JP6591579B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体に関し、特にレジスト組成物の積層体に関する。
近年、有機半導体を用いた電子デバイスが広く用いられている。有機半導体は、従来のシリコンなどの無機半導体を用いたデバイスと比べて簡単なプロセスにより製造できるというメリットがある。さらに、分子構造を変化させることで容易に材料特性を変化させることが可能であり、材料のバリエーションが豊富であり、無機半導体では成し得なかったような機能や素子を実現することが可能になると考えられている。有機半導体は、例えば、有機太陽電池、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、有機光ディテクター、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子等の電子機器に適用される可能性がある。
有機半導体のパターニングは、これまで印刷技術により行われてきたが、印刷技術によるパターニングでは微細加工に限界がある。また、有機半導体はダメージを受けやすい。
ここで、特許文献1には、有機半導体層を形成する工程と、有機半導体層をマスク層から保護する保護層を有機半導体層に積層して形成する工程と、所定のパターンを有するマスク層を保護層に積層して形成する工程と、マスク層をマスクとするエッチングによって保護層、更には有機半導体層を同一形状にパターニングする工程とを有する、有機半導体層のパターニング方法において、マスク層とは材質が異なり、かつ、親水性を有する有機高分子化合物又は絶縁性 無機化合物によって保護層を形成することを特徴とする、有機半導体層のパターニング方法が開示されている。
特許文献2には、有機半導体層へ影響を与えない材料を用い、有機半導体保護層の上に光感応性樹脂層等の感光性組成物を形成することが開示されている。
特開2006−41317号公報 特開2004−266197号公報
従来の方法では、パターニング終了後もマスク層が保護膜として残ってしまうという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、良好なパターン形成可能な積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは詳細に検討した結果、有機半導体の一方の面に水溶性樹脂膜、化学増幅型感光性樹脂組成物からなるレジスト膜の順で成膜し、レジスト膜をパターニング後にエッチングすることにより、有機半導体にダメージを与えずにパターニングできることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは、<2>〜<23>により、上記課題は解決された。
<1>有機半導体膜の表面に、少なくとも水溶性樹脂膜および化学増幅型感光性樹脂組成物からなるレジスト膜をこの順に有する積層体であって、
化学増幅型感光性樹脂組成物は、波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光すると80モル%以上分解する光酸発生剤を含有し、露光部が有機溶剤を含む現像液に難溶となることでマスクパターンを形成でき、マスクパターンを形成後エッチングのマスクとして利用する、積層体。
<2>エッチングがドライエッチングである、<1>に記載の積層体。
<3>エッチングがウェットエッチングである、<1>に記載の積層体。
<4>水溶性樹脂膜の水溶性樹脂のsp値が18(MPa)1/2以上29(MPa)1/2未満である、<1>〜<3>のいずれかに記載の積層体。
<5>水溶性樹脂膜の水溶性樹脂のsp値が20(MPa)1/2以上26(MPa)1/2以下である、<1>〜<3>のいずれかに記載の積層体。
<6>水溶性樹脂膜の水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、または、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの混合物である、<1>〜<5>のいずれかに記載の積層体。
<7>水溶性樹脂膜の水溶性樹脂が、ポリビニルピロリドンである、<1>〜<5>のいずれかに記載の積層体。
<8>化学増幅型感光性樹脂組成物が、波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光することによって極性が変化し、sp値が18(MPa)1/2未満の有機溶剤に対して難溶となる、<1>〜<7>のいずれかに記載の積層体。
<9>化学増幅型感光性樹脂組成物が、環状エーテルエステル構造を有する樹脂を含む、<1>〜<8>のいずれかに記載の積層体。
<10>化学増幅型感光性樹脂組成物が、下記一般式(11)で表される基を含む繰り返し単位を有する樹脂を含む、<1>〜<8>のいずれかに記載の積層体;
式(11)
式(11)中、R1は水素原子又はアルキル基を表し、L1はカルボニル基又はフェニレン基を表し、R21〜R27はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
<11>化学増幅型感光性樹脂組成物が、下記一般式(B1−1)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含む、<1>〜<10>のいずれかに記載の積層体;
一般式(B1−1)
一般式(B1−1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す;R2〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基を表す;R2〜R4の2つが結合して、環状のアルキル基を形成してもよい。
<12>化学増幅型感光性樹脂組成物が、下記一般式(B1−2)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含む、<1>〜<11>のいずれかに記載の積層体;
一般式(B1−2)
一般式(B1−2)中、R1は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す;R2〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。アルキル基を表す;R2〜R4の2つが結合して、環状のアルキル基を形成してもよい;R5は、2価の鎖状炭化水素基を表す。
<13>光酸発生剤が、活性光線または放射線の照射により、pKaが−6以下の酸を発生し、かつ365nmにおけるモル吸光係数が4000L/(mol・cm)以上である非イオン性の光酸発生剤である、<1>〜<12>のいずれかに記載の積層体。
<14>非イオン性の光酸発生剤が、炭素数2又は3のフルオロアルキル基を有する化合物であって、且つ、活性光線及び/又は放射線の照射により、炭素数2または3のフルオロアルキル基を有するスルホン酸を発生する化合物である、<13>に記載の積層体。
<15>非イオン性の光酸発生剤が、下記一般式(3)で表される化合物である、<13>または<14>に記載の積層体;
一般式(3)
一般式(3)中、R6は、炭素数2又は3のフルオロアルキル基を表す;R7は、アルキレン基、アルケニレン基、または、アリーレン基を表す。
<16>非イオン性の光酸発生剤が、5員環イミドスルホネート基を有する化合物である、<13>〜<15>のいずれかに記載の積層体。
<17>非イオン性の光酸発生剤が、下記一般式(4)で表される化合物である、<13>または<14>に記載の積層体;
一般式(4)
一般式(4)中、R8は、炭素数2又は3のフルオロアルキル基を表し、R9は炭素数1〜8のアルキル基またはフルオロアルキル基を表し、R10は、芳香族炭化水素基または芳香族ヘテロ環基を表す。
<18>光酸発生剤が、オキシムスルホネート基を有する化合物である、<1>〜<14>のいずれかに記載の積層体。
<19>化学増幅型感光性樹脂組成物が、塩基性化合物をさらに含む、<1>〜<18>のいずれかに記載の積層体。
<20>塩基性化合物が一級アミン化合物である、<19>に記載の積層体。
<21>化学増幅型感光性樹脂組成物が、下記一般式(B1−1)で表される繰り返し単位及び/または下記一般式(B1−2)で表される繰り返し単を有する樹脂と、塩基性化合物をさらに含み、
光酸発生剤が、活性光線または放射線の照射により、pKaが−6以下の酸を発生し、かつ365nmにおけるモル吸光係数が4000L/(mol・cm)以上である非イオン性の光酸発生剤である、<1>〜<8>のいずれかに記載の積層体;
一般式(B1−1)
一般式(B1−1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す;R2〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基を表す;R2〜R4の2つが結合して、環状のアルキル基を形成してもよい;
一般式(B1−2)
一般式(B1−2)中、R1は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す;R2〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。アルキル基を表す;R2〜R4の2つが結合して、環状のアルキル基を形成してもよい;R5は、2価の鎖状炭化水素基を表す。
<22>化学増幅型感光性樹脂組成物がネガ型である、<1>〜<21>のいずれかに記載の積層体。
<23>さらに、有機半導体膜の水溶性樹脂膜が積層している側の反対側の面に基板を有する、<1>〜<22>のいずれかに記載の積層体。
本発明により、良好なパターン形成可能な積層体を提供可能になった。
有機半導体膜がパターニングされた基板を得る方法の一例を示す工程図である。
以下に記載する本発明における構成要素の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書中における「活性光線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線または放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において固形分濃度とは、組成物の総重量に対する、溶剤を除く他の成分の重量の重量百分率である。固形分とは、25℃における固形分をいう。
本明細書において、重量平均分子量は、GPC測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cmを用いることによって求めることができる。溶離液は特に述べない限り、10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いて測定したものとする。
<積層体>
本発明の積層体は、有機半導体膜の表面に、少なくとも(1)水溶性樹脂膜、(2)化学増幅型感光性樹脂組成物からなるレジスト膜をこの順に有する積層体であって、(2)化学増幅型感光性樹脂組成物は、波長365nmにおいて100mJ以上露光すると80モル%以上分解する光酸発生剤を含有し、化学増幅型感光性樹脂組成物の露光部が有機溶剤を含む現像液に難溶となることでマスクパターンを形成でき、マスクパターンを形成後エッチングのマスクとして利用することを特徴とする。ここで、エッチングは、例えば後述するように、ドライエッチングであってもよいし、ウェットエッチングであってもよい。
基板上に成膜された有機半導体上に通常のレジスト膜を成膜し、パターニングすると、有機半導体はレジストに含まれる有機溶剤に容易に溶解してしまい、有機半導体膜にダメージを与えてしまう。
これに対し、本発明では、有機半導体上に保護膜として水溶性樹脂膜を成膜しその上にレジスト膜を製膜している。この場合、レジストと有機半導体とが直接接触しないため、有機半導体にダメージが及ぶことを抑制できる。さらに、レジスト膜は化学増幅型感光性樹脂組成物を用いるため、高い保存安定性と微細なパターン形成性を達成できる。
以下、詳細に説明する。
<<有機半導体膜>>
本発明で用いる有機半導体膜は、半導体の特性を示す有機材料を含む膜のことである。無機材料からなる半導体の場合と同様に、正孔をキャリアとして伝導するp型有機半導体と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体がある。有機半導体中のキャリアの流れやすさはキャリア移動度μで表される。用途にもよるが、一般に移動度は高い方がよく、10-7cm2/Vs以上であることが好ましく、10-6cm2/Vs以上であることがより好ましく、10-5cm2/Vs以上であることがさらに好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
有機半導体膜は、通常、基板に成膜して用いることが好ましい。すなわち、有機半導体膜の水溶性樹脂膜が積層している側の反対側の面に基板を有することが好ましい。本発明で用いることができる基板としては、例えば、シリコン、石英、セラミック、ガラス、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムなどの種々の材料を基板として用いることができ、用途に応じていかなる基板を選択してもよい。例えば、フレキシブルな素子の用途の場合にはフレキシブル基板を用いることができる。また、基板の厚さは特に限定されない。
使用し得るp型半導体材料としては、ホール輸送性を示す材料であれば有機半導体材料、無機半導体材料のうちいかなる材料を用いてもよいが、好ましくはp型π共役高分子(例えば、置換または無置換のポリチオフェン(例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)など)、ポリセレノフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリアニリンなど)、縮合多環化合物(例えば、置換または無置換のアントラセン、テトラセン、ペンタセン、アントラジチオフェン、ヘキサベンゾコロネンなど)、トリアリールアミン化合物(例えば、m−MTDATA、2−TNATA、NPD、TPD、mCP、CBPなど)、ヘテロ5員環化合物(例えば、置換または無置換のオリゴチオフェン、TTFなど)、フタロシアニン化合物(置換または無置換の各種中心金属のフタロシアニン、ナフタロシアニン、アントラシアニン、テトラピラジノポルフィラジン)、ポルフィリン化合物(置換または無置換の各種中心金属のポルフィリン)、カーボンナノチューブ、半導体ポリマーを修飾したカーボンナノチューブ、グラフェンのいずれかであり、より好ましくはp型π共役高分子、縮合多環化合物、トリアリールアミン化合物、ヘテロ5員環化合物、フタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物のいずれかであり、さらに好ましくは、p型π共役高分子である。
半導体材料が使用し得るn型半導体材料としては、ホール輸送性を有するものであれば有機半導体材料、無機半導体材料のうち、いかなるものでもよいが、好ましくはフラーレン化合物、電子欠乏性フタロシアニン化合物、ナフタレンテトラカルボニル化合物、ペリレンテトラカルボニル化合物、TCNQ化合物、n型π共役高分子、n型無機半導体であり、より好ましくはフラーレン化合物、電子欠乏性フタロシアニン化合物、ナフタレンテトラカルボニル化合物、ペリレンテトラカルボニル化合物、π共役高分子であり、特に好ましくはフラーレン化合物、π共役高分子である。本発明において、フラーレン化合物とは、置換または無置換のフラーレンを指し、フラーレンとしてはC60、C70、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C96、C116、C180、C240、C540などのいずれでもよいが、好ましくは置換または無置換のC60、C70、C86であり、特に好ましくはPCBM([6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)およびその類縁体(C60部分をC70、C86等に置換したもの、置換基のベンゼン環を他の芳香環またはヘテロ環に置換したもの、メチルエステルをn−ブチルエステル、i−ブチルエステル等に置換したもの)である。電子欠乏性フタロシアニン類とは、電子求引基が4つ以上結合した各種中心金属のフタロシアニン(F16MPc、FPc−S8など)、ナフタロシアニン、アントラシアニン、置換または無置換のテトラピラジノポルフィラジンなどである。ナフタレンテトラカルボニル化合物としてはいかなるものでもよいが、好ましくはナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ナフタレンビスイミド化合物(NTCDI)、ペリノン顔料(Pigment Orange 43、Pigment Red 194など)である。ペリレンテトラカルボニル化合物としてはいかなるものでもよいが、好ましくはペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、ペリレンビスイミド化合物(PTCDI)、ベンゾイミダゾール縮環体(PV)である。TCNQ化合物とは、置換または無置換のTCNQおよび、TCNQのベンゼン環部分を別の芳香環やヘテロ環に置き換えたものであり、例えば、TCNQ、TCAQ、TCN3Tなどである。更にグラフェンも挙げられる。型有機半導体材料の特に好ましい例を以下に示す。
なお、式中のRとしては、いかなるものでも構わないが、水素原子、置換基または無置換で分岐または直鎖のアルキル基(好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜8のもの)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、より好ましくは6〜14のもの)のいずれかであることが好ましい。
上記材料は、通常、溶剤に配合し、層状に適用して乾燥し、製膜する。適用方法としては、後述する水溶性樹脂膜の記載を参酌できる。
溶剤としては、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン、1,2−ジクロロベンゼン等の炭化水素系溶剤;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤;例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶剤;例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイド等の極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は1種のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
有機半導体膜を形成する組成物(有機半導体形成用組成物)における有機半導体の割合は、好ましくは0.1〜80質量%、より好ましくは0.1〜10質量%であり、これにより任意の厚さの膜を形成できる。
また、有機半導体形成用組成物には、樹脂バインダーを配合してもよい。この場合、膜を形成する材料とバインダー樹脂とを前述の適当な溶剤に溶解させ、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により薄膜を形成することができる。樹脂バインダーとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等の絶縁性ポリマー、およびこれらの共重合体、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン等の光伝導性ポリマー、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン等の導電性ポリマーなどを挙げることができる。樹脂バインダーは、単独で使用してもよく、あるいは複数併用しても良い。薄膜の機械的強度を考慮するとガラス転移温度の高い樹脂バインダーが好ましく、電荷移動度を考慮すると極性基を含まない構造の樹脂バインダーや光伝導性ポリマー、導電性ポリマーが好ましい。
樹脂バインダーを配合する場合、その配合量は、有機半導体膜等の膜中、好ましくは0.1〜30質量%で用いられる。
用途によっては単独及び種々の半導体材料や添加剤を添加した混合溶液を塗布し、複数の材料種からなるブレンド膜としてもよい。例えば、光電変換層を作製する場合、別の半導体材料との混合溶液を用いることなどができる。
また、成膜の際、基板を加熱または冷却してもよく、基板の温度を変化させることで膜質や膜中での分子のパッキングを制御することが可能である。基板の温度としては特に制限はないが、好ましくは−200℃〜400℃、より好ましくは−100℃〜300℃、さらに好ましくは0℃〜200℃である。
形成された有機半導体膜は、後処理により特性を調整することができる。例えば、加熱処理や溶剤蒸気への暴露により膜のモルホロジーや膜中での分子のパッキングを変化させることで特性を向上させることが可能である。また、酸化性または還元性のガスや溶剤、物質などにさらす、あるいはこれらを混合することで酸化あるいは還元反応を起こし、膜中でのキャリア密度を調整することができる。
有機半導体膜の膜厚は、特に制限されず、用いられる電子デバイスの種類などにより異なるが、好ましくは5nm〜50μm、より好ましくは10nm〜5μm、さらに好ましくは20nm〜500nmである。
<<水溶性樹脂膜>>
水溶性樹脂膜は、例えば、水溶性樹脂を含む水溶性樹脂組成物を有機半導体膜の上に適用し、乾燥させることよって形成される。本発明における水溶性樹脂は、20℃における水に対する溶解度が1%以上である樹脂をいう。
水溶性樹脂膜は、有機溶剤を含む現像液に溶解しにくく、水に対して溶解する必要がある。このため、水溶性樹脂膜の水溶性樹脂のsp値(溶解パラメータ)は、18(MPa)1/2以上29(MPa)1/2未満であることが好ましく、18.5(MPa)1/2以上29(MPa)1/2未満であることがより好ましく、19(MPa)1/2以上28(MPa)1/2未満であることがさらに好ましく、19.5〜27(MPa)1/2であることがさらに好ましく、20〜26(MPa)1/2であることが特に好ましい。sp値は、Hoy法によって算出した値であり、Hoy法は、POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITIONに記載がある。
また、水溶性樹脂組成物は、2種類以上の水溶性樹脂を含んでいてもよいが、この場合、2種類以上の水溶性樹脂それぞれが上記範囲を満たしていることが好ましい。
本発明で用いる水溶性樹脂は、ポリビニルピロリドン、水溶性多糖類(水溶性のセルロース(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、プルランまたはプルラン誘導体、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプン、キトサン、シクロデキストリン)、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチルオキサゾリン等を挙げることができ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルランが好ましい。水溶性樹脂は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、または、ポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールとの混合物を含むことが好ましい。
また、これらの中から、主鎖構造が相違する2種以上を選択して使用してもよく、共重合体として使用してもよい。
水溶性樹脂としてポリビニルアルコールを用いる場合、ケン化度は、70mol%〜95mol%が好ましく、80mol%〜90mol%がより好ましい。
本発明で用いる水溶性樹脂膜を形成する水溶性樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは500〜1,000,000であり、より好ましくは2,000〜800,000、更に好ましくは3,000〜700,000である。
重量平均分子量は、加工を行う基板に応じて適宜選択することができる。重量平均分子量を上記範囲とすることにより、段差のある有機半導体基板への追従性をより向上させるとともに、膜面にクラックがより生じにくくすることができる。
また、水溶性樹脂は、重量平均分子量が異なる2種以上を選択して使用してもよい。
水溶性樹脂の分散度(分子量分布)は、通常1.0〜3.0であり、好ましくは1.0〜2.6の範囲のものが好ましく使用される。
本発明で用いる水溶性樹脂膜を形成する水溶性樹脂組成物は、溶剤を含有することが好ましい。
水溶性樹脂組成物は、水溶性樹脂および各種添加剤の任意成分を、溶剤に溶解した溶液として調製されることが好ましい。
水溶性樹脂組成物に使用される溶剤としては、水の他にも公知の溶剤を用いることができ、アルコール類等が例示できる。
水溶性樹脂組成物に使用される溶剤としては、例えば、(1)メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、6−メチル−1−ヘプタノール、1−ノナノール、1−デカノール等の第一級アルコール類;(2)2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール等の第二級アルコール類;(3)t−ブタノ−ル、t−アミルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−メチル−2‐ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、3−エチル−2−メチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル‐2−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、2,3、4−トリメチル−3−ペンタノール、3,4、4−トリメチル−3−ペンタノール等の第三級アルコール類;(4)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;(5)プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類等を挙げることができる。
上記の溶剤のうち、水、第一級アルコール類および第二級アルコール類の少なくとも1種が好ましく、水および2−プロパノールの少なくとも1種がより好ましい。
溶剤は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
水溶性樹脂組成物の適用方法としては、塗布が好ましい。適用方法の例としては、キャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、ラングミュア−ブロジェット(Langmuir−Blodgett)(LB)法などを挙げることができる。本発明においては、キャスト法、スピンコート法、およびインクジェット法を用いることがさらに好ましい。このようなプロセスにより、表面が平滑で大面積の有機半導体膜等の膜を低コストで生産することが可能となる。
水溶性樹脂組成物の固形分濃度は、0.5〜45質量%であることが好ましく、1.0〜40質量%であることがより好ましく、2.0〜35質量%であることが更に好ましい。固形分濃度を上記範囲とすることでより均一に塗布することができる。
水溶性樹脂組成物には更に塗布性を向上させるための界面活性剤を含有させることが好ましい。
界面活性剤としては、表面張力を低下させるものであれば、ノニオン系、アニオン系、両性フッ素系など、どのようなものでもかまわない。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等、フッ素あるいはシリコンを含有するオリゴマー等、アセチレングリコール、アセチレングリコールのエチレンオキシド付加物等のノニオン界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ソーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能であるが、特に好ましいのは、有機半導体の電気特性に影響を及ぼす金属イオンの含有量が少なく、かつ消泡性にも優れる、下記式(1)で示されるアセチレン骨格を有するノニオン界面活性剤である。
式(1)中、R1、R2はお互い独立に、置換基を有してもよい炭素数3〜15のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、または置換基を有してもよい炭素数4〜15の複素芳香族環基(置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシ−カルボニル基、炭素数2〜15のアシル基が挙げられる。)を示す。
水溶性樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の添加量は、水溶性樹脂膜としたときに、好ましくは0.05〜8質量%、更に好ましくは0.07〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%の割合で含まれていることが好ましい。
これら界面活性剤は、1種のみ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。
水溶性樹脂組成物には、膜の機械強度を向上させるための可塑剤が含有されてもよい。特に、水溶性樹脂膜の膜厚が2μm以上必要な場合に可塑剤を配合すると、クラックの発生をより効果的に防止できる。
可塑剤としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、グリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、多価アルコール、グリセリン、ソルビトール、グリセロールエステル、三酢酸グリセロール、脂肪酸トリグリセライド、およびそれらの組み合わせが使用可能である。特に、水溶性樹脂との相溶性が良好なグリセリンが好ましい。。
水溶性樹脂膜は、膜厚20nm〜10μmであることが好ましく、膜厚100nm〜5μmであることがより好ましい。膜厚は、加工を行う有機半導体の膜厚に応じて適宜選択することができる。水溶性樹脂膜の膜厚が薄いほどエッチングの時間を短くすることができるが、有機半導体の膜厚が厚い場合、有機半導体のエッチングが完了する前に水溶性樹脂膜が消失してしまい、有機半導体の加工が満足に行えない。水溶性樹脂膜の膜厚が厚いほど、エッチングの時間は長くなるが、有機半導体の膜厚が厚い場合でも有機半導体の加工を満足に行える。
水溶性樹脂組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、成膜性を向上させることにより、上記のような膜厚とすることができる。
<<化学増幅型感光性樹脂組成物>>
本発明で用いる感光性樹脂組成物は、化学増幅型の感光性樹脂組成物である、化学増幅型とすることにより、高い保存安定性と微細なパターン形成性を達成できる。
本発明では、化学増幅型感光性樹脂組成物(以下、単に、「感光性樹脂組成物」ということがある)が波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光することによって極性が変化し、sp値が19(MPa)1/2未満の有機溶剤に対して難溶となることが好ましく、18.5(MPa)1/2以下の有機溶剤に対して難溶となることがより好ましく、18.0(MPa)1/2以下の有機溶剤に対して難溶となることがさらに好ましい。さらに、波長365nmにおいて100〜200mJ/cm2露光することによって、上記のとおり極性が変化することがより好ましい。
本発明で用いる感光性樹脂組成物は、ネガ型のレジスト組成物であることが、より微細なトレンチ・ホールパターンを形成可能という理由により、特に高い効果を得ることができることから好ましい。
本発明で用いる感光性樹脂組成物は、有機溶剤を含む現像液で現像可能な樹脂(以下、「特定樹脂A」という)および波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光されると80%以上分解する光酸発生剤(以下、特定光酸発生剤ともいう)を少なくとも含有することが好ましい。本発明における感光性樹脂組成物は、現像時における残渣の発生が抑制され、かつ、平滑性に優れた表面を有するレジスト膜を形成し得る。
ここで、本発明において「残渣」とは、感光性樹脂組成物を用いてパターン状のレジスト膜を形成した際において、上記パターン状のレジスト膜端部の周縁に存在する残膜を意味する。
特定樹脂A
本発明で用いる特定樹脂Aは、化学増幅型感光性樹脂組成物を構成する樹脂成分であり、通常、酸によって解離する基を含む繰り返し単位を含む樹脂であり、他の繰り返し単位を含んでいてもよい。
例えば、特定樹脂Aは、酸分解性繰り返し単位(酸によって解離する基を含む繰り返し単位)を有し、酸の作用により有機溶剤を含む現像液に対する溶解速度が減少する樹脂であることが好ましい。
本発明において、特定樹脂Aは、18.0(MPa)1/2以下の有機溶剤に可溶で、かつ、式(1)で表される構成単位におけるテトラヒドロフラニル基(以下、「特定酸分解性基」ともいう。)が分解又は解離したときに18.0(MPa)1/2以下の有機溶剤に難溶となる樹脂であることが好ましい。
ここで、本発明において「18.0(MPa)1/2以下の有機溶剤に可溶」とは、特定樹脂Aの溶液を基板上に塗布し、100℃で1分間加熱することによって形成される特定樹脂Aの塗膜(厚さ1μm)の、23℃における酢酸ブチルに対する溶解速度が、20nm/秒以上であることをいい、「18.0(MPa)1/2以下の有機溶剤に難溶」とは、特定樹脂Aの溶液を基板上に塗布し、100℃で1分間加熱することによって形成される特定樹脂Aの塗膜(厚さ1μm)の、23℃における酢酸ブチルに対する溶解速度が、10nm/秒未満であることをいう。
本発明における特定樹脂Aの18.0(MPa)1/2以下の有機溶剤への溶解速度は、40nm/秒以上であることがより好ましい。また、特定樹脂Aの特定酸分解性基が分解したときには、18.0(MPa)1/2以下の有機溶剤への溶解速度は1nm/秒未満であることが好ましい。
本発明における特定樹脂Aは、アクリル系重合体であることが好ましい。
本発明における「アクリル系重合体」は、付加重合型の樹脂であり、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位を含む重合体であり、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレン類に由来する構成単位やビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
特定樹脂Aは、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位を、重合体における全構成単位に対し、50モル%以上有することが好ましく、80モル%以上有することがより好ましく、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位のみからなる重合体であることが特に好ましい。
なお、「(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位」を「アクリル系構成単位」ともいう。また、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸及びアクリル酸を総称するものである。
繰り返し単位(a1)
本発明で用いる特定樹脂Aは、通常、酸によって解離する基を含む繰り返し単位(a1)を含む。酸によって解離する基の好ましい一例は、下記一般式(1)で表される基である。
一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を表す。但し、R1とR2が共に水素原子の場合を除く。
3は、置換されていてもよい直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は置換されていてもよいアラルキル基を表す。
1とR3が連結して環状エーテルを形成しても良い。
一般式(1)中、R1及びR2の直鎖状または分岐状のアルキル基の炭素数は、1〜6が好ましい。置換基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。
1及びR2の環状のアルキル基の炭素数は、3〜6が好ましい。置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。
3の直鎖状または分岐状のアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましい。置換基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。
3の環状のアルキル基の炭素数は、3〜10が好ましい。置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。
3のアラルキル基の炭素数は、7〜10が好ましい。置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。
1とR3が連結して環状エーテルを形成する場合、R1とR3が連結して炭素数2〜5のアルキレン鎖を形成することが好ましい。
一般式(1)で表される酸解離性基を有する構成単位としては、ヒドロキシスチレンやノボラック等のフェノール性水酸基をアセタール基で保護したものが挙げられる。好ましい構成単位の1つとして、下記一般式(2)で表される酸解離性基を有する構成単位が挙げられ、例えば、1−アルコキシアルコキシスチレン、1−(ハロアルコキシ)アルコキシスチレン、1−(アラルキルオキシ)アルコキシスチレン、テトラヒドロピラニルオキシスチレンが挙げられる。これらの中で、1−アルコキシアルコキシスチレン、テトラヒドロピラニルオキシスチレンがより好ましく、1−アルコキシアルコキシスチレンが特に好ましい。
一般式(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を表す。但し、R1とR2が共に水素原子である場合を除く。
3は、置換されていてもよい直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、または置換されていてもよいアラルキル基を表す。
1とR3が連結して環状エーテルを形成しても良い。
4は、水素原子又はメチル基を表す。
一般式(2)中、R1〜R3は、一般式(1)中の、R1〜R3と同義である。
一般式(2)で表される構成単位は、ベンゼン環上に、アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
一般式(1)で表される酸解離性基を有する構成単位の他の好ましい例としては、下記一般式(1−1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(1−1)中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキル基を表し、R3は水素原子又はアルキル基を表す。R1とR2とは連結して環を形成してもよい。
Raは水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
1は単結合又は2価の連結基を表す。
一般式(1−1)中、R1についてのアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。直鎖状または分岐状のアルキル基は、置換基を有していても良く、炭素数1〜20であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましい。R1についての直鎖状または分岐状のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基などを挙げることができ、R1のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基であることが好ましい。
一般式(1−1)中、R1についての環状のアルキル基は、置換基を有していても良く、単環型であっても、多環型であってもよく、炭素数3〜20であることが好ましく、炭素数3〜10であることがより好ましい。R1についての環状のアルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、デカヒドロナフチル基、シクロデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、及び、2−ノルボルニル基などを挙げることができ、シクロプロピル基、シクロペンチル基、又は、シクロヘキシル基、又は1−アダマンチル基であることが好ましい。
1についての直鎖状または分岐状のアルキル基が有し得る置換基としては、環状のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)などが挙げられる。
1についての直鎖状または分岐状のアルキル基が有し得る置換基としての環状のアルキル基の具体例、好ましい例としては、R1についての環状のアルキル基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
1についての環状のアルキル基が有し得る置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、ハロゲン原子などが挙げられる。
1についての環状のアルキル基が有し得る置換基としてのアルキル基の具体例、好ましい例としては、R1についての直鎖状または分岐状のアルキル基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
1についてのアルキル基が有し得る置換基としてのアリール基は、炭素数6〜15のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、複数の芳香環が単結合を介して互いに連結された構造(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基)も含む。R1についてのアルキル基が有し得る置換基としてのアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。R1についてのアルキル基が有し得る置換基としてのアリール基は、フェニル基、ナフチル基、又は、ビフェニル基であることが好ましい。
1についてのアルキル基が有し得る置換基としてのアルコキシ基のアルキル基部分としては、例えば、一般式(1−1)中のR1のアルキル基として列挙したものが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びn−ブトキシ基が特に好ましい。
1についてのアルキル基が有し得る置換基としてのアリールオキシ基のアリール基部分としては、例えば、上記アリール基として列挙したものが挙げられる。
1についてのアルキル基又はシクロアルキル基が有し得る置換基としてのアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、n−ブタノイル基、i−ブタノイル基、n−ヘプタノイル基、2−メチルブタノイル基、1−メチルブタノイル基、t−ヘプタノイル基等の炭素原子数2〜12の直鎖状若しくは分岐状のアシル基等を挙げることができる。
一般式(1−1)中、R2についてのアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。直鎖状または分岐状のアルキル基は、置換基を有していても良く、炭素数1〜30であることが好ましく、炭素数1〜20であることがより好ましい。R2についての直鎖状または分岐状のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基などを挙げることができ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基であることが好ましい。
2についての環状のアルキル基は、置換基を有していても良く、単環型であっても、多環型であってもよく、炭素数3〜30であることが好ましく、炭素数3〜20であることがより好ましい。R2についての環状のアルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基、ボルニル基、イソボルニル基、4−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル基、8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基が挙げられる。中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−アダマンチル基、8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基が好ましい。
2についての直鎖状または分岐状のアルキル基が有し得る置換基としては、環状のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)などが挙げられる。
2についての直鎖状または分岐状のアルキル基が有し得る置換基としての環状のアルキル基の具体例、好ましい例としては、R2についての環状のアルキル基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
2についての環状のアルキル基が有し得る置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)などが挙げられる。
2についての環状のアルキル基が有し得る置換基としてのアルキル基の具体例、好ましい例としては、R1についてのアルキル基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
2についてのアルキル基が有し得る置換基としてのアリール基としては、R1についてのアルキル基が有し得る置換基として前述したアリール基と同様のものが挙げられる。
2についてのヘテロ環基は、炭素数6〜20のヘテロ環基であることが好ましく、炭素数6〜12のヘテロ環基であることがより好ましい。R2についてのヘテロ環基の具体例としては、例えば、ピリジル基、ピラジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフェン基、ピペリジル基、ピペラジル基、フラニル基、ピラニル基、クロマニル基等が挙げられる。
2についてのアルキル基が有し得る置換基としてのアルコキシ基のアルキル基部分としては、例えば、上記R1のアルキル基として列挙したものが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びn−ブトキシ基が特に好ましい。
2についてのアルキル基が有し得る置換基としてのアリールオキシ基のアリール基部分としては、例えば、前述のアリール基として列挙したものが挙げられる。
2についてのアルキル基が有し得る置換基としてのアシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、i−ブタノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、2−メチルブタノイルオキシ基、1−メチルブタノイルオキシ基、t−ヘプタノイルオキシ基等の炭素原子数2〜12の直鎖状または分岐状のアシルオキシ基等を挙げることができる。
一般式(1−1)中、R1とR2とは連結して環を形成してもよい。形成された環は、置換基を有していてもよく、5又は6員環を形成することが好ましく、テトラヒドロフラニル環、テトラヒドロピラニル環を形成することがより好ましい。
一般式(1−1)中、R3についてのアルキル基は、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜5がより好ましく、炭素数1〜3が更に好ましく、炭素数1又は2(すなわち、メチル基又はエチル基)であることが好ましい。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及び、t−ブチル基などを挙げることができる。
3は、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
Raについてのアルキル基は置換基を有していてもよく、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
Raのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
Raのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。
Raとして、好ましくは、メチル基、ヒドロキシメチル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基)であることが好ましく、特定樹脂(A)のガラス転移点(Tg)を向上させ、解像力、スペースウィズスラフネスを向上させる観点からメチル基であることが特に好ましい。
ただし、L1がフェニレン基の場合、Raは水素原子であることも好ましい。
1で表される2価の連結基としては、アルキレン基、2価の芳香環基、−COO−L11−、−O−L11−、これらの2つ以上を組み合わせて形成される基等が挙げられる。ここで、L11はアルキレン基、2価の芳香環基、アルキレン基と2価の芳香環基を組み合わせた基を表す。
2価の芳香環基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基等のフェニレン基、1,4−ナフチレン基が好ましく、1,4−フェニレン基がより好ましい。
1は、単結合、−COO−L11−で表される基又は−L12−O−CH2−で表される基であることが好ましく、単結合であることが特に好ましい。ここで、L12は2価の芳香環基を表す。
11についてのアルキレン基が環状のアルキレン基である場合、エステル結合を含有しラクトン環を形成していても良く、L11は炭素数1〜9のヘテロ原子又はカルボニル結合を含んでもよいアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基又はプロピレン基がより好ましい。
12は、炭素数1〜10のアリーレン基が好ましく、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は1,2−フェニレン基であることがより好ましく、1,4−フェニレン基又は1,3−フェニレン基であることが更に好ましい。
1についての2価の連結基として好ましい具体例を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
特定樹脂(A)のガラス転移点(Tg)がより高まり、その結果、微細パターンの形成において、解像力等がより向上し得る観点から、一般式(1−1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(1−11)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(1−11)中、R2、R3、L1、Raは一般式(1−1)におけるR2、R3、L1、Raと同義である。
11はアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基又はヘテロ環基を表す。R11とR2とは連結して環を形成してもよい。
11は、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基のいずれであってもよい。
11についてのアルキル基の具体例、好ましい例としては、R1についてのアルキル基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
11についてのアリール基の具体例、好ましい例としては、R1についてのアルキル基が有し得る置換基として前述したアリール基と同様のものが挙げられる。
11についてのアラルキル基は、炭素数6〜20のアラルキル基であることが好ましく、炭素数7〜12のアラルキル基であることがより好ましい。R11についてのアラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
11についてのアルコキシ基のアルキル基部分としては、例えば、R1のアルキル基として列挙したものが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びn−ブトキシ基が特に好ましい。
11についてのアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、n−ブタノイル基、i−ブタノイル基、n−ヘプタノイル基、2−メチルブタノイル基、1−メチルブタノイル基、t−ヘプタノイル基等の炭素原子数2〜12の直鎖状若しくは分岐状のアシル基等を挙げることができる。
11についてのヘテロ環基は、炭素数6〜20のヘテロ環基であることが好ましく、炭素数6〜12のヘテロ環基であることがより好ましい。R11についてのヘテロ環基の具体例としては、例えば、ピリジル基、ピラジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフェン基、ピペリジル基、ピペラジル基、フラニル基、ピラニル基、クロマニル基等が挙げられる。
11とR2とは連結して環を形成してもよい。形成された環は、置換基を有していてもよく、5又は6員環を形成することが好ましく、テトラヒドロフラニル環、テトラヒドロピラニル環を形成することがより好ましい。
11としてのアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基及びヘテロ環基は、置換基を更に有していてもよい。
11としてのアルキル基が更に有し得る置換基としては、例えば、環状のアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基などが挙げられる。
なお、アルキル基の炭素数、及び、環状のアルキル基が更に有し得る置換基の炭素数は、それぞれ、好ましくは1〜8である。
11としてのアリール基、アラルキル基、ヘテロ環基及びR11とR2とが連結して形成する環が更に有し得る置換基としては、例えば、ニトロ基、フッ素原子等のハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、及びアルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)などが挙げられる。
特定樹脂(A)のガラス転移点(Tg)がより高まり、その結果、微細パターンの形成において、解像力等がより向上し得る観点から、一般式(1−11)で表される繰り返し単位が下記一般式(1−12)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記一般式(1−12)中、R2、R3、L1、Raは一般式(1−1)におけるR2、R3、L1、Raと同義である。
21〜R23は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表し、R21〜R23の少なくとも2つは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表す。
21〜R23の少なくとも2つは、互いに結合して環を形成しても良い。R21〜R23の少なくとも1つと、R2とが結合して、環を形成していてもよい。
21〜R23についてのアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。R21〜R23についてのアルキル基の具体例、好ましい例としては、R1について前述したアルキル基の具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
上記したように、R21〜R23の少なくとも2つは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表し、R21〜R23の全てが、アルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ環基を表すことが好ましい。
21〜R23についての環状のアルキル基の具体例、好ましい例としては、R1について前述した環状のアルキル基の具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
21〜R23についてのアリール基の具体例、好ましい例としては、R1についてのアルキル基又はシクロアルキル基が有し得る置換基として前述したアリール基と同様のものが挙げられる。
21〜R23についてのアラルキル基の具体例、好ましい例としては、R11について前述したアラルキル基の具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
21〜R23についてのヘテロ環基の具体例、好ましい例としては、R11について前述したアラルキル基の具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
21〜R23の少なくとも1つとR2とは連結して環を形成してもよい。形成された環は、置換基を有していてもよく、5又は6員環を形成することが好ましく、テトラヒドロフラニル環、テトラヒドロピラニル環を形成することがより好ましい。
21〜R23としてのアルキル基、アリール基、アラルキル基及びヘテロ環基は、置換基を更に有していてもよい。
21〜R23としてのアルキル基が更に有し得る置換基の具体例としては、R11についてのアルキル基が更に有し得る置換基として前述した具体例と同様のものが挙げられる。
なお、アルキル基の炭素数、及び、アルキル基が更に有し得る置換基の炭素数は、それぞれ、好ましくは、1〜8である。
21〜R23としてのアリール基、アラルキル基、ヘテロ環基及びR21〜R23の少なくとも1つとR2とが連結して形成する環が更に有し得る置換基の具体例、好ましい例としては、R11についてのアリール基、アラルキル基、ヘテロ環基及びR11とR2とが連結して形成する環が更に有し得る置換基として前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
21〜R23の少なくとも2つは、互いに環を形成していても良い。
21〜R23の少なくとも2つが互いに結合して環を形成する場合、形成される環としては、例えばシクロペンタン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環、ノルボルネン環、ノルボルナン環などが挙げられ、シクロへキサン環が特に好ましい。これらの環は置換基を有しても良く、有し得る置換基としては、アルキル基、及び、アルキル基が更に有し得る置換基の具体例として前述した各基が挙げられる。
21〜R23の全てが互いに結合して環を形成する場合、形成される環としては、例えばアダマンタン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、ビシクロ[2,2,2]オクタン環、ビシクロ[3,1,1]ヘプタン環が挙げられる。中でもアダマンタン環が特に好ましい。これらは置換基を有しても良く、有し得る置換基としては、アルキル基、及び、アルキル基が更に有し得る置換基の具体例として前述した各基が挙げられる。
特定樹脂(A)のガラス転移点が高くなり、解像度を向上できる観点から、R21〜R23は、それぞれ独立に、アルキル基であることが好ましい。
上記一般式(1−12)における−C(R21)(R22)(R23)で表される基の炭素数は15以下であることが好ましく、これにより、得られるレジスト膜と現像液との親和性を充分なものとし、露光部を現像液によってより確実に除去できる(すなわち、充分な現像性を得ることができる)。
以下、R11(好ましくは、−C(R21)(R22)(R23)で表される基)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、*は、上記一般式(1−11)又は(1−12)の−CH2−で表される基に接続する結合手を表す。
同様に、特定樹脂(A)のガラス転移点(Tg)がより高まり、その結果、微細パターンの形成において、解像力等がより向上し得る観点から、一般式(1−1)で表される繰り返し単位が下記一般式(1−13)で表される繰り返し単位であることも好ましい。
上記一般式(1−13)中、R2、R3、L1、Raは一般式(1−1)におけるR2、R3、L1、Raと同義である。
24〜R26は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環基を表す。R24〜R26の好ましい例は、R21〜R23の好ましい例として前述した例と同様であるが、R24〜R26が共にアルキル基であることがより好ましく、直鎖状または分岐状のアルキル基であることが更に好ましく、R24〜R26が全てメチル基であることが特に好ましい。
24〜R26の少なくとも2つは、互いに結合して環を形成しても良い。形成する環の好ましい例としては、R21〜R23の少なくとも2つが互いに結合して環を形成する際について前述した例が挙げられる。特に、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、ノルボルネン環、アダマンタン環などが好ましく挙げられる。
24〜R26の少なくとも1つと、R2とが結合して、環を形成していてもよい。形成する環の好ましい例としては、R21〜R23の少なくとも1つと、R2とが結合して、環を形成する際について前述した例が挙げられる。
特定樹脂(A)における一般式(1−1)、(1−11)又は(1−12)で表される繰り返し単位の含有量(複数種類含有する場合はその合計)は、高いコントラスト(γ値が高い)をより確実にし、微細な孤立スペースパターン形成においては、解像力、スペースウィズスラフネスを向上させ、微細なホールパターンの形成においては、高解像力、良好な露光ラチチュード、局所的なパターン寸法の均一性をより確実に達成する観点から、特定樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
上限値としては、特に制限はないが、本発明の効果をより確実に達成する観点から85モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることがより好ましく、75モル%以下であることが更に好ましい。
一般式(1)で表される酸解離性基を有する構成単位の共重合組成は、全成分の10〜90モル%が好ましく、20〜50モル%がより好ましい。
特定樹脂Aは、酸によって解離する基として環状エーテルエステル基を含有する繰り返し単位を含むことがより好ましい。環状エーテルエステル基を含有する繰り返し単位として、さらに好ましくは、下記式(11)で表される繰り返し単位である。
式(11)
(式(11)中、R1は水素原子又はアルキル基を表し、L1はカルボニル基又はフェニレン基を表し、R21〜R27はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。)
次に、式(11)で表される構成単位の詳細について説明する。
1におけるアルキル基としては炭素数が1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらアルキル基の中では、炭素数1〜12の直鎖状、炭素数3〜12の分岐状、又は、炭素数5〜10の環状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜12の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。
中でも、R1は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
1は、カルボニル基又はフェニレン基を表し、カルボニル基であることが好ましい。
21〜R27はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。R21〜R27におけるアルキル基は、R1と同義であり、好ましい態様も同様である。
また、分解性、及び、合成上の観点から、R21〜R27のうち、1つ以上が水素原子であることが好ましく、R21〜R27の全てが水素原子であることがより好ましい。
本発明における上記式(11)で表される構成単位では、保護されたカルボキシ基、及び/又は、保護されたフェノール性水酸基を含有する。
カルボキシ基が保護されることにより、上記式(11)で表される単位を形成することができるカルボン酸モノマーとしては、カルボキシ基が保護されることにより構成単位となり得るものであれば用いることができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸を挙げることができる。また、構成単位としては、これらカルボキシ基が保護されたカルボン酸由来の構成単位を好ましいものとして挙げることができる。
フェノール性水酸基が保護されることにより、上記式(11)で表される構成単位を形成することができるフェノール性水酸基を有するモノマーとしては、フェノール性水酸基が保護されることにより構成単位となり得るものであれば用いることができる。例えば、p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン類等を好ましいものとして挙げることができる。これらの中でも、α−メチル−p−ヒドロキシスチレンがより好ましい。
式(11)で表される構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、(メタ)アクリル酸を酸触媒の存在下でジヒドロフラン化合物と反応させることにより合成することができる。
また、保護されるカルボキシ基又はフェノール性水酸基含有モノマーを後述する構成単位(a2)〜(a4)やその前駆体と重合した後に、カルボキシ基又はフェノール性水酸基をジヒドロフラン化合物と反応させることによっても形成することができる。なお、このようにして形成される好ましい構成単位の具体例は、上記ラジカル重合性単量体の好ましい具体例由来の構成単位と同様である。
特定樹脂Aが有する、酸によって解離する基としては、下記一般式(B1)で表される基も好ましい例として挙げられる。
一般式(B1)中、波線は、特定樹脂Aの主鎖または側鎖との連結位置を表し、
b11、Rb12およびRb13は、それぞれ独立して炭素数1〜20の直鎖または分岐の無置換アルキル基および炭素数3〜20の無置換の環状のアルキル基から選択される基を表し、Rb11、Rb12およびRb13のうちの2つが互いに結合して環を形成していてもよい。
b11、Rb12およびRb13は、それぞれ独立して炭素数1〜20の直鎖状または分岐状の無置換アルキル基および炭素数3〜10の無置換の環状のアルキル基から選択される基を表す。
直鎖状の無置換のアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、へキシル基、オクチル基等を挙げることができる。
分岐状の無置換のアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜10が更に好ましい。具体例としては、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基等を挙げることができる。
無置換の環状のアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜10が更に好ましい。環状のアルキル基は、単環であってもよく、多環であってもよい。具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、アダマンチル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基等を挙げることができる。
b11、Rb12およびRb13のうちの2つが互いに結合して環を形成していてもよい。2つが互いに結合して形成する環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等が挙げられる。
一般式(B1)で表される基を含む繰り返し単位として、下記式(B1−1)で表される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。
一般式(B1−1)
一般式(B1−1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す;R2〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基を表す;R2〜R4の2つが結合して、環状のアルキル基を形成してもよい
一般式(B1−1)中、R1は水素原子またはアルキル基が好ましい。
一般式(B1−1)中、R1がアルキル基を表す場合、上記一般式(11)中のR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(B1−1)中、R1がハロゲン原子を表す場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
一般式(B1−1)中、R2は、上記一般式(B1)中のRb11と同義であり、メチル基が好ましい。
一般式(B1−1)中、R3は、上記一般式(B1)中のRb12と同義であり、メチル基が好ましい。
一般式(B1−1)中、R4は、上記一般式(B1)中のRb13と同義であり、メチル基が好ましい。
一般式(B1−1)中、R2〜R4の2つが結合して、環状のアルキル基を形成する場合、R2とR3またはR3とR4が結合することが好ましい。形成される環状のアルキル基の炭素数は、3〜10が好ましい。
一般式(B1)で表される基を含む繰り返し単位として、下記式(B1−2)で表される繰り返し単位も好ましい。
一般式(B1−2)
一般式(B1−2)中、R1は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す;R2〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。アルキル基を表す;R2〜R4の2つが結合して、環状のアルキル基を形成してもよい;R5は、2価の鎖状炭化水素基を表す。
一般式(B1−2)中、R1は水素原子またはアルキル基が好ましい。
一般式(B1−2)中、R1がアルキル基を表す場合、上記一般式(11)中のR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(B1−2)中、R1がハロゲン原子を表す場合、上記一般式(B1−1)中のR1がハロゲン原子を表す場合と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(B1−2)中、R2〜R4は、上記一般式(B1−1)中のR2〜R4と同義であり、メチル基が好ましい。
一般式(B1−2)中、R2〜R4の2つが結合して、環状のアルキル基を形成する場合、R2とR3またはR3とR4が結合することが好ましい。形成される環状のアルキル基の炭素数は、3〜10が好ましい。
一般式(B1−2)中、R5は、2価の鎖状炭化水素基を表す。鎖状炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、直鎖状が好ましい。鎖状炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。特に、鎖状炭化水素基は、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
一般式(B1)で表される基を含む繰り返し単位として、下記式(IV)で表される繰り返し単位も好ましい。
一般式(IV)中、R42、R43およびR44は、それぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖または分岐の無置換アルキル基および炭素数3〜20の無置換の環状のアルキル基から選択される基であり、R42、R43およびR44は互いに結合して環を形成していても良く、L4は、2価の連結基を表す。
42、R43およびR44は、一般式(B1−1)中のR2〜R4と同義であり、好ましい範囲も同様である。
4は、2価の連結基を表す。2価の連結基は、直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、またはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる。これらの基には、エステル結合、エーテル結合、アミド結合およびウレタン結合から選ばれる少なくとも一つを含んでいてもよい。また、これらの基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシル基等が挙げられる。置換基としては、ヒドロキシル基以外の置換基を含まない方が好ましい。
直鎖状のアルキレン基の炭素数は、2〜10が好ましい。
分岐状のアルキレン基の炭素数は、3〜10が好ましい。
環状のアルキレン基の炭素数は、3〜10が好ましい。
2価の連結基の具体例としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、2−ヒドロキシ−1、3−プロパンジイル基、3−オキサ−1,5−ペンタンジイル基、3,5−ジオキサ−1,8−オクタンジイル基等が挙げられる。
特定樹脂Aが有する、酸によって解離する基の他の例としては、アルカリ可溶性基(i)の水素原子が、下記一般式(21)で示される酸解離性溶解抑止基(ii)で置換されている基も好ましく挙げられる。
一般式(21)
(式中、R1は炭素数20以下の脂肪族環式基を表す。nは0または1〜5の整数を表す。)
アルカリ可溶性基(i) は、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、およびカルボキシル基から選ばれる1種以上であることが好ましく、中でもアルコール性水酸基が、透明性が高く、また適度なアルカリ可溶性を有するため、好適である。アルコール性水酸基の場合には、なかでも、アルコール性水酸基に結合している炭素原子に隣接する炭素原子が、少なくとも一つのフッ素原子を有することを特徴とするアルコール性水酸基であることがさらに好ましい。
アルコール性水酸基は、単にヒドロキシ基であってもよいし、アルコール性水酸基含有アルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基またはアルコール性水酸基含有アルキル基等がであってもよい。アルキルオキシ基、アルキルオキシアルキル基またはアルキル基としては、低級アルキルオキシ基、低級アルキルオキシ低級アルキル基、低級アルキル基が挙げられる。ここでいう「低級」とは炭素数4以下を示す。
低級アルキルオキシ基としては、具体的には、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基等が挙げられる。低級アルキルオキシ低級アルキル基としては、具体的には、メチルオキシメチル基、エチルオキシメチル基、プロピルオキシメチル基、ブチルオキシメチル基等が挙げられる。低級アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
また、アルコール性水酸基含有アルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基またはアルコール性水酸基含有アルキル基におけるアルキルオキシ基、アルキルオキシアルキル基またはアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたものでもよい。好ましくは、アルコール性水酸基含有アルキルオキシ基またはアルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基におけるそれらのアルキルオキシ部の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたもの、アルコール性水酸基含有アルキル基では、そのアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたもの、すなわち、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシアルキル基またはアルコール性水酸基含有フルオロアルキル基が挙げられる。
アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシ基としては、(HO)C(CF32CH2O−基(2−ビス(ヘキサフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−エチルオキシ基、(HO)C(CF32CH2CH2O−基(3−ビス(ヘキサフルオロメチル)−3−ヒドロキシ−プロピルオキシ基等が挙げられ、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシアルキル基としては、(HO)C(CF32CH2O−CH2−基、(HO)C(CF32CH2CH2O−CH2−基等が挙げられ、アルコール性水酸基含有フルオロアルキル基としては、(HO)C(CF32CH2−基(2−ビス(ヘキサフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−エチル基、(HO)C(CF32CH2CH2−基(3−ビス(ヘキサフルオロメチル)−3−ヒドロキシ−プロピル基、等が挙げられる。
フェノール性水酸基としては、例えば、ノボラック樹脂やポリ− ( α − メチル) ヒドロキシスチレンなどに含まれるフェノール性水酸基が挙げられる。これらの中で、安価で容易に入手できることから、ポリ−( α−メチル) ヒドロキシスチレンのフェノール性水酸基が好ましい。
カルボキシル基としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸から誘導される構成単位におけるカルボキシル基が挙げられる。このエチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの中で、安価で容易に入手できることから、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。#
上記一般式(21)中、R1は、炭素数20以下の脂肪族環式基であり、炭素数5〜12の脂肪族環式基が好ましい。脂肪族環式基は置換基を有していてもよい。nの値は好ましくは0又は1である。
「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基( 脂環式基)を意味する。「脂肪族環式基」は炭素、及び水素からなる基であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
このような脂肪族環式基としては、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、メチルノルボルナン、エチルノルボルナン、メチルノルボルネン、エチルノルボルネン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどから誘導される1価の基を挙げることができる。この様な脂肪族環式基は、ArFレジストにおいて、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの中でもシクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、メチルノルボルニル基、エチルノルボルニル基、メチルノルボルネニル基、エチルノルボルネニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
上記一般式(21)中、R1としては、少なくとも1種以上の親水性基を有する脂肪族環式基であるとさらに好ましく、この親水性基としては、カルボニル基( 好ましくはケトン性カルボニル基) 、エステル基(−COOR)、アルコール性水酸基、エーテル(−OR)、イミノ基、アミノ基であることが好ましく、カルボニル基であることが入手が容易であることからより好ましい。
酸解離性溶解抑止基(ii)としては、例えば、下記式(4)〜(15)で表される基を挙げることができる。
酸によって解離する基として、アルカリ可溶性基(i)の水素原子が、一般式(21)で示される酸解離性溶解抑止基(ii)で置換されている基を含む繰り返し単位としては、下記一般式(16)で示される繰り返し単位が好ましい。
一般式(16)
(式中、R2は水素原子、フッ素原子又は炭素数20以下の低級アルキル基又はフッ素化低級アルキル基を表し、R1は炭素数20以下の脂肪族環式基であり、nは0または1〜5の整数を表す。)
上記一般式(16)中、R2は水素原子、フッ素原子又は炭素数20以下の低級アルキル基又は炭素数20以下のフッ素化低級アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基又は炭素数1〜4のフッ素化低級アルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。これらの中で、安価で容易に入手できることから、水素原子、メチル基であることが好ましい。nは0または1〜5の整数であり、0または1が好ましい。
一般式(16)で表される繰り返し単位の好ましいものとして、下記一般式(17)で表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(17)
(式中、R2は一般式(16)中のR2と同義であり、Xは2原子の水素原子または1原子の酸素原子を表す。n’は0又は1を表す。すなわち、Xが2原子の水素原子のときは、Xはメチレン鎖(−CH2−)を表す。)
一般式(17)で表される繰り返し単位のより好ましい例として、下記一般式(18)〜(2 0)で表される繰り返し単位が挙げられる。下記一般式中、R2は一般式(16)中のR2と同義である。
一般式(18)
一般式(19)
一般式(20)
本発明で用いられる酸によって解離する基としては、他に、特開2008−197480号公報の段落番号0039〜0049に記載の化合物のうち、酸によって解離する基を有する繰り返し単位も好ましく、また、特開2012−159830号公報(特許第5191567号)の段落0052〜0056に記載の化合物も好ましく、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
以下に、特定樹脂(A)が含む、酸によって解離する基を有する繰り返し単位(a1)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記構造中、R21は、一般式(B1−1)中のR1と同義である。
繰り返し単位(a1)として特に好ましいものとしては、下記の繰り返し単位が例示できる。この中でも、特に、一般式(1)で表される繰り返し単位としては、(a1−1)および(a1−2)が好ましい。一般式(B1−1)で表される繰り返し単位としては、(a1−3)が好ましい。一般式(B1−2)で表される繰り返し単位としては、(a1−4)が好ましい。
特定樹脂Aを構成する全モノマー単位中、繰り返し単位(a1)を形成するモノマー単位の含有量は、5〜80モル%が好ましく、10〜70モル%が更に好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。繰り返し単位(a1)を上記の割合で含有させることにより、高感度でかつ露光ラチチュードが広い感光性樹脂組成物が得られる。特定樹脂Aは、繰り返し単位(a1)を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
架橋性基を有する構成単位(a3)
本発明における特定樹脂Aは、架橋性基を有する構成単位(以下、適宜「構成単位(a3)」ともいう。)を有していてもよい。架橋性基の詳細については、特開2011−209692号公報の段落番号0032〜0046の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明で用いる特定樹脂Aは、架橋性基を有する構成単位(a3)を含んでいる態様も好ましいが、架橋性基を有する構成単位(a3)を実質的に含まない構成とすることが好ましい。このような構成とすることにより、パターニング後により効果的に除去することが可能になる。ここで、実質的にとは、例えば、特定樹脂Aの全繰り返し単位の3モル%以下をいい、好ましくは1モル%をいう。
その他の構成単位(a2)
特定樹脂Aは、本発明の効果を妨げない範囲で、その他の構成単位(a2)(以下、適宜「構成単位(a2)」ともいう。)を含有してもよい。
構成単位(a2)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、特開2004−264623号公報の段落0021〜0024に記載の化合物を挙げることができる。
構成単位(a2)の好ましい例としては、水酸基含有不飽和カルボン酸エステル、脂環構造含有不飽和カルボン酸エステル、スチレン、及び、N置換マレイミドの群から選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位が挙げられる。
また、酸基を有する構成単位も挙げられる。酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシルのような脂環構造含有の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸類、又は、スチレンのような疎水性のモノマーが好ましい。感度の観点で、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N置換マレイミド(メタ)アクリル酸類が好ましい。これらの中でも、脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル類がより好ましい。また、エッチング耐性の観点からは、スチレンやα−メチルスチレンなどのスチレン類が好ましい。
これらの構成単位(a2)は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。2種以上の構成単位(a2)を組み合わせた例としては、脂環構造含有不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位と、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位との組み合わせが好ましい。
特定樹脂Aを構成する全モノマー単位中、構成単位(a2)を含有させる場合における構成単位(a2)を形成するモノマー単位の含有率は、1〜60モル%が好ましく、5〜50モル%が更に好ましく、5〜40モル%が特に好ましい。
本発明における特定樹脂Aの重量平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましく、2,000〜50,000であることがより好ましい。
また、特定樹脂Aの合成法については様々な方法が知られているが、一例を挙げると、少なくとも繰り返し単位(a1)、構成単位(a2)等を形成するために用いられるラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。
また、特定樹脂としては、不飽和多価カルボン酸無水物類を共重合させた前駆共重合体中の酸無水物基に、2,3−ジヒドロフランを、酸触媒の不存在下、室温(25℃)〜100℃程度の温度で付加させることにより得られる共重合体も好ましい。
本発明では、以下の樹脂も特定樹脂Aの好ましい例として挙げられる。
BzMA/THFMA/t−BuMA(モル比:20〜60:35〜65:5〜30)
BzMA/THFAA/t−BuMA(モル比:20〜60:35〜65:5〜30)
BzMA/THPMA/t−BuMA(モル比:20〜60:35〜65:5〜30)
BzMA/PEES/t−BuMA(モル比:20〜60:35〜65:5〜30)
BzMA/t−BuMA/MA(モル比:20〜60:35〜65:5〜30)
PMA/t−BuMA/MA(モル比:20〜60:35〜65:5〜30)
本発明における感光性樹脂組成物中の特定樹脂Aの含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、20〜99質量%であることが好ましく、40〜99質量%であることがより好ましく、70〜99質量%であることが更に好ましい。含有量がこの範囲であると、現像した際のパターン形成性が良好となる。特定樹脂Aは1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
なお、本発明における感光性樹脂組成物中では、本発明の効果を妨げない範囲で特定樹脂A以外の樹脂を併用してもよい。ただし、特定樹脂A以外の樹脂の含有量は、現像性の観点から特定樹脂Aの含有量より少ない方が好ましい。
波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光されると80%以上分解する光酸発生剤
本発明における感光性樹脂組成物は、波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光されると80モル%以上分解する光酸発生剤(特定光酸発生剤)を含有する。
特定光酸発生剤の分解度は、膜厚700nmの化学増幅型感光性樹脂組成物をシリコンウェハ上に成膜し、100℃で1分間加熱し、その後、365nmで100mJ/cm2露光し、100℃で1分間加熱した基板を、メタノール/THF=50/50溶液に超音波を当てながら10分浸漬させる。抽出物をHPLCにて分析することで光酸発生剤の分解率を以下の式より算出することで求めることができる。
分解率(%)=分解物量(mol)/仕込み量(mol)×100
本発明で用いる特定光酸発生剤としては、波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光した際80モル%以上分解すれば特に制限はないが、100〜200mJ/cm2露光したときに、85モル%以上分解することが好ましい。
特定光酸発生剤は、活性光線または放射線の照射により、pKaが−6以下の酸を発生し、かつ365nmにおけるモル吸光係数が4000L/(mol・cm)以上である非イオン性光酸発生剤が好ましく、活性光線または放射線の照射により、pKaが−6以下の酸を発生し、かつ365nmにおけるモル吸光係数が5000L/(mol・cm)以上である非イオン性光酸発生剤がより好ましく、活性光線または放射線の照射により、pKaが−6以下の酸を発生し、かつ365nmにおけるモル吸光係数が6000L/(mol・cm)以上である非イオン性光酸発生剤がさらに好ましい。
特定光酸発生剤は、非イオン性の光酸発生剤であることが好ましい。また、特定光酸発生剤は、炭素数2又は3のフルオロアルキル基鎖を有する化合物であって、活性光線及び/又は放射線の照射により、炭素数3以下のフルオロアルキル基を有するスルホン酸を発生する化合物であることが好ましい。フルオロアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。
本発明で用いる特定光酸発生剤は、オキシムスルホネート基を有する化合物(以下、単にオキシムスルホネート化合物ともいう)であることが好ましい。また、特定光酸発生剤は、イミドスルホネート基を有する化合物も好ましい。
<オキシムスルホネート化合物>
オキシムスルホネート化合物は、オキシムスルホネート基を有していれば特に制限はないが、下記式(2)、後述する式(OS−103)、式(OS−104)、式(OS−105)または一般式(4)で表されるオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。
式(2)におけるXはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、又は、ハロゲン原子を表す。
上記Xにおけるアルキル基及びアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。上記Xにおけるアルキル基としては、炭素数1〜4の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。上記Xにおけるアルコキシ基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状アルコキシ基が好ましい。上記Xにおけるハロゲン原子としては、塩素原子又はフッ素原子が好ましい。
式(2)におけるmは、0〜3の整数を表し、0又は1が好ましい。mが2又は3であるとき、複数のXは同一でも異なっていてもよい。
式(2)におけるR4は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルコキシ基、Wで置換されていてもよいフェニル基、Wで置換されていてもよいナフチル基又はWで置換されていてもよいアントラニル基であることが好ましい。Wは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルコキシ基を表す。
上記R4における炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、i−アミル基、s−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
上記R4における炭素数1〜10のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−アミルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられる。
上記R4における炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−n−アミル基等が挙げられる。
上記R4における炭素数1〜5のハロゲン化アルコキシ基の具体例としては、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロ−n−プロポキシ基、パーフルオロ−n−ブトキシ基、パーフルオロ−n−アミルオキシ基等が挙げられる。
上記R4におけるWで置換されていてもよいフェニル基の具体例としては、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−エチルフェニル基、m−エチルフェニル基、p−エチルフェニル基、p−(n−プロピル)フェニル基、p−(i−プロピル)フェニル基、p−(n−ブチル)フェニル基、p−(i−ブチル)フェニル基、p−(s−ブチル)フェニル基、p−(t−ブチル)フェニル基、p−(n−アミル)フェニル基、p−(i−アミル)フェニル基、p−(t−アミル)フェニル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−(n−プロポキシ)フェニル基、p−(i−プロポキシ)フェニル基、p−(n−ブトキシ)フェニル基、p−(i−ブトキシ)フェニル基、p−(s−ブトキシ)フェニル基、p−(t−ブトキシ)フェニル基、p−(n−アミルオキシ)フェニル基、p−(i−アミルオキシ)フェニル基、p−(t−アミルオキシ)フェニル基、p−クロルフェニル基、p−ブロモフェニル基、p−フルオロフェニル基、2,4−ジクロルフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4,6−ジクロルフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタブロモフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−ビフェニリル基等が挙げられる。
上記R4におけるWで置換されていてもよいナフチル基の具体例としては、2−メチル−1−ナフチル基、3−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−1−ナフチル基、7−メチル−1−ナフチル基、8−メチル−1−ナフチル基、1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基、5−メチル−2−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、7−メチル−2−ナフチル基、8−メチル−2−ナフチル基等が挙げられる。
上記R4におけるWで置換されていてもよいアントラニル基の具体例としては、2−メチル−1−アントラニル基、3−メチル−1−アントラニル基、4−メチル−1−アントラニル基、5−メチル−1−アントラニル基、6−メチル−1−アントラニル基、7−メチル−1−アントラニル基、8−メチル−1−アントラニル基、9−メチル−1−アントラニル基、10−メチル−1−アントラニル基、1−メチル−2−アントラニル基、3−メチル−2−アントラニル基、4−メチル−2−アントラニル基、5−メチル−2−アントラニル基、6−メチル−2−アントラニル基、7−メチル−2−アントラニル基、8−メチル−2−アントラニル基、9−メチル−2−アントラニル基、10−メチル−2−アントラニル基等が挙げられる。
式(2)中、mが1であり、Xがメチル基であり、Xの置換位置がオルト位であり、R4が炭素数1〜10の直鎖状アルキル基、7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニルメチル基、又は、p−トルイル基である化合物が特に好ましい。
式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、下記化合物(i)、化合物(ii)、化合物(iii)、化合物(iv)等が挙げられ、これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種類以上を併用することもできる。化合物(i)〜(iv)は、市販品として、入手することができる。また、その他の式(2)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例を以下に挙げる。
(式(OS−103)〜(OS−105)中、R11はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、複数存在するR12はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、複数存在するR16はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO又はSを表し、nは1又は2を表し、mは0〜6の整数を表す。)
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R11で表されるアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R11で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
11で表されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R11で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基などが挙げられる。
また、上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R11で表されるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。
11で表されるアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基が挙げられる。
11で表されるアリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
また、上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R11で表されるヘテロアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数4〜30のヘテロアリール基が好ましい。
11で表されるヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基が挙げられる。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R11で表されるヘテロアリール基は、少なくとも1つの複素芳香環を有していればよく、例えば、複素芳香環とベンゼン環とが縮環していてもよい。
11で表されるヘテロアリール基としては、置換基を有していてもよい、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環、イミダゾール環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、及び、ベンゾイミダゾール環よりなる群から選ばれた環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R12は、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、化合物中に2以上存在するR12のうち、1つ又は2つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることが好ましく、1つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることがより好ましく、1つがアルキル基であり、かつ残りが水素原子であることが特に好ましい。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R12で表されるアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。
12で表されるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、上記R1におけるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基と同様の基が例示できる。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R12で表されるアルキル基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、置換基を有してもよい総炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。
12で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ヘキシル基、アリル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、メトキシメチル基、ベンジル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ヘキシル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R12で表されるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。
12で表されるアリール基としてフェニル基、p−メチルフェニル基、o−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
12で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、XはO又はSを表し、Oであることが好ましい。上記式(OS−103)〜(OS−105)において、Xを環員として含む環は、5員環又は6員環である。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、nは1又は2を表し、XがOである場合、nは1であることが好ましく、また、XがSである場合、nは2であることが好ましい。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R16で表されるアルキル基及びアルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R16で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
16で表されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R16で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基が好ましい。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R16で表されるアルキルオキシ基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜30のアルキルオキシ基であることが好ましい。
16で表されるアルキルオキシ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
上記式(OS−103)〜(OS−105)中、R16で表されるアルキルオキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシエチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、又は、エトキシエチルオキシ基が好ましい。
16におけるアミノスルホニル基としては、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、メチルフェニルアミノスルホニル基、アミノスルホニル基が挙げられる。
16で表されるアルコキシスルホニル基としては、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロピルオキシスルホニル基、ブチルオキシスルホニル基が挙げられる。
また、上記式(OS−103)〜(OS−105)中、mは0〜6の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
また、上記式(OS−103)で表される化合物は、下記式(OS−106)、(OS−110)又は(OS−111)で表される化合物であることが特に好ましく、上記式(OS−104)で表される化合物は、下記式(OS−107)で表される化合物であることが特に好ましく、上記式(OS−105)で表される化合物は、下記式(OS−108)又は(OS−109)で表される化合物であることが特に好ましい。
(式(OS−106)〜(OS−111)中、R11はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R17は、水素原子又は臭素原子を表し、R18は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、R19は水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、R20は水素原子又はメチル基を表す。)
上記式(OS−106)〜(OS−111)におけるR11は、上記式(OS−103)〜(OS−105)におけるR11と同義であり、好ましい態様も同様である。
上記式(OS−106)におけるR17は、水素原子又は臭素原子を表し、水素原子であることが好ましい。
上記式(OS−106)〜(OS−111)におけるR18は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
上記式(OS−108)及び(OS−109)におけるR19は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、水素原子であることが好ましい。
上記式(OS−108)〜(OS−111)におけるR20は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
また、上記オキシムスルホネート化合物において、オキシムの立体構造(E,Z)については、どちらか一方であっても、混合物であってもよい。
上記式(OS−103)〜(OS−105)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、下記例示化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
オキシムスルホネート基を少なくとも1つを有するオキシムスルホネート化合物の好適な他の態様としては、下記式(OS−101)で表される化合物が挙げられる。
上記式(OS−101)中、R11は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、シアノ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。R12は、アルキル基又はアリール基を表す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR15−、−CH2−、−CR16H−又は−CR1617−を表し、R15〜R17はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。
21〜R24はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミド基、スルホ基、シアノ基又はアリール基を表す。R21〜R24のうち2つは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
21〜R24としては、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基が好ましく、また、R21〜R24のうち少なくとも2つが互いに結合してアリール基を形成する態様もまた、好ましく挙げられる。中でも、R21〜R24がいずれも水素原子である態様が、感度の観点から好ましい。
上記した置換基は、いずれも、更に置換基を有していてもよい。
上記式(OS−101)で表される化合物は、下記式(OS−102)で表される化合物であることがより好ましい。
上記式(OS−102)中、R11、R12及びR21〜R24は、それぞれ式(OS−101)におけるR11、R12及びR21〜R24と同義であり、好ましい例もまた同様である。
これらの中でも、式(OS−101)及び式(OS−102)におけるR11がシアノ基又はアリール基である態様がより好ましく、式(OS−102)で表され、R11がシアノ基、フェニル基又はナフチル基である態様が最も好ましい。
また、上記オキシムスルホネート化合物において、オキシムやベンゾチアゾール環の立体構造(E,Z等)についてはそれぞれ、どちらか一方であっても、混合物であってもよい。
以下に、本発明に好適に用いることができる式(OS−101)で表される化合物の具体例(例示化合物b−1〜b−34)を示すが、本発明はこれに限定されない。なお、具体例中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Bnはベンジル基を表し、Phはフェニル基を表す。
上記化合物の中でも、感度と安定性との両立の観点から、b−9、b−16、b−31、b−33が好ましい。
市販品としては、WPAG−336(和光純薬工業(株)製)、WPAG−443(下記構造、和光純薬工業(株)製)、MBZ−101(下記構造、みどり化学(株)製)等をあげることができる。
<<一般式(4)で表される化合物>>
一般式(4)
一般式(4)中、R8は、炭素数2又は3のフルオロアルキル基を表し、R9は炭素数1〜8のアルキル基またはフルオロアルキル基を表し、R10は、芳香族炭化水素基または芳香族ヘテロ環基を表す。
一般式(4)中、R8は、炭素数2又は3のパーフルオロアルキル基が好ましい。
9は、炭素数3〜8のアルキル基またはフルオロアルキル基が好ましく、炭素数3〜8のパーフルオロアルキル基が好ましい。
10は、芳香族炭化水素基を表すことが好ましい。芳香族炭化水素基は、単環であっても縮合環であってもよく、縮合環であることが好ましい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜15がさらに好ましい。芳香族炭化水素基は、フルオレン環であることが好ましい。
10が芳香族ヘテロ環基を表す場合、芳香族ヘテロ環基は、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族ヘテロ環基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜15がさらに好ましい。
一般式(4)で表される化合物は、一般式(4−1)で表されることが好ましい。
一般式(4−1)
一般式(4−1)中、R8は、炭素数2又は3のフルオロアルキル基を表し、R9は炭素数1〜8のアルキル基またはフルオロアルキル基を表し、R11〜R19それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。
8およびR9は、一般式(4)中のR8およびR9と同義であり、好ましい範囲も同様である。
11〜R19は水素原子が好ましい。
11〜R19がアルキル基を表す場合、アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましい。
一般式(4)で表される化合物の具体例としては、下記例示化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
<イミドスルホネート基を有する化合物>
特定光酸発生剤として用いることができるイミドスルホネート基を有する化合物は、5員環イミドスルホネート基を有する化合物が好ましい。また、イミドスルホネート基を有する化合物は、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
一般式(3)
一般式(3)中、R6は、炭素数2又は3のフルオロアルキル基を表す;R7は、アルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基を表す。
一般式(3)中、R6は、炭素数2又は3のパーフルオロフルオロアルキル基が好ましい。
一般式(3)中、R7は、アルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基を表す。
アルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。
アルケニレン基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、3〜12がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。アルケニレン基の炭素数は、2〜12が好ましく、3〜12がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
アリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
イミドスルホネート基を有する化合物は、5員環イミドスルホネート基と、ノルボルネン基とを有する化合物であることが好ましい。
イミドスルホネート基を有する化合物の市販品としては、NT−1TF、NT−3TF(サンアプロ(株)製)を用いることができる。
また、その他のイミドスルホネート基を有する化合物の具体例としては、下記例示化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明における感光性樹脂組成物は、活性光線に感応する酸発生剤として1,2−キノンジアジド化合物を含まないことが好ましい。その理由は、1,2−キノンジアジド化合物は、逐次型光化学反応によりカルボキシ基を生成するが、その量子収率は1以下であり、オキシムスルホネート化合物に比べて感度が低いためである。
これに対して、オキシムスルホネート化合物は、活性光線に感応して生成する酸が保護された酸基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られるものと推測される。
また、オキシムスルホネート化合物は、広がりのあるπ共役系を有しているため、長波長側にまで吸収を有しており、遠紫外線(DUV)、i線のみならず、g線においても非常に高い感度を示す。
本発明における感光性樹脂組成物は、上記特定樹脂における酸分解性基としてテトラヒドロフラニル基を用いることにより、アセタール又はケタールに比べ同等又はそれ以上の酸分解性を得ることができる。これにより、より短時間のポストベークで確実に酸分解性基が消費できる。更に、光酸発生剤であるオキシムスルホネート化合物を組み合わせて用いることで、スルホン酸発生速度が上がるため、酸の生成が促進され、樹脂の酸分解性基の分解を促進する。また、オキシムスルホネート化合物が分解することで得られる酸は、分子の小さいスルホン酸が生成することから、硬化膜中での拡散性も高くなりより高感度化することができる。
特定光酸発生剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、他の種類の特定の酸発生剤と組み合わせて使用することもできる。
本発明における感光性樹脂組成物において、特定光酸発生剤は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1〜20質量%使用することが好ましく、0.5〜18質量%使用することがより好ましい。
特定光酸発生剤の含有量は、水溶性樹脂膜の膜厚に応じて適宜選択することができる。水溶性樹脂膜の膜厚が2μm未満の場合、特定光酸発生剤の水溶性樹脂膜への拡散が発生しにくいため、特定光酸発生剤の含有量を、例えば、0.5〜2質量%としても、所望のマスク形状を容易に得ることができる。一方、水溶性樹脂膜の膜厚が2μm以上の場合、特定光酸発生剤の水溶性樹脂膜への拡散が発生しやすいため、所望のマスク形状を得るには、特定光酸発生剤の含有量を2〜18質量%とすることが好ましい。さらに、特定光酸発生剤の添加量を18質量%以下とすることにより、より良好なマスク形状を得ることができる。
その他の成分
本発明における感光性樹脂組成物には、その他の成分を含有することができる。
その他の成分としては、塗布性の観点から溶剤を含有することが好ましい。
溶剤
本発明における感光性樹脂組成物は、溶剤を含有することが好ましい。
本発明における感光性樹脂組成物は、必須成分である特定樹脂及び特定光酸発生剤、並びに、各種添加剤の任意成分を、溶剤に溶解した溶液として調製されることが好ましい。
本発明における感光性樹脂組成物に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。
本発明における感光性樹脂組成物に使用される溶剤としては、例えば、(1)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;(2)エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類;(3)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;(4)プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;(5)プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
(6)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;(7)ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;(8)ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;(9)ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;(10)ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル等のジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
(11)ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;(12)乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n−ブチル、乳酸イソブチル、乳酸n−アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル類;(13)酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸n−ヘキシル、酢酸2−エチルヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、酪酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;(14)ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸エチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;
(15)メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;(16)N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;(17)γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができる。
また、これらの溶剤に更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。
上記した溶剤のうち、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、及び/又は、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類が好ましく、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、及び/又は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。
これら溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明における感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合、溶剤の含有量は、特定樹脂100重量部当たり、1〜3,000重量部であることが好ましく、5〜2,000重量部であることがより好ましく、10〜1,500重量部であることが更に好ましい。
更に、本発明における感光性樹脂組成物は、液保存安定性の観点から塩基性化合物を含有することが好ましく、塗布性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。
塩基性化合物
本発明における感光性樹脂組成物は、塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられるものの中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及び、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
塩基性化合物は、一級または二級アミン化合物が好ましい。特に、特定樹脂Aが式(B1−1)で表される繰り返し単位または式(B1−2)で表される繰り返し単位を有する場合、塩基性化合物は、一級アミン化合物が好ましい。
脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、へキシルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2,4,6−トリ−tert−ブチルアニリンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア、ピペラジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセンなどが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
本発明に用いることができる塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用することが好ましく、2種を併用することがより好ましく、複素環式アミンを2種併用することが更に好ましい。
本発明における感光性樹脂組成物が塩基性化合物を含む場合、塩基性化合物の含有量は、特定樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部であることが好ましく、0.002〜0.2重量部であることがより好ましい。
界面活性剤
本発明における感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、フッ素系、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
本発明における感光性樹脂組成物は、界面活性剤として、フッ素系界面活性剤、及び/又は、シリコーン系界面活性剤を含有することがより好ましい。
これらのフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤として、例えば、特開昭62−36663号、特開昭61−226746号、特開昭61−226745号、特開昭62−170950号、特開昭63−34540号、特開平7−230165号、特開平8−62834号、特開平9−54432号、特開平9−5988号、特開2001−330953号各公報記載の界面活性剤を挙げることができ、市販の界面活性剤を用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えば、エフトップEF301、EF303、(以上、新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(以上、住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(以上、DIC(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(以上、旭硝子(株)製)、PF−6320等のPolyFoxシリーズ(OMNOVA社製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤を挙げることができる。また、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)も、シリコーン系界面活性剤として用いることができる。また、アセチレノールE00(川研ファインケミカル(株)製)を用いることもできる。
また、界面活性剤として、下記式(1)で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
(式(1)中、R1及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R4は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す重量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、nは1以上10以下の整数を表す。)
上記Lは、下記式(2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(2)におけるR5は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。
上記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
これら界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明における感光性樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の添加量は、特定樹脂100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、0.01〜10重量部であることがより好ましく、0.01〜1重量部であることが更に好ましい。
更に、必要に応じて、本発明における感光性樹脂組成物には、酸化防止剤、可塑剤、熱ラジカル発生剤、熱酸発生剤、酸増殖剤、紫外線吸収剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの、公知の添加剤を加えることができる。これらの詳細は、特開2011−209692号公報の段落番号0143〜0148の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
レジスト膜の膜厚は、解像力向上の観点から、100〜1000nmで使用されることが好ましく、より好ましくは、300〜850nmで使用されることが好ましい。化学増幅型感光性樹脂組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
<有機半導体膜のパターニング方法>
本発明における有機半導体膜のパターニング方法は、
(1)有機半導体膜の上に、水溶性樹脂膜を成膜する工程、
(2)水溶性樹脂膜の上記有機半導体膜と反対側の上に、波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光すると80モル%以上分解する光酸発生剤を含有する、化学増幅型感光性樹脂組成物からなるレジスト膜を成膜する工程、
(3)上記レジスト膜を露光する工程、
(4)有機溶剤を含む現像液を用いて現像しマスクパターンを作製する工程、
(5)エッチング処理にて少なくとも非マスク部の上記水溶性樹脂膜および上記有機半導体膜を除去する工程、
(6)上記水溶性樹脂膜を水で溶解する工程、
を含むことを特徴とする。
<<(1)有機半導体膜の上に、水溶性樹脂膜を成膜する工程>>
本発明の有機半導体膜のパターニング方法は、例えば図1(B)に示すように、有機半導体膜2の上に水溶性樹脂膜3を成膜する工程を含む。通常は、例えば図1(A)に示すように、基板1の上に有機半導体膜2を製膜した後に、本工程を行う。この場合、水溶性樹脂膜は、有機半導体の基板側の面と反対側の面に成膜する。水溶性樹脂膜は、通常、有機半導体膜の表面に設けられるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の層を設けてもよい。具体的には、水溶性の下塗り層等が挙げられる。また、水溶性樹脂膜は1枚のみ設けられていてもよいし、2枚以上設けられていてもよい。
<<(2)水溶性樹脂膜の上記有機半導体膜と反対側の上に、波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光すると80モル%以上分解する光酸発生剤を含有する、化学増幅型感光性樹脂組成物からなるレジスト膜を成膜する工程>>
上記(1)の工程後、(2)水溶性樹脂膜の有機半導体側の面と反対側の上に、化学増幅型感光性樹脂組成物からなるレジスト膜を形成する。レジスト膜は通常水溶性樹脂膜の表面に化学増幅型感光性樹脂組成物を適用して形成されるが、下塗り層等の膜を介していてもよい。化学増幅型感光性樹脂組成物の適用方法は、上記水溶性樹脂組成物の記載を参酌できる。
本発明で用いる化学増幅型感光性樹脂組成物は、波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光されると80%以上分解する光酸発生剤を含有する。このような酸発生剤を配合することにより、露光すると酸が発生し、レジストに含まれる後述の特定樹脂が反応し、パターニングが可能となりレジスト膜として機能する。
化学増幅型感光性樹脂組成物の固形分濃度は、通常1.0〜20質量%であり、好ましくは、1.5〜17質量%、更に好ましくは2.0〜15質量%である。固形分濃度を上記範囲とすることで、レジスト溶液を水溶性樹脂膜上に均一に塗布することができ、更には高解像性及び矩形なプロファイルを有するレジストパターンを形成することが可能になる。固形分濃度とは、樹脂組成物の総重量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の重量の重量百分率である。
<<(3)レジスト膜を露光する工程>>
(2)工程でレジスト膜を成膜後、上記レジスト膜を露光する。具体的には、レジスト膜に所定のパターンを有するマスクを介して、活性光線を照射する。露光は1回のみ行ってもよく、複数回行ってもよい。
具体的には、感光性樹脂組成物の乾燥塗膜を設けた基板に所定のパターンの活性光線を照射する。露光はマスクを介して行ってもよいし、所定のパターンを直接描画してもよい。波長300nm以上450nm以下の波長、好ましくは365nmを有する活性光線が好ましく使用できる。この工程の後、必要に応じて露光後加熱工程(PEB)を行ってもよい。
活性光線による露光には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、レーザ発生装置、LED光源などを用いることができる。
水銀灯を用いる場合にはg線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長を有する活性光線が好ましく使用できる。水銀灯はレーザに比べると、大面積の露光に適するという点で好ましい。
レーザを用いる場合には固体(YAG)レーザでは343nm、355nmが好適に用いられ、エキシマレーザでは351nm(XeF)が好適に用いられ、更に半導体レーザでは375nm、405nmが好適に用いられる。この中でも、安定性、コスト等の点から355nm、405nmがより好ましい。レーザは1回あるいは複数回に分けて、塗膜に照射することができる。
レーザの1パルス当たりのエネルギー密度は0.1mJ/cm2以上10,000mJ/cm2以下であることが好ましい。塗膜を十分に硬化させるには、0.3mJ/cm2以上がより好ましく、0.5mJ/cm2以上が最も好ましく、アブレーション現象により塗膜を分解させないようにするには、1,000mJ/cm2以下がより好ましく、100mJ/cm2以下が最も好ましい。
また、パルス幅は、0.1nsec以上30,000nsec以下であることが好ましい。アブレーション現象により色塗膜を分解させないようにするには、0.5nsec以上がより好ましく、1nsec以上が最も好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、1,000nsec以下がより好ましく、50nsec以下が最も好ましい。
更に、レーザの周波数は、1Hz以上50,000Hz以下が好ましく、10Hz以上1,000Hz以下がより好ましい。
更に、レーザの周波数は、露光処理時間を短くするには、10Hz以上がより好ましく、100Hz以上が最も好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、10,000Hz以下がより好ましく、1,000Hz以下が最も好ましい。
レーザは水銀灯と比べると、焦点を絞ることが容易であり、露光工程でのパターン形成のマスクが不要でコストダウンできるという点で好ましい。
本発明に使用可能な露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto((株)ブイ・テクノロジー製)やAEGIS((株)ブイ・テクノロジー製)やDF2200G(大日本スクリーン製造(株)製)などが使用可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
また、必要に応じて長波長カットフィルタ、短波長カットフィルタ、バンドパスフィルタのような分光フィルタを通して照射光を調整することもできる。
<<(4)有機溶剤を含む現像液を用いて現像しマスクパターンを作製する工程>>
(3)工程でレジスト膜を露光後、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する。現像はネガ型が好ましい。現像液に含まれる溶剤のsp値は、19MPa1/2未満であることが好ましく、18MPa1/2以下であることがより好ましい。
本発明で用いる現像液が含む有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
上記の溶剤は、1種類のみでも、2種以上用いてもよい。また、上記以外の溶剤と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。ここでの実質的とは、例えば、現像液全体としての含水率が3質量%以下であり、より好ましくは測定限界以下であることをいう。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
特に、有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤及びアミド系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。
また、有機系現像液は、必要に応じて塩基性化合物を適当量含有していてもよい。塩基性化合物の例としては、塩基性化合物の項で前述したものを挙げることができる。
有機系現像液の蒸気圧は、20℃に於いて、5kPa以下が好ましく、3kPa以下が更に好ましく、2kPa以下が特に好ましい。有機系現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上あるいは現像カップ内での蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウェハ面内の寸法均一性が良化する。
5kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
特に好ましい範囲である2kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、上記水溶性樹脂組成物の欄で述べた界面活性剤が好ましく用いられる。
現像液に界面活性剤を配合する場合、その配合量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜2質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液をレジスト膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は好ましくは2mL/sec/mm2以下、より好ましくは1.5mL/sec/mm2以下、更に好ましくは1mL/sec/mm2以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/sec/mm2以上が好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液がレジスト膜に与える圧力が小さくなり、レジスト膜・レジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm2)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法や、加圧タンクからの供給で圧力を調整することで変える方法などを挙げることができる。
また、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、他の溶剤に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
<<(5)エッチング処理にて少なくとも非マスク部の水溶性樹脂膜および有機半導体を除去する工程>>
例えば図1(C)に示すように、レジスト膜を現像しマスクパターン4を作製後、例えば図1(D)に示すように、エッチング処理にて少なくとも非マスク部の上記水溶性樹脂膜3および上記有機半導体膜2を除去する。非マスク部とは、レジスト膜を露光してマスクパターンを作製する際のマスクにより露光されていない箇所を表す。以下、エッチング処理がドライエッチング処理である場合、および、ウェットエッチング処理である場合について説明する。
<<<ドライエッチング処理>>>
具体的には、ドライエッチングは、レジストパターンをエッチングマスクとして、少なくとも水溶性樹脂膜および有機半導体をドライエッチングする。ドライエッチングの代表的な例としては、特開昭59−126506号、特開昭59−46628号、同58−9108号、同58−2809号、同57−148706号、同61−41102号などの公報に記載の方法がある。
ドライエッチングとしては、パターン断面をより矩形に近く形成する観点や有機半導体へのダメージをより低減する観点から、以下の形態で行なうのが好ましい。
フッ素系ガスと酸素ガス(O2)との混合ガスを用い、有機半導体が露出しない領域(深さ)までエッチングを行なう第1段階のエッチングと、この第1段階のエッチングの後に、窒素ガス(N2)と酸素ガス(O2)との混合ガスを用い、好ましくは有機半導体が露出する領域(深さ)付近までエッチングを行なう第2段階のエッチングと、有機半導体が露出した後に行なうオーバーエッチングとを含む形態が好ましい。以下、ドライエッチングの具体的手法、並びに第1段階のエッチング、第2段階のエッチング、およびオーバーエッチングについて説明する。
ドライエッチングは、下記手法により事前にエッチング条件を求めて行なう。
(1)第1段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/min)と、第2段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/min)とをそれぞれ算出する。(2)第1段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間と、第2段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間とをそれぞれ算出する。(3)上記(2)で算出したエッチング時間に従って第1段階のエッチングを実施する。(4)上記(2)で算出したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施する。あるいはエンドポイント検出でエッチング時間を決定し、決定したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施してもよい。(5)上記(3)、(4)の合計時間に対してオーバーエッチング時間を算出し、オーバーエッチングを実施する。
上記第1段階のエッチング工程で用いる混合ガスとしては、被エッチング膜である有機材料を矩形に加工する観点から、フッ素系ガスおよび酸素ガス(O2)を含むことが好ましい。また、第1段階のエッチング工程は、有機半導体が露出しない領域までエッチングする形態にすることで、有機半導体のダメージを回避することができる。また、上記第2段階のエッチング工程および上記オーバーエッチング工程は、第1段階のエッチング工程でフッ素系ガスおよび酸素ガスの混合ガスにより有機半導体が露出しない領域までエッチングを実施した後、有機半導体のダメージ回避の観点から、窒素ガスおよび酸素ガスの混合ガスを用いてエッチング処理を行なうのが好ましい。
第1段階のエッチング工程でのエッチング量と、第2段階のエッチング工程でのエッチング量との比率は、第1段階のエッチング工程でのエッチング処理による矩形性を損なわないように決定することが重要である。なお、全エッチング量(第1段階のエッチング工程でのエッチング量と第2段階のエッチング工程でのエッチング量との総和)中における後者の比率は、0%より大きく50%以下である範囲が好ましく、10〜20%がより好ましい。エッチング量とは、被エッチング膜の残存する膜厚とエッチング前の膜厚との差から算出される量のことをいう。
また、エッチングは、オーバーエッチング処理を含むことが好ましい。オーバーエッチング処理は、オーバーエッチング比率を設定して行なうことが好ましい。また、オーバーエッチング比率は、初めに行なうエッチング処理時間より算出することが好ましい。オーバーエッチング比率は任意に設定できるが、フォトレジストのエッチング耐性と被エッチングパターンの矩形性維持の点で、エッチング工程におけるエッチング処理時間の30%以下であることが好ましく、5〜25%であることがより好ましく、10〜15%であることが特に好ましい。
<<<ウェットエッチング処理>>>
具体的には、ウェットエッチングは、レジストパターンをエッチングマスクとして、少なくとも水溶性樹脂膜および有機半導体をウェットエッチングする。
ウェットエッチング工程としては、基板をエッチング液に浸してエッチングするディップ式エッチング方法、シャワー状のエッチング液に晒してエッチングするシャワー式エッチング方法、基板に対してスプレーでエッチング液を吹き付けるスプレー式エッチング方法等が知られているが、被エッチング膜である有機材料を矩形に加工する観点から、シャワー式、スプレー式が好ましい。
また、パターン断面をより矩形に近く形成する観点や有機半導体へのダメージをより低減する観点から、以下の形態で行なうのが好ましい。
水、第一級アルコール類および第二級アルコール類の少なくとも1種を用い、水溶性樹脂膜のエッチングを行なう第1段階のエッチングと、この第1段階のエッチングの後に、有機半導体を溶解する液体を用い、有機半導体が露出した後に行なう第2段階のエッチングとを含む形態が好ましい。
第一級アルコール類および第二級アルコール類については、上述した水溶性樹脂膜を形成する水溶性樹脂組成物で説明した第一級アルコール類および第二級アルコール類が挙げられる。
以下、ウェットエッチングの具体的手法、並びに第1段階のエッチング、および第2段階のエッチング、について説明する。
ウェットエッチングは、下記手法により事前にエッチング条件を求めて行なう。
(1)第1段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/min)と、第2段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/min)とをそれぞれ算出する。(2)第1段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間と、第2段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間とをそれぞれ算出する。(3)上記(2)で算出したエッチング時間に従って第1段階のエッチングを実施する。(4)上記(2)で算出したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施する。
上記第1段階のエッチング工程は、有機半導体が露出する領域までエッチングする形態にすることで、第2段階のエッチング工程を可能にする。また、上記第2段階のエッチング工程は、第1段階のエッチング工程で水、第一級アルコール類および第二級アルコール類の少なくとも1種により有機半導体が露出する領域までエッチングを実施した後、有機半導体が溶解する溶剤を用いてエッチング処理を行なうのが好ましい。
第1段階のエッチング工程でのエッチング量と、第2段階のエッチング工程でのエッチング量との比率は、第1段階のエッチング工程でのエッチング処理による矩形性を損なわないように決定することが重要である。なお、全エッチング量(第1段階のエッチング工程でのエッチング量と第2段階のエッチング工程でのエッチング量との総和)中における後者の比率は、0%より大きく50%以下である範囲が好ましく、10〜20%がより好ましい。エッチング量とは、被エッチング膜の残存する膜厚とエッチング前の膜厚との差から算出される量のことをいう。
ウェットエッチングの場合は、水溶性樹脂からなるマスクパターン上に、レジストパターンが残存するため、レジストパターンの剥離を行う必要がある。
本発明で用いる剥離液が含む有機溶剤としては、ケトン系溶剤、アミド系、アルコール系、エーテル系、ニトリル系溶剤等の極性溶剤を用いることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセチルアセトン等が使用できる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、3−メチル−1−ブタノール等の1級アルコール系溶剤、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メトキシ−1−ブタノール等の2級アルコール系溶剤等が使用できる。
エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等が使用できる。
ニトリル系溶剤としては、例えば、アセトニトリル等が使用できる。
剥離液が含む有機溶剤は、1種類のみでも、2種以上用いてもよい。また、上記以外の溶剤と混合し使用してもよい。
特に、剥離液は、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤及びニトリル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有することが好ましい。
<<(6)水溶性樹脂膜を水で溶解除去する工程>>
エッチング後、水を用いて水溶性樹脂膜を除去する。これにより、例えば図1(E)に示すように、有機半導体膜2がパターニングされた基板が得られる。
水溶性樹脂膜を水で除去する方法としては、例えば、スプレー式またはシャワー式の噴射ノズルからレジストパターンに洗浄水を噴射して、水溶性樹脂膜を除去する方法を挙げることができる。洗浄水としては、純水を好ましく用いることができる。また、噴射ノズルとしては、その噴射範囲内に支持体全体が包含される噴射ノズルや、可動式の噴射ノズルであってその可動範囲が支持体全体を包含する噴射ノズルを挙げることができる。噴射ノズルが可動式の場合、水溶性樹脂膜を除去する工程中に支持体中心部から支持体端部までを2回以上移動して洗浄水を噴射することで、より効果的にレジストパターンを除去することができる。
水を除去した後、乾燥等の工程を行うことも好ましい。乾燥温度としては、80〜120℃とすることが好ましい。
<産業上の利用可能性>
本発明は、有機半導体を利用した電子デバイスの製造に用いることができる。ここで、電子デバイスとは、半導体を含有しかつ2つ以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気、化学物質などにより制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場などを発生させるデバイスである。例としては、有機光電変換素子、有機電界効果トランジスタ、有機電界発光素子、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子などが挙げられる。有機光電変換素子は光センサ用途、エネルギー変換用途(太陽電池)のいずれにも用いることができる。これらの中で、好ましくは有機電界効果トランジスタ、有機光電変換素子、有機電界発光素子であり、より好ましくは有機電界効果トランジスタ、有機光電変換素子であり、特に好ましくは有機電界効果トランジスタである。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。
各化合物の略号は、それぞれ以下の化合物を表す。
BzMA:ベンジルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
t−BuMA:tert−ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
MA:メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)
PMA:フェニルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
THFMA:2−テトラヒドロフラニルメタクリレート(合成品)
THFAA:2−テトラヒドロフラニルアクリレート(合成品)
MTHFMA:5−メチル−2−テトラヒドロフラニルメタクリレート(合成品)
THPMA:2−テトラヒドロピラニルメタクリレート(合成品)
THPAA:2−テトラヒドロピラニルアクリレート(合成品)
PEES:p−エトキシエトキシスチレン
V−601:2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製)
PGMEA:メトキシプロピルアセテート(ダイセル化学工業(株)製)
<合成例1:THFMAの合成>
3つ口フラスコにメタクリル酸50.33g(0.585mol)、カンファースルホン酸0.27g(0.2mol%)を混合して15℃に冷却した。その溶液に2,3−ジヒドロフラン41.00g(0.585mol)を滴下した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物をろ過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の無色油状物を減圧蒸留することで73.02gのTHFMAを得た。
<合成例2:THFAAの合成>
3つ口フラスコにアクリル酸42.16g(0.585mol)、カンファースルホン酸0.27g(0.2mol%)を混合して15℃に冷却した。その溶液に2,3−ジヒドロフラン41.00g(0.585mol)を滴下した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物をろ過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の無色油状物を減圧蒸留することで62.18gのTHFAAを得た。
<合成例3:MTHFMAの合成>
3つ口フラスコにメタクリル酸50.33g(0.585mol)、カンファースルホン酸0.27g(0.2mol%)を混合して15℃に冷却した。その溶液に5−メチル−2,3−ジヒドロフラン49.21g(0.585mol)を滴下した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物をろ過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の無色油状物を減圧蒸留することで66.70gのMTHFMAを得た。
<合成例4:THPMAの合成>
3つ口フラスコにメタクリル酸50.33g(0.585mol)、カンファースルホン酸0.27g(0.2mol%)を混合して15℃に冷却した。その溶液に3,4−ジヒドロフラン49.21g(0.585mol)を滴下した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物をろ過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の無色油状物を減圧蒸留することで68.64gのTHPMAを得た。
<合成例5:THPAAの合成>
3つ口フラスコにアクリル酸42.16g(0.585mol)、カンファースルホン酸0.27g(0.2mol%)を混合して15℃に冷却した。その溶液に3,4−ジヒドロフラン49.21g(0.585mol)を滴下した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物をろ過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の無色油状物を減圧蒸留することで63.13gのTHPAAを得た。
<合成例6:特定樹脂C1の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(9.25g)、THFMA(11.71g)、t−BuMA(3.20g)、V−601(0.895g、モノマーに対して2.59mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより特定樹脂C1を得た。重量平均分子量は15,000であった。
<合成例7:特定樹脂C2の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(9.25g)、THFAA(10.66g)、t−BuMA(3.20g)、V−601(0.895g、モノマーに対して2.59mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより特定樹脂C2を得た。重量平均分子量は14,000であった。
<合成例8:特定樹脂C3の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(9.25g)、MTHFAA(11.71g)、t−BuMA(3.20g)、V−601(0.895g、モノマーに対して2.59mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより特定樹脂C3を得た。重量平均分子量は15,000であった。
<合成例9:特定樹脂C4の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(9.25g)、THPMA(12.76g)、t−BuMA(3.20g)、V−601(0.895g、モノマーに対して2.59mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより特定樹脂C4を得た。重量平均分子量は16,000であった。
<合成例10:特定樹脂C5の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(9.25g)、THPMA(11.71g)、t−BuMA(3.20g)、V−601(0.895g、モノマーに対して2.59mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより特定樹脂C5を得た。重量平均分子量は16,000であった。
<合成例11:特定樹脂C6の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(14.53g)、t−BuMA(9.59g)、V−601(0.895g、モノマーに対して2.59mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより特定樹脂C6を得た。重量平均分子量は16,000であった。
<合成例12:特定樹脂C7の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(9.25g)、PEES(14.43g)、t−BuMA(3.20g)、V−601(0.895g、モノマーに対して2.59mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより特定樹脂C7を得た。重量平均分子量は16,000であった。
<合成例13:特定樹脂C8の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(14.54g)、PEES(12.99g)、V−601(0.895g、モノマーに対して2.59mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより特定樹脂C8を得た。重量平均分子量は16,000であった。
<合成例14:光酸発生剤D1の合成>
2−ナフトール(10g)、クロロベンゼン(30mL)の懸濁溶液に塩化アルミニウム(10.6g)、2−クロロプロピオニルクロリド(10.1g)を添加し、混合液を40℃に加熱して2時間反応させた。氷冷下、反応液に4N−HCl水溶液(60mL)を滴下し、酢酸エチル(50mL)を添加して分液した。有機層に炭酸カリウム(19.2g)を加え、40℃で1時間反応させた後、2N−HCl水溶液(60mL)を添加して分液し、有機層を濃縮後、結晶をジイソプロピルエーテル(10mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥してケトン化合物(6.5g)を得た。
得られたケトン化合物(3.0g)、メタノール(30mL)の懸濁溶液に酢酸(7.3g)、50質量%ヒドロキシルアミン水溶液(8.0g)を添加し、加熱還流した。放冷後、水(50mL)を加え、析出した結晶をろ過、冷メタノール洗浄後、乾燥してオキシム化合物(2.4g)を得た。
得られたオキシム化合物(1.8g)をアセトン(20mL)に溶解させ、氷冷下トリエチルアミン(1.5g)、p−トルエンスルホニルクロリド(2.4g)を添加し、室温に昇温して1時間反応させた。反応液に水(50mL)を添加し、析出した結晶をろ過後、メタノール(20mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥してD1(2.3g)を得た。
なお、D1の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.0(d,2H),7.9(d,1H),7.8(d,1H),7.6(dd,1H),7.4(dd,1H)7.3(d,2H),7.1(d.1H),5.6(q,1H),2.4(s,3H),1.7(d,3H)であった。
<合成例15:光酸発生剤D2の合成>
2−ナフトール(10g)、クロロベンゼン(30mL)の懸濁溶液に塩化アルミニウム(10.6g)、2−クロロプロピオニルクロリド(10.1g)を添加し、混合液を40℃に加熱して2時間反応させた。氷冷下、反応液に4N−HCl水溶液(60mL)を滴下し、酢酸エチル(50mL)を添加して分液した。有機層に炭酸カリウム(19.2g)を加え、40℃で1時間反応させた後、2N−HCl水溶液(60mL)を添加して分液し、有機層を濃縮後、結晶をジイソプロピルエーテル(10mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥してケトン化合物(6.5g)を得た。
得られたケトン化合物(3.0g)、メタノール(30mL)の懸濁溶液に、酢酸(7.3g)、50質量%のヒドロキシルアミン水溶液(8.0g)を添加し、加熱還流した。放冷後、水(50mL)を加え、析出した結晶をろ過、冷メタノール洗浄後、乾燥してオキシム化合物(2.4g)を得た。
得られたオキシム化合物(1.8g)をアセトン(20mL)に溶解させ、氷冷下トリエチルアミン(1.5g)、p−トルエンスルホニルクロリド(2.4g)を添加し、室温に昇温して1時間反応させた。反応液に水(50mL)を添加し、析出した結晶をろ過後、メタノール(20mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥して、D2(2.3g)を得た。
なお、D2の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.0(d,2H),7.9(d,1H),7.8(d,1H),7.6(dd,1H),7.4(dd,1H)7.3(d,2H),7.1(d.1H),5.6(q,1H),2.4(s,3H),1.7(d,3H)であった。
<合成例16:光酸発生剤D3の合成>
2−ナフトール(10g)、クロロベンゼン(30mL)の懸濁溶液に塩化アルミニウム(10.6g)、2−クロロプロピオニルクロリド(10.1g)を添加し、混合液を40℃に加熱して2時間反応させた。氷冷下、反応液に4N−HCl水溶液(60mL)を滴下し、酢酸エチル(50mL)を添加して分液した。有機層に炭酸カリウム(19.2g)を加え、40℃で1時間反応させた後、2N−HCl水溶液(60mL)を添加して分液し、有機層を濃縮後、結晶をジイソプロピルエーテル(10mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥してケトン化合物(6.5g)を得た。
得られたケトン化合物(3.0g)、メタノール(30mL)の懸濁溶液に、酢酸(7.3g)、50質量%のヒドロキシルアミン水溶液(8.0g)を添加し、加熱還流した。放冷後、水(50mL)を加え、析出した結晶をろ過、冷メタノール洗浄後、乾燥してオキシム化合物(2.4g)を得た。
得られたオキシム化合物(1.8g)をアセトン(20mL)に溶解させ、氷冷下トリエチルアミン(1.5g)、p−トルエンスルホニルクロリド(2.4g)を添加し、室温に昇温して1時間反応させた。反応液に水(50mL)を添加し、析出した結晶をろ過後、メタノール(20mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥して、D3(2.3g)を得た。
なお、D3の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.0(d,2H),7.9(d,1H),7.8(d,1H),7.6(dd,1H),7.4(dd,1H)7.3(d,2H),7.1(d.1H),5.6(q,1H),2.4(s,3H),1.7(d,3H)であった。
(1)水溶性樹脂組成物および感光性樹脂組成物の調製
下記表に示す各成分を混合して均一な溶液とした後、0.1μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレン製フィルタを用いてろ過して、実施例1〜21および比較例1〜12の水溶性樹脂組成物および感光性樹脂組成物をそれぞれ調製した。
表1中の略号は以下の通りである。
A1:ポリビニルピロリドン(ピッツコール K−30、第一工業製薬(株)製、sp値:22.5(MPa)1/2
A2:ポリビニルアルコール(PXP−05、日本酢ビ・ポバール株(株)製、sp値:25.8(MPa)1/2
A3:プルラン((株)林原製、sp値:27.8(MPa)1/2
A4:メチルセルロース(メトローズ SM―4 信越化学工業(株)製、sp値:35.6(MPa)1/2
B1:アセチレノールE00(川研ファインケミカル(株)製)
D1:(下記構造、合成品)
D2:(下記構造、合成品)
D3:(下記構造、合成品)
D4:WPAG−336(下記構造、和光純薬工業(株)製)
D5:WPAG−443(下記構造、和光純薬工業(株)製)
D6:MBZ−101(下記構造、みどり化学(株)製)
E1:シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア(下記構造、稲畑産業(株)製)
F1:PF−6320(下記構造、OMNOVA Solutions Inc.製)
(2)有機半導体基板の作製
5cm角のガラス基板上に、以下の組成からなる有機半導体塗布液をスピンコートし、130°Cで10分乾燥させることで有機半導体膜を成膜した。膜厚は150nmであった。
有機半導体塗布液の組成:
P3HT(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 10質量%
PCBM(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 10質量%
クロロホルム(和光純薬工業(株)製) 80質量%
(3)水溶性樹脂組成物を基板に塗布する工程
基板上に成膜した有機半導体膜上に、上記表に示す組成からなる水溶性樹脂組成物をスピンコートし、100℃で1分乾燥させることで水溶性樹脂膜を成膜した。膜厚は320nmであった。
(4)水溶性樹脂膜上に樹脂のマスクパターンを作製する工程
成膜した水溶性樹脂膜上に、上記表に示す組成からなる化学増幅型感光性樹脂組成物をスピンコートし、100℃で1分間乾燥した。膜厚は700nmであった。次に、i線の平行露光機を用い、135mJ/cm2露光した。その後、100℃で1分間加熱し、酢酸ブチルで現像することでマスクパターンを得た。
(5)ドライエッチングで非マスク部の水溶性樹脂および有機半導体を除去する工程
以下の条件で基板のドライエッチングを行い、非マスクパターン部の水溶性樹脂膜および非マスクパターン部の有機半導体膜を除去した。
ガス:CF4(流量200ml/min)、Ar(流量800ml/min)、O2(流量50ml/min)
ソースパワー:800W
ウェハバイアス:600W
アンテナバイアス:100W
ESC電圧:400V
時間:60sec
(6)残った水溶性樹脂を水で溶解除去する工程
得られた基板を水洗し、水溶性樹脂膜からなるパターンを除去したのち、100℃で10分加熱し上記有機半導体膜に残存する水分の除去と、乾燥によりプロセスにおけるダメージを修復することで、有機半導体膜がパターニングされた基板を得た。
(7)評価
[水溶性樹脂膜の面内均一性]
上記水溶性樹脂膜上に樹脂のマスクパターンを作製する工程の前の水溶性樹脂膜において、面内均一性を測定した。具体的には、水溶性樹脂膜の膜厚のうち、最外周部2mmを除いた全体100箇所の膜厚を、反射分光膜厚計を用いることで評価した。評価は3段階で行い、変動係数CV(=膜厚の標準偏差/膜厚の平均値)を用いて以下の基準で評価した。
A:CV<0.01
B:0.01≦CV<0.04
C:0.04≦CV
[波長365nmにおいて100mJ/cm2以上露光された際の光酸発生剤の分解率]
膜厚700nmの化学増幅型感光性樹脂組成物をシリコンウェハ上に成膜し、100℃で1分間加熱させた。その後、365nmで100mJ/cm2露光し、100℃で1分間加熱した基板を、メタノール/THF(質量比)=50/50溶液に超音波を当てながら10分浸漬させた。抽出物をHPLCにて分析することで光酸発生剤の分解率を以下の式より算出し、以下の基準で評価した。
分解率(%)=分解物量(mol)/仕込み量(mol)×100
A:80モル%以上が分解している
B:40モル%以上80モル%未満が分解している
C:40モル%未満が分解している
[レジスト膜のパターン形状]
化学増幅型感光性樹脂組成物のパターンを、コンタクトアライナーで形成したパターンを走査型電子顕微鏡を用いて断面観察を行うことで化学増幅型感光性樹脂組成物のテーパー角を以下の基準で評価した。
A:1μmのL/Sパターンにおいて、樹脂パターンのテーパー角が80°以上
B:1μmのL/Sパターンにおいて、樹脂パターンの残膜率が80°未満
C:パターニングが不可能
[有機半導体膜のパターン形状]
ドライエッチングおよび、水溶性樹脂膜除去後の有機半導体のパターンを、走査型電子顕微鏡を用いて観察を行うことより有機半導体の線幅を以下の基準で評価した。
A:化学増幅型感光性樹脂組成物の1μmのL/Sパターン下における、有機半導体の線幅が0.8μm以上
B:化学増幅型感光性樹脂組成物の1μmのL/Sパターン下における、有機半導体の線幅が0.8μm未満
C:パターニングが不可能
上記表から、実施例1〜21は、水溶性樹脂膜が面内均一性に優れており、かつ、レジスト膜のパターン形成性に優れていた。よって、有機半導体の微細なパターン形成が可能であることが分かった。一方、比較例1〜12は、面内均一性またはパターン形成性に劣っていた。そのため、有機半導体の微細なパターン形成が困難であることが分かった。
上記実施例および比較例において、水溶性樹脂膜の組成を下記のように変えたこと以外は同様に行った。その結果、上記実施例および比較例と同様の傾向を示すことが認められた。
<水溶性樹脂組成物の組成1>
ポリビニルピロリドン(ピッツコール K−30、第一工業製薬(株)製) 14.475質量%
グリセリン(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 0.45質量%
アセチレノールE00(川研ファインケミカル(株)製) 0.075質量%
水 85質量%
<水溶性樹脂組成物の組成2>
ポリビニルピロリドン(ピッツコール K−30、第一工業製薬(株)製) 13.433質量%
ポリビニルアルコール(PXP−05、日本酢ビ・ポバール(株)製) 1.493質量%
アセチレノールE00(川研ファインケミカル(株)製) 0.075質量%
2−プロパノール(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 4.25質量%
水 80.75質量%
上記実施例および比較例において、有機半導体塗布液の組成を下記のものに変えた他は同様に行った。その結果、上記実施例および比較例と同様の傾向を示すことが認められた。
<有機半導体塗布液の組成1>
TIPSペンタセン(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 5質量%
トルエン(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 95質量%
<有機半導体塗布液の組成2>
MEH―PPV(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 10質量%
トルエン(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 90質量%
<有機半導体塗布液の組成3>
PEDOT/PSS(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製、1.3質量水分散液) 100質量%
上記実施例および比較例において、ドライエッチングの代わりに下記のエッチング液を用いてウェットエッチングを行った他は同様に行った。その結果、上記実施例および比較例と同様の傾向を示すことが認められた。
<第1段階のエッチング液1>
水 100質量%
<第2段階のエッチング液1>
プロピレングリコールモノメチルエーテル 100質量%
<第1段階のエッチング液2>
2−プロパノール 100質量%
<第2段階のエッチング液2>
プロピレングリコールモノメチルエーテル 100質量%
<第1段階のエッチング液3>
水 100質量%
<第2段階のエッチング液3>
3−メチル−1−ブタノール 100質量%
以下の条件で基板のウェットエッチングを行い、非マスクパターン部の水溶性樹脂膜および非マスクパターン部の有機半導体膜を除去した。
方式:2流体スプレー
<第1段階のエッチング>
流量:30mL/min
圧力:200kPa
時間:30sec
<第2段階のエッチング>
流量:20mL/min
圧力:200kPa
時間:10sec
得られた基板を用いて以下の条件でレジストパターンの剥離を行ったのち、水溶性樹脂膜からなるパターンを水洗で除去し、100℃で10分加熱し上記有機半導体膜に残存する水分の除去と、乾燥によりプロセスにおけるダメージを修復することで、有機半導体膜がパターニングされた基板を得た。
方式:パドル
剥離液:プロピレングリコールモノメチルエーテル
時間:60sec
<合成例17:特定樹脂C9の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(8.10g)、t−BuMA(11.00g)、MA(2.60g)、V−601(0.840g、モノマーに対して2.37mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより以下構造式で表される特定樹脂C9を得た。重量平均分子量は20,000であった。
<合成例18:特定樹脂C10の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にPMA(7.50g)、t−BuMA(11.00g)、MA(2.60g)、V−601(0.840g、モノマーに対して2.37mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより以下構造式で表される特定樹脂C10を得た。重量平均分子量は21,000であった。
<合成例19:tBocMMAの合成>
tBocMMAは、特開2005−331918号公報に記載の方法と同様の手法を用い、アルコールとカルボン酸ハロゲニド化合物を塩基性条件下反応させた後、これとカルボン酸化合物を塩基性条件下反応させることによりtBocMMAを合成できる。
<合成例20:特定樹脂C11の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(8.10g)、上記tBocMMA(11.70g)、MA(4.20g)、V−601(0.840g、モノマーに対して2.42mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより以下構造式で表される特定樹脂C11を得た。重量平均分子量は19,500であった。
<合成例20:特定樹脂C12の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(18.12g)を入れ、窒素雰囲気下において86℃に昇温した。その溶液にBzMA(9.25g)、THFMA(12.30g)、V−601(0.730g、モノマーに対して2.41mol%)をPGMEA(18.12g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより特定樹脂C12を得た。重量平均分子量は15,000であった。
<水溶性樹脂組成物および化学増幅型感光性樹脂組成物の調製>
以下の水溶性樹脂組成物および感光性樹脂組成物を混合して均一な溶液とした後、水溶性樹脂組成物は0.8μmのポアサイズを有するナイロン製フィルタ、化学増幅型感光性樹脂組成物は0.03μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレン製フィルタを用いてろ過して、実施例22〜45および比較例13〜20の水溶性樹脂組成物および化学増幅型感光性樹脂組成物をそれぞれ調製した。
[水溶性樹脂組成物]
表3記載の水溶性樹脂:表3に記載の質量部
アセチレノールE00(川研ファインケミカル(株)製):0.1質量部
表3記載の溶剤:表3記載の質量部
グリセリン(実施例25のみ、東京化成工業(株)製):0.45質量部
[化学増幅型感光性樹脂組成物]
表3に記載の樹脂:表3に記載の質量部
表3に記載の光酸発生剤:表3に記載の質量部
表3に記載の塩基性化合物:表3に記載の質量部
PF−6320(OMNOVA Solutions Inc.製):0.05質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(和光純薬工業(株)製):85質量部
なお、表3中の略号は以下の通りである。
<水溶性樹脂>
IPA:イソプロピルアルコール(和光純薬工業(株)製)
A5:ポリビニルアルコール(PVA203、クラレ(株)製、sp値=25.8MPa)1/2
A6:ポリビニルピロリドン(ポリビニルピロリドン K−30、(株)日本触媒製、sp値=22.5MPa)1/2
A7:プルラン((株)林原製、sp値=27.8MPa)1/2
<光酸発生剤>
D7:NT−1TF(トリフルオロメタンスルホン酸(pKa=−14)発生五員環イミドスルホネート型、モル吸光係数=5300L/(mol・cm)、サンアプロ(株)製)
D8:NT−3TF(トリフルオロメタンスルホン酸(pKa=−14)発生五員環イミドスルホネート型、モル吸光係数=6600L/(mol・cm)、サンアプロ(株)製)
D9:以下構造、(ヘプタフルオロプロパンスルホン酸(pKa=−8)発生オキシムスルホネート型、モル吸光係数=7000L/(mol・cm))
D10:以下構造、(ヘプタフルオロプロパンスルホン酸(pKa=−8)発生五員環イミドスルホネート型、モル吸光係数=5500L/(mol・cm))
D11:NT−2TF(トリフルオロメタンスルホン酸(pKa=−14)発生六員環イミドスルホネート型、モル吸光係数=450L/(mol・cm)、サンアプロ(株)製)
D12:CGI−1905(以下構造、ノナフルオロブタンスルホン酸(pKa=−5.8)発生オキシムスルホネート型、モル吸光係数=200L/(mol・cm)、BASF社製)
D13:CGI−1906(ノナフルオロブタンスルホン酸(pKa=−5.8)発生オキシムスルホネート型、モル吸光係数=360L/(mol・cm)、BASF社製)
D14:CGI−1907(以下構造、ノナフルオロブタンスルホン酸(pKa=−5.8)発生オキシムスルホネート型、モル吸光係数=190L/(mol・cm)、BASF社製)
D15:Irgacure PAG−121(以下構造、パラトルエンスルホン酸(pKa=−2.8)発生オキシムスルホネート型、モル吸光係数=3400L/(mol・cm)、BASF社製)
D16:NDI−109(以下構造、ノナフルオロブタンスルホン酸(pKa=−5.8)発生五員環イミドスルホネート型、モル吸光係数=1L/(mol・cm)、みどり化学(株)製)
D17:CPI−310NF(ノナフルオロブタンスルホン酸(pKa=−5.8)発生型・イオン性、モル吸光係数=600L/(mol・cm)、サンアプロ(株)製)
<樹脂>
E2:2,6−ジイソプロピルアニリン(1級アミン、東京化成工業(株)製)
E3:2,4,6−トリ−tert−ブチルアニリン(1級アミン、東京化成工業(株)製)
E4:ヘキシルアミン(1級アミン、東京化成工業(株)製)
E5:N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−モルホリニル)エチル]チオ尿素(2級アミン、稲畑産業(株)製)
E6:N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(3級アミン、東京化成工業(株)製)
D9:
D10:
D12:
D13:
D14:
D15:
D16:
<有機半導体膜の成膜>
5cm角のガラス基板上に、以下の組成からなる有機半導体塗布液をスピンコートし、130℃で10分乾燥させることで有機半導体を成膜した。膜厚は150nmであった。
P3HT(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製):10質量%
PCBM(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製:):10質量%
クロロホルム(和光純薬工業(株)製):80質量%
<水溶性樹脂組成物を基材に塗布する工程>
有機半導体を成膜した基板上に、上記水溶性樹脂組成物をスピンコートし、100℃で1分乾燥させることで水溶性樹脂膜を成膜した。膜厚は1μmであった。
<水溶性樹脂膜上に樹脂のマスクパターンを作製する工程>
水溶性の樹脂膜を成膜した基板上に、上記表に示す組成からなる化学増幅型感光性樹脂組成物をスピンコートし、100℃で1分間乾燥した。膜厚は1μmであった。次に、i線の平行露光機を用い、200mJ/cm2露光した。その後、120℃で1分間加熱し、酢酸ブチルで現像することでマスクパターンを得た。
<ドライエッチングで有機半導体をパターニングする工程>
得られた基板をドライエッチングを行い、マスクパターンおよび、非マスクパターン部の水溶性樹脂膜、非マスクパターン部の有機半導体を除去した。ドライエッチングは上述したドライエッチングと同じ条件で行った。
<残った水溶性樹脂を水で溶解除去する工程>
得られた基板を水洗し、水溶性の樹脂膜からなるパターンを除去したのち、100℃で10分加熱し有機半導体膜に残存する水分の除去と、プロセスにおけるダメージを修復することで、有機半導体膜がパターニングされた基板を得た。
<評価>
<<水溶性樹脂膜の面内均一性>>
上述した水溶性樹脂膜の面内均一性の評価と同じ条件で評価した。
<<レジスト膜のパターン形状>>
上述したレジスト膜のパターン形状の評価と同じ条件で評価した。
<<有機半導体膜のパターン形状性>>
上述した有機半導体膜のパターン形状性と同じ条件で評価した。
<<水溶性樹脂膜の面状>>
水溶性樹脂膜の塗布面状を、光学顕微鏡により観察した。評価は以下の基準で行った。
A:全面に渡りクラックが認められない
B:化学増幅型感光性樹脂組成物製膜時に一部クラックが発生
C:塗布後すぐに全面に渡りクラックが認められる
<<化学増幅型感光性樹脂組成物の保存安定性>>
調製した化学増幅型感光性樹脂組成物を、50℃の恒温槽に一週間放置し、放置前後での最適露光量(設計パターン線幅との差が最も少なくなる露光量)を、コンタクトアライナーを用いて形成したパターンを走査型電子顕微鏡で観察することで算出した。評価は以下の基準で行った。
A:最適露光量の変動が±3%未満
B:最適露光量の変動が±3%以上10%未満
C:最適露光量の変動が±10%以上
上記表から、実施例では、水溶性樹脂膜が面状よく製膜されており、かつ、レジスト膜のパターニング性、保存安定性に優れていた。よって、有機半導体膜の微細なパターン形成が可能であることが分かった。一方、比較例では、面内均一性、パターニング性または保存安定性に劣っていた。そのため、有機半導体膜の微細なパターン形成が困難であることが分かった。
上記実施例および比較例において、有機半導体塗布液を下記のものに変えた他は同様に行った。その結果、上記実施例および比較例と同様の傾向を示すことが認められた。
<有機半導体塗布液の組成A>
TIPSペンタセン(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 5質量部
トルエン(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 95質量部
<有機半導体膜の組成B>
MEH―PPV(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 10質量部
トルエン(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製) 90質量部
<有機半導体膜の組成C>
PEDOT/PSS(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製、1.3質量%水分散液) 100質量部
上記実施例および比較例において、ドライエッチングの代わりに下記のエッチング液を用いてウェットエッチングを行った他は同様に行った。その結果、上記実施例および比較例と同様の傾向を示すことが認められた。
<第1段階のエッチング液1>
水 100質量%
<第2段階のエッチング液1>
プロピレングリコールモノメチルエーテル 100質量%
<第1段階のエッチング液2>
2−プロパノール 100質量%
<第2段階のエッチング液2>
プロピレングリコールモノメチルエーテル 100質量%
<第1段階のエッチング液3>
水 100質量%
<第2段階のエッチング液3>
3−メチル−1−ブタノール 100質量%
以下の条件で基板のウェットエッチングを行い、非マスクパターン部の水溶性樹脂膜および非マスクパターン部の有機半導体を除去した。
方式:2流体スプレー
<第1段階のエッチング>
流量:30mL/min
圧力:200kPa
時間:30sec
<第2段階のエッチング>
流量:20mL/min
圧力:200kPa
時間:10sec
得られた基板を用いて以下の条件でレジストパターンの剥離を行ったのち、水溶性樹脂膜からなるパターンを水洗で除去し、100℃で10分加熱し上記有機半導体膜に残存する水分の除去と、乾燥によりプロセスにおけるダメージを修復することで、有機半導体膜がパターニングされた基板を得た。
方式:パドル
剥離液:プロピレングリコールモノメチルエーテル
時間:60sec
1 基板、2 有機半導体膜、3 水溶性樹脂膜、4 マスクパターン

Claims (16)

  1. 有機半導体膜の表面に少なくとも水溶性樹脂膜および化学増幅型感光性樹脂組成物からなるレジスト膜をこの順に有する積層体が有するレジスト膜形成用の化学増幅型感光性樹脂組成物であって、
    前記化学増幅型感光性樹脂組成物は、下記に示す分解率が80モル%以上となる光酸発生剤を含有し、
    前記光酸発生剤が、活性光線または放射線の照射により、pKaが−6以下の酸を発生し、かつ365nmにおけるモル吸光係数が4000L/(mol・cm)以上である、下記一般式(4)で表される非イオン性の光酸発生剤であり、
    前記レジスト膜の露光部が有機溶剤を含む現像液に難溶となることでマスクパターンを形成でき、
    マスクパターンを形成後エッチングのマスクとして前記マスクパターンが利用される、化学増幅型感光性樹脂組成物;
    前記光酸発生剤の分解率は、膜厚700nmの化学増幅型感光性樹脂組成物をシリコンウェハ上に成膜し、100℃で1分間加熱し、その後、波長365nmで100mJ/cm2露光し、100℃で1分間加熱したシリコンウェハを、メタノール/テトラヒドロフラン=50/50溶液に超音波を当てながら10分浸漬させ、抽出物をHPLCにて分析し、以下の式より算出した値とする;
    分解率(モル%)=分解物量(mol)/仕込み量(mol)×100
    一般式(4)
    一般式(4)中、R 8 は、炭素数2又は3のフルオロアルキル基を表し、R 9 は炭素数1〜8のアルキル基またはフルオロアルキル基を表し、R 10 は、芳香族炭化水素基または芳香族ヘテロ環基を表す。
  2. 有機半導体膜の表面に少なくとも水溶性樹脂膜および化学増幅型感光性樹脂組成物からなるレジスト膜をこの順に有する積層体が有するレジスト膜形成用の化学増幅型感光性樹脂組成物であって、
    前記化学増幅型感光性樹脂組成物は、下記に示す分解率が80モル%以上となる光酸発生剤を含有し、
    前記光酸発生剤が、活性光線または放射線の照射により、pKaが−6以下の酸を発生し、かつ365nmにおけるモル吸光係数が4000L/(mol・cm)以上である、オキシムスルホネート基を有する非イオン性の化合物であり、
    前記レジスト膜の露光部が有機溶剤を含む現像液に難溶となることでマスクパターンを形成でき、
    マスクパターンを形成後エッチングのマスクとして前記マスクパターンが利用される、化学増幅型感光性樹脂組成物;
    前記光酸発生剤の分解率は、膜厚700nmの化学増幅型感光性樹脂組成物をシリコンウェハ上に成膜し、100℃で1分間加熱し、その後、波長365nmで100mJ/cm 2 露光し、100℃で1分間加熱したシリコンウェハを、メタノール/テトラヒドロフラン=50/50溶液に超音波を当てながら10分浸漬させ、抽出物をHPLCにて分析し、以下の式より算出した値とする;
    分解率(モル%)=分解物量(mol)/仕込み量(mol)×100。
  3. 前記エッチングがドライエッチングである、請求項1または2に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
  4. 前記エッチングがウェットエッチングである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
  5. 前記積層体が有する前記水溶性樹脂膜の水溶性樹脂のsp値が18(MPa)1/2以上29(MPa)1/2未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
  6. 前記積層体が有する前記水溶性樹脂膜の水溶性樹脂のsp値が20(MPa)1/2以上26(MPa)1/2以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
  7. 前記積層体が有する前記水溶性樹脂膜の水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、または、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの混合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
  8. 前記積層体が有する前記水溶性樹脂膜の水溶性樹脂が、ポリビニルピロリドンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
  9. 波長365nmにおいて100mJ/cm2で露光することによって極性が変化し、sp値が18(MPa)1/2未満の有機溶剤に対して難溶となるレジスト膜を形成可能である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
  10. 環状エーテルエステル構造を有する樹脂を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
  11. 下記一般式(11)で表される基を含む繰り返し単位を有する樹脂を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物;
    式(11)
    式(11)中、R1は水素原子又はアルキル基を表し、L1はカルボニル基又はフェニレン基を表し、R21〜R27はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
  12. 下記一般式(B1−1)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物;
    一般式(B1−1)
    一般式(B1−1)中、R1は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す;R2〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基を表す;R2〜R4の2つが結合して、環状のアルキル基を形成してもよい。
  13. 下記一般式(B1−2)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物;
    一般式(B1−2)
    一般式(B1−2)中、R1は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す;R2〜R4は、それぞれ独立に、アルキル基を表す;R2〜R4の2つが結合して、環状のアルキル基を形成してもよい;R5は、2価の鎖状炭化水素基を表す。
  14. 塩基性化合物をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
  15. 前記塩基性化合物が一級アミン化合物である、請求項14に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
  16. 前記積層体が、さらに、有機半導体膜の水溶性樹脂膜が積層している側の反対側の面に基板を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化学増幅型感光性樹脂組成物。
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