量のことをいう。
また、エッチングは、オーバーエッチング処理を含むことが好ましい。オーバーエッチング処理は、オーバーエッチング比率を設定して行なうことが好ましい。オーバーエッチング比率は任意に設定できるが、フォトレジストのエッチング耐性と被エッチングパターン(有機層)の矩形性維持の点で、エッチング工程におけるエッチング処理時間全体の30%以下であることが好ましく、5~25%であることがより好ましく、10~15%であることが特に好ましい。
<上記フッ素含有化合物を含む層を除去する工程>
本発明のパターン化有機層の製造方法は、上記フッ素含有化合物を含む層を除去する工程(保護層除去工程)を含む。
保護層は、ガスエッチング等の方法により物理的に除去されてもよいし、剥離液を用いて除去してもよい。
有機層のダメージを抑制する観点からは、上記フッ素含有化合物を含む層を除去する工程は、フッ素系溶剤を含む剥離液によりフッ素含有化合物を含む層を除去する工程であることが好ましい。
剥離液としてフッ素系溶剤を含む剥離液を用いることにより、保護層中のフッ素含有化合物を除去しやすく、有機層の表面に保護層に含まれる成分が残存することが抑制されると考えられる。
〔フッ素系溶剤〕
フッ素系溶剤とは、フッ素原子を構造中に含む有機溶剤である。
剥離液に含まれるフッ素系溶剤としては、特に限定なく公知のフッ素系溶剤をもちいることができるが、フッ化アルキル基を有するエーテル化合物、フッ化炭化水素化合物、又は、アルコール化合物が好ましく、フッ化アルキル基とアルキル基とがエーテル結合した化合物がより好ましい。
フッ素系溶剤におけるフッ素原子含有率は、10~80%であることが好ましく、15~75%であることがより好ましく、20~70%であることがさらに好ましい。ここでのフッ素原子含有率とは、(フッ素系溶剤を構成するフッ素原子の数/フッ素系溶剤を構成する全原子の数)×100(%)で示される。
本発明で用いるフッ素系溶剤の沸点は、101325Pa(1気圧)で、40~250℃であることが好ましく、50~200℃であることがより好ましく、55~180℃であることがさらに好ましい。
-フッ化アルキル基を有するエーテル化合物-
上記フッ化アルキル基を有するエーテル化合物におけるフッ化アルキル基としては、アルキル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されたものであればよいが、アルキル基の全てがフッ素原子により置換されたものであることが好ましい。
また、上記フッ化アルキル基としては、炭素数2~10のフッ化アルキル基が好ましく、炭素数2~5のフッ化アルキル基がより好ましく、炭素数3又は4のフッ化アルキル基が更に好ましい。
上記フッ化アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよく、環状であってもよいし、環状構造を含んでいてもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
また、フッ化アルキル基とアルキル基とがエーテル結合した化合物におけるアルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
上記アルキル基は直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよく、環状であってもよいし、環状構造を含んでいてもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
これらの中でも、フッ化アルキル基を有するエーテル化合物としては、COCH、COCH、又はCOCを含むことが好ましい。
フッ化アルキル基を有するエーテル化合物としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、Novec(登録商標) 7000、7100、7200(いずれも3M(株)製)が挙げられる。
-フッ化炭化水素化合物-
フッ化炭化水素化合物とは、炭化水素における水素原子の1又は2以上がフッ素原子により置換された化合物である。
上記炭化水素は、飽和炭化水素であっても不飽和炭化水素であってもよい。
フッ化炭化水素化合物としては、アルカンの水素原子の1又は2以上がフッ素原子により置換された化合物、又は、アルケンの水素原子の1又は2以上がフッ素原子により置換された化合物が好ましい。
フッ化炭化水素化合物は、フッ素原子以外に塩素原子等の他の原子を有していてもよい。
好ましいフッ化炭化水素化合物としては、CFCFCHCl、CClFCFCHClF、CFCFCFCFCFCFH、CFCFCFCFCFCFCHCH、CHFCF=CHClなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、フッ化炭化水素化合物としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、ASAHIKLIN AK-225、AC-2000、AC-6000、AE-3000、AMOLEA(登録商標) AS-300(いずれもAGC(株)製)などが挙げられる。
-アルコール-
また、フッ素系溶剤として、アルコールを用いてもよい。アルコールとしては、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基とOH基からなるアルコールであることが好ましい。上記少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基の炭素原子数は、1~18であることが好ましく、1~12であることがより好ましく、1~10であることがさらに好ましい。上記少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるフッ素原子数は、1~30であることが好ましく、3~20であることがより好ましく、4~12であることがさらに好ましい。
上記フッ素系溶剤の具体例としては、2,2,3,3-テトラフロロ-1-プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール、2,2,3,3,3-ペンタフロロ-1-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブタノール、1H,1H,7H-ドデカフルオロ-1-ヘプタノール、ノナフルオロブチルエチルエーテル、パーフルオロトリブチルアミン等が挙げられる。
剥離液がフッ素系溶剤を含む場合、フッ素系溶剤の含有量は、剥離液の全質量に対し、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。上記含有量の上限は特に限定されず、100質量%とすることもできる。
また剥離液として、フッ素系溶剤以外の成分を実質的に含まない態様とすることもできる。上記態様において、フッ素系溶剤の含有量は、剥離液の全質量に対し、98質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、99.9質量%以上であることが更に好ましい。上記含有量の上限は特に限定されず、100質量%とすることもできる。
その他、剥離液は、フッ素系溶剤以外の有機溶剤、界面活性剤等の成分を更に含んでもよい。
フッ素系溶剤以外の有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤等の極性溶剤、及び炭化水素系溶剤が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。
アミド系溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等を使用することができる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
界面活性剤としては、後述の保護層における界面活性剤等と同様の成分が挙げられる。
保護層を剥離液で除去する方法としては、例えば、スプレー式又はシャワー式の噴射ノズルからレジストパターンに剥離液を噴射して、保護層を除去する方法を挙げることができる。また、噴射ノズルとしては、その噴射範囲内に基材全体が包含される噴射ノズルや、可動式の噴射ノズルであってその可動範囲が基材全体を包含する噴射ノズルを挙げることができる。また別の態様として、機械的に保護層を剥離した後に、有機層上に残存する保護層の残渣を溶解除去する態様が挙げられる。
噴射ノズルが可動式の場合、保護層を除去する工程中に基材中心部から基材端部までを2回以上移動して剥離液を噴射することで、より効果的にレジストパターンを除去することができる。
保護層を除去した後、乾燥等の工程を行うことも好ましい。乾燥温度としては、80~120℃とすることが好ましい。
<その他の工程>
本発明のパターン化有機層の製造方法は、その他の工程を更に含んでもよい。
その他の工程としては、基材、積層体又は有機層パターンを洗浄する工程、金属配線を
作製する工程などが挙げられる。
本発明のパターン化有機層の製造方法は、露光工程、現像工程、エッチング工程及び保護層除去工程を少なくとも含んでいればよく、露光工程、現像工程及びエッチング工程を複数回繰り返した後に、保護層除去工程を行ってもよい。
また、本発明のパターン化有機層の製造方法は、有機層形成工程、保護層形成工程、感光層形成工程、露光工程、現像工程及びエッチング工程を複数回繰り返した後に、保護層除去工程を行ってもよい。
以下、本発明において用いられる積層体の詳細について説明する。
<積層体>
本発明において用いられる積層体は、有機層、フッ素含有化合物を含む層、及び感光層をこの順に有する。
また、本発明において用いられる積層体は、基材、有機層、フッ素含有化合物を含む層、及び感光層をこの順に有することが好ましい。
〔基材〕
本発明の積層体は基材を含むことができる。
積層体に含まれてもよい基材としては、例えば、シリコン、石英、セラミック、ガラス、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムなどの種々の材料により形成された基材が挙げられ、用途に応じていかなる基材を選択してもよい。例えば、フレキシブルな素子に用いる場合にはフレキシブルな材料により形成された基材を用いることができる。また、基材は複数の材料により形成された複合基材や、複数の材料が積層された積層基材であってもよい。また、基材の形状も特に限定されず、用途に応じて選択すればよく、例えば、板状の基材(基板)が挙げられる。基材の厚さ等についても、特に限定されない。
〔有機層〕
本発明における積層体は、有機層を含む。
有機層は、有機材料を含む層である。具体的な有機材料は、有機層の用途や機能に応じて、適宜選択される。有機層の想定される機能としては、例えば、半導体特性、発光特性、光電変換特性、光吸収特性、電気絶縁性、強誘電性、透明性、絶縁性などが挙げられる。基材を含む積層体において、有機層は基材に対して重畳する位置関係にあればよく、基材と有機層とが接していてもよいし、有機層と基材との間に別の層が更に含まれていてもよい。
有機層の厚さは、特に制限されず、用いられる電子デバイスの種類などにより異なるが、好ましくは1nm~50μm、より好ましくは1nm~5μm、更に好ましくは1nm~500nmである。
以下では、特に、有機層が有機半導体層である例について詳しく説明する。有機半導体層は、半導体の特性を示す有機材料を含む層である。
有機半導体層は、有機半導体を含む有機層であり、有機半導体は、半導体の特性を示す有機化合物である。有機半導体には、無機化合物からなる半導体の場合と同様に、ホール(正孔)をキャリアとして伝導するp型半導体と、電子をキャリアとして伝導するn型半導体がある。有機半導体層中のキャリアの流れやすさはキャリア移動度μで表される。用途にもよるが、一般にキャリア移動度は高い方がよく、10-7cm/Vs以上であることが好ましく、10-6cm/Vs以上であることがより好ましく、10-5cm/Vs以上であることが更に好ましい。キャリア移動度は、電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法の測定値に基づいて求めることができる。
有機半導体層に使用し得るp型有機半導体としては、ホール輸送性を有する材料であれば、いかなる材料を用いてもよい。p型有機半導体は、好ましくは、p型π共役高分子、縮合多環化合物、トリアリールアミン化合物、ヘテロ5員環化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物、カーボンナノチューブ、及びグラフェンのいずれかである。また、p型有機半導体として、これらの化合物のうち複数種の化合物を組み合わせて使用してもよい。p型有機半導体は、より好ましくは、p型π共役高分子、縮合多環化合物、トリアリールアミン化合物、ヘテロ5員環化合物、フタロシアニン化合物、及びポルフィリン化合物の少なくとも1種であり、更に好ましくは、p型π共役高分子及び縮合多環化合物の少なくとも1種である。
p型π共役高分子は、例えば、置換又は無置換のポリチオフェン(例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製)など)、ポリセレノフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリアニリンなどである。縮合多環化合物は、例えば、置換又は無置換のアントラセン、テトラセン、ペンタセン、アントラジチオフェン、ヘキサベンゾコロネンなどである。
トリアリールアミン化合物は、例えば、m-MTDATA(4,4’,4’’-Tris[(3-methylphenyl)phenylamino]triphenylamine)、2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)、NPD(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)、TPD(N,N’-Diphenyl-N,N’-di(m-tolyl)benzidine)、mCP(1,3-bis(9-carbazolyl)benzene)、CBP(4,4’-bis(9-carbazolyl)-2,2’-biphenyl)などである。
ヘテロ5員環化合物は、例えば、置換又は無置換のオリゴチオフェン、TTF(Tetrathiafulvalene)などである。
フタロシアニン化合物は、各種中心金属を有する置換又は無置換のフタロシアニン、ナフタロシアニン、アントラシアニン、テトラピラジノポルフィラジンなどである。ポルフィリン化合物は、各種中心金属を有する置換又は無置換のポルフィリンである。また、カーボンナノチューブは、半導体ポリマーが表面に修飾されたカーボンナノチューブでもよい。
有機半導体層に使用し得るn型有機半導体としては、電子輸送性を有する材料であれば、いかなる材料を用いてもよい。n型有機半導体は、好ましくは、フラーレン化合物、電子欠乏性フタロシアニン化合物、縮環多環化合物(ナフタレンテトラカルボニル化合物、ペリレンテトラカルボニル化合物など)、TCNQ化合物(テトラシアノキノジメタン化合物)、ポリチオフェン系化合物、ベンジジン系化合物、カルバゾール系化合物、フェナントロリン系化合物、ピリジンフェニル配位子イリジウム系化合物、キノリノール配位子アルムニウム系化合物、n型π共役高分子、及びグラフェンのいずれかである。また、n型有機半導体として、これらの化合物のうち複数種の化合物を組み合わせて使用してもよい。n型有機半導体は、より好ましくは、フラーレン化合物、電子欠乏性フタロシアニン化合物、縮環多環化合物、及びn型π共役高分子の少なくとも1種であり、特に好ましくは、フラーレン化合物、縮環多環化合物及びn型π共役高分子の少なくとも1種である。
フラーレン化合物とは、置換又は無置換のフラーレンを意味し、フラーレンとしてはC60、C70、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C96、C116、C180、C240、C540などで表されるフラーレンのいずれでもよい。フラーレン化合物は、好ましくは、置換又は無置換のC60、C70、C86フラーレンであり、特に好ましくは、PCBM([6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製など)及びその類縁体(例えば、C60部分をC70、C86等に置換したもの、置換基のベンゼン環を他の芳香環又はヘテロ環に置換したもの、メチルエステルをn-ブチルエステル、i-ブチルエステル等に置換したもの)である。
電子欠乏性フタロシアニン化合物とは、電子求引性基が4つ以上結合しかつ各種中心金属を有する置換又は無置換のフタロシアニン、ナフタロシアニン、アントラシアニン、テトラピラジノポルフィラジンなどである。電子欠乏性フタロシアニン化合物は、例えば、フッ素化フタロシアニン(F16MPc)、及び塩素化フタロシアニン(Cl16MPc)などである。ここで、Mは中心金属を、Pcはフタロシアニンを表す。
ナフタレンテトラカルボニル化合物としてはいかなるものでもよいが、好ましくはナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ナフタレンビスイミド化合物(NTCDI)、ペリノン顔料(Pigment Orange 43、Pigment Red 194など)である。
ペリレンテトラカルボニル化合物としてはいかなるものでもよいが、好ましくはペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、ペリレンビスイミド化合物(PTCDI)、ベンゾイミダゾール縮環体(PV)である。
TCNQ化合物とは、置換又は無置換のTCNQ及び、TCNQのベンゼン環部分を別の芳香環やヘテロ環に置き換えたものである。TCNQ化合物は、例えば、TCNQ、TCNAQ(テトラシアノアントラキノジメタン)、TCN3T(2,2’-((2E,2’’E)-3’,4’-Alkyl substituted-5H,5’’H-[2,2’:5’,2’’-terthiophene]-5,5’’-diylidene)dimalononitrile derivatives)などである。
ポリチオフェン系化合物とは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等のポリチオフェン構造を有する化合物である。ポリチオフェン系化合物は、例えば、PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)及びポリスチレンスルホン酸(PSS)からなる複合物)などである。
ベンジジン系化合物とは、分子内にベンジジン構造を有する化合物である。ベンジジン系化合物は、例えば、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(TPD)、N,N’-ジ-[(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル]-1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPD)などである。
カルバゾール系化合物とは、分子内にカルバゾール環構造を有する化合物である。カルバゾール系化合物は、例えば、4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル(CBP)などである。
フェナントロリン系化合物とは、分子内にフェナントロリン環構造を有する化合物であり、例えば、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)などである。
ピリジンフェニル配位子イリジウム系化合物とは、フェニルピリジン構造を配位子とするイリジウム錯体構造を有する化合物である。ピリジンフェニル配位子イリジウム系化合物は、例えば、ビス(3,5-ジフルオロ-2-(2-ピリジルフェニル-(2-カルボキシピリジル)イリジウム(III)(FIrpic)、トリス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(III)(Ir(ppy))などである。
キノリノール配位子アルムニウム系化合物とは、キノリノール構造を配位子とするアルミニウム錯体構造を有する化合物であり、例えば、トリス(8-キノリノラト)アルミニウムなどである。
n型有機半導体材料の特に好ましい例を以下に示す。なお、式中のRとしては、いかなるものでも構わないが、水素原子、置換又は無置換で分岐又は直鎖のアルキル基(好ましくは炭素数1~18、より好ましくは1~12、更に好ましくは1~8のもの)、置換又は無置換のアリール基(好ましくは炭素数6~30、より好ましくは6~20、更に好ましくは6~14のもの)のいずれかであることが好ましい。構造式中のMeはメチル基を表し、Mは金属原子を表す。
Figure 2022110237000003
Figure 2022110237000004
有機半導体層に含まれる有機半導体は、1種でもよいし、2種以上であってもよい。また、有機半導体層は、p型の層とn型の層の積層又は混合層でもよい。
上述の通り、有機層の形成方法は、気相法でも液相法でもよい。液相法の場合には、例えば、有機材料は溶剤中に配合され、有機層を形成する組成物(有機層形成用組成物)とされる。
また、有機層形成用組成物に使用する溶剤としては、有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1-メチルナフタレン、1,2-ジクロロベンゼン等の炭化水素系溶剤;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤;例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶剤;例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1-メチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイド等の極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。有機層形成用組成物における有機材料の割合は、好ましくは1~95質量%、より好ましくは5~90質量%であり、これにより任意の厚さの膜を形成できる。
また、有機層形成用組成物には、樹脂バインダーを配合してもよい。この場合、膜を形成する材料とバインダー樹脂とを前述の適当な溶剤に溶解させ、又は分散させて塗布液とし、各種の塗布法により薄膜を形成することができる。樹脂バインダーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等の絶縁性ポリマー、及びこれらの共重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン等の導電性ポリマーなどを挙げることができる。樹脂バインダーは、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。薄膜の機械的強度を考慮するとガラス転移温度の高い樹脂バインダーが好ましく、電荷移動度を考慮すると極性基を含まない構造の光伝導性ポリマー又は導電性ポリマーよりなる樹脂バインダーが好ましい。
樹脂バインダーを配合する場合、その配合量は、有機層中、好ましくは0.1~30質量%で用いられる。樹脂バインダーは、1種単独で使用されても、複数種の組み合わせで使用されてもよい。複数種の組み合わせの場合には、それらの合計量が上記範囲にあることが好ましい。
有機層は、用途によっては単独及び種々の有機材料や添加剤を添加した混合溶液を用いた、複数の材料種からなるブレンド膜でもよい。例えば、光電変換層を作製する場合、複数種の半導体材料を使用した混合溶液を用いることなどができる。
<フッ素含有化合物を含む層(保護層)>
本発明で用いられる積層体は、フッ素含有化合物を含む層(保護層)を含む。
〔フッ素含有化合物〕
フッ素含有化合物としては、フッ素原子を含む樹脂、フッ素原子を含む高分子化合物が挙げられる。
塗布膜厚均一性の観点からは、フッ素含有化合物として、フッ素原子を含む樹脂を含むことが好ましい。
また、フッ素含有化合物としては、後述する下記式(F-1)又は式(F-2)で表される繰返し単位を有する樹脂、及び、後述する酸不安定基で保護されたフッ素化カリックスアレーンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
-フッ素原子を含む樹脂-
フッ素原子を含む樹脂としては、特に限定されず、例えばポリテトラフルオロエチレン等の直鎖型のフッ化炭素樹脂であってもよいが、環状構造を有するフッ素系樹脂であることが好ましい。
環状構造を有するフッ素系樹脂としては、下記式(F-1)又は式(F-2)で表される繰返し単位を有する樹脂が挙げられる。
Figure 2022110237000005
式(F-1)又は式(F-2)中、Xは-O-又は-C(R-を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1~5のアルキル基を表し、RおよびRの少なくとも1つはフッ素原子を含み、2つのRは互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
式(F-1)中、Xは-C(R-であることが好ましい。
式(F-2)中、Xは-O-であることが好ましい。
式(F-1)又は式(F-2)中、Rは、フッ素原子であることが好ましい。Rは、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素原子数1~5のアルキル基であることが好ましく、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素原子数1~5のアルキル基であることがより好ましく、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたメチル基またはエチル基であることが更に好ましく、パーフルオロメチル基または少なくとも3つのフッ素原子で置換されたエチル基であることが一層好ましく、パーフルオロメチル基であることがより一層好ましい。
式(F-1)又は式(F-2)中、2つのRは環構造を形成していない方が好ましい。
式(F-1)又は式(F-2)で表される繰返し単位を有する樹脂は、式(F-1)又は式(F-2)で表される繰返し単位以外の他の繰返し単位を含んでもよく、上記他の繰返し単位がフッ素原子を含んでいてもよいが、式(F-1)又は式(F-2)で表される繰返し単位のみがフッ素原子を含むことも好ましい。
上記他の繰返し単位としては、少なくとも1つのフッ素原子で置換されていてもよいアルキレン基が好ましく、少なくとも1つのフッ素原子で置換されているアルキレン基であることがより好ましい。アルキレン基としては、炭素原子数1~3のアルキレン基が例示され、エチレン基が好ましい。樹脂における他の繰返し単位は、パーフルオロエチレン基が特に好ましい。
式(F-1)又は式(F-2)で表される繰返し単位と、他の繰返し単位のモル比率は、50~95:50~5であることが好ましく、55~90:45~10であることがより好ましい。
式(F-1)又は式(F-2)で表される繰返し単位を有する樹脂の具体例としては、AGC社製CYTOP CTL-809A、CYTOP CTX-809A、三井・デュポンフロロケミカル社製、テフロン(登録商標)、AF-1600等が例示される。
フッ素原子を含む樹脂におけるフッ素原子の割合は、1~80%であることが好ましく、20~70%であることがより好ましい。フッ素原子を含む樹脂におけるフッ素原子の割合は、(フッ素原子を含む樹脂を構成するフッ素原子の数/フッ素原子を含む樹脂を構成する全原子の数)×100(%)で示される。
フッ素原子を含む樹脂は、フッ素原子と炭素原子と酸素原子と水素原子のみから構成される樹脂であることが好ましい。
本発明におけるフッ素原子を含む樹脂の重量平均分子量は2,000~200,000であることが好ましく、3,000~100,000であることがより好ましい。また、本発明で用いるフッ素原子を含む樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.0~5.0が好ましく、2.0~4.0がより好ましい。
-フッ素原子を含む高分子化合物-
フッ素原子を含む高分子化合物としては、酸不安定基で保護されたフッ素化カリックスアレーンが挙げられる。
本発明において、フッ素化カリックスアレーンとは、フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香環構造がメチレン基を介して複数個結合され、環状構造が形成されたオリゴマーであって、フッ素原子を有するものをいう。
上記フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香環構造としては、フェノール性ヒドロキシ基を有する炭素数6~20の芳香環構造が好ましく、フェノール性ヒドロキシ基を有するベンゼン環構造がより好ましい。
上記フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香環構造としては、フェノール構造、クレゾール構造、カテコール構造、レゾルシノール構造等が挙げられ、レゾルシノール構造が好ましい。
上記メチレン基を介して結合されるフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香環構造の数は、4~16であることが好ましく、4~8であることがより好ましい。
また、酸不安定基で保護されたフッ素化カリックスアレーンは、上記フェノール性ヒドロキシ基が酸不安定基で保護された構造であることが好ましい。
酸不安定基としては、酸により脱離する公知の保護基を特に制限なく使用することができるが、t-ブトキシカルボニル基が好ましい。
上記メチレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、フッ化アルキル基を含む基が挙げられ、フッ化アルキル基と連結基とが結合した基がより好ましい。
上記連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-C(=O)-又はこれらを2以上結合した基等が挙げられる。
上記フッ化アルキル基としては、炭素数1~20のフッ化アルキル基が好ましく、炭素数4~10のフッ化アルキル基がより好ましい。
また、上記フッ化アルキル基は、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子により置換されたアルキル基であってもよいが、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子により置換されたアルキル基であることがより好ましい。
上記フッ化アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよく、環状であってもよいし、環状構造を含んでいてもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
フッ素原子を含む高分子化合物におけるフッ素原子の割合は、1~80%であることが好ましく、20~70%であることがより好ましい。フッ素原子を含む高分子化合物におけるフッ素原子の割合は、(フッ素原子を含む高分子化合物を構成するフッ素原子の数/フッ素原子を含む高分子化合物を構成する全原子の数)×100(%)で示される。
フッ素原子を含む高分子化合物は、フッ素原子と炭素原子と酸素原子と水素原子のみから構成される高分子化合物であることが好ましい。
上記フッ素原子を含む高分子化合物の分子量は、1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることがより好ましい。
上記分子量の上限は特に限定されず、例えば100,000以下とすることができる。
上記フッ素原子を含む高分子化合物の具体例としては、実施例において使用した化合物R-1等が挙げられる。
-含有量-
保護層におけるフッ素含有化合物の含有量は、必要に応じて適宜調節すればよいが、保護層の全質量に対し、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。上記含有量の上限としては、特に限定されず、100質量%であってもよい。
保護層は、フッ素含有化合物を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
〔界面活性剤〕
保護層は、後述する保護層形成用組成物の塗布性を向上させる等の目的のため、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、表面張力を低下させるものであれば、ノニオン系、アニオン系、両性、フッ素系など、どのようなものでもかまわない。
これらの中でも、フッ素含有化合物との相溶性の観点からは、フッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、RS-72-K(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171、ノベックFC4430、同FC4432(以上、スリーエム ジャパン(株)製)、サーフロンS-382、同SC-101、同SC-103、同SC-104、同SC-105、同SC1068、同SC-381、同SC-383、同S393、同KH-40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落0015~0158に記載の化合物、特開2011-132503号公報の段落0117~0132に記載の化合物を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤としてブロックポリマーを用いることもでき、具体例としては、例えば特開2011-89090号公報に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位とを含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。このような化合物としては、例えば、特開2020-166289号公報の段落0180に記載の化合物などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体をフッ素系界面活性剤として用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落0050~0090および段落0289~0295に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、市販品としては、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
また、界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート等のモノグリセリドアルキルエステル類等、フッ素あるいはケイ素を含むオリゴマー等のノニオン系界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等の、アニオン系界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の、両性界面活性剤が使用可能である。
保護層が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の添加量は、保護層の全質量に対し、好ましくは0.05~20質量%、より好ましくは0.07~15質量%、更に好ましくは0.1~10質量%である。これらの界面活性剤は、1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となる。
界面活性剤の、23℃における、0.1質量%水溶液の表面張力は45mN/m以下であることが好ましく、40mN/m以下であることがより好ましく、35mN/m以下であることが更に好ましい。下限としては、5mN/m以上であることが好ましく、10mN/m以上であることがより好ましく、15mN/m以上であることが更に好ましい。界面活性剤の表面張力は選択される界面活性剤の種類により適宜選択されればよい。
〔遮光剤〕
保護層は遮光剤を含んでもよい。遮光剤を配合することにより、有機層などへの光によるダメージ等の影響がより抑制される。
遮光剤としては、例えば公知の着色剤等を用いることができ、有機又は無機の顔料又は染料が挙げられ、無機顔料が好ましく挙げられ、中でもカーボンブラック、酸化チタン、窒化チタン等がより好ましく挙げられる。
遮光剤の含有量は、保護層の全質量に対し、好ましくは1~50質量%、より好ましくは3~40質量%、更に好ましくは5~25質量%である。遮光剤は、1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となる。
〔保護層形成用組成物〕
本発明の保護層形成用組成物は、フッ素含有化合物、及び、溶剤を含み、本発明で用いられる積層体に含まれるフッ素含有化合物を含む層(保護層)の形成に用いられる組成物である。
本発明の積層体において、保護層は、例えば、保護層形成用組成物を有機層の上に適用し、乾燥させることよって形成することができる。
保護層形成用組成物の適用方法としては、塗布が好ましい。適用方法の例としては、スリットコート法、キャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、ラングミュア-ブロジェット(Langmuir-Blodgett)(LB)法などを挙げることができる。キャスト法、スピンコート法、及びインクジェット法を用いることが更に好ましい。このようなプロセスにより、表面が平滑で大面積の保護層を低コストで生産することが可能となる。
また、保護層形成用組成物は、あらかじめ仮支持体上に上記付与方法等によって付与して形成した塗膜を、適用対象(例えば、有機層)上に転写する方法により形成することもできる。
転写方法に関しては、特開2006-023696号公報の段落0023、0036~0051、特開2006-047592号公報の段落0096~0108等の記載を参酌することができる。
保護層形成用組成物は、上述の保護層に含まれる成分(例えば、フッ素含有化合物、界面活性剤、遮光剤等)、及び、溶剤を含むことが好ましい。
保護層形成用組成物に含まれる成分の含有量は、上述した各成分の保護層の全質量に対する含有量を、保護層形成用組成物の固形分量に対する含有量に読み替えたものとすることが好ましい。
保護層形成用組成物に含まれる溶剤としては、フッ素系溶剤が挙げられる。
フッ素系溶剤としては、上述の剥離液に含まれるフッ素系溶剤と同様のものが使用可能である。
保護層形成用組成物の固形分濃度(組成物の全質量に対する固形分の全質量の割合)は、保護層形成用組成物の適用時により均一に近い厚さで適用しやすい観点からは、0.5~30質量%であることが好ましく、1.0~20質量%であることがより好ましく、2.0~14質量%であることが更に好ましい。
〔保護層の厚さ〕
保護層の厚さは、本発明の効果がより顕著となる観点からは、10μm以下が好ましく、5.0μm以下がより好ましく、3.0μm以下が更に好ましく、2.0μm以下であることが特に好ましい。
上記保護層の厚さの下限は、特に限定されないが、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。
〔保護層の物性〕
保護層は、アルカリ含有現像液に対する溶解速度が23℃において10nm/s以下の層であることが好ましく、1nm/s以下の層であることがより好ましい。上記溶解速度の下限は特に限定されず、0nm/s(すなわち、保護層がアルカリ含有現像液に溶解しない)であってもよい。
<感光層>
本発明において用いられる積層体は感光層を含む。
本発明において、感光層は現像液を用いた現像に供せられる層である。
上記現像は、ポジ型現像であることが好ましい。
感光層としては、本技術分野で使用される公知の感光層(例えば、フォトレジスト層)を適宜利用することができる。
本発明の積層体において、感光層は、ネガ型感光層であっても、ポジ型感光層であってもよいが、ポジ型感光層であることが好ましい。
本発明において、ポジ型感光層とは、上述のアルカリ含有現像液を用いた現像により、ポジ型パターンが得られる感光層をいう。
ポジ型パターンとは、感光層の露光部が除去され、未露光部が残存したパターンをいう。
感光層は、その未露光部が有機溶剤を含む現像液に対して難溶であることが好ましい。難溶とは、未露光部が現像液に溶けにくいことをいう。
未露光部における感光層の現像液に対する溶解速度は、露光部における感光層の現像液に対する溶解速度よりも小さい(難溶である)ことが好ましい。
具体的には、波長365nm(i線)、波長248nm(KrF線)及び波長193nm(ArF線)の少なくとも1つの波長の光を50mJ/cm以上の照射量で露光することによって極性が変化し、現像液として用いられるアルカリ含有現像液に溶解しやすくなることが好ましい。
感光層は、i線の照射に対して感光能を有することが好ましい。
感光能とは、活性光線及び放射線の少なくとも一方の照射(i線の照射に対して感光能を有する場合は、i線の照射)により、アルカリ含有現像液に対する溶解速度が変化することをいう。
感光層における溶解速度の変化は、溶解速度の増加であることが好ましい。
すなわち、本発明において用いられる感光層は、上記露光により(露光部の)アルカリ現像液への溶解速度が増加する感光層であることが好ましい。
感光層の、難溶部のアルカリ現像液への溶解速度は、例えば、1nm/秒未満であることがより好ましい。
感光層の、可溶部のアルカリ現像液への溶解速度は、例えば、40nm/秒以上であることがより好ましい。
〔厚さ〕
本発明における感光層の厚さ(膜厚)は、解像力向上の観点から、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.75μm以上が更に好ましく、0.8μm以上が特に好ましい。感光層の厚さの上限値としては、10μm以下が好ましく、5.0μm以下がより好ましく、3.0μm以下が更に好ましい。
感光層と保護層との厚さの合計は、0.2μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、2.0μm以上であることが更に好ましい。上限値としては、20.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましく、5.0μm以下であることが更に好ましい。
〔好ましい感光層の態様〕
感光層としては、例えば、公知のアルカリ現像用ポジ型フォトレジストからなる層が挙げられる。
感光層は、非化学増幅型のポジ型フォトレジストであってもよいし、化学増幅型のポジ型フォトレジストであってもよい。
感光層としては、ノボラック樹脂を含む感光層、又は、後述する感光層用特定樹脂及び光酸発生剤を含む感光層が挙げられる。
本発明の効果がより得られやすい観点からは、これらの中でも、感光層は、ノボラック樹脂を含む感光層であることが好ましく、ノボラック樹脂及びナフトキノン化合物を含む感光層であることがより好ましい。
以下、感光層の例として、ノボラック樹脂を含む感光層、感光層用特定樹脂及び光酸発生剤を含む感光層の例についてそれぞれ説明する。
〔ノボラック樹脂を含む感光層〕
ノボラック樹脂を含む感光層は、ノボラック樹脂を含み、ノボラック樹脂と、キノンジアジド化合物とを含むことがより好ましい。
-ノボラック樹脂-
ノボラック樹脂としては、従来からポジ型フォトレジストの分野において使用されている種々のノボラック樹脂を、特に限定なく用いることができる。
ノボラック樹脂は、例えば、フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール化合物」ともいう。)とアルデヒドとを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。ただし、本発明において、ノボラック樹脂の合成方法は特に限定されるものではない。
<<フェノール化合物>>
フェノール化合物としては、例えば、フェノール、α-ナフトール、β-ナフトール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、クレゾール化合物、キシレノール化合物、アルキルフェノール化合物、多価フェノール化合物、アルキル多価フェノール化合物などが挙げられる。
クレゾール化合物としては、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等が挙げられる。
キシレノール化合物としては、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等が挙げられる。
アルキルフェノール化合物としては、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール等が挙げられる。
多価フェノール化合物としては、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、及びフロログリシノール等が挙げられる。
アルキル多価フェノール化合物としては、アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、及びアルキルハイドロキノン等が挙げられる。これらの化合物のアルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
これらのフェノール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのフェノール化合物の中でも、m-クレゾール及びp-クレゾールの少なくとも一方を用いることが好ましく、m-クレゾールとp-クレゾールとを併用することがより好ましい。上記併用する場合のm-クレゾールとp-クレゾールの配合比は特に限定されないが、m-クレゾールとp-クレゾールの合計質量に対するm-クレゾールの含有質量が、露光感度の観点からは30質量%以上であることが好ましく、樹脂の耐熱性の観点からは30~80質量%であることがより好ましい。
<<アルデヒド>>
アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、及びアセトアルデヒド等が挙げられる。
アルデヒドは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<<酸触媒>>
酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び亜リン酸等の無機酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、及びパラトルエンスルホン酸等の有機酸、酢酸亜鉛等の金属塩等が挙げられる。
酸触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<<分子量>>
ノボラック樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、感光層の現像性、解像性等の観点からは、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましく、3,000以上が更に好ましい。上記重量平均分子量の上限は、特に限定されないが、50,000以下が好ましく、40,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましく、20,000以下が特に好ましい。
また、ノボラック樹脂の分子量の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1~20が好ましく、2~17がより好ましく、3~15が特に好ましく、4~12が更に好ましい。また、フロー性を考慮すると、上記分散度を5~20とすることもできる。
ノボラック樹脂としては、重量平均分子量が異なるものを2種以上組み合わせて用いることもできる。
重量平均分子量が異なるものを組み合わせて用いることにより、感光層の現像性、解像性、成膜性等の性質を調整することができる。
ノボラック樹脂として、重量平均分子量が異なる樹脂の組み合わせとしては、特に限定されないが、重量平均分子量が1,000以上10,000以下である樹脂と、重量平均分子量が5,000以上50,000以下である樹脂との組み合わせが好ましく、重量平均分子量が2,000以上8,000以下である樹脂と、重量平均分子量が8,000以上40,000以下である樹脂との組み合わせがより好ましく、重量平均分子量が3,000以上7,000以下である樹脂と、重量平均分子量が10,000以上20,000以下である樹脂との組み合わせが更に好ましい。
ノボラック樹脂として、重量平均分子量が異なる樹脂を組み合わせて用いる場合、それぞれの含有率は特に限定されないが、ノボラック樹脂の全質量における重量平均分子量が低い側の樹脂の含有率は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。上記含有量の上限は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
環構造の全質量に対するノボラック樹脂の含有量は、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。上記含有量の上限は、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。
-他の樹脂-
ノボラック樹脂を含む感光層は、ノボラック樹脂以外の他の樹脂を更に含んでもよい。
他の樹脂の種類は特に限定されず、感光層の露光感度や解像性等を考慮して選定することができる。
他の樹脂としては、アルカリ可溶性アクリル樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性アクリル樹脂は、例えば可塑剤として作用し、クラックの発生を抑制する場合がある。
アルカリ可溶性アクリル樹脂としては、従来からポジ型フォトレジストの分野において使用されているものを使用することができる。
アルカリ可溶性アクリル樹脂としては、より具体的には、エーテル結合を有する構成単位と、カルボキシ基を有する構成単位とを含有する樹脂が挙げられる。
エーテル結合を有する構成単位は、例えば、エーテル結合を有する重合性化合物をアルカリ可溶性アクリル樹脂を製造する際のモノマーとして用いることにより導入される。
エーテル結合を有する重合性化合物としては、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合とエステル結合とを有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、2-メトキシエチルアクリレート及びメトキシトリエチレングリコールアクリレートを用いることが好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよく、二種以上混合して用いてもよい。
カルボキシ基を有する構成単位は、例えば、カルボキシ基を有する重合性化合物をアルカリ可溶性アクリル樹脂を製造する際のモノマーとして用いることにより導入される。
カルボキシ基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2-メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、及びメタクリル酸を用いることが好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
クラック防止の観点からは、アルカリ可溶性アクリル樹脂中におけるエーテル結合を有する構成単位の含有量は、アルカリ可溶性アクリル樹脂の全構成単位に対し、30~90モル%が好ましく、40~80モル%がより好ましい。
現像性の観点からは、アルカリ可溶性アクリル樹脂におけるカルボキシ基を有する構成単位の含有量は、2~50モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましい。
アルカリ可溶性アクリル樹脂は、他の構成単位を含んでいてもよい。
他の構成単位は、例えば、エーテル結合及びカルボキシ基をいずれも有しない重合性化合物(「他のラジカル重合性化合物」ともいう。)をアルカリ可溶性アクリル樹脂を製造する際のモノマーとして用いることにより導入される。
このような他のラジカル重合性化合物としては、
(1)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及びブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類
(2)2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類
(3)フェニル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル類
(4)マレイン酸ジエチル、及びフマル酸ジブチル等のジカルボン酸ジエステル類
(5)スチレン、及びα-メチルスチレン等のビニル基含有芳香族化合物
(6)酢酸ビニル等のビニル基含有脂肪族化合物
(7)ブタジエン及びイソプレン等の共役ジオレフィン類
(8)アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のニトリル基含有重合性化合物
(9)塩化ビニル及び塩化ビニリデン等の塩素含有重合性化合物
(10)アクリルアミド及びメタクリルアミド等のアミド結合含有重合性化合物
等を用いることができる。
これらの化合物は単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
これらの化合物の中でも、特に、n-ブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、及びメチルメタクリレート等を用いることが好ましい。アルカリ可溶性アクリル樹脂中の他のラジカル重合性化合物に基づく構成単位の含有量は50質量%未満が好ましく、40質量%未満がより好ましい。
アルカリ可溶性アクリル樹脂を合成する際に用いられる重合溶媒としては、例えばエタノール及びジエチレングリコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、及びジエチレングリコールエチルメチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等の多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;並びに酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類等を用いることができる。これらの重合溶媒の中でも、特に、多価アルコールのアルキルエーテル類及び多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類を用いることが好ましい。
アルカリ可溶性アクリル樹脂を合成する際に用いられる重合触媒としては、通常のラジカル重合開始剤が使用でき、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;並びにベンゾイルパーオキシド、及びジ-tert-ブチルパーオキシド等の有機過酸化物等を使用することができる。
アルカリ可溶性アクリル樹脂の重量平均分子量は、10,000~800,000が好ましく、30,000~500,000がより好ましい。
また、ノボラック樹脂と、アルカリ可溶性アクリル樹脂とを組み合わせて用いる場合、ノボラック樹脂と、アルカリ可溶性アクリル樹脂との混合物の分散度は、1以上20以下が好ましく、2以上17以下がより好ましく、3以上15以下がさらに好ましく、4以上12以下が特に好ましい。また、フロー性等を考慮して、ノボラック樹脂と、アルカリ可溶性アクリル樹脂との混合物の分散度を5超20以下とすることもできる。
ノボラック樹脂を含む感光層がアルカリ可溶性アクリル樹脂を含む場合、アルカリ可溶性アクリル樹脂の含有量は、ノボラック樹脂100質量部に対し、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
-キノンジアジド化合物-
キノンジアジド化合物としては、従来からポジ型フォトレジストの分野において使用されている種々のキノンジアジド化合物を、特に限定なく用いることができる。
キノンジアジド化合物の好適な具体例としては、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシ-2’-メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,及び4,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン類;
ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2’,4’-ジヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(2’,3’,4’-トリヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-{1-[4-〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール、及び3,3’-ジメチル-{1-[4-〔2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール等のビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類;
トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3、5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、及びビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン等のトリス(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体;
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、及びビス(5-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン等のビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体;
フェノール、p-メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール-1,3-ジメチルエーテル、没食子酸、アニリン、p-アミノジフェニルアミン、及び4,4’-ジアミノベンゾフェノン等のヒドロキシ基又はアミノ基を有する化合物;並びに
ノボラック、ピロガロール-アセトン樹脂、及びp-ヒドロキシスチレンのホモポリマー又はこれと共重合し得るモノマーとの共重合体等と、キノンジアジド基含有スルホン酸との完全エステル化合物、部分エステル化合物、アミド化物、又は部分アミド化物等が挙げられる。
これらのキノンジアジド化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
キノンジアジド化合物として使用される上記キノンジアジド基含有スルホン酸としては、特に限定されないが、例えば、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホン酸、ナフトキノン-1,2-ジアジド-4-スルホン酸等のナフトキノンジアジドスルホン酸;オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等が挙げられ、ナフトキノンジアジドスルホン酸が好ましい。
キノンジアジド基含有スルホン酸、好ましくはナフトキノンジアジドスルホン酸の上記エステル化合物としては、溶剤によく溶解し、かつ、ノボラック樹脂との相溶性が良好であるものを使用することが好ましい。これらの化合物を用いることにより、感光層の感度が高感度となりやすい。
キノンジアジド化合物としての上記エステル化合物の製造方法としては、特に限定されず、例えば、キノンジアジド基含有スルホン酸を、例えば、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホニルクロリド等のスルホニルクロリドとして添加し、ジオキサンのような溶媒中において、トリエタノールアミン、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ等のアルカリの存在下で縮合させ、完全エステル化又は部分エステル化する方法等が挙げられる。
キノンジアジド化合物の含有量は、感光層の露光感度等の観点から、ノボラック樹脂100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。上記含有量の上限は、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、30質量部以下が更に好ましい。
-添加剤-
ノボラック樹脂を含む感光層は、上述のノボラック樹脂、及び、キノンジアジド化合物以外の化合物として、着色剤(遮光剤)、架橋剤、増感剤、密着性向上剤、界面活性剤、可塑剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
これらの化合物としては、従来からポジ型フォトレジストの分野において使用されている種々の化合物を、特に限定なく用いることができる。
〔感光層用特定樹脂及び光酸発生剤を含む感光層〕
感光層用特定樹脂及び光酸発生剤を含む感光層は、感光層用特定樹脂と、光酸発生剤とを含む。
-感光層用特定樹脂-
感光層用特定樹脂は、アクリル系重合体であることが好ましい。
「アクリル系重合体」は、付加重合型の樹脂であり、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する繰返し単位を含む重合体であり、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する繰返し単位以外の繰返し単位、例えば、スチレン類に由来する繰返し単位やビニル化合物に由来する繰返し単位等を含んでいてもよい。アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する繰返し単位を、重合体における全繰返し単位に対し、50モル%以上含むことが好ましく、80モル%以上含むことがより好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する繰返し単位のみからなる重合体であることが特に好ましい。
感光層用特定樹脂としては、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位を有する樹脂が好ましく挙げられる。
上記酸基が酸分解性基により保護された構造としては、カルボキシ基が酸分解性基により保護された構造、フェノール性ヒドロキシ基が酸分解性基により保護された構造等が挙げられる。
また、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位としては、(メタ)アクリル酸に由来するモノマー単位におけるカルボキシ基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位、p-ヒドロキシスチレン、α-メチル-p-ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン類に由来するモノマー単位におけるフェノール性ヒドロキシ基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位等が挙げられる。
酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位としては、アセタール構造を含む繰返し単位等が挙げられ、側鎖に環状エーテルエステル構造を含む繰返し単位が好ましい。環状エーテルエステル構造としては、環状エーテル構造における酸素原子とエステル結合における酸素原子とが同一の炭素原子に結合し、アセタール構造を形成していることが好ましい。
また、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位としては、下記式(1)で表される繰返し単位が好ましい。
以下、「式(1)で表される繰返し単位」等を、「繰返し単位(1)」等ともいう。
Figure 2022110237000006
式(1)中、Rは水素原子又はアルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)を表し、Lはカルボニル基又はフェニレン基を表し、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
式(1)中、Lは、カルボニル基又はフェニレン基を表し、カルボニル基であることが好ましい。
式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。R~Rにおけるアルキル基は、Rと同義であり、好ましい態様も同様である。また、R~Rのうち、1つ以上が水素原子であることが好ましく、R~Rの全てが水素原子であることがより好ましい。
繰返し単位(1)としては、下記式(1-A)で表される繰返し単位、又は、下記式(1-B)で表される繰返し単位が好ましい。
Figure 2022110237000007
繰返し単位(1)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、(メタ)アクリル酸を酸触媒の存在下でジヒドロフラン化合物と反応させることにより合成することができる。あるいは、前駆体モノマーと重合した後に、カルボキシ基又はフェノール性ヒドロキシ基をジヒドロフラン化合物と反応させることによっても形成することができる。
また、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位としては、下記式(2)で表される繰返し単位も好ましく挙げられる。
Figure 2022110237000008
式(2)中、Aは、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。酸の作用により脱離する基としては、アルキル基(炭素数1~12が好ましく、1~6がより好ましく、1~3が更に好ましい)、アルコキシアルキル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリールオキシアルキル基(総炭素数7~40が好ましく、7~30がより好ましく、7~20が更に好ましい)、アルコキシカルボニル基(炭素数2~12が好ましく、2~6がより好ましく、2~3が更に好ましい)、アリールオキシカルボニル基(炭素数7~23が好ましく、7~19がより好ましく、7~11が更に好ましい)が好ましい。Aは更に置換基を有していてもよく、置換基として上記置換基Tの例が挙げられる。
式(2)中、R10は置換基を表し、置換基Tの例が挙げられる。Rは式(1)におけるRと同義の基を表す。
式(2)中、nxは、0~3の整数を表す。
酸の作用によって脱離する基としては、特開2008-197480号公報の段落番号0039~0049に記載の化合物のうち、酸によって脱離する基を含む繰返し単位も好ましく、また、特開2012-159830号公報(特許第5191567号)の段落番号0052~0056に記載の化合物も好ましく、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
繰返し単位(2)の具体的な例を以下に示すが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
Figure 2022110237000009
Figure 2022110237000010
感光層用特定樹脂に含まれる、酸基が酸分解性基により保護された構造を有する繰返し単位(好ましくは、繰返し単位(1)又は繰返し単位(2))の含有量は、5~80モル%が好ましく、10~70モル%がより好ましく、10~60モル%が更に好ましい。アクリル系重合体は、繰返し単位(1)又は繰返し単位(2)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
感光層用特定樹脂は、架橋性基を含む繰返し単位を含有してもよい。架橋性基の詳細については、特開2011-209692号公報の段落番号0032~0046の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
感光層用特定樹脂は、架橋性基を含む繰返し単位(繰返し単位(3))を含む態様も好ましいが、架橋性基を含む繰返し単位(3)を実質的に含まない構成とすることが好ましい。このような構成とすることにより、パターニング後に、感光層をより効果的に除去することが可能になる。ここで、実質的に含まないとは、例えば、感光層用特定樹脂の全繰返し単位の3モル%以下をいい、好ましくは1モル%以下をいう。
感光層用特定樹脂は、その他の繰返し単位(繰返し単位(4))を含有してもよい。繰返し単位(4)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、特開2004-264623号公報の段落番号0021~0024に記載の化合物を挙げることができる。繰返し単位(4)の好ましい例としては、ヒドロキシ基含有不飽和カルボン酸エステル、脂環構造含有不飽和カルボン酸エステル、スチレン、及び、N置換マレイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する繰返し単位が挙げられる。これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-メチルシクロヘキシルのよう脂環構造含有の(メタ)アクリル酸エステル類、又は、スチレンのような疎水性のモノマーが好ましい。
繰返し単位(4)は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。感光層用特定樹脂を構成する全モノマー単位中、繰返し単位(4)を含有させる場合における繰返し単位(4)を形成するモノマー単位の含有率は、1~60モル%が好ましく、5~50モル%がより好ましく、5~40モル%が更に好ましい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
感光層用特定樹脂の合成法については様々な方法が知られているが、一例を挙げると、少なくとも繰返し単位(1)、繰返し単位(2)等を形成するために用いられるラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。
感光層用特定樹脂としては、不飽和多価カルボン酸無水物類を共重合させた前駆共重合体中の酸無水物基に、2,3-ジヒドロフランを、酸触媒の不存在下、室温(25℃)~100℃程度の温度で付加させることにより得られる共重合体も好ましい。
以下の樹脂も感光層用特定樹脂の好ましい例として挙げられる。
BzMA/THFMA/t-BuMA(モル比:20~60:35~65:5~30)
BzMA/THFAA/t-BuMA(モル比:20~60:35~65:5~30)
BzMA/THPMA/t-BuMA(モル比:20~60:35~65:5~30)
BzMA/PEES/t-BuMA(モル比:20~60:35~65:5~30)
BzMAは、ベンジルメタクリレートであり、THFMAは、テトラヒドロフラン-2-イル メタクリレートであり、t-BuMAは、t-ブチルメタクリレートであり、THFAAは、テトラヒドロフラン-2-イル アクリレートであり、THPMAは、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル メタクリレートであり、PEESは、p-エトキシエトキシスチレンである。
また、ポジ型現像に用いられる感光層用特定樹脂としては、特開2013-011678号公報に記載のものが例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
現像時のパターン形成性を良好とする観点から、感光層用特定樹脂の含有量は、感光層の全質量に対し、20~99質量%であることが好ましく、40~99質量%であることがより好ましく、70~99質量%であることが更に好ましい。感光層用特定樹脂は1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、感光層用特定樹脂の含有量は、感光層に含まれる樹脂成分の全質量に対し、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
感光層用特定樹脂の重量平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、20,000以上がより好ましく、35,000以上が更に好ましい。上限値としては、特に定めるものでは無いが、100,000以下であることが好ましく、70,000以下としてもよく、50,000以下としてもよい。
また、感光層用特定樹脂に含まれる重量平均分子量1,000以下の成分の量が、感光層用特定樹脂の全質量に対し、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
感光層用特定樹脂の分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.0~4.0が好ましく、1.1~2.5がより好ましい。
-光酸発生剤-
光酸発生剤は、波長365nmにおいて100mJ/cmの露光量で感光層が露光されると80モル%以上分解する光酸発生剤であることが好ましい。
光酸発生剤の分解度は、以下の方法によって求めることができる。下記感光層形成用組成物の詳細については後述する。
感光層形成用組成物を用い、シリコンウエハ基板上に感光層を製膜し、100℃で1分間加熱し、加熱後に上記感光層を波長365nmの光を用いて100mJ/cmの露光量で露光する。加熱後の感光層の厚さは700nmとする。その後、上記感光層が形成された上記シリコンウエハ基板を、メタノール/テトラヒドロフラン(THF)=50/50(質量比)溶液に超音波を当てながら10分浸漬させる。上記浸漬後に、上記溶液に抽出された抽出物をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)を用いて分析することで光酸発生剤の分解率を以下の式より算出する。
分解率(%)=分解物量(モル)/露光前の感光層に含まれる光酸発生剤量(モル)×100
光酸発生剤としては、波長365nmにおいて、100mJ/cmの露光量で感光層を露光したときに、85モル%以上分解するものであることが好ましい。
-オキシムスルホネート化合物-
光酸発生剤は、オキシムスルホネート基を含む化合物(以下、単に「オキシムスルホネート化合物」ともいう)であることが好ましい。
オキシムスルホネート化合物は、オキシムスルホネート基を有していれば特に制限はないが、下記式(OS-1)、後述する式(OS-103)、式(OS-104)、又は、式(OS-105)で表されるオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。
Figure 2022110237000011
式(OS-1)中、Xは、アルキル基、アルコキシル基、又は、ハロゲン原子を表す。Xが複数存在する場合は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記Xにおけるアルキル基及びアルコキシル基は、置換基を有していてもよい。上記Xにおけるアルキル基としては、炭素数1~4の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。上記Xにおけるアルコキシル基としては、炭素数1~4の直鎖状又は分岐状アルコキシル基が好ましい。上記Xにおけるハロゲン原子としては、塩素原子又はフッ素原子が好ましい。
式(OS-1)中、m3は、0~3の整数を表し、0又は1が好ましい。m3が2又は3であるとき、複数のXは同一でも異なっていてもよい。
式(OS-1)中、R34は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルコキシル基、Wで置換されていてもよいフェニル基、Wで置換されていてもよいナフチル基又はWで置換されていてもよいアントラニル基であることが好ましい。Wは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルコキシル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のハロゲン化アリール基を表す。
式(OS-1)中、m3が3であり、Xがメチル基であり、Xの置換位置がオルト位であり、R34が炭素数1~10の直鎖状アルキル基、7,7-ジメチル-2-オキソノルボルニルメチル基、又は、p-トリル基である化合物が特に好ましい。
式(OS-1)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、特開2011-209692号公報の段落番号0064~0068、特開2015-194674号公報の段落番号0158~0167に記載された以下の化合物が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
Figure 2022110237000012
式(OS-103)~式(OS-105)中、Rs1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、複数存在する場合のあるRs2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、複数存在する場合のあるRs6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XsはO又はSを表し、nsは1又は2を表し、msは0~6の整数を表す。
式(OS-103)~式(OS-105)中、Rs1で表されるアルキル基(炭素数1~30が好ましい)、アリール基(炭素数6~30が好ましい)又はヘテロアリール基(炭素数4~30が好ましい)は、置換基Tを有していてもよい。
式(OS-103)~式(OS-105)中、Rs2は、水素原子、アルキル基(炭素数1~12が好ましい)又はアリール基(炭素数6~30が好ましい)であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。化合物中に2以上存在する場合のあるRs2のうち、1つ又は2つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることが好ましく、1つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることがより好ましく、1つがアルキル基であり、かつ残りが水素原子であることが特に好ましい。Rs2で表されるアルキル基又はアリール基は、置換基Tを有していてもよい。
式(OS-103)、式(OS-104)、又は、式(OS-105)中、XsはO又はSを表し、Oであることが好ましい。上記式(OS-103)~(OS-105)において、Xsを環員として含む環は、5員環又は6員環である。
式(OS-103)~式(OS-105)中、nsは1又は2を表し、XsがOである場合、nsは1であることが好ましく、また、XsがSである場合、nsは2であることが好ましい。
式(OS-103)~式(OS-105)中、Rs6で表されるアルキル基(炭素数1~30が好ましい)及びアルキルオキシ基(炭素数1~30が好ましい)は、置換基を有していてもよい。
式(OS-103)~式(OS-105)中、msは0~6の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
また、上記式(OS-103)で表される化合物は、下記式(OS-106)、式(OS-110)又は式(OS-111)で表される化合物であることが特に好ましく、上記式(OS-104)で表される化合物は、下記式(OS-107)で表される化合物であることが特に好ましく、上記式(OS-105)で表される化合物は、下記式(OS-108)又は式(OS-109)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 2022110237000013
式(OS-106)~式(OS-111)中、Rt1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Rt7は、水素原子又は臭素原子を表し、Rt8は水素原子、炭素数1~8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、Rt9は水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、Rt2は水素原子又はメチル基を表す。
式(OS-106)~式(OS-111)中、Rt7は、水素原子又は臭素原子を表し、水素原子であることが好ましい。
式(OS-106)~式(OS-111)中、Rt8は、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、炭素数1~8のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基であることが好ましく、炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式(OS-106)~式(OS-111)中、Rt9は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、水素原子であることが好ましい。
t2は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
また、上記オキシムスルホネート化合物において、オキシムの立体構造(E,Z)については、いずれか一方であっても、混合物であってもよい。
上記式(OS-103)~式(OS-105)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、特開2011-209692号公報の段落番号0088~0095、特開2015-194674号公報の段落番号0168~0194に記載の化合物が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
オキシムスルホネート基を少なくとも1つを含むオキシムスルホネート化合物の好適な他の態様としては、下記式(OS-101)、式(OS-102)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022110237000014
式(OS-101)又は式(OS-102)中、Ru9は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、シアノ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。Ru9がシアノ基又はアリール基である態様がより好ましく、Ru9がシアノ基、フェニル基又はナフチル基である態様が更に好ましい。
式(OS-101)又は式(OS-102)中、Ru2aは、アルキル基又はアリール基を表す。
式(OS-101)又は式(OS-102)中、Xuは、-O-、-S-、-NH-、-NRu5-、-CH-、-CRu6H-又はCRu6u7-を表し、Ru5~Ru7はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。
式(OS-101)又は式(OS-102)中、Ru1~Ru4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミド基、スルホ基、シアノ基又はアリール基を表す。Ru1~Ru4のうちの2つがそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。このとき、環が縮環してベンゼン環ともに縮合環を形成していてもよい。Ru1~Ru4としては、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基が好ましく、また、Ru1~Ru4のうちの少なくとも2つが互いに結合してアリール基を形成する態様も好ましい。中でも、Ru1~Ru4がいずれも水素原子である態様が好ましい。上記した置換基は、いずれも、更に置換基を有していてもよい。
上記式(OS-101)で表される化合物は、式(OS-102)で表される化合物であることがより好ましい。
また、上記オキシムスルホネート化合物において、オキシムやベンゾチアゾール環の立体構造(E,Z等)についてはそれぞれ、いずれか一方であっても、混合物であってもよい。
式(OS-101)で表される化合物の具体例としては、特開2011-209692号公報の段落番号0102~0106、特開2015-194674号公報の段落番号0195~0207に記載の化合物が例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
上記化合物の中でも、b-9、b-16、b-31、b-33が好ましい。
市販品としては、WPAG-336(富士フイルム和光純薬(株)製)、WPAG-443(富士フイルム和光純薬(株)製)、MBZ-101(みどり化学(株)製)等を挙げることができる。
活性光線に感応する光酸発生剤として1,2-キノンジアジド化合物を含まないものが好ましい。その理由は、1,2-キノンジアジド化合物は、逐次型光化学反応によりカルボキシ基を生成するが、その量子収率は1以下であり、オキシムスルホネート化合物に比べて感度が低いためである。
これに対して、オキシムスルホネート化合物は、活性光線に感応して生成する酸が保護された酸基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られると推測される。
また、オキシムスルホネート化合物は、広がりのあるπ共役系を有しているため、長波長側にまで吸収を有しており、遠紫外線(DUV)、ArF線、KrF線、i線のみならず、g線においても非常に高い感度を示す。
感光層における酸分解性基としてテトラヒドロフラニル基を用いることにより、アセタール又はケタールに比べ同等又はそれ以上の酸分解性を得ることができる。これにより、より短時間のポストベークで確実に酸分解性基を消費することができる。更に、光酸発生剤であるオキシムスルホネート化合物を組み合わせて用いることで、スルホン酸発生速度が上がるため、酸の生成が促進され、樹脂の酸分解性基の分解が促進される。また、オキシムスルホネート化合物が分解することで得られる酸は、分子の小さいスルホン酸であることから、硬化膜中での拡散性も高く、より高感度化することができる。
光酸発生剤は、感光層の全質量に対して、0.1~20質量%使用することが好ましく、0.5~18質量%使用することがより好ましく、0.5~10質量%使用することが更に好ましく、0.5~3質量%使用することが一層好ましく、0.5~1.2質量%使用することがより一層好ましい。
光酸発生剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
-塩基性化合物-
感光層用特定樹脂及び光酸発生剤を含む感光層は、後述する感光層形成用組成物の液保存安定性の観点から、塩基性化合物を含むことが好ましい。
塩基性化合物としては、公知の化学増幅レジストで用いられるものの中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及び、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリ-n-プロピルアミン、ジ-n-ペンチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2-フェニルピリジン、4-フェニルピリジン、N-メチル-4-フェニルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4-メチルイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8-オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア、ピペラジン、モルホリン、4-メチルモルホリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、1,8-ジアザビシクロ[5.3.0]-7-ウンデセンなどが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-n-ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-n-ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ-n-ブチルアンモニウムアセテート、テトラ-n-ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
感光層が、塩基性化合物を含む場合、塩基性化合物の含有量は、感光層用特定樹脂100質量部に対して、0.001~1質量部であることが好ましく、0.002~0.5質量部であることがより好ましい。
塩基性化合物は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用することが好ましく、2種を併用することがより好ましく、複素環式アミンを2種併用することが更に好ましい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
-界面活性剤-
感光層用特定樹脂及び光酸発生剤を含む感光層は、後述する感光層形成用組成物の塗布性を向上する観点から、界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、フッ素系、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
界面活性剤として、フッ素系界面活性剤、又はシリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましい。
これらのフッ素系界面活性剤、又は、シリコーン系界面活性剤として、例えば、特開昭62-036663号、特開昭61-226746号、特開昭61-226745号、特開昭62-170950号、特開昭63-034540号、特開平07-230165号、特開平08-062834号、特開平09-054432号、特開平09-005988号、特開2001-330953号の各公報に記載の界面活性剤を挙げることができ、市販の界面活性剤を用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えば、エフトップEF301、EF303(以上、新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(以上、住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(以上、DIC(株)製)、サーフロンS-382、SC101、102、103、104、105、106(以上、AGCセイミケミカル(株)製)、PF-6320等のPolyFoxシリーズ(OMNOVA社製)などのフッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤を挙げることができる。また、ポリシロキサンポリマーKP-341(信越化学工業(株)製)も、シリコーン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤として、下記式(41)で表される繰返し単位A及び繰返し単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
Figure 2022110237000015
式(41)中、R41及びR43はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R42は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R44は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p4及びq4は重合比を表す質量百分率であり、p4は10質量%以上80質量%以下の数値を表し、q4は20質量%以上90質量%以下の数値を表し、r4は1以上18以下の整数を表し、n4は1以上10以下の整数を表す。
式(41)中、Lは、下記式(42)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(42)におけるR45は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。
-CH-CH(R45)- (42)
上記共重合体の重量平均分子量は、1,500以上5,000以下であることがより好ましい。
感光層が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の添加量は、感光層用特定樹脂100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、0.01~10質量部であることがより好ましく、0.01~1質量部であることが更に好ましい。
界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
-その他の成分-
感光層用特定樹脂及び光酸発生剤を含む感光層には、更に、必要に応じて、酸化防止剤、可塑剤、熱ラジカル発生剤、熱酸発生剤、酸増殖剤、紫外線吸収剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を、それぞれ、1種又は2種以上加えることができる。これらの詳細は、特開2011-209692号公報の段落番号0143~0148の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
〔感光層形成用組成物〕
感光層形成用組成物は、本発明の積層体に含まれる感光層の形成に用いられる組成物である。
本発明の積層体において、感光層は、例えば、感光層形成用組成物を保護層の上に適用し、乾燥させることによって形成することができる。適用方法としては、例えば、上述した保護層における保護層形成用組成物の適用方法についての記載を参酌できる。
感光層形成用組成物は、上述の感光層に含まれる成分(例えば、ノボラック樹脂、キノンジアジド化合物及び添加剤、又は、感光層用特定樹脂、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤及びその他の成分等)と、溶剤と、を含むことが好ましい。これらの感光層に含まれる成分は、溶剤に溶解又は分散していることが好ましく、溶解していることがより好ましい。
感光層形成用組成物に含まれる成分の含有量は、上述した各成分の感光層の全質量に対する含有量を、感光層形成用組成物の固形分量に対する含有量に読み替えたものとすることが好ましい。
-有機溶剤-
感光層形成用組成物に使用される有機溶剤としては、公知の有機溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。
有機溶剤としては、例えば、
(1)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
(2)エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類;
(3)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
(4)プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
(5)プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
(6)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
(7)ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;
(8)ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
(9)ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
(10)ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル等のジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
(11)ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
(12)乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n-ブチル、乳酸イソブチル、乳酸n-アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル類;
(13)酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n-アミル、酢酸イソアミル、酢酸n-ヘキシル、酢酸2-エチルヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n-プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、酪酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;
(14)ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸エチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;
(15)メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;
(16)N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;
(17)γ-ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができる。
また、これらの有機溶剤に更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の有機溶剤を添加することもできる。
上記した有機溶剤のうち、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、又は、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類が好ましく、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。
感光層形成用組成物が、有機溶剤を含む場合、有機溶剤の含有量は、感光層用特定樹脂100質量部当たり、100~3,000質量部であることが好ましく、500~2,000質量部であることがより好ましく、1000~1,500質量部であることが更に好ましい。
これら有機溶剤は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(キット)
本発明のキットは、本発明において用いられる積層体に含まれるフッ素含有化合物を含む層(保護層)を形成するための保護層形成用組成物と、本発明において用いられる積層体に含まれる感光層を形成するための感光層形成用組成物とを含み、本発明のパターン化有機層の製造方法において用いられる積層体の形成に用いられるキットである。
本発明のキットに含まれる保護層形成用組成物及び感光層形成用組成物としては上述の積層体の説明において示した保護層形成用組成物及び感光層形成用組成物がそれぞれ挙げられる。
また、本発明のキットは、上述した有機層形成用組成物を更に含んでもよい。
(半導体デバイスの製造方法)
本発明の半導体デバイスの製造方法は、本発明のパターン化有機層の製造方法を含む。
本発明の半導体デバイスの製造方法により得られる半導体デバイスは、本発明のパターン化有機層の製造方法により得られたパターン化有機層を含む。
すなわち、本発明の半導体デバイスにおいて、保護層は除去され、残存していない場合がある。
ここで、半導体デバイスとは、半導体を含有し、かつ2つ以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、化学物質などにより制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場などを発生させるデバイスである。
例としては、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子などが挙げられる。有機光電変換素子は光センサ用途、エネルギー変換用途(太陽電池)のいずれにも用いることができる。これらの中で、好ましくは有機電界効果トランジスタ、有機光電変換素子、有機電界発光素子であり、より好ましくは有機電界効果トランジスタ、有機光電変換素子であり、特に好ましくは有機電界効果トランジスタである。
また、本発明のパターン化有機層の製造方法は、上記半導体デバイスの製造に用いることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の範囲は、以下に示す具体例に限定されるものではない。実施例において、特に述べない限り、「部」及び「%」は質量基準であり、各工程の環境温度(室温)は23℃である。
感光層形成用樹脂組成物中の樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC測定によるポリスチレン換算値として算出した。HLC-8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cm)を用いた。
<保護層形成用組成物の調製>
下記表1に示した配合比(質量部)となるように各原料を混合した。
混合後、撹拌機(ホットマグネットスターラー、C-MAG HS4、IKA社製)を使用して、下記の撹拌条件の下、保護層形成用組成物をそれぞれ撹拌した。撹拌が終了した後、ステンレス プレッシャー フィルターホルダー(sartorius社製)に、孔径5μmのPVDF(ポリフッ化ビニリデン)メンブレンフィルター(デュラポア(Durapore)、Merck社製)を設置し、これを用いて2MPaで加圧しながら各組成物を濾過した。
〔撹拌条件〕
・雰囲気:大気
・撹拌時間:240分
・撹拌温度:50℃
・撹拌部材の回転速度:500rpm(1分間当たりの回転数、revolutions per minutes)
Figure 2022110237000016
表1中に記載した略語の詳細は、下記の通りである。
〔フッ素含有化合物〕
・R-1:下記式(A-1)で表される構造の化合物
・R-2:CYTOP CTL-809A(AGC社製)
・R-3:CYTOP CTX-809A(AGC社製)
Figure 2022110237000017
〔溶剤〕
・S-1:Novec7200(3M(株)製)
・S-2:Novec7500(3M(株)製)
・S-3:AMOLEA AS-300(AGC社製)
<感光層形成用組成物の調製>
各実施例において、それぞれ、下記成分を混合し、感光層形成用組成物を調製した。
・上記表に記載の樹脂:表に記載の含有量
・上記表に記載の添加剤:表に記載の含有量(ただし、「なし」と記載された例においては含有していない。)
・2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルとナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホニルクロライド2.3モルとのエステル化物:3質量部
・ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン:1質量部
・PGMEA:83質量部
上記表に記載の樹脂及び添加剤の詳細は下記の通りである。
・N-1:TO-151(住友ベークライト社製)
・N-2:TO-359(住友ベークライト社製)
・N-3:TO-360(住友ベークライト社製)
・AD-1:EHPE3150(ダイセル社製エポキシ樹脂)
・AD-2:リケンレジン MA-156(三木理研工業)
また、比較例1において、下記成分を混合し、比較用組成物を調製した。
・上記表に記載の樹脂:表に記載の含有量
・N-hydroxynaphthalimide perfluorobutane sulfonate:1質量部
・メチルノナフルオロブチルエーテル:40質量部
上記表に記載の樹脂の詳細は下記の通りである。
F-1:オクタフルオロメタクリレート/t-ブチルメタクリレート共重合体
<評価>
〔残渣評価〕
-有機半導体膜(有機層)の形成-
各実施例及び比較例において、それぞれ、5cm角のガラス基板上に、以下の組成からなる有機半導体塗布液(有機半導体形成用組成物)をスピンコートし、130℃で10分乾燥させることで有機半導体膜を形成した。膜厚は150nmであった。
ここで、有機半導体膜の表面に対し、TOF-SIMS(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)装置(ION-TOF社製TOF.SIMS5)を用いて、m/z=910のシグナル強度Iを測定した。
<<有機半導体塗布液の組成>>
・P3HT(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製):10質量%
・PCBM(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製):10質量%
・クロロホルム(富士フイルム和光純薬(株)製):80質量%
-保護層の形成-
各実施例において、それぞれ、上記有機半導体膜の表面に、上記保護層形成用組成物をスピンコートし、100℃で1分乾燥させることで、表の「膜厚(μm)」の欄に記載の厚さの保護層を形成した。
比較例1においては、保護層の形成を行わなかった。
-感光性樹脂層(感光層)の形成-
各実施例及び比較例において、それぞれ、製膜した保護層の表面に、上記感光層形成用組成物又は比較用組成物をスピンコートし、100℃で1分間乾燥し、厚さ3μmの感光性樹脂層(感光層)を形成し、積層体とした。
-露光-
各実施例及び比較例において、それぞれ、作製された積層体における感光層に対し、i線露光機を用い、フォトマスクとして線幅1.0~10.0μmの1:1ラインアンドスペースパターンが線幅0.5μm刻みで形成され、さらに残渣評価用に10cm×10cmの領域が露光される設計のフォトマスクを介して、i線により露光した。露光量は線幅2μmの1:1のラインアンドスペースパターンにおいて、2μmのライン線幅が得られる露光量とした。
-現像-
露光後の積層体を70℃で60秒間加熱した後、2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液を現像液として用いて50秒間現像し、スピン乾燥してレジストパターンを得た。
更に水で20秒間洗浄(リンス)し、スピン乾燥して線幅1.0~10.0μmの1:1ラインアンドスペースパターンの感光層及び保護層のパターンを得た。
-エッチング-
上記感光層及び保護層のパターンをマスクパターンとして、以下の条件で基板のドライエッチングを行い、非マスクパターン部の有機層を除去した。
条件:ソースパワー500W、ガス:酸素流量100ml/min、時間3分
その後、得られた基板を表の「剥離液」の「種類」の欄に記載の剥離液により表の「剥離液」の「処理時間」の欄に記載の時間においてパドル洗浄を行い、感光層及び保護層のパターンを除去したのち、1,500rpmでスピン乾燥を実施し、有機層がパターニングされた基板を得た。
上記真空乾燥後、上記基板の上記10cm×10cmの露光部における、有機層のパターン表面に対してTOF-SIMS(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)測定を再度実施し、有機半導体材料由来のシグナルIを測定した。
下記式によりシグナル強度比(%)を算出し、得られたシグナル強度比を表の「シグナル強度比(%)」の欄に記載した。
シグナル強度比が大きいほど、パターン化有機層の表面に残存する成分が低減されているといえる。
シグナル強度比(%)=[I/I]×100
〔解像性評価〕
上記残渣評価と同様の方法により、上述の線幅1.0~10.0μmの1:1ラインアンドスペースパターンの感光層及び保護層のパターンを得た。上記パターンを(株)日立ハイテクフィールディング社製測長SEM S-9260Aを使用して観察し、パターンが倒れることなく形成できている最少線幅を最少解像パターンとした。評価結果は表の「最小解像パターン(μm)」の欄に記載した。最小解像パターンのサイズが小さいほど、解像性に優れるといえる。
<比較例2>
保護層として実施例1のフッ素含有化合物を、PXP-05(日本酢ビポバール社製)に変更し、溶剤を純水に変更したものを使用し同様に残渣評価、解像性評価を行ったところ、感光層の現像時に保護層及び感光層が除去されてしまい、感光層のパターンが残存せずに評価続行不可能となった。
表に記載した結果から、本発明のパターン化有機層の製造方法によれば、得られたパターン化有機層の表面に積層体に含まれる他の層が含有する成分が残存することが抑制されることがわかる。
比較例1に係るパターン化有機層の製造方法においては、保護層を形成しなかった。このような態様においては、得られたパターン化有機層表面に、積層体に含まれる他の層が含有する成分が残存していることがわかる。これは、おそらく感光層の成分が樹脂に吸着することにより、パターン化有機層上に感光層の成分が残存しているものと推測される。
比較例2に係るパターン化有機層の製造方法においては、保護層として、フッ素含有化合物を含まない保護層を用いた。このような態様においては、感光層の現像時に保護層及び感光層が除去されてしまい、パターン化有機層を得ることができなかった。
<実施例101>
国際公開第2018/061821号の実施例1と同様の方法により、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極が形成された基材を作製した。
上記基材上に、本発明の実施例1~実施例18における残渣評価において示した方法と同様の方法により、それぞれ、有機半導体層、保護層及び感光層を形成した。その後、上記残渣評価において示した方法と同様の方法により、感光層の現像、保護層及び有機半導体層のエッチングを行い、ソース電極及びドレイン電極に接するように有機半導体層を形成し、有機電界効果トランジスタを製造した。
上記有機電界効果トランジスタは正常に動作した。
1 感光層
1a 露光現像後の感光層
2 フッ素含有化合物を含む層(保護層)
3 有機層
3a 加工後の有機層
4 基材
5 現像後の感光層の除去部
5a エッチング後の積層体の除去部

Claims (11)

  1. 有機層、フッ素含有化合物を含む層及び感光層をこの順に有する積層体を用い、
    前記感光層を露光する工程、
    前記感光層をアルカリ含有現像液で現像してパターンを得る工程、
    前記パターンを介して前記有機層をエッチングしてパターン化有機層を得る工程、並びに、
    前記フッ素含有化合物を含む層を除去する工程を含む、
    パターン化有機層の製造方法。
  2. 前記フッ素含有化合物を含む層の全質量に対する、フッ素含有化合物の含有量が90質量%以上である、請求項1に記載のパターン化有機層の製造方法。
  3. 前記フッ素含有化合物として、フッ素原子を含む樹脂を含む、請求項1又は2に記載のパターン化有機層の製造方法。
  4. 前記フッ素含有化合物が、下記式(F-1)又は式(F-2)で表される繰返し単位を有する樹脂、及び、酸不安定基で保護されたフッ素化カリックスアレーンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である、請求項1又は2に記載のパターン化有機層の製造方法。
    Figure 2022110237000018
    式(F-1)又は式(F-2)中、Xは-O-又は-C(R-を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭素数1~5のアルキル基を表し、RおよびRの少なくとも1つはフッ素原子を含み、2つのRは互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
  5. 前記フッ素含有化合物を含む層を除去する工程が、フッ素系溶剤を含む剥離液によりフッ素含有化合物を含む層を除去する工程である、請求項1~4のいずれか1項に記載のパターン化有機層の製造方法。
  6. 前記感光層が、前記露光によりアルカリ現像液への溶解速度が増加する感光層である、請求項1~5のいずれか1項に記載のパターン化有機層の製造方法。
  7. 前記感光層が、ノボラック樹脂を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のパターン化有機層の製造方法。
  8. 前記有機層が、有機半導体層である、請求項1~7のいずれか1項に記載のパターン化有機層の製造方法。
  9. フッ素含有化合物、及び、溶剤を含み、
    請求項1~8のいずれか1項に記載の前記フッ素含有化合物を含む層の形成に用いられる保護層形成用組成物。
  10. 前記フッ素含有化合物を含む層を形成するための保護層形成用組成物と、
    前記感光層を形成するための感光層形成用組成物とを含み
    請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体の形成に用いられる
    キット。
  11. 請求項1~8のいずれか1項に記載のパターン化有機層の製造方法を含む、半導体デバイスの製造方法。
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