JP3913334B2 - 換気送風装置および換気送風システム - Google Patents

換気送風装置および換気送風システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は住宅、アトリウム、体育館などの換気または送風のために用いられる換気送風装置および換気送風システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、誘引効果を利用した換気送風装置は、新鮮気の誘引効果を利用して汚染気体を排出するように構成されたものと、新鮮気を圧縮して高速噴流を形成し、誘引効果を助長して換気量を増大させるベンチュリとオリフィスを組み合わせてコアンダ効果を利用した換気装置が提案されていた。これらのうち、前者の従来技術を示すものとして、例えば特開昭60−218545号公報に記載された、新鮮気の誘引効果を利用して汚染気体を排出するように構成された装置があり、図59はそのような換気送風装置の概念図である。
【0003】
図において、1は室内2と室外3を区切る壁、4は室内2に置かれ、汚染空気5を発生するレンジ、6はレンジ4の上方に配置されたフード、7は壁1を貫通し、一端にフード6がつながった排気用ダクト、8は室外3に設けられた送風機、9は一端に送風機8がつながり、途中に排気ダクト7がつながった送風用ダクト、10は外気である。
【0004】
次に動作について説明する。送風機8を運転すると室外3の外気10が送風用ダクト9に送り込まれる。すると、送風用ダクト9中を流れる空気により、フード6および排気用ダクト7を経由して、レンジ4からの汚染空気5が送風用ダクト9に吸い込まれ、排気される。
上記によれば、室内2から室外3への汚染空気5の排出には、送風機8の送風能力(送風量)の一部だけを利用しているにすぎず、送風能力の大半は室外3の新鮮な外気10を吸い込んで、送風ダクト9を経て再び室外3へ送り出すことに使われていた。
【0005】
また図60は、例えば特開平6−280800号公報に記載された圧縮空気を利用した従来の換気送風装置を示す概念図である。図において、11は一端に送風機8がつながった接続管、12は接続管11の他端につながった圧力チャンバ、13は圧力チャンバ12を貫通するベンチュリであり、円錐筒部14と円筒部15とを滑らかに結んでらっぱ状に形成されている。16は円錐筒部14との間に環状の隙間17を形成するオリフィスであり、中心軸部分は空洞になっていて室内2およびベンチュリ13内と連通している。
【0006】
次に動作について説明する。送風機8で加圧された1次空気18を圧力チャンバ12内部に送り込むと、この1次空気18の流れ(1次流)が環状の隙間17を通過する際にその風速が高められて、ベンチュリ13内へ吐出口19に向かって吹き出される。これによって、ベンチュリ13内部およびオリフィス16内部に誘引作用が発生し、室内空気20が吸込口21から吸い込まれていき、オリフィス16およびベンチュリ13の内部を通過して吐出口19から室外3へ排出される。
上記によれば、室内空気20の室外3への排気には、送風機8の加圧能力の一部だけを利用しているにすぎず、加圧能力の大半は室外3の新鮮な外気を圧力チャンバ12から環状の隙間17および吐出口19を経て再び室外3へ送り出すことに使われていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の誘引効果を利用した換気送風装置は、以上のように構成されているので、上記のうちの前者のような装置では誘引される空気分だけの排気量しか得られないため、排気性能が十分に得られないという問題があった。また、後者のような装置では前者の上記問題点に加えて、高速噴流から発生する流体騒音が大きく、低騒音化が困難という問題があった。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、換気送風量が大きい換気送風装置を得ること、および、低騒音化できる換気送風装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る換気送風装置は、一次流を発生させる軸流ファンと、この軸流ファンを覆い、一次流を案内する1次流ガイドと、1次流の吸込側から吐出側にかけて設けられ、1次流ガイドから離隔してこれを覆い、その下流端よりもさらに下流側まで延びる誘引ノズルとを備えるとともに、1次流ガイドの吐出口の直径をD 、誘引ノズルの吐出口の直径をD 、1次流ガイドの吐出口から誘引ノズルの吐出口までの軸方向距離をL、軸流ファンに1次流ガイドを付けたときの噴流の展開角をα としたとき、
0.5≦D /(D +2Ltanα )≦1.5
となるようにしたものである。
【0010】
請求項2に係る換気送風装置は、整流板を誘引ノズルの吐出口近傍に備えたものである。
【0011】
請求項3に係る換気送風装置は、誘引ノズルの吐出口外縁へ1次流の一部を流すダクトを備えたものである。
【0012】
請求項4に係る換気送風装置は、1次流および2次流の方向を変えるフードを誘引ノズルの下流端に接続したものである。
【0013】
請求項5に係る換気送風装置は、遠心ファンと、1次流を案内する吸込側ガイドと、遠心ファンの吸込側とは反対側に配置されて1次流を半径方向へ案内するガイド板と、吸込側ガイドを覆い、ガイド板との間に吐出口を形成する誘引ディスクとを備えるとともに、ガイド板と誘引ディスクとの間隔が、これらの外周縁に向かって狭くなるようにしたものである。
【0014】
請求項6に係る換気送風装置は、前記請求項5において遠心ファンの直径をD、誘引ディスクの直径をD、遠心ファンの吹き出し幅をH、誘引ディスクの外周縁とガイド板の外周縁とで形成された吐出口幅をH、遠心ファンにガイド板を付けたときの噴流の展開角をαとしたとき、
0.5≦2H/{2H+(D−D)tanα}≦1.5
となるようにしたものである。
【0015】
請求項7に係る換気送風装置は、ガイド板と誘引ディスクとの間を部分的に閉鎖する側板を備えたものである。
【0016】
請求項8に係る換気送風装置は、2次流の通路を開閉する2次流通路開閉手段を備えたものである。
【0017】
請求項9に係る換気送風装置は、2次流の通路内の静圧を検知して2次流通路開閉手段の開閉を制御するようにしたものである。
請求項10に係る換気送風装置は、2次流の通路内の静圧の圧力作用により自己開閉する2次流通路開閉手段を備えたものである。
【0018】
請求項11に係る換気送風装置は、ガイド板の角度を可変にしたものである。
請求項12に係る換気送風装置は、2次流の吸込側近傍で誘引ディスクと吸込側ガイドとを接続する吸込円筒部支持部、および吐出口近傍で誘引ディスクとガイド板とを接続する誘引ディスク支持部を備えたものである。
【0019】
請求項13に係る換気送風システムは、請求項1記載の換気送風装置の吸込側を、請求項5記載の換気送風装置の吐出口に向けて設置したものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示す換気送風装置の断面図、図2は斜視図である。これらの図において、1は室内2と室外3を隔てる壁であり、換気送風装置により室内2の空気を室外3へ送出する場合について示す。30は風量の主成分をなす1次流31を発生させる送風機としての軸流ファン、33は軸流ファンを駆動する60Hz、100Vのモータ、34は1次流31を案内する1次流ガイドとしてのケーシングであり、軸流ファン30を覆う円筒状に形成されていて、その吸込側端部には1次流31の吸い込み圧力損失を低減させるベルマウス35が形成されている。
【0021】
38は後述の2次流を誘引する誘引部としての誘引ノズルであり、ケーシング34の直径よりも大きな直径を有する円筒状で、1次流31の吸込側から吐出側にかけてケーシング34と同軸に設けられている。誘引ノズル38は円筒部36、吸込側端部に形成され2次流の吸い込み圧力損失を低減させるベルマウス39、および円筒部36とベルマウス39とを連結する絞り接続管37から成り、その下流端45はケーシング34の下流端40よりもさらに下流側まで延びている。ケーシング34と誘引ノズル38との間に2次流32の通路48が形成される。誘引ノズル38のベルマウス39の端部内側に形成される環状の2次流吸込口42は、ケーシング34のベルマウス35の端部内側に形成される円形の1次流吸込口41と同一平面あるいはそれよりも下流側(図1において左側)へずれて位置している。
【0022】
次に動作について説明する。モータ33に通電して軸流ファン30を回転させることにより、1次流吸込口41から室内2の空気が吸引され、ケーシング34を経てその吐出口43へ向かう流れ、つまり1次流31が生じる。この1次流31は、ケーシング34の吐出口43から誘引ノズル38内に吹き出される。吹き出された1次流31と、誘引ノズル38内の周囲気体との境界面、つまりせん断面47には速度差が存在するため両者間にせん断力が生じ、そのせん断力に起因する噴流エントレインによって、ケーシング34と誘引ノズル38との間に形成される環状の空間に存在する空気が1次流31に巻き込まれる。この誘引効果により、上記空間内には2次流吸込口42から1次流31のせん断面47に向かって流入する流れ、つまり2次流32が生じる。2次流32は1次流吸込口41と同じ室内2側に隣接して設けられた2次流吸込口42から誘引ノズル38内に流入し、1次流31と合流後、誘引ノズル38の吐出口44から室外3へ吹き出される。
【0023】
ここで、1次流吸込口41と2次流吸込口42とは同じ室内2側に設けられているので、この換気送風装置により室内2から室外3へ向けて送風する全換気送風量は、1次流吸込口41と2次流吸込口42の双方から室外3へ排気される流量の合計に等しく、したがって換気送風量が飛躍的に増大する。
また、送風機はコンプレッサ等の圧縮空気を利用した高速気体吹き出し装置である必要がなく、上記のような軸流ファン、あるいは遠心ファン、斜流ファン等の吹き出し風速が比較的低速な送風機を用いればよいので、噴流から発生する流体騒音、あるいは噴流がケーシング等の周囲の装置に衝突して発生する衝突音等を低レベルに抑制することができる。
【0024】
さらに、この実施の形態では1次流31が軸流ファン30によって形成されるため、強い旋回成分を有する。ケーシング34から誘引ノズル38内部に噴出した旋回成分を有する1次流31は、同口径の吹き出し口から噴出される旋回成分の無い非旋回噴流に比べ、周囲気体の巻き込み混合が激しく、故に周囲気体のエントレイン量も大きくなる。つまり、誘引ノズル38内の周囲気体を効率よく誘引できる利点を持つ。
【0025】
以下に換気送風装置の各部の寸法とその性能の一例を示す。ケーシング34の吐出口43、すなわちケーシング34の下流端40によりその内側に形成される吐出口の直径D0=100mm、誘引ノズル38の吐出口44、すなわち誘引ノズル38の下流端45によりその内側に形成される吐出口の直径D1=140mm、ケーシング34の軸方向の長さL0=130mm、誘引ノズル38の軸方向長さL1=190mm、ケーシング34の吐出口43から誘引ノズル38の吐出口44までの軸方向距離L=70mm、1次側吸込口41から下流方向への2次側吸込口42のずらし量a=10mmとした。ずらし量aは零または正の値であれば誘引効果に悪い影響を与えない。
【0026】
上記換気送風装置における誘引ノズル38の大きさを決定する際には、ケーシング34の吐出口43からコーン状に拡がる1次流31の展開角が必要となるため、この展開角を求める以下の事前検討を実施した。まず、軸流ファン30、モータ33、ケーシング34で構成した送風装置を暗室内の開放空間で作動させる。そのとき1次流吸込口41から加湿器によって生成された水蒸気を噴霧すると、水蒸気がトレーサとして混合された旋回噴流(1次流)が吐出口43から吹き出される。この噴流の下流方向に設置されたハロゲンランプ等の光をスリットに通して得られるシート状の光を照射することにより、噴流の吹き出す様子が可視化される。水蒸気から生じた微細水滴が混入した噴流は、シート状の光を受けて乱反射を起こすため、画像中では白く浮き出して捉えられる。この噴流をCCDカメラで撮影することによって静止画像を得る。この画像に白く写った乱反射像を噴流としてその展開角α1を読みとったところ、約16度であることが判明した。
【0027】
次に、上記で求めた展開角α1から誘引ノズル38の諸元を決定する。ケーシング34の吐出口43から誘引ノズル38内に吹き出される1次流31が誘引ノズル38の内壁面に衝突することなく、誘引ノズル38の下流端45の吐出口44に到達し、かつ吐出口44における噴流断面の直径が吐出口44の直径とほぼ等しい場合に、誘引量は最大になる。噴流断面の直径に比べて誘引ノズル38の直径が小さすぎると噴流が誘引ノズル38の内壁面に衝突して損失が増し、送風流量が減少する。逆に大きすぎると吐出口44に主噴流が存在しない領域ができ、その部分で、下流側から吐出口44を経て誘引ノズル38内へ向かう逆流が生じるからである。この点についてはさらに後述する。
【0028】
上記の例ではケーシング34の直径D0が100mm、誘引ノズル38の直径D1が140mm、噴流の展開角が16度であるので、ケーシング34の吐出口43から誘引ノズル38の吐出口44までの軸方向距離Lを
L=(D1−D0)/(2tanα1)≒70mm
とした。このようにした場合、ケーシング34の吐出口43から吹き出される噴流の断面は誘引ノズル38の吐出口44の断面と一致する。
【0029】
この換気送風装置を60Hz、100Vの定格電圧で駆動させ、1次流吸込口41と2次流吸込口42の合計流量を測定したところ、180m3/hであった。これに対して、誘引ノズル38を設けずに、軸流ファン30、モータ33、ケーシング34で構成した送風装置の流量を同一入力条件で測定すると116m3/hであった。このように、誘引ノズル38を装着して2次流を発生させることにより、流量を約55%増加させることができた。
【0030】
ところで、噴流の展開角は装置によって異なり、例えば一般的な非旋回の軸対称円形噴流の展開角が6度であるのに対し、上記の例では16度であった。上記の例においてはケーシング34から吹き出される噴流が旋回成分を有しており、この旋回成分に起因する遠心力によって吹き出し直後から速やかに拡散することにより、その展開角は、旋回成分のない円形断面の吐出口から吹き出される軸対称噴流の展開角に比べて大きくなる。さらに、この展開角は軸流ファンの回転数やファン状形等によって異なるため、誘引ノズルの諸元を決定するに当たってはあらかじめ実測しておく。
【0031】
誘引のメカニズムを考えると、ケーシング34から噴出された1次流31が展開角α1で誘引ノズル38内に広がり、誘引ノズル38の下流端45に位置する吐出口44に達したときの噴流断面積が、吐出口44の面積と同程度であることが望ましい。
誘引ノズル38の吐出口44の直径が噴流の断面直径よりも小さく、噴流が誘引ノズル38の内壁面と衝突する場合には、衝突部において噴流の持つ動圧の一部が静圧に変換され、誘引ノズル38内部に逆圧力勾配を生じて、軸流ファン30の動作ポイントが高圧側にシフトして送風流量が減少する。
【0032】
逆に、図3に示したように吐出口44の直径D1が、吐出口44位置における噴流の断面直径Dよりも大きい場合には、吐出口44に主噴流が存在しない環状の領域ができ、その部分で下流側から吐出口44を経て誘引ノズル38内部に向かう逆流46が発生する。この逆流46は、エントレインにより1次流31に巻き込まれて吐出口44から外部に放出される誘引ノズル38内の空気を補うために、吐出口44の一部から空気を吸い込む現象である。この場合、2次流吸込口42から吸い込み流量が減少するため、換気送風装置としての全送風量が減少する。
【0033】
誘引ノズル38の吐出口44の直径を、同位置での噴流断面直径Dと同じとしたときの関係を式で表す。
1=D0+2Ltanα1
故に、D1/(D0+2Ltanα1)=1 (1)
(1)式の左辺は正しく1でなくとも実用的に支障ないが、この値が0.5より小さいと誘引ノズル38内壁面への噴流の衝突による圧力損失のための流量減少が大きくなり、また、1.5より大きいと吐出口44から誘引ノズル38内への逆流46による流量減少が大きくなる。したがって、(1)式左辺の値は0.5以上、1.5以下にするのが好ましい。
【0034】
実施の形態2.
本発明による装置をエア搬送置として使用する場合には、誘引作用により増量した噴流を遠方まで拡散させることなく搬送することが必要となる。エア搬送装置は、ダクトを使用せずに換気送風装置間で空気のやりとりを行うものであるため、換気送風装置から吹き出される噴流が減衰することなく遠方まで到達することが望ましい。
図4はこのような用途に適した実施の形態2を示す換気送風装置の斜視図、図5はその断面図である。これらの図において、51は誘引ノズル38の吐出口近傍に設けられて、流れを整流するための整流板であり、軸流ファン30の軸方向に平行な多数の板を格子状に組んで構成している。その他は実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
【0035】
次に動作について説明する。モータ33に通電し、軸流ファン30を作動させて生じる1次流31は、ケーシング34を経てその吐出口43から吹き出されるとき、軸流ファン30の回転に伴う強い旋回成分を有する。旋回噴流はその遠心力のために回転軸から半径方向に急激に広がっていく性質を持つ。加えて、運動量輸送に伴う大規模な拡散現象が生じるため、エントレイン量は通常の非旋回噴流と比べて多いという性質がある。後者の性質は、誘引ノズル38内部のエントレインが効率的に行われ、2次流が増大することに結びつく。しかしながら、前者の性質は、誘引ノズル38内で誘引効果によって増量した噴流を吐出口44から開放空間に向けて吹き出す際に、噴流の到達距離が減少する原因となる。そこで、後者の性質を保持しつつ、前者の性質を排除するために誘引ノズル38の吐出口44近傍に整流板51を配置する。
【0036】
図5において、ケーシング34の吐出口43から誘引ノズル38内に噴出された1次流の旋回噴流は、そのせん断面においてエントレイン作業で周囲空気を巻き込みながらも旋回成分を維持しつつ整流板51へ向かう。整流板は流れの旋回成分を除去するものならいかなるものでもよく、例えば整流格子、ハニカム、整流メッシュ、軸流ファン30と回転方向が逆の反転ファン等が挙げられる。整流板51を通過して旋回成分が大幅に減少した噴流は、吐出口44から吹き出されたとき、周知の如く、旋回成分を有する噴流に比べて到達距離が伸びる。
【0037】
実施の形態3.
吐出口から吹き出される噴流の到達距離を増加させるための手段として、吹き出された噴流のエントレイン量を減少させて到達距離を増大させることが考えられる。図6は実施の形態3を示す換気送風装置の斜視図であるが、誘引ノズル38を透明化して示している。図7はその断面図である。図において、55はケーシング34内から誘引ノズル38の吐出口44外縁へ、1次流31の一部を流すためのダクトである補助流ダクト、56はケーシング34の吐出口43に開口した補助流吸込口57を一方に有する導風ダクトであり、2次流32の流れを阻害しないように細幅に形成されている。58は誘引ノズル38の下流端45内面に接する位置、すなわち吐出口44の外縁に周回して設けられた2重円筒状の連結ダクトであり、一方が導風ダクト56に滑らかに連通するとともに、吐出口44外縁に開口した補助流吐出口59を他方に有している。導風ダクト56と連結ダクト58により補助流ダクト55を構成している。その他については実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
【0038】
次に動作について説明する。軸流ファン30により生じた1次流31はケーシング34の吐出口43から吹き出されると同時に、1次流31の一部が補助流吸込口57へ吹き込まれ、導風ダクト56に入って1次流31と隔絶され、連結ダクト58に運ばれて補助流吐出口59から補助流60として吹き出される。この際、導風ダクト56から連結ダクト58にかけて、下流方向に向かって滑らかに流路幅を増大するように形成されているので、流れが均一に減速され、連結ダクト58の円周方向で均一の低速流となる。
【0039】
このようにして形成された補助流60は、吐出口44から吹き出される1次流31と2次流32の合流気体のせん断面に沿って噴出される。
ここで、補助流60は流路の拡大や管路摩擦等の圧力損失のために減速し、補助流吐出口59では1次流31と2次流32の合流した主流よりも流速が小さくなっている。
61は吐出口44における主流速度分布、62は補助流吐出口59における補助流速度分布である。小さな流速を持つ補助流60を主流のせん断面に沿って噴出することにより、主流とそこの雰囲気との間のせん断力が緩和され、吹き出し直後のエントレインが減少する。このエントレインの減少は噴流コアを延長させ、ひいては噴流の到達距離を増大させることになる。ここで、導風ダクト56は細幅のダクトにしたので、1次流31の誘引ノズル38内への吹き出しを阻害して誘引効果を減ずる度合いは小さい。
【0040】
以上のように、1次流31のエントレインにより2次流吸込口42から吸い込む2次流の量を保ちながら、かつ、吐出口44からの吹き出しのエントレインを減少させるので、誘引効果によって増大した噴流を遠方まで到達させることができる。
なお、図8は補助流速度分布を示したものであり、(a)のように4角形状の速度分布を持つ補助流を噴出させた場合でも、十分にエントレイン低減効果が得られるが、(b)に示したような主流速度分布61の外縁と周囲気体の速度分布とを滑らかに連結するような三角形状の速度分布を持つ補助流を噴出させれば、エントレインの減少量はさらに大きくなって、噴流の到達距離が伸びる。
【0041】
実施の形態4.
図9はこの発明の実施の形態4を示す換気送風装置の一部を破断して記した斜視図であり、換気装置として用いる場合を示す。誘引ノズル38は4角筒状に形成されているが、実施の形態1の場合と同様の作用をする。その他、実施の形態1と同じ符号を付けた部材は、それぞれ実施の形態1に示したものに相当するので説明を省略する。
通常の換気装置は軸流ファン30とケーシング34とで構成され、吸込口から室内の空気を吸い込んで吐出口から室外へ排気するので、換気風量は軸流ファン30の風量に等しい。ところが、台所やサニタリー等の換気が必要な空間における換気量を確保するには上記構成では不十分であることがあり、そのような場合は大換気量を実現するために軸流ファンの回転数の増大や大口径化等が必要となる。しかし、本発明によれば誘引ノズル38を設けることにより、同一口径のファンに同一入力を与えた場合でも、実施の形態1で説明したように風量を増大させることができる。
【0042】
ところで、換気装置における無視できない問題として、外風の問題がある。室外3において頻繁に生じる外風は、換気装置の吐出口に衝突し、静圧に変換されて軸流ファンの吐出面の静圧を上昇させるため、室内外の圧力差が増大して軸流ファンの働きを妨げる。この問題を解決するには外風避けのためのフードを設置すればよい。
図において、65はこのような目的で設けたフードであり、エルボー型の曲がりダクトで構成されている。66はフード65に下向きに形成された排気口である。図10は断面図である。
【0043】
1次流31と2次流32の混合気である排気は、誘引ノズル38の吐出口44からフード65内に噴出される。その排気はフード65を通過して排気口66から室外3へ下向きに放出される。外風67が水平にどの方向から吹いて来ても、フード65の内部に侵入し難く、外風67による静圧上昇を防止できる。さらに、排気口66は下向きになっているので雨水の侵入も防止できる。
【0044】
実施の形態5.
以上の実施の形態では送風機として軸流ファンを用いたが、この実施の形態では遠心ファンを用いたものを示す。図11はこの発明の実施の形態5を示す換気送風装置の斜視図、図12はその断面図である。これらの図において、70は換気または送風の風量の主成分をなす1次流31を発生させる送風機としての遠心ファン、33は遠心ファン70を駆動するモータ、73は遠心ファン70の吸込側に配置された吸込側ガイドとしての吸込円筒部であり、円筒状で、一端にベルマウス状にした1次流吸込口41を有するとともに、他端が遠心ファン70の吸気口72に連通している。74は円環板状の吸込補助板であり、その外径は遠心ファン70の外径よりも大きく、内径側が吸込円筒部73の他端側と滑らかな形状でつながっている。76は遠心ファン70の吸気口72側とは反対側に配置されて1次流31を半径方向へ案内するガイド板であり、円板状でその直径は遠心ファン70の直径よりも大きくなっている。吸込円筒部73とガイド板76とで、1次流31を案内する1次流ガイドを構成している。
【0045】
77は2次流を誘引する誘引部としての誘引ディスクであり、吸込円筒部73と離隔してこれを覆い、上流側はベルマウス状、下流側はガイド板76と平行な円環板状でこれらを滑らかに接続した形状になっており、その下流端、すなわち外周縁78は吸込補助板74の下流端、すなわち外周縁75よりもさらに下流側まで延びている。吸込円筒部73と誘引ディスク77との間に2次流32の通路48が形成される。誘引ディスク77の外径はガイド板76の外径と同等の大きさになっており、誘引ディスク77の外周縁78とガイド板76の外周縁79の間に吐出口80が形成されている。1次流ガイドの吸込円筒部73と誘引ディスク77の上流端との間に2次流吸込口42が形成されている。2次流吸込口42は1次流吸込口41と同一平面上もしくは下流方向にずれて位置している。
【0046】
次に動作について説明する。モータ33に通電して遠心ファン70を回転させると、1次流吸込口41から周囲空気が吸引され、吸込円筒部73を通って吸気口72から遠心ファン70の内部に到達する。この流れ、すなわち1次流31が遠心ファン70の回転に伴う遠心力によって、翼間から放射状に遠心ファン70の外部に放出される。放射状に噴出された1次流31はガイド板76と吸込補助板74の間隙で水平方向に整流され、さらにそれに続くガイド板76と誘引ディスク77の間隙に噴出される。81は遠心ファン70から吹き出された1次流31の半径方向速度成分の吹出口幅方向の分布である。ガイド板76と誘引ディスク77の間隙において、1次流31は誘引ディスク77下の空気と接するため、相互間に流体の速度差によるせん断力が発生し、誘引ディスク77下の空気は1次流31に巻き込まれてエントレインが生じる。巻き込まれた空気の不足分を補うために2次流吸込口42から空気が誘引され、2次流32が形成される。
【0047】
ここで、1次流吸込口41と2次流吸込口42とは、同じ側(例えば室内側)に配置されているため、換気送風装置の吸込流量は1次流31と2次流32の合計となり、エントレインによって発生する2次流32の流量分だけ換気送風装置の全体風量が増加する。
さらに、1次流吸込口41および2次流吸込口42をベルマウス状に形成することによってそれぞれの吸い込み圧力損失を低減でき、また、吸込円筒部73と吸込補助板74とを滑らかに接続することによって2次流32が通過する際の圧力損失を低減でき、これらにより換気送風装置の風量が増大する。
【0048】
実施の形態6.
一般的に遠心ファンから吹き出される気流は図12の速度分布81に示すように、ガイド板76近傍で、流速が最大になるような下方向に偏った速度分布になる。この場合、1次流31と2次流32が接するせん断面47近傍における1次流の速度勾配が小さいために、せん断面に働くせん断力も小さくなり、その結果、誘引される2次流32の流量も小さくなってしまう。実施の形態6はこの点を改善するものであり、図13はその断面図である。
【0049】
77は誘引ディスクであり、ガイド板76に向かって滑らかに絞り込まれている。そのため、ガイド板76と誘引ディスク77との間隔がこれらの外周縁79、78に向かって滑らかに狭くなっている。その他の部分は実施の形態5と同様であるので説明を省略する。
遠心ファン70の直径をD2、ガイド板76の直径をD3、遠心ファン70の吹き出し幅をH0、吐出口80の吐出幅をH1、遠心ファン70に誘引ディスク77を付けず、吸込側ガイド71とガイド板76を付けたときの遠心ファン70からの噴流(1次流)の展開角をα2、上記と同じ条件におけるガイド板76の外周縁79位置での噴流幅をHとする(図12の記号参照)。
【0050】
吐出口幅H1は噴流幅Hよりもやや小さくするのが望ましい。そうすることにより、遠心ファン70から吹き出される1次流31を縮流させ、その速度分布の偏りを軽減あるいは除去し、そのため1次流31と2次流32が接するせん断面47近傍における1次流の速度勾配が増大し、エントレインによる誘引量が増加する。
しかし、吐出口幅H1を噴流幅Hよりも大幅に小さくすると、1次流31と2次流32と合わせた吹出風の出口断面積、つまり吐出口80の面積が小さくなり、縮流による圧力損失が増大して換気送風装置の合計風量はかえって低下してしまう。
【0051】
逆に、吐出口幅H1を噴流幅Hよりも大きくした場合について、図14で説明する。図のように構成した場合、せん断面47と誘引ディスク77の外周縁78の間に1次流31の存在しない領域ができる。1次流31のエントレインにより発生する2次流32は、通常、2次流吸込口42から供給されるが、吸込円筒部73、吸込補助板74と誘引ディスク77とで囲まれた間隙を通過する際の圧力損失と、誘引ディスク77の外周縁78とせん断面47の間に形成される開放空間から吸い込む際の吸込圧力損失とを比較したとき、後者の方がより圧力損失が小さくなる場合があり、その場合には、誘引ディスク77の外周縁78とせん断面47の間から吸い込まれる逆流46が生じる。逆流46が生じると、せん断面47から巻き込まれる2次流31が逆流46に置き換えられるため、2次流吸込口42からの吸い込み流量が減少する。つまり、吐出口幅H1を大きくし過ぎると換気送風装置の全体吸い込み風量に寄与しないショートサーキット的な、吐出口80からの逆流46が生じて全送風量は減少することになる。
【0052】
図12から分かるように
1/H=2H1/{2H0+(D3−D2)tanα2
となる。H1/Hが0.5より小さいと吐出口80における圧力損失が著しく増大し、また、1.5より大きいと吐出口80からの逆流が増大するので、H1/Hは0.5以上、1.5以下の値にするのが好ましい。
【0053】
ガイド板76と誘引ディスク77の間隔を狭くするには、上記のように誘引ディスク77をガイド板76に向かって接近させる構成の他に、図15に示すようにガイド板76を誘引ディスク77に向かって絞り込んで滑らかに接近させるようにしてもよい。あるいは両者とも互いに接近するように絞り込んでも同様の効果を奏する。
【0054】
実施の形態7.
実施の形態5では、遠心ファンの吹き出し風がガイド板に沿って放射状に拡散するように構成されていたが、吹き出し風を回転軸方向に偏向させるようにしてもよい。図16は実施の形態7の換気送風装置の一部破断した斜視図であり、図17はその断面図である。これらの図において、85は1次流31を案内する1次流ガイド、86は遠心ファン70の吸込側に配置された吸込側ガイドとしての吸込円筒部、87は遠心ファン70の外径側にこれと離隔してこれを覆うように配置された吐出側ガイドとしての1次流ガイド筒であり、吸込円筒部86と1次流ガイド筒87とで1次流ガイド85を構成している。吸込円筒部86は円筒状で、一端にベルマウス状にした1次流吸込口41を有し、他端は遠心ファン70の吸気口72に連通している。1次流ガイド筒87は円筒状で、上底側の遠心ファン70との環状の間隙は閉じられ、また下流端は遠心ファン70の下端よりも下方へ延びて、1次流31の吐出口43を形成している。
【0055】
88は吸込円筒部86および1次流ガイド筒87と離隔してこれらを覆う円筒状の誘引ノズルであり、その上流端はベルマウス状になって、吸込円筒部86との間に2次流吸込口42を形成するとともに、下流端は1次流ガイド筒87の下流端よりもさらに下流側まで延びて、1次流31と2次流32の合成流の吐出口44を形成している。2次流吸込口42は1次流吸込口41と同じ平面上、もしくは下流側に若干ずれて位置している。
【0056】
次に動作について説明する。遠心ファン70を回転させると、1次流吸込口41から周囲気体が吸引され、吸込円筒部86および遠心ファン70内部を通過して、放射状に遠心ファン70の外部に放出される。放射状に放出されたこの1次流31は1次流ガイド筒87の内壁面に衝突して、遠心ファン70の回転軸方向に、すなわち図において下方向に流れが変えられる。下向きの流れになった1次流31は、1次流ガイド筒87の吐出口43から、旋回成分を持ちながら誘引ノズル88内に吹き出される。
【0057】
1次流31は誘引ノズル88の内壁近くの周囲空気と接触するため、相互間に流体の速度差によるせん断力が発生し、周囲空気を巻き込んでエントレインが生じる。巻き込まれた空気の不足分を補うために2次流吸込口42から空気が誘引され、2次流32が形成される。1次流吸込口41と2次流吸込口42は同じ側(例えば室内側)にあるので、換気送風装置の吸込流量は1次流31と2次流32の総計となり、エントレインによって発生する2次流32の流量分だけ換気送風装置の風量が増加する。
【0058】
実施の形態8.
図18はこの発明の実施の形態8を示す換気送風装置の斜視図であり、図19はその断面図である。この実施の形態は遠心ファンを用い、かつ外風による悪影響を防止するものである。遠心ファン70は軸を水平にして設けられている。図において、93は図11の誘引ディスク77と同様の誘引ディスクであるが、図18において下方の外形が直線になって、全体としてU字状の外形になっている。94は図11のガイド板76と同様のガイド板であるが、図18において下方の外形が直線になって、全体として誘引ディスク93と同じU字状の外形になっている。95は平板を曲げてU字形にした形状の側板であり、誘引ディスク93およびガイド板94の外周縁に接続され、両者間を上方から両側方にかけて閉鎖し、下方のみ開口している。その開口部分で吐出口96を形成している。その他は実施の形態5と同様であるので説明を省略する。
【0059】
次に動作について説明する。遠心ファン70を回転させると、1次流吹込口41から周囲空気が吸引され、遠心ファン70から誘引ディスク93とガイド板94と側板95とで囲まれた空間へ噴出される。噴出されたこの1次流31のうち、上方または側方に向かって吹き出された気流は、側板95に沿って吐出口96向きの流れに変えられ、ここから外へ吹き出される。一方、下方へ向かって吹き出された気流は直接吐出口96から吹き出される。81は1次流の速度分布である。このとき、遠心ファン70から吹き出された1次流31と誘引ディスク93との間の空隙に存在する低速流体と、1次流31との間にせん断力が生じ、1次流31に巻き込まれる2次流32が形成され、2次流32は2次流吸込口42からせん断面47へ向かう流れとなる。
ここで、1次流吸込口41と2次流吸込口42は同じ側に配置しているので、2次流32の分だけ換気送風装置の全体風量が増加する。
【0060】
また、吐出口96を下向きに設けたので、外風67が水平にいずれの方向から来ても、遠心ファン70の外圧上昇を避けることができるとともに、雨水の侵入を防止できる。つまり、誘引ディスク93、ガイド板94および側板95で構成されるダクト部は、1次流31のエントレインを利用して2次流32を形成するノズルと、外風67による外圧上昇を防止するためのフードと双方の役割を併せ持つ。
なお、諸部材の位置や寸法によっては、遠心ファン70から上方に向かって吹き出された1次流31が側板95に当たって方向転換し、図19に示したように2次流吸込口42に向かう逆流97が生じることがある。その場合は、2次流吸込口42の上部を閉じる仕切り98を設けるとよい。
【0061】
実施の形態9.
図20はこの発明の実施の形態9を示す換気送風装置の断面図である。この実施の形態は、実施の形態6で述べたのと同じ理由、すなわち、図19の81で示した速度分布の偏りを改善して、誘引される2次流32を増大させるために、吐出口96の幅、つまり吐出口幅H1を狭くしたものである。
ガイド板94が誘引ディスク93に向かって滑らかに絞り込まれ、ガイド板94と誘引ディスク93との間隔がこれらの外周縁に向かって滑らかに狭くなっている。その他の部分は実施の形態8と同様であるので説明を省略する。
【0062】
吐出口幅H1を十分広くして、図19のように吐出口96において誘引ディスク93との間に1次流31の無い領域が存在する状態で吐出口96位置での噴流幅をH2とすると、吐出口幅H1は噴流幅H2と同等もしくは若干小さい幅に調整するのが望ましい。そうすることにより吐出口96における圧力損失を増やすことなく、2次流を大きくすることができる。
【0063】
図21に誘引ディスク93をガイド板94に向かって滑らかに絞り込むことにより、両者の間隔を狭くし、吐出口幅H1を狭くした側を示す。また、互いに接近するように両者とも絞り込むようにしてもよい。このようにしても、上記と同様の効果を奏する。
【0064】
実施の形態10.
実施の形態1乃至4において、1次流31を生じさせるための送風機として軸流ファンを利用した換気送風装置について述べたが、それらは圧力損失が付加されていない状況(開放側)においてその風量を大幅に増大させるものであった。図22は風量−静圧特性曲線図であり、115は実施の形態1即ち図1に示した換気送風装置の送風性能を示す風量−静圧特性曲線である。116は通常の、つまり非誘引式の曲線であり、図1の装置で誘引ノズル38を取り付けない場合と同等の送風機の送風性能曲線を示している。図より、開放側(静圧が0mmAq)では図1の換気送風装置は従来の送風機の1.55倍の風量を実現しているが、吐き出し面に外風が当たって静圧が上昇したり、圧力損失の大きなダクトが接続されたりするような、風量が0m3/hに近くなるような閉切側では、従来の送風機に比べ静圧が低くなっていることが分かる。これは、閉切側では、誘引ノズルの吐出口44に圧力損失が付加されており、1次流31は全てが誘引ノズルの吐出口44から噴出せず、1次流31の一部がより圧力損失の少ない誘引ノズル38内部から2次流吸込口42への経路をたどって逆流することが原因である。この現象により、2次流吸込口42を設けた実施の形態1で示した換気送風装置の閉切側の静圧が低下する。そこで、次に、閉切側静圧を増大させるための構成について述べる。
【0065】
図23はこの発明の実施の形態10を示す換気装置の中心軸に沿った平面における断面図であり、上半分だけを図示している。実施の形態1と同様の部分については説明を省略する。図において、126は円筒状の2次流通路開閉手段としてのスライドシャッタであり、円筒状の誘引ノズル38の吸い込み側の円周に沿ってはめ込まれ、且つ誘引ノズル38の軸方向に沿ってスライドすることによっって誘引ノズル38の上流端と1次流吸込口41に形成したベルマウス35との間の2次流吸込口42を任意に変えて開閉調節することが可能なように構成されている。また、実施の形態1に示した図1の前記換気送風装置と比較して、1次流吸込口41に形成したベルマウスの外周端が誘引ノズルの外縁と同じ若しくはそれ以上の半径を持ち、さらに誘引ノズル38の上流端と該ベルマウス35の外周端は平行或いはスライドさせて完全に遮蔽できるような形状となるよう構成されている。
【0066】
次に、動作について説明する。図23においてスライドシャッタ126とベルマウス35の隙間に構成される2次流吸込口42の開口幅をLiとする。スライドシャッタ126を誘引ノズル38の軸方向にスライドさせ、Liを0mm(通常の送風機)、10mm、20mm、30mm(全開)と変化させた場合の風量−静圧特性曲線を図24にそれぞれ曲線116、117、118、115で示す。曲線115、116は図22に示したものと同じである。図より、開口幅Liが大きいほど開放側(静圧0mmAq近傍)の風量は増大するが、逆に閉切側(風量0m3/h)の静圧は減少することが分かる。
【0067】
従って、このように構成することにより、大きな静圧を必要とすることが生じる環境に前記換気送風装置を利用する場合でも、環境の状況に応じてスライドシャッタ126を1次流吸込口41のベルマウス35方向へスライドさせ、2次流吸込口42を開、閉あるいはその中間の状態にして必要な静圧を得ることができる。
【0068】
また、高静圧化を図るには2次流吸込口42からの逆流を防止すればよいことに着目する。逆流が生じる場合には、誘引ノズル38内部への1次流31の剪断面47におけるエントレインが発生しないため、誘引ノズル38内部は負圧にならずに正圧に転じる。この現象を利用して、該換気送風装置の閉切静圧を自動制御する。スライドシャッタ126を開口幅Liを達成する位置に移動させるための例えばボールネジとモータの組合せ等の自動送り機構を付随させる。そしてセンサにより2次流の通路48内の、例えば誘引ノズル38内壁面における静圧を検知して、その値が、吸い込む気体が存在する空間の大気圧よりも大きくなった場合に、スライドシャッタ126を2次流吸込口42のベルマウス35の方向へ移動させることで、その静圧差に反比例するように徐々にLiを減少させるか、あるいは誘引ノズル38内部が大気圧よりも低いときは全開にしておき、大気圧よりも少しでも高くなったら全閉の状態になるよう送り機構を利用してスライドシャッタ126を制御することによって、所望の閉切静圧を達成し、高静圧を得るようにすることができる。
【0069】
図23では、誘引ノズル38と1次流吸込口41のベルマウス35の間に円筒状のスライドシャッタ126を設けるよう構成されていたが、その他に図25のように誘引ノズル38を軸流ファン30のケーシング34に取り付ける誘引ノズル支持部129を介して軸方向に前後にスライド可能なように構成することも可能である。この場合、誘引ノズル支持部129は誘引ノズル38側に固定されていて、ケーシング34との間で滑り移動しても、ケーシング34側に固定されていて誘引ノズル38との間で滑り移動してもよく、誘引ノズル38をスライド機構を有した誘引ノズル支持部129を介してスライドすることにより、2次流吸込口42の開口幅Liを可変とすることができ、同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0070】
また、誘引ノズル38を移動させて任意の開口幅Liを実現するよう送り機構を付随させることにより、同様に、誘引ノズル38内壁面の静圧を検知し、その圧力と大気圧との差を参照しながら自動的に誘引ノズル38を軸方向に前後させ、2次流吸込口42の開口幅Liを変化させることで、閉切側静圧を制御することが可能であることは言うまでもない。
【0071】
次に図26では、2次流吸込口42に接続する円錐状の2次流吸込口拡大部130を設け、2次流吸込口拡大部130の直径を1次流吸込口41よりも大きくなるように構成し、1次流吸込口41のベルマウス35外周端は、2次流吸込口拡大部130の内壁と接触面を形成して気密性を有するようにその端部が処理されている。ここで、ケーシング34と誘引ノズル38は、図25の場合と同様にスライド式の誘引ノズル支持部129を介して接続されており、ケーシング34を軸方向前後にスライド移動することが可能になっている。2次流吸込口拡大部130が連接された誘引ノズル38が固定されているこの場合では、軸流ファン30のケーシング34を誘引ノズル支持部129を介して軸方向にスライドさせることにより、2次流吸込口拡大部130内壁と1次流吸込口41のベルマウスの間に形成される隙間の開口幅Liを任意に調節できる。従って、図23及び図25の場合と同様に高静圧化の効果を奏する。さらに、誘引ノズル38内部の壁面静圧を検知し、その静圧と大気圧の差圧に応じて、開口幅Liを自動的に変更することにより任意の閉切静圧を達成し、高静圧を得ることができる。
【0072】
第26図では、誘引ノズル38の形状を円錐状にして2次流吸込口拡大部130を形成したが、図27に示すようにケーシング34を円錐状に形成しても同様の効果を奏することができる。この場合、1次流吸込口の圧力損失を低減するためにケーシング34の内側をベルマウス形状とすると送風性能を更に高めることができる。
【0073】
さらに図28は2次流吸込口42の開口率を変化させる別の機構を示す斜視図であり、同図(a)のS部の拡大図を同図(b)に示す。図28において、図1と同様の装置の2次流吸込口42には任意の個数の開口部152を有したリング状板150がはめ込まれ、開口部152を任意の割合で閉塞させるためのスライド弁127とスライド弁127をリング状板150に沿ってスライド可能なように取り付けるためのスライド弁支持部128が設けられている。
図中に示した矢印の方向に任意に移動させて2次流吸込口42の開口率を変化させることができる。例えば閉切静圧を増大させる場合にはスライド弁127をスライドさせて2次流吸込口42の開口率を減少させればよい。このように構成することにより、図23、図25、図26、図27の開口率可変機構と同様に高静圧化の実現が可能である。さらに、誘引ノズル38内の静圧検知センサとスライド弁127の開閉を制御するための送り機構を付随させることにより、スライド弁127を自動制御することも可能である。
【0074】
実施の形態11.
実施の形態10において、2次流吸込口42の開口率を任意に変更することにより、閉切静圧を変化させ、特に高静圧化が実現可能であることを示した。しかしながら2次流吸込口42の開口率を減少させて閉切側の静圧を増大させると、その開口率では開放側の風量の増大量が減少してしまう。そこで、次に、2次流吸込口42に2次流通路内の静圧に応じて自己開閉するシャッタを設けることにより、閉切側の高静圧を必要とする状態と開放側の大風量を必要とする状態のいずれにも対応できる装置について説明する。
【0075】
図29はこの発明の実施の形態11を示す換気送風装置の斜視図であり、実施の形態1の図1に示した装置の構成に加えて誘引シャッタ120を設けたものであり実施の形態10の場合と同様の部分については説明を省略する。図30はその中心軸を含む平面における断面図であり、上半分を示す。図において、120は2次流吸込口42の誘引ノズル38内部側に設けられた開閉自在な誘引シャッタである。2次流吸込口42には、任意の個数(ここでは6個)の開口部152を有するリング状板150が設置され、開口部152には各々薄板状のセルロイド、プラスチック、発泡スチロール等の軽量且つある程度の堅牢性を有する材料により形成された誘引シャッタ120が軽やかに開閉するように支持部153でケーシング34側に取付けられている。誘引シャッタ120の支持方法については、例えば、誘引シャッタ120の支持部153を円筒状に加工し、円筒内部に鉄芯、針金等の直線部材を挿入して両端を回転可能なようにリング状板150あるいはケーシング34の吸込口に固定する方法や、蝶番等の開閉部材を用いる方法等があるが、何れの方法にせよ、誘引シャッタ120の開閉を滑らかにするよう考慮されなければならない。
【0076】
次に動作について図31の断面図を用いて説明する。誘引ノズル38の吐出口44側の圧力損失が0mmAq即ち開放条件の様子を示したのが図31(a)である。開放条件では、軸流ファン30からの1次流31によって誘引ノズル38内部に2次流32が誘引される。この誘引効果により、2次流の通路48内、つまり誘引ノズル38内部は負圧となるため誘引シャッタ120はその表裏面に圧力差が発生するため支持部153を支点にして誘引ノズル38内部に開かれ、前記開口部42を介して2次流32が誘引ノズル38内部に吸引される。
【0077】
そして、誘引ノズル38の吐出口44側の圧力損失が増大していくと、誘引ノズル38内部に吹き出される1次流31の流速が減少し、同時に誘引量も減少して全流量が減少する。さらに圧力損失を増大すると、誘引ノズル38の内部の静圧が上昇し、ついには吸込口外部の圧力である大気圧を越えることになる。実施の形態1の換気送風装置では、この時点で2次流吸込口42における逆流が発生するが、本実施の形態においては、誘引ノズル内部側に開閉自在で、圧力作用により自己開閉する誘引シャッタ120を設けているため、図31(b)に示すように誘引ノズル38内部の圧力上昇により誘引シャッタ120の表裏面に圧力差が生じて、2次流吸込口42を閉塞するように移動し、逆止弁と同様の効果を奏する。従って、これ以降吹出側の圧力損失が増大しても、2次流吸込口42からの逆流現象は発生せず、通常の、つまり非誘引式の送風機と同様の送風性能を示すことになる。
【0078】
次に図32に示す曲線119は、この実施の形態の換気送風装置の風量−静圧特性曲線である。なお、曲線115、116は図22における特性曲線と同じである。
図より、本実施の形態に基づく誘引シャッタ120付き換気送風装置では、90m3/h・1.0mmAqの交差点よりも開放側(大流量側)において誘引シャッタ120が開の状態となって誘引効果が生じることにより、曲線115で示した実施の形態1の前記換気送風装置の性能曲線と同様に風量が増加する。一方、上記交差点より閉切側では、誘引シャッタ120が閉の状態となって2次流吸込口42からの逆流が防止されるため、曲線116で示した通常の非誘引式の送風機の性能曲線と同様に高静圧を得ることができる。
【0079】
以上のように、2次流吸込口42に誘引ノズル38内部側にのみ開く開閉自在な誘引シャッタ120を設けたので、特別な制御機構を必要とすることなく圧力作用により自己開閉して閉切側の高静圧と開放側の大風量を状況に応じて得ることができる。
例えば、外風の有無により静圧が変動するような環境に装置が設置される場合、状況に適した効率の良い換気送風を行うことができる。
【0080】
図29に示した前記換気送風装置では、誘引シャッタ120の支持部153はリング状板150に設けた2次流吸込口42のケーシング34側に設けられていたが、その支持部153は誘引ノズル38側で、誘引シャッタ120の完全な開閉を妨げない位置であればどこでもよい。例えば、図33は誘引シャッタ120を有した換気送風装置の斜視図を示したものであり、図34はその断面図である。図29及び図30と異なる点は、誘引シャッタ120の支持部153がリング状板150の誘引ノズル38側に設けられている点である。2次流吸込口42から吸い込まれる2次流32は、図34に示したように軸方向に対して外周方向へ傾いた方向から吸い込む指向性を有する。本構成では、2次流32の吸い込みを妨げないように誘引シャッタ120が開くため、吸い込みの圧力損失も少なく、2次流32の流量も増大する。
【0081】
また、図29および図33では、誘引ノズル38の形状は円筒形であるとして誘引シャッタ120を設けていたが、勿論誘引ノズル38の形状は円筒形に限定されず、任意の形状であってもよい。例えば、図35は、矩形断面を有する誘引ノズル38に誘引シャッタ120を設けた換気送風装置の一例を示す斜視図である。図において誘引ノズル38の上流端とケーシング34の上流端の間に形成される2次流吸込口42には、4つの開口部152を有する蓋151が被せられており、蓋151の開口部152を開閉するように誘引シャッタ120が設けられている。なお、誘引シャッタ120は、図29および図33の場合と同様に誘引ノズル38内部側にのみ開くことができる。
このように構成することにより、誘引ノズル38の形状が直方体やその他の任意の形状であっても、2次流吸込口42に誘引シャッタ120を設けることによって、円筒形誘引ノズルの場合と同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0082】
さらに、誘引ノズル38の形状が直方体の場合には、誘引シャッタ120の形状は、図35に示した以外の形状でもよく、図36で示したような任意の形状を用いることもできる。例えば、図36は、図35の誘引シャッタ120を2分割した場合の斜視図であり、誘引シャッタ120が誘引ノズル38内部の静圧上昇によって閉状態になった場合に、前記2枚の誘引シャッタ120が軽く重なり合うか、或いは隙間無く閉じるように構成することにより、2次流吸込口42からの逆流を防止することができる。また、図37(a)は別の誘引シャッタを示す斜視図で、(b)はその断面図であり、このように、1つの開口部に複数の矩形の誘引シャッタ120をブラインド状に形成しても同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0083】
実施の形態12.
この実施の形態は、実施の形態11と同様に、圧力作用で自己開閉する2次流通路開閉手段を備えたものである。
実施の形態11では、2次流吸込口42のリング状板150や蓋151に設けられた誘引シャッタ120が扉のように開閉するようなシャッタ構造となっていたが、勿論、2次流吸込口42の圧力差で自在に開閉する機構であれば如何なる形態を有するものであってもよい。例えば、図38は、ばねによって支持されたダンパ機構を有する換気送風装置の一例を示す断面図である。図29の場合と同様に、全体としてはほぼ円筒状に構成されているものとする。実施の形態10と同様の部分については説明を省略する。図において、35は1次流吸込口41の面に接するように設けられたベルマウス、123は2次流吸込口42を開閉する誘引ダンパ、122はベルマウス35の内面と誘引ダンパ123を接続するばね、180は2次流通路48の上流端部に設けられ、誘引ダンパ123を受ける仕切板である。仕切板180には開口部152が形成されていて、開口部152の形状は誘引ノズル38の円周に沿って全周つながっていてもよいし、あるいは円周方向にいくつかに分割されていてもよい。誘引ダンパ123の形状は開口部152を塞ぐことができる形状であればよい。
【0084】
次に動作について説明する。軸流ファン30を運転しない状態で誘引ダンパ123は仕切板180から図において下方へ離れて、2次流32が流れることができるようにばね122の長さが調節してある。つまり、2次流吸込口42と連通する仕切板180上の開口部152は開の状態となっている。軸流ファン30を運転して、誘引ノズル38の吐出口44側が開放条件の場合には、誘引効果により誘引ノズル38内部は負圧となるため誘引ダンパ123は下流方向に吸引されて仕切板180の開口部152は開の状態を維持し、2次流吸込口42からの2次流32の吸い込みが生じる。一方、誘引ノズル38の吐出口44側の圧力損失が増大すると、誘引ノズル38の内部の静圧が上昇し、ついには内圧が吸込口外部の圧力である大気圧を越えた場合には、誘引ノズル38内部の高静圧により誘引ダンパ123は仕切板180方向に押し上げられて仕切板180上の開口部152が閉塞される。従って、2次流32の通路48が閉の状態となり、2次流吸込口42への逆流現象は発生せず、いわゆる通常の送風機と同様の高静圧を示すことになる。なお、ばね122のばね定数は小さく設定して、誘引ダンパ123が動作するために要する圧力損失を小さくしている。
【0085】
ここで、図38では、ベルマウス35は平面で構成されていたが、図39に示すような斜面あるいは滑らかに断面積を減少させる曲面で構成されていてもよく、その場合、1次流31の吸い込み抵抗が低減されるため、換気送風装置の送風性能を向上させることができる。
【0086】
さらに、誘引ダンパ123の形態を図40に示すように三角形断面とすることにより、2次流32の吸い込み抵抗を低減して換気送風装置の送風性能を向上させることができる。
【0087】
実施の形態13.
図41は、圧力作用により2次流の通路を自己開閉するドーナツ型シャッタを用いて構成した換気送風装置の一例を示す断面斜視図であり、図42はその断面図である。実施の形態10と同様の部分については説明を省略する。本構成では、誘引ノズル38の上流端と1次流吸込口41のベルマウス35の外周端との間に開口部152が円環形のスリット状に設けられ、さらに誘引ノズル38とケーシング34との間の2次流の通路48には、2次流通路開閉手段としてドーナツ型シャッタ124が挿入されている。このドーナツ型シャッタ124は直径が2次流吸込口42のスリット幅よりも大きく、且つ誘引ノズル38半径とケーシング34半径との差よりも小さい円形断面を有し、中心線が2次流吸込口42の中心線の半径と略等しい大きさになっている。そして、ドーナツ型シャッタ124を2次流吸込口42とケーシング34の吐出口の間の空間に保持するためのシャッタ止め125が設けられている。ここで、ドーナツ型シャッタ124は、例えば発泡スチロールや中空のプラスチック等の軽量且つ耐水性に優れた部材により構成されている。また、シャッタ止め125は2次流32の流れを妨げないようにドーナツ型シャッタ124の周方向に互いに離れて設けられた複数の小片により構成されている。
【0088】
次に動作について2次流吸込口42近傍の拡大した斜視図の図43を用いて説明する。軸流ファン30が運転され、誘引ノズル38の吐出口44側が開放条件の場合には、誘引効果により誘引ノズル38内部は負圧となるためドーナツ型シャッタ124は誘引ノズル38内部を下流方向に吸引されてシャッタ止め125の位置まで移動する。この状態では、(a)に示すように2次流32の通路48が開となるため、2次流32は2次流吸込口42より内部に吸い込まれ、ドーナツ型シャッタ124の側面を通過して流れる。従って、開放側条件では、誘引効果により風量が増大する。一方、誘引ノズル38の吐出口44側の圧力損失が増大すると、誘引ノズル38の内部の静圧が上昇し、ついには内圧が吸込口外部の大気圧を越えた場合には、誘引ノズル38内部の高静圧によりドーナツ型シャッタ124はその正圧により2次流吸込口42方向に押し上げられて2次流吸込口42の開口部152が(b)のように閉塞される。従って、2次流32の通路48が閉じられ逆流現象は発生せず、非誘引式の送風機と同様の高静圧を示すことになる。
【0089】
以上のように、誘引ノズル38とケーシング34に挟まれた2次流の通路48に、静圧に応じて自由に移動できるドーナツ型シャッタ124を設けたので、同様に開放側で大風量を得ることができ、かつ閉切側で高静圧を得ることができる。
【0090】
実施の形態14.
実施の形態5乃至9において、1次流31を生じさせるための送風機として遠心ファンを利用した換気送風装置について述べたが、それらは圧力損失が付加されていない状況(開放側)においてその風量を大幅に増大させるものであった。また、実施の形態13及び14において、軸流式送風機を利用した換気送風装置の高静圧化について述べた。前記高静圧化の手法は、実施の形態5乃至9の遠心式送風機を利用した換気送風装置へも適用することができる。
図44はこの発明の実施の形態14を示す換気送風装置の断面斜視図である。実施の形態5と同様の部分については説明を省略する。図において、151は誘引ディスク77の上流端と吸込円筒部73上流端との間に設けた蓋であり、任意の個数の扇形の開口部152が設けられ、開口率を任意に調節できるように、開口部152には2次流通路開閉手段として、スライド可能なスライド弁127が設けられている。
【0091】
次に動作について説明する。開放側では図11の換気送風装置は従来の非誘引式の送風機の約1.55倍の風量増大を実現したが、閉切側では非誘引式の送風機に比べ静圧が低くなっている。これは、閉切側では誘引ディスク77とガイド板76の吐出口80に圧力損失が付加されており、1次流31は誘引ディスク77の外周端の吐出口80から噴出せず、より圧力損失の小さい2次流吸込口42を通過して逆流することが原因である。従って、実施の形態5の図11に示した換気装置の高静圧化を図るには2次流吸込口42からの逆流を防止すればよい。図44のスライド弁127をスライドさせて開口部152の開口率を低減すると、開放側の風量は若干減少するものの、閉切側の静圧は実施の形態5の図11に示した換気装置の静圧よりも増大する。さらにスライド弁127をスライドさせて、開口部152を閉塞させた場合には、前記2次流吸込口42からの逆流は消滅するため、非誘引式の送風機と同様の閉切側静圧を得ることができる。
【0092】
以上のように、遠心ファン70を利用した換気送風装置の2次流吸込口42にスライド弁127を有する蓋151を設け、スライド弁127の動作により2次流の通路48の開閉をするようにしたので、閉切側の静圧を任意に変化させて高静圧を得ることができる。
【0093】
また、逆流が生じる際、誘引ディスク77内壁面の静圧が誘引効果による負圧から正圧に転じる現象を利用して、換気送風装置の閉切静圧を自動制御することが可能である。そのために、図44の換気送風装置にスライド弁127を所望の位置に移動させるための例えばボールねじとモータの組み合わせ等の自動送り機構を付加する。自動送り機構には、誘引ディスク77内壁面の静圧値がセンサより送られてきて、この値が2次流吸込口42より外の大気圧より大きくなった場合に、スライド弁127を開口率が下がる方向へ徐々に移動させるか、あるいは誘引ディスク77内部が大気圧よりも少しでも大きくなったら全閉の状態になるよう送り機構を利用してスライド弁127を自動的に制御することによって、任意の閉切静圧を達成し、高静圧が得られる。
【0094】
さらに、2次流吸込口42の蓋151に設けられた開口部152の形状は図44に示した同心円上の扇形に限らず、スリット弁127により任意の開口率に調節できるものであれば、三角型、丸型、四角型等、何れの形でも同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0095】
実施の形態15.
実施の形態14において、2次流吸込口42の開口率を任意に変更することにより、閉切静圧を変化させ、特に高静圧化が実現可能であることを示した。しかしながら、2次流吸込口42の開口率を減少させて閉切側の静圧を増大させると、逆にその開口率では開放風量の増大量が減少してしまう。そこで、次に、2次流吸込口42に2次流通路内の静圧に応じて自己開閉するシャッタを設けることにより、閉切側の高静圧を必要とする状態と開放側の大風量を必要とする状態のいずれにも対応できる装置について説明する。
【0096】
図45はこの発明の実施の形態15を示す換気送風装置の断面斜視図であり、図46はその中心軸を含む平面における断面図である。実施の形態14と同様の部分については説明を省略する。これらの図において、120は2次流吸込口42の誘引ディスク77内部側に設けられ、前記誘引ディスク77の内部方向にのみ開く開閉自在な誘引シャッタである。誘引ディスク77の上流端と吸込円筒部73の上流端との間には、任意の個数の開口部152を有する蓋151が設置され、開口部152には各々薄手のセルロイド、プラスチック、発泡スチロール等の出来る限り軽量且つある程度の堅牢性を保持する材料により形成された誘引シャッタ120が軽やかに開閉するように支持部153で吸込円筒部73側に取り付けられている。誘引シャッタ120の支持方法については、例えば、誘引シャッタ120の支持部153を円筒状に加工し、円筒内部に鉄芯、針金等の直線部材を挿入して両端を回転可能なように蓋151あるいは吸込口円筒部73の外周側に固定する方法や、蝶番等の開閉部材を用いる方法等があるが、何れの方法にせよ、誘引シャッタ120の開閉を滑らかにするよう考慮されなければならない。
【0097】
次に動作について図46の断面図を用いて説明する。誘引ディスク77及びガイド板76の吐出口80側の圧力損失が0mmAq即ち開放条件では、遠心ファン70からの1次流31の誘引効果によって誘引ディスク77とガイド板76に挟まれた空間に2次流32が形成される。この誘引効果により、誘引ノズル内部は負圧となるため誘引シャッタ120はその表裏面に圧力差が発生するため支持部153を中心に回転して2次流32の通路48が開かれ、2次流32が開口部を介して誘引ディスク77とガイド板76に挟まれた該空間に吸引される。
【0098】
そして、吐出口80側の圧力損失が増大していくと、誘引ディスク77の内部に吹き出される1次流31の流速が減少し、同時に誘引量も減少して全流量が減少する。さらに圧力損失を増大すると、誘引ディスク77の内壁面上の静圧が上昇し、ついには吸込口外部の大気圧を越えることになる。実施の形態5の前記換気送風装置では、この時点で2次流吸込口42における逆流が発生するが、本実施の形態においては、2次流吸込口42に開閉自在で、圧力作用により自己開閉する誘引シャッタ120を設けているため、誘引ディスク77内の空間の静圧上昇により誘引シャッタ120は2次流吸込口42を閉塞するように移動し、逆止弁と同様の効果を奏する。従って、これ以上吹出側の圧力損失を増大させても、2次流吸込口42からの逆流現象は発生せず、非誘引式の送風機と同様の送風性能を示すことになる。
なお、上記では誘引シャッタ120の支持部153を吸込円筒部73側に設けたが、2次流吸込口42の誘引ディスク77側に設けてもよい。
以上のように、2次流吸込口42に誘引ディスク77内壁面側にのみ開閉自在な誘引シャッタ120を設けたので、閉切側の高静圧と開放側の大風量を同時に得ることができる。
【0099】
実施の形態16.
遠心ファンを利用した換気送風装置に関し、誘引ディスク77及びガイド板76の吐出口80から外部空間に吹き出される吹出風の方向性を制御する装置について述べる。実施の形態5の遠心ファンを利用した前記換気送風装置において、誘引ディスク77とガイド板76は、それぞれ平行するように設けられていた。さらに、実施の形態6の遠心ファンを利用した換気送風装置において、誘引ディスク77とガイド板76はいずれか一方或いは双方を滑らかに近接するように通路断面を狭めるように構成されていた。
図12に示すのは、誘引ディスク77とガイド板76がそれぞれ平行するように設けられている換気送風装置の断面図であり、遠心ファン70より誘引ディスク77とガイド板76により囲まれた空間に吹き出された1次流31は、剪断面を介して2次流32を誘引しつつ、吐出口80よりガイド板76に沿って吹き出し、矢印131の方向に向かい外部空間へ放出される。このことは、1次流吸込口41及び2次流吸込口42の双方から、水蒸気を含有する気体を吸い込ませ、さらに前記換気送風装置の側方よりシート状の光源を照射して吹出風を可視化して確認した。
【0100】
また、図15はガイド板76が誘引ディスク77の方向に滑らかに近接するように通路断面を狭めるように構成された換気送風装置の断面図であり、図12の換気送風装置の場合と同様に、水蒸気をトレーサーとした流れの可視化試験により、図15における吹出風は矢印131で示すように誘引ディスク77方向に斜めに曲げられることが確認できた。このように、ガイド板76の角度を調節することにより、外空間への吹出角度を任意に調節することができる。
【0101】
さて、図47はこの発明の実施の形態16の換気送風装置の断面図である。実施の形態5と同様の部分については説明を省略する。図において、133は遠心ファン70を固定支持するための送風機支持部、134はガイド板76と誘引ディスク77を互いに固定するための固定吊り部、135はガイド板76の一端に設けられた回転自由な可変接合部、137は可変接合部135を介してガイド板76に接続された底板、136は軸流ファン70と底板137の間に設けられて軸流ファン70を下方から支持するばね、θはガイド板76が水平方向と成す角度である。なお、遠心ファン70の軸は垂直方向であるとする。
【0102】
次に動作について説明する。底板137を遠心ファン70に近づけると、θが減少し、θ=0゜の時底板137とガイド板76は同一平面となって実施の形態5の場合と同様に動作する。逆に底板137を遠心ファン70から遠ざけると、θが増加する。θが0゜の場合には前述したように、誘引ディスク77とガイド板76は同一平面となり、吐出口80から外部空間への吹出風は、ガイド板76とほぼ平行に吹き出される。θの大きさが徐々に増大するにつれ、ガイド板76と誘引ディスク77の成す角度も大きくなり、吐出口80からの吹出風は、誘引ディスク77側に曲げられて斜め上方に吹き出される。さらにθの大きさを増大させれば、吹出風の風向変更角度も増大する。
このように、ガイド板76の角度θを変化させる、換言すれば遠心ファン70の軸方向に対するガイド板76の角度を変化させるように構成したので、吐出口80から外部空間への吹出風の吹出角度を変化させることが可能となり、吹出風を任意の場所に送風することができる。
【0103】
なお、上記においてばね136に代えて高さ寸法が可変の支持部材を用いるようにしてもよい。
勿論、ガイド板76の角度を変更する他に、誘引ディスク77の取り付け角度を任意に調節したり、誘引ディスク77及びガイド板76双方の角度を調節したりすることによっても、同様の効果を奏する。
【0104】
実施の形態17.
本実施の形態では、実施の形態16とは別の風向制御について述べる。実施の形態5と同様の部分については説明を省略する。
図48は、この発明の実施の形態17を示す換気送風装置の斜視図である。図において、138は誘引ディスク77及びガイド板76の下流端に、取り付け角度を任意に調節できるよう設けられた風向変更フラップである。
【0105】
吹出風の方向を制御するためのフラップ機構は、空調機の吹出口、送風機の吹出口等に広く使用されている技術ではあるが、前記誘引効果を利用した換気送風装置の吹出風の方向を制御するためにも応用できる。図49は風向を説明するための風向変更フラップの断面図であり、(a)に示すように誘引ディスク77及びガイド板76の下流端に設けられた風向変更フラップ138を吸込口側(図の上方)へ傾けると、吐出口80からの吹出風は図の斜め上方に吹き出す。逆に、(b)に示すように誘引ディスク77及びガイド板76の下流端に設けられた風向変更フラップ138をモータ33側(図の下方)へ傾けると、吐出口からの吹出風は図の斜め下方へ吹き出す。
従って、風向変更フラップの角度を任意に変更することにより、所望の方向へ向かって吹き出し風を送風することができる。
【0106】
実施の形態18.
実施の形態1に示した軸流ファンを利用した換気送風機の低騒音化について述べる。実施の形態1と同様の部分については説明を省略する。図50は、この発明の実施の形態18を示す換気送風装置の一部破断した断面斜視図である。図において、139は誘引ノズル38と軸流ファン30のケーシング34を接続するための誘引ノズル支持部である。実施の形態1の換気送風装置で100Vの入力時に実測した結果、2次流吸込口42において約5.0m/sの吸い込み流速を確認した。また、同時に実施した騒音測定の周波数分析により、誘引ノズル支持部材139の直径と2次流32の流速に関連した特定周波数を有する騒音が確認された。これは、2次流32が、誘引ノズル38とケーシング34に囲まれた領域を通過する際に誘引ノズル支持部139に衝突して発生するカルマン渦による流体騒音である。そこで、図51に示すように、誘引ノズル支持部139の断面形状を(a)の翼型、(b)の楕円翼型等の流線型状にすることにより流体騒音を低減させるものである。実際、図中の翼型断面形状を有する誘引ノズル支持部を採用したところ、(c)の円柱型の場合と比べて約1.0dBAの低騒音化が実現された。
このように、誘引ノズル38とケーシング34を接続する誘引ノズル支持部139の断面形状を流線型にすることにより、2次流32が誘引ノズル支持部139に衝突して発生させる流体騒音を低減して、低騒音化を図ることができる。
【0107】
実施の形態19.
実施の形態18における換気送風装置は、2次流32が誘引ノズル支持部139に衝突する際に発生する流体騒音を低減するものであった。しかしながら、その方法では、誘引ノズル38内部に発生する共鳴音や反響音を消去することができない。図52はこの発明の実施の形態19を示す換気送風装置の断面図である。実施の形態1と同様の部分については説明を省略する。図において、140は誘引ノズル38の内側にこれと隔てて配置された、通気性を有する板状部材で、例えば多孔質のプラスチック材料などで構成される。141は通気性を有する板状部材140と誘引ノズル38の間に設けられた背面空気層である。通気性を有する板状部材140は、その背面空気層141を設けることにより、ある特定の周波数帯の音波を吸収する性質を持つ。本実施の形態は、誘引ノズル38内部に発生する共鳴音、反響音の周波数に合わせた背面空気層141を設けることにより、騒音を吸収する。
【0108】
実施の形態20.
実施の形態5に示した遠心ファンを利用した換気送風機の低騒音化について述べる。図53は、この発明の実施の形態20を示すもので、(a)は換気送風装置の断面図である。実施の形態5と同様の部分については説明を省略する。図において、142は誘引ディスク77をガイド板76上に支持するための誘引ディスク支持部、143は吸込円筒部73に連通する円環状の吸込補助板74とガイド板76を接続して支持する吸込円筒部支持部である。吸込円筒部73と誘引ディスク77を支持する方法には種々のものが考えられるが、例えば、図53(a)に示したような位置で2つの構造体を支持した場合には、誘引ディスク支持部142、吸込円筒部支持部143ともに遠心ファン70からの吹出風が高速で衝突するため、渦発生に伴う特定周波数の流体騒音が発生する。そこで、例えば図53(b)に示したように、両支持部142、143を断面形状が翼型、あるいは楕円翼型等の流線型を持ったものにすることにより、吹出風の衝突の際に発生する流体騒音を低減することができる。両支持部142、143を円柱型にする場合は、直径が大きなものを用いるのが好ましい。直径が小さいと周波数の高い音が発生して、耳障りな騒音となる。また、衝突に伴う流体騒音は、衝突流体の流速が小さくなるほど急激に減少するので、誘引ディスク支持部142はできる限り遠心ファン70より離れた吹出風の流速が低下した位置に設けることが望ましく、ここでは吐出口80の近傍部分に設けている。
【0109】
さらに、図53の吸込円筒部の支持方法では、遠心ファン70の吹出直後に吸込円筒部支持部143が設置されているため、衝突する吹出風の流速が最も速く、流体騒音も大きい。そこで、図54のように、吸込円筒部支持部143を2次流吸込口42近傍の誘引ディスク77の内壁と吸込円筒部73の外壁を接続するように設け、且つ前記誘引ディスク77を図53と同様に遠心ファン70よりできる限り離れた吐出口80近傍で誘引ディスク支持部142で支持するよう構成する。本構成により、吸込円筒部支持部143は比較的流速の遅い2次流32と衝突するため、図53(b)に示したのと同様の形状にすることと合わせて流体騒音をさらに低減することができる。
【0110】
このように、断面形状を翼型、楕円翼型等の流線型、あるいは直径の大きな円型に形成した誘引ディスク支持部142を、遠心ファン70よりできる限り遠方に設置し、さらに、誘引ディスク支持部142と同様に形状を適切にした吸込円筒部支持部143を2次流吸込口42の近傍に誘引ディスク77と吸込円筒部73を接続するように設けたので、流体が支持部に衝突する際に発生する流体騒音を低減することができる。
【0111】
実施の形態21.
本発明の換気送風装置は、換気装置として用いることは勿論のこと、大風量の送風装置としても用いることができるものである。
近年、多様な大空間建築、例えば工場、体育館、アトリウム、ドーム、オーディトリアム等が増加してきている。このような大空間における環境制御は、小規模な空間のそれとは異なった特殊な問題を抱えている。例えば、天井高さ、空間の容積、居住域の偏在等が挙げられる。天井が高い空間では上下に偏った温度分布が生じやすい。例えば、暖房を施した場合には暖気が上昇して天井近傍に滞留し、一方、冷房を施した場合には冷気が下降して床近傍に滞留する現象が発生し、温熱環境を悪化させる。
【0112】
また、空間の体積が大きい場合には、鉛直方向ばかりでなく、水平方向の大きさも問題となる。空調装置の吸込口や吹出口の数には限りがあるため、水平方向全体に渡って均一な空調空間を得ることが困難であることが多い。さらに、大空間における居住区は空間底部に偏在していることが多く、大空間全体の中で居住区が占める容積は大変小さいため、環境制御のために投入されたエネルギーの大半が居住区以外の空間に逃げていってしまうことになる。
【0113】
そこで、まず鉛直方向の温度差を緩和するための上下温度差解消サーキュレータとして本発明の例えば図1に示した換気送風装置を使用した換気送風システムの配置を図55に示す。図において、101は高い天井102と底面103を持った空間である。換気送風装置105は1次流吸込口41および2次流吸込口42を天井102に向け、吐出口44を床面103に向けて、天井102近傍に設置されている。
【0114】
次に動作について説明する。換気送風装置105を運転すると、1次流吸込口41から天井102近傍の滞留空気が吸い込まれる。吸い込まれた1次流31は誘引ノズル38内に噴出し、エントレインによって2次流32を誘引し、吐出口44から吹き出される。このとき誘引された2次流32は2次流吸込口42から換気送風装置105内部に供給されるため、換気送風装置105の全体風量は1次流31と2次流32の合計となる。すなわち、送風機が直接吹き出す風量以上の空気を天井102近傍から吸い込んで吐出口44から吹き出す。吹き出された噴流104は床面103に到達して床面103に平行な流れとなり、さらには、大きな循環流となって天井102に向かって進む。このような、天井102から床面103に、さらには床面103から天井102へ向かう循環流を形成することにより、空間101内の高さ方向の温度差を解消することができる。
【0115】
上記のように誘引流を利用した本発明の換気送風装置をサーキュレータとして使用することにより、小入力でも大風量の搬送能力を有するため、大空間における高さ方向の温度差を効率良く解消することができる。
さらに、換気送風装置を図示のように複数台使用することによって、より広範囲の空間の高さ方向の温度差を緩和できる。
【0116】
実施の形態22.
実施の形態21では、本発明の換気送風装置を高さ方向の温度差を解消するためのサーキュレータとして利用したが、水平方向の温度差を解消するためのサーキュレータとして利用することも可能である。水平方向に広い空間では熱交換器で温度調節(温調)され、空調吹出口から広い空間内に吹き出された空気は、空調吹出口から遠く離れた場所には届かないため、空調吹出口近傍だけが温調されることになる。そこで、空調吹出口から吹き出された温調空気が到達する範囲内に換気送風装置を設置して、空間内の水平方向の温度差を解消する。
【0117】
図56は実施の形態22を示すものであり、水平方向の温度差を解消するための換気送風システムの配置図である。図において、106は空間101を環境制御するための熱交換器、107は熱交換器106で温調された空気を空間101へ導くためのダクト、108はダクト107から空間101内へ空気を吹き出す空調吹出口、109は温調された空気である。換気送風装置105は空調吹出口108から吹き出される温調された空気109が到達する範囲内に、1次流吸込口41および2次流吸込口42を空調吹出口108方向に向けて設置され、吐出口44は温調された空気109を到達させたい空間に向かって設置されている。
【0118】
次に動作について説明する。熱交換106で温調された空気109がダクト107を経由して、空調吹出口108から空間101内へ吹き出される。換気送風装置105を運転することにより、空調吹出口108からの温調された空気が周囲の空気とともに、1次流吸込口41および2次流吸込口42から吸い込まれ、吐出口44から吹き出される。その風量は1次流31と2次流32の合計となる。吹き出された噴流104は空調吹出口108から遠く離れた地点に到達してこの地点を空調する。
【0119】
このように誘引流を利用した本発明の換気送風装置をサーキュレータとして使用することにより、小入力でも大風量の搬送能力を有するため、広い空間における水平方向の温度差を効率良く解消することができる。
さらに、図示のように複数台の換気送風装置105を用いて、1台の換気送風装置105により、上記のように空調吹出口108からの温調された空気109を遠くへ吹き出し、その吹き出された噴流104の到達する範囲内に別の換気送風装置105を配置して、これによりさらに遠くへ吹き出すという具合に、直列的に次々とエア搬送を行うことにより、より広範囲の水平方向の温度差を緩和することができる。
【0120】
実施の形態23.
地下駐車場あるいは工場等の閉ざされた大空間では、空間内の汚染された空気の換気方法が問題となる。従来は、空気の至る所に汚染空気の吸込口を設け、これらの吸込口を長大なダクト配管で結び、これらの配管を通して汚染空気を室外へ排出するというような大がかりな換気送付装置が用いられてきた。このようなダクト配管式換気システムでは、ダクト配管に多大な費用がかかることや、ダクトによる圧力損失が大きく、排気用ブロワの能力を大きくしなければならないため、コストパフォーマンスに至る欠点があった。そこで、ダクト配管を用いない、ダクトレス・エア搬送方式に本発明の換気送風装置を用いた例を示す。
【0121】
図57は実施の形態23における換気送風システムの配置図であり、図において、111は空間101内に存在する汚染源であり、例えば駐車場ならば自動車、工場ならば排気ガスを出す装置、アトリウムや大型オフィスであれば二酸化炭素を吐き出す人である。112は汚染源111から発生する汚染空気、113は室内2から室外3へ汚染空気112を排出する主換気扇である。換気送風装置105は汚染源111から発生する汚染空気112の存在する場所に1次流吸込口41および2次流吸込口42を位置させるとともに、汚染空気112を搬送したい方向に向けて吐出口44を開口させるように設置されている。
【0122】
次に動作について説明する。換気送風装置を運転すると、1次流吸込口41および2次流吸込口42から汚染空気112が周囲の空気とともに吸い込まれ、吐出口44から吹き出される。その風量は1次流31および2次流32の合計となる。搬送距離が短い場合は、吹き出された噴流が主換気扇113により排出される。搬送距離が長い場合は、吹き出された噴流が到達する範囲内に設けられた別の換気送風装置105により、さらに主換気扇113に向かって搬送され、図示のように、複数台の換気送風装置105により順次搬送される。最後に主換気扇113により汚染空気112が室外3へ排出される。
このように誘引流を利用した本発明の換気送風装置をダクトレス・エア搬送用換気送風装置として使用することにより、小入力でも大風量の搬送能力を有するため、大空間における換気を高効率化できる。
【0123】
実施の形態24.
実施の形態21乃至23では、実施の形態1に基づく軸流ファンを利用した換気送風装置を複数個組み合わせることによって、サーキュレータ、ダクトレス・エア搬送システム、換気空調システム等を構成した。そこで、軸流ファンを利用した送風装置に、さらに実施の形態5に基づく遠心ファンを利用した換気送風装置を組み合わせることにより、より効率的にエア搬送を実施するシステム構成について述べる。図58は、この発明の実施の形態24を示す換気送風システムの斜視図である。図において、148は第1の換気送風装置としての軸流式誘引換気送風装置、149は第2の換気送風装置としての遠心式誘引換気送風装置であり、それぞれ実施の形態1、実施の形態5で示した換気送風装置と同様のものである。実施の形態5で述べたように、遠心式誘引換気送風装置149は、1次流吸込口41及び2次流吸込口42から吸い込んだ気体を、誘引ディスク77及びガイド板76の吐出口80より放射状に吹き出す性質を有する。この性質を利用して、遠心式誘引換気送風装置149を吸込口を床に向けて、すなわち図11とは上下を逆にして天井に配置し、さらにその周囲に複数の軸流式誘引換気送風装置148を配置し、その軸流式誘引換気送風装置148の軸方向を遠心式誘引換気送風装置149の吹出風の方向と一致させるようにし、かつ軸流式誘引換気送風装置148の1次流吸込口41および2次流吸込口42を遠心式誘引換気送風装置149の吐出口80に向けて設置する。
【0124】
次に動作について説明する。軸流式誘引換気送風装置148及び遠心式誘引換気送風装置149を動作させると、遠心式誘引換気送風装置149により、その下方の空気が垂直方向に吸い上げられて、1次流吸込口41及び2次流吸込口42より吸い込まれる。その際、遠心式誘引換気送風装置149は実施の形態5のごとく吸い込み風量が増大するように構成されているため、効率よく下方の気体を天井近傍まで吸い上げることができる。次に遠心式誘引換気送風装置149内に取り込まれた気体は、誘引ディスク77及びガイド板76の下流端部に形成された吐出口80より放射状に噴出され、周囲の空間に広がる。放射状に広がった吹出風は、その流速が弱まる手前に配置された複数の軸流式誘引換気送風装置148の1次流吸込口41及び2次流吸込口42から吸引され、誘引ノズル38の吐出口44から再度増速されてより遠方に搬送される。
【0125】
なお、図58では遠心式誘引換気送風装置149と軸流式誘引換気送風装置148それぞれを1台と4台組み合わせたものを示したが、より多くの軸流式誘引換気送風装置148及び遠心式誘引換気送風装置149を組み合わせることにより、さらに広範囲にわたって効率の良い気体搬送を行うなど、何台の組合せにしてもよい。
このように、軸流式誘引換気送風装置148及び遠心式誘引換気送風装置149を組み合わせてシステムを構成したため、搬送流量を増大しつつ、より広範囲に効率的に気体を搬送することが可能となる。
【0126】
【発明の効果】
以上のように、本発明の請求項1記載の換気送風装置は、軸流ファンが発生する1次流の吸込側から吐出側にかけて設けられ、1次流ガイドを覆い、その下流端よりもさらに下流側まで延びる誘引ノズルを備えるとともに、円筒状の1次流ガイドを用い、1次流ガイドの吐出口の直径をD 、誘引ノズルの吐出口の直径をD 、1次流ガイドの吐出口から誘引ノズルの吐出口までの軸方向距離をL、軸流ファンに1次ガイドを付けたときの噴流の展開角をα としたとき、
0.5≦D /(D +2Ltanα )≦1.5
としたので、誘引ノズルへの噴流の衝突による圧力損失、あるいは誘引ノズル内への逆流による流量減少を小さくでき、効率良く換気送風できる。また、換気送風量は1次流と2次流の合計となって流量を増大させることができ、また吹き出し風速を抑制して低騒音化を図ることができる。
【0127】
請求項2記載の換気送風装置は、整流板を誘引ノズルの吐出口近傍に備えたので、誘引ノズルの吐出口から吹き出される噴流の旋回成分を除去して、誘引ノズルから吹き出し後のエントレインを抑制し、噴流の到達距離が増大する。
請求項3記載の換気送風装置は、誘引ノズルの吐出口外縁へ1次流の一部を流すダクトを備えたので、主流の周囲に低速の補助流を流すことにより、誘引ノズルの吐出口からの吹き出し直後のエントレインが減少し、噴流の到達距離が増大する。
請求項4記載の換気送風装置は、フードを誘引ノズルの下流端に接続したので、外風の悪影響を防止できる。
【0128】
請求項5記載の換気送風装置は、遠心ファンと、1次流を案内する吸込側ガイドと、遠心ファンの吸込側とは反対側で1次流を半径方向へ案内するガイド板と、吸込側ガイドを覆い、ガイド板との間に吐出口を形成する誘引ディスクを備えるとともに、ガイド板と誘引ディスクとの間隔が外周縁に向かって狭くなるようにしたので、遠心ファンを用いてその半径方向に送風する誘引式換気送風装置を実現するとともに、2次流を効率良く誘引することができ、したがって換気送風量を増大と、さらに風速を抑制して低騒音化を図ることができる。
【0129】
請求項6記載の換気送風装置は、遠心ファンの直径をD、誘引ディスクの直径をD、遠心ファンの吹き出し幅をH、誘引ディスクの外周縁とガイド板の外周縁とで形成された吐出口幅をH、遠心ファンにガイド板を付けたときの展開角をαとしたとき、
0.5≦2H/{2H+(D−D)tanα}≦1.5
としたので、誘引ノズルへの噴流の衝突による圧力損失、あるいは吐出口からの逆流による流量減少を小さくでき、効率良く換気送風できる。
【0130】
請求項7記載の換気送風装置は、ガイド板と誘引ディスクとの間を部分的に閉鎖する側板を備えたので、外風の悪影響を防止できる。
【0131】
請求項8記載の換気送風装置は、2次流の通路の開閉をする2次流通路開閉手段を備えたので、開口状態を変えて大きな風量を要する場合と高い静圧を要する場合の両方に対応することができる。
【0132】
請求項9記載の換気送風装置は、静圧を検知して2次流通路開閉手段を制御し、また請求項10記載の換気送風装置は、静圧の圧力作用により2次流開閉手段が自己開閉するので、ともに状況の変化に応じて自動的に大風量あるいは高静圧に変化できる。
【0133】
請求項11記載の換気送風装置は、ガイド板の角度を可変にしたの、吐出口からの吹き出し方向を変えることができる。
請求項12記載の換気送風装置は、吸込円筒部支持部および誘引ディスク支持部をそれぞれ2次流吸込側近傍および吐出口近傍に設けたので、比較的流速の小さい所に位置し、騒音が小さい。
【0134】
請求項13記載の換気送風システムは、請求項1記載の換気送風装置の吸込側を、請求項5記載の換気送風装置の吐出口に向けて設置したので、上記吐出口からの吹出風をさらに遠くへ送り、大風量空気を広範囲に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す換気送風装置の断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1を示す換気送風装置の斜視図である。
【図3】 この発明の実施の形態1における噴流の展開角と誘引ノズルの直径の関係を示す換気送風装置の断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態2を示す換気送風装置の斜視図である。
【図5】 この発明の実施の形態2を示す換気送風装置の断面図である。
【図6】 この発明の実施の形態3を示す換気送風装置の斜視図である。
【図7】 この発明の実施の形態3を示す換気送風装置の断面図である。
【図8】 この発明の実施の形態3における主流および補助流の速度分布図である。
【図9】 この発明の実施の形態4を示す換気送風装置の斜視図である。
【図10】 この発明の実施の形態4を示す換気送風装置の断面図である。
【図11】 この発明の実施の形態5を示す換気送風装置の斜視図である。
【図12】 この発明の実施の形態5を示す換気送風装置の断面図である。
【図13】 この発明の実施の形態6を示す換気送風装置の断面図である。
【図14】 この発明の実施の形態6における噴流の展開角と吐出口幅の関係を示す換気送風装置の断面図である。
【図15】 この発明の実施の形態6を示す別の換気送風装置の断面図である。
【図16】 この発明の実施の形態7を示す換気送風装置の斜視図である。
【図17】 この発明の実施の形態7を示す換気送風装置の断面図である。
【図18】 この発明の実施の形態8を示す換気送風装置の斜視図である。
【図19】 この発明の実施の形態8を示す換気送風装置の断面図である。
【図20】 この発明の実施の形態9を示す換気送風装置の断面図である。
【図21】 この発明の実施の形態9を示す別の換気送風装置の断面図である。
【図22】 この発明の実施の形態1の換気送風装置の風量−静圧特性曲線図である。
【図23】 この発明の実施の形態10を示す換気送風装置の断面図である。
【図24】 図23の換気送風装置の風量−静圧特性曲線図である。
【図25】 この発明の実施の形態10を示す別の換気送風装置の断面図である。
【図26】 この発明の実施の形態10を示すさらに別の換気送風装置の断面図である。
【図27】 この発明の実施の形態10を示す他の換気送風装置の断面図である。
【図28】 この発明の実施の形態10を示すさらに他の換気送風装置の斜視図である。
【図29】 この発明の実施の形態11を示す換気送風装置の斜視図である。
【図30】 図29の換気送風装置の断面図である。
【図31】 図29の換気送風装置の動作を示す断面図である。
【図32】 図29の換気送風装置の風量−静圧特性曲線図である。
【図33】 図29の換気送風装置を示す別の換気送風装置の斜視図である。
【図34】 図33の換気送風装置の断面図である。
【図35】 この発明の実施の形態11を示すさらに別の換気送風装置の斜視図である。
【図36】 この発明の実施の形態11を示す他の換気送風装置の斜視図である。
【図37】 この発明の実施の形態11を示すさらに他の換気送風装置の斜視図と断面図である。
【図38】 この発明の実施の形態12を示す換気送風装置の断面図である。
【図39】 この発明の実施の形態12を示す別の換気送風装置の断面図である。
【図40】 この発明の実施の形態12を示すさらに別の換気送風装置の断面図である。
【図41】 この発明の実施の形態13を示す換気送風装置の断面斜視図である。
【図42】 図41の換気送風装置の断面図である。
【図43】 図41の換気送風装置の動作を示す断面斜視図である。
【図44】 この発明の実施の形態14を示す換気送風装置の断面斜視図である。
【図45】 この発明の実施の形態15を示す換気送風装置の断面斜視図である。
【図46】 図45の換気送風装置の断面図である。
【図47】 この発明の実施の形態16を示す換気送風装置の断面図である。
【図48】 この発明の実施の形態17を示す換気送風装置の斜視図である。
【図49】 図48の換気送風装置の動作を示す断面図である。
【図50】 この発明の実施の形態18を示す換気送風装置の断面斜視図である。
【図51】 図50の換気送風装置の誘引ノズル支持部の斜視図である。
【図52】 この発明の実施の形態19を示す換気送風装置の断面図である。
【図53】 この発明の実施の形態20を示す換気送風装置の断面図である。
【図54】 この発明の実施の形態20を示す別の換気送風装置の断面図である。
【図55】 この発明の実施の形態21を示す換気送風システムの配置図である。
【図56】 この発明の実施の形態22を示す換気送風システムの配置図である。
【図57】 この発明の実施の形態23を示す換気送風システムの配置図である。
【図58】 この発明の実施の形態24を示す換気送風システムの配置図である。
【図59】 従来の換気送風装置を示す概念図である。
【図60】 従来の別の換気送風装置を示す概念図である。
【符号の説明】
30 軸流ファン、31 1次流、32 2次流、34 ケーシング、
38 誘引ノズル、40 ケーシングの下流端、43 ケーシングの吐出口、
44 誘引ノズルの吐出口、45 誘引ノズルの下流端、51 整流板、
55 補助流ダクト、65 フード、70 遠心ファン、73 吸込円筒部、
75 吸込補助板の外周縁、76 ガイド板、77 誘引ディスク、
78 誘引ディスクの外周縁、79 ガイド板の外周縁、80 吐出口、
86 吸込円筒部、87 1次流ガイド筒、88 誘引ノズル、
93 誘引ディスク、94 ガイド板、95 側板、120 誘引シャッタ、
123 誘引ダンパ、124 ドーナツ型シャッタ、
126 スライドシャッタ、127 スライド弁、135 可変接合部、
140 板状部材、142 誘引ディスク支持部、143 吸込円筒部支持部、
148 軸流式誘引換気送風装置、149 遠心式誘引換気送風装置。

Claims (13)

  1. 換気または送風を行う換気送風装置において、1次流を発生させる軸流ファンと、この軸流ファンを覆い、上記1次流を案内する1次流ガイドと、上記1次流の吸込側から吐出側にかけて設けられ、上記1次流ガイドから離隔してこれを覆い、かつ上記1次流ガイドの下流端よりもさらに下流側まで延在する誘引ノズルとを備えるとともに、上記1次流ガイドの吐出口の直径をD 、上記誘引ノズルを円筒状としてその吐出口の直径をD 、上記1次流ガイドの吐出口から上記誘引ノズルの吐出口までの軸方向距離をL、上記軸流ファンに上記1次流ガイドを付けたときの上記1次流ガイドの吐出口からの1次流の展開角をα としたとき、
    0.5≦D /(D +2Ltanα )≦1.5
    となるように構成したことを特徴とする換気送風装置。
  2. 軸流ファンの回転による流れの旋回成分を整流する整流板を、誘引ノズルの吐出口近傍に備えたことを特徴とする請求項1記載の換気送風装置。
  3. 1次流ガイド内から誘引ノズルの吐出口外縁へ、1次流の一部を流すダクトを備えたことを特徴とする請求項1記載の換気送風装置。
  4. 1次流および2次流の方向を変えるフードを、誘引ノズル下流端に滑らかに接続したことを特徴とする請求項1記載の換気送風装置。
  5. 換気または送風を行う換気送風装置において、1次流を発生させる遠心ファンと、この遠心ファンの吸込側に配置されて上記1次流を案内する吸込側ガイドと、上記遠心ファンの直径よりも大きな外形寸法を有し上記遠心ファンの吸込側とは反対側に配置されて上記1次流を半径方向へ案内するガイド板と、上記吸込側ガイドと離隔してこれを覆い、上記ガイド板との間に吐出口を形成する誘引ディスクとを備えるとともに、上記ガイド板と誘引ディスクとの間隔が、これらの外周縁に向かって滑らかに狭くなるようにしたことを特徴とする換気送風装置。
  6. 遠心ファンの直径をD、ガイド板を円形状としてその直径をD、上記遠心ファンの吹き出し幅をH、上記誘引ディスクの外周縁とガイド板の外周縁とで形成された吐出口幅をH、上記遠心ファンに吸込側ガイドと上記ガイド板を付けたときの遠心ファンからの1次流の展開角をαとしたとき、
    0.5≦2H/{2H+(D−D)tanα}≦1.5
    となるように構成したことを特徴とする請求項5記載の換気送風装置。
  7. ガイド板と誘引ディスクとの間を、遠心ファンの周方向に部分的に閉鎖する側板を備えたことを特徴とする請求項5記載の換気送風装置。
  8. 1次流により誘引された2次流が流れる、吸込側ガイドと誘引ディスクとの間の通路の開閉をする2次流通路開閉手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の換気送風装置。
  9. 2次流の通路内の静圧を検知して2次流通路開閉手段の開閉を制御するようにしたことを特徴とする請求項8に記載の換気送風装置。
  10. 2次流の通路内の静圧が負のときは閉じ、正のときは開くように、上記通路内の静圧の圧力作用により自己開閉する2次流通路開閉手段を備えたことを特徴とする請求項8記載の換気送風装置。
  11. 遠心ファンの軸方向に対するガイド板の角度を可変にしたことを特徴とする請求項5記載の換気送風装置。
  12. 1次流により誘引される2次流の吸込側近傍で誘引ディスクと吸込側ガイドとを接続して両者を互いに支持する吸込円筒部支持部、および、吐出口近傍で上記誘引ディスクとガイド板とを接続して両者を互いに支持する誘引ディスク支持部を備えたことを特徴とする請求項5記載の換気送風装置。
  13. 請求項1および請求項5記載の換気送風装置をそれぞれ第1および第2の換気送風装置として設置し、上記第1の換気送風装置の吸込側を上記第2の換気送風装置の吐出口に向けて、上記第1の換気送風装置の軸方向を上記第2の換気送風装置の吐出口からの吹出風の方向と一致させるように配置したことを特徴とする換気送風システム。
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